画像記録装置及び画像記録方法
【課題】ノズル列を列方向にノズル間隔D以下のD/4で移動させて画像記録を行うと、ノズルの特性ばらつきにより、同一ノズルで4列のドット列を連続記録するため、筋状の濃度むらが発生する。
【解決手段】画像記録装置は、一括的に複数の記録ヘッドをノズルの配列の方向に移動する際に、隣接する記録ヘッドが使用するノズル列を移動毎に、ノズル列切替位置の両側からの距離がノズル間隔未満である範囲内に必ず両方の記録ヘッドのノズルが存在する条件を満たす位置にその切替位置を設定し、その切替位置の近傍にいずれか一方の記録ヘッドのノズルで記録するように、各記録ヘッドにおける使用するノズル列の開始ノズルと終了ノズルを決定し、画像を記録する。
【解決手段】画像記録装置は、一括的に複数の記録ヘッドをノズルの配列の方向に移動する際に、隣接する記録ヘッドが使用するノズル列を移動毎に、ノズル列切替位置の両側からの距離がノズル間隔未満である範囲内に必ず両方の記録ヘッドのノズルが存在する条件を満たす位置にその切替位置を設定し、その切替位置の近傍にいずれか一方の記録ヘッドのノズルで記録するように、各記録ヘッドにおける使用するノズル列の開始ノズルと終了ノズルを決定し、画像を記録する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の記録素子列を用いて画像を記録する画像記録装置及び画像記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ノズル等のインクの液滴を吐出する複数の記録素子を配列した記録素子列を備える記録ヘッドにより、記録媒体に画像を記録するインクジェット画像記録装置が知られている。例えば、特許文献1において、記録ヘッドの記録素子列は、例えば、搬送手段となるドラム上に所定距離を空けて保持され、ドラムに密着されて搬送される記録媒体をドラムの回転方向に沿って移動させながら、記録素子列内の各ノズルを制御して、記録媒体上に画像データに基づく画像を記録するプリンタが開示されている。
【0003】
また、このような画像記録装置のなかで、記録素子列をその列の方向に移動させながら複数回の画像記録を行うことによって、記録素子の間隔よりも高い解像度の画像を記録するものも知られている。このような画像記録装置の一例として、特許文献2にはプラテンドラムに担持され搬送される記録媒体上にノズル列から吐出したインク滴で画像を記録するインクジェットプリンタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭53−2039号公報
【特許文献2】特開平3−56186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数の記録素子列を端部に重なり部分を設けて記録素子列の方向に並べることによって、1つの記録素子列よりも広い記録幅をもつ合成記録素子列を構成する。この合成記録素子列をその列の方向に移動させながら、この列方向に直交する方向に反復移動する記録媒体に対して繰り返し記録を行うことにより画像記録を行う。このとき、記録素子列の端部の重なり部分で記録されたドットの間隔が不揃いになり濃度むらが生じる。
【0006】
以下、インク滴を吐出するノズル列を用いたインクジェット方式を一例として、課題について説明する。図19のP1に示すように、例えば、ノズル間隔(ピッチ)を距離Dとする2つのノズル列(記録ヘッド)をその列方向(Y方向)に並べて配置し、記録幅を広げた合成ノズル列を構成する。
【0007】
この合成ノズル列を組み立てる際、2つのノズル列の接続部分において、一方のノズル列の端のノズルと他方のノズル列の端のノズルの間隔も距離Dに一致させるのが望ましい。しかし、現実には部品誤差や組み付け誤差等によりずれが生ずる。図19ではずれ量eが生じて2つのノズル列の接続部分のノズル間隔がD-eになった状態を表している。
【0008】
この画像記録装置は合成ノズル列を列方向に移動して4回の記録を行うことによって、ノズル間隔の4分の1のピッチでドットを記録する。図19のP1〜P4はこの4回の記録におけるノズル列の位置を表している。具体的には、P1は、1回目の記録における合成ノズル列の位置を、P2は2回目の記録における合成ノズル列の位置を、P3は3回目の記録における合成ノズル列の位置を、P4は4回目の記録における合成ノズル列の位置を示している。
前述したように、この合成ノズル列では、隣接する2つのノズル列の間でノズル間隔にずれ量eがあるため、2つのノズル列の接続部分で記録されたドットの間隔にもずれが生じ、図20にaで示すような濃度が高い部分が発生する。しかし、このような濃度むらは、ドット間隔が狭い部分のドットの濃度を下げることによって比較的に容易に補正することができる。
【0009】
しかしながら、ノズル列を構成する複数のノズルの特性にはばらつきがあり、これによっても濃度むらが生じる。合成記録ヘッドをD/4ずつ移動して記録すると、同一ノズルで記録されたドットが連続するため、ノズル毎の特性のばらつきによって生じる濃度むらが目立ってしまうという課題が生じる。
【0010】
この課題については、合成ノズル列の移動量を大きくすることが有効である。たとえば図19では合成ノズル列の移動量はD/4であったが、図21では合成ノズル列の移動量を(2+1/4)Dと大きくした。これにより同一ノズルで記録されるドット列がノズル列方向には連続しなくなるため、濃度むらが目立ちにくくなる。
【0011】
しかし、同一ノズルで記録されたドット列が分散する一方で、前述したノズル列の繋ぎ部分にずれ量eがあるため、実際には、図22に示すように、ドット間隔が狭くなる部分(濃度の高い領域)aと、ドット間隔が広くなる部分(濃度が低い領域)bが多数発生し、濃度むらが目立ってしまう。図21に示したノズルAによって記録されたドット列が図22のA1〜A4である。同様に、ノズルBによって記録されたドット列がB1〜B4、ノズルCによって記録されたドット列がC1〜C4である。図22にbで示したドット間隔が広くなる箇所では、濃度が低く、白筋状に見える。bに隣接するドットの濃度を上げることによってある程度は補正することができるが、すでに最大濃度で記録していた場合は、濃度を上げることができないため、補正することが困難である。
【0012】
そこで本発明は、同一ノズルで記録されるドット列を分散させてノズル毎の特性のばらつきによって生じる濃度むらを目立たなくすることができ、且つ隣接するノズル列の間隔のずれによってドット間隔が広くなったり狭くなったりすることを抑制して、高画質な画像記録ができる画像記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に従う実施形態の画像記録装置は、それぞれに画像を記録する複数の記録素子が配列される第1記録ヘッド及び第2記録ヘッドを、互いの端部が重なるように前記記録素子の配列方向につなぎ合わせて構成される合成記録ヘッドと、前記合成記録ヘッドにおける前記配列方向と直交する方向に記録媒体を相対的に走査移動させる第1走査手段と、前記記録媒体に対して、前記配列方向に前記合成記録ヘッドを相対的に走査移動させる第2走査手段と、前記合成記録ヘッドに画像データを供給する画像データ処理部と、を有し、前記第1の走査手段による走査移動を行いながら、前記合成記録ヘッドによる複数回の画像記録を行う際に、前記複数回に亘る画像記録のそれぞれの合間に、前記第2の走査手段による記録素子の配列ピッチの整数倍に相当する距離とは異なる距離だけ相対走査を行う動作を複数回繰り返すことで、合成記録ヘッドの記録解像度よりも高い解像度の画像を記録する画像記録装置であって、前記画像データ処理部は、前記複数回の画像記録動作における前記合成記録ヘッドの各画像記録位置に亘って、前記記録媒体上の共通の位置として設定された使用記録素子の切替位置を境に、前記合成記録ヘッドの記録素子列方向の一方側の記録媒体の画像記録領域に対しては、前記第1記録ヘッドの記録素子のみで、且つ他方側の記録媒体の画像記録領域に対しては、前記第2記録ヘッドの記録素子のみで、それぞれ前記複数回の画像記録を行うように、前記合成記録ヘッドに対して、画像データを供給する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、記録素子列を列の方向に移動して記録密度を高めて記録する場合に、同一の記録素子によって記録されるドットが記録素子列の列の方向に連続せず、記録素子毎の記録特性のばらつきが目立たないようにすることができるとともに、記録素子列の切換部分で記録素子間隔が不揃いになるのを抑制して高画質な画像を記録することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、第1の実施形態としての画像記録方法を実現するための画像記録装置の概念的な構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、第1の実施形態の記録媒体搬送部の主要部を表した図である。
【図3】図3は、図2における矢印Aの方向から見た第1の実施形態の主要部を示す図である。
【図4】図4は、図2における矢印Bの方向から見た第1の実施形態の主要部を示す図である。
【図5】図5は、第1の実施形態の画像記録動作について説明するためのフローチャートである。
【図6】図6は、第1の実施形態における4回の画像記録のそれぞれのノズル列の位置を示す図である。
【図7】図7は、第1の実施形態における4回の画像記録の開始ノズル番号と終了ノズル番号を示す図である。
【図8】図8は、第1の実施形態によって記録したベタ画像をドットで模式的に示した図である。
【図9】図9は、第2の実施形態における4回の記録の合成ヘッドの位置とノズル列切替位置を示す図である。
【図10】図10(a)は、第2の実施形態によって記録した奇数番目のドット行における切替部分を示す図、図10(b)は、同様に記録した偶数番目のドット行における切替部分を示す図である。
【図11】図11は、第2の実施形態によって記録したべタ画像のドット位置を示す図である。
【図12】図12は、第2の実施形態の変形例のべタ画像をドットで模式的に示した図である。
【図13】図13は、変形例におけるノズル列切替位置を示す図である。
【図14】図14は、第3の実施形態における4回の記録の合成ヘッドの位置とノズル列切替位置を示す図である。
【図15】図15は、第3の実施形態によって記録したべタ画像をドットで模式的に示した図である。
【図16】図16は、第4の実施形態の画像記録装置における画像記録に関する機構の概念的に示す図である。
【図17】図17は、第4の実施形態の4回の記録の合成ヘッドの位置とノズル列切替位置を示す図である。
【図18】図18は、第4の実施形態によって記録したべタ画像をドットで模式的に示した図である。
【図19】図19は、従来技術における4回の移動による画像記録のノズルの位置等を示す図である。
【図20】図20は、従来技術によって記録したべタ画像をドットで模式的に示した図である。
【図21】図21は、従来技術における4回の移動による画像記録のノズルの位置等を示す図である。
【図22】図22は、従来技術によって記録したべタ画像をドットで模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明に係る第1の実施形態としての画像記録方法を実現するための画像記録装置の概念的な構成を示すブロック図である。
【0017】
本実施形態の画像記録装置1は、少なくとも、制御部2、記録媒体搬送部3、画像データ処理部6、複数の記録ヘッド11及び、記録ヘッド位置制御部14を備えている。尚、図示していないが、画像記録装置1は、記録媒体の供給及び排出・収納するための各機構部やユーザが指示するための入力操作部(例えば、キースイッチやタッチパネル)及び表示部(例えば、液晶表示パネル)、さらに公知な通信機能(I/F)等を有しているものとする。
【0018】
制御部2は、図示しないマイクロプロセッサやメモリ等から構成され、装置全体を制御する。記録媒体搬送部3は、搬送機構4と搬送量検知機構5等により構成され、記録媒体を主走査方向と直交する方向に搬送する。尚、本実施形態では搬送機構4は、後述するプラテンドラム16を有し、このプラテンドラム16が記録媒体を保持した状態で回転することで、記録媒体を主走査方向と直交する副走査方向に搬送する。搬送量検知機構5はこのプラテンドラム16の回転量を検出することで搬送量を検知する。画像データ処理部6は、画像データ入力部7、ハーフトーン処理部8、記録データ生成部9等により構成される。記録ヘッド駆動部10は、記録データ生成部で生成された記録データに基づいて、記録ヘッド11を駆動させる。
【0019】
本実施形態では、ノズル列12の端部が重なるように複数の記録ヘッド11をノズル列の方向に並べることによって、1つの記録ヘッドよりも広い記録幅をもつ合成ヘッドを構成している。本実施形態では、ノズル列12は、一例として、600個のノズルにより構成されている。勿論、この600個に限定されるものではない。また、以下の説明において、各ノズルに番号を付け、左端のノズルから順に1番ノズル、2番ノズル、…、600番ノズルとする。また、ノズル列12におけるノズル間隔(ピッチ)をDとする。
【0020】
上位装置(ユーザが所有するパーソナルコンピュータ等)100から通信機能を経由してデータ入力部7に入力された256階調の画像データは、ハーフトーン処理部8に送出される。ハーフトーン処理部8は、例えば、誤差拡散法等の公知の技術を用いて256階調の画像データを8階調の画像データに変換する。
【0021】
次に、この8階調の画像データは、記録データ生成部9に送出される。記録データ生成部9は、複数の記録ヘッド11の配列位置に応じて、適切な画像データを選択して複数の記録ヘッド駆動部10に送出する。記録ヘッド駆動部10は、記録ヘッド11を駆動して、画像データに従ったノズルよりインクを吐出させて、記録媒体に画像記録を行う。
【0022】
図2は、記録媒体19の搬送機構4、搬送量検知機構5、記録ヘッド11等による記録媒体搬送部3の構成を概念的に示す図である。搬送機構4は、少なくとも給紙ローラ15、プラテンドラム16、剥離機構17及び排紙ローラ18を有している。これらの構成要素は、図示しない装置本体のフレームに取り付けられている。
【0023】
記録媒体19は、給紙ローラ15によって矢印d1の方向に搬送され、プラテンドラム上16に導かれる。プラテンドラム16は帯電されており、クーロン力によって記録媒体19を吸着する。プラテンドラム16は矢印d2及び矢印d3で示す方向に回転して記録媒体19を搬送する。
【0024】
プラテンドラム16には、搬送量検知機構5が接続されている。搬送量検知機構5として、一般的には、ロータリーエンコーダが用いられる。制御部2が搬送量検知機構5から出力される信号を参照して、記録ヘッド11の駆動制御(インクの吐出量とその吐出タイミングの制御)を行うことによって、記録媒体19上の適切な位置に適切なドット行間隔で画像が記録される。
【0025】
記録媒体19は、まず矢印d2の方向に搬送される。この間に記録ヘッド11の下面にあるノズル列12から吐出されるインクによって記録媒体19上に画像が記録される。複数の記録ヘッド11は記録ヘッドホルダ13に固定されている。
【0026】
1回目の記録が終了すると、記録媒体19は矢印d3の方向に搬送される。この間に記録ヘッド位置制御部14によって記録ヘッドホルダ13がノズル列12の方向に(2+1/4)D だけ移動される。プラテンドラム16の回転により記録媒体19が周回され、再びd2の方向に搬送されて、ノズル列12の下を通過するときに、2回目の記録が行われる。
【0027】
従って、2回目の記録では、1回目の記録で形成されたドット列(Y方向に延在するドットの列)から(2+1/4)Dずれた位置にドット列が形成される。同様に、記録ヘッドホルダ13の位置を(2+1/4)Dずつ移動して計4回の記録が行われ、最終的にノズル列方向のドットの間隔がD/4である画像が記録される。即ち、ノズル列12の解像度の4倍の解像度で画像が記録される。これらの4回の記録の後、剥離機構17によって記録媒体19はプラテンドラム16から剥がされる。プラテンドラム16から剥がされた記録媒体19は、排紙ローラ18によって矢印d4の方向に搬送され、画像記録動作が完了する。
【0028】
図3は、図2に示す矢印Aの方向から見た構成を示し、図4は、図2に示す矢印Bの方向から見た構成を示している。図3及び図4は、共に、プラテンドラム16、記録ヘッド11、記録ヘッドホルダ13等の主要な構成要素のみを示している。図3に示すように、本実施形態では4つの記録ヘッド11が互い違いに配置されて記録ヘッドホルダ11に取り付けられている。
【0029】
隣接して配置される2つの記録ヘッド11のノズル列12は、記録媒体19の搬送方向(Y軸方向)に投影すると、w1、w2及びw3で示した重なり部分を有する。記録ヘッドホルダ13は、図3及び図4にX軸方向(矢印d5の方向)に移動可能に構成され、記録ヘッド位置制御部14によって、移動距離と停止位置が制御される。
【0030】
次に、図5に示すフローチャート及び図6に示すノズル列におけるノズルの位置を参照して、画像記録の動作について詳細に説明する。図6は、最も左のヘッド(以下、第1ヘッド)と左から2番目のヘッド(以下、第2ヘッド)の繋ぎ目部分を示しており、P1からP4は、1回目から4回目の画像記録における各ヘッド11のノズル列12の位置を示している。また、図7は、各回の画像記録で使用する第2ヘッドにおける開始ノズル番号と、第1ヘッドにおける終了ノズル番号とを記憶するテーブル(表)の一例を示している。
【0031】
まず、ユーザにより上位装置100から画像データ入力部7に、例えば256階調の画像データが入力される(ステップS1)。入力された画像データをハーフトーン処理部8が256階調から8階調に変換するハーフトーン処理が行われる(ステップS2)。その処理時又はその処理後、記録ヘッド位置制御部14は、記録ヘッドホルダ13を図6のP1で示した位置に移動する(ステップS3)。
【0032】
ここで、図6に示すP1は、1回目の画像記録における第1ヘッド及び第2ヘッドの各ノズル列12の位置を示している。第1ヘッドのノズル列の594番ノズルと、第2ヘッドのノズル列の1番ノズルとの間隔は、ノズル間隔Dよりもずれ量e分だけ短い状態で記録ヘッドホルダ13に取り付けられている。ずれ量eは、0≦e<Dなる距離であるが、ここでは0<e<D/4と仮定して説明する。各記録ヘッド11は、記録ヘッドホルダ13に固定されているため、この位置関係は、4回の画像記録において変化しないものとする。図示していないが、他の記録ヘッドにおける繋ぎ目部分も同様である。但し、それぞれの繋ぎ目におけるずれ量eの値は異なっている。
【0033】
次に、記録データ生成部9は、記録データ生成部9が記憶する図7に示すテーブルから1回目の記録で使用する第2ヘッドの開始ノズル番号と第1ヘッドの終了ノズル番号を読み取る(ステップS4)。その後、記録データ生成部9は、複数の記録ヘッド11のそれぞれの開始ノズルから終了ノズルまでの各ノズルで記録する画像データを選択し、対応する記録ヘッド駆動部10に送出する。各記録ヘッド駆動部10は、入力された画像データに基づいて、対応する記録ヘッド11を制御して、開始ノズルから終了ノズルまでの各ノズルで1回目の記録を行う(ステップS5)。
【0034】
図7に示すテーブル例を参照すると、1回目の記録における第1ヘッドの終了ノズル番号は、600番であるため、図6に示すP1における第1ヘッドのノズル列は、600番ノズルまで画像記録のために使用される。また第2ヘッドの開始ノズル番号は、7番であるため、図6のP1に示した第2ヘッドのノズル列は7番ノズルから画像記録のために使用される。このため、1回目の画像記録においては、第2ヘッドの1番ノズルから6番ノズルは使用しない。
【0035】
即ち、図6に示す位置bを境に、画像記録に使用するノズルが第1ヘッドのノズル列から第2ヘッドのノズル列に切り替わる。この位置bをノズル列切替位置とする。
このノズル列切替位置bは、4回の記録のいずれにおいてもノズル列切替位置bの両側で距離がノズル間隔D未満である範囲内に、必ず第1ヘッドと第2ヘッドの両方のノズルがあるという条件を満たす位置に設定され、これに基づいて4回の記録における第2ヘッドの開始ノズルと第1ヘッドの終了ノズルを決定する。但し、ノズル列切替位置となる線上にノズルが重ならないように配置する。また、このような条件を満たすノズル列切替位置が設定できることが隣接する2つのノズル列の重なり幅の条件である。
【0036】
次に、記録回数を判定する(ステップS6)。記録回数が4回に達していれば(YES)、画像記録は終了であるが、今回の記録回数は1であるため、記録ヘッド位置制御部14は記録ヘッドホルダ13をノズル間隔Dの(2+1/4)倍だけX軸方向(図6参照)に移動する(ステップS7)。ここで、移動量となる(2+1/4)Dの内訳は、同一ノズルで記録したドットがノズル列方向(図6中のX方向)に連続しないようにするための移動量としてのノズル間隔の2倍と、4倍の解像度で記録するための移動量としてのノズル間隔の1/4倍である。
【0037】
図6に示すP2が1回目の画像記録終了後に実施された1回目の移動後の第1ヘッドと第2ヘッドのそれぞれのノズル列12の位置を示している。記録ヘッドホルダ13の移動後、ステップS4に戻り、次の2回目の画像記録動作に移行する。記録データ生成部9は、図7に示すテーブルより、2回目の画像記録のために使用する第2ヘッドの開始ノズル番号と第1ヘッドの終了ノズル番号を読み取る。即ち、2回目の画像記録の第2ヘッドの開始ノズル番号は5番、第1ヘッドの終了ノズル番号は598番となる。
【0038】
次に、1回目と同様に、2回目の画像記録が行われる。この時、ノズル列の位置は、図6に示す位置P2に移動しており、また第1ヘッドのノズル列の使用ノズルは、598番までとなり、第2ヘッドのノズル列の使用ノズルは5番以降となる。従って、2回目の画像記録においても、図6に示したノズル列切替位置bで、画像記録に使用するノズルが第1ヘッドのノズル列から第2ヘッドのノズル列に切り替わる。以降、同様に、3回目と4回目の画像記録が実施される。
【0039】
3回目の画像記録ではノズル列の位置は、図6で示した位置P3に移動しており、第1ヘッドのノズル列の使用ノズルは596番までとなり、第2ヘッドのノズル列の使用ノズルは、3番以降となる。また4回目の画像記録ではノズル列の位置は、図6に示した位置P4に移動しており、第1ヘッドのノズル列の使用ノズルは594番まで、第2ヘッドのノズル列の使用ノズルは1番以降となる。いずれの場合でも、図6に示したノズル列切換位置bで画像記録に使用するノズルが第1ヘッドから第2ヘッドに切り替えられている。また、ステップS5の4回目の画像記録が行われた後、ステップS6で記録回数が4回になった時に、一連の画像記録を終了する。
【0040】
図8は、図6に示したノズルによって記録されたべタ(ソリッド)画像をドットで模式的に示した図である。ドット列上に示した番号は、そのドット列(Y軸方向)を記録したノズル番号を表している。また、第1ヘッドの594番ノズルで記録したドットa1と第2ヘッドの7番ノズルで記録したドットa2が隣接する境目を切替位置aとして示している。
【0041】
図8においては、隣接する2つのノズル列の位置がずれ量eを有していることにより、切替位置bに隣接するドットは、ドット間隔がeだけ近づいて重なりを有している。
このため、図8に示す位置aでは、濃い筋となって見えるが、1回目の記録において第1ヘッドの594番ノズルで記録するドットa1と、4回目の画像記録において第2ヘッドの7番ノズルで記録するドットa2のいずれか、または両方の画像データを補正して濃度を下げて、濃い筋が記録されないように補正する。
【0042】
以上説明したように、本実施形態によれば、隣接するノズル列のノズルの位置がノズルピッチからずれている場合であっても、同一ノズルで記録したドットがノズル列方向に連続しないようにすることができ、且つノズルの位置のずれによってドット間隔が異なるのは使用ノズルの切替位置の1箇所のみにすることができ、濃度むらの目立たない高画質な画像を記録できる画像記録装置を提供することができる。
【0043】
尚、本実施形態では、記録回数を4回の例で説明したが、勿論、この回数に限定されるものではなく、容易に変更することができる。また、4回に及ぶ記録の間に、記録ヘッドホルダ13の移動量を、それぞれ(2+1/4)Dと設定したが、本実施形態はこの移動量に限定されるものではない。ノズルピッチやノズル径に応じて、適宜、変更することができる。
【0044】
また図6に示したように、例えば、第2ヘッドの1番ノズルから6番ノズルと7番ノズルの間までと、第1ヘッドの594番ノズルと595番ノズルの間から600番ノズルまでとを、オーバーラップ量としたが、これに限定されるものではない。隣接する例えば、第1ヘッドの600番ノズルが第2ヘッドの7番ノズルと8番ノズルの間に位置するようにしても良い。また、このような記録ヘッドを必要な色の数だけ用意し、カラー画像を記録するようにしても良い。尚、上記1,第2ヘッドを一例としたが、隣接するヘッドであれば同様である。
【0045】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態として、ドット間隔が狭くなる位置をドット行毎に異ならせる画像記録を行う画像記録装置の例について詳細に説明する。ドット行とは、図8においてX方向に延在するドットの列を指す。前述した第1の実施形態では、図6に示したノズル列切替位置bは、予め設定した固定位置である。このように固定にすると、ドット間隔が狭くなり、濃度が高い位置aは、図8に示したように全ドット行で同じで、図中Y方向に一直線上に現れていた。即ち、ドット間隔が狭いことによって、濃度が高くなる部分が連続するということとなり、その部分が目立つ場合も想定される。尚、本実施形態の構成要素は、基本的には前述した第1の実施形態と同等であり、同じ構成要素には、同じ参照符号を付して、その説明を簡略化する。
【0046】
図9は、本実施形態における4回の記録の合成ヘッドの位置とノズル列切替位置を示す図である。
本実施形態では、2箇所のノズル列切替位置b1,b2が設定される。画像は、連続する複数のドット行から構成されているが、本実施形態では、奇数番目のドット行ではノズル列切替位置b1で示した位置をヘッド切替位置とし、偶数番目のドット行ではノズル列切替位置b2で示した位置をノズル列切替位置とする。
【0047】
一般的に、画像記録装置は、現在記録中のドット行に対応する画像データを取得するために、現在の記録中のドット行の番号を表すカウンタ変数を持っているので、その変数を2で割って、余りが0か1か、によってノズル列切替位置をb1とb2から選択するようにすればよい。
【0048】
図10(a)は、第2の実施形態によって記録した奇数番目のドット行におけるノズル列切替位置を示す図、図10(b)は、同様に記録した偶数番目のドット行におけるノズル列切替位置を示す図である。
【0049】
前述したノズル列切替位置b1に設定してドット行を記録すると、図10(a)に示すように、位置a1でドット間隔が狭くなり、切替部分が生じる。また、ノズル列切替位置b2に設定してドット行を記録すると、図10(b)に示すように、位置a2でドット間隔が狭くなる切替部分が生じる。
【0050】
よって、ドット行毎に、ノズル列切替位置b1とノズル列切替位置b2で切り替えて、ベタ画像を記録すると、図11に示すように、各ドット列のおける切替部分は、2箇所で交互に位置するようになる。
従って、ドット間が狭くなる部分、即ち濃度の高い部分が互いに隣接することなく分散して生じているため、濃度むらが目立ちにくく、且つその切替部分の濃度を補正すれば、さらに高画質な画像を得ることができる。
【0051】
[第2の実形態の変形例]
図12は、第2の実形態の変形例のノズル列切替位置におけるドット間隔が狭くなる位置について説明するための図である。本変形例は、3箇所以上のノズル列切替位置を設定して画像記録を行う。前述した第2の実施形態は、図9に示したように2箇所のノズル列切替位置を設けた例であったが、本変形例では、3箇所以上のノズル列切替位置を設けた例である。
【0052】
3箇所のノズル列切替位置を設け、ドット行を2行記録するたびに切替位置を変更することで、図12に示すようなドットが記録される。なお、図13は、このノズル列切替位置の変化の状態のみを示している。尚、これまで、ノズル列切替位置として説明してきたが、図13に示すように、ノズル列切替位置の変化を連続して示すと、記録媒体上の画像記録領域を分割する線分、即ちノズル列切替線と言い換えることも可能である。
【0053】
本変形例においてもドット間が狭くなる部分、即ち濃度の高い部分が列状にならず振り分けられるため、濃度むらが目立ちにくく、且つその切替部分の濃度を補正すれば、さらに高画質な画像を得ることができる。
【0054】
[第3の実施形態]
次に、図14を参照して、第4の実施形態として、複数回のヘッド移動のうち、異なる距離を移動して画像記録を行う画像記録装置の例について詳細に説明する。尚、本実施形態の構成要素は、基本的には前述した第1の実施形態と同等であり、同じ構成要素には、同じ参照符号を付して、その説明を簡略化する。
【0055】
前述した第1の実施形態では、図6に示したように連続する2回の記録の間の合成ヘッドの移動量は、いずれも(2+1/4)Dに設定していた。この設定によって、同一ノズルで記録されるドットが連続しないため、ノズル毎の特性のばらつきによる濃度むら等が目立ちにくくなるように改善されている。但し、ノズルの個体差は、製造時の品質管理により、予め設定された良品判定の範囲内であるため、そう大きくはない。つまり、同一ノズルで記録されるドットが隣接したり、連続したりしても、その程度が少なければ、必ずしも濃度むらが目立つということではない。
【0056】
本実施形態では、3回のヘッド移動のうち1回は、D/4を移動し、他の2回は(2+1/4)Dを移動する例である。図14には、4回の記録の合成ヘッドの位置P1,P2,P3,P4を示す。
P1で示した1回目の記録とP2で示した2回目の記録の間のヘッドの移動量は、D/4である。また、P2で示した2回目の記録とP3で示した3回目の記録の間、及びP3で示した3回目の記録とP4で示した4回目の記録の間のヘッド移動量は(2+1/4)Dである。図15は、このような方法で記録したべタ画像をドットにより模式的に示している。各ドット列上に付した番号は、そのドット列を記録したノズルの番号である。
【0057】
以上のように、本実施形態によれば、図15に示すように、同一ノズルで記録したドットが横方向に連続する箇所が部分的に存在するが、ノズル毎の特性のばらつきによって生じる濃度むらを軽減する一定の効果が得られる。
【0058】
[第4の実施形態]
次に、第4の実施形態として、シリアル方式の画像記録装置に適用した例について詳細に説明する。図16は、第4の実施形態の画像記録装置における画像記録に関する機構の概念的に示す。また図17は、本実施形態の画像記録装置における4回の記録毎の各ヘッドの位置とノズル列切替位置を示す図である。尚本実施形態の構成要素については、前述した第1の実施形態と同等の構成要素については、同じ参照符号を付して、その説明を省略する。
【0059】
本実施形態の画像記録に関する機構は、同一色のインクを吐出する2つの記録ヘッド11が記録ヘッドホルダ13に固定されている。各記録ヘッド11は、例えば、10個のノズルからなるノズル列12を有する。各記録ヘッドのノズル列のノズル間隔はDであるが、2つのノズル列の接続部のノズル間隔は、記録ヘッド11の取り付け位置の誤差を含みD−eとする。記録ヘッドホルダ13は、レール22に沿って、X軸方向(矢印d7:主走査)に往復移動が可能に構成され、モータ23によって駆動される滑車24aと滑車24bの間に張られたワイヤ25によって、記録ヘッドホルダ13はX軸方向に走査移動される。
【0060】
また、記録媒体19は、モータ21によって駆動される記録媒体搬送ローラ20によってY軸方向(矢印d6:副走査)に搬送される。本実施形態の画像記録装置は、主走査と副走査を行い、主走査を行っている間に、記録ヘッド11のノズル列12からインクを吐出して画像を記録する。
各記録ヘッド11のノズル列12のノズル間隔はDである。副走査の移動量を制御することによって副走査方向(ノズル列方向)のドット間隔がD/2となるように画像を記録する。
【0061】
図17は、4回分の主走査における記録ヘッド11の副走査方向の位置を示す。実際の駆動では、記録ヘッド11ではなく、搬送機構により記録媒体19が副走査方向に移動にするが、説明の便宜上、相対的に考えて、記録媒体19に代わって記録ヘッド11が移動する図となっている。
【0062】
P1は1回目の主走査時の記録ヘッドの位置を示している。1回目の主走査では、ノズル列12aは、3番ノズルから10番ノズルまでを使用してドットを記録する。ノズル列12bも3番ノズルから10番ノズルまでを使用してドットを記録する。
【0063】
図17では、使用するノズルにはハッチングを付している。P2は、2回目の主走査時の記録ヘッドの位置である。2回目の主走査では、1回目の主走査における記録媒体19の位置から(1+1/2)Dだけ記録媒体19を移動(副走査)してから記録を行う。各ノズル列12a,12bで使用するノズルは、1番ノズルから8番ノズルまでである。即ち、b2で示した位置をノズル列切替位置として記録を行う。
【0064】
2回目の主走査の記録が終了した後、ノズル列12aの1番ノズルの位置が2回目の主走査におけるノズル列12bの7番ノズルで記録したドットの位置よりも下になるところまで副走査を行い、P3に示す状態に至った際に、3回目の主走査を行って記録を行う。
【0065】
3回目の主走査では、各ノズル列12a,12bの3番ノズルから8番ノズルまでを使用する。3回目の主走査による記録が終わったら、(1+1/2)Dだけ副走査を行ってP4に示した状態にする。
【0066】
P4に示した状態になったら4回目の主走査を行って4回目の記録を行う。即ち、b3で示した位置をノズル列切替位置として記録を行う。b3で示したノズル切替位置に対する3回目及び4回目の記録ヘッドの位置は、b1で示した位置に対する1回目及び2回目の記録ヘッドの位置と同じであるから、3回目、4回目の記録を繰り返すことによって、副走査方向に連続して画像を記録することができる。
図18は、本実施形態の画像記録装置で記録したべタのドット位置を模式的に示している。各ドット行には、記録したノズルの番号を付している。
【0067】
以上のように本実施形態によれば、図18から分かるように、同一のノズルで記録したドットが副走査方向に連続していないため、ノズル間に記録特性のばらつきがあったとしても、濃度むらが目立ちにくい。また、副走査方向のドット間隔が他と異なる部分は、主走査及び副走査2回あたり1箇所のみであるからその部分に発生する濃度むらは容易に補正することができ、高画質な画像を記録することができる。
【0068】
以上説明した実施形態は、以下の発明を含んでいる。
それぞれに画像を記録する複数の記録素子が配列される複数の記録ヘッドを、互いの端部が重なるように前記記録素子の配列方向につなぎ合わせて、直線的に連なるように構成される合成記録ヘッドと、
前記合成記録ヘッドにおける前記配列方向と直交する方向に記録媒体を相対的に走査移動させる第1走査手段と、
前記記録媒体に対して、前記配列方向に前記合成記録ヘッドを相対的に走査移動させる第2走査手段と、
前記合成記録ヘッドに画像データを供給する画像データ処理部と、
を有し、
前記第1の走査手段による走査移動を行いながら、前記合成記録ヘッドによる複数回の画像記録を行う際に、前記複数回に亘る画像記録のそれぞれの合間に、前記第2の走査手段による記録素子の配列ピッチの整数倍に相当する距離とは異なる距離だけ相対走査を行う動作を複数回繰り返すことで、合成記録ヘッドの記録解像度よりも高い解像度の画像を記録する画像記録装置であって、
一括的に前記複数の記録ヘッドをノズルの配列の方向に移動する際に、隣接する記録ヘッドが使用するノズル列を移動毎に、ノズル列切替位置の両側からの距離がノズル間隔未満である範囲内に必ず両隣りの記録ヘッドのノズルが所在する条件を満たす位置に、その切替位置を設定し、その切替位置に、両隣りのうちのいずれか一方の記録ヘッドのノズルで記録するように、各記録ヘッドにおける使用するノズル列の開始ノズルと終了ノズルを決定し、画像を記録することを特徴とする画像記録装置。
【符号の説明】
【0069】
1…画像記録装置、2…制御部、3…記録媒体搬送部、4…搬送機構、5…搬送量検知機構、6…画像データ処理部、7…画像データ入力部、8…ハーフトーン処理部、9…記録データ生成部、10…記録ヘッド駆動部、11…記録ヘッド、12…ノズル列、13…記録ヘッドホルダ、14…記録ヘッド位置制御部、15…給紙ローラ、16…プラテンドラム、17…剥離機構、18…排紙ローラ、19…記録媒体、20…記録媒体搬送ローラ、21…モータ、22…レール、23…モータ、24a,24b…滑車、25…ワイヤ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の記録素子列を用いて画像を記録する画像記録装置及び画像記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ノズル等のインクの液滴を吐出する複数の記録素子を配列した記録素子列を備える記録ヘッドにより、記録媒体に画像を記録するインクジェット画像記録装置が知られている。例えば、特許文献1において、記録ヘッドの記録素子列は、例えば、搬送手段となるドラム上に所定距離を空けて保持され、ドラムに密着されて搬送される記録媒体をドラムの回転方向に沿って移動させながら、記録素子列内の各ノズルを制御して、記録媒体上に画像データに基づく画像を記録するプリンタが開示されている。
【0003】
また、このような画像記録装置のなかで、記録素子列をその列の方向に移動させながら複数回の画像記録を行うことによって、記録素子の間隔よりも高い解像度の画像を記録するものも知られている。このような画像記録装置の一例として、特許文献2にはプラテンドラムに担持され搬送される記録媒体上にノズル列から吐出したインク滴で画像を記録するインクジェットプリンタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭53−2039号公報
【特許文献2】特開平3−56186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数の記録素子列を端部に重なり部分を設けて記録素子列の方向に並べることによって、1つの記録素子列よりも広い記録幅をもつ合成記録素子列を構成する。この合成記録素子列をその列の方向に移動させながら、この列方向に直交する方向に反復移動する記録媒体に対して繰り返し記録を行うことにより画像記録を行う。このとき、記録素子列の端部の重なり部分で記録されたドットの間隔が不揃いになり濃度むらが生じる。
【0006】
以下、インク滴を吐出するノズル列を用いたインクジェット方式を一例として、課題について説明する。図19のP1に示すように、例えば、ノズル間隔(ピッチ)を距離Dとする2つのノズル列(記録ヘッド)をその列方向(Y方向)に並べて配置し、記録幅を広げた合成ノズル列を構成する。
【0007】
この合成ノズル列を組み立てる際、2つのノズル列の接続部分において、一方のノズル列の端のノズルと他方のノズル列の端のノズルの間隔も距離Dに一致させるのが望ましい。しかし、現実には部品誤差や組み付け誤差等によりずれが生ずる。図19ではずれ量eが生じて2つのノズル列の接続部分のノズル間隔がD-eになった状態を表している。
【0008】
この画像記録装置は合成ノズル列を列方向に移動して4回の記録を行うことによって、ノズル間隔の4分の1のピッチでドットを記録する。図19のP1〜P4はこの4回の記録におけるノズル列の位置を表している。具体的には、P1は、1回目の記録における合成ノズル列の位置を、P2は2回目の記録における合成ノズル列の位置を、P3は3回目の記録における合成ノズル列の位置を、P4は4回目の記録における合成ノズル列の位置を示している。
前述したように、この合成ノズル列では、隣接する2つのノズル列の間でノズル間隔にずれ量eがあるため、2つのノズル列の接続部分で記録されたドットの間隔にもずれが生じ、図20にaで示すような濃度が高い部分が発生する。しかし、このような濃度むらは、ドット間隔が狭い部分のドットの濃度を下げることによって比較的に容易に補正することができる。
【0009】
しかしながら、ノズル列を構成する複数のノズルの特性にはばらつきがあり、これによっても濃度むらが生じる。合成記録ヘッドをD/4ずつ移動して記録すると、同一ノズルで記録されたドットが連続するため、ノズル毎の特性のばらつきによって生じる濃度むらが目立ってしまうという課題が生じる。
【0010】
この課題については、合成ノズル列の移動量を大きくすることが有効である。たとえば図19では合成ノズル列の移動量はD/4であったが、図21では合成ノズル列の移動量を(2+1/4)Dと大きくした。これにより同一ノズルで記録されるドット列がノズル列方向には連続しなくなるため、濃度むらが目立ちにくくなる。
【0011】
しかし、同一ノズルで記録されたドット列が分散する一方で、前述したノズル列の繋ぎ部分にずれ量eがあるため、実際には、図22に示すように、ドット間隔が狭くなる部分(濃度の高い領域)aと、ドット間隔が広くなる部分(濃度が低い領域)bが多数発生し、濃度むらが目立ってしまう。図21に示したノズルAによって記録されたドット列が図22のA1〜A4である。同様に、ノズルBによって記録されたドット列がB1〜B4、ノズルCによって記録されたドット列がC1〜C4である。図22にbで示したドット間隔が広くなる箇所では、濃度が低く、白筋状に見える。bに隣接するドットの濃度を上げることによってある程度は補正することができるが、すでに最大濃度で記録していた場合は、濃度を上げることができないため、補正することが困難である。
【0012】
そこで本発明は、同一ノズルで記録されるドット列を分散させてノズル毎の特性のばらつきによって生じる濃度むらを目立たなくすることができ、且つ隣接するノズル列の間隔のずれによってドット間隔が広くなったり狭くなったりすることを抑制して、高画質な画像記録ができる画像記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に従う実施形態の画像記録装置は、それぞれに画像を記録する複数の記録素子が配列される第1記録ヘッド及び第2記録ヘッドを、互いの端部が重なるように前記記録素子の配列方向につなぎ合わせて構成される合成記録ヘッドと、前記合成記録ヘッドにおける前記配列方向と直交する方向に記録媒体を相対的に走査移動させる第1走査手段と、前記記録媒体に対して、前記配列方向に前記合成記録ヘッドを相対的に走査移動させる第2走査手段と、前記合成記録ヘッドに画像データを供給する画像データ処理部と、を有し、前記第1の走査手段による走査移動を行いながら、前記合成記録ヘッドによる複数回の画像記録を行う際に、前記複数回に亘る画像記録のそれぞれの合間に、前記第2の走査手段による記録素子の配列ピッチの整数倍に相当する距離とは異なる距離だけ相対走査を行う動作を複数回繰り返すことで、合成記録ヘッドの記録解像度よりも高い解像度の画像を記録する画像記録装置であって、前記画像データ処理部は、前記複数回の画像記録動作における前記合成記録ヘッドの各画像記録位置に亘って、前記記録媒体上の共通の位置として設定された使用記録素子の切替位置を境に、前記合成記録ヘッドの記録素子列方向の一方側の記録媒体の画像記録領域に対しては、前記第1記録ヘッドの記録素子のみで、且つ他方側の記録媒体の画像記録領域に対しては、前記第2記録ヘッドの記録素子のみで、それぞれ前記複数回の画像記録を行うように、前記合成記録ヘッドに対して、画像データを供給する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、記録素子列を列の方向に移動して記録密度を高めて記録する場合に、同一の記録素子によって記録されるドットが記録素子列の列の方向に連続せず、記録素子毎の記録特性のばらつきが目立たないようにすることができるとともに、記録素子列の切換部分で記録素子間隔が不揃いになるのを抑制して高画質な画像を記録することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、第1の実施形態としての画像記録方法を実現するための画像記録装置の概念的な構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、第1の実施形態の記録媒体搬送部の主要部を表した図である。
【図3】図3は、図2における矢印Aの方向から見た第1の実施形態の主要部を示す図である。
【図4】図4は、図2における矢印Bの方向から見た第1の実施形態の主要部を示す図である。
【図5】図5は、第1の実施形態の画像記録動作について説明するためのフローチャートである。
【図6】図6は、第1の実施形態における4回の画像記録のそれぞれのノズル列の位置を示す図である。
【図7】図7は、第1の実施形態における4回の画像記録の開始ノズル番号と終了ノズル番号を示す図である。
【図8】図8は、第1の実施形態によって記録したベタ画像をドットで模式的に示した図である。
【図9】図9は、第2の実施形態における4回の記録の合成ヘッドの位置とノズル列切替位置を示す図である。
【図10】図10(a)は、第2の実施形態によって記録した奇数番目のドット行における切替部分を示す図、図10(b)は、同様に記録した偶数番目のドット行における切替部分を示す図である。
【図11】図11は、第2の実施形態によって記録したべタ画像のドット位置を示す図である。
【図12】図12は、第2の実施形態の変形例のべタ画像をドットで模式的に示した図である。
【図13】図13は、変形例におけるノズル列切替位置を示す図である。
【図14】図14は、第3の実施形態における4回の記録の合成ヘッドの位置とノズル列切替位置を示す図である。
【図15】図15は、第3の実施形態によって記録したべタ画像をドットで模式的に示した図である。
【図16】図16は、第4の実施形態の画像記録装置における画像記録に関する機構の概念的に示す図である。
【図17】図17は、第4の実施形態の4回の記録の合成ヘッドの位置とノズル列切替位置を示す図である。
【図18】図18は、第4の実施形態によって記録したべタ画像をドットで模式的に示した図である。
【図19】図19は、従来技術における4回の移動による画像記録のノズルの位置等を示す図である。
【図20】図20は、従来技術によって記録したべタ画像をドットで模式的に示した図である。
【図21】図21は、従来技術における4回の移動による画像記録のノズルの位置等を示す図である。
【図22】図22は、従来技術によって記録したべタ画像をドットで模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明に係る第1の実施形態としての画像記録方法を実現するための画像記録装置の概念的な構成を示すブロック図である。
【0017】
本実施形態の画像記録装置1は、少なくとも、制御部2、記録媒体搬送部3、画像データ処理部6、複数の記録ヘッド11及び、記録ヘッド位置制御部14を備えている。尚、図示していないが、画像記録装置1は、記録媒体の供給及び排出・収納するための各機構部やユーザが指示するための入力操作部(例えば、キースイッチやタッチパネル)及び表示部(例えば、液晶表示パネル)、さらに公知な通信機能(I/F)等を有しているものとする。
【0018】
制御部2は、図示しないマイクロプロセッサやメモリ等から構成され、装置全体を制御する。記録媒体搬送部3は、搬送機構4と搬送量検知機構5等により構成され、記録媒体を主走査方向と直交する方向に搬送する。尚、本実施形態では搬送機構4は、後述するプラテンドラム16を有し、このプラテンドラム16が記録媒体を保持した状態で回転することで、記録媒体を主走査方向と直交する副走査方向に搬送する。搬送量検知機構5はこのプラテンドラム16の回転量を検出することで搬送量を検知する。画像データ処理部6は、画像データ入力部7、ハーフトーン処理部8、記録データ生成部9等により構成される。記録ヘッド駆動部10は、記録データ生成部で生成された記録データに基づいて、記録ヘッド11を駆動させる。
【0019】
本実施形態では、ノズル列12の端部が重なるように複数の記録ヘッド11をノズル列の方向に並べることによって、1つの記録ヘッドよりも広い記録幅をもつ合成ヘッドを構成している。本実施形態では、ノズル列12は、一例として、600個のノズルにより構成されている。勿論、この600個に限定されるものではない。また、以下の説明において、各ノズルに番号を付け、左端のノズルから順に1番ノズル、2番ノズル、…、600番ノズルとする。また、ノズル列12におけるノズル間隔(ピッチ)をDとする。
【0020】
上位装置(ユーザが所有するパーソナルコンピュータ等)100から通信機能を経由してデータ入力部7に入力された256階調の画像データは、ハーフトーン処理部8に送出される。ハーフトーン処理部8は、例えば、誤差拡散法等の公知の技術を用いて256階調の画像データを8階調の画像データに変換する。
【0021】
次に、この8階調の画像データは、記録データ生成部9に送出される。記録データ生成部9は、複数の記録ヘッド11の配列位置に応じて、適切な画像データを選択して複数の記録ヘッド駆動部10に送出する。記録ヘッド駆動部10は、記録ヘッド11を駆動して、画像データに従ったノズルよりインクを吐出させて、記録媒体に画像記録を行う。
【0022】
図2は、記録媒体19の搬送機構4、搬送量検知機構5、記録ヘッド11等による記録媒体搬送部3の構成を概念的に示す図である。搬送機構4は、少なくとも給紙ローラ15、プラテンドラム16、剥離機構17及び排紙ローラ18を有している。これらの構成要素は、図示しない装置本体のフレームに取り付けられている。
【0023】
記録媒体19は、給紙ローラ15によって矢印d1の方向に搬送され、プラテンドラム上16に導かれる。プラテンドラム16は帯電されており、クーロン力によって記録媒体19を吸着する。プラテンドラム16は矢印d2及び矢印d3で示す方向に回転して記録媒体19を搬送する。
【0024】
プラテンドラム16には、搬送量検知機構5が接続されている。搬送量検知機構5として、一般的には、ロータリーエンコーダが用いられる。制御部2が搬送量検知機構5から出力される信号を参照して、記録ヘッド11の駆動制御(インクの吐出量とその吐出タイミングの制御)を行うことによって、記録媒体19上の適切な位置に適切なドット行間隔で画像が記録される。
【0025】
記録媒体19は、まず矢印d2の方向に搬送される。この間に記録ヘッド11の下面にあるノズル列12から吐出されるインクによって記録媒体19上に画像が記録される。複数の記録ヘッド11は記録ヘッドホルダ13に固定されている。
【0026】
1回目の記録が終了すると、記録媒体19は矢印d3の方向に搬送される。この間に記録ヘッド位置制御部14によって記録ヘッドホルダ13がノズル列12の方向に(2+1/4)D だけ移動される。プラテンドラム16の回転により記録媒体19が周回され、再びd2の方向に搬送されて、ノズル列12の下を通過するときに、2回目の記録が行われる。
【0027】
従って、2回目の記録では、1回目の記録で形成されたドット列(Y方向に延在するドットの列)から(2+1/4)Dずれた位置にドット列が形成される。同様に、記録ヘッドホルダ13の位置を(2+1/4)Dずつ移動して計4回の記録が行われ、最終的にノズル列方向のドットの間隔がD/4である画像が記録される。即ち、ノズル列12の解像度の4倍の解像度で画像が記録される。これらの4回の記録の後、剥離機構17によって記録媒体19はプラテンドラム16から剥がされる。プラテンドラム16から剥がされた記録媒体19は、排紙ローラ18によって矢印d4の方向に搬送され、画像記録動作が完了する。
【0028】
図3は、図2に示す矢印Aの方向から見た構成を示し、図4は、図2に示す矢印Bの方向から見た構成を示している。図3及び図4は、共に、プラテンドラム16、記録ヘッド11、記録ヘッドホルダ13等の主要な構成要素のみを示している。図3に示すように、本実施形態では4つの記録ヘッド11が互い違いに配置されて記録ヘッドホルダ11に取り付けられている。
【0029】
隣接して配置される2つの記録ヘッド11のノズル列12は、記録媒体19の搬送方向(Y軸方向)に投影すると、w1、w2及びw3で示した重なり部分を有する。記録ヘッドホルダ13は、図3及び図4にX軸方向(矢印d5の方向)に移動可能に構成され、記録ヘッド位置制御部14によって、移動距離と停止位置が制御される。
【0030】
次に、図5に示すフローチャート及び図6に示すノズル列におけるノズルの位置を参照して、画像記録の動作について詳細に説明する。図6は、最も左のヘッド(以下、第1ヘッド)と左から2番目のヘッド(以下、第2ヘッド)の繋ぎ目部分を示しており、P1からP4は、1回目から4回目の画像記録における各ヘッド11のノズル列12の位置を示している。また、図7は、各回の画像記録で使用する第2ヘッドにおける開始ノズル番号と、第1ヘッドにおける終了ノズル番号とを記憶するテーブル(表)の一例を示している。
【0031】
まず、ユーザにより上位装置100から画像データ入力部7に、例えば256階調の画像データが入力される(ステップS1)。入力された画像データをハーフトーン処理部8が256階調から8階調に変換するハーフトーン処理が行われる(ステップS2)。その処理時又はその処理後、記録ヘッド位置制御部14は、記録ヘッドホルダ13を図6のP1で示した位置に移動する(ステップS3)。
【0032】
ここで、図6に示すP1は、1回目の画像記録における第1ヘッド及び第2ヘッドの各ノズル列12の位置を示している。第1ヘッドのノズル列の594番ノズルと、第2ヘッドのノズル列の1番ノズルとの間隔は、ノズル間隔Dよりもずれ量e分だけ短い状態で記録ヘッドホルダ13に取り付けられている。ずれ量eは、0≦e<Dなる距離であるが、ここでは0<e<D/4と仮定して説明する。各記録ヘッド11は、記録ヘッドホルダ13に固定されているため、この位置関係は、4回の画像記録において変化しないものとする。図示していないが、他の記録ヘッドにおける繋ぎ目部分も同様である。但し、それぞれの繋ぎ目におけるずれ量eの値は異なっている。
【0033】
次に、記録データ生成部9は、記録データ生成部9が記憶する図7に示すテーブルから1回目の記録で使用する第2ヘッドの開始ノズル番号と第1ヘッドの終了ノズル番号を読み取る(ステップS4)。その後、記録データ生成部9は、複数の記録ヘッド11のそれぞれの開始ノズルから終了ノズルまでの各ノズルで記録する画像データを選択し、対応する記録ヘッド駆動部10に送出する。各記録ヘッド駆動部10は、入力された画像データに基づいて、対応する記録ヘッド11を制御して、開始ノズルから終了ノズルまでの各ノズルで1回目の記録を行う(ステップS5)。
【0034】
図7に示すテーブル例を参照すると、1回目の記録における第1ヘッドの終了ノズル番号は、600番であるため、図6に示すP1における第1ヘッドのノズル列は、600番ノズルまで画像記録のために使用される。また第2ヘッドの開始ノズル番号は、7番であるため、図6のP1に示した第2ヘッドのノズル列は7番ノズルから画像記録のために使用される。このため、1回目の画像記録においては、第2ヘッドの1番ノズルから6番ノズルは使用しない。
【0035】
即ち、図6に示す位置bを境に、画像記録に使用するノズルが第1ヘッドのノズル列から第2ヘッドのノズル列に切り替わる。この位置bをノズル列切替位置とする。
このノズル列切替位置bは、4回の記録のいずれにおいてもノズル列切替位置bの両側で距離がノズル間隔D未満である範囲内に、必ず第1ヘッドと第2ヘッドの両方のノズルがあるという条件を満たす位置に設定され、これに基づいて4回の記録における第2ヘッドの開始ノズルと第1ヘッドの終了ノズルを決定する。但し、ノズル列切替位置となる線上にノズルが重ならないように配置する。また、このような条件を満たすノズル列切替位置が設定できることが隣接する2つのノズル列の重なり幅の条件である。
【0036】
次に、記録回数を判定する(ステップS6)。記録回数が4回に達していれば(YES)、画像記録は終了であるが、今回の記録回数は1であるため、記録ヘッド位置制御部14は記録ヘッドホルダ13をノズル間隔Dの(2+1/4)倍だけX軸方向(図6参照)に移動する(ステップS7)。ここで、移動量となる(2+1/4)Dの内訳は、同一ノズルで記録したドットがノズル列方向(図6中のX方向)に連続しないようにするための移動量としてのノズル間隔の2倍と、4倍の解像度で記録するための移動量としてのノズル間隔の1/4倍である。
【0037】
図6に示すP2が1回目の画像記録終了後に実施された1回目の移動後の第1ヘッドと第2ヘッドのそれぞれのノズル列12の位置を示している。記録ヘッドホルダ13の移動後、ステップS4に戻り、次の2回目の画像記録動作に移行する。記録データ生成部9は、図7に示すテーブルより、2回目の画像記録のために使用する第2ヘッドの開始ノズル番号と第1ヘッドの終了ノズル番号を読み取る。即ち、2回目の画像記録の第2ヘッドの開始ノズル番号は5番、第1ヘッドの終了ノズル番号は598番となる。
【0038】
次に、1回目と同様に、2回目の画像記録が行われる。この時、ノズル列の位置は、図6に示す位置P2に移動しており、また第1ヘッドのノズル列の使用ノズルは、598番までとなり、第2ヘッドのノズル列の使用ノズルは5番以降となる。従って、2回目の画像記録においても、図6に示したノズル列切替位置bで、画像記録に使用するノズルが第1ヘッドのノズル列から第2ヘッドのノズル列に切り替わる。以降、同様に、3回目と4回目の画像記録が実施される。
【0039】
3回目の画像記録ではノズル列の位置は、図6で示した位置P3に移動しており、第1ヘッドのノズル列の使用ノズルは596番までとなり、第2ヘッドのノズル列の使用ノズルは、3番以降となる。また4回目の画像記録ではノズル列の位置は、図6に示した位置P4に移動しており、第1ヘッドのノズル列の使用ノズルは594番まで、第2ヘッドのノズル列の使用ノズルは1番以降となる。いずれの場合でも、図6に示したノズル列切換位置bで画像記録に使用するノズルが第1ヘッドから第2ヘッドに切り替えられている。また、ステップS5の4回目の画像記録が行われた後、ステップS6で記録回数が4回になった時に、一連の画像記録を終了する。
【0040】
図8は、図6に示したノズルによって記録されたべタ(ソリッド)画像をドットで模式的に示した図である。ドット列上に示した番号は、そのドット列(Y軸方向)を記録したノズル番号を表している。また、第1ヘッドの594番ノズルで記録したドットa1と第2ヘッドの7番ノズルで記録したドットa2が隣接する境目を切替位置aとして示している。
【0041】
図8においては、隣接する2つのノズル列の位置がずれ量eを有していることにより、切替位置bに隣接するドットは、ドット間隔がeだけ近づいて重なりを有している。
このため、図8に示す位置aでは、濃い筋となって見えるが、1回目の記録において第1ヘッドの594番ノズルで記録するドットa1と、4回目の画像記録において第2ヘッドの7番ノズルで記録するドットa2のいずれか、または両方の画像データを補正して濃度を下げて、濃い筋が記録されないように補正する。
【0042】
以上説明したように、本実施形態によれば、隣接するノズル列のノズルの位置がノズルピッチからずれている場合であっても、同一ノズルで記録したドットがノズル列方向に連続しないようにすることができ、且つノズルの位置のずれによってドット間隔が異なるのは使用ノズルの切替位置の1箇所のみにすることができ、濃度むらの目立たない高画質な画像を記録できる画像記録装置を提供することができる。
【0043】
尚、本実施形態では、記録回数を4回の例で説明したが、勿論、この回数に限定されるものではなく、容易に変更することができる。また、4回に及ぶ記録の間に、記録ヘッドホルダ13の移動量を、それぞれ(2+1/4)Dと設定したが、本実施形態はこの移動量に限定されるものではない。ノズルピッチやノズル径に応じて、適宜、変更することができる。
【0044】
また図6に示したように、例えば、第2ヘッドの1番ノズルから6番ノズルと7番ノズルの間までと、第1ヘッドの594番ノズルと595番ノズルの間から600番ノズルまでとを、オーバーラップ量としたが、これに限定されるものではない。隣接する例えば、第1ヘッドの600番ノズルが第2ヘッドの7番ノズルと8番ノズルの間に位置するようにしても良い。また、このような記録ヘッドを必要な色の数だけ用意し、カラー画像を記録するようにしても良い。尚、上記1,第2ヘッドを一例としたが、隣接するヘッドであれば同様である。
【0045】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態として、ドット間隔が狭くなる位置をドット行毎に異ならせる画像記録を行う画像記録装置の例について詳細に説明する。ドット行とは、図8においてX方向に延在するドットの列を指す。前述した第1の実施形態では、図6に示したノズル列切替位置bは、予め設定した固定位置である。このように固定にすると、ドット間隔が狭くなり、濃度が高い位置aは、図8に示したように全ドット行で同じで、図中Y方向に一直線上に現れていた。即ち、ドット間隔が狭いことによって、濃度が高くなる部分が連続するということとなり、その部分が目立つ場合も想定される。尚、本実施形態の構成要素は、基本的には前述した第1の実施形態と同等であり、同じ構成要素には、同じ参照符号を付して、その説明を簡略化する。
【0046】
図9は、本実施形態における4回の記録の合成ヘッドの位置とノズル列切替位置を示す図である。
本実施形態では、2箇所のノズル列切替位置b1,b2が設定される。画像は、連続する複数のドット行から構成されているが、本実施形態では、奇数番目のドット行ではノズル列切替位置b1で示した位置をヘッド切替位置とし、偶数番目のドット行ではノズル列切替位置b2で示した位置をノズル列切替位置とする。
【0047】
一般的に、画像記録装置は、現在記録中のドット行に対応する画像データを取得するために、現在の記録中のドット行の番号を表すカウンタ変数を持っているので、その変数を2で割って、余りが0か1か、によってノズル列切替位置をb1とb2から選択するようにすればよい。
【0048】
図10(a)は、第2の実施形態によって記録した奇数番目のドット行におけるノズル列切替位置を示す図、図10(b)は、同様に記録した偶数番目のドット行におけるノズル列切替位置を示す図である。
【0049】
前述したノズル列切替位置b1に設定してドット行を記録すると、図10(a)に示すように、位置a1でドット間隔が狭くなり、切替部分が生じる。また、ノズル列切替位置b2に設定してドット行を記録すると、図10(b)に示すように、位置a2でドット間隔が狭くなる切替部分が生じる。
【0050】
よって、ドット行毎に、ノズル列切替位置b1とノズル列切替位置b2で切り替えて、ベタ画像を記録すると、図11に示すように、各ドット列のおける切替部分は、2箇所で交互に位置するようになる。
従って、ドット間が狭くなる部分、即ち濃度の高い部分が互いに隣接することなく分散して生じているため、濃度むらが目立ちにくく、且つその切替部分の濃度を補正すれば、さらに高画質な画像を得ることができる。
【0051】
[第2の実形態の変形例]
図12は、第2の実形態の変形例のノズル列切替位置におけるドット間隔が狭くなる位置について説明するための図である。本変形例は、3箇所以上のノズル列切替位置を設定して画像記録を行う。前述した第2の実施形態は、図9に示したように2箇所のノズル列切替位置を設けた例であったが、本変形例では、3箇所以上のノズル列切替位置を設けた例である。
【0052】
3箇所のノズル列切替位置を設け、ドット行を2行記録するたびに切替位置を変更することで、図12に示すようなドットが記録される。なお、図13は、このノズル列切替位置の変化の状態のみを示している。尚、これまで、ノズル列切替位置として説明してきたが、図13に示すように、ノズル列切替位置の変化を連続して示すと、記録媒体上の画像記録領域を分割する線分、即ちノズル列切替線と言い換えることも可能である。
【0053】
本変形例においてもドット間が狭くなる部分、即ち濃度の高い部分が列状にならず振り分けられるため、濃度むらが目立ちにくく、且つその切替部分の濃度を補正すれば、さらに高画質な画像を得ることができる。
【0054】
[第3の実施形態]
次に、図14を参照して、第4の実施形態として、複数回のヘッド移動のうち、異なる距離を移動して画像記録を行う画像記録装置の例について詳細に説明する。尚、本実施形態の構成要素は、基本的には前述した第1の実施形態と同等であり、同じ構成要素には、同じ参照符号を付して、その説明を簡略化する。
【0055】
前述した第1の実施形態では、図6に示したように連続する2回の記録の間の合成ヘッドの移動量は、いずれも(2+1/4)Dに設定していた。この設定によって、同一ノズルで記録されるドットが連続しないため、ノズル毎の特性のばらつきによる濃度むら等が目立ちにくくなるように改善されている。但し、ノズルの個体差は、製造時の品質管理により、予め設定された良品判定の範囲内であるため、そう大きくはない。つまり、同一ノズルで記録されるドットが隣接したり、連続したりしても、その程度が少なければ、必ずしも濃度むらが目立つということではない。
【0056】
本実施形態では、3回のヘッド移動のうち1回は、D/4を移動し、他の2回は(2+1/4)Dを移動する例である。図14には、4回の記録の合成ヘッドの位置P1,P2,P3,P4を示す。
P1で示した1回目の記録とP2で示した2回目の記録の間のヘッドの移動量は、D/4である。また、P2で示した2回目の記録とP3で示した3回目の記録の間、及びP3で示した3回目の記録とP4で示した4回目の記録の間のヘッド移動量は(2+1/4)Dである。図15は、このような方法で記録したべタ画像をドットにより模式的に示している。各ドット列上に付した番号は、そのドット列を記録したノズルの番号である。
【0057】
以上のように、本実施形態によれば、図15に示すように、同一ノズルで記録したドットが横方向に連続する箇所が部分的に存在するが、ノズル毎の特性のばらつきによって生じる濃度むらを軽減する一定の効果が得られる。
【0058】
[第4の実施形態]
次に、第4の実施形態として、シリアル方式の画像記録装置に適用した例について詳細に説明する。図16は、第4の実施形態の画像記録装置における画像記録に関する機構の概念的に示す。また図17は、本実施形態の画像記録装置における4回の記録毎の各ヘッドの位置とノズル列切替位置を示す図である。尚本実施形態の構成要素については、前述した第1の実施形態と同等の構成要素については、同じ参照符号を付して、その説明を省略する。
【0059】
本実施形態の画像記録に関する機構は、同一色のインクを吐出する2つの記録ヘッド11が記録ヘッドホルダ13に固定されている。各記録ヘッド11は、例えば、10個のノズルからなるノズル列12を有する。各記録ヘッドのノズル列のノズル間隔はDであるが、2つのノズル列の接続部のノズル間隔は、記録ヘッド11の取り付け位置の誤差を含みD−eとする。記録ヘッドホルダ13は、レール22に沿って、X軸方向(矢印d7:主走査)に往復移動が可能に構成され、モータ23によって駆動される滑車24aと滑車24bの間に張られたワイヤ25によって、記録ヘッドホルダ13はX軸方向に走査移動される。
【0060】
また、記録媒体19は、モータ21によって駆動される記録媒体搬送ローラ20によってY軸方向(矢印d6:副走査)に搬送される。本実施形態の画像記録装置は、主走査と副走査を行い、主走査を行っている間に、記録ヘッド11のノズル列12からインクを吐出して画像を記録する。
各記録ヘッド11のノズル列12のノズル間隔はDである。副走査の移動量を制御することによって副走査方向(ノズル列方向)のドット間隔がD/2となるように画像を記録する。
【0061】
図17は、4回分の主走査における記録ヘッド11の副走査方向の位置を示す。実際の駆動では、記録ヘッド11ではなく、搬送機構により記録媒体19が副走査方向に移動にするが、説明の便宜上、相対的に考えて、記録媒体19に代わって記録ヘッド11が移動する図となっている。
【0062】
P1は1回目の主走査時の記録ヘッドの位置を示している。1回目の主走査では、ノズル列12aは、3番ノズルから10番ノズルまでを使用してドットを記録する。ノズル列12bも3番ノズルから10番ノズルまでを使用してドットを記録する。
【0063】
図17では、使用するノズルにはハッチングを付している。P2は、2回目の主走査時の記録ヘッドの位置である。2回目の主走査では、1回目の主走査における記録媒体19の位置から(1+1/2)Dだけ記録媒体19を移動(副走査)してから記録を行う。各ノズル列12a,12bで使用するノズルは、1番ノズルから8番ノズルまでである。即ち、b2で示した位置をノズル列切替位置として記録を行う。
【0064】
2回目の主走査の記録が終了した後、ノズル列12aの1番ノズルの位置が2回目の主走査におけるノズル列12bの7番ノズルで記録したドットの位置よりも下になるところまで副走査を行い、P3に示す状態に至った際に、3回目の主走査を行って記録を行う。
【0065】
3回目の主走査では、各ノズル列12a,12bの3番ノズルから8番ノズルまでを使用する。3回目の主走査による記録が終わったら、(1+1/2)Dだけ副走査を行ってP4に示した状態にする。
【0066】
P4に示した状態になったら4回目の主走査を行って4回目の記録を行う。即ち、b3で示した位置をノズル列切替位置として記録を行う。b3で示したノズル切替位置に対する3回目及び4回目の記録ヘッドの位置は、b1で示した位置に対する1回目及び2回目の記録ヘッドの位置と同じであるから、3回目、4回目の記録を繰り返すことによって、副走査方向に連続して画像を記録することができる。
図18は、本実施形態の画像記録装置で記録したべタのドット位置を模式的に示している。各ドット行には、記録したノズルの番号を付している。
【0067】
以上のように本実施形態によれば、図18から分かるように、同一のノズルで記録したドットが副走査方向に連続していないため、ノズル間に記録特性のばらつきがあったとしても、濃度むらが目立ちにくい。また、副走査方向のドット間隔が他と異なる部分は、主走査及び副走査2回あたり1箇所のみであるからその部分に発生する濃度むらは容易に補正することができ、高画質な画像を記録することができる。
【0068】
以上説明した実施形態は、以下の発明を含んでいる。
それぞれに画像を記録する複数の記録素子が配列される複数の記録ヘッドを、互いの端部が重なるように前記記録素子の配列方向につなぎ合わせて、直線的に連なるように構成される合成記録ヘッドと、
前記合成記録ヘッドにおける前記配列方向と直交する方向に記録媒体を相対的に走査移動させる第1走査手段と、
前記記録媒体に対して、前記配列方向に前記合成記録ヘッドを相対的に走査移動させる第2走査手段と、
前記合成記録ヘッドに画像データを供給する画像データ処理部と、
を有し、
前記第1の走査手段による走査移動を行いながら、前記合成記録ヘッドによる複数回の画像記録を行う際に、前記複数回に亘る画像記録のそれぞれの合間に、前記第2の走査手段による記録素子の配列ピッチの整数倍に相当する距離とは異なる距離だけ相対走査を行う動作を複数回繰り返すことで、合成記録ヘッドの記録解像度よりも高い解像度の画像を記録する画像記録装置であって、
一括的に前記複数の記録ヘッドをノズルの配列の方向に移動する際に、隣接する記録ヘッドが使用するノズル列を移動毎に、ノズル列切替位置の両側からの距離がノズル間隔未満である範囲内に必ず両隣りの記録ヘッドのノズルが所在する条件を満たす位置に、その切替位置を設定し、その切替位置に、両隣りのうちのいずれか一方の記録ヘッドのノズルで記録するように、各記録ヘッドにおける使用するノズル列の開始ノズルと終了ノズルを決定し、画像を記録することを特徴とする画像記録装置。
【符号の説明】
【0069】
1…画像記録装置、2…制御部、3…記録媒体搬送部、4…搬送機構、5…搬送量検知機構、6…画像データ処理部、7…画像データ入力部、8…ハーフトーン処理部、9…記録データ生成部、10…記録ヘッド駆動部、11…記録ヘッド、12…ノズル列、13…記録ヘッドホルダ、14…記録ヘッド位置制御部、15…給紙ローラ、16…プラテンドラム、17…剥離機構、18…排紙ローラ、19…記録媒体、20…記録媒体搬送ローラ、21…モータ、22…レール、23…モータ、24a,24b…滑車、25…ワイヤ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれに画像を記録する複数の記録素子が配列される第1記録ヘッド及び第2記録ヘッドを、互いの端部が重なるように前記記録素子の配列方向につなぎ合わせて構成される合成記録ヘッドと、
前記合成記録ヘッドにおける前記配列方向と直交する方向に記録媒体を相対的に走査移動させる第1走査手段と、
前記記録媒体に対して、前記配列方向に前記合成記録ヘッドを相対的に走査移動させる第2走査手段と、
前記合成記録ヘッドに画像データを供給する画像データ処理部と、
を有し、
前記第1の走査手段による走査移動を行いながら、前記合成記録ヘッドによる複数回の画像記録を行う際に、前記複数回に亘る画像記録のそれぞれの合間に、前記第2の走査手段による記録素子の配列ピッチの整数倍に相当する距離とは異なる距離だけ相対走査を行う動作を複数回繰り返すことで、合成記録ヘッドの記録解像度よりも高い解像度の画像を記録する画像記録装置であって、
前記画像データ処理部は、前記複数回の画像記録動作における前記合成記録ヘッドの各画像記録位置に亘って、その前記記録素子の配列方向両側にそれぞれ設定される前記記録素子の配列ピッチ未満の範囲内に、前記第1記録ヘッドと前記第2記録ヘッドの記録素子がそれぞれ少なくとも1つ含まれる位置に前記使用記録素子の切替位置を設定し、
前記複数回の画像記録動作における前記合成記録ヘッドの各画像記録位置に亘って、前記記録媒体上の共通の位置として設定された前記切替位置を境に、前記合成記録ヘッドの記録素子列方向の一方側の記録媒体の画像記録領域に対しては、前記第1記録ヘッドの記録素子のみで、且つ他方側の記録媒体の画像記録領域に対しては、前記第2記録ヘッドの記録素子のみで、それぞれ前記複数回の画像記録を行うように、前記合成記録ヘッドに対して、画像データを供給することを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
互いの端部が重なる前記合成記録ヘッドの各画像記録位置における合成記録ヘッド位置が最もずれて位置づけられる2つの画像記録位置において、
前記使用記録素子の切替位置は、一方の画像記録位置では、前記第1記録ヘッドの記録素子列範囲を越えた第1位置に設定されると共に、他方の画像記録位置では、前記第2記録ヘッドの記録素子列範囲を越えた第2位置に設定されることを特徴とする請求項1記載の画像記録装置。
【請求項3】
前記使用記録素子の切替位置は、複数箇所に設定され、
前記第1の走査手段により相対的に走査移動しながら画像記録を行っている間に、前記複数の使用記録素子の切替位置は、切り換えられることを特徴とする請求項1記載の画像記録装置。
【請求項4】
前記複数の使用記録素子の切替位置の前記記録素子列方向における間隔は、記録画像における複数の記録画素以上離間させることを特徴とする請求項3記載の画像記録装置。
【請求項5】
前記一方側の記録領域に対する画像記録を行うにあたり使用する記録素子のうち、前記使用記録素子の切替位置に最も近接する第1記録ヘッドの端部使用記録素子と、
前記他方側の記録領域に対する画像記録を行うにあたり使用する記録素子のうち、前記使用記録素子の切替位置に最も近接する第2記録ヘッドの端部使用記録素子と、
を画像記録動作毎に予め選定しておき、前記画像データ処理部は、前記各端部使用記録素子に基づいて、前記各画像記録時における画像データを第1記録ヘッド及び第2記録ヘッドに供給することを特徴とする請求項1記載の画像記録装置。
【請求項6】
それぞれに画像を記録する複数の記録素子が配列される第1記録ヘッド及び第2記録ヘッドを、互いの端部が重なるように前記記録素子の配列方向につなぎ合わせて構成される合成記録ヘッドと、
前記合成記録ヘッドにおける前記配列方向と直交する方向に記録媒体を相対的に走査移動させる第1走査手段と、
前記記録媒体に対して、前記配列方向に前記合成記録ヘッドを相対的に走査移動させる第2走査手段と、
前記合成記録ヘッドに画像データを供給する画像データ処理部と、
を有し、
前記第1の走査手段による走査移動を行いながら、前記合成記録ヘッドによる複数回の画像記録を行う際に、前記複数回に亘る画像記録のそれぞれの合間に、前記第2の走査手段による記録素子の配列ピッチの整数倍に相当する距離とは異なる距離だけ相対走査を行う動作を複数回繰り返すことで、合成記録ヘッドの記録解像度よりも高い解像度の画像を記録する画像記録装置であって、
前記画像データ処理部は、前記複数回の画像記録動作における合成記録ヘッドの各画像記録位置に亘って、その前記記録素子の配列方向両側にそれぞれ設定される記録素子の配列ピッチ未満の範囲内に、前記第1記録ヘッドと前記第2記録ヘッドの記録素子がそれぞれ少なくとも1つ含まれる位置に、合成記録ヘッドによって画像記録される画像記録領域を、前記記録素子列方向に分割する切替線を設定し、当該切替線を境に一方の画像記録領域に対する前記複数回の画像記録を第1記録ヘッドのみで行い、他方の画像記録領域に対する前記複数回の画像記録を第2記録ヘッドのみで行うように、第1記録ヘッド及び第2記録ヘッドにそれぞれ画像データを供給することを特徴とする画像記録装置。
【請求項7】
前記切替線は、前記記録素子列方向に交差する方向に沿った直線状に設定されることを特徴とする請求項6記載の画像記録装置。
【請求項8】
前記切替線は、曲線状に設定されることを特徴とする請求項6記載の画像記録装置。
【請求項9】
それぞれに画像を記録する複数の記録素子が配列される第1記録ヘッド及び第2記録ヘッドを、互いの端部が重なるように前記記録素子の配列方向につなぎ合わせて構成される合成記録ヘッドと、
前記合成記録ヘッドにおける前記配列方向と直交する方向に記録媒体を相対的に走査移動させる第1走査手段と、
前記記録媒体に対して、前記配列方向に前記合成記録ヘッドを相対的に走査移動させる第2走査手段と、
前記合成記録ヘッドに画像データを供給する画像データ処理部と、
を有し、
画像記録に用いる前記第1記録ヘッドの記録素子のうちの前記第2記録ヘッド側端部の記録素子(終了ノズル番号)と、画像記録に用いる前記第2記録ヘッドの記録素子のうちの前記第1記録ヘッド側端部の記録素子(開始ノズル番号)と、を決定するための使用記録素子切替位置を設定することで、前記第1記録ヘッド及び前記第2記録ヘッドの各記録素子のうち画像記録に使用する記録素子範囲をそれぞれ選定し、
前記第1の走査手段による相対的な走査移動時に、前記合成記録ヘッドによる画像記録を行うと共に、前記合成記録ヘッドの画像記録の合間に、前記第2の走査手段による記録素子の配列ピッチの整数倍に相当する距離とは異なる距離だけ相対走査を行う動作を複数回繰り返すことで、合成記録ヘッドの記録解像度よりも高い解像度の画像を記録する画像記録装置であって、
前記使用記録素子の切替位置は、前記複数回の画像記録動作における合成記録ヘッドの各画像記録位置に亘って、記録媒体上の共通の位置であって、且つ当該切替位置を基準にしてその両側にそれぞれ設定される記録素子の配列ピッチ未満の範囲内に、前記第1記録ヘッドと第2記録ヘッドの記録素子がそれぞれ少なくとも1つ含まれる位置に設定されることを特徴とする画像記録装置。
【請求項10】
同一方向でそれぞれの列端が重なるようにノズル列を配列する複数の記録ヘッドが設けられた記録ヘッドを備える画像記録装置の記録方法であって、
前記配列方向と直交する方向に走査移動する記録媒体に対して、一括的に前記複数の記録ヘッドを前記配列の方向に複数回移動させて画像記録する際に、該複数回の移動毎に、隣接する前記記録ヘッドのノズル列間の切替位置を、切替位置の両側からの距離が前記ノズル列における配列ピッチ未満である範囲内に、必ず両方の記録ヘッドのノズルが所在する条件を満たす位置に前記切替位置を設定し、当該切替位置の近傍にいずれか一方の記録ヘッドのノズルで記録するように、各記録ヘッドにおける使用するノズル列の開始ノズルと終了ノズルを決定し、画像を記録することを特徴とする画像記録装置の記録方法。
【請求項1】
それぞれに画像を記録する複数の記録素子が配列される第1記録ヘッド及び第2記録ヘッドを、互いの端部が重なるように前記記録素子の配列方向につなぎ合わせて構成される合成記録ヘッドと、
前記合成記録ヘッドにおける前記配列方向と直交する方向に記録媒体を相対的に走査移動させる第1走査手段と、
前記記録媒体に対して、前記配列方向に前記合成記録ヘッドを相対的に走査移動させる第2走査手段と、
前記合成記録ヘッドに画像データを供給する画像データ処理部と、
を有し、
前記第1の走査手段による走査移動を行いながら、前記合成記録ヘッドによる複数回の画像記録を行う際に、前記複数回に亘る画像記録のそれぞれの合間に、前記第2の走査手段による記録素子の配列ピッチの整数倍に相当する距離とは異なる距離だけ相対走査を行う動作を複数回繰り返すことで、合成記録ヘッドの記録解像度よりも高い解像度の画像を記録する画像記録装置であって、
前記画像データ処理部は、前記複数回の画像記録動作における前記合成記録ヘッドの各画像記録位置に亘って、その前記記録素子の配列方向両側にそれぞれ設定される前記記録素子の配列ピッチ未満の範囲内に、前記第1記録ヘッドと前記第2記録ヘッドの記録素子がそれぞれ少なくとも1つ含まれる位置に前記使用記録素子の切替位置を設定し、
前記複数回の画像記録動作における前記合成記録ヘッドの各画像記録位置に亘って、前記記録媒体上の共通の位置として設定された前記切替位置を境に、前記合成記録ヘッドの記録素子列方向の一方側の記録媒体の画像記録領域に対しては、前記第1記録ヘッドの記録素子のみで、且つ他方側の記録媒体の画像記録領域に対しては、前記第2記録ヘッドの記録素子のみで、それぞれ前記複数回の画像記録を行うように、前記合成記録ヘッドに対して、画像データを供給することを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
互いの端部が重なる前記合成記録ヘッドの各画像記録位置における合成記録ヘッド位置が最もずれて位置づけられる2つの画像記録位置において、
前記使用記録素子の切替位置は、一方の画像記録位置では、前記第1記録ヘッドの記録素子列範囲を越えた第1位置に設定されると共に、他方の画像記録位置では、前記第2記録ヘッドの記録素子列範囲を越えた第2位置に設定されることを特徴とする請求項1記載の画像記録装置。
【請求項3】
前記使用記録素子の切替位置は、複数箇所に設定され、
前記第1の走査手段により相対的に走査移動しながら画像記録を行っている間に、前記複数の使用記録素子の切替位置は、切り換えられることを特徴とする請求項1記載の画像記録装置。
【請求項4】
前記複数の使用記録素子の切替位置の前記記録素子列方向における間隔は、記録画像における複数の記録画素以上離間させることを特徴とする請求項3記載の画像記録装置。
【請求項5】
前記一方側の記録領域に対する画像記録を行うにあたり使用する記録素子のうち、前記使用記録素子の切替位置に最も近接する第1記録ヘッドの端部使用記録素子と、
前記他方側の記録領域に対する画像記録を行うにあたり使用する記録素子のうち、前記使用記録素子の切替位置に最も近接する第2記録ヘッドの端部使用記録素子と、
を画像記録動作毎に予め選定しておき、前記画像データ処理部は、前記各端部使用記録素子に基づいて、前記各画像記録時における画像データを第1記録ヘッド及び第2記録ヘッドに供給することを特徴とする請求項1記載の画像記録装置。
【請求項6】
それぞれに画像を記録する複数の記録素子が配列される第1記録ヘッド及び第2記録ヘッドを、互いの端部が重なるように前記記録素子の配列方向につなぎ合わせて構成される合成記録ヘッドと、
前記合成記録ヘッドにおける前記配列方向と直交する方向に記録媒体を相対的に走査移動させる第1走査手段と、
前記記録媒体に対して、前記配列方向に前記合成記録ヘッドを相対的に走査移動させる第2走査手段と、
前記合成記録ヘッドに画像データを供給する画像データ処理部と、
を有し、
前記第1の走査手段による走査移動を行いながら、前記合成記録ヘッドによる複数回の画像記録を行う際に、前記複数回に亘る画像記録のそれぞれの合間に、前記第2の走査手段による記録素子の配列ピッチの整数倍に相当する距離とは異なる距離だけ相対走査を行う動作を複数回繰り返すことで、合成記録ヘッドの記録解像度よりも高い解像度の画像を記録する画像記録装置であって、
前記画像データ処理部は、前記複数回の画像記録動作における合成記録ヘッドの各画像記録位置に亘って、その前記記録素子の配列方向両側にそれぞれ設定される記録素子の配列ピッチ未満の範囲内に、前記第1記録ヘッドと前記第2記録ヘッドの記録素子がそれぞれ少なくとも1つ含まれる位置に、合成記録ヘッドによって画像記録される画像記録領域を、前記記録素子列方向に分割する切替線を設定し、当該切替線を境に一方の画像記録領域に対する前記複数回の画像記録を第1記録ヘッドのみで行い、他方の画像記録領域に対する前記複数回の画像記録を第2記録ヘッドのみで行うように、第1記録ヘッド及び第2記録ヘッドにそれぞれ画像データを供給することを特徴とする画像記録装置。
【請求項7】
前記切替線は、前記記録素子列方向に交差する方向に沿った直線状に設定されることを特徴とする請求項6記載の画像記録装置。
【請求項8】
前記切替線は、曲線状に設定されることを特徴とする請求項6記載の画像記録装置。
【請求項9】
それぞれに画像を記録する複数の記録素子が配列される第1記録ヘッド及び第2記録ヘッドを、互いの端部が重なるように前記記録素子の配列方向につなぎ合わせて構成される合成記録ヘッドと、
前記合成記録ヘッドにおける前記配列方向と直交する方向に記録媒体を相対的に走査移動させる第1走査手段と、
前記記録媒体に対して、前記配列方向に前記合成記録ヘッドを相対的に走査移動させる第2走査手段と、
前記合成記録ヘッドに画像データを供給する画像データ処理部と、
を有し、
画像記録に用いる前記第1記録ヘッドの記録素子のうちの前記第2記録ヘッド側端部の記録素子(終了ノズル番号)と、画像記録に用いる前記第2記録ヘッドの記録素子のうちの前記第1記録ヘッド側端部の記録素子(開始ノズル番号)と、を決定するための使用記録素子切替位置を設定することで、前記第1記録ヘッド及び前記第2記録ヘッドの各記録素子のうち画像記録に使用する記録素子範囲をそれぞれ選定し、
前記第1の走査手段による相対的な走査移動時に、前記合成記録ヘッドによる画像記録を行うと共に、前記合成記録ヘッドの画像記録の合間に、前記第2の走査手段による記録素子の配列ピッチの整数倍に相当する距離とは異なる距離だけ相対走査を行う動作を複数回繰り返すことで、合成記録ヘッドの記録解像度よりも高い解像度の画像を記録する画像記録装置であって、
前記使用記録素子の切替位置は、前記複数回の画像記録動作における合成記録ヘッドの各画像記録位置に亘って、記録媒体上の共通の位置であって、且つ当該切替位置を基準にしてその両側にそれぞれ設定される記録素子の配列ピッチ未満の範囲内に、前記第1記録ヘッドと第2記録ヘッドの記録素子がそれぞれ少なくとも1つ含まれる位置に設定されることを特徴とする画像記録装置。
【請求項10】
同一方向でそれぞれの列端が重なるようにノズル列を配列する複数の記録ヘッドが設けられた記録ヘッドを備える画像記録装置の記録方法であって、
前記配列方向と直交する方向に走査移動する記録媒体に対して、一括的に前記複数の記録ヘッドを前記配列の方向に複数回移動させて画像記録する際に、該複数回の移動毎に、隣接する前記記録ヘッドのノズル列間の切替位置を、切替位置の両側からの距離が前記ノズル列における配列ピッチ未満である範囲内に、必ず両方の記録ヘッドのノズルが所在する条件を満たす位置に前記切替位置を設定し、当該切替位置の近傍にいずれか一方の記録ヘッドのノズルで記録するように、各記録ヘッドにおける使用するノズル列の開始ノズルと終了ノズルを決定し、画像を記録することを特徴とする画像記録装置の記録方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
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【図13】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−30483(P2012−30483A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−171936(P2010−171936)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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