説明

画像補正装置、画像読取装置、画像形成装置及びプログラム

【課題】読み取り画像のシェーディング補正時に使用される回路の記憶領域(RAM領域)を削減することができる、画像補正装置、画像読取装置、画像形成装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】色及び種類の異なる複数の画像情報を取得する取得部と、特定の色及び種類の画像情報を選択する情報選択部と、選択された画像情報を累積加算して記憶する累積記憶部と、累積加算された画像情報の平均値を取得する平均値取得部と、取得された画像情報の平均値を色別に記憶する色別記憶部と、取得部で取得された画像情報の種類に応じて、対象画像のシェーディング補正が行われるように演算を行うと共に、補正情報又は補正済み画像情報が記憶されるように各部を制御する演算制御部と、を備える画像補正装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像補正装置、画像読取装置、画像形成装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、撮像装置における白シェーディングや黒シェーディングを補正するシェーディング補正回路であって、前記白シェーディングや前記黒シェーディングを補正するためのデジタル値で示された基準データのうち、当該白シェーディングや黒シェーディングを補正のために有効な成分を抽出する有効データ抽出部と、前記有効データ抽出部が抽出した前記有効な成分を記憶する記憶部と、前記撮像装置により撮像された通常画像を表す入力画像データについて、前記記憶部から読み出した前記有効な成分を参照して、前記白シェーディングや前記黒シェーディングを補正する補正部と、を備えたことを特徴とするシェーディング補正回路が開示されている。
【0003】
特許文献2には、複数の読取画素が形成されたセンサチップを複数個配列してなる等倍イメージセンサを備え、この等倍イメージセンサから通常の原稿画像データと暗出力データとを読取り、この原稿画像データから暗出力データを除去することにより暗出力の補正を行い、所望とする真の原稿画像データの出力を得る暗出力補正装置において、前記等倍イメージセンサの各読取画素から出力される暗出力データの各センサチップ毎の暗出力代表値を検出する暗出力代表値検出手段を設け、この暗出力代表値検出手段により検出された各センサチップ毎の暗出力代表値を記憶する暗出力代表値記憶手段を設け、この暗出力代表値記憶手段から読出した各センサチップ毎の暗出力代表値を前記原稿画像データから対応するセンサチップ毎に減算する暗出力代表値減算手段を設けたことを特徴とする暗出力補正装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−236834号公報
【特許文献2】特開平7−74948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、本発明の構成を備えない場合と比較して、読み取り画像のシェーディング補正時に使用される回路の記憶領域(RAM領域)を削減することができる、画像補正装置、画像読取装置、画像形成装置及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、色及び種類の異なる複数の画像情報を取得する取得部と、前記取得部で取得される複数の画像情報の中から、特定の色及び種類の画像情報を選択する情報選択部と、前記情報選択部で選択された画像情報を累積加算して記憶する累積記憶部と、前記累積記憶部で累積加算された画像情報の平均値を取得する平均値取得部と、前記平均値取得部で取得された画像情報の平均値を色別に記憶する色別記憶部と、前記取得部で取得された画像情報の種類に応じて、対象画像のシェーディング補正が行われるように演算を行うと共に、補正情報又は補正済み画像情報が記憶されるように前記情報選択部、前記累積記憶部、前記平均値取得部及び前記色別記憶部の各々を制御する演算制御部と、を備える画像補正装置である。
【0007】
請求項2に記載の発明は、前記演算制御部が、前記取得部で補正情報を生成するための基準情報を取得した場合には、前記情報選択部で前記基準情報が選択されて、前記平均値取得部で取得された画像情報の平均値が補正情報として記憶されるように、前記情報選択部、前記累積記憶部、前記平均値取得部及び前記色別記憶部の各々を制御する第1の制御を行う、請求項1に記載の画像補正装置である。
【0008】
請求項3に記載の発明は、前記演算制御部が、前記取得部で補正対象となる対象情報を取得した場合には、前記色別記憶部に記憶された補正情報を用いて前記対象情報を補正する演算を行うと共に、前記情報選択部で補正済みの画像情報が選択されて、前記平均値取得部で取得された画像情報の平均値が補正済み画像情報として記憶されるように、前記情報選択部、前記累積記憶部、前記平均値取得部及び前記色別記憶部の各々を制御する第2の制御を更に行う、請求項1又は請求項2に記載の画像補正装置である。
【0009】
請求項4に記載の発明は、前記第1の制御で補正情報が記憶された前記色別記憶部の領域に、前記第2の制御で取得された前記補正済み画像情報を上書き記憶する、請求項3に記載の画像補正装置である。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4までの何れか1項に記載の画像補正装置と、物体から光学的に画像を読み取って前記画像補正装置に色及び種類の異なる複数の画像情報を出力する画像読取部と、を備えた画像読取装置である。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項4までの何れか1項に記載の画像補正装置と、物体から光学的に画像を読み取って前記画像補正装置に色及び種類の異なる複数の画像情報を出力する画像読取部と、前記画像補正装置によりシェーディング補正された補正済み画像情報に基づいて、媒体上に画像を形成する画像形成部と、を備えた画像形成装置である。
【0012】
請求項7に記載の発明は、色及び種類の異なる複数の画像情報を取得する取得部と、前記取得部で取得される複数の画像情報の中から、特定の色及び種類の画像情報を選択する情報選択部と、前記情報選択部で選択された画像情報を累積加算して記憶する累積記憶部と、前記累積記憶部で累積加算された画像情報の平均値を取得する平均値取得部と、前記平均値取得部で取得された画像情報の平均値を色別に記憶する色別記憶部と、を備えた画像補正装置を制御するプログラムであって、コンピュータを、前記取得部で取得された画像情報の種類に応じて、対象画像のシェーディング補正が行われるように演算を行うと共に、補正情報又は補正済み画像情報が記憶されるように前記情報選択部、前記累積記憶部、前記平均値取得部及び前記色別記憶部の各々を制御する演算制御部として機能させる、プログラムである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、本発明の構成を備えない場合と比較して、読み取り画像のシェーディング補正時に使用される回路の記憶領域(RAM領域)を削減することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、取得された基準情報の平均値を補正情報として記憶することができる。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、取得された対象情報を補正情報により補正すると共に、取得された補正済みの画像情報の平均値を補正済み画像情報として記憶することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、本発明の構成を備えない場合と比較して、読み取り画像のシェーディング補正を行う回路のRAM領域を更に削減することができる。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、本発明の構成を備えない場合と比較して、読み取り画像のシェーディング補正時に使用される回路のRAM領域を削減することができる。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、本発明の構成を備えない場合と比較して、読み取り画像のシェーディング補正時に使用される回路のRAM領域を削減することができる。
【0019】
請求項7に記載の発明によれば、本発明の構成を備えない場合と比較して、読み取り画像のシェーディング補正時に使用される回路のRAM領域を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の構成の一例を示す概略斜視図である。
【図2】図1に示す画像形成装置の電気系の要部構成の一例を示すブロック図である。
【図3】図1に示す画像読取部の構成の一例を示す概略断面図である。
【図4】図1に示す裏面画像読取部の構成の一例を示す概略断面図である。
【図5】図1に示す裏面画像読取部の構成の一例を示す機能ブロック図である。
【図6】図5に示す平均値演算回路の構成の一例を示す機能ブロックである。
【図7】図3に示す画像読み取り制御部で実行される「補正データ取得処理」の流れの一例を示すフローチャートである。
【図8】図3に示す画像読み取り制御部で実行される「補正済みデータ取得処理」の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
【0022】
<画像形成装置>
まず、本実施の形態に係る画像形成装置について説明する。
【0023】
(画像形成装置の概略構成)
図1は本発明の実施の形態に係る画像形成装置の構成の一例を示す概略斜視図である。図1に示すように、本実施の形態に係る画像形成装置10は、画像読取部12、画像形成部14、用紙供給部16、及び操作パネル18を備えている。
【0024】
画像読取部12は、原稿用紙を置く原稿台22、画像が読み取られた原稿用紙が排出される原稿排出部24、原稿台22に置かれた原稿用紙を搬送する搬送機構、原稿用紙等の画像を光学的に読み取る画像読取センサ、原稿用紙を走査するための走査機構等を含んで構成されている。画像読取部12は、上記構成により、原稿台22に置かれた原稿用紙を1枚ずつ取り込んで、原稿用紙の画像を読み取り、画像情報を生成する。また、後述する基準板68を光学的に読み取り、シェーディング補正等の画像処理を行うための画像情報を取得する。
【0025】
本実施の形態では、画像読取部12は、原稿用紙の表面画像と裏面画像とを1回の搬送で読み取る「両面読取装置」として構成されている。なお、搬送機構、画像読取センサ、走査機構等、画像読取部12の詳細な構成については後述する。ここでは、外観上の構成について説明する。
【0026】
原稿台22の上面には、原稿台22に置かれた原稿用紙が搬送される際に、原稿用紙を案内する1対のガイド26A、26Bが設けられている。1対のガイド26A、26Bは、少なくとも一方が原稿台22に置かれた原稿用紙の幅方向(原稿用紙の搬送方向に直交する方向)に移動するように構成されている。1対のガイド26A、26Bは、原稿台22に置かれた原稿用紙の幅に応じて移動される。
【0027】
また、原稿台22には、原稿用紙が原稿台22に置かれたことを検知するセンサ30が配置されている。センサ30としては、原稿の有無を検知するセンサであれば特に制限はない。光源から原稿に光を照射して反射光を検出する反射型の光センサ(フォトリフラクタ)、光源から照射した光が遮断されたことを検出する透過型の光センサ(フォトインタラプタ)等を用いてもよい。また、センサ30は、1対のガイド26A、26Bの移動に伴い、A4サイズ、B5サイズ、A5サイズ、レターサイズ等、原稿用紙の幅方向のサイズを検知するように構成してもよい。
【0028】
画像形成部14は、用紙供給部16から供給された用紙上に画像を形成する画像形成機構、画像が形成された用紙を用紙排出部32に排出するための排出機構等を含んで構成されている。例えば、画像形成機構は、電子写真方式により画像を形成する画像形成ユニット(感光体ドラム、帯電装置、露光装置、現像装置、転写装置、クリーニング装置等)、定着装置を含んで構成される。画像形成部14は、上記構成により、用紙供給部16から供給された用紙上に画像を形成し、画像が形成された用紙を用紙排出部32に排出する。
【0029】
用紙供給部16は、用紙を収容する用紙収容部、用紙収容部から画像形成部14に用紙を供給する供給機構等を含んで構成されている。供給機構は、用紙収容部から用紙を取り出す取出ローラ、搬送ローラ等で構成されている。用紙の種類やサイズに応じて、複数の用紙収容部を備えていてもよい。用紙供給部16は、上記構成により、画像形成部14に用紙を供給する。
【0030】
操作パネル18は、設定画面等の各種画面を表示するためのタッチパネル34、スタートボタンやテンキー等の各種ボタン36などを含んで構成されている。操作パネル18は、上記構成により、ユーザの操作を受け付けると共に、ユーザに各種情報を表示するUI(ユーザ・インタフェース)として機能する。
【0031】
次に、画像形成装置10の電気的な構成について説明する。
図2は図1に示す画像形成装置10の電気系の要部構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、画像形成装置10は、メインコントローラ81、ハードディスク装置等の二次記憶装置(HDD)90、画像読取制御部92、画像形成制御部94、外部インタフェース96、及び操作パネル18を備えている。
【0032】
メインコントローラ81は、装置全体の制御及び各種演算を行うコンピュータとして構成されている。メインコントローラ81は、CPU(中央処理装置; Central Processing Unit)84、ROM(Read Only Memory)86、及びRAM(Random Access Memory)88を備えている。CPU84は、ROM86又はHDD90に記憶されたプログラムを読み出し、RAM88をワークエリアとして使用してプログラムを実行する。
【0033】
画像読取制御部92は、画像読取部12内に配置され、画像読取処理の全体を制御する制御ユニットである。画像読取制御部92は、CPU、ROM、RAM等を備えるコンピュータとして構成され、画像読取部12の各部の制御や各種演算を行う。画像形成制御部94は、画像形成部14内に配置され、画像形成処理の全体を制御する制御ユニットである。画像形成制御部94は、CPU、ROM、RAM等を備えるコンピュータとして構成され、画像形成部14の各部の制御や各種演算を行う。
【0034】
外部インタフェース96は、有線又は無線の通信回線を介して外部装置と通信を行うためのインタフェースである。例えば、LAN(Local Area Network)等のネットワークに接続されたコンピュータと通信を行うためのインタフェースとして機能する。HDD90には、ログデータ等の各種データ、装置全体を制御するための各種プログラム等が記憶される。
【0035】
CPU84、ROM86、RAM88、HDD90、画像読取制御部92、画像形成制御部94、外部インタフェース96、及び操作パネル18の各々は、バス98を介して電気的に接続されている。メインコントローラ81は、バス98を介して、HDD90、画像読取制御部92、画像形成制御部94、及び操作パネル18の各々との間で情報の授受を行う。また、メインコントローラ81は、バス98及び外部インタフェース96を介して、外部装置との間で情報の授受を行う。
【0036】
(画像読取部の構成)
ここで、画像読取部12の構成を詳細に説明する。
図3は図1に示す画像読取部12の構成の一例を示す概略断面図である。上記の通り、画像読取部12は「両面読取装置」として構成されている。図3に示すように、画像読取部12は、原稿台22に置かれた原稿を搬送する原稿搬送部40、原稿用紙の表面画像を読み取る表面画像読取部42、及び原稿用紙の裏面画像を読み取る裏面画像読取部66を備えている。裏面画像読取部66は、原稿搬送部40内に固定配置されている。また、裏面画像読取部66は、表面画像読取部42に対し、原稿用紙の搬送方向下流側に配置されている。
【0037】
原稿搬送部40は、原稿台22を昇降させる昇降機構44、昇降機構44により上昇された原稿台22に置かれた原稿用紙の束の最上面に接触して原稿用紙を一枚ずつ取り込む取込ローラ46、取込ローラ46により取り込まれた原稿用紙を搬送路48に供給する供給ローラ50、搬送路48に沿って原稿用紙をさらに搬送方向下流側に搬送する種々の搬送ローラ52、54、56、58、60等を備えている。各ローラの回転軸は、原稿用紙の搬送方向と交差する方向に延びている。
【0038】
また、原稿搬送部40は、搬送される原稿用紙のループ状態に応じて支点を中心として回転移動する案内機構62、原稿用紙を原稿排出部24に排出する排出ローラ64を備えている。ここで、原稿用紙のループ状態とは、原稿用紙の搬送路48がループを形成するように曲げられており、原稿用紙が搬送路48に沿って湾曲した状態となることを意味する。
【0039】
表面画像読取部42は、透明な第1プラテンガラス70A、透明な第2プラテンガラス70B、原稿用紙に向けて照明光を照射する光源72、原稿用紙で反射された反射光の光路を折り曲げる反射ミラー74、76、78、反射ミラー78で反射された反射光を結像させるレンズ80、レンズ80の結像位置に配置された画像読取センサ82等を備えている。ここで「透明」とは、上記照明光及び反射光の各々を透過することを意味する。
【0040】
本実施の形態の画像読取部12は、原稿搬送部40によって搬送中の原稿用紙から、表裏両面の画像を読み取る「両面読取装置」として構成されている。しかしながら、原稿用紙の片面の画像を読み取る場合には、原稿搬送部40を用いずに、第1プラテンガラス70A上に原稿用紙を置いて、第1プラテンガラス70Aと対向する面の画像を読み取ってもよい。
【0041】
第1プラテンガラス70Aは、第1プラテンガラス70A上に置かれた原稿用紙の片面の画像を読み取るために、表面画像読取部42の上面の中央部に設けられている。表面画像読取部42の上面の周辺部(即ち、第1プラテンガラス70Aの周囲)には、上記照明光及び反射光を遮断する遮光部材(図示せず)が配置されている。
【0042】
一方、第2プラテンガラス70Bは、原稿搬送部40によって搬送中の原稿用紙の表面画像を読み取るために、遮光部材に形成された開口部である。従って、第2プラテンガラス70Bは、表面画像読取部42の上面の周辺部の一部に設けられている。図3に示す例では、第2プラテンガラス70Bは、原稿搬送部40の搬送ローラ58と対向するように配置されている。即ち、搬送ローラ58が配置された位置で、原稿用紙の表面画像が読み取られる。以下、この位置を「表面画像の読取位置」という。
【0043】
光源72としては、蛍光ランプ、光源アレイ等が用いられる。光源アレイとしては、原稿用紙の搬送方向と交差する方向に沿って複数のLED(Light Emitting Diode)が配列されたLEDアレイ等を用いてもよい。光源72、反射ミラー74、76、78の各々は、キャリッジに搭載されてキャリッジと共に矢印C方向に移動される。図3に示す例では、光源72及び反射ミラー74は、キャリッジ83Aに搭載されてキャリッジ83Aと共に矢印C方向に移動される。また、反射ミラー76及び78は、キャリッジ83Bに搭載されてキャリッジ83Bと共に矢印C方向に移動される。
【0044】
画像読取センサ82としては、複数の受光素子や光電変換素子が基板上に配列されたイメージセンサ等が用いられる。イメージセンサとしては、原稿用紙の搬送方向と交差する方向に沿って複数のCCD(Charge Coupled Device)が配列されたCCDラインセンサ等を用いてもよい。また、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の固体撮像素子を用いてもよい。
【0045】
裏面画像読取部66は、原稿搬送部40の搬送ローラ58と搬送ローラ60との間に配置されている。また、本実施の形態では、裏面画像読取部66は、原稿用紙に密着させて画像を読み取る「密着型イメージセンサ(CIS:Contact Image Sensor)」として構成される。従って、裏面画像読取部66は、搬送路48に沿って搬送される原稿用紙の裏面に対向するように配置されている。即ち、裏面画像読取部66が配置された位置で、原稿用紙の裏面画像が読み取られる。以下、この位置を「裏面画像の読取位置」という。なお、裏面画像読取部66の詳細な構成については後述する。
【0046】
搬送路48を挟んで裏面画像読取部66に対向する位置には、シェーディング補正用の基準データを取得するための基準板68が配置されている。なお、シェーディング補正用の各種データについては後述するが、取得された基準データから補正データが生成される。基準板68は、裏面画像読取部66に対向する面が白色の背景白板としてもよい。また、基準板68は、白シェーディング補正用の白基準データを取得するための白基準板と、黒シェーディング補正用の黒基準データを取得するための黒基準板とを含んで構成されていてもよい。
【0047】
ここで、裏面画像読取部66の構成について説明する。
図4は図1に示す裏面画像読取部66の構成の一例を示す概略断面図である。図4に示すように、裏面画像読取部66は、原稿搬送部40により搬送される原稿用紙の裏面又は基準板68に向けて照明光を照射する光源101、原稿用紙の裏面又は基準板68で反射された反射光を結像させるレンズ107、レンズ107の結像位置に配置された画像読取センサ100等を備えている。光源101、レンズ107及び画像読取センサ100の各々は、筐体109内の予め定めた位置に固定されて、筐体109内に収納されている。
【0048】
光源101としては、複数の発光素子が基板上に配列された光源アレイ等が用いられる。レンズ107としては、複数のレンズが配列されたレンズアレイ等が用いられる。画像読取センサ100としては、表面画像読取部42の画像読取センサ82と同様に、CCDラインセンサ、CMOSイメージセンサ等のイメージセンサが用いられる。本実施の形態では、光源101、レンズ107及び画像読取センサ100の各々が、以下のように構成される例について説明する。
【0049】
光源101は、原稿用紙の搬送方向と交差する方向に沿って複数のLED(Light Emitting Diode)が配列されたLEDアレイとして構成されている。レンズ107は、原稿用紙の搬送方向と交差する方向に沿って複数のロッドレンズが配列されたロッドレンズアレイとして構成されている。画像読取センサ100は、R色用CCDラインセンサ102、G色用CCDラインセンサ104及びB色用CCDラインセンサ106と、RGB各色に対応したセンサを有するイメージセンサとして構成されている(図5参照)。
【0050】
(画像読取部の動作)
次に、画像読取部12の動作について説明する。画像読取部12は、画像読取制御部92により制御されて以下の両面読取動作を行う。
【0051】
原稿用紙が表面を上側にして原稿台22に置かれると、昇降機構44により原稿台22を上昇させる。原稿台22が予め定めた位置まで上昇して停止すると、取込ローラ46が原稿台22に置かれた原稿用紙の束の最上面に接触し、取込ローラ46により原稿用紙が一枚ずつ取り込まれる。供給ローラ50に到達した原稿用紙は、供給ローラ50により搬送路48に供給されて、原稿用紙の搬送が開始される。搬送ローラ52に到達した原稿用紙は、搬送ローラ52により搬送方向下流側に搬送される。
【0052】
搬送ローラ54に到達した原稿用紙は、搬送ローラ54により搬送方向下流側に搬送される。また、搬送された原稿用紙の先端が停止している搬送ローラ56に突き当てられて、原稿用紙が搬送路48に沿って湾曲したループ状態とされる。原稿用紙がループ状態になると、案内機構62が支点を中心として外側に開くように回転して、原稿用紙のループ状態を保持しながら原稿用紙を案内する。画像の読み取りの開始タイミングに合わせて、停止されていた搬送ローラ56が回転を開始する。
【0053】
搬送ローラ56に到達した原稿用紙は、搬送ローラ56により位置合わせ(レジストレーション調整)されて、搬送方向下流側に搬送される。また、搬送ローラ56により、搬送ローラ58が配置された「表面画像の読取位置」に原稿用紙が供給される。表面画像の読取位置では、原稿用紙の表面が第2プラテンガラス70Bと対向する状態となる。搬送ローラ58に到達した原稿用紙は、搬送ローラ58により第2プラテンガラス70Bに押圧された状態で、搬送方向下流側に搬送される。表面画像読取部42により、第2プラテンガラス70Bを介して、搬送中の原稿用紙の表面画像が読み取られる。
【0054】
表面画像が読み取られた原稿用紙は、搬送方向下流側に搬送されて、裏面画像読取部66が配置された「裏面画像の読取位置」に供給される。裏面画像の読取位置では、原稿用紙の裏面が裏面画像読取部66と対向する状態となる。裏面画像読取部66により、搬送中の原稿用紙の裏面画像が読み取られる。裏面画像が読み取られた原稿用紙は、搬送ローラ60により搬送方向下流側に搬送される。排出ローラ64に到達した原稿用紙は、排出ローラ64により原稿排出部24に排出される。
【0055】
なお、原稿用紙が「裏面画像の読取位置」に到達する前に、裏面画像読取部66により基準板68を読み取って、シェーディング補正用の基準データや補正データを取得する。画像読取センサ100のCCDラインセンサからの入力画像には、CCDラインセンサの特性やレンズ収差に起因して濃度レベルのムラ(シェーディング)が発生している。補正データを用いてシェーディング補正を行うことで、この濃度レベルのムラが除去される。シェーディング補正を含む各種信号処理については後述する。
【0056】
また、第1プラテンガラス70Aの上面に原稿用紙が置かれた場合には、以下のようにして表面画像読取部42により原稿用紙の片面の画像が読み取られる。矢印C方向へ光源72、反射ミラー74、76及び78を移動させながら、光源72から照明光を原稿用紙に向けて照射する。即ち、原稿用紙の片面が照明光により走査される。照明光は、第1プラテンガラス70Aを通過して原稿用紙に照射され、原稿用紙により反射される。反射光は、第1プラテンガラス70Aを通過して、反射ミラー74、76及び78により光路が折り曲げられて、レンズ80に入射する。レンズ80に入射した光は、レンズ80により画像読取センサ82に結像される。これにより、原稿用紙の片面の画像が読み取られる。
【0057】
<裏面画像読取部における信号処理>
次に、裏面画像読取部66における信号処理について説明する。
図5は図1に示す裏面画像読取部66の機能的な構成の一例を示す機能ブロック図である。図5に示すように、裏面画像読取部66は、光源101、画像読取センサ100、及び画像読取センサ100により取得された画像信号に対し各種の信号処理を行う信号処理部110を備えている。光源101は、LEDアレイ等の光源アレイ103、及び光源アレイ103を駆動する駆動回路105を備えている。駆動回路105は、画像読取制御部92に接続されており、画像読取制御部92からの制御信号に基づいて光源アレイ103を点灯駆動する。
【0058】
画像読取センサ100は、R色用CCDラインセンサ102、G色用CCDラインセンサ104、B色用CCDラインセンサ106、及びRGB各色のCCDラインセンサを各々駆動する駆動回路108を備えている。駆動回路108は、画像読取制御部92に接続されており、画像読取制御部92からの制御信号に基づいてRGB各色のCCDラインセンサを駆動する。なお、RGB各色のCCDラインセンサは、周期的に画像信号が出力されるように駆動される。
【0059】
信号処理部110は、サンプルホールド回路112、出力増幅回路114、A/ D 変換回路116、及びシェーディング補正回路118を備えている。サンプルホールド回路112、出力増幅回路114、A/ D 変換回路116、及びシェーディング補正回路118の各々は、画像読取制御部92に接続されており、画像読取制御部92からの制御信号に基づいて動作する。なお、上記の信号処理部110の構成は一例であり、この構成に限定される訳ではない。必要に応じて、回路を追加又は削除してもよい。
【0060】
RGB各色に対応したCCDラインセンサ102、104及び106の各々から、RGB各色の1ライン分の画像信号が信号処理部110に入力される。入力されたRGB各色の画像信号は、サンプルホールド回路112でサンプリングされ、出力増幅回路114で適正なレベルに増幅されて、A/ D 変換回路116でアナログ信号からデジタル信号に変換される。
【0061】
デジタル信号に変換されたRGB各色の画像信号は、シェーディング補正用の平均値演算回路118に入力され、画像読取制御部92においてシェーディング補正されて、補正された画像信号が平均値演算回路118で再度処理されて、RGBからYMCKへの色変換処理等を行う後段の処理部(図示せず)に出力される。デジタル信号に変換されたRGB各色の画像信号は、1ライン分の画素値を表す画像情報である。
【0062】
<シェーディング補正用の平均値演算回路>
次に、シェーディング補正用の平均値演算回路118について説明する。
【0063】
(シェーディング補正用の各種データ)
まず、シェーディング補正で用いられる各種データについて説明する。
基準板68を読み取った場合の画像情報を「基準データ」と称し、この「基準データ」から生成されたシェーディング補正用の画像情報を「補正データ」と称する。また、原稿用紙の裏面を読み取った場合の画像情報を「原稿データ」と称し、この「原稿データ」を「補正データ」で補正して得られた画像情報を「補正済みデータ」と称する。
【0064】
シェーディング補正には、「黒補正データ」に基づいて原稿データを補正する黒シェーディング補正と、「白補正データ」に基づいて原稿データを補正する白シェーディング補正とがある。また、裏面画像読取部66で裏面画像を読み取る場合には、基準板68に紙粉等が付着することによる汚れを検出する「汚れ検出処理」等を実施してもよい。これら白シェーディング補正や汚れ検出処理に先立って、黒シェーディング補正が施された「黒補正済みデータ」が必要となる。
【0065】
例えば、黒シェーディング補正を行う場合には、裏面画像読取部66の光源101を消灯した状態で、基準板68を読み取って「黒基準データ」を取得し、取得された「黒基準データ」から「黒補正データ」を生成する。次に、裏面画像読取部66の光源101を点灯した状態で、原稿用紙の裏面画像を読み取って「原稿データ」を取得し、取得された「原稿データ」を「黒補正データ」で補正して「黒補正済みデータ」を取得する。
【0066】
(平均値演算回路の構成及び動作)
次に、平均値演算回路118の構成及び動作について説明する。
図6は図5に示す平均値演算回路118の機能的な構成の一例を示す機能ブロックである。本実施の形態では、平均値演算回路118は、基準データを入力データとして補正データを取得する「補正データ取得処理」と、原稿データ及び補正済みデータを入力データとして平均化された補正済みデータを取得する「補正済みデータ取得処理」とを、入力データの種類に応じて選択的に実行する。
【0067】
図6に示すように、平均値演算回路118は、選択部120、累積加算RAM122、除算回路124、選択部126、及び色別記憶RAM128を備えている。色別記憶RAM128には、R色領域、G色領域、及びB色領域が設けられている。選択部120、累積加算RAM122、除算回路124、選択部126、及び色別記憶RAM128(R色領域、G色領域及びB色領域)の各々は、画像読取制御部92に接続されており、画像読取制御部92からの制御信号に基づいて動作する。
【0068】
平均値演算回路118に、RGB各色の1ライン分の画像情報が入力される。上記の通り、入力データの種類としては、基準データ、原稿データ、及び補正済みデータがある。選択部120は、画像読取制御部92からの制御信号に基づいて、累積加算の対象となる画像情報を選択し、選択された画像情報を累積加算RAM122に出力する。例えば、R色の基準データ等、累積加算の対象となる画像情報は、色及びデータの種類により特定される。
【0069】
ここで、基準データ及び補正済みデータは累積加算の対象となるが、原稿データは累積加算の対象とならない。入力された原稿データは、選択部120で選択されることなく、画像読取制御部92に出力されて、シェーディング補正が実施される。
【0070】
累積加算RAM122は、画像読取制御部92からの制御信号に基づいて、複数ライン分の画像情報を累積加算して、累積加算された画像情報を除算回路124に出力する。除算回路124は、画像読取制御部92からの制御信号に基づいて、累積加算された画像情報をライン数で除算して平均値を算出し、画像情報の平均値を選択部126に出力する。
【0071】
選択部126は、画像読取制御部92からの制御信号に基づいて、平均値が算出された画像情報の色に応じて、画像情報の平均値を記憶する色別記憶RAM128の領域を選択する。そして、色別記憶RAM128の選択された領域に、画像情報の平均値が記憶される。例えば、R色の基準データの平均値が算出された場合には、色別記憶RAM128のR色領域が選択され、算出された平均値が色別記憶RAM128のR色領域に書き込まれる。
【0072】
色別記憶RAM128のR色領域、G色領域、及びB色領域の各々は、画像読取制御部92からの制御信号に基づいて、記憶された画像情報の平均値を出力する。例えば、各色の基準データの平均値は、「補正データ」として画像読取制御部92に出力される。また、各色の補正済みデータの平均値は、「平均化された補正済みデータ」として後段の処理部に出力される。
【0073】
例えば、平均値演算回路118を用いて、黒シェーディング補正だけを行ってもよい。この場合には、「平均化された黒補正済みデータ」を、白シェーディング補正を行う後段の処理部に出力してもよい。
【0074】
本実施の形態では、平均値演算回路118を用いて「補正データ取得処理」と「補正済みデータ取得処理」とが実行される。以下では、これらの各処理が共通の回路を用いて実行されることを更に詳しく説明する。
【0075】
(補正データ取得処理)
次に、画像読取制御部92で実行される「補正データ取得処理」について説明する。
図7は「補正データ取得処理」の流れの一例を示すフローチャートである。「補正データ取得処理」は、裏面画像読取部66により基準板68を読み取って「基準データ」を取得した場合に開始される。
【0076】
図7に示すように、ステップ100で、RGBの何れか1色の「基準データ」を累積加算の対象として選択するように、選択部120に指示する。選択部120は、制御信号に基づいて、RGBの何れか1色の基準データを選択し、選択された色の基準データを累積加算RAM122に出力する。
【0077】
次に、ステップ102で、選択された色の基準データを累積加算するように、累積加算RAM122に指示する。累積加算RAM122は、制御信号に基づいて、選択された色の基準データを累積加算して、累積加算された基準データを除算回路124に出力する。
【0078】
次に、ステップ104で、累積加算された基準データをライン数で除算するように、除算回路124に指示する。除算回路124は、制御信号に基づいて、累積加算された基準データをライン数で除算し、算出された基準データの平均値を選択部126に出力する。ここで算出された基準データの平均値が、シェーディング補正用の「補正データ」に相当する。
【0079】
次に、ステップ106で、補正データを記憶する色別記憶RAM128の領域を選択するように、選択部126に指示する。選択部126は、制御信号に基づいて、選択部120で選択された色に対応する領域を選択する。
【0080】
次に、ステップ108で、色別記憶RAM128の選択された領域に、補正データを書き込む。次のステップ110で、RGB三色について補正データを取得したか否かを判定する。ステップ110で肯定判定の場合には、補正データ取得処理を終了する。
【0081】
一方、ステップ110で否定判定の場合には、ステップ100に戻って、補正データが取得されていない色の「基準データ」について、ステップ100からステップ110までの処理を繰り返す。これにより、RGB三色について補正データが取得されて、色別記憶RAM128の各色に対応する領域に記憶される。
【0082】
(補正済みデータ取得処理)
次に、画像読取制御部92で実行される「補正済みデータ取得処理」について説明する。図8は「補正済みデータ取得処理」の流れの一例を示すフローチャートである。「補正済みデータ取得処理」は、裏面画像読取部66により原稿用紙の裏面画像を読み取って「原稿データ」を取得した場合に開始される。上記の通り、「原稿データ」は、選択部120で選択されることなく、画像読取制御部92に入力される。また、「補正済みデータ取得処理」は、上記の「補正データ取得処理」に続いて実行される。
【0083】
図8に示すように、ステップ200で、シェーディング補正を実施する。詳しくは、色別記憶RAM128の各領域に、補正データを画像読取制御部92出力するように指示する。取得された補正データを用いて予め定めた演算を行い、原稿データのシェーディング補正を実行する。演算手順は、シェーディング補正の方法に応じて設定される。
【0084】
例えば、黒シェーディング補正の場合には、原稿データから黒補正データを減算する。また、白シェーディング補正の場合には、既に黒シェーディング補正された原稿データ(即ち、黒補正済みデータ)に対し、乗算により正規化処理を行った後に、白補正データで除算する等の演算を行う。補正済みデータは、選択部120に出力される。
【0085】
次に、ステップ202で、RGBの何れか1色の「補正済みデータ」を累積加算の対象として選択するように、選択部120に指示する。選択部120は、制御信号に基づいて、RGBの何れか1色の補正済みデータを選択し、選択された色の補正済みデータを累積加算RAM122に出力する。
【0086】
次に、ステップ204で、選択された色の補正済みデータを累積加算するように、累積加算RAM122に指示する。累積加算RAM122は、制御信号に基づいて、選択された色の補正済みデータを累積加算して、累積加算された補正済みデータを除算回路124に出力する。
【0087】
次に、ステップ206で、累積加算された補正済みデータをライン数で除算するように、除算回路124に指示する。除算回路124は、制御信号に基づいて、累積加算された補正済みデータをライン数で除算し、算出された補正済みデータの平均値を選択部126に出力する。ここで算出された補正済みデータの平均値が、「平均化された補正済みデータ」に相当する。
【0088】
次に、ステップ208で、平均化された補正済みデータを記憶する色別記憶RAM128の領域を選択するように、選択部126に指示する。選択部126は、制御信号に基づいて、選択部120で選択された色に対応する領域を選択する。
【0089】
次に、ステップ210で、色別記憶RAM128の選択された領域に、平均化された補正済みデータを書き込む。色別記憶RAM128の各領域には、「補正データ取得処理」で取得された「補正データ」が先に記憶されている。ステップ210では、平均化された補正済みデータを同じ領域に上書きして、「補正データ」を「平均化された補正済みデータ」に書き換える。次のステップ212で、RGB三色について「平均化された補正済みデータ」を取得したか否かを判定する。ステップ212で肯定判定の場合には、補正済みデータ取得処理を終了する。
【0090】
一方、ステップ212で否定判定の場合には、ステップ200に戻って、平均化された補正済みデータが取得されていない色の「補正済みデータ」について、ステップ200からステップ212までの処理を繰り返す。これにより、RGB三色について「平均化された補正済みデータ」が取得されて、色別記憶RAM128の各色に対応する領域に記憶される。
【0091】
上記の通り、本実施の形態では、平均値演算回路118を用いて「補正データ取得処理」と「補正済みデータ取得処理」とを実行する。これらの処理を共通の回路を用いて実行することにより、累積加算RAM122をRGB各色毎に設け、累積加算RAM122及び色別記憶RAM128を処理毎に設ける場合と比べて、記憶領域(RAM領域)が大幅に削減される。
【0092】
また、基準データの平均値を「補正データ」とし、補正済みデータの平均値を「平均化された補正済みデータ」とすることにより、データ容量が低減されるので、RAM領域が更に削減される。
【0093】
ここで、RAM領域の削減量を具体的に算出する。従来手法では、RGB各色毎に累積加算RAMを設ける必要があった。また、処理毎に累積加算RAM及び色別記憶RAMを設ける必要があった。これに対して、本実施の形態では、累積加算RAMはRGB各色について共通とされる。また、累積加算RAM及び色別記憶RAMも各処理について共通とされる。
【0094】
画像情報のビット(bit)数を「x」とし、累積加算のビット数を「y」とし、1ライン分の画素数を「L」とする。累積加算RAMをRGB各色について共通としたことにより、RAM領域は削減される。このときのRAM領域の削減量は、従来手法で必要なビット数と本実施の形態で必要なビット数の差分「A」であり、差分「A」は下記式で表される。
【0095】
A=3L(x+y)−L[3x+(x+y)]
【0096】
即ち、従来手法では、累積加算RAMに「3Ly」のビット数が必要であり、色別記憶RAMに「3Lx」のビット数が必要である。従って、合計で「3L(x+y)」のビット数を必要としていた。これに対し、本実施の形態では、累積加算RAMに「Ly+Lx」のビット数が必要であり、色別記憶RAMに「3Lx」のビット数が必要である。従って、合計で「L[3x+(x+y)]」のビット数で済む。従って、上記差分「A」だけ、RAM領域が削減される。
【0097】
また、累積加算RAM及び色別記憶RAMを各処理について共通としたことにより、差分「A」に加えて、更に「3L(x+y)」のビット数が削減される。
【0098】
例えば、画像情報のビット数「x」を8ビット、累積加算のビット数「y」を6ビット、1ライン分の画素数「L」を8192個とすると、差分「A」は32768ビットとなり、更に344064ビットが削減されるので、結果として、376832ビットが削減される。
【0099】
なお、上記の実施の形態では、両面読取装置の裏面画像読取部にシェーディング補正用の平均値演算回路を設ける例について説明したが、読み取った画像に対しシェーディング補正を行う装置であれば、他の装置に対し平均値演算回路として上記構成の回路を用いてもよい。例えば、両面読取装置の表面画像読取部の平均値演算回路としてもよく、片面読取装置の平均値演算回路としてもよい。また、画像形成装置の画像読取装置に限定される訳ではなく、カメラ等の撮像装置のシェーディング補正における平均値演算回路としてもよい。
また、上記各実施の形態で説明した構成は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内においてその構成を変更してもよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0100】
10 画像形成装置
12 画像読取部
14 画像形成部
16 用紙供給部
18 操作パネル
22 原稿台
24 原稿排出部
26A、26B ガイド
30 センサ
32 用紙排出部
34 タッチパネル
36 各種ボタン
40 原稿搬送部
42 表面画像読取部
44 昇降機構
46 取込ローラ
48 搬送路
50 供給ローラ
52、54、56、58、60 搬送ローラ
62 案内機構
64 排出ローラ
66 裏面画像読取部
68 基準板
70A プラテンガラス
70B プラテンガラス
72 光源
74、76、78 反射ミラー
80 レンズ
81 メインコントローラ
82 画像読取センサ
83A、83B キャリッジ
92 画像読取制御部
94 画像形成制御部
96 外部インタフェース
98 バス
100 画像読取センサ
101 光源
110 信号処理部
112 サンプルホールド回路
114 出力増幅回路
116 変換回路
118 平均値演算回路
120 選択部
122 累積加算RAM
124 除算回路
126 選択部
128 色別記憶RAM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
色及び種類の異なる複数の画像情報を取得する取得部と、
前記取得部で取得される複数の画像情報の中から、特定の色及び種類の画像情報を選択する情報選択部と、
前記情報選択部で選択された画像情報を累積加算して記憶する累積記憶部と、
前記累積記憶部で累積加算された画像情報の平均値を取得する平均値取得部と、
前記平均値取得部で取得された画像情報の平均値を色別に記憶する色別記憶部と、
前記取得部で取得された画像情報の種類に応じて、対象画像のシェーディング補正が行われるように演算を行うと共に、補正情報又は補正済み画像情報が記憶されるように前記情報選択部、前記累積記憶部、前記平均値取得部及び前記色別記憶部の各々を制御する演算制御部と、
を備える画像補正装置。
【請求項2】
前記演算制御部が、
前記取得部で補正情報を生成するための基準情報を取得した場合には、前記情報選択部で前記基準情報が選択されて、前記平均値取得部で取得された画像情報の平均値が補正情報として記憶されるように、前記情報選択部、前記累積記憶部、前記平均値取得部及び前記色別記憶部の各々を制御する第1の制御を行う、
請求項1に記載の画像補正装置。
【請求項3】
前記演算制御部が、
前記取得部で補正対象となる対象情報を取得した場合には、前記色別記憶部に記憶された補正情報を用いて前記対象情報を補正する演算を行うと共に、前記情報選択部で補正済みの画像情報が選択されて、前記平均値取得部で取得された画像情報の平均値が補正済み画像情報として記憶されるように、前記情報選択部、前記累積記憶部、前記平均値取得部及び前記色別記憶部の各々を制御する第2の制御を更に行う、
請求項1又は請求項2に記載の画像補正装置。
【請求項4】
前記第1の制御で補正情報が記憶された前記色別記憶部の領域に、前記第2の制御で取得された前記補正済み画像情報を上書き記憶する、請求項3に記載の画像補正装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4までの何れか1項に記載の画像補正装置と、
物体から光学的に画像を読み取って前記画像補正装置に色及び種類の異なる複数の画像情報を出力する画像読取部と、
を備えた画像読取装置。
【請求項6】
請求項1から請求項4までの何れか1項に記載の画像補正装置と、
物体から光学的に画像を読み取って前記画像補正装置に色及び種類の異なる複数の画像情報を出力する画像読取部と、
前記画像補正装置によりシェーディング補正された補正済み画像情報に基づいて、媒体上に画像を形成する画像形成部と、
を備えた画像形成装置。
【請求項7】
色及び種類の異なる複数の画像情報を取得する取得部と、前記取得部で取得される複数の画像情報の中から、特定の色及び種類の画像情報を選択する情報選択部と、前記情報選択部で選択された画像情報を累積加算して記憶する累積記憶部と、前記累積記憶部で累積加算された画像情報の平均値を取得する平均値取得部と、前記平均値取得部で取得された画像情報の平均値を色別に記憶する色別記憶部と、を備えた画像補正装置を制御するプログラムであって、
コンピュータを、
前記取得部で取得された画像情報の種類に応じて、対象画像のシェーディング補正が行われるように演算を行うと共に、補正情報又は補正済み画像情報が記憶されるように前記情報選択部、前記累積記憶部、前記平均値取得部及び前記色別記憶部の各々を制御する演算制御部として機能させる、
プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−70125(P2013−70125A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205389(P2011−205389)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】