説明

画像読み取り装置

【課題】受光部および原稿からの反射光をこの受光部に集光する集光部材を有した画像読み取り用部材の振動や変位を抑制する。
【解決手段】画像読み取り装置のリア側且つ対向部材60に形成された段差面60bには、画像読み取りユニット50に形成された突起56が入り込む凹部68が形成されている。そして本実施形態では、この凹部68に対し突起56が入り込むことで、画像読み取りユニット50の位置決めが行われている。また画像読み取り装置のフロント側にも、画像読み取りユニット50の他端部側に形成された突起が入り込む凹部が形成されている。凹部68および突起56によって位置決めを行うことで、画像読み取りユニット50の振動や変位が抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読み取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光源と、複数のミラーと、レンズと、光電変換素子などを備えるとともに、光源および複数のミラーが1つの走行体上に取り付けられた読取装置が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−174956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、受光部および原稿からの反射光をこの受光部に集光する集光部材を有した画像読み取り用部材の振動や変位を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、原稿の搬送経路を挟んで相対する二つの領域のうちの一方の領域側に配置され、受光部と、原稿からの反射光を当該受光部に集光する集光部材と、を有するとともに、当該搬送経路が設けられている側に突出する突出部を備え、原稿上の画像の読み取りに用いられる画像読み取り用部材と、前記二つの領域のうちの他方の領域側に配置され、前記画像読み取り用部材に設けられた前記突出部が入り込む凹部が形成され、前記搬送経路を挟み当該画像読み取り用部材に対向して配置される対向部材と、を備える画像読み取り装置である。
請求項2に記載の発明は、前記画像読み取り用部材には、前記搬送経路を搬送される前記原稿を前記対向部材側に押圧する押圧部材が取り付けられ、前記押圧部材は、前記画像読み取り用部材から取り外し可能に設けられていることを特徴とする請求項1記載の画像読み取り装置である。
請求項3に記載の発明は、前記対向部材のうち前記突出部と対峙する箇所には傾斜面が形成されており、前記凹部は、前記傾斜面に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像読み取り装置である。
請求項4に記載の発明は、前記画像読み取り用部材は、長尺状に形成され、前記突出部は、前記画像読み取り用部材の長手方向における一端および他端のそれぞれに設けられ、前記対向部材には、前記凹部として、前記画像読み取り用部材の前記一端に設けられた前記突出部が入り込む第1の凹部と、前記他端に設けられた前記突出部が入り込む第2の凹部とが少なくとも形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の画像読み取り装置である。
請求項5に記載の発明は、前記集光部材の焦点が前記搬送経路上に位置するように前記凹部の深さが設定されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の画像読み取り装置である。
【0006】
請求項6に記載の発明は、原稿の搬送経路を挟んで相対する二つの領域のうちの一方の領域側に配置され、受光部と、原稿からの反射光を当該受光部に集光する集光部材と、を有するとともに、当該搬送経路が設けられている側に突出する突出部を備え、原稿上の画像の読み取りに用いられる画像読み取り用部材と、前記二つの領域のうちの他方の領域側に配置され、前記搬送経路を搬送される前記原稿の案内を行うとともに、前記画像読み取り用部材に設けられた前記突出部の移動を規制する規制部を有した原稿案内部材と、を含む画像読み取り装置である。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、受光部および原稿からの反射光をこの受光部に集光する集光部材を有した画像読み取り用部材の振動や変位を抑制することができる。
請求項2の発明によれば、画像読み取り用部材を共用化し画像読み取り用部材を他の画像読み取り装置でも用いるに際し、画像読み取り用部材が装着できる画像読み取り装置の種類を増加させることが可能となる。
請求項3の発明によれば、傾斜面に対して突出部がそのまま接触する場合に比べ、画像読み取り用部材の変位を抑制することができる。
請求項4の発明によれば、画像読み取り用部材の長手方向における一方の端部にのみ突出部が形成されている場合に比べ、画像読み取り用部材の振動や変位をさらに抑制することができる。
請求項5の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、読み取られる画像の質を向上させることができる。
請求項6の発明によれば、本構成を有していない場合に比較して、受光部および原稿からの反射光をこの受光部に集光する集光部材を有した画像読み取り用部材の振動や変位を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施の形態が適用される画像読み取り装置を示した図である。
【図2】画像読み取りユニットを説明するための図である。
【図3】画像読み取りユニットの斜視図である。
【図4】対向部材のうちの突起を支持する部位を拡大して示した図である。
【図5】画像読み取り装置の他の一形態を示した図である。
【図6】図5にて示した第2画像読み取り装置のうちの画像読み取りユニットが装着された箇所を拡大して示した図である。
【図7】図6にて示した対向部材のうちの突起を支持する部位を拡大して示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態が適用される画像読み取り装置110を示した図である。この画像読み取り装置110には、積載された原稿束から原稿を順次搬送する原稿送り装置10、スキャンによって画像を読み込むスキャナ装置70、読み込まれた画像信号を処理する処理装置200に大別される。
【0010】
原稿送り装置10は、複数枚の原稿からなる原稿束が積載される第1原稿積載部11と、第1原稿積載部11を上昇および下降させるリフタ12とを備えている。また、リフタ12により上昇された第1原稿積載部11上の原稿を搬送する搬送ロール13と、搬送ロール13により搬送された原稿を更に下流側まで搬送するフィードロール14と、搬送ロール13により搬送された原稿を1枚ずつ捌くリタードロール15とを備えている。また、原稿が搬送される原稿搬送経路31には、一枚ずつに捌かれた原稿を下流側のロールまで搬送するテイクアウェイロール16、原稿を更に下流側のロールまで搬送すると共にループ作成を行うプレレジロール17が設けられている。
【0011】
さらに原稿搬送経路31には、一旦停止した後にタイミングを合わせて回転を再開し原稿読み取り部に対してレジストレーション調整を施しながら原稿を供給するレジロール18が備えられている。また、原稿搬送経路31には、読み込み中の原稿搬送をアシストするプラテンロール19と、読み込まれた原稿を更に下流に搬送するアウトロール20が設けられている。さらに、原稿搬送経路31には、搬送される原稿のループ状態に応じて支点を中心として回転するバッフル41が備えられている。また、プラテンロール19とアウトロール20との間には、原稿上の画像を読み取る画像読み取りユニット50が設けられている。なお本実施形態の画像読み取り装置110では、原稿の搬送速度を向上させ高速に原稿の両面の画像を読み取るため、原稿の表面の読み取り位置(CCDイメージセンサ78(後述)による読み取り位置)に接近させて、画像読み取りユニット50を設けている。さらに本実施形態の画像読み取り装置110では、アウトロール20の下流側に、読み込みが終了した原稿が積載される第2原稿積載部40が設けられるとともに、この第2原稿積載部40へ原稿を排出する排出ロール21が設けられている。
【0012】
ここで、搬送ロール13は、待機時にはリフトアップされて退避位置に保持され、原稿搬送時にニップ位置(原稿搬送位置)へ降下して第1原稿積載部11上の最上位の原稿を搬送する。またフィードロール14は、搬送ロール13により搬送が開始された原稿を更に下流側へと搬送する。またプレレジロール17は、停止しているレジロール18に原稿先端を突き当ててループを作成する。レジロール18では、ループ作成時にレジロール18に噛み込んだ原稿先端をニップ位置まで戻している。このループが形成されると、バッフル41は支点を中心として開き、原稿のループを妨げることのないように機能する。また、テイクアウェイロール16およびプレレジロール17は、読み込み中におけるループを保持している。このループ形成によって、読み込みタイミングの調整が図られ、また、原稿のスキューが抑制される。
【0013】
一方、スキャナ装置70は、上述した原稿送り装置10を装置フレーム71によって支え、また、原稿送り装置10によって搬送される原稿の画像読み取りを行っている。このスキャナ装置70は、装置フレーム71の上部に、画像を読み込むべき原稿が静止させた状態で載せられる第1プラテンガラス72A、原稿送り装置10によって搬送中の原稿を読み取るための光の開口部を形成する第2プラテンガラス72Bを有している。なお本実施形態では、画像読み取り装置110の奥側に設けられた支点を中心として原稿送り装置10が回転できるようになっている。そして本実施形態では、原稿送り装置10をこの支点を中心として上方に回転させることで原稿送り装置10が上方に移動し、第1プラテンガラス72Aの上に原稿がセットできるようになっている。
【0014】
またスキャナ装置70は、第2プラテンガラス72Bの下に静止し、および第1プラテンガラス72Aの全体に亘ってスキャンして画像を読み込むフルレートキャリッジ73を備えている。またスキャナ装置70は、フルレートキャリッジ73から得られた光を像結合部へ提供するハーフレートキャリッジ75を備えている。フルレートキャリッジ73には、原稿に光を照射する照明ランプ74、原稿から得られた反射光を受光する第1ミラー76Aが設けられている。またハーフレートキャリッジ75には、第1ミラー76Aから得られた光を結像部へ提供する第2ミラー76Bおよび第3ミラー76Cが設けられている。またスキャナ装置70は、第3ミラー76Cから得られた光学像を光学的に縮小する結像用レンズ77、結像用レンズ77によって結像された光学像を光電変換するCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ78を備えている。また、スキャナ装置70には駆動基板79が設けられ、CCDイメージセンサ78によって得られたアナログ画像信号は駆動基板79上でデジタル画像信号に変換される。そして、このデジタル画像信号は処理装置200に送られる。
【0015】
ここで、第1プラテンガラス72Aに載せられた原稿の画像を読み取る場合には、フルレートキャリッジ73とハーフレートキャリッジ75とが、2:1の割合でスキャン方向(矢印方向)に移動する。このとき、フルレートキャリッジ73の照明ランプ74の光が原稿の被読み取り面に照射されると共に、その原稿からの反射光が第1ミラー76A、第2ミラー76B、および第3ミラー76Cの順に反射されて結像用レンズ77に導かれる。結像用レンズ77に導かれた光は、CCDイメージセンサ78の受光面に結像される。CCDイメージセンサ78は1次元のセンサであり、1ライン分を同時に処理している。このライン方向(スキャンの主走査方向)の1ラインの読み取りが終了すると、主走査方向とは直交する方向(副走査方向)にフルレートキャリッジ73は移動し、原稿の次のラインが読み取られる。これを原稿サイズ全体に亘って実行することで、1ページの原稿読み取りが完了する。
【0016】
また、原稿送り装置10によって搬送される原稿を読み取る場合には、原稿送り装置10によって搬送される原稿が第2プラテンガラス72Bの上を通過する。このとき、フルレートキャリッジ73とハーフレートキャリッジ75は、図1に示す実線の位置に停止した状態にある。そして、原稿送り装置10のプラテンロール19を経た原稿の1ライン目の反射光が、第1ミラー76A、第2ミラー76B、および第3ミラー76Cを経て結像用レンズ77にて結像され、CCDイメージセンサ78によって画像が読み込まれる。
【0017】
そして、1次元のセンサであるCCDイメージセンサ78によって主走査方向の1ライン分が同時に処理された後、原稿送り装置10によって搬送される原稿の次の主走査方向の1ラインが読み込まれる。その後、原稿の後端が、第2プラテンガラス72Bの読み取り位置を通過することによって、副走査方向に亘って1ページの読み取りが完了する。なお本実施の形態では、CCDイメージセンサ78により原稿の第一面の読み取りを行うときに、同時に画像読み取りユニット50によって、原稿の第二面の読み取りを行うこととしている。このようにすることで、原稿を何度も搬送することなく一回の搬送で原稿の両面を読み取ることが可能となる。ここで、上記の「同時」とは、時間の完全一致を意味するものではなく、原稿の同一の搬送時に、という意味である。
【0018】
図2は、画像読み取りユニット50を説明するための図である。
画像読み取り用部材の一例としての画像読み取りユニット50は、同図に示すように、プラテンロール19とアウトロール20との間に設けられる。また画像読み取りユニット50は、長尺状に形成されるとともに、原稿の搬送方向と直交する方向(交差する方向)に沿って配置されている。付言すると、画像読み取り装置110のフロント側からリア側にかけて設けられている。ここで、原稿の第一面は、第2プラテンガラス72Bに押し当てられ、上記の通り、この第一面の画像はCCDイメージセンサ78により読み取られる。また、原稿の第二面の画像は、画像読み取りユニット50により読み取られる。
【0019】
画像読み取りユニット50は、原稿の搬送経路側に開口が形成されたハウジング50a、ハウジング50aの上記開口に装着されるガラス51、ハウジング50aに収容されガラス51を介して原稿の第二面に光を照射するLED(Light Emitting Diode)52を備えている。また画像読み取りユニット50には、原稿からの反射光を集光するセルフォックレンズ(登録商標)53(集光部材の一例)が設けられている。さらにセルフォックレンズ53により集光された光を受光しさらに光電変換するラインセンサ54が設けられている。ここでラインセンサ54により得られたアナログ画像信号はデジタル画像信号に変換されて、処理装置200(図1参照)に送られる。
【0020】
受光部の一例としてのラインセンサ54としては、CCDやCMOSセンサ、密着型センサ等を用いることができ、実寸幅(例えばA4長手幅297mm)の画像を読み取ることが可能である。画像読み取りユニット50では、縮小光学系を用いずに、セルフォックレンズ53とラインセンサ54を用いて画像の取り込みを行うことから、構造の簡素化が図られている。また、筐体の小型化、消費電力の低減が図られている。尚、カラー画像を読み込む場合には、LED52にR(赤)G(緑)B(青)の3色のLED光源を組み合わせるか、あるいは白色のLED光源を用い、ラインセンサ54としてRGB3色用の3列一組のセンサを用いれば良い。
【0021】
また画像読み取りユニット50には、原稿をスキャナ装置70側(対向部材60側)に押圧する押圧ユニット55(押圧部材の一例)が取り付けられている。ここで押圧ユニット55は、画像読み取りユニット50のハウジング50aに取り付けられた基部50bを有している。なおこの基部50bは、ハウジング50aに形成された複数の側面のうち原稿の搬送方向上流側に位置する側面に取り付けられている。また基部50bに取り付けられ原稿の搬送方向下流側に向かって延びるガイド部材552が設けられている。なお本実施形態の押圧ユニット55は、画像読み取りユニット50のハウジング50aから取り外せるようになっている。
【0022】
一方で、スキャナ装置70(図1参照)には、原稿の搬送経路を挟み画像読み取りユニット50の対向位置に配置された対向部材60が設けられている。付言すると、本実施形態では、原稿の搬送経路を挟んで相対する二つの領域のうちの一方の領域側に画像読み取りユニット50が配置され、他方の領域側に対向部材60が設けられている。さらに説明すると、画像読み取りユニット50は原稿送り装置10側に設けられているが、対向部材60はスキャナ装置70側に設けられている。また本実施形態では、対向部材60の下流側にガイド61が設けられている。さらに、ガイド61と対向部材60との間には開口部63が形成されている。さらに、ガイド61の下部であって開口部63に連続する箇所には、原稿から生じたごみや汚れを溜めるごみ溜め部62が設けられている。
【0023】
ここでガイド部材552は、基部50bに設けられた回転軸551に対して一端が巻き回されることにより揺動可能に支持されると共に他端である自由端が対向部材60に向かって延びる板状の部材である。また本実施形態における画像読み取りユニット50には、ねじりバネ553が設けられている。このねじりバネ553は、回転軸551に対して巻き回され一方のアームの端部が基部50bに形成された穿孔50cに挿入され、もう一方のアームの端部がガイド部材552を対向部材60方向に向けて付勢している。ここで基部50bは、画像読み取り装置110の奥行き方向に沿って配置された画像読み取りユニット50の両端部の二箇所に設けられている。また回転軸551およびねじりバネ553もこれに対応して二箇所に設けられている。
【0024】
一方、ガイド部材552は、画像読み取り装置110の奥行き方向における前面側から背面側にかけて設けられている。また本実施の形態において、ガイド部材552は、例えばSUS等の金属製の板金(金属板)で構成される。また、ガイド部材552の自由端側つまり原稿と接触する部位には、ヘミング曲げされた折り部552aが設けられている。そして本実施形態では、この折り部552aを設けることにより、ガイド部材552の角部と原稿との接触を防止するようにしている。また本実施形態では、ガイド部材552を金属製の板金で構成すると共にねじりバネ553によって撓み自在とすることで、搬送されてくる原稿の厚み分を吸収するようにしている。また、折り曲げぐせのついた原稿であっても安定して搬送されるようにしている。
【0025】
ここで、原稿案内部材の一例としての対向部材60には、原稿の搬送方向上流側に設けられ搬送される原稿を案内する原稿搬送面60a、原稿搬送面60aよりも原稿の搬送方向下流側に設けられるとともに原稿搬送面60aよりも一段下げて形成された段差面60bが設けられている。ここで、段差面60bは、セルフォックレンズ53による光のフォーカスポイントの延長線と対向するように形成されている。また段差面60b上には、二軸延伸ポリエステルフィルムからなる白基準テープ64が貼り付けられている。本実施の形態では、白基準テープ64の上面が原稿の搬送経路に露出した状態で配置されるとともに、白基準テープ64の上面は、原稿搬送面60aの上面よりもわずかに奥側(搬送経路から離れる側)に位置している。
【0026】
また、対向部材60の搬送経路側(上部)であって原稿の搬送方向に直交する方向の両端部には、原稿搬送方向に向かって延びるリブ65が形成されている。このリブ65は、対向部材60と共に樹脂により一体的に形成されている。そして本実施形態では、このリブ65に対してねじりバネ553により付勢されたガイド部材552が押し付けられることにより、ガイド部材552と対向部材60の原稿搬送面60aとの間に、リブ65の高さに応じた隙間が形成される。また本実施形態では、対向部材60の下側であって第1プラテンガラス72Aの上部側には、この第1プラテンガラス72Aに密着するように取り付けられた白基準板66が設けられている。
【0027】
ここで、上記では説明を省略したが、画像読み取りユニット50は、光学結像レンズにセルフォックレンズ53を採用していることから、焦点(被写界)震度が±0.3mm程度と浅く、スキャナ装置70を用いた場合に比べて約1/13以下の深度となっている。このため、画像読み取りユニット50による読み取りに際しては、原稿の読み取り位置を狭い範囲内に収めることが要求される。そこで本実施の形態では、押圧ユニット55を設け、原稿をこの押圧ユニット55によって対向部材60に押し当てて搬送し、プラテンロール19とアウトロール20との間にある原稿の姿勢を安定させている。
【0028】
図3は、画像読み取りユニット50の斜視図である。なお本図では、上下を逆転させた状態の画像読み取りユニット50を表示している。また本図では、画像読み取りユニット50のうち画像読み取り装置110のリア側(図1における紙面奥側)に設置される部位を表示している。
【0029】
同図に示すように、画像読み取りユニット50の長手方向における一端部には、原稿の搬送経路側に突出し画像読み取りユニット50の位置決めに用いられる2つの突起56(突出部の一例)が設けられている。ここで突起56の長さL1(ハウジング50aの端面からの出寸法)は、4.1mmとなっている。なお図示を省略するが、画像読み取りユニット50の長手方向における他端部にも突起56が1つ設けられている。ここで本実施形態では、この3つの突起56が対向部材60に押し当てられることで、対向部材60に対する画像読み取りユニット50の位置決めが行われる。これにより、搬送される原稿と画像読み取りユニット50との距離に変動が生じることが抑制される。
【0030】
また本実施形態では、画像読み取りユニット50のハウジング50aの側面50e(画像読み取りユニット50の両端に位置する側面50e)から突出する突出片57が設けられている。この突出片57は、ハウジング50aの側面50eから離れた箇所に縁部57aを有するとともに、この縁部57aから上記側面50eに向かうように形成されたU字状の溝57bを有している。ここで画像読み取りユニット50の原稿送り装置10(図1参照)への取り付けは、原稿送り装置10のうちのスキャナ装置70と対峙する面側から画像読み取りユニット50を入れることで行われる。即ち、原稿送り装置10に対して、図1の矢印1A方向から画像読み取りユニット50を入れることで行われる。
【0031】
そして本実施形態では、この取り付け操作が行われる際に、原稿送り装置10側に形成された位置決め用の突起(不図示)が溝57b内に進入するようになっている。そして本実施形態では、溝57bへのこの突起の進入によって、画像読み取りユニット50の位置決めが行われるようになっている。付言すると、原稿の搬送方向における位置決めが行われるようになっている。なお、突出片57に対して長穴や丸穴などを形成し、この長穴や丸穴に上記位置決め用の突起を挿入することでも、画像読み取りユニット50の位置決めを行うことができるが、この場合、後述する第2画像読み取り装置に対しての画像読み取りユニット50の取り付けが困難となる。付言すると、画像読み取りユニット50の共用化が困難となる(詳細は後述)。このため本実施形態では、突出片57に対し、長穴や丸穴ではなく縁部57a側が開放された溝57bを形成するようにしている。
【0032】
図4は、対向部材60のうちの突起56を支持する部位を拡大して示した図である。
上記では説明を省略したが、画像読み取り装置110のリア側且つ対向部材60に形成された段差面60b(図2も参照)には、画像読み取りユニット50に形成された上記突起56が入り込む凹部68(第1の凹部の一例)が形成されている。そして本実施形態では、この凹部68に対し突起56が入り込むことで、画像読み取りユニット50の更なる位置決めが行われている。ここで対向部材60のうち凹部68が形成された箇所は、突出部として機能する突起56の移動を規制する規制部として捉えることができる。なお図示は省略するが、本実施形態では、画像読み取り装置110のフロント側(手前側)にも、画像読み取りユニット50の他端部側に形成された突起56(不図示)が入り込む凹部(第2の凹部の一例)が形成されている。
【0033】
上記のとおり、本実施形態では、画像読み取り装置110側に形成された位置決め用の突起(不図示)を溝57b(図3参照)内に進入させることで画像読み取りユニット50の位置決めを行っている。そして本実施形態では、この位置決めに加え、凹部68および突起56を用いて更に位置決めを行っている。ここでこのように、凹部68および突起56によってさらに位置決めを行うことで、画像読み取りユニット50の振動や変位をより効果的に抑制可能となる。また本実施形態では、図2に示すように、段差面60bに傾斜が付与されている。このため、凹部68に対して突起56を入り込ませて位置決めを行うことで、画像読み取りユニット50の変位がさらに生じにくくなる。
【0034】
ここで本実施形態では、図4に示すように、段差面60bから0.15mm離れた箇所を、原稿が通過するようになっている。付言すると、段差面60bは、原稿を案内する原稿搬送面60a(図2参照)よりも下方に位置しており、原稿は、段差面60bの上方を通過するようになっている。また本実施形態では、セルフォックレンズ53による光のフォーカスポイント(焦点位置)と、画像読み取りユニット50の下面との距離が3.6mmとなっている。一方で、突起56の長さL1は、上記のとおり4.1mmとなっている。このため本実施形態では、凹部68の深さD1を0.35mmとして、原稿の搬送経路の位置と上記フォーカスポイントの位置とを一致させている。
【0035】
図5は、画像読み取り装置の他の一形態を示した図である。なお上記と同様の機能については、同様の符号を用いここではその説明を省略する。また以下の説明では、図1に示した画像読み取り装置110を第1画像読み取り装置110と称し、図5に示す画像読み取り装置110を第2画像読み取り装置110と称する。
【0036】
図1で示した第1画像読み取り装置110では、プラテンロール19とアウトロール20との間に画像読み取りユニット50が設けられている場合を説明した。ところで、画像読み取りユニット50は、プラテンロール19とアウトロール20との間に限られず、図5に示すように、アウトロール20と排出ロール21との間に設けることができる。また本実施形態では、画像読み取りユニット50の共用ができるようになっており、図1〜図3にて示した画像読み取りユニット50と同じ画像読み取りユニット50が、図5にて示す第2画像読み取り装置110に装着されている。さらに、この第2画像読み取り装置110では、中速度で原稿を搬送している。またこの第2画像読み取り装置110では、原稿の表面の画像読み取り位置(CCDイメージセンサ78による画像の読み取り位置)から離れた箇所に画像読み取りユニット50を設置している。
【0037】
図6は、図5にて示した第2画像読み取り装置110のうちの画像読み取りユニット50が装着された箇所を拡大して示した図である
ここで第2画像読み取り装置110では、上記と同様に、原稿の搬送経路を挟み画像読み取りユニット50の対向位置に対向部材60が設けられている。さらにこの対向部材60には、上記と同様、搬送される原稿を案内する原稿搬送面60aが設けられている。また本実施形態では、原稿搬送面60aのうちの画像読み取りユニット50と対峙する部位に載せられ且つ板状に形成され、搬送される原稿を案内する第1案内部材81が設けられている。
【0038】
さらに、第1案内部材81および原稿搬送面60aに対向するように設けられ、搬送される原稿の案内を行う第2案内部材82が設けられている。ここで原稿は、図6の破線に示すように、第2案内部材82と原稿搬送面60aとの間、第2案内部材82と第1案内部材81との間を通過していく。ここで本実施形態では、第2案内部材82によって原稿が対向部材60側に押し付けられるようになっている。このため図6に示す画像読み取りユニット50では、押圧ユニット55(図2参照)を取り外している。
【0039】
なお第2画像読み取り装置110では、図6に示すように、原稿の搬送方向において、排出ロール21の上流側に、搬送されてくる原稿を原稿搬送面60aが設けられている側に案内する第3案内部材83が設けられている。また上記では図示を省略したが、画像読み取りユニット50のハウジング50aの側面50f(原稿の搬送方向の下流側に位置する側面50f)にも、搬送されてくる原稿を案内する案内部84が設けられている。
【0040】
ここで、第2画像読み取り装置110への画像読み取りユニット50の取り付け方法を説明する。図5に示す第2画像読み取り装置110では、第2画像読み取り装置110のフロント側(図5の紙面の手前側)から原稿送り装置10に対して画像読み取りユニット50を挿入することで、第2画像読み取り装置110に対する画像読み取りユニット50の取り付けが行われる。そして本実施形態では、この挿入が行われる際に、第2画像読み取り装置110側に形成された位置決め用の突起(不図示)が溝57b(図3参照)内に進入するようになっている。そして本実施形態では、溝57bへのこの突起の進入によって、画像読み取りユニット50の位置決めが行われるようになっている。付言すると、原稿の搬送方向における位置決めが行われるようになっている。
【0041】
ここで上記にて説明したが、第1画像読み取り装置110では、原稿送り装置10のうちのスキャナ装置70と対峙する面側から画像読み取りユニット50を入れるため(図1の矢印1A参照)、突出片57に対して長穴や丸穴などを形成しても、画像読み取りユニット50の取り付け(位置決め)を行うことができる。ところで、第2画像読み取り装置110では、画像読み取りユニット50の装着を上記のように挿入して行うことから、突出片57に対し長穴や丸穴などが形成されていると、この長穴や丸穴の内部に、上記位置決め用の突起を配置することが困難となる。このため上記にて説明したように、突出片57には、長穴や丸穴ではなく縁部57a(図3参照)側が開放された溝57bを形成するようにしている。そしてこの場合、同じ型の画像読み取りユニット50が、第1画像読み取り装置110および第2画像読み取り装置110の両者に装着できるようになり、画像読み取りユニット50の共用化が実現されるようになる。
【0042】
図7は、図6にて示した対向部材60のうちの突起56を支持する部位を拡大して示した図である。
第2画像読み取り装置110では、原稿搬送面60aに突起56が接触しこの原稿搬送面60aにより突起56が支持される。また第2画像読み取り装置110では、第1案内部材81(図6参照)が原稿搬送面60a上に設けられているために、原稿搬送面60aから離れた箇所を原稿が通過するようになる。より具体的には、原稿搬送面60aから0.5mm離れた箇所を原稿が通過する。また、セルフォックレンズ53による光のフォーカスポイントと、画像読み取りユニット50の下面との距離は、上記にて説明したように、3.6mmとなっている。また突起56の長さL1は、上記のとおり4.1mmとなっている。このため本実施形態では、上記のような凹部68(図4参照)を形成せずとも、原稿の搬送経路の位置と上記フォーカスポイントの位置とが一致するようになっている。
【0043】
ここで、上記第1画像読み取り装置110と第2画像読み取り装置110では、突起56が接触する接触面から原稿の搬送経路までの距離が異なっている。付言すると、上記第1画像読み取り装置110と第2画像読み取り装置110では、原稿が通過していく箇所が異なっている。このため、画像読み取りユニット50を単に設置しただけでは、第1画像読み取り装置110および第2画像読み取り装置110のいずれか一方または両方にて、セルフォックレンズ53による光のフォーカスポイントと原稿の搬送経路とにずれが生じてしまう。そしてこの場合、画像読み取りユニット50の共用化が困難となる。
【0044】
このため本実施形態では、図4にて示したように、第1画像読み取り装置110の対向部材60に凹部68を形成し、この凹部68内に突起56をもぐり込ませている。これにより、セルフォックレンズ53による光のフォーカスポイントと原稿の搬送経路とにずれが生じることが抑制される。そしてこの場合、共通の画像読み取りユニット50を第1画像読み取り装置110および第2画像読み取り装置110の両者に用いることができるようになる。即ち、画像読み取りユニット50の共用化ができるようになる。
【符号の説明】
【0045】
50…画像読み取りユニット、53…セルフォックレンズ、54…ラインセンサ、55…押圧ユニット、56…突起、60…対向部材、68…凹部、110…画像読み取り装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿の搬送経路を挟んで相対する二つの領域のうちの一方の領域側に配置され、受光部と、原稿からの反射光を当該受光部に集光する集光部材と、を有するとともに、当該搬送経路が設けられている側に突出する突出部を備え、原稿上の画像の読み取りに用いられる画像読み取り用部材と、
前記二つの領域のうちの他方の領域側に配置され、前記画像読み取り用部材に設けられた前記突出部が入り込む凹部が形成され、前記搬送経路を挟み当該画像読み取り用部材に対向して配置される対向部材と、
を備える画像読み取り装置。
【請求項2】
前記画像読み取り用部材には、前記搬送経路を搬送される前記原稿を前記対向部材側に押圧する押圧部材が取り付けられ、
前記押圧部材は、前記画像読み取り用部材から取り外し可能に設けられていることを特徴とする請求項1記載の画像読み取り装置。
【請求項3】
前記対向部材のうち前記突出部と対峙する箇所には傾斜面が形成されており、
前記凹部は、前記傾斜面に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像読み取り装置。
【請求項4】
前記画像読み取り用部材は、長尺状に形成され、
前記突出部は、前記画像読み取り用部材の長手方向における一端および他端のそれぞれに設けられ、
前記対向部材には、前記凹部として、前記画像読み取り用部材の前記一端に設けられた前記突出部が入り込む第1の凹部と、前記他端に設けられた前記突出部が入り込む第2の凹部とが少なくとも形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の画像読み取り装置。
【請求項5】
前記集光部材の焦点が前記搬送経路上に位置するように前記凹部の深さが設定されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の画像読み取り装置。
【請求項6】
原稿の搬送経路を挟んで相対する二つの領域のうちの一方の領域側に配置され、受光部と、原稿からの反射光を当該受光部に集光する集光部材と、を有するとともに、当該搬送経路が設けられている側に突出する突出部を備え、原稿上の画像の読み取りに用いられる画像読み取り用部材と、
前記二つの領域のうちの他方の領域側に配置され、前記搬送経路を搬送される前記原稿の案内を行うとともに、前記画像読み取り用部材に設けられた前記突出部の移動を規制する規制部を有した原稿案内部材と、
を含む画像読み取り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−104936(P2012−104936A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−249934(P2010−249934)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】