画像表示装置の駆動方法、画像表示装置およびプロジェクタ
【課題】 画像表示品質に優れた画像表示装置の駆動方法を提供する。
【解決手段】 色変調ライトバルブおよび輝度変調ライトバルブに制御値を入力して、光源からの光を変調することにより、画像を表示する画像表示装置の駆動方法であって、色変調ライトバルブに対する垂直同期信号VSYNC1と、輝度変調ライトバルブに対する垂直同期信号VSYNC2とを同期させて、各ライトバルブに制御値を入力する。
【解決手段】 色変調ライトバルブおよび輝度変調ライトバルブに制御値を入力して、光源からの光を変調することにより、画像を表示する画像表示装置の駆動方法であって、色変調ライトバルブに対する垂直同期信号VSYNC1と、輝度変調ライトバルブに対する垂直同期信号VSYNC2とを同期させて、各ライトバルブに制御値を入力する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置の駆動方法、画像表示装置およびプロジェクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、LCD(Liquid Crystal Display)、EL(Electro-luminescence)ディスプレイ、プラズマディスプレイ、CRT(Cathode Ray Tube)、プロジェクタ等の電子ディスプレイ装置における画質改善は目覚しく、解像度、色域については人間の視覚特性にほぼ匹敵する性能を有する装置が実現されつつある。しかし、輝度ダイナミックレンジについてみると、その再現範囲は1〜102[nit]程度の範囲であり、また階調数は8ビットが一般的である。一方、人間の視覚は、一度に知覚し得る輝度ダイナミックレンジの範囲が10−2〜104[nit]程度あり、また輝度弁別能力は0.2[nit]でこれを階調数に換算すると12ビット相当といわれている。このような視覚特性を通じて現在のディスプレイ装置の表示画像を見ると、輝度ダイナミックレンジの狭さが目立ち、加えてシャドウ部やハイライト部の階調が不足しているため、表示画像のリアリティや迫力に対して物足りなさを感じることになる。
【0003】
また、映画やゲーム等で使用されるCG(Computer Graphics)では、人間の視覚に近い輝度ダイナミックレンジや階調特性を有する画像データ(以下、HDR(High Dynamic Range)画像データという。)を用いて、描写のリアリティを追求する動きが主流になりつつある。しかし、それを表示するディスプレイ装置の性能が不足しているために、CGコンテンツが本来有する表現力を充分に発揮できないという課題がある。
【0004】
さらに、次世代OS(Operating System)においては、16ビット色空間の採用が予定されており、現在の8ビット色空間と比較してダイナミックレンジや階調数が飛躍的に増大する。そのため、16ビット色空間を生かすことができる高ダイナミックレンジ・高階調の電子ディスプレイ装置実現への要求が高まると予想される。
【0005】
ディスプレイ装置の中でも、液晶プロジェクタや、DLP(Digital Light Processing、TI社の登録商標)プロジェクタといった投射型表示装置は、大画面表示が可能であり、表示画像のリアリティや迫力を再現する上で効果的なディスプレイ装置である。この分野では上記の課題を解決するために、以下に述べる提案がなされている。
【0006】
ダイナミックレンジの拡大を目的とした表示装置として、例えば、特許文献1に開示されている技術がある。この技術では、第1の光変調素子として液晶パネルを備え、第2の光変調素子として複数のLED(Light Emitting Diode)や蛍光灯などを整列配置したバックライトを備えている。そして、各画素の画素値データを基に、バックライトによる輝度制御および液晶パネルによる階調制御を行なっている。つまり、2つの光変調素子を直列配置して、表示画像の画素に対応した各光変調素子の画素を個別に制御することで、コントラスト向上と輝度ダイナミックレンジの拡大が可能となっている。
【特許文献1】特開2002−99250号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図21および図22は、第1光変調素子および第2光変調素子の対応する画素における駆動制御値および表示輝度の時間変化を示すグラフであり、図21は静止画表示の場合であり、図22は動画表示の場合である。ここで制御値とは、各光変調素子の当該画素における光透過率を制御するため各光変調素子に入力される値である。
図21の静止画表示の場合には、図21(a)に示す第1光変調素子および図21(b)に示す第2光変調素子ともに、駆動制御値が一定となっている。これにより、図21(c)に示すように、当該画素における表示輝度も一定となって、静止画表示が行われる。
【0008】
これに対して、図22の動画表示の場合には、図22(a)に示す第1光変調素子の制御値および図22(b)に示す第2光変調素子の制御値が更新され、図22(c)に示すように当該画素における表示輝度が変化して、動画表示が行われている。
しかしながら、第1光変調素子の制御値の更新時期に対して、第2光変調素子の制御値の更新時期が遅れている。そのため、当該画素における表示輝度が一時的に上昇し、その後に所定輝度まで低下している。この表示輝度の一時的な上昇により、表示画面がフラッシュのように光ることになり、画像表示品質を低下させるという問題がある。
【0009】
なお、複数の光変調素子を光学的に直列配置した表示装置の特徴として、中間階調を実現するための各光変調素子の制御値の組み合わせが複数存在する。そのため、表示輝度が少し違っただけでも、その表示輝度を実現する各光変調素子の制御値が大きく変化する場合がある。この時に、制御値の更新時期が各光変調素子で異なると、図22(c)に示すように意図しない輝度表示が行われ、画像表示品質を低下させることになる。その結果、コントラストも低下することになり、特に高輝度の表示システムにおいては大きな問題になる。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、画像表示品質に優れた画像表示装置の駆動方法、画像表示装置およびプロジェクタの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の画像表示装置の駆動方法は、第1光変調素子および第2光変調素子に制御値を入力して、光源からの光を変調することにより、画像を表示する画像表示装置の駆動方法であって、前記第1光変調素子に対する垂直同期信号と、前記第2光変調素子に対する垂直同期信号とを同期させて、前記各光変調素子に制御値を入力することを特徴とする。
この構成によれば、各光変調素子の垂直方向における制御値の入力開始時期を略一致させることができる。なお、各光変調素子の画素数が異なる場合には、各光変調素子の画面全体の描画時間が異なるが、次の描画前に各垂直同期信号を同期させることにより、その時間差を累積させることがない。これにより、各ライトバルブの制御値が略同時期に更新されるので、動画表示を行う場合でも、制御値の更新時期のずれに起因する輝度表示の一時的な上昇を防止することができる。したがって、画像表示品質を低下させることがない。
【0012】
また、本発明の他の画像表示装置の駆動方法は、第1光変調素子および第2光変調素子に制御値を入力して、光源からの光を変調することにより、画像を表示する画像表示装置の駆動方法であって、前記第1光変調素子に対する制御値の入力開始直前の水平同期信号と、前記第2光変調素子に対する制御値の入力開始直前の水平同期信号とを同期させて、前記各光変調素子に制御値を入力することを特徴とする。
この構成によれば、各光変調素子の水平方向における制御値の入力開始時期を略一致させることができる。なお、各光変調素子の画素数が異なる場合には、各光変調素子の画面全体の描画時間が異なるが、次の描画前に各水平同期信号を同期させることにより、その時間差を累積させることがない。これにより、各ライトバルブの制御値が略同時期に更新されるので、動画表示を行う場合でも、制御値の更新時期のずれに起因する輝度表示の一時的な上昇を防止することができる。したがって、画像表示品質を低下させることがない。
【0013】
また、本発明の他の画像表示装置の駆動方法は、第1光変調素子および第2光変調素子に制御値を入力して、光源からの光を変調することにより、画像を表示する画像表示装置の駆動方法であって、前記第1光変調素子に対するドットクロック信号の周波数と前記第2光変調素子に対するドットクロック信号の周波数との比率を、前記第1光変調素子において制御値の入力により画像形成に関与する画素数と前記第2光変調素子において制御値の入力により画像形成に関与する画素数との比率に略一致させて、前記各光変調素子に制御値を入力することを特徴とする。
この構成によれば、第1光変調素子における画面全体の描画時間と、第2光変調素子における画面全体の描画時間とを、略一致させることができる。これにより、各ライトバルブの制御値が略同時期に更新されるので、動画表示を行う場合でも、制御値の更新時期のずれに起因する輝度表示の一時的な上昇を防止することができる。したがって、画像表示品質を低下させることがない。
【0014】
なお、前記第1光変調素子の垂直方向における画像形成に関与する画素に対する制御値の入力開始時期が、前記第2光変調素子の垂直方向における画像形成に関与する画素に対する制御値の入力開始時期と略一致するように、前記第1光変調素子に対する垂直同期信号および前記第2光変調素子に対する垂直同期信号を発生させることが望ましい。
この構成によれば、第1光変調素子および第2光変調素子の垂直方向における画像形成に関与する画素に対する制御値の入力時期を略一致させることができるので、画像形成に関与する画素の制御値の更新時期のずれに起因する輝度表示の一時的な上昇を抑制することができる。したがって、画像表示品質を低下させることがない。
【0015】
なお、前記第1光変調素子の水平方向における画像形成に関与する画素に対する制御値の入力開始時期が、前記第2光変調素子の水平方向における画像形成に関与する画素に対する制御値の入力開始時期と略一致するように、前記第1光変調素子に対する水平同期信号および前記第2光変調素子に対する水平同期信号を発生させることが望ましい。
この構成によれば、第1光変調素子および第2光変調素子の水平方向における画像形成に関与する画素に対する制御値の入力時期を略一致させることができるので、画像形成に関与する画素の制御値の更新時期のずれに起因する輝度表示の一時的な上昇を抑制することができる。したがって、画像表示品質を低下させることがない。
【0016】
一方、本発明の画像表示装置は、第1光変調素子および第2光変調素子に制御値を入力して、光源からの光を変調することにより、画像を表示する画像表示装置であって、前記第1光変調素子の垂直方向における制御値の入力開始時期が、前記第2光変調素子の垂直方向における制御値の入力開始時期と略一致するように、前記第1光変調素子に対する垂直同期信号および前記第2光変調素子に対する垂直同期信号を発生させる駆動制御部を有することを特徴とする。
この構成によれば、第1光変調素子および第2光変調素子の垂直方向における制御値の入力時期を略一致させることができるので、制御値の更新時期のずれに起因する輝度表示の一時的な上昇を抑制することができる。したがって、画像表示品質を低下させることがない。
【0017】
また、本発明の他の画像表示装置は、第1光変調素子および第2光変調素子に制御値を入力して、光源からの光を変調することにより、画像を表示する画像表示装置であって、前記第1光変調素子の水平方向における制御値の入力開始時期が、前記第2光変調素子の水平方向における制御値の入力開始時期と略一致するように、前記第1光変調素子に対する水平同期信号および前記第2光変調素子に対する水平同期信号を発生させる駆動制御部を有することを特徴とする。
この構成によれば、第1光変調素子および第2光変調素子の水平方向における制御値の入力時期を略一致させることができるので、制御値の更新時期のずれに起因する輝度表示の一時的な上昇を抑制することができる。したがって、画像表示品質を低下させることがない。
【0018】
また、本発明の他の画像表示装置は、第1光変調素子および第2光変調素子に制御値を入力して、光源からの光を変調することにより、画像を表示する画像表示装置であって、前記第1光変調素子に対するドットクロック信号の周波数と前記第2光変調素子に対するドットクロック信号の周波数との比率を、前記第1光変調素子において制御値の入力により画像形成に関与する画素数と前記第2光変調素子において制御値の入力により画像形成に関与する画素数との比率に略一致させて、前記各ドットクロック信号を発生させる駆動制御部を有することを特徴とする。
この構成によれば、第1光変調素子における画面全体の描画時間と、第2光変調素子における画面全体の描画時間とを、略一致させることができる。これにより、各ライトバルブの画像形成に関与する画素の制御値が略同時期に更新されるので、動画表示を行う場合でも、画像形成に関与する画素の制御値の更新時期のずれに起因する輝度表示の一時的な上昇を防止することができる。したがって、画像表示品質を低下させることがない。
【0019】
一方、本発明のプロジェクタは、上述した画像表示装置と、投射手段と、を備えることを特徴とする。
この構成によれば、画像表示品質に優れたプロジェクタを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態例を図面に基づいて説明する。
【0021】
[第1の実施形態]
[プロジェクタの全体構成]
図1は、本発明の画像表示装置及び本発明のプロジェクタの実施の形態の一例であり、プロジェクタPJ1の主たる光学構成を示す図である。
プロジェクタPJ1は、図1に示すように、光源10と、光源10から入射した光の輝度分布を均一化する均一照明系20と、均一照明系20から入射した光の波長領域のうちのRGB3原色の輝度をそれぞれ変調する色変調部25(第1変調手段としての3つの透過型液晶ライトバルブ60B,60G,60Rを含む)と、色変調部25から入射した光をリレーするリレーレンズ90と、リレーレンズ90から入射した光の全波長領域の輝度を変調する第2変調手段としての透過型液晶ライトバルブ100と、液晶ライトバルブ100から入射した光をスクリーン(不図示)に投射する投射レンズ(投射手段)110と、を含んで構成されている。
【0022】
光源10は、超高圧水銀ランプやキセノンランプ等からなるランプ11と、ランプ11からの射出光を反射・集光するリフレクタ12とを含んで構成されている。
【0023】
均一照明系20は、フライアイレンズ等からなる2つのレンズアレイ21,22と、偏光変換素子23と、集光レンズ24とを含んで構成されている。そして、光源10からの光の輝度分布を2つのレンズアレイ21,22により均一化し、均一化した光を偏光変換素子23により色変調部の入射可能偏光方向に偏光し、偏光した光を集光レンズ24により集光して色変調部25に射出する。なお、偏光変換素子23は、例えばPBS(偏光ビームスプリッタ)アレイおよび1/2波長板で構成されており、ランダム偏光を特定の直線偏光に変換するものである。
【0024】
色変調部25は、光分離手段としての2つのダイクロイックミラー30,35と、3つのミラー(反射ミラー36,45,46)と、5つのフィールドレンズ(レンズ41、リレーレンズ42、平行化レンズ50B,50G,50R)と、3つの液晶ライトバルブ60B,60G,60Rと、クロスダイクロイックプリズム80と、を含んで構成されている。
【0025】
ダイクロイックミラー30,35は、光源10からの光(白色光)を、赤色光(R光)、緑色光(G光)、青色光(B光)のRGB3原色光に分離(分光)するものである。ダイクロイックミラー30は、B光及びG光を反射し、R光を透過する性質のダイクロイック膜をガラス板等に形成したもので、光源10からの白色光に含まれるB光及びG光を反射し、R光を透過する。ダイクロイックミラー35は、G光を反射し、B光を透過する性質のダイクロイック膜をガラス板等に形成したもので、ダイクロイックミラー30を透過したG光及びB光のうち、G光を反射して平行化レンズ50Gに伝達し、B光を透過してレンズ41に伝達する。
【0026】
リレーレンズ42はレンズ41近傍の光(光強度分布)を平行化レンズ50B近傍に伝達するもので、レンズ41はリレーレンズ42に光を効率よく入射させる機能を有する。
レンズ41に入射したB光はその強度分布をほぼ保存された状態で、かつ光損失を殆ど伴うことなく空間的に離れた液晶ライトバルブ60Bに伝達される。
【0027】
平行化レンズ50B,50G,50Rは、対応する液晶ライトバルブ60B,60G,60Rに入射する各色光を略平行化して入射光の角度分布を狭め、液晶ライトバルブ60B,60G,60Rの表示特性を向上させる機能を有している。そして、ダイクロイックミラー30,35で分光されたRGB3原色の光は、上述したミラー(反射ミラー36,45,46)及びフィールドレンズ(レンズ41、リレーレンズ42、平行化レンズ50B,50G,50R)を介して、液晶ライトバルブ60B,60G,60Rに入射する。
【0028】
液晶ライトバルブ60B,60G,60Rは、画素電極及びこれを駆動するための薄膜トランジスタや薄膜ダイオード等のスイッチング素子がマトリクス状に形成されたガラス基板と、全面にわたって共通電極が形成されたガラス基板との間にTN型液晶を挟み込むとともに、外面に偏光板を配置したアクティブマトリクス型の液晶表示素子である。
【0029】
また、液晶ライトバルブ60B,60G,60Rは、電圧非印加状態で白/明(透過)状態、電圧印加状態で黒/暗(非透過)状態となるノーマリーホワイトモード、またはその逆のノーマリーブラックモードで駆動され、電極間に与えられた制御値(制御電圧)に応じて明暗間の階調がアナログ制御される。液晶ライトバルブ60Bは、入射されたB光を制御値に基づいて光変調し、光学像を内包した変調光を射出する。液晶ライトバルブ60Gは、入射されたG光を制御値に基づいて光変調し、光学像を内包した変調光を射出する。液晶ライトバルブ60Rは、入射されたR光を制御値に基づいて光変調し、光学像を内包した変調光を射出する。
【0030】
クロスダイクロイックプリズム80は、4つの直角プリズムが貼り合わされた構造からなり、その内部には、B光を反射する誘電体多層膜(B光反射ダイクロイック膜81)及びR光を反射する誘電体多層膜(R光反射ダイクロイック膜82)が断面X字状に形成されている。そして、液晶ライトバルブ60GからのG光を透過し、液晶ライトバルブ60RからのR光と液晶ライトバルブ60BからのB光とを折り曲げてこれらの3色の光を合成し、カラー画像を形成する。
【0031】
リレーレンズ90は、クロスダイクロイックプリズム80で合成された液晶ライトバルブ60B,60G,60Rからの光学像(光強度分布)を、液晶ライトバルブ100の表示面上に伝達するものである。リレーレンズ90は、多数枚のレンズから構成されるので、収差補正がよく、各色変調用の液晶ライトバルブ60B,60G,60Rで形成される輝度分布を正確に液晶ライトバルブ100に伝達することができる。
【0032】
液晶ライトバルブ100は、前述した液晶ライトバルブ60B,60G,60Rと同等の構成からなり、入射した光の全波長領域の輝度を制御値に基づいて変調し、最終的な光学像を内包した変調光を投射レンズ110に射出する。
また投射レンズ110は、液晶ライトバルブ100の表示面上に形成された光学像を図示しないスクリーン上に投射してカラー画像を表示する。
【0033】
次に、プロジェクタPJ1の全体的な光伝達の流れを説明する。光源10からの白色光はダイクロイックミラー30,35により赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の3原色光に分光されるとともに、平行化レンズ50B,50G,50Rを含むレンズ及びミラーを介して、液晶ライトバルブ60B,60G,60Rに入射される。その液晶ライトバルブ60B,60G,60Rは、後述するHDR画像データに基づいて生成された制御値によって駆動され、画素単位で光透過率を変化させうるようになっている。したがって、液晶ライトバルブ60B,60G,60Rに入射した各々の色光は、それぞれの波長領域に応じて色変調され、光学像を内包した変調光として射出される。
【0034】
液晶ライトバルブ60B,60G,60Rからの各変調光は、それぞれクロスダイクロイックプリズム80に入射し、そこで一つの光に合成され、リレーレンズ90を介して液晶ライトバルブ100に入射される。液晶ライトバルブ100も同様に、後述するHDR画像データに基づいて生成された制御値によって駆動され、画素単位で光透過率を変化させうるようになっている。したがって、液晶ライトバルブ100に入射した合成光は、全波長域について輝度変調され、最終的な光学像を内包した変調光として投射レンズ110へ射出される。そして、投射レンズ110において、液晶ライトバルブ100からの最終的な合成光を図示しないスクリーン上に投射し所望の画像を表示する。
【0035】
このように、プロジェクタPJ1では、第1光変調素子としての液晶ライトバルブ60B,60G,60Rで光学像(画像)を形成した変調光を用いて、最終的な表示画像を第2光変調素子としての液晶ライトバルブ100で形成する形態を採用しており、直列に配置された2つのライトバルブを介して、2段階の画像形成過程によって光源10からの光を変調する。その結果、プロジェクタPJ1は、輝度ダイナミックレンジの拡大と階調数の増大を実現することができるようになっている。
【0036】
ここで、液晶ライトバルブ60B,60G,60R及び液晶ライトバルブ100は、いずれも透過光の強度を変調しその変調度合いに応じた光学像を内包する点で一致するが、後者の液晶ライトバルブ100が全波長域の光(白色光)を変調するのに対して、前者の液晶ライトバルブ60B,60G,60Rが光分離手段であるダイクロイックミラー30,35で分光された特定波長領域の光(R,G,Bなどの色光)を変調する点で異なっている。したがって、液晶ライトバルブ60B,60G,60Rで行われる光強度変調を色変調、液晶ライトバルブ100で行われる光強度変調を輝度変調と便宜的に呼称して区別する。また、同様の観点から、以下の説明では液晶ライトバルブ60B,60G,60Rを色変調ライトバルブ、液晶ライトバルブ100を輝度変調ライトバルブと呼称して区別する場合がある。
【0037】
そして、色変調ライトバルブ及び輝度変調ライトバルブに入力する制御値の内容については、後ほど詳述する。なお、本実施形態では、色変調ライトバルブは輝度変調ライトバルブよりも高い解像度を有し、よって、色変調ライトバルブが表示解像度(プロジェクタPJ1の表示画像を観測者が見たときに観測者が知覚する解像度をいう。)を決定する場合を想定している。勿論、表示解像度の関係はこれに限定されず、同じ解像度の色変調ライトバルブ及び輝度変調ライトバルブを採用することも可能であるし、また輝度変調ライトバルブが色変調ライトバルブよりも高い解像度を有し、輝度変調ライトバルブが表示解像度を決定する構成を採用することも可能である。
【0038】
[表示制御装置]
図1に示すプロジェクタPJ1では、HDR画像データから色変調ライトバルブ(液晶ライトバルブ60B,60G,60R)および輝度変調ライトバルブ(液晶ライトバルブ100)の制御値を生成し、その制御値を各ライトバルブに入力して光変調および輝度変調を行う。これにより、画像の表示制御を行うようになっている。
【0039】
図2は、表示制御装置のハードウエア構成を示すブロック図である。
表示制御装置は、外部装置からのHDR画像データの入力を媒介するI/F178と、I/F178を介して入力されたHDR画像データを一時的に保管する入力用フレームメモリ192と、ROM172に格納されたプログラムに従ってHDR画像データから各ライトバルブの制御値を生成するCPU170と、生成された制御値を保管する出力用フレームメモリ194,195と、その制御値を用いて輝度変調ライトバルブ100および色変調ライトバルブ60を駆動する駆動制御部210とを備えており、これらは信号線であるバスによりデータ授受可能に接続されている。
【0040】
I/F178には、外部のネットワーク199に接続するための信号線と、データ等をファイルとして格納する記憶装置182とが接続されている。この記憶装置182には、プロジェクタで表示すべきHDR画像データと、輝度変調ライトバルブ100及び色変調ライトバルブ60を駆動するための制御値登録テーブルとが記憶されている。
【0041】
HDR画像データは、従来のsRGB等の画像フォーマットでは実現できない高い輝度ダイナミックレンジを実現することが可能な画像データであり、画素の輝度レベルを示す画素値を画像の全画素について格納している。本実施形態では、HDR画像データとして、1つの画素についてRGB3原色ごとに輝度レベルを示す画素値を浮動小数点値として格納した形式を用いる。例えば、1つの画素の画素値として(1.2,5.4,2.3)という値が格納されている。また、格納する値としては、放射輝度(Radiance)や輝度(Luminance)等の物理的な輝度に関する値を格納しているのも特徴である。放射輝度に人間の視感特性をかけたものが輝度であるため、以後の説明では二つを区別せずに輝度と呼ぶ。
【0042】
なお、HDR画像データの生成方法の詳細については、例えば、「P.E.Debevec,J.Malik,"Recovering High Dynamic Range Radiance Maps from Photographs",Proceedings of ACM SIGGRAPH97 ,pp.367-378(1997)」に掲載されている。
【0043】
図3は、輝度変調ライトバルブに入力するための制御値を登録した制御値登録テーブル400のデータ構造の説明図である。制御値登録テーブル(ルックアップテーブル;LUT)400の各レコードは、輝度変調ライトバルブの制御値を登録したフィールドと、各制御値に対応する輝度変調ライトバルブの透過率を登録したフィールドとを含んで構成されている。
【0044】
図3の例では、第1段目のレコードには、制御値として「0」が、透過率として「0.003」がそれぞれ登録されている。これは、輝度変調ライトバルブに対して制御値「0」を入力すると、輝度変調ライトバルブの透過率が0.3%となることを示している。なお、図3には輝度変調ライトバルブの階調数が4ビット(0〜15値)である場合の例を示したが、実際には輝度変調ライトバルブの階調数に相当するレコードが登録される。例えば、階調数が8ビットである場合は、256個のレコードが登録される。
【0045】
図4は、色変調ライトバルブに入力するための制御値を登録した制御値登録テーブル420Rのデータ構造の説明図である。制御値登録テーブル(ルックアップテーブル;LUT)420Rの各レコードは、図1の色変調ライトバルブ60Rの制御値を登録したフィールドと、色変調ライトバルブ60Rの透過率を登録したフィールドとを含んで構成されている。
【0046】
図4の例では、第1段目のレコードには、制御値として「0」が、透過率として「0.004」がそれぞれ登録されている。これは、色変調ライトバルブに対して制御値「0」を入力すると、色変調ライトバルブの透過率が0.4%となることを示している。なお、図4には色変調ライトバルブの階調数が4ビット(0〜15値)である場合の例を示したが、実際には色変調ライトバルブの階調数に相当するレコードが登録される。例えば、階調数が8ビットである場合は、256個のレコードが登録される。
また、図1の色変調ライトバルブ60B,60Gに対応する制御値登録テーブルのデータ構造については特に図示しないが、図4の制御値登録テーブル420Rと同様のデータ構造を有している。ただし、同一の制御値に対して異なる透過率が登録されている場合もある。
【0047】
[表示制御方法]
次に、上述したHDR画像データから各ライトバルブの制御値を生成して、プロジェクタを駆動する方法について説明する。
いま、HDR画像データにおける画素pの輝度レベルをRp、プロジェクタ全体における画素pに対応する領域の光変調率をTp,輝度変調ライトバルブにおける画素pに対応する領域の透過率をT1、色変調ライトバルブにおける画素pに対応する領域の透過率をT2とすると、下式(1),(2)が成立する。
Rp = Tp×Rs (1)
Tp = T1×T2×G (2)
ただし、上式(1),(2)において、Rsは光源の輝度、Gはゲインであり、いずれも定数である。
例えば、画素pの輝度レベルRp(R,G,B)が(1.2,5.4,2.3)、光源の輝度Rs(R,G,B)が(10000,10000,10000)であるとすると、画素pの光変調率Tpは、(1.2,5.4,2.3)/(10000,10000,10000)=(0.00012,0.00054,0.00023)となる。
【0048】
図5は、制御値の生成方法のフローチャートである。
まず、ステップS100では、図2の記憶装置182からI/F178を介して入力用フレームメモリ192にHDR画像データを入力し、そのHDR画像データをCPU170が読み出す。
【0049】
次いで、図5のステップS102に移行して、読み出したHDR画像データを解析し、画素値のヒストグラムや、輝度レベルの最大値、最小値及び平均値等を算出する。この解析結果は、暗めのシーンを明るくしたり、明るすぎるシーンを暗くしたり、中間部コントラストを協調するなどの自動画像補正に使用したり、トーンマッピングに使用したりするためである。
【0050】
次いで、ステップS104に移行して、ステップS102の解析結果に基づいて、HDR画像データの輝度レベルを、プロジェクタの輝度ダイナミックレンジにトーンマッピングする。
図6は、トーンマッピング処理の説明図である。HDR画像データを解析した結果、HDR画像データに含まれる輝度レベルの最小値がSminで、最大値がSmaxであるとする。また、プロジェクタの輝度ダイナミックレンジの最小値がDminで、最大値がDmaxであるとする。図6の例では、SminがDminよりも小さく、SmaxがDmaxよりも大きいので、このままでは、HDR画像データを適切に表示することができない。そこで、Smin〜SmaxのヒストグラムがDmin〜Dmaxのレンジに収まるように正規化する。
【0051】
なお、トーンマッピングの詳細については、例えば、「F.Drago, K.Myszkowski,T.Annen,N.Chiba,"Adaptive Logarithmic Mapping For Displaying High Contrast Scenes", Eurographics 2003,(2003)」に記載されている。
【0052】
次いで、図5のステップS106に移行して、色変調ライトバルブの解像度(画素数)に合わせてHDR画像をリサイズ(拡大または縮小)する。このとき、HDR画像のアスペクト比を保持したままHDR画像をリサイズする。リサイズ方法としては、例えば、平均値法、中間値法、ニアレストネイバー法(最近傍法)が挙げられる。
【0053】
次いで、ステップS108に移行して、リサイズ画像の各画素の輝度レベルRp及び光源10の輝度Rsに基づいて、上式(1)により、リサイズ画像の各画素につき光変調率Tpを算出する。
【0054】
次いで、ステップS110に移行して、色変調ライトバルブの各画素の透過率T2として、初期値(例えば、0.2)を仮決定する。
【0055】
次いで、ステップS112に移行して、色変調ライトバルブの各画素に対応する輝度変調ライトバルブの領域につき透過率T1’を算出する。具体的には、ステップS108で算出した光変調率Tp、ステップS110で仮決定した透過率T2、及びゲインGに基づいて、上式(2)により、当該領域の透過率T1’を算出する。ここで、色変調ライトバルブが3枚の液晶ライトバルブ60B,60G,60Rで構成されていることから、同一の領域につきRGB3原色ごとに透過率T1’を算出する。そして、輝度変調ライトバルブが1枚の液晶ライトバルブ100で構成されていることから、RGB3原色ごとに算出した透過率の平均値等をその領域の透過率T1’とする。
【0056】
次いで、ステップS114に移行して、輝度変調ライトバルブの各画素につき透過率T1を算出する。具体的には、ステップS112で算出した輝度変調ライトバルブの各領域の透過率T1’のうち、輝度変調ライトバルブの画素と重なり合う領域の透過率T1’の重み付け平均値を算出して、当該画素における透過率T1を求める。重み付けは、重なり合う画素の面積比により行う。
【0057】
次いで、ステップS116に移行して、輝度変調ライトバルブの各画素につき、算出した透過率T1に対応する制御値を、図3の制御値登録テーブル400から読み出す。制御値の読出しでは、算出した透過率T1に最も近似する透過率を制御値登録テーブル400の中から選出し、選出した透過率に対応する制御値を読み出す。この選出は、例えば、2分探索法を用いて行うことにより高速な検索を実現する。
【0058】
次いで、図5のステップS118に移行して、色変調ライトバルブの各画素につき透過率T2を算出する。具体的には、ステップS114で算出した輝度変調ライトバルブの各画素の透過率T1のうち、色変調ライトバルブの画素と光路上で重なり合う画素の透過率T1の重み付け平均値を算出する。重み付けは、重なり合う画素の面積比により行う。その上で、算出した透過率T1の平均値、ステップS108で算出した光変調率Tp及びゲインGに基づいて、上式(2)により、当該画素の透過率T2を算出する。
【0059】
次いで、ステップS120に移行して、色変調ライトバルブの各画素につき、算出した透過率T2に対応する制御値を、図4の制御値登録テーブル420Rから読み出す。制御値の読出しでは、算出した透過率T2に最も近似する透過率を制御値登録テーブル420Rの中から選出し、選出した透過率に対応する制御値を読み出す。この選出は、例えば、2分探索法を用いて行うことにより高速な検索を実現する。
【0060】
次いで、図5のステップS122に移行して、ステップS116,S120で決定した制御値を出力用フレームメモリに格納する。その後、駆動制御部が格納された制御値を読み出し、各ライトバルブに出力してこれらを駆動する。その駆動制御部の構成および駆動処理については後述する。
【0061】
[制御値の生成方法]
次に、色変調ライトバルブ(液晶ライトバルブ60B,60G,60R)及び輝度変調ライトバルブ(液晶ライトバルブ100)に入力する制御値の生成過程を、図5〜図10に基づいて説明する。
以下では、色変調ライトバルブ(液晶ライトバルブ60B,60G,60R)は、横18画素×縦12画素の解像度及び4ビットの階調数を有し、輝度変調ライトバルブ(液晶ライトバルブ100)は、横15画素×縦10画素の解像度及び4ビットの階調数を有する場合を例にとって説明を行う。また、色変調ライトバルブおよび輝度変調ライトバルブの図はいずれも光源10の側から見たものである。
【0062】
図7は、色変調ライトバルブの透過率T2を仮決定する過程の説明図である。
ステップS110(図5参照、以下同じ)では、色変調ライトバルブの各画素の透過率T2が仮決定される。色変調ライトバルブの左上4区画の画素をp21(左上)、p22(右上)、p23(左下)、p24(右下)とした場合、画素p21〜p24の透過率T2には、図7に示すように、初期値T20が与えられる。
【0063】
図8は、色変調ライトバルブの各画素に対応する輝度変調ライトバルブの領域について、透過率T1’を算出する過程の説明図である。
ステップS112では、色変調ライトバルブの各画素に対応する輝度変調ライトバルブの領域について透過率T1’が算出される。色変調ライトバルブの画素p21〜p24に着目した場合、これに対応する輝度変調ライトバルブの領域における透過率T11〜T14は、図8に示すように、画素p21〜p24の光変調率をTp1〜Tp4、ゲインGを「1」とすれば、下式(3)〜(6)により算出することができる。
T11 = Tp1/T20 (3)
T12 = Tp2/T20 (4)
T13 = Tp3/T20 (5)
T14 = Tp4/T20 (6)
【0064】
例えば、Tp1=0.00012、Tp2=0.05、Tp3=0.02、Tp4=0.01、T20=0.1である場合には、上式(3)〜(6)により、T11=0.0012、T12=0.5、T13=0.2、T14=0.1となる。
【0065】
図9は、輝度変調ライトバルブの各画素の透過率T1を決定する過程の説明図である。
ステップS114では、輝度変調ライトバルブの各画素の透過率T1が決定される。輝度変調ライトバルブと色変調ライトバルブとは、リレーレンズ90によって互いに倒立結像する関係にあるので、色変調パネルの左上4区画の画素は輝度変調ライトバルブの右下部に結像される。そこで、図9(a)に示すように、輝度変調ライトバルブの右下4区画の画素をp11(右下)、p12(左下)、p13(右上)、p14(左上)とする。ここで、色変調ライトバルブと輝度変調ライトバルブとは解像度が異なることから、画素p11は画素p21〜画素p24(図8参照)と光路上で重なり合う。色変調ライトバルブの解像度が18×12で、輝度変調ライトバルブの解像度が15×10であるので、各ライトバルブの画素数の最小公倍数に基づいて、図9(b)に示すように画素p11は6×6の矩形領域に区分することができる。そして、画素p11が画素p21〜p24とそれぞれ重なり合う面積比は、25:5:5:1となる。したがって、画素p11の透過率T15は、下式(7)により算出することができる。
T15=(T11×25+T12×5+T13×5+T14×1)/36 (7)
【0066】
例えば、T11=0.0012、T12=0.5、T13=0.2、T14=0.002である場合は、上式(7)により、T15=0.1008となる。
図9(c)に示す画素p12〜p14の透過率T16〜T18についても、画素p11と同様に、面積比による重み付け平均値を算出することにより求めることができる。
【0067】
次いで、ステップS116では、輝度変調ライトバルブの画素ごとに、その画素について算出された透過率T1に対応する制御値が制御値登録テーブル400から読み出される。例えば、T15=0.1008であるので、制御値登録テーブル400を参照すると、先の図3に示すように、0.09が最も近似した値となる。したがって、制御値登録テーブル400からは、画素p11の制御値として「8」が読み出される。
【0068】
図10は、色変調ライトバルブの各画素の透過率T2を決定する過程の説明図である。
ステップS118では、色変調ライトバルブの各画素の透過率T2が決定される。上述したように、色変調ライトバルブと輝度変調ライトバルブとは解像度が異なることから、図10(a)に示すように、画素p24は画素p11〜画素p14(図9参照)と光路上で重なり合う。また、色変調ライトバルブの解像度が18×12で、輝度変調ライトバルブの解像度が15×10であるので、輝度変調ライトバルブの画素数の最小公倍数に基づいて、図10(b)に示すように画素p24は5×5の矩形領域に区分することができる。そして、画素p24が画素p11〜p14とそれぞれ重なり合う面積比は、1:4:4:16となる。したがって、画素p24に対応する輝度変調ライトバルブの透過率T19は、画素p11〜p14の透過率の重み付け平均値として、下式(8)により算出することができる。
T19=(T15×1+T16×4+T17×4+T18×16)/25 (8)
そして、画素p24の透過率T24は、ゲインGを「1」として、下式(9)により算出することができる。
T24=Tp4/T19 (9)
【0069】
例えば、T15=0.09、T16=0.33、T17=0.15、T18=0.06、Tp4=0.01である場合は、上式(8),(9)により、T19=0.1188、T24=0.0842となる。
図10(c)に示す画素p21〜p23の透過率T21〜T23についても、画素p24と同様に、面積比による重み付け平均値を算出することにより求めることができる。
【0070】
次いで、ステップS120では、色変調ライトバルブの画素ごとに、その画素について算出された透過率T2に対応する制御値が制御値登録テーブルから読み出される。例えば、液晶ライトバルブ60Rの画素p24についてT24=0.0842である場合、制御値登録テーブル420Rを参照すると、先の図4に示すように、0.07が最も近似した値となる。したがって、制御値登録テーブル420Rからは、画素p24の制御値として「7」が読み出される。
【0071】
そして、ステップS122において、ステップS116,S120で決定された制御値を出力用フレームメモリに格納する。その後、格納された制御値を出力用フレームメモリから読み出し、駆動制御部がその制御値を各ライトバルブに入力して、光変調および輝度変調を行うことによりプロジェクタを駆動する。
【0072】
[駆動制御部]
次に、駆動制御部の構成について説明する。
図11は、駆動制御部のハードウエア構成を示すブロック図である。駆動制御部210は、各ライトバルブの駆動信号を生成するとともに、その駆動信号に従って各ライトバルブに制御値を入力するものである。
【0073】
まず、駆動信号である垂直同期信号、水平同期信号、およびドットクロック信号について説明する。画像表示装置の画面を描画する際に、垂直方向のタイミングを計るための信号が垂直同期信号であり、水平方向のタイミングを計るための信号が水平同期信号である。一般に、画像表示装置の画面を描画するには、画面左上から右上に向かって水平に描画し、右端に到達すると一段下がって、また左から右に向かって描画する。そして、画面の右下に到達したら、左上に戻って同様の走査を繰り返す。ここで、画面の右下から左上に移動するタイミングを決定するのが垂直同期信号である。また、上段の右端から下段の左端に移動するタイミングを決定するのが水平同期信号である。さらに、各画素に対する制御値の入力タイミングを決定するがドットクロック信号である。なお、垂直同期信号は水平同期信号を元に生成され、水平同期信号はドットクロック信号を元に生成される。
【0074】
駆動制御部210は、上述した垂直同期信号および水平同期信号の生成部214,216と、ドットクロック信号の生成部212と、各信号生成部のタイミングを制御する全体制御部220とを備えている。一方、駆動制御部210は、出力用フレームメモリ194,195(図2参照)に格納されている各ライトバルブの制御値を読み出すためのアドレスを発生させるアドレス制御部222と、読み出した制御値を一時的に格納するデータバッファ224,226とを備えている。また、その制御値を駆動信号に合わせて各ライトバルブに入力するデータ転送部230を備えている。
【0075】
[制御値の入力方法]
次に、駆動信号の生成方法およびその駆動信号に合わせて画像データを各ライトバルブに入力する方法について説明する。
図12および図13は、第1実施形態で生成する駆動信号の説明図である。第1実施形態では、各ライトバルブに対する垂直同期信号を同期して発生させる。なお、垂直同期信号および水平同期信号は、一般にローレベルがアクティブ(トリガ)となる。また、垂直同期信号および水平同期信号がアクティブになってから制御値が入力されるまでには、初期化のため所定のタイムラグ(初期化時間)が存在する。
【0076】
図12は、色変調ライトバルブおよび輝度変調ライトバルブの画素数が等しい場合である。なお、図12(a)が色変調ライトバルブに対する駆動信号等であり、図12(b)が輝度変調ライトバルブに対する駆動信号等である。
図12では、色変調ライトバルブに対する垂直同期信号1と、輝度変調ライトバルブに対する垂直同期信号2とが、同期して発生している。そして、各垂直同期信号がアクティブとなってから所定のタイムラグをおいて、各ライトバルブに対する制御値の入力が同時期に開始されている。これにより、各ライトバルブの制御値が同時期に更新されるので、動画表示を行う場合でも、制御値の更新時期のずれに起因する輝度表示の一時的な上昇を防止することができる。したがって、画像表示品質を低下させることがない。
【0077】
図13は、色変調ライトバルブおよび輝度変調ライトバルブの画素数が異なる場合である。図13では、色変調ライトバルブに対する垂直同期信号1と、輝度変調ライトバルブに対する垂直同期信号2とが、同期して発生している。そして、色変調ライトバルブに対する制御値1と、輝度変調ライトバルブに対する制御値2とが、略同時期にそれぞれのライトバルブに入力されている。なお、各ライトバルブの画素数の違いに起因して、各ライトバルブの初期化時間が異なるが、これに伴う制御値の入力開始時期の差は大きくない。また、各ライトバルブの画素数の違いに起因して、各ライトバルブの画面全体の描画時間が異なるが、次の描画前に各垂直同期信号を同期させることにより、その時間差を累積させることがない。これにより、各ライトバルブの制御値が略同時期に更新されるので、画像表示品質の低下を最小限にとどめることができる。
【0078】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る画像表示装置の駆動方法について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成となる部分については、その説明を省略する。
図14および図15は、第2実施形態で生成する駆動信号の説明図である。第2実施形態では、各ライトバルブに対する制御値の入力開始直前の水平同期信号を同じタイミングで発生させる。
【0079】
図14は、色変調ライトバルブおよび輝度変調ライトバルブの画素数が等しい場合である。なお、図14(a)が色変調ライトバルブに対する駆動信号等であり、図14(b)が輝度変調ライトバルブに対する駆動信号等である。
図14では、色変調ライトバルブに対する制御値の入力開始直前の水平同期信号1と、輝度変調ライトバルブに対する制御値の入力開始直前の水平同期信号2とが、同期して発生している。なお各ライトバルブの画素数が等しいので、各ライトバルブに対する垂直同期信号を同期して発生させれば、結果として各ライトバルブに対する制御値の入力開始直前の水平同期信号を同期して発生させることができる。そして、各水平同期信号がアクティブとなってから所定のタイムラグをおいて、各ライトバルブに対する制御値の入力が同時期に開始されている。これにより、各ライトバルブの制御値が同時期に更新されるので、動画表示を行う場合でも、制御値の更新時期のずれに起因する輝度の一時的な上昇を防止することができる。したがって、画像表示品質を低下させることがない。
【0080】
図15は、色変調ライトバルブおよび輝度変調ライトバルブの画素数が異なる場合である。図15でも、色変調ライトバルブに対する制御値の入力開始直前の水平同期信号1と、輝度変調ライトバルブに対する制御値の入力開始直前の水平同期信号2とが、同期して発生している。そして、色変調ライトバルブに対する制御値1と、輝度変調ライトバルブに対する制御値2とが、略同時期にそれぞれのライトバルブに入力されている。なお、各ライトバルブの初期化時間の相違は軽微であって問題にならない。また、各ライトバルブの画面全体の描画時間が異なるが、次の描画前に各水平同期信号を同期させることにより、その時間差を累積させることがない。これにより、各ライトバルブに対する制御値がほとんど同時期に更新されるので、動画表示を行う場合でも、制御値の更新時期のずれに起因する輝度の一時的な上昇を防止することが可能になる。したがって、画像表示品質を低下させることがない。
【0081】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態に係る画像表示装置の駆動方法について説明する。第3実施形態では、色変調ライトバルブおよび輝度変調ライトバルブの画素数が異なる場合を前提として、異なるドットクロック周波数を発生させて各ライトバルブを駆動する。なお、第1実施形態と同様の構成となる部分については、その説明を省略する。
【0082】
図16は、各ライトバルブの画素数の説明図である。一般に、ライトバルブの各画素に対する制御値の入力は、ドットクロック信号単位で行われる。そこで、各ライトバルブを駆動するドットクロック信号の周波数の比率を、各ライトバルブの画素数の比率に略一致させることにより、各ライトバルブにおける画面全体の描画時間を略一致させることができる。図16では、理解を容易にするため、色変調ライトバルブの画素数を4×4の16画素、輝度変調ライトバルブの画素数を3×3の9画素と仮定している。このとき、色変調ライトバルブを駆動するドットクロック周波数と輝度変調ライトバルブを駆動するドットクロック周波数との比率を、16:9にすればよい。
【0083】
図17は、第3実施形態で生成する駆動信号の説明図である。なお、図17(a)が色変調ライトバルブに対する駆動信号等であり、図17(b)が輝度変調ライトバルブに対する駆動信号等である。
図17では、色変調ライトバルブに対してドットクロック信号1の1カウントごとに制御値1が入力され、またドットクロック信号1の4カウントごとに水平同期信号1がアクティブとなって、4×4の16画素からなる色変調ライトバルブの1画面が描画されるようになっている。一方、輝度変調ライトバルブに対してドットクロック信号2の1カウントごとに制御値2が入力され、ドットクロック信号2の3カウントごとに水平同期信号2がアクティブとなって、3×3の9画素からなる輝度変調ライトバルブの1画面が描画されるようになっている。
【0084】
上述したように、色変調ライトバルブを駆動するドットクロック信号1の周波数と、輝度変調ライトバルブを駆動するドットクロック信号2の周波数との比率が、16:9に設定されている。そのため、図17では、色変調ライトバルブにおける画面全体の描画時間と、輝度変調ライトバルブにおける画面全体の描画時間とが、略一致している。これにより、光路上で重なり合う各ライトバルブの画素に対する制御値を、略同時期に更新することが可能になる。したがって、動画表示を行う場合でも、制御値の更新時期のずれに起因する輝度表示の一時的な上昇を防止することが可能になり、画像表示品質を低下させることがない。
【0085】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態に係る画像表示装置の駆動方法について説明する。第4実施形態では、一方のライトバルブにおける画面の一部のみに画像を描画する場合に、他方のライトバルブと描画開始時期を略一致させて描画する。なお、第1実施形態と同様の構成となる部分については、その説明を省略する。
一般に、同じ画素数の色変調ライトバルブおよび輝度変調ライトバルブを採用すると、両ライトバルブのブラックストライプの干渉により、モアレが発生する場合がある。このモアレを解消するには、一方のライトバルブにおける画面の一部のみに画像を描画すればよいことが確認されている。すなわち、同じ画素数のライトバルブを採用した場合でも、一方のライトバルブにおける画面の一部のみに画像を描画することにより、異なる画素数のライトバルブとして使用するのである。
【0086】
図18は、各ライトバルブの描画領域の説明図である。本実施形態では、輝度変調ライトバルブにおける画面の一部(中央部)のみに画像を描画する。図18では、理解を容易にするため、色変調ライトバルブと輝度変調ライトバルブとの画素比を4:3とし、色変調ライトバルブにおいて4×4画素で構成された領域6個分を、輝度変調ライトバルブにおいて3×3画素で構成された領域6個分に対応させる。そして、色変調ライトバルブおよび輝度変調ライトバルブに対して、略同時に描画を開始する。具体的には、色変調ライトバルブの描画領域の左上に位置するA画素と、輝度変調ライトバルブの描画領域の左上に位置するB画素とに対して、略同時に制御値を入力する。ここで、B画素の上側には描画されない(画像形成に関与しない)画素列が1列存在し、B画素の左側には描画されない画素が2個存在することに注目されたい。
【0087】
図19は、水平方向の描画タイミングをとるため第4実施形態で生成する駆動信号の説明図である。なお、図19(a)が色変調ライトバルブに対する駆動信号等であり、図19(b)が輝度変調ライトバルブに対する駆動信号等である。本実施形態では、異なる画素数のライトバルブを使用する第3実施形態と同様に、各ライトバルブを駆動するドットクロック信号の周波数の比率を、各ライトバルブの描画領域の画素数(すなわち、制御値の入力により画像形成に関与する画素数)の比率に略一致させる。すなわち、色変調ライトバルブを駆動するドットクロック信号1の周波数と、輝度変調ライトバルブを駆動するドットクロック信号2の周波数との比率を、16:9にする。
【0088】
上述したように、輝度変調ライトバルブのB画素の左側には、描画されない画素が2個存在する。なお第3実施形態で述べたように、各画素に対する制御値の入力(描画)は、ドットクロック信号のカウントごとに行われる。そこで、輝度変調ライトバルブに対する水平同期信号2を、色変調ライトバルブに対する水平同期信号1より、ドットクロック信号の2カウント(DCLK)分だけ早く発生させる。これにより、色変調ライトバルブの画像形成に関与する制御値入力画素に対して、輝度変調ライトバルブの画像形成に関与する制御値入力画素を、2画素分進めることが可能になる。したがって、色変調ライトバルブおよび輝度変調ライトバルブの水平方向における描画開始時期を略一致させることができる。
【0089】
図20は、垂直方向の描画タイミングをとるため第4実施形態で生成する駆動信号の説明図である。上述したように、輝度変調ライトバルブのB画素の上側には、描画されない画素列が1列存在する。そこで、輝度変調ライトバルブの垂直同期信号2を、色変調ライトバルブの垂直同期信号1より、水平同期信号2の1H分だけ早く発生させる。これにより、色変調ライトバルブの画像形成に関与する制御値入力画素列に対して、輝度変調ライトバルブの画像形成に関与する制御値入力画素列を、1列分進めることが可能になる。したがって、色変調ライトバルブおよび輝度変調ライトバルブの垂直方向における描画開始時期を略一致させることができる。
【0090】
そして、図19および図20に示す駆動信号を共に生成することにより、輝度変調ライトバルブにおける画面の一部のみに画像を描画する場合でも、色変調ライトバルブのA画素と輝度変調ライトバルブのB画素とに対して略同時に制御値を入力することができる。そして、各ライトバルブのドットクロック周波数の比率を、各ライトバルブの描画領域の画素数の比率に略一致させているので、色変調ライトバルブの描画領域と輝度変調ライトバルブの描画領域との描画タイミングを、水平方向および垂直方向に略一致させることができる。これにより、各ライトバルブの対応する画素において画像形成に関与する制御値が略同時期に更新されるので、動画表示を行う場合でも、画像形成に関与する制御値の更新時期のずれに起因する輝度表示の一時的な上昇を防止することが可能になる。したがって、画像表示品質を低下させることがない。
【0091】
なお、図19または図20に示す駆動信号のいずれか一方のみを生成して、各ライトバルブを駆動してもよい。この場合でも、色変調ライトバルブの描画領域と輝度変調ライトバルブの描画領域との描画タイミングが水平方向または垂直方向に概ね一致するので、画像形成に関与する制御値の更新時期のずれに起因する輝度表示の一時的な上昇を抑制することが可能になるからである。
【0092】
[その他の変形例]
上記実施形態では、3板式のプロジェクタを例にして説明したが、単板式のプロジェクタに本発明を適用することも可能である。この単板式のプロジェクタは、光源、均一照明系、第1光変調素子、リレーレンズ、第2光変調素子および投射レンズを主として構成され、光源として白色光源を採用した場合には、第1光変調素子または第2光変調素子としての液晶ライトバルブにカラーフィルタが配設される。
【0093】
また、上記実施形態では、投射型表示装置を例にして説明したが、直視型表示装置に本発明を適用することも可能である。この直視型表示装置では、第2変調素子上で変調された画像光を直接見ることとなる。直視型表示装置は、明るい場所での鑑賞に適するという利点がある。
【0094】
また、上記実施形態では、色変調ライトバルブで色変調された光に対し、輝度変調ライトバルブにて輝度変調を行うように構成したが、これに限らず、輝度変調ライトバルブで輝度変調された光に対し、色変調ライトバルブにて色変調を行うように構成することもできる。また、輝度変調ライトバルブ及び色変調ライトバルブを用いて光の輝度を2段階に変調するように構成したが、これに限らず、輝度変調ライトバルブを2セット用いて光の輝度を2段階に変調するように構成することもできる。
【0095】
また、上記実施形態では、光源10として白色光を射出する単体の光源を用い、この白色光をRGBの3原色の光に分光するようにしているが、これに限らず、RGBの3原色にそれぞれ対応した、赤色の光を射出する光源、青色の光を射出する光源及び緑色の光を射出する光源の3つの光源を用い、白色光を分光する手段を取り除いた構成としても良い。
【0096】
また、上記実施形態では、液晶ライトバルブ60B,60G,60R、100としてアクティブマトリックス型の液晶表示素子を用いて構成したが、これに限らず、液晶ライトバルブ60B,60G,60R、100としてパッシブマトリックス型の液晶表示素子及びセグメント型の液晶表示素子を用いて構成することもできる。アクティブマトリックス型の液晶表示は、精密な階調表示ができるという利点があり、パッシブマトリックス型の液晶表示素子及びセグメント型の液晶表示素子は、安価に製造できるという利点を有する。
【0097】
また、上記実施形態では、輝度変調ライトバルブまたは色変調ライトバルブを透過型の光変調素子である液晶パネルによって構成したが、これに限らず、DMD(Digital Micromirror Device)等の反射型の光変調素子で構成することもできる。
【0098】
また、リレーレンズと輝度変調ライトバルブとの間に、光の偏光状態を補償する偏光補償光学系を配設してもよい。偏光補償光学系としては、偏光補償機能を有する誘電体膜や、レクチファイアを用いた構成を採用することができる。
【0099】
また、上記各実施の形態において、図5のフローチャートに示す処理を実行するにあたっては、図2のROM172にあらかじめ格納されている制御プログラムを実行する場合について説明したが、これに限らず、これらの手順を示したプログラムが記憶された記憶媒体から、そのプログラムをRAM174に読み込んで実行するようにしてもよい。
【0100】
ここで、記憶媒体とは、RAM、ROM等の半導体記憶媒体、FD、HD等の磁気記憶型記憶媒体、CD、CDV、LD、DVD等の光学的読取方式記憶媒体、MO等の磁気記憶型/光学的読取方式記憶媒体であって、電子的、磁気的、光学的等の読み取り方法のいかんにかかわらず、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体であれば、あらゆる記憶媒体を含むものである。
【0101】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明に係る画像表示装置(プロジェクタ)の主たる光学構成図である。
【図2】表示制御装置のハードウエア構成を示すブロック図である。
【図3】輝度変調ライトバルブの制御値登録テーブルのデータ構造図である。
【図4】色変調ライトバルブの制御値登録テーブルのデータ構造図である。
【図5】制御値の生成方法のフローチャートである。
【図6】トーンマッピング処理の説明図である。
【図7】色変調ライトバルブの透過率を仮決定する場合の説明図である。
【図8】色変調ライトバルブの各画素に対応する輝度変調ライトバルブの各領域の透過率を算出する場合の説明図である。
【図9】輝度変調ライトバルブの各画素の透過率を決定する場合の説明図である。
【図10】色変調ライトバルブの各画素の透過率を決定する場合の説明図である。
【図11】駆動制御部のハードウエア構成を示すブロック図である。
【図12】第1実施形態で生成する駆動信号の説明図である。
【図13】第1実施形態で生成する駆動信号の説明図である。
【図14】第2実施形態で生成する駆動信号の説明図である。
【図15】第2実施形態で生成する駆動信号の説明図である。
【図16】各ライトバルブの画素数の説明図である。
【図17】第3実施形態で生成する駆動信号の説明図である。
【図18】各ライトバルブの描画領域の説明図である。
【図19】第4実施形態で生成する駆動信号の説明図である。
【図20】第4実施形態で生成する駆動信号の説明図である。
【図21】各ライトバルブの制御値および表示輝度の時間変化を示すグラフである。
【図22】各ライトバルブの制御値および表示輝度の時間変化を示すグラフである。
【符号の説明】
【0103】
VSYNC1‥垂直同期信号 VSYNC2‥垂直同期信号
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置の駆動方法、画像表示装置およびプロジェクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、LCD(Liquid Crystal Display)、EL(Electro-luminescence)ディスプレイ、プラズマディスプレイ、CRT(Cathode Ray Tube)、プロジェクタ等の電子ディスプレイ装置における画質改善は目覚しく、解像度、色域については人間の視覚特性にほぼ匹敵する性能を有する装置が実現されつつある。しかし、輝度ダイナミックレンジについてみると、その再現範囲は1〜102[nit]程度の範囲であり、また階調数は8ビットが一般的である。一方、人間の視覚は、一度に知覚し得る輝度ダイナミックレンジの範囲が10−2〜104[nit]程度あり、また輝度弁別能力は0.2[nit]でこれを階調数に換算すると12ビット相当といわれている。このような視覚特性を通じて現在のディスプレイ装置の表示画像を見ると、輝度ダイナミックレンジの狭さが目立ち、加えてシャドウ部やハイライト部の階調が不足しているため、表示画像のリアリティや迫力に対して物足りなさを感じることになる。
【0003】
また、映画やゲーム等で使用されるCG(Computer Graphics)では、人間の視覚に近い輝度ダイナミックレンジや階調特性を有する画像データ(以下、HDR(High Dynamic Range)画像データという。)を用いて、描写のリアリティを追求する動きが主流になりつつある。しかし、それを表示するディスプレイ装置の性能が不足しているために、CGコンテンツが本来有する表現力を充分に発揮できないという課題がある。
【0004】
さらに、次世代OS(Operating System)においては、16ビット色空間の採用が予定されており、現在の8ビット色空間と比較してダイナミックレンジや階調数が飛躍的に増大する。そのため、16ビット色空間を生かすことができる高ダイナミックレンジ・高階調の電子ディスプレイ装置実現への要求が高まると予想される。
【0005】
ディスプレイ装置の中でも、液晶プロジェクタや、DLP(Digital Light Processing、TI社の登録商標)プロジェクタといった投射型表示装置は、大画面表示が可能であり、表示画像のリアリティや迫力を再現する上で効果的なディスプレイ装置である。この分野では上記の課題を解決するために、以下に述べる提案がなされている。
【0006】
ダイナミックレンジの拡大を目的とした表示装置として、例えば、特許文献1に開示されている技術がある。この技術では、第1の光変調素子として液晶パネルを備え、第2の光変調素子として複数のLED(Light Emitting Diode)や蛍光灯などを整列配置したバックライトを備えている。そして、各画素の画素値データを基に、バックライトによる輝度制御および液晶パネルによる階調制御を行なっている。つまり、2つの光変調素子を直列配置して、表示画像の画素に対応した各光変調素子の画素を個別に制御することで、コントラスト向上と輝度ダイナミックレンジの拡大が可能となっている。
【特許文献1】特開2002−99250号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図21および図22は、第1光変調素子および第2光変調素子の対応する画素における駆動制御値および表示輝度の時間変化を示すグラフであり、図21は静止画表示の場合であり、図22は動画表示の場合である。ここで制御値とは、各光変調素子の当該画素における光透過率を制御するため各光変調素子に入力される値である。
図21の静止画表示の場合には、図21(a)に示す第1光変調素子および図21(b)に示す第2光変調素子ともに、駆動制御値が一定となっている。これにより、図21(c)に示すように、当該画素における表示輝度も一定となって、静止画表示が行われる。
【0008】
これに対して、図22の動画表示の場合には、図22(a)に示す第1光変調素子の制御値および図22(b)に示す第2光変調素子の制御値が更新され、図22(c)に示すように当該画素における表示輝度が変化して、動画表示が行われている。
しかしながら、第1光変調素子の制御値の更新時期に対して、第2光変調素子の制御値の更新時期が遅れている。そのため、当該画素における表示輝度が一時的に上昇し、その後に所定輝度まで低下している。この表示輝度の一時的な上昇により、表示画面がフラッシュのように光ることになり、画像表示品質を低下させるという問題がある。
【0009】
なお、複数の光変調素子を光学的に直列配置した表示装置の特徴として、中間階調を実現するための各光変調素子の制御値の組み合わせが複数存在する。そのため、表示輝度が少し違っただけでも、その表示輝度を実現する各光変調素子の制御値が大きく変化する場合がある。この時に、制御値の更新時期が各光変調素子で異なると、図22(c)に示すように意図しない輝度表示が行われ、画像表示品質を低下させることになる。その結果、コントラストも低下することになり、特に高輝度の表示システムにおいては大きな問題になる。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、画像表示品質に優れた画像表示装置の駆動方法、画像表示装置およびプロジェクタの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の画像表示装置の駆動方法は、第1光変調素子および第2光変調素子に制御値を入力して、光源からの光を変調することにより、画像を表示する画像表示装置の駆動方法であって、前記第1光変調素子に対する垂直同期信号と、前記第2光変調素子に対する垂直同期信号とを同期させて、前記各光変調素子に制御値を入力することを特徴とする。
この構成によれば、各光変調素子の垂直方向における制御値の入力開始時期を略一致させることができる。なお、各光変調素子の画素数が異なる場合には、各光変調素子の画面全体の描画時間が異なるが、次の描画前に各垂直同期信号を同期させることにより、その時間差を累積させることがない。これにより、各ライトバルブの制御値が略同時期に更新されるので、動画表示を行う場合でも、制御値の更新時期のずれに起因する輝度表示の一時的な上昇を防止することができる。したがって、画像表示品質を低下させることがない。
【0012】
また、本発明の他の画像表示装置の駆動方法は、第1光変調素子および第2光変調素子に制御値を入力して、光源からの光を変調することにより、画像を表示する画像表示装置の駆動方法であって、前記第1光変調素子に対する制御値の入力開始直前の水平同期信号と、前記第2光変調素子に対する制御値の入力開始直前の水平同期信号とを同期させて、前記各光変調素子に制御値を入力することを特徴とする。
この構成によれば、各光変調素子の水平方向における制御値の入力開始時期を略一致させることができる。なお、各光変調素子の画素数が異なる場合には、各光変調素子の画面全体の描画時間が異なるが、次の描画前に各水平同期信号を同期させることにより、その時間差を累積させることがない。これにより、各ライトバルブの制御値が略同時期に更新されるので、動画表示を行う場合でも、制御値の更新時期のずれに起因する輝度表示の一時的な上昇を防止することができる。したがって、画像表示品質を低下させることがない。
【0013】
また、本発明の他の画像表示装置の駆動方法は、第1光変調素子および第2光変調素子に制御値を入力して、光源からの光を変調することにより、画像を表示する画像表示装置の駆動方法であって、前記第1光変調素子に対するドットクロック信号の周波数と前記第2光変調素子に対するドットクロック信号の周波数との比率を、前記第1光変調素子において制御値の入力により画像形成に関与する画素数と前記第2光変調素子において制御値の入力により画像形成に関与する画素数との比率に略一致させて、前記各光変調素子に制御値を入力することを特徴とする。
この構成によれば、第1光変調素子における画面全体の描画時間と、第2光変調素子における画面全体の描画時間とを、略一致させることができる。これにより、各ライトバルブの制御値が略同時期に更新されるので、動画表示を行う場合でも、制御値の更新時期のずれに起因する輝度表示の一時的な上昇を防止することができる。したがって、画像表示品質を低下させることがない。
【0014】
なお、前記第1光変調素子の垂直方向における画像形成に関与する画素に対する制御値の入力開始時期が、前記第2光変調素子の垂直方向における画像形成に関与する画素に対する制御値の入力開始時期と略一致するように、前記第1光変調素子に対する垂直同期信号および前記第2光変調素子に対する垂直同期信号を発生させることが望ましい。
この構成によれば、第1光変調素子および第2光変調素子の垂直方向における画像形成に関与する画素に対する制御値の入力時期を略一致させることができるので、画像形成に関与する画素の制御値の更新時期のずれに起因する輝度表示の一時的な上昇を抑制することができる。したがって、画像表示品質を低下させることがない。
【0015】
なお、前記第1光変調素子の水平方向における画像形成に関与する画素に対する制御値の入力開始時期が、前記第2光変調素子の水平方向における画像形成に関与する画素に対する制御値の入力開始時期と略一致するように、前記第1光変調素子に対する水平同期信号および前記第2光変調素子に対する水平同期信号を発生させることが望ましい。
この構成によれば、第1光変調素子および第2光変調素子の水平方向における画像形成に関与する画素に対する制御値の入力時期を略一致させることができるので、画像形成に関与する画素の制御値の更新時期のずれに起因する輝度表示の一時的な上昇を抑制することができる。したがって、画像表示品質を低下させることがない。
【0016】
一方、本発明の画像表示装置は、第1光変調素子および第2光変調素子に制御値を入力して、光源からの光を変調することにより、画像を表示する画像表示装置であって、前記第1光変調素子の垂直方向における制御値の入力開始時期が、前記第2光変調素子の垂直方向における制御値の入力開始時期と略一致するように、前記第1光変調素子に対する垂直同期信号および前記第2光変調素子に対する垂直同期信号を発生させる駆動制御部を有することを特徴とする。
この構成によれば、第1光変調素子および第2光変調素子の垂直方向における制御値の入力時期を略一致させることができるので、制御値の更新時期のずれに起因する輝度表示の一時的な上昇を抑制することができる。したがって、画像表示品質を低下させることがない。
【0017】
また、本発明の他の画像表示装置は、第1光変調素子および第2光変調素子に制御値を入力して、光源からの光を変調することにより、画像を表示する画像表示装置であって、前記第1光変調素子の水平方向における制御値の入力開始時期が、前記第2光変調素子の水平方向における制御値の入力開始時期と略一致するように、前記第1光変調素子に対する水平同期信号および前記第2光変調素子に対する水平同期信号を発生させる駆動制御部を有することを特徴とする。
この構成によれば、第1光変調素子および第2光変調素子の水平方向における制御値の入力時期を略一致させることができるので、制御値の更新時期のずれに起因する輝度表示の一時的な上昇を抑制することができる。したがって、画像表示品質を低下させることがない。
【0018】
また、本発明の他の画像表示装置は、第1光変調素子および第2光変調素子に制御値を入力して、光源からの光を変調することにより、画像を表示する画像表示装置であって、前記第1光変調素子に対するドットクロック信号の周波数と前記第2光変調素子に対するドットクロック信号の周波数との比率を、前記第1光変調素子において制御値の入力により画像形成に関与する画素数と前記第2光変調素子において制御値の入力により画像形成に関与する画素数との比率に略一致させて、前記各ドットクロック信号を発生させる駆動制御部を有することを特徴とする。
この構成によれば、第1光変調素子における画面全体の描画時間と、第2光変調素子における画面全体の描画時間とを、略一致させることができる。これにより、各ライトバルブの画像形成に関与する画素の制御値が略同時期に更新されるので、動画表示を行う場合でも、画像形成に関与する画素の制御値の更新時期のずれに起因する輝度表示の一時的な上昇を防止することができる。したがって、画像表示品質を低下させることがない。
【0019】
一方、本発明のプロジェクタは、上述した画像表示装置と、投射手段と、を備えることを特徴とする。
この構成によれば、画像表示品質に優れたプロジェクタを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態例を図面に基づいて説明する。
【0021】
[第1の実施形態]
[プロジェクタの全体構成]
図1は、本発明の画像表示装置及び本発明のプロジェクタの実施の形態の一例であり、プロジェクタPJ1の主たる光学構成を示す図である。
プロジェクタPJ1は、図1に示すように、光源10と、光源10から入射した光の輝度分布を均一化する均一照明系20と、均一照明系20から入射した光の波長領域のうちのRGB3原色の輝度をそれぞれ変調する色変調部25(第1変調手段としての3つの透過型液晶ライトバルブ60B,60G,60Rを含む)と、色変調部25から入射した光をリレーするリレーレンズ90と、リレーレンズ90から入射した光の全波長領域の輝度を変調する第2変調手段としての透過型液晶ライトバルブ100と、液晶ライトバルブ100から入射した光をスクリーン(不図示)に投射する投射レンズ(投射手段)110と、を含んで構成されている。
【0022】
光源10は、超高圧水銀ランプやキセノンランプ等からなるランプ11と、ランプ11からの射出光を反射・集光するリフレクタ12とを含んで構成されている。
【0023】
均一照明系20は、フライアイレンズ等からなる2つのレンズアレイ21,22と、偏光変換素子23と、集光レンズ24とを含んで構成されている。そして、光源10からの光の輝度分布を2つのレンズアレイ21,22により均一化し、均一化した光を偏光変換素子23により色変調部の入射可能偏光方向に偏光し、偏光した光を集光レンズ24により集光して色変調部25に射出する。なお、偏光変換素子23は、例えばPBS(偏光ビームスプリッタ)アレイおよび1/2波長板で構成されており、ランダム偏光を特定の直線偏光に変換するものである。
【0024】
色変調部25は、光分離手段としての2つのダイクロイックミラー30,35と、3つのミラー(反射ミラー36,45,46)と、5つのフィールドレンズ(レンズ41、リレーレンズ42、平行化レンズ50B,50G,50R)と、3つの液晶ライトバルブ60B,60G,60Rと、クロスダイクロイックプリズム80と、を含んで構成されている。
【0025】
ダイクロイックミラー30,35は、光源10からの光(白色光)を、赤色光(R光)、緑色光(G光)、青色光(B光)のRGB3原色光に分離(分光)するものである。ダイクロイックミラー30は、B光及びG光を反射し、R光を透過する性質のダイクロイック膜をガラス板等に形成したもので、光源10からの白色光に含まれるB光及びG光を反射し、R光を透過する。ダイクロイックミラー35は、G光を反射し、B光を透過する性質のダイクロイック膜をガラス板等に形成したもので、ダイクロイックミラー30を透過したG光及びB光のうち、G光を反射して平行化レンズ50Gに伝達し、B光を透過してレンズ41に伝達する。
【0026】
リレーレンズ42はレンズ41近傍の光(光強度分布)を平行化レンズ50B近傍に伝達するもので、レンズ41はリレーレンズ42に光を効率よく入射させる機能を有する。
レンズ41に入射したB光はその強度分布をほぼ保存された状態で、かつ光損失を殆ど伴うことなく空間的に離れた液晶ライトバルブ60Bに伝達される。
【0027】
平行化レンズ50B,50G,50Rは、対応する液晶ライトバルブ60B,60G,60Rに入射する各色光を略平行化して入射光の角度分布を狭め、液晶ライトバルブ60B,60G,60Rの表示特性を向上させる機能を有している。そして、ダイクロイックミラー30,35で分光されたRGB3原色の光は、上述したミラー(反射ミラー36,45,46)及びフィールドレンズ(レンズ41、リレーレンズ42、平行化レンズ50B,50G,50R)を介して、液晶ライトバルブ60B,60G,60Rに入射する。
【0028】
液晶ライトバルブ60B,60G,60Rは、画素電極及びこれを駆動するための薄膜トランジスタや薄膜ダイオード等のスイッチング素子がマトリクス状に形成されたガラス基板と、全面にわたって共通電極が形成されたガラス基板との間にTN型液晶を挟み込むとともに、外面に偏光板を配置したアクティブマトリクス型の液晶表示素子である。
【0029】
また、液晶ライトバルブ60B,60G,60Rは、電圧非印加状態で白/明(透過)状態、電圧印加状態で黒/暗(非透過)状態となるノーマリーホワイトモード、またはその逆のノーマリーブラックモードで駆動され、電極間に与えられた制御値(制御電圧)に応じて明暗間の階調がアナログ制御される。液晶ライトバルブ60Bは、入射されたB光を制御値に基づいて光変調し、光学像を内包した変調光を射出する。液晶ライトバルブ60Gは、入射されたG光を制御値に基づいて光変調し、光学像を内包した変調光を射出する。液晶ライトバルブ60Rは、入射されたR光を制御値に基づいて光変調し、光学像を内包した変調光を射出する。
【0030】
クロスダイクロイックプリズム80は、4つの直角プリズムが貼り合わされた構造からなり、その内部には、B光を反射する誘電体多層膜(B光反射ダイクロイック膜81)及びR光を反射する誘電体多層膜(R光反射ダイクロイック膜82)が断面X字状に形成されている。そして、液晶ライトバルブ60GからのG光を透過し、液晶ライトバルブ60RからのR光と液晶ライトバルブ60BからのB光とを折り曲げてこれらの3色の光を合成し、カラー画像を形成する。
【0031】
リレーレンズ90は、クロスダイクロイックプリズム80で合成された液晶ライトバルブ60B,60G,60Rからの光学像(光強度分布)を、液晶ライトバルブ100の表示面上に伝達するものである。リレーレンズ90は、多数枚のレンズから構成されるので、収差補正がよく、各色変調用の液晶ライトバルブ60B,60G,60Rで形成される輝度分布を正確に液晶ライトバルブ100に伝達することができる。
【0032】
液晶ライトバルブ100は、前述した液晶ライトバルブ60B,60G,60Rと同等の構成からなり、入射した光の全波長領域の輝度を制御値に基づいて変調し、最終的な光学像を内包した変調光を投射レンズ110に射出する。
また投射レンズ110は、液晶ライトバルブ100の表示面上に形成された光学像を図示しないスクリーン上に投射してカラー画像を表示する。
【0033】
次に、プロジェクタPJ1の全体的な光伝達の流れを説明する。光源10からの白色光はダイクロイックミラー30,35により赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の3原色光に分光されるとともに、平行化レンズ50B,50G,50Rを含むレンズ及びミラーを介して、液晶ライトバルブ60B,60G,60Rに入射される。その液晶ライトバルブ60B,60G,60Rは、後述するHDR画像データに基づいて生成された制御値によって駆動され、画素単位で光透過率を変化させうるようになっている。したがって、液晶ライトバルブ60B,60G,60Rに入射した各々の色光は、それぞれの波長領域に応じて色変調され、光学像を内包した変調光として射出される。
【0034】
液晶ライトバルブ60B,60G,60Rからの各変調光は、それぞれクロスダイクロイックプリズム80に入射し、そこで一つの光に合成され、リレーレンズ90を介して液晶ライトバルブ100に入射される。液晶ライトバルブ100も同様に、後述するHDR画像データに基づいて生成された制御値によって駆動され、画素単位で光透過率を変化させうるようになっている。したがって、液晶ライトバルブ100に入射した合成光は、全波長域について輝度変調され、最終的な光学像を内包した変調光として投射レンズ110へ射出される。そして、投射レンズ110において、液晶ライトバルブ100からの最終的な合成光を図示しないスクリーン上に投射し所望の画像を表示する。
【0035】
このように、プロジェクタPJ1では、第1光変調素子としての液晶ライトバルブ60B,60G,60Rで光学像(画像)を形成した変調光を用いて、最終的な表示画像を第2光変調素子としての液晶ライトバルブ100で形成する形態を採用しており、直列に配置された2つのライトバルブを介して、2段階の画像形成過程によって光源10からの光を変調する。その結果、プロジェクタPJ1は、輝度ダイナミックレンジの拡大と階調数の増大を実現することができるようになっている。
【0036】
ここで、液晶ライトバルブ60B,60G,60R及び液晶ライトバルブ100は、いずれも透過光の強度を変調しその変調度合いに応じた光学像を内包する点で一致するが、後者の液晶ライトバルブ100が全波長域の光(白色光)を変調するのに対して、前者の液晶ライトバルブ60B,60G,60Rが光分離手段であるダイクロイックミラー30,35で分光された特定波長領域の光(R,G,Bなどの色光)を変調する点で異なっている。したがって、液晶ライトバルブ60B,60G,60Rで行われる光強度変調を色変調、液晶ライトバルブ100で行われる光強度変調を輝度変調と便宜的に呼称して区別する。また、同様の観点から、以下の説明では液晶ライトバルブ60B,60G,60Rを色変調ライトバルブ、液晶ライトバルブ100を輝度変調ライトバルブと呼称して区別する場合がある。
【0037】
そして、色変調ライトバルブ及び輝度変調ライトバルブに入力する制御値の内容については、後ほど詳述する。なお、本実施形態では、色変調ライトバルブは輝度変調ライトバルブよりも高い解像度を有し、よって、色変調ライトバルブが表示解像度(プロジェクタPJ1の表示画像を観測者が見たときに観測者が知覚する解像度をいう。)を決定する場合を想定している。勿論、表示解像度の関係はこれに限定されず、同じ解像度の色変調ライトバルブ及び輝度変調ライトバルブを採用することも可能であるし、また輝度変調ライトバルブが色変調ライトバルブよりも高い解像度を有し、輝度変調ライトバルブが表示解像度を決定する構成を採用することも可能である。
【0038】
[表示制御装置]
図1に示すプロジェクタPJ1では、HDR画像データから色変調ライトバルブ(液晶ライトバルブ60B,60G,60R)および輝度変調ライトバルブ(液晶ライトバルブ100)の制御値を生成し、その制御値を各ライトバルブに入力して光変調および輝度変調を行う。これにより、画像の表示制御を行うようになっている。
【0039】
図2は、表示制御装置のハードウエア構成を示すブロック図である。
表示制御装置は、外部装置からのHDR画像データの入力を媒介するI/F178と、I/F178を介して入力されたHDR画像データを一時的に保管する入力用フレームメモリ192と、ROM172に格納されたプログラムに従ってHDR画像データから各ライトバルブの制御値を生成するCPU170と、生成された制御値を保管する出力用フレームメモリ194,195と、その制御値を用いて輝度変調ライトバルブ100および色変調ライトバルブ60を駆動する駆動制御部210とを備えており、これらは信号線であるバスによりデータ授受可能に接続されている。
【0040】
I/F178には、外部のネットワーク199に接続するための信号線と、データ等をファイルとして格納する記憶装置182とが接続されている。この記憶装置182には、プロジェクタで表示すべきHDR画像データと、輝度変調ライトバルブ100及び色変調ライトバルブ60を駆動するための制御値登録テーブルとが記憶されている。
【0041】
HDR画像データは、従来のsRGB等の画像フォーマットでは実現できない高い輝度ダイナミックレンジを実現することが可能な画像データであり、画素の輝度レベルを示す画素値を画像の全画素について格納している。本実施形態では、HDR画像データとして、1つの画素についてRGB3原色ごとに輝度レベルを示す画素値を浮動小数点値として格納した形式を用いる。例えば、1つの画素の画素値として(1.2,5.4,2.3)という値が格納されている。また、格納する値としては、放射輝度(Radiance)や輝度(Luminance)等の物理的な輝度に関する値を格納しているのも特徴である。放射輝度に人間の視感特性をかけたものが輝度であるため、以後の説明では二つを区別せずに輝度と呼ぶ。
【0042】
なお、HDR画像データの生成方法の詳細については、例えば、「P.E.Debevec,J.Malik,"Recovering High Dynamic Range Radiance Maps from Photographs",Proceedings of ACM SIGGRAPH97 ,pp.367-378(1997)」に掲載されている。
【0043】
図3は、輝度変調ライトバルブに入力するための制御値を登録した制御値登録テーブル400のデータ構造の説明図である。制御値登録テーブル(ルックアップテーブル;LUT)400の各レコードは、輝度変調ライトバルブの制御値を登録したフィールドと、各制御値に対応する輝度変調ライトバルブの透過率を登録したフィールドとを含んで構成されている。
【0044】
図3の例では、第1段目のレコードには、制御値として「0」が、透過率として「0.003」がそれぞれ登録されている。これは、輝度変調ライトバルブに対して制御値「0」を入力すると、輝度変調ライトバルブの透過率が0.3%となることを示している。なお、図3には輝度変調ライトバルブの階調数が4ビット(0〜15値)である場合の例を示したが、実際には輝度変調ライトバルブの階調数に相当するレコードが登録される。例えば、階調数が8ビットである場合は、256個のレコードが登録される。
【0045】
図4は、色変調ライトバルブに入力するための制御値を登録した制御値登録テーブル420Rのデータ構造の説明図である。制御値登録テーブル(ルックアップテーブル;LUT)420Rの各レコードは、図1の色変調ライトバルブ60Rの制御値を登録したフィールドと、色変調ライトバルブ60Rの透過率を登録したフィールドとを含んで構成されている。
【0046】
図4の例では、第1段目のレコードには、制御値として「0」が、透過率として「0.004」がそれぞれ登録されている。これは、色変調ライトバルブに対して制御値「0」を入力すると、色変調ライトバルブの透過率が0.4%となることを示している。なお、図4には色変調ライトバルブの階調数が4ビット(0〜15値)である場合の例を示したが、実際には色変調ライトバルブの階調数に相当するレコードが登録される。例えば、階調数が8ビットである場合は、256個のレコードが登録される。
また、図1の色変調ライトバルブ60B,60Gに対応する制御値登録テーブルのデータ構造については特に図示しないが、図4の制御値登録テーブル420Rと同様のデータ構造を有している。ただし、同一の制御値に対して異なる透過率が登録されている場合もある。
【0047】
[表示制御方法]
次に、上述したHDR画像データから各ライトバルブの制御値を生成して、プロジェクタを駆動する方法について説明する。
いま、HDR画像データにおける画素pの輝度レベルをRp、プロジェクタ全体における画素pに対応する領域の光変調率をTp,輝度変調ライトバルブにおける画素pに対応する領域の透過率をT1、色変調ライトバルブにおける画素pに対応する領域の透過率をT2とすると、下式(1),(2)が成立する。
Rp = Tp×Rs (1)
Tp = T1×T2×G (2)
ただし、上式(1),(2)において、Rsは光源の輝度、Gはゲインであり、いずれも定数である。
例えば、画素pの輝度レベルRp(R,G,B)が(1.2,5.4,2.3)、光源の輝度Rs(R,G,B)が(10000,10000,10000)であるとすると、画素pの光変調率Tpは、(1.2,5.4,2.3)/(10000,10000,10000)=(0.00012,0.00054,0.00023)となる。
【0048】
図5は、制御値の生成方法のフローチャートである。
まず、ステップS100では、図2の記憶装置182からI/F178を介して入力用フレームメモリ192にHDR画像データを入力し、そのHDR画像データをCPU170が読み出す。
【0049】
次いで、図5のステップS102に移行して、読み出したHDR画像データを解析し、画素値のヒストグラムや、輝度レベルの最大値、最小値及び平均値等を算出する。この解析結果は、暗めのシーンを明るくしたり、明るすぎるシーンを暗くしたり、中間部コントラストを協調するなどの自動画像補正に使用したり、トーンマッピングに使用したりするためである。
【0050】
次いで、ステップS104に移行して、ステップS102の解析結果に基づいて、HDR画像データの輝度レベルを、プロジェクタの輝度ダイナミックレンジにトーンマッピングする。
図6は、トーンマッピング処理の説明図である。HDR画像データを解析した結果、HDR画像データに含まれる輝度レベルの最小値がSminで、最大値がSmaxであるとする。また、プロジェクタの輝度ダイナミックレンジの最小値がDminで、最大値がDmaxであるとする。図6の例では、SminがDminよりも小さく、SmaxがDmaxよりも大きいので、このままでは、HDR画像データを適切に表示することができない。そこで、Smin〜SmaxのヒストグラムがDmin〜Dmaxのレンジに収まるように正規化する。
【0051】
なお、トーンマッピングの詳細については、例えば、「F.Drago, K.Myszkowski,T.Annen,N.Chiba,"Adaptive Logarithmic Mapping For Displaying High Contrast Scenes", Eurographics 2003,(2003)」に記載されている。
【0052】
次いで、図5のステップS106に移行して、色変調ライトバルブの解像度(画素数)に合わせてHDR画像をリサイズ(拡大または縮小)する。このとき、HDR画像のアスペクト比を保持したままHDR画像をリサイズする。リサイズ方法としては、例えば、平均値法、中間値法、ニアレストネイバー法(最近傍法)が挙げられる。
【0053】
次いで、ステップS108に移行して、リサイズ画像の各画素の輝度レベルRp及び光源10の輝度Rsに基づいて、上式(1)により、リサイズ画像の各画素につき光変調率Tpを算出する。
【0054】
次いで、ステップS110に移行して、色変調ライトバルブの各画素の透過率T2として、初期値(例えば、0.2)を仮決定する。
【0055】
次いで、ステップS112に移行して、色変調ライトバルブの各画素に対応する輝度変調ライトバルブの領域につき透過率T1’を算出する。具体的には、ステップS108で算出した光変調率Tp、ステップS110で仮決定した透過率T2、及びゲインGに基づいて、上式(2)により、当該領域の透過率T1’を算出する。ここで、色変調ライトバルブが3枚の液晶ライトバルブ60B,60G,60Rで構成されていることから、同一の領域につきRGB3原色ごとに透過率T1’を算出する。そして、輝度変調ライトバルブが1枚の液晶ライトバルブ100で構成されていることから、RGB3原色ごとに算出した透過率の平均値等をその領域の透過率T1’とする。
【0056】
次いで、ステップS114に移行して、輝度変調ライトバルブの各画素につき透過率T1を算出する。具体的には、ステップS112で算出した輝度変調ライトバルブの各領域の透過率T1’のうち、輝度変調ライトバルブの画素と重なり合う領域の透過率T1’の重み付け平均値を算出して、当該画素における透過率T1を求める。重み付けは、重なり合う画素の面積比により行う。
【0057】
次いで、ステップS116に移行して、輝度変調ライトバルブの各画素につき、算出した透過率T1に対応する制御値を、図3の制御値登録テーブル400から読み出す。制御値の読出しでは、算出した透過率T1に最も近似する透過率を制御値登録テーブル400の中から選出し、選出した透過率に対応する制御値を読み出す。この選出は、例えば、2分探索法を用いて行うことにより高速な検索を実現する。
【0058】
次いで、図5のステップS118に移行して、色変調ライトバルブの各画素につき透過率T2を算出する。具体的には、ステップS114で算出した輝度変調ライトバルブの各画素の透過率T1のうち、色変調ライトバルブの画素と光路上で重なり合う画素の透過率T1の重み付け平均値を算出する。重み付けは、重なり合う画素の面積比により行う。その上で、算出した透過率T1の平均値、ステップS108で算出した光変調率Tp及びゲインGに基づいて、上式(2)により、当該画素の透過率T2を算出する。
【0059】
次いで、ステップS120に移行して、色変調ライトバルブの各画素につき、算出した透過率T2に対応する制御値を、図4の制御値登録テーブル420Rから読み出す。制御値の読出しでは、算出した透過率T2に最も近似する透過率を制御値登録テーブル420Rの中から選出し、選出した透過率に対応する制御値を読み出す。この選出は、例えば、2分探索法を用いて行うことにより高速な検索を実現する。
【0060】
次いで、図5のステップS122に移行して、ステップS116,S120で決定した制御値を出力用フレームメモリに格納する。その後、駆動制御部が格納された制御値を読み出し、各ライトバルブに出力してこれらを駆動する。その駆動制御部の構成および駆動処理については後述する。
【0061】
[制御値の生成方法]
次に、色変調ライトバルブ(液晶ライトバルブ60B,60G,60R)及び輝度変調ライトバルブ(液晶ライトバルブ100)に入力する制御値の生成過程を、図5〜図10に基づいて説明する。
以下では、色変調ライトバルブ(液晶ライトバルブ60B,60G,60R)は、横18画素×縦12画素の解像度及び4ビットの階調数を有し、輝度変調ライトバルブ(液晶ライトバルブ100)は、横15画素×縦10画素の解像度及び4ビットの階調数を有する場合を例にとって説明を行う。また、色変調ライトバルブおよび輝度変調ライトバルブの図はいずれも光源10の側から見たものである。
【0062】
図7は、色変調ライトバルブの透過率T2を仮決定する過程の説明図である。
ステップS110(図5参照、以下同じ)では、色変調ライトバルブの各画素の透過率T2が仮決定される。色変調ライトバルブの左上4区画の画素をp21(左上)、p22(右上)、p23(左下)、p24(右下)とした場合、画素p21〜p24の透過率T2には、図7に示すように、初期値T20が与えられる。
【0063】
図8は、色変調ライトバルブの各画素に対応する輝度変調ライトバルブの領域について、透過率T1’を算出する過程の説明図である。
ステップS112では、色変調ライトバルブの各画素に対応する輝度変調ライトバルブの領域について透過率T1’が算出される。色変調ライトバルブの画素p21〜p24に着目した場合、これに対応する輝度変調ライトバルブの領域における透過率T11〜T14は、図8に示すように、画素p21〜p24の光変調率をTp1〜Tp4、ゲインGを「1」とすれば、下式(3)〜(6)により算出することができる。
T11 = Tp1/T20 (3)
T12 = Tp2/T20 (4)
T13 = Tp3/T20 (5)
T14 = Tp4/T20 (6)
【0064】
例えば、Tp1=0.00012、Tp2=0.05、Tp3=0.02、Tp4=0.01、T20=0.1である場合には、上式(3)〜(6)により、T11=0.0012、T12=0.5、T13=0.2、T14=0.1となる。
【0065】
図9は、輝度変調ライトバルブの各画素の透過率T1を決定する過程の説明図である。
ステップS114では、輝度変調ライトバルブの各画素の透過率T1が決定される。輝度変調ライトバルブと色変調ライトバルブとは、リレーレンズ90によって互いに倒立結像する関係にあるので、色変調パネルの左上4区画の画素は輝度変調ライトバルブの右下部に結像される。そこで、図9(a)に示すように、輝度変調ライトバルブの右下4区画の画素をp11(右下)、p12(左下)、p13(右上)、p14(左上)とする。ここで、色変調ライトバルブと輝度変調ライトバルブとは解像度が異なることから、画素p11は画素p21〜画素p24(図8参照)と光路上で重なり合う。色変調ライトバルブの解像度が18×12で、輝度変調ライトバルブの解像度が15×10であるので、各ライトバルブの画素数の最小公倍数に基づいて、図9(b)に示すように画素p11は6×6の矩形領域に区分することができる。そして、画素p11が画素p21〜p24とそれぞれ重なり合う面積比は、25:5:5:1となる。したがって、画素p11の透過率T15は、下式(7)により算出することができる。
T15=(T11×25+T12×5+T13×5+T14×1)/36 (7)
【0066】
例えば、T11=0.0012、T12=0.5、T13=0.2、T14=0.002である場合は、上式(7)により、T15=0.1008となる。
図9(c)に示す画素p12〜p14の透過率T16〜T18についても、画素p11と同様に、面積比による重み付け平均値を算出することにより求めることができる。
【0067】
次いで、ステップS116では、輝度変調ライトバルブの画素ごとに、その画素について算出された透過率T1に対応する制御値が制御値登録テーブル400から読み出される。例えば、T15=0.1008であるので、制御値登録テーブル400を参照すると、先の図3に示すように、0.09が最も近似した値となる。したがって、制御値登録テーブル400からは、画素p11の制御値として「8」が読み出される。
【0068】
図10は、色変調ライトバルブの各画素の透過率T2を決定する過程の説明図である。
ステップS118では、色変調ライトバルブの各画素の透過率T2が決定される。上述したように、色変調ライトバルブと輝度変調ライトバルブとは解像度が異なることから、図10(a)に示すように、画素p24は画素p11〜画素p14(図9参照)と光路上で重なり合う。また、色変調ライトバルブの解像度が18×12で、輝度変調ライトバルブの解像度が15×10であるので、輝度変調ライトバルブの画素数の最小公倍数に基づいて、図10(b)に示すように画素p24は5×5の矩形領域に区分することができる。そして、画素p24が画素p11〜p14とそれぞれ重なり合う面積比は、1:4:4:16となる。したがって、画素p24に対応する輝度変調ライトバルブの透過率T19は、画素p11〜p14の透過率の重み付け平均値として、下式(8)により算出することができる。
T19=(T15×1+T16×4+T17×4+T18×16)/25 (8)
そして、画素p24の透過率T24は、ゲインGを「1」として、下式(9)により算出することができる。
T24=Tp4/T19 (9)
【0069】
例えば、T15=0.09、T16=0.33、T17=0.15、T18=0.06、Tp4=0.01である場合は、上式(8),(9)により、T19=0.1188、T24=0.0842となる。
図10(c)に示す画素p21〜p23の透過率T21〜T23についても、画素p24と同様に、面積比による重み付け平均値を算出することにより求めることができる。
【0070】
次いで、ステップS120では、色変調ライトバルブの画素ごとに、その画素について算出された透過率T2に対応する制御値が制御値登録テーブルから読み出される。例えば、液晶ライトバルブ60Rの画素p24についてT24=0.0842である場合、制御値登録テーブル420Rを参照すると、先の図4に示すように、0.07が最も近似した値となる。したがって、制御値登録テーブル420Rからは、画素p24の制御値として「7」が読み出される。
【0071】
そして、ステップS122において、ステップS116,S120で決定された制御値を出力用フレームメモリに格納する。その後、格納された制御値を出力用フレームメモリから読み出し、駆動制御部がその制御値を各ライトバルブに入力して、光変調および輝度変調を行うことによりプロジェクタを駆動する。
【0072】
[駆動制御部]
次に、駆動制御部の構成について説明する。
図11は、駆動制御部のハードウエア構成を示すブロック図である。駆動制御部210は、各ライトバルブの駆動信号を生成するとともに、その駆動信号に従って各ライトバルブに制御値を入力するものである。
【0073】
まず、駆動信号である垂直同期信号、水平同期信号、およびドットクロック信号について説明する。画像表示装置の画面を描画する際に、垂直方向のタイミングを計るための信号が垂直同期信号であり、水平方向のタイミングを計るための信号が水平同期信号である。一般に、画像表示装置の画面を描画するには、画面左上から右上に向かって水平に描画し、右端に到達すると一段下がって、また左から右に向かって描画する。そして、画面の右下に到達したら、左上に戻って同様の走査を繰り返す。ここで、画面の右下から左上に移動するタイミングを決定するのが垂直同期信号である。また、上段の右端から下段の左端に移動するタイミングを決定するのが水平同期信号である。さらに、各画素に対する制御値の入力タイミングを決定するがドットクロック信号である。なお、垂直同期信号は水平同期信号を元に生成され、水平同期信号はドットクロック信号を元に生成される。
【0074】
駆動制御部210は、上述した垂直同期信号および水平同期信号の生成部214,216と、ドットクロック信号の生成部212と、各信号生成部のタイミングを制御する全体制御部220とを備えている。一方、駆動制御部210は、出力用フレームメモリ194,195(図2参照)に格納されている各ライトバルブの制御値を読み出すためのアドレスを発生させるアドレス制御部222と、読み出した制御値を一時的に格納するデータバッファ224,226とを備えている。また、その制御値を駆動信号に合わせて各ライトバルブに入力するデータ転送部230を備えている。
【0075】
[制御値の入力方法]
次に、駆動信号の生成方法およびその駆動信号に合わせて画像データを各ライトバルブに入力する方法について説明する。
図12および図13は、第1実施形態で生成する駆動信号の説明図である。第1実施形態では、各ライトバルブに対する垂直同期信号を同期して発生させる。なお、垂直同期信号および水平同期信号は、一般にローレベルがアクティブ(トリガ)となる。また、垂直同期信号および水平同期信号がアクティブになってから制御値が入力されるまでには、初期化のため所定のタイムラグ(初期化時間)が存在する。
【0076】
図12は、色変調ライトバルブおよび輝度変調ライトバルブの画素数が等しい場合である。なお、図12(a)が色変調ライトバルブに対する駆動信号等であり、図12(b)が輝度変調ライトバルブに対する駆動信号等である。
図12では、色変調ライトバルブに対する垂直同期信号1と、輝度変調ライトバルブに対する垂直同期信号2とが、同期して発生している。そして、各垂直同期信号がアクティブとなってから所定のタイムラグをおいて、各ライトバルブに対する制御値の入力が同時期に開始されている。これにより、各ライトバルブの制御値が同時期に更新されるので、動画表示を行う場合でも、制御値の更新時期のずれに起因する輝度表示の一時的な上昇を防止することができる。したがって、画像表示品質を低下させることがない。
【0077】
図13は、色変調ライトバルブおよび輝度変調ライトバルブの画素数が異なる場合である。図13では、色変調ライトバルブに対する垂直同期信号1と、輝度変調ライトバルブに対する垂直同期信号2とが、同期して発生している。そして、色変調ライトバルブに対する制御値1と、輝度変調ライトバルブに対する制御値2とが、略同時期にそれぞれのライトバルブに入力されている。なお、各ライトバルブの画素数の違いに起因して、各ライトバルブの初期化時間が異なるが、これに伴う制御値の入力開始時期の差は大きくない。また、各ライトバルブの画素数の違いに起因して、各ライトバルブの画面全体の描画時間が異なるが、次の描画前に各垂直同期信号を同期させることにより、その時間差を累積させることがない。これにより、各ライトバルブの制御値が略同時期に更新されるので、画像表示品質の低下を最小限にとどめることができる。
【0078】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る画像表示装置の駆動方法について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成となる部分については、その説明を省略する。
図14および図15は、第2実施形態で生成する駆動信号の説明図である。第2実施形態では、各ライトバルブに対する制御値の入力開始直前の水平同期信号を同じタイミングで発生させる。
【0079】
図14は、色変調ライトバルブおよび輝度変調ライトバルブの画素数が等しい場合である。なお、図14(a)が色変調ライトバルブに対する駆動信号等であり、図14(b)が輝度変調ライトバルブに対する駆動信号等である。
図14では、色変調ライトバルブに対する制御値の入力開始直前の水平同期信号1と、輝度変調ライトバルブに対する制御値の入力開始直前の水平同期信号2とが、同期して発生している。なお各ライトバルブの画素数が等しいので、各ライトバルブに対する垂直同期信号を同期して発生させれば、結果として各ライトバルブに対する制御値の入力開始直前の水平同期信号を同期して発生させることができる。そして、各水平同期信号がアクティブとなってから所定のタイムラグをおいて、各ライトバルブに対する制御値の入力が同時期に開始されている。これにより、各ライトバルブの制御値が同時期に更新されるので、動画表示を行う場合でも、制御値の更新時期のずれに起因する輝度の一時的な上昇を防止することができる。したがって、画像表示品質を低下させることがない。
【0080】
図15は、色変調ライトバルブおよび輝度変調ライトバルブの画素数が異なる場合である。図15でも、色変調ライトバルブに対する制御値の入力開始直前の水平同期信号1と、輝度変調ライトバルブに対する制御値の入力開始直前の水平同期信号2とが、同期して発生している。そして、色変調ライトバルブに対する制御値1と、輝度変調ライトバルブに対する制御値2とが、略同時期にそれぞれのライトバルブに入力されている。なお、各ライトバルブの初期化時間の相違は軽微であって問題にならない。また、各ライトバルブの画面全体の描画時間が異なるが、次の描画前に各水平同期信号を同期させることにより、その時間差を累積させることがない。これにより、各ライトバルブに対する制御値がほとんど同時期に更新されるので、動画表示を行う場合でも、制御値の更新時期のずれに起因する輝度の一時的な上昇を防止することが可能になる。したがって、画像表示品質を低下させることがない。
【0081】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態に係る画像表示装置の駆動方法について説明する。第3実施形態では、色変調ライトバルブおよび輝度変調ライトバルブの画素数が異なる場合を前提として、異なるドットクロック周波数を発生させて各ライトバルブを駆動する。なお、第1実施形態と同様の構成となる部分については、その説明を省略する。
【0082】
図16は、各ライトバルブの画素数の説明図である。一般に、ライトバルブの各画素に対する制御値の入力は、ドットクロック信号単位で行われる。そこで、各ライトバルブを駆動するドットクロック信号の周波数の比率を、各ライトバルブの画素数の比率に略一致させることにより、各ライトバルブにおける画面全体の描画時間を略一致させることができる。図16では、理解を容易にするため、色変調ライトバルブの画素数を4×4の16画素、輝度変調ライトバルブの画素数を3×3の9画素と仮定している。このとき、色変調ライトバルブを駆動するドットクロック周波数と輝度変調ライトバルブを駆動するドットクロック周波数との比率を、16:9にすればよい。
【0083】
図17は、第3実施形態で生成する駆動信号の説明図である。なお、図17(a)が色変調ライトバルブに対する駆動信号等であり、図17(b)が輝度変調ライトバルブに対する駆動信号等である。
図17では、色変調ライトバルブに対してドットクロック信号1の1カウントごとに制御値1が入力され、またドットクロック信号1の4カウントごとに水平同期信号1がアクティブとなって、4×4の16画素からなる色変調ライトバルブの1画面が描画されるようになっている。一方、輝度変調ライトバルブに対してドットクロック信号2の1カウントごとに制御値2が入力され、ドットクロック信号2の3カウントごとに水平同期信号2がアクティブとなって、3×3の9画素からなる輝度変調ライトバルブの1画面が描画されるようになっている。
【0084】
上述したように、色変調ライトバルブを駆動するドットクロック信号1の周波数と、輝度変調ライトバルブを駆動するドットクロック信号2の周波数との比率が、16:9に設定されている。そのため、図17では、色変調ライトバルブにおける画面全体の描画時間と、輝度変調ライトバルブにおける画面全体の描画時間とが、略一致している。これにより、光路上で重なり合う各ライトバルブの画素に対する制御値を、略同時期に更新することが可能になる。したがって、動画表示を行う場合でも、制御値の更新時期のずれに起因する輝度表示の一時的な上昇を防止することが可能になり、画像表示品質を低下させることがない。
【0085】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態に係る画像表示装置の駆動方法について説明する。第4実施形態では、一方のライトバルブにおける画面の一部のみに画像を描画する場合に、他方のライトバルブと描画開始時期を略一致させて描画する。なお、第1実施形態と同様の構成となる部分については、その説明を省略する。
一般に、同じ画素数の色変調ライトバルブおよび輝度変調ライトバルブを採用すると、両ライトバルブのブラックストライプの干渉により、モアレが発生する場合がある。このモアレを解消するには、一方のライトバルブにおける画面の一部のみに画像を描画すればよいことが確認されている。すなわち、同じ画素数のライトバルブを採用した場合でも、一方のライトバルブにおける画面の一部のみに画像を描画することにより、異なる画素数のライトバルブとして使用するのである。
【0086】
図18は、各ライトバルブの描画領域の説明図である。本実施形態では、輝度変調ライトバルブにおける画面の一部(中央部)のみに画像を描画する。図18では、理解を容易にするため、色変調ライトバルブと輝度変調ライトバルブとの画素比を4:3とし、色変調ライトバルブにおいて4×4画素で構成された領域6個分を、輝度変調ライトバルブにおいて3×3画素で構成された領域6個分に対応させる。そして、色変調ライトバルブおよび輝度変調ライトバルブに対して、略同時に描画を開始する。具体的には、色変調ライトバルブの描画領域の左上に位置するA画素と、輝度変調ライトバルブの描画領域の左上に位置するB画素とに対して、略同時に制御値を入力する。ここで、B画素の上側には描画されない(画像形成に関与しない)画素列が1列存在し、B画素の左側には描画されない画素が2個存在することに注目されたい。
【0087】
図19は、水平方向の描画タイミングをとるため第4実施形態で生成する駆動信号の説明図である。なお、図19(a)が色変調ライトバルブに対する駆動信号等であり、図19(b)が輝度変調ライトバルブに対する駆動信号等である。本実施形態では、異なる画素数のライトバルブを使用する第3実施形態と同様に、各ライトバルブを駆動するドットクロック信号の周波数の比率を、各ライトバルブの描画領域の画素数(すなわち、制御値の入力により画像形成に関与する画素数)の比率に略一致させる。すなわち、色変調ライトバルブを駆動するドットクロック信号1の周波数と、輝度変調ライトバルブを駆動するドットクロック信号2の周波数との比率を、16:9にする。
【0088】
上述したように、輝度変調ライトバルブのB画素の左側には、描画されない画素が2個存在する。なお第3実施形態で述べたように、各画素に対する制御値の入力(描画)は、ドットクロック信号のカウントごとに行われる。そこで、輝度変調ライトバルブに対する水平同期信号2を、色変調ライトバルブに対する水平同期信号1より、ドットクロック信号の2カウント(DCLK)分だけ早く発生させる。これにより、色変調ライトバルブの画像形成に関与する制御値入力画素に対して、輝度変調ライトバルブの画像形成に関与する制御値入力画素を、2画素分進めることが可能になる。したがって、色変調ライトバルブおよび輝度変調ライトバルブの水平方向における描画開始時期を略一致させることができる。
【0089】
図20は、垂直方向の描画タイミングをとるため第4実施形態で生成する駆動信号の説明図である。上述したように、輝度変調ライトバルブのB画素の上側には、描画されない画素列が1列存在する。そこで、輝度変調ライトバルブの垂直同期信号2を、色変調ライトバルブの垂直同期信号1より、水平同期信号2の1H分だけ早く発生させる。これにより、色変調ライトバルブの画像形成に関与する制御値入力画素列に対して、輝度変調ライトバルブの画像形成に関与する制御値入力画素列を、1列分進めることが可能になる。したがって、色変調ライトバルブおよび輝度変調ライトバルブの垂直方向における描画開始時期を略一致させることができる。
【0090】
そして、図19および図20に示す駆動信号を共に生成することにより、輝度変調ライトバルブにおける画面の一部のみに画像を描画する場合でも、色変調ライトバルブのA画素と輝度変調ライトバルブのB画素とに対して略同時に制御値を入力することができる。そして、各ライトバルブのドットクロック周波数の比率を、各ライトバルブの描画領域の画素数の比率に略一致させているので、色変調ライトバルブの描画領域と輝度変調ライトバルブの描画領域との描画タイミングを、水平方向および垂直方向に略一致させることができる。これにより、各ライトバルブの対応する画素において画像形成に関与する制御値が略同時期に更新されるので、動画表示を行う場合でも、画像形成に関与する制御値の更新時期のずれに起因する輝度表示の一時的な上昇を防止することが可能になる。したがって、画像表示品質を低下させることがない。
【0091】
なお、図19または図20に示す駆動信号のいずれか一方のみを生成して、各ライトバルブを駆動してもよい。この場合でも、色変調ライトバルブの描画領域と輝度変調ライトバルブの描画領域との描画タイミングが水平方向または垂直方向に概ね一致するので、画像形成に関与する制御値の更新時期のずれに起因する輝度表示の一時的な上昇を抑制することが可能になるからである。
【0092】
[その他の変形例]
上記実施形態では、3板式のプロジェクタを例にして説明したが、単板式のプロジェクタに本発明を適用することも可能である。この単板式のプロジェクタは、光源、均一照明系、第1光変調素子、リレーレンズ、第2光変調素子および投射レンズを主として構成され、光源として白色光源を採用した場合には、第1光変調素子または第2光変調素子としての液晶ライトバルブにカラーフィルタが配設される。
【0093】
また、上記実施形態では、投射型表示装置を例にして説明したが、直視型表示装置に本発明を適用することも可能である。この直視型表示装置では、第2変調素子上で変調された画像光を直接見ることとなる。直視型表示装置は、明るい場所での鑑賞に適するという利点がある。
【0094】
また、上記実施形態では、色変調ライトバルブで色変調された光に対し、輝度変調ライトバルブにて輝度変調を行うように構成したが、これに限らず、輝度変調ライトバルブで輝度変調された光に対し、色変調ライトバルブにて色変調を行うように構成することもできる。また、輝度変調ライトバルブ及び色変調ライトバルブを用いて光の輝度を2段階に変調するように構成したが、これに限らず、輝度変調ライトバルブを2セット用いて光の輝度を2段階に変調するように構成することもできる。
【0095】
また、上記実施形態では、光源10として白色光を射出する単体の光源を用い、この白色光をRGBの3原色の光に分光するようにしているが、これに限らず、RGBの3原色にそれぞれ対応した、赤色の光を射出する光源、青色の光を射出する光源及び緑色の光を射出する光源の3つの光源を用い、白色光を分光する手段を取り除いた構成としても良い。
【0096】
また、上記実施形態では、液晶ライトバルブ60B,60G,60R、100としてアクティブマトリックス型の液晶表示素子を用いて構成したが、これに限らず、液晶ライトバルブ60B,60G,60R、100としてパッシブマトリックス型の液晶表示素子及びセグメント型の液晶表示素子を用いて構成することもできる。アクティブマトリックス型の液晶表示は、精密な階調表示ができるという利点があり、パッシブマトリックス型の液晶表示素子及びセグメント型の液晶表示素子は、安価に製造できるという利点を有する。
【0097】
また、上記実施形態では、輝度変調ライトバルブまたは色変調ライトバルブを透過型の光変調素子である液晶パネルによって構成したが、これに限らず、DMD(Digital Micromirror Device)等の反射型の光変調素子で構成することもできる。
【0098】
また、リレーレンズと輝度変調ライトバルブとの間に、光の偏光状態を補償する偏光補償光学系を配設してもよい。偏光補償光学系としては、偏光補償機能を有する誘電体膜や、レクチファイアを用いた構成を採用することができる。
【0099】
また、上記各実施の形態において、図5のフローチャートに示す処理を実行するにあたっては、図2のROM172にあらかじめ格納されている制御プログラムを実行する場合について説明したが、これに限らず、これらの手順を示したプログラムが記憶された記憶媒体から、そのプログラムをRAM174に読み込んで実行するようにしてもよい。
【0100】
ここで、記憶媒体とは、RAM、ROM等の半導体記憶媒体、FD、HD等の磁気記憶型記憶媒体、CD、CDV、LD、DVD等の光学的読取方式記憶媒体、MO等の磁気記憶型/光学的読取方式記憶媒体であって、電子的、磁気的、光学的等の読み取り方法のいかんにかかわらず、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体であれば、あらゆる記憶媒体を含むものである。
【0101】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明に係る画像表示装置(プロジェクタ)の主たる光学構成図である。
【図2】表示制御装置のハードウエア構成を示すブロック図である。
【図3】輝度変調ライトバルブの制御値登録テーブルのデータ構造図である。
【図4】色変調ライトバルブの制御値登録テーブルのデータ構造図である。
【図5】制御値の生成方法のフローチャートである。
【図6】トーンマッピング処理の説明図である。
【図7】色変調ライトバルブの透過率を仮決定する場合の説明図である。
【図8】色変調ライトバルブの各画素に対応する輝度変調ライトバルブの各領域の透過率を算出する場合の説明図である。
【図9】輝度変調ライトバルブの各画素の透過率を決定する場合の説明図である。
【図10】色変調ライトバルブの各画素の透過率を決定する場合の説明図である。
【図11】駆動制御部のハードウエア構成を示すブロック図である。
【図12】第1実施形態で生成する駆動信号の説明図である。
【図13】第1実施形態で生成する駆動信号の説明図である。
【図14】第2実施形態で生成する駆動信号の説明図である。
【図15】第2実施形態で生成する駆動信号の説明図である。
【図16】各ライトバルブの画素数の説明図である。
【図17】第3実施形態で生成する駆動信号の説明図である。
【図18】各ライトバルブの描画領域の説明図である。
【図19】第4実施形態で生成する駆動信号の説明図である。
【図20】第4実施形態で生成する駆動信号の説明図である。
【図21】各ライトバルブの制御値および表示輝度の時間変化を示すグラフである。
【図22】各ライトバルブの制御値および表示輝度の時間変化を示すグラフである。
【符号の説明】
【0103】
VSYNC1‥垂直同期信号 VSYNC2‥垂直同期信号
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1光変調素子および第2光変調素子に制御値を入力して、光源からの光を変調することにより、画像を表示する画像表示装置の駆動方法であって、
前記第1光変調素子に対する垂直同期信号と、前記第2光変調素子に対する垂直同期信号とを同期させて、前記各光変調素子に制御値を入力することを特徴とする画像表示装置の駆動方法。
【請求項2】
第1光変調素子および第2光変調素子に制御値を入力して、光源からの光を変調することにより、画像を表示する画像表示装置の駆動方法であって、
前記第1光変調素子に対する制御値の入力開始直前の水平同期信号と、前記第2光変調素子に対する制御値の入力開始直前の水平同期信号とを同期させて、前記各光変調素子に制御値を入力することを特徴とする画像表示装置の駆動方法。
【請求項3】
第1光変調素子および第2光変調素子に制御値を入力して、光源からの光を変調することにより、画像を表示する画像表示装置の駆動方法であって、
前記第1光変調素子に対するドットクロック信号の周波数と前記第2光変調素子に対するドットクロック信号の周波数との比率を、前記第1光変調素子において制御値の入力により画像形成に関与する画素数と前記第2光変調素子において制御値の入力により画像形成に関与する画素数との比率に略一致させて、前記各光変調素子に制御値を入力することを特徴とする画像表示装置の駆動方法。
【請求項4】
前記第1光変調素子の垂直方向における画像形成に関与する画素に対する制御値の入力開始時期が、前記第2光変調素子の垂直方向における画像形成に関与する画素に対する制御値の入力開始時期と略一致するように、前記第1光変調素子に対する垂直同期信号および前記第2光変調素子に対する垂直同期信号を発生させることを特徴とする請求項3に記載の画像表示装置の駆動方法。
【請求項5】
前記第1光変調素子の水平方向における画像形成に関与する画素に対する制御値の入力開始時期が、前記第2光変調素子の水平方向における画像形成に関与する画素に対する制御値の入力開始時期と略一致するように、前記第1光変調素子に対する水平同期信号および前記第2光変調素子に対する水平同期信号を発生させることを特徴とする請求項3に記載の画像表示装置の駆動方法。
【請求項6】
第1光変調素子および第2光変調素子に制御値を入力して、光源からの光を変調することにより、画像を表示する画像表示装置であって、
前記第1光変調素子の垂直方向における制御値の入力開始時期が、前記第2光変調素子の垂直方向における制御値の入力開始時期と略一致するように、前記第1光変調素子に対する垂直同期信号および前記第2光変調素子に対する垂直同期信号を発生させる駆動制御部を有することを特徴とする画像表示装置。
【請求項7】
第1光変調素子および第2光変調素子に制御値を入力して、光源からの光を変調することにより、画像を表示する画像表示装置であって、
前記第1光変調素子の水平方向における制御値の入力開始時期が、前記第2光変調素子の水平方向における制御値の入力開始時期と略一致するように、前記第1光変調素子に対する水平同期信号および前記第2光変調素子に対する水平同期信号を発生させる駆動制御部を有することを特徴とする画像表示装置。
【請求項8】
第1光変調素子および第2光変調素子に制御値を入力して、光源からの光を変調することにより、画像を表示する画像表示装置であって、
前記第1光変調素子に対するドットクロック信号の周波数と前記第2光変調素子に対するドットクロック信号の周波数との比率を、前記第1光変調素子において制御値の入力により画像形成に関与する画素数と前記第2光変調素子において制御値の入力により画像形成に関与する画素数との比率に略一致させて、前記各ドットクロック信号を発生させる駆動制御部を有することを特徴とする画像表示装置。
【請求項9】
請求項6ないし8のいずれかに記載の画像表示装置と、
投射手段と、を備えることを特徴とするプロジェクタ。
【請求項1】
第1光変調素子および第2光変調素子に制御値を入力して、光源からの光を変調することにより、画像を表示する画像表示装置の駆動方法であって、
前記第1光変調素子に対する垂直同期信号と、前記第2光変調素子に対する垂直同期信号とを同期させて、前記各光変調素子に制御値を入力することを特徴とする画像表示装置の駆動方法。
【請求項2】
第1光変調素子および第2光変調素子に制御値を入力して、光源からの光を変調することにより、画像を表示する画像表示装置の駆動方法であって、
前記第1光変調素子に対する制御値の入力開始直前の水平同期信号と、前記第2光変調素子に対する制御値の入力開始直前の水平同期信号とを同期させて、前記各光変調素子に制御値を入力することを特徴とする画像表示装置の駆動方法。
【請求項3】
第1光変調素子および第2光変調素子に制御値を入力して、光源からの光を変調することにより、画像を表示する画像表示装置の駆動方法であって、
前記第1光変調素子に対するドットクロック信号の周波数と前記第2光変調素子に対するドットクロック信号の周波数との比率を、前記第1光変調素子において制御値の入力により画像形成に関与する画素数と前記第2光変調素子において制御値の入力により画像形成に関与する画素数との比率に略一致させて、前記各光変調素子に制御値を入力することを特徴とする画像表示装置の駆動方法。
【請求項4】
前記第1光変調素子の垂直方向における画像形成に関与する画素に対する制御値の入力開始時期が、前記第2光変調素子の垂直方向における画像形成に関与する画素に対する制御値の入力開始時期と略一致するように、前記第1光変調素子に対する垂直同期信号および前記第2光変調素子に対する垂直同期信号を発生させることを特徴とする請求項3に記載の画像表示装置の駆動方法。
【請求項5】
前記第1光変調素子の水平方向における画像形成に関与する画素に対する制御値の入力開始時期が、前記第2光変調素子の水平方向における画像形成に関与する画素に対する制御値の入力開始時期と略一致するように、前記第1光変調素子に対する水平同期信号および前記第2光変調素子に対する水平同期信号を発生させることを特徴とする請求項3に記載の画像表示装置の駆動方法。
【請求項6】
第1光変調素子および第2光変調素子に制御値を入力して、光源からの光を変調することにより、画像を表示する画像表示装置であって、
前記第1光変調素子の垂直方向における制御値の入力開始時期が、前記第2光変調素子の垂直方向における制御値の入力開始時期と略一致するように、前記第1光変調素子に対する垂直同期信号および前記第2光変調素子に対する垂直同期信号を発生させる駆動制御部を有することを特徴とする画像表示装置。
【請求項7】
第1光変調素子および第2光変調素子に制御値を入力して、光源からの光を変調することにより、画像を表示する画像表示装置であって、
前記第1光変調素子の水平方向における制御値の入力開始時期が、前記第2光変調素子の水平方向における制御値の入力開始時期と略一致するように、前記第1光変調素子に対する水平同期信号および前記第2光変調素子に対する水平同期信号を発生させる駆動制御部を有することを特徴とする画像表示装置。
【請求項8】
第1光変調素子および第2光変調素子に制御値を入力して、光源からの光を変調することにより、画像を表示する画像表示装置であって、
前記第1光変調素子に対するドットクロック信号の周波数と前記第2光変調素子に対するドットクロック信号の周波数との比率を、前記第1光変調素子において制御値の入力により画像形成に関与する画素数と前記第2光変調素子において制御値の入力により画像形成に関与する画素数との比率に略一致させて、前記各ドットクロック信号を発生させる駆動制御部を有することを特徴とする画像表示装置。
【請求項9】
請求項6ないし8のいずれかに記載の画像表示装置と、
投射手段と、を備えることを特徴とするプロジェクタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2006−39089(P2006−39089A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−217068(P2004−217068)
【出願日】平成16年7月26日(2004.7.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月26日(2004.7.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]