説明

画像記録装置

【課題】両面画像記録可能な装置において、プラテンにシートを押しつけることで、シートに記録される画質の悪化を低減できる構造を提供する。
【解決手段】記録用紙16に画像記録する記録部24と対向され、搬送路65を搬送向き80に搬送される記録用紙16を支持するプラテン42と、プラテン42よりも搬送向き80下流側で、上側から記録用紙16に当接する第1拍車52と、搬送路65の下側に設けられ、軸を中心として回動可能であり、搬送路65の第1面56と両面画像記録される記録用紙16が搬送される反転搬送路67の第2面57とを有するフラップ41と、フラップ41との間に記録用紙16を挟持する第2拍車63と、フラップ41を第2拍車63側に付勢するコイルバネ95とを備え、第2拍車63の下端は、第1拍車52の下端よりも上方である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに画像を記録する画像記録装置に関し、特に、シートの両面に画像を記録可能な画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、シートの両面に画像を記録することができる画像記録装置が知られている。このような画像記録装置においては、シートを、シートが載置されているトレイからシートに画像を記録する記録部を経て排出口まで搬送する主搬送路の他に、再供給搬送路が形成されている。再供給搬送路は、記録部によって表面を画像記録されて記録部の下流側に搬送されたシートを、再び主搬送路における記録部の上流側に搬送する搬送路である。再供給搬送路を搬送されたシートは、裏面が記録部と対向した状態で記録部に到達する。これにより、記録部は、シートの裏面に画像を記録することができる。
【0003】
上記のような画像記録装置においては、表面のみに画像記録され裏面に画像記録されていないシートは、再供給搬送路に搬送される必要がある。一方、表裏面の画像記録が完了されたシートは、再供給搬送路ではなく排出口に搬送されて装置から排出される必要がある。つまり、上記のような画像記録装置においては、画像記録後のシートの搬送先を切り換える経路切換部が設けられる必要がある。
【0004】
上記の経路切換部としてのフラップが設けられた画像記録装置が特許文献1に開示されている。特許文献1に開示された画像記録装置では、特許文献1の図2に示されるように、装置内部に搬送路65(上記の主搬送路に対応)と反転搬送路67(上記の再供給搬送路に対応)とが設けられている。搬送路65には分岐口36が形成されており、分岐口36から斜め下方へ反転搬送路67が延びている。特許文献1の図3に示されるように、搬送路65における分岐口36よりも上流側にフラップ49が回動可能に支持されている。フラップ49は、特許文献1の図3、図6、及び図7に示されるように回動する。つまり、図3(A)の状態のフラップ49は、搬送路65に沿って右向きへ搬送されるシートに押されることによって上側に回動される(図3(B)及び図6参照)。その後、シートの後端が分岐口36の上方まで到達すると(図7(C)参照)、フラップ49が下方へ回動する(図7(D)参照)。この状態で第3搬送ローラ45が逆回転されることにより、シートは反転搬送路67へ搬送される。一方、この状態で第3搬送ローラ45が逆回転されないことにより、シートは装置から排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−208853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
画像記録装置においてシートに画像を記録する場合、画像の記録中にシートの前後左右及び高さの位置がずれてしまうとシートに記録される画像の画質が悪化する可能性が高くなる。そのため、シートは、プラテンに押しつけられていることが望ましい。ここで、プラテンは、記録部と対向されて記録部の下方に配置されており、記録部によって画像記録されるシートを支持する板状の部材である。シートがプラテンに押しつけられることにより、画像記録中のシートの前後左右及び高さの位置が安定する。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された画像記録装置のように、フラップが搬送路65の上方に配置されている構成では、フラップがプラテンの下流側においてシートに対して下向きの力を付与する。これにより、当該シートにおいて下向きの力を付与される部分よりも上流側の部分、つまり当該シートにおいてプラテンに支持されている部分は、上方に浮きやすくなってしまう。そのため、シートをプラテンに押しつけるために、フラップ周辺の構造の更なる改良が求められている。
【0008】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、シートの両面に画像を記録可能な装置において、プラテンにシートを押しつけることによって、当該シートに記録される画質の悪化を低減することができる構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1) 本発明の画像記録装置は、シートを第1搬送向きに沿って記録面を上側にして案内する第1搬送路と、上記第1搬送路の下方に設けられており、上記第1搬送路を案内されるシートを支持するプラテンと、上記第1搬送路の上方に上記プラテンと対向して設けられており、上記プラテンに支持されたシートの記録面に画像を記録する記録部と、上記記録部よりも上記第1搬送向きの下流側における上記第1搬送路の上方に配置されており、上記記録部よりも下側且つ上記プラテンよりも上側においてシートと当接可能な当接部材と、上記当接部材よりも上記第1搬送向きの下流側に配置されており、シートを搬送する搬送ローラと、上記プラテンの下方において延びており、シートが案内される搬送路であって、上記第1搬送向きにおける上記当接部材及び上記搬送ローラの間の第1位置、及び上記記録部よりも上記第1搬送向きの上流側の第2位置において上記第1搬送路と接続されている第2搬送路と、上記第1搬送路の下側に設けられており、軸を中心として回動可能であって、回動先端部が上記第1搬送向きにおける上記当接部材及び上記搬送ローラの間に位置しており、上記第1搬送路の下側のガイド面を構成する第1面、及び上記第2搬送路の上側のガイド面を構成する第2面を有するフラップと、上記第1搬送路の上方に配置されており、上記フラップとの間にシートを挟持可能な挟持部材と、上記フラップを上記挟持部材側に付勢する付勢部材と、を備える。上記フラップは、上記挟持部材との間にシートを挟持して上記第1搬送路において当該シートを案内可能な第1姿勢、及び上記回動先端部が上記第1姿勢よりも上側であって上記第1搬送路を塞ぐ第2姿勢に回動可能である。上記挟持部材の下端は、上記当接部材の下端よりも上方である。
【0010】
シートがフラップよりも第1搬送向きの上流側を搬送されているとき、フラップは付勢部材に付勢されて第2姿勢をとる。シートがフラップに到達してフラップに支持されると、フラップはシートの自重によって下側に押されて、第2姿勢から第1姿勢に回動する。これにより、記録部によって表面を画像記録された後にフラップに到達したシートは、フラップと挟持部材とによって挟持されつつ、第1搬送路を第1搬送向きに搬送される。その後、シートの第1搬送向きの先端が、フラップの下流側に位置する搬送ローラによって搬送される状態(例えば、搬送ローラ及び当該搬送ローラと対向配置された従動ローラとによって挟持された状態)となる。以後、シートは搬送ローラによって搬送される。次に、シートの第1搬送向きの後端がフラップを通過すると、フラップは再び付勢部材に付勢されて第1姿勢から第2姿勢に回動される。この状態で、搬送ローラが逆回転されることにより、シートはフラップの第2面にガイドされつつ、反転搬送路へ搬送される。なお、第2姿勢のフラップは第1搬送路を塞いでいるため、シートは、搬送ローラの逆回転によって、第1搬送路を逆送されることはない。反転搬送路を搬送されたシートは、再び第1搬送路を搬送されて記録部に到達する。このとき、シートの裏面が記録部と対向している。よって、記録部は、シートの裏面に画像を記録することが可能である。以上より、本構成では、シートに対する両面画像記録が可能である。
【0011】
上記のフラップの回動先端部は付勢部材によって挟持部材側に付勢されている。第1搬送路を第1搬送向きに沿って案内されるシートは、フラップの第1面に当接される。これにより、フラップは、シートの自重によって下側に押されて、第2姿勢から第1姿勢に姿勢変化する。この状態において、シートは第1面に支持されつつ第1搬送向きに搬送され、挟持部材の位置に到達する。その結果、シートは、挟持部材とフラップとによって挟持された状態となる。当該状態において、シートの挟持部分には、付勢部材によって上向きの力が付与される。
【0012】
また、フラップの回動先端部との間にシートを挟持可能な挟持部材よりも第1搬送向きの上流側には、当接部材が設けられている。当接部材は、上側からシートに当接する。そして、挟持部材の下端は、当接部材の下端よりも上方である。よって、(i)シートは、プラテンよりも第1搬送向きの下流側において、第1搬送向きに対して上向きに傾斜した状態となる。また、(ii)上述したように、シートは、傾斜の最下流位置、つまり挟持部材とフラップとによる挟持位置において付勢部材によって上向きに力を付与されている。以上の(i)及び(ii)により、シートが、プラテンに押しつけられる。
【0013】
(2) 上記搬送ローラのシートとの当接部は、上記挟持部材の下端よりも下方に位置する。
【0014】
第1搬送向きに搬送されるシートの先端が第1面に支持され且つ搬送ローラによって搬送されていない状態において、シートは(1)で述べたような状態となっている。つまり、シートにおけるプラテンの真上部分は、プラテンに押しつけられている。また、シートのプラテンよりも下流側の部分は、第1搬送向きに対して上向きに傾斜している。つまり、シートは、側面視において、プラテンの下流側で湾曲または屈曲した状態となっている。
【0015】
このような状態において、シートが搬送ローラに当接して当該搬送ローラによって搬送される状態(通常は、搬送ローラと当該搬送ローラと対向配置された従動ローラとによって挟持された状態)となると、シートは回転される搬送ローラによって第1搬送向きに引っ張られる。これにより、シートは、側面視において、湾曲または屈曲した状態から真っ直ぐ延びた状態に状態遷移しようとする。その結果、シートは、プラテンから浮いた状態となるおそれがある。
【0016】
そこで、本構成では、搬送ローラのシートとの当接部は、挟持部材の下端よりも下方に位置している。これにより、シートが搬送ローラに当接されたとき、当該シートは、側面視において、挟持部材の下端を頂点とする湾曲状となる。つまり、シートは、挟持部材の下端よりも上流側において、プラテンに近いほど下方となるように傾斜する。その結果、シートを、プラテンに押しつけることができる。
【0017】
(3) 本発明の画像記録装置は、上記第1搬送向きにおける上記プラテン及び上記フラップの上記第1面の間の上記第1搬送路の下方に配置されており、上記第1搬送路の下側のガイド面を構成する第3面を有する第1ガイド部材を更に備える。上記フラップは、上記第1ガイド部材における上記第1搬送向きの下流側に取り付けられている。上記第3面は、上記第1搬送向きの下流側が上流側よりも上方に位置する傾斜面である。
【0018】
本構成によれば、シートは、搬送ローラによって引っ張られない限り、傾斜面である第3面に沿って搬送される。これにより、シートは、プラテンの下流側において傾斜した状態となる。その結果、シートを、プラテンに押しつけることができる。
【0019】
(4) 上記フラップは、上記第1搬送路の幅方向において、少なくとも上記第1搬送路を搬送されるシートが位置する範囲に亘って設けられている。本発明の画像記録装置は、上記フラップの姿勢を検知する検知部と、上記搬送ローラに正転及び逆転の駆動力を付与する駆動源と、上記検知部によって上記フラップが上記第1姿勢から上記第2姿勢に姿勢変化したことを条件として、上記駆動源が上記搬送ローラに付与していた駆動力を、正転または逆転の一方から他方へ切り換える制御部と、を更に備える。
【0020】
フラップが第1面においてシートを支持している場合、フラップはシートの自重により第1姿勢をとる。また、フラップがシートを支持していない場合、フラップは付勢部材に付勢されて第2姿勢をとる。本構成において、フラップは、第1搬送路の幅方向において、第1搬送路を搬送されるシートが位置する範囲に亘って設けられている。これにより、フラップは、例えばシートが斜行していても、シートがフラップを完全に通過するまでは、第1姿勢から第2姿勢に姿勢変化しない。以上より、本構成によれば、シートがフラップを通過したことを正確に検知することができ、シートの第1搬送路から第2搬送路への搬送の切換を早くすることができる。
【0021】
(5) 上記挟持部材は拍車ローラである。本発明の画像記録装置は、上記第1搬送路の上方に設けられており、上記拍車ローラが配置された第2ガイド部材を更に備える。上記第2ガイド部材には、上記第1搬送路側に凹部が形成されている。上記第2姿勢の上記フラップの上記回動先端部は、上記凹部に挿入されている。
【0022】
本構成によれば、第1搬送路を、搬送ローラと当接部材との間において、フラップによって塞ぐことができる。よって、フラップを通過したシートがフラップよりも上流側の第1搬送路に逆送することを防止することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る画像記録装置は、シートの両面に画像記録可能とするために、第2搬送路及びフラップを備えている。また、本発明によれば、プラテンの下流側においてシートが傾斜し、且つ当該傾斜の最下流位置においてシートに上向きに力が付与される。これにより、シートはプラテンに押しつけられる。以上より、シートの両面に画像を記録可能な装置において、プラテンにシートを押しつけることによって、当該シートに記録される画質の悪化を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、複合機10の外観斜視図である。
【図2】図2は、プリンタ部11の内部構造を模式的に示す縦断面図であり、フラップ41が第2姿勢の状態が示されている。
【図3】図3は、プリンタ部11の内部構造を模式的に示す縦断面図であり、フラップ41が第1姿勢の状態が示されている。
【図4】図4は、フラップ41の外観斜視図である。
【図5】図5は、第2姿勢のフラップ41と第2拍車63が取り付けられた上側ガイド部材82とを示す図であり、(A)には正面図が示されており、(B)には(A)のA−A断面図が示されている。
【図6】図6は、第1姿勢のフラップ41と第2拍車63が取り付けられた上側ガイド部材82とを示す図であり、(A)には正面図が示されており、(B)には(A)のB−B断面図が示されている。
【図7】図7は、第2姿勢のフラップ41と第2拍車63が取り付けられていない上側ガイド部材82とを示す図であり、(A)には正面図が示されており、(B)には(A)のC−C断面図が示されている。
【図8】図8は、第1姿勢のフラップ41と第2拍車63が取り付けられていない上側ガイド部材82とを示す図であり、(A)には正面図が示されており、(B)には(A)のD−D断面図が示されている。
【図9】図9は、制御部130の構成を示すブロック図である。
【図10】図10は、プリンタ部11におけるフラップ41周辺の構造を模式的に示す縦断面図であり、(A)には変形例1の場合が示されており、(B)には変形例3の場合が示されている。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、以下の説明では、矢印の起点から終点に向かう進みが向きと表現され、矢印の起点と終点とを結ぶ線上の往来が方向と表現される。また、以下の説明では、複合機10が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向7が定義され、開口13が設けられている側を手前側(正面)として前後方向8が定義され、複合機10を手前側(正面)から見て左右方向9が定義される。
【0026】
[複合機10の全体構成]
図1に示されるように、複合機10は、薄型の直方体に概ね形成されている。複合機10は、ファクシミリ機能及びプリント機能などの各種の機能を有している。プリント機能としては、記録用紙の両面に画像を記録する両面画像記録機能を有している。なお、プリント機能以外の機能の有無は任意である。また、複合機10は、下部に記録用紙16(図2参照、本発明のシートの一例)に画像を記録するプリンタ部11が設けられている。プリンタ部11は、正面に開口13が形成された筐体14を有し、各種サイズの記録用紙16を載置可能な給紙トレイ20(図2参照)が、開口13から前後方向8に挿抜可能である。
【0027】
図2に示されるように、プリンタ部11は、給紙トレイ20から記録用紙16をピックアップして給送する給紙部15と、給紙トレイ20の上方に設けられており、給紙部15によって給紙された記録用紙16にインク滴を吐出して記録用紙16に画像を記録するインクジェット記録方式の記録部24(本発明の記録部の一例)と、フラップ41(本発明のフラップの一例)などを備えている。なお、記録部24はインクジェット方式に限られず、電子写真方式などの種々の記録方式のものが適用可能である。
【0028】
[給紙部15]
図2に示されるように、給紙部15は、給紙トレイ20の上側に設けられている。給紙部15は、給紙ローラ25、給紙アーム26、及び駆動伝達機構(不図示)を備えている。給紙ローラ25は、給紙アーム26の前端部で軸支されている。給紙アーム26は、軸28を中心として、矢印29の方向に回動する。これにより、給紙ローラ25は給紙トレイ20に接離可能である。給紙ローラ25は、給紙アーム26の内部に設けられ且つ複数のギヤが噛合された駆動伝達機構によって、給紙用モータ101(図9参照)の駆動力が伝達されて回転する。給紙ローラ25は、給紙トレイ20上に積載された記録用紙16を1枚ずつ分離して湾曲路65Aへ供給する。
【0029】
[搬送路65]
図2に示されるように、プリンタ部11の内部には、給紙トレイ20の先端(後方側の端部)から記録部24を経て排紙トレイ21に至る搬送路65(本発明の第1搬送路の一例)が形成されている。搬送路65は、湾曲路65Aと直線路65Bとに区分される。
【0030】
湾曲路65Aは、給紙トレイ20に設けられた分離傾斜板22の上端付近から搬送ローラ対70に亘って延設された湾曲状の通路である。湾曲路65Aは、プリンタ部11の内部側を中心とする円弧形状に概ね形成されている。給紙トレイ20から給送される記録用紙は、湾曲路65Aに沿って搬送されて搬送ローラ対70へ案内される。湾曲路65Aは、所定間隔を隔てて互いに対向する外側ガイド部材18と後述するモジュール本体51の後面19とによって区画されている。
【0031】
直線路65Bは、搬送ローラ対70から排紙トレイ21に亘って延設された直線状の通路である。直線路65Bは、記録部24が設けられている箇所においては、所定間隔を隔てて互いに対向する記録部24とプラテン42(本発明のプラテンの一例)とによって形成されている。記録部24は直線路65Bの上側に配置されており、プラテン42は直線路65Bの下側に配置されている。また、直線路65Bは、記録部24が設けられていない箇所においては、所定間隔を隔てて互いに対向する上側ガイド部材82(本発明の第2ガイド部材の一例)とモジュール本体51の上面17とによって区画されている。なお、上面17は、モジュール本体51の上側の面のうち、搬送ローラ対70よりも前側の面である。一方、上述した後面19は、モジュール本体51の後端部の面19Aと、搬送ローラ対70から後側に向かって傾斜した面19Bとで構成される面である。
【0032】
上側ガイド部材82は、直線路65Bの上方に設けられている。また、図5及び図6に示されるように、上側ガイド部材82の下面には、左右方向9に亘って複数の凹部83(本発明の凹部の一例)が形成されている。凹部83は、フラップ41と対向して設けられている。また、後述されるように、フラップ41は回動し、回動したフラップ41の回動先端部81(本発明の回動先端部の一例)は凹部83に挿入される(図5参照)。ここで、回動先端部81は、フラップ41の回動先端及びその近傍である。以上より、上側ガイド部材82は、直線路65Bの上方にフラップ41の回動先端部81と対向して設けられており、直線路65B側に凹部83が形成されている。
【0033】
図2に示されるように、記録用紙16は、直線路65Bを後側から前側へ向かう第1搬送向き80(図2に破線矢印で示される向き、本発明の第1搬送向きの一例)に沿って案内される。直線路65Bを案内されている記録用紙16がプラテン42に下側から支持されているとき、記録用紙16の上面は記録部24と対向している。当該上面には、記録部24によって画像が記録される。つまり、直線路65Bは、記録用紙16を第1搬送向きに沿って記録面を上側にして案内する。
【0034】
[モジュール本体51及びプラテン42]
図2に示されるように、プリンタ部11の内部には、モジュール本体51が配置されている。モジュール本体51は、上下方向7において、記録部24と給紙部15との間に配置されている。モジュール本体51は、左右方向9の両端を、複合機10のフレーム(不図示)によって支持されている。モジュール本体51には、プラテン42、ピンチローラ61、及びフラップ41などが取り付けられている。
【0035】
プラテン42は、モジュール本体51の上面17に上側から取り付けられた概ね薄板形状の部材である。プラテン42は、モジュール本体51の前後方向8における中央部に取り付けられている。以上より、プラテン42は、直線路65Bの下方に設けられている。そして、プラテン42の上面は、直線路65Bの下側のガイド面を形成する。プラテン42の上面には、直線路65Bを案内される記録用紙16が支持される。
【0036】
ピンチローラ61は、プラテン42の後側において、モジュール本体51に取り付けられている。ピンチローラ61については後述される。
【0037】
フラップ41は、プラテン42の前側において、モジュール本体51に取り付けられている。フラップ41については後述される。
【0038】
モジュール本体51の上面17のうち、第1搬送向き80におけるプラテン42とフラップ41(詳細には後述するフラップ41の第1面56)との間の部分は、前側が後側よりも上方に位置する傾斜面53(本発明の第3面の一例)である。傾斜面53は、直線路65Bの下方に設けられており、直線路65Bの下側のガイド面を構成する。以上より、モジュール本体51のうちの傾斜面53が形成されている部分は、本発明の第1ガイド部材の一例である。
【0039】
[記録部24]
図2に示されるように、記録部24は、直線路65Bの上方にプラテン42と対向して設けられている。記録部24は、記録ヘッド38を搭載して左右方向9(図2の紙面に垂直な方向)へ往復移動するキャリッジ40を備えている。記録ヘッド38には、インクカートリッジ(不図示)からインクが供給される。記録ヘッド38は、ノズル39からインクを微小なインク滴として吐出する。キャリッジ40が左右方向9へ往復動することで、記録ヘッド38が記録用紙16に対して走査され、プラテン42に支持されつつ直線路65Bを案内される記録用紙16の記録面、つまり記録用紙16の上面に画像が記録される。
【0040】
[搬送ローラ対70]
図2に示されるように、記録部24よりも第1搬送向き80の上流側には、第1搬送ローラ60及びピンチローラ61よりなる搬送ローラ対70が設けられている。第1搬送ローラ60は、左右方向9の両端を複合機10のフレームに回転可能に軸支されている。ピンチローラ61は、第1搬送ローラ60の下方に配置されており、左右方向9の両端をモジュール本体51に回転可能に支持されている。ピンチローラ61は、図示しないバネなどの弾性部材によって搬送ローラ60に圧接されている。
【0041】
第1搬送ローラ60は、搬送用モータ102(図9参照)から正逆回転方向の駆動力が伝達されて、正転または逆転する。例えば、第1搬送ローラ60は、搬送用モータ102から正転方向の駆動力が伝達された場合、記録用紙16を第1搬送向き80へ搬送する方向へ回転され、搬送用モータ102から逆転方向の駆動力が伝達された場合、記録用紙16を第1搬送向き80と逆向きへ搬送する方向へ回転される。つまり、搬送ローラ対70は、搬送用モータ102から正転方向の駆動力が伝達されることによって、湾曲路65Aを搬送されてきた記録用紙16を狭持してプラテン42上へ搬送する。
【0042】
[第1拍車52]
図2に示されるように、記録部24よりも第1搬送向き80の下流側には、第1拍車52(本発明の当接部材の一例)が設けられている。第1拍車52は、左右方向9の両端を上側ガイド部材82に回転可能に軸支されている。つまり、第1拍車52は、直線路65Bの上方に配置されている。これにより、第1拍車52は、記録用紙16の上面に対して上側より当接される。
【0043】
第1拍車52の下端は、上下方向7において、記録部24とプラテン42との間に配置されている。これにより、第1拍車52は、記録部24よりも下側且つプラテン42よりも上側において記録用紙16の上面と当接される。
【0044】
[排出ローラ対44]
記録部24よりも第1搬送向き80の下流側、詳細には第1拍車52よりも第1搬送向き80の下流側には、第2搬送ローラ45(本発明の搬送ローラの一例)及び拍車46よりなる排出ローラ対44が設けられている。拍車46は、第2搬送ローラ45の上方に配置されており、図示しないバネなどの弾性部材によって第2搬送ローラ45のローラ面に圧接されている。これにより、拍車46は、第2搬送ローラ45の回転に連動して回転する。
【0045】
第2搬送ローラ45は、上記の搬送用モータ102(図9参照、本発明の駆動源の一例)から正逆回転方向の駆動力が伝達されて、正転または逆転する。これにより、第2搬送ローラ45は、記録用紙16を搬送する。例えば、片面記録が行われる場合、第2搬送ローラ45が正転することにより、記録用紙16は排出ローラ対44に挟持されて下流側へ搬送され、排紙トレイ21に排紙される。一方、両面記録が行われる場合は、排出ローラ対44が記録用紙16の第1搬送向き80の後端部を挟持した状態で、第2搬送ローラ45の回転方向が正転から逆転に切り換えられる。これにより、記録用紙16は、排出ローラ対44に挟持されて第1搬送向き80と逆向き(本発明の第2搬送向きに相当)に搬送され、後述するフラップ41にガイドされて、以下で説明する反転搬送路67を搬送される。
【0046】
[反転搬送路67]
図2に示されるように、反転搬送路67(本発明の第2搬送路の一例)は、搬送路65と、第1位置36(本発明の第1位置の一例)及び第2位置37(本発明の第2位置の一例)において接続されている。ここで、第1位置36は、搬送路65の第1搬送向き80における第1拍車52と第2搬送ローラ45との間の位置である。また、第2位置37は、搬送路65における搬送ローラ対70よりも第1搬送向き80の上流側、つまり記録部24よりも第1搬送向き80の上流側の位置である。
【0047】
反転搬送路67は、プラテン42の下側且つ給紙部15の上側において延びている。反転搬送路67は、上側をモジュール本体51の下面によって区画されている。また、反転搬送路67は、下側を第1下側ガイド部材31及び第2下側ガイド部材32によって区画されている。
【0048】
記録用紙16は、排出ローラ対44によって第1搬送向き80と逆向きに搬送されることによって、反転搬送路67を第1位置36から第2位置37への向きに搬送される。
【0049】
[フラップ41]
図2に示されるように、モジュール本体51には、フラップ41が取り付けられている。つまり、フラップ41は、直線路65Bの下側に設けられている。以下に詳述する。
【0050】
図4に示されるように、フラップ41は、本体54及び複数のリブ55で構成されている。本体54は、左右方向9に延びた概ね棒状の部材である。本体54の左右方向9の両端には、外側に向けて突出した突起43が形成されている。一方、モジュール本体51の前端近傍には、孔(不図示)が形成されている。当該孔には、突起43が挿入される。突起43は、第1搬送ローラ60及び第2搬送ローラ45の軸と同方向、つまり左右方向9に延びている。以上より、フラップ41は、突起43を軸として矢印58(図2参照)及び矢印59(図3参照)の向きに回動する。つまり、フラップ41は、モジュール本体51に回動可能に支持されている。なお、フラップ41の回動については、後に更に詳細に説明される。
【0051】
図4に示されるように、複数のリブ55が、本体54に形成されている。詳細には、複数のリブ55は、モジュール本体51に取り付けられた本体54から前側に突出するように、本体54に形成されている。複数のリブ55の各々は、左右方向9に亘って所定の間隔を空けて形成されている。各リブ55の上面は、下側から直線路65Bに面しており、直線路65Bを搬送される記録用紙16を支持する。これにより、各リブ55の上面は、フラップ41の上面である第1面56(図2参照、本発明の第1面の一例)として、直線路65Bの下側のガイド面を構成する。また、各リブ55の下面は、上側から反転搬送路67に面している。これにより、各リブ55の下面は、フラップ41の下面である第2面57(図2参照、本発明の第2面の一例)として、反転搬送路67の上側のガイド面を構成する。
【0052】
本実施形態において、各リブ55の上面は、相互に平行に構成されている。よって、本実施形態において、各リブ55の上面で構成されるフラップ41の第1面56は、平面である。なお、各リブ55の上面は、相互で平行に構成されていなくてもよい。例えば、各リブ55の上面は、相互に異なる高さに位置していてもよい。
【0053】
図2に示されるように、各リブ55の前端部、つまりフラップ41の回動先端部81は、第1搬送向き80における第1拍車52よりも下流側であって、第1搬送向き80における第2搬送ローラ45よりも上流側に配置されている。換言すると、フラップ41の回動先端部81は、第1搬送向き80における第1拍車52及び第2搬送ローラ45の間に配置されている。また、フラップ41の回動先端部81は、後述する第2拍車63と対向する位置に配置されている。
【0054】
また、フラップ41の右端は、搬送路65を搬送される記録用紙16の右端よりも右側であり、フラップ41の左端は、搬送路65を搬送される記録用紙16の左端よりも左側である。つまり、フラップ41は、左右方向9において、少なくとも搬送路65を搬送される記録用紙16が位置する範囲に亘って設けられている。
【0055】
[第2拍車63]
図2に示されるように、第1拍車52と排出ローラ対44との間には、第2拍車63(本発明の挟持部材の一例、且つ本発明の挟持部材の一例である拍車ローラに相当)が設けられている。第2拍車63は、左右方向9の両端を上側ガイド部材82に回転可能に支持されている。つまり、第2拍車63は、直線路65Bの上方に配置されている。
【0056】
第2拍車63は、フラップ41の前端部、つまりフラップ41の回動先端部81と対向して配置されている。後述するように、フラップ41が第1姿勢に姿勢変化された状態(図3に示された状態)のとき、第2拍車63とフラップ41の回動先端部81との間には、記録用紙16が挟持される。
【0057】
また、第2拍車63は、図5及び図6に示されるように、左右方向9において、フラップ41のリブ55間に設けられている。換言すると、第2拍車63は、フラップ41のリブ55とは対向されていない。
【0058】
[フラップ41の回動]
フラップ41は、図3及び図6に示される第1姿勢(本発明の第1姿勢の一例)と、図2及び図5に示される第2姿勢(本発明の第2姿勢の一例)との間で回動する。
【0059】
図3及び図6に示されるように、第1姿勢において、第2拍車63の下端の高さ91(図3に破線で示されている。)は、フラップ41の回動先端部81の高さと略同じ高さである。これにより、フラップ41は、第2拍車63との間に記録用紙16を挟持する。挟持された記録用紙16は、搬送ローラ対70または排出ローラ対44の少なくとも一方によって直線路65Bを搬送される。つまり、フラップ41は、搬送路65において記録用紙16を案内する。
【0060】
図2及び図5に示されるように、第2姿勢において、フラップ41の回動先端部81は、第1姿勢のときよりも上側に位置され、上側ガイド部材82に形成された凹部83に挿入される。これにより、フラップ41の回動先端部81の高さは、第2拍車63の下端の高さ91よりも高い位置となる。その結果、フラップ41は、第2拍車63との間に記録用紙16を挟持することができなくなる。つまり、第2姿勢のフラップ41は、直線路65Bを塞ぐ。
【0061】
図2及び図3に示されるように、破線で示された第2拍車63の下端の高さ91は、一点鎖線で示された第1拍車52の下端の高さ92よりも高い。つまり、第2拍車63の下端は、第1拍車52の下端よりも上方である。
【0062】
[コイルバネ95]
図2及び図3に示されるように、本実施形態においては、フラップ41に、コイルバネ95(本発明の付勢部材の一例)が取り付けられている。本実施形態においては、コイルバネ95としてトーションバネが用いられる。コイルバネ95は、コイル部96、第1アーム部97、及び第2アーム部98で構成されている。
【0063】
コイル部96は、フラップ41の本体54から突出した突起43(図4参照)に取り付けられている。第1アーム部97の先端は、上側に付勢された状態で、フラップ41の本体54から突出された第1ストッパ99(図4参照)に圧接されている。第2アーム部98の先端は、上側に付勢された状態で、モジュール本体51から突出された第2ストッパ100に圧接されている。以上より、コイルバネ95は、フラップ41の回動先端部81を、上側、つまり第2拍車63側に付勢している。
【0064】
コイルバネ95の付勢力は、記録用紙16の自重よりも小さい。これにより、フラップ41の第1面56が直線路65Bを搬送される記録用紙16を支持すると、フラップ41は当該記録用紙16の自重によって第2姿勢から第1姿勢に姿勢変化される。フラップ41に支持されていた記録用紙16がフラップ41を通過すると、フラップ41は、コイルバネ95の付勢力によって、第1姿勢から第2姿勢に姿勢変化される。
【0065】
なお、本実施形態においては、フラップ41の付勢のためにコイルバネ95が用いられているが、フラップ41を付勢するのであれば、板バネなどの他の付勢部材が用いられてもよい。
【0066】
[検知部120]
図2及び図3に示されるように、プリンタ部11は、フラップ41の姿勢を検知するための検知部120(本発明の検知部の一例)を備えている。
【0067】
検知部120は、例えば、軸123を中心に回転する回転体121と、発光素子(例えば発光ダイオード)及び当該発光素子から発光された光を受光する受光素子(例えばフォトトランジスタ)を有するフォトインタラプタ等の光センサ122とにより構成されている。回転体121の軸123は、フラップ41に回転可能に取り付けられている。回転体121の先端部は、フラップ41から反転搬送路67に突出している。
【0068】
なお、回転体121は、反転搬送路67における記録用紙16の搬送領域の外側において突出している。このことを示すため、図2において、回転体121は破線で示されている。
【0069】
フラップ41が第2姿勢の状態で、回転体121の先端は、図2に示されるように、光センサ122の発光素子から受光素子に至る光路に進入して、当該光路を通る光を遮断している。フラップ41が第1姿勢に姿勢変化すると、回転体121の先端は、図3に示されるように、当該光路から外れて、当該光路に光が通る。
【0070】
[制御部130]
図9に示されるように、制御部130(本発明の制御部の一例)は、複合機10の全体動作を制御するものであり、CPU131、ROM132、RAM133、EEPROM134、及びASIC135を備えている。これらは内部バス137によって接続されている。
【0071】
ROM132には、CPU131が各種動作を制御するためのプログラムなどが格納されている。RAM133は、CPU131が上記プログラムを実行する際に用いるデータや信号等を一時的に記録する記憶領域、或いはデータ処理の作業領域として使用される。EEPROM134には、電源オフ後も保持すべき設定やフラグ等が格納される。
【0072】
ASIC135に設けられた駆動回路には、給紙用モータ101及び搬送用モータ102が接続されている。各モータを駆動させるための駆動信号が、CPU131から所定のモータに応じた駆動回路に入力されると、駆動信号に応じた駆動電流が駆動回路から対応するモータへ出力される。これにより、対応するモータが所定の回転速度で正転または逆転する。
【0073】
また、ASIC135には、光センサ122が接続されている。これにより、例えば、本実施形態では、ASIC135には、フラップ41が第2姿勢の場合にローレベルの信号が入力され、フラップ41が第1姿勢の場合にハイレベルの信号が入力される。CPU131は、光センサ122からASIC135に入力された信号に基づいて、フラップ41の現在の姿勢を判断する。
【0074】
以下、フラップ41の姿勢変化と、制御部130による第2搬送モータ45の反転処理とが説明される。なお、フラップ41は、図2及び図5に示されるように、初期状態において、コイルバネ95の付勢力によって第2姿勢を維持している。これにより、光センサ122から制御部130にローレベルの信号が入力され、制御部130は、フラップ41が第2姿勢であると判断する。
【0075】
操作パネル12(図1参照)が操作されることにより両面印刷が指示されると、制御部130は給紙用モータ101及び搬送用モータ102を正転させる。すると、給紙ローラ25、第1搬送ローラ60、及び第2搬送ローラ45は正転で回転する。これにより、給紙トレイ20に載置された記録用紙16が搬送路65に沿って第1搬送向き80に搬送される。
【0076】
給紙ローラ25によって搬送される記録用紙16は、搬送ローラ対70に挟持される。以後、記録用紙16は、搬送ローラ対70によって搬送される。その後、記録用紙16が記録部24の真下に到達する。このとき、記録用紙16の表面が記録部24と対向している。記録部24は記録用紙16の表面に画像を記録する。
【0077】
その後、搬送される記録用紙16がフラップ41の第1面56に支持される。すると、フラップ41は記録用紙16の自重によって第2姿勢から第1姿勢へ姿勢変化する。これにより、光センサ122から制御部130にハイレベルの信号が入力され、制御部130は、フラップ41が第1姿勢に姿勢変化したと判断する。また、記録用紙16は、フラップ41と第2拍車63とによって挟持されつつ、更に第1搬送向き80の下流側へ搬送される。その後、記録用紙16は、排出ローラ対44に挟持される。以後、記録用紙16は、排出ローラ対44によって搬送される。詳細には、記録用紙16は、排出ローラ対44によって更に第1搬送向き80の下流側へ搬送される。
【0078】
記録用紙16の後端がフラップ41を抜けると、フラップ41は再び、コイルバネ95の付勢力によって第1姿勢から第2姿勢へ姿勢変化する。これにより、光センサ122から制御部130にローレベルの信号が入力され、制御部130は、フラップ41が第2姿勢に姿勢変化したと判断する。当該判断をした制御部130は、搬送用モータ102を逆転させる。これにより、給紙ローラ25及び第1搬送ローラ60は正転を維持するが、第2搬送ローラ45は正転から逆転へ回転向きが変わる。その結果、排出ローラ対44に挟持された記録用紙16は、第1搬送向き80とは逆向きに搬送される。このとき、直線路65Bはフラップ41によって塞がれているため、記録用紙16は、フラップ41の第2面57にガイドされながら、反転搬送路67を搬送される。
【0079】
以上より、制御部130は、検知部120によってフラップ41が第1姿勢から第2姿勢に姿勢変化したことを条件として、搬送用モータ102が第2搬送ローラ45に付与していた駆動力を、正転または逆転の一方(本実施形態では正転)から他方(本実施形態では逆転)へ切り換える。
【0080】
反転搬送路67を搬送される記録用紙16は、第2位置37を経て、再び、搬送ローラ対70に挟持される。以後、記録用紙16は、搬送ローラ対70によって搬送される。その後、搬送ローラ対70によって搬送された記録用紙16は、再び記録部24の真下に到達する。このとき、記録用紙16の裏面が記録部24と対向している。記録部24は記録用紙16の裏面に画像を記録する。これにより、記録用紙16の両面に画像が記録される。その後、記録用紙16は、排出ローラ対44を経て、排紙トレイ21に排出される。
【0081】
[実施形態の効果]
上述したように、本実施形態では、記録用紙16の両面に画像を記録することが可能である。ここで、フラップ41は、両面画像記録を可能とするために配置されている。そして、フラップ41の回動先端部81はコイルバネ95によって第2拍車63側に付勢されている。直線路65Bを第1搬送向き80に沿って案内される記録用紙16は、フラップ41の第1面56に当接される。これにより、フラップ41は、記録用紙16の自重によって下側に押されて、第2姿勢から第1姿勢に姿勢変化する。この状態において、記録用紙16は第1面56に支持されつつ第1搬送向き80に搬送され、第2拍車63の位置に到達する。その結果、記録用紙16は、第2拍車63とフラップ41とによって挟持された状態となる。当該状態において、記録用紙16の挟持部分には、コイルバネ95によって上向きの力が付与される。
【0082】
また、フラップ41の回動先端部81との間に記録用紙16を挟持可能な第2拍車63よりも第1搬送向き80の上流側には、第1拍車52が設けられている。第1拍車52は、上側から記録用紙16に当接する。そして、第2拍車63の下端は、第1拍車52の下端よりも上方である。よって、(i)記録用紙16は、プラテン42よりも第1搬送向き80の下流側において、第1搬送向き80に対して上向きに傾斜した状態となる。また、(ii)上述したように、記録用紙16は、傾斜の最下流位置、つまり第2拍車63とフラップ41とによる挟持位置においてコイルバネ95によって上向きに力を付与されている。以上の(i)及び(ii)により、記録用紙16が、プラテン42に押しつけられる。これにより、記録用紙16に記録される画質の悪化を低減することができる。
【0083】
また、本実施形態では、第1面56は平面であるため、記録用紙16は第1面56に沿って搬送されやすくなる。
【0084】
また、本実施形態では、記録用紙16は、排出ローラ対44によって引っ張られない限り、モジュール本体51の上面17の傾斜面53に沿って搬送される。これにより、記録用紙16は、プラテン42の下流側において傾斜した状態となる。その結果、記録用紙16を、プラテン42に押しつけることができる。
【0085】
フラップ41が第1面56において記録用紙16を支持している場合、フラップ41は記録用紙16の自重により第1姿勢をとる。また、フラップ41が記録用紙16を支持していない場合、フラップ41はコイルバネ95に付勢されて第2姿勢をとる。本実施形態において、フラップ41は、直線路65Bの幅方向(左右方向9)において、直線路65Bを搬送される記録用紙16が位置する範囲に亘って設けられている。これにより、フラップ41は、例えば記録用紙16が斜行していても、記録用紙16がフラップ41を完全に通過するまでは、第1姿勢から第2姿勢に姿勢変化しない。以上より、本実施形態によれば、記録用紙16がフラップ41を通過したことを正確に検知することができ、記録用紙16の搬送路65から反転搬送路67への搬送の切換を早くすることができる。
【0086】
また、本実施形態によれば、直線路65Bを、第2搬送ローラ45と第1拍車52との間において、フラップ41によって確実に塞ぐことができる。よって、フラップ41を通過した記録用紙16がフラップ41よりも上流側の直線路65Bに逆送することを防止することができる。
【0087】
[変形例1]
上述の実施形態では、図3に示されるように、第2拍車63の下端の高さ91は、第2搬送ローラ45の記録用紙16との当接端の高さと略同等の高さに位置していた。しかし、図10に示されるように、第2搬送ローラ45の記録用紙16との当接端の高さ90は、第2拍車63の下端の高さ91よりも下方であってもよい。
【0088】
第1搬送向き80に搬送される記録用紙16の先端が第1面56に支持され且つ第2搬送ローラ45によって搬送されていない状態において、シートは上述の実施形態の効果で述べたような状態となっている。つまり、記録用紙16におけるプラテン42の真上部分は、プラテン42に押しつけられている。また、記録用紙16のプラテン42よりも下流側の部分は、第1搬送向き80に対して上向きに傾斜している。つまり、記録用紙16は、側面視において、プラテン42の下流側で湾曲または屈曲した状態となっている。
【0089】
このような状態において、記録用紙16が排出ローラ対44に挟持されると、記録用紙16は排出ローラ対44によって第1搬送向き80に引っ張られる。これにより、記録用紙16は、側面視において、湾曲または屈曲した状態から真っ直ぐ延びた状態に状態遷移しようとする。その結果、記録用紙16は、プラテン42から浮いた状態となるおそれがある。
【0090】
そこで、変形例1では、第2搬送ローラ45の記録用紙16との当接端は、第2拍車63の下端よりも下方に位置している。これにより、記録用紙16が排出ローラ対44に挟持されたとき、当該記録用紙16は、側面視において、第2拍車63の下端を頂点とする湾曲状となる。つまり、記録用紙16は、第2拍車63の下端よりも上流側において、プラテン42に近いほど下方となるように傾斜する。その結果、記録用紙16を、プラテン42に押しつけることができる。
【0091】
[変形例2]
上述の実施形態では、フラップ41は、第2拍車63との間で記録用紙16を挟持した。しかし、図7及び図8に示されるように、上側ガイド部材82に第2拍車63が取り付けられていなくてもよい。この場合、フラップ41の回動先端部81は、上側ガイド部材82の下面との間で記録用紙16を挟持する。したがって、変形例2では、上側ガイド部材82のうち、フラップ41の回動先端部81との間に記録用紙16を挟持する部分が、本発明の挟持部材に相当する。
【0092】
[変形例3]
上述の実施形態では、フラップ41の軸(突起43)は拍車52よりも第1搬送向き80の下流側に位置していたが、図10(B)に示されるように、フラップ41の軸(突起43)は拍車52よりも第1搬送向き80の上流側に位置していてもよい。この場合、傾斜面53は、あってもよいし、なくてもよい。なお、図10(B)には、傾斜面53がない構成が描かれている。
【符号の説明】
【0093】
16・・・記録用紙
24・・・記録部
41・・・フラップ
42・・・プラテン
44・・・排出ローラ対
52・・・第1拍車
63・・・第2拍車
65・・・搬送路
67・・・反転搬送路
80・・・第1搬送向き
95・・・コイルバネ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを第1搬送向きに沿って記録面を上側にして案内する第1搬送路と、
上記第1搬送路の下方に設けられており、上記第1搬送路を案内されるシートを支持するプラテンと、
上記第1搬送路の上方に上記プラテンと対向して設けられており、上記プラテンに支持されたシートの記録面に画像を記録する記録部と、
上記記録部よりも上記第1搬送向きの下流側における上記第1搬送路の上方に配置されており、上記記録部よりも下側且つ上記プラテンよりも上側においてシートと当接可能な当接部材と、
上記当接部材よりも上記第1搬送向きの下流側に配置されており、シートを搬送する搬送ローラと、
上記プラテンの下方において延びており、シートが案内される搬送路であって、上記第1搬送向きにおける上記当接部材及び搬送ローラの間の第1位置、及び上記記録部よりも上記第1搬送向きの上流側の第2位置において上記第1搬送路と接続されている第2搬送路と、
上記第1搬送路の下側に設けられており、軸を中心として回動可能であって、回動先端部が上記第1搬送向きにおける上記当接部材及び上記搬送ローラの間に位置しており、上記第1搬送路の下側のガイド面を構成する第1面、及び上記第2搬送路の上側のガイド面を構成する第2面を有するフラップと、
上記第1搬送路の上方に配置されており、上記フラップとの間にシートを挟持可能な挟持部材と、
上記フラップを上記挟持部材側に付勢する付勢部材と、を備え、
上記フラップは、上記挟持部材との間にシートを挟持して上記第1搬送路において当該シートを案内可能な第1姿勢、及び上記回動先端部が上記第1姿勢よりも上側であって上記第1搬送路を塞ぐ第2姿勢に回動可能であり、
上記挟持部材の下端は、上記当接部材の下端よりも上方である画像記録装置。
【請求項2】
上記搬送ローラのシートとの当接部は、上記挟持部材の下端よりも下方に位置する請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
上記第1搬送向きにおける上記プラテン及び上記フラップの上記第1面の間の上記第1搬送路の下方に配置されており、上記第1搬送路の下側のガイド面を構成する第3面を有する第1ガイド部材を更に備え、
上記フラップは、上記第1ガイド部材における上記第1搬送向きの下流側に取り付けられており、
上記第3面は、上記第1搬送向きの下流側が上流側よりも上方に位置する傾斜面である請求項1または2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
上記フラップは、上記第1搬送路の幅方向において、少なくとも上記第1搬送路を搬送されるシートが位置する範囲に亘って設けられており、
上記フラップの姿勢を検知する検知部と、
上記搬送ローラに正転及び逆転の駆動力を付与する駆動源と、
上記検知部によって上記フラップが上記第1姿勢から上記第2姿勢に姿勢変化したことを条件として、上記駆動源が上記搬送ローラに付与していた駆動力を、正転または逆転の一方から他方へ切り換える制御部と、を更に備える請求項1から3のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項5】
上記挟持部材は拍車ローラであって、
上記第1搬送路の上方に設けられており、上記拍車ローラが配置された第2ガイド部材を更に備え、
上記第2ガイド部材には、上記第1搬送路側に凹部が形成されており、
上記第2姿勢の上記フラップの上記回動先端部は、上記凹部に挿入されている請求項1から4のいずれかに記載の画像記録装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2013−75763(P2013−75763A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−218295(P2011−218295)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】