説明

画像読取装置、および画像形成装置

【課題】画像読取装置を低コストで、かつ副走査方向に小さなサイズとする。
【解決手段】走行体220に副走査方向に互いに端部が重複するとともに、副走査方向の上流側位置に第1密着型撮像素子211、下流側に第2密着型撮像素子212を搭載する。また、有効画像読取領域230の外側領域の上流側に第1白色基準板251を、下流側に第2白色基準板252を配置する。第1密着型撮像素子211で第1白色基準板251を読み取り、第2密着型撮像素子212で第2白色基準板252を読み取るように、走行体220を移動させ、各白色基準板の読取データに基づいて各密着型撮像素子211、212のシェーディング補正処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置および画像形成装置に係り、詳しくは複数の画像読取センサーを備える画像読取装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置である複写装置には、原稿の画像を読み取る画像読取装置が配置されている。このような画像読取装置として、電荷結合素子(CCD)等の撮像素子を用いた縮小光学系を備えたものが広く採用されている。
【0003】
図5はCCD撮像素子を備えた画像読取装置を示す断面図である。この画像読取装置300は、第1ミラーユニット303と、第2ミラーユニット306とを備える。第1ミラーユニット303は、光源304および両端が支持された第1ミラー305を搭載する。また、第2ミラーユニット306は、同様に両端が支持された第2ミラー307、第3ミラー308を搭載する。さらに、画像読取装置300は、CCD撮像素子310と、原稿の反射光をCCD撮像素子310上に結像させるレンズ309とを備える。そして、画像読取装置300は、ホストコンピューターからの1ラインごとの画像読取要求に応じて、第1ミラーユニット303および第2ミラーユニット306をそれぞれ2:1の速度で原稿に沿って移動させる。そして、この移動に伴ってCCD撮像素子310で逐次画像の読取を行う。
【0004】
これにより、コンタクトガラス302上に配置された原稿を照明し、光学的に走査して、その反射光像を第1ミラー305、第2ミラー307、第3ミラー308でレンズ309に導き、CCD撮像素子310に投影し撮像する。
【0005】
このような構成を備える画像読取装置は、2つのミラーユニットを所定の速度で駆動する機構等が必要であり構造が複雑で高価なものとなる。これに対して、低価格の画像読取装置として、密着型撮像素子(CIS:Contact Image Sensor)等の等倍画像読取センサーを用いたものがある。この密着型撮像素子を使用すると、複雑な光学系が不要となり、安価に画像読取装置を構成することができる。
【0006】
図6は密着型撮像素子を備えた従来の画像読取装置を示すものであり、(a)は平面図、(b)は断面図である。画像読取装置400は、密着型撮像素子410を備えた走行体420を備えている。走行体420は有効画像読取領域430を副走査方向に移動しながら、コンタクトガラス440上の原稿の画像データを順次読み取っていく。また、コンタクトガラス440の副走査方向上流方向の外側に、シェーディング補正用の白色基準板450を配置する。
【0007】
この例に係る画像読取装置400におけるシェーディング補正は以下のように行う。原稿読取動作を開始する際、走行体420は、いったん副走査方向上流方向、図5(b)中矢印iの方向に移動し、白色基準板450で白色基準データを読み取る。その後、同矢印jの方向に移動しながら原稿画像データを読み取る。これにより、原稿画像データにシェーディング補正を実施することで、主走査方向に特性むらのない読取画像を取得することが可能となる。
【0008】
このような密着型撮像素子は、A2原稿等の大きな原稿の読み取りを行う広幅機の分野においても採用される。この画像読取装置では、一般的に使用され安価なA3サイズ、A4サイズの密着型撮像素子を主走査方向に互いに端部を重複して配置するとともに、前記主走査方向と直交する副走査方向の上流および下流の異なる2位置に、いわゆる千鳥状に配置したものである。このような画像形成装置は、低コストで大きな原稿を読み取ることができる。
【0009】
このように複数の密着型撮像素子をいわゆる千鳥状に配置する構成は、A4サイズの原稿を読み取る画像読取装置にも採用される。このタイプの画像読取装置は、A4幅サイズより小さい寸法の、より安価な密着型撮像素子を使用するので、より安価なものとすることができる。図7は複数の密着型撮像素子を備えた従来の画像読取装置を示すものであり、(a)は平面図、(b)〜(e)はシェーディング補正時の動作を示す断面図である。
【0010】
画像読取装置500は、2台の密着型撮像素子511、512を配置した走行体520を備える。すなわち、走行体520の上流側に第1密着型撮像素子511を、下流側に第2密着型撮像素子512を、主走査方向に互いに端部が重複するよう配置する。また、有効画像読取領域530の副走査方向上流側の外側領域には、シェーディング補正用の白色基準板550を配置する。なお、図中540はコンタクトガラスを示している。
【0011】
ここで、このような画像読取装置500では、各密着型撮像素子511、512の読取を主走査方向または副走査方向で、あたかも単一の素子で読み取ったようにする必要がある。そのため、主走査方向のつなぎ目については各密着型撮像素子511、512の読取範囲を調整し、また副走査方向のつなぎ目位置調整については、遅延メモリの遅延時間を調整することで対応する。
【0012】
次に、この画像読取装置500におけるシェーディング補正の処理について説明する。まず、画像読取装置500を、図6(b)に示すように、原稿読取動作を開始する前に、走行体520を副走査上流方向、すなわち図中矢印i方向に移動させる。すなわち、第1密着型撮像素子511を白色基準板550の読取位置まで移動させ、これにより、第1密着型撮像素子511で白色基準データを読み取る。
【0013】
ついで、走行体520を、図6(c)に示すように、さらに図中矢印i方向に移動させ、第2密着型撮像素子512を白色基準板550の下まで移動させ第2密着型撮像素子512で白色基準データを読み取る。
【0014】
さらに、走行体520を、図6(d)に示すように、図中矢印j方向に移動しながら、両密着型撮像素子511、512でコンタクトガラス540上の原稿画像を読み取る。そして、図6(d)に示すように、第2密着型撮像素子512を副走査後端位置まで移動することで、第2密着型撮像素子512は、有効画像読取領域530の副走査上流側端から下流側端までの画像データを読み取る。しかし、図6(d)に示した状態では、第1密着型撮像素子511が有効画像読取領域の副走査後端までの画像データをすべて読み取ることができていない。
【0015】
そこで、走行体520を、図6(e)中矢印j方向に移動しながら、第1密着型撮像素子511で残りの原稿画像を読み取る。図6(e)に示すように、第1密着型撮像素子511を副走査下流位置まで移動することで、第1密着型撮像素子511は、有効画像読取領域530の副走査上流端から下流端までの画像データを読み取ることができる。以上の動作により、両密着型撮像素子511、512は、シェーディング補正データおよび画像読取データを取得することができ、シェーディング補正をした読取データを生成することができる。
【0016】
特許文献1、および特許文献2は、主走査方向に互いに端部を重複して配置されるとともに、副走査方向に沿う異なる2位置に設置した複数の画像読取センサーを備える画像読取装置において、シェーディング補正を行う画像読取装置を開示する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかし、従来の画像読取装置500にあっては、装置の小型化を図ることができないという問題がある。これは以下の理由による。ここで、密着型撮像素子511、512の副走査方向の幅寸法を「d」(図6(b)参照)、有効画像読取領域530の副走査方向幅を「c」(同)とする。すると、シェーディングデータおよび読取画像データの取得に必要な走行体520の副走査方向動作に必要な寸法は、同図(e)に示すように、最低でも有効画像読取領域幅「c」に加え、副走査上流外側に「2×d」以上、副走査下流外側に「d」以上必要となる。これらを、合計すると「c+3d」以上となる。
【0018】
本発明は上述の点にかんがみてなされたものであり、低コストで、かつ副走査方向に小さなサイズとした画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明に係る画像読取装置は、画像読取領域の主走査方向に互いに端部を重複して配置されるとともに、前記主走査方向と直交する副走査方向の一方側位置および他方側位置の2つ位置に設置した複数の画像読取センサーと、前記複数の画像読取センサーを搭載し、前記副走査方向に沿って移動する走行体と、前記画像読取領域の外側領域であって前記副走査方向の一方側に配置した一方側白色基準板と、前記画像読取領域の外側領域であって前記副走査方向の他方側に配置した他方側白色基準板と、前記走行体を、前記複数の画像読取センサーのうち一方側位置に設置した画像読取センサーで前記一方側白色基準板を読み取る位置と、前記複数の画像読取センサーのうち他方側位置に設置した画像読取センサーで前記他方側白色基準板を読み取る位置と、に移動させる駆動手段と、前記各画像読取センサーで読み取った各白色基準板の読取データに基づいてシェーディング補正処理を行うシェーディング補正手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、画像読取装置を安価でかつ副走査方向に小さいサイズとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施形態1に係る画像形成装置の概略断面図である。
【図2】図1に示した画像形成装置の画像読取装置を示すものであり、(a)は平面図、(b)〜(d)はシェーディング補正処理動作を示す断面図である。
【図3】図2に係る画像読取装置の制御系を示すブロック図である。
【図4】実施形態2に係る画像読取装置を示すものであり、(a)は平面図、(b)〜(d)はシェーディング補正処理動作を示す断面図である。
【図5】CCD撮像素子を備えた従来の画像読取装置を示す断面図である。
【図6】密着型撮像素子を備えた従来の画像読取装置を示すものであり、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【図7】複数の密着型撮像素子を備えた従来の画像読取装置を示すものであり、(a)は平面図、(b)〜(e)はシェーディング補正時の動作を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態(以下では単に実施形態と記載する)に係る画像読取装置、および画像形成装置について説明する。
【0023】
<実施形態1>
まず、実施形態1に係る画像形成装置について説明する。図1は実施形態1に係る画像形成装置の概略断面図である。この画像形成装置は、複写装置本体100、給紙テーブル120、実施形態に係る画像読取装置200、原稿自動搬送装置(ADF)140、露光装置150等を備える。この画像形成装置では、複写装置本体100を給紙テーブル120上に配置し、複写装置本体100上に画像読取装置200を配置し、さらにその上に原稿自動搬送装置140を配置している。
【0024】
複写装置本体100には、中央に無端ベルト状の中間転写体10を設け、これを3つの支持ローラ14、15、16に掛け回し、図中時計回りに回転搬送可能とする。なお、この例では、3つの支持ローラ中、第2の支持ローラ15の左に、画像転写後に中間転写体10上に残留する残留トナーを除去する中間転写体クリーニング装置17を設けている。
【0025】
また、3つの支持ローラ中、第1の支持ローラ14と第2の支持ローラ15との間に、中間転写体10上に位置するように、中間転写体10の搬送方向に沿ってイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの画像形成手段18を横に並べて配置する。これにより、タンデム作像装置20を構成する。このタンデム作像装置20の上方には、露光装置150を設ける。
【0026】
一方、中間転写体10を挟んでタンデム作像装置20の反対側には、2次転写装置22を備える。2次転写装置22は、2つのローラ23間に無端ベルトである2次転写ベルト24を掛け渡して構成する。また、中間転写体10を介して第3の支持ローラ16に2次転写ベルト24を押し当てるように配置し、中間転写体10上の画像を転写材であるシートに転写する。
【0027】
2次転写装置22の横には、シート上の転写画像を定着する定着装置25を設ける。定着装置25は、無端ベルトである定着ベルト26に加圧ローラ27を押し当てて構成する。上述した2次転写装置22は、画像転写後のシートをこの定着装置25へと搬送するシート搬送機能を備える。
【0028】
なお図示の例では、このような2次転写装置22および定着装置25の下側に、上述したタンデム作像装置20と平行にして、シートの両面に画像を記録するためにシートを反転させるシート反転装置28を備える。
【0029】
次にこの画像形成装置の複写動作を説明する。原稿自動搬送装置140の原稿台30上に原稿をセットするか、または原稿自動搬送装置140を開いて画像読取装置200のコンタクトガラス240上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置140を閉じてそれで押さえる。
【0030】
そして、図示していないスタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置140に原稿をセットしたときは、原稿を搬送してコンタクトガラス240上へと移動させた後、コンタクトガラス240上に原稿をセットしたときは、直ちに画像読取装置200を駆動する。画像読取装置200については、後述する。
【0031】
そして、図示していない駆動モーターで支持ローラ14、15、16の1つを回転駆動して他の2つの支持ローラを従動回転させ、中間転写体10を回転搬送する。同時に、個々の画像形成手段18で感光体40を回転させ、画像読取装置200で読み取った画像データに基づいて露光装置150で感光体40を露光して各感光体40上に潜像を生成する。そして、感光体40を各色のトナーで現像し、それぞれブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの単色画像を形成する。そして、中間転写体10の搬送とともに、それらの単色画像を順次転写して中間転写体10上に合成カラー画像を形成する。
【0032】
一方、上述の動作に合わせて、給紙テーブル120の給紙ローラ42の1つが選択されて回転し、ペーパーバンク43に多段に備える給紙カセット44の1つからシートを繰り出し、分離ローラ45で1枚ずつ分離して給紙路46に搬送する。さらに、シートを搬送ローラ47で搬送して複写装置本体100内の給紙路48に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。手差しトレイ51から給紙するときは、給紙ローラ50を回転して手差しトレイ51上のシートを繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。
【0033】
そして、中間転写体10上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転させ、中間転写体10と2次転写装置22との間にシートを送り込み、2次転写装置22で転写してシート上にカラー画像を記録する。
【0034】
画像転写後のシートは、2次転写装置22で搬送して定着装置25へと送り込み、定着装置25で熱と圧力とを加えて転写画像を定着させた後、切換爪55で切り換えて排出ローラ56で排出し、排紙トレイ57上に排出する。または、切換爪55で切り換えてシート反転装置28に入れ、そこで反転させて再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録した後、排出ローラ56で排紙トレイ57上に排出する。
【0035】
一方、画像転写後の中間転写体10は、中間転写体クリーニング装置17で、画像転写後に中間転写体10上に残留する残留トナーを除去し、タンデム作像装置20による再度の画像形成に備える。
【0036】
次に画像読取装置200について説明する。図2は図1に示した画像形成装置の画像読取装置を示すものであり、(a)は平面図、(b)〜(d)はシェーディング補正処理動作を示す断面図である。
【0037】
画像読取装置200は、2台の画像読取センサーである密着型撮像素子211、212を配置した走行体220を備える。走行体220には、副走査方向の一方側である上流側に第1密着型撮像素子211を、同他方側である下流側に第2密着型撮像素子212を配置する。この状態で、2台の密着型撮像素子211、212の端部が主走査方向に互いに重複するよう配置する。
【0038】
また、画像読取装置200の有効画像読取領域230の副走査上流外側領域には、シェーディング補正用の一方側白色基準板である第1白色基準板251を、副走査下流外側領域には、同じく他方側白色基準板である第2白色基準板252を設ける。なお、符号240はコンタクトガラスを示している。
【0039】
次に、画像読取装置200の制御について説明する。図3は図2に係る画像読取装置の制御系を示すブロック図である。画像読取装置200において、走行体駆動機構260は走行体駆動機構260で駆動する。また、駆動制御手段270は、走行体駆動機構260の駆動を制御する。走行体駆動機構260と駆動制御手段270は、駆動手段をなす。密着型撮像素子211、212は、シェーディング補正手段280と、画像処理手段290に画像データを出力する。
【0040】
走行体駆動機構260は、例えば公知の歯付ベルト、スプロケット、モーター等を備えて構成する。なお、ラックとピニオンなどの他の機構を使用することができる。また、駆動制御手段270は、走行体駆動機構260のモーターを駆動制御して、原稿の読取動作、および所定のシェーディング補正動作を行う。
【0041】
ここで、このシェーディング補正動作は、原稿読取動作前に毎回行うことが望ましい。シェーディングデータの取得、および補正を画像読取動作ごとに実施すれば、シェーディング補正データの経時変動に対し、常に最新のデータで補正することができ、より高品質な画像を得ることができる。
【0042】
シェーディング補正手段280は、各密着型撮像素子211、212が読み取った第1白色基準板251および第2白色基準板252の値に基づいて、画像処理手段290にシェーディング補正に必要なデータを出力する。
【0043】
画像処理手段290は、シェーディング補正手段280からの補正データに基づいて密着型撮像素子211、212が読み取った原稿の画像データを補正し、画像データとして出力する。
【0044】
次に、密着型撮像素子211、212によるシェーディングデータの取得について説明する。原稿読取動作を開始前に、走行体220は、図2(b)に示すように、副走査上流方向(図2(b)中矢印i)に移動し、密着型撮像素子211を第1白色基準板251の読取位置まで至らせる。これにより、第1密着型撮像素子211は、シェーディング補正用の白色基準データを読み取る。このとき、第2密着型撮像素子212は、有効画像読取領域230の副走査上流端部に位置する。
【0045】
その後、走行体220は、図2(c)に示すように、副走査下流方向(図2(c)矢印j)移動し、第1密着型撮像素子211および第2密着型撮像素子212は、コンタクトガラス240上の原稿の画像を読み取る。
【0046】
そして、第2密着型撮像素子212が有効画像読取領域230の副走査下流端位置まで移動することで、第2密着型撮像素子212は、有効画像読取領域230の副走査上流端から下流端までの画像データを読み取る。
【0047】
しかし、この状態では、第1密着型撮像素子211は有効画像読取領域230の副走査下流端までの画像データをすべて読み取ることができていない。そこで、さらに走行体220を、さらに副走査下流方向(図2(d)矢印j)に移動しながら、第1密着型撮像素子211は残り原稿画像を読み取る。このとき、第1密着型撮像素子211を副走査下流端位置まで移動することで、第1密着型撮像素子211は有効画像読取領域230の副走査上流端から下流端までの画像データを読み取ることができる。
【0048】
そして、このとき、第2密着型撮像素子212は、第2白色基準板252の読取位置にある。第2白色基準板252の下に位置する第2密着型撮像素子212は第2白色基準板252のデータを読み取ることで、シェーディング補正用の白色基準データを取得する。以上の動作により、密着型撮像素子211、212はシェーディング補正データおよび画像読取データを取得することができ、シェーディング補正をした読取データを生成することができる。
【0049】
なお、画像読取装置200では、各密着型撮像素子211、212の読取を主走査方向または副走査方向で、あたかも単一の素子で読み取ったようにする必要がある。そのため、密着型撮像素子211、212の主走査方向の継ぎ目については各密着型撮像素子211、212の読取範囲を調整し、また副走査方向の継ぎ目の位置調整については、遅延メモリの遅延時間を調整することで対応する。
【0050】
ここで、密着型撮像素子211、212の副走査方向幅を「d」(図2(b))、有効画像読取領域230の副走査方向の幅寸法を「c」とする。すると、シェーディング補正データおよび読取画像データの取得をするために必要な画像読取装置200の副走査方向寸法は、「c+2d」以上となる。これは、図2(d)に示すように、最低でも有効画像読取領域幅「c」に加え、副走査上流外側に「d」以上、副走査下流外側に「d」以上必要となることによる。このため、画像読取装置200の副走査方向の寸法は、従来の画像読取装置400の幅寸法「c+3d」以上に比して、密着型撮像素子1本分幅「d」だけ小さい。以上のように、実施形態1に係る画像読取装置200によれば、画像読取装置全体の副走査方向の幅寸法を小さくすることができる。
【0051】
<実施形態2>
次に実施形態2に係る画像読取装置について説明する。図4は実施形態2に係る画像読取装置を示すものであり、(a)は平面図、(b)〜(d)はシェーディング補正処理動作を示す断面図である。
【0052】
実施形態2に係る画像読取装置201は、第1白色基準板253および第2白色基準板254の主走査幅寸法を変更したものである。その他の構成は実施形態1に係る画像読取装置200と同じである。画像読取装置201では、第1白色基準板253の主走査方向の長さ寸法を、この第1白色基準板253を読み取る密着型撮像素子211の主走査方向の長さ寸法と同じか、やや大きいものとする。また、第2白色基準板254の主走査方向の長さ寸法を、この第2白色基準板254を読み取る密着型撮像素子212の主走査方向の長さ寸法と同じか、やや大きいものとする。そして、第1白色基準板253を第1密着型撮像素子211で読み取れる位置に、第2白色基準板254を第2密着型撮像素子212で読み取れる位置に配置する。画像読取装置201の動作は、実施形態1に係る画像読取装置200と同一であるので、詳細な説明は省略する。
【0053】
実施形態2に係る画像読取装置201によれば、白色基準板の寸法を小さくできるので、より低コストで画像読取装置を実現できる。また、一般に使用される画像読取装置に用いている白色基準板と共通使用することも可能となるため、さらに低コストで画像読取装置を実現することができる。
【0054】
なお、前記各実施形態において、密着型撮像素子を2台設けた例について説明したが、密着型撮像素子は3台以上設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0055】
100 複写装置本体
120 給紙テーブル
140 原稿自動搬送装置
150 露光装置
200 画像読取装置
201 画像読取装置
211 第1密着型撮像素子(一方側位置の画像読取センサー)
212 第2密着型撮像素子(他方側位置の画像読取センサー)
220 走行体
230 有効画像読取領域
240 コンタクトガラス
251 第1白色基準板(一方側白色基準板)
252 第2白色基準板(他方側白色基準板)
260 走行体駆動機構(駆動手段)
270 駆動制御手段(駆動手段)
280 シェーディング補正手段
290 画像処理手段
【先行技術文献】
【特許文献】
【0056】
【特許文献1】特開2005−94260号公報
【特許文献2】特開2009−141580号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像読取領域の主走査方向に互いに端部を重複して配置されるとともに、前記主走査方向と直交する副走査方向の一方側位置および他方側位置の2つ位置に設置した複数の画像読取センサーと、
前記複数の画像読取センサーを搭載し、前記副走査方向に沿って移動する走行体と、
前記画像読取領域の外側領域であって前記副走査方向の一方側に配置した一方側白色基準板と、
前記画像読取領域の外側領域であって前記副走査方向の他方側に配置した他方側白色基準板と、
前記走行体を、前記複数の画像読取センサーのうち一方側位置に設置した画像読取センサーで前記一方側白色基準板を読み取る位置と、前記複数の画像読取センサーのうち他方側位置に設置した画像読取センサーで前記他方側白色基準板を読み取る位置と、に移動させる駆動手段と、
前記各画像読取センサーで読み取った各白色基準板の読取データに基づいてシェーディング補正処理を行うシェーディング補正手段と、
を備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像読取装置において、
前記複数の画像読取センサーは、同一の走行体上に搭載されており、
前記一方側位置に設置した画像読取センサーが前記一方側白色基準板を読み取るとき、前記他方端側位置に設置した画像読取センサーが画像読取領域の一方端側端部領域の画像データを取得し、
かつ、
前記他方側位置に設置した画像読取センサーが前記他方側白色基準板を読み取るとき、前記一端側位置に設置した画像読取センサーが前記画像読取領域の他端側端部領域の画像データを取得することを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の画像読取装置において、
前記一方側白色基準板および前記他方側白色基準板の主走査方向幅寸法を、それぞれの白色基板を読み取る画像読取センサーの主走査方向の有効読取幅寸法と同じとしたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれかに記載の画像読取装置において、
前記駆動手段、および前記シェーディング補正手段は、読取対象物の画像読取動作時に毎回、各画像読取センサーでのシェーディング補正データの取得、およびシェーディング補正処理を行うことを特徴とする画像読取装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれかに記載の画像読取装置において、
前記画像読取センサーは、密着型撮像素子であることを特徴とする画像読取装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれかに記載の画像読取装置と、該画像読取装置で取得した画像データに基づいて記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−85129(P2013−85129A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223838(P2011−223838)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】