説明

画像表示装置及び画像表示方法

【課題】画像表示装置において表現できる階調数を増やす。
【解決手段】入力画像の階調数よりも低い階調数で出力画像を表示する表示部と、前記入力画像の入力階調値を、前記表示部で表示する出力画像の出力階調値に変換する処理部と、を備え、前記処理部は、前記入力画像として入力される単位フレームを第1サブフレームと第2サブフレームとに時分割する時分割手段と、前記第1サブフレームと前記第2サブフレームとのそれぞれの画素において、前記入力階調値を前記第1サブフレームの出力階調値に変換し、前記入力階調値を前記第1サブフレームの出力階調値とは異なる前記第2サブフレームの出力階調値に変換する変換手段と、前記変換された前記第1サブフレームの出力階調値と前記第2サブフレームの出力階調値とを前記表示部に順次表示させる表示制御手段と、を備える画像表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置及び画像表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイは入力画像に応じた画像を表示する。このようなディスプレイの中には、
プラズマディスプレイのように、所定の短時間内においてセルの点灯と非点灯を切り替え
て階調表現を行うサブフィールド方式を利用したものがある。また、ディスプレイの中に
は三次元画像を表示するものがある。特許文献1には、左眼用画像と右眼用画像を切り替
えて表示する3次元画像表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−39399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のようなサブフィールド方式により複数の階調値を表示する場合、点灯と非点灯と
の切り替え時間の制約から表示できる階調数が限られる場合がある。また、3次元画像を
表示する場合には、右眼用画像と左眼用画像とのクロストークを避けるため、クロストー
クが生ずるおそれがある期間に視聴者に観察されないような処理がなされる。この場合、
視聴者に表示を行わない時間が存在するため、表示できる階調数がさらに制約される。し
かしながら、表示できる階調数が多い方が映像の表現力は豊かになることから、表示でき
る階調数を増やすことが望ましい。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、画像表示装置において表現で
きる階調数を増やすことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための主たる発明は、
入力画像の階調数よりも低い階調数で出力画像を表示する表示部と、
前記入力画像の入力階調値を、前記表示部で表示する出力画像の出力階調値に変換する
処理部と、を備え、
前記処理部は、
前記入力画像として入力される単位フレームを第1サブフレームと第2サブフレーム
とに時分割する時分割手段と、
前記第1サブフレームと前記第2サブフレームとのそれぞれの画素において、前記入
力階調値を前記第1サブフレームの出力階調値に変換し、前記入力階調値を前記第1サブ
フレームの出力階調値とは異なる前記第2サブフレームの出力階調値に変換する変換手段
と、
前記変換された前記第1サブフレームの出力階調値と前記第2サブフレームの出力階
調値とを前記表示部に順次表示させる表示制御手段と、
を備える画像表示装置である。
【0007】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施形態における画像表示装置のブロック図である。
【図2】2次元画像表示におけるタイムシーケンシャルの説明図である。
【図3】第1サブフレームと第2サブフレームによって実現される階調値を説明するための概念図である。
【図4】入力データと出力データと認識される階調値との関係を示す図である。
【図5】ルックアップテーブル(LUT)の一例を示す図である。
【図6】4ビット表示のディスプレイに8ビットデータが入力されたときにおいて認識される階調値の説明図である。
【図7】本実施形態において用いられるサブフィールド方式の説明図である。
【図8】3次元画像表示システムの概念図である。
【図9】液晶シャッター付眼鏡3の説明図である。
【図10】液晶シャッター付眼鏡3のブロック図である。
【図11】3次元画像表示におけるタイムシーケンシャルの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
入力画像の階調数よりも低い階調数で出力画像を表示する表示部と、
前記入力画像の入力階調値を、前記表示部で表示する出力画像の出力階調値に変換する
処理部と、を備え、
前記処理部は、
前記入力画像として入力される単位フレームを第1サブフレームと第2サブフレーム
とに時分割する時分割手段と、
前記第1サブフレームと前記第2サブフレームとのそれぞれの画素において、前記入
力階調値を前記第1サブフレームの出力階調値に変換し、前記入力階調値を前記第1サブ
フレームの出力階調値とは異なる前記第2サブフレームの出力階調値に変換する変換手段
と、
前記変換された前記第1サブフレームの出力階調値と前記第2サブフレームの出力階
調値とを前記表示部に順次表示させる表示制御手段と、
を備える画像表示装置。
このようにすることで、第1サブフレームと第2サブフレームとの中間調で画像を表示
することができるようになり、結果として、画像表示装置において表現できる階調数を増
やすことができる。
【0010】
かかる画像表示装置であって、前記画素は点灯及び非点灯が制御されるセルによって構
成され、各前記セルにおける前記第1サブフレームの出力階調値と前記第2サブフレーム
の出力階調値とはサブフィールド方式によって表示されることが望ましい。
サブフィールド方式では表示できる階調値が制限され、すなわち、特定の階調数よりも
多くの階調を表示することができないという事情があるが、このようにすることによって
、特定の階調数よりも多くの階調で画像を表現することができる。
【0011】
また、前記第1サブフレームにおいて表示可能な階調数と前記第2サブフレームにおい
て表示可能な階調数とは、同じ階調数であり、各前記セルにおいて前記第1サブフレーム
で表示する出力階調値と前記第2サブフレームで表示する出力階調値とは異なることが望
ましい。
このように、第1サブフレームにおいて表示可能な階調数と第2サブフレームにおいて
表示可能な階調数が同じでありつつも、出力階調値を異ならせることができる状況下にお
いて、第1サブフレーム及び第2サブフレームにおいて表示可能な階調数よりも多くの階
調数で画像を表現することができる。
【0012】
また、前記入力画像の入力階調値に対する前記第1サブフレームの出力階調値と前記第
2サブフレームの出力階調値とは、それぞれ、所定の入力階調値ごとに1つの出力階調値
が対応付けられていることが望ましい。
このようにすることで、入力画像の入力階調値を階調数の少ない出力階調値に適切に変
換することができる。
【0013】
また、前記第1サブフレームの出力階調値と前記第2サブフレームの出力階調値とのう
ち、一方の出力階調値が他方の出力階調値よりも高いことが望ましい。
このようにすることで、第1サブフレームと第2サブフレームとを連続して表示して、
これらの中間調の画像により入力画像の階調値に近い画像を出力することができる。
【0014】
また、前記第1サブフレームと前記第2サブフレームとを順次表示することによって、
前記単位フレームにおいて、前記第1サブフレームにおける出力階調値と前記第2サブフ
レームにおける出力階調値との中間調の階調値を表示することが望ましい。
このようにすることで、入力画像の階調値を出力画像の階調値に変換する際に、適切に
階調値を線形変換することができる。そして、入力画像の階調値に近い階調値で出力画像
を表現することができる。
【0015】
また、前記入力画像は三次元画像の表示に使用する画像を含み、前記第1サブフレーム
は、左眼用画像と右眼用画像とのいずれか一方の画像であり、前記第2サブフレームは、
前記左眼用画像と前記右眼用画像とのうち、前記第1サブフレームが表示する画像とは異
なる眼用の画像であることが望ましい。
このようにすることで、左目用画像と右眼用画像をそれぞれ第1サブフレームと第2サ
ブフレームとで表示し、これらの中間調で三次元画像を表現することができるようになり
、結果として、三次元画像を表示する際にも表現できる階調数を増やすことができる。
【0016】
また、本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項も明らかとなる。
すなわち、
入力画像の入力階調値を、該入力画像の階調数よりも低い階調数で表示する画像表示方
法であって、
前記入力画像として連続して入力される単位フレームを第1サブフレームと第2サブフ
レームとに時分割することと、
前記第1サブフレームと前記第2サブフレームとのそれぞれの画素において、前記入力
階調値を前記第1サブフレームの出力階調値に変換し、前記入力階調値を前記第1サブフ
レームの出力階調値とは異なる前記第2サブフレームの出力階調値に変換することと、
前記変換された前記第1サブフレームの出力階調値と前記第2サブフレームの出力階調
値とを表示部に順次表示させることと、
を含む画像表示方法。
このようにすることで、第1サブフレームと第2サブフレームとの中間調で画像を表示
することができるようになり、結果として、表現できる階調数を増やすことができる。
【0017】
===実施形態===
図1は、本実施形態における画像表示装置のブロック図である。本実施形態における画
像表示装置1は、例えば、プラズマディスプレイ1(以下、単に「ディスプレイ1」と呼
ぶ)である。
【0018】
本実施形態におけるディスプレイ1は、LUT(ルックアップテーブル)処理部10(
処理部)と、このLUT処理部10で処理を行った結果出力される出力画像を表示するデ
ィスプレイパネル20(表示部)と、を含む。
【0019】
LUT処理部10は、入力された入力画像のデータをディスプレイパネル20に表示す
るための出力画像のデータに変換する。入力画像のデータは、各セル(画素)に表示した
い階調値として入力され、出力画像のデータは各セルで実際に表示される階調値である。
本実施形態では、入力画像の階調数が出力画像の階調数よりも大きい。これは、ディスプ
レイパネル20が、後述するサブフィールド方式で表示を行っているためでもある。
【0020】
また、ディスプレイ1は、一般的な2次元画像の表示の他に3次元画像を表示すること
ができるようになっている。以下の説明では、最初に2次元画像を表示する場合における
実施形態を説明し、その後に、3次元画像を表示する場合における実施形態を説明する。
【0021】
本実施形態におけるディスプレイ1は、4ビットの階調数で表示可能なディスプレイ1
となっている。ただし、後述するサブフレーム毎に表示できる階調値を4ビットの階調数
の範囲内で変更することができる構成となっている。以下、各フレームにおける各サブフ
レームの関係と、各サブフレームにおいて表示する階調値の説明を行い、これらの組み合
わせにより表現可能な階調数を増やす本実施形態について説明を行う。
【0022】
図2は、2次元画像表示におけるタイムシーケンシャルの説明図である。図には、時間
の経過に対するフレームの番号が示されている。本実施形態では、LUT処理部10が入
力画像に処理を施すことによって、このようなタイムシーケンシャルでディスプレイの時
分割駆動が行われる。
【0023】
図において「F」はフレームを意味し、後続する番号は、フレーム番号を示す。これら
のフレームは、単位フレームである。本実施形態において単位フレームには、サブフレー
ムが含まれる。具体的には、サブフレームとして、第1サブフレームと第2サブフレーム
が含まれる。そのため、フレーム番号に後続してアンダーバーが示され、その後ろに第1
サブフレームを示す「i」、又は、第2サブフレームを示す「ii」が示される。
【0024】
よって、例えば第1フレームの第2サブフレームは、「F1_ii」と示される。また
、第3フレームの第1サブフレームは、「F3_i」と示される。第2サブフレームは、
第1サブフレームに後続する。
【0025】
各フレームの時間間隔は等しくTFである。また、各サブフレームの時間間隔は等しく
Tfである。よって、本実施形態では、フレームの時間間隔TFは、サブフレームの時間
間隔Tfの2倍となる。
【0026】
このように分けられたサブフレームのそれぞれは4ビットの階調数で表示が可能である
。ただし、これらのサブフレーム間において、表示する階調値が以下のように異なってい
る。
【0027】
図3は、第1サブフレームと第2サブフレームとによって実現される階調値を説明する
ための概念図である。本図では、第1サブフレームの階調値と第2サブフレームの階調値
とが示されている。そして、第1サブフレームと第2サブフレームとが表示されることに
よって認識されるであろう階調値が「第1サブフレーム+第2サブフレーム」(「認識さ
れる階調値」と呼ぶ)として示されている。尚、ここでは、説明を容易にするために、1
画素における画素に着目して説明を行う。
【0028】
本願発明者は鋭意検討の結果、第1サブフレームの階調値が「0」のときであって、第
2サブフレームの階調値が「8」のとき、認識される階調値は、その中間の階調値である
「4」となることを見出した。また、同様に第2サブフレームの階調値が「8」のときで
あって、第1サブフレームの階調値が「16」のとき、認識される階調値は、その中間の
階調値である「12」となることも見出した。また、第1サブフレームの階調値が「16
」のときであって、第2サブフレームの階調値が「24」のとき、認識される階調値は、
「20」となることも見出した。すなわち、連続する階調値の平均値が認識される階調値
となることを見出した。
【0029】
以下に、第1サブフレームの階調値と、第2サブフレームの階調値と、認識される階調
値との関係を詳細に説明する。
【0030】
図4は、入力データと出力データと認識される階調値との関係を示す図である。入力デ
ータとは入力画像の階調値を示すデータである。出力データとは出力画像の階調値を示す
データである。ここでは、出力データとして、第1サブフレームの階調値と、第2サブフ
レームの階調値とが示されている。
【0031】
前述の通り本実施形態におけるディスプレイ1が表示可能な階調数は4ビットである。
そして、第1サブフレームで表示可能な階調値は、「8」「24」「40」「56」「7
2」「88」「104」「120」「136」「152」「168」「184」「200
」「216」「232」「248」に設定される(すなわち、16種類(2種類:4ビ
ット))。
【0032】
一方、第2サブフレームで表示可能な階調値は、「0」「16」「32」「48」「6
4」「80」「96」「112」「128」「144」「160」「176」「192」
「208」「224」「240」に設定される(すなわち、16種類(2種類:4ビッ
ト))。
【0033】
これに対し入力される階調値は0〜255の8ビット(256種類(2種類))であ
るとする。このようにした場合、「0」から「255」までの階調値において階調値「8
」ごとに区分けすることにより、8ビットの階調数を4ビットの階調数として変換するこ
とができる。
【0034】
本実施形態では、前述のように、LUT処理部10が階調数変換を行う際の第1サブフ
レームの階調値と第2サブフレームの階調値とを異ならせている。具体的には、第1サブ
フレームの階調値のほうが第2サブフレームの階調値よりも常に大きな値になるように割
り当てられている。
【0035】
このようにすることにより、第1サブフレームと第2サブフレームから構成される単位
フレームにおいて認識される階調値は、第1サブフレームの階調値と第2サブフレームの
階調値との平均値となるので、「4」「12」「20」「28」「36」「44」「52
」「60」「68」「76」「84」「92」「100」「108」「116」「124
」「132」「140」「148」「156」「164」「172」「180」「188
」「196」「204」「212」「220」「228」「236」「244」となる。
すなわち、4ビットの階調数しか表示できない画像表示装置において、31種類(2
1種類)、すなわち略5ビットの階調を表現することができるようになる。
【0036】
図5は、LUT処理部10が参照するルックアップテーブル(LUT)の一例を示す図
である。本図は、第1サブフレームが表示する階調値(「8」「24」・・・「248」
)を横軸に示し、第2サブフレームが表示する階調値(「0」「16」・・・「240」
)を縦軸に示したものである。そして、これらの中間の階調値として、太枠で囲われた階
調値が示されている。このように、太枠で囲われた階調値は、前述の図4で示した認識さ
れる階調値である。
【0037】
本実施形態の図4及び図5において、第1サブフレームが表示する階調値(ここでは、
y1とする)はy1=16x+8 (x=0、1・・・15)を満たし、第2サブフレー
ムが表示する階調値(ここでは、y2とする)はy2=16x (x=0、1・・・15
)を満たす。但し、第1サブフレームが表示する階調値及び第2サブフレームが表示する
階調値はこれらの式を満たすものに限られない。このような一次関数で表現されるものの
他、二次関数で表現されるようなものであってもよい。
【0038】
図6は、4ビット表示のディスプレイに8ビットデータが入力されたときにおいて認識
される階調値の説明図である。図の横軸は出力階調値であり、縦軸は人に認識される階調
値である。図において、二点鎖線は入力データとして8ビットの階調値がそのまま8ビッ
トの階調値にて出力されたときにおいて認識される階調値である。一点鎖線は、第1サブ
フレームの階調値が単独で出力されたときにおいて認識される階調値である。点線は、第
2サブフレームの階調値が単独で出力されたときにおいて認識される階調値である。実線
は、第1サブフレームと第2サブフレームが連続して出力されたときにおいて認識される
階調値である(人の認識として記載)。
【0039】
もし仮に、8ビットの入力階調値に対して8ビットの階調で出力可能なディスプレイで
あれば、ディスプレイが有する性能のみで8ビットの階調で画像を出力する。すなわち、
図における二点鎖線のように入力階調値に対して同じ階調値を認識可能に表示が行われる
ことになる。
【0040】
これに対し、従来の手法にて画像を表示する場合であって、入力階調値が8ビットであ
るのに対し出力できる階調値が4ビットであったとすると、前述の第1サブフレームのみ
を用いて表示を行うことになる(又は、前述の第2サブフレームのみを用いて表示を行う
ことになる)。例えば、前述の第1サブフレームのみを用いて表示を行った場合には、図
における一点鎖線のように、入力階調値が「0〜7」では階調値「8」で表示され、入力
階調値が「8〜15」では階調値「24」で表示される。
【0041】
また、例えば、前述の第2サブフレームのみを用いて表示を行った場合には、図におけ
る点線のように、入力階調値が「0〜15」では階調値「0」で表示され、入力階調値が
「16〜23」では階調値「16」で表示される。
【0042】
これに対し、本実施形態のディスプレイ1を用いることとすれば、図6の実線で示され
るように従来の4ビットの階調表現よりも8ビット入力値に近い値で、かつ、表現できる
階調数を4ビットよりも増やして、画像を認識させることができる。
【0043】
図7は、本実施形態において用いられるサブフィールド方式の説明図である。本実施形
態におけるディスプレイ1が備えるLUT処理部10では、サブフレームに対応する時間
を複数の時間に区切り、この区切られた区間(サブフィールド)においてディスプレイ1
の画素を構成するセルを点灯させるか(オン)、又は、非点灯とするか(オフ)の制御を
行う。具体的には、LUT処理部10は、入力画像として入力される単位フレームを第1
サブフレームと第2サブフレームとに時分割する時分割手段を備える。また、LUT処理
部10は、第1サブフレームと第2サブフレームとのそれぞれの画素において、入力階調
値を第1サブフレームの出力階調値に変換し、入力階調値を第1サブフレームの出力階調
値とは異なる第2サブフレームの出力階調値に変換する変換手段を備える。さらに、LU
T処理部10は、変換された第1サブフレームの出力階調値と前記第2サブフレームの出
力階調値とをディスプレイパネル20に順次表示させる表示制御手段を備える。
【0044】
例えば、図に示されるように、1つのサブフレームの期間Tfについて8個のサブフィ
ールドに区切り、各サブフィールドにおいてセルの点灯又は非点灯が制御される。図にお
いて、斜線が施してあるのが非点灯の状態(暗い)のときを表し、斜線を施していないの
が点灯の状態(明るい)のときを表す。そして、階調値として、0(暗い)〜255(明
るい)を表示可能であるとする。尚、ここでいう階調値は、一般的な輝度値と同義である

【0045】
仮に、全てのサブフィールドにおいてセルを非点灯とした場合、表示する階調値は「0
」となる。一方、全てのサブフィールドにおいてセルを点灯とした場合、表示する階調値
は「255」となる。また、図7に示されるように、1番目のサブフィールドを非点灯と
し、2番目のサブフィールドを点灯とするように、点灯と非点灯を交互に繰り返した場合
の輝度値は「128」となる。このように、サブフィールド法では、時間方向に離散的な
発光の組み合わせで階調を表現することになる。
【0046】
このように、本実施形態におけるディスプレイ1では、セルに点灯と非点灯とを制御す
ることによって階調値を制御しているが、点灯と非点灯とを切り替えることができる速度
には限界がある。そのため、1つのサブフレームの期間Tfにおいて、サブフィールドの
点灯・非点灯の組み合わせにより表示できる階調数は多数あるが、実際に1つのサブフレ
ームにおいて表示できる階調数に制限がある場合がある。例えば、点灯・非点灯の組み合
わせによって255階調を表示することができるのであるが、サブフィールドにおける切
り替え可能時間の制約のために、そのうちの4ビットの階調数しか選択できないというこ
とが生ずる。
【0047】
このような制約があるディスプレイ1において、本実施形態のような表示手法を用いる
ことで表示することができる階調数を増やすことができる。特に、本実施形態によれば、
前述のように表示可能な階調数よりも常に略1ビット分多い階調数にて表示することがで
きるという利点がある。
【0048】
図8は、3次元画像表示システムの概念図である。図9は、液晶シャッター付眼鏡3の
説明図である。図10は、液晶シャッター付眼鏡3のブロック図である。以下、これらの
図を参照しつつ、3次元画像表示システム2について説明する。
【0049】
3次元画像表示システム2は、赤外線発光部17を含むディスプレイ1と、液晶シャッ
ター付眼鏡3とで構成される。ディスプレイ1は、後述するようにして3次元画像を表示
可能な他、前述のように2次元画像も表示可能である。
【0050】
赤外線発光部17は、3次元画像の表示時に、左眼用画像と右眼用画像の表示タイミン
グ又は表示の切り替えタイミングを、液晶シャッター付眼鏡3に通知する装置である。液
晶シャッター付眼鏡3は、3次元画像の表示時に、ユーザへの装着が求められるアクセサ
リーの一つである。勿論、2次元画像の表示時には、液晶シャッター付眼鏡3のユーザへ
の装着は不要である。
【0051】
図9において、枠内が白抜きで表示されている絵は、液晶シャッターが開状態であるこ
と、すなわち外光が透過できる状態を表している。また、枠内が網掛けで表示されている
絵は、液晶シャッターが閉状態であること、すなわち外光が透過しない状態を表している

【0052】
3次元画像の表示中は、2つの液晶シャッターが同時に開状態になることはなく、いず
れか一方だけが表示画像の切り替えに連動して開状態に制御される。具体的には、左眼用
画像の表示中は左眼用の液晶シャッターのみが開状態に制御され、右眼用画像の表示中は
右眼用の液晶シャッターのみが開状態に制御される。3次元画像表示システムでは、この
液晶シャッターの相補的な開閉動作により、立体画像の視認を可能にしている。
【0053】
液晶シャッター付眼鏡3は、バッテリー31、赤外線受光部33、シャッター駆動部3
5、液晶シャッター37、39で構成される。赤外線受光部33は、例えば眼鏡の全面部
分に取り付けられ、表示画像の切り替え情報を重畳した赤外線光を受信する電子部品であ
る。シャッター駆動部35は、受信した切り替え情報に基づいて、表示画像と同期するよ
うに右眼用の液晶シャッター37と左眼用の液晶シャッター39の開閉を切り替え制御す
る電子部品である。
【0054】
このようにすることで、左眼用画像と右眼用画像とをディスプレイに表示し、液晶シャ
ッター付眼鏡3を介して画像を観ることで3次元画像を視認することができる。このよう
な3次元画像を表示するディスプレイにおいても、表現する階調を増やす上記実施形態の
適用は可能である。
【0055】
図11は、3次元画像表示におけるタイムシーケンシャルの説明図である。前述の説明
では、単位フレームを第1サブフレームと第2サブフレームとに時分割して表示を行った
が、ここでは、第1サブフレームは右眼用画像(R)として用いられ、第2サブフレーム
は左目用画像(L)として用いられる。
【0056】
そして、右眼用画像(R)が表示されているときにおいて、左眼用の液晶シャッター3
9が閉じられ右眼のみで画像を視認するようにする。一方、左眼用画像(L)が表示され
ているときにおいて、右眼用の液晶シャッター37が閉じられ左目のみで画像を視認する
ようにする。このようにすることによって、3次元画像を表示する場合であっても、上記
と同様にそれぞれのサブフレームの階調値を異ならせて表示しているので、表現できる(
認識できる)階調数を増やして表示することができる。
【0057】
また、3次元画像表示を行う際、これらシャッターの切り替え時において左眼が観る画
像と右眼が観る画像とのクロストークを避けるために、左眼用画像と右眼用画像との間に
何も表示しないような時間間隔が設けられるときがある。そうすると、サブフレームの時
間間隔Tfが前述の2次元画像のときよりもさらに短くなる場合がある。すなわち、サブ
フィールド方式において、点灯と非点灯とを切り替える時間がさらに短くなるということ
であり、これは表示することができる階調数がさらに少なくなることを意味する。このよ
うな状況下であっても、上述の方式によれば、表現できる階調数を増やすことができるの
で、表現力豊かな3次元表示ディスプレイを提供することができる。
【0058】
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解
釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得
ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。
【0059】
また、前述の実施形態におけるディスプレイ1は4ビットの階調数しか表示できないも
のとして説明を行ったが、ディスプレイにおいて表示できる階調数はこれに限られない。
仮に、ディスプレイ1が5ビットの階調数で表示ができるものである場合、上述の実施形
態を用いることで6ビットの階調数で画像を表現することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 ディスプレイ、3 液晶シャッター付眼鏡、
10 LUT処理部、17 赤外線発光部、
20 ディスプレイパネル、
31 バッテリー、33 赤外線受光部、35 シャッター駆動部、
37 右眼用の液晶シャッター、39 左眼用の液晶シャッター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力画像の階調数よりも低い階調数で出力画像を表示する表示部と、
前記入力画像の入力階調値を、前記表示部で表示する出力画像の出力階調値に変換する
処理部と、を備え、
前記処理部は、
前記入力画像として入力される単位フレームを第1サブフレームと第2サブフレーム
とに時分割する時分割手段と、
前記第1サブフレームと前記第2サブフレームとのそれぞれの画素において、前記入
力階調値を前記第1サブフレームの出力階調値に変換し、前記入力階調値を前記第1サブ
フレームの出力階調値とは異なる前記第2サブフレームの出力階調値に変換する変換手段
と、
前記変換された前記第1サブフレームの出力階調値と前記第2サブフレームの出力階
調値とを前記表示部に順次表示させる表示制御手段と、
を備える画像表示装置。
【請求項2】
前記画素は点灯及び非点灯が制御されるセルによって構成され、
各前記セルにおける前記第1サブフレームの出力階調値と前記第2サブフレームの出力
階調値とはサブフィールド方式によって表示される、請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記第1サブフレームにおいて表示可能な階調数と前記第2サブフレームにおいて表示
可能な階調数とは、同じ階調数であり、
各前記セルにおいて前記第1サブフレームで表示する出力階調値と前記第2サブフレー
ムで表示する出力階調値とは異なる、請求項2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記入力画像の入力階調値に対する前記第1サブフレームの出力階調値と前記第2サブ
フレームの出力階調値とは、それぞれ、所定の入力階調値ごとに1つの出力階調値が対応
付けられている、請求項1〜3のいずれかに記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記第1サブフレームの出力階調値と前記第2サブフレームの出力階調値とのうち、一
方の出力階調値が他方の出力階調値よりも高い、請求項4に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記第1サブフレームと前記第2サブフレームとを順次表示することによって、前記単
位フレームにおいて、前記第1サブフレームにおける出力階調値と前記第2サブフレーム
における出力階調値との中間調の階調値を表示する、請求項1〜5のいずれかに記載の画
像表示装置。
【請求項7】
前記入力画像は三次元画像の表示に使用する画像を含み、
前記第1サブフレームは、左眼用画像と右眼用画像とのいずれか一方の画像であり、
前記第2サブフレームは、前記左眼用画像と前記右眼用画像とのうち、前記第1サブフ
レームが表示する画像とは異なる眼用の画像である、請求項1〜6のいずれかに記載の画
像表示装置。
【請求項8】
入力画像の入力階調値を、該入力画像の階調数よりも低い階調数で表示する画像表示方
法であって、
前記入力画像として連続して入力される単位フレームを第1サブフレームと第2サブフ
レームとに時分割することと、
前記第1サブフレームと前記第2サブフレームとのそれぞれの画素において、前記入力
階調値を前記第1サブフレームの出力階調値に変換し、前記入力階調値を前記第1サブフ
レームの出力階調値とは異なる前記第2サブフレームの出力階調値に変換することと、
前記変換された前記第1サブフレームの出力階調値と前記第2サブフレームの出力階調
値とを表示部に順次表示させることと、
を含む画像表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−123222(P2012−123222A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−274316(P2010−274316)
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】