説明

画像表示装置

【課題】部分的に動画像の高精細化を図ることができる画像表示装置を提供すること。
【解決手段】複数の分割小領域を含む表示領域に入力画像信号に基づく原画像および内挿画像信号に基づく補間画像の少なくとも一方を含む画像を表示する表示部と、分割小領域毎に補間位相を決定して内挿画像信号を生成する内挿画像生成部と、を有し、表示部は、各々が複数の分割小領域を含む第1区分領域と第2区分領域とを有し、第1区分領域においては、入力画像信号の入力フレームレート以上のレートで画像を表示し、第2区分領域においては、第1区分領域に比べて高いレートで画像を表示し、第2区分領域に表示される補間画像の内少なくとも一部の補間画像は、第1区分領域と隣接する分割小領域での補完位相が、第1区分領域と離間する分割小領域での補完位相よりも、原画像の位相に近い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、書込み走査して画像を表示する画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ホールド型表示方式であるアクティブ型液晶表示装置は、CRT(Cathode Ray Tube)表示装置などのインパルス型表示方式に比べて、ちらつきが少なく目が疲れにくいという利点がある。
【0003】
その一方で、ホールド型表示方式での動画表示に関しては、動画像がフレーム間で動く画素数にわたって積分された画像として知覚され、この画像の動きによって生じる積分が画像のぼけを発生させる、ということが報告されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。その理由としては、人間の視覚特性では通常、数10ミリ秒以内の光刺激がほぼ完全に積分されて知覚される点と、4〜5度/秒以内の動きは眼球運動のみで追従可能である点などが挙げられる。
【0004】
上記のような動画表示における画像の不自然さを改善する方式として、内挿画像信号を前後の入力画像信号から動き適応的に生成し、生成された内挿画像信号を当該2つの入力画像信号とともに順次使用して画像を表示する画像補間方式が、報告されている(例えば、特許文献1および特許文献3参照)。
【0005】
ここで、画像補間方式に基づく従来の画像表示方法について説明する。なお、以下の図12の説明においては、順次書込みに伴って画像が表示されるものとする。
【0006】
図12(a)は、従来の画像表示方法の第1の例として、1080ラインの走査線を有する画像表示装置における2倍速駆動を示す。具体的には、表示フレームレートが入力フレームレートの2倍に高速化される2倍速線順次駆動を下部に示すとともに、比較のために、表示フレームレートが高速化されず入力フレームレートに等しい線順次駆動(以下「等速線順次駆動」という)を上部に示す。なお、以下の説明において、入力フレームレートは、画像表示装置の画像プロセッサに入力される入力画像信号のレートをフレーム数単位で表すものであり、表示フレームレートは、画像表示装置の表示パネルから出力される画像のレートをフレーム数単位で表すものである。
【0007】
図12(a)上部に示される等速線順次駆動では、入力画像信号に基づく画像(以下「原画像」という)として複数のフレーム(第1フレームおよび第2フレーム)が順次表示される。これに対し図12(a)下部に示される2倍速線順次駆動では、入力画像信号に基づく原画像として複数のフレーム(第1フレームおよび第2フレーム)が表示される。これに加えて、入力画像信号から得られた内挿画像信号に基づく画像(以下「補間画像」という)として中間フレーム(第1中間フレームおよび第2中間フレーム)がフレーム間に内挿されて表示される。
【0008】
このように、2倍速線順次駆動では、1フレームの原画像に対して1フレームの補間画像が追加的に表示されるので、表示フレームレートが入力フレームレートの2倍となる。したがって、画面に表示されている動画像において、第1フレームと第2フレームとの間の第1中間フレームを内挿することにより、画像のぼけを低減することができる。
【0009】
図12(b)は、従来の画像表示方法の第2の例として、1080ラインの走査線を有する画像表示装置における4倍速駆動を示す。具体的には、表示フレームレートが入力フレームレートの4倍に高速化される4倍速線順次駆動を下部に示すとともに、比較のために、等速線順次駆動を上部に示す。
【0010】
図12(b)上部に示される等速線順次駆動では、原画像として複数のフレーム(第1フレームおよび第2フレーム)が順次表示される。これに対し図12(b)下部に示される4倍速線順次駆動では、原画像として複数のフレーム(第1フレームおよび第2フレーム)が表示される。これに加えて、補間画像として複数の中間フレーム(第1中間フレーム、第1中間フレーム、第1中間フレーム、第2中間フレーム、第2中間フレームおよび第2中間フレーム)がフレーム間に内挿されて表示される。
【0011】
このように、4倍速線順次駆動では、1フレームの原画像に対して3フレームの補間画像が追加的に表示されるので、表示フレームレートが入力フレームレートの4倍となる。したがって、4倍速線順次駆動は、2倍速線順次駆動よりもさらに画像のぼけを低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特許第3295437号公報
【特許文献2】特開平9−325715号公報
【特許文献3】特許第3884885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上記従来の画像表示方法において、入力フレームレートよりも高いフレームレートでの表示を実現するには、走査速度の高速化が必要となる。
【0014】
例えば、等速線順次駆動の場合、入力フレームレートが60Hzであると仮定すると、60Hzの垂直走査周波数で走査が行われる。よって、1080ラインの走査線を有する画像表示装置では、走査線1ラインあたりの走査時間であるライン走査周期は、約15.4μsとなる。
【0015】
これに対し、2倍速線順次駆動の場合、同一仮定条件下では、120Hzの垂直走査周波数で走査を行う必要がある。よって、1080ラインの走査線を有する画像表示装置では、ライン走査周期は約7.7μsとなる。
【0016】
同様に、4倍速線順次駆動の場合、同一仮定条件下では、240Hzの垂直走査周波数で走査を行う必要がある。よって、1080ラインの走査線を有する画像表示装置では、ライン走査周期は約3.9μsとなる。
【0017】
このように、表示フレームレートを2倍、4倍、さらにそれ以上へと高速化するためには、全ての走査線のライン走査周期を1/2倍、1/4倍、さらにそれ以下へと短縮化する必要がある。すなわち、フレームレートの倍数とライン走査周期とは反比例の関係にある。しかし、走査線の走査速度には、表示パネルの応答性に依存する限界値があり、限界値を超えた高速での走査は困難である。したがって、上記従来の画像表示方法で用いられる倍速線順次駆動では、高フレームレート駆動が実現困難であり、動画像のぼけ低減などの高精細化に一定の限界がある。
【0018】
本発明の目的は、境界が目立たないようにしつつ、部分的に動画像の高精細化を図ることができる画像表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するため、本発明に係る画像表示装置は、
入力画像信号から内挿画像信号を生成する画像信号処理部と、
複数の分割小領域を含む表示領域に、入力画像信号に基づく原画像および内挿画像信号に基づく補間画像の少なくとも一方を含む画像を順次表示する表示部と、を有し、
前記画像信号処理部は、前記分割小領域毎に前記補間画像の位相を決定して前記内挿画像信号を生成し、
前記表示部は、各々が複数の前記分割小領域を含む第1区分領域と第2区分領域とを有し、前記第1区分領域においては、前記入力画像信号の入力フレームレート以上のレートで画像を表示し、前記第2区分領域においては、前記第1区分領域に比べて高いレートで画像を表示し、
前記第2区分領域に表示される補間画像の内少なくとも一部の補間画像は、前記第1区分領域と隣接する分割小領域に表示される補間画像の位相が、前記第1区分領域と離間する分割小領域に表示される補間画像の位相よりも、原画像の位相に近い。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、境界が目立たないようにしつつ、部分的に動画像の高精細化を図ることができる画像表示装置を提供すること。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】画像表示装置の構成を示すブロック図
【図2】画像信号処理部の構成を示すブロック図
【図3】2つの原画像の間に1つの補完画像を内挿する場合の補完位相を説明する図
【図4】(a)表示パネルの構成を説明するための図、(b)個別表示領域の部分拡大図
【図5】実施の形態1に係る画像表示装置の表示状態を説明する説明図
【図6】分割小領域に表示される第1補完画像の補完位相を示す図
【図7】実施の形態1に係る画像表示装置の別の表示状態を説明する説明図
【図8】別の表示状態での分割小領域に表示される第1補完画像の補完位相を示す図
【図9】実施の形態2に係る画像表示装置の表示状態を説明する説明図
【図10】2つの原画像の間に3つの補完画像を内挿する場合の補完位相を説明する図
【図11】分割小領域に表示される第1補完画像と第1補完画像の補完位相を示す図
【図12】従来の画像表示装置における駆動方法を示す図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の各実施の形態について図面を参照して説明する。
【0023】
(実施の形態1)
<1.画像表示装置の構成>
図1は、本実施の形態に係る画像表示装置の構成を示すブロック図である。画像表示装置100は、画像信号処理部110と、パネル制御回路120と、ゲートドライバ130と、ソースドライバ140と、表示パネル150と、を備えている。
【0024】
画像信号処理部110は、入力される画像信号に含まれる時間的に前後する2枚の原画像の間に内挿される補完画像を生成する。
【0025】
図2は、画像信号処理部の構成を示すブロック図である。図2に示すように、画像信号処理部110は、動きベクトル検出回路111と、補間位相決定回路112と、補間画像生成回路113とを有する。動きベクトル検出回路111は、時間的に前後する2枚の原画像間の動きベクトルをブロックごとに検出する。ここで、ブロックとは、例えば3画素×3画素などの所定の大きさの画素領域である。もちろん、ブロックの大きさは3画素×3画素に限られるものではない。例えば、1画素単位のように、より小さいブロックであってもよいし、8画素×8画素のように、より大きいブロックであってもよい。
【0026】
補完位相決定回路112は、画像信号処理部110で生成する補完画像の、分割小領域毎の補完位相を決定する。分割小領域の詳細については後述するが、表示パネル150が有する表示領域を垂直方向に分割した小領域である。
【0027】
ここで、図3を用いて補完位相について説明する。なお、位相とは、画像の時間的な位置を示す値である。また、補間位相とは、補間画像の時間的な位置を示す値である。図3は、時間的に連続する2つの原画像の間に1つの補完画像を内挿する場合の補完位相を説明する図である。図3(a)は、時刻Tに原画像1が表示され、時刻Tに原画像2が表示される様子を示している。原画像1においては図中Pで示すオブジェクトが画像の左側に位置している。また、原画像2においてはオブジェクトPが画像の右側に位置している。つまり、原画像1から原画像2において、オブジェクトPは、左側から右側へ移動するオブジェクトを表している。ここで、原画像1の位相を0.0、原画像2の位相を1.0としている。図3(b)〜(f)は、時刻Tと時刻Tとの中間である時刻Tに補完画像が内挿されて表示される様子を示している。図3(b)においては、オブジェクトPは、原画像1の位置から右側へ1/10だけ移動した位置に位置している。すなわち、図3(b)の補完位相は、0.1である。図3(c)においては、オブジェクトPは、原画像1の位置から右側へ2/10だけ移動した位置に位置している。すなわち、図3(c)の補完位相は、0.2である。図3(d)においては、オブジェクトPは、原画像1の位置から右側へ3/10だけ移動した位置に位置している。すなわち、図3(d)の補完位相は、0.3である。図3(e)においては、オブジェクトPは、原画像1の位置から右側へ4/10だけ移動した位置に位置している。すなわち、図3(e)の補完位相は、0.4である。図3(f)においては、オブジェクトPは、原画像1の位置から右側へ5/10、つまりちょうど半分移動した位置に位置している。すなわち、図3(f)の補完位相は、0.5である。図3においては、(b)から(f)へ行くほど補完位相は原画像1の位相から離れている。つまり、図3(b)の補完画像の補完位相が原画像の位相に最も近く、図3(f)の補完画像の補完位相が原画像の位相から最も遠い。なお、図示しないが補完位相が0.6以上1.0未満の場合は、原画像2の位相に近づくことになるため、図3(f)の補完画像の補完位相が原画像の位相から最も遠いことに変わりはない。
【0028】
なお、補間位相は、補間画像を生成する際に利用される値であり、図3(b)〜(e)のように、補間画像が表示される位相と異なっていてもよい。
【0029】
また、図3においては、図3(f)の補完位相を正規位相と呼ぶ。正規位相とは、原画像のみのフレームレートと補完画像内挿後のフレームレートとの比から論理的に算出される位相であり、フレームレート変換後の画像が等間隔に連続する時間的な位置を示す位相である。言い換えると、正規位相とは、補間画像が表示される位相と一致する場合の補完位相である。
【0030】
図2に戻って、説明する。補完画像生成回路113は、補間位相と動きベクトルとを用いて、2枚の原画像の少なくとも一方を使用して動き補償処理を行うことにより、補間画像を生成する。
【0031】
補間画像生成回路113は、補間位相決定回路112で決定される分割小領域毎の補完位相に従って、分割小領域に含まれるブロックの動きベクトルを調整する。そして、補間画像生成回路113は、分割小領域毎に補完位相が調整された補完画像を生成する。具体的には、補間画像生成回路113は、補完画像を示す内挿画像信号を生成して出力する。
【0032】
補間画像生成回路113は、順次入力される入力画像信号に対して内挿画像信号生成処理を行う。ここで、補間画像生成回路113により行われる内挿画像信号生成処理の一例について説明する。
【0033】
補間画像生成回路113は、入力画像信号を順次入力する。入力画像信号は補間画像生成回路113内のメモリ(図示せず)に一時的に格納される。補間画像生成回路113は、先に入力された入力画像信号とその入力画像信号の直後に入力された入力画像信号、さらには、動きベクトル値と補完位相とから、1つ以上の内挿画像信号を生成する。各入力画像信号は、表示パネル150の表示領域の全体領域をカバーする情報量を有するが、そこから生成される内挿画像信号は、表示領域の全体領域をカバーする情報量を有するものであっても一部領域のみをカバーする情報量を有するものであってもよい。
【0034】
一部領域のみをカバーする情報量を有する内挿画像信号を生成する場合、各入力画像信号から、表示領域の一部領域に対応する部分を抽出して、抽出された部分に含まれる情報に基づいて、その一部領域のみをカバーする情報量の内挿画像信号を生成する。あるいは、各入力画像信号から、全体領域をカバーする情報量の内挿画像信号を暫定的に生成し、そこから、表示領域の一部領域に対応する部分を最終的な内挿画像信号として切り出す。
【0035】
なお、内挿画像信号によりカバーされる、表示領域の一部領域は、動きベクトル検出回路111により検出される動きベクトルに基づいて、動き適応的に選択される。例えば、検出した動きベクトルからテロップであることを検出し、当該テロップを含む一部領域が設定されてもよい。
【0036】
また、補間画像生成回路113は、入力画像信号および生成した内挿画像信号に基づいて位相信号を生成する。ここで、位相信号は、上方の走査線から下方の走査線に向かって進む順次走査の開始位置を示すものである。例えば、第1ラインから走査を開始すべきであることが示されたり、第217ラインから走査を開始すべきであることが示されたりする。走査線については後述する。
【0037】
そして、補間画像生成回路113は、入力画像信号、内挿画像信号、および位相信号をパネル制御回路120に出力する。
【0038】
このようにして、画像信号処理部110により内挿画像信号生成処理が行われる。なお、上記内挿画像信号生成処理は、入力画像信号が入力される度に行われる。
【0039】
パネル制御回路120は、入力される画像信号(入力画像信号あるいは内挿画像信号)や位相信号に基づいて、ゲートドライバ130およびソースドライバ140の駆動を制御する。具体的には、表示パネル150が有するソース線157への画像信号の供給タイミングの制御や、走査線156への書込みタイミングの制御などの制御信号を生成し、ゲートドライバ130およびソースドライバ140に出力する。
【0040】
また、パネル制御部120は、表示パネル150が、表示領域の第1区分領域において入力画像信号の入力フレームレート以上のレートで画像を表示するとともに、第1区分領域とは別の第2区分領域において、第1区分領域に比べて高いレートで画像を表示するように、ゲートドライバ130およびソースドライバ140の駆動を制御する。
【0041】
ゲートドライバ130は、パネル制御部120からの制御に基づいて、表示パネル150が有する走査線156を駆動する。また、ソースドライバ140は、パネル制御部120からの制御に基づいて、表示パネル150が有するソース線156を駆動する。ゲートドライバ130は、走査部の一例である。
【0042】
表示パネル150は、液晶パネルである。より具体的には、表示パネル150は、互いに直交して配置された1080本の走査線156−1〜156−1080と1920本のソース線157−1〜157−1920とを有している。表示パネル150は、各走査線と各ソース線の交差位置に液晶セル(図示せず)を持つ画素を形成している。ソース線157−1〜157−1920には、画像信号が供給される。そして、走査線156−1〜156−1080が同一ライン毎の画素を順次書込み走査することで、画像信号に応じた画像を表示領域に表示することができる。走査線156−n(nは1からNまでの整数)がゲートドライバ130により走査されると、表示パネル150の表示領域には、入力画像信号に基づく原画像としてのフレームおよび内挿画像信号に基づく補間画像としての中間フレームが表示される。
【0043】
図4(a)は、表示パネル150の構成を説明するための構成図である。表示パネル150は、垂直方向に区切られた5つの個別表示領域151〜155からなる表示領域を有している。個別表示領域151は、走査線156−1〜156−216に対応する領域である。個別表示領域152は、走査線156−217〜156−432に対応する領域である。個別表示領域153は、走査線156−433〜156−648に対応する領域である。個別表示領域154は、走査線156−649〜156−864に対応する領域である。個別表示領域155は、走査線156−865〜156−1080に対応する領域である。各個別表示領域は、それぞれ27個ずつの分割小領域を有している。これを、図4(b)を用いて説明する。
【0044】
図4(b)は、個別表示領域155の部分拡大図である。個別表示領域155は、27個の分割小領域155−1〜155−27を有している。分割小領域の各々は、8本の走査線に対応する領域である。分割小領域155−1は、走査線156−865〜156−872に対応する領域である。分割小領域155−2は、走査線156−873〜156−880に対応する領域である。同様にして、分割小領域155−27は、走査線156−1073〜156−1080に対応する領域である。つまり、表示パネル150は、5つの個別表示領域を有し、各々の個別表示領域に27個の分割小領域を有しているので、合計135個の分割小領域を有している。
【0045】
表示パネル150は、パネル制御回路120によって、各走査線156の走査タイミングと各ソース線157の画像信号供給タイミングとが制御される。特に、表示パネル150は、書込み走査のタイミングが個別表示領域毎に変更可能に制御される。
【0046】
以上、本実施の形態の画像表示装置100の構成について説明した。
【0047】
<2.画像表示装置の動作>
次いで、画像表示装置100の動作について説明する。なお、本実施の形態およびこれ以降の実施の形態においては、説明の簡略化のため、入力フレームレート60Hzを前提条件とするが、本発明は別の条件下での走査駆動動作にも適用可能である。
【0048】
図5は、画像表示装置100の表示状態を説明する説明図である。なお、以下においては、個別表示領域155の動き量が、その他の個別表示領域の動き量よりも大きく(動きが早く)、個別表示領域155のフレームレートを高めた場合について説明する。すなわち、個別表示領域151〜154が、入力画像信号の入力フレームレート以上のレートで画像を表示する第1区分領域の一例であり、個別表示領域155が、第1区分領域に比べて高いレートで画像を表示する第2区分領域の一例である。本実施の形態においては、第1区分領域の一例である個別表示領域151〜154では、入力フレームレートと同じ60Hzで画像を表示し、第2区分領域の一例である個別表示領域155では、第1区分領域よりも高い120Hzで画像を表示するものとする。
【0049】
より具体的には、図5は、表示パネル150への画像信号の書込みタイミングを示している。ここで、第2区分領域に対しては、高いレートで画像を表示する必要がある。そのため、表示パネル150への画像信号の書込み走査は、全表示領域が60Hzで画像を表示する場合の書込み走査と比べて速くなっている。
【0050】
まず、時刻t10で第1原画像信号の個別表示領域151に対応する書込みが始まる。ここでは、走査線156−1〜走査線156−216まで書込まれる。続いて、時刻t121で個別表示領域152に対応する書込みが始まる。ここでは、走査線156−217〜走査線156−432まで書込まれる(S11)。そして、時刻t122で個別表示領域153と個別表示領域154とを飛ばして、個別表示領域155に対応する書込みが始まる。ここでは、走査線156−865〜走査線156−1080まで書込まれる(S12)。そのあと、時刻t123で個別表示領域153に戻って、対応する書込みが始まる。ここでは、走査線156−433〜走査線156−648まで書込まれる。続いて、時刻t124で個別表示領域154に対応する書込みが始まる。ここでは、走査線156−649〜走査線166−865まで書込まれる(S13)。このようにして、第1原画像信号の書込み走査が完了する。
【0051】
ここで、時刻t125から再度個別表示領域155に対する書込みが始まる。ここでは、走査線156−865〜走査線156−1080まで書込まれる(S14)。このとき書き込まれる画像信号は、第1補完画像信号である。第1補完画像信号は、第1原画像と第2原画像の間の内挿画像として生成された補完画像である。このようにして、入力画像信号の1フレーム期間内で、動き量の大きい個別表示領域155のみの書込み走査の回数を倍増させることができる。つまり、個別表示領域155のみの表示レートを上げることができる。
【0052】
同様にして時刻t20で第2原画像信号の個別表示領域に対応する書込みが始まる。以下の書込み走査は第1原画像信号および第1補完画像信号の場合と同様である。また、同様にして時刻t30で第3原画像信号の個別表示領域に対応する書込みが始まる。以下の書込み走査は第1原画像信号および第1補完画像信号の場合と同様である。
【0053】
図6は、個別表示領域155が有する分割小領域である、分割小領域155−1〜155−27に表示される第1補完画像の補完位相を示す図である。すなわち、図5においてS14で示す第1補完画像信号の書込みによって表示される補完画像によって表示される補完画像の補完位相を示している。図6は、横軸に補完位相、縦軸に分割小領域の符号を示している。分割小領域155−1は、個別表示領域155の最上端に位置する分割小領域であり、個別表示領域154に隣接する分割小領域である。分割小領域155−27は、個別表示領域155の最下端に位置する分割小領域である。なお、図5の第1原画像信号で表示される第1原画像の位相は0.0、第2原画像信号で表示される第2原画像の位相は1.0である。
【0054】
分割小領域155−1における補完画像の補完位相は、0.1であり、他の分割小領域に比べて原画像の位相に最も近くなっている。分割小領域155−2における補完画像の補完位相は、分割小領域155−1よりも原画像の位相から遠い、0.2である。分割小領域155−3における補完画像の補完位相は、分割小領域155−2よりも原画像の位相から遠い、0.3である。分割小領域155−4における補完画像の補完位相は、分割小領域155−3よりも原画像の位相から遠い、0.4である。そして、分割小領域155−5〜分割小領域155−27における補完画像の補完位相は全て、正規位相である0.5である。つまり、第2区分領域である個別表示領域155における分割小領域毎の補完位相は、第1区分領域の一部である個別表示領域154との境界近傍において、個別表示領域154に近いほど原画像の位相に近くなる。言い換えると、第2区分領域である個別表示領域155における分割小領域毎の補完位相は、第1区分領域の一部である個別表示領域154と境界近傍において、個別表示領域154から離れるほど原画像の位相から遠くなる。このように第2区分領域の分割小領域毎の補完位相を調整することで、第1区分領域と第2区分領域との境界を目立たなくすることができる。
【0055】
なお、個別表示領域154との境界近傍において、個別表示領域155の分割小領域毎の補完位相の変化量を0.1ずつとし、4つの分割小領域を経て正規位相となるようにしているが、これに限られるものではない。例えば、分割小領域毎の補完位相の変化量をさらに大きな変化量とし、より少ない分割小領域を経て正規位相となるようにしてもよい。また、分割小領域毎の補完位相の変化量をさらに小さな変化量とし、より多くの分割小領域を経て正規位相となるようにしてもよい。
【0056】
このように、本実施の形態の画像表示装置100では、表示パネル150の第1区分領域において、入力画像信号のフレームレートと同じ表示レートで画像を表示し、第2区分領域において、部分的にそれよりも高いフレームレートで画像を表示させることができる。
【0057】
なお、上述した説明においては、個別表示領域151〜154が、入力画像信号の入力フレームレート以上のレートで画像を表示する第1区分領域であり、個別表示領域155が、第1区分領域に比べて高いレートで画像を表示する第2区分領域であったが、もちろん第1区分領域および第2区分領域を別の個別表示領域の組合せとすることができる。例えば、図7は、画像表示装置100の他の表示例を示す説明図である。図7では、個別表示領域151〜152、154〜155が、第1区分領域であり、個別表示領域153が第2区分領域である。このような例によれば、個別表示領域153を120Hzの表示レートで表示し、他の個別表示領域を60Hzの表示レートで表示することができる。
【0058】
図7の例においては、補完画像を表示する個別表示領域153は、上端側と下端側とで第1区分領域に隣接している。図8は、図7の例における個別表示領域153が有する分割小領域である、分割小領域153−1〜153−27に表示される第1補完画像の補完位相を示す図である。分割小領域153−1は、個別表示領域153の最上端に位置する分割小領域であり、個別表示領域152に隣接する分割小領域である。分割小領域153−27は、個別表示領域155の最下端に位置する分割小領域であり、個別表示領域154に隣接する分割小領域である。
【0059】
分割小領域153−1における補完画像の補完位相は、0.1であり、他の分割小領域に比べて原画像の位相に近くなっている。分割小領域153−2における補完画像の補完位相は、分割小領域153−1よりも原画像の位相から遠い、0.2である。分割小領域153−3における補完画像の補完位相は、分割小領域153−2よりも原画像の位相から遠い、0.3である。分割小領域153−4における補完画像の補完位相は、分割小領域153−3よりも原画像の位相から遠い、0.4である。そして、分割小領域155−5〜分割小領域155−23における補完画像の補完位相は全て、正規位相である0.5である。また、分割小領域153−24における補完画像の補完位相は、分割小領域153−23よりも原画像の位相に近い、0.4である。分割小領域153−25における補完画像の補完位相は、分割小領域153−24よりも原画像の位相に近い、0.3である。分割小領域153−26における補完画像の補完位相は、分割小領域153−25よりも原画像の位相に近い、0.2である。そして、分割小領域153−27における補完画像の補完位相は、分割小領域153−26よりも原画像の位相に近い、0.1であり、他の分割小領域に比べて原画像の位相に近くなっている。
【0060】
つまり、第2区分領域である個別表示領域153における分割小領域毎の補完位相は、第1区分領域の一部である個別表示領域152および154との境界近傍において、個別表示領域152および154に近いほど原画像の位相に近くなる。言い換えると、第2区分領域である個別表示領域153における分割小領域毎の補完位相は、第1区分領域の一部である個別表示領域152および154と境界近傍において、個別表示領域152および154から離れるほど原画像の位相から遠くなる。このように第2区分領域の分割小領域毎の補完位相を調整することで、第1区分領域と第2区分領域との境界を目立たなくすることができる。
【0061】
なお、第2区分領域における補完画像信号の書込み走査は、第2区分領域における書込み走査の間隔ができる限り均等な間隔となるようなタイミングで書込まれることが好ましい。上述した図5、図7では、第2区分領域における書込み走査の間隔が均等になっている。すなわち、画像表示装置100は、原画像や補完画像を均等な間隔で表示する。このように補完画像の内挿位置が均等となることで、より動画像の表示を滑らかに行うことができる。
【0062】
<3.まとめ>
以上説明したように、画像表示装置100は、入力画像信号から内挿画像信号を生成する画像信号処理部110と、複数の分割小領域を含む表示領域に、入力画像信号に基づく原画像および内挿画像信号に基づく補間画像の少なくとも一方を含む画像を順次表示する表示パネル150と、を有する。画像信号処理部110は、分割小領域毎に補間画像の位相を決定して内挿画像信号を生成する。表示パネル150は、各々が複数の分割小領域を含む第1区分領域と第2区分領域とを有し、第1区分領域においては、入力画像信号の入力フレームレート以上のレートで画像を表示し、第2区分領域においては、第1区分領域に比べて高いレートで画像を表示する。そして、第2区分領域に表示される補間画像の内少なくとも一部の補間画像は、第1区分領域と隣接する分割小領域に表示される補間画像の位相が、第1区分領域と離間する分割小領域に表示される補間画像の位相よりも、原画像の位相に近くなっている。
【0063】
このように、第1区分領域と第2分領域を有することで、部分的に動画像の高精細化を図ることができる。また、第1区分領域と隣接する分割小領域に表示される補間画像の位相が、第1区分領域と離間する分割小領域に表示される補間画像の位相よりも、原画像の位相に近いことで、第1区分領域と第2区分領域の境界を目立たなくすることができる。
【0064】
また、第2区分領域に表示される補間画像の内少なくとも一部の補間画像は、第1区分領域との境界近傍に位置する複数の分割小領域の内、第1区分領域に隣接する分割小領域に表示される補間画像の位相が原画像の位相に最も近く、第1区分領域から離れるほど原画像の位相から遠くなっている。これにより、第1区分領域と第2区分領域の境界をより目立たなくすることができる。
【0065】
また、第2区分領域に表示される補間画像の内少なくとも一部の補間画像は、第1区分領域との境界近傍に位置する複数の分割小領域においては、第1区分領域から離れるほど補間画像の位相が原画像の位相から遠くなり、境界近傍に位置する複数の分割小領域よりも第1区分領域から離れた分割小領域においては、補間画像の位相が正規位相となっている。これにより、第1区分領域と第2区分領域の境界をより目立たなくしつつ、第2区分領域での動画性能の改善をできるだけ高めることができる。
【0066】
また、表示パネル150は、複数の走査線156を有し、複数の走査線156を走査することにより表示領域に画像を表示させるゲートドライバ130をさらに有し、分割小領域は、各々が少なくとも1本以上の走査線156に対応した領域となっている。
【0067】
また、入力画像信号の特徴量を検出する特徴量検出部を備え、第2分領域は、特徴量に基づいて選択されてもよい。本実施の形態では、特徴量検出部は動きベクトル検出回路111であり、個別表示領域毎の画像の動き量を特徴量として検出する。そして、表示パネル150は、動き量が他の個別表示領域に比べて所定量以上大きい個別表示領域を前記第2区分領域として画像を表示してもよい。このようにすれば、画像の特徴に応じて適応的に第2区分領域を設定することができる。
【0068】
なお、特徴量検出部として、個別表示領域毎のテロップの有無を特徴量として検出してもよい。この場合、表示パネル150は、テロップが存在する個別表示領域がある場合に、当該個別表示領域を第2区分領域として画像を表示する。このようにすれば、動画性能の改善がより求められるテロップ領域を検出して第2区分領域に設定することができる。また、第2区分領域は、テロップ等の発生頻度の高い表示領域の下方領域を含む領域としてもよい。
【0069】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2に係る画像表示装置について説明する。本実施の形態に係る画像表示装置の構成は、図1に示す実施の形態1と同様である。本実施の形態においては、実施の形態1と比較して、表示パネル150の表示レートが異なる。
【0070】
図9を用いて本実施の形態に係る画像表示装置100の表示状態について説明する。図9は、画像表示装置100の表示状態を説明する説明図である。なお、以下の説明においては、個別表示領域155の動き量が、その他の個別表示領域の動き量よりも大きく(動きが早く)、個別表示領域155のフレームレートを他の個別表示領域に比べて高めた場合について説明する。すなわち、個別表示領域151〜154が、入力画像信号の入力フレームレート以上のレートで画像を表示する第1区分領域の一例であり、個別表示領域155が、第1区分領域に比べて高いレートで画像を表示する第2区分領域の一例である。本実施の形態においては、第1区分領域の一例である個別表示領域151〜154では、入力フレームレートの2倍の120Hzで画像を表示し、第2区分領域の一例である個別表示領域155では、第1区分領域よりも高い240Hzで画像を表示するものとする。
【0071】
より具体的には、図9は、表示パネル150への画像信号の書込みタイミングを示している。ここで、第2区分領域に対しては、高いレートで画像を表示する必要がある。そのため、表示パネル150への画像信号の書込み走査は、全表示領域が120Hzで画像を表示する場合の書込み走査と比べて速くなっている。
【0072】
本実施の形態における画像表示装置100の基本的な動作は、実施の形態1と同様であるが、補完画像を内挿する回数が多い点が異なっている。図5で示す実施の形態1において、第1原画像信号の書込み走査と第1補完画像信号の書込み走査が時刻t20で完了している。これに対して、本実施の形態においては、同様の第1原画像信号の書込み走査と第1補完画像信号の書込み走査が、時刻t123で完了する。続いて、同様の書込み走査によって、第1補完画像信号の書込み走査が各個別表示領域対して行われ、第1補完画像信号の書込み走査が個別表示領域155に対して行われる。このときの第1補完画像信号の書込み走査が完了する時刻がt20となっている。
【0073】
ここで、図10を用いて本実施の形態に関連する補完画像の補完位相について説明する。図10は、時間的に連続する2つの原画像の間に3つの補完画像を内挿する場合の補完位相を説明する図である。図10(a)は、時刻Tに原画像1が表示され、時刻Tに原画像2が表示される様子を示している。原画像1においては図中Pで示すオブジェクトが画像の左側に位置している。また、原画像2においてはオブジェクトPが画像の右側に位置している。つまり、原画像1から原画像2において、オブジェクトPは、左側から右側へ移動するオブジェクトを表している。ここで、原画像1の位相を0.0、原画像2の位相を1.0としている。図10(b)〜(f)は、時刻Tと時刻Tとの中間である時刻Tに正規位相の補完画像2が内挿されるとともに、時刻Tと時刻Tとの中間である時刻T15と、時刻Tと時刻Tとの中間である時刻T25とに、補完画像1と補完画像3とがそれ内挿されて表示される様子を示している。図10(b)において補完画像1は、オブジェクトPが、原画像1の位置から右側へ1/20だけ移動した位置に位置している。すなわち、図10(b)における補完画像1の補完位相は、0.05である。図10(c)において補完画像1は、オブジェクトPが、原画像1の位置から右側へ2/20だけ移動した位置に位置している。すなわち、図10(c)における補完画像1の補完位相は、0.1である。図10(d)において補完画像1は、オブジェクトPが、原画像1の位置から右側へ3/20だけ移動した位置に位置している。すなわち、図10(d)における補完画像1の補完位相は、0.15である。図10(e)においてにおいて補完画像1は、オブジェクトPが、原画像1の位置から右側へ4/20だけ移動した位置に位置している。すなわち、図10(e)における補完画像1の補完位相は、0.2である。図10(f)において補完画像1は、オブジェクトPが、原画像1の位置から右側へ5/20、つまりちょうど1/4移動した位置に位置している。すなわち、図10(f)における補完画像1の補完位相は、0.25である。図10において補完画像1は、(b)から(f)へ行くほど補完位相が原画像1の位相から離れている。つまり、図10(b)の補完画像1の補完位相が原画像1の位相に最も近く、図10(f)の補完画像1の補完位相が原画像1の位相から最も遠い。図10(f)の補完画像1の補完位相は、正規位相である。
【0074】
また、図10(b)において補完画像3は、オブジェクトPが、原画像1の位置から右側へ19/20だけ移動した位置に位置している。すなわち、図10(b)における補完画像3の補完位相は、0.95である。図10(c)において補完画像3は、オブジェクトPが、原画像1の位置から右側へ18/20だけ移動した位置に位置している。すなわち、図10(c)における補完画像3の補完位相は、0.9である。図10(d)において補完画像3は、オブジェクトPが、原画像1の位置から右側へ17/20だけ移動した位置に位置している。すなわち、図10(d)における補完画像3の補完位相は、0.85である。図10(e)においてにおいて補完画像3は、オブジェクトPが、原画像1の位置から右側へ16/20だけ移動した位置に位置している。すなわち、図10(e)における補完画像3の補完位相は、0.8である。図10(f)において補完画像3は、オブジェクトPが、原画像1の位置から右側へ15/20、つまりちょうど3/4移動した位置に位置している。すなわち、図10(f)における補完画像3の補完位相は、0.75である。図10において補完画像3は、(b)から(f)へ行くほど補完位相が原画像2の位相から離れている。つまり、図10(b)の補完画像3の補完位相が原画像2の位相に最も近く、図10(f)の補完画像3の補完位相が原画像2の位相から最も遠い。図10(f)の補完画像3の補完位相は、正規位相である。
【0075】
図10に説明した補完位相を用いて、本実施形態での補完画像の補完位相について説明する。図11(a)は、個別表示領域155が有する分割小領域である、分割小領域155−1〜155−27に表示される第1補完画像の補完位相を示す図である。すなわち、図9においてS14で示す第1補完画像信号の書込みによって表示される補完画像によって表示される補完画像の補完位相を示している。第1補完画像信号の書込みによって表示される補完画像は、図10の補完画像1に相当する。分割小領域155−1は、個別表示領域155の最上端に位置する分割小領域であり、個別表示領域154に隣接する分割小領域である。分割小領域155−27は、個別表示領域155の最下端に位置する分割小領域である。なお、図9の第1原画像信号で表示される第1原画像の位相は0.0、第2原画像信号で表示される第2原画像の位相は1.0である。
【0076】
図11(a)の分割小領域155−1における補完画像の補完位相は、0.05であり、他の分割小領域に比べて第1原画像の位相に最も近くなっている。分割小領域155−2における補完画像の補完位相は、分割小領域155−1よりも第1原画像の位相から遠い、0.1である。分割小領域155−3における補完画像の補完位相は、分割小領域155−2よりも第1原画像の位相から遠い、0.15である。分割小領域155−4における補完画像の補完位相は、分割小領域155−3よりも第1原画像の位相から遠い、0.2である。そして、分割小領域155−5〜分割小領域155−27における補完画像の補完位相は全て、正規位相である0.25である。
【0077】
図11(b)は、個別表示領域155が有する分割小領域である、分割小領域155−1〜155−27に表示される第1補完画像の補完位相を示す図である。すなわち、図9においてS24で示す第1補完画像信号の書込みによって表示される補完画像によって表示される補完画像の補完位相を示している。第1補完画像信号の書込みによって表示される補完画像は、図10の補完画像3に相当する。分割小領域155−1は、個別表示領域155の最上端に位置する分割小領域であり、個別表示領域154に隣接する分割小領域である。分割小領域155−27は、個別表示領域155の最下端に位置する分割小領域である。なお、図9の1補完画像信号の書込みによって表示される補完画像の位相は、全ての分割小領域で一定であり、0.5である。
【0078】
図11(b)の分割小領域155−1における補完画像の補完位相は、0.95であり、他の分割小領域に比べて第2原画像の位相に最も近くなっている。分割小領域155−2における補完画像の補完位相は、分割小領域155−1よりも第2原画像の位相から遠い、0.9である。分割小領域155−3における補完画像の補完位相は、分割小領域155−2よりも第2原画像の位相から遠い、0.85である。分割小領域155−4における補完画像の補完位相は、分割小領域155−3よりも第2原画像の位相から遠い、0.8である。そして、分割小領域155−5〜分割小領域155−27における補完画像の補完位相は全て、正規位相である0.75である。
【0079】
このように、第2区分領域である個別表示領域155における分割小領域毎の補完位相は、第1区分領域の一部である個別表示領域154との境界近傍において、個別表示領域154に近いほど原画像の位相に近くなる。言い換えると、第2区分領域である個別表示領域155における分割小領域毎の補完位相は、第1区分領域の一部である個別表示領域154と境界近傍において、個別表示領域154から離れるほど原画像の位相から遠くなる。このように第2区分領域の分割小領域毎の補完位相を調整することで、第1区分領域と第2区分領域との境界を目立たなくすることができる。
【0080】
なお、個別表示領域154との境界近傍において、個別表示領域155の分割小領域毎の補完位相の変化量を0.05ずつとし、4つの分割小領域を経て正規位相となるようにしているが、これに限られるものではない。例えば、分割小領域毎の補完位相の変化量をさらに大きな変化量とし、より少ない分割小領域を経て正規位相となるようにしてもよい。また、分割小領域毎の補完位相の変化量をさらに小さな変化量とし、より多くの分割小領域を経て正規位相となるようにしてもよい。
【0081】
このようにして、入力画像信号の1フレーム期間内で、表示領域全体の画像の表示レートを2倍にした上で、特に動き量の大きい個別表示領域155のみの書込み走査の回数をさら倍増させることができる。つまり、個別表示領域155のみの表示レートを4倍に上げることができる。
【0082】
つまり、本実施の形態の画像表示装置100では、表示パネル150の第1区分領域において、入力画像信号のフレームレートよりも高い表示レートで画像を表示し、第2区分領域において、部分的にそれよりも高いフレームレートで画像を表示させるような場合にも適応することができる。
【0083】
なお、上述した説明においては、個別表示領域151〜154が、入力画像信号の入力フレームレート以上のレートで画像を表示する第1区分領域であり、個別表示領域155が、第1区分領域に比べて高いレートで画像を表示する第2区分領域であったが、もちろん第1区分領域および第2区分領域を別の個別表示領域の組合せとすることができる。
【0084】
なお、上述した実施の形態において、分割小領域は、8本の走査線に対応している領域であったが、これに限られない。例えば、8本以上の走査線に対応した領域であってもよいし、走査線毎に対応した領域であってもよい。
【0085】
また、上述した実施の形態において、表示パネルが有する表示領域は、5つの個別表示領域を含んでいるが、これに限られない。例えば5つ未満であってもよいし、5つよりも多く設けてもよい。
【0086】
また、上述した実施の形態において、第2区分領域が1つの個別表示領域に対応していたが、複数の個別表示領域に対応していてもよい。このような構成によれば、表示領域内の複数の箇所の画像を高精細化させることができる。
【0087】
以上、本発明の各実施の形態について説明した。
【0088】
なお、以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されない。つまり、上記装置の構成及び動作等についての説明は例であり、本発明の範囲においてこれらの例に対する様々な変更及び追加が可能であることは明らかである。
【0089】
例えば、上記各実施の形態では、液晶パネルを用いる液晶表示装置を画像表示装置の例として説明したが、有機ELパネルを用いる有機EL表示装置など、様々なアクティブマトリクス型表示装置にも、本願発明は適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、動画像を表示する画像表示装置において、動画像の高精細化に好適である。
【符号の説明】
【0091】
100 画像表示装置
110 画像信号処理部
111 動きベクトル検出回路
112 補完位相決定回路
113 補完画像生成回路
120 パネル制御回路
130 ゲートドライバ
140 ソースドライバ
150 表示パネル
151〜155 個別表示領域
156 走査線
157 ソース線


【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力画像信号から内挿画像信号を生成する画像信号処理部と、
複数の分割小領域を含む表示領域に、入力画像信号に基づく原画像および内挿画像信号に基づく補間画像の少なくとも一方を含む画像を順次表示する表示部と、を有し、
前記画像信号処理部は、前記分割小領域毎に前記補間画像の位相を決定して前記内挿画像信号を生成し、
前記表示部は、各々が複数の前記分割小領域を含む第1区分領域と第2区分領域とを有し、前記第1区分領域においては、前記入力画像信号の入力フレームレート以上のレートで画像を表示し、前記第2区分領域においては、前記第1区分領域に比べて高いレートで画像を表示し、
前記第2区分領域に表示される補間画像の内少なくとも一部の補間画像は、前記第1区分領域と隣接する分割小領域に表示される補間画像の位相が、前記第1区分領域と離間する分割小領域に表示される補間画像の位相よりも、原画像の位相に近い、
画像表示装置。
【請求項2】
前記第2区分領域に表示される補間画像の内少なくとも一部の補間画像は、前記第1区分領域との境界近傍に位置する複数の分割小領域の内、前記第1区分領域に隣接する分割小領域に表示される補間画像の位相が原画像の位相に最も近く、前記第1区分領域から離れるほど原画像の位相から遠くなる、
請求項1記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記第2区分領域に表示される補間画像の内少なくとも一部の補間画像は、前記第1区分領域との境界近傍に位置する複数の分割小領域においては、前記第1区分領域から離れるほど補間画像の位相が原画像の位相から遠くなり、前記境界近傍に位置する複数の分割小領域よりも前記第1区分領域から離れた分割小領域においては、補間画像の位相が正規位相である、
請求項1記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記表示部は、複数の走査線を有し、
前記複数の走査線を走査することにより、前記表示領域に画像を表示させる走査部をさらに有し、
前記分割小領域は、各々が少なくとも1本以上の前記走査線に対応した領域である、
請求項1記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記入力画像信号の特徴量を検出する特徴量検出部を備え、
前記第2分領域は、前記特徴量に基づいて選択される、
請求項1記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記特徴量検出部は、前記個別表示領域毎の画像の動き量を特徴量として検出し、
前記表示部は、前記動き量が他の個別表示領域に比べて所定量以上大きい個別表示領域を前記第2区分領域として画像を表示する、
請求項5記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記特徴量検出部は、前記個別表示領域毎のテロップの有無を特徴量として検出し、
前記表示部は、テロップが存在する個別表示領域がある場合に、当該個別表示領域を前記第2区分領域として画像を表示する、
請求項5記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記第2区分領域は、前記表示領域の下方領域を含む、
請求項1記載の画像表示装置。
【請求項9】
前記表示部は、液晶パネルである、
請求項1記載の画像表示装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−22226(P2012−22226A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−161367(P2010−161367)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】