説明

画像表示方法及びその方法に用いられる画像表示素子

【課題】表示粒子を用いた画像表示方法において、表示画像のコントラストをより高める。
【解決手段】対向配置された少なくとも一方が透光性を有する一対の基板11,12と、当該基板間に封入された互いに帯電極性の異なる、且つ互いに光学的反射濃度の異なる少なくとも2種類の表示粒子5A,5Bを含む表示粒子群5とを備えた画像表示素子10において、基板間に電界を印加して表示粒子群を移動させることにより画像表示を行う画像表示方法であって、基板間における書込み対象の画素に対し、正または負の書込み用の直流電圧を印加する書込みステップを有し、書込みステップの間の少なくとも一部において、前記基板間に交互電界を形成する交番電圧成分が前記直流電圧に重畳される構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示粒子を用いた画像表示方法及びその方法に用いられる画像表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子ペーパ等に適用される画像表示素子に関し、色および帯電特性が異なる複数種類の表示粒子が、電界が印加される一対の基板間に封入されると共に、当該基板間を電界に応じて移動することにより画像を表示する構成が知られている。また、この種の画像表示素子では、電気・磁気を利用した書込み方式として、基板間に充填した溶媒中に表示粒子を分散させた湿式の表示方式(電気泳動方式等)や、基板間の間隙(空気、窒素、アルゴン等の中)に表示粒子を分散させた乾式の表示方式(帯電トナー型表示方式および電子粉流体方式等)が開発されている。
【0003】
このような画像表示素子は、例えばパッシブマトリクス駆動による画像表示を実施し、一方の基板側で縦方向に配置される複数の行電極、及び他方の基板側で横方向に配置される複数の列電極を有する。画像の書き換えの際には、行電極に電圧を印加し、かつ画像を書き換える画素に対応する列電極に電圧を印加することで表示粒子を移動させることができる。
【0004】
しかし、乾式の表示方式を用いる画像表示素子では、画像表示を繰り返し行うことにより、電極等に対する表示粒子の張り付きや表示粒子同士の付着・凝集が生じて、表示欠陥の発生やコントラストの低下を引き起こす場合がある。そこで、そのような問題を解消するために、画像表示を行う前に所定の駆動電圧を電極に印加することにより、画像表示素子の初期化を行う(表示粒子の凝集等を解消する)技術が存在する。
【0005】
例えば、画像表示素子において、画像を表示する合間に、電極系の固有振動数を含むような周波数範囲で交番電圧の周波数を掃引することにより、電極に張り付いた表示粒子を引き剥がし、表示の色むらの発生を効果的に抑制する技術が知られている(特許文献1参照)。
【0006】
また、画像表示素子において、画像表示を切り替える毎に、複数種類の粒子群が移動可能な周波数(20Hz以上でかつ20kHz以下)で、かつ画像を表示させるときの表示駆動電圧よりも低い交番電圧を一対の電極に対して印加することにより、表示粒子の凝集体の発生や、間隙部材への付着・凝集を防止する技術が知られている(特許文献2参照)。
【0007】
また、表示パネルを構成する複数の画像表示素子を有する画像表示装置において、画像表示素子の各々の表示特性に応じて設定されたオフセット電圧を基準交番電圧に重畳して形成される電界を付与して各画像表示素子の初期化を行った後、表示すべき画像データに応じた書込み電圧を各画像表示素子に印加してそれぞれ分割画像を書き込む(表示パネルとして1つの画像を表示する)ことにより、各画像表示素子間の濃度差をなくして均一な画像を表示する技術が知られている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−248250号公報
【特許文献2】特開2003−005277号公報
【特許文献3】特開2005−241994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記特許文献1〜3に記載の従来技術によれば、画像を表示する前に交番電圧を印加することにより基板間で表示粒子を撹乱させ、画像表示素子を初期化することができる。しかしながら、それらの従来技術では、画像表示素子の初期化により表示欠陥の発生やコントラストの低下を抑制することができるものの、画像の書込み動作において画像のコントラストを効果的に向上させるものではなかった。つまり、従来技術では、表示粒子の凝集等を抑制できでも、それだけでは、例えば白色表示をより白くするような効果は期待できなかった。
【0010】
本発明は、このような従来技術の課題を鑑みて案出されたものであり、表示画像のコントラストをより高めることができる画像表示方法及びその方法に用いられる画像表示素子を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の画像表示方法は、対向配置された少なくとも一方が透光性を有する一対の基板と、当該基板間に封入された互いに帯電極性の異なる、且つ互いに光学的反射濃度の異なる少なくとも2種類の表示粒子を含む表示粒子群とを備えた画像表示素子において、前記基板間に電界を印加して前記表示粒子群を移動させることにより画像表示を行う画像表示方法であって、前記基板間における書込み対象の画素に対し、正または負の書込み用の直流電圧を印加する書込みステップを有し、前記書込みステップの間の少なくとも一部において、前記基板間に交互電界を形成する交番電圧成分が前記直流電圧に重畳されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
このように本発明によれば、一対の基板間における全ての表示粒子(例えば、白色粒子および黒色粒子)を交番電圧成分によって往復運動させて表示粒子の付着・凝集等を解消すると共に、書込み対象の画素における所定の表示粒子(例えば、黒色粒子)を直流電圧によって選択的に表面基板側に移行・付着させる構成であるため、表示画像のコントラストをより高めることができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態に係る画像表示装置の模式的な断面図
【図2】実施形態に係る画像表示素子の模式的な平面図
【図3】画像表示素子における画像表示の一例(一部黒色表示)を示す模式的平面図
【図4】画像表示素子における画像表示の一例(一部黒色表示)を示す模式的側面図
【図5】図3及び図4中の列電極H1,H2,H3および行電極L1,L2,L3に印加する電圧の一例(従来技術による比較例)を示す説明図
【図6】図5中の所定の画素に相当する部位における行電極を基準とした列電極の電圧値を示す説明図
【図7】画像表示素子10における画像表示の一例(全面白色表示)を示す模式的な平面図
【図8】画像表示素子10における画像表示の一例(全面白色表示)を示す模式的な側面図
【図9】画像表示素子10における画像表示の一例(全面白色表示)を示す模式的な斜視図
【図10】図7〜図9中の列電極H1,H2,H3および行電極L1,L2,L3に印加する電圧の一例(第1の全面白色表示方法)を示す説明図
【図11】図7〜図9中の列電極H1,H2,H3および行電極L1,L2,L3に印加する電圧の一例(第2の全面白色表示方法)を示す説明図
【図12】図7〜図9中の列電極H1,H2,H3および行電極L1,L2,L3に印加する電圧の一例(第3の全面白色表示方法)を示す説明図
【図13】図7〜図9中の列電極H1,H2,H3および行電極L1,L2,L3に印加する電圧の一例(第4の全面白色表示方法)を示す説明図
【図14】図7〜図9中の列電極H1,H2,H3および行電極L1,L2,L3に印加する電圧の一例(第5の全面白色表示方法)を示す説明図
【図15】図7〜図9中の列電極H1,H2,H3および行電極L1,L2,L3に印加する電圧の一例(第6の全面白色表示方法)を示す説明図
【図16】図3及び図4中の列電極H1,H2,H3および行電極L1,L2,L3に印加する電圧の一例(第1の黒色表示方法)を示す説明図
【図17】図16中の所定の画素に相当する部位における行電極を基準とした列電極の電圧値を示す説明図
【図18】図3及び図4中の列電極H1,H2,H3および行電極L1,L2,L3に印加する電圧の一例(第2の黒色表示方法)を示す説明図
【図19】図3及び図4中の列電極H1,H2,H3および行電極L1,L2,L3に印加する電圧の一例(第3の黒色表示方法)を示す説明図
【図20】図19中の所定の画素に相当する部位における行電極を基準とした列電極の電圧値を示す説明図
【図21】図19に示した列電極H1に対する印加電圧の変形例を示す図
【図22】図19に示した列電極H1に対する印加電圧の変形例を示す図
【図23】図3及び図4中の列電極H1,H2,H3および行電極L1,L2,L3に印加する電圧の一例(第4の黒色表示方法)を示す説明図
【図24】図23中の所定の画素に相当する部位における行電極を基準とした列電極の電圧値を示す説明図
【図25】図23に示した列電極H1に対する印加電圧の変形例を示す図
【図26】図23に示した列電極H1に対する印加電圧の変形例を示す図
【図27】図3及び図4中の列電極H1,H2,H3および行電極L1,L2,L3に印加する電圧の一例(第5の黒色表示方法)を示す説明図
【図28】図27中の所定の画素に相当する部位における行電極を基準とした列電極の電圧値を示す説明図
【図29】図27に示した列電極H1に対する印加電圧の変形例を示す図
【図30】図27に示した列電極H1に対する印加電圧の変形例を示す図
【図31】図3及び図4中の列電極H1,H2,H3および行電極L1,L2,L3に印加する電圧の一例(第6の黒色表示方法)を示す説明図
【図32】図31中の所定の画素に相当する部位における行電極を基準とした列電極の電圧値を示す説明図
【図33】図31に示した列電極H1に対する印加電圧の変形例を示す図
【図34】図31に示した列電極H1に対する印加電圧の変形例を示す図
【図35】図3及び図4中の列電極H1,H2,H3および行電極L1,L2,L3に印加する電圧の一例(第7の黒色表示方法)を示す説明図
【図36】図35中の所定の画素に相当する部位における行電極を基準とした列電極の電圧値を示す説明図
【図37】図35に示した列電極H1に対する印加電圧の変形例を示す図
【図38】図35に示した列電極H1に対する印加電圧の変形例を示す図
【図39】図3及び図4中の列電極H1,H2,H3および行電極L1,L2,L3に印加する電圧の一例(第8の黒色表示方法)を示す説明図
【図40】図39中の所定の画素に相当する部位における行電極を基準とした列電極の電圧値を示す説明図
【図41】図40に示した列電極H1に対する印加電圧の変形例を示す図
【図42】図40に示した列電極H1に対する印加電圧の変形例を示す図
【図43】図3及び図4中の列電極H1,H2,H3および行電極L1,L2,L3に印加する電圧の一例(第9の黒色表示方法)を示す説明図
【図44】図43中の所定の画素に相当する部位における行電極を基準とした列電極の電圧値を示す説明図
【図45】図43に示した列電極H1に対する印加電圧の変形例を示す図
【図46】図43に示した列電極H1に対する印加電圧の変形例を示す図
【図47】図3及び図4中の列電極H1,H2,H3および行電極L1,L2,L3に印加する電圧の一例(第10の黒色表示方法)を示す説明図
【図48】図47中の所定の画素に相当する部位における行電極を基準とした列電極の電圧値を示す説明図
【図49】図48に示した行電極を基準とした列電極の電圧値の変形例を示す図
【図50】図48に示した行電極を基準とした列電極の電圧値の変形例を示す図
【図51】図48に示した行電極を基準とした列電極の電圧値の変形例を示す図
【図52】隔壁形成における一工程(ドライフィルムラミネート工程)を示す模式的な断面図
【図53】隔壁形成における一工程(露光工程)を示す模式的な断面図
【図54】隔壁形成における一工程(現像工程)を示す模式的な断面図
【図55】表面改質処理装置の構成図
【図56】図9中のX部を拡大して示す詳細図
【図57】本発明の画像表示素子のコントラスト測定結果を示す図
【図58】本発明の一実施態様の画像表示コントラストを示す特性図
【図59】本発明の一実施態様の画像表示コントラストを示す特性図
【図60】本発明の一実施態様の画像表示コントラストを示す特性図
【図61】本発明の一実施態様の画像表示コントラストを示す特性図
【発明を実施するための形態】
【0014】
上記課題を解決するためになされた第1の発明は、対向配置された少なくとも一方が透光性を有する一対の基板と、当該基板間に封入された互いに帯電極性の異なる、且つ互いに光学的反射濃度の異なる少なくとも2種類の表示粒子を含む表示粒子群とを備えた画像表示素子において、前記基板間に電界を印加して前記表示粒子群を移動させることにより画像表示を行う画像表示方法であって、前記基板間における書込み対象の画素に対し、正または負の書込み用の直流電圧を印加する書込みステップを有し、前記書込みステップの間の少なくとも一部において、前記基板間に交互電界を形成する交番電圧成分が前記直流電圧に重畳される構成とする。
【0015】
これによると、一対の基板間における全ての表示粒子(例えば、白色粒子および黒色粒子)を交番電圧成分によって往復運動させて表示粒子の付着・凝集等を解消すると共に、書込み対象の画素における所定の表示粒子(例えば、黒色粒子)を直流電圧によって選択的に表面基板側に移行・付着させる構成であるため、表示画像のコントラストをより高めることができる。
【0016】
また、第2の発明は、前記交番電圧成分における最終パルスは、前記直流電圧の絶対値を減ずる方向に作用し、前記最終パルスの後に、前記直流電圧のみが所定時間印加される構成とする。
【0017】
これによると、所定の表示粒子(例えば、黒色粒子)を表面基板側から引き戻すように交番電圧成分の最終パルスを作用させることにより、非書込み対象の画素において、クロストークにより所定の表示粒子(例えば、黒色粒子)が表面基板側の他の表示粒子(例えば、白色粒子)に混入することを防止することができる。これにより、表示画像のコントラストをより高めることができる。なお、書込み対象の画素の所定の表示粒子(例えば、黒色粒子)は、交番電圧成分と直流電圧の印加により、逆方向への移行はほとんど生じない。
【0018】
また、第3の発明は、前記交番電圧成分における複数のパルスの振幅は、画像書込み開始から増大し、最大値に到達した後に減衰する構成とする。
【0019】
これによると、交番電圧成分を一定の時間を持たせて徐々に増大させることにより、非書込み対象の画素における表示粒子の移動を抑制でき、クロストークに起因するコントラストの低下を抑制することができる。一方、書込み対象の画素において画像が書き換えられた後に、交番電圧成分を一定の時間を持たせて徐々に減衰させることにより、書き換えられた表示粒子が、反対基板側に移動する現象を抑制でき、クロストークに起因するコントラストの低下を抑えることができる。なお、交番電圧成分における複数のパルスの振幅については、例えば正弦波的または三角波的に変化させることができる。
【0020】
また、第4の発明は、前記交番電圧成分では、前記書込みステップの開始側において、各パルスのピーク値までの立ち上がり速度が当該ピーク値からの立ち下がり速度よりも小さく設定される一方、前記書込みステップの終了側において、各パルスのピーク値までの立ち上がり速度が当該ピーク値からの立ち下がり速度よりも大きく設定された構成とする。
【0021】
これによると、電圧印加開始側では交番電圧成分の各パルスの立ち上がり速度を遅らせ、一定の遅延時間を持たせて徐々に電圧を増大させることにより、非書込み対象の画素における表示粒子の移動を抑制でき、クロストークに起因するコントラストの低下を抑制することができる。また、電圧印加終了側では交番電圧成分の各パルスの立ち下がり速度を遅らせ、一定の遅延時間を持たせて徐々に電圧を減少させることにより、書込み対象の画素において書き換えられた表示粒子が、逆方向の基板側へ移動することを抑制することができる。
【0022】
また、第5の発明は、前記書込みステップにおいて、前記表示粒子の移動による書込みを阻害する側に前記直流電圧の値が少なくとも一時的に変化する構成とする。
【0023】
これによると、非書込み対象の画素において、意図せずに表面基板側に移動した表示粒子を本来位置すべき背面基板側に移動させて除去することができるため、クロストークによる混色を防止し、コントラストの低下を抑制することができる。
【0024】
また、第6の発明は、前記直流電圧は、その絶対値が最大値に到達した後、前記書込みを阻害する側に一定の割合で変化するスロープ状の波形を有する構成とする。
【0025】
これによると、直流電圧を一定の傾きで変化させるため、書き換え画素において書き換えられた表示粒子が、急な電圧変動に起因して逆方向の基板側に移動する現象を抑制することができる。
【0026】
また、第7の発明は、前記直流電圧の最大電圧値をVd、前記交番電圧成分の波形のピークツーピークの電圧差をVpとし、Vd≦Vp≦3×Vdの関係を満たす構成とする。
【0027】
これによると、直流電圧の最大電圧値をVdと、交番電圧成分の波形のピークツーピークの電圧差をVpとの関係を適切に定めることにより、交番電界により表示粒子が往復運動を行う際に、正または負に帯電した表示粒子が孤立した状態を取りやすくなり、それぞれの表示粒子が基板間に形成される直流電界に沿って移動して各基板に付着することを促進するとともに、非書込み画素におけるクロストークを抑制できる。
【0028】
また、第8の発明は、前記直流電圧が印加される全期間をTd、前記交番電圧成分が前記直流電圧に重畳される時間をTpとし、0.2×Td≦Tp≦Tdの関係を満たす構成とする。
【0029】
これによると、交番電圧が重畳される期間を適切に定めることにより、表示粒子の往復運動が電界の交番に対応して繰り返し行われ、最終的に直流電圧パターンに応じて所定の表示粒子(例えば、黒色粒子)が選択的に表面基板側に移行・付着し、表示画像のコントラストをより高めると共に、クロストークを抑制することができる。
【0030】
また、第9の発明は、前記書込みステップにおいて、立ち上がり時間が1ms〜500msの範囲で設定されたスロープ状の波形を有する直流電圧が印加される構成とする。
【0031】
これによると、矩形波形を用いて瞬時に所定の電圧値を印加する方法に比べて、非書込み対象の画素における表示粒子の移動を抑制でき、クロストークに起因するコントラストの低下を抑制することができる。なお、交番電圧は直流電圧のスロープ状の波形の立ち上がり後に重畳することが好ましい。
【0032】
また、第10の発明は、前記書込みステップにおいて、立ち下がり時間が1ms〜500msの範囲で設定されたスロープ状の波形を有する直流電圧が印加される構成とする。
【0033】
これによると、矩形波形を用いて瞬時に電圧値を0Vに戻す方法に比べて、書き換えられた表示粒子が、逆方向の基板側に移動する現象を抑制でき、クロストークに起因するコントラストの低下を抑制することができる。なお、交番電圧は直流電圧のスロープ状の波形の立ち上がり後に重畳することが好ましい。
【0034】
また、第11の発明は、対向配置された少なくとも一方が透光性を有する一対の基板と、当該基板間に封入された互いに帯電極性の異なる、且つ互いに光学的反射濃度の異なる少なくとも2種類の表示粒子を含む表示粒子群とを備えた画像表示素子において、前記基板間に電界を印加して前記表示粒子群を移動させることにより画像表示を行う画像表示方法であって、極性反転を伴わない一方向極性の複数の電圧パルスを前記基板間に間欠的に印加する画像初期化ステップと、前記基板間に書込み用の電圧を印加する書込みステップとを有する構成とする。
【0035】
これによると、極性反転を伴わない一方向極性の複数の電圧パルスを間欠的に印加して画像初期化(例えば、全面白色表示)を行うことにより、双極性の電圧を印加した場合のように表示粒子が反対側基板に移動することがなく、反対側基板に残留した表示粒子や基板間で凝集した表示粒子を分離して、それぞれ上下の基板に容易に移動させることが可能となるため、表示濃度(白色濃度)を向上させ、高コントラストを実現できる。
【0036】
また、第12の発明は、前記複数の電圧パルスの印加時間は、前記書込み用の電圧を印加する時間の2〜100倍の範囲内である構成とする。
【0037】
これによると、十分な画像初期化(例えば、全面白色表示)が可能となり、表示濃度(白色濃度)をより向上させ、より高コントラストを実現できる。
【0038】
また、第13の発明は、前記画像初期化ステップにおいて、複数の電圧パルスを含むと共に、立ち上がり時間または立ち下がり時間の少なくとも一方が1ms〜500msの範囲で設定されたスロープ状の波形を有する電圧が印加される構成とする。
【0039】
これによると、最大印加電圧値から0Vに減衰するまでの立ち下がり時間または0Vから最大印加電圧値に到達するまでの立ち上がり時間を適切に規定することにより、色戻りの抑制と高コントラストを確保する効果が得られる。
【0040】
また、第14の発明は、前記画像初期化ステップにおいて、前記複数の電圧パルスの印加前に、周波数が100Hz〜1kHzの範囲内にあり、波形のピークツーピークの電圧差が50〜300Vの範囲内にある双方向極性の交番電圧を印加する構成とする。
【0041】
これによると、双方向極性の交番電圧の印加により表示粒子の凝集をより緩和できると共に、その後の極性反転を伴わない一方向極性の電圧パルスの印加により、表示粒子の移動をよりスムーズにし、高コントラストを実現できる。
【0042】
また、第15の発明は、双方向極性の交番電圧の0Vとピーク間の電圧差をVra、前記一方向極性の電圧パルスの最大印加電圧値をVrpとし、Vrp≦Vra≦2×Vrpの関係を満たす構成とする。
【0043】
これによると、反対側基板に残留した表示粒子や基板間で凝集した表示粒子を分離するクーロン力を与えることができ、画像表示(白色表示)をより鮮明にすることができる。
【0044】
また、第16の発明は、対向配置された少なくとも一方が透光性を有する一対の基板と、当該基板間に封入された互いに帯電極性の異なる、且つ互いに光学的反射濃度の異なる少なくとも2種類の表示粒子を含む表示粒子群とを備えた画像表示素子において、前記基板間に電界を印加して前記表示粒子群を移動させることにより画像表示を行う画像表示方法であって、前記基板間に書込み用の電圧を印加する書込みステップを有し、前記書込みステップにおいて、非書込み対象の画素に印加される電圧は、立ち下がり時間が1ms〜500msの範囲で設定され、あるいは、書込み対象の画素に印加される電圧は、立ち上がり時間が1ms〜500msの範囲で設定された構成とする。
【0045】
これによると、非書込み対象の画素における表示粒子の移動を抑制し、クロストークに起因するコントラストの低下を抑制することができる。あるいは、書込み対象の画素において書き換えられた表示粒子が、反対基板側に移動する現象を抑制することができ、クロストークに起因するコントラストの低下を抑制することができる。
【0046】
また、第17の発明は、前記書込み用の電圧は、一方向極性の複数の電圧パルス成分を含み、立ち下がり時または立ち下がり時において各電圧パルスの振幅が一定の割合で増加または減少する構成とする。
【0047】
これによると、一方向極性の複数の電圧パルスを段階的に下げることにより、非書込み対象の画素における表示粒子の移動を抑制でき、クロストークに起因するコントラストの低下をより抑制することができる。あるいは、一方向極性の複数の電圧パルスを段階的に上げることにより、書込み対象の画素において書き換えられた表示粒子が、反対基板側に移動する現象をより抑制でき、クロストークに起因するコントラストの低下をより抑制することができる。
【0048】
また、第18の発明は、上記第1から第17の発明のいずれかに係る画像表示方法に用いられる画像表示素子とする。
【0049】
また、第19の発明は、前記表示粒子は、少なくとも結着樹脂及び顔料を含む着色樹脂粒子を球形化処理した粒子である構成とする。
【0050】
これによると、表示粒子の粉体流動性が高まることと相俟って、上記した電圧パルスの印加により、より粒子が移動または分離しやすくなる効果が得られ、画像のコントラストを向上させることができる。
【0051】
また、第20の発明は、前記表示粒子は、少なくとも結着樹脂及び顔料を含む着色樹脂粒子と、平均粒径が80nm〜500nmの微粒子を含む構成とする。
【0052】
これによると、所定の粒径の微粒子を付着して存在させることにより、画像を繰り返し表示する経時特性においても、表示粒子の流動性の変動が抑えられるとともに、上記した画像表示前の電圧パルスの印加と相俟って、画像のコントラスト向上や、安定した画像表示動作を維持することが可能となる。
【0053】
また、第21の発明は、前記微粒子は、少なくとも炭素数6〜18のアルキル基を有するアルキルトリアルコキシシランまたはアルキルシラザンで表面処理を施された無機微粒子である構成とする。
【0054】
これによると、表示粒子の負帯電特性を高めて、高いコントラストを実現することができる。
【0055】
また、第22の発明は、前記微粒子は、少なくとも炭素数6〜18のアルキル基を有するアルキルトリアルコキシシランまたはアルキルシラザンと、アミン系カップリング剤とによって表面処理された無機微粒子である構成とする。
【0056】
これによると、表示粒子の正帯電特性を高めて、高いコントラストを実現することができる。
【0057】
また、第23の発明は、前記表示粒子は、平均粒径3nm〜14nmである第2の無機微粒子をさらに含む構成とする。
【0058】
これによると、表示粒子の粉体流動性をより効果的に高めることができる。
【0059】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0060】
<画像表示素子の構成>
図1は、本実施形態に係る画像表示装置の模式的な断面図である。図1に示すように、画像表示装置1は、所定の間隔をおいて対向配置された表面シート2と背面シート3との間の間隙4に帯電特性及び光学的反射濃度(例えば、白と黒)が互いに異なる2種類の表示粒子群5A,5B(以下、総称する場合には表示粒子群5という。)が封入された画像表示素子10と、表面シート2と背面シート3との間に電界を印加する電界付与手段としての電圧印加装置6とにより主として構成されている。
【0061】
画像表示素子10は、画像表示を行う電子ペーパ等として用いられるものであり、電圧印加装置6により、表面シート2と背面シート3との間に電界を印加して表示粒子群5を両シート2,3に対して略垂直な方向に移動させることで、文字や図形等からなる画像表示を行うと共に、当該画像表示を無電力で保持することができる。
【0062】
電圧印加装置6は、図示しない電源や電圧制御回路等を備えると共に、画像表示素子10に表示すべき画像情報をメモリ等に記憶し、その画像情報に基づき、画像表示素子10に対する電圧印加のタイミングや電圧値等を制御する。電圧印加装置6による画像表示素子10の駆動方式としては、公知の液晶表示装置の駆動と同様に、パッシブマトリクス駆動方式やアクティブマトリクス駆動方式等を適宜採用することができる。
【0063】
図2は、本実施形態に係る画像表示素子の模式的な平面図である。図1にも示したように、表面シート2と背面シート3との間には、間隙を保持するための部材として互いに直交するように配置された格子状の隔壁7が介装されており、これにより、両シート2,3間の間隙4の大きさが一定に保持されている。また、平面視における間隙4には隔壁7によって複数のセル8が画成されており、気体(空気、窒素、アルゴン等)が満たされた各セル内には2種類の表示粒子群5A,5Bが封入されている。本実施形態では、表示粒子群5Aは、負帯電性の白色の第1表示粒子(以下、白色粒子という。)から構成され、表示粒子群5Bは、正帯電性の黒色の第2表示粒子(以下、黒色粒子という。)から構成されている。ここで、各表示粒子群5A,5Bは、それぞれ1種類の表示粒子から構成されているが、色の異なる2種以上の表示粒子からそれぞれ構成してもよい。
【0064】
(表面シート)
表面シート2は、図1に示すように、透明なPET(ポリエチレンテレフタレート)から形成された表面基板11と、表面基板11の一方側(内側)に形成され、透明なITO(インジウム錫酸化物)からなる複数の帯状の列電極12と、これら列電極12を覆って保護すると共に表示粒子群5の帯電特性を安定化させるポリカーボネートから形成された誘電体膜13とが積層された構成を有している。
【0065】
表面基板11としては、例えば、上記PETの他に、ポリエーテルサルフォン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエチレンナフタレート、アクリル等からなる透明樹脂フィルムまたは透明樹脂シートのように可撓性を有するシートを好適に用いることができる。また、表面基板11として、ガラスや石英などの無機材料からなる可撓性を有しないシートを用いてもよい。
【0066】
表面基板11の厚さは、1〜10000μmであり、好ましくは5〜5000μmである。表面基板11は、厚さが1μm未満では、表面シート2の強度や背面シート3との間の間隙4の均一性を保持し難くなり、一方、厚さが10000μmを超えると、その透明性が低下すると共に、重量が増大して隔壁7のサイズを大きくする必要が生じるか、或いは隔壁7の強度が不足するという不都合が生じる。
【0067】
各列電極12は、所定の方向に共に延在し、透明かつパターン形成可能な導電性材料で形成されている。導電性材料としては、上記ITOの他に、アルミニウム、金、銀、銅などの金属類や、ITO、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズなどの金属酸化物系材料や、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンなどの導電性高分子類を用いることができる。
【0068】
各列電極12は、蒸着法、スパッタリング法または塗布法などにより導電膜として形成することができる。例えば、全面に電極材料(例えば、ITO)が塗布または蒸着された電極基板に対して、その塗布等された金属酸化物系導電膜を酸系エッチング材料でスクリーン印刷によりパターニングすることができる。
【0069】
また、各列電極12のパターン形成は、レーザエッチング法、スクリーン印刷法、マスクなどを利用した蒸着によるパターニング法、インクジェット法等を用いることができる。レーザエッチング法は、透明導電膜をレーザ加工によってパターニングする方法である。また、スクリーン印刷法は、印刷する基材の上に、開口パターンが形成されたスクリーン(例えば、200〜500メッシュ)を置き、その開口パターンを利用して、開口パターン部分だけに導電性高分子や無機透明導電粒子が分散したペースト材料(電極材料)を付着させて印刷することにより、パターニングする方法である。このようなスクリーン印刷法としては公知の技術を用いることができる(例えば、特開2004−287011号公報)。
【0070】
各列電極12の幅は30〜5000μmであり、好ましくは100〜2000μmである。各列電極12の幅が30μm未満では、断線等の可能性が高くなり、一方、5000μmを超えると、1画素のサイズが大きくなり表示が粗くなる。また、隣接する列電極間のスペースは好ましくは20〜500μmであり、より好ましくは40〜300μmである。電極間のスペースが20μm未満では製作精度のバラツキ等により隣の列電極とショートする可能性が生じ、一方、500μmを超えると画像を表示しない領域が大きくなって表示品質が低下する。
【0071】
列電極12の面抵抗は、好ましくは1000Ω/□以下であり、より好ましくは500Ω/□以下である。列電極12の面抵抗が1000Ω/□を超えると、画像表示の書換の際に波形なまりが発生し、書換速度が遅くなる。また、画像表示部の端部の電圧が低下することにより、表示品質が低下するという問題が生じる。
【0072】
誘電体膜13には、上記ポリカーボネートの他に、ポリエステル、ポリイミド、エポキシ、ポリイソシアネート、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリブタジエン、ポリメチルメタクリレート、共重合ナイロン、紫外線硬化アクリル樹脂等を用いることができる。
【0073】
(背面シート)
背面シート3は、図1に示すように、透明なPETから形成された背面基板21と、背面基板21の内側に形成され、銅等からなる複数の帯状の行電極22と、行電極22を覆って保護すると共に当該行電極22と隔壁7とを接合する接着層23とが積層された構成を有している。各行電極22は、列電極12に直交する方向に延在し、互いに所定の間隔をおいて配置されている。また、接着層23は、低温熱硬化型ポリエステル樹脂接着剤によって形成されている。
【0074】
背面基板21には、上述の表面シート2の表面基板11と同様の材料を用いることができる。また、行電極22は上記列電極12と同様に構成することができるが、行電極22の導電性材料としては、背面基板21側からは必ずしも画像を表示する必要がないことなどから、銅、アルミニウム、銀ペーストや、銀ペーストにカーボンを添加したものを用いることもできる。
【0075】
(隔壁)
隔壁7は、熱硬化性樹脂等の絶縁性材料からなる。隔壁7の形状は、用いられる表示粒子群5の特性により適宜設定することができる。隔壁7の幅は、10〜100μmであり、好ましくは20〜60μmである。また、隔壁7の高さは、20〜100μmであり、好ましくは30〜70μmである。
【0076】
隔壁7は、対向する表面シート2と背面シート3との各々にリブを形成した後にそれらを接合する方法や、片側の基板上にのみリブを形成する方法等を用いて形成することができる。本実施形態では、1つのセルに複数の画素が含まれるが、1つのセルに1つの画素が含まれる構成でもよい。ここで、各画素は、各列電極12と行電極22とが交差する領域に形成される。
【0077】
各セルの形状は、それらを画成する隔壁7の形状に応じて、例えば、四角状、ライン状、円形状または六角状とすることができ、そのようなセルは、格子状、ハニカム状または網目状に配置することができる。表示面側(ここでは、表面シート2側)から見た隔壁7の断面部分に相当するセルの枠部の面積は、表示画像の鮮明度の向上を図るために、可能な限り小さくした方が良い。
【0078】
隔壁7の形成には、例えば、フォトレジスト法、スクリーン印刷法、サンドブラスト法、アディティブ法、金型転写法を用いることができる。このうちレジストフィルムを用いるフォトレジスト法やスクリーン印刷法をより好適に用いることができる。
【0079】
フォトレジスト法では、透明基板及び対向基板のうち一方の基板上にドライフィルムを貼り付け、所定のパターンに露光し、現像し、洗浄する各工程により隔壁を形成できる。このようなフォトレジスト法としては公知の技術を用いることができる(例えば、特開2005−003892号公報)。
【0080】
また、スクリーン印刷法では、上述の電極パターンを形成した基板上に、ステンレスメッシュなどからなる製版を介して、隔壁材料となるペーストを塗布・転写する。これを加熱、紫外線照射などにより硬化させる。このような工程を所望の高さの隔壁が形成されるまで繰り返す。このようなスクリーン印刷法としては公知の技術を用いることができる(例えば、特開2004−341018号公報)。
【0081】
各セルへの表示粒子の充填は、白色粒子からなる表示粒子群5Aと、黒色粒子からなる表示粒子群5Bとを、例えば、重量比2:1〜1:1の割合で混合し、この混合粒子を所望の量だけスクリーンを通してセル内に振るい落とすこと等により実施することができる。このとき、隔壁7の頂上に載った表示粒子は、ゴムブレードで擦り切るようにして各セル内に落とす。その後、表面基板11と背面基板21とを隔壁7を介して密接させ、両基板間を加圧保持して、隔壁7と両基板11,21とをそれぞれ接着する。各セルに対する表示粒子群5の充填率は、好ましくは20〜70%であり、より好ましくは30〜70%であり、更に好ましくは40〜60%である。
【0082】
<画像表示素子の動作>
【0083】
画像表示素子10では、表面シート2に設けた列電極12と背面シート3に設けた行電極22との間に電圧印加装置6による電圧が印加され、これにより発生する電界に応じて各表示粒子群5A,5Bを表面シート2と背面シート3との間で移動させて白色又は黒色の画像を表示させることができる。
【0084】
(従来技術による画像表示方法)
まず、比較例として従来技術と同様の画像表示方法について説明する。
【0085】
図3及び図4は、それぞれ画像表示素子10における画像表示の一例(一部黒色表示)を示す模式的な平面図および側面図であり、図5は、列電極H1,H2,H3および行電極L1,L2,L3に印加する電圧の一例を示す説明図であり、図6は、図5中の所定の書込み対象または非書込み対象となる画素に相当する部位(書込み部H1−L1、非書込み部H1−L2、及び非書込み部H1−L3)における行電極を基準とした列電極の電圧値を示す説明図である。
【0086】
図3及び図4では、説明の便宜上、隔壁や基板、電源を省略し、それぞれ3本の列電極H1,H2,H3および行電極L1,L2,L3のみを示している。また、ここでは、画素に相当する部位H1−L1、H2−L2及びH3−L3のそれぞれを黒色表示に書き換えた場合(他は白色表示)を示しており、複数の白色○印および黒色(斜線が付された)○印は第1および第2表示粒子を表している。また、図5および図6では、縦軸には印加する電圧値、横軸は経過時間を示している(以下、他の図についても同様。)。
【0087】
比較例の画像表示方法では、まず、電圧印加部6の直流電圧発生回路(図示せず)から、黒色への書き換えを行う行電極に正の電圧を印加し、書き換えを行わない他の行電極には0Vを印加する。さらに、選択した行電極に直交する各列電極に対し、黒色への書き換えを行う場合は負の電圧を印加し、書き換えを行わない場合は0Vを印加する。これらの動作を全ての行電極および列電極に対して順次行うことにより画像が表示される。それぞれの電圧印加時間を表示粒子の応答速度より長い時間(例えば、10ms)に設定することにより、所定のコントラストを得ることができる。
【0088】
ここでは、図5に示すように、列電極H1に書込み用の直流電圧(ここでは、−50V)を一定時間(ここでは、30ms)印加し、これと同期して行電極L1に直流電圧(ここでは、+50V)を一定時間(ここでは、30ms)印加する。これにより、正帯電性の黒色粒子が列電極H1側に移動して表面シートの内面に付着する一方、負帯電性の白色粒子がこれとは逆の行電極L1側に移動して背面シートの内面に付着し、画素に相当する部位H1−L1が黒色表示に切り替えられる(つまり、黒色画像が表面シートを通して表示される)。
【0089】
列電極H1の場合と同様に、列電極H2,H3についても順次直流電圧をそれぞれ一定時間印加し、これと同期して行電極L2,L3に直流電圧をそれぞれ一定時間印加する。これにより画素に相当する部位H2−L2及びH3−L3が黒色表示に切り替えられる。
【0090】
このようにして一旦表示された画像は、電極間への電圧の印加を停止しても、表示粒子と誘電体膜13,23との間の静電付着力が維持されるため、表示粒子は基板の内面に付着したまま保持され、白黒画像が表示された状態を長時間に渡って保持することができる。なお、白色と黒色との表示切替を逆にする場合は、それぞれの電界の向きを逆転させればよい。また、表示粒子の駆動電圧値が異なる場合には、駆動電圧値に応じて電界の大きさを調整することができる。
【0091】
ここで、図6に示すように、書込み部H1−L1部には、行電極を基準として−100Vの直流電圧が印加され、画素が白色から黒色に書き換えられた後に印加された直流電圧を0Vに戻すと、表示基板側に電界力で押し付けられていた黒色粒子が、電界から開放されて背面基板側に移動する現象が生じる。逆に、背面基板側に付着した白色粒子は、印加された直流電圧を0Vに戻すと表面基板側に移動し、黒色画像に白色粒子が混入する色戻りが生じ、コントラストの低下が誘発され得る。
【0092】
また、非書込み部H1−L2,H1−L3には、行電極を基準として−50Vの直流電圧が印加され、表面基板側に白色画像を保持すべきところに、黒色粒子を移動させる電圧が印加された状態となっている。そのため、非書込み部H1−L2,H1−L3では、クロストーク(すなわち、他の画素に対する電圧印加の影響を受けて目的とは異なる画像が表示される現象)が発生しやすい。つまり、非書込み部H1−L2,H1−L3においても、所定の画像コントラストが得られる電圧の1/2の大きさの電圧が印加されるため、この印加電圧の電界力により一部の表示粒子が移動してしまい、白色画像に黒色粒子が混入してクロストークが生じ、コントラストの低下が誘発され得る。
【0093】
次に、本発明による画像表示方法について説明する。まず始めに、画像の書込み前に全面白色表示の状態とする画像初期化ステップについて説明する。
【0094】
(全面白色表示)
図7、図8及び図9は、それぞれ画像表示素子10における画像表示の一例(全面白色表示)を示す模式的な平面図、側面図及び斜視図であり、図10は、図7〜図9中の列電極H1,H2,H3および行電極L1,L2,L3に対する印加する電圧の一例(第1の全面白色表示方法)を示す説明図である。
【0095】
第1の全面白色表示方法では、図10に示すように、まず、列電極H1には複数の電圧パルスVhr1を間欠的に印加する。電圧パルスVhr1は、極性反転を伴わない一方向極性(ここでは、0Vをベースにした+250Vの正電圧)の電圧パルスである。このような電圧パルスの印加により、負帯電性の白色粒子を表示基板側に移動させやすくなり、より白色度を上昇させる効果が得られる。この電圧パルスVhr1の印加の後に、列電極H1に対して電圧パルスVhr1と同じ大きさ(+250V)の直流電圧Vhd1を印加し、全ての画素を白色表示に書き換える。
【0096】
電圧パルスVhr1については、1パルスあたりの印加時間は5ms〜500ms、印加間隔は5ms〜50msec、印加回数は4回〜20回が好ましい。より好ましくは、1パルスの印加時間は10ms〜400ms、印加間隔は5ms〜20msec、印加回数は8回〜15回である。さらに好ましくは、1パルスの印加時間は15ms〜300ms、印加間隔は5ms〜10msec、印加回数は10回〜15回である。
【0097】
印加時間Thr1が短すぎると、コントラスト向上の効果を得難くなり、それらが長すぎると表示に要する時間が長くなってユーザに待ちのイライラ感を与えてしまう。同様に、電圧パルスVhr1の印加間隔が短すぎるたり、或いは印加回数が少なすぎたりすると、コントラスト向上の効果を得難くなり、それらが長すぎると表示に要する時間が長くなってユーザに待ちのイライラ感を与えてしまう。
【0098】
なお、複数の電圧パルスVhr1印加時間は、後述する書込みステップにおける書込み用の電圧を印加する時間の2〜100倍の範囲内であることが好ましい。これにより、十分な画像初期化(例えば、全面白色表示)が可能となり、表示濃度(白色濃度)をより向上させ、より高コントラストを実現できる。2倍よりも短いとその効果が得にくく、100倍よりも長いと、ユーザに対して待ちのノイライラ感を与える。
【0099】
また、上記のような全面白色表示の直後に、所定の画像を書き込むために画素に対して所定の電圧(例えば、図21のVkr1参照)を印加する場合、電圧印加時間は5ms〜50msが好ましい。より好ましくは、電圧印加時間は10ms〜30msであり、さらに好ましくは、15ms〜25msである。
【0100】
ここで、一方向極性の電圧パルスVhr1の最大印加電圧値をVrp、その後に所定の画像を書き込むために画素に対して印加する電圧値をVdとすると、Vd≦Vrp≦2×Vdの関係を満たすことが好ましい。これにより、反対側基板に残留した白粒子や、一対の基板間に残った白色粒子および黒色粒子に対し、基板から或いは粒子同士を分離するためのクーロン力を与えることができると共に、表示基板側へ移動すべき白色粒子により強いクーロン力を作用させてより鮮明な白色表示を実現できる。より好ましくは、1.3×Vd≦Vrp≦2×Vdでありさらに好ましくは、1.5×Vd≦Vrp≦2×Vdである。
【0101】
上記列電極H1の場合と同様に、列電極H2および列電極H3には、それぞれ電圧パルスVhr2,Vhr3を印加した後、それぞれ直流電圧Vhd2,Vhd3を印加して、表示画素を全面白色表示に書き換えることができる。行電極L1、L2及びL3には電圧は印加せず、0Vのままである。なお、以下では、列電極H2,H3については、特に言及が必要な事項がある場合を除いて、列電極H1の場合と同様として詳細な説明を省略する。
【0102】
図11は、図7〜図9中の列電極H1,H2,H3および行電極L1,L2,L3に対する印加する電圧の一例(第2の全面白色表示方法)を示す説明図である。
【0103】
第2の全面白色表示方法では、図11に示すように、列電極H1には複数の電圧パルスVhr1を間欠的に印加し、続いて、電圧パルスVhr1と同じ値の電圧Vhd1を印加するが、この電圧Vhd1に所定の立ち下がり時間が確保される点において図10の場合とは異なる。つまり、電圧Vhd1は、その立ち下がり時において、一定の傾き(すなわち、所定の電圧値(ここでは、+250V)から0Vに到達するまでの一定の遅延時間)を持たせたスロープ状の波形(電圧Vhs1)を有している。
【0104】
これにより、矩形波形を用いて瞬時に所定の電圧値から0Vに戻す(すなわち、立ち下がり時間を略ゼロとする)方法に比べて、移動後の表示粒子が逆方向の基板側に再び移動する色戻りの現象を抑制でき、鮮明に白色表示された状態を維持できる効果が得られる。
【0105】
ここでは、立ち下がり時間として、最大印加電圧値(ここでは、+250V)から0Vに到達するまでの時間を1msec〜500msecとする。立ち下がり時間は、好ましくは、3msec〜300msecであり、より好ましくは10msec〜100msecである。このように、立ち下がり時間を適切に確保することにより、色戻りの抑制と高コントラストを実現することができる。なお、立ち下がり時間が長すぎる場合(上述した上限値を超えた場合)でも画像表示には影響を及ぼさないが、ユーザに待ちのイライラ感を与えてしまう。
【0106】
図12は、図7〜図9中の列電極H1,H2,H3および行電極L1,L2,L3に対する印加する電圧の一例(第3の全面白色表示方法)を示す説明図である。
【0107】
第3の全面白色表示方法では、図12に示すように、列電極H1には複数の電圧パルスVhr1を間欠的に印加するが、続いて、印加される電圧Vhd1が電圧パルスVhr1と同様に複数の電圧パルスから構成される点において図11の場合とは異なる。電圧Vhd1の立ち下がり時(電圧Vhs1)では、各電圧パルスの振幅値が一定の割合で減少する。これによると、移動後の表示粒子が逆方向の基板側に再び移動する色戻りの現象を抑制できると共に、複数の電圧パルスからなる電圧Vhd1(電圧Vhs1)によって表示粒子が運動状態となるため、白色粒子と黒色粒子との分離が促進され、より鮮明な白色表示を実現できる。
【0108】
図13は、図7〜図9中の列電極H1,H2,H3および行電極L1,L2,L3に対する印加する電圧の一例(第4の全面白色表示方法)を示す説明図である。
【0109】
第4の全面白色表示方法では、図13に示すように、列電極H1には複数の電圧パルスVhr1を間欠的に印加し、続いて、電圧パルスVhr1と同じ値の電圧Vhd1を印加するが、この電圧パルスVhr1に所定の立ち上がり時間が確保される点において図11の場合とは異なる。つまり、電圧パルスVhr1は、その立ち上がり時において、一定の傾き(すなわち、0Vから所定の電圧値(ここでは、+250V)に到達するまでの一定の遅延時間)を持たせたスロープ状の波形(電圧Vhu1)を有している。電圧Vhu1は、極性反転を伴わない一方向極性の複数の電圧パルスからなり、各電圧パルスの振幅値が一定の割合で増大する。
【0110】
これにより、矩形波形を用いて瞬時に所定の電圧値を印加する(すなわち、立ち上がり時間を略ゼロとする)方法に比べて、表示粒子に作用する電界からの力を緩和する効果が生じ、表示粒子に逆バイアスがかかったとしても、急な表示粒子の移動が生じ難くなる。
【0111】
図14は、図7〜図9中の列電極H1,H2,H3および行電極L1,L2,L3に対する印加する電圧の一例(第5の全面白色表示方法)を示す説明図である。
【0112】
第5の全面白色表示方法では、図14に示すように、列電極H1には複数の電圧パルスVhr1を間欠的に印加し、続いて、所定の立ち下がり時間が確保された電圧パルスVhd1を印加するが、この電圧パルスVhr1に所定の立ち上がり時間が確保される点において図12の場合とは異なる。つまり、電圧パルスVhr1は、図13の場合と同様に、その立ち上がり時において、一定の傾きに到達するまでの一定の遅延時間)を持たせたスロープ状の波形(電圧Vhu1)を有している。
【0113】
図15は、図7〜図9中の列電極H1,H2,H3および行電極L1,L2,L3に対する印加する電圧の一例(第6の全面白色表示方法)を示す説明図である。
【0114】
第6の全面白色表示方法では、図15に示すように、列電極H1には複数の電圧パルスVhr1を間欠的に印加し、続いて、所定の立ち下がり時間が確保された直流電圧Vhd1を印加するが、電圧パルスVhr1の前に矩形波の双方向極性の交番電圧Vha1が印加される点において、図11の場合とは異なる。交番電圧Vha1は、波形のピークツーピークの電圧差が500V(−250V〜+250V)である。
【0115】
この交番電圧Vha1の印加により、白色粒子と黒色粒子の凝集を緩和し、続く極性反転を伴わない一方向極性の電圧パルスVhr1の印加により、白色粒子を円滑に移動させることができ、高コントラストを実現できる。なお、電圧Vhd1(電圧Vhr1)を図14の場合と同様に複数の電圧パルスで構成してもよい。
【0116】
双方向極性の交番電圧Vha1は、周波数が100Hz〜1kHzの範囲内にあり、波形のピークツーピークの電圧差が50〜600Vの範囲内にあることが好ましい。この双方向極性の交番電圧の印加により、表示粒子の凝集を緩和できると共に、その後の極性反転を伴わない一方向極性の電圧パルスの印加により、白色粒子の移動をよりスムーズにし、高コントラストを実現できる。
【0117】
双方向極性の交番電圧の0Vとピーク間の電圧差をVra、前記一方向極性の電圧パルスの最大印加電圧値をVrpとすると、VraはVrpの1倍以上、2倍以下とすることが好ましい。これにより、反対側基板に残留した白色粒子や基板間で凝集した表示粒子を分離するクーロン力を与えることができ、白色表示をより鮮明にすることができる。
【0118】
(黒色表示)
次に、再び図3及び図4を参照して、本発明による画像表示方法に関し、上記のような全面白色表示の状態から少なくとも一部の画素を黒色表示に書き換える書込みステップについて説明する。なお、書込みステップは、以下で示す態様に限定されず、例えば全面黒色表示の状態から少なくとも一部の画素を白色表示に書き換えてもよく、或いは、一部の画素を黒色表示に書き換えた後に、更に、他の画素を黒色表示に書き換えてもよい。
【0119】
図16は、図3及び図4中の列電極H1,H2,H3および行電極L1,L2,L3に印加する電圧の一例(第1の黒色表示方法)を示す説明図であり、図17は、図16中の所定の画素に相当する部位(書込み部H1−L1、非書込み部H1−L2、及び非書込み部H1−L3)における行電極を基準とした列電極の電圧値を示す説明図である。
【0120】
第1の黒色表示方法では、図16に示すように、列電極H1に書込み用の直流電圧(ここでは、−100V)を一定時間(ここでは、30ms)印加し、それと同期して行電極L1に直流電圧(ここでは、+100V)を一定時間(ここでは、30ms)印加する。これにより、画素H1−L1部が黒色表示に切り替えられる。このとき、非書込み部H1−L2,H1−L3では、白色粒子に対して逆バイアスとなる直流電圧(ここでは、−100V)の電圧が印加された状態にあり、先に説明したようにクロストークが発生しやすい状態となっている。
【0121】
そこで、図16または図17に示すように、非書込み部H1−L2,H1−L3に印加される1パルスの印加電圧の波形において、所定の立ち上がり時間を確保している。つまり、印加電圧Vkr1は、その立ち上がり時において、一定の傾き(すなわち、0Vから所定の電圧値(ここでは、−100V)に到達するまでの一定の遅延時間)を持たせたスロープ状の波形(電圧Vku1)を有している。これにより、矩形波形を用いて瞬時に所定の電圧値を印加する(すなわち、立ち上がり時間を略ゼロとする)方法に比べて、表示粒子に作用する電界からの力を緩和する効果が生じ、表示粒子に逆バイアスがかかったとしても、急な表示粒子の移動が生じ難くなる。その結果、クロストークによる色戻りが生じ難くなり、画像のコントラストの低下を抑制する効果が得られる。
【0122】
また、1パルスの印加電圧Vkr1の波形において、所定の立ち下がり時間を確保することも有効である。つまり、印加電圧は、その立ち下がり時において、一定の傾き(すなわち、所定の電圧値(ここでは、−100V)から0Vに到達するまでの一定の遅延時間)を持たせたスロープ状の波形(電圧Vks1)を有している。これにより、上述の立ち上がり時の場合と同様に、瞬時に電圧値を0Vに戻す(すなわち、立ち下がり時間を略ゼロとする)方法に比べて、急な表示粒子の移動が生じ難くなり、画像のコントラストの低下を抑制する効果が得られる。
【0123】
図16に示す1パルスの印加電圧において、立ち上がり時間Tp(ms)および立ち下がり時間Td(ms)は、それぞれ1ms〜500msであることが好ましい。より好ましくは3ms〜300msであり、さらに好ましくは10ms〜100msである。立ち上がり時間Tp(ms)または立ち下がり時間Td(ms)は、1msよりも短くなると表示粒子に作用する電界からの力を緩和する効果を得難くなる。また、500msよりも長くなると、ユーザに待ちのイライラ感を与えてしまう。
【0124】
図18は、図3及び図4中の列電極H1,H2,H3および行電極L1,L2,L3に印加する電圧の一例(第2の黒色表示方法)を示す説明図である。
【0125】
第2の黒色表示方法では、印加電圧の立ち上がり時および立ち下がり時において、図16に示したスロープ状の波形(電圧Vku1,Vks1)の代わりに、極性反転を伴わない一方向極性の複数の電圧パルスを間欠的に印加する。電圧Vku1または電圧Vks1における複数の電圧パルスは、各電圧パルスの振幅値が一定の割合で増大または減少する。
【0126】
この方法によると、電圧Vku1、Vks1における複数の電圧パルスによって表示粒子が運動状態となるため、白色粒子と黒色粒子との分離が促進され、クロストークによるコントラストの低下を抑制する効果が得られる。
【0127】
図19は、図3及び図4中の列電極H1,H2,H3および行電極L1,L2,L3に印加する電圧の一例(第3の黒色表示方法)を示す説明図であり、図20は、図19中の所定の画素に相当する部位(書込み部H1−L1、非書込み部H1−L2、及び非書込み部H1−L3)における行電極を基準とした列電極の電圧値を示す説明図である。
【0128】
第3の黒色表示方法では、図19に示すように、列電極H1には一方向極性の複数の電圧パルスVhr1を間欠的に印加し、続いて、電圧パルスVhr1と同じ値の直流電圧Vhd1を印加することにより、図11の場合と同様に全面白色表示を行う。その後、黒色表示を行うために、図16の場合と同様に、所定の立ち上がり時間および立ち下がり時間を確保した逆極性の電圧Vkr1を印加する。電圧Vkr1は、立ち上がり後、所定の書き換え電圧(ここでは、−100V)で所定時間印加され、その後0Vまで立ち下がる。電圧Vkr1の立ち上がり時のスロープ状の波形の傾きは、電圧Vhd1(電圧Vsh1)の立ち下がり時のスロープ状の波形の傾きと同一である。
【0129】
なお、列電極L1には、直流電圧Vkr1と同じタイミングで同様の波形を有する逆極性の電圧が印加される。図20に示すように、書込み部H1−L1における行電極を基準とした列電極の最大電圧値は−200Vとなる。
【0130】
この方法によると、全面白色表示で印加する電圧Vhd1に所定の立ち下がり時間を確保すると共に、その後、所定の立ち上がり時間を確保した書込み用の電圧Vkr1を印加する構成であるため、基板間の白色粒子と黒色粒子の移動を緩やかに行わせることができ、全面白色表示時に表面基板側に付着した白色粒子が背面基板側へ移動する色戻りを防止することができる。
【0131】
また、書き換え画素においては、図20に示すように、所定の立ち下がり時間を確保したスロープ状の波形を持つ電圧パルスが印加されるため、黒色粒子が、逆方向の背面基板側に移動する現象を抑制でき、クロストークに起因するコントラストの低下を抑制することができる。
【0132】
また、非書き換え画素においては、図20に示すように、所定の立ち上がり時間を確保したスロープ状の波形を持つ電圧パルスが印加されるため、表示粒子の移動を抑制でき、クロストークに起因するコントラストの低下を抑制することができる。
【0133】
ここで、書き換え電圧Vkr1において、0Vから最大印加電圧値に到達するまでの立ち上がり時間と、最大印加電圧値から0Vに減衰するまでの立ち下がり時間は、1ms〜500msである。それらは、好ましくは3ms〜300msであり、より好ましくは10ms〜100msである。
【0134】
図21および図22は、図19に示した列電極H1に対する印加電圧の変形例を示す図である。図21に示すように、電圧パルスVhr1の前に図15の場合と同様の矩形波の双方向極性の交番電圧Vha1を印加してもよい。また、図21では、交番電圧Vha1の0Vとピーク間の電圧差は電圧パルスVhr1の最大印加電圧値(250V)と同一としたが、これに限定されるものではない。例えば、図22に示すように、交番電圧Vha1の0Vとピーク間の電圧差を電圧パルスVhr1の最大印加電圧値の1.5倍としてもよい。
【0135】
図23は、図3及び図4中の列電極H1,H2,H3および行電極L1,L2,L3に印加する電圧の一例(第4の黒色表示方法)を示す説明図であり、図24は、図23中の所定の画素に相当する部位(書込み部H1−L1、非書込み部H1−L2、及び非書込み部H1−L3)における行電極を基準とした列電極の電圧値を示す説明図である。
【0136】
第4の黒色表示方法では、図23に示すように、列電極H1には交番電圧成分Vavが重畳された直流電圧Vdv(ここでは、−100V)が書き換え電圧として印加される。また、列電極L1には、直流電圧Vdvと同期して+100Vの直流電圧が印加される。図24に示すように、書込み部H1−L1における行電極を基準とした列電極の直流電圧の最大値は−200Vとなる。
【0137】
交番電圧成分Vavは、直流電圧Vdvの印加開始から所定の期間重畳され、その最終パルスPeは、黒色粒子を表面基板側から引き戻すように(すなわち、直流電圧Vdvの絶対値を減ずる方向)に設定されている。交番電圧成分Vavの周波数は10Hz〜10kHzの範囲であることが好ましい。周波数は、より好ましくは0.1kHz〜8kHzであり、さらに好ましくは1kHz〜5kHzである。
【0138】
ここで、最大直流電圧値Vd(V)と交番電圧成分Vavのピークツーピークの電圧差Vp(V)との関係は、次式を満たすことが好ましい。つまり、重畳する交番電圧成分Vavの振幅値(ピークツーピークの電圧差Vp(V)の1/2)が書き換え用の直流電圧Vdvの値の1/2以上で、且つ直流電圧Vdvの値の1.5倍よりも小さいことが好ましい。
【0139】
Vd≦Vp≦3×Vd
(0.5×Vd≦0.5×Vp≦1.5×Vd)
【0140】
これにより、交番電圧成分Vavに基づく交番電界により表示粒子が往復運動を行う際に、正または負に帯電した表示粒子が孤立した状態を取りやすくなり、それぞれの表示粒子が基板間に形成される直流電界に沿って移動して各基板に付着することを促進するとともに、非書込み画素におけるクロストークを抑制できる。ここで、0.5×Vp<0.5×Vdとなると、交番電界による表示粒子の往復運動が弱まり、コントラストが向上し難くなる。0.5×Vp>1.5×Vdとなると、クロストークが起きやすくなり、コントラストの低下につながる。
【0141】
また、直流電圧Vdvが印加される全期間Td(msec)と、交番電圧成分Vavの重畳期間Tp(msec)との関係は、次式を満たすことが好ましい。
【0142】
0.2×Td≦Tp≦Td
【0143】
ここで、Tp<0.2×Tdとなると、交番電界による粒子の往復運動が弱まり、コントラストが向上し難くなる。
【0144】
図25および図26は、図23に示した列電極H1に対する印加電圧の変形例を示す図である。直流電圧Vdvに重畳される交番電圧成分Vavは図23に示したような正弦波に限定されず、例えば、図25に示すように、矩形波とすることができる。また、図26に示すように、交番電圧成分の重畳期間Tp(msec)を直流電圧Vdvの全印加期間Td(msec)と等しくしてもよい。
【0145】
図27は、図3及び図4中の列電極H1,H2,H3および行電極L1,L2,L3に印加する電圧の一例(第5の黒色表示方法)を示す説明図であり、図28は、図27中の所定の画素に相当する部位(書込み部H1−L1、非書込み部H1−L2、及び非書込み部H1−L3)における行電極を基準とした列電極の電圧値を示す説明図である。
【0146】
第5の黒色表示方法では、図27に示すように、列電極H1には交番電圧成分Vavが重畳された直流電圧Vdv(ここでは、−100V)が書き換え電圧として印加されるが、直流電圧Vdvに所定の立ち下がり時間Ts(msec)が確保されている点において図23の場合とは異なる。つまり、直流電圧Vdvは、その立ち下がり時において、一定の傾き(すなわち、所定の電圧値(ここでは、−100V)から0Vに到達するまでの一定の遅延時間)を持たせたスロープ状の波形(電圧Vsv)を有している。
【0147】
これにより、瞬時に電圧値を0Vに戻す(すなわち、立ち下がり時間を略ゼロとする)方法に比べて、書き換えられた表示粒子が逆方向の基板側に移動するいわゆる色戻り現象を抑制することができ、高コントラストを実現することができる。
【0148】
立ち下がり時間Tsは1ms〜500msであることが好ましい。より好ましくは3ms〜300ms、さらに好ましくは10ms〜100msである。なお、立ち下がり時間が長すぎる場合(上述した上限値を超えた場合)でも画像表示には影響を及ぼさないが、ユーザに待ちのイライラ感を与えてしまう。
【0149】
なお、列電極L1には、直流電圧Vdvと同じタイミングで同様に立ち下がり時間Tsが確保された+100Vの直流電圧が印加される。図28に示すように、書込み部H1−L1における行電極を基準とした列電極の最大電圧値は、−200Vとなる。
【0150】
図29および図30は、図27に示した列電極H1に対する印加電圧の変形例を示す図である。直流電圧Vdvに重畳される交番電圧成分Vavは図27に示したような正弦波に限定されず、例えば、図29に示すように、矩形波とすることができる。また、図30に示すように、交番電圧成分の重畳期間Tp(msec)を立ち下がり時間Ts(msec)を除いた直流電圧Vdvの全印加期間Td(msec)と等しくしてもよい。
【0151】
図31は、図3及び図4中の列電極H1,H2,H3および行電極L1,L2,L3に印加する電圧の一例(第6の黒色表示方法)を示す説明図であり、図32は、図31中の所定の画素に相当する部位(書込み部H1−L1、非書込み部H1−L2、及び非書込み部H1−L3)における行電極を基準とした列電極の電圧値を示す説明図である。
【0152】
第6の黒色表示方法では、図31に示すように、列電極H1には交番電圧成分が重畳された直流電圧(ここでは、−100V)が書き換え電圧として印加されるが、交番電圧成分の振幅が変化する点において図23(図26)の場合とは異なる。つまり、交番電圧成分の振幅は、印加開始から時間とともに一定の割合にて徐々に増大し(電圧Vau参照)、最大振幅値(Vp(V))に到達した後は一定の割合にて徐々に減少する(電圧Vad参照)。つまり、交番電圧成分の振幅の推移を示す波形(破線参照)は三角波的に変化する。
【0153】
また、列電極L1には、直流電圧と同じタイミングで+100Vの直流電圧が印加される。図32に示すように、書込み部H1−L1における行電極を基準とした列電極に印加される直流電圧の最大値は−200Vとなる。
【0154】
ここで、最大直流電圧値Vd(V)と交番電圧成分のピークツーピークの最大電圧差Vp(V)との関係は、図23の場合と同様に次式を満たすことが好ましい。
【0155】
Vd≦Vp≦3×Vd
(0.5×Vd≦0.5×Vp≦1.5×Vd)
【0156】
また、交番電圧成分の周波数は、0.1kHz〜10kHzであることが好ましい。より好ましくは0.5kHz〜5kHzであり、さらに好ましくは0.5kHz〜1kHzである。これにより、逆側の基板に残留した白色粒子や、基板間に位置する白色および黒色粒子の往復運動が電界の交番に対応して繰り返して行われ、最終的に直流電圧パターンに応じて所定の表示粒子を選択的に表示基板面に移行・付着させることができる。
【0157】
図33および図34は、図31に示した列電極H1に対する印加電圧の変形例を示す図である。直流電圧に重畳される交番電圧成分は図31に示したような正弦波に限定されず、例えば、図33に示すように、矩形波とすることができる。この場合にも交番電圧成分全体の振幅の推移を示す波形は三角波的に変化する。或いは、図34に示すように、振幅の推移を示す波形を正弦波的に変化させてもよい。
【0158】
図35は、図3及び図4中の列電極H1,H2,H3および行電極L1,L2,L3に印加する電圧の一例(第7の黒色表示方法)を示す説明図であり、図36は、図35中の所定の画素に相当する部位(書込み部H1−L1、非書込み部H1−L2、及び非書込み部H1−L3)における行電極を基準とした列電極の電圧値を示す説明図である。
【0159】
第7の黒色表示方法では、図35に示すように、列電極H1には振幅の推移を示す波形を三角波的に変化させた交番電圧成分(電圧Vau,Vad)が重畳された直流電圧(ここでは、−100V)が書き換え電圧として印加されるが、直流電圧に所定の立ち上がり時間Tu(msec)および立ち下がり時間Ts(msec)が確保されている点において図31の場合とは異なる。つまり、直流電圧は、交番電圧成分が重畳されない立ち上がり時および立ち下がり時において、一定の傾きを持たせたスロープ状の波形(電圧Vdu、Vds)をそれぞれ有している。
【0160】
なお、列電極L1には、直流電圧と同じタイミングで同様に立ち上がり時間Tuおよび立ち下がり時間Tsが確保された+100Vの直流電圧が印加される。図36に示すように、書込み部H1−L1における行電極を基準とした列電極に印加される直流電圧の最大値は−200Vとなる。
【0161】
このように、所定の立ち下がり時間Ts(ms)を確保することにより、立ち下がり時間を略ゼロとする方法に比べて、書き換えられた表示粒子が、逆方向の基板側に移動するいわゆる色戻り現象を抑制でき、高コントラストを実現できる。また、立ち下がり時間Ts(ms)は、1ms〜500msであることが好ましい。より好ましくは3ms〜300msであり、さらに好ましくは10ms〜100msである。
【0162】
図37および図38は、図35に示した列電極H1に対する印加電圧の変形例を示す図である。直流電圧に重畳される交番電圧成分は図35に示したような正弦波に限定されず、例えば、図37に示すように、矩形波とすることができる。この場合にも振幅の推移を示す波形は三角波的に変化する。或いは、図38に示すように、振幅の推移を示す波形を正弦波的に変化させてもよい。
【0163】
図39は、図3及び図4中の列電極H1,H2,H3および行電極L1,L2,L3に印加する電圧の一例(第8の黒色表示方法)を示す説明図であり、図40は、図39中の所定の画素に相当する部位(書込み部H1−L1、非書込み部H1−L2、及び非書込み部H1−L3)における行電極を基準とした列電極の電圧値を示す説明図である。
【0164】
第8の黒色表示方法では、図39に示すように、列電極H1には交番電圧成分Vavが重畳された直流電圧(ここでは、−100V)が書き換え電圧として印加されるが、交番電圧成分の波形において図23(図26)の場合とは異なる。つまり、交番電圧成分では、印加開始側の電圧Va(印加期間Ta)における各パルスの波形と、印加終了側の電圧Vb(印加期間Tb)における各パルスの波形とが非対称となっている。つまり、電圧Vaでは、各パルスのピーク値に向かう電圧立ち上がり速度を緩慢にする一方、そのピーク値からの電圧立ち下がり速度を急峻にしており、各パルスのピーク値までの立ち上がり速度(絶対値)が当該ピーク値からの立ち下がり速度(絶対値)よりも小さく設定されている。また、電圧Vbでは、電圧Vaにおける電圧立ち上がり速度と電圧立ち下がり速度との関係が逆転しており、各パルスのピーク値までの立ち上がり速度が当該ピーク値からの立ち下がり速度よりも大きく設定されている。
【0165】
なお、列電極L1には、直流電圧と同じタイミングで+100Vの直流電圧が印加される。図40に示すように、書込み部H1−L1における行電極を基準とした列電極に印加される直流電圧の最大値は−200Vとなる。
【0166】
ここで、最大直流電圧値Vd(V)と交番電圧成分Vavのピークツーピークの最大電圧差Vp(V)との関係は、図23の場合と同様に次式を満たすことが好ましい。
【0167】
Vd≦Vp≦3×Vd
(0.5×Vd≦0.5×Vp≦1.5×Vd)
【0168】
また、図31の場合と同様に、交番電圧成分Vavの周波数は0.1kHz〜10kHzであることが好ましい。周波数は、より好ましくは0.5kHz〜5kHz、さらに好ましくは0.5kHz〜1kHzである。
【0169】
図41および図42は、図39に示した列電極H1に対する印加電圧の変形例を示す図である。交番電圧成分における印加開始側の電圧Vaと、印加終了側の電圧Vbとの印加タイミング(印加期間Ta,Tbの比率)は、図39に示したものに限定されず、例えば、図41に示すように、電圧Vaの波形から電圧Vbの波形に移行するタイミングを遅らせる(Ta>Tbとする)ことができる。これにより、クロストークが若干生じたとしても、表示させる色(例えば黒色)をより鮮明に表示させることができる。
【0170】
さらに、交番電圧成分Vavのピーク部分の波形は、図39に示した先端が尖った鋸状に限らず、図42に示すように、0.1msec〜5msec間の範囲で平坦部とした矩形形状としてもよい。このように、画像表示方向の電圧(ここでは、黒色粒子用の負電圧)を一定時間保持することにより、コントラストを向上させることが可能となる。
【0171】
図43は、図3及び図4中の列電極H1,H2,H3および行電極L1,L2,L3に印加する電圧の一例(第9の黒色表示方法)を示す説明図であり、図44は、図43中の所定の画素に相当する部位(書込み部H1−L1、非書込み部H1−L2、及び非書込み部H1−L3)における行電極を基準とした列電極の電圧値を示す説明図である。
【0172】
第9の黒色表示方法では、図43に示すように、列電極H1には所定の波形を有する交番電圧成分が重畳された直流電圧(ここでは、−100V)が書き換え電圧として印加されるが、直流電圧において所定の立ち上がり時間Tuおよび立ち下がり時間Tsが確保される点において図39の場合とは異なる。つまり、直流電圧においては、一定の傾きを持たせたスロープ状の波形(電圧Vu、Vs)を有する。
【0173】
このように、所定の立ち下がり時間Tsを確保することにより、立ち下がり時間を略ゼロとする方法に比べて、書き換えられた表示粒子が、逆方向の基板側に移動するいわゆる色戻り現象を抑制でき、高コントラストを実現できる。また、立ち下がり時間Ts(ms)は、1ms〜500msであることが好ましい。より好ましくは3ms〜300msであり、さらに好ましくは10ms〜100msである。
【0174】
なお、列電極L1には、直流電圧と同じタイミングで同様の立ち上がり時間Tuおよび立ち下がり時間Tsが設定されたスロープ状の波形を有する+100Vの直流電圧が印加される。図44に示すように、書込み部H1−L1における行電極を基準とした列電極に印加される直流電圧の最大値は−200Vとなる。
【0175】
図45および図46は、図43に示した列電極H1に対する印加電圧の変形例を示す図である。交番電圧成分における印加開始側の電圧Vaと、印加終了側の電圧Vbとの印加タイミング(印加期間Ta,Tbの比率)は、図43に示したものに限定されず、例えば、電圧Vaから電圧Vbに移行するタイミングを遅らせる(Ta>Tbとする)ことができる。これにより、クロストークが若干生じたとしても、表示させる色(例えば黒色)をより鮮明に表示させることができる。さらに、交番電圧成分Vavのピーク部分の波形は、図43に示した先端が尖った鋸状に限らず、図46に示すように、0.1msec〜5msec間の範囲で平坦部とした矩形形状としてもよい。
【0176】
図47は、図3及び図4中の列電極H1,H2,H3および行電極L1,L2,L3に印加する電圧の一例(第10の黒色表示方法)を示す説明図であり、図48は、図47中の所定の画素に相当する部位(書込み部H1−L1、非書込み部H1−L2、及び非書込み部H1−L3)における行電極を基準とした列電極の電圧値を示す説明図である。
【0177】
第10の黒色表示方法では、図47に示すように、列電極H1には所定の波形を有する交番電圧成分が重畳された直流電圧(ここでは、−100V)が書き換え電圧として印加されるが、印加終了側において、直流電圧成分を、黒色粒子の表示基板側への移動を促進する側(負電圧:−100V)から黒色粒子の表示基板側への移動を阻害させる側(正電圧:+50V)にシフトさせる点において図26の場合とは異なる。交番電圧成分(電圧Vau,Vad)は、印加開始側(印加期間Tu)および印加終了側(印加期間Td)において、直流電圧に対してそれぞれ重畳されている。
【0178】
なお、列電極L1には、直流電圧と同じタイミングで+100Vの直流電圧が印加される。図48に示すように、書込み部H1−L1における行電極を基準とした列電極に印加される直流電圧の最大値は−200Vとなる。また、非書込み部H1−L2,H1−L3では、黒色粒子の表示基板側への移動を阻害させる側にシフトさせた直流電圧に基づき、列電極に+100V以上の電圧成分が一定の周波数パルスで印加される状態となる。そのため、この電界成分は表示基板側に移動していた黒色粒子を背面基板側へ戻す方向に作用し、コントラストの低下を抑制することができる。一方、書込み部H1−L1部では、直流電圧により、黒色粒子を背面基板側へ引き戻す電界にまでは至っていないため、コントラストの低下を防ぐことができる。
【0179】
ここで、最大直流電圧値Vd(V)と交番電圧成分Vavのピークツーピークの最大電圧差Vp(V)との関係は、図23の場合と同様に次式を満たすことが好ましい。
【0180】
Vd≦Vp≦3×Vd
(0.5×Vd≦0.5×Vp≦1.5×Vd)
【0181】
また、図31の場合と同様に、交番電圧成分Vavの周波数は0.1kHz〜10kHzであることが好ましい。周波数は、より好ましくは0.5kHz〜5kHz、さらに好ましくは0.5kHz〜1kHzである。
【0182】
図49〜図50は、それぞれ図48に示した行電極を基準とした列電極の電圧値の変形例を示す図である。
【0183】
図49に示すように、印加終了側において、直流電圧成分を、黒色粒子の表示基板側への移動を促進する側から黒色粒子の表示基板側への移動を阻害させる側(ここでは、負電圧:−50V)にシフトさせる際に、遅延時間を持たせ、一定の傾きのスロープ状の波形を有する複数のパルス電圧Vasとすることが可能である。
【0184】
最大直流電圧値(ここでは、負電圧:−200V)から一定の直流電圧値(ここでは、負電圧:−50V)に減衰するまでの印加期間Tsは、1ms〜500msの範囲内であることが好ましい。これにより、クロストークによる色戻りの抑制と高コントラストを確保する効果が得られる。印加期間Tsが1msよりも短くなると表示粒子に作用する電界力がなまらせる効果を得難くなり、また、500msよりも長くなると、ユーザに待ちのイライラ感を与える。印加期間Tsは、より好ましくは3ms〜300ms、さらに好ましくは10ms〜100msである。
【0185】
また、図50に示すように、図49に示した印加電圧において、直流電圧Vは、交番電圧成分が重畳されない所定の立ち上がり時間Tnを確保して、一定の傾きのスロープ状の波形(電圧Van)を有するものとしてもよい。これにより、立ち上がり時間を略ゼロとする方法に比べて、非書き換え画素において表示粒子が移動する現象を抑制でき、高コントラストを実現できる
【0186】
0Vから最大印加電圧値(ここでは、−200V)に到達するまでの立ち上がり時間Tnは、1ms〜500msであることが好ましい。立ち上がり時間Tnは、より好ましくは3ms〜300ms、さらに好ましくは、10ms〜100msである。なお、図51に示すように、図50に示した印加電圧において、直流電圧の立ち上がり時に交番電圧成分を重畳した構成も可能である。
【0187】
<表示粒子の構成>
表示粒子群を構成する少なくとも1種の表示粒子は、少なくとも結着樹脂及び顔料から生成された着色樹脂粒子と、この着色樹脂粒子に外添加して付着又は固着した微粒子とから主として構成される。
【0188】
より詳細には、白色粒子(第1表示粒子)では、白色顔料を使用し、例えば酸化チタンが好ましく使用できる。外添加される微粒子としては、少なくとも炭素数6〜18のアルキル基を有するアルキルトリアルコキシシランまたはアルキルシラザンで表面処理された80nm〜500nmの無機微粒子が好ましい。これにより、白色粒子の負帯電特性を高めて、高いコントラストを実現することができ、繰り返し表示を行った場合でも安定した画像表示動作を維持できる。
【0189】
一方、黒色粒子(第2表示粒子)には、カーボンブラック等の黒色顔料を好ましく使用できる。外添加される微粒子としては、少なくとも炭素数6〜18のアルキル基を有するアルキルトリアルコキシシランまたはアルキルシラザン、及びアミン系カップリング剤によって表面処理された80nm〜500nmの無機微粒子が好ましい。これにより、黒色粒子の正帯電特性を高めて、高いコントラストを実現することができ、繰り返し表示を行った場合でも安定した画像表示動作を維持できる。
【0190】
着色樹脂粒子に外添加する平均粒径が80nm〜500nmの微粒子は、白色粒子及び黒色粒子の双方に外添加する構成でも構わないし、白色粒子または黒色粒子のいずれか一方に外添加する構成でも構わない。いずれか一方に外添加する場合、形状係数の大きいほうの粒子、すなわちよりポテト形状をしたほうの表示粒子に添加することが好ましい。一定の大きさの微粒子を配合することにより、繰り返し画像表示される際に、着色樹脂粒子の表面に外添加した微粒子が着色樹脂粒子中に埋没することを抑えて、帯電性、粉体流動性の劣化を抑制するためである。微粒子の平均粒径は、好ましくは100nm〜300nm、より好ましくは100nm〜200nmである。着色樹脂粒子の体積基準平均粒径は3〜15μmであることが好ましい。
【0191】
(着色樹脂粒子)
着色樹脂粒子は、バインダとしての結着樹脂及び着色剤とを少なくとも含むように形成され、必要に応じて電荷制御剤等の添加剤を含む。
【0192】
(結着樹脂)
結着樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルウレタンシリコーン樹脂、アクリルウレタンフッ素樹脂、アクリルフッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン・アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ブチラール樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂等を用いることができ、これら2種以上を混合して用いることもできる。
【0193】
結着樹脂に好適な材料であるポリエステル樹脂は、アルコール成分と、カルボン酸、カルボン酸エステルまたはカルボン酸無水物等のカルボン酸成分との重縮合によって得られる。
【0194】
ここで、2価カルボン酸または低級アルキルエステルとしては、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸などの脂肪族二塩基酸や、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸などの脂肪族不飽和二塩基酸や、無水フタル酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族二塩基酸や、これらのメチルエステル、エチルエステル等を用いることができる。このうちコハク酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族二塩基酸及びそれらの低級アルキルエステルがより好ましい。また、コハク酸とテレフタル酸、またはフタル酸とテレフタル酸とを組み合わせた使用がより好ましい。
【0195】
3価以上のカルボン酸成分としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサトリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸及びこれらの酸無水物、アルキル(炭素数1〜12)エステル等を用いることができる。
【0196】
2価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物などのジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどのトリオール、及びこれらの混合物を用いることができる。
【0197】
3価以上のアルコール成分としては、例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等を用いることができる。重合には、公知の重縮合や溶液重縮合等を用いることができる。これにより、良好な白黒やカラーの色材の色を発現させることができる。
【0198】
なお、多価カルボン酸と多価アルコールとの使用割合については、カルボキシル基数に対する水酸基数の割合(OH/COOH)を0.8〜1.4とするのが一般的である。
【0199】
また、熱可塑性の結着樹脂として、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル系単量体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のメタクリル系単量体、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸などのカルボキシル基を解離基として有する不飽和多価カルボン酸系単量体などの単独重合体、これらの単量体を2種以上組み合せた共重合体、又はそれらの混合物等を用いることができる。
【0200】
好ましくはスチレン/アクリル系共重合体が好適に使用される。特に、スチレン/ブチルアクリレート共重合体が好ましく、スチレンを75〜90重量%、ブチルアクリレートを10〜25重量%含有するものが好適に使用される。スチレン単量体としては、スチレン、O−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p―エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−nブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、P−クロルスチレンなどのスチレンおよびその誘導体を用いることができ、特に、スチレンが好ましい。
【0201】
また、アクリル単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−ヒドロキシアクリル酸プロピル、α−ヒドロキシアクリル酸ブチル、β−ヒドロキシメタクリル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、γ−N,N−ジエチルアミノアクリル酸プロピル、エチレングリコールジメタクリル酸エステル、テトラエチレングリコールジメタクリル酸エステル等を用いることができる。
【0202】
結着樹脂は、GPC(Gel Permeation Chromatography)による分子量において、重量平均分子量が5万〜35万であり、重量平均分子量と数平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)が3〜100である。また、結着樹脂は、定荷重押出し形細管式レオメータフローテスタによる1/2法による溶融温度(以下、軟化点という。)が110〜180℃、流出開始温度が90〜160℃、樹脂のガラス転移点が70〜100℃の範囲である。
【0203】
このように、軟化点が110〜180℃の範囲であり且つガラス転移点が70〜100℃の範囲である熱可塑性樹脂から結着樹脂を形成すれば、着色樹脂粒子の表面の溶融により、形状の制御を容易とすることができる。また、熱処理の際に着色樹脂粒子同士の二次凝集の発生を抑制することができるという利点もある。
【0204】
好ましくは、結着樹脂は、重量平均分子量が5万〜30万、重量平均分子量/数平均分子量が3〜50、軟化点が125〜170℃、流出開始温度が105〜150℃、ガラス転移点が75〜95℃の範囲である。
【0205】
より好ましくは、結着樹脂は、重量平均分子量が10万〜25万、重量平均分子量/数平均分子量が3〜15、軟化点が135〜170℃、流出開始温度が110〜150℃、ガラス転移点が80〜90℃の範囲である。
【0206】
結着樹脂の重量平均分子量が5万より小さく、重量平均分子量/数平均分子量が3より小さく、軟化点が110℃より小さく、流出開始温度が90℃より小さくなると、混練時の分散性が低下し、鮮明な色の発現性が低下する。これは表示粒子の耐久性の低下につながる。
【0207】
結着樹脂の重量平均分子量が35万より大きく、重量平均分子量/数平均分子量が100より大きく、軟化点が180℃より大きく、流出開始温度が160℃より大きくなると、熱処理における着色樹脂粒子の形状の制御が困難となり、繰り返し特性の改善が困難となる。
【0208】
また、結着樹脂の形成に際し、次のような2つ以上の熱特性の異なる樹脂(低軟化性または低分子量の樹脂粒子、高軟化性または高分子量の樹脂粒子)を混合させることも好ましい。
【0209】
低軟化性または低分子量の樹脂粒子では、重量平均分子量が1万〜6万、重量平均分子量と数平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)が1.5〜6、軟化点が90〜140℃、流出開始温度が80〜120℃、ガラス転移点が75〜100℃の範囲とする。
【0210】
好ましくは、重量平均分子量が2万〜5万、重量平均分子量/数平均分子量が1.5〜3.9、軟化点が95〜135℃、流出開始温度が85〜115℃、ガラス転移点が78〜98℃の範囲とする。
【0211】
より好ましくは、重量平均分子量が2万〜4万5千、重量平均分子量/数平均分子量が1.5〜3、軟化点が100〜130℃、流出開始温度が90〜110℃、ガラス転移点が80〜88℃の範囲とする。
【0212】
低軟化性または低分子量の樹脂粒子の配合の目的は、着色樹脂粒子のポテト形状に制御することを容易とすることにある。重量平均分子量が1万よりも小さく、重量平均分子量/数平均分子量が1.5よりも小さく、軟化点が90℃よりも小さく、流出開始温度が80℃よりも小さく、ガラス転移点が75℃よりも小さいと、形状制御のための熱処理において、二次凝集しやすくなり、粒径が大きくなりやすい傾向となる。一方、重量平均分子量が6万よりも大きく、重量平均分子量/数平均分子量が6よりも大きく、軟化点が140℃よりも大きく、流出開始温度が120℃よりも大きく、ガラス転移点が100℃よりも大きいと、熱処理において、ポテト形状とするための形状制御が難しくなる傾向となる。
【0213】
また、相対的に高軟化性または高分子量の樹脂粒子では、重量平均分子量が6万〜60万、重量平均分子量と数平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)が2〜10、軟化点が150〜190℃、流出開始温度が120〜170℃、ガラス転移点が65〜95℃の範囲とする。
【0214】
好ましくは、重量平均分子量が8万〜58万、重量平均分子量/数平均分子量が2〜7、軟化点が155〜185℃、流出開始温度が125〜165℃、ガラス転移点が65〜90℃の範囲とする。
【0215】
より好ましくは、重量平均分子量が10万〜55万、重量平均分子量/数平均分子量が2〜5、軟化点が160〜180℃、流出開始温度が130〜160℃、ガラス転移点が65〜80℃の範囲とする。
【0216】
高軟化性または高分子量の樹脂粒子の配合の目的は、表示粒子の安定した繰り返し表示特性を維持するための耐久性を保持させることにある。すなわち、粒子同士や基板、隔壁との衝突に対する耐久性を高めるためである。また、溶融混練処理において添加剤の分散性を均一化させ、高い帯電性を安定化させるためでもある。
【0217】
重量平均分子量が6万よりも小さく、重量平均分子量/数平均分子量が2よりも小さく、軟化点が150℃よりも小さく、流出開始温度が120℃よりも小さく、ガラス転移点が65℃よりも小さいと、繰り返し表示特性を維持させる耐久性が低下しやすい傾向となる。
【0218】
重量平均分子量が60万よりも大きく、重量平均分子量/数平均分子量が10よりも大きく、軟化点が190℃よりも大きく、流出開始温度が170℃よりも大きく、或いはガラス転移点が95℃よりも大きいと、熱処理において、ポテト形状とするための形状制御が難しくなる傾向となる。
【0219】
低軟化性または低分子量の樹脂粒子と、高軟化性または高分子量の樹脂粒子との配合比率は、5:5〜9:1の範囲とする。耐久性と球形化の進行をバランスよく確保するためである。好ましくは、6:4〜9:1の範囲とする。より好ましくは、7:3〜9:1の範囲とする。
【0220】
さらには、結着樹脂として、架橋重合体樹脂を含む構成も好ましい。架橋重合体を構成する単量体のスチレンとしては、例えばスチレン、αーメチルスチレン、Pークロルスチレンなどのスチレン及びその置換体、アクリル酸アルキルエステルとしては、例えばアクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸アルキルエステルとしては、例えばメタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ヘキシル、などの二重結合を有するモノカルボン酸及びその置換体等がある。
【0221】
架橋重合体は主にモノマー100重量部に対して0.1〜10重量部の架橋剤を配合することが好ましい。架橋剤は主に重合性の二重結合を2個以上持つ化合物で、例えばジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン等の芳香族ジビニル化合物、エチレングリコール、ジメタアクリレート、テトラエチレングリコール、ジメタクリレート、1,3ブタンジオール、ジメタクリレート、アリール、メタクリレート、等のジエチレン性カルボン酸エステル、N,Nジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフイド等がある。ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタアクリレートが好適に使用される。
【0222】
さらに好ましくは、架橋重合体樹脂とともに、線形状重合体を併用して使用する樹脂構成も好ましい。架橋構造を有しない低分子量重合体であり、顔料の分散性、表示粒子の微細粉砕性、形状制御性を確保するための樹脂成分である。
【0223】
その低分子量重合体の好ましい処方としては、スチレン50〜100重量%、及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル50〜0重量%をモノマー単位として含有してなるスチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル系重合体であり、より好ましくはスチレン70〜90重量%及びアクリル酸nブチル30〜10重量%のものである。
【0224】
また架橋重合体の好ましい処方としては、スチレン50〜100重量%、(メタ)アクリル酸アルキルエステル0〜50重量%及び架橋剤0.01〜10重量%(三者の合計が100重量%となる)をモノマー単位として含有してなる架橋したスチレン−(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体であり、より好ましくはスチレン70〜90重量%、アクリル酸nブチル30〜10重量%及び架橋剤0.01〜2重
量%(三者の合計が100重量%となる)のものである。
【0225】
樹脂成分の製造法としては、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等によって製造したイオン性重合体やラジカル性重合体等の低分子量重合体と、塊状重合、懸濁重合、乳化重合等によって製造した架橋重合体を、分散液状又は溶液状のままで混合した後、乾燥する方法及び別々に乾燥した後、表示粒子製造時にドライブレンドする方法や、押出機等で混合混練する方法等が採用される。
【0226】
好ましくは、予め重合させた低分子量重合体を架橋重合体樹脂用モノマー中に溶解し、次いで架橋重合体を得るための重合を行うことによって樹脂成分が得られ、このような樹脂成分は低分子量重合体と架橋重合体が均一に相互分散しているので、表示粒子製造時の顔料粒子の分散改善に寄与できる。
【0227】
低分子量重合体と架橋重合体の合計当り、低分子量重合体が23〜45重量%及び架橋重合体が77〜55重量%の比率で結着樹脂を形成することが好ましい。より好ましくは低分子量重合体が23〜40重量%及び架橋重合体が77〜60重量%、さらに好ましくは低分子量重合体が23〜35重量%及び架橋重合体が77〜65重量%である。顔料の分散性、表示粒子の微細粉砕性や形状制御性と耐久性とのバランスの取れる範囲である。
【0228】
低分子量重合体は、GPC(Gel permeation Chromatography)による分子量において、重量平均分子量が1万〜15万であり、重量平均分子量と数平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)が1.5〜5である。また、定荷重押出し形細管式レオメータフローテスタによる1/2法による溶融温度(以下、軟化点という。)が85〜130℃、流出開始温度が75〜115℃、樹脂のガラス転移点が50〜80℃の範囲である。好ましくは、重量平均分子量が1万〜10万、重量平均分子量/数平均分子量が1.5〜3、軟化点が85〜120℃、流出開始温度が75〜110℃、ガラス転移点が50〜70℃の範囲である。より好ましくは、重量平均分子量が1万〜5万、重量平均分子量/数平均分子量が1.5〜2.5、軟化点が85〜110℃、流出開始温度が75〜100℃、ガラス転移点が50〜60℃の範囲である。
【0229】
結着樹脂の重量平均分子量が1万より小さく、重量平均分子量/数平均分子量が1.5より小さく、軟化点が85℃より小さく、流出開始温度が75℃より小さくなると、混練時の分散性が低下するとともに、表示粒子の耐久性の低下につながる。
【0230】
結着樹脂の重量平均分子量が15万より大きく、重量平均分子量/数平均分子量が5より大きく、軟化点が130℃より大きく、流出開始温度が115℃より大きくなると、熱処理における着色樹脂粒子の形状制御が困難となり、繰り返し特性改良が困難となる。
【0231】
(着色剤)
着色剤としては、以下に示すような、有機または無機の種々の顔料および染料を使用可能である。
【0232】
白色着色剤としては、酸化亜鉛、酸化スズ、ルチル型酸化チタン、アナターゼ型酸化チタン、硫化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム等の白色顔料を含む粒子を用いることができる。
【0233】
ここで、酸化チタンは、シリコーンオイルで処理されたものが好ましい。これにより、着色樹脂粒子中での酸化チタンの分散状態が均一化され、白色度が向上する。
【0234】
シリコーンオイルとしては、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、環状ジメチルシリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル、メタクリル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、メチルスチリル変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、α−メチルスルホン変性シリコーンオイル又はクロルフェニルシリコーンオイル等が好ましい。特に、ジメチルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル又はメタクリル変性シリコーンオイルが好適に使用される。例えば、東レダウコーニングシリコーン社のSH200、SH510、SF230、SH203、BY16―823、BY16―855B等を使用できる。
【0235】
シリコーンオイルによる酸化チタンの処理は、次のように実施することができる。まず、トルエン等の有機溶媒にシリコーンオイルと酸化チタンを加えて、超音波を印加ながら十分に攪拌する。次に、シリコーンオイルが表面にコートされた酸化チタンを、加熱乾燥することにより、不要な溶媒成分を除去する。
【0236】
シリコーンオイルの添加量は、酸化チタン100重量部に対して0.5〜30重量部の範囲内であることが好ましい。より好ましくは、1〜20重量部の範囲内、さらに好ましくは、2〜10重量部の範囲内である。シリコーンオイルの添加量が0.5重量部未満の場合には、酸化チタンの表面が十分にコーチングされずに、着色樹脂粒子中での酸化チタンの分散状態が均一化され難くなり、白色度の向上が望めなくなる。一方、添加量が30重量部を超える場合には、残存して表面処理に寄与しないシリコーンオイルが増大し、逆に表示粒子の粉体流動性を低下させてしまう。
【0237】
また、酸化チタンの添加量は、結着樹脂100重量部に対して10〜50重量部の範囲内であることが好ましい。より好ましくは、15〜35重量部の範囲内、さらに好ましくは、20〜30重量部の範囲内である。酸化チタンの添加量が10重量部未満の場合には、十分な白色度が得られず、一方、添加量が50重量部を超える場合には、表示粒子の粉体流動性を低下させてしまう。
【0238】
黒色着色剤として、カーボンブラック、アニリンブラック、マンガンフェライトブラック、チタンブラック、磁性粉、オイルブラック等有機または無機系の染・顔料系の黒色顔料を好適に用いることができる。
【0239】
正帯電性黒色表示粒子として使用する黒色顔料のカーボンブラックは、アミノ変性シリコーンオイルで処理されたものが好ましい。これにより、着色樹脂粒子中でのカーボンブラックの分散状態が均一化され、黒色度が向上するとともに、正帯電性の向上につながる。
【0240】
アミノ変性シリコーンオイルとしては、信越化学社製のKF857、KF858、KF859、KF861、KF864及びKF880や、東レ・ダウコーニング社製のDF8417等を使用できる。また、アミノシリコーンオイルに代わり又は併用してニトリル変性シリコーンオイルやイソシアネート系シリコーンオイルを用いることも好ましい。
【0241】
アミノ変性シリコーンオイルの添加量は、カーボンブラック100重量部に対して0.2〜30重量部の範囲内であることが好ましい。より好ましくは、1〜20重量部の範囲内、さらに好ましくは、2〜10重量部の範囲内である。アミノ変性シリコーンオイルの添加量が0.2重量部未満の場合には、カーボンブラックの表面が十分にコーチングされず、着色樹脂粒子中でのカーボンブラックの分散状態が均一化され難くなり、黒色度の向上が望めなくなる。一方、添加量が30重量部を超える場合には、残存して表面処理に寄与しないシリコーンオイルが増大し、却って表示粒子の粉体流動性を低下させてしまう。
【0242】
カーボンブラックの添加量は、結着樹脂100重量部に対して1〜10重量部の範囲内であることが好ましい。より好ましくは2〜8重量部の範囲内、さらに好ましくは、3〜6重量部の範囲内である。添加量が1重量部未満の場合には、十分な黒色度が得られず、一方、10重量部を超える場合には、表示粒子の粉体流動性を低下させてしまう。
【0243】
ここで、カーボンブラックのDBP吸油量(ml/100g)は45〜70が好ましい。具体的には、例えば、三菱化学社製の#52(粒径27nm,DBP吸油量63ml/100g)、#50(同28nm,同65ml/100g)、#47(同23nm,同64ml/100g)、#45(同24nm,同53ml/100g)、#45L(同24nm,同45ml/100g)や、キャボット社製のREGAL250R(同35nm,同46ml/100g)、REGAL330R(同25nm,同65ml/100g)、MOGULL(同24nm,同60ml/100g)を用いることができる。より好ましくは、#45、#45L、REGAL250Rを用いると良い。DBP吸油量が比較的低いカーボンブラックを用いることで、高いコントラストを得る効果がある。これは、樹脂中の分散性、着色性による効果と考えられる。
【0244】
DBP吸油量は、粒子の鎖状集合状態(ストラクチャー)を定量的に表したもので、化学的結合による一次ストラクチャーと、ファンデルワールス力による物理的結合の2次的ストラクチャーから表される。
【0245】
DBP吸油量の測定(JISK6217)は、150℃±1℃で1時間乾燥した試料20g(Ag)をアブソープトメータ(Brabender社製、スプリング張力2.68kg/cm)の混合室に投入し、予めリミットスイッチを最大トルクの約70%に設定した後、混合機を回転させる。同時に自動ビュレットからDBP(比重1.045〜1.050g/cm)を4ml/minの割合で添加する。終点近くになるとトルクが急速に増加してリミットスイッチが切れる。それまでに添加したDBP量(Bml)と試料重量から試料100gあたりのDBP吸油量(=Bx100/A)(ml/100g)が求められる。
【0246】
なお、粒径にはSEMによる算術平均径を用いている。カーボンブラックの粒子径は好ましくは20〜40nmであり、より好ましくは20〜35nmである。粒子径が好ましい範囲よりも大きいと着色力が低下する傾向となる。また、粒子径が好ましい範囲よりも小さいと、樹脂中での分散が困難になる傾向となる。
【0247】
青色着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15、紺青、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC等を用いることができる。添加量は結着樹脂100重量部に対し、3〜12重量部が好ましい。
【0248】
赤色着色剤としては、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ブリリアントカーミン3B、C.I.ピグメント・レッド48,49:1,53:1,57,57:1,81,122,5等の赤色顔料、C.I.ソルベント・レッド49,52,58,8等の赤色染料を用いることができる。
【0249】
黄色着色剤としては、ナフトールイエローS、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、C.I.ピグメント・イエロー1,3,74,97又は98等のアセト酢酸アリールアミド系モノアゾ黄色顔料、C.I.ピグメント・イエロー12,13,14,17等のアセト酢酸アリールアミド系ジスアゾ黄色顔料、C.I.ソルベンイエロー19,77,79又はC.I.ディスパース・イエロー164が配合され、特に好ましくはC.I.ピグメント・イエロー93,180,185のベンズイミダゾロン系顔料が好適である。
【0250】
(電荷制御剤)
負電荷制御剤としては、例えば、サリチル酸金属錯体、含金属アゾ染料、含金属(金属イオンや金属原子を含む)の油溶性染料、カリックスアレン化合物、含ホウ素化合物(例えば、ベンジル酸ホウ素錯体)、ニトロイミダゾール誘導体、アクリルスルホン酸系の重合体(スチレン系モノマーと極性基としてスルホン酸基を有するアクリル酸系モノマーとのビニル共重合体で、特に好ましくはアクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸との共重合体)等を用いることができる。
【0251】
サリチル酸金属錯体において、ベンゼン環に結合する官能基は、それぞれ独立して水素原子、直鎖もしくは分子鎖状の炭素数1〜10のアルキル基またはアリル基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等を用いることができる。また、金属としては、亜鉛、ニッケル、コバルト、銅、クロムを用いることができ、特に亜鉛、クロムが好ましい。
【0252】
ベンジル酸誘導体の金属塩としては、アルカリ金属としてリチウム、ナトリウムまたはカリウム等を用いることができ、特にカリウムが好ましい。
【0253】
一方、正電荷制御剤としては、例えば、ニグロシン染料、トリフェニルメタン系化合物、4級アンモニウム塩系化合物、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体等を用いることができる。
【0254】
電荷制御剤の添加量は、結着樹脂100重量部に対し、0.5〜8重量部とし、好ましくは1〜6重量部であり、より好ましくは2〜5重量部である。電荷制御剤の添加量が0.5重量部未満では帯電作用効果が無くなり、一方、8重量部を超えると帯電量が過度に高くなり、過帯電になりやすい傾向となる。
【0255】
(微粒子)
【0256】
表示粒子に使用される微粒子としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、ジルコニア、マグネシア、フェライト又はマグネタイト等の金属酸化物微粉末や、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム等のチタン酸塩や、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウムまたはジルコン酸ストロンチウム等のジルコン酸塩等の無機微粒子や、これらの混合物を用いることができる。特に、疎水性シリカ、酸化チタン又はアルミナの金属酸化物微粉末が好ましい。帯電性を保持すると共に、流動性を向上させる効果が得られるためである。
【0257】
また、微粒子としては、アクリル酸エステル重合体、メタクリル酸エステル重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、ウレタン重合体、ポリアミド重合体、塩化ビニル重合体、塩化ビニリデン重合体、セルロース、ポリエステル樹脂等の有機微粒子も好ましく使用できる。これらの中でも、メタクリル酸エステル重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体がより好ましい。具体的には、メタクリル酸メチル重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体が挙げられる。
【0258】
外添加する微粒子は、平均粒径が80nm〜500nmであることが好ましい。繰り返し画像表示される際に、着色樹脂粒子の表面に外添加した微粒子が着色樹脂粒子中に埋没することを抑えて、帯電性、粉体流動性が劣化することを抑制する効果が得られる。
【0259】
合成シリカ微粒子は、シラン化合物を燃焼させて得られる燃焼法シリカ(ヒュームドシリカ)、金属珪素粉を爆発的に燃焼させて得られる爆燃法シリカ、珪酸ナトリウムと鉱酸との中和反応によって得られる湿式シリカ、ヒドロカルビルオキシシランの加水分解によって得られるゾルゲル法シリカにより生成される。そのうち、本実施形態における一定の大きさの微粒子として、燃焼法シリカまたはゾルゲル法により生成されるシリカ微粒子を好ましく使用できる。生成されたシリカの粒度分布が狭く、またそのシリカの表面がやや微細凹凸を有しているため、着色樹脂粒子と外添加する際に、シリカの凝集体が生じにくく、着色樹脂粒子表面に一次粒子の形態で付着する。そのため、繰り返し特性における安定性や、安定した高粉体流動性等の機能を発現できる。
【0260】
疎水性球状ゾルゲルシリカは、ヒドロカルビルオキシシラン、好ましくはテトラヒドロカルビルオキシシラン、もしくはその部分加水分解縮合生成物またはそれらの組み合わせを加水分解および縮合することによって得られたSiO単位からなる親水性球状ゾルゲルシリカ微粒子の表面を疎水化処理することによって調製される。親水性球状ゾルゲルシリカ微粒子は、4官能性シラン化合物もしくはその部分加水分解縮合生成物またはそれらの組み合わせを、塩基性物質を含む親水性有機溶媒と水との混合液中で加水分解および縮合して、親水性球状ゾルゲルシリカ微粒子を生成させる。
【0261】
上記親水性有機溶媒としては、4官能性シラン化合物と、それらの部分加水分解縮合生成物と、水とを溶解するものであれば特に制限されず、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類が挙げられる。アルコールの炭素原子数が増えると、生成する親水性球状ゾルゲルシリカ微粒子の粒子径が大きくなる。従って、目的とする親水性球状ゾルゲルシリカ微粒子の粒子径によりアルコールの種類を選択することが望ましい。
【0262】
無機微粒子は炭素数6〜18のアルキル基を有するアルキルトリアルコキシシランまたはアルキルシラザンで表面処理することが好ましい。この表面処理は、無機微粒子の表面に存在するOH基をアルキルトリアルコキシシランと反応させることによって行われる。
【0263】
より具体的な表面処理方法としては、例えば、酸化チタンやシリカ微粒子等の無機微粒子と、アルキルトリアルコキシシランと、水蒸気とを約400℃に加熱された流動層反応器中に不活性ガス(例えば、窒素ガス)によって導入し、アルキルトリアルコキシシランで無機微粒子表面を疎水化処理する。
【0264】
アルキルトリアルコキシシランまたはアルキルシラザンは、好ましくは炭素数8〜16のアルキル基を有し、より好ましくは炭素数8〜12のアルキル基を有する。アルキル基の炭素数が6未満となると、粉体流動性を高める効果が小さくなる。一方、アルキル基の炭素数が18を超えると、無機微粒子の凝集性が高まり、着色樹脂粒子表面に無機微粒子を均一に付着させることが困難となり、表示粒子の粉体流動性が向上し難くなる。
【0265】
使用するアルキルトリアルコキシシランまたはアルキルシラザンしては、下記(化1)〜(化16)で示されるアルコキシシランまたはアルキルシラザンが好ましい。また、下記(化17)〜(化23)で示されるクロロシラン系も好ましく使用できる。
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

【化15】

【化16】

【化17】

【化18】

【化19】

【化20】

【化21】

【化22】

【化23】

【0266】
また、正帯電性の無機微粒子は、少なくとも炭素数6〜18のアルキル基を有するアルキルトリアルコキシシランまたはアルキルシラザン、及びアミン系カップリング剤とによって表面処理することが好ましい。アミン系シランカップリング剤としては、例えば、下記(化24)〜(化27)で示されるものが好ましく用いられる。
【化24】

【化25】

【化26】

【化27】

【0267】
これらの処理剤は、無機微粒子100重量部に対して、0.1〜15重量部添加されることが好ましい。より好ましくは0.5〜10重量部、より好ましくは1〜5重量部である。
【0268】
また、平均粒径80nm〜500nmの微粒子(第1の微粒子)とともに、平均粒径が3nm〜14nmの第2の微粒子を外添加する方法も好ましい。第2の微粒子としては、粒径の違いを除けば上記第1の微粒子の場合と同様の無機微粒子を用いることができる。また、着色樹脂粒子に対する第2の微粒子の添加量については、後述する第1の微粒子の場合と同様とすることができるが、それに限定されるものではない。第1の微粒子と第2の微粒子とは、同時に着色樹脂粒子に付着または固着させることもできるが、より好ましくは、第2の微粒子のみを着色樹脂粒子に対して予め固着させた後に、第1の微粒子を着色樹脂粒子に対して更に付着または固着させるとよい。
【0269】
このように、第1の微粒子とは平均粒径が異なる第2の微粒子の配合により、粉体流動性をより向上させることができ、その結果、画像コントラストを高められる。第2の微粒子の平均粒径は、好ましくは3nm〜7nmであり、より好ましくは、5nm〜7nmである。なお、第2の微粒子の平均粒径が3nm未満ではその製造が困難となり、第2の微粒子の平均粒径が14nmを超えると、表示粒子の粉体流動性を向上させる効果を得難くなる。
【0270】
微粒子の平均粒径は、透過型電子顕微鏡(TEM)観察によって10000倍に拡大して観察し、画像解析によって、約100個の粒子の長軸の長さ(1つの粒子中で最も長い直径)と短軸の長さ(1つの粒子中で最も短い直径)の平均値を求めた値である。
【0271】
処理された外添剤の水分吸着量は1重量%以下であることが好ましい。好ましくは0.5重量%以下、より好ましくは0.1重量%以下、さらに好ましくは0.05重量%以下である。水分吸着量が1重量%より多いと、帯電性や耐フィルミング性が低下する。水分吸着量は、連続蒸気吸着装置(BELSORP18:日本ベル株式会社)にて測定した。
【0272】
(表示粒子の物性特性)
表示粒子は、生産性および画質(解像度)向上の観点から体積基準平均粒径が3〜15μm、体積基準の変動係数が10〜20%にあることが好ましい。表示粒子は、より好ましくは、体積基準平均粒径が5〜10μm、体積基準の変動係数が10〜18%であり、更に好ましくは、体積基準平均粒径が6〜9μm、体積基準の変動係数が10〜16%である。
【0273】
ここで、変動係数は、表示粒子の粒度分布における標準偏差を平均粒径で割ったものであり、粒度分布の広がり具合を表したものである。粒子径はコールターカウンタ(コールター社)を使用して測定した。体積粒径分布の変動係数が10%未満であると生産が困難となり、コストアップの要因となる。一方、体積粒径分布の変動係数が20%を超えると、粒度分布がブロードとなり、コントラストの改善が見込めない傾向となる。
【0274】
また、着色樹脂粒子の形状係数(SF)は120≦SF≦145である。その形状係数の変動係数は16%以下であることが好ましい。より好ましくは120≦SF≦140、さらに好ましくは125≦SF≦135である。
【0275】
着色樹脂粒子の形状係数(SF)が120よりも小さくなると、着色樹脂粒子の形状がより球状に近づく。そのため、表面に外添加した無機微粒粒子が、繰り返しの画像表示の際に、着色樹脂粒子表面に埋没しやすくなり、表示特性の安定化を図り難くなる傾向にある。一方、着色樹脂粒子の形状係数が145よりも大きくなると、着色樹脂粒子の形状がより不定形の方向に進む。そのため、粉体流動性が低くなり、画像コントラストを向上させることができない。
【0276】
形状係数(SF)は、キーエンス社製のリアルサーフェイスビュー顕微鏡(VE7800)を使用し、1000倍に拡大したトナー母体粒子100個程度を取込み、最大長及び投影面積を測定し、次の(数式1)にて求めた(d:着色樹脂粒子の最も長い直径に相当する最大の長軸長、A:着色樹脂粒子の投影面積)。
【0277】
SF=100×π×d/(4×A)・・・(数式1)
【0278】
着色樹脂粒子の粒度分布は、コールターカウンタTA−II型(コールターカウンタ社)を用い、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス及びパーソナルコンピュータを接続して測定する。この粒度分布の測定には公知の方法を用いることができる(例えば、特開2005−284269号公報)。
【0279】
樹脂の分子量は、数種の単分散ポリスチレンを標準サンプルとするゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定された値である。測定する装置は東ソー社製HLC8120GPCシリーズ、カラムはTSKgel superHM−H H4000/H3000/H2000(6.0mmI.D.−150mm×3)、溶離液THF(テトラヒドロフラン)、流量0.6mL/min、試料濃度0.1%、注入量20μL、検出器RI、測定温度40℃である。また、測定前処理として、試料をTHFに溶解して一晩放置後、0.45μmのメンブランフィルターでろ過し、シリカ等の添加剤を除去した樹脂成分を測定する。測定条件は、対象試料の分子量分布が、数種の単分散ポリスチレン標準試料により得られる検量線における分子量の対数とカウント数が直線となる範囲内に包含されることである。
【0280】
結着樹脂の軟化点は、島津製作所の定荷重押出し形細管式レオメータフローテスタ(CFT500)により測定する。この軟化点の測定には公知の方法を用いることができる(例えば、特開2009−075564号公報)。この公知の方法における流動曲線から、後述する流出開始温度(Tfb)や1/2法における溶融温度(軟化点Tm℃)が定義される。
【0281】
結着樹脂のガラス転移点は、示差走査熱量計(TAインスツルメンツ社製、Q100型(冷却には純正の電気冷凍機を使用))により測定する。このガラス転移点の測定には公知の方法を用いることができる(例えば、特開2009−075564号公報)。
【0282】
微粒子の帯電量の測定は、ノンコートのフェライトキャリアとの摩擦帯電のブローオフ法により測定した。具体的には、25℃45RH%の環境下で、100mlのポリエチレン容器にキャリア50gとシリカ等の微粒子とを0.1gを混合し、縦回転にて100min−1の速度で5分間と、30分間攪拌した後、0.3g採取し、窒素ガス1.96×10Paで1分間ブローして測定した。なお、帯電特性としては、30分間攪拌したときの帯電量と5分間攪拌したときの帯電量の割合(30分値/5分値)が0.5以上であることが好ましい。表示粒子の帯電性の維持を図ることができ、安定した画像表示を出力することができる。
【0283】
<表示粒子の製造方法>
(ブレンド処理)
着色樹脂粒子の作製では、結着樹脂および着色剤と、必要に応じて帯電制御剤等の添加剤とを、撹拌羽根が具備されたミキサなどによりドライブレンド混合処理する。ミキサとしては、スーパーミキサ(川田製作所製)、ヘンシェルミキサ(三井三池工業製)、PSミキサ(神鋼パンテック製)、レーディゲミキサ等の公知のミキサを使用できる。
【0284】
(溶融混練処理)
次に、溶融混練処理において、上記混合物中の結着樹脂を加熱作用又はせん断力作用により溶融させ、結着樹脂中に添加剤を分散させる。溶融混練処理には、シリンダと混練軸が複数のセグメントに分割された分割セグメント方式の二軸混練押出機等を好適に使用できる。例えば、池貝社製の混練押出機(商品名PCM30)が挙げられる。
【0285】
また、溶融混練処理には、2本の回転するロール間で材料を溶融混練処理する2本ロール混練機も好適に使用できる。例えば、三井鉱山社製2本ロール混練機(商品名KNEADEX140−800)が挙げられる。この2本ロール混練機を用いた溶融混練処理は、公知のトナー溶融混練処理と同様に実施することができる(例えば、特開2004−013049号公報)。
【0286】
なお、2本ロール混練機を用いた溶融混練処理においては、加熱するロールの表面温度は結着樹脂の軟化点よりも低く設定する。より詳細には、ロールの表面温度を結着樹脂の軟化点よりも10℃以上低くすることが必要である。材料投入時に樹脂を早急に溶融させてロールに巻き付けさせるために温度を高くする(すなわち、樹脂軟化点とロール表面温度との差が10℃未満となる)と、混練中にせん断力がかからず不均一分散となるためである。一方、温度差が70℃を超えると樹脂が溶けきれないまま搬送されることになり、これも分散性の低下を招く。また、2本のロール間の温度差を樹脂のガラス転移点の1/2の温度以上とすることにより、混練時の超高分子量の分子切断が適当な状態で混練分散することができ、コントラストの改善と繰り返し性の向上とを両立させることができる。さらに、一方のロールを前半部と後半部で温度勾配を設け、その温度差を樹脂のガラス転移点よりも40℃低い温度以上に設定することで表示特性の向上に効果が得られる。
【0287】
(微細化処理)
溶融混練処理され冷却して得られた混練塊を、カッターミルなどで粗粉砕し、その後、ジェットミル粉砕(例えば、商品名IDS粉砕機、日本ニューマティック工業社製)、または固定したステータに対して回転するローラとの微小な空隙に被粉砕物を投入して粉砕する回転ロータ式粉砕(例えば、商品名クリプトロン粉砕機、アーステクニカ社製)などで細かく微細化粉砕処理し、更に、必要に応じて気流式分級機(例えば、商品名エルボージェット分級機、日鉄鉱業社製)により、所望の粒度分布の着色樹脂粒子を得ることができる。
【0288】
(乳化凝集法)
また、着色樹脂粒子の作製では、好適な別法として乳化凝集法を用いることができる。乳化凝集法では、まず、ビニル系単量体の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂)の樹脂粒子をイオン性界面活性剤に分散させてなる分散液を調製し、その後重合開始剤や連鎖移動剤を使用して、乳化重合を行い、微細な粒径の樹脂粒子分散液を作成する。また、極性を有する界面活性剤を添加した水中に着色剤粒子を添加し、公知の分散手段を用いて分散させることにより着色剤粒子分散液を調製する。
【0289】
そして水系媒体中で、少なくとも、前述した樹脂粒子を分散せしめた樹脂粒子分散液と着色剤粒子を分散せしめた着色剤粒子分散液とを混合し、水系媒体のpHを一定の値(例えば、pHは8〜13)に調整し、無機塩の存在下で、水系媒体の温度を樹脂粒子のガラス転移点以上に一定時間(1時間から5時間)加熱することで着色樹脂粒子を生成することができる。
【0290】
また、イオン性界面活性剤を含有する樹脂粒子分散液と、着色剤粒子分散液を調製し、それらを混合し、前記イオン性界面活性剤とは反対の極性を有するイオン性界面活性剤により凝集を生じさせることにより凝集粒子を形成させ、その後、樹脂粒子のガラス転移点以上の温度に加熱して凝集粒子を融合して、洗浄、乾燥する方法により着色樹脂粒子を作製することもできる。
【0291】
(微粒子の付着)
まず、所望の粒度分布に形成した着色樹脂粒子と、第1の微粒子とを前述のヘンシェルミキサ、スーパーミキサなどの公知のミキサによって混合することにより、第1の微粒子を着色樹脂粒子に付着させることができる。
【0292】
着色樹脂粒子表面に付着させる第1の微粒子は、着色樹脂粒子100重量部に対し0.5〜5重量部を添加することが好ましい。好ましくは0.7〜4重量部、より好ましくは0.9〜2.5重量部である。第1の微粒子が0.5重量部よりも少ないと、流動性が向上しない傾向となる。一方、第1の微粒子が5重量部を超えると浮遊粒子が生じ易くなる。
【0293】
(着色樹脂粒子の球形化処理(形状制御))
粉砕により所定の粒径に形成された着色樹脂粒子の形状をややポテト形状からポテト形状に調整するため、前記結着樹脂の軟化点よりも110〜250℃高い温度の熱風により表面処理を施し、前記着色樹脂粒子の形状を調整する方法を取ることが好ましい。より好ましくは結着樹脂の軟化点よりも120〜230℃高い温度、更に好ましくは結着樹脂の軟化点よりも140〜210℃高い温度である。熱風温度が結着樹脂の軟化点よりも110℃高くない場合、形状が不定形を維持したままの状態になる傾向にある。結着樹脂の軟化点から250℃の範囲を越える高い温度で処理すると、着色樹脂粒子の二次凝集が多く発生するようになり、粒子が粗大化し、粒度分布も広がる傾向となる。
【0294】
また、結着樹脂中に、架橋重合体及び低分子量重合体を含む場合、微細化処理された少なくとも結着樹脂、顔料及び酸変性ポリオレフィン樹脂を含む着色樹脂粒子を、低分子量重合体の軟化点よりも150〜300℃高い温度の熱風により表面改質を施す処理を含む構成とすることができる。表示粒子を真球状からポテト状に形状を制御できる温度範囲である。
【実施例】
【0295】
以下、本発明に係る画像表示素子および表示粒子についてより具体的な実施例を挙げて説明する。
【0296】
図1を再び参照して画像表示素子の構成を説明する。ここで、透光性を有する表面基板11および背面基板21は、ともに厚さ175μmの透明PETからなる。間隙4の大きさに相当する隔壁7の高さHは40μmとし、隔壁7の幅Wは約50μmとした。また、隣接する隔壁7間の間隔Dは1000μmとした。
【0297】
表面シート2の作製では、まず、厚さ50nmのITOを全面に蒸着した厚さ175μmのA4サイズの透明PETフィルム(すなわち、表面基板11)を準備する。次に、レーザエッチング法により、各電極の幅が900μmで各電極間スペースが100μmの列電極12を表面基板11上に形成した。列電極12の抵抗は150Ω/□であった。次に、その列電極12上に、THF溶液中に10%の重量比率でポリカーボネートを溶解させた溶液中で、引き上げディップ法により厚さ12μmの塗工膜を形成し、その後、乾燥炉にて80℃で5分間乾燥することにより、厚さ3μmの誘電体膜13を積層形成した。
【0298】
図52は、隔壁形成における一工程(ドライフィルムラミネート工程)を示す模式的な断面図である。誘電体膜13の積層形成に続いて、ドライフィルムラミネータにて、図52に示すように、表面基板11上に列電極12及び誘電体膜13を形成した表面シート2と、エポキシ樹脂およびアクリル樹脂混合系からなる厚さ50μmの紫外線硬化型樹脂ドライフィルム31とを密着して貼り合わせる。このとき、ロール温度は60℃、送り速度は0.4m/分とした。
【0299】
図53は、隔壁形成における一工程(露光工程)を示す模式的な断面図である。続く露光工程において、図53に示すように、表面シート2と樹脂ドライフィルム31とを貼り合わせたものの上に露光マスク32を置き、100mJ/cmの露光量で露光を行った。この露光マスク32により、縦ラインおよび横ラインの幅がともに50μm、ピッチが1000μmの隔壁を形成するための紫外線照射部分が画成される。
【0300】
図54は、隔壁形成における一工程(現像工程)を示す模式的な断面図である。続く現像工程では、露光を終えた紫外線硬化型樹脂ドライフィルム31を、炭酸ナトリウム1%の現像液を用いたアルカリ現像機により、送り速度0.6m/min、液温35℃、シャワー圧0.15MPaの条件で現像を行った。これにより、紫外線硬化型樹脂ドライフィルム31は、図54に示すように、露光工程における紫外線照射部分以外は現像液で除去され、後に隔壁となる硬化部7のみが残った。
【0301】
その後、イオン交換水で十分に洗浄後、水切り、室温での乾燥を1時間おこなった。さらに、紫外線硬化装置にて1000mJ/cmのアフターキュアーを行った後に、130℃の乾燥炉で30分間アフターベークを行った。
【0302】
形成された隔壁は、顕微鏡による段差測定器による測定では、縦横ともに高さ48μm、隔壁幅45μm、ピッチ1000μmであった。
【0303】
また、背面シート3の作製には、厚さ175μmのA4サイズのPETフィルム(すなわち、背面基板21)上に、厚さ18μmの銅箔付きフィルムを用いた。
【0304】
ラミネート工程において、ドライフィルムラミネータにて、銅箔付きPETフィルムにアクリル系の厚さ20μmの紫外線硬化型樹脂ドライフィルムを密着して貼り合わせた。このとき、ロール温度は110℃、送り速度は0.4m/分とした。
【0305】
次に、各電極の幅が900μm、スペースが1mmとなる露光マスクを作製した。続く露光工程において、銅箔付きPETフィルムに紫外線硬化型の樹脂ドライフィルムを貼り合わせたものに露光マスクを置き、100mJ/cmの露光量で露光を行った。
【0306】
さらに、続く現像工程において、露光を終えた紫外線硬化型樹脂ドライフィルムを、炭酸ナトリウム1%の現像液を用いたアルカリ現像機により、送り速度0.6m/分、液温35℃、シャワー圧0.15MPaの条件で現像を行った。この現像で除去されずに残った紫外線硬化型樹脂ドライフィルムにより、電極部のパターンが形成された。その後、塩化第2鉄液を用いたエッチング装置を用いて、送り速度0.5m/分、液温45℃、シャワー圧0.13MPaの条件で銅のエッチング現像を行った。これにより、各電極間のスペースに相当する不要な部分の銅箔を除去した。
【0307】
続いて、水酸化ナトリウム3%水溶液を用いたアルカリ現像機により、送り速度0.6m/分、液温45℃、シャワー圧0.12MPaの条件で電極部に残った紫外線硬化型樹脂ドライフィルムの剥離を行った。これにより、不要な部分が除去できたことが確認された。最後にイオン交換水で十分に洗浄を行い、その後、直ちにエアーブローによる水切りを実施した。
【0308】
以上の工程により、各電極の幅が895μm、スペースが105μm、ピッチが1mmの行電極22が形成されたことを確認した。各行電極22は列電極12と同様の幅およびスペースで形成されると共に、所定の間隔で各列電極12に直交するように配置され、いわゆるパッシブマトリクス構成となっている。
【0309】
次に、表示粒子の充填工程について説明する。色および帯電特性が互いに異なる2種類の表示粒子群(白色粒子40gと黒色粒子20g)の充填配合量の比率を2:1とし、その混合した粒子を、粉体スプレー中に充填した。続いて、ITO電極上に隔壁が形成された表面基板をガラス板の上にテープで固定した後に、粉体スプレーを用いて粉体を吹き付けた。セル内への投入は、体積占有率が約50%となるように調整して封入した。その後、幅5mm、長さ30mm、幅300mmのシリコーンゴムスキージを用いて隔壁の頂上にある粒子の除去を行った。
【0310】
次に、背面シート3に熱硬化型ポリエステル接着剤を塗布し、110℃で5分間の硬化を行った。その後、隔壁7が形成され、セル8内に表示粒子群が充填された表面シート2と、熱硬化型ポリエステル樹脂接着剤が塗布された背面シート3とを張り合わせる。そして温度65℃で3分間、1MPaの圧力をかけて、表面シート2と背背面シート3とを接着し、画像表示素子10を作製した。
【0311】
<表示粒子の構成>
(結着樹脂)
表1には実施例で使用した結着樹脂の特性を示す。
【0312】
【表1】

【0313】
[結着樹脂SB1]
スチレン0.68kg、アクリル酸ブチル0.12kg、2メルカプトエタノール13gを仕込み、90℃で10時間重合反応を行った。続いてスチレン0.16kg、アクリル酸ブチル40g、ジビニルベンゼン1.6g、過酸化ベンゼン1.6g、過酸化ベンゾイル6gの混合溶液を上記反応生成物に加えた後、ポリビニルアルコール1gを溶解させた脱イオン水の水溶液2kgを加えて撹拌下80℃に12時間保ち重合反応を完結させた。得られた樹脂をソツクスレー抽出器でTHFを用いて抽出したところ、不溶成分(架橋重合体)58重量%、可溶成分(低分子量重合体)42重量%に分けられた。低分子量重合体の数平均分子量(Mnf)は6500、重量平均分子量(Mwf)は13000、重量平均分子量(Mwf)と数平均分子量(Mnf)との比Wmf(Mwf/Mnf)は2であった。
【0314】
[結着樹脂SB2]
スチレン0.42kg、アクリル酸ブチル0.08kg、2−メルカプトエタノール8gを仕込み、90℃で10時間重合反応を行った。続いてスチレン0.4kg、アクリル酸ブチル0.1kg、ジビニルベンゼン2g、過酸化ベンゾイル7gの混合溶液を上記反応生成物に加えた後、ポリビニルアルコール1gを溶解させた脱イオン水の水溶液2kgを加え撹拌下80℃で12時間保ち重合反応を完結させた。後は実施例1と同じ操作を行ない、得られた樹脂は不溶成分(架橋重合体)76重量%、可溶成分(低分子量重合体)24重量%、低分子量重合体のMnfは8300、Mwfは21000、Wmf(Mwf/Mnf)は2.5であった。
【0315】
[結着樹脂SB3]
スチレン0.8kg、アクリル酸ブチル0.2kg、過酸化ベンゾイル80gを仕込み混合溶解させた後、ポリビニルアルコール1gを溶解させた脱イオン水の水溶液2kgを加え撹拌下85℃で12時間重合反応を行ない、Mnfは12000、Mwfは36000、Wmf(Mwf/Mnf)は3の低分子量重合体(SB3A)を得た。別にスチレン0.8kg、アクリル酸ブチル0.2kg、ジビニルベンゼン5g、過酸化ベンゾイル10gを仕込み混合溶解させた後、ポリビニルアルコール1gを溶解させた脱イオン水の水溶液2kgを加え撹拌下80℃で12時間重合反応を行ない架橋重合体の樹脂(SB3B)を得た。
【0316】
(顔料)
表2には実施例で使用した顔料の構成を示す。
【0317】
【表2】

【0318】
表2において、酸化チタン粒子PW1は、平均粒径0.21nmのルチル形酸化チタン(JR−405)をメチルハイドロジェンシリコーンオイルで表面処理したものである。この酸化チタンの表面処理は、酸化チタン原体(JR−405)100重量部と、シリコーンオイル(東レダウコーニングシリコーン社SH1107)10.5重量部と、トルエン300重量部とを室温で2時間撹拌し、デカンテーションして上澄みを取り除いた後、80℃に設定した真空乾燥機中で4時間加熱真空乾燥することにより行った。
【0319】
また、カーボンブラックは、粒径が24nmであり、DBP吸油量は53ml/100gと低DBP吸油量を有する顔料である。粒径はSEMによる約100個の算術平均径を取っている。
【0320】
(電荷制御剤)
表3には実施例で使用した電荷制御剤の構成を示す。CNW1、CNW2は負帯電性の電荷制御剤、CPB1は正帯電性の電荷制御剤である。
【0321】
【表3】

【0322】
(着色樹脂粒子)
表4には実施例で使用した着色樹脂粒子Aの組成を示す。表5において、配合した結着樹脂、顔料、酸変性ポリオレフィン(PO)、電荷制御剤を示し、括弧内は結着樹脂100重量部に対する各素材の配合重量部を示す。
【0323】
【表4】

【0324】
表5には実施例で使用した着色樹脂粒子の特性を示す。表5において、表面処理を施す際の熱風温度、低分子量重合体の軟化点(Tmr(℃))、熱風温度と結着樹脂の軟化点との差(Tsmr(℃))、着色樹脂粒子の形状係数(SF)、形状係数の変動係数、体積基準平均粒径R(μm)を示す。
【0325】
【表5】

【0326】
(無機微粒子)
表6には実施例で使用した微粒子の処方構成、微粒子の数平均粒径を示す。
【0327】
【表6】

【0328】
[SN1]
無機微粒子としてコロイダルシリカ(AEROSIL380(登録商標、平均粒径5nm)、日本アエロジル社製)25Gをマグネットスターらに入れ、撹拌しながら、テトラヒドロフラン10gに、上記(化13)で示されるアルキルシラン0.6g溶解した混合液を徐々に添加し、30分間攪拌した。その後、濾過し、120℃で2時間乾燥した。それをピンミルで解砕し、無機微粒子SN1を得た。
【0329】
[SN2]
無機微粒子としてゾルゲル法によるシリカ(平均粒径110nm、信越化学社製)25gをマグネットスターラに入れ、撹拌しながら、テトラヒドロフラン10gに上記(化15)で示されるアルキルシラン0.7gを溶解した混合液を徐々に添加し、30分間攪拌した。その後、濾過し、120℃で2時間乾燥した。それをピンミルで解砕し、無機微粒子SN2を得た。
【0330】
[SN3]
無機微粒子として湿式法によるシリカ(平均粒径290nm、日本触媒社製)25gをマグネットスターラに入れ、撹拌しながら、テトラヒドロフラン10gに上記(化11)で示されるアルキルシラン0.5gを溶解した混合液を徐々に添加し、30分間攪拌した。その後、濾過し、120℃で2時間乾燥した。それをピンミルで解砕し、無機微粒子SN3を得た。
【0331】
[AP1]
無機微粒子としてコロイダルシリカ(AEROSIL300(登録商標、平均粒径7nm)、日本アエロジル社製)25gをマグネットスターラに入れ、撹拌しながら、テトラヒドロフラン10gに、アミン基を有するカップリング剤としてγ−アミノプロピルトリエトキシシラン0.8gと、上記(化15)で示されるアルキルシラン0.5g溶解した混合液を徐々に添加し、30分間攪拌した。その後、濾過し、120℃で2時間乾燥した。それをピンミルで解砕し、無機微粒子AP1を得た。
【0332】
[AP2]
無機微粒子としてゾルゲル法によるシリカ(平均粒径120nm、信越化学社製)25gをマグネットスターラに入れ、撹拌しながら、テトラヒドロフラン10gに、アミン基を有するカップリング剤としてγ−アミノプロピルトリエトキシシラン0.8gと、上記(化15)で示されるアルキルシラン0.5g溶解した混合液を徐々に添加し、30分間攪拌した。その後、濾過し、120℃で2時間乾燥した。それをピンミルで解砕し、無機微粒子AP2を得た。
【0333】
(表示粒子)
表7には表示粒子のサンプルの特性を示す。括弧内は着色樹脂粒子100重量部に対する微粒子の配合重量部を示す。表7において、着色樹脂粒子と外添加する微粒子を示し、括弧内は結着樹脂100重量部に対する微粒子の配合重量部を示す。
【0334】
【表7】

【0335】
<表示脂粒子の作製>
着色樹脂粒子の作製にあたり、まず、結着樹脂、着色剤及び電荷制御剤を、撹拌羽根を具備したヘンシェルミキサFM20B(三井三池工業製)を使用して約4kg、回転数800min−1、時間5minの条件で羽根TYPE−Z0S0にてブレンド処理した。
【0336】
混合された表示粒子の原料に対し、2本ロール式の溶融混練機にて溶融混練処理を行った(三井鉱山社製、商品名KNEADEX140−800)。ロールの直径は共に140mm、長さは800mmである。原料を溶融させるための第1のロールの回転数は75min−1、原料が投入される第1のロールの前半部を加熱する熱媒体の温度は140℃、第1のロールの後半部を加熱する熱媒体の温度は70℃である。もうひとつの第2のロールの回転数は55min−1で、ロール全部を15℃で冷却した。第1のロールと第2のロールとのクリアランスは0.1mm、原料供給量は5kg/hで処理を行った。
【0337】
混練処理された後、冷却して得られた混練塊をカッターミルで粗粉砕した。粗粉砕された混練塊は、固定したステータに対して回転するローラとの微小な空隙に被粉砕物を投入して粉砕する回転ロータ式粉砕(商品名クリプトロン粉砕機、アーステクニカ社製)で微細化粉砕処理を施した。
【0338】
微細化粉砕装置は、表面に凹凸を有し高速回転する円筒状の回転体と、回転体の外側に間隙を存して嵌装され、回転体と中心軸を共有する表面に凹凸を有する円筒状の固定体とから構成される粉砕処理部を備える。被粉砕物は、粉砕処理部において、回転体と固定体との間隙に搬送され、高速回転する回転体と固定体の間に発生する高速気流の流動に伴って、相互に強い衝突を繰り返すことにより粉砕される。粉砕処理は、回転体と固定体の間隙は1.5mm、原料供給量は3kg/h、冷却エアーの温度は0.5℃の条件で実施した。なお、微粉砕時の粒径を制御するためには、粉砕回転体の回転数、粗粉分級のための分級機の回転数を変えることで所定の粒径とすることができる。
【0339】
その後、微粉砕された原料は、更に気流式分級機(商品名エルボージェット分級機、日鉄鉱業社製)により、所望の粒度分布に分級した。
【0340】
(球形化処理)
図55に、表面改質処理装置の構成図を示す。表面改質処理では、着色樹脂粒子91は、定量供給機92から投入され、粒子輸送配管111を通して圧縮空気93により粒子の分散手段である分散ノズル94(図56参照)に送られる。分散ノズル94から吐出された着色樹脂粒子91は、熱風発生装置95から熱風用配管112を通して放出される熱風96中に投入される。着色樹脂粒子91は、熱風96中を分散しながら通過し、これにより、表面改質処理され、着色樹脂粒子の形状が制御される。その後、表面改質された表示粒子はフード97内に取り込まれ、サイクロン98に送られた後に回収ボックス99に補集回収される。
【0341】
図56に、図55中の熱風中に投入される着色樹脂粒子の状態の詳細を示す。粒子輸送配管111と熱風用配管112とは同軸の二重管構造になっている。また、熱風用配管112と分散ノズル94との間には、図示しない空隙が設けられており、この空隙に冷水または冷空気を流通させることにより、熱風の熱が粒子に伝わり難くなっている。分散ノズル94は、先端に向けて徐々に細くなる先細り状を呈している。分散ノズル94の前方には、吐出された着色樹脂粒子の整流に供される分散衝突板113が設けられている。
【0342】
分散ノズル94の先端から吐出された着色樹脂粒子は、分散衝突板113に衝突し、その衝突面(曲面)に沿って横方向に流れる。その後、着色樹脂粒子は、粒子輸送配管111の外側に位置する熱風用配管112から吐出される熱風中に突入し、表面改質処理が施される。熱風温度とは、放射される熱風が最初に着色樹脂粒子と衝突する領域での温度であり、予め温度計にて放射される熱風の温度をその領域で測定しておく。
【0343】
分散衝突板113は、着色樹脂粒子の流れを層流状にする役目を果たし、これにより、均一な表面改質処理が可能となり、形状係数の変動係数を小さくできる。
【0344】
上記表面改質処理では、フード97内に取り込まれた表面改質された表示粒子に対し、冷却器101から発生される冷却空気102により冷却処理を施すことが好ましい。この冷却空気102による急速冷却により処理の状態を安定化させることができる。冷却空気102の風量は処理量に応じて適宜設定することができる。表示粒子が熱風で処理される位置から冷却空気が当てられる地点までの距離は、処理量により定められるが、一般に10〜100cm、好ましくは20〜80cmである。冷却空気102の温度は、特に限定されないが、10℃以下が好ましい。また、別法として、水冷による方法、配管の周囲に冷却された固体物(ドライアイス等)を配置する方法等を用いることもできる。
【0345】
上記表面改質処理は、熱風風量が1.0Nm/min(風圧5×10Pa)、分散ノズル94の原料供給分散風量が0.5Nm/min(風圧3×10Pa)、供給量が1kg/hで処理を行った。熱風による処理では、結着樹脂の軟化点よりも110〜250℃高い温度の熱風を用いた。この熱風の温度を変えることにより、着色樹脂粒子の形状を制御することが可能である。
【0346】
熱風風量は、風圧3〜5×10Paで0.35〜1.0Nm/minが好適な範囲であり、また、原料供給分散風量は、風圧1〜3×10Paで、0.05〜0.5Nm/minが好適な範囲である。また、熱風風量と原料供給分散風量の比は10:1〜4:1の範囲が好ましい。原料供給分散風量に対する熱風96の風量が大き過ぎると被処理粒子がはじかれて均一な処理が困難となる。また、熱風風量に対する原料供給分散風量が大き過ぎると被処理粒子が熱風中を横切り均一な処理が困難となる。
【0347】
なお、熱風発生装置95としては、プロパンガス等により加熱されるヒータを使用したが、これに限らず、熱風を発生できるものであればよい。
【0348】
(着色樹脂粒子への微粒子の添加)
表面処理が施された着色樹脂粒子は、第1の微粒子(場合によっては、第2表示粒子を含む)と混合され、当該第1の微粒子を着色樹脂粒子に静電的に付着させる外添処理を行った。外添処理は、ヘンシェルミキサ(三井鉱山社製FM20B)を使用し、攪拌羽根Z0S0型、回転数2200min−1、処理時間4min、投入量1kgの条件で実施した。
【0349】
場合によっては、上述のように第1の微粒子を着色樹脂粒子に静電的に付着させた後に、上記した表面改質処理と同様の熱風による処理を施すことも可能である。これにより、着色樹脂粒子の結着樹脂が一部溶融し、表面張力により、静電的に付着した第1の微粒子の全部または一部を着色樹脂粒子表面に固着させることができる。
【0350】
また、別法として、上記第1の微粒子の外添処理の前に、第2表示粒子のみを上記と同様に着色樹脂粒子に付着させた後、上記した表面改質処理と同様の熱風による処理を施すことにより、第2表示粒子の全部または一部を事前に着色樹脂粒子表面に固着させる外添処理(事前添加工程)を実施することができる。この場合、第1の微粒子は、第2表示粒子が固着された着色樹脂粒子に対して付着または固着される。
【0351】
<表示粒子の評価>
上記構成の画像表示素子に対し、駆動電圧(白色粒子と黒色粒子を入れ替えて白黒反転表示を行う際に、電極間に印加する電圧)特性の評価(駆動電圧とコントラストの関係の評価)を行った。
【0352】
表面基板と背面基板との電極間に一定の電圧を印加し、その電圧値において黒色/白色表示時の反射画像濃度(IDb、IDw)測定を行い、次の(数式2)で表される各駆動電圧に対するコントラストCを算出して、駆動電圧特性の評価を行った。
【0353】
C=10(−IDw)/10(−IDb)・・・(数式2)
【0354】
(評価試験1)
白色表示粒子DW1と黒色表示粒子DB1を組み合わせた表示粒子群を、画像表示素子に封入し、図10及び図16に示すプロセスにて、コントラストの評価を行った。
【0355】
まず、表示画素を全面白色表示に書き換えるため、表面基板側の各列電極に極性反転を伴わない一方向極性の電圧パルスVhr1(+250V)を複数回間欠的に印加した。このとき背面基板側の行電極の電位は0Vである。電圧パルスVhr1の1パルスの印加時間は20ms、印加間隔は10msにて、10回のパルスを印加した。Vhd1も+250Vであり、印加時間は30msecである。
【0356】
次に、図16に示す電圧波形にて、一部の画素を黒色表示に書き換えた。まず、表面基板側の各列電極に、直流電圧成分Vku1を遅延時間50msで傾きを持たせたスロープ状の波形にて電圧を立ち上げた。所定の直流電圧成分Vkr1(−100V)に到達した後、画像書き換え電圧を30ms間印加し、その後、遅延時間50msで傾きを持たせたスロープ状の波形にて電圧Vks1を立ち下げて、書込み画素に黒色を表示させた。また、非書込み画素は白色表示のままとさせて、マクベス濃度計を用いて黒色表示画素部と白色表示画素部の反射画像濃度(IDb、IDw)を測定した。このとき、列電極への直流電圧印加と同期して、背面基板側の行電極に遅延時間50msで傾きを持たせたスロープ状の波形にて電圧を立ち上げた直流電圧成分(+100V)を印加した。
【0357】
次に、表示画素を全面白色表示に書き換えるため、表面基板側の各列電極に極性反転を伴わない一方向極性の電圧パルスVhr1(+250V)を複数回間欠的に印加した。このとき背面基板側の行電極の電位は0Vである。電圧パルスVhr1の1パルスの印加時間は20ms、印加間隔は10ms、10回のパルスを印加した。Vhd1も+250Vで、印加時間は30msecである。
【0358】
その後、表面基板側の列電極に、直流電圧成分を遅延時間50msで傾きを持たせたスロープ状の波形にて電圧を立ち上げた。所定の直流電圧成分(−90V)に到達した後、画像書き換え電圧を30ms間印加し、その後、遅延時間50msで傾きを持たせたスロープ状の波形にて電圧を立ち下げて、書込み画素に黒色を表示させ、非書込み画素は白色表示のままとさせて、マクベス濃度計を用いて黒色表示画素部と白色表示画素部の反射画像濃度(IDb、IDw)を測定した。このとき、列電極への直流電圧印加と同期して、背面基板側の行電極に遅延時間50msで傾きを持たせたスロープ状の波形にて電圧を立ち上げた直流電圧成分(+90V)を印加した。
【0359】
その後は、同様に行電極と列電極間に印加される画像書き換え電圧を20Vステップで電圧値を低減しながら、上記した評価手順で反射画像濃度(IDb、IDw)測定を行い、各駆動電圧に対するコントラスト特性C−A1を算出した。
【0360】
(評価試験2)
白色表示粒子DW1と黒色表示粒子DB1を組み合わせた表示粒子群を、画像表示素子に封入し、図10及び図18に示すプロセスにて、コントラストの評価を行った。
【0361】
まず、表示画素を全面白色表示に書き換えるため、図10に示す電圧波形にて表面基板側の各列電極に極性反転を伴わない一方向極性の電圧パルスVhr1(+250V)を複数回間欠的に印加した。このとき背面基板側の行電極の電位は0Vである。電圧パルスVhr1の1パルスの印加時間は50ms、印加間隔は10msにて、6回のパルスを印加した。Vhd1も+250Vであり、印加時間は30msecである。
【0362】
その後、図18に示す電圧波形にて、一部の画素を黒色表示に書き換えた。まず、表面基板側の各列電極に極性反転を伴わない一方向極性の電圧パルスVku1を、一定の割合で振幅を増加させる構成で印加した。Vku1の1パルスの印加時間は10ms、1パルスの印加間隔時間は10msであり、0Vから1パルスごとに10Vずつ増加させて所定の−100Vにまで電圧を立ち上げた。所定の直流電圧成分(−100V)に到達した後、画像書き換え電圧Vkr1を30ms間印加した。その後、極性反転を伴わない一方向極性の電圧パルスVks1を、一定の割合で振幅を減衰させるように印加した。
【0363】
Vks1の1パルスの印加時間は10ms、1パルスの印加間隔時間は10msであり、所定の−100Vから10Vずつ減衰させて0Vにまで立ち下げて直流電圧をオフにした。このとき、列電極への直流電圧印加と同期して、背面基板側の各行電極に遅延時間200msで傾きを持たせたスロープ状の波形にて電圧を立ち上げた。所定の直流電圧(+100V)に到達後、画像書き換え時間30ms間印加した。その後、遅延時間200msで傾きを持たせたスロープ状の波形にて電圧を立ち下げて、書込み画素に黒色を表示させ、非書込み画素は白色表示のままとさせて、マクベス濃度計を用いて黒色表示画素部と白色表示画素部の反射画像濃度(IDb、IDw)を測定した。
【0364】
次に、表示画素を全面白色表示に書き換えるため、表面基板側の各列電極に極性反転を伴わない一方向極性の電圧パルスVhr1(+250V)を複数回間欠的に印加した。このとき背面基板側の行電極の電位は0Vである。電圧パルスVhr1の1パルスの印加時間は50ms、印加間隔は10msにて、6回のパルスを印加した。Vhd1も+250Vであり、印加時間は30msecである。
【0365】
その後、一部の画素を黒色表示に書き換えた。まず、表面基板側の各列電極に極性反転を伴わない一方向極性の電圧パルスVku1を、一定の割合で振幅を増加させる構成で印加した。Vku1の1パルスの印加時間は10ms、1パルスの印加間隔時間は10msであり、0Vから1パルスごとに10Vずつ増加させて所定の−90Vにまで電圧を立ち上げた。所定の直流電圧成分(−90V)に到達した後、画像書き換え電圧Vkr1を30ms間印加した。その後、極性反転を伴わない一方向極性の電圧パルスVks1を、一定の割合で振幅を減衰させる構成で印加した。Vks1の1パルスの印加時間は10ms、1パルスの印加間隔時間は10msであり、所定の−90Vから10Vずつ減衰させて0Vにまで立ち下げて直流電圧をオフにした。
【0366】
このとき、列電極への直流電圧印加と同期して、背面基板側の各行電極に遅延時間180msで傾きを持たせたスロープ状の波形にて電圧を立ち上げた。所定の直流電圧(+90V)に到達後、画像書き換え時間30ms間印加した。その後、遅延時間180msで傾きを持たせたスロープ状の波形にて電圧を立ち下げて、書込み画素に黒色を表示させ、非書込み画素は白色表示のままとさせて、マクベス濃度計を用いて黒色表示画素部と白色表示画素部の反射画像濃度(IDb、IDw)を測定した。
【0367】
その後は、同様に行電極と列電極間に印加される画像書き換え電圧を20Vステップで電圧値を低減しながら、上記した評価手順で反射画像濃度(IDb、IDw)測定を行い、各駆動電圧に対するコントラスト特性C−A2を算出した。
【0368】
(評価試験3)
白色表示粒子DW1と黒色表示粒子DB1を組み合わせた表示粒子群を、画像表示素子に封入し、図11及び図16で示すプロセスにて、コントラストの評価を行った。
【0369】
まず、表示画素を全面白色表示に書き換えるため、図11に示す電圧波形にて表面基板側の各列電極に極性反転を伴わない一方向極性の電圧パルスVhr1(+250V)を複数回間欠的に印加した。このとき背面基板側の行電極の電位は0Vである。電圧パルスVhr1の1パルスの印加時間は100ms、印加間隔は10msにて、5回のパルスを印加した。Vhd1も+250Vであり、印加時間は50msecである。その後、この電圧を遅延時間100msecでスロープ状の波形にて0Vに電圧を立ち下げた。
【0370】
次に、一部の画素を黒色表示に書き換えるプロセスは、評価試験1と同じプロセスにて行い、マクベス濃度計を用いて黒色表示画素部と白色表示画素部の反射画像濃度(IDb、IDw)を測定した。
【0371】
次に、表示画素を全面白色表示に書き換えるため、表面基板側の各列電極に極性反転を伴わない一方向極性の電圧パルスVhr1(+250V)を複数回間欠的に印加した。このとき背面基板側の行電極の電位は0Vである。電圧パルスVhr1の1パルスの印加時間は100ms、印加間隔は10msにて、5回のパルスを印加した。Vhd1も+250Vであり、印加時間は30msecである。その後、この電圧を遅延時間100msecでスロープ状の波形にて0Vに電圧を立ち下げた。
【0372】
次に、一部の画素を黒色表示に書き換えるプロセスは、評価試験1と同じプロセスにて行い、マクベス濃度計を用いて黒色表示画素部と白色表示画素部の反射画像濃度(IDb、IDw)を測定した。
【0373】
その後は、同様に行電極と列電極間に印加される画像書き換え電圧を20Vステップで電圧値を低減しながら、上記した評価手順で反射画像濃度(IDb、IDw)測定を行い、各駆動電圧に対するコントラスト特性C−A3を算出した。
【0374】
(評価試験4)
白色表示粒子DW1と黒色表示粒子DB1を組み合わせた表示粒子群を、画像表示素子に封入し、図12及び図18で示すプロセスにて、コントラストの評価を行った。
【0375】
まず、表示画素を全面白色表示に書き換えるため、図12に示す電圧波形にて表面基板側の各列電極に極性反転を伴わない一方向極性の電圧パルスVhr1(+250V)を複数回間欠的に印加した。このとき背面基板側の行電極の電位は0Vである。電圧パルスVhr1の1パルスの印加時間は20ms、印加間隔は10msにて、20回のパルスを印加した。Vhd1も+250Vで、印加時間は20msecである。その後、この電圧を、極性反転を伴わない一方向極性の電圧パルスVhs1を、一定の割合で振幅を減衰させる構成で印加した。Vhs1の1パルスの印加時間は10ms、1パルスの印加間隔時間は10msであり、所定の250Vから25Vずつ減衰させて0Vにまで立ち下げて電圧をオフにした。
【0376】
次に、一部の画素を黒色表示に書き換えるプロセスは、評価試験2と同じプロセスにて行い、マクベス濃度計を用いて黒色表示画素部と白色表示画素部の反射画像濃度(IDb、IDw)を測定した。
【0377】
次に、表示画素を全面白色表示に書き換えるため、表面基板側の各列電極に極性反転を伴わない一方向極性の電圧パルスVhr1(+250V)を複数回間欠的に印加した。このとき背面基板側の行電極の電位は0Vである。電圧パルスVhr1の1パルスの印加時間は20ms、印加間隔は10msにて、20回のパルスを印加した。Vhd1も+250Vであり、印加時間は20msecである。その後、この電圧を、極性反転を伴わない一方向極性の電圧パルスVhs1を、一定の割合で振幅を減衰させる構成で印加した。Vhs1の1パルスの印加時間は10ms、1パルスの印加間隔時間は10msであり、所定の250Vから25Vずつ減衰させて0Vにまで立ち下げて電圧をオフにした。
【0378】
次に、一部の画素を黒色表示に書き換えるプロセスは、評価試験2と同じプロセスにて行い、マクベス濃度計を用いて黒色表示画素部と白色表示画素部の反射画像濃度(IDb、IDw)を測定した。
【0379】
その後は、同様に行電極と列電極間に印加される画像書き換え電圧を20Vステップで電圧値を低減しながら、上記した評価手順で反射画像濃度(IDb、IDw)測定を行い、各駆動電圧に対するコントラスト特性C−A4を算出した。
【0380】
(評価試験5)
白色表示粒子DW1と黒色表示粒子DB1を組み合わせた表示粒子群を、画像表示素子に封入し、図13及び図18で示すプロセスにて、コントラストの評価を行った。
【0381】
まず、表示画素を全面白色表示に書き換えるため、図13に示す電圧波形にて表面基板側の各列電極に極性反転を伴わない一方向極性の電圧パルスVhu1を、一定の割合で振幅を増加させる構成で印加した。Vhu1の1パルスの印加時間は10ms、1パルスの印加間隔時間は10msであり、0Vから1パルスごとに25Vずつ増加させて所定の250Vにまで電圧を立ち上げた。所定の直流電圧成分(−250V)に到達した後、極性反転を伴わない一方向極性の電圧パルスVhr1(+250V)を複数回間欠的に印加した。このとき背面基板側の行電極の電位は0Vである。電圧パルスVhr1の1パルスの印加時間は50ms、印加間隔は10msにて、10回のパルスを印加した。Vhd1も+250Vであり、印加時間は50msecである。その後、この電圧を遅延時間100msecでスロープ状の波形にて0Vに電圧を立ち下げた。
【0382】
次に、一部の画素を黒色表示に書き換えるプロセスは、評価試験2と同じプロセスにて行い、マクベス濃度計を用いて黒色表示画素部と白色表示画素部の反射画像濃度(IDb、IDw)を測定した。
【0383】
次に、表示画素を全面白色表示に書き換えるため、表面基板側の各列電極に極性反転を伴わない一方向極性の電圧パルスVhu1を、一定の割合で振幅を増加させる構成で印加した。Vhu1の1パルスの印加時間は10ms、1パルスの印加間隔時間は10msであり、0Vから1パルスごとに25Vずつ増加させて所定の−250Vにまで電圧を立ち上げた。所定の直流電圧成分(−250V)に到達した後、極性反転を伴わない一方向極性の電圧パルスVhr1(+250V)を複数回間欠的に印加した。このとき背面基板側の行電極の電位は0Vである。電圧パルスVhr1の1パルスの印加時間は50ms、印加間隔は10msにて、10回のパルスを印加した。Vhd1も+250Vであり、印加時間は50msecである。その後、この電圧を遅延時間100msecでスロープ状の波形にて0Vに電圧を立ち下げた。
【0384】
次に、一部の画素を黒色表示に書き換えるプロセスは、評価試験2と同じプロセスにて行い、マクベス濃度計を用いて黒色表示画素部と白色表示画素部の反射画像濃度(IDb、IDw)を測定した。
【0385】
その後は、同様に行電極と列電極間に印加される画像書き換え電圧を20Vステップで電圧値を低減しながら、上記した評価手順で反射画像濃度(IDb、IDw)測定を行い、各駆動電圧に対するコントラスト特性C−A5を算出した。
【0386】
(評価試験6)
白色表示粒子DW1と黒色表示粒子DB1を組み合わせた表示粒子群を、画像表示素子に封入し、図14及び図18で示すプロセスにて、コントラストの評価を行った。
【0387】
まず、表示画素を全面白色表示に書き換えるため、図12に示す電圧波形にて表面基板側の各列電極に極性反転を伴わない一方向極性の電圧パルスVhu1を、一定の割合で振幅を増加させる構成で印加した。Vhu1の1パルスの印加時間は10ms、1パルスの印加間隔時間は10msであり、0Vから1パルスごとに25Vずつ増加させて所定の250Vにまで電圧を立ち上げた。その後、極性反転を伴わない一方向極性の電圧パルスVhr1(+250V)を複数回間欠的に印加した。このとき背面基板側の行電極の電位は0Vである。電圧パルスVhr1の1パルスの印加時間は30ms、印加間隔は10msにて、15回のパルスを印加した。Vhd1も+250Vであり、印加時間は30msecである。その後、この電圧を、極性反転を伴わない一方向極性の電圧パルスVhs1を、一定の割合で振幅を減衰させる構成で印加した。Vhs1の1パルスの印加時間は10ms、1パルスの印加間隔時間は10msであり、所定の250Vから25Vずつ減衰させて0Vにまで立ち下げて電圧をオフにした。
【0388】
次に、一部の画素を黒色表示に書き換えるプロセスは、評価試験2と同じプロセスにて行い、マクベス濃度計を用いて黒色表示画素部と白色表示画素部の反射画像濃度(IDb、IDw)を測定した。
【0389】
次に、表示画素を全面白色表示に書き換えるため、表面基板側の各列電極に極性反転を伴わない一方向極性の電圧パルスVhu1を、一定の割合で振幅を増加させる構成で印加した。Vhu1の1パルスの印加時間は10ms、1パルスの印加間隔時間は10msであり、0Vから1パルスごとに25Vずつ増加させて所定の250Vにまで電圧を立ち上げた。その後、極性反転を伴わない一方向極性の電圧パルスVhr1(+250V)を複数回間欠的に印加した。このとき背面基板側の行電極の電位は0Vである。電圧パルスVhr1の1パルスの印加時間は30ms、印加間隔は10ms、15回のパルスを印加した。Vhd1も+250Vであり、印加時間は30msecである。その後、この電圧を、極性反転を伴わない一方向極性の電圧パルスVhs1を、一定の割合で振幅を減衰させる構成で印加した。Vhs1の1パルスの印加時間は10ms、1パルスの印加間隔時間は10msであり、所定の250Vから25Vずつ減衰させて0Vにまで立ち下げて電圧をオフにした。
【0390】
次に、一部の画素を黒色表示に書き換えるプロセスは、評価試験2と同じプロセスにて行い、マクベス濃度計を用いて黒色表示画素部と白色表示画素部の反射画像濃度(IDb、IDw)を測定した。
【0391】
その後は、同様に行電極と列電極間に印加される画像書き換え電圧を20Vステップで電圧値を低減しながら、上記した評価手順で反射画像濃度(IDb、IDw)測定を行い、各駆動電圧に対するコントラスト特性C−A6を算出した。
【0392】
(評価試験7)
次に、白色表示粒子DW1と黒色表示粒子DB1を組み合わせた表示粒子群を、画像表示素子に封入し、図15で示すプロセスにて、コントラストの評価を行った。表示画素を全面白色表示に書き換えるため、表面基板側の各列電極に、双方向極性の交番電圧Vha1(周波数100Hz,0Vとpeak間の電圧差250V)を50msec間印加した。その後、極性反転を伴わない一方向極性の電圧パルスVhr1(+250V)を複数回間欠的に印加した。このとき背面基板側の行電極の電位は0Vである。電圧パルスVhr1の1パルスの印加時間は100ms、印加間隔は10msにて、5回のパルスを印加した。Vhd1も+250Vであり、印加時間は50msecである。その後、この電圧を遅延時間100msecでスロープ状の波形にて0Vに電圧を立ち下げた。
【0393】
次に、一部の画素を黒色表示に書き換えるプロセスは、評価試験2と同じプロセスにて行い、マクベス濃度計を用いて黒色表示画素部と白色表示画素部の反射画像濃度(IDb、IDw)を測定した。
【0394】
次に、表示画素を全面白色表示に書き換えるため、表面基板側の各列電極に極性反転を伴わない一方向極性の電圧パルスVhr1(+250V)を複数回間欠的に印加した。このとき背面基板側の行電極の電位は0Vである。電圧パルスVhr1の1パルスの印加時間は100ms、印加間隔は10msにて、5回のパルスを印加した。Vhd1も+250Vであり、印加時間は30msecである。その後、この電圧を遅延時間100msecでスロープ状の波形にて0Vに電圧を立ち下げた。
【0395】
次に、一部の画素を黒色表示に書き換えるプロセスは、評価試験2と同じプロセスにて行い、マクベス濃度計を用いて黒色表示画素部と白色表示画素部の反射画像濃度(IDb、IDw)を測定した。
【0396】
その後は、同様に行電極と列電極間に印加される画像書き換え電圧を20Vステップで電圧値を低減しながら、上記した評価手順で反射画像濃度(IDb、IDw)測定を行い、各駆動電圧に対するコントラスト特性C−A7を算出した。
【0397】
(比較試験1)
比較例として、図5に示す単一の矩形型の100Vのパルス印加により白と黒を表示させたときの各駆動電圧に対するコントラスト特性C-B1を算出した。各駆動電圧に対する各コントラスト特性を表8に示す。図57にはそれをグラフ化したものを示す。
【0398】
【表8】

【0399】
本発明における白色表示粒子DW1と黒色表示粒子DB1を組み合わせた表示粒子群で、評価試験1における評価特性C−A1は、高コントラスト値を発現している。さらに、本発明の評価試験2における評価特性C−A2は、より高コントラスト値を発現している。さらには、本発明における、評価試験3における評価特性C−A3は、一層の高コントラスト値を発現している。白色表示粒子DW3と黒色表示粒子DB3を組み合わせた表示粒子群で、評価試験5における評価特性C−A5も同様に高コントラスト値を発現している。比較例C−B1においては、クロストークの影響で画像コントラストは低い値となっている。
【0400】
<表示粒子の評価>
(評価試験8)
白色表示粒子DW1と黒色表示粒子DB1を組み合わせた表示粒子群を、画像表示素子に封入し、図23に示すように、直流電圧に矩形波の交番電圧を重畳した画像表示バイアスを印加するプロセスにて、コントラストの評価を行った。
【0401】
まず、表面基板側の全列電極に+200Vを印加し、行電極は0Vとして、表示画素全面を再度白色に表示させた。その後、表面基板側の列電極に、交番電圧成分Vav(周波数1kHz,ピークツーピーク間の電圧差Vp140V)を重畳した直流電圧成分(−100V)を印加し、これと同期して背面基板側の行電極に直流電圧成分(+100V)を印加して、書込み画素に黒色を表示させ、非書込み画素は白色表示のままとさせて、マクベス濃度計を用いて黒色表示画素部と白色表示画素部の反射画像濃度(IDb、IDw)を測定した。画像書き換え電圧印加期間は30msであり、そのうち交番電圧成分Vavは20ms間印加し、直流電圧のみ印加される期間は10msである。
【0402】
次に、表面基板側の全列電極に+200Vを印加し、行電極は0Vとして、表示画素全面を再度白色に表示させた。その後、表面基板側の列電極に、交番電圧成分Vav(周波数1kHz,ピークツーピーク間の電圧差Vp126V)を重畳した直流電圧成分(−90V)を印加し、これと同期して背面基板側の行電極に直流電圧成分(+90V)を印加して、書込み画素に黒色を表示させ、非書込み画素は白色表示のままとさせて、マクベス濃度計を用いて黒色表示画素部と白色表示画素部の反射画像濃度(IDb、IDw)を測定した。画像書き換え電圧印加期間は30msであり、そのうち交番電圧成分Vavは20ms間印加した。直流電圧のみ印加される期間は10msである。
【0403】
その後は、同様に行電極と列電極間に印加される直流電圧成分を20Vステップで電圧値を低減し、列電極の直流電圧に重畳される交番電圧成分のピークツーピーク間の電圧差Vpの半分値を、直流電圧成分Vdの7割の電圧値としながら反射画像濃度(IDb、IDw)測定を行い、各駆動電圧に対するコントラスト特性AV−P1を算出した。
【0404】
(評価試験9)
白色表示粒子DW1と黒色表示粒子DB1を組み合わせた表示粒子群を、画像表示素子に封入し、図26に示すように、直流電圧に矩形波の交番電圧を重畳した画像表示バイアスを印加するプロセスにて、コントラストの評価を行った。
【0405】
まず、表面基板側の全列電極に+200Vを印加し、行電極は0Vとして、表示画素全面を再度白色に表示させた。その後、表面基板側の列電極に、交番電圧成分Vav(周波数1kHz,ピークツーピーク間の電圧差Vp180V)を重畳した直流電圧成分(−100V)を印加し、これと同期して背面基板側の行電極に直流電圧成分(+100V)を印加して、書込み画素に黒色を表示させ、非書込み画素は白色表示のままとさせて、マクベス濃度計を用いて黒色表示画素部と白色表示画素部の反射画像濃度(IDb、IDw)を測定した。直流電圧に交番電圧を印加した画像書き換え電圧印加期間は30msとした。
【0406】
次に、表面基板側の全列電極に+200Vを印加し、行電極は0Vとして、表示画素全面を再度白色に表示させた。その後、表面基板側の列電極に、交番電圧成分Vav(周波数1kHz,ピークツーピーク間の電圧差Vp162V)を重畳した直流電圧成分(−90V)を印加し、これと同期して背面基板側の行電極に直流電圧成分(+90V)を印加して、書込み画素に黒色を表示させ、非書込み画素は白色表示のままとさせて、マクベス濃度計を用いて黒色表示画素部と白色表示画素部の反射画像濃度(IDb、IDw)を測定した。直流電圧に交番電圧を印加した画像書き換え電圧印加期間は30msとした。
【0407】
その後は、同様に行電極と列電極間に印加される直流電圧成分を20Vステップで電圧値を低減し、列電極の直流電圧に重畳される交番電圧成分のピークツーピーク間の電圧差Vpの半分値を、直流電圧成分Vdの9割の電圧値としながら反射画像濃度(IDb、IDw)測定を行い、各駆動電圧に対するコントラスト特性AV−P2を算出した。
【0408】
(評価試験10)
白色表示粒子DW1と黒色表示粒子DB1を組み合わせた表示粒子群を、画像表示素子に封入し、図29に示すように、直流電圧に矩形波の交番電圧を重畳した画像表示バイアスを印加するプロセスにて、コントラストの評価を行った。
【0409】
まず、表面基板側の全列電極に+200Vを印加し、行電極は0Vとして、表示画素全面を再度白色に表示させた。その後、表面基板側の列電極に、交番電圧成分Vav(周波数1kHz,ピークツーピーク間の電圧差Vp180V)を重畳した直流電圧成分(−100V)を印加し、これと同期して背面基板側の行電極に直流電圧成分(+100V)を印加して、書込み画素に黒色を表示させ、非書込み画素は白色表示のままとさせて、マクベス濃度計を用いて黒色表示画素部と白色表示画素部の反射画像濃度(IDb、IDw)を測定した。
【0410】
画像書き換え電圧印加期間は30msであり、そのうち交番電圧成分Vavは25ms間印加した。直流電圧Vdvのみ印加される期間は5msである。Vdv印加終了した後、この電圧を遅延時間(Ts)100msで傾きを持たせたスロープ状の波形にて立ち下げた。このとき交番電圧Vavの最終成分は、表示させる色粒子(この場合は黒色粒子)を画像表示基板側から引き戻させる成分により形成している。
【0411】
次に、表面基板側の全列電極に+200Vを印加し、行電極は0Vとして、表示画素全面を再度白色に表示させた。その後、表面基板側の列電極に、交番電圧成分Vav(周波数1kHz,ピークツーピーク間の電圧差Vp162V)を重畳した直流電圧成分(−90V)を印加し、これと同期して背面基板側の行電極に直流電圧成分(+90V)を印加して、書込み画素に黒色を表示させ、非書込み画素は白色表示のままとさせて、マクベス濃度計を用いて黒色表示画素部と白色表示画素部の反射画像濃度(IDb、IDw)を測定した。
【0412】
画像書き換え電圧印加期間は30msであり、そのうち交番電圧成分Vavは25ms間印加した。直流電圧Vdvのみ印加される期間は5msである。Vdv印加終了した後、この電圧を遅延時間(Ts)100msで傾きを持たせたスロープ状の波形にて立ち下げた。このとき交番電圧Vavの最終成分は、表示させる色粒子(この場合は黒色粒子)を画像表示基板側から引き戻させる成分により形成している。
【0413】
その後は、同様に行電極と列電極間に印加される直流電圧成分を20Vステップで電圧値を低減し、列電極の直流電圧に重畳される交番電圧成分のピークツーピーク間の電圧差Vpの半分値を、直流電圧成分Vdの9割の電圧値としながら反射画像濃度(IDb、IDw)測定を行い、各駆動電圧に対するコントラスト特性AV−P3を算出した。
【0414】
(評価試験11)
次に、白色表示粒子DW2と黒色表示粒子DB2を組み合わせた表示粒子群を、画像表示素子に封入し、図30に示すように、直流電圧に矩形波の交番電圧を重畳した画像表示バイアスを印加するプロセスにて、コントラストの評価を行った。
【0415】
まず、表面基板側の全列電極に+200Vを印加し、行電極は0Vとして、表示画素全面を再度白色に表示させた。その後、表面基板側の列電極に、交番電圧成分Vav(周波数1kHz,ピークツーピーク間の電圧差Vp180V)を重畳した直流電圧成分(−100V)を印加し、これと同期して背面基板側の行電極に直流電圧成分(+100V)を印加して、書込み画素に黒色を表示させ、非書込み画素は白色表示のままとさせて、マクベス濃度計を用いて黒色表示画素部と白色表示画素部の反射画像濃度(IDb、IDw)を測定した。
【0416】
直流電圧に交番電圧を印加した画像書き換え電圧印加期間は30msとした。Vav印加終了した後、この電圧を遅延時間30msで傾きを持たせたスロープ状の波形にて立ち下げた。このとき交番電圧Vavの最終成分は、表示させる色粒子(この場合は黒色粒子)を画像表示基板側から引き戻させる成分により形成している。
【0417】
次に、表面基板側の全列電極に+200Vを印加し、行電極は0Vとして、表示画素全面を再度白色に表示させた。その後、表面基板側の列電極に、交番電圧成分Vav(周波数1kHz,ピークツーピーク間の電圧差Vp162V)を重畳した直流電圧成分(−90V)を印加し、これと同期して背面基板側の行電極に直流電圧成分(+90V)を印加して、書込み画素に黒色を表示させ、非書込み画素は白色表示のままとさせて、マクベス濃度計を用いて黒色表示画素部と白色表示画素部の反射画像濃度(IDb、IDw)を測定した。
【0418】
直流電圧に交番電圧を印加した画像書き換え電圧印加期間は30msとした。Vav印加終了した後、この電圧を遅延時間30msで傾きを持たせたスロープ状の波形にて立ち下げた。このとき交番電圧Vavの最終成分は、表示させる色粒子(この場合は黒色粒子)を画像表示基板側から引き戻させる成分により形成している。
【0419】
その後は、同様に行電極と列電極間に印加される直流電圧成分を20Vステップで電圧値を低減し、列電極の直流電圧に重畳される交番電圧成分のピークツーピーク間の電圧差Vpの半分値を、直流電圧成分Vdの9割の電圧値としながら反射画像濃度(IDb、IDw)測定を行い、各駆動電圧に対するコントラスト特性AV−P4を算出した。
【0420】
(評価試験12)
白色表示粒子DW3と黒色表示粒子DB3を組み合わせた表示粒子群を、画像表示素子に封入し、評価試験10と同じプロセスにて、各駆動電圧に対するコントラスト特性AV−P5を算出した。
【0421】
各駆動電圧に対する各コントラスト特性を表9に示す。図58にはそれをグラフ化したものを示す。
【0422】
【表9】

【0423】
本発明における白色表示粒子DW1と黒色表示粒子DB1を組み合わせた表示粒子群で、評価試験1における評価特性AV−P1は、交番電界に対応した粒子の繰り返しの往復運動による効果と考えられる高コントラスト値を発現している。また、本発明における白色表示粒子DW1と黒色表示粒子DB1を組み合わせた表示粒子群で、評価試験2における評価特性AV−P2はより高いコントラスト値を発現している。また、本発明における白色表示粒子DW2と黒色表示粒子DB2を組み合わせた表示粒子群で、評価試験4における評価特性AV−P4もより高いコントラスト値を発現している。さらに、本発明における白色表示粒子DW1と黒色表示粒子DB1を組み合わせた表示粒子群で、評価試験3における評価特性AV−P3や、白色表示粒子DW3と黒色表示粒子DB3を組み合わせた表示粒子群で、評価試験5における評価特性AV−P5はさらに高いコントラスト値を発現している。比較例C−B1においては、交番電界による粒子の往復運動を付与していないため、画像コントラストは低い値となっている。
【0424】
(評価試験13)
白色表示粒子DW1と黒色表示粒子DB1を組み合わせた表示粒子群を、画像表示素子に封入し、図31に示すように、直流電圧に矩形波の交番電圧を重畳した画像表示電圧を印加するプロセスにて、コントラストの評価を行った。
【0425】
まず、表面基板側の全列電極に+200Vを印加し、行電極は0Vとして、表示画素全面を再度白色に表示させた。その後、表面基板側の列電極に、直流電圧成分(Vd=−100V)と、その直流電圧成分に対して三角波的に振幅が時間とともに増加し、最大振幅値に到達後、振幅が減衰する波形の交番電圧成分(周波数1kHz,ピークツーピーク間の最大電圧差(Vp)180V)を重畳した電圧を印加し、それと同期して背面基板側の行電極に直流電圧成分(+100V)を印加して、書込み画素に黒色を表示させ、非書込み画素は白色表示のままとさせて、マクベス濃度計を用いて黒色表示画素部と白色表示画素部の反射画像濃度(IDb、IDw)を測定した。画像書き換え電圧印加期間(Td)は30msとした。
【0426】
次に、表面基板側の全列電極に+200Vを印加し、行電極は0Vとして、表示画素全面を再度白色に表示させた。その後、表面基板側の列電極に、直流電圧成分(Vd=−90V)と、その直流電圧成分に対して三角波的に振幅が時間とともに増加し、最大振幅値に到達後、振幅が減衰する波形の交番電圧成分(周波数1kHz,ピークツーピーク間の最大電圧差(Vp)162V)を重畳した電圧を印加し、それと同期して背面基板側の行電極に直流電圧成分(+90V)を印加して、書込み画素に黒色を表示させ、非書込み画素は白色表示のままとさせて、マクベス濃度計を用いて黒色表示画素部と白色表示画素部の反射画像濃度(IDb、IDw)を測定した。画像書き換え電圧印加期間(Td)は30msとした。
【0427】
その後は、同様に行電極と列電極間に印加される直流電圧成分を20Vステップで電圧値を低減し、列電極の直流電圧に重畳される交番電圧成分のピークツーピーク間の最大電圧差Vpの半分値を、直流電圧成分Vdの9割の電圧値としながら反射画像濃度(IDb、IDw)測定を行い、各駆動電圧に対するコントラスト特性AM−P1を算出した。
【0428】
(評価試験14)
白色表示粒子DW2と黒色表示粒子DB2を組み合わせた表示粒子群を、画像表示素子に封入し、図35に示すように、直流電圧に矩形波の交番電圧を重畳した画像表示電圧を印加するプロセスにて、コントラストの評価を行った。
【0429】
まず、表面基板側の全列電極に+200Vを印加し、行電極は0Vとして、表示画素全面を再度白色に表示させた。その後、表面基板側の列電極に、直流電圧成分のみを遅延時間50msで傾きを持たせたスロープ状の波形にて電圧を立ち上げた。所定の直流電圧成分(Vd=−100V)に到達すると、直流電圧成分に対して、三角波的に振幅が時間とともに増加し、最大振幅値に到達後、振幅が減衰する波形の交番電圧成分(周波数1kHz,ピークツーピーク間の最大電圧差(Vp)180V)を重畳した電圧を印加すると共に、背面基板側の行電極に遅延時間50msで傾きを持たせたスロープ状の波形にて電圧を立ち上げた直流電圧成分(+100V)を印加した。画像書き換え電圧印加期間(Td)は30msとした。その後交番電圧をオフとし、同時に直流電圧成分を遅延時間50msで傾きを持たせたスロープ状の波形にて立ち下げて、書込み画素に黒色を表示させ、非書込み画素は白色表示のままとさせて、マクベス濃度計を用いて黒色表示画素部と白色表示画素部の反射画像濃度(IDb、IDw)を測定した。
【0430】
次に、表面基板側の全列電極に+200Vを印加し、行電極は0Vとして、表示画素全面を再度白色に表示させた。その後、表面基板側の列電極に、直流電圧成分のみを遅延時間50msで傾きを持たせたスロープ状の波形にて電圧を立ち上げた。所定の直流電圧成分(Vd=−90V)に到達すると、直流電圧成分に対して、三角波的に振幅が時間とともに増加し、最大振幅値に到達後、振幅が減衰する波形の交番電圧成分(周波数1kHz,ピークツーピーク間の最大電圧差(Vp)162V)を重畳した電圧を印加すると共に、背面基板側の行電極に遅延時間50msで傾きを持たせたスロープ状の波形にて電圧を立ち上げた直流電圧成分(+100V)を印加した。画像書き換え電圧印加期間(Td)は30msとした。その後交番電圧をオフとし、同時に直流電圧成分を遅延時間50msで傾きを持たせたスロープ状の波形にて立ち下げて、書込み画素に黒色を表示させ、非書込み画素は白色表示のままとさせて、マクベス濃度計を用いて黒色表示画素部と白色表示画素部の反射画像濃度(IDb、IDw)を測定した。
【0431】
その後は、同様に行電極と列電極間に印加される直流電圧成分を20Vステップで電圧値を低減し、列電極の直流電圧に重畳される交番電圧成分のピークツーピーク間の最大電圧差Vpの半分値を、直流電圧成分Vdの9割の電圧値としながら反射画像濃度(IDb、IDw)測定を行い、各駆動電圧に対するコントラスト特性AM-P2を算出した。
【0432】
(評価試験15)
白色表示粒子DW1と黒色表示粒子DB1を組み合わせた表示粒子群を、画像表示素子に封入し、図33に示すような、直流電圧成分に、三角波的に振幅が時間とともに増加し、最大振幅値に到達後、振幅が減衰する矩形波形の交番電圧を重畳した画像表示電圧を印加するプロセスにて、コントラストの評価を行った。評価手順は評価試験6と同様なプロセスにて行い、各駆動電圧に対するコントラスト特性AM−P3を算出した。
【0433】
(評価試験16)
【0434】
白色表示粒子DW2と黒色表示粒子DB2を組み合わせた表示粒子群を、画像表示素子に封入し、図37に示すような、遅延時間100msで傾きを持たせたスロープ状の波形にて電圧を立ち上げた直流電圧成分に、三角波的に振幅が時間とともに増加し、最大振幅値に到達後、振幅が減衰する矩形波形の交番電圧を重畳した画像表示電圧を印加し、その後交番電圧をオフとし、同時に直流電圧成分を遅延時間100msで傾きを持たせたスロープ状の波形にて立ち下げるプロセスにて、コントラストの評価を行った。評価手順は評価試験7と同様なプロセスにて行い、各駆動電圧に対するコントラスト特性AM−P4を算出した。
【0435】
各駆動電圧に対する各コントラスト特性を表10に示す。図59にはそれをグラフ化したものを示す。
【0436】
【表10】

【0437】
本発明における白色表示粒子DW1と黒色表示粒子DB1を組み合わせた表示粒子群で、評価試験1における評価特性AM−P1は、交番電界に対応した粒子の繰り返しの往復運動による効果と考えられる高コントラスト値を発現している。また、本発明における白色表示粒子DW2と黒色表示粒子DB2を組み合わせた表示粒子群で、評価試験2における評価特性AM−P2はより高いコントラスト値を発現している。また、本発明における白色表示粒子DW1と黒色表示粒子DB1を組み合わせた表示粒子群で、評価試験3における評価特性AM−P3もより高いコントラスト値を発現している。さらに、本発明における白色表示粒子DW2と黒色表示粒子DB2を組み合わせた表示粒子群で、評価試験4における評価特性AM−P4はさらに高いコントラスト値を発現している。
【0438】
(評価試験17)
白色表示粒子DW1と黒色表示粒子DB1を組み合わせた表示粒子群を、画像表示素子に封入し、図39に示すように、直流電圧に交番電圧を重畳した画像表示電圧を印加するプロセスにて、コントラストの評価を行った。
【0439】
まず、表面基板側の全列電極に+200Vを印加し、行電極は0Vとして、表示画素全面を再度白色に表示させた。その後、表面基板側の列電極に、直流電圧成分(Vd=−100V)と、その直流電圧成分に対して交番電圧成分(周波数1kHz,ピークツーピーク間の電圧差(Vp)180V)を重畳した電圧を印加し、それと同期して背面基板側の行電極に直流電圧成分(+100V)を印加し、書込み画素に黒色を表示させ、非書込み画素は白色表示のままとさせて、マクベス濃度計を用いて黒色表示画素部と白色表示画素部の反射画像濃度(IDb、IDw)を測定した。画像書き換え電圧印加期間(Td)は30msとした。
【0440】
このとき、交番電圧成分は黒を表示させる方向(負電圧)のピークに向かう電圧立ち上がり速度を緩慢にし、180Vのピーク電圧からの電圧立ち下がり速度を急峻にした波形で、時間(Ta)15ms印加した。その後、波形を逆転させ、黒を表示させる方向のピークに向かう電圧立ち上がり速度を急峻にし、ピークからの電圧立ち下がり速度を緩慢にした波形で、印加時間(Tb)は15msとした。
【0441】
次に、表面基板側の全列電極に+200Vを印加し、行電極は0Vとして、表示画素全面を再度白色に表示させた。その後、表面基板側の列電極に、表面基板側の列電極に、直流電圧成分(Vd=−90V)と、その直流電圧成分に対して交番電圧成分(周波数1kHz,ピークツーピーク間の電圧差(Vp)162V)を重畳した電圧を印加し、それと同期して背面基板側の行電極に直流電圧成分(+90V)を印加し、書込み画素に黒色を表示させ、非書込み画素は白色表示のままとさせて、マクベス濃度計を用いて黒色表示画素部と白色表示画素部の反射画像濃度(IDb、IDw)を測定した。画像書き換え電圧印加期間(Td)は30msとした。
【0442】
このとき、交番電圧成分は黒を表示させる方向(負電圧)のピークに向かう電圧立ち上がり速度を緩慢にし、180Vのピーク電圧からの電圧立ち下がり速度を急峻にした波形で、時間(Ta)15ms印加した。その後、波形を逆転させ、黒を表示させる方向のピークに向かう電圧立ち上がり速度を急峻にし、ピークからの電圧立ち下がり速度を緩慢にした波形で、印加時間(Tb)は15msとした。
【0443】
その後は、同様に行電極と列電極間に印加される直流電圧成分を20Vステップで電圧値を低減し、列電極の直流電圧に重畳される交番電圧成分のピークツーピーク間の電圧差Vpの半分値を、直流電圧成分Vdの9割の電圧値としながら反射画像濃度(IDb、IDw)測定を行い、各駆動電圧に対するコントラスト特性DA-P1を算出した。
【0444】
(評価試験18)
白色表示粒子DW2と黒色表示粒子DB2を組み合わせた表示粒子群を、画像表示素子に封入し、図43に示すように、直流電圧に交番電圧を重畳した画像表示電圧を印加するプロセスにて、コントラストの評価を行った。
【0445】
まず、表面基板側の全列電極に+200Vを印加し、行電極は0Vとして、表示画素全面を再度白色に表示させた。その後、表面基板側の列電極に、直流電圧成分のみを遅延時間50msで傾きを持たせたスロープ状の波形にて電圧を立ち上げた。所定の直流電圧成分(Vd=−100V)に到達すると、直流電圧成分に対して交番電圧成分(周波数1kHz,ピークツーピーク間の電圧差(Vp)180V)を重畳した電圧を印加し、それと同期して背面基板側の行電極に遅延時間50msで傾きを持たせたスロープ状の波形にて電圧を立ち上げた直流電圧成分(+100V)を印加した。画像書き換え電圧印加期間(Td)は30msとした。その後交番電圧をオフとし、同時に直流電圧成分を遅延時間50msで傾きを持たせたスロープ状の波形にて立ち下げて、書込み画素に黒色を表示させ、非書込み画素は白色表示のままとさせて、マクベス濃度計を用いて黒色表示画素部と白色表示画素部の反射画像濃度(IDb、IDw)を測定した。
【0446】
このとき、交番電圧成分は黒を表示させる方向(負電圧)のピークに向かう電圧立ち上がり速度を緩慢にし、180Vのピーク電圧からの電圧立ち下がり速度を急峻にした波形で、印加時間(Ta)は15msとした。その後、波形を逆転させ、黒を表示させる方向のピークに向かう電圧立ち上がり速度を急峻にし、ピークからの電圧立ち下がり速度を緩慢にした波形で、印加時間(Tb)は15msとした。
【0447】
次に、表面基板側の全列電極に+200Vを印加し、行電極は0Vとして、表示画素全面を再度白色に表示させた。その後、表面基板側の列電極に、直流電圧成分のみを遅延時間50msで傾きを持たせたスロープ状の波形にて電圧を立ち上げた。所定の直流電圧成分(Vd=−90V)に到達すると、直流電圧成分に対して交番電圧成分(周波数1kHz,ピークツーピーク間の電圧差(Vp)162V)を重畳した電圧を印加し、それと同期して背面基板側の行電極に遅延時間50msで傾きを持たせたスロープ状の波形にて電圧を立ち上げた直流電圧成分(+90V)を印加した。画像書き換え電圧印加期間(Td)は30msとした。その後交番電圧をオフとし、同時に直流電圧成分を遅延時間50msで傾きを持たせたスロープ状の波形にて立ち下げて、書込み画素に黒色を表示させ、非書込み画素は白色表示のままとさせて、マクベス濃度計を用いて黒色表示画素部と白色表示画素部の反射画像濃度(IDb、IDw)を測定した。
【0448】
このとき、交番電圧成分は黒を表示させる方向(負電圧)のピークに向かう電圧立ち上がり速度を緩慢にし、180Vのピーク電圧からの電圧立ち下がり速度を急峻にした波形で、印加時間(Ta)は15msとした。その後、波形を逆転させ、黒を表示させる方向のピークに向かう電圧立ち上がり速度を急峻にし、ピークからの電圧立ち下がり速度を緩慢にした波形で、印加時間(Tb)は15msとした。
【0449】
その後は、同様に行電極と列電極間に印加される直流電圧成分を20Vステップで電圧値を低減し、列電極の直流電圧に重畳される交番電圧成分のピークツーピーク間の電圧差Vpの半分値を、直流電圧成分Vdの9割の電圧値としながら反射画像濃度(IDb、IDw)測定を行い、各駆動電圧に対するコントラスト特性DA-P2を算出した。
【0450】
(評価試験19)
白色表示粒子DW1と黒色表示粒子DB1を組み合わせた表示粒子群を、画像表示素子に封入し、図42に示すような、直流電圧成分(Vd=100V)に交番電圧成分(周波数0.4kHz,ピークツーピーク間の電圧差(Vp)180V)を重畳した電圧を印加したプロセスにてコントラストの評価を行った。交番電圧のピーク電圧に到達した時、1.5ms間の範囲で平坦部とした矩形形状とした。評価手順は評価試験1と同様なプロセスにて行い、各駆動電圧に対するコントラスト特性DA-P3を算出した。
【0451】
(評価試験20)
白色表示粒子DW2と黒色表示粒子DB2を組み合わせた表示粒子群を、画像表示素子に封入し、図46に示すような、遅延時間100msで傾きを持たせたスロープ状の波形にて電圧を立ち上げた直流電圧成分に、直流電圧成分(Vd=100V)に交番電圧成分(周波数0.4kHz,ピークツーピーク間の電圧差(Vp)180V)を重畳した電圧を印加したプロセスにてコントラストの評価を行った。交番電圧のピーク電圧に到達した時、1.5ms間の範囲で平坦部とした矩形形状とした。評価手順は評価試験2と同様なプロセスにて行い、各駆動電圧に対するコントラスト特性DA−P4を算出した。
【0452】
各駆動電圧に対する各コントラスト特性を表11に示す。図60にはそれをグラフ化したものを示す。
【0453】
【表11】

【0454】
本発明における白色表示粒子DW1と黒色表示粒子DB1を組み合わせた表示粒子群で、評価試験1における評価特性DA−P1は、交番電界に対応した粒子の繰り返しの往復運動による効果と考えられる高コントラスト値を発現している。また、本発明における白色表示粒子DW2と黒色表示粒子DB2を組み合わせた表示粒子群で、評価試験2における評価特性DA−P2はより高いコントラスト値を発現している。また、本発明における白色表示粒子DW1と黒色表示粒子DB1を組み合わせた表示粒子群で、評価試験3における評価特性DA−P3もより高いコントラスト値を発現している。さらに、本発明における白色表示粒子DW2と黒色表示粒子DB2を組み合わせた表示粒子群で、評価試験4における評価特性DA−P4はさらに高いコントラスト値を発現している。
【0455】
(評価試験21)
白色表示粒子DW1と黒色表示粒子DB1を組み合わせた表示粒子群を、画像表示素子に封入し、表面基板側の全列電極に+200Vを印加し、行電極は0Vとして、表示画素全面を白色に表示させた。
【0456】
その後、図47に示すように、直流電圧に矩形波の交番電圧を重畳した画像表示電圧を印加するプロセスにて、コントラストの評価を行った。まず、表面基板側の列電極に、直流電圧成分(Vd=−100V)と、その直流電圧成分に対して交番電圧成分(周波数1kHz,ピークツーピーク間の電圧差(Vp)180V)を重畳した電圧を印加し、これと同期して背面基板側の行電極に直流電圧成分(Vd=+100V)を印加した。その後、表面基板側の列電極に印加されている直流電圧成分(Vu)を+50Vに変化させ、書込み画素に黒色を表示させ、非書込み画素は白色表示のままとさせて、マクベス濃度計を用いて反射画像濃度(IDb、IDw)を測定した。画像書込み開始からの期間(Tu)を20ms、その後の直流電圧を変化させ、(Td=)10ms間印加した。画像書き換え電圧印加期間(Td)は30msとした。
【0457】
次に、表面基板側の全列電極に+200Vを印加し、行電極は0Vとして、表示画素全面を再度白色に表示させた。その後、表面基板側の列電極に、直流電圧成分(Vd=−90V)と、その直流電圧成分に対して交番電圧成分(周波数1kHz,ピークツーピーク間の電圧差(Vp)162V)を重畳した電圧を印加し、これと同期して、背面基板側の行電極に直流電圧成分(Vd=+90V)を印加した。その後、表面基板側の列電極に印加されている直流電圧成分(Vu)を+45Vに変化させ、書込み画素に黒色を表示させ、非書込み画素は白色表示のままとさせて、マクベス濃度計を用いて反射画像濃度(IDb、IDw)を測定した。画像書込み開始からの期間(Tu)を20ms、その後の直流電圧を変化させ、(Td=)10ms間印加した。画像書き換え電圧印加期間(Td)は30msとした。
【0458】
その後は、電圧Vauに対応する行電極と列電極間に印加される直流電圧成分を20Vステップで電圧値を低減し、電圧Vadに対応する行電極と列電極間に印加される直流電圧成分を5Vステップで電圧値を低減し、列電極の直流電圧に重畳される交番電圧成分のピークツーピーク間の電圧差Vpの半分値を、直流電圧成分Vdの9割の電圧値としながら反射画像濃度(IDb、IDw)測定を行い、各駆動電圧に対するコントラスト特性DC-P1を算出した。
【0459】
(評価試験22)
白色表示粒子DW2と黒色表示粒子DB2を組み合わせた表示粒子群を、画像表示素子に封入し、表面基板側の全列電極に+200Vを印加し、行電極は0Vとして、表示画素全面を白色に表示させた。
【0460】
その後、図49に示すように、直流電圧に矩形波の交番電圧を重畳した画像表示電圧を印加するプロセスにて、コントラストの評価を行った。まず、表面基板側の列電極に、直流電圧成分(Vd=−100V)と、その直流電圧成分に対して交番電圧成分(周波数1kHz,ピークツーピーク間の電圧差(Vp)180V)を重畳した電圧を印加し、これと同期して、背面基板側の行電極に直流電圧成分(+100V)を印加した。その画像書込み開始からの期間(Tu)は20msとした。その後、表面基板側の列電極に印加されている直流電圧成分を遅延時間(Ts)50msで傾きを持たせたスロープ状の波形にて電圧を+50Vにまで緩慢に変化させた。その状態で印加期間(Td)を10ms維持して、書込み画素に黒色を表示させ、非書込み画素は白色表示のままとさせて、マクベス濃度計を用いて反射画像濃度(IDb、IDw)を測定した。
【0461】
次に、表面基板側の全列電極に+200Vを印加し、行電極は0Vとして、表示画素全面を再度白色に表示させた。その後、表面基板側の列電極に、直流電圧成分(Vd=−90V)と、その直流電圧成分に対して交番電圧成分(周波数1kHz,ピークツーピーク間の電圧差(Vp)162V)を重畳した電圧を印加し、これと同期して、背面基板側の行電極に直流電圧成分(+90V)を印加した。その画像書込み開始からの期間(Tu)は20msとした。その後、表面基板側の列電極に印加されている直流電圧成分を遅延時間(Ts)50msで傾きを持たせたスロープ状の波形にて電圧を+45Vにまで緩慢に変化させた。その状態で印加期間(Td)を10ms維持して、書込み画素に黒色を表示させ、非書込み画素は白色表示のままとさせて、マクベス濃度計を用いて反射画像濃度(IDb、IDw)を測定した。
【0462】
その後は、電圧Vauに対応する行電極と列電極間に印加される直流電圧成分を20Vステップで電圧値を低減し、電圧Vadに対応する行電極と列電極間に印加される直流電圧成分を5Vステップで電圧値を低減し、列電極の直流電圧に重畳される交番電圧成分のピークツーピーク間の電圧差Vpの半分値を、直流電圧成分Vdの9割の電圧値としながら反射画像濃度(IDb、IDw)測定を行い、各駆動電圧に対するコントラスト特性DC-P2を算出した。
【0463】
(評価試験23)
白色表示粒子DW1と黒色表示粒子DB1を組み合わせた表示粒子群を、画像表示素子に封入し、表面基板側の全列電極に+200Vを印加し、行電極は0Vとして、表示画素全面を白色に表示させた。
【0464】
その後、図50に示すように、直流電圧に矩形波の交番電圧を重畳した画像表示電圧を印加するプロセスにて、コントラストの評価を行った。まず、表面基板側の列電極に、遅延時間30msで傾きを持たせたスロープ状の波形にて直流電圧成分を立ち上げた。その直流電圧成分(Vd)が−100Vに到達すると、その直流電圧成分に対して交番電圧成分(周波数1kHz,ピークツーピーク間の電圧差(Vp)180V)を重畳した。これと同期して、背面基板側の行電極に直流電圧成分(+100V)を遅延時間30msで傾きを持たせたスロープ状の波形にて直流電圧成分を立ち上げて印加した。その電圧印加状態の期間(Tu)は20msとした。その後、表面基板側の列電極に印加されている直流電圧成分を遅延時間(Ts)50msで傾きを持たせたスロープ状の波形にて電圧を+50Vにまで緩慢に変化させた。その後、その状態で印加期間(Td)を10ms維持して、書込み画素に黒色を表示させ、非書込み画素は白色表示のままとさせて、マクベス濃度計を用いて反射画像濃度(IDb、IDw)を測定した。
【0465】
次に、表面基板側の全列電極に+200Vを印加し、行電極は0Vとして、表示画素全面を再度白色に表示させた。その後、表面基板側の列電極に、遅延時間30msで傾きを持たせたスロープ状の波形にて直流電圧成分を立ち上げた。その直流電圧成分(Vd)が−90Vに到達すると、その直流電圧成分に対して交番電圧成分(周波数1kHz,ピークツーピーク間の電圧差(Vp)162V)を重畳した。これと同期して、背面基板側の行電極に直流電圧成分(+90V)を遅延時間30msで傾きを持たせたスロープ状の波形にて直流電圧成分を立ち上げて印加した。その電圧印加状態の期間(Tu)は20msとした。その後、表面基板側の列電極に印加されている直流電圧成分を遅延時間(Ts)50msで傾きを持たせたスロープ状の波形にて電圧を+45Vにまで緩慢に変化させた。その後、その状態で印加期間(Td)を10ms維持して、書込み画素に黒色を表示させ、非書込み画素は白色表示のままとさせて、マクベス濃度計を用いて反射画像濃度(IDb、IDw)を測定した。
【0466】
その後は、電圧Vauに対応する行電極と列電極間に印加される直流電圧成分を20Vステップで電圧値を低減し、電圧Vadに対応する行電極と列電極間に印加される直流電圧成分を5Vステップで電圧値を低減し、列電極の直流電圧に重畳される交番電圧成分のピークツーピーク間の電圧差Vpの半分値を、直流電圧成分Vdの9割の電圧値としながら反射画像濃度(IDb、IDw)測定を行い、各駆動電圧に対するコントラスト特性DC−P3を算出した。
【0467】
(評価試験24)
白色表示粒子DW2と黒色表示粒子DB2を組み合わせた表示粒子群を、画像表示素子に封入し、表面基板側の全列電極に+200Vを印加し、行電極は0Vとして、表示画素全面を白色に表示させた。
【0468】
その後、図51に示すように、直流電圧に交番電圧を重畳した画像表示電圧を印加するプロセスにて、コントラストの評価を行った。まず、表面基板側の列電極に、遅延時間30msで傾きを持たせたスロープ状の波形にて交番電圧(周波数1kHz,ピークツーピーク間の電圧差(Vp)180V)を重畳した直流電圧成分を立ち上げた。その直流電圧成分(Vd)が−100Vに到達すると、その直流電圧成分に対して交番電圧成分(周波数1kHz,ピークツーピーク間の電圧差(Vp)180V)を重畳した。これと同期して、背面基板側の行電極に直流電圧成分(+100V)を遅延時間30msで傾きを持たせたスロープ状の波形にて直流電圧成分を立ち上げて印加した。その電圧印加状態の期間(Tu)は20msとした。その後、表面基板側の列電極に印加されている直流電圧成分を遅延時間(Ts)50msで傾きを持たせたスロープ状の波形にて電圧を+50Vにまで緩慢に変化させた。その後、その状態で印加期間(Td)を10ms維持して、書込み画素に黒色を表示させ、非書込み画素は白色表示のままとさせて、マクベス濃度計を用いて反射画像濃度(IDb、IDw)を測定した。
【0469】
次に、表面基板側の全列電極に+200Vを印加し、行電極は0Vとして、表示画素全面を再度白色に表示させた。その後、表面基板側の列電極に、遅延時間30msで傾きを持たせたスロープ状の波形にて交番電圧(周波数1kHz,ピークツーピーク間の電圧差(Vp)162V)を重畳した直流電圧成分を立ち上げた。その直流電圧成分(Vd)が−90Vに到達すると、その直流電圧成分に対して交番電圧成分(周波数1kHz,ピークツーピーク間の電圧差(Vp)162V)を重畳した。これと同期して、背面基板側の行電極に直流電圧成分(+90V)を遅延時間30msecで傾きを持たせたスロープ状の波形にて直流電圧成分を立ち上げて印加した。その電圧印加状態の期間(Tu)は20msとした。その後、表面基板側の列電極に印加されている直流電圧成分を遅延時間(Ts)50msで傾きを持たせたスロープ状の波形にて電圧を+45Vにまで緩慢に変化させた。その後、その状態で印加期間(Td)を10ms維持して、書込み画素に黒色を表示させ、非書込み画素は白色表示のままとさせて、マクベス濃度計を用いて反射画像濃度(IDb、IDw)を測定した。
【0470】
その後は、電圧Vauに対応する行電極と列電極間に印加される直流電圧成分を20Vステップで電圧値を低減し、電圧Vadに対応する行電極と列電極間に印加される直流電圧成分を5Vステップで電圧値を低減し、列電極の直流電圧に重畳される交番電圧成分のピークツーピーク間の電圧差Vpの半分値を、直流電圧成分Vdの9割の電圧値としながら反射画像濃度(IDb、IDw)測定を行い、各駆動電圧に対するコントラスト特性DC-P4を算出した。
【0471】
各駆動電圧に対する各コントラスト特性を表12に示す。図61にはそれをグラフ化したものを示す。
【0472】
【表12】

【0473】
本発明における白色表示粒子DW1と黒色表示粒子DB1を組み合わせた表示粒子群で、評価試験1における評価特性DC−P1は、交番電界に対応した粒子の繰り返しの往復運動による効果と考えられる高コントラスト値を発現している。また、本発明における白色表示粒子DW2と黒色表示粒子DB2を組み合わせた表示粒子群で、評価試験2における評価特性DC−P2はより高いコントラスト値を発現している。
また、本発明における白色表示粒子DW1と黒色表示粒子DB1を組み合わせた表示粒子群で、評価試験3における評価特性DC−P3もより高いコントラスト値を発現している。さらに、本発明における白色表示粒子DW2と黒色表示粒子DB2を組み合わせた表示粒子群で、評価試験4における評価特性DC−P4はさらに高いコントラスト値を発現している。
【0474】
本発明について実施例を含む特定の実施形態に基づいて説明したが、これらの実施形態はあくまでも例示であって、本発明はこれらの実施形態によって限定されるものではない。上記実施形態に示した本発明に係る画像表示方法及びその方法に用いられる画像表示素子の各構成要素は、必ずしも全てが必須ではなく、少なくとも本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜取捨選択することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0475】
本発明に係る画像表示方法及びその方法に用いられる画像表示素子は、電子ブック、電子新聞等の情報伝達媒体、デジタルサイネージ、電子黒板等のメッセンジャーボード、ICカード等上の表示部およびその表示方法などに好適に用いられる。
【符号の説明】
【0476】
1 画像表示装置
2 表面シート
3 背面シート
4 間隙
5 表示粒子群
7 隔壁
8 セル
10 画像表示素子
11 表面基板
12 列電極
13 誘電体膜
21 背面基板
22 行電極
23 誘電体膜
31 樹脂ドライフィルム
32 露光マスク
91 着色樹脂粒子
94 分散ノズル
95 熱風発生装置
96 熱風
111 粒子輸送配管
112 熱風用配管
113 分散衝突板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向配置された少なくとも一方が透光性を有する一対の基板と、当該基板間に封入された互いに帯電極性の異なる、且つ互いに光学的反射濃度の異なる少なくとも2種類の表示粒子を含む表示粒子群とを備えた画像表示素子において、前記基板間に電界を印加して前記表示粒子群を移動させることにより画像表示を行う画像表示方法であって、
前記基板間における書込み対象の画素に対し、正または負の書込み用の直流電圧を印加する書込みステップを有し、
前記書込みステップの間の少なくとも一部において、前記基板間に交互電界を形成する交番電圧成分が前記直流電圧に重畳されることを特徴とする画像表示方法。
【請求項2】
前記交番電圧成分における最終パルスは、前記直流電圧の絶対値を減ずる方向に作用し、
前記最終パルスの後に、前記直流電圧のみが所定時間印加されることを特徴とする請求項1に記載の画像表示方法。
【請求項3】
前記交番電圧成分における複数のパルスの振幅は、画像書込み開始から増大し、最大値に到達した後に減衰することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像表示方法。
【請求項4】
前記交番電圧成分では、前記書込みステップの開始側において、各パルスのピーク値までの立ち上がり速度が当該ピーク値からの立ち下がり速度よりも小さく設定される一方、前記書込みステップの終了側において、各パルスのピーク値までの立ち上がり速度が当該ピーク値からの立ち下がり速度よりも大きく設定されたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の画像表示方法。
【請求項5】
前記書込みステップにおいて、前記表示粒子の移動による書込みを阻害する側に前記直流電圧の値が少なくとも一時的に変化することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の画像表示方法。
【請求項6】
前記直流電圧は、その絶対値が最大値に到達した後、前記書込みを阻害する側に一定の割合で変化するスロープ状の波形を有することを特徴とする請求項5に記載の画像表示方法。
【請求項7】
前記直流電圧の最大電圧値をVd、前記交番電圧成分の波形のピークツーピークの電圧差をVpとし、次式の関係を満たすことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の画像表示方法。
Vd≦Vp≦3×Vd
【請求項8】
前記直流電圧が印加される全期間をTd、前記交番電圧成分が前記直流電圧に重畳される時間をTpとし、次式の関係を満たすことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の画像表示方法。
0.2×Td≦Tp≦Td
【請求項9】
前記書込みステップにおいて、立ち上がり時間が1ms〜500msの範囲で設定されたスロープ状の波形を有する直流電圧が印加されることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の画像表示方法。
【請求項10】
前記書込みステップにおいて、立ち下がり時間が1ms〜500msの範囲で設定されたスロープ状の波形を有する直流電圧が印加されることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の画像表示方法。
【請求項11】
対向配置された少なくとも一方が透光性を有する一対の基板と、当該基板間に封入された互いに帯電極性の異なる、且つ互いに光学的反射濃度の異なる少なくとも2種類の表示粒子を含む表示粒子群とを備えた画像表示素子において、前記基板間に電界を印加して前記表示粒子群を移動させることにより画像表示を行う画像表示方法であって、
極性反転を伴わない一方向極性の複数の電圧パルスを前記基板間に間欠的に印加する画像初期化ステップと、
前記基板間に書込み用の電圧を印加する書込みステップと
を有することを特徴とする画像表示方法。
【請求項12】
前記複数の電圧パルスの印加時間は、前記書込み用の電圧を印加する時間の2〜100倍の範囲内であることを特徴とする請求項11に記載の画像表示方法。
【請求項13】
前記画像初期化ステップにおいて、複数の電圧パルスを含むと共に、立ち上がり時間または立ち下がり時間の少なくとも一方が1ms〜500msの範囲で設定されたスロープ状の波形を有する電圧が印加されることを特徴とする請求項11または請求項12に記載の画像表示方法。
【請求項14】
前記画像初期化ステップにおいて、前記複数の電圧パルスの印加前に、周波数が100Hz〜1kHzの範囲内にあり、波形のピークツーピークの電圧差が50〜300Vの範囲内にある双方向極性の交番電圧を印加することを特徴とする請求項11から請求項13のいずれかに記載の画像表示方法。
【請求項15】
双方向極性の交番電圧の0Vとピーク間の電圧差をVra、前記一方向極性の電圧パルスの最大印加電圧値をVrpとし、次式の関係を満たすことを特徴とする請求項14に記載の画像表示方法。
Vrp≦Vra≦2×Vrp
【請求項16】
対向配置された少なくとも一方が透光性を有する一対の基板と、当該基板間に封入された互いに帯電極性の異なる、且つ互いに光学的反射濃度の異なる少なくとも2種類の表示粒子を含む表示粒子群とを備えた画像表示素子において、前記基板間に電界を印加して前記表示粒子群を移動させることにより画像表示を行う画像表示方法であって、
前記基板間に書込み用の電圧を印加する書込みステップを有し、
前記書込みステップにおいて、非書込み対象の画素に印加される電圧は、立ち下がり時間が1ms〜500msの範囲で設定され、あるいは、書込み対象の画素に印加される電圧は、立ち上がり時間が1ms〜500msの範囲で設定されたことを特徴とする画像表示方法。
【請求項17】
前記書込み用の電圧は、一方向極性の複数の電圧パルス成分を含み、立ち下がり時または立ち下がり時において各電圧パルスの振幅が一定の割合で増加または減少することを特徴とする請求項16に記載の画像表示方法。
【請求項18】
請求項1から請求項17のいずれかに記載の画像表示方法に用いられる画像表示素子。
【請求項19】
前記表示粒子は、少なくとも結着樹脂及び顔料を含む着色樹脂粒子を球形化処理した粒子であることを特徴とする請求項18に記載の画像表示素子。
【請求項20】
前記表示粒子は、少なくとも結着樹脂及び顔料を含む着色樹脂粒子と、平均粒径が80nm〜500nmの微粒子を含むことを特徴とする請求項18または請求項19に記載の画像表示素子。
【請求項21】
前記微粒子は、少なくとも炭素数6〜18のアルキル基を有するアルキルトリアルコキシシランまたはアルキルシラザンで表面処理を施された無機微粒子であることを特徴とする請求項20に記載の画像表示素子。
【請求項22】
前記微粒子は、少なくとも炭素数6〜18のアルキル基を有するアルキルトリアルコキシシランまたはアルキルシラザンと、アミン系カップリング剤とによって表面処理された無機微粒子であることを特徴とする請求項20に記載の画像表示素子。
【請求項23】
前記表示粒子は、平均粒径3nm〜14nmである第2の無機微粒子をさらに含むことを特徴とする請求項18から請求項22のいずれかに記載の画像表示素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【公開番号】特開2013−24924(P2013−24924A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156830(P2011−156830)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】