説明

画像読み取り装置

【課題】圧板の背景部材の色変更を容易且つ低コストにて実現する。
【解決手段】背景部材4は、一方の面が白色面WS、他方の面が黒色面BSとされている。圧板3の短尺側の内側面には、略中央に位置する連結部20Aにおいて、上部支持部材5の一端が回動可能に取り付けられる。背景部材4の短尺側の外側面には、略中央に位置する連結部20Bにおいて、下部支持部材6の一端が、少なくとも180°の回動が可能に取り付けられる。上部支持部材5の他端と下部支持部材6の他端とがヒンジ部21で回動可能に連結される。同様の構成が、圧板3および背景部材4の反対側の側面にも設けられる。背景部材4を圧板3から離間させて180°回転させることで、白色面WSと黒色面BSとが切り替わり、背景部材の色変更が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧板を用いて原稿をコンタクトガラスに押し付けて原稿画像を読み取る画像読み取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、スキャナなどに代表される画像読み取り装置では、原稿載置部となる透明なコンタクトガラス上に原稿を置き、圧板で原稿を押さえて原稿を読み取る方式が一般的に用いられている。この方式によれば、コンタクトガラスの裏面側から原稿に対して光を照射させ、この光による原稿からの反射光をCCD(Charge Coupled Device)などの受光素子で受光して、原稿画像を読み取った画像データを得る。
【0003】
圧板の原稿押圧面には背景部材が設けられる。この背景部材の色を、目的に応じて白色および黒色で切り替える技術が知られている。背景部材を黒色とした場合には、原稿読取り前に露光面となる原稿載置部上のゴミを検知したり、原稿が混載して違うサイズの原稿が紛れ込んだ際に、黒色の背景部材との濃度面積比により該当サイズを計算したり、更には黒色の背景により原稿と背景部材との境界を認識してスキューにより傾いた原稿を補正したりしている。一方、背景部材を白色とすることにより、読み取り画像の縁に黒い線筋が発生するのを抑えると共に白色の読取データを画像補正のための基準データとして用いている。
【0004】
ところで、圧板の背景部材の色は、白色で用いることが多いと考えられる。背景部材を白色とすると、例えば薄紙に両面印刷された原稿を読み取るような場合には、原稿を読み取った画像データに対して、原稿の入力面とは裏側の面の画像が写り込む現象が発生してしまう。従来から、圧板の背景部材が白色の場合において薄紙に両面印刷した原稿を読み取る際に、反射率の低い黒色の紙を原稿の裏に載せて、裏面側の画像が写り込む現象を防止していた。
【0005】
ここで、使用者が常に黒色の用紙を用意しているとは限らない。そのため、圧板の背景部材の色として、白色と黒色とを用意している画像読み取り装置が知られている。このような画像読み取り装置では、圧板の背景部材の表面を白色とし、裏面を黒色とする例が多い。この場合、圧板の背景部材を白色の背景部材から黒色の背景部材へと取り替える必要が生じ、背景部材の取り外しおよび取り付けという作業が発生するため、使用者の手間がかかる。
【0006】
これを回避するために、黒色部分と白色部分とを交互に配置したシートを背景部材として用意し、このシートをスライドさせて圧板の背景部材の色を切り替える技術が知られている。また、特許文献1には、圧板の色/濃度を電気的な制御により変えられる機構を設ける技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−309969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、黒色部分と白色部分とを交互に配置したシートを背景部材として用いる場合、このシートをスライドさせるための複雑な機構が必要となり、コストが嵩んでしまうという問題点があった。
【0009】
また、特許文献1では、背景部材として液晶パネルなどの、表示濃度を切り替え可能な表示デバイスと、この表示デバイスを駆動制御するための装置を設けることが必要となり、コストが嵩んでしまうという問題点があった。
【0010】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、圧板の背景部材の色変更を容易且つ低コストにて実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、圧板に背景部材を固定し、背景部材とコンタクトガラスとの間に原稿を挟んで原稿画像の読み取り動作を行なう画像読み取り装置であって、一方の面が白色とされ、他方の面が黒色とされた背景部材と、原稿画像の読み取り動作時に背景部材が固定される圧板と、背景部材と圧板とを、背景部材が連結点を支点として少なくとも180°回動可能となるように離間可能に連結する支持部材とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、圧板の背景部材の色変更が容易且つ低コストにて実現可能であるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の各実施形態に共通して適用可能な画像読み取り装置の外観を概略的に示す略線図である。
【図2】図2は、本第1の実施形態による背景部材および圧板の構成例を示す略線図である。
【図3】図3は、仮固定機構を説明するための略線図である。
【図4】図4は、本発明の第1の実施形態の構成によって背景部材が原稿に当接する面を切り替える動作を説明するための図である。
【図5】図5は、本発明の第1の実施形態の構成によって背景部材が原稿に当接する面を切り替える動作を説明するための図である。
【図6】図6は、本発明の第1の実施形態の構成によって背景部材が原稿に当接する面を切り替える動作を説明するための図である。
【図7】図7は、本発明の第1の実施形態の構成によって背景部材が原稿に当接する面を切り替える動作を説明するための図である。
【図8】図8は、本発明の第1の実施形態の構成によって背景部材が原稿に当接する面を切り替える動作を説明するための図である。
【図9】図9は、本発明の第1の実施形態の構成によって背景部材が原稿に当接する面を切り替える動作を説明するための図である。
【図10】図10は、本発明の第2の実施形態による背景部材および圧板の構成例を示す略線図である。
【図11】図11は、本発明の第2の実施形態の変形例による背景部材および圧板の構成例を示す略線図である。
【図12】図12は、本発明の第3の実施形態による背景部材および圧板の構成例を示す略線図である。
【図13】図13は、本発明の第4の実施形態による背景部材および圧板の構成例を示す略線図である。
【図14】図14は、本発明の第5の実施形態による背景部材および圧板の構成例を示す略線図である。
【図15】図15は、本発明の第6の実施形態による背景部材および圧板の構成例を示す略線図である。
【図16】図16は、本発明の第7の実施形態による背景部材および圧板の構成例を示す略線図である。
【図17】図17は、本発明の他の実施形態による背景部材および圧板の構成例を示す略線図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る画像読み取り装置の実施形態を詳細に説明する。本発明では、画像読み取り装置の圧板に取り付けられる背景部材を、圧板との連結を保ちつつ圧板から離間可能とする。そして、背景部材の一方の面を白色、他方の面を黒色として、背景部材を、圧板から離間させた状態で短尺方向を軸に回転させることで、白色面と黒色面とを切り替えるようにしている。
【0015】
図1は、本発明の各実施形態に共通して適用可能な画像読み取り装置の外観を概略的に示す。この画像読み取り装置は、一般的なフラットベッドスキャナであって、スキャナ本体1に対して圧板3がヒンジ部30Aおよび30Bで開閉自在に取り付けられている。図1の例では、ヒンジ部30Aおよび30Bは、圧板3の長尺側の側部に設けられている。
【0016】
スキャナ本体1において、圧板3を閉じた際に圧板3に対向する原稿載置部2は、透明なコンタクトガラスからなる。圧板3には、原稿載置部2と対向する面に背景部材4が取り付けられている。背景部材4は、一方面が白色(白色面WSと呼ぶ)、他方の面が黒色(黒色面BSと呼ぶ)とされている。スキャナ本体1の内部には、光源と、主走査方向に画素が並べられたCCD(Charge Coupled Device)などによる受光素子とからなる光学ユニットが設けられる(図示しない)。
【0017】
なお、背景部材4の材質は、原稿をコンタクトガラスに押し付けることが可能であれば、特に限定されない。一例として、合成樹脂を用いて背景部材4を構成することができる。また、背景部材4の形態は、形状が固定的な形状である板状であってもよいし、撓みなどの変形が比較的容易なシート状であってもよい。以下では、背景部材4が板状であるものとして説明する。
【0018】
原稿画像の読み取りの際には、原稿載置部2に原稿を置き、圧板3を閉じて圧板3および背景部材4で原稿を押さえる。光学ユニットが副走査方向に移動して、光源からコンタクトガラスを介して原稿に照射された光の反射光を受光素子で受光することにより、原稿画像の読み取りが行われる。
【0019】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態を説明する。図2は、本第1の実施形態による背景部材4および圧板3の構成例を示す。なお、図2は、圧板3を上述した図1におけるA方向から見た図である。これは、以下の各図において、特に記載のない限り共通であるものとする。また、図2において、図1と共通する部分には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0020】
図2の例では、背景部材4は、ヒンジ部21で回動可能に連結された上部支持部材5および下部支持部材6からなる支持部材により、圧板3に対して取り付けられている。より具体的には、圧板3の短尺側の内側面には、略中央に位置する連結部20Aにおいて、上部支持部材5の一端が回動可能に取り付けられる。背景部材4の短尺側の外側面には、略中央に位置する連結部20Bにおいて、下部支持部材6の一端が、少なくとも180°の回動が可能に取り付けられる。上部支持部材5の他端と下部支持部材6の他端とがヒンジ部21で回動可能に連結される。同様の構成が、圧板3および背景部材4の反対側の側面にも設けられる。
【0021】
なお、圧板3は、図2に例示されるように、背景部材4とヒンジ部21で折り畳まれた支持部材とを収納可能なように、原稿載置部2と対向する面に凹部が設けられているものとする。
【0022】
原稿読み取り時に圧板3を使用する場合、上部支持材5および下部支持材6は、ヒンジ部21で折り畳まれて圧板3内部に格納され、背景部材4は、圧板3に固定される。図2の例では、背景部材4は、白色面WSが原稿に当接する向きに固定されている。なお、詳細を後述するように、背景部材4は、支持部材による連結を保ちつつ圧板3から離間可能とされているので、背景部材4の圧板3に対する固定は、仮の固定となる。
【0023】
背景部材4の圧板3への仮固定方法は、特に限定されない。使用者が容易に脱着可能な仮固定方法を採用するのが望ましい。一例として、図3に例示されるように、背景部材4の所定位置に、圧板3に対して仮固定を行う仮固定機構17を設ける。仮固定機構17としては、面ファスナ、フック構造、磁石などを用いる方法が考えられる。
【0024】
なお、図2の例では、圧板3と背景部材4とを連結する支持部材が1箇所のヒンジ部21により2つ折りにされるものとして説明したが、これはこの例に限らず、支持部材は、3つ折り以上に折り畳めるようにしてもよい。
【0025】
図4〜図9を用いて、本第1の実施形態の構成によって背景部材4が原稿に当接する面を白色面WSから黒色面BSへと(またはその逆方向に)切り替える場合の動作について説明する。下記の動作は、例えば、スキャナ本体1に対して圧板3を90°以上開いた状態にして行う。
【0026】
図4は、背景板4を圧板3から引き離し離間させている状態を示す。上部支持材5および下部支持材6は、圧板3の連結部20A、背景部材4の連結部20Bおよび支持部材のヒンジ部21を支点として動作する。例えば、背景部材4を圧板3から離れる方向に移動させる。
【0027】
図5は、上述の図4の状態を、図1のB方向、すなわち圧板3および背景部材4の長尺側から見た例を示す。圧板3の内側面に対し、上部支持部材5が連結部20Aで連結され、上部支持部材5の内側に、ヒンジ部21で下部支持部材6が連結され、下部支持部材6が連結部20Bで背景部材4の外側面に連結される。反対側にも、上部支持部材5’、ヒンジ部21’、下部支持部材6’、ならびに、連結部20A’および20B’により、同様の構造が設けられている。
【0028】
図4および図5の状態から、背景部材4を圧板3からさらに離していき、背景部材4と圧板3とが最も離れた状態になった例を図6に示す。この図6の状態から、背景部材の原稿への当接面を白色面WSから黒色面BSに切り替えるために、背景部材4を回転させる。
【0029】
すなわち、図7に例示されるように、背景部材4を、下部支持部材6との連結部20Bを支点として180°回転させる。ここで、背景部材4は、連結部20Bを支点として180°回転されるため、背景部材4と圧板3との距離は、背景部材4の短尺の1/2より長いことが必要である。
【0030】
図8は、背景部材4を180°回転させた後の状態の例を示す。背景部材4が原稿に当接する面が黒色面BSに切り替わっている。この状態から支持部材を折り畳み、背景部材4を圧板3に固定した状態の例を図9に示す。背景部材4は、黒色面BSが原稿への当接面となって圧板3に固定される。この状態で圧板3を閉じることで、原稿の背景色を黒色とした読み取りを行うことができる。
【0031】
このように、本第1の実施形態では、圧板の背景部材を、一方の面が白色、他方の面が黒色のものを使用し、それを取り外すことなく回転させることで、読み取り動作の際の原稿の背景色を切り替えることができる。そのため、原稿の背景色変更(黒色から白色もしくは白色から黒色)を、使用者が簡単な手順で実施できる。
【0032】
また、構造がシンプルなため、実施コストを低く抑えることができる。さらに、支持部材にて背景部材4を圧板3に対して連結しているので、背景色の切り替え時に、背景部材4を紛失するおそれが無い。加えて、容易に背景色が変更できることで、読み取り失敗による再読み取りの回数も低くなり、作業効率の向上、消費電力の低減の効果も期待できる。
【0033】
また、本第1の実施形態では、支持部材を折り畳み可能な構造としているため、支持部材を圧板3に対してコンパクトに収納することができる。
【0034】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図10は、本第2の実施形態による背景部材4および圧板3の構成例を示す。なお、図10および以下の各図において、図1および図2と共通する部分には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0035】
図10に例示されるように、本第2の実施形態では、圧板3と背景部材4とを、1本の棒状の支持部材7により連結する。すなわち、支持部材7の一端が圧板3に対して連結部20Aで回動可能に連結され、他端が背景部材4に対して、背景部材4の短尺側の側面の略中央に位置する連結部20Bで回動可能に連結される。なお、支持部材7は、棒状に限らず、板状でもよい。図10に例示される側面の反対側の側面でも、同様の構造が設けられる(図示しない)。
【0036】
この場合でも、背景部材4を連結部20Bを支点とした180°の回転が可能となるように、背景部材4と圧板3との距離が背景部材4の短尺の1/2より長くなるように、棒状部材7の長さなどが決定される。背景部材4の原稿に当接される面を白色面WSおよび黒色面BSの間で切り替える動作は、図4〜図9を用いて説明した動作と略同様なので、ここでの説明を省略する。
【0037】
このように、本第2の実施形態では、上述の第1の実施形態よりも構造がさらにシンプルとなる。したがって、圧板3と背景部材4とを連結する支持部材を、棒状部材2本のみで構成できるため、実施コストがより低く抑えられる。
【0038】
<第2の実施形態の変形例>
次に、本発明の第2の実施形態の変形例について説明する。図11は、本第2の実施形態の変形例による背景部材4および圧板3の構成例を示す。本変形例では、図11に例示されるように、圧板3と支持部材7とを連結する連結部20Aに対し、連結部20Aが圧板3の連結部20Aを含む辺方向に移動可能なように、レールなどを用いた可動構造16を設ける。これにより、連結部20Aを、使用者側に適した位置に移動させて背景部材4を回転させることが可能となり、作業効率の向上を図ることができる。
【0039】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図12は、本第3の実施形態による背景部材4および圧板3の構成例を示す。本第3の実施形態では、圧板3と背景部材4とを、4つの支持部材8〜11を用いたパンタグラフ構造により連結する。
【0040】
より具体的には、圧板3の連結部20Aにおいて、第1の上部支持部材8および第2の上部支持部材9それぞれの一端が回動可能に取り付けられる。背景部材4の連結部20Bにおいて、第1の下部支持部材10および第2の下部支持部材11それぞれの一端が回動可能に取り付けられる。第1の上部支持部材8の他端と第1の下部支持部材10の他端とがヒンジ部21Aで回動可能に連結される。第2の上部支持部材9の他端と第2の下部支持部材11の他端とがヒンジ部21Bで回動可能に連結される。第1の上部支持部材8および第1の下部支持部材10、ならびに、第2の上部支持部材9および第2の下部支持部材11は、ヒンジ部21Aおよび21Bが離間するように、互いに反対方向に折れ曲がるようにされる。同様の構成が、圧板3および背景部材4の反対側の側面にも設けられる。
【0041】
この場合でも、背景部材4を連結部20Bを支点とした180°の回転を可能とするために、背景部材4と圧板3との距離が背景部材4の短尺の1/2より長くなるように、4つの支持部材8〜11の長さなどが決定される。背景部材4の原稿に当接される面を白色面WSおよび黒色面BSの間で切り替える動作は、図4〜図9を用いて説明した動作と略同様なので、ここでの説明を省略する。
【0042】
このように、本第3の実施形態では、圧板3と背景部材4とをパンタグラフ構造により連結しているので、背景部材4の圧板3からの離間動作、ならびに、背景部材4の圧板3への収納動作が安定する。すなわち、本第3の実施形態では、支持部材をパンタグラフ構造にすることにより支持部材の安定感が構造上、増すため、背景色の切り替えをより容易に行うことができる。
【0043】
<第4の実施形態>
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。図13(a)および図13(b)は、本第4の実施形態による背景部材4および圧板3の構成例を示す。本第4の実施形態では、上述した第2の実施形態または第3の実施形態に対し、圧板3に対して支持部材で連結された背景部材4の移動を、弾性体を用いて自動的に行うことができるようにしたものである。
【0044】
図13(a)は、本第4の実施形態を上述した第3の実施形態に適用させた例である。例えば、パンタグラフ構造の連結部21Aおよび21Bの間に、弾性体12Aを設ける。背景部材4が圧板3に仮固定されている間は、弾性体12Aが伸びて蓄勢状態となっているので、仮固定を解除すると、弾性が連結部21Aおよび21Bを互いに引き寄せる方向に働き、背景部材4の圧板3からの離間を自動的に行うことが可能となる。
【0045】
図13(b)は、本第4の実施形態を上述した第2の実施形態に適用させた例である。例えば、支持部材7の任意の位置と圧板3との間に弾性体12Bを設ける。背景部材4が圧板3から離間されている間は、弾性体12Bが伸びて蓄勢状態となっているので、圧板3から離間させた背景部材4を、圧板3に対して自動的に引き寄せることが可能になる。
【0046】
同様に、本第4の実施形態を上述した第1の実施形態に適用することもできる。この場合には、例えば上部支持部材5の中点と、下部支持部材6の中点との間に弾性体を設ける。背景部材4が圧板3から離間されている間は、弾性体が伸びて蓄勢状態となっているので、圧板3から離間させた背景部材4を、圧板3に対して自動的に引き寄せることが可能になる。
【0047】
なお、弾性体12Aや12Bは、両端を引き寄せる方向に弾性が働くものであればよく、バネ材(コイルバネなど)やゴム材などを用いることができる。
【0048】
このように、本第4の実施形態では、支持部材が離間方向に弾性材で付勢されているため、背景部材4の圧板3からの離間動作、または、背景部材4を圧板3の方向に引き戻す動作が自動的になされ、使用者の作業効率の向上が図られる。
【0049】
<第5の実施形態>
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。図14は、本第5の実施形態による背景部材4および圧板3の構成例を示す。本第5の実施形態では、圧板3と背景部材4とを、弾性体からなる支持部材13で連結する。支持部材13は、背景部材4を圧板3から離間させる方向に弾性が働くように構成する。この場合、支持部材13は、背景部材4の圧板3への仮固定を解除すると、圧板3と背景部材4とを離間する方向に動作する。
【0050】
支持部材13は、背景部材4を圧板3から離間させる方向に弾性を働かせることが可能であれば種類は問わない。例えば、鋼材による板バネを支持部材13として用いることができる。
【0051】
このように、本第5の実施形態では、圧板3と背景部材4とを連結する支持部材13として弾性体を使用するため、背景部材4を圧板3から自動的に離間させることができ、使用者の作業効率の向上が図られる。
【0052】
<第6の実施形態>
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。図15は、本第6の実施形態による背景部材4および圧板3の構成例を示す。本第6の実施形態では、圧板3と背景部材4とを、紐状部材による支持部材14で連結する。支持部材14は、所定以上の強度がある紐状部材であれば種類は問わない。圧板3と背景部材4との連結を紐状部材を用いて行うため、構造がシンプルになり、よりコストを低く抑えることができる。
【0053】
<第7の実施形態>
次に、本発明の第7の実施形態について説明する。図16は、本第7の実施形態による背景部材4および圧板3の構成例を示す。本第7の実施形態では、圧板3と背景部材4とを、紐状の弾性体による支持部材15で連結する。支持部材15は、圧板3と背景部材4とを離間させた状態で収縮する方向に弾性が働くように構成する。
【0054】
支持部材15として適用可能な紐状弾性体は、特に種類を限定されないが、例えばゴム材を用いることができる。バネ材を支持部材15として用いてもよい。支持部材15は、圧板3と背景部材4とを、背景部材4を180°回転可能な距離まで離間させ、支持部材15を伸張させた状態で弾性範囲内にある紐状弾性体を選択する。
【0055】
このように、本第7の実施形態では、圧板3と背景部材4とを、紐状弾性体からなる支持部材15で連結し、圧板3と背景部材4とを離間させる際に支持部材15が伸張するように構成しているため、支持部材15の長さを短くすることが可能である。またそれにより、構造をコンパクトに収めることができ、コストもより低く抑えることができる。
【0056】
<他の実施形態>
上述の各実施形態では、圧板3と背景部材4とを連結する支持部材が、背景部材4の短尺側の両側の側面に設けられるように説明したが、この例に限られない。例えば、背景部材4の短尺側の片側の側面のみに支持部材を設けるようにすることも可能である。また、支持部材は、背景部材4の長尺側の側面に設けるようにしてもよい。
【0057】
背景部材4の短尺側(または長尺側)の片側の側面のみに支持部材を設ける場合、図17に外観が概略的に例示されるように、圧板3と背景部材4とを、回転構造とヒンジ構造とを有する支持部材40で連結することも考えられる。これによれば、背景部材4が原稿に当接する面を白色面WSおよび黒色面BSの間で切り替える際には、先ず、背景部材4を支持部材40のヒンジ構造を支点として圧板3から引き起こし、背景部材4の片側を圧板3から離間させる。その後、背景部材4を、支持部材40の回転構造により180°回転させ、ヒンジ構造を支点として圧板3側に倒す。
【符号の説明】
【0058】
1 スキャナ本体
2 原稿載置部
3 圧板
4 背景部材
5,5’ 上部支持部材
6,6’ 下部支持部材
7,13,14,15,40 支持部材
8 第1の上部支持部材
9 第2の上部支持部材
10 第1の下部支持部材
11 第2の下部支持部材
12A,12B 弾性体
16 可動構造
17 仮固定機構
20A,20B 連結部
21,21A,21B ヒンジ部
30A,30B ヒンジ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧板に背景部材を固定し、該背景部材とコンタクトガラスとの間に原稿を挟んで原稿画像の読み取り動作を行なう画像読み取り装置であって、
一方の面が白色とされ、他方の面が黒色とされた背景部材と、
前記原稿画像の読み取り動作時に前記背景部材が固定される圧板と、
前記背景部材と前記圧板とを、該背景部材が連結点を支点として少なくとも180°回動可能となるように離間可能に連結する支持部材と
を備える
ことを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項2】
前記支持部材は、1または複数箇所で折り曲げ可能な棒状または板状である
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読み取り装置。
【請求項3】
前記支持部材は、1の棒状または板状である
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読み取り装置。
【請求項4】
前記圧板は、前記支持部材との連結部を該圧板の該連結部を含む辺方向に移動可能とした可動機構を有する
ことを特徴とする請求項3に記載の画像読み取り装置。
【請求項5】
前記支持部材は、パンタグラフ構造を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読み取り装置。
【請求項6】
前記支持部材は、前記離間の方向に弾性材で付勢されている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の画像読み取り装置。
【請求項7】
前記支持部材は、前記圧板と前記背景部材とを離間させる方向の弾性を有する弾性材である
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読み取り装置。
【請求項8】
前記支持部材は、紐状部材である
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読み取り装置。
【請求項9】
前記支持部材は、前記圧板と前記背景部材とが、該背景部材が180°回動可能に離間した状態で該圧板と該背景部材とを引き寄せる方向に弾性を有する紐状の弾性材である
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読み取り装置。
【請求項10】
前記背景部材を前記圧板に対して着脱自在に固定する仮固定機構をさらに備える
ことを特徴とする請求項1乃至請求項9の何れか1項に記載の画像読み取り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−223461(P2011−223461A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−92473(P2010−92473)
【出願日】平成22年4月13日(2010.4.13)
【出願人】(000006932)リコーエレメックス株式会社 (708)
【Fターム(参考)】