説明

画像補正処理回路及びこれを集積化して成る半導体装置

【課題】本発明は、入力画像に適切な画像補正処理を施して所望の出力画像を生成することが可能な画像補正処理回路を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る画像補正処理回路は、入力画像に所定の画像補正処理を施して出力画像を生成する画像補正部11と;前記入力画像の1フィールド毎に輝度ヒストグラムを取得し、その平均輝度値、標準偏差値、及び、中間値のいずれか2値ないしは3値全て(図1の例では、平均輝度値ACAVGと標準偏差値ACVRC)を算出する演算部12と;演算部12で算出された前記輝度ヒストグラムの平均輝度値、標準偏差値、及び、中間値のいずれか2値ないしは3値全てに基づいて、前記入力画像に対する画像補正処理の要否や補正量を判定し、画像補正部11の制御を行う補正制御部13と;を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力画像に種々の画像補正処理を施して所望の出力画像を生成する画像補正処理回路、及び、これを集積化して成る半導体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、デジタル画像を取り扱うデバイスないしシステム(屋内外監視カメラ、ネットワークカメラ(IPカメラ)、Webカメラ、インターホンなど)の分野では、入力画像に種々の画像補正処理(霧消し補正処理、逆光補正処理、明暗補正処理など)を施すことにより、所望の出力画像を生成する画像補正処理回路が用いられている。
【0003】
なお、上記従来の画像補正処理回路は、一般に、入力画像の一フィールドを複数のエリアに分割し、各エリア毎に取得される輝度ヒストグラムに基づいて、入力画像がどのようなシーンであるのか(例えば、霧が掛かっているのか、逆光状態であるのか)を判別し、入力画像に最適な画像補正処理を施す構成とされていた。
【0004】
上記に関連する従来技術の一例としては、特許文献1を挙げることができる。
【特許文献1】特許第3981260号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
確かに、画像補正処理回路を用いれば、霧が掛かった入力画像や逆光の入力画像をより視認性の高い出力画像に変換し、これを表示デバイスに送出することが可能となる。
【0006】
しかしながら、上記従来の画像補正処理回路で採用されているシーン判別手法では、必ずしも適切なシーン判別結果が得られないケースもあり、さらなる改善の余地があった。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑み、入力画像に適切な画像補正処理を施して所望の出力画像を生成することが可能な画像補正処理回路、及び、これを集積化して成る半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る画像補正処理回路は、入力画像に所定の画像補正処理を施して出力画像を生成する画像補正部と;前記入力画像の1フィールド毎に輝度ヒストグラムを取得し、その平均輝度値、標準偏差値、及び、中間値のいずれか2値ないしは3値全てを算出する演算部と;前記演算部で算出された前記輝度ヒストグラムの平均輝度値、標準偏差値、及び、中間値のいずれか2値ないしは3値全てに基づいて、前記入力画像に対する画像補正処理の要否や補正量を判定し、前記画像補正部の制御を行う補正制御部と;を有して成る構成(第1の構成)とされている。
【0009】
なお、上記第1の構成から成る画像補正処理回路において、前記画像補正部は、前記入力画像に対して霧画像補正処理を施すものであり、前記補正制御部は、前記輝度ヒストグラムの平均輝度値と標準偏差値に基づいて、前記霧画像補正処理の要否や補正量を判定するものである構成(第2の構成)にするとよい。
【0010】
また、上記第2の画像補正処理回路において、前記補正制御部は、前記輝度ヒストグラムの平均輝度値が第1の閾値よりも大きく、かつ、前記輝度ヒストグラムの標準偏差値が第2の閾値よりも小さいとき、前記霧画像補正処理が必要であると判定する構成(第3の構成)にするとよい。
【0011】
また、上記第3の構成から成る画像補正処理回路において、前記補正制御部は、前記霧画像補正処理が必要であると判定したとき、前記輝度ヒストグラムの標準偏差値が小さいほど、前記霧画像補正処理の補正量を段階的に或いは連続的に大きく設定する構成(第4の構成)にするとよい。
【0012】
また、上記第3または第4の構成から成る画像補正処理回路において、第1の閾値、及び、第2の閾値の少なくとも一方には、ヒステリシス幅が設定されている構成(第5の構成)にするとよい。
【0013】
また、上記第1〜第5いずれかの構成から成る画像補正処理回路は、前記入力画像に対する画像補正処理の要否や補正量を判定する際に前記補正制御部で参照される種々のパラメータを外部設定するためのレジスタを有して成る構成(第6の構成)にするとよい。
【0014】
また、本発明に係る半導体装置は、上記第1〜第6いずれかの構成から成る画像補正処理回路を集積化して成る構成(第7の構成)とされている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、入力画像に適切な画像補正処理を施して所望の出力画像を生成することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は、本発明に係る画像処理ICの一実施形態を示すブロック図である。本実施形態の画像処理IC10は、霧画像補正部11と、輝度ヒストグラム演算部12と、補正制御部13と、レジスタ14と、を有して成る画像補正処理回路が集積化された半導体装置である。なお、図1には明示されていないが、画像処理IC10には、霧画像補正部11のほかにも、入力画像に対して種々の画像処理(輝度ダイナミックレンジ補正、明暗補正、逆光補正など)を施す回路ブロックを含めることが可能である。
【0017】
霧画像補正部11は、画像ソース20から入力される入力画像に霧画像補正処理を施して所望の出力画像を生成し、これを表示デバイス30に出力する手段である。画像ソース20は、画像処理IC10に入力される入力画像を生成する手段であり、例えば、動画撮影を行うデジタルビデオカメラや、静止画撮影を行うデジタルスチルカメラなどを用いることができる。また、画像ソース20としては、放送受信装置(デジタルテレビジョン放送の受信装置など)やメディア再生装置(ビデオCD、DVD、ブルーレイディスク、ハードディスク、半導体メモリなどの再生機能を備えたドライブ装置のほか、インターネットを介して提供される映像コンテンツの再生機能を備えたパーソナルコンピュータなど)を用いることも可能である。表示デバイス30は、画像処理IC10で霧画像補正処理が施された出力画像を表示する手段であり、LCD[Liquid Crystal Display]や有機EL[Electro-Luminescence]ディスプレイなどを用いることができる。
【0018】
輝度ヒストグラム演算部12は、画像ソース20から入力される入力画像の1フィールド(フレーム)毎に輝度ヒストグラムを取得し、その平均輝度値、標準偏差値、及び、中間値のいずれか2値ないしは3値全てを算出する手段である。なお、図1の例において、輝度ヒストグラム演算部12は、輝度ヒストグラムの平均輝度値ACAVGと標準偏差値ACVRCを算出する構成とされている。
【0019】
補正制御部13は、輝度ヒストグラム演算部12で算出された輝度ヒストグラムの平均輝度値、標準偏差値、及び、中間値のいずれか2値ないしは3値全てに基づいて、入力画像に対する霧画像補正処理の要否や補正量を判定し、その判定結果に基づいて霧画像補正部11の制御を行う手段である。なお、図1の例において、補正制御部13は、輝度ヒストグラムの平均輝度値ACAVGと第1の閾値(ACAVGTH1、ACAVGTH2)とを比較する第1比較部131と、輝度ヒストグラムの標準偏差値ACVRCと第2の閾値(ACVRCTH1〜ACVRCTH3)とを比較する第2比較部132と、第1比較部131及び第2比較部132の比較結果に基づいて霧画像補正処理の要否や補正量を判定する判定部133と、を有して成る構成とされている。なお、補正制御部13による霧画像補正部11の制御動作については、後ほど詳細な説明を行う。
【0020】
レジスタ14は、入力画像に対する霧画像補正処理の要否や補正量を判定する際に補正制御部13で参照される種々のパラメータ(先に述べた第1の閾値や第2の閾値を含む)をマイコン40から外部設定するためのパラメータ格納手段である。
【0021】
次に、補正制御部13の動作説明に先立ち、霧が掛かっている入力画像と霧が掛かっていない入力画像との間で、各々の輝度ヒストグラムにどのような差違が生じるかを考察する。図2A、図2Bは、それぞれ、霧が掛かっている入力画像とその輝度ヒストグラムを示す模式図であり、図3A、図3Bは、それぞれ、霧が掛かっていない入力画像とその輝度ヒストグラムを示す模式図である。
【0022】
一般に、霧が掛かっている入力画像(図2A)は、霧が掛かっていない入力画像(図3A)に比べて、全体的に白く(明るく)、コントラストの低い(輝度ダイナミックレンジの狭い)画像となる。すなわち、霧が掛かっている入力画像の輝度ヒストグラムは、霧が掛かっていない入力画像の輝度ヒストグラムに比べて、平均輝度値が高く、かつ、その標準偏差値が小さいものとなる(図2B、図3B)。
【0023】
補正制御部13は、上記の考察に鑑み、輝度ヒストグラム演算部12で算出された輝度ヒストグラムの平均輝度値ACAVGと標準偏差値ACVRCに基づいて、入力画像に対する霧画像補正処理の要否や補正量を判定し、その判定結果に基づいて霧画像補正部11の制御を行う構成とされている。
【0024】
図4は、補正制御部13(特に判定部133)による霧画像補正処理の要否判定を説明するためのフローチャートである。なお、本フローチャートの開始時には、レジスタ値FR_ATが「1(霧画像補正処理:自動)」に設定されており、レジスタ値FR_ENが「0(霧画像補正処理:停止中)」に設定されているものとする。
【0025】
まず、本フローチャートの内容説明を行うに先立ち、上記のレジスタ値FR_AT及びレジスタ値FR_ENについて詳細に説明する。レジスタ値FR_ATは、霧画像補正処理の実行方法を設定するためのレジスタ値である。レジスタ値FR_ATが「0」に設定されているときには、霧画像補正処理が手動で実行され、レジスタ値FR_ATが「1」に設定されているときには、霧画像補正処理が自動的に実行される。なお、レジスタ値FR_ATが「1」に設定されているときには、レジスタ値FR_ENのビット制御(霧画像補正処理の動作確認制御)も自動的に行われる。
【0026】
レジスタ値FR_ENは、霧画像補正処理の動作制御(イネーブル制御)ないしは動作確認を行うためのレジスタ値である。レジスタ値FR_ATが「0(霧画像補正処理:手動)」に設定されている場合、レジスタ値FR_ENは霧画像補正処理の動作制御(イネーブル制御)に用いられる。すなわち、レジスタ値FR_ENが「0」に設定されているときには、霧画像補正処理がディセーブルとされ、レジスタ値FR_ENが「1」に設定されているときには、霧画像補正処理がイネーブルとされる。一方、レジスタ値FR_ATが「1(霧画像補正処理:自動)」に設定されている場合、レジスタ値FR_ENは霧画像補正処理の動作確認に用いられる。すなわち、レジスタ値FR_ENが「0」に設定されているときには、霧画像補正処理が停止中であると確認され、レジスタ値FR_ENが「1」に設定されているときには霧画像補正処理が動作中であると確認される。
【0027】
次に、図4に示すフローチャートの内容について具体的に説明する。本フローチャートが開始されると、ステップS1では、輝度ヒストグラムの平均輝度値ACAVGと第1の閾値(ステップS1では上側閾値ACAVGTH1)との比較判定が行われる。ここで、ACAVG≧ACAVGTH1であると判定された場合には、フローがステップS2(補正量調整ステート)に進められる。一方、ACAVG≧ACAVGTH1ではないと判定された場合には、フローがステップS4に進められる。
【0028】
ステップS1において、ACAVG≧ACAVGTH1であると判定された場合、ステップS2では、霧画像補正部11における霧画像補正処理がオン(基本的にはレジスタ値FR_EN=「1」)とされ、補正量(補正強度)の調整処理が実施される。なお、ステップS2での補正量調整処理については、後ほど詳細に説明する。
【0029】
一方、ステップS1において、ACAVG≧ACAVGTH1ではないと判定された場合、ステップS4では、レジスタ値FR_ENが「1」に設定されているか否かの判定、並びに、輝度ヒストグラムの平均輝度値ACAVGと第1の閾値(ステップS4では下側閾値ACAVGTH2(≦ACAVGTH1))との比較判定が行われる。ここで、レジスタ値FR_ENが「1」に設定されており、かつ、ACAVG≧ACAVGTH2であると判定された場合には、フローが先述のステップS2に進められる。一方、レジスタ値FR_ENが「1」に設定されていない、或いは、ACAVG≧ACAVGTH2ではないと判定された場合には、フローがステップS5に進められる。
【0030】
ステップS4において、レジスタ値FR_ENが「1」に設定されていない、或いは、ACAVG≧ACAVGTH2ではないと判定された場合、ステップS5では、霧画像補正部11における霧画像補正処理がオフ(レジスタ値FR_EN=「0」)とされ、フローがステップS3に進められる。
【0031】
ステップS2において補正量調整処理が完了された後、或いは、ステップS5において霧画像補正処理がオフとされた後、ステップS3では、レジスタ値FR_ATが「0(霧画像補正処理:手動)」に設定されているか否かの判定が行われる。ここで、レジスタ値FR_ATが「0」に設定されていないと判定された場合には、フローがステップS1に戻されて、輝度ヒストグラムの平均輝度値ACAVGと第1の閾値(ステップS1では上側閾値ACAVGTH1)との比較判定が繰り返される。一方、レジスタ値FR_ATが「0」に設定されていると判定された場合には、霧画像補正処理を手動実行に切り替えるべく、一連のフローが終了される。
【0032】
なお、輝度ヒストグラムの平均輝度値ACAVGと比較される第1の閾値については、先に述べたように、上側閾値ACAVGTH1と下側閾値ACAVGTH2を調整して、所定のヒステリシス幅を設定することが望ましい。このようなヒステリシス幅を設定することにより、図5に示したように、霧画像補正処理がオフされているとき(レジスタ値FR_EN=「0」であるとき)には、輝度ヒストグラムの平均輝度値ACAVGが上側閾値ACAVGTH1に達するまで霧画像補正処理がオンされることはなく、逆に、霧画像補正処理がオンされているとき(レジスタ値FR_EN=「1」であるとき)には、輝度ヒストグラムの平均輝度値ACAVGが下側閾値ACAVGTH2を下回るまで霧画像補正処理がオフされることはないので、霧画像補正処理のオン/オフ発振を防止して、出力画像のちらつきを抑制することが可能となる。なお、上側閾値ACAVGTH1と下側閾値ACAVGTH2は、いずれもマイコン40からレジスタ14に外部設定することが可能であり、上側閾値ACAVGTH1と下側閾値ACAVGTH2を同一値に設定した場合には、上記のヒステリシス機能がオフとなる。
【0033】
次に、ステップS2における補正量調整処理について図6Aを参照しながら詳述する。図6Aは、補正量調整処理の一例を示す図である。なお、図6Aの横軸には、輝度ヒストグラムの標準偏差値ACVRCが示されており、図6Aの縦軸には霧画像補正処理の補正量(補正強度)を設定するためのレジスタ値FRADJが示されている。
【0034】
ステップS2における補正量調整処理に際して、補正制御部13は、輝度ヒストグラムの標準偏差値ACVRCと第2の閾値(ACVRCTH1〜ACVRCTH3、ACVRCTHx〜ACVRCTHz)との比較判定を行い、入力画像に対して霧画像補正処理を施す必要があるか否か、並びに、入力画像に対して霧画像補正処理を施す必要がある場合には、その補正量(補正強度)をレジスタ値FRADJ1〜FRADJ5のいずれに設定すべきかの判定を行う。
【0035】
なお、第2の閾値のうち、3つの閾値(ACVRCTH1、ACVRCTH2、ACVRCTH3)は、マイコン40からレジスタ14に外部設定することが可能であり、その余の3つの閾値(ACVRCTHx、ACVRCTHy、ACVRCTHz)は、閾値ACVRCTH1と閾値ACVRCTH2との間を4等分する形で自動的に内部設定されるものである。従って、第2の閾値のうち、3つの閾値(ACVRCTH1、ACVRCTH2、ACVRCTH3)を外部設定する際には、ACVRCTH1+4≦ACVRCTH2≦ACVRCTH3という関係を満たしておく必要がある。
【0036】
また、補正量の候補値となるレジスタ値FRADJ1〜FRADJ5についても、マイコン40からレジスタ14に外部設定することが可能である。なお、レジスタ値FRADJ1〜FRADJ5を外部設定する際には、輝度ヒストグラムの標準偏差値ACVRCが小さいほど、霧画像補正処理の補正量を段階的に大きく設定すべく、FRADJ5≧FRADJ4≧FRADJ3≧FRADJ2≧FRADJ1(ただし、FRADJ5>FRADJ1)という関係を満たしておく必要がある。
【0037】
なお、先に説明した第1の閾値(ACAVGTH1、ACAVGTH2)と同様、第2の閾値(ACVRCTH1〜ACVRCTH3、ACVRCTHx〜ACVRCTHz)についても、所定のヒステリシス幅を設定しておくことが望ましい。例えば、図6Aのように、輝度ヒストグラムの標準偏差値ACVRCが次第に小さくなる場合(補正量を増大させていく必要がある場合)には、実線で示される経路で補正量の調整を行い、輝度ヒストグラムの標準偏差値ACVRCが次第に大きくなる場合(補正量を低減していく必要がある場合)には、破線で示される経路で補正量の調整を行えばよい。
【0038】
例えば、前回の比較判定時にACVRC=ACVRCTHyと判定され、現在の補正量がレジスタ値FRADJ3に設定されている場合を考える。この場合、輝度ヒストグラムの標準偏差値ACVRCが閾値ACVRCTHxを下回るまで補正量がレジスタ値FRADJ4に切り替えられることはなく(図6Aの実線を参照)、逆に、輝度ヒストグラムの標準偏差値ACVRCが閾値ACAVGTHz以上になるまで補正量がレジスタ値FRADJ2に切り替えられることはない(図6Aの破線を参照)。従って、霧画像補正処理の補正量が頻繁に切り替わることを防止して、出力画像のちらつきを抑制することが可能となる。
【0039】
また、霧画像補正処理がオフとされている場合、輝度ヒストグラムの標準偏差値ACVRCが閾値ACVRCTH2を下回った時点で、霧画像補正処理がオンとされ、輝度ヒストグラムの標準偏差値ACVRCに応じた補正量の調整処理が開始される(図6Aの実線を参照)。一方、霧画像補正処理が一旦オンされた後は、輝度ヒストグラムの標準偏差値ACVRCが閾値ACVRCTH2以上となっても、霧画像補正処理はオン状態に維持され、標準偏差値ACVRCが閾値ACVRCTH3以上になった時点で、霧画像補正処理がオフとされる(図6Aの破線を参照)。従って、霧画像補正処理のオン/オフ発振を防止して、出力画像のちらつきを抑制することが可能となる。なお、閾値ACVRCTH3を輝度ヒストグラムの標準偏差値ACVRCが取り得る最大値に設定した場合には、霧画像補正処理が常時オンとされる。
【0040】
上記したように、本実施形態の画像処理IC10において、補正制御部13は、輝度ヒストグラムの平均輝度値ACAVGが第1の閾値(図4や図5の例では、閾値ACAVGTH1または閾値ACAVGTH2)よりも大きく、かつ、輝度ヒストグラムの標準偏差値ACVRCが第2の閾値(図6Aの例では、閾値ACVRCTH2またはACVRCTH3)よりも小さいとき、霧画像補正処理が必要であると判定する。このように、輝度ヒストグラムの平均輝度値ACAVG及び標準偏差値ACVRCに基づいて、入力画像に対する霧画像補正処理の要否や補正量を判定する構成であれば、入力画像のエリア分割処理を要することなく適切なシーン判別を行い、シーン毎に最適な霧画像補正処理を施すことができるので、出力画像の視認性を高めることが可能となる。
【0041】
なお、上記で説明した霧画像補正処理の要否や補正量の判定処理は、入力画像の1フィールド(フレーム)毎に行われるが、その判定結果に基づいて霧画像補正部11への指示内容を更新する頻度については、必ずしも1フィールド毎でなくてもよく、16フィールド毎、32フィールド毎、ないしは、64フィールド毎など、マイコン40からのレジスタ設定に応じて任意に調整することが可能である。
【0042】
また、マイコン40を用いてソフトウェア演算処理を行うことにより、上記で説明した霧画像補正処理やその要否判定並びに補正量調整を行うことも可能ではあるが、本発明に係る画像処理IC10を用いてハードウェア演算処理を行えば、マイコン40に掛かる負荷を減らすことができるので、システム全体として処理速度の向上やコストの低減を実現することが可能となる。
【0043】
なお、上記の実施形態では、霧画像補正処理回路に本発明を適用した構成を例に挙げて説明を行ったが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではなく、その他の画像補正処理回路にも広く適用することが可能である。例えば、逆光画像補正処理回路に本発明を適用する場合であれば、入力画像の1フレーム毎に輝度ヒストグラムを取得し、その平均輝度値が比較的低く、標準偏差値が比較的大きく、かつ、中間値が比較的高い場合には、入力画像が逆光状態であると認識して、逆光補正処理を行うように構成すればよい。
【0044】
また、本発明の構成は、上記実施形態のほか、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。
【0045】
例えば、上記実施形態において、補正制御部13は、霧画像補正処理が必要であると判定したとき、輝度ヒストグラムの標準偏差値ACVRCが小さいほど、霧画像補正処理の補正量を段階的に大きく設定する構成(図6Aを参照)を例に挙げて説明を行ったが、本発明の構成はこれに限定されるものではなく、例えば、輝度ヒストグラムの標準偏差値ACVRCが小さいほど、霧画像補正処理の補正量を連続的に大きく設定する構成(図6Bを参照)としても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、入力画像に種々の画像補正処理を施して所望の出力画像を生成する画像補正処理回路、及び、これを集積化して成る半導体装置において、出力画像の視認性を高める上で有用な技術である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】は、本発明に係る画像処理ICの一実施形態を示すブロック図である。
【図2A】は、霧が掛かっている画像を示す模式図である。
【図2B】は、霧が掛かっている画像の輝度ヒストグラムを示す模式図である。
【図3A】は、霧が掛かっていない画像を示す模式図である。
【図3B】は、霧が掛かっていない画像の輝度ヒストグラムを示す模式図である。
【図4】は、霧画像補正処理の要否判定を説明するためのフローチャートである。
【図5】は、輝度ヒストグラムの平均輝度値ACAVGと第1の閾値(ACAVGTH1、ACAVGTH2)との比較判定動作を説明するための図である。
【図6A】は、補正量調整処理の一例を示す図である。
【図6B】は、補正量調整処理の別の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
10 画像処理IC(半導体装置)
11 霧画像補正部
12 輝度ヒストグラム演算部
13 補正制御部
131 第1比較部
132 第2比較部
133 判定部
14 レジスタ
20 画像ソース(撮像デバイスなど)
30 表示デバイス(液晶ディスプレイなど)
40 マイコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力画像に所定の画像補正処理を施して出力画像を生成する画像補正部と;
前記入力画像の1フィールド毎に輝度ヒストグラムを取得し、その平均輝度値、標準偏差値、及び、中間値のいずれか2値ないしは3値全てを算出する演算部と;
前記演算部で算出された前記輝度ヒストグラムの平均輝度値、標準偏差値、及び、中間値のいずれか2値ないしは3値全てに基づいて、前記入力画像に対する画像補正処理の要否や補正量を判定し、前記画像補正部の制御を行う補正制御部と;
を有して成ることを特徴とする画像補正処理回路。
【請求項2】
前記画像補正部は、前記入力画像に対して霧画像補正処理を施すものであり、
前記補正制御部は、前記輝度ヒストグラムの平均輝度値と標準偏差値に基づいて、前記霧画像補正処理の要否や補正量を判定するものであることを特徴とする請求項1に記載の画像補正処理回路。
【請求項3】
前記補正制御部は、前記輝度ヒストグラムの平均輝度値が第1の閾値よりも大きく、かつ、前記輝度ヒストグラムの標準偏差値が第2の閾値よりも小さいとき、前記霧画像補正処理が必要であると判定することを特徴とする請求項2に記載の画像補正処理回路。
【請求項4】
前記補正制御部は、前記霧画像補正処理が必要であると判定したとき、前記輝度ヒストグラムの標準偏差値が小さいほど、前記霧画像補正処理の補正量を段階的に或いは連続的に大きく設定することを特徴とする請求項3に記載の画像補正処理回路。
【請求項5】
第1の閾値、及び、第2の閾値の少なくとも一方には、ヒステリシス幅が設定されていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の画像補正処理回路。
【請求項6】
前記入力画像に対する画像補正処理の要否や補正量を判定する際に前記補正制御部で参照される種々のパラメータを外部設定するためのレジスタを有して成ることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の画像補正処理回路。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれかに記載の画像補正処理回路を集積化して成ることを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【公開番号】特開2010−147969(P2010−147969A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−325166(P2008−325166)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】