説明

画像表示装置

【課題】画素内に設置する素子の数を最小化し、歩留まりおよび表示品質の向上を図る。
【解決手段】ドライバー素子5のドレイン電極を正電源線11に接続し、このドライバー素子5のソース電極には、発光選択素子3を介しカソードが負電極線12に接続された発光素子4のアノードを接続する。信号選択素子7のドレインもしくはソース電極を輝度信号が伝達される信号線Diに接続し、この信号選択素子7のソースもしくはドレイン電極をTFT特性保持容量8を介しドライバー素子5のゲートに接続する。さらに、ドレインもしくはソース電極が前記ドライバー素子のドレイン電極に接続され、ソースもしくはドレイン電極が前記ドライバー素子のゲート電極に接続され、ゲート電極がリセット線に接続された第1スイッチング素子を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜トランジスタ(TFT)を用いてエレクトロルミネッセンス(EL)素子を駆動するアクティブマトリクス型有機EL表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自ら発光する有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子を用いた有機EL表示装置は、液晶表示装置で必要なバックライトが不要で装置の薄型化に最適であるとともに、視野角にも制限がないため、次世代の表示装置として期待されている。また、有機EL表示装置に用いられる有機EL素子は、各発光素子の輝度が流れる電流値により制御される点で、液晶セルが電圧により制御される液晶表示装置等とは異なる。
【0003】
一般にアクティブマトリクス型有機EL表示装置は3つ以上のサブ画素で構成される画素が集まって構成されており、各サブ画素は赤、青、緑などを表示する機能を有している。このサブ画素はアノード電極とカソード電極に所定以上の電圧を印加することによりそれに応じた電流が流れて自ら発光する。
【0004】
図5に従来のアクティブマトリクス型有機EL表示装置100の構成を示す。正電源供給回路105からの正電源電圧は、正電源線109によって各画素102の各サブ画素101に供給される。また、負電源供給回路106からの負電源電圧は、負電源線110によって各画素102の各サブ画素101に供給される。また、サブ画素101の各列に対応して信号線107が設けられ、各サブ画素101に信号線駆動回路104から供給される表示用の電気信号(データ信号)を供給する。また、走査線駆動回路103からの走査線108がサブ画素101の行毎に配置されている。なお、この例では、行方向に並んだ3つのサブ画素101により画素102が構成されている。
【0005】
各サブ画素101には、スイッチング素子114、静電容量113およびドライバー素子112からなる電流値制御部115と、発光素子111が設けられている。
【0006】
そして、走査線108を選択レベルに設定することによって、スイッチング素子114がオンして、信号線107の電気信号が静電容量113に充電されてドライバー素子112のゲート電圧が決定され、そのゲート電圧に応じた電流が正電源線109からドライバー素子112、発光素子111を介し負電源線110に流れる。
【0007】
このように、1画素あたり3つのサブ画素があるとするならば、1画素が合計9つの素子を備える。このように多数の素子が配列されることによって欠陥の発生確率が高くなる。
【0008】
そこで、図6のような方式が提案された(特許文献1、2、3、非特許文献1(図5)を参照)。
【0009】
正電源供給回路205からの正電源電圧は、正電源線209によって各画素202に供給される。また、負電源供給回路206からの負電源電圧は、負電源線210によって各画素202の各サブ画素201に供給される。また、画素202の各列に対応して信号線207が設けられ、各画素202に信号線駆動回路204から供給される表示用の電気信号を供給する。また、走査線駆動回路203からの走査線108が各行の画素202毎に配置されている。なお、この例では、1つの画素202が行方向に並んだ3つのサブ画素201を含んで構成されている。
【0010】
各画素202は、スイッチング素子214、静電容量213およびドライバー素子212からなる電流値制御部215を含み、この電流値制御部215に3つのサブ画素201が接続されている。
【0011】
各サブ画素201には、1つのドライバー素子212に接続された発光選択素子として機能するサブ画素選択素子215、発光素子211が設けられている。3つのサブ画素におけるサブ画素選択素子215R、215G、215Bが走査線駆動回路203からの選択制御線206R、206G、206Bによって順次オンされる。このように、1画素202に3つのサブ画素201が設けられ、各サブ画素において、駆動電流がサブ画素選択素子215R、215G、215Bを介し発光素子211R、211G、211Bにそれぞれ供給される。
【0012】
この図6の回路は、図7の駆動波形のように、1フレームが3つのサブフレームに分割されており、各サブフレームにおいて、走査線208がHレベルになり、その時の信号線207の信号が静電容量213に取り込まれ、対応する電流がドライバー素子212に流れ、これが選択制御線206によって選択されたサブ画素201に供給され発光することになる。
【0013】
この方式によれば、電流値制御部215を画素202ごとに1つずつ設置し、画素内のサブ画素201で共有することにより素子数が図5の方式に比べて、TFTを1つ、静電容量を2つそれぞれ削減することができ、欠陥の発生確率を下げることが可能になった。
【0014】
ここで、上記従来技術では、図7の駆動波形が示すように、1つの映像を表示するための最小単位である1フレームは少なくとも2つ以上のサブフレームから構成されている。そして、各サブフレームは単色の表示を行い、複数のサブフレームを高速に順次表示して色を重ねていくことにより、単位時間当たりの平均輝度に応じて任意の色および階調を表示する。
【0015】
また、ドライバー素子212のしきい値電圧および移動度等が画素202毎に異なると、データ信号が同一でも駆動電流が異なってしまう。そこで、図8に示すようなドライバー素子のばらつきを補償する補償回路を導入した回路も提案されている(特許文献4、非特許文献1(図5(b))参照)。
【0016】
ここで重要なことは、補償回路を導入するしないに関わらず、サブ画素選択素子215は電流値制御部215と発光素子211の間に設置されていることである。特に補償回路を導入した場合は、サブ画素選択素子215にサブ画素201を選択する機能だけではなく、補償回路がドライバー素子212の特性を検出する工程で発光素子211へ電流が流れないように遮断する機能が必要なためである。すなわちこの2つの機能を実現するために別々にTFTを設置するよりも、1つのTFTに2つの機能を担わせることで、TFTの数をさらに削減することが可能になる。
【0017】
図8の回路では、正電圧VDDは、正電源線311によって各画素300に供給される。また、負電源電圧VEEは、負電源線312によって各画素300の各サブ画素301(301a、301b)に供給される。また、画素300の各列に対応して信号線Di(iは列番号)が設けられ、各画素300にデータ信号を供給する。また、走査線Sjが各行の画素300毎に配置されている。なお、この例では、1つの画素300が行方向に並んだ2つのサブ画素301(301a、301b)を含んで構成されている。
【0018】
各画素300は、スイッチング素子304およびドライバー素子(pチャネル)305と、補償回路310を含み、このドライバー素子305に2つのサブ画素301a、301bが接続されている。
【0019】
各サブ画素301a、301bには、1つのドライバー素子305に接続された画素選択素子302(302a、302b)と、発光素子303(303a、303b)が設けられている。2つのサブ画素におけるサブ画素選択素子302a、302bが選択制御線Ej,1、Ej,2(jは行番号)によって順次オンされる。
【0020】
そして、スイッチング素子304と、ドライバー素子305のゲートとの間には、補償回路310が設けられている。スイッチング素子304の一端は信号線Diに接続され、他端が補償回路310に接続されるが、このスイッチング素子304の他端は、ドライバー特性保持容量308を介しドライバー素子305のゲートに接続されると共に、スイッチングTFT307および輝度信号保持容量309によって正電源線311に接続されている。また、ドライバー素子305のゲートはスイッチングTFT306によってドライバー素子305とサブ画素301a、301bの接続点に接続されている。また、スイッチングTFT307およびスイッチングTFT306のゲートにはリセット線Rjが接続されている。
【0021】
このような補償回路310を導入した画素回路における、サブ画素選択素子302の役割を説明するために、図8の画素回路の動作について図9のタイミングチャートを用いて説明する。図9におけるタイミングAより前にリセット信号線Rを2つのスイッチングTFT306および307が導通状態となるような電位とする。すると輝度信号保持容量309は両端の電極がリセットされ、サブ画素選択素子302bは導通状態なので、ドライバー素子305のゲートは正電源線311の電位より十分低い電位となり、その電位差がドライバー特性保持容量308の両端に保持される。その後タイミングAにおいて、サブ画素選択TFT302aおよび302bは共に非導通状態となるが、ドライバー素子305のソース・ゲート間にはドライバー特性保持容量308によって十分大きな電圧が印加されているので、導通状態を保持する。しかし、ドライバー素子305を介して正電源線311から流れる電流はスイッチングTFT306を介して、ドライバー特性保持容量308に供給され、ドライバー素子305のゲート電位を押し上げる。そしてドライバー素子305のソース・ゲート間の電位差がドライバー素子305のしきい値電圧Vthと等しくなると、ドライバー素子305は非導通状態となり、結局ドライバー特性保持容量308にはドライバー素子305のしきい値電圧が記録される。そして、スイッチングTFT306および307を非導通状態にした後、タイミングBにおいてスイッチングTFT304を導通状態にし、そのサブフレームで選択する発光素子303aに対応する輝度電圧(データ)信号Vdataを輝度信号保持容量309に記録する。すると、ドライバー素子305のゲートの電位はVdata−Vthとなるので、タイミングCからDの間に発光素子303aに流れる電流値は、I=β(VDD−Vdata)2となり、Vthに依存しない値となる。ここで、βはドライバーTFTの移動度や形状によって決まる値である。
【0022】
ここで重要なことはサブ画素選択TFT302はしきい値電圧検出時において発光素子303に電流が流れないようにしていることと、発光期間において電流値制御部300によって制御された電流が発光素子303aもしくは303bのいずれに流れるかを選択していることの、2つの機能を有していることである。特に選択制御を行うためには、電流値制御部300と発光素子303との間に設置することが必須である。
【0023】
【特許文献1】特開2005−148749(第26頁第10図、第27項第12図)
【特許文献2】特開2005−165266(第15頁第6図、第16項第7図)
【特許文献4】特開2003−122306(第10項第5図、第11項第7図)
【非特許文献1】W.−K.Kwakら、Proceedings of SID05 Digest(第1450頁第5図、第5図(b))
【非特許文献2】J.H.Jungら、Proceedings of SID05 Digest(第1538頁第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
アクティブマトリクス型有機EL表示装置を構成する回路構成としては、すべての発光素子のカソード電極が負電源線に接続されアノード電極が画素回路に接続されたカソード共通構成と、すべての発光素子のアノード電極が正電源線に接続されカソード電極が画素回路に接続されたアノード共通構成の2つに分類することができ、このどちらを選択するかは、表示装置を製造する際のプロセス工程や発光素子のデバイス構造などにより決定される場合がある。
【0025】
いま非特許文献2に示されるNチャネルのアモルファスシリコンTFTのみで構成されたカソード共通構成の回路を用いて、図8のように1つのドライバ素子に対して複数のサブ画素が接続される画素回路を考える。この場合、図10に示すように、しきい値電圧検出時の電流遮断TFT313が必要であるので、図8に対してTFTが1つ多く必要となり、歩留まり向上の効果が得られにくい。また発光素子に対して3つのTFTが直列に接続されているので、消費電力が増大するという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明は、ドレイン電極が正電源線に接続されたドライバー素子と、ドレイン電極が前記ドライバー素子のソース電極に接続され、ゲート電極が発光制御線に接続された発光選択素子と、アノード電極が前記発光選択素子のソース電極に接続され、カソード電極が負電源線に接続され、流れる電流によって発光する発光素子と、ドレインもしくはソース電極が輝度信号を伝達する信号線に接続され、ゲート電極が走査線に接続された信号選択素子と、第1電極が前記ドライバー素子のゲート電極に接続され、第2電極が前記信号選択素子のソースもしくはドレイン電極に接続されたドライバー特性保持容量と、ドレインもしくはソース電極が前記ドライバー素子のドレイン電極に接続され、ソースもしくはドレイン電極が前記ドライバー素子のゲート電極に接続され、ゲート電極がリセット線に接続された第1スイッチング素子と、を有することを特徴とする。
【0027】
また、第1電極が前記正電源線に接続され、第2電極が前記ドライバー特性保持容量の第2電極に接続された輝度電圧保持容量と、ソースもしくはドレイン電極が前記輝度電圧保持容量の第2電極に接続され、ドレインもしくはソース電極が前記ドライバー素子のソース電極に接続され、ゲート電極が前記リセット線に接続された第2スイッチング素子と、を有することが好適である。
【0028】
また、前記ドライバー素子のソース電極と前記ドライバー特性保持容量の第2電極が接続されていることが好適である。
【0029】
また、前記リセット線により前記第1スイッチング素子をオンし前記発光選択素子をオフした状態で、前記ドライバー素子のしきい値電圧が、前記ドライバー特性保持容量の第2電極に発生されることが好適である。
【0030】
また、前記走査線と前記リセット線は同一の波形で駆動されることが好適である。
【0031】
また、前記ドライバー素子は薄膜トランジスタであることが好適である。
【0032】
また、前記薄膜トランジスタはアモルファスシリコントランジスタであることが好適である。
【0033】
また、前記ドライバー素子のソース電極には、2つ以上の発光選択素子が接続され、この2つ以上の発光選択素子のそれぞれに発光素子が接続され、ドライバー素子に流れる電流が2つ以上の発光素子に供給されることが好適である。
【0034】
また、前記2つ以上の発光選択素子は、それぞれ異なる発光制御線に接続されており、異なるタイミングでオンされることが好適である。
【0035】
また、前記発光素子は有機エレクトロルミネッセンス素子であることが好適である。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、ドライバー素子のソース電極と発光素子のアノードとの間に発光選択素子が配置される。従って、この発光選択素子をオフすることによってドライバー素子の電流をオフしてドライバー特性保持容量にドライバー素子のしきい値電圧を保持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下に、図面を用いて本発明の具体的な態様を説明する。ただし、発明の範囲を図示例に限定するものではない。
【0038】
「実施形態1」
図1に本発明に係る実施形態1の構成を示す。また、図2は、図1の回路のタイミングチャートである。この実施形態において、電流値制御部1はドライバー素子5の画素間のしきい値電圧変動に対する感度を下げる効果を有する。また、図1は、j行i列の画素回路を示しており、この画素回路においては、トランジスタとして、すべてNチャネルのTFTを用いている。
【0039】
信号線Diには、ゲート電極が走査線Sjに接続された信号選択素子7のソースまたはドレイン電極が接続されている。この信号選択素子7のドレインまたはソース電極は、TFT特性保持容量8の第2電極9に接続され、その第1電極10はドライバー素子5のゲート電極に接続されている。
【0040】
また、正電源線11にドレインまたはソース電極が接続された第1スイッチング素子6のソースもしくはドレイン電極は、ドライバー素子5のゲート電極に接続され、この第1スイッチング素子6のゲート電極には、リセット線Rjが接続されている。また、信号選択素子7とTFT特性保持容量8の第2電極9の接続点には、ゲート電極がリセット線Rjに接続された第2スイッチング素子16のドレインまたはソース電極が接続され、そのソースまたはドレイン電極は、ドライバー素子5とサブ画素2(2a,2b)との接続点に接続されている。また、信号選択素子7とTFT特性保持容量8の第2電極9との接続点には輝度信号保持容量13の第2電極15が接続され、その第1電極14は正電源線11(ドライバー素子5のドレイン電極)に接続されている。
【0041】
信号線Diより輝度電圧信号を電流値制御部1に書き込む前に、図2の時刻Aより前にリセット線Rjの信号を第1スイッチング素子6および第2スイッチング素子16が導通状態となる電位(この場合Hレベル)とする。
【0042】
これによって、第1および第2スイッチング素子6、16がオンし、TFT特性保持容量8の第1電極10に正電源線11の電圧、第2電極9側にサブ画素2に接続されている電圧がセットされる。これによって、TFT特性保持容量8の電極10、9間にドライバー素子5のゲート・ソース間しきい値電圧よりも大きい電位差が保持される。
【0043】
その後、選択制御線E(j,k)をj行の全てのサブ画素選択素子3(3a、3b)がオフとなる電位にする。この状態において、ドライバー素子5のドレインおよびゲート電位は同電位であり、TFT特性保持容量8にはドライバー素子5のゲート・ソース間しきい値電圧よりも大きい電位差が発生しているので、ドライバー素子5は導通状態である。しかし、サブ画素選択素子3が全てオフなので電流はもはや発光素子4には流れない。このため、ドライバー素子5のソース電位が上昇し、そのゲート・ソース間電位がドライバー素子5のしきい値電圧と同等になるとドライバー素子5はオフ状態となる。すなわち、TFT特性保持容量8にはドライバー素子5のしきい値電圧が記録される。
【0044】
その後、リセット線Rjを第1スイッチング素子6および第2スイッチング素子16が非導通状態となる電位(Lレベル)とし、走査線Sjを信号選択素子7が導通状態となる電位として、輝度信号(電気信号)電圧を信号線Diより信号選択素子7を介して輝度信号保持容量13に記録する。このときドライバー素子5のゲート電圧は、前述のしきい値電圧検出工程によりTFT特性保持容量8の両端にドライバー素子5のしきい値電圧が保持されているので、記録された輝度信号電圧にドライバー素子5のしきい値電圧を加えた値となる。
【0045】
その後、走査線Sjを信号選択素子7が非導通状態となる電位(Lレベル)とし、選択制御線E(j,k)のうち1つ以上(通常は1つ)を選択して、発光素子4(4a、4b)のうち1つ以上(通常は1つ)を発光状態とする。
【0046】
このときドライバー素子5を流れる電流値idは式1で表される。
[数1]
id=(β/2)(Vgs−Vth)2
ここで、βはドライバー素子5の移動度および形状および物質によって決まる値、Vgはドライバー素子5のゲート・ソース間電位、Vthはドライバー素子5のしきい値電圧である。
【0047】
前述のようにドライバー素子5のゲート電位は輝度信号電圧にドライバー素子5のしきい値電圧を加えた値となので、輝度信号電圧をVdataとすると、
[数2]
Vg=Vdata+Vth
であるので、
[数3]
id=(β/2)(Vdata−Vo)2
となり、ドライバー素子5のしきい値電圧Vthに依存しない量となり、表示品質を向上させることができる。ここで、Voは発光素子4の発光時のドライバー素子5のソース電位である。
【0048】
このような構成によって、サブ画素選択素子3をオフすることによってドライバー素子5の電流をオフしてTFT特性保持容量8にドライバー素子5のしきい値電圧を保持することができる。このため、信号選択素子7、第1および第2スイッチング素子6,16、ドライバー素子5、サブ画素選択素子3をNチャネルTFTで形成した場合においても、ドライバー素子の電流をオフするためのスイッチング素子を設ける必要がない。従って、アモルファスシリコンTFTを利用しても図8に示されるPチャネルTFTによる画素回路と同様の素子数で構成することができる。
【0049】
[実施形態2]
図3に本発明が適用された別の形態を示す。この画素回路はドライバー素子5の画素間のしきい値電圧変動に加えβの変動に対する感度を下げる効果を有する。
【0050】
図3に示すように、信号選択素子7の信号線Diと反対側の端子は、ドライバー素子5のサブ画素2と接続される側(ソース電極)に接続されている。そして、この信号選択素子7の信号線Diと反対側の端子がTFT特性保持容量8の第2電極9に接続され、その第1電極10がドライバー素子5のゲート電極に接続されている。さらに、正電源線11とドライバー素子5のゲートが第1スイッチング素子6によって接続され、この第1スイッチング素子6のゲートは、信号選択素子7のゲートと同様に、走査線Sjまたはリセット線Rj(図においてはリセット線Rj)に接続されている。
【0051】
図4のタイミングAに入る前に、選択制御線E(j,k)をj行目の全てのサブ画素選択素子3が非導通状態となるような電位にする。次に、走査線Sjを信号選択素子7および第1スイッチング素子6が導通状態となるような電位(Hレベル)にして、信号線Di経由で輝度信号電流を流す。このとき、第1スイッチング素子6がオンしているためドライバー素子5のゲート電位とドレイン電位は同電位となり、輝度信号電流はドライバー素子5を流れるので、ドライバー素子5のゲート・ソース間には、輝度信号電流をidataとすると式4のような電圧Vgsが、
[数4]
Vgs=Vth+√(2idata/β)
発生する。
【0052】
その後、走査線Sjを信号選択素子7および第1スイッチング素子6が非導通状態となるような電位(Lレベル)にして、選択制御線E(j,k)のうち1つ以上(通常1つ)を選択して、発光素子4のうち1つ以上を発光状態とする。このとき、ドライバー素子5を流れる電流値idは式5で表される。
[数5]
id=(β/2)(Vgs−Vth)2=idata
よって、このような画素回路を利用することによっても、ドライバー素子5のしきい値電圧Vthおよびβに依存しない量となり、表示品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施形態1の構成を示す図である。
【図2】実施形態1のタイミングチャートである。
【図3】本発明の実施形態2の構成を示す図である。
【図4】実施例2のタイミングチャートである。
【図5】従来例1の構成を示す図である。
【図6】従来例2の構成を示す図である。
【図7】従来例2のタイミングチャートである。
【図8】従来例3の構成を示す図である。
【図9】従来例3のタイミングチャートである。
【図10】従来例3の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0054】
1 電流値制御部、2 サブ画素、3 サブ画素選択素子、4 発光素子、5 ドライバー素子、6 第1スイッチング素子、7 信号選択素子、8 ドライバー特性保持容量、11 正電源線、12 負電源線、13 輝度信号保持容量、16 第2スイッチング素子、Di 信号線、Sj 走査線、Rj リセット線、E(j,k) 発光制御線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドレイン電極が正電源線に接続されたドライバー素子と、
ドレイン電極が前記ドライバー素子のソース電極に接続され、ゲート電極が発光制御線に接続された発光選択素子と、
アノード電極が前記発光選択素子のソース電極に接続され、カソード電極が負電源線に接続され、流れる電流によって発光する発光素子と、
ドレインもしくはソース電極が輝度信号を伝達する信号線に接続され、ゲート電極が走査線に接続された信号選択素子と、
第1電極が前記ドライバー素子のゲート電極に接続され、第2電極が前記信号選択素子のソースもしくはドレイン電極に接続されたドライバー特性保持容量と、
ドレインもしくはソース電極が前記ドライバー素子のドレイン電極に接続され、ソースもしくはドレイン電極が前記ドライバー素子のゲート電極に接続され、ゲート電極がリセット線に接続された第1スイッチング素子と、
を有することを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
第1電極が前記正電源線に接続され、第2電極が前記ドライバー特性保持容量の第2電極に接続された輝度電圧保持容量と、
ソースもしくはドレイン電極が前記輝度電圧保持容量の第2電極に接続され、ドレインもしくはソース電極が前記ドライバー素子のソース電極に接続され、ゲート電極が前記リセット線に接続された第2スイッチング素子と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記ドライバー素子のソース電極と前記ドライバー特性保持容量の第2電極が接続されていることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記リセット線により前記第1スイッチング素子をオンし前記発光選択素子をオフした状態で、前記ドライバー素子のしきい値電圧が、前記ドライバー特性保持容量の第2電極に発生されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記走査線と前記リセット線は同一の波形で駆動されることを特徴とする請求項4に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記ドライバー素子は薄膜トランジスタであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記薄膜トランジスタはアモルファスシリコントランジスタであることを特徴とする請求項6に記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記ドライバー素子のソース電極には、2つ以上の発光選択素子が接続され、この2つ以上の発光選択素子のそれぞれに発光素子が接続され、ドライバー素子に流れる電流が2つ以上の発光素子に供給されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の画像表示装置。
【請求項9】
前記2つ以上の発光選択素子は、それぞれ異なる発光制御線に接続されており、異なるタイミングでオンされることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の画像表示装置。
【請求項10】
前記発光素子は有機エレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−225738(P2007−225738A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−44584(P2006−44584)
【出願日】平成18年2月21日(2006.2.21)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】