画像記録装置及びこれを用いた画像形成装置
【課題】本発明の課題は、読み取り精度の高いバーコードを記録することができる画像記録装置及び画像形成装置を得ることである。
【解決手段】互いに間隔をあけて形成された複数のバーBからなるバーコードCの画像データを記憶した記憶部15と、この記憶部15に記憶された画像データのバーコードCの形状を変換する変換部17と、この変換部17によって変換されたバーコードC1の画像データを記録する記録部11とを備えた画像記録装置であって、変換部17は、バーBの側端の一部に複数の空白部Eが形成される様に、画像データのバーBを構成する画素を間引いて、バーBをその幅の一部を狭くした形状に形成する。
【解決手段】互いに間隔をあけて形成された複数のバーBからなるバーコードCの画像データを記憶した記憶部15と、この記憶部15に記憶された画像データのバーコードCの形状を変換する変換部17と、この変換部17によって変換されたバーコードC1の画像データを記録する記録部11とを備えた画像記録装置であって、変換部17は、バーBの側端の一部に複数の空白部Eが形成される様に、画像データのバーBを構成する画素を間引いて、バーBをその幅の一部を狭くした形状に形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データに基づいた画像を記録する画像記録装置及びこれを用いた複写機、プリンタ、ファクシミリ或いはこれらの複合機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の業界において商品管理や在庫管理などに商品や製品を識別する為の情報を所定の表示範囲でバーコード化することが広く行なわれており、更に多くの情報をコード化する技術開発が期待されている。バーコードを印刷する画像記録装置に対してもできるだけ多くの情報を小さな画像で出力できる様記録精度(バーの幅やピッチの精度)の向上が期待されている。
【0003】
図10は近年、物流などに広く利用されているいわゆるEAN128バーコードである。このEAN128バーコードは、図11に示す線幅の異なる4種類の黒線(これはバーと呼ばれる)と白線(これはスペースと呼ばれる)とで構成される。一番幅の狭いものをモジュールと呼び、バーコードの基本単位となる、他の3種類の広いバーとスペースはモジュールのそれぞれ2倍、3倍、4倍の幅を持つ。これらのバーとスペースを3本ずつ組合せて1文字分の情報を表している。
【0004】
一般に、EAN128の読取幅は、モジュール幅とデータ桁数(情報量)によって大きく変化するので、読取幅をよく検討しなければならない。EAN128(コード128)の標準(JIS X 0504)によれば左右の余白を含む数字48桁のバーコード長は、モジュール幅0.169mmのとき57.7mm、モジュール幅0.254mmのとき86.6mmで有る。モジュール幅が小さければ小さな対象物にも記録は可能であるが高精度かつ高解像な記録が必要となる。また、モジュール幅を大きくすれば画像記録装置に対する要求精度は下がるが小さな対象物に記録ができなくなると共に情報を読み取るバーコードリーダも広幅読取が可能で高価なものが必要となってしまう。従って、画像記録装置を用いてバーコードを印刷するプリンタ等の画像形成装置にも高い精度が要求されてきている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
バーコードの記録には専用のプリンタを用いる場合もあるが、一般オフィスで使用されているレーザプリンタなどもバーコード記録に利用されることが多い。この様なレーザプリンタの記録密度は600dpiが一般的であり、上記のモジュール幅0.169mmバーコードを記録する場合にはモジュールは4ドットの幅に相当する。ただし、レーザプリンタは文字の可読性などの点から黒線が太く再現される。そのためバーコード作成のソフトウェアには時にバー幅とスペース幅に補正を加える機能があり、バーとスペースを構成するドット数をバーは3ドット、スペースは5ドットにすることも可能である(この補正はバーとスペースのドット数の和は一定とし、バーのドット数を減らした場合には、スペースのドット数を同じだけ増やすのが一般的であり、バーは2ドット、スペースは6ドットなどとすることも可能である。)。
【0006】
また、標準のバー幅として「黒バー」を4ドット分印字するとき、標準の印刷用紙に印刷した場合、インクのにじみ易い印刷用紙に印刷した場合、又は、インクのにじみ難い印刷用紙に印刷した場合において、印刷された4ドット分のバー幅は異なる。従って、インクのにじみ易い印刷用紙、又は、インクのにじみ難い印刷用紙に印刷されたバー幅を、標準の印刷用紙のバー幅となるように3ドット分として補正して印刷する技術が知られている(特許文献2参照)。尚、この機能は1ドット単位(600dpiのプリンタの場合は42.3μm)での補正しかできない様になっている。
【0007】
【特許文献1】特開2006−056173号公報
【特許文献2】特開2003−048342号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、レーザプリンタは環境変動や現像材の劣化などにより現像特性が変化し、記録されるラインの幅が変化することがある。この劣化は目視した場合の劣化にもなるが、線幅や線のピッチが重要な品質項目であるバーコードなどの符号化画像の品質に大きく影響し、読み取り精度の低下の原因にもなる。この為、読み取り精度の高いバーコードが望まれていた。
【0009】
本発明は、読み取り精度の高いバーコードを記録することができる画像記録装置及びこれを用いた画像形成装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決する為に、請求項1に記載された発明は、互いに間隔をあけて形成された複数のバーからなるバーコードの画像データを記憶した記憶部と、この記憶部に記憶された画像データのバーコードの形状を変換する変換部と、この変換部によって変換されたバーコードの画像データを記録する記録部とを備えた画像記録装置であって、変換部は、バーの側端の一部に複数の空白部が形成される様に、画像データのバーを構成する画素を間引いて、バーをその幅の一部を狭くした形状に形成することを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、変換部は、複数の空白部の少なくとも一つの長さを、バーコードを読み取る読取装置におけるバー長さ方向の読取範囲よりも大きくすることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載された発明は、請求項1又は2に記載された発明において、変換部は、複数の空白部の少なくとも一つの長さを、バーコードを読み取る読取装置におけるバーの長さ方向の読取範囲よりも小さくすることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載された発明は、請求項1乃至3の何れか1項に記載された発明において、変換部は、バーの長さ方向に沿って空白部を周期的に形成することを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載された発明は、像担持体の静電潜像をトナーによって現像した後に、記録媒体に転写する画像形成装置において、請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像記録装置を備え、この画像読取装置の記録部は、帯電した像担持体上に対し、変換部によって変換された画像データに基づいた走査露光を行って、像担持体に静電潜像を形成することを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、記録部は、変換部によって長さ方向において複数の空白部が形成されたバーからなるバーコードに変換された画像データに基づいて、バーコードを記録するので、このバーコードは、そのバーの幅が最初から変化している状態になっている。このため、画像形成装置の現像特性の変化等によりバーコードのバーの幅が、元の幅とは異なった状態で記録された場合であっても、その影響を受け難くすることができ、結果的に読み取り精度の高いバーコードを記録することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明の実施の形態に係る画像記録装置を示す構成図である。図1に示す様に、画像記録装置10は、感光体ドラム(像担持体)8を有するプリンタ(画像形成装置)内に設けられており、帯電した感光体ドラム8に対し、画像データに基づいた走査露光を行って、感光体ドラム8に静電潜像を形成するものである。
【0017】
尚、プリンタには、感光体ドラム8を帯電する帯電装置、感光体ドラム8の静電潜像にトナーを供給してトナー像として現像する現像装置、感光体ドラム8のトナー像を用紙等の記録媒体に転写する転写装置、記録媒体に転写されたトナー像を定着する定着装置等が設けられているが、図1においてこれらの図示は省略する。
【0018】
画像記録装置10は、帯電した感光体ドラム8に画像データに基づく静電潜像を記録する記録部11と、記録部11に画像データ(画像信号)を発して、記録部11に感光対ドラム8に対する書き込みを行わせる等の制御を行うCPU等の制御部13と、画像データを記憶したメモリ等の記憶部15とを備えている。
【0019】
記録部11は、変調制御可能な発光源を有する半導体レーザ1と、半導体レーザ1からのレーザを集光するカップリングレンズ2と、周面に複数の反射面5Aを有し、レーザビームを偏向走査する回転多面鏡であるポリゴンミラー5と、ポリゴンミラー5からのレーザビームを極小スポットとして絞り込む結像レンズ群6と、結像レンズ群6からのレーザビームを感光体ドラム8に向けて折り返す様にして案内する折り返しミラー7とを有している。
【0020】
この記録部11においては、制御部13からの画像データに応じて変調された半導体レーザ1からのレーザは、カップリングレンズ2にて集光され、光学素子4を経て、ポリゴンミラー5の反射面5Aに入射する。ポリゴンミラー5はモータにより回転駆動されている為、反射面5Aにより反射されたレーザビームは、結像レンズ群6、折り返しミラー7を介して感光体ドラム8上を走査露光する。この走査露光により、円周方向に回転駆動されている帯電した感光体ドラム8上には、レーザスポットにより2次元走査され画像データに応じた静電潜像が形成される様になっている。尚、感光体ドラム8の静電潜像は、現像装置によりトナーを付着させられてトナー像として現像された後、このトナー像を転写装置により記録媒体に転写され、定着装置により定着することにより記録媒体に画像が形成される。
【0021】
記憶部15には、各種画像の画像データが記憶されるが、本実施の形態では、EAN128バーコード(図10参照)の画像データが複数記憶されている。この記憶部15に記憶された画像データに基づいた静電潜像が、感光体ドラム8に記録(形成)される様になっている。
【0022】
図2は記憶部15に記憶された画像データの基となるバーコードと読み取りスポットとの関係を示す図である。この図2には、4ドット幅のモジュールによるバーコードCの記録パターンを示している。すなわち、図2に示すバーコードCは、縦に複数個並んだ画素が横に連続して4列配置されてなる黒線である複数のバーBと、これらのバーB間のスペース(白又は印字していない部分)Sとからなる縞模様のパターンであり、バーコードCのバーBは、バーコードリーダの走査方向(横方向)に4つの画素(4ドット)分の幅を有し、走査方向において隣り合うバーB間のスペースSも、その幅が4ドットになっている。このパターンに数字やその他の文字・記号を置き換えたもので、バーコードリーダによって読み取られた後、解読させるものである。
【0023】
この様なバーコードを読み取るバーコードリーダとしては、例えば、図7(a)に示すマニュアルスキャン方式、図7(b)に示すレーザスキャン方式、及び図7(c)に示すCCDスキャン方式のものが挙げられる。
【0024】
図7(a)のマニュアルスキャン方式のバーコードリーダR1は、LED(光源)の光をレンズによりスポット状に絞り込んだビームである読み取りスポット(照明スポット)をバーコードに対して照射し、バーコードリーダR1を人が移動させることで、バーコード上を走査させ、その反射光を光センサ(受光素子)で受光することによって、バーコードを読み取る方式である。
【0025】
また、図7(b)のレーザスキャン方式のバーコードリーダR2は、半導体レーザ(光源)の光をスポット状に絞り込んだ読み取りスポットを、回転ミラーによってバーコード上に対して走査し、その反射光を光センサで受光することによって、バーコードを読み取る方式である。
【0026】
更に、図7(c)のCCDスキャン方式のバーコードリーダR3は、複数のLEDの光で線状に形成された照射光をバーコードに照射し、反射光をアレイ上のリニアCCDに結像させて、バーコードを読み取る方式である。
【0027】
図2に示す読み取りスポットPは、図7(a)、(b)に示すマニュアルスキャン又はレーザスキャン方式による読み取りスポットPである。図2を見ても明らかな様に、読み取りスポットPは、その高さ方向(バーBの長さ方向)において、5ドット分程度の直径(例えば、100μm〜数100μm程度)に設定されており、バーコードリーダR1、R2においては、この読み取りスポットPの範囲でバーコードCを読み取る様になっている。
【0028】
本実施の形態では、記憶部15には、上述の図2に示すバーコードCの符号化データである画像データが複数記憶されている。そして、記録媒体にバーコードを印刷(記録)する際には、印刷したいバーコードに対応する画像データが記憶部15から制御部13によって読み出され、この読み出された画像データは、後述する変換部17の所定の画像データに変換され、この変換された画像データが半導体レーザ1に発せられることにより、変換された画像データに基づいた静電潜像が感光体ドラム8に形成される様になっている。
【0029】
制御部13は、使用者の操作等による記録媒体への印刷指令があったときに、記憶部15に記憶されたバーコードの画像データを所定の画像データに変換する変換部17を備えている。すなわち、変換部17は、記憶部15に記憶されている図2に示すバーコードCのバーBの長さ方向におけるエッジの一部に複数の空白部が形成される様に、このバーBのエッジを構成する縦列の画素を間引くことにより、図2に示すバーコードCのバーBを、図3(a)、(b)に示すバーB1、B2の形状に変換することにより、バーコードCの画像データをバーコードC1、C2の画像データに変換する様になっている。
【0030】
具体的には、図3(a)のバーコードC1は、図2に示すバーコードCの4つの縦列の画素のうち、一番右側の縦列の画素(バーコードCの右側端(エッジ)を構成する縦列の画素)を、バーコードCの長さ方向に沿って1つおきに間引くことにより、1ドットおきに空白部E1が形成された形状になっている。これにより、バーコードC1の幅(線幅)は、上から1ドットおきに3ドット分の幅と、4ドット分の幅とが交互に並んでいる。
【0031】
一方、図3(b)のバーコードC2は、図2に示すバーコードCの4つの縦列の画素のうち、一番右側の縦列の画素を(バーコードCの右側端を構成する画素)、1ドット分の画素と2ドット分の空白部E2とが交互に並んだ形状となる様に間引くことにより形成されている。これにより、バーコードC2の幅は、上から順に、1つの4ドット分の幅と2つの3ドット分の幅とがこの順序で繰り返し並んでいる。
【0032】
このように、本実施の形態では、バーコードC1の空白部E1の長さが1ドット分であり、バーコードC2の長さが2ドット分であり、これらの空白部E1、E2の長さを、バーコードリーダR1、R2の読み取りスポットPの直径(読み取りスポット高さ)Hよりも小さくしており、バーコードリーダR1、R2の読み取りスポットPの範囲内、即ちバーコードリーダR1、R2の解像度よりも細かな段階で、バーB1、B2の幅が複数個所で異なるようにして、高画質なバーコードC1、C2の記録を可能にしている。
【0033】
また、変換部17には、上述した様なバーコードの画像データの変換を行うプログラムが格納されている。具体的には、記憶部15に記憶されたバーコードCの画像データを認識する認識ステップと、この認識ステップにより認識したバーコードCを予め定めた形状のバーコードC1、C2になる様に、そのバーコードCを構成する複数の縦列の画素のうち、少なくとも一方の側端側の画素を間引く画素間引きステップと、この画素間引きステップによって形成されたバーコードC1、C2の画像データを作成して、記憶部15に記憶されたバーコードCの画像データを、バーコードC1、C2の画像データに変換する変換ステップとを備えているプログラムが格納(インストール)されており、変換部17はこの格納されたプログラムによって、画像データの変換を行う様になっている。
【0034】
尚、上述のプログラムを変換部17に予め格納する代わりに、このプログラムをフレキシブルディスクやCD−ROM等の記録媒体に格納する様にしても良い。この場合、変換部17は、記録媒体から上述のプログラムを読み出し、この読み出したプログラムによって画像データの変換を行う。
【0035】
図4は記録媒体にバーコードを記録する際の制御部による制御の流れを示すフローチャートである。この図4のフローチャートの説明にあたり、図2に示すバーコードCを図3(a)に示すバーコードC1に変換する場合を例にとって説明する。
【0036】
プリンタにおいて、用紙(記録媒体)にバーコードを記録(印刷)する際には、使用者がプリンタの操作部或いはプリンタと接続されているパソコンの操作部等を操作して、印刷したいバーコードCを選択し、この選択したバーコードCを印刷する旨の信号を制御部13に送信する。この信号を受けた制御部13は、先ず、記憶部15から受けた信号に対応するバーコードCの画像データを読み出す(ステップS1及びステップS2)。
【0037】
次に、制御部13は、変換部17に、読み出したバーコードCの形状をバーコードC1に変換させることにより、バーコードCの画像データを、図3(a)に示すバーコードC1の画像データに変換させた後、この変換した画像データを記録部11に出力する(ステップS3及びステップS4)。その後、記録部11が、制御部13から受けた画像データに基づく静電潜像を感光体ドラム8に形成することにより、この静電潜像がトナー像として現像され、このトナー像が用紙に転写され、定着されて、記録媒体に変換部17によって変換された画像データに基づくバーコードC1が形成される。尚、バーコードC2を記録媒体に形成する際も、上述と同様にして行う。
【0038】
このようにして用紙に形成されたバーコードC1の画像を図5(a)に、バーコードC2の画像を図5(b)に示す。この図5に示す画像をバーコードリーダR1やバーコードリーダR2で読み取った場合、バーコードリーダR1、R2の読み取りスポットPの高さ方向のサイズ(直径)若しくはバーコードリーダR1、R2の読み取りスポットの照射口(測定開口)よりも、バーB1、B2の幅の変化の周期が小さい為、バーB1、B2の幅は、複数の幅の平均的な値として検出される。
【0039】
具体的には、図6に示すとおりである。図6は、図2に示すバーコードCの画像、図5に示すバーコードC1、C2の画像を実際にバーコードリーダで読み取った結果を示すグラフであり、横軸に各バーコードC、C1、C2を取り、縦軸にバーコードの幅を取って、各バーコードC、C1、C2とその幅との関係を示している。
【0040】
この図6に示す様に、図2に示すバーコードCの幅(4ドット分)が220μmとして検出されたのに対し、図5(a)の画像(パターン)では205μm、図5(b)の画像では195μmと狭い幅として検出された。本実施の形態のプリンタの記録密度が600dpiである場合、その1ドットは42.3μmであるからより細かな段階でのバーB1、B2幅の設定が可能なことが分かる。従って、プリンタの環境変動やトナーの劣化などにより現像特性が変化し、記録されるバーコードC1、C2のバーB1、B2の幅が変化した状態で記録された場合であっても、その影響を受け難くすることができ、結果的に読み取り精度の高いバーコードを記録することができる。
【0041】
本発明は、上述した実施の形態に限定されず、その用紙を逸脱しない範囲内において、種々の変形が可能である。
【0042】
例えば、変換部17によって変換されるバーコードの形状は、上述の実施の形態のバーコードC1やバーコードC2に限定されず、図8及び図9に示す様な形状に適宜変更可能である。要は、基となるバーコードの長さ方向におけるエッジを構成する画素を適宜間引くことにより、このバーコードのエッジに空白部を形成する様にすれば、上述の実施の形態と同様な作用効果を得る。
【0043】
図8に示すバーコードC3のバーB3の基となるバーコードのバーは、縦に複数個並んだ画素が横に連続して5列配置されてなるバーであり、バーB3は、基となるバーの一番左側における縦列の画素(バーの左側端を構成する画素)を上から7ドット分間引いてなる空白部E31と、この空白部E31から下に連続すると共に、基となるバーの一番左側における縦列の画素と、左から二番目の縦列との2列の画素を7ドット分間引いてなる空白部E32と、この空白部E32から下に連続すると共に、基となるバーの一番左側における縦列の画素を7ドット分間引いてなる空白部E33とを有する形状になっている。従って、バーB3の幅は、上から7ドットおきに、4ドット、3ドット、4ドット、5ドットとなっている。
【0044】
このように、図8に示す例では、バーコードC3の空白部E31〜33は、その長さが7ドット分であり、バーコードリーダR1、R2の読み取りスポットPの読み取りスポット高さ(5ドット分)Hよりも大きくなる様に形成されている。従って、バーB3の複数の幅を、バーコードリーダR1、R2により読み取ることが可能になっている。このため、プリンタの環境変動やトナーの劣化等により現像特性が変化し、用紙等の記録媒体に記録されるバーB3の幅が変化しても、バーB3の長さ方向の走査場所を変えて、複数回読み取ることにより、読み取り精度の向上を図ることができる。
【0045】
一方、図9に示すバーコードC4のバーB4基となるバーコードのバーも、縦に複数個並んだ画素が横に連続して5列配置されてなるバーであり、バーB4は、バーコードリーダR1、R2の読み取りスポットPの読み取り高さよりも大きいと共に、互いに幅の異なる空白部E41及びE42と、読み取りスポットPの読み取り高さよりも小さくなる様に形成されていると共に、互いに幅の異なる空白部E43、E44及びE45とを有する様に、基となるバーから画素を間引いて形成されている。図9に示す例では、空白部E41及びE44が形成されている部分のバーB4の幅は3ドット分であり、空白部E42、E43及びE45が形成されている部分のバーB4の幅は4ドット分となっている。この図9の様なバーコードC4においても、上述の実施の形態及び図8に示す例と同様な作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像記録装置を概略的に示す構成図である。
【図2】図1の画像記録装置の記憶部に記憶された画像データの基となるバーコードと読み取りスポットとの関係を示す図である。
【図3】図1の画像記録装置の変換部によって変換された画像データによるバーコードを模式的に示す図である。
【図4】記録媒体にバーコードを記録する際の制御部による制御の流れを示すフローチャートである。
【図5】図1の画像記録装置の変換部によって変換された画像データに基づいて形成された画像を示す図である。
【図6】図2に示すバーコードの画像、図5に示すバーコードの画像を実際にバーコードリーダで読み取った結果を示すグラフである。
【図7】各種バーコードリーダを説明する為の図である。
【図8】変形例に係るバーコードを模式的に示す図である。
【図9】変形例に係るバーコードを模式的に示す図である。
【図10】EAN128バーコードを示す図である。
【図11】図10のバーコードのバーとスペースとの関係を説明する為の図である。
【符号の説明】
【0047】
1 画像記録装置
8 感光体ドラム(像担持体)
15 記憶部
17 変換部
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像データに基づいた画像を記録する画像記録装置及びこれを用いた複写機、プリンタ、ファクシミリ或いはこれらの複合機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の業界において商品管理や在庫管理などに商品や製品を識別する為の情報を所定の表示範囲でバーコード化することが広く行なわれており、更に多くの情報をコード化する技術開発が期待されている。バーコードを印刷する画像記録装置に対してもできるだけ多くの情報を小さな画像で出力できる様記録精度(バーの幅やピッチの精度)の向上が期待されている。
【0003】
図10は近年、物流などに広く利用されているいわゆるEAN128バーコードである。このEAN128バーコードは、図11に示す線幅の異なる4種類の黒線(これはバーと呼ばれる)と白線(これはスペースと呼ばれる)とで構成される。一番幅の狭いものをモジュールと呼び、バーコードの基本単位となる、他の3種類の広いバーとスペースはモジュールのそれぞれ2倍、3倍、4倍の幅を持つ。これらのバーとスペースを3本ずつ組合せて1文字分の情報を表している。
【0004】
一般に、EAN128の読取幅は、モジュール幅とデータ桁数(情報量)によって大きく変化するので、読取幅をよく検討しなければならない。EAN128(コード128)の標準(JIS X 0504)によれば左右の余白を含む数字48桁のバーコード長は、モジュール幅0.169mmのとき57.7mm、モジュール幅0.254mmのとき86.6mmで有る。モジュール幅が小さければ小さな対象物にも記録は可能であるが高精度かつ高解像な記録が必要となる。また、モジュール幅を大きくすれば画像記録装置に対する要求精度は下がるが小さな対象物に記録ができなくなると共に情報を読み取るバーコードリーダも広幅読取が可能で高価なものが必要となってしまう。従って、画像記録装置を用いてバーコードを印刷するプリンタ等の画像形成装置にも高い精度が要求されてきている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
バーコードの記録には専用のプリンタを用いる場合もあるが、一般オフィスで使用されているレーザプリンタなどもバーコード記録に利用されることが多い。この様なレーザプリンタの記録密度は600dpiが一般的であり、上記のモジュール幅0.169mmバーコードを記録する場合にはモジュールは4ドットの幅に相当する。ただし、レーザプリンタは文字の可読性などの点から黒線が太く再現される。そのためバーコード作成のソフトウェアには時にバー幅とスペース幅に補正を加える機能があり、バーとスペースを構成するドット数をバーは3ドット、スペースは5ドットにすることも可能である(この補正はバーとスペースのドット数の和は一定とし、バーのドット数を減らした場合には、スペースのドット数を同じだけ増やすのが一般的であり、バーは2ドット、スペースは6ドットなどとすることも可能である。)。
【0006】
また、標準のバー幅として「黒バー」を4ドット分印字するとき、標準の印刷用紙に印刷した場合、インクのにじみ易い印刷用紙に印刷した場合、又は、インクのにじみ難い印刷用紙に印刷した場合において、印刷された4ドット分のバー幅は異なる。従って、インクのにじみ易い印刷用紙、又は、インクのにじみ難い印刷用紙に印刷されたバー幅を、標準の印刷用紙のバー幅となるように3ドット分として補正して印刷する技術が知られている(特許文献2参照)。尚、この機能は1ドット単位(600dpiのプリンタの場合は42.3μm)での補正しかできない様になっている。
【0007】
【特許文献1】特開2006−056173号公報
【特許文献2】特開2003−048342号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、レーザプリンタは環境変動や現像材の劣化などにより現像特性が変化し、記録されるラインの幅が変化することがある。この劣化は目視した場合の劣化にもなるが、線幅や線のピッチが重要な品質項目であるバーコードなどの符号化画像の品質に大きく影響し、読み取り精度の低下の原因にもなる。この為、読み取り精度の高いバーコードが望まれていた。
【0009】
本発明は、読み取り精度の高いバーコードを記録することができる画像記録装置及びこれを用いた画像形成装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決する為に、請求項1に記載された発明は、互いに間隔をあけて形成された複数のバーからなるバーコードの画像データを記憶した記憶部と、この記憶部に記憶された画像データのバーコードの形状を変換する変換部と、この変換部によって変換されたバーコードの画像データを記録する記録部とを備えた画像記録装置であって、変換部は、バーの側端の一部に複数の空白部が形成される様に、画像データのバーを構成する画素を間引いて、バーをその幅の一部を狭くした形状に形成することを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、変換部は、複数の空白部の少なくとも一つの長さを、バーコードを読み取る読取装置におけるバー長さ方向の読取範囲よりも大きくすることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載された発明は、請求項1又は2に記載された発明において、変換部は、複数の空白部の少なくとも一つの長さを、バーコードを読み取る読取装置におけるバーの長さ方向の読取範囲よりも小さくすることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載された発明は、請求項1乃至3の何れか1項に記載された発明において、変換部は、バーの長さ方向に沿って空白部を周期的に形成することを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載された発明は、像担持体の静電潜像をトナーによって現像した後に、記録媒体に転写する画像形成装置において、請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像記録装置を備え、この画像読取装置の記録部は、帯電した像担持体上に対し、変換部によって変換された画像データに基づいた走査露光を行って、像担持体に静電潜像を形成することを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、記録部は、変換部によって長さ方向において複数の空白部が形成されたバーからなるバーコードに変換された画像データに基づいて、バーコードを記録するので、このバーコードは、そのバーの幅が最初から変化している状態になっている。このため、画像形成装置の現像特性の変化等によりバーコードのバーの幅が、元の幅とは異なった状態で記録された場合であっても、その影響を受け難くすることができ、結果的に読み取り精度の高いバーコードを記録することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明の実施の形態に係る画像記録装置を示す構成図である。図1に示す様に、画像記録装置10は、感光体ドラム(像担持体)8を有するプリンタ(画像形成装置)内に設けられており、帯電した感光体ドラム8に対し、画像データに基づいた走査露光を行って、感光体ドラム8に静電潜像を形成するものである。
【0017】
尚、プリンタには、感光体ドラム8を帯電する帯電装置、感光体ドラム8の静電潜像にトナーを供給してトナー像として現像する現像装置、感光体ドラム8のトナー像を用紙等の記録媒体に転写する転写装置、記録媒体に転写されたトナー像を定着する定着装置等が設けられているが、図1においてこれらの図示は省略する。
【0018】
画像記録装置10は、帯電した感光体ドラム8に画像データに基づく静電潜像を記録する記録部11と、記録部11に画像データ(画像信号)を発して、記録部11に感光対ドラム8に対する書き込みを行わせる等の制御を行うCPU等の制御部13と、画像データを記憶したメモリ等の記憶部15とを備えている。
【0019】
記録部11は、変調制御可能な発光源を有する半導体レーザ1と、半導体レーザ1からのレーザを集光するカップリングレンズ2と、周面に複数の反射面5Aを有し、レーザビームを偏向走査する回転多面鏡であるポリゴンミラー5と、ポリゴンミラー5からのレーザビームを極小スポットとして絞り込む結像レンズ群6と、結像レンズ群6からのレーザビームを感光体ドラム8に向けて折り返す様にして案内する折り返しミラー7とを有している。
【0020】
この記録部11においては、制御部13からの画像データに応じて変調された半導体レーザ1からのレーザは、カップリングレンズ2にて集光され、光学素子4を経て、ポリゴンミラー5の反射面5Aに入射する。ポリゴンミラー5はモータにより回転駆動されている為、反射面5Aにより反射されたレーザビームは、結像レンズ群6、折り返しミラー7を介して感光体ドラム8上を走査露光する。この走査露光により、円周方向に回転駆動されている帯電した感光体ドラム8上には、レーザスポットにより2次元走査され画像データに応じた静電潜像が形成される様になっている。尚、感光体ドラム8の静電潜像は、現像装置によりトナーを付着させられてトナー像として現像された後、このトナー像を転写装置により記録媒体に転写され、定着装置により定着することにより記録媒体に画像が形成される。
【0021】
記憶部15には、各種画像の画像データが記憶されるが、本実施の形態では、EAN128バーコード(図10参照)の画像データが複数記憶されている。この記憶部15に記憶された画像データに基づいた静電潜像が、感光体ドラム8に記録(形成)される様になっている。
【0022】
図2は記憶部15に記憶された画像データの基となるバーコードと読み取りスポットとの関係を示す図である。この図2には、4ドット幅のモジュールによるバーコードCの記録パターンを示している。すなわち、図2に示すバーコードCは、縦に複数個並んだ画素が横に連続して4列配置されてなる黒線である複数のバーBと、これらのバーB間のスペース(白又は印字していない部分)Sとからなる縞模様のパターンであり、バーコードCのバーBは、バーコードリーダの走査方向(横方向)に4つの画素(4ドット)分の幅を有し、走査方向において隣り合うバーB間のスペースSも、その幅が4ドットになっている。このパターンに数字やその他の文字・記号を置き換えたもので、バーコードリーダによって読み取られた後、解読させるものである。
【0023】
この様なバーコードを読み取るバーコードリーダとしては、例えば、図7(a)に示すマニュアルスキャン方式、図7(b)に示すレーザスキャン方式、及び図7(c)に示すCCDスキャン方式のものが挙げられる。
【0024】
図7(a)のマニュアルスキャン方式のバーコードリーダR1は、LED(光源)の光をレンズによりスポット状に絞り込んだビームである読み取りスポット(照明スポット)をバーコードに対して照射し、バーコードリーダR1を人が移動させることで、バーコード上を走査させ、その反射光を光センサ(受光素子)で受光することによって、バーコードを読み取る方式である。
【0025】
また、図7(b)のレーザスキャン方式のバーコードリーダR2は、半導体レーザ(光源)の光をスポット状に絞り込んだ読み取りスポットを、回転ミラーによってバーコード上に対して走査し、その反射光を光センサで受光することによって、バーコードを読み取る方式である。
【0026】
更に、図7(c)のCCDスキャン方式のバーコードリーダR3は、複数のLEDの光で線状に形成された照射光をバーコードに照射し、反射光をアレイ上のリニアCCDに結像させて、バーコードを読み取る方式である。
【0027】
図2に示す読み取りスポットPは、図7(a)、(b)に示すマニュアルスキャン又はレーザスキャン方式による読み取りスポットPである。図2を見ても明らかな様に、読み取りスポットPは、その高さ方向(バーBの長さ方向)において、5ドット分程度の直径(例えば、100μm〜数100μm程度)に設定されており、バーコードリーダR1、R2においては、この読み取りスポットPの範囲でバーコードCを読み取る様になっている。
【0028】
本実施の形態では、記憶部15には、上述の図2に示すバーコードCの符号化データである画像データが複数記憶されている。そして、記録媒体にバーコードを印刷(記録)する際には、印刷したいバーコードに対応する画像データが記憶部15から制御部13によって読み出され、この読み出された画像データは、後述する変換部17の所定の画像データに変換され、この変換された画像データが半導体レーザ1に発せられることにより、変換された画像データに基づいた静電潜像が感光体ドラム8に形成される様になっている。
【0029】
制御部13は、使用者の操作等による記録媒体への印刷指令があったときに、記憶部15に記憶されたバーコードの画像データを所定の画像データに変換する変換部17を備えている。すなわち、変換部17は、記憶部15に記憶されている図2に示すバーコードCのバーBの長さ方向におけるエッジの一部に複数の空白部が形成される様に、このバーBのエッジを構成する縦列の画素を間引くことにより、図2に示すバーコードCのバーBを、図3(a)、(b)に示すバーB1、B2の形状に変換することにより、バーコードCの画像データをバーコードC1、C2の画像データに変換する様になっている。
【0030】
具体的には、図3(a)のバーコードC1は、図2に示すバーコードCの4つの縦列の画素のうち、一番右側の縦列の画素(バーコードCの右側端(エッジ)を構成する縦列の画素)を、バーコードCの長さ方向に沿って1つおきに間引くことにより、1ドットおきに空白部E1が形成された形状になっている。これにより、バーコードC1の幅(線幅)は、上から1ドットおきに3ドット分の幅と、4ドット分の幅とが交互に並んでいる。
【0031】
一方、図3(b)のバーコードC2は、図2に示すバーコードCの4つの縦列の画素のうち、一番右側の縦列の画素を(バーコードCの右側端を構成する画素)、1ドット分の画素と2ドット分の空白部E2とが交互に並んだ形状となる様に間引くことにより形成されている。これにより、バーコードC2の幅は、上から順に、1つの4ドット分の幅と2つの3ドット分の幅とがこの順序で繰り返し並んでいる。
【0032】
このように、本実施の形態では、バーコードC1の空白部E1の長さが1ドット分であり、バーコードC2の長さが2ドット分であり、これらの空白部E1、E2の長さを、バーコードリーダR1、R2の読み取りスポットPの直径(読み取りスポット高さ)Hよりも小さくしており、バーコードリーダR1、R2の読み取りスポットPの範囲内、即ちバーコードリーダR1、R2の解像度よりも細かな段階で、バーB1、B2の幅が複数個所で異なるようにして、高画質なバーコードC1、C2の記録を可能にしている。
【0033】
また、変換部17には、上述した様なバーコードの画像データの変換を行うプログラムが格納されている。具体的には、記憶部15に記憶されたバーコードCの画像データを認識する認識ステップと、この認識ステップにより認識したバーコードCを予め定めた形状のバーコードC1、C2になる様に、そのバーコードCを構成する複数の縦列の画素のうち、少なくとも一方の側端側の画素を間引く画素間引きステップと、この画素間引きステップによって形成されたバーコードC1、C2の画像データを作成して、記憶部15に記憶されたバーコードCの画像データを、バーコードC1、C2の画像データに変換する変換ステップとを備えているプログラムが格納(インストール)されており、変換部17はこの格納されたプログラムによって、画像データの変換を行う様になっている。
【0034】
尚、上述のプログラムを変換部17に予め格納する代わりに、このプログラムをフレキシブルディスクやCD−ROM等の記録媒体に格納する様にしても良い。この場合、変換部17は、記録媒体から上述のプログラムを読み出し、この読み出したプログラムによって画像データの変換を行う。
【0035】
図4は記録媒体にバーコードを記録する際の制御部による制御の流れを示すフローチャートである。この図4のフローチャートの説明にあたり、図2に示すバーコードCを図3(a)に示すバーコードC1に変換する場合を例にとって説明する。
【0036】
プリンタにおいて、用紙(記録媒体)にバーコードを記録(印刷)する際には、使用者がプリンタの操作部或いはプリンタと接続されているパソコンの操作部等を操作して、印刷したいバーコードCを選択し、この選択したバーコードCを印刷する旨の信号を制御部13に送信する。この信号を受けた制御部13は、先ず、記憶部15から受けた信号に対応するバーコードCの画像データを読み出す(ステップS1及びステップS2)。
【0037】
次に、制御部13は、変換部17に、読み出したバーコードCの形状をバーコードC1に変換させることにより、バーコードCの画像データを、図3(a)に示すバーコードC1の画像データに変換させた後、この変換した画像データを記録部11に出力する(ステップS3及びステップS4)。その後、記録部11が、制御部13から受けた画像データに基づく静電潜像を感光体ドラム8に形成することにより、この静電潜像がトナー像として現像され、このトナー像が用紙に転写され、定着されて、記録媒体に変換部17によって変換された画像データに基づくバーコードC1が形成される。尚、バーコードC2を記録媒体に形成する際も、上述と同様にして行う。
【0038】
このようにして用紙に形成されたバーコードC1の画像を図5(a)に、バーコードC2の画像を図5(b)に示す。この図5に示す画像をバーコードリーダR1やバーコードリーダR2で読み取った場合、バーコードリーダR1、R2の読み取りスポットPの高さ方向のサイズ(直径)若しくはバーコードリーダR1、R2の読み取りスポットの照射口(測定開口)よりも、バーB1、B2の幅の変化の周期が小さい為、バーB1、B2の幅は、複数の幅の平均的な値として検出される。
【0039】
具体的には、図6に示すとおりである。図6は、図2に示すバーコードCの画像、図5に示すバーコードC1、C2の画像を実際にバーコードリーダで読み取った結果を示すグラフであり、横軸に各バーコードC、C1、C2を取り、縦軸にバーコードの幅を取って、各バーコードC、C1、C2とその幅との関係を示している。
【0040】
この図6に示す様に、図2に示すバーコードCの幅(4ドット分)が220μmとして検出されたのに対し、図5(a)の画像(パターン)では205μm、図5(b)の画像では195μmと狭い幅として検出された。本実施の形態のプリンタの記録密度が600dpiである場合、その1ドットは42.3μmであるからより細かな段階でのバーB1、B2幅の設定が可能なことが分かる。従って、プリンタの環境変動やトナーの劣化などにより現像特性が変化し、記録されるバーコードC1、C2のバーB1、B2の幅が変化した状態で記録された場合であっても、その影響を受け難くすることができ、結果的に読み取り精度の高いバーコードを記録することができる。
【0041】
本発明は、上述した実施の形態に限定されず、その用紙を逸脱しない範囲内において、種々の変形が可能である。
【0042】
例えば、変換部17によって変換されるバーコードの形状は、上述の実施の形態のバーコードC1やバーコードC2に限定されず、図8及び図9に示す様な形状に適宜変更可能である。要は、基となるバーコードの長さ方向におけるエッジを構成する画素を適宜間引くことにより、このバーコードのエッジに空白部を形成する様にすれば、上述の実施の形態と同様な作用効果を得る。
【0043】
図8に示すバーコードC3のバーB3の基となるバーコードのバーは、縦に複数個並んだ画素が横に連続して5列配置されてなるバーであり、バーB3は、基となるバーの一番左側における縦列の画素(バーの左側端を構成する画素)を上から7ドット分間引いてなる空白部E31と、この空白部E31から下に連続すると共に、基となるバーの一番左側における縦列の画素と、左から二番目の縦列との2列の画素を7ドット分間引いてなる空白部E32と、この空白部E32から下に連続すると共に、基となるバーの一番左側における縦列の画素を7ドット分間引いてなる空白部E33とを有する形状になっている。従って、バーB3の幅は、上から7ドットおきに、4ドット、3ドット、4ドット、5ドットとなっている。
【0044】
このように、図8に示す例では、バーコードC3の空白部E31〜33は、その長さが7ドット分であり、バーコードリーダR1、R2の読み取りスポットPの読み取りスポット高さ(5ドット分)Hよりも大きくなる様に形成されている。従って、バーB3の複数の幅を、バーコードリーダR1、R2により読み取ることが可能になっている。このため、プリンタの環境変動やトナーの劣化等により現像特性が変化し、用紙等の記録媒体に記録されるバーB3の幅が変化しても、バーB3の長さ方向の走査場所を変えて、複数回読み取ることにより、読み取り精度の向上を図ることができる。
【0045】
一方、図9に示すバーコードC4のバーB4基となるバーコードのバーも、縦に複数個並んだ画素が横に連続して5列配置されてなるバーであり、バーB4は、バーコードリーダR1、R2の読み取りスポットPの読み取り高さよりも大きいと共に、互いに幅の異なる空白部E41及びE42と、読み取りスポットPの読み取り高さよりも小さくなる様に形成されていると共に、互いに幅の異なる空白部E43、E44及びE45とを有する様に、基となるバーから画素を間引いて形成されている。図9に示す例では、空白部E41及びE44が形成されている部分のバーB4の幅は3ドット分であり、空白部E42、E43及びE45が形成されている部分のバーB4の幅は4ドット分となっている。この図9の様なバーコードC4においても、上述の実施の形態及び図8に示す例と同様な作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像記録装置を概略的に示す構成図である。
【図2】図1の画像記録装置の記憶部に記憶された画像データの基となるバーコードと読み取りスポットとの関係を示す図である。
【図3】図1の画像記録装置の変換部によって変換された画像データによるバーコードを模式的に示す図である。
【図4】記録媒体にバーコードを記録する際の制御部による制御の流れを示すフローチャートである。
【図5】図1の画像記録装置の変換部によって変換された画像データに基づいて形成された画像を示す図である。
【図6】図2に示すバーコードの画像、図5に示すバーコードの画像を実際にバーコードリーダで読み取った結果を示すグラフである。
【図7】各種バーコードリーダを説明する為の図である。
【図8】変形例に係るバーコードを模式的に示す図である。
【図9】変形例に係るバーコードを模式的に示す図である。
【図10】EAN128バーコードを示す図である。
【図11】図10のバーコードのバーとスペースとの関係を説明する為の図である。
【符号の説明】
【0047】
1 画像記録装置
8 感光体ドラム(像担持体)
15 記憶部
17 変換部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに間隔をあけて形成された複数のバーからなるバーコードの画像データを記憶した記憶部と、この記憶部に記憶された画像データのバーコードの形状を変換する変換部と、この変換部によって変換されたバーコードの画像データを記録する記録部とを備えた画像記録装置であって、
変換部は、バーの側端の一部に複数の空白部が形成される様に、画像データのバーを構成する画素を間引いて、バーをその幅の一部を狭くした形状に形成することを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
変換部は、複数の空白部の少なくとも一つの長さを、バーコードを読み取る読取装置におけるバー長さ方向の読取範囲よりも大きくすることを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
変換部は、複数の空白部の少なくとも一つの長さを、バーコードを読み取る読取装置におけるバーの長さ方向の読取範囲よりも小さくすることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
変換部は、バーの長さ方向に沿って空白部を周期的に形成することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の画像記録装置。
【請求項5】
像担持体の静電潜像をトナーによって現像した後に、記録媒体に転写する画像形成装置において、
請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像記録装置を備え、この画像読取装置の記録部は、帯電した像担持体上に対し、変換部によって変換された画像データに基づいた走査露光を行って、像担持体に静電潜像を形成することを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
互いに間隔をあけて形成された複数のバーからなるバーコードの画像データを記憶した記憶部と、この記憶部に記憶された画像データのバーコードの形状を変換する変換部と、この変換部によって変換されたバーコードの画像データを記録する記録部とを備えた画像記録装置であって、
変換部は、バーの側端の一部に複数の空白部が形成される様に、画像データのバーを構成する画素を間引いて、バーをその幅の一部を狭くした形状に形成することを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
変換部は、複数の空白部の少なくとも一つの長さを、バーコードを読み取る読取装置におけるバー長さ方向の読取範囲よりも大きくすることを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
変換部は、複数の空白部の少なくとも一つの長さを、バーコードを読み取る読取装置におけるバーの長さ方向の読取範囲よりも小さくすることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
変換部は、バーの長さ方向に沿って空白部を周期的に形成することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の画像記録装置。
【請求項5】
像担持体の静電潜像をトナーによって現像した後に、記録媒体に転写する画像形成装置において、
請求項1乃至4の何れか1項に記載の画像記録装置を備え、この画像読取装置の記録部は、帯電した像担持体上に対し、変換部によって変換された画像データに基づいた走査露光を行って、像担持体に静電潜像を形成することを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−201057(P2008−201057A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−41550(P2007−41550)
【出願日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]