説明

画像表示装置

【課題】待機状態における消費電力が小さく、待機状態からの復帰時に速やかに画像を表示できる画像表示装置を提供する。
【解決手段】輝度変調部6は、光源12が出射する光ビームLの輝度を、画像情報Vに応じて変調する。揺動面22は、X軸方向に揺動し、光源12から出射された光ビームLをX軸方向に走査する。駆動部26は、揺動面22を揺動させるように駆動する。揺動面32は、Y軸方向に揺動し、光源12から出射された光ビームLを第2の方向に走査する。揺動面32を揺動させるように駆動する駆動部(36,37)と、処理部5は、輝度変調部6、駆動部26、駆動部(36,37)の駆動をそれぞれ制御し、光源12の駆動を一時的に停止させる待機状態への移行を命令する待機命令信号Sbを入力した場合において、駆動部(36,37)の駆動を停止させるように処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ビームを走査する画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造技術を発展させた微小電気機械システム(MEMS)技術により、小型に製造され、光ビームを反射して光を二次元的に走査する光走査素子(マイクロスキャナ)が知られている。光走査素子は、画像の情報により輝度調整された光ビームを反射し、画像をスクリーンに投射するフロントプロジェクタ、リアプロジェクタ、HMD(Head Mount Display)等の画像表示装置等に用いられる。このような画像表示装置は、1軸方向の走査をそれぞれ行う2つの光走査素子、或いは2軸方向の走査を行う1つの光走査素子により、水平方向及び垂直方向の走査を行う(特許文献1参照)。
【0003】
一般に、水平方向の走査周波数は、動画を構成する静止画である1フレーム内の走査線数により決定され、数十kHz程度である。MESM技術により製造されたシリコン(Si)を基材とする光走査素子は、共振周波数で駆動されることにより、高速で広範な水平方向の走査を行う(特許文献2参照)。
【0004】
一方、垂直方向の走査周波数は、単位時間あたりのフレーム数であるフレームレートにより決定され、例えば、約60Hz程度である。垂直方向の走査周波数は水平方向の走査周波数より遅く、ランプ波形の駆動が必要な場合があるため、垂直方向の走査では、自らの共振周波数での駆動はされず、共振周波数以下での駆動となる。また、2つの光走査素子を用いて2軸方向の走査を行う場合、水平方向に走査された後の光ビームを反射できる寸法の光走査素子が、垂直方向の走査に用いられるため、水平方向の走査に比べ大きな駆動力が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−21800号公報
【特許文献2】特開平9−101474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
共振周波数により走査を行う光走査素子は、安定した自励発振となるまで数秒オーダーの時間を要する。その為、電源投入後、水平及び垂直方向の走査が安定した後にレーザ光源を駆動させて画像の表示を行う必要がある。
【0007】
また、一時的に画像を表示しない待機モードにする場合、レーザ光源の駆動を停止させるが、瞬時に画像の表示を再開するためには、上述の理由から、光走査素子を駆動し続ける必要があり、画像を表示しない間も常に光走査素子の駆動電力を消費するという問題が生じる。
【0008】
上記問題点を鑑み、本発明は、待機状態における消費電力が小さく、待機状態からの復帰時に速やかに画像を表示できる画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様は、光ビーム(L)を出射する光源(12)と、光源(12)が出射する光ビーム(L)の輝度を、画像情報(V)に応じて変調する輝度変調部(6)と、第1の方向に揺動し、光源(12)から出射された光ビーム(L)を第1の方向に走査する第1揺動面(22)と、第1揺動面(22)を揺動させるように駆動する第1駆動部(26)と、第1の方向と直交する第2の方向に揺動し、光源(12)から出射された光ビーム(L)を第2の方向に走査する第2揺動面(32)と、第2揺動面(32)を揺動させるように駆動する第2駆動部(36,37)と、輝度変調部(6)、第1駆動部(26)、第2駆動部(36,37)の駆動をそれぞれ制御し、光源(12)の駆動を一時的に停止させる待機状態への移行を命令する待機命令信号(Sb)を入力した場合において、第2駆動部(36)の駆動を停止させるように処理する処理部(5)とを備える画像表示装置(1)であることを要旨とする。
【0010】
また、本発明の第1の態様に係る画像表示装置(1)においては、待機状態において、第1揺動面(22)の振幅を減少させるように処理することができる。
【0011】
また、本発明の第1の態様に係る画像表示装置(1)においては、第1揺動面(22)が、第1揺動面(22)の共振周波数で揺動することができる。
【0012】
また、本発明の第1の態様に係る画像表示装置(1)においては、第2揺動面(32)が、上面から下面に貫通する窓部を有し、第1揺動面(22)及び第1駆動部(26)が、第2揺動面(32)の窓部内に位置することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、待機状態における消費電力が小さく、待機状態からの復帰時に速やかに画像を表示できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像表示装置の基本的な構成を説明する模式的なブロック図である。
【図2】(a)は、本発明の実施の形態に係る画像表示装置の共振光走査素子を説明する模式的な上面図である。(b)は、図2(a)のY軸方向から見た側面図である。(c)は、図2(a)のA−A方向から見た断面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る画像表示装置の非共振光走査素子を説明する模式的な上面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る画像表示装置の共振駆動制御部を説明する模式的なブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る画像表示装置の非共振駆動制御部を説明する模式的なブロック図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る画像表示装置の 共振光走査素子及び非共振光走査素子の周波数特性を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る画像表示装置の動作を説明するフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態に係る画像表示装置の動作を説明するフローチャートであるである。
【図9】本発明の他の実施の形態に係る画像表示装置の光走査素子を説明する模式的な上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法の関係、各層の厚みの比率等は、現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0016】
また、以下に示す実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための素子や装置を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでなく、本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0017】
(画像表示装置)
本発明の実施の形態に係る画像表示装置1は、図1に示すように、レーザ光Lを出射するレーザ光源12と、レーザ光源12が出射するレーザ光Lの輝度を、画像情報Vに応じて変調する輝度変調部6と、レーザ光源12から出射されたレーザ光Lを2軸方向に走査する光走査部8と、光走査部8の駆動を制御する駆動制御部4と、輝度変調部6及び駆動制御部4の動作を制御するよう処理する処理部5とを備える。
【0018】
光走査部8は、X軸方向(水平方向)に揺動し、レーザ光源12から出射されたレーザ光LをX軸方向に走査する揺動面22を有する共振光走査素子2と、X軸方向と直交するY軸方向(垂直方向)に揺動し、レーザ光源12から出射され、共振光走査素子2によりX軸方向に走査されたレーザ光LをY軸方向に走査する揺動面32を有する非共振光走査素子3とを備える。
【0019】
共振光走査素子2は、図2に示すように、レーザ光を反射するミラー部21を有する揺動面22と、揺動面22がX軸方向の揺動可能なように、揺動面22を支持するそれぞれ一対の梁部23a,23b,23c,23dと、梁部23a,23b,23c,23dをそれぞれ支持するそれぞれ一対のアーム部24a,24b,24c,24dと、アーム部24a,24b,24c,24dにそれぞれ設けられ、変位することにより、揺動面22をX軸方向に揺動させるように、アーム部24a,24b,24c,24dを駆動する駆動部26となる圧電膜26a,26b,26c,26dと、アーム部24a,24b,24c,24dをそれぞれ支持するフレーム部25とを備える。
【0020】
フレーム部25は、例えば、概略として矩形平板状であり、上面から下面に貫通する矩形の窓部を有する枠型形状である。アーム部24a,24b、アーム部24c,24dは、フレーム部25のY軸方向に平行な2辺からそれぞれX軸方向に対向して延伸する平面視帯状の部位である。アーム部24a,24b,24c,24dは、それぞれ一端が、フレーム部25の窓部のY軸方向に平行な対向する2辺において、それぞれフレーム部25に連結されることにより、フレーム部25に支持される。アーム部24a,24b,24c,24dは、それぞれフレーム部25に連結されない他端側において、梁部23a,23b,23c,23dをそれぞれ支持する。共振光走査素子2は、揺動面22の重心Gを通る、揺動面22に対する垂線を対称の中心とした2回回転対称のトポロジーを有している。
【0021】
共振光走査素子2は、それぞれシリコン基板上に、絶縁層、シリコン層が順次積層されてなる同一のSOI基板から、MEMS技術により形成可能である。揺動面22、梁部23a,23b,23c,23d、アーム部24a,24b,24c,24dは、フレーム部25より厚さが薄く形成されており、例えば、SOI基板から形成される場合、シリコン層から形成可能である。揺動面22のミラー部21は、揺動面22の上面にアルミニウム(Al)、金(Au)等の高反射率を有する金属膜等により形成可能である。
【0022】
圧電膜26a,26b,26c,26dは、アーム部24a,24b,24c,24dの上面にそれぞれ設けられ、変位することによりアーム部24a,24b,24c,24dをそれぞれ駆動する。圧電膜26a,26b,26c,26dは、それぞれ、下部電極層、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)系の圧電セラミックやニッケル酸ランタン(LaNiO)等からなる圧電体層、上部電極層が順次積層されることにより構成されている。
【0023】
フレーム部25の上面には、端子27a,27b,27c,27dがそれぞれ形成されている。例えば、端子27aは、圧電膜26a,26bのそれぞれ上部電極層に電気的に接続され、端子27bは、圧電膜26a,26bのそれぞれ下部電極層に電気的に接続される。また、端子27cは、圧電膜26c,26dのそれぞれ上部電極層に電気的に接続され、端子27dは、圧電膜26c,26dのそれぞれ下部電極層に電気的に接続される。
【0024】
なお、図示を省略しているが、フレーム部25、アーム部24a,24b,24c,24dのそれぞれ表面には、それぞれ端子27a,27b,27c,27d、圧電膜26a,26b,26c,26d、及び配線と絶縁するシリコン酸化膜(SiO)等の絶縁層が形成される。
【0025】
非共振光走査素子3は、例えば、図3に示すように、レーザ光を反射するミラー部31を一面側(例えば図3の紙面手前側)に有する揺動面32と、揺動面32が、Y軸方向の揺動可能なように、揺動面32を支持する一対の梁部33a,33bと、梁部33a,33bをそれぞれ支持するフレーム部35と、揺動面32を、Y軸方向に揺動させるように駆動する駆動部(36,37)とを備える。
【0026】
フレーム部35は、概略として矩形平板状であり、上面から下面に貫通する窓部を有する枠型形状である。梁部33a,33bは、それぞれフレーム部35の窓部のY軸方向に沿う2辺の中点近傍において、それぞれフレーム部35に連結され、フレーム部35に支持される。揺動面32を揺動可能に支持する梁部33a,33bは、樹脂、ワイヤ等の他の支持部材であって良い。
【0027】
非共振光走査素子3の駆動部(36,37)は、例えば、揺動面32の他面側(例えば図3の紙面奥側)に設けられ、その他面を周回するように設けられたコイル36と、フレーム部35のX軸方向に沿う2辺にそれぞれ設けられた一対の磁石37a,37bとから構成される。磁石37a,37bは、相反する極を揺動面32に向けてフレーム部35に対向配置される。揺動面32は、磁石37a,37bによる磁界と、コイル36に通電することにより生じる磁界との相互作用によって、梁部33a,33bを互いに結ぶ直線を回転軸としてY軸方向に揺動する。
【0028】
なお、非共振光走査素子3の駆動部(36,37)を、コイル36と磁石37a,37bを用いたムービングコイル(MC)式の電磁アクチュエータとして説明したが、ムービングマグネット(MM)式の電磁アクチュエータや、電極間の静電気力を用いた静電アクチュエータ、圧電膜の圧電効果を用いた圧電アクチュエータ等の他の方式のアクチュエータであっても良い。
【0029】
なお、図示を省略しているが、非共振光走査素子3は、揺動面32の揺動を検出する検出部を備えるようにしても良い。非共振光走査素子3の検出部の検出方式は、例えば、磁気抵抗変化を検出する方式、静電容量変化を検出する方式、ピエゾ抵抗変化を検出する方式、圧電膜の圧電効果を利用した方式等を採用可能である。
【0030】
駆動制御部4は、図1に示すように、共振駆動制御部4Xと非共振駆動制御部4Yとを備える。共振光走査素子2は、共振駆動制御部4Xにより駆動を制御され、非共振光走査素子3は、非共振駆動制御部4Yにより駆動を制御される。
【0031】
共振駆動制御部4Xは、図4に示すように、共振光走査素子2の端子27cから検出信号Snを入力する増幅器41と、帯域フィルタ42と、位相調整器43と、自動利得制御(AGC)回路44と、共振光走査素子2の端子27aに駆動信号Dvを出力する駆動アンプ45とを備える。なお、共振光走査素子2の端子27b,27dはそれぞれ接地されている。
【0032】
位相調整器43は、入力された検出信号Snと駆動信号Dhとが互いに略180度位相反転するように、検出信号Snを位相調整し、共振位相信号PrとしてAGC回路44に出力する。AGC回路44は、入力された共振位相信号Prを、振幅が一定になるように制御して駆動アンプ45に出力する。駆動アンプ45は、入力された共振位相信号Prを、所定の値に昇圧し、駆動信号Dhとして共振光走査素子2の端子27aに出力する。
【0033】
共振光走査素子2の端子27aに入力された駆動信号Dhは、圧電膜26a,26bの、上部電極層と下部電極層との間に印加される。圧電膜26a,26bが、駆動信号Dhに応じて変位し、振動することにより、アーム部24a,24bは、フレーム部25との連結部をそれぞれ支点にして、揺動面22に対する垂直方向に駆動する。アーム部24a,24bの駆動により、揺動面22は、Y軸方向に沿う中心線を回転軸としてX軸方向に揺動する。
【0034】
揺動面22が揺動することにより、アーム部24c,24dの圧電膜26c,26dは、それぞれ変位され、圧電膜26c,26dの、上部電極層と下部電極層との間にそれぞれ電圧が発生する。圧電膜26c,26dの上部電極層と下部電極層との間にそれぞれ発生した電圧は、揺動面22の振れ角に応じて変化し、検出信号Snとして端子27cを介して増幅器41に出力される。
【0035】
増幅器41は、端子27cから入力した検出信号Snを、所定の値に昇圧して帯域フィルタ42に出力する。そして、共振光走査素子2の共振周波数帯域の信号が通過可能な帯域フィルタ42が、ノイズ除去して入力された検出信号Snを位相調整器43に出力することにより、共振光走査素子2に印加する駆動信号Dhをフィードバック制御でき、自励発振により揺動面22を、揺動面22の共振周波数fx(図6参照)で安定して駆動することができる。
【0036】
非共振駆動制御部4Yは、図5に示すように、正弦波、ランプ波等の駆動波形を生成し、出力する波形発生部46と、処理部5の制御により、波形発生部46が出力する駆動波形の停止動作を行うスイッチ回路部47と、非共振光走査素子3の揺動面32が所定の振れ角を得られるように、波形発生部46が出力する駆動波形を電流増幅し、駆動信号Dvとして駆動部(36,37)のコイル36に出力する駆動アンプ48とを備える。非共振光走査素子3は、非共振駆動制御部4Yの制御により、例えば60Hz等、非共振光走査素子3の共振周波数fy(図6参照)より小さい周波数で駆動される。
【0037】
処理部5は、例えばマイクロコンピュータ等の演算処理装置から構成され、共振駆動制御部4X及び非共振駆動制御部4Yの動作を制御し、共振光走査素子2から検出信号Snを入力する。処理部5は、画像情報Vに応じて、レーザ光源12から出射される各色のレーザ光Lの輝度を、光走査部8の駆動に同期して変調するように、レーザドライバ13を介して、レーザ光源12の駆動を制御する。レーザドライバ13は、処理部5の制御に応じて、レーザ光源12に駆動電流を供給する。
【0038】
レーザ光源12から出射されるレーザ光Lは、レンズ、コリメータ等の光学素子11を通過し、平行な光ビームとして光走査部8の共振光走査素子2の揺動面22に入射される。共振駆動制御部4Xにより駆動される揺動面22は、レーザ光源12から出射されたレーザ光Lを、ミラー部21において反射してX軸方向に走査する。非共振駆動制御部4Yにより駆動される非共振光走査素子3の揺動面32は、レーザ光源12から出射され、共振光走査素子2によりX軸方向に走査されたレーザ光Lを、ミラー部31において反射してY軸方向に走査する。光走査部8は、画像情報Vに応じて輝度が変調され、レーザ光源12から出射されたレーザ光Lを反射してスクリーンPを2軸方向にラスター走査し、スクリーンP上に走査軌跡Tをなして画像Qを表示する。
【0039】
処理部5は、画像Qの表示を一時的に停止する待機状態に移行すると、少なくともレーザ光源12の駆動を停止させる。処理部5は、待機状態への移行を命令する待機命令信号Sbを、命令出力部51から入力した場合、待機状態に移行する。処理部5は、画像Qを表示する通常状態への移行を命令する再駆動命令信号Rsを、命令出力部51から入力した場合、待機状態から通常状態に復帰する。
【0040】
命令出力部51は、例えば、画像表示装置1の動作開始からの所定時間や画像表示装置1への操作がされない所定時間の経過、画像情報Vの無信号期間の開始、ユーザによる操作入力等に応じて、待機命令信号Sbを出力する。また、命令出力部51は、例えば、ユーザの操作入力等に応じて、再駆動命令信号Rsを処理部5に出力する。
【0041】
(第1の動作例)
図7のフローチャートを用いて、本発明の実施の形態に係る画像表示装置1の処理部5の第1の動作例を説明する。
【0042】
先ず、ステップS11において、処理部5は、共振駆動制御部4X及び非共振駆動制御部4Yを介して、共振光走査素子2及び非共振光走査素子3の駆動をそれぞれ開始する。ステップS12において、処理部5は、検出信号Sn等により共振光走査素子2及び非共振光走査素子3が正常に駆動しているか否かを確認する。共振光走査素子2及び非共振光走査素子3が正常に駆動していることが確認されると、ステップS13において、輝度変調部6、レーザドライバ13を介してレーザ光源12の駆動を開始し、画像情報Vに応じて画像Qの表示を開始する。
【0043】
ステップS14において、処理部5は、命令出力部51から待機命令信号Sbを入力したことに応じて、待機状態に移行する。処理部5は、待機状態に移行すると、ステップS15において、輝度変調部6、レーザドライバ13を介してレーザ光源12の駆動を停止し、画像Qの表示を停止させ、ステップS16において、非共振駆動制御部4Yを介して、駆動部(36,37)の駆動を停止させ、非共振光走査素子3の揺動を停止させる。
【0044】
ステップS17において、処理部5は、命令出力部51から再駆動命令信号Rsを入力したことに応じて、通常状態に復帰する。処理部5は、通常状態に復帰すると、ステップS18において、非共振駆動制御部4Yを介して、駆動部(36,37)の駆動を開始させ、非共振光走査素子3の揺動を開始させるよう処理し、ステップS12に戻る。
【0045】
上述のように、処理部5は、待機状態において、駆動開始から安定した自励発振駆動となるまで時間がかかり、消費電力が小さい共振光走査素子2の揺動面22の駆動させたまま、消費電力が大きい非共振光走査素子3の揺動面32の駆動を停止させる。よって、処理部5が第1の動作例のように処理を行うことで、待機状態における消費電力を低減させることができ、待機状態からの復帰時に、光走査部8に速やかに安定した駆動をさせることができる。
【0046】
(第2の動作例)
図8のフローチャートを用いて、本発明の実施の形態に係る画像表示装置1の処理部5の第2の動作例を説明する。処理部5の第2の動作例は、処理部5が、待機状態において、非共振光走査素子3の駆動を停止させる処理に加え、共振光走査素子2の駆動を変化させる処理を行う点において第1の動作例と異なる。
【0047】
先ず、ステップS21において、処理部5は、共振駆動制御部4X及び非共振駆動制御部4Yを介して、共振光走査素子2及び非共振光走査素子3の駆動をそれぞれ開始する。ステップS22において、処理部5は、検出信号Sn等により共振光走査素子2及び非共振光走査素子3が正常に駆動しているか否かを確認する。共振光走査素子2及び非共振光走査素子3が正常に駆動していることが確認されると、ステップS23において、輝度変調部6、レーザドライバ13を介してレーザ光源12の駆動を開始し、画像情報Vに応じて画像Qの表示を開始する。
【0048】
ステップS24において、処理部5は、命令出力部51から待機命令信号Sbを入力したことに応じて、待機状態に移行する。処理部5は、待機状態に移行すると、ステップS25において、輝度変調部6、レーザドライバ13を介してレーザ光源12の駆動を停止し、画像Qの表示を停止させ、ステップS26において、非共振駆動制御部4Yを介して、駆動部(36,37)の駆動を停止させ、非共振光走査素子3の揺動を停止させる。
【0049】
また、処理部5は、ステップS27において、共振光走査素子2の揺動面22が、自励発振による揺動面22の共振周波数での揺動を維持できる範囲内で、揺動面22の振幅が低減するように、共振駆動制御部4Xが出力する駆動信号Dhを通常状態の電圧から低減させるように処理する。
【0050】
ステップS28において、処理部5は、命令出力部51から再駆動命令信号Rsを入力したことに応じて、通常状態に復帰する。処理部5は、通常状態に復帰すると、ステップS29において、共振光走査素子2の揺動面22の揺動が、通常状態の振幅となるように、共振駆動制御部4Xが出力する駆動信号Dhを通常状態の電圧に戻すように処理する。ステップS30において、処理部5は、非共振駆動制御部4Yを介して、駆動部(36,37)の駆動を開始させ、非共振光走査素子3の揺動を開始させるよう処理し、ステップS22に戻る。
【0051】
上述のように、処理部5は、待機状態において、消費電力が大きい非共振光走査素子3の揺動面32の駆動を停止させることに加え、駆動開始から安定した自励発振駆動となるまで時間がかかり、消費電力が小さい共振光走査素子2の揺動面22が、共振周波数での揺動を維持できる範囲内で、揺動面22の振幅が低減するように、駆動信号Dhの電圧を低減させるように処理する。よって、処理部5が第2の動作例のように処理を行うことで、待機状態における消費電力を、第1の動作例から更に低減させることができ、待機状態からの復帰時に、光走査部8に速やかに安定した駆動をさせることができる。
【0052】
なお、処理部5の処理の各ステップは、図7、図8のフローチャートを用いて説明した順序に限られるものでなく、適宜、ステップの変更等をしても構わない。
【0053】
本発明の実施の形態に係る画像表示装置1によれば、待機状態における消費電力が小さく、待機状態からの復帰時に、光走査部8に速やか安定した駆動をさせることができ、速やかに画像を表示できる。
【0054】
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0055】
既に述べた実施の形態においては、レーザ光源12から出射されるレーザ光Lを反射して2軸方向の走査を行う光走査部を、それぞれ1軸方向の走査を行う共振光走査素子2、非共振光走査素子3からなる光走査部8として説明したが、2軸方向の走査を行う光走査素子8Aとしても良い。
【0056】
本発明の他の実施の形態に係る画像表示装置の光走査部となる光走査素子8Aは、図9に示すように、共振光走査素子2と、共振光走査素子2がY軸方向の揺動可能なように支持する一対の梁部33a,33bと、梁部33a,33bをそれぞれ支持するフレーム部35と、共振光走査素子2を、Y軸方向に揺動させるように駆動する駆動部(36,37)を備える。本発明の実施の形態に係る非共振光走査素子3の揺動面32が、上面から下面に貫通する窓部を有し、共振光走査素子2のフレーム部25として機能する。光走査素子8Aの駆動部(36,37)は、例えば、フレーム部25の上面を周回するように設けられたコイル36と、フレーム部35のX軸方向に沿う2辺にそれぞれ設けられた一対の磁石37a,37bとから構成される。すなわち、非共振光走査素子3の揺動面32が光走査素子2として機能するように、共振光走査素子2と非共振光走査素子3とが一体化された構成を有している。
【0057】
また、他の実施の形態として、図2に示す共振光走査素子2を、図3に示す非共振光走査素子3の揺動面32の一面側又は他面側に固定して一体化した構成としてもよい。この場合、照射されるレーザ光を共通のミラー部21によってX軸方向及びY軸方向それぞれに走査することができるので、ミラー部31は不要になる。
【0058】
本発明の他の実施の形態に係る画像表示装置の光走査素子8Aは、光走査素子2をY軸方向に揺動可能に支持することにより、揺動面22のミラー部21がX軸方向、Y軸方向の2軸方向に揺動し、光ビームを反射して2軸方向の走査をすることができる。本発明の他の実施の形態に係る画像表示装置の構成については、本発明の実施の形態の説明と実質的に同様であるので、重複する説明を省略する。
【0059】
本発明の他の実施の形態に係る画像表示装置によれば、処理部5が、待機状態において、光走査素子8Aの駆動部26による、揺動面22の共振周波数での駆動をさせたまま、駆動部(36,37)の駆動を停止させ、光走査素子8Aのフレーム部25の駆動を停止させるように処理する。よって、待機状態における消費電力を低減させることができ、待機状態からの復帰時に、光走査部8に速やかに安定した駆動をさせることができる。また、本発明の他の実施の形態に係る画像表示装置の処理部5は、画像表示装置1の処理部5の第2の動作例と同様に、光走査素子8Aの揺動面22が、共振周波数での揺動を維持できる範囲内で、揺動面22の振幅が低減するように、駆動信号Dhの電圧を低減させるように処理しても良い。
【0060】
また、既に述べた実施の形態においては、自励発振による駆動を行う駆動部26と、自励発振による駆動を行わない駆動部(36,37)とを備える光走査部を備える画像表示装置について、例示的に説明したが、処理部5の処理の内容等は、種々のスキャナやセンサ等に対しても同様に適用可能である。
【0061】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0062】
1…画像表示装置
2…共振光走査素子
3…非共振光走査素子
4…駆動制御部
4X…共振駆動制御部
4Y…非共振駆動制御部
5…処理部
6…輝度変調部
8…光走査部
11…光学素子
12…レーザ光源
13…レーザドライバ
21…ミラー部
22…揺動面
23a,23b,23c,23d…梁部
24a,24b,24c,24d…アーム部
25…フレーム部
26…駆動部
26a,26b,26c,26d…圧電膜
27a,27b,27c,27d…端子
31…ミラー部
32…フレーム部
32…揺動面
33a,33b…梁部
35…フレーム部
36…コイル
37a,37b…磁石
41…増幅器
42…帯域フィルタ
43…位相調整器
44…AGC回路
45,48…駆動アンプ
46…波形発生部
47…スイッチ回路部
51…命令出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ビームを出射する光源と、
前記光源が出射する光ビームの輝度を、画像情報に応じて変調する輝度変調部と、
第1の方向に揺動し、前記光源から出射された光ビームを前記第1の方向に走査する第1揺動面と、
前記第1揺動面を揺動させるように駆動する第1駆動部と、
前記第1の方向と直交する第2の方向に揺動し、前記光源から出射された光ビームを第2の方向に走査する第2揺動面と、
前記第2揺動面を揺動させるように駆動する第2駆動部と、
前記輝度変調部、前記第1駆動部、前記第2駆動部の駆動をそれぞれ制御し、前記光源の駆動を一時的に停止させる待機状態への移行を命令する待機命令信号を入力した場合において、前記第2駆動部の駆動を停止させるように処理する処理部と
を備えることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記待機状態において、前記第1揺動面の振幅を減少させるように処理することを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記第1揺動面が、前記第1揺動面の共振周波数で揺動することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−185194(P2012−185194A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−46162(P2011−46162)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】