説明

画像読取り装置

【課題】エレクトロルミネッセンス(EL)素子を光源として利用し、必要な光量を確保でき、かつ、小型化・薄型化を達成できるシートスルー方式の画像読取り装置を得る。
【解決手段】自動原稿搬送装置にて原稿Dを読取りガラス12の直上で搬送しつつ読取り位置Aで原稿画像を光学的に読み取る画像読取り装置。読取りガラス12上には第1のEL素子40Aがその発光部41Aをガラス面に向けて配置されている。また、原稿ガイド部材27には第2のEL素子40Bがその発光部41Bが読取り位置Aに向けて配置されている。EL素子40A,40Bから放射された光は、読取り位置Aを搬送される原稿Dを照射し、反射光は光電変換素子49に入射する。第1のEL素子40Aは読取りガラス12の下面又は側面に配置されてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取り装置、特に、複写機やスキャナなどにおいて画像入力装置として用いられるシートスルー方式の画像読取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、原稿の画像を光学的に読み取る画像読取り装置としては、プラテンガラス上に載置した原稿の画像を読み取るプラテンセット方式と、原稿を1枚ずつ搬送し、搬送途中において原稿の画像を読み取るシートスルー方式が、それぞれ単独であるいは併用されていた。シートスルー方式は、小型化、低コスト、低騒音、画像読取りの高速化、ひいてはプリントの高生産性に利点を有し、モノクロ複写機やカラー複写機においては画像読取り装置の主流となっている。
【0003】
また、画像読取り装置としては、文書の読み取りに特化した密着型の等倍光学系を用いたものと、ある程度の立体物の読み取りが可能な縮小光学系を用いたものに分類される。縮小光学系は原稿面から読取り素子までの光路長を長く取る必要があり、密着型の等倍光学系に比べて小型化が困難である。
【0004】
ここで、縮小光学系を用いた従来の画像読取り装置の一例を図9に示す。この画像読取り装置10は、プラテンガラス11上に載置された原稿(図示せず)の画像を読み取るプラテンセット方式と、自動原稿搬送装置20にて搬送される原稿Dを読み取るシートスルー方式とを備え、読取り光学系(スキャナ)50が設置されている。
【0005】
プラテンセット方式による画像の読取りは、例えば、希ガス蛍光灯などのランプ53及び集光ミラー59によりプラテンガラス11上に載置された原稿を照射し、原稿面からの反射光をミラー54,55,56を介して結像レンズ57に入射し、さらに、撮像部(CCDカラーラインセンサ)58に結像させて行う。ランプ53とミラー54,59は第1スライダ51に搭載され、ミラー55,56は第2スライダ52に搭載され、それぞれ読取り走査方向Yに所定の速度で移動可能である。
【0006】
一方、自動原稿搬送装置20は複数のローラ対21,22,23,24を備えている。原稿Dはトレイ25から1枚ずつピックアップされ、ローラ対21,22,23から読取りガラス12上に送り込まれ、読取り位置Aの直下にセットされた読取り光学系50にて画像が読み取られ、ローラ対24からトレイ26上に排出される。トレイ26はプラテンガラス11上にセットされた原稿の押さえ部材及び遮光部材としても機能する。
【0007】
近年、蛍光灯やハロゲンランプに代えてエレクトロルミネッセンス素子(以下、EL素子とも記す)が薄くて省電力・低発熱な光源として注目されている。但し、EL素子は面発光で光量自体が小さいことが難点とされている。特許文献1には、スライダユニットにEL素子を搭載することで読取り装置の小型化を図ることが記載されている。また、特許文献2には、プラテンガラスの下面にEL素子とプリズムアレイを配置することで読取り装置の小型化・薄型化を図ることが記載されている。
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載のように、EL素子をスライダユニットに搭載する構成では、プラテンガラスとスライダユニットとの接触を避けるため、光源とプラテンガラスの裏面との距離(図9に符号Bで示す距離に相当する)を比較的大きく設定する必要があり、小型化の要請に反することとなる。従来のごとく、蛍光灯などのランプ53を用いた場合には、ランプ53の寸法が大きいために距離Bはより大きく設定する必要がある。また、ユーザがプラテンガラス11を押圧したり、辞書などの重い原稿をプラテンガラス11に載置した場合など、ガラス11の中心部分が下方に撓むことを考慮して、距離Bはさらに大きく設定する必要がある。しかも、距離Bが大きくなると撮像部58から一定の出力を得るために光源の輝度を大きくする必要がある。
【0009】
即ち、従来のごとくランプ53を使用している場合や、特許文献1に記載のようにEL素子をスライダユニットに搭載する構成では、光源をある程度プラテンガラスから離す必要があるので光の拡散を考慮して高輝度の光源が必要とされる。また、光源をスライダユニットに搭載すると、光源自体の大きさや反射板をも設置することから、スライダユニットの小型化・薄型化が困難で、スライダユニットの駆動系も大型化し、読取り装置自体の大型化にも繋がる。これらのことは、画像読取りの高速化への障害ともなっている。また、特許文献2に記載のように、単一のEL素子では原稿照射光量が不足し、かつ、EL素子にプリズムアレイを重ねると、薄型であるというEL素子の利点を損なうことになる。
【0010】
【特許文献1】特開2000−115470号公報
【特許文献2】特開平6−217083号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明の目的は、薄くて省電力・低発熱なエレクトロルミネッセンス素子を光源として利用し、必要な光量を確保でき、かつ、小型化・薄型化を達成できるシートスルー方式の画像読取り装置を提供することにある。さらに、他の目的は、エレクトロルミネッセンス素子の放射光を効率よく利用できる画像読取り装置を提供することにある。さらに、他の目的は、簡単な構成で読取りガラスに非接触状態で原稿を搬送して原稿から読取りガラスに異物が付着することを防止できる画像読取り装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するため、本発明に係る画像読取り装置は、
原稿を1枚ずつ送り出し、読取り位置を通過させる原稿搬送手段と、
前記読取り位置を通過した原稿をすくい上げて排出側にガイドするガイド部材と、
前記読取り位置を搬送される原稿の画像を光学的に読み取る読取り手段と、
前記読取り位置を搬送される原稿と前記読取り手段との間に配置された透明な読取りガラスと、
前記読取り位置を通過する原稿を照射する光源として、前記読取りガラスに配置した第1のエレクトロルミネッセンス素子と、
前記読取り位置を通過する原稿を照射する光源として、前記ガイド部材に配置した第2のエレクトロルミネッセンス素子と、
を備えたことを特徴とする。
【0013】
本発明に係る画像読取り装置においては、第1のEL素子を読取りガラスに配置するとともに、第2のEL素子をガイド部材に配置するようにしたため、近距離から第1及び第2のEL素子からの放射光を読取り位置に照射することができ、必要な光量を得ることができ、かつ、薄くて省電力・低発熱なEL素子を光源として効果的に利用し、画像読取り装置の小型化・薄型化を達成することができる。
【0014】
第2のEL素子の発光部は、その表面がガイド部材の原稿ガイド面と同一平面に配置されていてもよく、あるいはその表面がガイド部材の原稿ガイド面よりも大きな角度に配置されていてもよい。第2のEL素子をガイド部材内に収容すればスペース効率がよく、第2のEL素子の発光部を読取り位置に向けることで照射強度が増加する。
【0015】
第1のEL素子に関しては、読取りガラスの原稿搬送側の第1面、該第1面と対向する第2面、及び、第1面と第2面以外の側面のいずれかに配置されていればよい。特に、EL素子のガラス基板を読取りガラスにて構成すれば、ガラス基板を省略して光源部をより薄型にすることができる。
【0016】
また、読取りガラスの第1面、第2面、及び、側面のいずれかに遮光部材又は反射部材を配置することにより、EL素子の光をより効率的に利用することができる。EL素子自体を、あるいは、遮光部材又は反射部材を読取り位置を通過する原稿が読取りガラスの第1面に接触しないように段差を形成する部材として機能させれば、専用の段差形成部材を省略でき、部品点数の減少を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る画像読取り装置の実施例について添付図面を参照して説明する。なお、各実施例において、同一部品及び同一部分には同じ符号を付し、重複した説明は省略する。
【0018】
また、各実施例を示す図面は画像読取り装置の要部のみを示し、図示しない他の構成は図9に示した従来の画像読取り装置10と同じである。但し、光学系は縮小型ではなく密着型の等倍光学系とされており、密着型の光電変換素子(ラインセンサ)49を用いている。
【0019】
(第1実施例、図1〜図3参照)
図1に画像読取り装置の第1実施例を示す。この画像読取り装置において、読取りガラス12の原稿搬送側の第1面12a上には、読取り位置Aよりも原稿搬送方向Eの上流側に第1のEL素子40Aが発光部41Aを下向きにして固定されている。また、第1面12aと対向する第2面12bには遮光部材又は反射部材45が配置され、上流側の側面にも遮光部材又は反射部材46が配置されている。
【0020】
さらに、本第1実施例では、読取り位置Aを搬送された後の原稿Dをすくい上げるためのガイド部材27、読取り位置Aで原稿Dをガイドするためのガイド板28が配置されている。ガイド部材27には、第2のEL素子40Bがその発光部41Bを原稿ガイド面27aと同一平面に配置されている。
【0021】
第1のEL素子40Aの発光部41Aの光は読取りガラス12の第1面12aから内部に放射され、ガラス12の内部を透過し、遮光部材又は反射部材45,46にて外部にほとんど漏れることなく読取り位置Aに導かれる。また、第2のEL素子40Bの発光部41Bから放射される光は直接的に読取り位置Aを照射する。読取り位置Aを搬送される原稿Dにて反射された光は読取りガラス12の直下に設置された光電変換素子49へと図示しない等倍レンズアレイを介して導かれ、画像情報として取り込まれる。
【0022】
ここで、EL素子の一般的な構成について模式的に示した図2を参照して説明する。EL素子は、発光層40a、ガラス基板40b、発光層40aに電流を流すための透明電極40c、正孔輸送層40d、電子輸送層40e、電極40fにて構成され、全体的な厚さは200μm程度まで薄型化できる。光は矢印Lで示すように、発光層40aから透明電極40cなどの透明素材を通じて放射される。
【0023】
発光層40aの材料として無機化合物を用いたものは無機EL、有機化合物を用いたものは有機ELと称されている。無機ELは発光層40aに電界を印加することにより発光し、有機ELは発光層40a内で電子輸送層40eの電子と正孔輸送層40dの陽子とが再結合することにより発光する。このようなEL素子は極めて薄くて小型であり、画像読取り装置においては非常にコンパクトな光源として配置することができる。
【0024】
画像読取り装置の光源として、カラー画像に対しては白色光源、モノクロ画像に対しては視感度特性の中心に近い緑色光源が選択されることが多い。有機ELで白色を得るには、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の有機EL材料を混ぜ合わせて発光層40aを構成する。他の方法として、RGB3層の有機EL発光層を重ね合わせて同時発光させてもよい。
【0025】
図3は前記第1のEL素子40Aを読取りガラス12上に配置した状態を模式的に示している。図2に示したガラス基板40bに代えて読取りガラス12を用いて一体化している。ガラス基板40bを省略できるので、より安価で厚みを薄く構成できる。但し、ガラス基板40bを設けて読取りガラス12上に透明接着剤にて貼着してもよい。
【0026】
本第1実施例においては、EL素子40A,40Bをスライダ51(図9参照)ではなく、読取り位置Aの近傍に配置したため、EL素子40A,40Bから読取り位置Aまでの距離を格段に短くでき、EL素子40A,40Bから放射される光を無駄なく原稿面に照射することができる。しかも、輝度の小さいEL素子40A,40Bであってもランプなどとほぼ同等の原稿面照度を確保することが可能となる。輝度が小さいと発熱、消費電力が抑えられ、環境に配慮してEL素子40A,40B自体の特性を有効に活用することができる。また、EL素子40A,40B自体も小型・薄型であり、画像読取り装置も小型化される。あるいは、EL素子40A,40Bの微熱によって急激な環境変化で読取りガラス12に発生する結露の防止や除去効果も期待できる。
【0027】
さらに、画像読取りの単位時間当たりの原稿面照度を大きくできるため、読み取った画像ノイズが低減される。読取り速度を速くすることも可能であり、読取り時間の短縮(複写機であればプリント生産性の向上)に繋がる。
【0028】
また、本第1実施例では、第1のEL素子40Aを読取り位置Aを通過する原稿Dが読取りガラス12の第1面12aに接触しないように段差Cを形成する部材としても機能している。即ち、シートスルー方式による原稿画像の読取り装置にあっては、図9に示すように、原稿Dが読取りガラス12の表面に接触しつつ搬送されるため、原稿Dに付着している糊やインキ滓などが読取りガラス12の読取り位置Aに付着し、読み取った画像に筋状のノイズが発生する不具合を有している。
【0029】
このような不具合を解消するため、従来でも読取りガラス12の読取り位置Aよりも搬送方向Eの上流側に樹脂シートを設けて段差Cを形成し、該樹脂シートで原稿Dをガイドすることにより原稿Dを読取りガラス12の表面に接触しないように搬送していた。この樹脂シートに代えて、第1のEL素子40Aの表面で原稿Dをガイドすることにより、原稿Dを読取りガラス12とは非接触で搬送し、読取り位置Aの汚れ(読取りノイズの発生)を未然に防止することができる。
【0030】
また、原稿Dの後端部は、段差形成部材(EL素子40A)の先端部を通過すると、支えを失って読取りガラス12上に落下する。このとき、原稿Dの後端部が読取りガラス12の読取り位置Aを払拭し、紙粉や塵埃などの異物を除去する。
【0031】
EL素子は200μm程度の厚さから製造が可能である。通常、段差Cは0.3〜0.7mmであり、EL素子40Aの表面に低摩擦係数のシートを貼着することで段差形成部材として機能させることが可能である。低摩擦係数のシートとしてポリエステルやポリエチレンを用いれば安価でもある。また、この種のシートの厚さを調整することで任意の段差Cを実現できる。
【0032】
ところで、反射部材45,46としては、ポリエステルフィルムにアルミ箔を貼り合わせた複合材やアルミ板などの光輝材を用いることができる。特にポリエステルフィルムにアルミ箔を貼り合わせた複合材は厚みが100μm程度と薄く、読取りガラス12の周囲に貼着してもスペースをとらず、小型化を損なうことはない。
【0033】
(第2実施例、図4及び図5参照)
図4及び図5に画像読取り装置の第2実施例を示す。この画像読取り装置は、基本的には前記第1実施例と同様の構成を備えている。異なるのは、第2のEL素子40Bを発光部41Bの表面がガイド部材27の原稿ガイド面27aよりも大きな角度に配置し、原稿ガイド面27aに透明なガラス平板29を設けた点にある。即ち、図5に示すように、ガイド面27aの設置角度θ1に対して、第2のEL素子40Bはその発光部41Bの設置角度θ2が大きい状態で配置されている。
【0034】
本第2実施例の作用効果は第1実施例と同様であり、さらに、第2のEL素子40Bの設置角度θ2を大きく設定することにより、発光部41Bからの放射光が読取り位置Aをより直接的に照射することができる。
【0035】
(第3実施例、図6参照)
図6に画像読取り装置の第3実施例を示す。この画像読取り装置において、読取りガラス12の原稿搬送側の第1面12aと対向する第2面12bであって、読取り位置Aよりも原稿搬送方向Eの上流側に、第1のEL素子40Aをその発光部41Aを上向きにして固定されている。また、第2面12bの一部と上流側の側面と第1面12aには遮光部材又は反射部材45,46,47が配置されている。
【0036】
ガイド部材27には第2のEL素子40Bが配置され、その構成は前記第1実施例と同様である。なお、第2のEL素子40Bは、前記第2実施例と同様に、設置角度θ2がガイド面27aの設置角度θ1よりも大きく設定されていてもよい。
【0037】
第1のEL素子40Aの発光部41Aの光は読取りガラス12の第2面12bから内部に放射され、ガラス12の内部を透過し、遮光部材又は反射部材45,46,47にて外部にほとんど漏れることなく読取り位置Aに導かれる。また、第2のEL素子40Bの発光部41Bから放射される光は直接的に読取り位置Aを照射する。
【0038】
EL素子40A,40Bの構成は、図2及び図3を参照して説明したとおりであり、第1のEL素子40Aはガラス基板40bに代えて読取りガラス12と一体的に構成されている。なお、ガラス基板40bを設けて読取りガラス12の第2面に透明接着剤にて貼着してもよい。
【0039】
本第3実施例の作用効果は前記第1実施例と同様である。そして、遮光部材又は反射部材47は読取りガラス12の第1面12a上であって、読取り位置Aよりも搬送方向Eの上流側に配置され、原稿Dを読取りガラス12に対して非接触で搬送するための段差Cを形成する部材として機能している。
【0040】
(第4実施例、図7参照)
図7に画像読取り装置の第4実施例を示す。この画像読取り装置においては、二つの第1のEL素子40Aを読取りガラス12の原稿搬送側の第1面12aと対向する第2面12bであって読取り位置Aよりも原稿搬送方向Eの上流側及び下流側に、所定の角度で傾斜して固定されている。所定の角度とは発光部41Aが読取り位置Aに対向する角度である。また、第1のEL素子40Aと読取りガラス12の第2面12bとの間にはガラス材12cが配置されている。第1のEL素子40Aは図2に示すガラス基板40bを有していてもよく、あるいは、ガラス材12cがガラス基板40bに代えて用いられてもよい。さらに、第2面12bと上流側及び下流側の側面と第1面12aには遮光部材又は反射部材45,46,47が配置されている。
【0041】
ガイド部材27には第2のEL素子40Bが配置され、その構成は前記第1実施例と同様である。なお、第2のEL素子40Bは、前記第2実施例と同様に、設置角度θ2がガイド面27aの設置角度θ1よりも大きく設定されていてもよい。
【0042】
第1のEL素子40Aの発光部41Aの光はガラス材12cを介して読取りガラス12の第2面12bから内部に放射され、ガラス12の内部を透過し、遮光部材又は反射部材45,46,47にて外部にほとんど漏れることなく読取り位置Aに導かれる。また、第2のEL素子40Bの発光部41Bから放射される光は直接的に読取り位置Aを照射する。
【0043】
EL素子40A,40Bの構成は図2及び図3を参照して説明したとおりである。遮光部材又は反射部材45,46,47の構成、作用も第1実施例で説明したとおりである。それゆえ、本第4実施例の作用効果は基本的には前記第1実施例と同様である。また、遮光部材又は反射部材47は読取りガラス12の第1面12a上であって、読取り位置Aよりも搬送方向Eの上流側に配置され、原稿Dを読取りガラス12に対して非接触で搬送するための段差Cを形成する部材として機能している。
【0044】
(第5実施例、図8参照)
図8に画像読取り装置の第5実施例を示す。この画像読取り装置においては、読取りガラス12の原稿搬送方向Eの上流側の側面にEL素子40Aがその発光部41Aを読取りガラス12に向けて固定されている。また、第2面12bと下流側の側面と第1面12aには遮光部材又は反射部材45,46,47が配置されている。
【0045】
ガイド部材27には第2のEL素子40Bが配置され、その構成は前記第1実施例と同様である。なお、第2のEL素子40Bは、前記第2実施例と同様に、設置角度θ2がガイド面27aの設置角度θ1よりも大きく設定されていてもよい。
【0046】
第1のEL素子40Aの発光部41Aの光は読取りガラス12の側面から内部に放射され、読取りガラス12の内部を透過し、遮光部材又は反射部材45,46,47にて外部にほとんど漏れることなく読取り位置Aに導かれる。また、第2のEL素子40Bの発光部41Bから放射される光は直接的に読取り位置Aを照射する。
【0047】
EL素子40A,40Bの構成は、図2及び図3を参照して説明したとおりであり、第1のEL素子40Aはガラス基板40bに代えて読取りガラス12と一体的に構成されていてもよい。本第5実施例の作用効果は前記第1実施例と同様である。第5実施例においても、遮光部材又は反射部材47は読取りガラス12の第1面12a上であって、読取り位置Aよりも搬送方向Eの上流側に配置され、原稿Dを読取りガラス12に対して非接触で搬送するための段差Cを形成する部材として機能している。
【0048】
(他の実施例)
なお、本発明に係る画像読取り装置は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更できる。
【0049】
特に、画像を読み取るための光学系の構成は任意であり、前記実施例においては密着型の等倍光学系による画像読取り装置を示したが、それ以外に縮小光学系による画像読取り装置であってもよい。
【0050】
搬送される原稿を読取りガラスに対して非接触状態で搬送するために、段差を形成する部材としては、EL素子や遮光部材、反射部材以外に専用の部材を設けてもよい。非接触搬送を実現するためには、あるいは、読取りガラス12の原稿搬送方向Eの上流側及び下流側に設置されている原稿ガイドとで、搬送されている原稿Dを湾曲させ、原稿Dをこの湾曲姿勢を保持させつつ搬送する構成にしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】第1実施例の要部を示す断面図である。
【図2】EL素子の一般的な構成を示す模式的な断面図である。
【図3】読取りガラスと一体的に構成されてEL素子を示す模式的な断面図である。
【図4】第2実施例の要部を示す断面図である。
【図5】第2実施例における第2のEL素子の配置を示す断面図である。
【図6】第3実施例の要部を示す断面図である。
【図7】第4実施例の要部を示す断面図である。
【図8】第5実施例の要部を示す断面図である。
【図9】縮小光学系を搭載した従来の画像読取り装置を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0052】
12…読取りガラス
12a…第1面
12b…第2面
40A,40B…エレクトロルミネッセンス素子
41A,41B…発光部
45,46,47…遮光部材又は反射部材
49…光電変換素子
A…読取り位置
D…原稿
E…原稿搬送方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を1枚ずつ送り出し、読取り位置を通過させる原稿搬送手段と、
前記読取り位置を通過した原稿をすくい上げて排出側にガイドするガイド部材と、
前記読取り位置を搬送される原稿の画像を光学的に読み取る読取り手段と、
前記読取り位置を搬送される原稿と前記読取り手段との間に配置された透明な読取りガラスと、
前記読取り位置を通過する原稿を照射する光源として、前記読取りガラスに配置した第1のエレクトロルミネッセンス素子と、
前記読取り位置を通過する原稿を照射する光源として、前記ガイド部材に配置した第2のエレクトロルミネッセンス素子と、
を備えたことを特徴とする画像読取り装置。
【請求項2】
前記第2のエレクトロルミネッセンス素子の発光部の表面が前記ガイド部材の原稿ガイド面と同一平面に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の画像読取り装置。
【請求項3】
前記第2のエレクトロルミネッセンス素子の発光部の表面が前記ガイド部材の原稿ガイド面よりも大きな角度に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の画像読取り装置。
【請求項4】
前記第1のエレクトロルミネッセンス素子が、前記読取りガラスの原稿搬送側の第1面、該第1面と対向する第2面、及び、第1面と第2面以外の側面のいずれかに配置されていること、を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の画像読取り装置。
【請求項5】
前記第1のエレクトロルミネッセンス素子のガラス基板が前記読取りガラスにて構成されていることを特徴とする請求項4に記載の画像読取り装置。
【請求項6】
前記読取りガラスの第1面、第2面、及び、側面のいずれかに遮光部材又は反射部材が配置されていることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の画像読取り装置。
【請求項7】
前記第1のエレクトロルミネッセンス素子、前記遮光部材、及び、前記反射部材のいずれかが、前記読取り位置を通過する原稿が前記読取りガラスの第1面に接触しないように段差を形成する部材として機能すること、を特徴とする請求項4ないし請求項6のいずれかに記載の画像読取り装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2009−105730(P2009−105730A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−276430(P2007−276430)
【出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】