説明

画像記録用ガラス飛散防止シート

【課題】 コンピュータ制御されたプリンタを使用して高品質の画像形成が可能な、画像記録用ガラス飛散防止シートを提供すること。
【解決手段】 ガラス飛散防止機能を有するポリエステルフィルム;ポリエステルフィルムの第1の表面上に形成された画像受容層;ポリエステルフィルムの第2の表面上に形成された粘着剤層;及び粘着剤層の表面上に貼り付けられたポリマー製帯電防止性剥離ライナ;を有する、画像記録用ガラス飛散防止シート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガラス飛散防止シートに関し、特に、画像記録可能なガラス飛散防止シートに関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス飛散防止シートは、ガラス飛散防止機能を示す樹脂フィルム、その片面に形成された粘着剤層、及び使用するまでの間粘着剤層の表面を保護するために貼り付けられた剥離ライナ、を有するフィルム積層体である。使用の際には剥離ライナを剥がして粘着剤層の表面をガラスに貼り付ける。そうしておくと災害などによってガラスが破損した場合でもガラス片の飛散が防止され、ガラス片による二次被害が防止される。
【0003】
ガラス飛散防止シートの樹脂フィルムにはガラスが破損しても亀裂が入らないように十分な強度が要求される。そのため、樹脂フィルムには、一般に一定以上の厚さを有するポリエステルフィルムが使用される。例えば、特許文献1にはポリエチレンテレフタレートフィルム、及びその片面に形成されたアクリル系粘着剤層を有するガラス飛散防止シートが記載されている。
【0004】
ここで、ポリエステルフィルムの露出面、すなわち、粘着剤層が形成されない側の表面には、ガラス飛散防止シートの用途に応じて、紫外線、可視光線、熱線のような、ガラスを透過する放射線を選択的に遮断したり弱めたりする機能が付加されてよい。例えば、特許文献1にはポリエチレンテレフタレートフィルムの露出面に紫外線吸収層を設けることが記載されている。
【0005】
他方、ショーウィンドー及び建物や乗物の窓のようなガラス面を装飾するために従来から多様なデザインの装飾フィルムが用いられており、ガラス飛散防止シートにも装飾機能が求められている。
【0006】
装飾デザインは他者との差別化がその本質的な機能であり、独自性が尊重される。そのために、独自に作成したデザインを簡単に少量印刷することに対する需要が大きい。特許文献2にはかかる需要に対応して、光透過性粘着シートにコンピュータ制御されたプリンタを使用して画像を印刷すること、及び熱転写画像形成用光透過性粘着シートが記載されている。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のようなポリエステルフィルムはインク受容性に乏しく、プリンタによる画像形成が困難である。また、ガラス飛散防止シートをロールに巻きとった場合、ポリエステルフィルムの露出面(ガラス飛散防止シートの表面)とポリマー製剥離ライナの露出面(ガラス飛散防止シートの裏面)とが接触することになるため、ロールを巻き出す際には両面が剥離して静電気が発生し、ポリエステルフィルムの露出面が帯電する。帯電した表面にプリンタにより画像形成を行うと、画像に欠陥が生じて画像品質が低下する。
【0008】
また、特許文献2の光透過性粘着シートでは、樹脂フィルムとしてインク受容層を有しないポリメチルメタクリレート系フィルムが使用されている。ポリメチルメタクリレートはガラス飛散防止機能を実現するのに十分な強度を有していない。
【0009】
特許文献3には画像受容層を有するポリエステルフィルム等の透明基材に熱転写法によって画像を形成し、その後画像面に被覆層を形成することを特徴とする画像形成方法が記載されている。しかしながら、ここにはガラス飛散防止機能について説明されていない。
【特許文献1】特開平11−115107号公報
【特許文献2】特開2002−19309
【特許文献3】特開平5−318943号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記従来の問題を解決するものであり、その目的とするところは、コンピュータ制御されたプリンタを使用して高品質の画像形成が可能な、画像記録用ガラス飛散防止シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、ガラス飛散防止機能を有するポリエステルフィルム;
ポリエステルフィルムの第1の表面上に形成された画像受容層;
ポリエステルフィルムの第2の表面上に形成された粘着剤層;及び
粘着剤層の表面上に貼り付けられたポリマー製帯電防止性剥離ライナ;
を有する、画像記録用ガラス飛散防止シートを提供するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の画像記録用ガラス飛散防止シートはインク受容性に優れ、ロールを巻き出す際に静電気が発生し難く、コンピュータ制御されたプリンタを使用して高品質の画像形成が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は本発明の画像記録用ガラス飛散防止シートの層構造を示す断面図である。ポリエステルフィルム1はエステル結合を主鎖の主要な結合鎖とする高分子フィルムの総称である。ポリエステルフィルム1としてはポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレン−2,6ナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレン−2,6ナフタレートフィルムなどを挙げることができるが、これらの中でも品質、経済性の点でポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレン−2,6ナフタレートフィルムが最も好ましい。特にポリエチレン−2,6ナフタレートフィルムはオリゴマなどの滲み出しが少なく透明性を高いレベルで保持することができるので特に好ましく使用できる。
【0014】
ポリエステルフィルム1の厚さは25〜500μm、特に38〜200μmの範囲が好ましい。ポリエステルフィルムの厚さが25μm未満であるとガラス飛散防止機能が低下し、500μmを超えるとフィルムの透明性に悪影響が生じる。
【0015】
ポリエステルフィルム1は成分として紫外線吸収剤を含有していることが好ましい。フィルムの表面に紫外線吸収層を設けると窓ガラスの屋内側に貼られた場合、粘着剤層側から外光があたるため、紫外線吸収層の効果が十分に発揮されず、ポリエステルフィルムの劣化が進んでしまうおそれがあるからである。また、紫外線吸収層を表面に設けると印刷時のインク受容能が低下するおそれもある。
【0016】
画像受容層2はプリンタから供給されるインクを受容し、トナーや着色剤を維持する層をいう。画像受容層はインクと親和性を示す樹脂で形成される。画像受容層を形成するのに好ましい樹脂はアクリル樹脂である。アクリル樹脂はインクとの親和性に優れ、透明性、耐候性にも優れるからである。特に水で塗布可能な水系アクリル樹脂が好ましい。アクリル樹脂を水に分散させるために用いる界面活性剤等に帯電防止効果があるからである。
【0017】
画像受容層2の厚さは5〜50μm、特に10〜25μmの範囲が好ましい。画像受容層の厚さが5μm未満であるとインク及びトナーの密着性が悪くなり、50μmを超えると画像受容層の塗布外観に劣ってしまい、さらにガラス飛散防止シート全体としての総厚さが大きくなってしまうために、施工性に劣る。
【0018】
画像受容層2は、インク受容性に悪影響を与えない量であれば、アクリル樹脂以外の成分を含んでもよい。このような成分には、例えば、ブロッキング防止剤であるウレタン樹脂等がある。アクリル樹脂以外の成分の含有量は25%以下、好ましくは15%以下である。
【0019】
画像受容層2の形成は、アクリル樹脂等の固体成分を水等の液媒体に溶解するか、それに分散させて樹脂組成物とし、これをポリエステルフィルムの片面に塗布し、その後液媒体を乾燥させて行なえばよい。樹脂組成物を塗布する方法は特に限定されず、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、ロールコーティング法及びナイフコーティング法のような通常の層形成方法を利用すればよい。
【0020】
粘着剤層3はポリエステルフィルム1をガラスに付着させるための層をいう。粘着剤層は透明な粘着剤で形成される。粘着剤としては、例えば、天然ゴム系、ブチルゴム系、イソブチルゴム系、SBR系、アクリル(酸エステル)系、シリコーン系、熱可塑性エラストマーなどを用いることができる。中でも硬化型アクリル系粘着剤が耐候性等の点で好ましい。
【0021】
粘着剤層3の厚さは5〜50μm、特に10〜40μmの範囲が好ましい。粘着剤層の厚さが5μmよりも薄いと、ガラス飛散防止効果が不十分になる場合があり、ガラスが割れた場合、フィルムからガラスが脱離し好ましくない。粘着剤層の厚さが50μmを超えると、塗工外観が悪くなったり、フィルムとガラスにずれが生じる場合がある。
【0022】
また、粘着剤層3にも耐候性向上の目的で紫外線吸収剤を添加することができる。紫外線吸収剤の添加量は粘着剤に対し、0.2〜50重量部が好ましく、さらに好ましくは0.5〜30重量部であるのが望ましい。紫外線吸収剤が多すぎると色つきや凝集が起こる場合がある。
【0023】
粘着剤層3の形成は、粘着剤を酢酸エチル等の溶媒に溶解するか、それに分散させて樹脂組成物とし、これをポリエステルフィルムの片面に塗布し、その後溶媒を乾燥させて行なえばよい。樹脂組成物を塗布する方法は特に限定されず、公知のコーティング方法、例えば、リバースロールコーティング、グラビアロールコーティング、スリツトダイコーテイング、キスコーテイング及びナイフコーティングなどを利用すればよい。
【0024】
剥離ライナ4はガラス飛散防止シートがガラスに貼り付けられるまでの間粘着剤層の表面を保護するために一時的に取付けられる層をいう。剥離ライナ4としては、ポリマー製帯電防止性剥離ライナが用いられる。
【0025】
ガラスに張り付けた後もガラスの透明性を阻害しないように、粘着剤層の表面は可能な限り平滑に保つことが好ましい。そのため、剥離ライナには平滑性に優れたポリマー製のフィルムが使用される。
【0026】
剥離ライナが帯電防止性を有していないと、上述のように、ガラス飛散防止シートのロールを巻き出す際にポリエステルフィルムの受像面が帯電する。その結果、プリンタにより画像形成を行うと、画像に不均一や抜け等が生じて画像品質が低下する。また、プリンタを通過中に搬送不良やフィルムの皺が起こり易い。この帯電防止性剥離ライナの表面抵抗値は、帯電防止効果の点から、1012Ω以下が好ましく、特に1010Ω以下が好ましい。
【0027】
剥離ライナ4の材質は、粘着剤層と接する面の平滑性に優れたポリマーであれば特に制限はないが、通常厚さが5〜100μm程度のポリエチレンテレフタレートシートやポリプロピレンシートが好ましく用いられる。また、剥離ライナ4においては、粘着剤層と接する面に、厚さ0.01〜2μm程度のシリコーン樹脂などからなる剥離剤層(図には非表示)が設けられる。
【0028】
剥離ライナ4に帯電防止性を付与する方法としては、例えば上記基材シート中に帯電防止剤を練り込む方法、基材シートと剥離剤層との間に帯電防止剤を含む塗布層を設ける方法、基材シートの剥離剤層とは反対面に、帯電防止剤を含む塗布層を設ける方法などを挙げることができる。帯電防止剤としては、例えばノニオン系帯電防止剤、アニオン系帯電防止剤、カチオン系帯電防止剤、両性系帯電防止剤、有機電子伝導性化合物、導電性微粒子などが挙げられる。これらの中で、効果の点から、カチオン系帯電防止剤の一種である四級アンモニウム塩が好適である。
【0029】
四級アンモニウム塩の例としては、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、セチルピリジニウムクロリド、セチルピリジニウムブロミド、ステアラミドメチルピリジニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムメトサルフェート等が挙げられる。また、高分子系の四級アンモニウム塩として、四級アンモニウム塩型スチレン重合体、四級アンモニウム塩型アミノアルキル(メタ)アクリレート重合体等が挙げられる。具体的には、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ポリジメチルアミノエチルメタクリレートの四級化物、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド等である。これらの帯電防止剤を含む塗布層を設ける場合、通常適当な有機系高分子化合物と該帯電防止剤を含む水系塗布液を調製し、基材シートに塗布、乾燥する方法が用いられる。この塗布層の厚さは、一般に0.005〜5.0μm程度である。
【0030】
本発明の画像記録用ガラス飛散防止シートは画像受容層の表面(受像面)に画像が記録されて装飾ガラス飛散防止シートとなる。画像記録の方式は、コンピュータ制御可能なプリンタによって行いうるものであれば特に限定されない。例えば、熱転写印刷法、静電印刷法、インクジェット印刷法等が採用される。特に熱転写印刷法は大寸法及び高品質の画像を安価に記録することが可能であるため好ましい。また、熱転写印刷法は画像品質が受像面帯電の影響を受け易く、剥離ライナに帯電防止性を付与した効果が特に発揮される。
【0031】
図2は本発明の装飾ガラス飛散防止シートの製造方法の一例を示す模式図である。画像記録用ガラス飛散防止シートは、製造後一旦ロールに巻き上げて保管される。そして、ガラス飛散防止シート5は、ロール6を巻き出しながらプリンタ7に供給される。画像形成が行われた後、プリンタから排出された装飾ガラス飛散防止シート8には、画像の保護が必要な場合、受像面上に透明フィルム9がラミネートされる。得られる積層フィルムはカッター10で適当な寸法に裁断される。この積層フィルムは裁断する代わりに再びロールに巻きとってもよい。
【0032】
図3は本発明の装飾ガラス飛散防止シートの層構造を示す断面図である。画像受容層2に一部着色領域11が存在して、画像が形成されている。画像受容層に形成された画像は透明フィルム9によって保護されている。
【0033】
以下の実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【実施例1】
【0034】
水系アクリル樹脂溶液(アビシア(AVECIA)社製「ネオクリル(NeoCryl)XK90」)を、紫外線吸収剤を練り込んだ厚さ50μmポリエステルフィルム(帝人社製「HB−3−50」)上に、乾燥後の厚さが20μmになるように塗布し90℃にて5分間乾燥させて画像受容層を形成した。
【0035】
組成比が90:10(質量比)のイソオクチルアクリレート(IOA)/アクリル酸(AA)共重合体(重量平均分子量56万、Tg−7℃)を酢酸エチルに溶解したアクリル系粘着剤を準備した。
【0036】
アクリル系粘着剤/ビスアミド系架橋剤/紫外線吸収剤=100:0.21:2(固形分比)の粘着剤組成物を調製し、ポリエステルフィルムの画像受容層と反対側の面にナイフコートにより乾燥後の厚さが23μmになるように塗布した。90℃にて5分間加熱し乾燥及び架橋させて粘着剤層を形成した。
【0037】
粘着剤層の表面を帯電防止処理されたシリコン処理ポリエステルシート(東セロ社製「SP−PETA−01−75−BU」)で表面保護して画像記録用ガラス飛散防止シートを得た。
【0038】
得られたフィルムをロール状に巻き、画像受容層と剥離ライナ間に発生した静電気を静電気測定器(カスガ社製「KSD−6110」)を用いて調べた。フィルムを手で引き出した場合は0.1kV、60cm/分でフィルムを引き出した場合でも0.4kVと静電気の発生が抑制されており、巻き出し性は良好であった。
【0039】
このフィルムはJISA5759に規定されたガラス飛散防止機能を有していた。ヘイズ測定器(日本電色社製「SZ−Σ90カラーメータ」)でヘイズ、透過率を測定したところそれぞれ、0.9、93%であり、ガラス飛散防止シートとして良好な透明性を有していた。
【0040】
次に、静電プリンタ(3M社製「スコッチプリント2000システム」)でトランスファーメディア(3M杜製「トライデント(Trident)」)に顔料トナーで転写用デジタル画像を形成した。次に、ヒートラミネーター(3M社製「オルカIII」)で画像記録用ガラス飛散防止シートの画像受容層に画像を熱転写した。ヒートラミネーターの設定条件は、上部ロール温度135℃、下部ロール温度50℃、スピード60cm/分、圧力60psiとした。
【0041】
トランスファーメディアの紙キャリアを除去し、画像が形成された画像受容層の上に粘着剤付き透明保護フィルム(住友3M製「SP4815」ポリエステル系オーバーラミネートフィルム)を常温でラミネートして、装飾ガラス飛散防止シートを調製した。
【実施例2】
【0042】
水系アクリル樹脂の代わりに、水系アクリル樹脂(アビシア社製「ネオクリルXK90」)と水系ウレタン樹脂(アビシア杜製「ネオレッツ(NeoRez)R989」)を90質量部:10質量部(固形分比)で混合した樹脂を用いること以外は、実施例1と同様にして画像記録用ガラス飛散防止シートを調製した。
【0043】
このフィルムをロール状に巻き、画像受容層と剥離ライナ間に発生した静電気を測定したところ、フィルムを手で引き出した場合0.1kV、60cm/分でフィルムを引き出した場合でも0.4kVと静電気の発生が抑制されており、巻き出し性は良好であった。
【0044】
前記レセプターフィルムはJISA5759に規定されたガラス飛散防止機能を有していた。ヘイズ、透過率はそれぞれ、1.2、92%であり、ガラス飛散防止シートとして良好な透明性を有していた。トナー画像の転写性能も良好であった。
【比較例1】
【0045】
剥離ライナとして帯電防止処理されていないシリコン処理ポリエステルシート(東セロ社製「SP−PET−01−25−BU」)を用いること以外は実施例1と同様にして画像記録用ガラス飛散防止シートを調製した。
【0046】
このフィルムをロール状に巻き、画像受容層とライナ間に発生した静電気測定したところ、フィルムを手で引き出した場合9.4kV、60cm/分でフィルムを引き出した場合は14.4kVと静電気が実質的に発生し、巻き出し性は不良であった。
【比較例2】
【0047】
ポリエステルフィルム及び粘着剤層の代わりに粘着剤付き塩ビフィルム(住友3M社製「スコッチプリントSP4582」)を用いること以外は実施例1と同様にして画像記録用ガラス飛散防止シートを調製した。このフィルムはヘイズ、透過率はそれぞれ、25、93%であり、ガラス飛散防止シートとして良好な透明性を有していた。
【0048】
しかし、このフィルムはJISA5759に規定されたガラス飛散防止機能を満足しなかった。
【比較例3】
【0049】
ポリエステルフィルムの代わりに厚さ50μmの透明アクリルフィルム(三菱レーヨン社製「アクリプレン」)を使用すること以外は実施例1と同様にして画像記録用ガラス飛散防止シートを調製した。このフィルムはヘイズ、透過率はそれぞれ、03、93%であり、ガラス飛散防止シートとして良好な透明性を有していた。
【0050】
しかし、このフィルムはJISA5759に規定されたガラス飛散防止機能を満足しなかった。
【0051】
[表1]
フィルム構成及び性能一覧

【0052】
本発明の装飾ガラス飛散防止シートは、透明性が良好で画像ゆがみの少ない熱転写画像記録透明粘着フィルムとしてガラスに貼り付けて好適に使用できる。また、単層で飛散防止機能を有するので製品コストを低減することが可能である。
本発明の装飾ガラス飛散防止シートに白トナーを用いてガラス基材に意匠、サンドブラスト、目隠しなどの効果を簡便に付与することができる。
また本発明の装飾ガラス飛散防止シートは、自己洗浄性フィルム、金属蒸着フィルム、防虫フィルム、赤外線カットフィルム、マットフィルムなどを組み合わせて機能性を付与した画像構造体として使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の画像記録用ガラス飛散防止シートの層構造を示す断面図である。
【図2】本発明の装飾ガラス飛散防止シートの製造方法の一例を示す模式図である。
【図3】本発明の装飾ガラス飛散防止シートの層構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0054】
1…ポリエステルフィルム、
2…画像受容層、
3…粘着剤層、
4…剥離ライナ、
5…画像記録用ガラス飛散防止シート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス飛散防止機能を有するポリエステルフィルム;
ポリエステルフィルムの第1の表面上に形成された画像受容層;
ポリエステルフィルムの第2の表面上に形成された粘着剤層;及び
粘着剤層の表面上に貼り付けられたポリマー製帯電防止性剥離ライナ;
を有する、画像記録用ガラス飛散防止シート。
【請求項2】
前記画像受容層がアクリル樹脂を含んでなる樹脂層である請求項1記載の画像記録用ガラス飛散防止シート。
【請求項3】
前記ポリマー製帯電防止性剥離ライナが、粘着剤層と接している表面上に剥離層を有し、粘着剤層と接していない表面上に帯電防止層を有するポリエステルフィルムである請求項1又は2記載の画像記録用ガラス飛散防止シート。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか記載の画像記録用ガラス飛散防止シートのロールを準備する工程;
ロールを巻き出しながらガラス飛散防止シートをプリンタに供給する工程;及び
プリンタによってガラス飛散防止シートの画像受容層に画像を形成する工程;
を包含する、装飾ガラス飛散防止シートの製造方法。
【請求項5】
前記プリンタが熱転写型プリンタである請求項4記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−305915(P2006−305915A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−132439(P2005−132439)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】