説明

画像読み取り装置

【課題】読み取った画像にピンぼけが発生することを抑制できる画像読み取り装置を提供することである。
【解決手段】ガラス46は、主面S1,S2を有する。搬送ローラ対24は、主面S1上を通過するように原稿Pを搬送する。センサ41は、主面S2に対向し、かつ、主面S1上の読み取り位置A2を通過する原稿Pを読み取る。段差部材50は、主面S1上において、読み取り位置A1よりも原稿Pの搬送方向の上流側に段差51を形成する。調整機構52は、原稿Pの読み取り時における段差51と読み取り位置A2との搬送方向の距離を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読み取り装置に関し、特に、搬送されてくる原稿を読み取り位置において読み取る画像読み取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像読み取り装置としては、例えば、特許文献1に記載の原稿読取装置が知られている。特許文献1に記載の原稿読取装置では、読取ガラスの表面上を通過する原稿を、読取ガラスの読取位置において読取センサにより読み取りガラスの裏面側から読み取っている。そして、読取ガラスの表面上であって、読取位置より原稿の搬送方向の上流側には、段差部材が配置されている。これにより、原稿読取装置では、原稿が読取ガラスに接触することを防止し、原稿から読取ガラスに汚れが付着することを防止している。
【0003】
ところで、特許文献1に記載の原稿読取装置は、CCD(Charge Coupled Devices)方式によって、原稿を読み取っている。CCD方式では、高速で原稿を読み取ることができるなどの利点がある。その一方で、CCD方式では、センサの前に配置されるレンズの焦点距離が長いため、光路を折り返すためのミラーが必要となる。その結果、CCD方式では、原稿読取装置が大型化するという欠点がある。これに対して、CIS(Contact Image Sensor)方式が知られている。CIS方式が採用された画像読み取り装置では、例えば、CMOSがセンサとして用いられる。CIS方式では、センサの前に配置されるレンズの焦点距離が短いため、ミラーが不要となり、画像読み取り装置を小型化できるという利点がある。
【0004】
しかしながら、CIS方式が採用された画像読み取り装置は、焦点深度が浅いため、原稿とセンサとの距離がわずかにずれただけで、ピントがずれてしまうという問題を有する。例えば、画像読み取り装置の製造ばらつきによって、センサやレンズ等の取り付け位置がわずかにずれただけでも、読み取った画像にピンぼけが発生してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−92662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の目的は、読み取った画像にピンぼけが発生することを抑制できる画像読み取り装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態に係る画像読み取り装置は、第1の主面及び第2の主面を有する透明板と、前記第1の主面上を通過するように原稿を搬送する搬送手段と、前記第2の主面に対向し、かつ、前記第1の主面上の読み取り位置を通過する前記原稿を読み取る読み取り手段と、前記第1の主面上において、前記読み取り位置よりも前記原稿の搬送方向の上流側に段差を形成する段差部材と、前記原稿の読み取り時における前記段差と前記読み取り位置との前記搬送方向の距離を調整するための調整手段と、を備えていること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、読み取った画像にピンぼけが発生することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】画像読み取り装置の全体構成を示した図である。
【図2】読み取りユニット及びその周辺の拡大図である。
【図3】図2の読み取りユニットのX−Xにおける断面構造図である。
【図4】読み取り位置を通過する原稿の拡大図である。
【図5】第1の変形例に係る画像読み取り装置の読み取りユニットの断面構造図である。
【図6】読み取り位置を通過する原稿の拡大図である。
【図7】読み取りユニット及びその周辺の拡大図である。
【図8】第2の変形例に係る画像読み取り装置の読み取りユニットの断面構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(画像読み取り装置の構成)
以下に、本発明の一形態に係る画像読み取り装置10の構成について図面を参照しながら説明する。図1は、画像読み取り装置10,10a,10bの全体構成を示した図である。
【0011】
画像読み取り装置10は、プラテンガラス上をADF(Auto Document Feeder)機構により原稿を通過させて読み取る装置である。画像読み取り装置10は、図1に示すように、制御部11、ピックアップローラ12、給紙ローラ14、搬送ローラ対16,18,20,24,26、排紙ローラ28、読み取りユニット30,32、ローラ34,36、ガイドG、トレイT1,T2及びセンサSenを備えている。
【0012】
トレイT1上には、読み取り前の原稿Pが積載される。トレイT1は、右端を中心として左端が上下に揺動することができる。具体的には、原稿PがトレイT1から取り出されない場合には、トレイT1の左端は、図1に示すように、下方に位置している。一方、原稿PがトレイT1から取り出される際には、トレイT1の左端が上昇する。以下では、トレイT1に積載された状態において、上側に位置する原稿Pの主面を表面と呼び、下側に位置する原稿Pの主面を裏面と呼ぶ。
【0013】
ガイドGは、画像読み取り装置10において複数設けられており、原稿Pの搬送路Rを構成している部材である。図1では、代表的なガイドGにのみ参照符号を付してある。搬送路Rは、U字を時計回りに90度回転させた形状をなしている。
【0014】
ピックアップローラ12は、搬送路Rの上流端に設けられており、トレイT1上の原稿Pを一枚ずつ取り出して、搬送路R内に送り込む。より詳細には、原稿Pの読み取りが行われる際には、トレイT1の左端が上昇する。これにより、トレイT1上に積載されている複数の原稿Pの内の最も上側に位置する原稿Pにピックアップローラ12が接触する。ピックアップローラ12は、図示しない動力源により回転させられている。これにより、原稿Pは、ピックアップローラ12により搬送路R内へと送り込まれる。
【0015】
給紙ローラ14及び搬送ローラ対16,18,20,24,26はそれぞれ、搬送路Rを挟む1対のローラにより構成されている。給紙ローラ14及び搬送ローラ対16,18,20,24,26は、搬送路R上においてこの順に並ぶように設けられており、原稿Pを搬送路Rに沿って搬送する。
【0016】
読み取りユニット30は、搬送路Rの読み取り位置A1において、該読み取り位置A1を通過する原稿Pの表面を読み取る。読み取り位置A1は、搬送ローラ対20と搬送ローラ対24との間に位置している。読み取りユニット30は、CCD方式によって、原稿Pの表面を読み取る。なお、読み取りユニット30の構成は、一般的な構成であるので、これ以上の詳細な説明を省略する。
【0017】
ローラ34は、読み取り位置A1において、搬送路Rを挟んで読み取りユニット30と対向している。ローラ34の下半分は、白色の円柱である。ローラ34の上半分には、ブラシが設けられている。ローラ34の下半分は、読み取りユニット30が原稿Pの表面を読み取る際にシェーディング補正を行うために用いられる。ローラ34の上半分は、読み取りユニット30の読み取り位置A1を清掃するために用いられる。
【0018】
読み取りユニット32は、搬送路Rの読み取り位置A2において、該読み取り位置A2を通過する原稿Pの裏面を読み取る。読み取り位置A2は、搬送ローラ対24と搬送ローラ対26との間に位置している。読み取りユニット30は、CIS方式によって、原稿Pの裏面を読み取る。図2は、読み取りユニット32及びその周辺の拡大図である。図3は、図2の読み取りユニット32のX−Xにおける断面構造図である。図2において、読み取りユニット32下において原稿Pが搬送される方向をx軸方向と定義する。また、水平方向であって、かつ、x軸方向に直交する方向をy軸方向と定義する。また、x軸方向とy軸方向とに直交する方向をz軸方向と定義する。
【0019】
読み取りユニット32は、搬送ローラ対24により搬送されてきた原稿Pの裏面を読み取り、図2に示すように、本体40、センサ41、レンズ42、光源44a,44b、ガラス(透明板)46、段差部材50及び調整機構52を含んでいる。
【0020】
本体40は、図2に示すように、搬送路Rよりもz軸方向の正方向側に設けられており、z軸方向の負方向側の面が開口した箱状をなしている。本体40は、センサ41、レンズ42及び光源44a,44bを収容している。
【0021】
ガラス46は、図2に示すように、本体40のz軸方向の負方向側の開口を塞ぐ透明板であり、主面S1,S2を有している。主面S1は、z軸方向の負方向側に位置する面であり、主面S2は、z軸方向の正方向側に位置する面である。
【0022】
搬送ローラ対24は、図2に示すように、主面S1上を通過するように原稿Pを搬送する。搬送ローラ対26は、主面S1上を通過した原稿PをトレイT2へと搬送する。搬送ローラ対24と搬送ローラ対26との間の搬送路Rは、図2に示すように、z軸方向の正方向側に突出するように湾曲している。これにより、搬送ローラ対24,26は、原稿Pがガラス46に向かって突出するように原稿Pを湾曲させた状態で搬送する。原稿Pは、読み取り位置A2においてガラス46に最も近づくように湾曲する。
【0023】
光源44a,44bは、図2に示すように、本体40内に設けられており、主面S1上の読み取り位置A2に向かって光を放射する。レンズ42は、等倍レンズであり、光源44a,44bが放射した光であって、原稿Pにおいて反射した光を集光する。
【0024】
センサ41は、図2に示すように、ガラス46よりもz軸方向の正方向側に設けられることにより主面S2に対向し、かつ、主面S1上の読み取り位置A2を通過する原稿Pを読み取る受光素子(例えば、CMOS)である。より詳細には、センサ41は、本体40の内周面の内のz軸方向の正方向側に位置する内周面に取り付けられている。すなわち、センサ41は、レンズ42よりもz軸方向の正方向側に設けられている。これにより、レンズ42を通過した光は、センサ41の受光面に集光する。このように、センサ41は、CIS(コンタクトイメージセンサー)方式により原稿Pの裏面を読み取る。
【0025】
ローラ36は、図2に示すように、読み取り位置A2において、搬送路Rを挟んで読み取りユニット32と対向している。ローラ36の上半分は、白色の円柱である。ローラ36の下半分には、ブラシが設けられている。ローラ36の上半分は、読み取りユニット32が原稿Pの裏面を読み取る際にシェーディング補正を行うために用いられる。ローラ36の下半分は、読み取りユニット32のガラス46の主面S1を清掃するために用いられる。
【0026】
段差部材50は、主面S1上を通過する原稿P上の汚れが主面S1への接触により主面S1に付着することを防止するために設けられており、図2に示すように、主面S1上において、読み取り位置A2よりも原稿Pの搬送方向の上流側(すなわち、x軸方向の負方向側)に段差51を形成するシートである。より詳細には、段差部材50は、所定の厚さを有しており、主面S3,S4を有している。主面S3は、z軸方向の負方向側に位置しており、搬送路Rに面している。主面S4は、z軸方向の正方向側に位置しており、ガラス46に面している。そして、主面S3は、主面S1よりも、段差部材50の厚みの分だけz軸方向の負方向側に位置している。これにより、ガラス46の主面S1上には、段差51が形成されている。段差51が形成されることにより、z軸方向の正方向側に突出するように湾曲している原稿Pは、段差51に接触するようになる。そして、原稿Pは、段差51によりz軸方向の負方向側に押さえつけられて、主面S3よりもz軸方向の正方向側に大きくはみ出すことがなくなり、ガラス46に接触しなくなる。
【0027】
調整機構52は、原稿Pの読み取り時における段差51と読み取り位置A2との搬送方向(すなわち、x軸方向)の距離を調整する。画像読み取り装置10では、調整機構52は、段差部材50をx軸方向に移動させる機構である。調整機構52は、図2及び図3に示すように、ホルダ54、ガイドピン56a,56b,58a,58b、レール60,62及び螺子63により構成されている。なお、図3には、画像読み取り装置10の筐体100,102も示されている。また、図2及び図3では、ガイドピン58bは、影に隠れているので示されていない。
【0028】
ホルダ54は、図3に示すように、x軸方向の負方向側から平面視したときに、z軸方向の正方向側が開口しているコ字型の断面形状を有する部材である。より詳細には、ホルダ54は、底面部54a、側面部54b,54c及び固定部54dからなる。底面部54aは、読み取りユニット32のz軸方向の負方向側に位置し、y軸方向に延在する長方形状の板である。そして、底面部54aのy軸方向の両端は、読み取りユニット32からはみ出している。また、底面部54aのz軸方向の負方向側の主面には、段差部材50が取り付けられている。
【0029】
側面部54b,54cはそれぞれ、底面部54aの、y軸方向の正方向側の端部及びy軸方向の負方向側の端部に接続されており、z軸方向の正方向側に向かって延在している。固定部54dは、側面部54bのz軸方向の正方向側の端部に接続されており、側面部54bよりもy軸方向の正方向側に位置している。固定部54dについては後述する。
【0030】
ガイドピン56a,56bは、図2及び図3に示すように、側面部54bからy軸方向の正方向側に向かって突出している。ガイドピン56aは、図2に示すように、ガイドピン56bよりもx軸方向の正方向側に位置している。
【0031】
ガイドピン58a,58bは、図2及び図3に示すように、側面部54cからy軸方向の負方向側に向かって突出している。ガイドピン58aは、ガイドピン58bよりもx軸方向の正方向側に位置している。
【0032】
レール60は、筐体100に取り付けられており、x軸方向に延在する2本の平行なレール部材により構成されている。ガイドピン56a,56bは、レール60を構成している2本のレール部材間に挿入される。レール62は、筐体100に取り付けられており、x軸方向に延在する2本の平行なレール部材により構成されている。ガイドピン58a,58bは、レール62を構成している2本のレール部材間に挿入される。これにより、ガイドピン56a,56b,58a,58bは、レール60,62に沿ってx軸方向にスライドすることができる。よって、ホルダ54及び段差部材50は、x軸方向にスライドすることができる。その結果、調整機構52は、原稿Pの読み取り時における段差51と読み取り位置A2との搬送方向(すなわち、x軸方向)の距離を調整することが可能である。
【0033】
螺子63は、固定部54dを筐体100に固定する。これにより、ホルダ54は、画像読み取り装置10に対して固定され、段差部材50が、画像読み取り装置10に対して固定される。
【0034】
排紙ローラ28は、搬送ローラ対26により搬送されてきた原稿PをトレイT2へと出力する。トレイT2には、画像が読み取られた原稿Pが積載される。
【0035】
センサSenは、搬送路Rにおいて搬送ローラ対16と搬送ローラ対18との間に設けられ、原稿Pの腰の強さに関する情報を取得する。画像読み取り装置10では、センサSenは、原稿Pの厚さに関する情報を取得している。なお、センサSenは、本実施形態に係る画像読み取り装置10では特に利用されることはないが、後述する変形例に係る画像形成装置10bにおいて利用される。
【0036】
以上のように構成された画像読み取り装置10では、例えば、読み取りユニット32の製造ばらつきによって焦点位置がずれた場合及び画像読み取り装置10に製造がばらつき生じた場合などによって、センサ41の搭載位置がわずかにずれたときには、センサ41と原稿Pとの距離が所望の距離から変動し、読み取った画像にピンぼけが発生してしまう。そこで、画像読み取り装置10では、画像読み取り装置10の組み立て者が、以下に説明する調整を行う。
【0037】
組み立て者は、読み取った画像にピンぼけが発生する場合には、調整機構52により、段差51をx軸方向に移動させる。具体的には、組み立て者は、センサ41と原稿Pとの距離が画像のピントが合う所定距離よりも短い場合には、原稿Pが主面S1から遠ざかるように、段差51を移動させる。すなわち、組み立て者は、ホルダ54をx軸方向の正方向側に移動させた後、螺子63によりホルダ54を筐体100に固定する。一方、組み立て者は、センサ41と原稿Pとの距離が画像のピントが合う所定距離よりも長い場合には、原稿Pが主面S1から近づくように、段差51を移動させる。すなわち、組み立て者は、ホルダ54をx軸方向の負方向側に移動させた後、螺子63によりホルダ54を筐体100に固定する。
【0038】
(効果)
本実施形態に係る画像読み取り装置10によれば、読み取った画像にピンぼけが発生することを抑制できる。図4は、読み取り位置A2を通過する原稿Pの拡大図である。図4(a)における段差51は、図4(b)における段差51よりもx軸方向の負方向側に位置している。
【0039】
CIS方式が採用された画像読み取り装置は、焦点深度が浅いため、原稿とセンサとの距離がわずかにずれただけで、ピントがずれてしまうという問題を有する。例えば、画像読み取り装置の製造ばらつきによって、センサの取り付け位置がわずかにずれただけでも、読み取った画像にピンぼけが発生してしまう。
【0040】
そこで、画像読み取り装置10では、調整機構52が設けられている。調整機構52は、原稿Pの読み取り時における段差51と読み取り位置A2とのx軸方向における距離を調整するための機構である。具体的には、調整機構52は、図4に示すように、段差部材50をx軸方向に移動させることによって、段差51をx軸方向に移動させる。そして、図4(a)に示すように、段差51が相対的にx軸方向の負方向側に位置している場合には、原稿Pは、段差51よりもx軸方向の正方向側において相対的に大きく撓む。そのため、原稿Pと主面S1との距離が相対的に短くなる。一方、図4(b)に示すように、段差51が相対的にx軸方向の正方向側に位置している場合には、原稿Pは、段差51よりもx軸方向の正方向側において相対的に小さく撓む。そのため、原稿Pと主面S1との距離が相対的に大きくなる。
【0041】
以上のように、調整機構52により段差51を移動させることにより、読み取り位置A1における原稿Pのz軸方向の位置を移動させることができる。よって、画像読み取り装置10では、センサ41と原稿Pとの距離を適切な距離に調整することができる。その結果、画像読み取り装置10では、読み取った画像にピンぼけが発生することを抑制できる。
【0042】
(第1の変形例)
次に、第1の変形例に係る画像読み取り装置10aについて図面を参照しながら説明する。図5は、第1の変形例に係る画像読み取り装置10aの読み取りユニット32aの断面構造図である。なお、画像読み取り装置10aの構成図は、図1を援用する。
【0043】
画像読み取り装置10aでは、調整機構52aは、以下に説明するように、画像読み取り装置10aの外部から操作可能に構成されている。画像読み取り装置10aでは、筐体100のy軸方向の正方向側に外板104が設けられている。外板104は、画像読み取り装置10aの表面を構成しているパネルである。
【0044】
調整機構52aは、図5に示すように、レバー70を更に備えている。レバー70は、ホルダ54の側面部54aからy軸方向の正方向側に向かって延在しており、筐体100及び外板104を貫通して、画像読み取り装置10外に突出している。これにより、レバー70をx軸方向にスライドさせることにより、ホルダ54をx軸方向にスライドさせることが可能である。
【0045】
また、画像読み取り装置10aにおいて、螺子63は、画像読み取り装置10a外から、ホルダ54を外板104及び筐体100に固定している。このように、画像読み取り装置10aでは、画像読み取り装置10aの外部から調整機構52aを操作することができると共に、画像読み取り装置10aの外部からホルダ54を固定することができる。
【0046】
第1の変形例に係る画像読み取り装置10aによれば、画像読み取り装置10と同様に、画像読み取り装置10aの製造ばらつきに起因するピンぼけの発生を抑制できる。
【0047】
また、画像読み取り装置10aによれば、原稿Pの腰の強さが変化することによって、読み取った画像にピンぼけが発生することを抑制できる。図6は、読み取り位置A2を通過する原稿Pa,Pbの拡大図である。図6(a)における段差51は、図6(b)における段差51よりもx軸方向の負方向側に位置している。
【0048】
原稿Paは、相対的に腰の強い原稿であり、例えば、厚紙等である。原稿Pbは、相対的に腰の弱い原稿であり、例えば、普通紙等である。図6(a)に示すように、原稿Paは、相対的に腰が強いため、段差51に接触しているにもかかわらず、段差51よりもx軸方向の正方向側において相対的に大きく撓む。そのため、原稿Paと主面S1との距離が相対的に短くなる。一方、図6(b)に示すように、原稿Pbは、相対的に腰が弱いため、段差51により押さえつけられて、段差51よりもx軸方向の正方向側において相対的に小さくしか撓まない。そのため、原稿Pbと主面S1との距離が相対的に大きくなる。このように、原稿Pa,Pbの腰の強さによって、原稿Pa,Pbと主面S1との距離が変動する。その結果、画像読み取り装置10aでは、原稿Pa,Pbのいずれか一方において、読み取った画像にピンぼけが発生する。以下では、原稿Paにおいて、読み取った画像にピンぼけが発生するものとする。
【0049】
そこで、画像読み取り装置10aでは、調整機構52aは、画像読み取り装置10aの外部から操作可能に構成されている。そのため、ユーザは、図6(b)に示すように、厚紙原稿使用時にはレバー70をx軸方向の正方向側に移動させることによって、段差51をx軸方向の正方向側に移動させればよい。これにより、図6(b)に示すように、原稿Paと主面S1との距離は、原稿Pbと主面S1との距離に近づく。その結果、原稿Paにおいて、読み取った画像にピンぼけが発生することが抑制される。
【0050】
(第2の変形例)
次に、第2の変形例に係る画像読み取り装置10bについて図面を参照しながら説明する。図7は、読み取りユニット32b及びその周辺の拡大図である。図8は、第2の変形例に係る画像読み取り装置10bの読み取りユニット32bの断面構造図である。なお、画像読み取り装置10bの構成図は、図1を援用する。
【0051】
画像読み取り装置10bの読み取りユニット32bは、図7及び図8に示すように、モーター80及びピニオンギア82を更に備えている。また、調整機構52bは、図7及び図8に示すように、ラックギア84を備えている。
【0052】
モーター80及びピニオンギア82は、調整機構52bを動作させる駆動手段である。モーター80は、図8に示すように、筐体102に取り付けられている。ピニオンギア82は、モーター80のシャフトの先端に取り付けられている。
【0053】
ラックギア84は、図7及び図8に示すように、ホルダ54の側面部54cのz軸方向の正方向側の端部に取り付けられており、x軸方向に延在している。そして、ピニオンギア82とラックギア84とラックギアは、互いにかみ合うことにより、ラックアンドピニオンを構成している。これにより、モーター80が駆動することにより、ピニオンギア82が回転し、ラックギア84がx軸方向に移動する。これに伴って、ホルダ54がx軸方向に移動し、段差部材50がx軸方向に移動する。
【0054】
次に、画像読み取り装置10bの動作について説明する。画像読み取り装置10bでは、センサSenは、原稿Pの腰の強さに関する情報(原稿Pが厚紙であるのか又は普通紙であるのかの情報)を取得する。制御部11は、センサSenが取得した情報に基づいて、モーター80に調整機構52bを動作させる。具体的には、制御部11は、原稿Pの腰が強くなるにしたがって、段差51と読み取り位置A1とのx軸方向における距離が小さくなるように、モーター80に調整機構52bを動作させる。例えば、制御部11は、原稿Pが普通紙である場合には、段差51を基準となる位置からx軸方向の正方向側に距離L1だけ移動させる。一方、制御部11は、原稿Pが厚紙である場合には、段差51を基準となる位置からx軸方向の正方向側に距離L2(>L1)だけ移動させる。これにより、原稿読取装置10bでは、読み取った画像にピンぼけが発生することが自動的に抑制される。なお、画像形成装置10bでは、原稿Pの腰の強さに関する情報に応じて、段差51の移動距離が多段階で調整されてもよい。
【0055】
なお、画像読み取り装置10bでは、制御部11は、原稿Pの腰の強さに関する情報(原稿Pが厚紙であるのか又は普通紙であるのかの情報)をセンサSenから取得しているが、例えば、操作パネルを介して原稿Pの種類をユーザが入力することによって、該情報を取得してもよい。
【0056】
また、画像読み取り装置10,10a,10bにおいて、調整機構52,52a,52bは、段差部材50をx軸方向に移動させているが、センサ41をx軸方向に移動させてもよい。センサ41がx軸方向が移動することによって、読み取り位置A2がx軸方向に移動し、原稿Pの読み取り時における段差51と読み取り位置A2とのx軸方向の距離が調整される。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、画像読み取り装置に有用であり、特に、読み取った画像にピンぼけが発生することを抑制できる点において優れている。
【符号の説明】
【0058】
A2 読み取り位置
S1,S2 主面
Sen センサ
10,10a,10b 画像読み取り装置
11 制御部
14 給紙ローラ
16,18,20,24,26 搬送ローラ対
30,32,32a,32b 読み取りユニット
40 本体
41 センサ
42 レンズ
44a,44b 光源
46 ガラス
50 段差部材
51 段差
52,52a,52b 調整機構
70 レバー
80 モーター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の主面及び第2の主面を有する透明板と、
前記第1の主面上を通過するように原稿を搬送する搬送手段と、
前記第2の主面に対向し、かつ、前記第1の主面上の読み取り位置を通過する前記原稿を読み取る読み取り手段と、
前記第1の主面上において、前記読み取り位置よりも前記原稿の搬送方向の上流側に段差を形成する段差部材と、
前記原稿の読み取り時における前記段差と前記読み取り位置との前記搬送方向の距離を調整するための調整手段と、
を備えていること、
を特徴とする画像読み取り装置。
【請求項2】
前記読み取り手段は、コンタンクトイメージセンサー方式によって、前記原稿を読み取ること、
を特徴とする請求項1に記載の画像読み取り装置。
【請求項3】
前記調整手段は、前記段差部材を前記搬送方向に移動させる機構であること、
を特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の画像読み取り装置。
【請求項4】
前記調整手段は、前記画像読み取り装置の外部から操作可能に構成されていること、
を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の画像読み取り装置。
【請求項5】
前記調整手段を動作させる駆動手段を、
更に備えていること、
を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の画像読み取り装置。
【請求項6】
前記原稿の腰の強さに関する情報を取得する情報取得手段と、
前記情報に基づいて、前記駆動手段に前記調整手段を動作させる制御部と、
更に備えていること、
を特徴とする請求項5に記載の画像読み取り装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記原稿の腰が強くなるにしたがって、前記段差と前記読み取り位置との前記搬送方向における距離が小さくなるように、前記駆動部に前記調整手段を動作させること、
を特徴とする請求項6に記載の画像読み取り装置。
【請求項8】
前記搬送手段は、前記原稿が前記透明板に向かって突出するように該原稿を湾曲させた状態で搬送すること、
を特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の画像読み取り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−204907(P2012−204907A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−65421(P2011−65421)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】