画像記録装置
【課題】ギア切換により複数の被駆動部を駆動させ且つ被記録媒体の表裏両面に画像を記録できる画像記録装置において、画像記録中におけるギア切り換えを無く。
【解決手段】複合機10は、上トレイ14に載置された用紙5を送り出す第1給送ローラ31と、下トレイ15に載置された用紙5を送り出す給送第2ローラ32と、送り出された用紙5を搬送する中間ローラ対54及び両面印刷用の反送ローラ対58と、第1駆動モータと、第1駆動モータの駆動力を各ローラに切り換えて伝達する駆動伝達切換機構と、制御部と、を備える。制御部は、第1駆動モータの正回転と逆回転とにより、第1給送モータ31と、中間ローラ対54及び反送ローラ対58と、の駆動切換を行い、また、ギア切換により、第1給送ローラ31と第2給送ローラ32との駆動の切換を行う。
【解決手段】複合機10は、上トレイ14に載置された用紙5を送り出す第1給送ローラ31と、下トレイ15に載置された用紙5を送り出す給送第2ローラ32と、送り出された用紙5を搬送する中間ローラ対54及び両面印刷用の反送ローラ対58と、第1駆動モータと、第1駆動モータの駆動力を各ローラに切り換えて伝達する駆動伝達切換機構と、制御部と、を備える。制御部は、第1駆動モータの正回転と逆回転とにより、第1給送モータ31と、中間ローラ対54及び反送ローラ対58と、の駆動切換を行い、また、ギア切換により、第1給送ローラ31と第2給送ローラ32との駆動の切換を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状の被記録媒体を搬送して画像を記録する画像記録装置に関し、詳しくは、被記録媒体の表裏両面に画像を記録し且つ1つの駆動モータにより複数の被駆動部を駆動する画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、載置部に載置された記録用紙などのシート状の被記録媒体を送り出す給送ローラと、この給送ローラにより送り出された被記録媒体が通過する主搬送路と、主搬送路に沿って搬送された被記録媒体に画像を記録する記録部と、を備えた画像記録装置が提供されている。
【0003】
画像記録装置には、主搬送路における被記録媒体の搬送向きに関して記録部より下流側と上流側とを繋ぎ被記録媒体の表裏を反転させる反転搬送路を備え、被記録媒体の表裏両面に画像を記録できるものがある。
【0004】
また、画像記録装置には、駆動伝達切換機構により1つの駆動モータの駆動力を複数の被駆動部に切り換えて伝達するものがある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された画像記録装置は、載置部に載置された被記録媒体を送り出す給送ローラと、被記録媒体が反転搬送路に沿って搬送されるように動作する動作部と、駆動モータの駆動力を給送ローラと動作部とを含む複数の被駆動部に切り換えて伝達する駆動伝達切換機構と、を備えている。
【0005】
上記駆動伝達切換機構は、切換ギアと複数の伝達ギアとを備える。切換ギアは、駆動モータにより回転され、複数の伝達ギアのいずれかに噛合するように移動可能なギアである。複数の伝達ギアのうちの1つの伝達ギアの回転は給送ローラに伝達される。上記1つの伝達ギアとは異なる別の伝達ギアの回転は動作部に伝達される。特許文献1に記載された画像記録装置において、被記録媒体の表裏両面に画像を記録する場合には、給送ローラにより被記録媒体が主搬送路に送り出された後に、切換ギアを移動させてギアの連結状態を切り換えるギア切換を行い、被記録媒体が反転搬送路に沿って搬送されるように動作部を動作させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−34847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の画像記録装置においては、被記録媒体の表裏両面に画像を記録する場合には、被記録媒体が給送ローラによって主搬送路に送り出された後であって、被記録媒体が動作部に到達するよりも前に、ギア切換を行う必要がある。しかしながら、ギア切換が行われない恐れがある。ギア切換が行われないと、紙詰まりなどが生じてしまう。
【0008】
ギア切換の状態を検出するセンサを設けることで上記問題を解決することが考えられる。しかしながら、センサを設けると、画像記録装置の部品点数が増加し、コストがアップしてしまう。
【0009】
本発明は、上記問題に鑑み、反転搬送路と駆動伝達切換機構とを備えた画像記録装置において、被記録媒体の表裏両面に画像を記録する場合にギア切換をなくすことでギア切換不良に起因する紙詰まりの発生を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1) 本発明の画像記録装置は、被記録媒体に画像を記録する記録部と、第1載置部に載置されたシート状の被記録媒体を送り出す第1給送ローラと、上記第1給送ローラにより送り出された被記録媒体が上記記録部に向けて搬送方向第1向きへ搬送される経路である第1搬送路と、上記第1搬送路の上記搬送方向第1向きにおける上記記録部より下流側と上記記録部より上流側とを繋ぎ、上記記録部により記録された被記録媒体が上記記録部に向けて搬送方向第2向きへ搬送される経路である第2搬送路と、被記録媒体が上記第2搬送路に沿って上記搬送方向第2向きに向かうように動作する動作部と、被記録媒体を搬送させるものとは異なる被駆動部と、正逆いずれの向きにも回転可能な第1駆動モータと、上記第1駆動モータの駆動力を、上記第1給送ローラ及び上記動作部を含む複数の被駆動部に切り換えて伝達する駆動伝達切換機構と、上記第1駆動モータの駆動を制御する制御手段と、を備える。
【0011】
上記駆動伝達切換機構は、上記第1駆動モータにより回転される第1ギアと、上記第1ギアの回転軸方向に沿って移動することで第1姿勢及び第2姿勢に姿勢変化し、上記第1姿勢及び上記第2姿勢において上記第1ギアに噛合する第2ギアと、上記第1姿勢にある上記第2ギアと噛合し且つ上記第2姿勢にある上記第2ギアと噛合しない第3ギアであって、上記第1駆動モータが正回転するときに被記録媒体が上記第1搬送路に送り出されるように上記第1給送ローラを正回転させ、上記第1駆動モータが逆回転するときに上記第1給送ローラを静止させ且つ被記録媒体が上記第2搬送路に沿って上記搬送方向第2向きに向かうように上記動作部を動作させるための第3ギアと、上記第2姿勢にある上記第2ギアと噛合する第4ギアであって、上記第1駆動モータの駆動力を上記被駆動部に伝達するための第4ギアと、を備える。
【0012】
上記制御手段は、上記第2ギアが上記第2姿勢にある状態において、上記第1駆動モータを回転させる駆動処理と、上記第2ギアが上記第1姿勢にある状態において、上記第1駆動モータを正回転させる第1給送処理と、上記第1駆動モータを逆回転させる第1搬送処理と、を実行する。
【0013】
本発明では、上記第2ギアが上記第1姿勢にある状態において、上記第1駆動モータの正回転と逆回転とにより第1給送処理と第1搬送処理とを行うから、ギア切換を行うことなく被記録媒体を搬送できる。その結果、被記録媒体の表裏両面に画像を記録することができ、且つ、駆動モータの個数を減らした画像記録装置において、被記録媒体の搬送中におけるギア切換を無くして、ギア切換不良に起因する紙詰まりの発生を防止することができる。
【0014】
(2) 本発明の画像記録装置は、上記第1搬送路において上記記録部よりも上記搬送方向第1向き上流側に設けられた湾曲部に配置され、被記録媒体を搬送する第1搬送ローラ対を更に備え、上記第2搬送路は、上記第1載置部と上記記録部との間を通り、上記第1搬送ローラ対よりも上記搬送方向第1向き上流側で上記第1搬送路に合流する。
【0015】
上記駆動伝達切換機構において、上記第3ギアは、上記第1駆動モータが逆回転するときに被記録媒体が上記搬送方向第1向きに搬送されるように上記第1搬送ローラ対を正回転させ、上記第1駆動モータが正回転するときに上記第1搬送ローラ対を静止または逆回転させるためのものである。
【0016】
上記第1搬送ローラ対は上記第1駆動モータにより回転されるから、駆動モータの個数を増やすことがない。さらに、上記湾曲部に上記第1搬送ローラ対が配置されるため、湾曲部において被記録媒体に付与できる搬送力を大きくすることができ、被記録媒体を確実に搬送することができる。
【0017】
(3) 本発明の画像記録装置は、上記第1搬送路において上記第1搬送ローラ対よりも上記搬送方向第1向き下流側且つ上記記録部よりも上記搬送方向1向き上流側に設けられ、被記録媒体を搬送する第2搬送ローラ対と、上記第2搬送ローラ対を回転させるための第2駆動モータと、を更に備える。
【0018】
上記制御手段は、上記第2駆動モータの駆動を更に制御し、上記第2ギアが上記第1姿勢にある状態において、上記第1搬送路に送り出された被記録媒体を上記第1搬送ローラ対に当接させて斜行補正動作を行うように上記第1駆動モータの回転を制御する第1斜行補正処理と、上記第2搬送路を経由して搬送された被記録媒体を上記第2搬送ローラ対に当接させて斜行補正動作を行うように上記第1駆動モータ及び上記第2駆動モータの回転を制御する第2斜行補正処理と、を実行する。
【0019】
本発明の画像記録装置では、上記第1搬送路に送り出された被記録媒体には、上記第1搬送ローラ対による斜行補正動作が行われる。上記第2搬送路を通過した被記録媒体には、上記第2搬送ローラ対による斜行補正動作が行われる。そのため、被記録媒体の表面に画像が記録される場合も、裏面に画像が記録される場合も被記録媒体の斜行を確実に抑制することができ、画像記録の精度を高めることができる。
【0020】
(4) 上記制御手段は、上記第2ギアが上記第1姿勢にある状態において、上記第1搬送路を搬送される被記録媒体を上記第2搬送ローラ対に当接させて斜行補正動作を行うように上記第1駆動モータ及び上記第2駆動モータの回転を制御する第3斜行補正処理を実行することが望ましい。被記録媒体の表面に画像が記録される際において、被記録媒体には、上記第1搬送ローラ対と上記第2搬送ローラ対との2つの搬送ローラ対による斜行補正動作が行われる。そのため、より確実に被記録媒体の斜行が抑制され、画像記録の精度を更に高めることができるからである。
【0021】
(5) 本発明の画像記録装置は、被記録媒体を上記第2搬送路に向けて上記搬送方向第2向きに搬送する第3搬送ローラ対を更に備え、上記第2駆動モータは、上記第3搬送ローラ対を回転駆動させるためのものであり、上記動作部は、上記第2搬送路において被記録媒体を搬送する第4搬送ローラ対である。上記駆動伝達切換機構において、上記第3ギアは、上記第1駆動モータが逆回転するときに被記録媒体が上記搬送方向第2向きに搬送されるように上記第4搬送ローラ対を正回転させ、上記第1駆動モータが正回転するときに上記第4搬送ローラ対を静止又は逆回転させるためのものである。
【0022】
上記制御手段は、上記第2ギアが上記第1姿勢にある状態において、上記第2搬送路を搬送される被記録媒体を上記第4搬送ローラ対に当接させて斜行補正動作を行うように上記第1駆動モータ及び上記第2駆動モータの回転を制御する第4斜行補正処理を実行しても良い。
【0023】
被記録媒体の裏面に画像が記録される際において、被記録媒体には、上記第2搬送ローラ対と上記第4搬送ローラ対との2つの搬送ローラ対による斜行補正動作が行われる。そのため、より確実に被記録媒体の斜行が抑制され、画像記録の精度を更に高めることができるからである。
【0024】
(6) 本発明の画像記録装置は、第2載置部に載置されたシート状の被記録媒体を上記第1搬送路に送り出す第2給送ローラを更に備える。上記第2ギアは上記第1ギアの回転軸方向に沿って移動することで第3姿勢に更に姿勢変化し、上記第3姿勢において上記第1ギアに噛合する。上記駆動伝達切換機構は、上記第3姿勢にある上記第2ギアと噛合し且つ上記第1姿勢にある上記第2ギアと噛合しない第5ギアであって、上記第1駆動モータが逆回転するときに被記録媒体が上記第1搬送路に送り出されるように上記第2給送ローラを正回転させ、上記第1駆動モータが正回転するときに上記第2給送ローラを静止させるための第5ギアを更に備える。上記制御手段は、上記第2ギアが上記第3姿勢にある状態において、上記第1駆動モータを逆回転させる第2給送処理と、上記第1駆動モータを正回転させる第2搬送処理と、を実行する。
【0025】
上記第1駆動モータの正回転により上記第1給送ローラは駆動され、上記第1駆動モータの逆回転により上記第2給送ローラは駆動される。上記第2ギアの切換不良が発生したとしても、上記第1給送ローラと上記第2給送ローラとのうち、駆動したい方の給送ローラとは異なる方の給送ローラが誤って駆動されることがない。本発明の画像記録装置は、被記録媒体の誤給紙を確実に防止することができる。
【0026】
(7) 上記駆動伝達切換機構において、上記第5ギアは、上記第1駆動モータが正回転するときに被記録媒体が上記搬送方向第2向きに搬送されるように上記第4搬送ローラ対を正回転させ、上記第1駆動モータが逆回転するときに上記第4搬送ローラ対を静止又は逆回転させるためのものである。本発明では、上記第2載置部に載置された被記録媒体の両面に画像を記録する場合についても、ギア切換を行うことなく被記録媒体の表裏両面に画像を記録できる画像記録装置が実現できる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、反転搬送路と駆動伝達切換機構とを備えた画像記録装置において、被記録媒体の表裏両面に画像を記録するに当たって、被記録媒体の搬送中にギア切換が行われることがなく、その結果、ギア切換不良に起因する紙詰まりの発生を防止することができる画像記録装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】複合機の斜視図である。
【図2】プリンタ部の模式的な断面図である。
【図3】駆動伝達切換機構の斜視図である。
【図4】第1姿勢におけるギア切換機構の斜視図である。
【図5】ギア切換機構の斜視図であり、(A)は第2姿勢の状態を示す図で、(B)は第3姿勢の状態を示す図である。
【図6】入力レバー及び当接部材の構成を示す分解斜視図である。
【図7】複合機の電気的構成を示すブロック図である。
【図8】第1駆動モータからの駆動伝達を示すブロック図である。
【図9】駆動処理のフローチャートである。
【図10】第1給送処理、第1搬送処理及び第1斜行補正処理のフローチャートである。
【図11】第3斜行補正処理のフローチャートである。
【図12】第2斜行補正処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下では、本発明の画像記録装置として、両面印刷・スキャン・コピー・ファックス機能などを有する図1の複合機10が説明される。複合機10は、概ね直方体状に形成されており、複合機10の高さ方向が上下方向7と定義され、奥行き方向が前後方向8と定義され、幅方向が左右方向9と定義されて以下説明がされる。
【0030】
[複合機10の概要]
複合機10は、プリンタ筐体11と、このプリンタ筐体11の上方に配置され且つスキャナ部を収容したスキャナ筐体12と、このスキャナ筐体12の上方に配置された原稿カバー13と、を備えている。プリンタ筐体11は、図2に示されたように、普通紙や光沢紙や葉書などである用紙5が載置され、前方に引き出し可能な上トレイ14及び下トレイ15を下部に収容している。また、プリンタ筐体11は、用紙5に画像を記録するプリンタ部17を上部に収容している。上トレイ14には、排紙トレイ16が載せられている。上トレイ14は請求項に記載の第1載置部に相当し、下トレイ15は請求項に記載の第2載置部に相当し、用紙15は請求項に記載の被記録媒体に相当する。
【0031】
スキャナ部や図2のプリンタ部17の制御は制御部100(図7参照)により行われる。制御部100は、例えば、基板に実装されたマイコンなどの種々の電子部品により実現される。制御部100は、図1に示された複数個の入力ボタン18やパソコンなどの外部機器から入力した信号により画像の取り込みや画像の記録を行う。制御部100は、請求項に記載の制御手段に相当する。
【0032】
[プリンタ部17]
プリンタ部17は、図2に示されたように、上トレイ14及び下トレイ15に載置された用紙5を搬送する搬送装置30と、この搬送装置30により搬送される用紙5に画像を記録する記録部20とを備えている。また、プリンタ部17は、図7に示された駆動部104(第1駆動モータ101、第2駆動モータ102、第3駆動モータ103)と、この第1駆動モータ101の駆動力を各部に伝達する駆動伝達切換機構40(図4参照)と、後述の第1センサ81などで構成される検知機構と、記録部20の保守機構(不図示)と、を備えている。
【0033】
[記録部20]
記録部20は、図2に示されたように、上トレイ14の後部の上方に配置された板状のプラテン22と、このプラテン22の上方に対向配置された記録ヘッド21と、この記録ヘッド21を保持するキャリッジ23と、を備えている。記録部20は請求項に記載の記録部に相当する。
【0034】
記録ヘッド21は、不図示の複数のノズルを備えている。各ノズルは、下方に開放する吐出口をそれぞれ備え、例えば、圧電素子により変形されることで吐出口からインク滴を下方のプラテン22に向けてそれぞれ吐出する。圧電素子への電力供給はフレキシブルケーブルを用いて上述の制御部100が行う。
【0035】
キャリッジ23は、プラテン22の上方に配置された前後一対の図4のレール体24に架設されている。このレール体24は、左右方向9に長い板状に形成され、フレーム25に支持されている。駆動伝達切換機構40におけるギア切り換えを行うための当接片26(図4参照)がキャリッジ23の右端部から右向きに突出している。
【0036】
[保守機構]
不図示の保守機構は、記録ヘッド21のノズルの吐出口を覆う当接位置と、上記吐出口から離間する離間位置との間で移動可能なキャップ61(図8参照)と、このキャップ61を当接位置と離間位置との間で移動させる不図示の移動機構とを備えている。移動機構は、後述の駆動伝達切換機構40により第1駆動モータ101から伝達された駆動力をキャップ61に伝達してキャップ61を当接位置及び離間位置に移動させる。キャップ61は、請求項に記載の「被記録媒体を搬送させるものとは異なる被駆動部」に相当する。
【0037】
[搬送装置30]
図2に示された搬送装置30は、上トレイ14に載置された用紙5を送り出す第1給送ローラ31と、下トレイ15に載置された用紙5を送り出す第2給送ローラ32と、第1給送ローラ31及び第2給送ローラ32により送り出された用紙5が搬送される主搬送路51と、用紙5の表裏を反転させて主搬送路51の上流側に戻す反転搬送路52とを備えている。また、搬送装置30は、この反転搬送路52や主搬送路51上に配置され、用紙5を挟んで搬送する中間ローラ対54、主搬送ローラ対55,排紙ローラ対56、スイッチバックローラ対57及び反送ローラ対58と、を備えている。
【0038】
[第1給送ローラ31,第2給送ローラ32]
第1給送ローラ31は、上トレイ14の後部の上方に配置され、後述の第1駆動モータ101により回転駆動される。第1給送ローラ31はアーム34により支持されている。アーム34は、第1給送ローラ31が回転可能に一端部に取り付けられ、他端部が伝達ギア33を回転中心として回動可能に支持されている。また、アーム34は、伝達ギア33の回転を第1給送ローラ31に伝達する複数個の伝達ギア35を備えている。
【0039】
第1給送ローラ31は、アーム34が伝達ギア33を回転中心として回動することで上トレイ14に載置された用紙5に接触する。第1給送ローラ31は、伝達ギア35を介して伝達ギア33の回転が伝達されて正回転し、接触する用紙5を上トレイ14の後壁から上方に送り出す。第2給送ローラ32は、第1給送ローラ31と同様にアーム37により支持されている。第2給送ローラ32は、正回転することで下トレイ15に載置された用紙5を後壁から上方に送り出す。第1給送ローラ31は請求項に記載の第1給送ローラに相当し、第2給送ローラ32は請求項に記載の第2給送ローラに相当する。
【0040】
[主搬送路51]
主搬送路51は、ガイド部材53やプラテン22により形成されており、断面弧状の湾曲部51A及びプラテン22と記録ヘッド21との間を通る断面直線状の直線状部51Bを備えたいわゆるUターンパスである。湾曲部51Aにより、上トレイ14の上方に記録部20を配置することができ、プリンタ部17がコンパクトになる。主搬送路51は請求項に記載の第1搬送路に相当し、湾曲部51Aは請求項に記載の湾曲部に相当する。
【0041】
主搬送路51は、上トレイ14の後壁の上方から、排紙トレイ16の上方までに亘って延在されている。つまり、上トレイ14や下トレイ15から送り出された用紙5は、プラテン22上を前方に向かって搬送され、排紙トレイ16に排出される。主搬送路51における用紙5の搬送向きである第1搬送向き38は、請求項に記載の搬送方向第1向きに相当する。
【0042】
[反転搬送路52]
反転搬送路52は、プラテン22と上トレイ14との間を通り、湾曲部51Aの上流側の接続位置52A及び直線状部51Bの下流側の接続位置52Bで主搬送路51と接続する。反転搬送路52は、不図示のガイド部材により形成されている。反転搬送路52は、請求項に記載の第2搬送路に相当する。また、接続位置52Bから接続位置52Aに向かう向きである第2搬送向き39は、請求項に記載の搬送方向第2向きに相当する。
【0043】
[中間ローラ対54]
中間ローラ対54は、後述の第1駆動モータ101により回転される回転軸54Aに固着された複数個の駆動ローラ54B及びこの駆動ローラ54Bに従動する従動ローラ54Cを備えている。中間ローラ対54は、回転軸54Aの軸方向が左右方向9に沿い、且つ、ニップ位置を湾曲部51Aが通る位置に配置され、上トレイ14又は下トレイ15から送り出された用紙5を挟んで搬送する。中間ローラ対54は、請求項に記載の第1搬送ローラ対に相当する。
【0044】
[主搬送ローラ対55]
主搬送ローラ対55は、後述の第2駆動モータ102により回転される回転軸55Aに固着された複数個の駆動ローラ55B及びこの駆動ローラ55Bに従動する従動ローラ55Cを備えている。主搬送ローラ対55は、回転軸55Aの軸方向が左右方向9に沿い、且つ、プラテン22の後方に配置され、中間ローラ対54により搬送された用紙5を前方に向かって搬送する。主搬送ローラ対55は、請求項に記載の第2搬送ローラ対に相当する。
【0045】
[排紙ローラ対56]
排紙ローラ対56は、第2駆動モータ102により回転される回転軸56Aに固着された複数個の駆動ローラ56B及びこの駆動ローラ56Bに従動する従動ローラ56Cを備えている。排紙ローラ対56は、回転軸56Aの軸方向が左右方向9に沿い且つプラテン22の前方に配置され、主搬送ローラ対55により搬送された用紙5を前方に搬送する。
【0046】
[スイッチバックローラ対57]
スイッチバックローラ対57は、第2駆動モータ102により回転される回転軸57Aに固着された複数個の駆動ローラ57Bと、この駆動ローラ57Bに従動する従動ローラ57Cと、を備えている。スイッチバックローラ対57は、回転軸57Aの軸方向が左右方向9に沿い、且つ、主搬送路51と反転搬送路52との接続位置52Bよりも前方に配置されている。スイッチバックローラ対57は、後述されるように、複合機10に片面印刷が指示されたときは、正回転により用紙5を排紙トレイ16に排出し、複合機10に両面印刷が指示されたときは、逆回転により用紙5の搬送向きを逆転して接続位置52Bから反転搬送路52に進入させる。スイッチバックローラ対57は請求項に記載の第3搬送ローラ対に相当する。
【0047】
[反送ローラ対58]
反送ローラ対58は、第1駆動モータ101により回転される回転軸58Aに固着された複数個の駆動ローラ58B及びこの駆動ローラ58Bに従動する従動ローラ58Cを備えている。反送ローラ対58は、反転搬送路52に設けられ、反転搬送路52に進入した用紙5を接続位置52Aに向かって搬送する。反送ローラ対58は、請求項に記載の第4搬送ローラ対に相当する。
【0048】
[駆動部104]
図7に示すように、駆動部104は、正逆いずれの向きにも回転可能な第1駆動モータ101、第2駆動モータ102及び第3駆動モータ103を備えている。各駆動モータ101,102,103には、例えば、ブラシレスDCモータが用いられる。
【0049】
[第2駆動モータ102]
第2駆動モータ102の駆動力は、主搬送ローラ対55、排紙ローラ対56、スイッチバックローラ対57に伝達される。第2駆動モータ102は、第2駆動モータ102の駆動が出力されるシャフトが回転軸55Aに直接又はギアを介して連結され、回転軸55Aを回転駆動する。第2駆動モータ102の駆動力は、不図示の第1ベルト伝達機構により回転軸56A及び回転軸57Aに伝達される。第1ベルト伝達機構は、例えば歯が内周面に設けられた無端環状のベルトを備える。第1ベルト伝達機構は、第2駆動モータ102により回転軸55Aが回転されると、回転軸55Aと共に回転軸56A及び回転軸57Aを回転させる。第2駆動モータ102が正回転したとき、主搬送ローラ対55、排紙ローラ対56及びスイッチバックローラ対57は、搬送向き38に用紙5を搬送するように正回転する。第2駆動モータ102が逆回転したとき、主搬送ローラ対55、排紙ローラ対56及びスイッチバックローラ対57は、搬送向き38とは反対側に用紙5を搬送するように逆回転する。第2駆動モータ102は、請求項に記載の第2駆動モータ102に相当する。
【0050】
[第3駆動モータ103]
第3駆動モータ103の駆動力は、不図示の第2ベルト伝達機構によりキャリッジ23に伝達され、キャリッジ23を左右方向9に移動させる。第2ベルト伝達機構は、キャリッジ23が固着された無端環状のベルトを備え、このベルトが第3駆動モータ103により回転されることでキャリッジ23は左向き又は右向きに移動する。第3駆動モータ103の正回転によりキャリッジ23が左向きに移動し、逆回転によりキャリッジ23が右向きに移動するものとして以下説明がされる。
【0051】
[第1駆動モータ101]
図8に示すように、第1駆動モータ101の駆動力は、以下に説明される駆動伝達切換機構40により、第1給送ローラ31、第2給送ローラ対32、中間ローラ対54、反送ローラ対58及びキャップ61に伝達される。第1駆動モータ101は請求項に記載の第1駆動モータ101に相当する。
【0052】
[駆動伝達切換機構40]
図4に示された駆動伝達切換機構40は、ギア切換機構41と、ギア切換機構41により切り換えられた駆動力を伝達する不図示の第1駆動伝達部と、第2駆動伝達部と、第3駆動伝達部と、を備え、プラテン22の右側方に配置されている。第1駆動伝達部は、ギア切換機構41により切り換えられた駆動力を第1給送ローラ31又は中間ローラ対54に伝達する。第2駆動伝達部は、ギア切換機構41により切り換えられた駆動力を第2給送ローラ31又は中間ローラ対54に伝達する。第3駆動伝達部は、ギア切換機構41により切り換えられた駆動力をキャップ61に伝達する。中間ローラ対54に伝達された第1駆動モータ101の駆動力は不図示の第3ベルト伝達機構により反送ローラ対58に伝達される。駆動伝達切換機構40は請求項に記載の駆動伝達切換機構に相当する。
【0053】
[ギア切換機構41]
ギア切換機構41は、第1駆動モータ101により回転駆動される駆動ギア44と、切換ギア45と、この切換ギア45とそれぞれ噛合可能な歯を有する第1受けギア46A,第2受けギア46B,第3受けギア46Cと、切換ギア45の位置決めを行う位置決め機構150(図4参照)と、を備えている。
【0054】
[駆動ギア44、切換ギア45]
駆動ギア44は、第1駆動モータ101の駆動が出力されるシャフトに連結され、第1駆動モータ101により回転駆動される。駆動ギア44の回転軸の延出方向と略平行に支軸150が配置され、この支軸47に切換ギア45が回転可能に通される。切換ギア45は、支軸47を回転中心として回転可能であって、且つ、支軸47の軸方向に移動可能である。切換ギア45は、駆動ギア44の左右方向9の幅寸法よりも小さい幅寸法で形成され、駆動ギア44の上記幅寸法の範囲内で左右方向9に移動することで図4に示す第1姿勢、図5(A)に示す第3姿勢、図5(B)に示す第2姿勢に姿勢変化する。切換ギア45は、いずれの姿勢においても駆動ギア44に噛合する。切換ギア45が駆動ギア44の左端部と噛合する姿勢を第1姿勢とし、切換ギア45が駆動ギア44の右端部と噛合する姿勢を第2姿勢とする。また、切換ギア45が駆動ギア44の左端側と噛合する姿勢であって、切換ギア45が第1姿勢と第2姿勢との間に位置する姿勢を第3姿勢とする。駆動ギア44は請求項に記載の第1ギアに相当し、切換ギア45は請求項に記載の第2ギアに相当する。また、切換ギア45の第1姿勢は請求項に記載の第1姿勢に相当し、第2姿勢は請求項に記載の第2姿勢に相当し、第3姿勢は請求項に記載の第3姿勢に相当する。
【0055】
[位置決め機構150]
位置決め機構150は、切換ギア45の位置決めを行う。位置決め機構150は、左右方向9に移動可能な入力レバー138と、当接部材139と、保持部91とを備えている。
【0056】
入力レバー138及び当接部材139は、支軸47にそれぞれスライド移動可能に設けられている。図6に示されたように、入力レバー138は、支軸47に外嵌される円筒軸140と、円筒軸140から径方向に突設されたレバー141とを有する。円筒軸140は、支軸47に外嵌されて軸線方向にスライド自在且つ回転自在である。レバー141の基端付近には、リブ142が円筒軸140の軸線方向に延設されている。
【0057】
当接部材139は、入力レバー138の円筒軸140に外嵌される円筒軸143と、円筒軸143から径方向にY字状に突設されたスライドガイド144とを有する。円筒軸143は、入力レバー138の円筒軸140に外嵌されて軸線方向にスライド自在且つ回転自在である。円筒軸143の入力レバー138側の端部には、端面から軸線周りを螺旋状に進むガイド面145が、円筒軸143の一部が切り欠かれることによって形成されている。ガイド面145は、Y字状のスライドガイド144に対応する範囲に形成されている。スライドガイド144は、保持部91を跨ぐY字形状である。スライドガイド144が保持部91に当接することで、当接部材139が入力レバー138の円筒軸140周りに回転することが規制される。これにより、当接部材139は、入力レバー138の円筒軸140に対して所定の回転姿勢を維持して軸線方向にスライドされる。
【0058】
前述された回転姿勢において、当接部材139にガイド面145は、入力レバー138のリブ142に当接する。図4には示されていないが、当接部材139は、支軸47の軸線方向に伸縮する付勢バネにより入力レバー138側(矢印147)へ付勢されている。切換ギア45は、支軸47の軸線方向に伸縮する別の付勢バネにより入力レバー138側(矢印148)へ付勢されている。つまり、切換ギア45と当接部材139とは、相反する方向へ付勢する2つの付勢バネにより、入力レバー138を介在させて互いに接近する方向へ付勢されている。これにより、切換ギア45、入力レバー138及び当接部材139は、支軸47において相互に当接されて一体となる。当接部材139を付勢する付勢バネの付勢力(矢印147)は、切換ギア45を付勢する付勢バネの付勢力(矢印148)より大きくなるように設定されている。
【0059】
図4に示されたように、支軸47の上側には、保持部91が設けられている。保持部91は、内側に所定形状のガイド孔151が形成された略平板状の部材である。ガイド孔151には、入力レバー138のレバー141が挿入されて、上側へ突出される。前述したように、当接部材139は、入力レバー138の円筒軸140に対して所定の回転姿勢を維持しており、その回転姿勢において、入力レバー138のリブ142がガイド面145に当接する。これにより、入力レバー138は、付勢バネの付勢力を受けて、ガイド面145に沿って矢印149へ案内される。ガイド孔151に挿入されたレバー141は、外力が付与されなければ、第1受けギア46A側の隅部の位置を維持する。図4に示すように、この隅部が、切換ギヤ45が後述する第1受けギア46Aと噛合する第1姿勢となる第1ガイド位置152である。
【0060】
ガイド孔151の縁部には、第1ガイド位置152から軸137の軸線方向(矢印148)へ、第2ガイド位置153、第4ガイド位置155が順次形成されている。第2ガイド位置153は、第1ガイド位置152から更に矢印149側へ凹欠されることによって形成されている。第2ガイド位置153は、入力レバー138が弾性付勢される矢印147側に対して、レバー141を係止可能である。図5(A)に示されるように、レバー141が第2ガイド位置153に位置する場合に、切換ギヤ45が後述する第2受けギア46Bのみと噛合する第3姿勢となる。
【0061】
第4ガイド位置155は、第1、2ガイド位置152、153の間隔より矢印148側へ大きな間隔が隔てられて、ガイド孔151の支軸47の軸線方向に対して、第1ガイド位置152と対向する縁部に形成されている。第2ガイド位置153から第4ガイド位置155へは矢印149と逆方向に迫り出される傾斜面が形成され、この傾斜面に案内されてレバー141が第2ガイド位置153から第4ガイド位置155へ円滑に移動される。第4ガイド位置155は、入力レバー138が弾性付勢される矢印147側に対してレバー141を係止しない。したがって、レバー141を第4ガイド位置155に停止させるには、キャリッジ23の当接片26により支持される必要がある。図5(B)に示されるように、レバー141が第4ガイド位置155に位置せしめられる際には、矢印147方向の付勢力に抗してレバー141が矢印149と逆方向に回転される。第3受けギア46Cには、傘歯歯車136との間に径方向外側へ突出する規制面が形成されている。切換ギヤ45は、規制面と当接することにより、図5(B)に示されるように、後述する第3受けギア46Cと噛合した位置で矢印148へのスライド移動が制止される。これにより、切換ギヤ45と第3受けギア46Cとの噛合が維持され、入力レバー138及び当接部材139から切換ギヤ45が離脱される。レバー141が第4ガイド位置155に位置する場合に、切換ギア45が第3受けギア46Cのみと噛合する第2姿勢となる。
【0062】
ガイド孔151の第3ガイド位置154と対向する縁部158には、リターンガイド157が形成されている。リターンガイド157は、ガイド孔151の縁部158から鉛直上方へ突出し、ガイド孔151の中央付近まで水平方向に延出され、その延出端が、レバー141の上端より下方となるように、鉛直下方へ垂下された鈎形状である。リターンガイド157は、レバー141が第4ガイド位置155から第1ガイド位置152へ戻る際の経路を案内するためのものであり、ほぼガイド孔151の幅に対応する幅で形成されている。
【0063】
図5(B)に示すように、当接片26の係合部94は、第4ガイド位置155にあるレバー141と係合するものである。レバー141は、第2ガイド位置153から第4ガイド位置155に移動される際に、矢印149と反対方向へ回動され、第4ガイド位置155において当接片26の係合部94に係合される。図5(B)に示される位置に当接片26が停止されると、レバー141は矢印147への付勢力に抗して第4ガイド位置155に停止される。その状態で、レバー141は、付勢バネにより矢印147に付勢され、且つ当接部材139のガイド面145により矢印149に付勢されている。これらの付勢力により、レバー141と係合部94との係合が維持される。キャリッジ23とともに当接片26が矢印159へ移動すると、係合部94に係合されたレバー141は、矢印147への付勢力により、当接片26とともに矢印159へ移動する。その際に、入力レバー138が第3受けギア46Cと噛合する切換ギヤ45に当接し、入力レバー138、切換ギヤ45及び当接部材139が一体となって、矢印159へ更に移動する。レバー41は、リターンガイド157に案内されて縁部158に沿って第1ガイド位置152に対応する位置まで移動し、ガイド孔151の縁部に当接することにより、係合部94から離脱する。係合部94から離脱したレバー141は、当接部材139のガイド面145に付勢されて矢印149側へ回転し、第1ガイド位置152に位置せしめられる。このようにして、キャリッジ23の往復動が制御されることにより、入力レバー138が、第1〜3受けギア46A〜Cの並列配置方向に沿って、第1、2、4ガイド位置152、153、155のいずれかに選択的に移動され、これに対応して切換ギヤ45が第1〜3受けギア46A〜Cのいずれかと選択的に噛合される。
【0064】
[第1受けギア46A,第2受けギア46B,第3受けギア46C]
図4,5に示されたように、第1受けギア46A,第2受けギア46B,第3受けギア46Cは、互いに同径に形成され、回転軸が一直線上に並び且つ回転軸が支軸47の軸方向に沿うように配置されている。また、第1受けギア46Aは、切換ギア45が第1姿勢にあるときだけ切換ギア45に噛合する位置に配置されている。第2受けギア46Bは、切換ギア45が第3姿勢にあるときだけ切換ギア45に噛合する位置に配置されている。第3受けギア46Cは、切換ギア45が第2姿勢にあるときだけ切換ギア45に噛合する位置に配置されている。第1受けギア46Aは請求項に記載の第3ギアに相当し、第2受けギア46Bは請求項に記載の第5ギアに相当し、第3受けギア46Bは請求項に記載の第4ギアに相当する。
【0065】
[第1駆動伝達部、第2駆動伝達部、第3駆動伝達部]
第1駆動伝達部は、第1受けギア46Aの回転を第1給送ローラ31、中間ローラ対54、反送ローラ対58に伝達する。第1駆動伝達部は、第1受けギア46Aの回転に伴って回転される入力ギアと、2つの出力ギアとを備える。入力ギアは、第1受けギア46Aの正回転により一方の出力ギアと噛合し、第1受けギア46Aの逆回転により他方の出力ギアと噛合する。例えば、第1駆動伝達部は、ワンウェイクラッチや遊星ギア機構を有し、入力ギアと2つの出力ギアの間に、それぞれ上記ワンウェイクラッチや遊星ギア機構が設けられた構成を有している。
【0066】
第1駆動伝達部の上記一方の出力ギアは、第1給送ローラ31を回転させる伝達ギア33に直接又はギアを介して接続され、上記他方の出力ギアは、中間ローラ対54の回転軸54Aに直接又はギアを介して接続される。つまり、切換ギア45が第1姿勢にあるときは、第1駆動モータ101の一方の向きの回転により第1給送ローラ31が回転し、他方の向きの回転により中間ローラ対54が回転する。第1駆動モータ101の上記一方の向きの回転を正回転とし、第1駆動モータ101の他方の向きの回転を逆回転とし、以下説明がされる。より詳細には、切換ギア45が第1姿勢にあるときに、第1駆動モータ101が正回転すると、第1給送ローラ31は、用紙5を上トレイ14から送り出すように正回転し、中間ローラ対54は静止する。切換ギア45が第1姿勢にあるときに、第1駆動モータ101が逆回転すると、第1給送ローラ31は静止し、中間ローラ対54は、用紙5を第1搬送向き38に搬送するように正回転する。ここで、反送ローラ対58は、中間ローラ対54が正回転するとき、用紙5を第2搬送向き39に搬送するように正回転し、中間ローラ対54が静止するとき、静止するように構成されている。上記正回転は、請求項に記載の第1駆動モータ101の正回転に相当し、上記逆回転は、請求項に記載の逆回転に相当する。なお、切換ギア45が第1姿勢にあるときに、第1駆動モータ101が正回転すると、中間ローラ対54及び反送ローラ対58が静止するように構成したが、これに限らない。切換ギア45が第1姿勢にあるときに、第1駆動モータ101が正回転すると、中間ローラ対54及び反送ローラ対58は静止もしくは逆回転すればよい。
【0067】
第2駆動伝達部は、第2受けギア46Bの回転を第2給送ローラ32、中間ローラ対54、反送ローラ対58に伝達する。第2駆動伝達部は、第1駆動伝達部と同様の構成を有し、第2受けギア46Bの回転に伴って回転される入力ギアと、2つの出力ギアと、を備えている。また、第2駆動伝達部は、ワンウェイクラッチや遊星ギア機構を有している。第2駆動伝達部の入力ギアは、第1駆動モータ101の正回転により回転された第2受けギア46Bの回転を一方の出力ギアに伝達し、第1駆動モータ101の逆回転により回転された第2受けギア46Bの回転を他方の出力ギアに伝達する。第2駆動伝達部の上記一方の出力ギアは、中間ローラ対54の回転軸54Aに直接又はギアを介して接続され、第2駆動伝達部の上記他方の出力ギアは、第2給送ローラ32を回転させる回転軸36に直接又はギアを介して接続される。つまり、切換ギア45が第3姿勢にあるときは、第1駆動モータ101の正回転により中間ローラ対54が回転し、第1駆動モータ101の逆回転により第2給送ローラ32が回転する。より、詳細には、切換ギア45が第3姿勢にあるときに、第1駆動モータ101が正回転すると、第2給送ローラ32は静止し、中間ローラ対54及び反送ローラ対58は正回転する。切換ギア45が第3姿勢にあるときに、第1駆動モータ101が逆回転すると、第2給送ローラ32は用紙5を下トレイ15から送り出すように正回転し、中間ローラ対54及び反送ローラ対58は静止する。なお、切換ギア45が第3姿勢にあるときに、第1駆動モータ101が正回転すると、中間ローラ対54及び反送ローラ対58が静止するように構成したが、これに限らない。切換ギア45が第3姿勢にあるときに、第1駆動モータ101が逆回転すると、中間ローラ対54及び反送ローラ対58が静止もしくは逆回転すればよい。
【0068】
第3駆動伝達部は、第3受けギア46Cの回転をキャップ61に伝達する。具体的には、第3受けギア46Cは、直接又はギアなどを介して保守機構に駆動力を伝達し、キャップ61を移動させる。つまり、複合機10は、切換ギア45が第2姿勢にある状態において第1駆動モータ101を正回転又は逆回転することで、キャップ61がノズルの吐出口を覆う待機状態と、キャップ61がノズルから外れた印刷可能状態とになる。
【0069】
[検知機構]
検知機構は、図2に示された第1センサ81、第2センサ82及び第3センサ83と、図7に示された第1エンコーダ111、第2エンコーダ112及び第3エンコーダ113と、を備えている。第1センサ81は、主搬送路51において、第1搬送向き38での中間ローラ対54の上流側に配置されている。第2センサ82は、主搬送路51において、第1搬送向き38での主搬送ローラ対55の上流側に配置されている。第3センサ83は、反転搬送路52において、第2搬送向き39での反送ローラ対65の上流側に配置されている。
【0070】
センサ81,82,83の構成は周知であるから詳説はしないが、センサ81,82,83は、例えば、発光ダイオードと、フォトダイオードと、主搬送路51に出没可能に設けられた検出子と、で構成される。センサ81,82,83は、用紙5が通過している間と用紙5が通過していないときとで出力が変化する。用紙5が通過している間のセンサ81,82,83の出力を第1出力とし、用紙5が通過していないときのセンサ81,82,83の出力を第2出力として以下説明がされる。
【0071】
エンコーダ111,112,113の構成は周知であるから詳説はしないが、エンコーダ111,112,113は、例えば、発光ダイオードとフォトダイオードとディスクとを備え、このディスクに光が透過する透光部及び光を遮断する遮光部が設けられた構成を有している。ディスクが回転することで、透光部と遮光部とが交互に発光ダイオードの光路上を通過し、フォトダイオードの出力が変化する。第1エンコーダ111は主搬送ローラ対55に付設されている。第2エンコーダ112は第1駆動モータ101に付設されている。第3エンコーダ113は第3駆動モータ103に付設され、キャリッジ23の移動距離を検出するのに用いられている。
【0072】
制御部100は、第1エンコーダ111の出力変化をカウントする第1カウンタ121と、第2エンコーダ112の出力変化をカウントする第2カウンタ122と、第3エンコーダ113の出力変化をカウントする第3カウンタ123と、記憶部124と、を備えている。第1カウンタ121でのカウントにより、用紙5が主搬送ローラ対55によって搬送される距離が把握される。ここで、排出ローラ対56及びスイッチバックローラ対57は、主搬送ローラ対55と同期して回転されるので、第1カウンタ121でのカウントにより、用紙5が排出ローラ対56及びスイッチバックローラ対57により搬送される距離についても把握される。第2カウンタ122でのカウントにより、用紙5が第1給送ローラ31、第2給送ローラ32、中間ローラ対54、反送ローラ対58によって反送される距離が把握される。
【0073】
記憶部124は、第1〜第6所定値を記憶している。第1所定値は、第1センサ81を通過した用紙5の先端が中間ローラ対54に到達した後、少なくとも所定の距離搬送されるような値として設定されている。第2所定値は、第2センサ82を通過した用紙5の先端が主搬送ローラ対55に到達した後、少なくとも所定の距離搬送されるような値として設定されている。第3所定値は、第3センサ83を通過した用紙5の先端が反送ローラ対58に到達した後、少なくとも所定の距離搬送されるような値として設定されている。第4所定値は、切換ギア45を第3姿勢に姿勢変化させる位置でキャリッジ23を止めるためのものである。第5所定値はキャリッジ23がレール体24の右端から左端まで到達するのに十分な値に設定される。第6所定値はキャップ61が上述の当接位置と離間位置との間で移動するのに十分な値に設定されている。
【0074】
[制御部100の動作]
最初に、上トレイ14に載置された用紙5への両面印刷が指示された場合について説明がされる。電源投入前においては、キャリッジ23はレール体24の右端にあり、切換ギア45は待機姿勢である第2姿勢にあり、キャップ61は当接位置にあってノズルの吐出口を覆っている。電源が投入され、上トレイ14に載置された用紙5への両面印刷が指示されると、制御部100は、図9に示された駆動処理を行う。駆動処理において、制御部100は、第2カウンタ122でのカウントを開始すると共に第1駆動モータ101を回転させ、第2カウンタ122のカウント値が第6所定値よりも大きくなってキャップ61がノズルの吐出口から外れたと判断すると第1駆動モータ101の駆動を停止させる。次に、制御部100は、第3カウンタ123でのカウントを開始すると共に第3駆動モータ103を正回転させてキャリッジ23を左向きに移動させ、切換ギア45を第2姿勢から第1姿勢に姿勢変化させる。次に、制御部100は、第3カウンタ123でのカウント値が第5所定値に達すると、第3駆動モータ103を停止させると共に、第3カウンタ123を初期化する。つまり、電源オフの時にユーザによりキャリッジ23が移動されていても、キャリッジ23を左端に移動させて第3カウンタ123を初期化することにより、キャリッジ23の位置を判断することができる。上述の駆動処理は、請求項に記載の駆動処理に相当する。なお上述の保守機構及び駆動処理は一例であって、他の保守機構及び駆動処理が用いられてもよい。
【0075】
駆動処理後、制御部100は、図10に示された第1給送処理、第1搬送処理及び第1斜行補正処理を行う。なお、上記駆動処理により、切換ギア45は第1姿勢となって第1受けギア46Aと噛み合っている。第1給送処理において、制御部100は、第1駆動モータ101を正回転させて第1給送ローラ31を正回転させ、上トレイ14から用紙5を主搬送路51に送り出す。上述の第1給送処理は、請求項に記載の第1給送処理に相当する。第1給送処理後、第1搬送処理及び第1斜行補正処理において、制御部100は、送り出した用紙5により第1センサ81の出力が第2出力から第1出力に変化したことを検知すると、第2カウンタ122でのカウントを開始する。制御部100は、第2カウンタ122でのカウント値が第1所定値になるまで第1駆動モータ101を正回転させる第1斜行補正処理を行う。これにより、第1給送ローラ31により送り出された用紙5は、静止状態の中間ローラ対54に突き当てられるため、斜行が補正される。制御部100は、第2カウンタ122でのカウント値が第1所定値になると、第1駆動モータ101を逆回転させる第1搬送処理を行う。これにより、中間ローラ対54が正回転して、用紙5は主搬送ローラ対55に向けて搬送される。つまり、用紙5は、第1斜行補正処理により、中間ローラ対54に突き当てられて斜行が矯正された後、第1搬送処理により主搬送ローラ対55に向けて搬送される。第1搬送処理は請求項に記載の第1搬送処理に相当し、第1斜行補正処理は請求項に記載の第1斜行補正処理に相当する。
【0076】
第1搬送処理後、制御部100は、図11に示された第3斜行補正処理を行う。第3斜行補正処理において、制御部100は、搬送される用紙5により第2センサ82の出力が第2出力から第1出力に変化すると、第2カウンタ122でのカウントを開始し、第2カウンタ122でのカウント値が第2所定値になると、第2駆動モータ102を正回転させる。つまり、用紙5は、第3斜行補正処理により、静止状態の主搬送ローラ対55に突き当てられて斜行が補正される。第3斜行補正処理は請求項に記載の第3斜行補正処理に相当する。
【0077】
第3斜行補正処理の後、制御部100は、第2駆動モータ102を間欠駆動すると共に、第1駆動モータ101の停止期間中に圧電素子に給電を行ってノズルにインクを吐出させる。画像記録後、制御部100は、第2駆動モータ102を正回転させ、用紙5の後端が接続位置52Bに到達したタイミングで、第2駆動モータ102を逆回転させ、用紙5を反転搬送路52に進入させる。なお、片面印刷が指示されていた場合は、制御部100は、用紙5の表面への画像記録の終了後、第2駆動モータ102を正回転させて用紙5を排紙トレイ16に排出する。
【0078】
次に、制御部100は、図12に示された第2斜行補正処理を行う。第2斜行補正処理において、制御部100は、搬送される用紙5により第3センサ83の出力が第2出力から第1出力に変化すると、第1カウンタ121でのカウントを開始し、第1カウンタ121のカウント値が第3所定値になると、第1駆動モータ101を逆回転させて反送ローラ対58及び中間ローラ対54を正回転させ、用紙5を主搬送ローラ対55に向けて搬送する。つまり、用紙5は、静止されていた反送ローラ対58に突き当てられ、斜行が矯正される。第2斜行補正処理は請求項に記載の第2斜行補正処理に相当する。
【0079】
第1駆動モータ101を正回転させて用紙5を主搬送ローラ対55に向けて搬送した後、搬送される用紙5により第2センサ82の出力が第2出力から第1出力に変化すると、制御部100は、第3斜行補正処理と同様の処理を行う。用紙5の裏面に画像を記録する際における第3斜行補正処理は、請求項に記載の第4斜行補正処理に相当する。
【0080】
電源が投入され、下トレイ15に載置された用紙5への両面印刷が指示されると、制御部100は、上述の駆動処理を行う。駆動処理後、制御部100は、第3カウンタ123のカウント値が第4所定値になるまで第3駆動モータを逆回転させ、切換ギア45を第1姿勢から第3姿勢に姿勢変化させて第2受けギア46Bを駆動できる状態にする。制御部100は、その後、第2給送処理を行う。第2給送処理において、制御部100は、第1駆動モータ101を逆回転させて、第2給送ローラ32を正回転させる。これにより、下トレイ15から用紙5が主搬送路51に送り出される。第2給送処理後、制御部100は、第2搬送処理及び第1斜行補正処理を行う。第2搬送処理及び第1斜行補正処理において、制御部100は、送り出した用紙5により第1センサ81の出力が第2出力から第1出力に変化したことを検知すると、第2カウンタ122でのカウントを開始する。制御部100は、第2カウンタ122でのカウント値が第1所定値になるまで第1駆動モータ101を逆回転させる第1斜行補正処理を行う。これにより、第2給送ローラ32により送り出された用紙5は、静止状態の中間ローラ対54に突き当てられるため、斜行が補正される。制御部100は、第2カウンタ122でのカウント値が第1所定値になると、第1駆動モータ101を正回転させる第2搬送処理を行う。これにより、中間ローラ対54が正回転して、用紙5は主搬送ローラ対55に向けて搬送される。上述の第2給送処理は請求項に記載の第2給送処理に相当し、上述の第2搬送処理は請求項に記載の第2搬送処理に相当する。
【0081】
下トレイ15に載置された用紙5への印刷を行う場合には、制御部100は、第1駆動モータ101の回転方向を、上トレイ13に載置された用紙5への印刷を行う場合と逆に制御する。具体的には、上トレイ14に載置された用紙5への印刷を行う場合に、制御部100が第1駆動モータ101を正回転させていたら、下トレイ15に載置された用紙5への印刷を行う場合には、制御部100は第1駆動モータ101を逆回転させる。具体的には、上トレイ14に載置された用紙5への印刷を行う場合では、制御部100は第1駆動モータ101を正回転させるが、下トレイ15に載置された用紙5への印刷を行う場合において、制御部100は第1駆動モータ101を逆回転させる。その後、制御部100は、上述の第3斜行補正処理を行った後に、記録ヘッド21を制御して用紙5に画像を記録する。次に、制御部100は、上述の第2斜行補正処理及び第3斜行補正処理を行う。
【0082】
[本実施形態の効果]
上述のように、本実施形態では、駆動伝達切換機構40により、第1給送ローラ31、第2給送ローラ32、中間ローラ対54及びキャップ61の複数の被駆動部を第1駆動モータ101、1つで駆動することができ、駆動モータの個数を減らすことができる。
【0083】
また、中間ローラ対54を湾曲部51Aに設けたことにより、湾曲部51Aの曲率半径を小さくしても、用紙5の搬送精度を落とすことなく用紙5を搬送でき、その結果、コンパクト且つ高精度の画像記録が可能な複合機10が実現される。
【0084】
また、上トレイ14に載置された用紙5への片面印刷又は両面印刷及び下トレイ15に載置された用紙5への片面印刷又は両面印刷において、用紙5を下トレイ15及び上トレイ14から送り出した後は、ギアを切り換えることなく、用紙5を搬送することができるから、ギアの切換ミスによる紙詰まりなどの動作不良の発生を防止することができる。
【0085】
また、上トレイ14から給送を行う場合は、第1駆動モータ101を正回転させ、下トレイ15から給送を行う場合は第1駆動モータ101を逆回転させるから、ギアの切換ミスが発生しても、誤給紙が生じることがない。
【0086】
また、上述のように、上トレイ14又は下トレイ15から送り出された用紙5は、中間ローラ対54、主搬送ローラ対55及び反送ローラ58で止められて斜行が矯正されるから、表面への画像記録の場合も、裏面への画像記録の場合も、それぞれ2回のレジスト補正がされ、その結果、複合機10は、高精度の画像記録を行うことができる。なお、画像記録の速度を上げるため、表面印刷のときは中間ローラ対54で1回のレジスト補正を行う構成を採用することもできるし、裏面印刷のときは反送ローラ対58で1回のレジスト補正を行う構成を採用することもできる。
【0087】
本実施形態では、上トレイ14と下トレイ15との2つのトレイを備えた複合機10が説明されたが、1つのトレイのみを備えた複合機であっても、用紙5の搬送中にギアの切り換えを行うことなく画像記録を行うことができる。
【0088】
また、駆動伝達切換機構が3つの受けギア46A,46B、46Cを備える構成が説明されたが、駆動伝達切換機構40が2つの受けギアのみを備える構成であってもよいし、駆動伝達切換機構40が4つ以上の受けギアを備える構成であってもよい。
【0089】
また、静止するローラ対に突き当てるいわゆる静止レジでレジスト補正を行う構成が説明されたが、搬送向き38,39とは反対向きに回転するローラ対に突き当てるいわゆる逆転レジによりレジスト補正が行われる構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0090】
10・・・複合機(画像記録装置)
40・・・駆動伝達切換機構(駆動伝達切換機構)
44・・・駆動ギア(第1ギア)
45・・・切換ギア(第2ギア)
46A・・第1受けギア(第3ギア)
46B・・第2受けギア(第5ギア)
46C・・第3受けギア(第4ギア)
54・・・中間ローラ対(第1搬送ローラ対)
55・・・主搬送ローラ対(第2搬送ローラ対)
57・・・スイッチバックローラ対(第3搬送ローラ対)
58・・・反送ローラ対(第4搬送ローラ対)
100・・制御部(制御手段)
101・・第1駆動モータ(第1駆動モータ)
102・・第2駆動モータ(第2駆動モータ)
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状の被記録媒体を搬送して画像を記録する画像記録装置に関し、詳しくは、被記録媒体の表裏両面に画像を記録し且つ1つの駆動モータにより複数の被駆動部を駆動する画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、載置部に載置された記録用紙などのシート状の被記録媒体を送り出す給送ローラと、この給送ローラにより送り出された被記録媒体が通過する主搬送路と、主搬送路に沿って搬送された被記録媒体に画像を記録する記録部と、を備えた画像記録装置が提供されている。
【0003】
画像記録装置には、主搬送路における被記録媒体の搬送向きに関して記録部より下流側と上流側とを繋ぎ被記録媒体の表裏を反転させる反転搬送路を備え、被記録媒体の表裏両面に画像を記録できるものがある。
【0004】
また、画像記録装置には、駆動伝達切換機構により1つの駆動モータの駆動力を複数の被駆動部に切り換えて伝達するものがある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された画像記録装置は、載置部に載置された被記録媒体を送り出す給送ローラと、被記録媒体が反転搬送路に沿って搬送されるように動作する動作部と、駆動モータの駆動力を給送ローラと動作部とを含む複数の被駆動部に切り換えて伝達する駆動伝達切換機構と、を備えている。
【0005】
上記駆動伝達切換機構は、切換ギアと複数の伝達ギアとを備える。切換ギアは、駆動モータにより回転され、複数の伝達ギアのいずれかに噛合するように移動可能なギアである。複数の伝達ギアのうちの1つの伝達ギアの回転は給送ローラに伝達される。上記1つの伝達ギアとは異なる別の伝達ギアの回転は動作部に伝達される。特許文献1に記載された画像記録装置において、被記録媒体の表裏両面に画像を記録する場合には、給送ローラにより被記録媒体が主搬送路に送り出された後に、切換ギアを移動させてギアの連結状態を切り換えるギア切換を行い、被記録媒体が反転搬送路に沿って搬送されるように動作部を動作させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−34847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の画像記録装置においては、被記録媒体の表裏両面に画像を記録する場合には、被記録媒体が給送ローラによって主搬送路に送り出された後であって、被記録媒体が動作部に到達するよりも前に、ギア切換を行う必要がある。しかしながら、ギア切換が行われない恐れがある。ギア切換が行われないと、紙詰まりなどが生じてしまう。
【0008】
ギア切換の状態を検出するセンサを設けることで上記問題を解決することが考えられる。しかしながら、センサを設けると、画像記録装置の部品点数が増加し、コストがアップしてしまう。
【0009】
本発明は、上記問題に鑑み、反転搬送路と駆動伝達切換機構とを備えた画像記録装置において、被記録媒体の表裏両面に画像を記録する場合にギア切換をなくすことでギア切換不良に起因する紙詰まりの発生を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1) 本発明の画像記録装置は、被記録媒体に画像を記録する記録部と、第1載置部に載置されたシート状の被記録媒体を送り出す第1給送ローラと、上記第1給送ローラにより送り出された被記録媒体が上記記録部に向けて搬送方向第1向きへ搬送される経路である第1搬送路と、上記第1搬送路の上記搬送方向第1向きにおける上記記録部より下流側と上記記録部より上流側とを繋ぎ、上記記録部により記録された被記録媒体が上記記録部に向けて搬送方向第2向きへ搬送される経路である第2搬送路と、被記録媒体が上記第2搬送路に沿って上記搬送方向第2向きに向かうように動作する動作部と、被記録媒体を搬送させるものとは異なる被駆動部と、正逆いずれの向きにも回転可能な第1駆動モータと、上記第1駆動モータの駆動力を、上記第1給送ローラ及び上記動作部を含む複数の被駆動部に切り換えて伝達する駆動伝達切換機構と、上記第1駆動モータの駆動を制御する制御手段と、を備える。
【0011】
上記駆動伝達切換機構は、上記第1駆動モータにより回転される第1ギアと、上記第1ギアの回転軸方向に沿って移動することで第1姿勢及び第2姿勢に姿勢変化し、上記第1姿勢及び上記第2姿勢において上記第1ギアに噛合する第2ギアと、上記第1姿勢にある上記第2ギアと噛合し且つ上記第2姿勢にある上記第2ギアと噛合しない第3ギアであって、上記第1駆動モータが正回転するときに被記録媒体が上記第1搬送路に送り出されるように上記第1給送ローラを正回転させ、上記第1駆動モータが逆回転するときに上記第1給送ローラを静止させ且つ被記録媒体が上記第2搬送路に沿って上記搬送方向第2向きに向かうように上記動作部を動作させるための第3ギアと、上記第2姿勢にある上記第2ギアと噛合する第4ギアであって、上記第1駆動モータの駆動力を上記被駆動部に伝達するための第4ギアと、を備える。
【0012】
上記制御手段は、上記第2ギアが上記第2姿勢にある状態において、上記第1駆動モータを回転させる駆動処理と、上記第2ギアが上記第1姿勢にある状態において、上記第1駆動モータを正回転させる第1給送処理と、上記第1駆動モータを逆回転させる第1搬送処理と、を実行する。
【0013】
本発明では、上記第2ギアが上記第1姿勢にある状態において、上記第1駆動モータの正回転と逆回転とにより第1給送処理と第1搬送処理とを行うから、ギア切換を行うことなく被記録媒体を搬送できる。その結果、被記録媒体の表裏両面に画像を記録することができ、且つ、駆動モータの個数を減らした画像記録装置において、被記録媒体の搬送中におけるギア切換を無くして、ギア切換不良に起因する紙詰まりの発生を防止することができる。
【0014】
(2) 本発明の画像記録装置は、上記第1搬送路において上記記録部よりも上記搬送方向第1向き上流側に設けられた湾曲部に配置され、被記録媒体を搬送する第1搬送ローラ対を更に備え、上記第2搬送路は、上記第1載置部と上記記録部との間を通り、上記第1搬送ローラ対よりも上記搬送方向第1向き上流側で上記第1搬送路に合流する。
【0015】
上記駆動伝達切換機構において、上記第3ギアは、上記第1駆動モータが逆回転するときに被記録媒体が上記搬送方向第1向きに搬送されるように上記第1搬送ローラ対を正回転させ、上記第1駆動モータが正回転するときに上記第1搬送ローラ対を静止または逆回転させるためのものである。
【0016】
上記第1搬送ローラ対は上記第1駆動モータにより回転されるから、駆動モータの個数を増やすことがない。さらに、上記湾曲部に上記第1搬送ローラ対が配置されるため、湾曲部において被記録媒体に付与できる搬送力を大きくすることができ、被記録媒体を確実に搬送することができる。
【0017】
(3) 本発明の画像記録装置は、上記第1搬送路において上記第1搬送ローラ対よりも上記搬送方向第1向き下流側且つ上記記録部よりも上記搬送方向1向き上流側に設けられ、被記録媒体を搬送する第2搬送ローラ対と、上記第2搬送ローラ対を回転させるための第2駆動モータと、を更に備える。
【0018】
上記制御手段は、上記第2駆動モータの駆動を更に制御し、上記第2ギアが上記第1姿勢にある状態において、上記第1搬送路に送り出された被記録媒体を上記第1搬送ローラ対に当接させて斜行補正動作を行うように上記第1駆動モータの回転を制御する第1斜行補正処理と、上記第2搬送路を経由して搬送された被記録媒体を上記第2搬送ローラ対に当接させて斜行補正動作を行うように上記第1駆動モータ及び上記第2駆動モータの回転を制御する第2斜行補正処理と、を実行する。
【0019】
本発明の画像記録装置では、上記第1搬送路に送り出された被記録媒体には、上記第1搬送ローラ対による斜行補正動作が行われる。上記第2搬送路を通過した被記録媒体には、上記第2搬送ローラ対による斜行補正動作が行われる。そのため、被記録媒体の表面に画像が記録される場合も、裏面に画像が記録される場合も被記録媒体の斜行を確実に抑制することができ、画像記録の精度を高めることができる。
【0020】
(4) 上記制御手段は、上記第2ギアが上記第1姿勢にある状態において、上記第1搬送路を搬送される被記録媒体を上記第2搬送ローラ対に当接させて斜行補正動作を行うように上記第1駆動モータ及び上記第2駆動モータの回転を制御する第3斜行補正処理を実行することが望ましい。被記録媒体の表面に画像が記録される際において、被記録媒体には、上記第1搬送ローラ対と上記第2搬送ローラ対との2つの搬送ローラ対による斜行補正動作が行われる。そのため、より確実に被記録媒体の斜行が抑制され、画像記録の精度を更に高めることができるからである。
【0021】
(5) 本発明の画像記録装置は、被記録媒体を上記第2搬送路に向けて上記搬送方向第2向きに搬送する第3搬送ローラ対を更に備え、上記第2駆動モータは、上記第3搬送ローラ対を回転駆動させるためのものであり、上記動作部は、上記第2搬送路において被記録媒体を搬送する第4搬送ローラ対である。上記駆動伝達切換機構において、上記第3ギアは、上記第1駆動モータが逆回転するときに被記録媒体が上記搬送方向第2向きに搬送されるように上記第4搬送ローラ対を正回転させ、上記第1駆動モータが正回転するときに上記第4搬送ローラ対を静止又は逆回転させるためのものである。
【0022】
上記制御手段は、上記第2ギアが上記第1姿勢にある状態において、上記第2搬送路を搬送される被記録媒体を上記第4搬送ローラ対に当接させて斜行補正動作を行うように上記第1駆動モータ及び上記第2駆動モータの回転を制御する第4斜行補正処理を実行しても良い。
【0023】
被記録媒体の裏面に画像が記録される際において、被記録媒体には、上記第2搬送ローラ対と上記第4搬送ローラ対との2つの搬送ローラ対による斜行補正動作が行われる。そのため、より確実に被記録媒体の斜行が抑制され、画像記録の精度を更に高めることができるからである。
【0024】
(6) 本発明の画像記録装置は、第2載置部に載置されたシート状の被記録媒体を上記第1搬送路に送り出す第2給送ローラを更に備える。上記第2ギアは上記第1ギアの回転軸方向に沿って移動することで第3姿勢に更に姿勢変化し、上記第3姿勢において上記第1ギアに噛合する。上記駆動伝達切換機構は、上記第3姿勢にある上記第2ギアと噛合し且つ上記第1姿勢にある上記第2ギアと噛合しない第5ギアであって、上記第1駆動モータが逆回転するときに被記録媒体が上記第1搬送路に送り出されるように上記第2給送ローラを正回転させ、上記第1駆動モータが正回転するときに上記第2給送ローラを静止させるための第5ギアを更に備える。上記制御手段は、上記第2ギアが上記第3姿勢にある状態において、上記第1駆動モータを逆回転させる第2給送処理と、上記第1駆動モータを正回転させる第2搬送処理と、を実行する。
【0025】
上記第1駆動モータの正回転により上記第1給送ローラは駆動され、上記第1駆動モータの逆回転により上記第2給送ローラは駆動される。上記第2ギアの切換不良が発生したとしても、上記第1給送ローラと上記第2給送ローラとのうち、駆動したい方の給送ローラとは異なる方の給送ローラが誤って駆動されることがない。本発明の画像記録装置は、被記録媒体の誤給紙を確実に防止することができる。
【0026】
(7) 上記駆動伝達切換機構において、上記第5ギアは、上記第1駆動モータが正回転するときに被記録媒体が上記搬送方向第2向きに搬送されるように上記第4搬送ローラ対を正回転させ、上記第1駆動モータが逆回転するときに上記第4搬送ローラ対を静止又は逆回転させるためのものである。本発明では、上記第2載置部に載置された被記録媒体の両面に画像を記録する場合についても、ギア切換を行うことなく被記録媒体の表裏両面に画像を記録できる画像記録装置が実現できる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、反転搬送路と駆動伝達切換機構とを備えた画像記録装置において、被記録媒体の表裏両面に画像を記録するに当たって、被記録媒体の搬送中にギア切換が行われることがなく、その結果、ギア切換不良に起因する紙詰まりの発生を防止することができる画像記録装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】複合機の斜視図である。
【図2】プリンタ部の模式的な断面図である。
【図3】駆動伝達切換機構の斜視図である。
【図4】第1姿勢におけるギア切換機構の斜視図である。
【図5】ギア切換機構の斜視図であり、(A)は第2姿勢の状態を示す図で、(B)は第3姿勢の状態を示す図である。
【図6】入力レバー及び当接部材の構成を示す分解斜視図である。
【図7】複合機の電気的構成を示すブロック図である。
【図8】第1駆動モータからの駆動伝達を示すブロック図である。
【図9】駆動処理のフローチャートである。
【図10】第1給送処理、第1搬送処理及び第1斜行補正処理のフローチャートである。
【図11】第3斜行補正処理のフローチャートである。
【図12】第2斜行補正処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下では、本発明の画像記録装置として、両面印刷・スキャン・コピー・ファックス機能などを有する図1の複合機10が説明される。複合機10は、概ね直方体状に形成されており、複合機10の高さ方向が上下方向7と定義され、奥行き方向が前後方向8と定義され、幅方向が左右方向9と定義されて以下説明がされる。
【0030】
[複合機10の概要]
複合機10は、プリンタ筐体11と、このプリンタ筐体11の上方に配置され且つスキャナ部を収容したスキャナ筐体12と、このスキャナ筐体12の上方に配置された原稿カバー13と、を備えている。プリンタ筐体11は、図2に示されたように、普通紙や光沢紙や葉書などである用紙5が載置され、前方に引き出し可能な上トレイ14及び下トレイ15を下部に収容している。また、プリンタ筐体11は、用紙5に画像を記録するプリンタ部17を上部に収容している。上トレイ14には、排紙トレイ16が載せられている。上トレイ14は請求項に記載の第1載置部に相当し、下トレイ15は請求項に記載の第2載置部に相当し、用紙15は請求項に記載の被記録媒体に相当する。
【0031】
スキャナ部や図2のプリンタ部17の制御は制御部100(図7参照)により行われる。制御部100は、例えば、基板に実装されたマイコンなどの種々の電子部品により実現される。制御部100は、図1に示された複数個の入力ボタン18やパソコンなどの外部機器から入力した信号により画像の取り込みや画像の記録を行う。制御部100は、請求項に記載の制御手段に相当する。
【0032】
[プリンタ部17]
プリンタ部17は、図2に示されたように、上トレイ14及び下トレイ15に載置された用紙5を搬送する搬送装置30と、この搬送装置30により搬送される用紙5に画像を記録する記録部20とを備えている。また、プリンタ部17は、図7に示された駆動部104(第1駆動モータ101、第2駆動モータ102、第3駆動モータ103)と、この第1駆動モータ101の駆動力を各部に伝達する駆動伝達切換機構40(図4参照)と、後述の第1センサ81などで構成される検知機構と、記録部20の保守機構(不図示)と、を備えている。
【0033】
[記録部20]
記録部20は、図2に示されたように、上トレイ14の後部の上方に配置された板状のプラテン22と、このプラテン22の上方に対向配置された記録ヘッド21と、この記録ヘッド21を保持するキャリッジ23と、を備えている。記録部20は請求項に記載の記録部に相当する。
【0034】
記録ヘッド21は、不図示の複数のノズルを備えている。各ノズルは、下方に開放する吐出口をそれぞれ備え、例えば、圧電素子により変形されることで吐出口からインク滴を下方のプラテン22に向けてそれぞれ吐出する。圧電素子への電力供給はフレキシブルケーブルを用いて上述の制御部100が行う。
【0035】
キャリッジ23は、プラテン22の上方に配置された前後一対の図4のレール体24に架設されている。このレール体24は、左右方向9に長い板状に形成され、フレーム25に支持されている。駆動伝達切換機構40におけるギア切り換えを行うための当接片26(図4参照)がキャリッジ23の右端部から右向きに突出している。
【0036】
[保守機構]
不図示の保守機構は、記録ヘッド21のノズルの吐出口を覆う当接位置と、上記吐出口から離間する離間位置との間で移動可能なキャップ61(図8参照)と、このキャップ61を当接位置と離間位置との間で移動させる不図示の移動機構とを備えている。移動機構は、後述の駆動伝達切換機構40により第1駆動モータ101から伝達された駆動力をキャップ61に伝達してキャップ61を当接位置及び離間位置に移動させる。キャップ61は、請求項に記載の「被記録媒体を搬送させるものとは異なる被駆動部」に相当する。
【0037】
[搬送装置30]
図2に示された搬送装置30は、上トレイ14に載置された用紙5を送り出す第1給送ローラ31と、下トレイ15に載置された用紙5を送り出す第2給送ローラ32と、第1給送ローラ31及び第2給送ローラ32により送り出された用紙5が搬送される主搬送路51と、用紙5の表裏を反転させて主搬送路51の上流側に戻す反転搬送路52とを備えている。また、搬送装置30は、この反転搬送路52や主搬送路51上に配置され、用紙5を挟んで搬送する中間ローラ対54、主搬送ローラ対55,排紙ローラ対56、スイッチバックローラ対57及び反送ローラ対58と、を備えている。
【0038】
[第1給送ローラ31,第2給送ローラ32]
第1給送ローラ31は、上トレイ14の後部の上方に配置され、後述の第1駆動モータ101により回転駆動される。第1給送ローラ31はアーム34により支持されている。アーム34は、第1給送ローラ31が回転可能に一端部に取り付けられ、他端部が伝達ギア33を回転中心として回動可能に支持されている。また、アーム34は、伝達ギア33の回転を第1給送ローラ31に伝達する複数個の伝達ギア35を備えている。
【0039】
第1給送ローラ31は、アーム34が伝達ギア33を回転中心として回動することで上トレイ14に載置された用紙5に接触する。第1給送ローラ31は、伝達ギア35を介して伝達ギア33の回転が伝達されて正回転し、接触する用紙5を上トレイ14の後壁から上方に送り出す。第2給送ローラ32は、第1給送ローラ31と同様にアーム37により支持されている。第2給送ローラ32は、正回転することで下トレイ15に載置された用紙5を後壁から上方に送り出す。第1給送ローラ31は請求項に記載の第1給送ローラに相当し、第2給送ローラ32は請求項に記載の第2給送ローラに相当する。
【0040】
[主搬送路51]
主搬送路51は、ガイド部材53やプラテン22により形成されており、断面弧状の湾曲部51A及びプラテン22と記録ヘッド21との間を通る断面直線状の直線状部51Bを備えたいわゆるUターンパスである。湾曲部51Aにより、上トレイ14の上方に記録部20を配置することができ、プリンタ部17がコンパクトになる。主搬送路51は請求項に記載の第1搬送路に相当し、湾曲部51Aは請求項に記載の湾曲部に相当する。
【0041】
主搬送路51は、上トレイ14の後壁の上方から、排紙トレイ16の上方までに亘って延在されている。つまり、上トレイ14や下トレイ15から送り出された用紙5は、プラテン22上を前方に向かって搬送され、排紙トレイ16に排出される。主搬送路51における用紙5の搬送向きである第1搬送向き38は、請求項に記載の搬送方向第1向きに相当する。
【0042】
[反転搬送路52]
反転搬送路52は、プラテン22と上トレイ14との間を通り、湾曲部51Aの上流側の接続位置52A及び直線状部51Bの下流側の接続位置52Bで主搬送路51と接続する。反転搬送路52は、不図示のガイド部材により形成されている。反転搬送路52は、請求項に記載の第2搬送路に相当する。また、接続位置52Bから接続位置52Aに向かう向きである第2搬送向き39は、請求項に記載の搬送方向第2向きに相当する。
【0043】
[中間ローラ対54]
中間ローラ対54は、後述の第1駆動モータ101により回転される回転軸54Aに固着された複数個の駆動ローラ54B及びこの駆動ローラ54Bに従動する従動ローラ54Cを備えている。中間ローラ対54は、回転軸54Aの軸方向が左右方向9に沿い、且つ、ニップ位置を湾曲部51Aが通る位置に配置され、上トレイ14又は下トレイ15から送り出された用紙5を挟んで搬送する。中間ローラ対54は、請求項に記載の第1搬送ローラ対に相当する。
【0044】
[主搬送ローラ対55]
主搬送ローラ対55は、後述の第2駆動モータ102により回転される回転軸55Aに固着された複数個の駆動ローラ55B及びこの駆動ローラ55Bに従動する従動ローラ55Cを備えている。主搬送ローラ対55は、回転軸55Aの軸方向が左右方向9に沿い、且つ、プラテン22の後方に配置され、中間ローラ対54により搬送された用紙5を前方に向かって搬送する。主搬送ローラ対55は、請求項に記載の第2搬送ローラ対に相当する。
【0045】
[排紙ローラ対56]
排紙ローラ対56は、第2駆動モータ102により回転される回転軸56Aに固着された複数個の駆動ローラ56B及びこの駆動ローラ56Bに従動する従動ローラ56Cを備えている。排紙ローラ対56は、回転軸56Aの軸方向が左右方向9に沿い且つプラテン22の前方に配置され、主搬送ローラ対55により搬送された用紙5を前方に搬送する。
【0046】
[スイッチバックローラ対57]
スイッチバックローラ対57は、第2駆動モータ102により回転される回転軸57Aに固着された複数個の駆動ローラ57Bと、この駆動ローラ57Bに従動する従動ローラ57Cと、を備えている。スイッチバックローラ対57は、回転軸57Aの軸方向が左右方向9に沿い、且つ、主搬送路51と反転搬送路52との接続位置52Bよりも前方に配置されている。スイッチバックローラ対57は、後述されるように、複合機10に片面印刷が指示されたときは、正回転により用紙5を排紙トレイ16に排出し、複合機10に両面印刷が指示されたときは、逆回転により用紙5の搬送向きを逆転して接続位置52Bから反転搬送路52に進入させる。スイッチバックローラ対57は請求項に記載の第3搬送ローラ対に相当する。
【0047】
[反送ローラ対58]
反送ローラ対58は、第1駆動モータ101により回転される回転軸58Aに固着された複数個の駆動ローラ58B及びこの駆動ローラ58Bに従動する従動ローラ58Cを備えている。反送ローラ対58は、反転搬送路52に設けられ、反転搬送路52に進入した用紙5を接続位置52Aに向かって搬送する。反送ローラ対58は、請求項に記載の第4搬送ローラ対に相当する。
【0048】
[駆動部104]
図7に示すように、駆動部104は、正逆いずれの向きにも回転可能な第1駆動モータ101、第2駆動モータ102及び第3駆動モータ103を備えている。各駆動モータ101,102,103には、例えば、ブラシレスDCモータが用いられる。
【0049】
[第2駆動モータ102]
第2駆動モータ102の駆動力は、主搬送ローラ対55、排紙ローラ対56、スイッチバックローラ対57に伝達される。第2駆動モータ102は、第2駆動モータ102の駆動が出力されるシャフトが回転軸55Aに直接又はギアを介して連結され、回転軸55Aを回転駆動する。第2駆動モータ102の駆動力は、不図示の第1ベルト伝達機構により回転軸56A及び回転軸57Aに伝達される。第1ベルト伝達機構は、例えば歯が内周面に設けられた無端環状のベルトを備える。第1ベルト伝達機構は、第2駆動モータ102により回転軸55Aが回転されると、回転軸55Aと共に回転軸56A及び回転軸57Aを回転させる。第2駆動モータ102が正回転したとき、主搬送ローラ対55、排紙ローラ対56及びスイッチバックローラ対57は、搬送向き38に用紙5を搬送するように正回転する。第2駆動モータ102が逆回転したとき、主搬送ローラ対55、排紙ローラ対56及びスイッチバックローラ対57は、搬送向き38とは反対側に用紙5を搬送するように逆回転する。第2駆動モータ102は、請求項に記載の第2駆動モータ102に相当する。
【0050】
[第3駆動モータ103]
第3駆動モータ103の駆動力は、不図示の第2ベルト伝達機構によりキャリッジ23に伝達され、キャリッジ23を左右方向9に移動させる。第2ベルト伝達機構は、キャリッジ23が固着された無端環状のベルトを備え、このベルトが第3駆動モータ103により回転されることでキャリッジ23は左向き又は右向きに移動する。第3駆動モータ103の正回転によりキャリッジ23が左向きに移動し、逆回転によりキャリッジ23が右向きに移動するものとして以下説明がされる。
【0051】
[第1駆動モータ101]
図8に示すように、第1駆動モータ101の駆動力は、以下に説明される駆動伝達切換機構40により、第1給送ローラ31、第2給送ローラ対32、中間ローラ対54、反送ローラ対58及びキャップ61に伝達される。第1駆動モータ101は請求項に記載の第1駆動モータ101に相当する。
【0052】
[駆動伝達切換機構40]
図4に示された駆動伝達切換機構40は、ギア切換機構41と、ギア切換機構41により切り換えられた駆動力を伝達する不図示の第1駆動伝達部と、第2駆動伝達部と、第3駆動伝達部と、を備え、プラテン22の右側方に配置されている。第1駆動伝達部は、ギア切換機構41により切り換えられた駆動力を第1給送ローラ31又は中間ローラ対54に伝達する。第2駆動伝達部は、ギア切換機構41により切り換えられた駆動力を第2給送ローラ31又は中間ローラ対54に伝達する。第3駆動伝達部は、ギア切換機構41により切り換えられた駆動力をキャップ61に伝達する。中間ローラ対54に伝達された第1駆動モータ101の駆動力は不図示の第3ベルト伝達機構により反送ローラ対58に伝達される。駆動伝達切換機構40は請求項に記載の駆動伝達切換機構に相当する。
【0053】
[ギア切換機構41]
ギア切換機構41は、第1駆動モータ101により回転駆動される駆動ギア44と、切換ギア45と、この切換ギア45とそれぞれ噛合可能な歯を有する第1受けギア46A,第2受けギア46B,第3受けギア46Cと、切換ギア45の位置決めを行う位置決め機構150(図4参照)と、を備えている。
【0054】
[駆動ギア44、切換ギア45]
駆動ギア44は、第1駆動モータ101の駆動が出力されるシャフトに連結され、第1駆動モータ101により回転駆動される。駆動ギア44の回転軸の延出方向と略平行に支軸150が配置され、この支軸47に切換ギア45が回転可能に通される。切換ギア45は、支軸47を回転中心として回転可能であって、且つ、支軸47の軸方向に移動可能である。切換ギア45は、駆動ギア44の左右方向9の幅寸法よりも小さい幅寸法で形成され、駆動ギア44の上記幅寸法の範囲内で左右方向9に移動することで図4に示す第1姿勢、図5(A)に示す第3姿勢、図5(B)に示す第2姿勢に姿勢変化する。切換ギア45は、いずれの姿勢においても駆動ギア44に噛合する。切換ギア45が駆動ギア44の左端部と噛合する姿勢を第1姿勢とし、切換ギア45が駆動ギア44の右端部と噛合する姿勢を第2姿勢とする。また、切換ギア45が駆動ギア44の左端側と噛合する姿勢であって、切換ギア45が第1姿勢と第2姿勢との間に位置する姿勢を第3姿勢とする。駆動ギア44は請求項に記載の第1ギアに相当し、切換ギア45は請求項に記載の第2ギアに相当する。また、切換ギア45の第1姿勢は請求項に記載の第1姿勢に相当し、第2姿勢は請求項に記載の第2姿勢に相当し、第3姿勢は請求項に記載の第3姿勢に相当する。
【0055】
[位置決め機構150]
位置決め機構150は、切換ギア45の位置決めを行う。位置決め機構150は、左右方向9に移動可能な入力レバー138と、当接部材139と、保持部91とを備えている。
【0056】
入力レバー138及び当接部材139は、支軸47にそれぞれスライド移動可能に設けられている。図6に示されたように、入力レバー138は、支軸47に外嵌される円筒軸140と、円筒軸140から径方向に突設されたレバー141とを有する。円筒軸140は、支軸47に外嵌されて軸線方向にスライド自在且つ回転自在である。レバー141の基端付近には、リブ142が円筒軸140の軸線方向に延設されている。
【0057】
当接部材139は、入力レバー138の円筒軸140に外嵌される円筒軸143と、円筒軸143から径方向にY字状に突設されたスライドガイド144とを有する。円筒軸143は、入力レバー138の円筒軸140に外嵌されて軸線方向にスライド自在且つ回転自在である。円筒軸143の入力レバー138側の端部には、端面から軸線周りを螺旋状に進むガイド面145が、円筒軸143の一部が切り欠かれることによって形成されている。ガイド面145は、Y字状のスライドガイド144に対応する範囲に形成されている。スライドガイド144は、保持部91を跨ぐY字形状である。スライドガイド144が保持部91に当接することで、当接部材139が入力レバー138の円筒軸140周りに回転することが規制される。これにより、当接部材139は、入力レバー138の円筒軸140に対して所定の回転姿勢を維持して軸線方向にスライドされる。
【0058】
前述された回転姿勢において、当接部材139にガイド面145は、入力レバー138のリブ142に当接する。図4には示されていないが、当接部材139は、支軸47の軸線方向に伸縮する付勢バネにより入力レバー138側(矢印147)へ付勢されている。切換ギア45は、支軸47の軸線方向に伸縮する別の付勢バネにより入力レバー138側(矢印148)へ付勢されている。つまり、切換ギア45と当接部材139とは、相反する方向へ付勢する2つの付勢バネにより、入力レバー138を介在させて互いに接近する方向へ付勢されている。これにより、切換ギア45、入力レバー138及び当接部材139は、支軸47において相互に当接されて一体となる。当接部材139を付勢する付勢バネの付勢力(矢印147)は、切換ギア45を付勢する付勢バネの付勢力(矢印148)より大きくなるように設定されている。
【0059】
図4に示されたように、支軸47の上側には、保持部91が設けられている。保持部91は、内側に所定形状のガイド孔151が形成された略平板状の部材である。ガイド孔151には、入力レバー138のレバー141が挿入されて、上側へ突出される。前述したように、当接部材139は、入力レバー138の円筒軸140に対して所定の回転姿勢を維持しており、その回転姿勢において、入力レバー138のリブ142がガイド面145に当接する。これにより、入力レバー138は、付勢バネの付勢力を受けて、ガイド面145に沿って矢印149へ案内される。ガイド孔151に挿入されたレバー141は、外力が付与されなければ、第1受けギア46A側の隅部の位置を維持する。図4に示すように、この隅部が、切換ギヤ45が後述する第1受けギア46Aと噛合する第1姿勢となる第1ガイド位置152である。
【0060】
ガイド孔151の縁部には、第1ガイド位置152から軸137の軸線方向(矢印148)へ、第2ガイド位置153、第4ガイド位置155が順次形成されている。第2ガイド位置153は、第1ガイド位置152から更に矢印149側へ凹欠されることによって形成されている。第2ガイド位置153は、入力レバー138が弾性付勢される矢印147側に対して、レバー141を係止可能である。図5(A)に示されるように、レバー141が第2ガイド位置153に位置する場合に、切換ギヤ45が後述する第2受けギア46Bのみと噛合する第3姿勢となる。
【0061】
第4ガイド位置155は、第1、2ガイド位置152、153の間隔より矢印148側へ大きな間隔が隔てられて、ガイド孔151の支軸47の軸線方向に対して、第1ガイド位置152と対向する縁部に形成されている。第2ガイド位置153から第4ガイド位置155へは矢印149と逆方向に迫り出される傾斜面が形成され、この傾斜面に案内されてレバー141が第2ガイド位置153から第4ガイド位置155へ円滑に移動される。第4ガイド位置155は、入力レバー138が弾性付勢される矢印147側に対してレバー141を係止しない。したがって、レバー141を第4ガイド位置155に停止させるには、キャリッジ23の当接片26により支持される必要がある。図5(B)に示されるように、レバー141が第4ガイド位置155に位置せしめられる際には、矢印147方向の付勢力に抗してレバー141が矢印149と逆方向に回転される。第3受けギア46Cには、傘歯歯車136との間に径方向外側へ突出する規制面が形成されている。切換ギヤ45は、規制面と当接することにより、図5(B)に示されるように、後述する第3受けギア46Cと噛合した位置で矢印148へのスライド移動が制止される。これにより、切換ギヤ45と第3受けギア46Cとの噛合が維持され、入力レバー138及び当接部材139から切換ギヤ45が離脱される。レバー141が第4ガイド位置155に位置する場合に、切換ギア45が第3受けギア46Cのみと噛合する第2姿勢となる。
【0062】
ガイド孔151の第3ガイド位置154と対向する縁部158には、リターンガイド157が形成されている。リターンガイド157は、ガイド孔151の縁部158から鉛直上方へ突出し、ガイド孔151の中央付近まで水平方向に延出され、その延出端が、レバー141の上端より下方となるように、鉛直下方へ垂下された鈎形状である。リターンガイド157は、レバー141が第4ガイド位置155から第1ガイド位置152へ戻る際の経路を案内するためのものであり、ほぼガイド孔151の幅に対応する幅で形成されている。
【0063】
図5(B)に示すように、当接片26の係合部94は、第4ガイド位置155にあるレバー141と係合するものである。レバー141は、第2ガイド位置153から第4ガイド位置155に移動される際に、矢印149と反対方向へ回動され、第4ガイド位置155において当接片26の係合部94に係合される。図5(B)に示される位置に当接片26が停止されると、レバー141は矢印147への付勢力に抗して第4ガイド位置155に停止される。その状態で、レバー141は、付勢バネにより矢印147に付勢され、且つ当接部材139のガイド面145により矢印149に付勢されている。これらの付勢力により、レバー141と係合部94との係合が維持される。キャリッジ23とともに当接片26が矢印159へ移動すると、係合部94に係合されたレバー141は、矢印147への付勢力により、当接片26とともに矢印159へ移動する。その際に、入力レバー138が第3受けギア46Cと噛合する切換ギヤ45に当接し、入力レバー138、切換ギヤ45及び当接部材139が一体となって、矢印159へ更に移動する。レバー41は、リターンガイド157に案内されて縁部158に沿って第1ガイド位置152に対応する位置まで移動し、ガイド孔151の縁部に当接することにより、係合部94から離脱する。係合部94から離脱したレバー141は、当接部材139のガイド面145に付勢されて矢印149側へ回転し、第1ガイド位置152に位置せしめられる。このようにして、キャリッジ23の往復動が制御されることにより、入力レバー138が、第1〜3受けギア46A〜Cの並列配置方向に沿って、第1、2、4ガイド位置152、153、155のいずれかに選択的に移動され、これに対応して切換ギヤ45が第1〜3受けギア46A〜Cのいずれかと選択的に噛合される。
【0064】
[第1受けギア46A,第2受けギア46B,第3受けギア46C]
図4,5に示されたように、第1受けギア46A,第2受けギア46B,第3受けギア46Cは、互いに同径に形成され、回転軸が一直線上に並び且つ回転軸が支軸47の軸方向に沿うように配置されている。また、第1受けギア46Aは、切換ギア45が第1姿勢にあるときだけ切換ギア45に噛合する位置に配置されている。第2受けギア46Bは、切換ギア45が第3姿勢にあるときだけ切換ギア45に噛合する位置に配置されている。第3受けギア46Cは、切換ギア45が第2姿勢にあるときだけ切換ギア45に噛合する位置に配置されている。第1受けギア46Aは請求項に記載の第3ギアに相当し、第2受けギア46Bは請求項に記載の第5ギアに相当し、第3受けギア46Bは請求項に記載の第4ギアに相当する。
【0065】
[第1駆動伝達部、第2駆動伝達部、第3駆動伝達部]
第1駆動伝達部は、第1受けギア46Aの回転を第1給送ローラ31、中間ローラ対54、反送ローラ対58に伝達する。第1駆動伝達部は、第1受けギア46Aの回転に伴って回転される入力ギアと、2つの出力ギアとを備える。入力ギアは、第1受けギア46Aの正回転により一方の出力ギアと噛合し、第1受けギア46Aの逆回転により他方の出力ギアと噛合する。例えば、第1駆動伝達部は、ワンウェイクラッチや遊星ギア機構を有し、入力ギアと2つの出力ギアの間に、それぞれ上記ワンウェイクラッチや遊星ギア機構が設けられた構成を有している。
【0066】
第1駆動伝達部の上記一方の出力ギアは、第1給送ローラ31を回転させる伝達ギア33に直接又はギアを介して接続され、上記他方の出力ギアは、中間ローラ対54の回転軸54Aに直接又はギアを介して接続される。つまり、切換ギア45が第1姿勢にあるときは、第1駆動モータ101の一方の向きの回転により第1給送ローラ31が回転し、他方の向きの回転により中間ローラ対54が回転する。第1駆動モータ101の上記一方の向きの回転を正回転とし、第1駆動モータ101の他方の向きの回転を逆回転とし、以下説明がされる。より詳細には、切換ギア45が第1姿勢にあるときに、第1駆動モータ101が正回転すると、第1給送ローラ31は、用紙5を上トレイ14から送り出すように正回転し、中間ローラ対54は静止する。切換ギア45が第1姿勢にあるときに、第1駆動モータ101が逆回転すると、第1給送ローラ31は静止し、中間ローラ対54は、用紙5を第1搬送向き38に搬送するように正回転する。ここで、反送ローラ対58は、中間ローラ対54が正回転するとき、用紙5を第2搬送向き39に搬送するように正回転し、中間ローラ対54が静止するとき、静止するように構成されている。上記正回転は、請求項に記載の第1駆動モータ101の正回転に相当し、上記逆回転は、請求項に記載の逆回転に相当する。なお、切換ギア45が第1姿勢にあるときに、第1駆動モータ101が正回転すると、中間ローラ対54及び反送ローラ対58が静止するように構成したが、これに限らない。切換ギア45が第1姿勢にあるときに、第1駆動モータ101が正回転すると、中間ローラ対54及び反送ローラ対58は静止もしくは逆回転すればよい。
【0067】
第2駆動伝達部は、第2受けギア46Bの回転を第2給送ローラ32、中間ローラ対54、反送ローラ対58に伝達する。第2駆動伝達部は、第1駆動伝達部と同様の構成を有し、第2受けギア46Bの回転に伴って回転される入力ギアと、2つの出力ギアと、を備えている。また、第2駆動伝達部は、ワンウェイクラッチや遊星ギア機構を有している。第2駆動伝達部の入力ギアは、第1駆動モータ101の正回転により回転された第2受けギア46Bの回転を一方の出力ギアに伝達し、第1駆動モータ101の逆回転により回転された第2受けギア46Bの回転を他方の出力ギアに伝達する。第2駆動伝達部の上記一方の出力ギアは、中間ローラ対54の回転軸54Aに直接又はギアを介して接続され、第2駆動伝達部の上記他方の出力ギアは、第2給送ローラ32を回転させる回転軸36に直接又はギアを介して接続される。つまり、切換ギア45が第3姿勢にあるときは、第1駆動モータ101の正回転により中間ローラ対54が回転し、第1駆動モータ101の逆回転により第2給送ローラ32が回転する。より、詳細には、切換ギア45が第3姿勢にあるときに、第1駆動モータ101が正回転すると、第2給送ローラ32は静止し、中間ローラ対54及び反送ローラ対58は正回転する。切換ギア45が第3姿勢にあるときに、第1駆動モータ101が逆回転すると、第2給送ローラ32は用紙5を下トレイ15から送り出すように正回転し、中間ローラ対54及び反送ローラ対58は静止する。なお、切換ギア45が第3姿勢にあるときに、第1駆動モータ101が正回転すると、中間ローラ対54及び反送ローラ対58が静止するように構成したが、これに限らない。切換ギア45が第3姿勢にあるときに、第1駆動モータ101が逆回転すると、中間ローラ対54及び反送ローラ対58が静止もしくは逆回転すればよい。
【0068】
第3駆動伝達部は、第3受けギア46Cの回転をキャップ61に伝達する。具体的には、第3受けギア46Cは、直接又はギアなどを介して保守機構に駆動力を伝達し、キャップ61を移動させる。つまり、複合機10は、切換ギア45が第2姿勢にある状態において第1駆動モータ101を正回転又は逆回転することで、キャップ61がノズルの吐出口を覆う待機状態と、キャップ61がノズルから外れた印刷可能状態とになる。
【0069】
[検知機構]
検知機構は、図2に示された第1センサ81、第2センサ82及び第3センサ83と、図7に示された第1エンコーダ111、第2エンコーダ112及び第3エンコーダ113と、を備えている。第1センサ81は、主搬送路51において、第1搬送向き38での中間ローラ対54の上流側に配置されている。第2センサ82は、主搬送路51において、第1搬送向き38での主搬送ローラ対55の上流側に配置されている。第3センサ83は、反転搬送路52において、第2搬送向き39での反送ローラ対65の上流側に配置されている。
【0070】
センサ81,82,83の構成は周知であるから詳説はしないが、センサ81,82,83は、例えば、発光ダイオードと、フォトダイオードと、主搬送路51に出没可能に設けられた検出子と、で構成される。センサ81,82,83は、用紙5が通過している間と用紙5が通過していないときとで出力が変化する。用紙5が通過している間のセンサ81,82,83の出力を第1出力とし、用紙5が通過していないときのセンサ81,82,83の出力を第2出力として以下説明がされる。
【0071】
エンコーダ111,112,113の構成は周知であるから詳説はしないが、エンコーダ111,112,113は、例えば、発光ダイオードとフォトダイオードとディスクとを備え、このディスクに光が透過する透光部及び光を遮断する遮光部が設けられた構成を有している。ディスクが回転することで、透光部と遮光部とが交互に発光ダイオードの光路上を通過し、フォトダイオードの出力が変化する。第1エンコーダ111は主搬送ローラ対55に付設されている。第2エンコーダ112は第1駆動モータ101に付設されている。第3エンコーダ113は第3駆動モータ103に付設され、キャリッジ23の移動距離を検出するのに用いられている。
【0072】
制御部100は、第1エンコーダ111の出力変化をカウントする第1カウンタ121と、第2エンコーダ112の出力変化をカウントする第2カウンタ122と、第3エンコーダ113の出力変化をカウントする第3カウンタ123と、記憶部124と、を備えている。第1カウンタ121でのカウントにより、用紙5が主搬送ローラ対55によって搬送される距離が把握される。ここで、排出ローラ対56及びスイッチバックローラ対57は、主搬送ローラ対55と同期して回転されるので、第1カウンタ121でのカウントにより、用紙5が排出ローラ対56及びスイッチバックローラ対57により搬送される距離についても把握される。第2カウンタ122でのカウントにより、用紙5が第1給送ローラ31、第2給送ローラ32、中間ローラ対54、反送ローラ対58によって反送される距離が把握される。
【0073】
記憶部124は、第1〜第6所定値を記憶している。第1所定値は、第1センサ81を通過した用紙5の先端が中間ローラ対54に到達した後、少なくとも所定の距離搬送されるような値として設定されている。第2所定値は、第2センサ82を通過した用紙5の先端が主搬送ローラ対55に到達した後、少なくとも所定の距離搬送されるような値として設定されている。第3所定値は、第3センサ83を通過した用紙5の先端が反送ローラ対58に到達した後、少なくとも所定の距離搬送されるような値として設定されている。第4所定値は、切換ギア45を第3姿勢に姿勢変化させる位置でキャリッジ23を止めるためのものである。第5所定値はキャリッジ23がレール体24の右端から左端まで到達するのに十分な値に設定される。第6所定値はキャップ61が上述の当接位置と離間位置との間で移動するのに十分な値に設定されている。
【0074】
[制御部100の動作]
最初に、上トレイ14に載置された用紙5への両面印刷が指示された場合について説明がされる。電源投入前においては、キャリッジ23はレール体24の右端にあり、切換ギア45は待機姿勢である第2姿勢にあり、キャップ61は当接位置にあってノズルの吐出口を覆っている。電源が投入され、上トレイ14に載置された用紙5への両面印刷が指示されると、制御部100は、図9に示された駆動処理を行う。駆動処理において、制御部100は、第2カウンタ122でのカウントを開始すると共に第1駆動モータ101を回転させ、第2カウンタ122のカウント値が第6所定値よりも大きくなってキャップ61がノズルの吐出口から外れたと判断すると第1駆動モータ101の駆動を停止させる。次に、制御部100は、第3カウンタ123でのカウントを開始すると共に第3駆動モータ103を正回転させてキャリッジ23を左向きに移動させ、切換ギア45を第2姿勢から第1姿勢に姿勢変化させる。次に、制御部100は、第3カウンタ123でのカウント値が第5所定値に達すると、第3駆動モータ103を停止させると共に、第3カウンタ123を初期化する。つまり、電源オフの時にユーザによりキャリッジ23が移動されていても、キャリッジ23を左端に移動させて第3カウンタ123を初期化することにより、キャリッジ23の位置を判断することができる。上述の駆動処理は、請求項に記載の駆動処理に相当する。なお上述の保守機構及び駆動処理は一例であって、他の保守機構及び駆動処理が用いられてもよい。
【0075】
駆動処理後、制御部100は、図10に示された第1給送処理、第1搬送処理及び第1斜行補正処理を行う。なお、上記駆動処理により、切換ギア45は第1姿勢となって第1受けギア46Aと噛み合っている。第1給送処理において、制御部100は、第1駆動モータ101を正回転させて第1給送ローラ31を正回転させ、上トレイ14から用紙5を主搬送路51に送り出す。上述の第1給送処理は、請求項に記載の第1給送処理に相当する。第1給送処理後、第1搬送処理及び第1斜行補正処理において、制御部100は、送り出した用紙5により第1センサ81の出力が第2出力から第1出力に変化したことを検知すると、第2カウンタ122でのカウントを開始する。制御部100は、第2カウンタ122でのカウント値が第1所定値になるまで第1駆動モータ101を正回転させる第1斜行補正処理を行う。これにより、第1給送ローラ31により送り出された用紙5は、静止状態の中間ローラ対54に突き当てられるため、斜行が補正される。制御部100は、第2カウンタ122でのカウント値が第1所定値になると、第1駆動モータ101を逆回転させる第1搬送処理を行う。これにより、中間ローラ対54が正回転して、用紙5は主搬送ローラ対55に向けて搬送される。つまり、用紙5は、第1斜行補正処理により、中間ローラ対54に突き当てられて斜行が矯正された後、第1搬送処理により主搬送ローラ対55に向けて搬送される。第1搬送処理は請求項に記載の第1搬送処理に相当し、第1斜行補正処理は請求項に記載の第1斜行補正処理に相当する。
【0076】
第1搬送処理後、制御部100は、図11に示された第3斜行補正処理を行う。第3斜行補正処理において、制御部100は、搬送される用紙5により第2センサ82の出力が第2出力から第1出力に変化すると、第2カウンタ122でのカウントを開始し、第2カウンタ122でのカウント値が第2所定値になると、第2駆動モータ102を正回転させる。つまり、用紙5は、第3斜行補正処理により、静止状態の主搬送ローラ対55に突き当てられて斜行が補正される。第3斜行補正処理は請求項に記載の第3斜行補正処理に相当する。
【0077】
第3斜行補正処理の後、制御部100は、第2駆動モータ102を間欠駆動すると共に、第1駆動モータ101の停止期間中に圧電素子に給電を行ってノズルにインクを吐出させる。画像記録後、制御部100は、第2駆動モータ102を正回転させ、用紙5の後端が接続位置52Bに到達したタイミングで、第2駆動モータ102を逆回転させ、用紙5を反転搬送路52に進入させる。なお、片面印刷が指示されていた場合は、制御部100は、用紙5の表面への画像記録の終了後、第2駆動モータ102を正回転させて用紙5を排紙トレイ16に排出する。
【0078】
次に、制御部100は、図12に示された第2斜行補正処理を行う。第2斜行補正処理において、制御部100は、搬送される用紙5により第3センサ83の出力が第2出力から第1出力に変化すると、第1カウンタ121でのカウントを開始し、第1カウンタ121のカウント値が第3所定値になると、第1駆動モータ101を逆回転させて反送ローラ対58及び中間ローラ対54を正回転させ、用紙5を主搬送ローラ対55に向けて搬送する。つまり、用紙5は、静止されていた反送ローラ対58に突き当てられ、斜行が矯正される。第2斜行補正処理は請求項に記載の第2斜行補正処理に相当する。
【0079】
第1駆動モータ101を正回転させて用紙5を主搬送ローラ対55に向けて搬送した後、搬送される用紙5により第2センサ82の出力が第2出力から第1出力に変化すると、制御部100は、第3斜行補正処理と同様の処理を行う。用紙5の裏面に画像を記録する際における第3斜行補正処理は、請求項に記載の第4斜行補正処理に相当する。
【0080】
電源が投入され、下トレイ15に載置された用紙5への両面印刷が指示されると、制御部100は、上述の駆動処理を行う。駆動処理後、制御部100は、第3カウンタ123のカウント値が第4所定値になるまで第3駆動モータを逆回転させ、切換ギア45を第1姿勢から第3姿勢に姿勢変化させて第2受けギア46Bを駆動できる状態にする。制御部100は、その後、第2給送処理を行う。第2給送処理において、制御部100は、第1駆動モータ101を逆回転させて、第2給送ローラ32を正回転させる。これにより、下トレイ15から用紙5が主搬送路51に送り出される。第2給送処理後、制御部100は、第2搬送処理及び第1斜行補正処理を行う。第2搬送処理及び第1斜行補正処理において、制御部100は、送り出した用紙5により第1センサ81の出力が第2出力から第1出力に変化したことを検知すると、第2カウンタ122でのカウントを開始する。制御部100は、第2カウンタ122でのカウント値が第1所定値になるまで第1駆動モータ101を逆回転させる第1斜行補正処理を行う。これにより、第2給送ローラ32により送り出された用紙5は、静止状態の中間ローラ対54に突き当てられるため、斜行が補正される。制御部100は、第2カウンタ122でのカウント値が第1所定値になると、第1駆動モータ101を正回転させる第2搬送処理を行う。これにより、中間ローラ対54が正回転して、用紙5は主搬送ローラ対55に向けて搬送される。上述の第2給送処理は請求項に記載の第2給送処理に相当し、上述の第2搬送処理は請求項に記載の第2搬送処理に相当する。
【0081】
下トレイ15に載置された用紙5への印刷を行う場合には、制御部100は、第1駆動モータ101の回転方向を、上トレイ13に載置された用紙5への印刷を行う場合と逆に制御する。具体的には、上トレイ14に載置された用紙5への印刷を行う場合に、制御部100が第1駆動モータ101を正回転させていたら、下トレイ15に載置された用紙5への印刷を行う場合には、制御部100は第1駆動モータ101を逆回転させる。具体的には、上トレイ14に載置された用紙5への印刷を行う場合では、制御部100は第1駆動モータ101を正回転させるが、下トレイ15に載置された用紙5への印刷を行う場合において、制御部100は第1駆動モータ101を逆回転させる。その後、制御部100は、上述の第3斜行補正処理を行った後に、記録ヘッド21を制御して用紙5に画像を記録する。次に、制御部100は、上述の第2斜行補正処理及び第3斜行補正処理を行う。
【0082】
[本実施形態の効果]
上述のように、本実施形態では、駆動伝達切換機構40により、第1給送ローラ31、第2給送ローラ32、中間ローラ対54及びキャップ61の複数の被駆動部を第1駆動モータ101、1つで駆動することができ、駆動モータの個数を減らすことができる。
【0083】
また、中間ローラ対54を湾曲部51Aに設けたことにより、湾曲部51Aの曲率半径を小さくしても、用紙5の搬送精度を落とすことなく用紙5を搬送でき、その結果、コンパクト且つ高精度の画像記録が可能な複合機10が実現される。
【0084】
また、上トレイ14に載置された用紙5への片面印刷又は両面印刷及び下トレイ15に載置された用紙5への片面印刷又は両面印刷において、用紙5を下トレイ15及び上トレイ14から送り出した後は、ギアを切り換えることなく、用紙5を搬送することができるから、ギアの切換ミスによる紙詰まりなどの動作不良の発生を防止することができる。
【0085】
また、上トレイ14から給送を行う場合は、第1駆動モータ101を正回転させ、下トレイ15から給送を行う場合は第1駆動モータ101を逆回転させるから、ギアの切換ミスが発生しても、誤給紙が生じることがない。
【0086】
また、上述のように、上トレイ14又は下トレイ15から送り出された用紙5は、中間ローラ対54、主搬送ローラ対55及び反送ローラ58で止められて斜行が矯正されるから、表面への画像記録の場合も、裏面への画像記録の場合も、それぞれ2回のレジスト補正がされ、その結果、複合機10は、高精度の画像記録を行うことができる。なお、画像記録の速度を上げるため、表面印刷のときは中間ローラ対54で1回のレジスト補正を行う構成を採用することもできるし、裏面印刷のときは反送ローラ対58で1回のレジスト補正を行う構成を採用することもできる。
【0087】
本実施形態では、上トレイ14と下トレイ15との2つのトレイを備えた複合機10が説明されたが、1つのトレイのみを備えた複合機であっても、用紙5の搬送中にギアの切り換えを行うことなく画像記録を行うことができる。
【0088】
また、駆動伝達切換機構が3つの受けギア46A,46B、46Cを備える構成が説明されたが、駆動伝達切換機構40が2つの受けギアのみを備える構成であってもよいし、駆動伝達切換機構40が4つ以上の受けギアを備える構成であってもよい。
【0089】
また、静止するローラ対に突き当てるいわゆる静止レジでレジスト補正を行う構成が説明されたが、搬送向き38,39とは反対向きに回転するローラ対に突き当てるいわゆる逆転レジによりレジスト補正が行われる構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0090】
10・・・複合機(画像記録装置)
40・・・駆動伝達切換機構(駆動伝達切換機構)
44・・・駆動ギア(第1ギア)
45・・・切換ギア(第2ギア)
46A・・第1受けギア(第3ギア)
46B・・第2受けギア(第5ギア)
46C・・第3受けギア(第4ギア)
54・・・中間ローラ対(第1搬送ローラ対)
55・・・主搬送ローラ対(第2搬送ローラ対)
57・・・スイッチバックローラ対(第3搬送ローラ対)
58・・・反送ローラ対(第4搬送ローラ対)
100・・制御部(制御手段)
101・・第1駆動モータ(第1駆動モータ)
102・・第2駆動モータ(第2駆動モータ)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被記録媒体に画像を記録する記録部と、
第1載置部に載置されたシート状の被記録媒体を送り出す第1給送ローラと、
上記第1給送ローラにより送り出された被記録媒体が上記記録部に向けて搬送方向第1向きへ搬送される経路である第1搬送路と、
上記第1搬送路の上記搬送方向第1向きにおける上記記録部より下流側と上記記録部より上流側とを繋ぎ、上記記録部により記録された被記録媒体が上記記録部に向けて搬送方向第2向きへ搬送される経路である第2搬送路と、
被記録媒体が上記第2搬送路に沿って上記搬送方向第2向きに向かうように動作する動作部と、
被記録媒体を搬送させるものとは異なる被駆動部と、
正逆いずれの向きにも回転可能な第1駆動モータと、
上記第1駆動モータの駆動力を、上記第1給送ローラ及び上記動作部を含む複数の被駆動部に切り換えて伝達する駆動伝達切換機構と、
上記第1駆動モータの駆動を制御する制御手段と、を備え、
上記駆動伝達切換機構は、
上記第1駆動モータにより回転される第1ギアと、
上記第1ギアの回転軸方向に沿って移動することで第1姿勢及び第2姿勢に姿勢変化し、上記第1姿勢及び上記第2姿勢において上記第1ギアに噛合する第2ギアと、
上記第1姿勢にある上記第2ギアと噛合し且つ上記第2姿勢にある上記第2ギアと噛合しない第3ギアであって、上記第1駆動モータが正回転するときに被記録媒体が上記第1搬送路に送り出されるように上記第1給送ローラを正回転させ、上記第1駆動モータが逆回転するときに上記第1給送ローラを静止させ且つ被記録媒体が上記第2搬送路に沿って上記搬送方向第2向きに向かうように上記動作部を動作させるための第3ギアと、
上記第2姿勢にある上記第2ギアと噛合する第4ギアであって、上記第1駆動モータの駆動力を上記被駆動部に伝達するための第4ギアと、を備え、
上記制御手段は、
上記第2ギアが上記第2姿勢にある状態において、上記第1駆動モータを回転させる駆動処理と、
上記第2ギアが上記第1姿勢にある状態において、上記第1駆動モータを正回転させる第1給送処理と、上記第1駆動モータを逆回転させる第1搬送処理と、を実行する画像記録装置。
【請求項2】
上記第1搬送路において上記記録部よりも上記搬送方向第1向き上流側に設けられた湾曲部に配置され、被記録媒体を搬送する第1搬送ローラ対を更に備え、
上記第2搬送路は、上記第1載置部と上記記録部との間を通り、上記第1搬送ローラ対よりも上記搬送方向第1向き上流側で上記第1搬送路に合流し、
上記第3ギアは、上記第1駆動モータが逆回転するときに被記録媒体が上記搬送方向第1向きに搬送されるように上記第1搬送ローラ対を正回転させ、上記第1駆動モータが正回転するときに上記第1搬送ローラ対を静止または逆回転させるためのものである請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
上記第1搬送路において上記第1搬送ローラ対よりも上記搬送方向第1向き下流側且つ上記記録部よりも上記搬送方向1向き上流側に設けられ、被記録媒体を搬送する第2搬送ローラ対と、
上記第2搬送ローラ対を回転させるための第2駆動モータと、を更に備え、
上記制御手段は、
上記第2駆動モータの駆動を更に制御し、
上記第2ギアが上記第1姿勢にある状態において、上記第1搬送路に送り出された被記録媒体を上記第1搬送ローラ対に当接させて斜行補正動作を行うように上記第1駆動モータの回転を制御する第1斜行補正処理と、上記第2搬送路を経由して搬送された被記録媒体を上記第2搬送ローラ対に当接させて斜行補正動作を行うように上記第1駆動モータ及び上記第2駆動モータの回転を制御する第2斜行補正処理と、を実行する請求項2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
上記制御手段は、
上記第2ギアが上記第1姿勢にある状態において、上記第1搬送路を搬送される被記録媒体を上記第2搬送ローラ対に当接させて斜行補正動作を行うように上記第1駆動モータ及び上記第2駆動モータの回転を制御する第3斜行補正処理を実行する請求項3に記載の画像記録装置。
【請求項5】
被記録媒体を上記第2搬送路に向けて上記搬送方向第2向きに搬送する第3搬送ローラ対を更に備え、
上記第2駆動モータは、上記第3搬送ローラ対を回転駆動させるためのものであり、
上記動作部は、上記第2搬送路において被記録媒体を搬送する第4搬送ローラ対であり、
上記第3ギアは、上記第1駆動モータが逆回転するときに被記録媒体が上記搬送方向第2向きに搬送されるように上記第4搬送ローラ対を正回転させ、上記第1駆動モータが正回転するときに上記第4搬送ローラ対を静止又は逆回転させるためのものであり、
上記制御手段は、
上記第2ギアが上記第1姿勢にある状態において、上記第2搬送路を搬送される被記録媒体を上記第4搬送ローラ対に当接させて斜行補正動作を行うように上記第1駆動モータ及び上記第2駆動モータの回転を制御する第4斜行補正処理を実行する請求項3又は4に記載の画像記録装置。
【請求項6】
第2載置部に載置されたシート状の被記録媒体を上記第1搬送路に送り出す第2給送ローラを更に備え、
上記第2ギアは上記第1ギアの回転軸方向に沿って移動することで第3姿勢に更に姿勢変化し、上記第3姿勢において上記第1ギアに噛合し、
上記駆動伝達切換機構は、
上記第3姿勢にある上記第2ギアと噛合し且つ上記第1姿勢にある上記第2ギアと噛合しない第5ギアであって、上記第1駆動モータが逆回転するときに被記録媒体が上記第1搬送路に送り出されるように上記第2給送ローラを正回転させ、上記第1駆動モータが正回転するときに上記第2給送ローラを静止させるための第5ギアを更に備え、
上記制御手段は、
上記第2ギアが上記第3姿勢にある状態において、上記第1駆動モータを逆回転させる第2給送処理と、上記第1駆動モータを正回転させる第2搬送処理と、を実行する請求項1から5のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項7】
上記第5ギアは、上記第1駆動モータが正回転するときに被記録媒体が上記搬送方向第2向きに搬送されるように上記第4搬送ローラ対を正回転させ、上記第1駆動モータが逆回転するときに上記第4搬送ローラ対を静止又は逆回転させるためのものである請求項6に記載の画像記録装置。
【請求項1】
被記録媒体に画像を記録する記録部と、
第1載置部に載置されたシート状の被記録媒体を送り出す第1給送ローラと、
上記第1給送ローラにより送り出された被記録媒体が上記記録部に向けて搬送方向第1向きへ搬送される経路である第1搬送路と、
上記第1搬送路の上記搬送方向第1向きにおける上記記録部より下流側と上記記録部より上流側とを繋ぎ、上記記録部により記録された被記録媒体が上記記録部に向けて搬送方向第2向きへ搬送される経路である第2搬送路と、
被記録媒体が上記第2搬送路に沿って上記搬送方向第2向きに向かうように動作する動作部と、
被記録媒体を搬送させるものとは異なる被駆動部と、
正逆いずれの向きにも回転可能な第1駆動モータと、
上記第1駆動モータの駆動力を、上記第1給送ローラ及び上記動作部を含む複数の被駆動部に切り換えて伝達する駆動伝達切換機構と、
上記第1駆動モータの駆動を制御する制御手段と、を備え、
上記駆動伝達切換機構は、
上記第1駆動モータにより回転される第1ギアと、
上記第1ギアの回転軸方向に沿って移動することで第1姿勢及び第2姿勢に姿勢変化し、上記第1姿勢及び上記第2姿勢において上記第1ギアに噛合する第2ギアと、
上記第1姿勢にある上記第2ギアと噛合し且つ上記第2姿勢にある上記第2ギアと噛合しない第3ギアであって、上記第1駆動モータが正回転するときに被記録媒体が上記第1搬送路に送り出されるように上記第1給送ローラを正回転させ、上記第1駆動モータが逆回転するときに上記第1給送ローラを静止させ且つ被記録媒体が上記第2搬送路に沿って上記搬送方向第2向きに向かうように上記動作部を動作させるための第3ギアと、
上記第2姿勢にある上記第2ギアと噛合する第4ギアであって、上記第1駆動モータの駆動力を上記被駆動部に伝達するための第4ギアと、を備え、
上記制御手段は、
上記第2ギアが上記第2姿勢にある状態において、上記第1駆動モータを回転させる駆動処理と、
上記第2ギアが上記第1姿勢にある状態において、上記第1駆動モータを正回転させる第1給送処理と、上記第1駆動モータを逆回転させる第1搬送処理と、を実行する画像記録装置。
【請求項2】
上記第1搬送路において上記記録部よりも上記搬送方向第1向き上流側に設けられた湾曲部に配置され、被記録媒体を搬送する第1搬送ローラ対を更に備え、
上記第2搬送路は、上記第1載置部と上記記録部との間を通り、上記第1搬送ローラ対よりも上記搬送方向第1向き上流側で上記第1搬送路に合流し、
上記第3ギアは、上記第1駆動モータが逆回転するときに被記録媒体が上記搬送方向第1向きに搬送されるように上記第1搬送ローラ対を正回転させ、上記第1駆動モータが正回転するときに上記第1搬送ローラ対を静止または逆回転させるためのものである請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
上記第1搬送路において上記第1搬送ローラ対よりも上記搬送方向第1向き下流側且つ上記記録部よりも上記搬送方向1向き上流側に設けられ、被記録媒体を搬送する第2搬送ローラ対と、
上記第2搬送ローラ対を回転させるための第2駆動モータと、を更に備え、
上記制御手段は、
上記第2駆動モータの駆動を更に制御し、
上記第2ギアが上記第1姿勢にある状態において、上記第1搬送路に送り出された被記録媒体を上記第1搬送ローラ対に当接させて斜行補正動作を行うように上記第1駆動モータの回転を制御する第1斜行補正処理と、上記第2搬送路を経由して搬送された被記録媒体を上記第2搬送ローラ対に当接させて斜行補正動作を行うように上記第1駆動モータ及び上記第2駆動モータの回転を制御する第2斜行補正処理と、を実行する請求項2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
上記制御手段は、
上記第2ギアが上記第1姿勢にある状態において、上記第1搬送路を搬送される被記録媒体を上記第2搬送ローラ対に当接させて斜行補正動作を行うように上記第1駆動モータ及び上記第2駆動モータの回転を制御する第3斜行補正処理を実行する請求項3に記載の画像記録装置。
【請求項5】
被記録媒体を上記第2搬送路に向けて上記搬送方向第2向きに搬送する第3搬送ローラ対を更に備え、
上記第2駆動モータは、上記第3搬送ローラ対を回転駆動させるためのものであり、
上記動作部は、上記第2搬送路において被記録媒体を搬送する第4搬送ローラ対であり、
上記第3ギアは、上記第1駆動モータが逆回転するときに被記録媒体が上記搬送方向第2向きに搬送されるように上記第4搬送ローラ対を正回転させ、上記第1駆動モータが正回転するときに上記第4搬送ローラ対を静止又は逆回転させるためのものであり、
上記制御手段は、
上記第2ギアが上記第1姿勢にある状態において、上記第2搬送路を搬送される被記録媒体を上記第4搬送ローラ対に当接させて斜行補正動作を行うように上記第1駆動モータ及び上記第2駆動モータの回転を制御する第4斜行補正処理を実行する請求項3又は4に記載の画像記録装置。
【請求項6】
第2載置部に載置されたシート状の被記録媒体を上記第1搬送路に送り出す第2給送ローラを更に備え、
上記第2ギアは上記第1ギアの回転軸方向に沿って移動することで第3姿勢に更に姿勢変化し、上記第3姿勢において上記第1ギアに噛合し、
上記駆動伝達切換機構は、
上記第3姿勢にある上記第2ギアと噛合し且つ上記第1姿勢にある上記第2ギアと噛合しない第5ギアであって、上記第1駆動モータが逆回転するときに被記録媒体が上記第1搬送路に送り出されるように上記第2給送ローラを正回転させ、上記第1駆動モータが正回転するときに上記第2給送ローラを静止させるための第5ギアを更に備え、
上記制御手段は、
上記第2ギアが上記第3姿勢にある状態において、上記第1駆動モータを逆回転させる第2給送処理と、上記第1駆動モータを正回転させる第2搬送処理と、を実行する請求項1から5のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項7】
上記第5ギアは、上記第1駆動モータが正回転するときに被記録媒体が上記搬送方向第2向きに搬送されるように上記第4搬送ローラ対を正回転させ、上記第1駆動モータが逆回転するときに上記第4搬送ローラ対を静止又は逆回転させるためのものである請求項6に記載の画像記録装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−878(P2012−878A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−138135(P2010−138135)
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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