説明

画像記録装置、その装置によるインク微振動処理方法及びプログラム。

【課題】インク室内のインクに対するインク微振動処理を記録処理が行われる前の期間に、ノズル列の全ノズルに対して行い、インク粘度の上昇を常に回避する画像記録装置、その装置によるインク微振動処理方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】インク微振動処理制御部17は、通知される少なくとも1つのジョブ情報に基づいて、給送部2に対し記録媒体21の給送(搬送)を開始させ、ジョブ情報により設定される余白値に対応する記録媒体の搬送期間を含む搬送中の当該記録媒体上に記録処理が行われる前の期間に、インク微振動処理を行わせる。インク微振動処理制御部17は、予め記憶されるノズル列13の記録処理タイミングに基づいて、ノズル列13により記録媒体21上に記録処理を行わせ、ジョブ情報に基づくジョブに後続の記録媒体に対する記録処理の指示がある場合に、インク微振動処理及び記録処理を繰り返し行わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像記録技術に関し、特に記録媒体上にインクを吐出して記録処理を行う複数のノズル内に貯えられたインクに対するインク微振動処理の制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にフルライン型の画像記録装置は、例えばK(ブラック)、C(シアン)、M(マゼンタ)、及びY(イエロ)のインク色毎に長尺の記録ヘッド(ノズル列)、又はKCMYのインク色毎に短尺の複数の記録ヘッド(ノズル列)を有する構成の画像記録部を備えている。このような画像記録装置は、画像記録部の対向位置に記録媒体を載置して所定の方向に搬送する媒体搬送部を備えている。そして、画像記録部のインク色毎の記録ヘッドは、記録媒体の搬送方向に対し直交する方向に、インク吐出を行う複数のノズルが記録媒体の幅以上の長さに亘るように配設されている。
【0003】
このような画像記録装置は、上位装置(ユーザのPC等)から記録データを含むジョブ情報の通知を受信する。画像記録装置は、受信したジョブ情報に基づいて、記録媒体搬送部が記録媒体を搬送する過程において画像記録部より各色のインクを吐出させて画像記録(記録処理)を行う。
【0004】
しかし、記録ヘッドのノズルから吐出されるインクは、インク液滴を吐出されない状態が続くと、インクの溶媒である水分等が蒸発しノズル近傍のインクの粘度が上昇する場合がある。記録ヘッドは、このようにノズル近傍のインクの粘度が上昇すると、ノズルに目詰まりが生じて記録処理の際にインクを吐出できない、又は吐出できても所定のインク液滴を所定の飛翔速度で吐出できなくなる場合がある。
【0005】
例えば特許文献1のインクジェット記録装置には、記録ヘッドからインク滴が吐出(又は、飛翔)しない程度にインクチャネルの側壁を振動させて、ノズル内における粘度を上昇させない技術が開示されている。このインクジェット記録装置は、記録媒体P(連続紙)の搬送経路中にこの記録媒体Pの幅方向に亘って設けられたラインヘッドと、記録媒体Pの搬送経路中におけるラインヘッドの前後にそれぞれ搬送ローラ対と、を設けている。そして、このインクジェット記録装置は、記録媒体Pの記録領域からはみ出た部分のノズルのインクメニスカスを、インクが飛翔しない範囲で振動させることによりノズル近傍のインク粘度の上昇を防止している。
【特許文献1】特開2004-284283号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、例えば記録媒体がカット紙で搬送速度が比較的速い画像記録装置では、記録ヘッドによる記録処理の前に記録媒体が当該記録媒体の搬送方向に直交する方向へ位置ずれする場合がある。このような記録媒体の位置ずれに対しては、例えば記録処理の前に記録媒体の両側端位置を検出する検出部を設け、この検出部による当該検出情報に基づいて記録位置をシフト補正(ノズルシフト)する方法が知られている。これにより、記録処理に用いられる記録ヘッドの各ノズルは、記録媒体の位置ずれ量に対応して他のノズルヘとシフトされる。
【0007】
従って、このような記録媒体の位置ずれが想定される画像記録位置では、ノズルのインクメニスカスをインクが飛翔しない範囲で振動させる処理(インク微振動処理)を行わせるノズルに対してもシフトさせる必要がある。このシフト補正は、記録媒体の両側端位置を検出する検出部の情報を常に反映させる必要があるため、インク微振動処理を行うノズルに対しても記録処理の前に高速でノズルシフトさせる必要が生じ煩雑な制御を行わなければならなくなる。
【0008】
そこで本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、複数のノズルのインク室内に貯えられた当該インクに対するインク微振動処理を、ジョブ情報により設定される余白値に対応する記録媒体の搬送期間を含む搬送中の当該記録媒体上に記録処理が行われる前の期間に、ノズル列の全ノズルに対して行わせることにより、インク粘度の上昇を常に回避して高品位な記録処理を継続して行うことを可能とする画像記録装置、その装置によるインク微振動処理方法及びプログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述目的を達成するために、本発明の態様のひとつである画像記録装置は、複数のノズルから形成されるノズル列を有して成る記録ユニットを少なくとも1つ配設し、記録データに基づき複数のノズルからインクを吐出させて搬送中の当該記録媒体上に記録処理を行う画像記録装置において、
記録処理を行う過程で複数のノズルのインク室内に貯えられた当該インクに対してインク微振動処理を行なわせるインク微振動処理制御部を、少なくとも備え、インク微振動処理制御部は、通知される少なくとも1つのジョブ情報により設定される余白値に対応する記録媒体の搬送期間を含む搬送中の当該記録媒体上に記録処理が行われる前の期間に、ノズル列の全ノズルに対してインク微振動処理を行わせる、ことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の別の態様のひとつであるインク微振動処理方法は、複数のノズルから形成されるノズル列を有して成る記録ユニットを少なくとも1つ配設し、記録データに基づき複数のノズルからインクを吐出させて搬送中の記録媒体上に記録処理を行う画像記録装置によるインク微振動処理方法であって、通知される少なくとも1つのジョブ情報に基づいて、記録媒体の搬送を開始し、
ジョブ情報により設定される余白値に対応する記録媒体の搬送期間を含む搬送中の当該記録媒体上に記録処理が行われる前の期間に、インク微振動処理を行い、予め記憶されるノズル列の記録処理タイミングに基づいて、ノズル列により記録媒体上に記録処理を行い、ジョブ情報に基づくジョブに、後続の記録媒体に対する記録処理の指示がある場合に、インク微振動処理と、記録処理とを繰り返し行わせる、ことを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明のさらなる別の態様のひとつであるプログラムは、複数のノズルから形成されるノズル列を有して成る記録ユニットを少なくとも1つ配設し、記録データに基づき複数のノズルからインクを吐出させて搬送中の記録媒体上に記録処理を行う画像記録装置によるインク微振動処理のための制御を演算処理装置に行わせるためのプログラムであって、通知される少なくとも1つのジョブ情報に基づいて、給送部に対し記録媒体の搬送を開始させる処理と、ジョブ情報により設定される余白値に対応する記録媒体の搬送期間を含む搬送中の当該記録媒体上に記録処理が行われる前の期間に、インク微振動処理を行わせる処理と、予め記憶されるノズル列の記録処理タイミングに基づいて、ノズル列により記録媒体上に記録処理を行わせる処理と、ジョブ情報に基づくジョブに後続の記録媒体に対する記録処理の指示がある場合に、インク微振動処理及び記録処理を繰り返し行わせる処理と、を演算処理装置に行わせる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数のノズルのインク室内に貯えられた当該インクに対するインク微振動処理を、ジョブ情報により設定される余白値に対応する記録媒体の搬送期間を含む搬送中の当該記録媒体上に記録処理が行われる前の期間に、ノズル列の全ノズルに対して行わせることにより、インク粘度の上昇を常に回避して高品位な記録処理を継続して行うことを可能とする画像記録装置、その装置によるインク微振動処理方法及びプログラムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明に係る画像記録装置の実施形態を概念的な構成例で示している。また、図2は、本発明に係る画像記録装置の実施形態の配置例を模式的に示している。なお、以下の説明では、記録媒体の搬送方向に直交する方向(主走査方向)をX方向と称し、記録媒体の搬送方向(副走査方向)をY方向と称する。
【0014】
画像記録装置1は、記録媒体21の搬送経路最上流側に少なくとも1つ配設される給送部2と、この給送部2の搬送経路下流側に配設される媒体検出部5と、さらに搬送経路下流側に配設される媒体搬送部6と、この媒体搬送部6の上方に対向配置される画像記録部10と、本発明に係る動作処理を含む画像記録装置1全体を統括制御する制御部14と、を少なくとも備える。
【0015】
給送部2は、給送機構3と、給送トレイ4とを備える。給送部2は、制御部14の指令により、給送トレイ4に複数枚を積載収納される記録媒体21を、給送機構3における例えばピックアップローラを駆動して1枚ずつ搬送経路下流側へ搬送させる。
媒体検出部5には、例えばCCDセンサ(charge-coupled device sensor:電荷結合素子センサ)が用いられ、給送部2から搬送される記録媒体21の先後端及び両側端位置を検出した当該検出情報を制御部14へ通知する。
【0016】
媒体搬送部6は、例えば回転軸に搬送情報生成部9を接続する従動ローラ23と、回転軸に搬送駆動部8を接続する駆動ローラ22とに搬送部材7における無端ベルトを架設して構成する。さらにこの無端ベルトの下方には、複数の孔を有するプラテン(不図示)と、さらにこのプラテンの下方に吸引ファン(不図示)とを備える構成とする。
【0017】
搬送情報生成部9は、例えばロータリエンコーダを用いて構成する。また、搬送駆動部8には、例えばモータを用いて構成する。
媒体搬送部6は、制御部14の指令により、給送部2から受け渡し搬送された記録媒体21を吸引ファンの駆動により無端ベルト上に吸着保持してから、搬送駆動部8が無端ベルトを回動させることにより搬送経路下流側へ搬送する。この時ロータリエンコーダは、無端ベルトの移動量(記録媒体21の搬送量)に対応するパルス信号を生成して制御部14へ通知する。
【0018】
画像記録部10は、ノズル列駆動部12-1乃至12-nと、ノズル列13-1-1乃至13-n-mと、を有する記録ユニット11を少なくとも1つ備える。
画像記録装置1がカラー対応の画像記録部10を備える場合は、この記録ユニット11-1乃至11-nを、例えば記録媒体21の搬送経路順に、K(ブラック)記録ユニット11-1、C(シアン)記録ユニット11-2、M(マゼンタ)記録ユニット11-3及びY(イエロ)記録ユニット11-4で配設して構成する。
【0019】
以上の説明で示された符号nは、2≦nの整数で、記録ユニット11及びノズル列駆動部12の個数にそれぞれ対応する。また、符号mは、2≦mの整数で、ノズル列13の個数にそれぞれ対応する。
【0020】
例えばノズル列13-1-1乃至13-n-mは、4色のインクに対応する各記録ユニット11-1乃至11-4がそれぞれ6個のノズル列で構成した場合、ノズル列13-1-1乃至13-4-24となる。
【0021】
ノズル列駆動部12-1乃至12-nは、例えば記録ユニット11-1乃至11-n毎に配設する。ノズル列駆動部12-1乃至12-nは、制御部14の指令により、ノズル列13-1-1乃至13-n-mが有する複数のノズルを駆動させてインクの吐出を行わせる。
【0022】
ノズル列13-1-1乃至13-n-mは、記録ユニット11-1乃至11-nに、例えば記録媒体21の搬送方向の前後に互い違いに、隣接する互いの端部を含む一部分がY方向から見て所定の重なりを有するように配設する。ノズル列13-1-1乃至13-n-mは、例えば複数のインク室内に貯えられたインクを、インク室毎に設けられた圧電部材(PZT)の変形による容積変化で吐出させる方式で構成する。
【0023】
制御部14は、画像記録装置1の各構成要素の制御を行うもので、記録処理される1乃至kラインの記録データ(kは2≦kの整数)記録データを一旦記憶するプレーンメモリ15と、画像記録装置1の制御に関する設定値等を記憶する記憶部16と、本発明のインク微振動処理を当該制御部14に行わせるインク微振動処理制御部17と、を少なくとも備える。
【0024】
制御部14は、例えば制御機能及び演算機能を有するMPU(Micro Processor Unit:演算処理装置)及び制御プログラムを格納するROM(Read Only Memory)やMPUのワークメモリとなるRAM(Random Access Memory)等からなる処理回路、及び画像記録装置1の制御に関する設定値等を記憶する不揮発性メモリを少なくとも有する。
【0025】
本発明に係る画像記録装置1の実施形態では、例えば記録データを一旦記憶するプレーンメモリ15をRAMとし、インク微振動処理制御部17を制御部14の演算処理装置が実行するプログラムとしてROMに記憶させ、記憶部16を不揮発性メモリとする。
【0026】
記憶部16には、媒体検出部5の検出位置から記録ユニット11-1乃至11-nのノズル列13-1-1乃至13-n-mによる複数のノズル形成位置までの離間距離に対応する情報を、前述した媒体搬送部6の搬送情報生成部9におけるロータリエンコーダのパルス信号数の累積値に換算して予め記憶させている。
【0027】
この離間距離に対応する情報は、図2に示される記録ユニット11-1が、図6に示される2つのノズル列13-1-1乃至13-1-2で構成された場合を例に説明すると、記録媒体21の先端部が媒体検出部5の検出位置からノズル列13-1-1による複数のノズル形成位置まで搬送された際に搬送情報生成部9におけるロータリエンコーダが生成するパルス信号数の累積値(α4)と、記録媒体21の先端部が媒体検出部5の検出位置からノズル列13-1-2による複数のノズル形成位置まで搬送された際にロータリエンコーダが生成するパルス信号数の累積値(α5)と、になる。
【0028】
制御部14は、例えば搬送される記録媒体21の先端部を媒体検出部5が検出した当該検出情報をトリガとして搬送情報生成部9におけるロータリエンコーダが生成するパルス信号数の累積値が、当該制御部14の記憶部16に記憶されるノズル列13-1-1乃至13-n-mにおける複数のノズル形成位置に対応するパルス信号数の累積値と一致した際に、ノズル列駆動部12-1乃至12-nを制御して記録処理を行わせる。
また、記憶部16には、図3に示される先行する記録媒体21-1と、後続の記録媒体21-2との離間距離に対応する期間における給送機構3による給送タイミング情報を予め記憶させている。
【0029】
さらに、記憶部16には、記録ユニット11-1乃至11-nのノズル列13-1-1乃至13-n-mの全ノズルに対しインク微振動処理を行わせる際のノズル列駆動部12-1乃至12-nに対する設定値を予め記憶させている。この設定値は、例えばノズル列13-1-1乃至13-n-mにおける複数のインク室内に貯えられたインクを、複数のインク室毎に設けられた圧電部材(PZT)を駆動させてインク微振動させた際に、ノズルよりインクが吐出されない駆動電圧値である。
【0030】
上位装置18は、本発明の画像記録装置1の外部機器として、例えばLAN等を介して接続される。この上位装置18は、本発明の画像記録装置1に記録処理を行わせるユーザのコンピュータに相当し、本発明の画像記録装置1に対して記録処理に関する情報としてジョブ情報を通知する。
【0031】
このジョブ情報には、記録媒体21に対し記録処理を行う際の記録データと、記録媒体21に対し記録処理を行う際の記録媒体21の搬送方向における余白値指定情報と、記録処理する際の記録媒体21の枚数指定情報と、が含まれる。
インク微振動処理制御部17は、ジョブ情報の記録データに基づいて、前述した離間距離に対応する情報を用いて、制御部14にノズル列駆動部12-1乃至12-nを制御させて記録処理を行わせる。
【0032】
また、インク微振動処理制御部17は、給送機構3による給送タイミング情報と、ジョブ情報の記録媒体21の縦方向(搬送方向)における余白値指定情報と、前述した離間距離に対応する情報と、に基づいて、インク微振動処理を行わせる期間(タイミング)を決定してから、記録ユニット11-1乃至11-nのノズル列13-1-1乃至13-n-mによる全ノズルに対し、制御部14にノズル列駆動部12-1乃至12-nを制御させてインク微振動処理を行わせる。詳細は後述する。
【0033】
次に本発明の第1実施形態に係る画像記録装置のインク微振動処理について説明する。
図3は、第1の実施形態に係る画像記録装置による先行の記録媒体と後続の記録媒体とが搬送される過程で行われるインク微振動処理の期間と、記録処理の期間とを模式的に示している。また、図4は、図3に示された期間に行われる動作処理をタイミングチャートで示している。
【0034】
なお、図3では、第1実施形態に係る画像記録装置1の構成として、記録ユニット11-1が記録媒体の幅以上の長さに亘って複数ノズルを形成したノズル列13-1-1のみで示されているが、本発明に係る画像記録装置1は、これに限らず、カラー対応の場合に例えば前述した記録ユニット11-1乃至11-4を備える構成としても良い。
【0035】
次に図3に示される各符号について説明する。
<図3の符号>
ジョブ情報により指定される搬送方向の上流側の余白値 :bs1(α1)
ジョブ情報により指定される搬送方向の下流側の余白値 :bs2(α2)
先行する記録媒体と後続する記録媒体との離間距離(期間):L1(α3)
上記両余白値に上記離間距離を加えた期間 :L1(β1)
媒体検出部5(検出位置)からノズル列13-1-1(複数のノズル形成位置)までの離間距離
:Y1(α4)
なお、括弧の記載は、それぞれの離間距離(期間)を、前述した搬送情報生成部9におけるロータリエンコーダが生成するパルス信号数に換算した際の累積値が符号により示されている。
【0036】
インク微振動処理制御部17は、上位装置18よりジョブ情報を受信すると、制御部14に給送機構3を制御させて記録媒体21-1(先行)の給送を行わせると共に、媒体搬送部6の搬送駆動部8を制御させて搬送部材7の回動を行わせる。次にインク微振動処理制御部17は、画像記録装置1の設計製造上の設定値で、予め記憶部16に記憶される記録媒体21-1(先行)と、記録媒体21-2(後続)との離間距離における給送タイミング情報「L1(α3)」に基づいて、制御部14に給送開始位置24(図4参照)からの記録媒体21-2(後続)の給送を遅延させて行わせる。
なお、この離間距離(期間)は、画像記録装置1の記録処理におけるスループットを決定する設定値なので、可能な限り短く設定される。
【0037】
次にインク微振動処理制御部17は、搬送される記録媒体21-1(先行)の先端が媒体検出部5により検出され当該検出情報が制御部14に通知されると、制御部14に搬送情報生成部9におけるロータリエンコーダが生成するパルス信号の累積を行わせる。
【0038】
次にインク微振動処理制御部17は、記録ユニット11-1におけるノズル列13-1-1の複数のノズル形成位置に対し、α4からβ1を減じたパルス信号の累積値に対応する記録媒体21の搬送経路中の位置から「L1(β1)」の距離(期間)だけ、制御部14にノズル列駆動部12-1を制御させてノズル列13-1-1の全ノズルに対しインク微振動処理を行わせる。この時インク微振動処理制御部17は、制御部14に記憶部16からインク微振動処理を行わせる際の前述した設定値の読み出しをさせて、この設定値によりノズル列駆動部12-1を制御させる。
【0039】
次にインク微振動処理制御部17は、搬送情報生成部9におけるロータリエンコーダが生成するパルス信号数の累積値が「Y1(α4)」と一致した場合に、制御部14にノズル列駆動部12-1を制御させてインク微振動処理を停止させると共に、ノズル列駆動部12-1を通常の記録処理を行う設定に戻させてから、記録データに基づきノズル列13-1-1よりインクを吐出させて記録処理を行わせる。この時インク微振動処理制御部17は、記録データ15aにおける1乃至kラインを予め記憶するプレーンメモリ15より、制御部14にロータリエンコーダが生成するパルス信号に同期して順次1ラインずつノズル列駆動部12-1に記録データを設定させることで記録処理を行わせる。
【0040】
このようにしてインク微振動処理制御部17は、給送タイミング情報「L1(α3)」に、ジョブ情報により指定される搬送方向の上流側の余白値「bs1(α1)」と、ジョブ情報により指定される搬送方向の下流側の余白値「bs2(α2)」とを加えた期間「L1(β1)」における記録媒体21の搬送期間で、制御部14にインク微振動処理を行わせた後、記録媒体21への記録処理を行わせる。
【0041】
次に本発明に係る画像記録装置によるインク微振動処理方法及びプログラムについて説明する。
図5は、本発明に係るインク微振動処理方法及びプログラムにおける動作処理のフローチャートである。
同図の動作処理は、制御部14の演算処理装置がインク微振動処理制御部17における制御プログラムを実行することにより実現される。
【0042】
なお、同図に示されるフローチャートは、通知されたジョブ情報が複数の記録媒体21に対するインク微振動処理及び記録処理を指定した場合の動作処理で示すと、先行する記録媒体21に対するインク微振動処理又は記録処理と、後続の記録媒体21に対する給送処理との並行処理となり説明が煩雑となるので、通知されたジョブ情報が1枚の記録媒体21の動作処理を指定した場合で示されている。
【0043】
インク微振動処理制御部17は、同図において処理が開始(START)されると、まずステップS1において、ジョブ情報の通知を受信したか、否かを判定する。
インク微振動処理制御部17は、ジョブ情報の通知を受信したと判定した場合(ステップS1,YES)、ステップS2へ処理を移して記録媒体21の給送(搬送)を開始させる。また、インク微振動処理制御部17は、ジョブ情報の通知を受信していないと判定した場合(ステップS1,NO)、ステップS1で待機させる。
【0044】
次にインク微振動処理制御部17は、ステップS3において、インク微振動処理の開始タイミングか、否かを判定する。インク微振動処理制御部17は、インク微振動処理の開始タイミングと判定した場合(ステップS3,YES)、ステップS4へ処理を移してインク微振動処理を開始させる。また、インク微振動処理制御部17は、インク微振動処理の開始タイミングではないと判定した場合(ステップS3,NO)、ステップS3で待機させる。
【0045】
次にインク微振動処理制御部17は、ステップS5において、インク微振動処理の停止タイミングか、否かを判定する。
インク微振動処理制御部17は、インク微振動処理の停止タイミングと判定した場合(ステップS5,YES)、ステップS6へ処理を移してインク微振動処理を停止させる。また、インク微振動処理制御部17は、インク微振動処理の停止タイミングではないと判定した場合(ステップS5,NO)、ステップS5で待機させる。
【0046】
次にインク微振動処理制御部17は、ステップS7において、記録処理の開始タイミングか、否かを判定する。インク微振動処理制御部17は、記録処理の開始タイミングと判定した場合(ステップS7,YES)、ステップS8へ処理を移して記録処理を開始させる。また、インク微振動処理制御部17は、記録処理の開始タイミングではないと判定した場合(ステップS7,NO)、ステップS7で待機させる。
【0047】
次にインク微振動処理制御部17は、ステップS9において、記録処理の停止タイミングか、否かを判定する。インク微振動処理制御部17は、記録処理の停止タイミングと判定した場合(ステップS9,YES)、ステップS10へ処理を移して記録処理を停止させる。また、インク微振動処理制御部17は、記録処理の停止タイミングではないと判定した場合(ステップS9,NO)、ステップS9で待機させる。
【0048】
次にインク微振動処理制御部17は、ステップS11において、記録処理する後続の記録媒体21が有るか、否かを判定する。インク微振動処理制御部17は、記録処理する後続の記録媒体21が有ると判定した場合(ステップS11,YES)、ステップS3へ処理を移す。また、インク微振動処理制御部17は、記録処理する後続の記録媒体21が無いと判定した場合(ステップS11,NO)、ステップS12へ処理を移す。
【0049】
次にインク微振動処理制御部17は、ステップS12において、新規ジョブ情報の通知を受信したか、否かを判定する。インク微振動処理制御部17は、新規ジョブ情報の通知を受信したと判定した場合(ステップS12,YES)、ステップS2へ処理を移して、前述した所定の給送タイミングに基づいて記録媒体21の給送を開始させる。
また、インク微振動処理制御部17は、新規ジョブ情報の通知を受信していないと判定した場合(ステップS12,NO)、本動作処理を終了(END)する。
【0050】
以上説明したように、第1実施形態に係る画像記録装置によれば、通知される少なくとも1つのジョブ情報により設定される余白値に対応する記録媒体21の搬送期間を少なくとも含む搬送中の当該記録媒体21上に記録処理が行われる前の期間に、記録ユニット11-1乃至11-nのノズル列13-1-1乃至13-n-mによる全ノズルに対してインク微振動処理を行わせるので、インク粘度の上昇を常に回避して高品位な記録処理を継続して行うことができる。
【0051】
また、第1実施形態に係る画像記録装置によれば、記録ユニット11-1乃至11-nのノズル列13-1-1乃至13-n-mによる全ノズルに対してインク微振動処理を行わせるので、例えば媒体検出部5による記録媒体21の両側端位置の検出情報に基づいて、記録処理の前に高速でノズルシフトさせる等の煩雑な制御を排除することができる。
【0052】
次に本発明の第2実施形態に係る画像記録装置のインク微振動処理について説明する。
図6は、第2の実施形態に係る画像記録装置による先行の記録媒体と後続の記録媒体とが搬送される過程で行われるインク微振動処理の期間と、記録処理の期間とを模式的に示している。
本第2実施形態の説明では、前述した第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付すと共に、同様の概要説明のための符号には同じ符号を付し、前述した第1実施形態と異なる点について説明する。
【0053】
これにより、本第2実施形態の説明では、前述した第1実施形態の図4に相当するタイミングチャート、及び前述した第1実施形態と共通である図5に示される動作処理のフローチャートの説明を省略する。
【0054】
本発明の第2実施形態に係る画像記録装置1では、前述した第1実施形態に対し、記録ユニット11-1乃至11-nのノズル列13-1-1乃至13-n-mの構成が異なる。
これにより図6では、図3に対し、ノズル列13-1-2が追加で示されると共に、媒体検出部5の検出位置と、ノズル列13-1-2における複数のノズル形成位置と、の離間距離「Y2(α5)」が追加で示されている。
【0055】
なお、図6では、第2実施形態に係る画像記録装置1の構成として、記録ユニット11-1が記録媒体の幅以上の長さに亘って複数のノズルを形成したノズル列13-1-1及びノズル列13-1-2で示されているが、本発明に係る画像記録装置1は、これに限らず、例えば記録ユニット11-1乃至11-n毎に幅以上の長さに亘ってさらに多くのノズル列13-1-1乃至13-n-mを配設する構成としても良いし、カラー対応の場合に例えば前述した記録ユニット11-1乃至11-4を備える構成としても良い。
【0056】
以下の本第2実施形態の説明では、記録媒体21-1(先行)と、記録媒体21-2(後続)とが給送された後と想定して、インク微振動処理について説明する。
インク微振動処理制御部17は、搬送される記録媒体21-1(先行)の先端が媒体検出部5により検出され当該検出情報が制御部14に通知されると、制御部14に搬送情報生成部9におけるロータリエンコーダが生成するパルス信号の累積を行わせる。
【0057】
次にインク微振動処理制御部17は、記録ユニット11-1におけるノズル列13-1-1の複数のノズル形成位置に対し、α4からβ1を減じたパルス信号の累積値に対応する記録媒体21の搬送経路中の位置から「L1(β1)」の離間距離(期間)だけ、制御部14にノズル列駆動部12-1を制御させてノズル列13-1-1及びノズル列13-1-2の全ノズルに対しインク微振動処理を行わせる。
この時インク微振動処理制御部17は、制御部14に記憶部16からインク微振動処理を行わせる際の前述した設定値を読み出しさせて、この設定値によりノズル列駆動部12-1を制御させる。
【0058】
すなわち、インク微振動処理制御部17は、前述した第1実施形態に係る画像記録装置1と同様の「L1(β1)」の離間距離(期間)で、ノズル列13-1-2に対してもインク微振動処理を行わせる。
【0059】
次にインク微振動処理制御部17は、搬送情報生成部9におけるロータリエンコーダが生成するパルス信号数の累積値が「Y1(α4)」と一致した場合に、制御部14にノズル列駆動部12-1を制御させてインク微振動処理を停止させると共に、ノズル列駆動部12-1を通常の記録処理を行う設定に戻させてから、記録データに基づきノズル列13-1-1よりインクを吐出させて記録処理を行わせる。
【0060】
ここで第2実施形態に係る画像記録装置1では、前述したプレーンメモリ15に予め記憶される記録データ15aにおける1乃至kラインを、図6に示される記録データ15aの中心線25によりノズル列13-1-1が記録処理に用いる記録データ15a-1と、ノズル列13-1-2が記録処理に用いる記録データ15a-2とに分配して記憶させている。
【0061】
従って、インク微振動処理制御部17は、ノズル列13-1-1によるインク微振動処理が停止した直後から、プレーンメモリ15より記録データ15a-1を制御部14にロータリエンコーダが生成するパルス信号に同期して順次1ラインずつ読み出しさせて、ノズル列駆動部12-1に記録データ15a-1を設定させることで記録処理を行わせる。
【0062】
そしてインク微振動処理制御部17は、媒体検出部5とノズル列13-1-2との離間距離「Y2(α5)」に余白値「bs1(α1)」が加えられた距離だけ記録媒体21-1が搬送された際、プレーンメモリ15より記録データ15a-2を制御部14にロータリエンコーダが生成するパルス信号に同期して順次1ラインずつ読み出しさせて、ノズル列駆動部12-1に記録データ15a-2を設定させることで記録処理を行わせる。
【0063】
なお、ノズル列13-1-1とノズル列13-1-2とのオーバーラップ領域oL1では、ノズル列13-1-1の端部を含むノズルの一部分と、ノズル列13-1-2の端部を含むノズルの一部分とが重なって配設されることから、例えばオーバーラップ領域oL1の各ノズルに対応する各画素データをノズル列13-1-1と、ノズル列13-1-2とに半分ずつ分配するつなぎ補正等の処理を行わせる。
【0064】
このようにしてインク微振動処理制御部17は、給送タイミング情報「L1(α3)」に、ジョブ情報により指定される搬送方向の上流側の余白値「bs1(α1)」及びジョブ情報により指定される搬送方向の下流側の余白値「bs2(α2)」を加えた期間「L1(β1)」における記録媒体21の搬送期間で、制御部14にインク微振動処理を行わせた後、記録媒体21への記録処理を行わせる。
【0065】
以上説明したように、第2実施形態に係る画像記録装置によれば、前述した第1実施形態と同様に、通知される少なくとも1つのジョブ情報により設定される余白値に対応する記録媒体21の搬送期間を少なくとも含む搬送中の当該記録媒体21上に記録処理が行われる前の期間に、記録ユニット11-1乃至11-nのノズル列13-1-1乃至13-n-mによる全ノズルに対してインク微振動処理を行わせるので、インク粘度の上昇を常に回避して高品位な記録処理を継続して行うことができる。
【0066】
また、第2実施形態に係る画像記録装置によれば、記録ユニット11毎に複数のノズル列13が配設される構成においても、インク粘度の上昇を常に回避して高品位な記録処理を継続して行うことができる。
【0067】
次に第1の実施形態に係る画像記録装置が行うインク微振動処理の期間の変形例について説明する。以下に示される第1,第2の変形例は、前述した第2の実施形態に係る画像記録装置にも適用できる。
【0068】
図7は、第1の実施形態に係る画像記録装置による先行の記録媒体と後続の記録媒体とが搬送される過程で行われるインク微振動処理の期間と、記録処理の期間とを模式的に示しており、図7(a)が第1の変形例を、図7(b)が第2の変形例を示している。また、図8は、図7(a)及び図7(b)に対応するタイミングチャートがそれぞれ示されており、図8(a)が第1の変形例のタイミングチャートを、図8(b)が第2の変形例のタイミングチャートを示している。
【0069】
なお、第1,第2の変形例の説明においては、前述した第1実施形態と同じ構成要素には同じ符号を付すと共に、同様の概要説明のための符号には同じ符号を付し、前述した第1実施形態と異なる点について説明する。これにより、第1,第2の変形例の説明では、前述した第1実施形態と共通である図5に示される動作処理のフローチャートの説明を省略する。
【0070】
第1,第2の変形例では、前述した第1実施形態に対し、インク微振動処理を行わせる期間が異なる。そして第1,第2の変形例では、前述した第1実施形態がインク微振動処理を行わせる期間であった記録媒体21-1(先行)と、記録媒体21-2(後続)との離間距離(期間)が無い(ゼロ)場合が示されている。
【0071】
これにより図7では、図3及び図6に対し、第1の変形例におけるインク微振動処理の期間「L2(β2)」と、第2の変形例におけるインク微振動処理の期間「L3(β3)」とが示されている。
【0072】
以下の第1,第2の変形例の説明では、記録媒体21-1(先行)と、記録媒体21-2(後続)とが給送された後と想定して、インク微振動処理について説明する。
【0073】
インク微振動処理制御部17は、第1の変形例(図7(a))において、搬送される記録媒体21-1(先行)の先端が媒体検出部5により検出され当該検出情報が制御部14に通知されると、制御部14に搬送情報生成部9におけるロータリエンコーダが生成するパルス信号の累積を行わせる。
【0074】
次にインク微振動処理制御部17は、記録ユニット11-1におけるノズル列13-1-1の複数のノズル形成位置に対し、α4からβ2を減じたパルス信号の累積値に対応する記録媒体21の搬送経路中の位置から「L2(β2)」の離間距離(期間)だけ、制御部14にノズル列駆動部12-1を制御させてノズル列13-1-1の全ノズルに対しインク微振動処理を行わせる。
この時インク微振動処理制御部17は、制御部14に記憶部16からインク微振動処理を行わせる際の前述した設定値を読み出しさせて、この設定値によりノズル列駆動部12-1を制御させる。また、インク微振動処理制御部17は、第2の変形例(図7(b))において、搬送される記録媒体21-1(先行)の先端が媒体検出部5により検出され当該検出情報が制御部14に通知されると、制御部14に搬送情報生成部9におけるロータリエンコーダが生成するパルス信号の累積を行わせる。
【0075】
次にインク微振動処理制御部17は、記録ユニット11-1におけるノズル列13-1-1の複数のノズル形成位置に対し、α4からβ3を減じたパルス信号の累積値に対応する記録媒体21の搬送経路中の位置から「L3(β3)」の離間距離(期間)だけ、制御部14にノズル列駆動部12-1を制御させてノズル列13-1-1の全ノズルに対しインク微振動処理を行わせる。
この時インク微振動処理制御部17は、制御部14に記憶部16からインク微振動処理を行わせる際の前述した設定値を読み出しさせて、この設定値によりノズル列駆動部12-1を制御させる。
【0076】
以上説明したように、インク微振動処理の期間が異なる第1,第2の変形例によれば、前述した第1,第2実施形態と同様に、通知される少なくとも1つのジョブ情報により設定される余白値に対応する記録媒体21の搬送期間を少なくとも含む搬送中の当該記録媒体21上に記録処理が行われる前の期間に、記録ユニット11-1乃至11-nのノズル列13-1-1乃至13-n-mによる全ノズルに対してインク微振動処理を行わせるので、インク粘度の上昇を常に回避して高品位な記録処理を継続して行うことができる。
また、インク微振動処理の期間が異なる第1,第2の変形例によれば、前述した第1,第2実施形態の画像記録装置1が先行する記録媒体と後続する記録媒体との離間距離「L1(α3)」を設定していたのに対し、この離間距離「L1(α3)」を無くした(ゼロ)設定としているので、インク粘度の上昇を回避するインク微振動処理が行われる期間は少なくなるものの、その分記録処理のスループットを向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明に係る画像記録装置の実施形態を概念的な構成例で示す図である。
【図2】本発明に係る画像記録装置の実施形態の配置例を模式的に示す図である。
【図3】第1の実施形態に係る画像記録装置による先行の記録媒体と後続の記録媒体とが搬送される過程で行われるインク微振動処理の期間と、記録処理の期間とを模式的に示す図である。
【図4】図3に示された期間に行われる動作処理をタイミングチャートで示す図である。
【図5】本発明に係るインク微振動処理方法及びプログラムにおける動作処理のフローチャートを示す図である。
【図6】第2の実施形態に係る画像記録装置による先行の記録媒体と後続の記録媒体とが搬送される過程で行われるインク微振動処理の期間と、記録処理の期間とを模式的に示す図である。
【図7】第1の実施形態に係る画像記録装置による先行の記録媒体と後続の記録媒体とが搬送される過程で行われるインク微振動処理の期間と、記録処理の期間とを模式的に示しており、図7(a)が第1の変形例を、図7(b)が第2の変形例を示す図である。
【図8】図7(a)及び図7(b)に対応するタイミングチャートがそれぞれ示されており、図8(a)が第1の変形例のタイミングチャートを、図8(b)が第2の変形例のタイミングチャートを示す図である。
【符号の説明】
【0078】
1…画像記録装置、2…給送部、3…給送機構、4…給送トレイ、5…媒体検出部、
6…媒体搬送部、7…搬送部材、8…搬送駆動部、9…搬送情報生成部、10…画像記録部、
11,11-1乃至11-n…記録ユニット、12,12-1乃至12-n…ノズル列駆動部、
13,13-1-1乃至13-n-m…ノズル列、14…制御部、15…プレーンメモリ、
15a,15a-1,15-2…記録データ、16…記憶部、17…インク微振動処理制御部、
18…上位装置、21,21-1,21-2…記録媒体、22…駆動ローラ、23…従動ローラ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のノズルから形成されるノズル列を有して成る記録ユニットを少なくとも1つ配設し、記録データに基づき前記複数のノズルからインクを吐出させて搬送中の当該記録媒体上に記録処理を行う画像記録装置において、
前記記録処理を行う過程で前記複数のノズルのインク室内に貯えられた当該インクに対してインク微振動処理を行なわせるインク微振動処理制御部を、少なくとも備え、
前記インク微振動処理制御部は、通知される少なくとも1つのジョブ情報により設定される余白値に対応する前記記録媒体の搬送期間を含む前記搬送中の当該記録媒体上に前記記録処理が行われる前の期間に、前記ノズル列の全ノズルに対して前記インク微振動処理を行わせる、ことを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
前記記録ユニットは、複数のノズル列を有し、
前記複数のノズル列は、前記搬送方向の前後に互い違いに、隣接する当該ノズル列における互いの端部を含む一部分が前記記録媒体の搬送方向より見て所定の重なりを有して配設される、ことを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
前記記録ユニットは、前記記録媒体の幅以上の長さに前記複数のノズルが亘るように前記複数のノズル列を配設する、ことを特徴とする請求項2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
前記記録媒体の搬送経路における最上流側に配設され、積載した当該記録媒体を1枚ずつ前記搬送経路の下流側へ給送する少なくとも1つの給送部をさらに備える、ことを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項5】
前記記録ユニットの下方に対向して配設され、前記記録媒体を少なくとも載置して前記記録媒体の搬送経路下流側へ搬送する媒体搬送部をさらに備える、ことを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項6】
前記媒体搬送部は、前記記録媒体を少なくとも載置して前記搬送経路下流側へ搬送した際の搬送量を生成するための搬送情報生成部を有する、ことを特徴とする請求項5に記載の画像記録装置。
【請求項7】
前記記録媒体の搬送経路における前記記録ユニットの上流側に配設され、前記搬送経路を搬送される前記記録媒体の搬送方向端部を少なくとも検出する媒体検出部と、制御部とをさらに備え、
前記制御部は、前記媒体検出部の検出位置から前記ノズル列における複数のノズル形成位置までの離間距離情報と、前記インク微振動処理制御部とを記憶する、ことを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記記録データを一旦記憶するためのプレーンメモリを有する、ことを特徴とする請求項7に記載の画像記録装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記離間距離情報を少なくとも記憶する記憶部を有する、ことを特徴とする請求項7に記載の画像記録装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記インク微振動処理制御部を当該制御部の演算処理装置が実行するプログラムとして記憶する、ことを特徴とする請求項7に記載の画像記録装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記インク微振動処理が行われる期間を、前記離間距離情報に基づいて設定する、ことを特徴とする請求項7に記載の画像記録装置。
【請求項12】
外部機器としての上位装置が接続され、
前記上位装置からは、前記記録媒体上に記録処理を行う際に用いられる前記ジョブ情報を受信する、ことを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項13】
前記ジョブ情報は、前記記録媒体上に記録処理を行う際の記録データと、前記記録媒体上に記録処理を行う際の前記記録媒体の搬送方向における余白値指定情報と、前記記録処理を行う際の前記記録媒体の枚数指定情報と、を含む、ことを特徴とする請求項12に記載の画像記録装置。
【請求項14】
前記インク微振動処理が行われる期間には、前記搬送される先行の前記記録媒体と、前記搬送される後続の前記記録媒体との離間距離に対応する期間が含まれる、ことを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項15】
複数のノズルから形成されるノズル列を有して成る記録ユニットを少なくとも1つ配設し、記録データに基づき前記複数のノズルからインクを吐出させて搬送中の記録媒体上に記録処理を行う画像記録装置によるインク微振動処理方法であって、
通知される少なくとも1つのジョブ情報に基づいて、前記記録媒体の搬送を開始し、
前記ジョブ情報により設定される余白値に対応する前記記録媒体の搬送期間を含む前記搬送中の当該記録媒体上に前記記録処理が行われる前の期間に、前記インク微振動処理を行い、
予め記憶される前記ノズル列の記録処理タイミングに基づいて、前記ノズル列により前記記録媒体上に前記記録処理を行い、
前記ジョブ情報に基づくジョブに、後続の前記記録媒体に対する前記記録処理の指示がある場合に、前記インク微振動処理と、前記記録処理とを繰り返し行わせる、
ことを特徴とするインク微振動処理方法。
【請求項16】
前記インク微振動処理は、予め記憶される前記ノズル列の記録処理タイミングに基づいて設定される前記記録媒体上に前記記録処理が行われる前の当該記録媒体の搬送期間に行わせる、ことを特徴とする請求項15に記載のインク微振動処理方法。
【請求項17】
前記インク微振動処理が行われる期間には、前記搬送される先行の前記記録媒体と、前記搬送される後続の前記記録媒体との当該搬送間隔に対応する期間が含まれる、ことを特徴とする請求項15に記載のインク微振動処理方法。
【請求項18】
複数のノズルから形成されるノズル列を有して成る記録ユニットを少なくとも1つ配設し、記録データに基づき前記複数のノズルからインクを吐出させて搬送中の記録媒体上に記録処理を行う画像記録装置によるインク微振動処理のための制御を演算処理装置に行わせるためのプログラムであって、
通知される少なくとも1つのジョブ情報に基づいて、給送部に対し前記記録媒体の搬送を開始させる処理と、
前記ジョブ情報により設定される余白値に対応する前記記録媒体の搬送期間を含む前記搬送中の当該記録媒体上に前記記録処理が行われる前の期間に、前記インク微振動処理を行わせる処理と、
予め記憶される前記ノズル列の記録処理タイミングに基づいて、前記ノズル列により前記記録媒体上に前記記録処理を行わせる処理と、
前記ジョブ情報に基づくジョブに後続の前記記録媒体に対する前記記録処理の指示がある場合に、前記インク微振動処理及び前記記録処理を繰り返し行わせる処理と、
を前記演算処理装置に行わせる、ことを特徴とするプログラム。
【請求項19】
予め記憶される前記ノズル列の記録処理タイミングに基づいて設定される前記記録媒体上に前記記録処理が行われる前の前記記録媒体の搬送期間に行われる前記インク微振動処理を、前記演算処理装置に行わせる、ことを特徴とする請求項18に記載のプログラム。
【請求項20】
前記搬送される先行の前記記録媒体と、前記搬送される後続の前記記録媒体との当該搬送間隔に対応する期間に行われる前記インク微振動処理を、前記演算処理装置に行わせる、ことを特徴とする請求項18に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−137283(P2008−137283A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−326119(P2006−326119)
【出願日】平成18年12月1日(2006.12.1)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】