説明

画像表示装置及びその制御方法

【課題】画像の表示が停止した状態において、ユーザを困惑させることなく画像の表示を再開させることが可能な画像表示装置、及びその制御方法を提供する。
【解決手段】スタンバイ状態でミュートキーが操作されると、制御部20は、記憶部21から要因情報を読み出し、この要因情報が自動オフ情報であるか否かを判断する。この結果、要因情報が自動オフ情報である場合、即ち、前回のオン状態において画像ミュート状態が所定時間継続したためにスタンバイ状態に移行した場合には、制御部20は、プロジェクタ1をオン状態に移行させ、光源11を点灯させる等の必要な初期動作を行って、入力画像を表示させる。一方、読み出した要因情報が自動オフ情報でない場合には、制御部20は、プロジェクタ1をスタンバイ状態に維持したまま処理を終了する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源から射出される光を変調して形成した画像を表示する画像表示装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光源から射出された光を変調して画像を形成する画像表示装置(例えば、プロジェクタ)において、画像の表示を一時的に停止させる画像ミュート機能を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この画像ミュート機能は、例えば、画像を表示させながらプレゼンテーションを行っている際に、ファイルを切り替える過程を聴衆に見せたくない場合や、聴衆を発表者の説明に集中させたい場合などに利用されている。特許文献1に記載の画像表示装置では、ユーザは、ユーザインターフェイスを介して画像ミュートを指示することにより、通常の画像の代わりに黒色画像等を表示させることが可能になっている。また、ユーザは、ユーザインターフェイスを介して画像ミュートの解除を指示することにより、通常の画像が表示される状態に復帰させることができる。
【0003】
多くの画像表示装置では、画像ミュートが解除された際に画像の表示を即座に再開できるよう、画像ミュートの状態でも光源を点灯させたままになっている。この場合、画像ミュートの状態であっても、それが長時間継続すると多くの電力を消費してしまうため、画像ミュートの状態に移行してから所定時間が経過した場合に自動的に電源をオフ状態(光源が消灯した状態)にする自動電源オフ機能を備えたものが知られている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−280087号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
自動電源オフ機能によりオフ状態となった後で画像の表示を行うためには、電源をオンにするための操作を行わなければならない。しかしながら、画像ミュートの状態も電源オフの状態も、通常の画像が表示されない点で共通するため、画像ミュートの状態から自動電源オフ機能によってオフ状態に移行したことに気付かない場合があった。このとき、画像の表示を再開させようとして画像ミュートの解除を指示しても、指示が受け付けられずに画像の表示を再開させることができないため、ユーザは困惑してしまうことになる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]本適用例に係る画像表示装置は、光源から射出される光を変調して形成した画像を表示する表示部と、前記表示部の表示状態を、前記光源を点灯させたまま前記画像の表示を停止させた画像ミュート状態に移行させる第1の表示停止部と、前記画像ミュート状態において前記画像の表示を再開させるための指示を受け付ける入力操作部と、前記画像ミュート状態において前記入力操作部が前記指示を受け付けた場合に、前記画像の表示を再開させる第1の表示復帰部と、前記画像ミュート状態に移行してから所定時間が経過した場合に、前記光源を消灯させる第2の表示停止部と、前記第2の表示停止部が前記光源を消灯させた状態で前記入力操作部が前記指示を受け付けた場合に、前記光源を点灯させて前記画像の表示を再開させる第2の表示復帰部と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
この画像表示装置によれば、第1の表示停止部が光源を点灯させたまま画像の表示を停止させている画像ミュート状態、及び第2の表示停止部が光源を消灯させた状態のいずれの状態であっても、入力操作部に対して同一の指示を行うことによって画像表示を再開することが可能であるため、ユーザを困惑させずに済む。
【0009】
[適用例2]上記適用例に係る画像表示装置において、前記第2の表示停止部は、前記光源を消灯させるとともに当該画像表示装置の動作状態をスタンバイ状態に移行させ、前記第2の表示復帰部は、前記光源を点灯させるとともに前記動作状態をオン状態に移行させることが望ましい。
【0010】
この画像表示装置によれば、画像ミュート状態に移行してから所定時間が経過した場合に、第2の表示停止部が、光源を消灯させるとともに動作状態をスタンバイ状態に移行させるため、光源のみを消灯させる場合に比べて電力の消費を抑制することが可能となる。
【0011】
[適用例3]上記適用例に係る画像表示装置において、情報を記憶する記憶部をさらに備え、前記第2の表示停止部は、前記動作状態を前記スタンバイ状態に移行させる際に、前記画像ミュート状態に移行してから所定時間が経過したことに基づいて前記スタンバイ状態に移行させる旨を表す自動オフ情報を前記記憶部に記憶させ、前記第2の表示復帰部は、前記記憶部に前記自動オフ情報が記憶されている場合に前記オン状態に移行させることが望ましい。
【0012】
この画像表示装置によれば、第2の表示復帰部は、記憶部に自動オフ情報が記憶されている場合、即ち画像ミュート状態に移行してから所定時間が経過したことに基づいてスタンバイ状態に移行した場合にオン状態に移行させるため、他の要因でスタンバイ状態に移行した場合には、入力操作部に対して指示を行ってもオン状態に移行しない。このため、誤って入力操作部に指示を行ってしまった場合に、不用意にオン状態になってしまうことを防ぐことが可能となる。
【0013】
[適用例4]本適用例に係る画像表示装置の制御方法は、光源から射出される光を変調して形成した画像を表示する画像表示装置の制御方法であって、前記画像表示装置の表示状態を、前記光源を点灯させたまま前記画像の表示を停止させた画像ミュート状態に移行させるステップと、前記画像ミュート状態において前記画像の表示を再開させるための指示を受け付けるステップと、前記画像ミュート状態において前記指示を受け付けた場合に、前記画像の表示を再開させるステップと、前記画像ミュート状態に移行してから所定時間が経過した場合に、前記光源を消灯させるステップと、前記光源を消灯させた状態で前記指示を受け付けた場合に、前記光源を点灯させて前記画像の表示を再開させるステップと、を備えたことを特徴とする。
【0014】
この画像表示装置の制御方法によれば、光源を点灯させたまま画像の表示を停止させた画像ミュート状態、及び光源を消灯させた状態のいずれの状態であっても、同一の指示を行うことによって画像表示を再開することが可能であるため、ユーザを困惑させずに済む。
【0015】
また、上述した画像表示装置及びその制御方法が画像表示装置に備えられたコンピュータ(CPU)を用いて構築されている場合には、上記形態及び上記適用例は、その機能を実現するためのプログラム、或いは当該プログラムを前記コンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体等の態様で構成することも可能である。記録媒体としては、フレキシブルディスクやCD−ROM、光磁気ディスク、ICカード、ROMカートリッジ、パンチカード、バーコード等の符号が印刷された印刷物、画像表示装置の内部記憶装置(RAMやROM等のメモリ)、及び外部記憶装置等、前記コンピュータが読み取り可能な種々の媒体を利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、画像表示装置の実施形態として、入力される画像情報に基づく画像(入力画像)を投写して、スクリーンや壁面等にこの入力画像を表示するプロジェクタについて説明する。本実施形態のプロジェクタは、ユーザの指示に応じて入力画像の表示を一時的に停止させる画像ミュート機能を備えるとともに、画像ミュート機能によって表示が一時的に停止した状態(画像ミュート状態)が所定時間継続した場合に、自動的に電源をオフにする自動電源オフ機能を備えている。
【0017】
図1は、本実施形態のプロジェクタの概略構成を示すブロック図である。
図1に示すように、プロジェクタ1は、画像投写部10、制御部20、記憶部21、操作パネル22、リモコン23、操作信号受信部24、入力端子群25、入力ソース選択部26、画像処理部27、電源回路28、光源制御部29、LED表示部30等で構成されている。
【0018】
画像投写部10は、光源11、光変調装置としての3つの液晶ライトバルブ12R,12G,12B、投写光学系としての投写レンズ13、ライトバルブ駆動部14等を含んでいる。画像投写部10は、表示部に相当するものであり、光源11から射出された光を、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bで変調して画像光を形成し、この画像光を投写レンズ13から投写することによってスクリーンSC等に画像を表示する。
【0019】
光源11は、超高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等からなる放電型の光源ランプ11aと、光源ランプ11aが放射した光を液晶ライトバルブ12R,12G,12B側に反射するリフレクタ11bとを含んで構成されている。光源11から射出された光は、図示しないインテグレータ光学系によって輝度分布が略均一な光に変換され、図示しない色分離光学系によって光の3原色である赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各色光成分に分離された後、それぞれ液晶ライトバルブ12R,12G,12Bに入射する。
【0020】
液晶ライトバルブ12R,12G,12Bは、一対の透明基板間に液晶が封入された液晶パネル等によって構成される。液晶ライトバルブ12R,12G,12Bには、マトリクス状に配列された複数の画素が形成されており、液晶に対して画素毎に駆動電圧を印加可能になっている。ライトバルブ駆動部14が、入力される画像情報に応じた駆動電圧を各画素に印加すると、各画素は、画像情報に応じた光透過率に設定される。このため、光源11から射出された光は、この液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを透過することによって変調され、画像情報に応じた画像光が色光毎に形成される。形成された各色の画像光は、図示しない色合成光学系によって画素毎に合成されてカラー画像を表す画像光となった後、投写レンズ13によってスクリーンSC等に拡大投写される。
【0021】
制御部20は、CPU(Central Processing Unit)や、各種データ等の一時記憶に用いられるRAM(Random Access Memory)等を備え、記憶部21に記憶されている制御プログラムに従って動作することによりプロジェクタ1の動作を統括制御する。つまり、制御部20は、記憶部21とともにコンピュータとして機能する。また、制御部20には、時間の計測を行う計時部としてのタイマ20aが備えられている。
【0022】
記憶部21は、マスクROM(Read Only Memory)や、フラッシュメモリ、FeRAM(Ferroelectric RAM:強誘電体メモリ)等の不揮発性のメモリにより構成されている。記憶部21には、プロジェクタ1の動作を制御するための制御プログラムや、プロジェクタ1の動作条件等を規定する各種設定データ等が記憶されている。
【0023】
操作パネル22及びリモコン23は、ユーザからの入力操作を受け付ける入力操作部に相当するものであり、ユーザがプロジェクタ1に対して各種指示を行うための複数の操作キーを備えている。操作パネル22及びリモコン23が備える操作キーとしては、電源のオン・オフを切り替えるための「電源キー」、入力ソースを切り替えるための「入力ソース切替キー」、画像の表示を一時的に停止させたり再開させたりするための「ミュートキー」等がある。ユーザが操作パネル22の各種操作キーを操作すると、操作パネル22は、ユーザの操作内容に応じた操作信号を制御部20に出力する。また、ユーザがリモコン23の各種操作キーを操作すると、リモコン23は、ユーザの操作内容に応じた赤外線の操作信号を発し、操作信号受信部24がこれを受信して制御部20に伝達する。
【0024】
入力端子群25は、ビデオ再生装置やパーソナルコンピュータ等、図示しない外部の画像供給装置から、各種形式の画像情報を入力可能な複数の入力端子25aを備えている。各入力端子25aに入力された画像情報は、入力ソース選択部26に出力される。
【0025】
入力ソース選択部26は、複数の入力端子25aのうち、制御部20の指示に基づく1つの入力端子25aを選択し、この入力端子25aに入力される画像情報を画像処理部27に出力する。ユーザが、リモコン23に備わる入力ソース切替キーを操作して所望の入力端子25aを指定すると、制御部20は、この入力端子25aに入力されている画像情報が画像処理部27に出力されるよう、入力ソース選択部26に指示をする。
【0026】
画像処理部27は、入力ソース選択部26から入力される各種形式の画像情報を、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bの各画素の階調を表す画像情報に変換する。ここで、変換された画像情報は、R,G,Bの色光別になっており、各液晶ライトバルブ12R,12G,12Bのすべての画素に対応する複数の画素値によって構成されている。画素値とは、対応する画素の光透過率を定めるものであり、この画素値によって、各画素から射出する光の強弱(階調)が規定される。
【0027】
さらに、画像処理部27は、制御部20の指示に基づいて、変換した画像情報に対して、明るさ、コントラスト、シャープネス、色合い等を調整するための画質調整処理等を行い、処理後の画像情報(入力画像を表す画像情報)をライトバルブ駆動部14に出力する。また、画像処理部27は、制御部20の指示に基づいて、すべての画素の光透過率が最小となるように、すべての画素値を最小値(0)に設定する処理を行うことができる。この場合、ライトバルブ駆動部14には、黒色の無地画像を表す画像情報が出力される。このように、画像処理部27は、入力画像を表す画像情報を出力する状態と、黒色の無地画像を表す画像情報を出力する状態とを、制御部20の指示に応じて切り替えることができる。
【0028】
ライトバルブ駆動部14が、画像処理部27から入力される画像情報に従って液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを駆動すると、液晶ライトバルブ12R,12G,12Bは、画像情報に応じた画像光を形成し、この画像光が投写レンズ13からスクリーンSCに投写される。
【0029】
電源回路28には、外部からAC100V等の商用電源が供給される。電源回路28は、商用電源(交流電源)を所定の電圧の直流電源に変換するとともに、プロジェクタ1の各部に電力を供給する。なお、制御部20は、電源回路28から電力の供給を受けて動作している間、電源回路28に指示をして、画像の投写に必要な電力(動作電力)の供給と停止とを切り替えることができる。
【0030】
光源制御部29は、制御部20の指示に基づいて、光源11に対する電力の供給と停止とを制御し、光源11の点灯及び消灯を切り替える。
【0031】
LED表示部30は、1つ或いは複数のLED(発光ダイオード)からなるインジケータであり、制御部20の指示に基づいてその表示状態を切り替えることにより、ユーザにプロジェクタ1の動作状態(オン状態やスタンバイ状態等)を報知する。なお、LED表示部30は、その表示状態、即ち点灯、点滅、消灯、発光色等を適宜切り替えることによって、多数の動作状態を表すことが可能になっている。
【0032】
次に、本実施形態のプロジェクタ1の動作について説明する。
プロジェクタ1に商用電源が供給されると、電源回路28は、制御部20、記憶部21、操作パネル22、操作信号受信部24、LED表示部30に電力(スタンバイ電力)の供給を行い、制御部20は、この電力供給を受けて、制御プログラムに従った動作を開始する。商用電源が供給された直後には、プロジェクタ1は、スタンバイ状態(オフ状態ともいう)であり、この状態では、制御部20は、操作パネル22やリモコン23の電源キーに対する操作(オン操作)を監視する。そして、このオン操作を検知すると、制御部20は、電源回路28に指示をして動作電力の供給を開始させてプロジェクタ1をオン状態とするとともに、光源制御部29に指示をして光源11を点灯させる等の必要な初期動作を行う。この結果、画像供給装置から入力される画像情報に応じた画像(入力画像)が画像投写部10から投写される。このように、入力画像が表示される状態を、本明細書では、通常表示状態と呼ぶ。
【0033】
通常表示状態では、ユーザは、操作パネル22或いはリモコン23に備わるミュートキーを操作することにより、入力画像の表示を一時的に停止させた状態に移行させることができる。この状態は、光源11を点灯させたまま黒色の無地画像を表示させた状態であり、本明細書では、この状態を画像ミュート状態と呼ぶ。ミュートキーが操作されて画像ミュート状態となった後、ユーザが再度ミュートキーを操作すると、画像ミュート状態は解除されて通常表示状態に復帰し、入力画像の表示が再開する。一方、画像ミュート状態において、ミュートキーが操作されずに所定時間が経過した場合には、プロジェクタ1は、自動電源オフ機能によってスタンバイ状態に移行する。
【0034】
図2は、オン状態の通常表示状態でミュートキーが操作された際のプロジェクタ1の動作を説明するためのフローチャートである。通常表示状態において操作パネル22或いはリモコン23がミュートキーの操作を受け付けると、制御部20は、図2に示すフローに従って動作する。
【0035】
図2に示すように、ステップS101では、制御部20は、画像処理部27に指示をして、黒色の無地画像を表す画像情報を出力させて、入力画像の表示を停止させる。画像処理部27が、この指示に応じて、すべての画素値を最小値(0)に設定した画像情報をライトバルブ駆動部14に出力すると、画像投写部10から光がほとんど照射されない状態、即ち画像投写部10がスクリーンSCに黒色の無地画像を表示させた状態(画像ミュート状態)となる。
【0036】
ステップS102では、制御部20は、画像ミュート状態の継続時間を測定するために、タイマ20aによる計時を開始する。
【0037】
ステップS103では、制御部20は、操作パネル22或いはリモコン23に備わるミュートキーが再度操作されたか否かを判断する。この結果、ミュートキーが操作された場合にはステップS105に移行し、ミュートキーが操作されていない場合にはステップS104に移行する。
【0038】
ミュートキーが操作されずにステップS104に移行した場合には、制御部20は、タイマ20aによる計時結果に基づいて、画像ミュート状態に移行してから所定時間T1(例えば、30分)が経過したか否か、即ち画像ミュート状態の継続時間が所定時間T1に達したか否かを判断する。この結果、所定時間T1に達した場合にはステップS107に移行する。一方、所定時間T1に達していない場合にはステップS103に戻り、ミュートキーが操作されるか、画像ミュート状態の継続時間が所定時間T1に達するまでステップS103,S104を繰り返す。
【0039】
ステップS103においてミュートキーが操作されてステップS105に移行した場合には、制御部20は、ステップS102で開始した計時を停止し、続くステップS106では、画像処理部27に指示をして入力画像の表示を再開させて処理を終了する。画像処理部27が、この指示を受けて入力画像を表す画像情報をライトバルブ駆動部14に出力すると、スクリーンSCには入力画像が表示され、通常表示状態に復帰する。
【0040】
また、ステップS104において画像ミュート状態の継続時間が所定時間T1に達した場合には、制御部20は、自動電源オフ機能によってプロジェクタ1の動作状態をスタンバイ状態に移行させる。ここで、本実施形態のプロジェクタ1は、何らかの要因によってオン状態からスタンバイ状態に移行する際に、その要因を表す要因情報を記憶部21に記憶するようになっている。このため、ステップS107では、制御部20は、画像ミュート状態が所定時間継続したことに基づいて自動電源オフ機能によりスタンバイ状態に移行させる旨を表す情報(自動オフ情報)を要因情報として記憶部21に記憶(保存)する。なお、本実施形態のプロジェクタ1は、上記の要因以外に、電源キーが操作(オフ操作)された場合や、図示しない異常検出部が内部異常(例えば、高温異常等)を検出した場合等にオン状態からスタンバイ状態に移行するようになっており、制御部20は、これらの場合にも、スタンバイ状態への移行に先立ってそれぞれの要因を表す要因情報を記憶部21に記憶する。
【0041】
ステップS108では、制御部20は、光源制御部29に指示をして光源11を消灯させる等の必要な終了動作を行い、続くステップS109では、電源回路28に指示をして動作電力の供給を停止させ、プロジェクタ1をスタンバイ状態に移行させて処理を終了する。
【0042】
上述したように、スタンバイ状態では、制御部20は、電源キーの操作を監視しており、ユーザは、電源キーをオン操作することによってプロジェクタ1をオン状態に移行させることができる。さらに、本実施形態の制御部20は、スタンバイ状態においてミュートキーの操作をも監視しており、前回のオン状態のときに自動電源オフ機能によってスタンバイ状態に移行した場合には、ミュートキーを操作することによってもオン状態に移行させることが可能になっている。
【0043】
図3は、スタンバイ状態でミュートキーが操作された際のプロジェクタ1の動作を説明するためのフローチャートである。スタンバイ状態において操作パネル22或いはリモコン23がミュートキーの操作を受け付けると、制御部20は、図3に示すフローに従って動作する。
【0044】
図3に示すように、ステップS201では、制御部20は、記憶部21から要因情報を読み出し、ステップS202では、読み出した要因情報が自動オフ情報であるか否かを判断する。この結果、要因情報が自動オフ情報である場合、即ち、前回のオン状態において画像ミュート状態が所定時間継続したためにスタンバイ状態に移行した場合にはステップS203に移行し、要因情報が自動オフ情報でない場合には、制御部20は、プロジェクタ1をスタンバイ状態に維持したまま処理を終了する。
【0045】
ステップS203に移行した場合には、制御部20は、電源回路28に指示をして動作電力の供給を開始させて、プロジェクタ1をオン状態に移行させる。その後、ステップS204では、制御部20は、光源制御部29に指示をして光源11を点灯させる等の必要な初期動作を行い、続くステップS205では、画像処理部27に指示をして入力画像を表示させて処理を終了する。画像処理部27が、この指示を受けて入力画像を表す画像情報をライトバルブ駆動部14に出力すると、スクリーンSCには入力画像が表示され、通常表示状態となる。
【0046】
以上説明したように、本実施形態のプロジェクタ1によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)本実施形態のプロジェクタ1によれば、光源11を点灯させたまま入力画像の表示を停止させている画像ミュート状態の場合でも、自動電源オフ機能によってスタンバイ状態に移行している場合でも、ミュートキーを操作することによって入力画像の表示を再開することが可能であるため、ユーザを困惑させずに済む。
【0047】
(2)本実施形態のプロジェクタ1によれば、画像ミュート状態に移行してから所定時間T1が経過した場合に、光源11を消灯させるとともにスタンバイ状態に移行させるため、光源11のみを消灯させる場合に比べて電力の消費を抑制することが可能となる。
【0048】
(3)本実施形態のプロジェクタ1によれば、スタンバイ状態でミュートキーが操作された際には、記憶部21に自動オフ情報が記憶されている場合にのみオン状態に移行するため、自動電源オフ機能以外の要因によってスタンバイ状態に移行した場合には、ミュートキーが操作されてもオン状態に移行しない。このため、スタンバイ状態においてユーザが誤ってミュートキーを操作してしまった場合に、不用意にオン状態になってしまうことを防ぐことが可能となる。
【0049】
なお、本実施形態において、ステップS101を実行して画像ミュート状態に移行させる際の制御部20が、第1の表示停止部に相当し、ステップS106を実行して入力画像の表示を再開させる際の制御部20が、第1の表示復帰部に相当する。また、ステップS107〜S109を実行して、自動オフ情報の保存、光源の消灯、及びスタンバイ状態への移行を行う際の制御部20が、第2の表示停止部に相当し、ステップS201〜S205を実行して、読み出した要因情報が自動オフ情報である場合に、オン状態への移行、光源の点灯、及び入力画像の表示を行う制御部20が、第2の表示復帰部に相当する。
【0050】
(変形例)
また、前記実施形態は、以下のように変更してもよい。
前記実施形態では、画像ミュート状態において黒色の無地画像を表示するようにしているが、これに限定されず、他の画像を表示するようにしてもよい。
【0051】
前記実施形態では、光変調装置として、透過型の液晶ライトバルブ12R,12G,12Bを用いているが、反射型の液晶ライトバルブ等、反射型の光変調装置を用いることも可能である。また、入射した光の射出方向を、画素としてのマイクロミラー毎に制御することにより、光源から射出される光を変調する微小ミラーアレイデバイス等を用いることもできる。
【0052】
前記実施形態では、光源11は、放電型の光源ランプ11aによって構成されているが、LED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)光源等の固体光源や、その他の光源を用いることもできる。
【0053】
前記実施形態では、画像表示装置として、光源11から射出された光を変調して投写するプロジェクタ1を例にして説明しているが、透過型のスクリーンを一体的に備えたリアプロジェクタ、或いは、光源としてバックライトを備えた液晶ディスプレイ等に適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】プロジェクタの概略構成を示すブロック図。
【図2】オン状態でミュートキーが操作された際のプロジェクタの動作を説明するためのフローチャート。
【図3】スタンバイ状態でミュートキーが操作された際のプロジェクタの動作を説明するためのフローチャート。
【符号の説明】
【0055】
1…プロジェクタ、10…画像投写部、11…光源、11a…光源ランプ、11b…リフレクタ、12R,12G,12B…液晶ライトバルブ、13…投写レンズ、14…ライトバルブ駆動部、20…制御部、20a…タイマ、21…記憶部、22…操作パネル、23…リモコン、24…操作信号受信部、25…入力端子群、25a…入力端子、26…入力ソース選択部、27…画像処理部、28…電源回路、29…光源制御部、30…LED表示部、SC…スクリーン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から射出される光を変調して形成した画像を表示する表示部と、
前記表示部の表示状態を、前記光源を点灯させたまま前記画像の表示を停止させた画像ミュート状態に移行させる第1の表示停止部と、
前記画像ミュート状態において前記画像の表示を再開させるための指示を受け付ける入力操作部と、
前記画像ミュート状態において前記入力操作部が前記指示を受け付けた場合に、前記画像の表示を再開させる第1の表示復帰部と、
前記画像ミュート状態に移行してから所定時間が経過した場合に、前記光源を消灯させる第2の表示停止部と、
前記第2の表示停止部が前記光源を消灯させた状態で前記入力操作部が前記指示を受け付けた場合に、前記光源を点灯させて前記画像の表示を再開させる第2の表示復帰部と、
を備えたことを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像表示装置であって、
前記第2の表示停止部は、前記光源を消灯させるとともに当該画像表示装置の動作状態をスタンバイ状態に移行させ、前記第2の表示復帰部は、前記光源を点灯させるとともに前記動作状態をオン状態に移行させることを特徴とする画像表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像表示装置であって、
情報を記憶する記憶部をさらに備え、
前記第2の表示停止部は、前記動作状態を前記スタンバイ状態に移行させる際に、前記画像ミュート状態に移行してから所定時間が経過したことに基づいて前記スタンバイ状態に移行させる旨を表す自動オフ情報を前記記憶部に記憶させ、前記第2の表示復帰部は、前記記憶部に前記自動オフ情報が記憶されている場合に前記オン状態に移行させることを特徴とする画像表示装置。
【請求項4】
光源から射出される光を変調して形成した画像を表示する画像表示装置の制御方法であって、
前記画像表示装置の表示状態を、前記光源を点灯させたまま前記画像の表示を停止させた画像ミュート状態に移行させるステップと、
前記画像ミュート状態において前記画像の表示を再開させるための指示を受け付けるステップと、
前記画像ミュート状態において前記指示を受け付けた場合に、前記画像の表示を再開させるステップと、
前記画像ミュート状態に移行してから所定時間が経過した場合に、前記光源を消灯させるステップと、
前記光源を消灯させた状態で前記指示を受け付けた場合に、前記光源を点灯させて前記画像の表示を再開させるステップと、
を備えたことを特徴とする画像表示装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−42341(P2009−42341A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−205049(P2007−205049)
【出願日】平成19年8月7日(2007.8.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】