説明

画像記録装置、及び、画像記録方法

【課題】光照射部による媒体への悪影響を抑えること。
【解決手段】移動機構によりヘッド及び光照射部を所定方向に移動させながらヘッドから光硬化型インクを吐出させる吐出動作と、ヘッド及び光照射部と媒体とを所定方向と交差する方向に相対移動させる搬送動作とを、繰り返し実行させ、移動機構によるヘッド及び光照射部の移動速度が所定速度である定速期間における光照射部の照射強度に比べて、移動機構によるヘッド及び光照射部の移動速度が所定速度よりも遅い加減速期間における光照射部の照射強度を弱くする画像記録装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像記録装置、及び、画像記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像記録装置であるプリンターの中には、紫外線を照射すると硬化するUVインク(光硬化型インク)を媒体に吐出するものがある。また、所定方向に移動しながらUVインクを吐出するヘッドと共に紫外線の照射光源が移動するように、ヘッドの両端部に照射光源を設けたプリンターがある(例えば、特許文献1を参照)。このようなプリンターでは、媒体上に着弾したUVインクを直ぐに硬化させることが出来る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−254560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、印刷時間を短縮するために、例えば、印刷画像の幅に応じてヘッドの移動距離を調整する場合がある。このような場合、ヘッドが所定速度よりも遅い速度で移動する加減速期間に照射光源が媒体と対向してしまう。ヘッドが所定速度で移動する定速期間に比べて加減速期間では、照射光源と媒体との対向時間が長くなる。そうすると、例えば、照射光源からの熱により媒体が伸縮してしまう。
そこで、本発明では、光照射部による媒体への悪影響を抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決する為の主たる発明は、(A)媒体に光硬化型インクを吐出するヘッドと、(B)前記媒体上の前記光硬化型インクに光を照射して前記光硬化型インクを硬化させる光照射部と、(C)前記媒体に対して前記ヘッド及び前記光照射部を所定方向に移動する移動機構と、(D)前記移動機構により前記ヘッド及び前記光照射部を前記所定方向に移動させながら前記ヘッドから前記光硬化型インクを吐出させる吐出動作と、前記ヘッド及び前記光照射部と前記媒体とを前記所定方向と交差する方向に相対移動させる搬送動作とを、繰り返し実行させる制御部であって、前記移動機構による前記ヘッド及び前記光照射部の移動速度が所定速度である定速期間における前記光照射部の照射強度に比べて、前記移動機構による前記ヘッド及び前記光照射部の移動速度が前記所定速度よりも遅い加減速期間における前記光照射部の照射強度を弱くする制御部と、(E)を備えることを特徴とする画像記録装置である。
本発明の他の特徴は、本明細書、及び添付図面の記載により、明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】プリンターの全体構成ブロック図である。
【図2】図2Aはプリンターの概略斜視図であり、図2Bはキャリッジの周辺を説明する図である。
【図3】キャリッジ速度の変化を説明する図である。
【図4】図4A及び図4Bは比較例のプリンターにおけるキャリッジ速度と媒体及び画像との位置関係を説明する図である。
【図5】図5Aは実施例1における仮照射部の照射強度とキャリッジ速度と媒体及び画像の関係を説明する図であり、図5Bは定速期間の開始位置と終了位置を説明する図である。
【図6】図6Aは実施例2における仮照射部の照射強度とキャリッジ速度の関係を説明する図であり、図6Bは定速期間の終了位置を説明する図である。
【図7】実施例3における仮照射部の照射強度とキャリッジ速度の関係を説明する図である。
【図8】実施例4におけるキャリッジの停止期間を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
===開示の概要===
本明細書の記載、及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかとなる。
【0008】
即ち、(A)媒体に光硬化型インクを吐出するヘッドと、(B)前記媒体上の前記光硬化型インクに光を照射して前記光硬化型インクを硬化させる光照射部と、(C)前記媒体に対して前記ヘッド及び前記光照射部を所定方向に移動する移動機構と、(D)前記移動機構により前記ヘッド及び前記光照射部を前記所定方向に移動させながら前記ヘッドから前記光硬化型インクを吐出させる吐出動作と、前記ヘッド及び前記光照射部と前記媒体とを前記所定方向と交差する方向に相対移動させる搬送動作とを、繰り返し実行させる制御部であって、前記移動機構による前記ヘッド及び前記光照射部の移動速度が所定速度である定速期間における前記光照射部の照射強度に比べて、前記移動機構による前記ヘッド及び前記光照射部の移動速度が前記所定速度よりも遅い加減速期間における前記光照射部の照射強度を弱くする制御部と、(E)を備えることを特徴とする画像記録装置である。
このような画像記録装置によれば、定速期間に比べて加減速期間に光照射部が媒体と対向する時間が長くとも、光照射部による媒体への悪影響(例えば、熱による伸縮)を防止することができる。
【0009】
かかる画像記録装置であって、前記制御部は、前記媒体に記録する画像の前記所定方向における端部の位置に応じて、前記移動機構による前記ヘッド及び前記光照射部の前記所定方向への移動量を調整すること。
このような画像記録装置によれば、光照射部による媒体への悪影響を抑えつつ、画像の記録時間を短縮することができる。
【0010】
かかる画像記録装置であって、前記制御部は、前記光照射部が前記媒体と対向している状態で前記移動機構による前記ヘッド及び前記光照射部の前記所定方向への移動を停止している期間に、前記光照射部からの光の照射を停止すること。
このような画像記録装置によれば、光照射部による媒体への悪影響をより確実に防止することができる。
【0011】
かかる画像記録装置であって、前記制御部は、前記光照射部における光の照射面が前記媒体上の前記光硬化型インクと対向している状態で、前記移動機構による前記ヘッド及び前記光照射部の前記所定方向への移動を停止させること。
このような画像記録装置によれば、光照射部による媒体への悪影響をより確実に防止することができる。
【0012】
かかる画像記録装置であって、前記制御部は、前記加減速期間において、前記移動機構による前記ヘッド及び前記光照射部の移動速度が第1の速度である時の前記光照射部の照射強度に比べて、前記移動機構による前記ヘッド及び前記光照射部の移動速度が前記第1の速度よりも遅い第2の速度である時の前記光照射部の照射強度を弱くすること。
このような画像記録装置によれば、画像を確実に硬化することができる。
【0013】
また、(A)媒体に光硬化型インクを吐出するヘッドと、(B)前記媒体上の前記光硬化型インクに光を照射して前記光硬化型インクを硬化させる光照射部と、(C)前記媒体に対して前記ヘッド及び前記光照射部を所定方向に移動する移動機構と、(D)前記移動機構により前記ヘッド及び前記光照射部を前記所定方向に移動させながら前記ヘッドから前記光硬化型インクを吐出させる吐出動作と、前記ヘッド及び前記光照射部と前記媒体とを前記所定方向と交差する方向に相対移動させる搬送動作とを、繰り返し実行させる制御部であって、前記移動機構による前記ヘッド及び前記光照射部の移動速度が所定速度である定速期間における前記光照射部の照射強度に比べて、前記移動機構による前記ヘッド及び前記光照射部の移動速度が前記所定速度よりも遅い加減速期間における前記光照射部の照射強度を弱くする制御部と、(E)を備えた画像記録装置を用いて前記媒体に画像を記録することを特徴とする画像記録方法である。
このような画像記録方法によれば、定速期間に比べて加減速期間に光照射部が媒体と対向する時間が長くとも、光照射部による媒体への悪影響(例えば、熱による伸縮)を防止することができる。
【0014】
===印刷システム===
画像記録装置をインクジェットプリンター(以下、プリンター)とし、プリンターとコンピューターが接続された印刷システムを例に挙げて、実施形態を説明する。
図1は、プリンター1の全体構成ブロック図であり、図2Aは、プリンター1の概略斜視図であり、図2Bは、キャリッジ31の周辺を説明する図である。なお、図2Bでは、ヘッド41の上方から見たノズルの配列を仮想的に示す。
【0015】
本実施形態のプリンター1は、紫外線の照射によって硬化する紫外線硬化型インク(光硬化型インクに相当)を吐出することにより、媒体S(例:用紙、布、フィルム)に画像を印刷する。なお、紫外線硬化型インク(以下、UVインク)は、紫外線硬化樹脂を含むインクであり、紫外線の照射を受けると紫外線硬化樹脂において光重合反応が起こることにより硬化する。
【0016】
コンピューター70は、プリンター1と通信可能に接続されており、プリンター1に画像を印刷させるための印刷データをプリンター1に出力する。
コントローラー10は、プリンター1の制御を行うための制御ユニットである。インターフェース部11はコンピューター70とプリンター1との間でデータの送受信を行うためのものである。CPU12はプリンター1全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリー13はCPU12のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものである。CPU12はユニット制御回路14により各ユニットを制御する。なお、プリンター1内の状況を検出器群60が監視し、その検出結果に基づいて、コントローラー10は各ユニットを制御する。
【0017】
搬送ユニット20は、媒体Sを印刷可能な位置に送り込み、印刷時には搬送方向に所定の搬送量で媒体Sを搬送するためのものである。
キャリッジユニット30(移動機構に相当)は、キャリッジ31に搭載されたヘッド41や仮照射部51を、ガイドレール32に沿わせて搬送方向と交差する移動方向に移動するためのものである。
【0018】
ヘッドユニット40は、媒体Sにインクを吐出するためのものであり、ヘッド41を有する。ヘッド41の下面には、図2Bに示すように、インクを吐出するノズル(#1〜#180)が搬送方向に所定の間隔(ノズルピッチD)おきに並んだノズル列が複数形成されている。本実施形態のプリンター1は4色のインク(YMCK)を吐出可能とし、ヘッド41には、イエローインクを吐出するイエローノズル列Yと、マゼンタインクを吐出するマゼンタノズル列Mと、シアンインクを吐出するシアンノズル列Cと、ブラックインクを吐出するブラックノズル列Kとが、形成されている。
【0019】
なお、ノズルはインクが充填されたインク室に連通し、ノズルからのインク吐出方式は、駆動素子(ピエゾ素子)に電圧をかけてインク室を膨張・収縮させることによりノズルからインクを吐出させるピエゾ方式でもよいし、発熱素子を用いてノズル内に気泡を発生させ、その気泡によってノズルからインクを吐出させるサーマル方式でもよい。
【0020】
照射ユニット50は、媒体上のUVインクに紫外線を照射して、UVインクを硬化させるためのものであり、仮照射部51と本照射部52を有する。なお、紫外線照射の光源として、例えば、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)や、メタルハライドランプ、水銀ランプなどが挙げられる。また、仮照射部51や本照射部52による単位面積あたりの紫外線の照射量(照射エネルギー(mJ/cm))は、紫外線の照射強度(mW/cm)と照射時間(s)の積で定められる。
【0021】
仮照射部51a,51b(光照射部に相当)は、図2Bに示すように、キャリッジ31の移動方向における両端部に設けられ、キャリッジ31の移動に伴ってヘッド41と共に移動方向に移動する。なお、仮照射部51a,51bは、ヘッド41に形成されているノズル列(YMCK)と移動方向に並び、ノズル列と同様に搬送方向に延びている。よって、移動方向への移動中にヘッド41から吐出されたUVインクは、媒体Sに着弾すると直ぐに、仮照射部51a,51bにより紫外線が照射される。
【0022】
キャリッジ31が移動方向の左側に移動する往路時には、ヘッド41から吐出されたUVインクは、移動方向の右側に位置する第1仮照射部51aにより紫外線が照射される。逆に、キャリッジ31が移動方向の右側に移動する復路時には、ヘッド41から吐出されたUVインクは、移動方向の左側に位置する第2仮照射部51bにより紫外線が照射される。
【0023】
本照射部52は、キャリッジ31よりも搬送方向の下流側に固定して設けられている。本照射部52の移動方向の長さは媒体Sの移動方向の長さ以上であり、本照射部52が媒体S上のUVインクに紫外線を照射することで、媒体S上のUVインクは完全に硬化する。
【0024】
このようなプリンター1では、コントローラー10(制御部に相当)が、キャリッジ31によりヘッド41及び仮照射部51を移動方向に移動させながらヘッド41からインクを吐出させる吐出動作と、ヘッド41及び仮照射部51に対して媒体を搬送方向に搬送させる搬送動作とを、繰り返し実行させる。その結果、先の吐出動作により形成されたドットの位置とは異なる媒体S上の位置に、後の吐出動作にてドットが形成されるため、媒体S上に2次元の画像が印刷される(記録される)。以下の説明では、1回の吐出動作を「パス」とも呼ぶ。
【0025】
===キャリッジ速度Vc===
本実施形態のプリンター1は、リニア式エンコーダーを用いて、ヘッド41及び仮照射部51を搭載したキャリッジ31の移動方向への移動速度(以下、キャリッジ速度Vc)を検出する。リニア式エンコーダーは、キャリッジ31の移動方向の位置を検出するためのものであり、リニアスケール61(図2A参照)と、リニアスケール61と対向するようにキャリッジ31の背面に設けられた検出部(不図示)と、を有する。
【0026】
検出部がリニアスケール61における或るスリットを検出してから次のスリットを検出するまでの時間Tは、キャリッジ31がスリット間隔λ(例:180dpi)を移動方向に移動する時間に相当する。よって、スリット間隔λを、検出部がスリットを検出する時間間隔Tで除算することにより、キャリッジ速度Vc(=λ/t)を算出することができる。
【0027】
図3は、キャリッジ速度Vcの変化を説明する図である。横軸は時間tを示し、縦軸はキャリッジ速度Vcを示す。コントローラー10は、キャリッジ31が停止している状態からキャリッジ速度Vcを徐々に加速し、キャリッジ速度Vcが規定の速度Vccに到達すると、キャリッジ31が一定の速度Vccで移動するように制御する。そして、コントローラー10は、キャリッジ31が一定の速度Vccで移動している状態からキャリッジ速度Vcを徐々に減速し、キャリッジ31を停止させる。
【0028】
このように、キャリッジ31が移動方向へ1回移動する期間(1パス)には、加速期間(0〜t1)と定速期間(t1〜t2)と減速期間(t2〜t3)が含まれる。定速期間にはキャリッジ31が一定の速度Vccで移動するのに対して、加速期間と減速期間(加減速期間)にはキャリッジ31が一定の速度Vccよりも遅い速度で移動する。
【0029】
===比較例のプリンター===
図4A及び図4Bは、比較例のプリンターにおけるキャリッジ速度Vcと媒体S及び画像Pとの位置関係を説明する図である。なお、ここでは、キャリッジ速度Vcが一定の速度Vccで移動する定速期間にだけ画像Pが印刷され、キャリッジ速度Vcが一定の速度Vccでない加減速期間には画像Pが印刷されないとする。また、仮照射部51の照射強度は、加減速期間も定速期間も常に一定であるとする。
【0030】
媒体Sの幅(移動方向の長さ)に比べて画像Pの幅(移動方向の長さ)が短い場合、キャリッジ31をガイドレール32の左端から右端(ホームポジション)まで移動させると、キャリッジ31が不必要に移動することになり、印刷時間が無駄に長くなってしまう。
【0031】
そこで、図4Aの比較例のプリンターは、画像Pの移動方向における端部の位置に応じて、キャリッジ31の移動距離を調整する。例えば、加速期間にキャリッジ31が移動する距離だけ画像Pの左端よりも左側の地点からキャリッジ31の移動を開始させ、減速期間にキャリッジ31が移動する距離だけ画像Pの右端よりも右側の地点でキャリッジ31の移動を停止させる。そうすることで、キャリッジ31がガイドレール32の左端から右端まで移動する場合に比べて、印刷時間を短縮できる。
【0032】
しかし、この場合、キャリッジ31に搭載された仮照射部51が、加減速期間やキャリッジ31の停止期間に、媒体Sと対向してしまう。加減速期間は定速期間に比べてキャリッジ速度Vcが遅い。そのため、定速期間に仮照射部51と対向する媒体部位に比べて、加減速期間に仮照射部51と対向する媒体部位では、仮照射部51との対向時間が長くなる。仮照射部51と媒体Sとの対向時間が長いと、仮照射部51(光源)から媒体Sに向けて発せられる熱量が多くなるため媒体Sが伸縮したり、仮照射部51から媒体Sに向けて発せられる紫外線の照射量(照射エネルギー)が多くなるため媒体Sが劣化したりしてしまう。そうすると、印刷画像の品質が低下してしまう。
【0033】
また、キャリッジ31が停止している期間には、次のパスの準備が行われたり、媒体Sの搬送動作が行われたりする。そのため、キャリッジ31の停止期間に仮照射部51と対向する媒体部位は更に長い時間に亘って仮照射部51と対向することになり、媒体Sの伸縮や劣化がより発生し易くなる。
【0034】
また、ヘッド41(ノズル列)が画像Pの印刷を終えると直ぐにキャリッジ31が減速する場合がある(例えば、後述の図6B)。この場合、キャリッジ31の減速開始直後は、キャリッジ31が移動する側とは反対側に位置する仮照射部51が未だ画像Pと対向している。即ち、画像Pの端部が減速期間に仮照射部51と対向し、画像Pの端部と仮照射部51との対向時間が長くなってしまう。通常、UVインクによる画像Pは仮照射部51との対向時間が長くとも画質は劣化しないが、UVインクの種類によっては変色してしまう場合がある。そのため、画像Pの端部が減速期間に仮照射部51と対向すると、UVインクの種類によっては、画像Pの画質が劣化してしまう。
【0035】
一方、図4Bの比較例のプリンターでは、媒体S及び画像Pと仮照射部51との対向時間が長くなることを防止するために、キャリッジ31が媒体S上を一定の速度Vccで移動するようにする。即ち、仮照射部51が媒体S等に悪影響を及ぼす下限速度以上の速度Vccで、キャリッジ31が媒体S上を移動するようにする。そのために、例えば、加速期間にキャリッジ31が移動する距離だけ媒体Sの左端よりも左側の地点からキャリッジ31の移動を開始させ、キャリッジ31が媒体Sの右端を越えてからキャリッジ31を減速させる。
【0036】
そうすることで、キャリッジ31の加減速期間及び停止期間に仮照射部51が媒体S及び画像Pと対向してしまうことを防止でき、媒体S及び画像Pと仮照射部51との対向時間が長くなってしまうことを防止できる。よって、仮照射部51からの悪影響による媒体Sの伸縮・劣化や画像Pの画質劣化を抑制することができる。
【0037】
しかし、この場合、キャリッジ31が画像Pの印刷範囲を大きく越えて移動することとなり、キャリッジ31が不必要に移動する距離が長く、印刷時間が無駄に長くなってしまう。特に、媒体Sの幅に対して画像Pの幅が短い場合に、印刷時間が無駄に長くなってしまう。
【0038】
===実施例1===
図5Aは、実施例1における仮照射部51の照射強度Iとキャリッジ速度Vcと媒体S及び画像Pの関係を説明する図である。図5Aの上図は、時間tに対する仮照射部51の照射強度Iの変化を示すグラフであり、図5Aの中央図は、時間tに対するキャリッジ速度Vcの変化を示すグラフである。
【0039】
実施例1では、定速期間にだけ画像Pが印刷され、加減速期間には画像Pが印刷されないとする。また、キャリッジ31が移動する方向に関係なく、常に2つの仮照射部51a,51bが点灯し、2つの仮照射部51a,51bは同様に照射強度Iが変化するとする。ただし、これに限らず、往路時(左側への移動時)には右側の第1仮照射部51aだけが点灯し、復路時(右側への移動時)には左側の第2仮照射部51bだけが点灯するようにしても良い。
【0040】
図5Bは、定速期間の開始位置と終了位置を説明する図である。実施例1では、プリンター1のコントローラー10が、媒体Sに印刷する画像Pの移動方向における端部の位置に応じて、キャリッジ31(ヘッド41及び仮照射部51)の移動方向への移動距離を調整する。即ち、画像Pの幅が第1の幅である場合に比べて、画像Pの幅が第1の幅よりも短い第2の幅である場合の方が、キャリッジ31の移動距離が短くなる。
【0041】
例えば、復路時(右側への移動時)には、図5Bの上図に示すように、ヘッド41が有するノズル列のうちの右端のブラックノズル列Kが画像Pの印刷範囲の左端と対向する位置を、定速期間の開始位置とする。そして、図5Bの下図に示すように、第2仮照射部51bの照射範囲が画像Pの右端を越えた位置を、定速期間の終了位置とする。そのために、コントローラー10は、定速期間の開始位置よりも加速期間にキャリッジ31が移動する距離だけ左側にずれた地点からキャリッジ31の移動を開始させ、定速期間の終了位置よりも減速期間にキャリッジ31が移動する距離だけ右側にずれた地点でキャリッジ31の移動を停止させる。
【0042】
このように、画像Pの幅(移動方向の長さ)に応じてキャリッジ31の移動距離を調整することで、キャリッジ31の移動距離を短くすることができ、印刷時間を短縮することができる。ただし、加減速期間に仮照射部51が媒体Sと対向してしまう。即ち、定速期間に仮照射部51と対向する媒体部位に比べて、加減速期間に仮照射部51と対向する媒体部位では、仮照射部51との対向時間が長くなってしまう。
【0043】
そこで、実施例1では、図5Aの上図に示すように、コントローラー10は、定速期間(ta〜tb)における仮照射部51の紫外線の照射強度Ia(mW/cm)に比べて、加速期間(0〜ta)及び減速期間(tb〜tc)における仮照射部51の照射強度Ib(mW/cm)を弱くする。
【0044】
なお、コントローラー10は、仮照射部51の照射光源(例:LED)への印加電流を調整することで、仮照射部51の照射強度を調整する。照射光源への印加電流を大きくすることで仮照射部51の照射強度を強くし、照射光源への印加電流を小さくすることで仮照射部51の照射強度を弱くすることができる。
【0045】
また、実施例1では、加速期間の照射強度Ibと減速期間の照射強度Ibを等しくし、加速期間の照射強度Ibと減速期間の照射強度Ibを一定とする。そのため、コントローラー10は、加速期間が終了すると一気に仮照射部51の照射強度Iを強くし、減速期間が開始すると一気に仮照射部51の照射強度Iを弱くする。
【0046】
仮照射部51の照射強度を弱くすることで、仮照射部51(照射光源)から媒体Sに向けて発せられる単位時間あたりの熱量が小さくなる。よって、実施例1では、定速期間に比べて加減速期間の方が、仮照射部51から媒体Sに向けて発せられる単位時間あたりの熱量が小さくなる。そのため、実施例1では、加減速期間に媒体Sと仮照射部51との対向時間が長くなってしまっても(仮照射部51から媒体Sへの紫外線の照射時間が長くなってしまっても)、加減速期間に仮照射部51から媒体Sに向けて発せられる合計の熱量が大きくなってしまうことを防止できる。ゆえに、実施例1では、加減速期間に仮照射部51と対向する媒体部位が、仮照射部51からの熱により伸縮してしまうことを防止できる。
【0047】
また、仮照射部51からの紫外線の照射量(照射エネルギー(mJ/cm))は、紫外線の照射強度(mW/cm)と照射時間(s)の積で定められる。そのため、加減速期間に仮照射部51の照射強度を弱めることで、加減速期間に媒体Sと仮照射部51との対向時間(照射時間)が長くなってしまっても、加減速期間に仮照射部51から媒体Sに向けて発せられる紫外線の照射量が大きくなってしまうことを防止できる。ゆえに、実施例1では、加減速期間に仮照射部51と対向する媒体部位が、仮照射部51からの紫外線により劣化してしまうことを防止できる。
【0048】
以上をまとめると、実施例1では、キャリッジ31によるヘッド41及び仮照射部51(光照射部)の移動速度が一定の速度Vcc(所定速度)である定速期間における仮照射部51の照射強度Iaに比べて、キャリッジ31によるヘッド41及び仮照射部51の移動速度が一定の速度Vccよりも遅い加減速期間(加速期間及び減速期間)における仮照射部51の照射強度Ibを、コントローラー10が弱くする。そして、コントローラー10は、媒体Sに記録する画像Pの移動方向における端部の位置に応じて、キャリッジ31によるヘッド41及び仮照射部51の移動方向への移動量を調整する。
【0049】
そうすることで、画像Pの大きさに応じてキャリッジ31(ヘッド41及び仮照射部51)の移動距離を出来る限り短くし、印刷時間を短縮することができ、且つ、仮照射部51による媒体Sへの悪影響(熱による伸縮や紫外線による劣化)を防止することができる。つまり、印刷画像の品質低下を防止できる。
【0050】
また、実施例1では、コントローラー10は、キャリッジ31の停止期間(減速期間の終了後から次のパスの加速期間の開始までの期間)における仮照射部51の照射強度Ibを、加減速期間における仮照射部51の照射強度Ibと同じにし、定速期間における仮照射部51の照射強度Iaよりも弱くする。
【0051】
媒体Sの幅に対して画像Pの幅が短い場合、画像Pの印刷終了後の減速期間にて仮照射部51が媒体Sの端部を越えることなく、仮照射部51が媒体Sと対向した状態でキャリッジ31が停止してしまう。そうすると、定速期間に仮照射部51と対向する媒体部位に比べて、停止期間に仮照射部51と対向する媒体部位では、仮照射部51との対向時間が長くなってしまう。ただし、実施例1では、定速期間に比べて停止期間における仮照射部51の照射強度Iを弱くするため、仮照射部51から媒体Sに向けて発せられる熱量や紫外線の照射量が大きくなってしまうことを防止できる。ゆえに、停止期間に仮照射部51と対向する媒体部位が伸縮したり劣化したりすることを防止できる。
【0052】
また、ここでは、図5Bの下図に示すように、仮照射部51の照射範囲が画像Pの端部を越えた地点を定速期間の終了位置としているが、これに限らず、ヘッド41(ノズル列)が画像Pの端部を越えた地点を定速期間の終了位置としても良い(例えば、後述の図6B)。この場合、画像Pの端部は減速期間に仮照射部51と対向し、仮照射部51と画像Pの端部との対向時間が長くなってしまう。この場合、UVインクの種類によっては画像Pの端部が変色してしまう虞がある。ただし、実施例1では、定速期間に比べて減速期間における仮照射部51の照射強度を弱めるため、減速期間に仮照射部51から画像Pに向けて発せられる紫外線の照射量や熱量が大きくなってしまうことを防止できる。ゆえに、実施例1では、減速期間に仮照射部51と対向する画像Pの端部が変色してしまうことを防止できる。
【0053】
===実施例2===
図6Aは、実施例2における仮照射部51の照射強度Iとキャリッジ速度Vcの関係を説明する図である。前述の実施例1(図5A)では、キャリッジ速度Vcに関係なく加速期間及び減速期間の照射強度Ibが一定である。
【0054】
これに対して、実施例2では、加減速期間において、キャリッジ速度Vc(キャリッジ31によるヘッド41及び仮照射部51の移動速度)が第1の速度Vx1である時の仮照射部51の照射強度Ix1に比べて、キャリッジ速度Vcが第1の速度Vx1よりも遅い第2の速度Vx2である時の仮照射部51の照射強度Ix2を、コントローラー10が弱くする。
【0055】
ここでは、コントローラー10は、加速期間においてキャリッジ速度Vcが徐々に速くなるにつれて仮照射部51の照射強度Iを徐々に強くし、減速期間においてキャリッジ速度Vcが徐々に遅くなるにつれて仮照射部51の照射強度Iを徐々に弱くする。つまり、コントローラー10は、キャリッジ速度Vcに応じて仮照射部51の照射強度Iを調整する。
【0056】
図6Bは、定速期間の終了位置を説明する図である。図では、復路時(キャリッジ31が右側へ移動する時)における定速期間の終了位置を示す。実施例2では、画像Pの移動方向における端部の位置に応じて、コントローラー10がキャリッジ31の移動方向への移動距離を調整するとし、また、画像Pは定速期間に印刷されるが加減速期間には印刷されないとする。
【0057】
そして、実施例2では、図6Bに示すように、ヘッド41が有するノズル列のうちの左端のイエローノズル列Yが画像Pの右端と対向する地点を定速期間の終了位置とする。この場合、定速期間が終了した時点で、キャリッジ31が移動する側とは反対側の第2仮照射部51bは、未だ画像Pと対向している。つまり、画像Pの右端の領域Rは、減速期間の開始直後に第2仮照射部51bと対向して硬化される。
【0058】
減速期間は定速期間に比べて、媒体Sと仮照射部51との対向時間が長くなる。ただし、減速期間の開始直後は、減速期間の終了直前に比べると、キャリッジ速度Vcの減速度合いが低く、媒体Sと仮照射部51との対向時間は比較的に短い。そのため、実施例1(図5A)のように減速期間の開始直後に仮照射部51の照射強度を一気に弱めてしまうと、減速期間の開始直後に第2仮照射部51bが画像Pの右端の領域Rに照射する紫外線量(照射エネルギー)が少なく、画像Pの右端に硬化不良が生じてしまう虞がある。
【0059】
そこで、実施例2(図6A)のように、減速期間において、キャリッジ速度Vcが徐々に遅くなるにつれて仮照射部51の照射強度Iを徐々に弱くすると良い。そうすることで、減速期間の開始直後で仮照射部51と画像Pとの対向時間が比較的に短い時は、仮照射部51の照射強度Iが比較的に高いため、画像Pの端部も確実に硬化することが出来る。
【0060】
また、ここまで、定速期間にだけ画像Pが印刷される場合を例に挙げているが、これに限らない。定速期間に加えて加減速期間にも画像Pが印刷されるようにしても良い。この場合、印刷可能な画像Pの幅を長くすることができる。
【0061】
加減速期間にも画像Pを印刷するということは、キャリッジ31が移動する側(例:右側)とは反対側に設けられた仮照射部(例:第2仮照射部51b)が、加速期間や減速期間にも画像Pを硬化することになる。加速期間の終了直前や減速期間の開始直後は、キャリッジ速度Vcが比較的に速く、仮照射部51と画像Pとの対向時間が比較的に短い。そのため、実施例1(図5A)のように、加速期間の間中ずっと仮照射部51の照射強度を弱いままにしたり、減速期間の開始直後に仮照射部51の照射強度を一気に弱めたりしてしまうと、加速期間の終了直前や減速期間の開始直後に仮照射部51が画像Pに照射する紫外線量(照射エネルギー)が少なく、画像Pの端部に硬化不良が生じてしまう虞がある。
【0062】
そこで、実施例2(図6A)のように、加減速期間には、キャリッジ速度Vcに応じて仮照射部51の照射強度Iを調整すると良い。そうすることで、加速期間の終了直前や減速期間の開始直後で、仮照射部51と画像Pとの対向時間が比較的に短い時は、仮照射部51の照射強度Iが比較的に高いため、画像Pを確実に硬化することが出来る。
【0063】
===実施例3===
図7は、実施例3における仮照射部51の照射強度Iとキャリッジ速度Vcの関係を説明する図である。画像Pの移動方向における端部の位置に応じてキャリッジ31の移動方向への移動距離が調整される場合や、定速期間に加えて加減速期間にも画像Pが印刷される場合、仮照射部51が媒体Sと対向した状態でキャリッジ31が停止してしまう事がある。キャリッジ31の停止期間では、加減速期間よりも更に長い時間に亘って仮照射部51が媒体Sと対向する。そのため、キャリッジ31の停止期間は、仮照射部51からの悪影響により媒体Sの伸縮や劣化がより発生し易くなってしまう。
【0064】
そこで、実施例3では、仮照射部51が媒体Sと対向している状態でキャリッジ31によるヘッド41及び仮照射部51の移動方向への移動を停止している期間に、コントローラー10は、仮照射部51からの紫外線の照射を停止する。即ち、図7に示すように、キャリッジ31の停止期間(tc以降)では、コントローラー10は仮照射部51の照射強度Iをゼロとする。
【0065】
そうすることで、キャリッジ31の停止期間に媒体Sと仮照射部51との対向時間が長くなってしまっても、キャリッジ31の停止期間には仮照射部51から媒体Sに向けて熱や紫外線が発せられないので、媒体Sの伸縮や劣化をより確実に防止することができる。
【0066】
===実施例4===
図8は、実施例4におけるキャリッジ31の停止期間を説明する図である。UVインクによる画像Pが仮照射部51と長い時間に亘って対向しても(即ち、仮照射部51から画像Pに長い時間に亘って紫外線が照射されても)、通常、画像Pは劣化することが無い(例えば、変色することが無い)。つまり、UVインクによる画像Pは、媒体Sに比べて、仮照射部51との対向時間が長くとも(紫外線の照射時間が長くとも)、悪影響を受け難い。
【0067】
そこで、実施例4では、図8に示すように、仮照射部51における紫外線の照射面が媒体S上のUVインク(UVインクによる画像P)と対向している状態で、コントローラー10は、キャリッジ31によるヘッド41及び仮照射部51の移動方向への移動を停止させる。具体的には、ヘッド41に対してキャリッジ31が移動する側とは反対側に位置する仮照射部51(図8では第2仮照射部51b)の照射範囲が画像P上に位置する状態で(照射範囲が画像Pの内側に位置する状態で)、コントローラー10は、キャリッジ31の移動を停止させる。なお、図8では、第2仮照射部51bの下面の全域が仮照射部51における紫外線の照射面となっている。
【0068】
そうすることで、キャリッジ31が移動する側とは反対側に位置する仮照射部51(図8では第2仮照射部51b)は、キャリッジ31の停止期間に媒体Sと対向しないため、仮照射部51からの悪影響による媒体Sの伸縮や劣化をより確実に防止することができる。また、通常、UVインクによる画像Pは仮照射部51と長い時間に亘って対向していても画質が劣化しないので、キャリッジ31が移動する側とは反対側に位置する仮照射部51が、キャリッジ31の停止期間に画像Pと対向していても、問題が無い。つまり、仮照射部51による媒体Sへの悪影響を抑えつつ、画像Pの画質劣化を抑えることができる。
【0069】
なお、キャリッジ31の停止期間には、キャリッジ31が移動する側とは反対側に位置する仮照射部(図8では第2仮照射部51b)の照射強度Iを、加減速期間の照射強度Ibと同じでも良いし、定速期間の照射強度Iaと同じでも良い。
【0070】
また、本実施形態のプリンター1は、ヘッド41に対して移動方向の両側に仮照射部51が設けられており、キャリッジ31が移動する側に位置する仮照射部(図8では第1仮照射部51a)は、キャリッジ31の停止期間に、媒体Sと対向する。よって、キャリッジ31の停止期間には、キャリッジ31が移動する側に位置する仮照射部51の照射強度Iを、加減速期間と同様に弱い照射強度Ibにしたり、ゼロにしたり(紫外線の照射を停止したり)すると良い。
【0071】
また、キャリッジ31が移動する側とは反対側に位置する一方の仮照射部51が画像Pと対向している状態でキャリッジ31が停止するように、減速期間に一方の仮照射部51が画像Pの端部を越えないようにする。そのために、減速期間にも画像Pを印刷するようにしても良いし、ヘッド41(ノズル列)から一方の仮照射部51までの距離に応じてキャリッジ速度Vcの減速度合いを調整するようにしても良い。
【0072】
===実施例5===
ここまで、コントローラー10が、画像Pの移動方向における端部の位置に応じて(画像Pの幅に応じて)、キャリッジ31(ヘッド41及び仮照射部51)の移動方向への移動距離を調整するとしているが、これに限らない。画像Pの幅に関係なく、各パスでキャリッジ31をガイドレール32の左端から右端(ホームポジション)まで移動させて、画像Pを印刷するようにしても良い。
【0073】
この場合にも、媒体Sのサイズが大きいと、キャリッジ31の加減速期間に仮照射部51が媒体Sの端部と対向してしまう。即ち、定速期間に仮照射部51と対向する媒体部位に比べて、媒体Sの端部では、仮照射部51との対向時間が長くなってしまう。
【0074】
ゆえに、画像Pの移動方向における端部の位置に応じてキャリッジ31の移動距離を調整しない場合であっても、定速期間における仮照射部51の照射強度に比べて、加減速期間における仮照射部51の照射強度を弱くすると良い。そうすることで、加減速期間に媒体Sの端部が仮照射部51と対向してしまっても、仮照射部51から媒体Sの端部に向けて発せられる熱量や紫外線量が大きくなってしまうことを防止でき、媒体Sの伸縮や劣化を防止することができる。つまり、仮照射部51による媒体への悪影響を抑えることができる。
【0075】
===その他の実施の形態===
上記の実施形態は、主として画像記録装置について記載されているが、画像記録方法等の開示が含まれている。また、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【0076】
<インクについて>
前述の実施形態では、光硬化型インクとして、紫外線硬化型インク(UVインク)を例に挙げているが、これに限らない。例えば、可視光を照射すると硬化するインクでもよい。
【0077】
<プリンターについて>
前述の実施形態では、移動方向に移動するヘッドからインクを吐出する吐出動作と媒体を搬送方向に搬送する搬送動作を繰り返すプリンターを例に挙げているが、これに限らない。例えば、印刷領域に搬送された連続用紙(又は単票紙)に対して、ヘッドを媒体搬送方向に移動しながら画像を形成する動作と、ヘッドを紙幅方向に移動する動作と、を繰り返して画像を形成し、その後、未だ印刷されていない媒体部分を印刷領域に搬送するプリンターであってもよい。
【0078】
また、前述の実施形態のプリンター(図2B)では、ヘッド41に対して移動方向の両端側に仮照射部51が設けられ、往路時にも復路時にも画像を印刷するとしているが、これに限らない。例えば、ヘッド41に対して移動方向の一方側にだけ仮照射部51が設けられ、キャリッジ31が移動方向の他方側に移動する時にだけ画像を印刷するプリンターであってもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 プリンター、10 コントローラー、11 インターフェース部、
12 CPU、13 メモリー、14 ユニット制御回路、
20 搬送ユニット、30 キャリッジユニット、31 キャリッジ、
32 ガイドレール、40 ヘッドユニット、41 ヘッド、
50 照射ユニット、51a 第1仮照射部、51b 第2仮照射部、
52 本照射部、60 検出器群、61 リニアスケール、
70 コンピューター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)媒体に光硬化型インクを吐出するヘッドと、
(B)前記媒体上の前記光硬化型インクに光を照射して前記光硬化型インクを硬化させる光照射部と、
(C)前記媒体に対して前記ヘッド及び前記光照射部を所定方向に移動する移動機構と、
(D)前記移動機構により前記ヘッド及び前記光照射部を前記所定方向に移動させながら前記ヘッドから前記光硬化型インクを吐出させる吐出動作と、前記ヘッド及び前記光照射部と前記媒体とを前記所定方向と交差する方向に相対移動させる搬送動作とを、繰り返し実行させる制御部であって、
前記移動機構による前記ヘッド及び前記光照射部の移動速度が所定速度である定速期間における前記光照射部の照射強度に比べて、前記移動機構による前記ヘッド及び前記光照射部の移動速度が前記所定速度よりも遅い加減速期間における前記光照射部の照射強度を弱くする制御部と、
(E)を備えることを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像記録装置であって、
前記制御部は、前記媒体に記録する画像の前記所定方向における端部の位置に応じて、前記移動機構による前記ヘッド及び前記光照射部の前記所定方向への移動量を調整する、
画像記録装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像記録装置であって、
前記制御部は、前記光照射部が前記媒体と対向している状態で前記移動機構による前記ヘッド及び前記光照射部の前記所定方向への移動を停止している期間に、前記光照射部からの光の照射を停止する、
画像記録装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の画像記録装置であって、
前記制御部は、前記光照射部における光の照射面が前記媒体上の前記光硬化型インクと対向している状態で、前記移動機構による前記ヘッド及び前記光照射部の前記所定方向への移動を停止させる、
画像記録装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4の何れか1項に記載の画像記録装置であって、
前記制御部は、前記加減速期間において、前記移動機構による前記ヘッド及び前記光照射部の移動速度が第1の速度である時の前記光照射部の照射強度に比べて、前記移動機構による前記ヘッド及び前記光照射部の移動速度が前記第1の速度よりも遅い第2の速度である時の前記光照射部の照射強度を弱くする、
画像記録装置。
【請求項6】
(A)媒体に光硬化型インクを吐出するヘッドと、
(B)前記媒体上の前記光硬化型インクに光を照射して前記光硬化型インクを硬化させる光照射部と、
(C)前記媒体に対して前記ヘッド及び前記光照射部を所定方向に移動する移動機構と、
(D)前記移動機構により前記ヘッド及び前記光照射部を前記所定方向に移動させながら前記ヘッドから前記光硬化型インクを吐出させる吐出動作と、前記ヘッド及び前記光照射部と前記媒体とを前記所定方向と交差する方向に相対移動させる搬送動作とを、繰り返し実行させる制御部であって、
前記移動機構による前記ヘッド及び前記光照射部の移動速度が所定速度である定速期間における前記光照射部の照射強度に比べて、前記移動機構による前記ヘッド及び前記光照射部の移動速度が前記所定速度よりも遅い加減速期間における前記光照射部の照射強度を弱くする制御部と、
(E)を備えた画像記録装置を用いて前記媒体に画像を記録することを特徴とする画像記録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−240337(P2012−240337A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113916(P2011−113916)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】