説明

画像表示装置、明るさ制御方法および明るさ制御プログラム

【課題】表示部に表示された画像を見るユーザーの酔いを低減する必用がある。
【解決手段】筺体に設けられた覗き窓の内側に配設されて画像を表示する表示部と、上記覗き窓の内側の空間の明るさを取得する取得部と、上記取得部が取得した明るさが第一の明るさである場合に上記表示部の明るさを第二の明るさにし、上記取得部が取得した明るさが上記第一の明るさよりも明るい第三の明るさである場合に上記表示部の明るさを上記第二の明るさよりも明るい第四の明るさにする制御部とを備える画像表示装置とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置、明るさ制御方法および明るさ制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルスチルカメラ(DSC)においては、光学ファインダーを搭載したものが知られている(特許文献1参照。)。また、光学ファインダーの替わりに電子ビューファインダー(Electronic View Finder。以下、EVF。)を搭載したDSCも知られている。EVFは、DSCの撮像素子で生成された画像データを、ファインダーの覗き窓の内側の空間に配設された液晶画面に表示する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007‐33701号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
EVFを搭載したDSCにおいては、上記文献1でも言及されているようなファインダー像酔いが特に問題となると考えられる。つまりユーザーは、EVFを覗いて液晶画面に表示されている画像を見続けることで、眩暈や、酔ったような感覚や、目の奥が締め付けられるような不快感におそわれることがある。このような眩暈や酔いや不快感(まとめて“酔い”と呼ぶ。)は、環境光の明るさに関係なくEVFでは一定の明るさ(環境光よりも明るい明るさ)で画像が表示されることによりユーザーが得る違和感や、EVFとしての液晶画面が収められた空間内と液晶画面との大きな明度差などに起因すると考えられる。
【0005】
光学ファインダーの場合は、ユーザーがファインダーの覗き窓を介して見る像の明るさが環境光よりも明るくなることは無いため、上記のような“酔い”は、さほど問題となっていなかった。また、これまでのDSCに搭載されていたEVFは、液晶画面の輝度や解像度が比較的低かったため、ユーザーが上記のような“酔い”に陥ることも少なかった。しかしながら、今後、EVFの高輝度化、高精細化が進むに連れ、またユーザーによるEVFの使用頻度の高まりに伴って、このようなユーザーの“酔い”の発生がより大きな問題になると考えられる。
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、表示部に表示された画像を見るユーザーの酔いを低減しあるいは無くすことが可能な画像表示装置、明るさ制御方法および明るさ制御プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様の一つは、筺体に設けられた覗き窓の内側に配設されて画像を表示する表示部と、上記覗き窓の内側の空間の明るさを取得する取得部と、上記取得部が取得した明るさが第一の明るさである場合に上記表示部の明るさを第二の明るさにし、上記取得部が取得した明るさが上記第一の明るさよりも明るい第三の明るさである場合に上記表示部の明るさを上記第二の明るさよりも明るい第四の明るさにする制御部とを備える画像表示装置としてある。
【0008】
本発明によれば、制御部は、覗き窓の内側の空間が明るければ表示部を明るくさせ、覗き窓の内側の空間が暗ければ、表示部の明るさを低いものとする。つまり、覗き窓の内側の空間と表示部との明度差が大きくならないように調整されるため、覗き窓を介して表示部上の画像を見るユーザーが上述したような“酔い”を感じることを低減しあるいは無くすことができる。
【0009】
覗き窓の内側の空間の明るさを取得する取得部は、例えば、当該空間内に設けられて光量を測定する測光センサーであってもよい。
【0010】
ユーザーは、暗い空間内で明るい画像を見たときに上記“酔い”を感じやすい。そこで、上記筺体内部の壁面のうち少なくとも上記表示部周辺の壁面は白色であるとしてもよい。当該構成によれば、ユーザーが覗き窓を覗いて見る空間内の表示部周辺の壁面が白色となっているため、当該空間内の暗さが和らぎ、結果、上記“酔い”を感じにくくなる。
【0011】
本発明の技術的思想は、画像表示装置以外によっても実現可能である。例えば、上述した画像表示装置の各部による処理工程を有する方法(明るさ制御方法)の発明や、上述した画像表示装置の各部による機能を所定のハードウェア(例えば、画像表示装置が内蔵するコンピューター等)に実行させるプログラム(明るさ制御プログラム)の発明をも把握可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】DSCを側方から簡易的に示す図である。
【図2】DSCの概略構成を示すブロック図である。
【図3】ファインダーボックス内を簡易的に示す断面図である。
【図4】第1実施例にかかる処理を示すフローチャートである。
【図5】テーブルの一例を示す図である。
【図6】テーブルの一例を示す図である。
【図7】テーブルの一例を示す図である。
【図8】第2実施例にかかる処理を示すフローチャートである。
【図9】第3実施例にかかる処理を示すフローチャートである。
【図10】第4実施例にかかる処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態にかかるDSC10を側方から簡易的に示した図である。図1では、DSC10の内部構成の一部について鎖線にて示している。DSC10は、その機能の一部として、本発明にかかる画像表示装置としての機能を実現する。DSC10内部には、概略、撮像レンズ11および撮像素子12が配設されている。撮像素子12は、CCDまたはCMOS等のイメージセンサーである。DSC10の背面側には、モニター用液晶表示装置(モニター用LCD)13が配設されており、さらにDSC10の背面側であってモニター用LCD13の上側の所定位置には、EVF14が配設されている。EVF14は、DSC10の筺体15の背面側であってモニター用LCD13の上側の所定位置に形成された覗き窓(ファインダー窓)16の内側に形成された空間(ファインダーボックスFBと呼ぶ。)内に配設される。EVF14は、本発明における表示部に該当する。
【0014】
図2は、DSC10の概略構成を示したブロック図である。DSC10は、上述した各構成以外に、制御部17、撮像素子ドライバー18、外部測光センサー19、A/D変換部20、照明部21、内部測光センサー22、A/D変換部23、近接センサー24等の各構成を備える。ただし、DSC10は、これら各構成を全て備えていなければならない訳ではなく、後述する実施例毎に、必要な構成もあれば不要な構成もある。
制御部17は、CPU17a、ROM17b、RAM17c等を備え、CPU17aが、ROM17bに格納された所定のプログラムに従った処理を実行することにより、DSC10における画像処理やDSC10全体の制御を実現する。
【0015】
撮像レンズ11を通じて入射した被写体像は、撮像素子12の受光面に結像される。撮像素子ドライバー18は、制御部17に制御されることにより撮像素子12を駆動する。駆動される撮像素子12は、被写体像の光量に応じた電気信号を生成し、この電気信号をA/D変換してデジタル画像データを出力する。撮像レンズ11、撮像素子12、撮像素子ドライバー18は、撮影部を構成する。制御部17は、当該デジタル画像データに対して色補正等の所定の画像処理を施した上で、EVF14またはモニター用LCD13に出力する。
【0016】
EVF14は、液晶パネル14aと、液晶パネル14aの光源としてのバックライト14bとを含んでいる。EVF14では、制御部17から出力されたデジタル画像データに基づいて、液晶パネル14aに画像を表示する。また、制御部17は、液晶パネル14aに画像表示をさせるにあたりバックライト14bの明るさ(輝度)を制御可能である。バックライト14bの発光輝度は、例えば、バックライト14bをPWM(パルス幅変調)制御により間欠駆動させる際のデューティー比を変更することにより、0%(最低輝度)〜100%(最高輝度)の間で調整可能である。なお、液晶パネル14aの画面サイズと、モニター用LCD13を構成する液晶パネル(図示せず)の画面サイズとでは、前者のサイズの方が小さい。図では省略しているが、むろんモニター用LCD13の液晶パネルに対応するバックライトも存在する。
【0017】
外部測光センサー19は、DSC10の筺体15における外部に露出する所定位置に設けられ、DSC10外部の明るさを取得する取得部である。外部測光センサー19で測定された光量に応じた出力信号は、A/D変換部20によってA/D変換された上で、制御部17に入力される。照明部21は、ファインダーボックスFBに設けられることにより、ファインダーボックスFB内を照らす。制御部17は、照明部21についてもその明るさを、例えば、PWM制御により調整可能である。照明部21は、例えば、LEDによって構成される。
【0018】
内部測光センサー22は、ファインダーボックスFB内に露出する所定位置に設けられ、ファインダーボックスFB内の明るさを取得する取得部である。内部測光センサー22で測定された光量に応じた出力信号は、A/D変換部23によってA/D変換された上で、制御部17に入力される。近接センサー24は、覗き窓16の近傍に設けられた非接触型の人感センサーである。近接センサー24は、覗き窓16にごく近い所定範囲における人の接近を検知することができ、人の接近を検知した場合に所定の検知信号を制御部17へ出力する。制御部17は、かかる検知信号の有無により、覗き窓16がユーザーによって覗かれているか否かを判断することができる。
【0019】
図3は、EVF14等を含むファインダーボックスFB内を断面図により簡易的に例示している。ただし図3では見易さを考慮してハッチング等は省略している。図3の例では、EVF14は、ファインダーボックスFBにおいて覗き窓16と対峙する所定位置に配設された液晶パネル14a、液晶パネル14aの背面に設けられたバックライト14b、液晶パネル14aと覗き窓16との間に設けられた所定数の拡大レンズ14cを含む。また、ファインダーボックスFB内の壁面であって、拡大レンズ14cと液晶パネル14aとの間の所定範囲の壁面には、照明部21としてのLED21aが設けられている。さらに、拡大レンズ14cと液晶パネル14aとの間の所定位置には、内部測光センサー22が設けられている。
【0020】
なお、ユーザーは、暗い空間内で明るい画像を見たときに上記“酔い”を感じやすい。そこで本実施形態では、ファインダーボックスFB内の壁面のうち、少なくとも液晶パネル14a周辺の壁面は白色としている。図3では、白色とした範囲を例示している。このように、ファインダーボックスFB内の壁面のうち液晶パネル14a周辺の壁面を白色とすることで、液晶パネル14a周辺の暗さが和らぎ、結果、ユーザーは上記“酔い”を感じにくくなる。
【0021】
以下では、DSC10の構成において実施可能な複数の実施例を説明する。
第1実施例:
図4は、EVF14に上記デジタル画像データに基づく画像表示をさせる際に主に制御部17が実行する明るさ制御処理であって、第1実施例にかかる処理をフローチャートにより示している。まず、ステップS100では、制御部17は、外部測光センサー19を駆動させることにより、DSC10外部の明るさを取得する。つまり、外部測光センサー19に外部の光量を測定させ、測定結果としての出力信号を、A/D変換部20を介して取得する。
【0022】
ステップS110では、制御部17は、上記ステップS100で取得したDSC10外部の明るさに応じてEVF14の明るさを決定する。ここで決定するEVF14の明るさとは、バックライト14bの輝度を指す。この場合、制御部17は、上記測定結果が示す光量のレベルが高いほど(つまり、DSC10の外部が明るいほど)、高い輝度を決定する。言い換えると、制御部17は、上記測定結果が示す光量のレベルが第一のレベルである場合に、当該第一のレベルに対応した第二の輝度を決定し、上記測定結果が示す光量のレベルが上記第一のレベルよりも明るい第三のレベルである場合に、上記第二の輝度よりも明るい第四の輝度を決定する。制御部17は、このような上記測定結果に応じたEVF14の明るさの決定処理を、予めROM17b等所定のメモリーに保存したテーブルを参照する等して行なう。
【0023】
図5,6,7は、上記テーブルTを例示している。これらテーブルTは、いずれも入力値(上記測定結果が示す光量のレベル)に対する出力値(バックライト14bの輝度)の関係を規定している。図5のテーブルTは、入力値の増加に応じて出力値が階段状に増加する特性を有しており、図6のテーブルTは、入力値の増加に応じて出力値が線形的に増加する特性を有しており、図7のテーブルTは、入力値の増加に応じて出力値が非線形的に増加する特性を有している。制御部17は、例えば、図5,6,7に示したテーブルTのうちいずれかを用いて、バックライト14bの輝度を決定する。
【0024】
ステップS120では、制御部17は、上記ステップS110で決定した輝度となるようにバックライト14bの駆動をPWM制御することにより、バックライト14bの輝度を調整する。この結果、バックライト14bは、DSC10の外部の明るさに応じた明るさで発光する(外部が明るければ高い輝度で発光し、外部が暗ければ低い輝度で発光する)。このように、第1実施例によれば、DSC10周辺の環境光の明るさに応じてEVF14の明るさも調整される。そのため、例えば現実のユーザー周辺の風景は暗いにもかかわらずEVFに映されている画像は現実の風景の明るさに関係なく高輝度で表示されてユーザーに“酔い”を感じさせてしまう、といった従来の不都合が解消される。
【0025】
なお上記ステップS100では、制御部17は、外部測光センサー19を駆動させることにより外部の明るさを取得するとしたが、必ずしも外部測光センサー19を用いる必要はない。上記ステップS100では、制御部17は、撮像素子12によって生成、出力された上記デジタル画像データに基づいて、DSC10外部の明るさを取得するとしてもよい。つまり制御部17は、当該画像データを解析することにより、例えば、画像データにおける平均輝度を算出し、当該算出した平均輝度をDSC10外部の明るさとして取得する。そして、制御部17はステップS110では、このように取得した明るさに応じたバックライト14bの輝度を、図5,6,7に示したような入出力特性を持ったテーブルを用いて決定する。この場合、上記「測定結果が示す光量のレベル」を「画像データにおける平均輝度」に読み替えるものとする。
【0026】
このように、撮像素子12によって得られた画像データに基づいてDSC10外部の明るさを取得する構成を採用すれば、DSC10外部の明るさを取得するために外部測光センサー19を設ける必要がないため、装置全体のコストダウンにつながる。また、第1実施例を実施する限りにおいては、照明部21、内部測光センサー22、A/D変換部23は不要であり、DSC10の構成として省略することができる。
【0027】
なお、ユーザーは、覗き窓16を覗いた直後においてはファインダーボックスFB内のEVF14の明るさに目が慣れず、液晶パネル14aの画像を眩しく感じたり不快に感じたりする(“酔い”を感じる)ことがある。そこで、制御部17は、覗き窓16がユーザーによって覗かれているか否かを判断し、覗き窓16が覗かれている時間が長くなるにつれてEVF14の明るさを増加させるとしてもよい。具体的には、制御部17は、例えば上記のようにステップS110でバックライト14bの輝度を決定した後、ステップS120でバックライト14bの輝度を即座に当該決定された輝度にするのではなく、近接センサー24からの検知信号の入力を監視する。
【0028】
そして、検知信号が継続的に入力される場合、つまり覗き窓16がユーザーによって覗かれていると判断できる期間中は、時間の経過に沿って徐々にバックライト14bの輝度を上昇させ、最終的にバックライト14bの輝度を上記決定された輝度にまで上昇させる。このような構成とすれば、覗き窓16を覗いて液晶パネル14aの画像を見るユーザーの目が適切に液晶パネル14aの明るさに順応し、上記“酔い”を感じにくくなる。なお、このように時間の経過に沿って徐々にバックライト14bの輝度を上昇させる場合、上昇のさせ方は、階段状であってもよいし、線形的に上昇させてもよいし、非線形的に上昇させてもよい。また、ステップS120でバックライト14bの輝度を即座に決定された輝度にし、近接センサー24からの検知信号に基づいて覗き窓16がユーザーによって覗かれていると判断できる期間中は、時間の経過に沿って徐々にバックライト14bの輝度を上昇させ、最終的にバックライト14bの輝度を一定の明るさにするようにしても良い。
【0029】
第2実施例:
図8は、EVF14に上記デジタル画像データに基づく画像表示をさせる際に主に制御部17が実行する明るさ制御処理であって、第2実施例にかかる処理をフローチャートにより示している。まず、ステップS200では、制御部17は、内部測光センサー22を駆動させることにより、ファインダーボックスFB内の明るさを取得する。つまり、内部測光センサー22に光量を測定させ、測定結果としての出力信号を、A/D変換部23を介して取得する。
【0030】
ステップS210では、制御部17は、上記ステップS200で取得したファインダーボックスFB内の明るさに応じてEVF14の明るさを決定する。ここで決定するEVF14の明るさとは、バックライト14bの輝度を指す。この場合、制御部17は、上記ステップS200での測定結果が示す光量のレベルが高いほど(つまり、ファインダーボックスFB内が明るいほど)、高い輝度を決定する。言い換えると、制御部17は、上記測定結果が示す光量のレベルが第一のレベルである場合に、当該第一のレベルに対応した第二の輝度を決定し、上記測定結果が示す光量のレベルが上記第一のレベルよりも明るい第三のレベルである場合に、上記第二の輝度よりも明るい第四の輝度を決定する。第2実施例においても、制御部17は、このような上記測定結果に応じたEVF14の明るさの決定処理を、予めROM17b等所定のメモリーに保存したテーブルT(図5,6,7)を参照する等して行なう。
【0031】
ステップS220では、制御部17は、上記ステップS210で決定した輝度となるようにバックライト14bの駆動をPWM制御することにより、バックライト14bの輝度を調整する。この結果、バックライト14bは、ファインダーボックスFB内の明るさに応じた明るさで発光する(ファインダーボックスFB内が明るければ高い輝度で発光し、ファインダーボックスFB内が暗ければ低い輝度で発光する)。このように、第2実施例によれば、ファインダーボックスFB内の明るさとEVF14としての液晶パネル14aの明るさとの差が大きくならないように、ファインダーボックスFB内の明るさに応じてバックライト14bの輝度が調整される。そのため、そのような明度差があることでユーザーが感じてしまう“酔い”を低減しあるいは無くすことができる。なお、第2実施例を実施する限りにおいては、外部測光センサー19、A/D変換部20、照明部21は不要であり、DSC10の構成として省略することができる。
【0032】
第3実施例:
図9は、EVF14に上記デジタル画像データに基づく画像表示をさせる際に主に制御部17が実行する明るさ制御処理であって、第3実施例にかかる処理をフローチャートにより示している。まず、ステップS300では、制御部17は、EVF14の明るさを取得する。この場合、制御部17は、撮像素子12によって生成、出力された上記デジタル画像データと、バックライト14bの明るさとのいずれか一方または双方に基づいて、EVF14の明るさを取得することが可能である。例えば、デジタル画像データにおける平均輝度を算出し、当該算出した平均輝度をEVF14の明るさとする。あるいは、制御部17がバックライト14bの輝度を示すものとして設定しているパラメーターが示す輝度をEVF14の明るさとする。
【0033】
ただしここでは、制御部17は、上記デジタル画像データおよびバックライト14bの明るさの双方に基づいて、EVF14の明るさを取得する。具体的には、デジタル画像データの上記平均輝度と、制御部17が設定している上記パラメーターが示す輝度とについて、それらを正規化するための所定の係数を掛ける等した上で、足し合わせたり、あるいは掛け合わせたりした結果を、EVF14自体の明るさとして取得する。
【0034】
ステップS310では、制御部17は、上記ステップS300で取得したEVF14の明るさに応じて、照明部21(LED21a)の明るさ(輝度)を決定する。この場合、制御部17は、上記ステップS300で取得したEVF14の明るさが高いほど、高い輝度を決定する。言い換えると、制御部17は、上記EVF14の明るさが第一のレベルである場合に、当該第一のレベルに対応した第二の輝度を決定し、上記EVF14の明るさが上記第一のレベルよりも明るい第三のレベルである場合に、上記第二の輝度よりも明るい第四の輝度を決定する。第3実施例においても、制御部17は、このような上記EVF14の明るさ応じたLED21aの輝度の決定処理を、予めROM17b等所定のメモリーに保存したテーブルT(図5,6,7)を参照する等して行なう。ただしこの場合、上記「測定結果が示す光量のレベル」を「上記ステップS300で取得したEVF14の明るさ」に読み替えるものとする。
【0035】
ステップS320では、制御部17は、上記ステップS310で決定した輝度となるようにLED21aの駆動をPWM制御することにより、LED21aの輝度を調整する。この結果、LED21aは、EVF14自体の明るさに応じた明るさで発光する(EVF14が明るければ高い輝度で発光し、EVF14が暗ければ低い輝度で発光する)。つまり、EVF14自体の明るさとファインダーボックスFB内の明るさとの差が大きくならないように、EVF14自体の明るさに応じてファインダーボックスFB内の明るさが調整されるため、そのような明度差があることでユーザーが感じてしまう“酔い”を低減しあるいは無くすことができる。なお、第3実施例を実施する限りにおいては、外部測光センサー19、A/D変換部20、内部測光センサー22、A/D変換部23は不要であり、DSC10の構成として省略することができる。
【0036】
当該第3実施例においては、制御部17は、覗き窓16がユーザーによって覗かれているか否かを判断し、覗き窓16が覗かれている時間が長くなるにつれてEVF14の明るさおよび照明部21の明るさを増加させるとしてもよい。具体的には、制御部17は、上記のようにステップS310でLED21aの輝度を決定した後、ステップS320でLED21aの輝度を即座に当該決定された輝度にするのではなく、近接センサー24からの検知信号の入力を監視する。そして、検知信号が継続的に入力される場合、つまり覗き窓16がユーザーによって覗かれていると判断できる期間中は、時間の経過に沿って徐々にLED21aの輝度およびバックライト14bの輝度をそれぞれ上昇させ、最終的に、LED21aの輝度を上記ステップS310で決定された輝度にまで上昇させるとともに、バックライト14bの輝度を制御部17が設定している上記パラメーターが示す輝度にまで上昇させる。このような構成とすれば、覗き窓16を覗いて液晶パネル14aの画像を見るユーザーの目が適切にファインダーボックスFB内の明るさおよび液晶パネル14aの明るさに順応し、上記“酔い”を感じにくくなる。なお、このように時間の経過に沿って徐々にLED21aの輝度およびバックライト14bの輝度を上昇させる場合、上昇のさせ方はそれぞれ、階段状であってもよいし、線形的に上昇させてもよいし、非線形的に上昇させてもよい。また、ステップS320でLED21aの輝度を即座に決定された輝度にし、近接センサー24からの検知信号に基づいて覗き窓16がユーザーによって覗かれていると判断できる期間中は、時間の経過に沿って徐々にLED21aの輝度およびバックライト14bの輝度を上昇させ、最終的にLED21aおよびバックライト14bの輝度を一定の明るさにするようにしても良い。
【0037】
第4実施例:
図10は、EVF14に上記デジタル画像データに基づく画像表示をさせる際に主に制御部17が実行する明るさ制御処理であって、第4実施例にかかる処理をフローチャートにより示している。まず、ステップS400では、制御部17は、外部測光センサー19を駆動させることにより、DSC10外部の明るさを取得する。つまり、外部測光センサー19に外部の光量を測定させ、測定結果としての出力信号を、A/D変換部20を介して取得する。
【0038】
ステップS410では、制御部17は、上記ステップS400で取得したDSC10外部の明るさに応じて照明部21(LED21a)の明るさ(輝度)を決定する。この場合、制御部17は、上記ステップS400での測定結果が示す光量のレベルが高いほど(つまり、DSC10の外部が明るいほど)、高い輝度を決定する。言い換えると、制御部17は、上記測定結果が示す光量のレベルが第一のレベルである場合に、当該第一のレベルに対応した第二の輝度を決定し、上記測定結果が示す光量のレベルが上記第一のレベルよりも明るい第三のレベルである場合に、上記第二の輝度よりも明るい第四の輝度を決定する。第4実施例においても、制御部17は、このようなDSC10外部の明るさ応じたLED21aの輝度の決定処理を、予めROM17b等所定のメモリーに保存したテーブルT(図5,6,7)を参照する等して行なう。
【0039】
なお上記ステップS400においても、制御部17は、外部測光センサー19を用いて外部の明るさを取得するのではなく、撮像素子12によって生成、出力された上記デジタル画像データに基づいて、DSC10外部の明るさを取得するとしてもよい。つまり制御部17は、当該画像データを解析することにより、画像データにおける平均輝度を算出し、当該算出した平均輝度をDSC10外部の明るさとして取得する。そして、制御部17はステップS410では、このように画像データに基づいて取得した明るさに応じたLED21aの輝度を、図5,6,7に示したような入出力特性を持ったテーブルを用いて決定してもよい。この場合、上記「測定結果が示す光量のレベル」を「画像データにおける平均輝度」に読み替えるものとする。
ステップS420では、制御部17は、上記ステップS410で決定した輝度となるようにLED21aの駆動をPWM制御することにより、LED21aの輝度を調整する。この結果、LED21aは、DSC10の外部の明るさに応じた明るさで発光する(外部が明るければ高い輝度で発光し、外部が暗ければ低い輝度で発光する)。このように、第4実施例によれば、DSC10周辺の環境光の明るさに応じて照明部21の明るさ(ファインダーボックスFB内の明るさ)が調整されるため、EVF14を覗くユーザーが、外部の明るさとファインダーボックスFB内の明るさとの差に起因して上述したような“酔い”を感じてしまう、といった不都合が解消される。なお、第4実施例を実施する限りにおいては、内部測光センサー22、A/D変換部23は不要であり、DSC10の構成として省略することができる。
【0040】
当該第4実施例においても、制御部17は、覗き窓16がユーザーによって覗かれているか否かを判断し、覗き窓16が覗かれている時間が長くなるにつれてEVF14の明るさおよび照明部21の明るさを増加させるとしてもよい。具体的には、制御部17は、上記のようにステップS410でLED21aの輝度を決定した後、ステップS420でLED21aの輝度を即座に当該決定された輝度にするのではなく、近接センサー24からの検知信号の入力を監視する。そして、検知信号が継続的に入力される場合、つまり覗き窓16がユーザーによって覗かれていると判断できる期間中は、時間の経過に沿って徐々にLED21aの輝度およびバックライト14bの輝度をそれぞれ上昇させ、最終的に、LED21aの輝度を上記ステップS410で決定された輝度にまで上昇させるとともに、バックライト14bの輝度を制御部17が設定している上記パラメーターが示す輝度にまで上昇させる。このような構成とすれば、覗き窓16を覗いて液晶パネル14aの画像を見るユーザーの目が適切にファインダーボックスFB内の明るさおよび液晶パネル14aの明るさに順応し、上記“酔い”を感じにくくなる。なお、このように時間の経過に沿って徐々にLED21aの輝度およびバックライト14bの輝度を上昇させる場合、上昇のさせ方はそれぞれ、階段状であってもよいし、線形的に上昇させてもよいし、非線形的に上昇させてもよい。また、ステップS420でLED21aの輝度を即座に決定された輝度にし、近接センサー24からの検知信号に基づいて覗き窓16がユーザーによって覗かれていると判断できる期間中は、時間の経過に沿って徐々にLED21aの輝度およびバックライト14bの輝度を上昇させ、最終的にLED21aおよびバックライト14bの輝度を一定の明るさにするようにしても良い。
【0041】
その他:
本発明は上述した実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。むろん、上述した各実施例を適宜組み合わせた構成も実施可能である。
【0042】
さらに、上記各実施例に共通する効果として、ユーザーのEVF14の積極的な使用によるDSC10全体としての節電効果が挙げられる。つまり、上記各実施例によれば、EVF14を使用する際のユーザーの酔いが低減または解消されるため、ユーザーとしてもモニター用LCD13を使用する替わりに、EVF14を積極的に使用するようになると考えられる。上述したようにEVF14は、液晶パネル14aの画面サイズがモニター用LCD13の画面サイズよりも小さいため、モニター用LCD13の替わりにEVF14が使用される機会が増えることで、DSC10における消費電力が節約され、DSC10でより長時間の撮影が可能となる。
【0043】
さらに本発明の構成は、EVFを搭載したカメラ以外の各種装置において適用可能である。例えば、LCDを用いたウェアラブルディスプレーにおいても、LCDの明るさや、LCDを囲う空間内の明るさの調整のために本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0044】
10…DSC、11…撮像レンズ、12…撮像素子、13…モニター用LCD、14…EVF、14a…液晶パネル、14b…バックライト、15…筺体、16…覗き窓、17…制御部、17a…CPU、17b…ROM、17c…RAM、18…撮像素子ドライバー、19…外部測光センサー、20…A/D変換部、21…照明部、21a…LED、22…内部測光センサー、23…A/D変換部、24…近接センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筺体に設けられた覗き窓の内側に配設されて画像を表示する表示部と、
上記覗き窓の内側の空間の明るさを取得する取得部と、
上記取得部が取得した明るさが第一の明るさである場合に上記表示部の明るさを第二の明るさにし、上記取得部が取得した明るさが上記第一の明るさよりも明るい第三の明るさである場合に上記表示部の明るさを上記第二の明るさよりも明るい第四の明るさにする制御部とを備えることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
上記筺体内部の壁面のうち少なくとも上記表示部周辺の壁面は白色であることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
筺体に設けられた覗き窓の内側に配設された表示部に画像を表示させ、
上記覗き窓の内側の空間の明るさを取得し、
上記取得した明るさが第一の明るさである場合に上記表示部の明るさを第二の明るさにし、上記取得した明るさが上記第一の明るさよりも明るい第三の明るさである場合に上記表示部の明るさを上記第二の明るさよりも明るい第四の明るさにすることを特徴とする明るさ制御方法。
【請求項4】
筺体に設けられた覗き窓の内側に配設された表示部に画像を表示させる機能と、
上記覗き窓の内側の空間の明るさを取得する機能と、
上記取得した明るさが第一の明るさである場合に上記表示部の明るさを第二の明るさにし、上記取得した明るさが上記第一の明るさよりも明るい第三の明るさである場合に上記表示部の明るさを上記第二の明るさよりも明るい第四の明るさにする機能とをコンピューターに実行させることを特徴とする明るさ制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−166678(P2011−166678A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−30289(P2010−30289)
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】