説明

画像読取装置、画像形成装置、プログラム、記録媒体

【課題】利用者の利便性を高くする。
【解決手段】複合機1の制御部9は、分割ファイルモードが選択されている場合、第1スキャン処理の実行後であって、第1スキャン処理の次に行われる第2スキャン処理の実行指示が入力される前に、分割指示の入力を行うためのダイアログを表示部7aに表示させる。当該分割指示は、第1スキャン処理にて得られる画像データと第2スキャン処理にて得られる画像データとを互いに異なるファイルに変換する指示である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿を読み取ることによって当該原稿の画像の画像データを生成する画像読取装置、および、当該画像読取装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数ページからなる原稿を読み取って得られる原稿データ(複数ページのセットを示すデータ)を生成し、当該原稿データを複数のグループに分割する画像読取装置が従来から知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、両面コピーモード時に合紙(セパレータシート)を検知した場合、合紙を検知する直前までの原稿のカウント数が奇数であると、両面トレイにある片面コピー済み記録紙を、裏面コピーを行わずに排出させ、合紙以降の原稿に対して両面コピーモードで処理を行う点が開示されている。なお、特許文献1では、合紙検知モードが選択されると、原稿が白紙であるか否かを判定し、白紙のときは合紙であると判定するようになっている。
【0004】
また、特許文献2には、グループ毎に複数回に分割して一連の原稿を読み取らせると、前記分割の位置を合紙(セパレートシート)の挿入位置として記憶し、当該挿入位置に合紙を挿入して印刷する点が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平4−86759号公報
【特許文献2】特開2006−91085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
画像読取装置の読み取り方式として、複数ページからなる原稿の各書面を原稿自動送り装置(ADF)にて搬送しながら順に読み取るようになっている原稿搬送方式と、原稿台に載置されている原稿の書面を読み取るようになっている原稿載置方式とが存在する。
【0007】
ここで、特許文献1や2に示されているように、原稿搬送方式に適用される、利便性の高い分割手法(前記原稿データを複数のグループに分割する手法)は従来から多数提案されているが、原稿載置方式に適用される、利便性の高い分割手法はあまり知られていない。しかし、原稿の書面を読み取る際に原稿載置方式を用いなければならない状況もありえるため(冊子原稿を読み取るケース、または、ジャムや重送等によって原稿搬送装置が不調なケース)、原稿載置方式についても利用者にとって利便性の高い分割手法の提案が所望されている。
【0008】
本発明は、以上の課題に鑑みてなされたものであり、原稿載置方式にて読み取られた原稿データを分割することが可能な画像読取装置であって利用者にとって利便性の高い画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明は、原稿台に載置されている書面を読み取るスキャン処理を行うことによって当該書面の画像を示す画像データを生成する原稿載置方式の画像読取装置において、前記スキャン処理を複数回行って生成される全ての画像データから少なくとも1以上のファイルを作成するファイル作成処理を行う分割ファイルモードが選択されている場合、第1スキャン処理の実行後であって、第1スキャン処理の次に行われる第2スキャン処理の実行指示が入力される前に、分割指示の入力を利用者に促す分割準備部と、前記分割指示が入力されずに前記第2スキャン処理の実行指示が入力された場合、第2スキャン処理にて得られる画像データと第1スキャン処理にて得られる画像データとが同じファイルに含まれ、前記分割指示が入力されてから前記第2スキャン処理の実行指示が入力された場合、第2スキャン処理にて得られる画像データが第1スキャン処理にて得られる画像データとは異なるファイルに含まれるように、前記ファイル作成処理を行うファイル作成部とを備えることを特徴とする。
【0010】
本願発明の構成によれば、第1スキャン処理の実行後であって第2スキャン処理の実行前に分割指示が入力されると、第2スキャン処理にて読み取られる画像データは第1スキャン処理にて読み取られる画像データから分割され、第2スキャン処理にて読み取られる画像データと第1スキャン処理にて読み取られる画像データとが別々にファイル化されるようになっている。つまり、本願発明の構成によれば、分割しようとする画像の読み取り前に当該分割に関する分割指示を入力すればよいことから、利用者にとって、分割指示のタイミングが分かり易く、利便性が高いという効果を奏する。
【0011】
本発明の画像読取装置において、前記分割準備部は、前記分割指示の入力を行うためのダイアログを表示部に表示させることによって前記分割指示の入力を利用者に促すようになっていることが好ましい。
【0012】
これにより、前記分割指示の入力を行うためのダイアログを表示させるため、利用者は簡易な操作で分割指示を行えるというメリットを有する。
【0013】
また、本発明の画像読取装置において、前記分割準備部は、前記分割ファイルモードが選択され、且つ、2ページ分の画像を1回のスキャン処理にて読み取る見開原稿モードが選択されている場合、第1分割指示および第2分割指示の入力を利用者に促すようになっており、前記ファイル作成部は、(a)前記第1分割指示が入力されてから前記第2スキャン処理の実行指示が入力された場合、第2スキャン処理にて得られる全ての画像データと第1スキャン処理にて得られる画像データとが異なるファイルに含まれ、(b)前記第2分割指示が入力されてから前記第2スキャン処理の実行指示が入力された場合、第2スキャン処理にて得られる画像データのうちのページの順番が先のページの画像データと第1スキャン処理にて得られる画像データとが同じファイルに含まれ、第2スキャン処理にて得られる全ての画像データのうちのページの順番が後のページの画像データと第1スキャン処理にて得られる画像データとが互いに異なるファイルに含まれるように、前記ファイル作成処理を行うように構成されていてもよい。また、本発明の画像読取装置は、前記構成に加え、前記見開原稿モードが選択されている場合、利用者からの入力指示または前記スキャン処理にて生成される画像データに基づき、原稿台に載置されている書面が縦書書面および横書書面のいずれであるかを判定する判定部を備え、前記ファイル作成部は、前記判定部の判定結果に基づいて、1回のスキャン処理にて読み取られる2つのページの順番の先後を決定するようになっていてもよい。
【0014】
以上の構成によれば、見開原稿から読み取って得られるデータについても1ページ毎に分割できるため、見開原稿についても無駄なく適切に複数のファイルに分割できるという効果を奏する。
【0015】
上記の課題を解決するために、本発明は、原稿台に載置されている書面を読み取るスキャン処理を行うことによって当該書面の画像を示す画像データを生成する原稿載置方式の画像読取装置において、前記原稿台に載置されている書面の方向を示す信号を出力する光学センサと、前記スキャン処理を複数回行って生成される全ての画像データから少なくとも1以上のファイルを作成するファイル作成処理を行う分割ファイルモードが選択されている場合、前記光学センサの出力に基づいて、第1スキャン処理の対象となる書面の方向と第1スキャン処理の次に行われる第2スキャン処理の対象となる書面の方向とが一致しているか否かを判定する方向判定部と、第1スキャン処理の対象となる書面の方向と第2スキャン処理の対象となる書面の方向とが一致していると判定される場合、第1スキャン処理にて得られる画像データと第2スキャン処理にて得られる画像データとが同じファイルに含まれ、第1スキャン処理の対象となる書面の方向と第2スキャン処理の対象となる書面の方向とが一致していないと判定される場合、第2スキャン処理にて得られる画像データが第1スキャン処理にて得られる画像データとは異なるファイルに含まれるように、前記ファイル作成処理を行うファイル作成部と、利用者からの入力指示に応じて前記書面の画像の天地方向を設定する天地方向設定部とを備えており、前記ファイル作成部は、前記天地方向設定部にて設定された天地方向を参照して、天地方向と基準方向とが一致していない画像データに回転処理を施して当該画像データの天地方向を基準方向に一致させた上で前記ファイル作成処理を行うことを特徴とする。
【0016】
本発明の構成によれば、原稿台に載置される書面の方向(縦向き、横向き)を変化させることによって分割指示を行える。例えば、1ページから2ページまでを縦向きで載置し続け、3ページから6ページを横向きで載置した場合、2ページと3ページとの間で分割して、1ページから2ページまでの画像データと3ページから6ページまでの画像データとを互いに別のファイルに纏めることになる。このような構成によれば、利用者は、書面の向きを変えるという作業だけで分割指示を行えるため、操作パネルやタッチパネルを用いた分割指示の入力が不要であり、利用者にとって利便性が高いというメリットがある。
【0017】
また、本発明の構成によれば、読み取られた画像データについて、天地方向と基準方向とが一致するように回転処理を施すようになっているため、原稿台に載置される書面の方向を変化させてもデータ化される画像の天地方向については揃えることができる。
【0018】
また、本発明の画像読取装置は、前記構成に加えて、前記ファイル作成処理によって複数のファイルが作成されると、ファイル毎に示されるボタンであり各ファイルの送信先を利用者に設定させるための第1ボタンと、前記複数のファイルの全てに共通の送信先を利用者に設定させるための第2ボタンとが示されている設定画面を表示部に表示させる表示制御部を備えており、前記表示制御部は、第1ボタンが選択された場合、選択された第1ボタンに対応するファイルのみの送信先を指定するための送信先指定画面を表示し、第2ボタンが選択された場合、前記複数のファイルの全てに共通の送信先を指定するための送信先指定画面を表示する構成になっていてもよい。
【0019】
この構成によれば、ファイル毎に送信先を指定できると共に、全てのファイルに共通の送信先を一括で指定できる。それゆえ、利用者の作業効率が向上するというメリットを有する。
【0020】
また、本発明は、前記の画像読取装置を備えている画像形成装置であってもよい。さらに、本発明はコンピュータによって実現されてもよく、この場合には、コンピュータを前記画像読取装置の各部として機能させるプログラム、および、このプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、利用者にとって利便性の高い画像読取装置または画像形成装置を提供できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】1回の読取ジョブにおいて読み取られた画像データの集合である原稿データを示す図である。
【図2】原稿データを分割して得られる分割原稿データを示す図である。
【図3】本発明の実施形態の複合機に備えられるハードウェアを示したブロック図である。
【図4】読取ジョブの通常モードの処理手順を示すフローチャートである。
【図5】送信先を設定するための設定画面(アドレス帳)を示す図である。
【図6】天地方向を設定するための設定画面を示す図である。
【図7】図4のS7で表示されるダイアログの例を示す図である。
【図8】読取ジョブの分割モードの処理手順を示すフローチャートである。
【図9】実施の形態1の読取ジョブの最中に表示されるダイアログの例を示す図である。
【図10】変形例1において表示されるダイアログを示す図である。
【図11】ブックスキャンモードにて読み取られる原稿データを示す図である。
【図12】ブックスキャンモードにて読み取られる原稿データを分割して得られる分割原稿データを示す図である。
【図13】ブックスキャンモードの設定画面を示す図である。
【図14】左綴じのブックスキャンモードの指示入力が行われた際のブックスキャンモードの設定画面を示す図である。
【図15】(a)は左綴じの原稿を示す図であり、(b)は右綴じの原稿を示す図である。
【図16】(a)は、同時に読み取られた2つのページの間が分割位置として指定されている状況を示した図である。(b)は、同時に読み取られた2つのページのうちのページ番号が若い方のページと、その前のページとの間が分割位置として指定されている状況を示す図である。
【図17】実施の形態2の読取ジョブの最中に表示されるダイアログの例を示す図である。
【図18】入力画像データの画像に示される文字の外接矩形を示す説明図である。
【図19】実施の形態3においての分割位置の指定手法を説明するための図である。
【図20】天地方向を設定するための設定画面であり、実施の形態3にて用いられる設定画面を示す図である。
【図21】図3に示す画像処理装置の具体例を示したブロック図である。
【図22】参考例1における処理の流れを示すフローチャートである。
【図23】参考例3のセパレータシートを示す図である。
【図24】参考例4のセパレータシートを示す図である。
【図25】(a)は、図24のセパレータシートの中央部に記されている情報を示す図である。(b)は、図24のセパレータシートの中央部に記されている情報であり、(a)とは異なる情報を示す図である。
【図26】参考例2にて表示されるプレビューを示す図である。
【図27】分割原稿データの送信先を設定するためのダイアログを示す図面である。
【図28】送信先指定シートの例を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[実施の形態1]
(実施の形態1の概要)
最初に、本発明の実施の形態にて行われる分割処理の概要を説明する。なお、本発明の実施形態では、原稿載置方式にて読み取り可能な画像入力装置(スキャナ)を備えた複合機が用いられる。原稿載置方式とは、原稿台に載置されている原稿の書面、または、冊子原稿の開かれている書面を読み取る方式である。したがって、本発明の実施形態において、複数ページからなる原稿を読み取らせる読取ジョブとは、原稿の書面を読み取らせる処理を、当該原稿の全ての書面について繰り返し行う処理を意味する。
【0024】
前記の読取ジョブが実行されていくと、図1に示すように、各ページの画像データが順次記憶されていき、読み取られた全ページについて画像データが記憶されることになる。以下では、1回の読取ジョブにおいて読み取られた全てのページの画像データを原稿データと称する。例えば、3ページからなる原稿においては、1ページ目の画像の画像データと2ページ目の画像の画像データと3ページ目の画像の画像データとのセットが原稿データになる。
【0025】
本発明の実施形態では、以上のようにして得られる原稿データにおいて、利用者の操作によって分割位置が指定される。なお、分割位置は、図2に示すように、原稿データにおいて、あるページと、このページの次のページとの間に設定される。
【0026】
図2に示すように分割位置が指定されると、分割位置に基づいて原稿データが複数のグループに分割される。具体的には、分割位置を境界として、境界よりも前のページからなるグループと前記境界よりも後のページからなるグループとに分割し、分割位置の数に1を加算した数だけのグループが生成されることになる。例えば、10ページからなる原稿データにおいて、3ページと4ページとの間に分割位置が指定され、7ページと8ページとの間に分割位置が指定された場合、1〜3ページからなるグループと、3〜7ページからなるグループと、7〜10ページからなるグループとに分割される。なお、以下では、分割された各グループを分割原稿データと称する。
【0027】
そして、本実施形態の複合機では、分割原稿データ毎に、各分割原稿データを所定の形式のファイルに変換するようになっている。つまり、分割原稿データaと分割原稿データbとが生成された場合、分割原稿データaから例えばPDFファイルaが生成され、分割原稿データbからPDFファイルbが生成されるようになっていてもよい。なお、このようにして複数のファイルが生成されると、複数のファイルを一括して同じアドレスに送信するようになっていてもよいし、ファイル毎に別々のアドレスを指定して送信するようになっていてもよい。
【0028】
(実施の形態1の詳細)
以下、本発明の一実施形態を図に基づいて説明する。図3は、本実施形態の複合機(画像読取装置,画像形成装置)を示したブロック図である。同図に示されるように、複合機(デジタル複合機)1は、画像入力装置3と、画像処理装置4と、画像出力装置5と、通信部6と、操作部7と、記憶部8と、制御部9とを備えており、これらハードウェアはバスNによって接続されている。また、操作部7は表示部7aを備えている。
【0029】
画像入力装置3は、原稿の書面の画像を光学的に読み取って画像データを生成するスキャナである。画像入力装置3は、読み取り対象の書面に光を照射する光源と、例えばCCD(Charge Coupled Device)のようなイメージセンサとを有する。本実施形態の画像入力装置3は所謂原稿載置方式によって原稿を読み取る機能を有している。つまり、本実施形態の画像入力装置3は、図示しない原稿台(原稿載置台)に載置された原稿の書面からの反射光像を前記イメージセンサに結像させ、RGB(R : Red, G : Green, B : Blue)のアナログ画像データを出力するようになっている。画像入力装置3が出力した画像データは画像処理装置4に入力される。
【0030】
画像処理装置4は、画像処理を施す集積回路であり、ASIC(Application specific integrated circuit)から構成されるものである。画像処理装置4は、画像入力装置3にて生成された画像データに対して、A/D変換およびシェーディング補正等の画像処理を施した上で当該画像データを記憶部8に保存するようになっている。
【0031】
また、画像処理装置4は、複合機1に印刷指示が入力されると、記憶部8に保存されている印刷対象の画像データを入力し、当該画像データに対して、印刷に必要な画像処理を施し、当該画像データを画像出力装置5に送るようになっている。
【0032】
画像出力装置5は、印刷指示が入力されると、画像処理装置4から出力されるCMYKデータの画像データに基づく画像をシート(記録紙、OHPフィルム等)に印刷する。画像出力装置5は、感光体ドラム、該感光体ドラムを所定の電位に帯電させる帯電器、画像データに応じてレーザ光を発して感光体ドラム上に静電潜像を生成させるレーザ書込装置、感光体ドラムに形成された静電潜像にトナーを供給して現像化する現像器、感光体ドラムに形成されたトナー像をシートに転写する転写器とを備えており、電子写真方式にて画像をシート上に形成する。
【0033】
通信部6は、画像データを外部に送信するネットワークカード、モデム等を備えている。通信部6は、送信指示が入力されると、記憶部8に保存されている送信対象の画像データを入力し、当該画像データが添付されたメールを指定のアドレスへ送信する処理を行う。また、通信部6は、外部から画像データを受信することも可能であり、受信した画像データを記憶部8へ保存する。
【0034】
操作部7は、ユーザが各種指示(コマンド)を入力し、各種設定を行うための操作盤(操作パネル)である。操作部7には、入力および設定のための操作ボタン群(不図示)と表示部7aとが備えられている。例えば、「ファックス」、「複写」、「印刷」、「メール」等の機能を切り替える機能ボタン、テンキー、受け付けた指示を確定するためのエンターキー、画像入力装置3にて読み取った原稿の画像データに基づく画像をシート上に画像形成するための「出力」又は「コピー」キー等を備えている。
【0035】
表示部7aは、カラー画像の表示が可能な小型の液晶ディスプレイである。また、表示部7aには、タッチパネルが取り付けられており、入力インターフェイスとしての機能も有している。つまり、表示部7aには、複合機1に対して各種コマンドの入力を行うためのGUI(グラフィカルユーザインターフェイス)、ダイアログ、操作ガイドが表示される。
【0036】
記憶部8は、不揮発性の半導体メモリまたはハードディスクであり、複合機1の動作に必要な各種情報が記憶される。また、記憶部8は、画像入力装置3によって読み取られた画像データ、外部から受信した画像データ、利用者から入力された各種情報を記憶するようになっている。
【0037】
制御部9は、CPU、ROMおよびRAM(図示せず)からなるコンピュータである。ROMには各種の制御プログラムが予め格納されており、RAMは、ROMから読み出されたプログラム、該プログラムを実行することにより発生するデータ、外部から受信したデータ、処理中のデータ等を一時的に記憶する。CPUは、ROMに予め格納されている制御プログラムをRAM上にロードして実行することによって複合機1に備えられている各ハードウェアの制御を行い、各種情報処理を行うものである。以下では、制御部9によって実行される処理の詳細を説明する。
【0038】
制御部9は、画像入力装置3を制御して読取ジョブを実行し、当該読取ジョブにて得られた原稿データ(または分割原稿データ)をファイルに変換して記憶部8に記憶する処理を行う。その後、制御部9は、通信部6を制御して、前記のようにして得られたファイルを利用者に指定されたアドレスへ送信する送信ジョブを実行するようになっている。
【0039】
ここで、前記の読取ジョブとは、原稿載置方式によって原稿に含まれる複数の書面を読み取らせるジョブであり、当該書面を読み取らせる処理を前記複数の書面の全てについて繰り返し行う処理を意味する。
【0040】
また、本実施形態の読取ジョブには、通常モードと分割モードとがあり、いずれかのモードを利用者が選択し、選択されたモードが実行されるようになっている。あるいは、デフォルトとして通常モードが設定されており、操作パネルより分割モードを選択するようにしても良い。通常モードとは、図1に示すように、複数の書面を順に読み取って得られる原稿データを単一のファイルに変換するモードである。分割モードとは、図2に示すように、複数の書面を順に読み取って得られる原稿データを複数の分割原稿データ(グループ)に分割し、分割原稿データ毎に分割原稿データを画像ファイルに変換するモードである。
【0041】
以下では、最初に通常モードの処理内容を詳細に説明し、その後に前記の分割モードの処理内容を詳細に説明する。
【0042】
(通常モードについて)
図4は読取ジョブの通常モードの処理手順を示すフローチャートである。以下では、図4に基づいて通常モードを説明する。利用者が、操作部7を操作することにより、読取ジョブの実行指示を複合機1へ入力し、且つ、通常モードへの移行指示を複合機1へ入力すると、図4の処理が開始されるようになっている。
【0043】
通常モードへ移行すると、制御部9は、送信モードの設定画面(不図示)を表示し、利用者から送信モードの指示入力を受け付けると、指示された送信モードの設定を行う(図4のS1)。なお、送信モードとは、FTP送信、電子メール、インターネットファックス等の送信方式を意味する。
【0044】
S1の後、制御部9は、送信先アドレスの設定画面(アドレス帳)を表示部7aに表示し、利用者からアドレスの指示入力を受け付けると、利用者に指示されたアドレスを、送信先アドレスとして設定する(S2)。ここでアドレス帳の例を図5に示す。図5は、アドレス帳に設定されているカテゴリのうちの「得意先」に登録されているアドレスが表示されており、2つのアドレスが指定されている例を示している。
【0045】
S2の後、制御部9は、天地方向の設定画面を表示部7aに表示し、利用者から方向の指示入力を受け付けると、利用者に指示された方向を、原稿の書面の天地方向として設定(解釈)する(S3)。ここで天地方向の設定画面を図6に示す。図6に示す例では、原稿の天地方向と原稿台の手前側から奥側へ向かう方向とが一致するように天地方向が設定されている状況を示している。
【0046】
S1〜S3にて示す設定処理を完了すると、制御部9は、原稿台に原稿を載置(セット)する事とスタートボタンを押す事(読込み指示を入力する事)とを促すメッセージを示したダイアログを表示部7aに表示する。そして、利用者が、原稿のうちの1枚の書面を原稿台に載置して(S4)、スタートボタンを押すと(S5)、制御部9は、読込み指示の入力を認識し、画像入力装置3に読み取り処理(スキャン動作)を行わせる(S6)。
【0047】
S6の後、制御部9は、次の書面を原稿台にセットする事とスタートボタンを押す事(読込み指示を入力する事)とを促すメッセージを示したダイアログを表示部7aに表示する(S7)。S7にて表示されるダイアログを図7に示す。ここで、S7にて表示されるダイアログには、図7に示すように、前記のメッセージが示されているだけではなく、読込終了ボタンが表示される。読込終了ボタンは、読取ジョブの終了指示を利用者が入力するためのボタンである。
【0048】
利用者が、図7の読込終了ボタンを押さずに(S8にてNO)、次に読み取らせる必要のある書面を原稿台にセットして(S4)、スタートボタンを押すと(S5)、読み取り処理が再度行われて(S6)、再度S7の状態に戻る。つまり、利用者は、原稿台に書面をセットしてスキャンボタンを押す動作を、読み取らせる書面の枚数分繰り返す。
【0049】
これに対し、図7に示す読込終了ボタンが押されると(S8にてYES)、制御部9は読取ジョブを終了する。つまり、利用者は、原稿のうち読み取り対象とされる全ての書面について読み込みを完了すると、図7に示す読込終了ボタンを押すことにより読取ジョブを終了する。
【0050】
その後、制御部9は、読取ジョブにて得られた原稿データを、予め利用者に指定されているファイル形式のファイルに変換し、当該ファイルを一旦記憶部8に保存する。そして、制御部9は、S2にて指定された送信先アドレスに、S1にて指定された送信モードにて前記ファイルを送信するようになっている。
【0051】
なお、制御部9は、画像入力装置3から読み取られた画像データに示されるページの天地方向を判定し、判定された天地方向と図4のS3にて設定された天地方向とが一致しない場合、画像データに示されるページの天地方向とS3にて設定された天地方向とが一致するように前記画像データに対して回転処理を行うようになっていてもよい。なお、天地方向の判定は周知の技術によって実現可能である。例えば、画像データに示されるページの天地方向の判定は、特許第4572248号公報の[0027][0028]に記載の手法によって実現可能である。
【0052】
(分割モードについて)
次に読取ジョブの分割モードの処理内容を詳細に説明する。図8は読取ジョブの分割モードの処理手順を示すフローチャートである。なお、図8のフローチャートにおいて、図4のフローチャートと同じ処理内容を示すステップについては、図4のステップ番号と同じ番号を付し、その説明を省略する。
【0053】
利用者が、操作部7を操作することにより、読取ジョブの実行指示を複合機1へ入力し、且つ、分割モードへの移行指示を複合機1へ入力すると、図8の処理が開始されるようになっている。
【0054】
図8に示すように、分割モードに移行すると、通常モードと同様、最初にS1〜S4の処理が行われる。そして、利用者によってスタートボタンが押されると(S5)、制御部9は、読み取り対象の書面が1ページ目を含むか否かを判定する(S11)。ここで、制御部9は、分割モードへの移行後にスタートボタンが押された回数が1回である場合、読み取り対象の書面が1ページ目であると判定し、分割モードへの移行後にスタートボタンが押された回数が1回を超える場合、読み取り対象の書面が1ページ目でないと判定する。
【0055】
S11において読み取り対象の書面が1ページ目を含むと判定された場合(S11にてYES)、制御部9は、画像入力装置3に読み取り処理(スキャン動作)を行わせる(S12)。
【0056】
S12の後、制御部9は、原稿の次の書面を原稿台にセットする事とスタートボタンを押す事(読込み指示を入力する事)とを促すメッセージを示したダイアログを表示部7aに表示する(S13)。S13にて表示されるダイアログを図9に示す。
【0057】
ここで、S13にて表示されるダイアログには、図9に示すように、前記のメッセージが示されているだけではなく、読込終了ボタンと分割指示ボタンAと分割不要ボタンBとが表示される。
【0058】
図9における読込終了ボタンは、図7に示す読込終了ボタンと同様、読取ジョブの終了指示を利用者が入力するためのボタンである。
図9における分割指示ボタンAは、原稿データにおける分割位置を指定するためのボタンである。つまり、利用者が分割指示ボタンAを押すと、押す直前のS12にて読み取られたページと、押した直後のS12にて読み取られるページとの間が分割位置として利用者に指定されることになる。
図9における分割不要ボタンBは分割不要であることを指示するためのボタンである。分割不要ボタンBが選択されている状態でスタートボタンが押されると、制御部9は、当該スタートボタンが押されることによって読み取られるページと、当該ページの直前のページとの間を分割位置として扱わない。
なお、図9の画面が表示されると、分割不要ボタンBがデフォルトで選択されている。そして、利用者が分割指示ボタンAを選択すると、分割不要ボタンBが非選択になり、利用者が分割不要ボタンBを押すことによって当該分割不要ボタンBが選択されると、分割指示ボタンAが非選択になる。なお、図9は、分割指示ボタンAが選択されている状況を示している。
【0059】
そして、図9のダイアログが表示されている時に、利用者が、読込終了ボタンを選択せずに(S14にてNO)、次に読み取らせる必要のある書面を原稿台にセットして(S4)、スタートボタンを押すと(S5)、S11の処理が再度行われる。
【0060】
ここでは、分割モードへの移行後のスタートボタンが押された回数が2回であるため、制御部9は、S11において読み取り対象の書面が1ページ目を含まないと判定し、処理をS15に移行させる。
【0061】
そして、S15において制御部9は分割指示の有無を判定する。具体的に、制御部9は、現時点から直前のS5においてスタートボタンが押された際に分割指示ボタンAが選択されていた場合、分割指示有と判定し、現時点から直前のS5においてスタートボタンが押された際に分割不要ボタンBが選択されていた場合、分割指示無と判定する。
【0062】
制御部9は、分割指示無と判定した場合(S15においてNO)、読み取り処理を画像入力装置3に再度行わせて(S12)、再度S13の状態に戻る。これに対し、制御部9は、分割指示有と判定した場合(S15においてYES)、当該判定の直前のS12にて読み取られたページと、当該判定の直後のS12にて読み取られるページとの間を分割位置として認識し、この分割位置を記憶部8に記憶させる(S16)。S16の後、制御部9は、S12に移行して画像入力装置3に読み取り処理を再度行わせる。
【0063】
そして、制御部9は、記憶部8に記憶されている分割位置に基づいて、今回のS12にて読み取られた画像データを、前回までに読み取られた画像データから分割して記憶部8に記憶させる。つまり、今回のS12にて読み取られた画像データは、前回のS12までに読み取られて得られた分割原稿データとは別の分割原稿データとして扱われる(図2を参照)。
【0064】
そして、利用者は、原稿台に書面をセットしてスキャンボタンを押す動作を、読み取らせる書面の枚数分繰り返し、必要に応じて分割指示ボタンAを押すことによって分割指示を行う。
【0065】
その後、図9に示す読込終了ボタンが押されると(S14にてYES)、制御部9は読取ジョブを終了する。つまり、利用者は、原稿の全ての書面について読み込みを完了すると、図9に示す読込終了ボタンを押すことにより読取ジョブを終了する。
【0066】
読取ジョブの終了後、制御部9は、分割原稿データ毎に、各分割原稿データを予め利用者に指定されているファイル形式のファイルに変換する。制御部9は、このようにして得られた全てのファイルを一旦記憶部8に保存する。そして、制御部9は、S2にて指定された送信先アドレスに、S1にて指定された送信モードにて前記の全てのファイルを送信するようになっている。
【0067】
以上示したように、本実施形態の複合機1は、原稿台に載置されている書面を読み取るスキャン処理を行うことによって当該書面の画像を示す画像データを生成する原稿載置方式の画像入力装置3を備えている。そして、複合機1の制御部9は、前記スキャン処理を複数回行って生成される全ての画像データから少なくとも1以上のファイルを作成するファイル作成処理を行うことになる分割モード(分割ファイルモード)が選択されている場合、第1スキャン処理の実行後であって、第1スキャン処理の次に行われる第2スキャン処理の実行指示が入力される前に、分割指示の入力を行うためのダイアログ(図9)を表示部7aに表示させることによって、分割指示の入力を利用者に促す分割準備部として機能する。そして、制御部9は、前記分割指示が入力されずに前記第2スキャン処理の実行指示が入力された場合、第2スキャン処理にて得られる画像データと第1スキャン処理にて得られる画像データとが同じファイルに含まれ、前記分割指示が入力されてから前記第2スキャン処理の実行指示が入力された場合、第2スキャン処理にて得られる画像データが第1スキャン処理にて得られる画像データとは異なるファイルに含まれるように、前記ファイル作成処理を行うファイル作成部として機能する。
【0068】
このような構成によれば、第1スキャン処理の実行後であって第2スキャン処理の実行前に分割指示が入力されると、第2スキャン処理にて読み取られる画像データは第1スキャン処理にて読み取られる画像データから分割され、第2スキャン処理にて読み取られる画像データと第1スキャン処理にて読み取られる画像データとが別々にファイル化されるようになっている。つまり、分割しようとする画像の読み取り前に当該分割に関する分割指示を入力すればよいことから、利用者にとって、分割指示のタイミングが分かり易く、利便性が高いという効果を奏する。
【0069】
(変形例1)
以上にて述べた実施形態では、全ての分割原稿データ(ファイル)の送信先アドレスが共通に設定されているが、分割原稿データ毎に異なる送信先アドレスを設定できるような形態であってもよい。以下では当該形態について説明する。なお、以下の説明では、以上にて述べた実施形態と共通する点については説明を省略し、異なる点のみを説明する。
【0070】
本変形例の分割モードでは、図8のS13において、図9に示すダイアログではなく、図10に示すダイアログが表示されるようになっている。図10に示すダイアログの宛先変更ボタンGは、送信先アドレスを指定するためのボタンとして機能すると共に、以上にて述べた実施形態の分割指示ボタンAと同じ機能を有するものである。
【0071】
つまり、利用者が宛先変更ボタンGを押すと、押す直前のS12にて読み取られたページと、押した直後のS12にて読み取られるページとの間が分割位置として利用者に指定されることになる。なお、図10のダイアログが表示されると、宛先変更ボタンGは非選択状態にて初期設定されている。そして、利用者が宛先変更ボタンGを押すと、宛先変更ボタンGが選択されている状態になる。
【0072】
また、利用者が宛先変更ボタンGを押すことで宛先変更ボタンGが選択状態になると、制御部9は、図5に示すアドレス帳を表示し、利用者に送信先アドレスの設定を促す。ここで設定される送信先アドレスは、宛先設定ボタンGが選択された直後に読み取って得られる分割原稿データの送信先とされる。
【0073】
そして、S15において、制御部9は、現時点から直前のS5においてスタートボタンが押された際に宛先設定ボタンGが選択されていた場合、分割指示有と判定し、現時点から直前のS5においてスタートボタンが押された際に宛先設定ボタンGが選択されていなかった場合、分割指示無と判定する。
【0074】
以上の構成によれば、ページ番号が最も少ない側の分割原稿データの送信先はS2にて設定され、それ以外の分割原稿データの送信先については分割原稿データ毎に設定されることになる。
【0075】
そして、読取ジョブの終了後、制御部9は、分割原稿データ毎に、各分割原稿データを予め利用者に指定されているファイル形式のファイルに変換する。制御部9は、このようにして得られた全ての画像ファイルを一旦記憶部8に保存する。さらに、制御部9は、各ファイルを、各々に対して設定されている送信先アドレスに送信するようになっている。
【0076】
(変形例2)
読取ジョブの終了後、制御部9は、図27に示すように、分割原稿データ毎に各分割原稿データの送信先アドレスを指定するための個別指示ボタン90と、全ての分割原稿データに共通する送信先アドレスを指定するための共通指示ボタン95とを示した設定画面を表示部7aに表示するようになっていてもよい。以下、本変形例を詳細に説明する。なお、以下の説明では、以上にて述べた実施形態と共通する点については説明を省略し、異なる点のみを説明する。
【0077】
利用者が、操作部7を操作することにより、読取ジョブの実行指示を複合機1へ入力し、且つ、分割モードへの移行指示を複合機1へ入力すると、図8の処理が開始されるようになっている。但し、本変形例ではS2は行われずにスキップされる。
【0078】
そして、読み込み終了ボタンが押されて読取ジョブが終了すると(S14にてYES)、制御部9は、図27に示す設定画面を表示部7aに表示させる。
【0079】
図27に示す設定画面においては、各分割原稿データに対応する「ジョブn」(nは各分割原稿データの番号)と表示された個別指示ボタン90が表示されている。ここで、利用者が、ある分割原稿データに対応する個別指示ボタン90を押すと、図5に示すアドレス帳が表示され、このアドレス帳を用いてアドレスを指定すれば、指定されたアドレスは、押された個別指示ボタン90に対応する分割原稿データの送信先として設定される。
【0080】
また、「全てのジョブ」と表示された共通指示ボタン95を押すと、図5に示すアドレス帳が表示され、このアドレス帳を用いてアドレスを指定すれば、指定されたアドレスは全部の分割原稿データに共通の送信先として設定される。
【0081】
以上の変形例によれば、各原稿データを送信したい宛先に送信すると共に、全原稿データを控えとして利用者のアドレスに送信したいような場合、アドレス設定を簡略化できるというメリットがある。
【0082】
以上示した変形例2において、制御部9は、分割モードによって複数のファイルが作成されると、ファイル毎に示されるボタンであり各ファイルの送信先を利用者に設定させるための個別指示ボタン(第1ボタン)90と、前記複数のファイルの全てに共通の送信先を利用者に設定させるための共通指示ボタン(第2ボタン)95とが示されている設定画面を表示部7aに表示させる表示制御部として機能する。そして、制御部9は、個別指示ボタン90が利用者に選択された場合、選択された個別指示ボタン90に対応するファイルのみの送信先を指定するためのアドレス帳(送信先指定画面)を表示部7aに表示し、共通指示ボタン95が利用者に選択された場合、前記複数のファイルの全てに共通の送信先を指定するためのアドレス帳(送信先指定画面)を表示部7aに表示するようになっている。このような構成によれば、ファイル毎に送信先を指定できると共に、全てのファイルに共通の送信先を一括で指定できる。それゆえ、利用者の作業効率が向上するというメリットを有する。
【0083】
(変形例3)
また、宛先指定を行うためのチェックボックスを明示する送信先指定シートを読み取らせることで、各分割原稿データの宛先指定が行われてもよい。
【0084】
例えば、利用者が送信先指定シートの印刷指示を複合機1に入力すると、複合機1は、図28に示すような、宛先とチェックボックスとが対応付けられた送信先指定シートを印刷するようになっている。ここで、図28に示すように、送信先指定シートには、各宛先に対して、各分割原稿データに対応するチェックボックスが示されている。具体的に、左側欄のチェックボックス65は第1分割原稿データに対応するものであり、中央欄のチェックボックス66は第2分割原稿データに対応するものであり、右側欄のチェックボックス67は第3分割原稿データに対応するものである。
【0085】
そして、利用者は、送信先として指定する宛先に対応するチェックボックスを塗り潰す作業を行う。
【0086】
また、複合機1は、送信先指定シートの印刷処理時に、各チェックボックスの位置と、分割原稿データと、宛先との関係を記憶しておく。これにより、複合機1は、宛先シートが画像入力装置3にて読み取られた際、得られた宛先シートの画像データに基づき、塗り潰されているチェックボックスの位置を検出し、検出したチェックボックスの位置に対応する分割原稿データおよび宛先を判別し、各分割データに対して利用者に指定された宛先を認識するようになっている。
【0087】
つぎに、図28に示す送信先指定シートを用いる場合の処理の流れを説明する。利用者が、操作部7を操作することにより、読取ジョブの実行指示を複合機1へ入力し、且つ、分割モードへの移行指示を複合機1へ入力すると、図8の処理が開始されるようになっている。但し、本変形例ではS2は行われずにスキップされる。そして、利用者は、最初に宛先シートを複合機1にスキャンさせ、その後に原稿の各書面を複合機1にスキャンさせるようになっている。そして、全書面の読み取りを終えると、利用者は読み込み終了ボタンを押して読取ジョブを終了する(S14にてYES)。
【0088】
なお、図28は、分割原稿データが3つであることを前提とした宛先シートであるが、勿論、分割原稿データが3つ以上の宛先シートを複合機1は印刷することができる。また、送信前にプレビューで分割原稿データと宛先との関係を利用者に提示し、誤りが無いことを確認した上で送信するようになっていることが好ましい。
【0089】
なお、以上の実施形態では複合機を例にして説明したが、本実施形態は画像読取装置(スキャナ)であってもよい。なお、画像読取装置の場合、図3の各ハードウェアのうち、画像出力装置5以外のハードウェアが画像読取装置に備えられていることとなる。つまり、複合機(画像形成装置)1は、画像読取装置と画像出力装置とを備えているといえる。
【0090】
[実施の形態2]
(実施の形態2の概要)
以上にて説明した読取ジョブの一形態として、冊子(綴本)からなる原稿を読み取るブックスキャンモード(分離モード)が知られている。ブックスキャンモードが利用者に選択されて実行されると、制御部9は、図11に示すように、原稿台にて見開き状態で載置されている冊子原稿の書面を読み取って得られた2ページ分の画像データを、ページ毎の画像データに分離するようになっている。
【0091】
実施の形態2は、ブックスキャンモードに分割モードを適用したものである。つまり、ブックスキャンモードにより読み込まれて得られた原稿データについても、分割モードを選択して分割位置を指定すると、図12のように、分割位置に基づいて複数のグループに分割され、分割原稿データが生成されることになる。
【0092】
(実施の形態2の詳細説明)
利用者が、操作部7を操作して、右綴じ(縦書き)のブックスキャンモード、および、左綴じ(横書き)のブックスキャンモードのいずれかを選択すると、制御部9は、選択されたモードの実行指示を検知するようになっている。
【0093】
具体的に、制御部9は、利用者からの指示入力に応じて、図13に示すブックスキャンモードの設定画面を表示部7aに表示させるようになっている。図13は、ブックスキャンモードが選択される前のブックスキャンモードの設定画面を示したものである。
【0094】
利用者が、ブックスキャンモードの設定画面のうち、左綴じボタンを選択した上でOKボタンを選択すると、制御部9は、左綴じのブックスキャンモードの指示入力を検知し、当該モードへ移行する。また、利用者が、ブックスキャンモードの設定画面のうち、右綴じボタンを選択した上でOKボタンを選択すると、制御部9は、右綴じのブックスキャンモードの指示入力を検知し、当該モードへ移行する。なお、図14は、左綴じのブックスキャンモードの指示入力が行われた際のブックスキャンモードの設定画面を示したものである。
【0095】
そして、左綴じのブックスキャンモードが選択された場合、制御部9は、図15(a)に示すように、同時に読み取られた2つのページのうち、右側のページのページ番号よりも左側のページのページ番号を小さく認識する。これに対し、右綴じのブックスキャンモードが選択された場合、制御部9は、図15(b)に示すように、同時に読み取られた2つのページのうち、左側のページのページ番号よりも右側のページのページ番号を小さく認識する。制御部9は、以上のようにしてページ番号を認識した上で、図11に示すように、読み取られた全てのページの画像データを原稿データとして保存する。なお、図11の例は、左綴じのブックスキャンモードの場合を例示したものである。
【0096】
つぎに、本実施形態での分割モードの処理の流れを説明する。本実施形態についても図8のフローチャートを用いて説明可能であるため、以下では図8を参照して説明する。
【0097】
利用者が、操作部7を操作することにより、ブックスキャンモードの指示入力を行い、且つ、分割モードへの移行指示を入力すると、図8の処理が開始されるようになっている。
【0098】
図8に示すS1〜S5、S11,S12,S14〜S16については、実施の形態1と同じであるため、その説明を省略する。本実施形態では、S15にて表示されるダイアログが実施の形態1のものと異なるため、以下ではS15について詳細に説明する。
【0099】
S12の後、制御部9は、原稿の次の書面を原稿台にセットする事とスタートボタンを押す事(読込み指示を入力する事)とを促すメッセージが示されたダイアログを表示部7aに表示する(S13)。実施の形態2のS13にて表示されるダイアログを図17に示す。
【0100】
ここで、図17に示すダイアログには、前記のメッセージが示されているだけではなく、読込終了ボタンと、第1分割ボタンDと第2分割ボタンCと分割不要ボタンEとが表示される。
【0101】
図17における読込終了ボタンは、実施の形態1と同様、ブックスキャンモードの終了指示を利用者が入力するためのボタンである。
【0102】
図17における第2分割ボタンCは、原稿データにおける分割位置を指定するためのボタンであり、「1頁を分割」というメッセージが示されている。第2分割ボタンCは、第2分割ボタンCを選択した上でスタートボタンを押した直後に同時に読み取られる2つのページの間を分割位置として指示するためのボタンである。すなわち、同時に読み取られる2つのページのうち、1ページのみ(ページ番号の大きな方のページ)を分割するボタンである。つまり、利用者が第2分割ボタンCを押した上でスタートボタンを押すと、このスタートボタンの押下によって読み取られる2つのページの間が分割位置として利用者に指定されることになる。例えば、第2分割ボタンCを押した上でスタートボタンを押して3ページ目と4ページ目とが読み取られた場合、図16(a)に示すように3ページ目と4ページ目との間が分割位置として指定される。
【0103】
図17における第1分割ボタンDは、原稿データにおける分割位置を指定するためのボタンであり、「2頁を分割」というメッセージが示されている。第1分割ボタンDは、第1分割ボタンDを選択する前までに読み取られたページと、第1分割ボタンDを選択した上でスタートボタンを押すことで読み取られたページとの間を分割位置として指示するためのボタンである。つまり、第1分割ボタンDは、同時に読み取られる2つのページのうち、1番目のページ(ページ番号の若い方のページ)の直前を分割位置として指定するためのボタンである。すなわち、利用者が第1分割ボタンDを押すと、押した直後に読み取られた2つのページとその前に読み取られたページとの間が分割位置として利用者に指定されることになる。例えば、第1分割ボタンDを押した上でスタートボタンを押して5ページ目と6ページ目とが読み取られた場合、図16(b)に示すように4ページ目と5ページ目との間が分割位置として指定される。
【0104】
そして、利用者は、原稿台に書面をセットしてスキャンボタンを押す動作を、読み取らせる書面の枚数分繰り返し、必要に応じて第2分割ボタンCおよび第1分割ボタンDを押すことによって分割指示を行う。
【0105】
その後、図17に示す読込終了ボタンが押されると(S14にてYES)、制御部9は読取ジョブを終了する。つまり、利用者は、原稿の全ての書面について読み込みを完了すると、図17に示す読込終了ボタンを押すことにより読取ジョブを終了する。
【0106】
読取ジョブの終了後、制御部9は、分割原稿データ毎に、各分割原稿データを予め利用者に指定されているファイル形式の画像ファイルに変換する。制御部9は、このようにして得られた全ての画像ファイルを一旦記憶部8に保存する。そして、制御部9は、S2にて指定された送信先アドレスに、S1にて指定された送信モードにて前記の全ての画像ファイルを送信するようになっている。
【0107】
以上示したように、実施の形態2の制御部9は、2ページ分の画像を1回のスキャン処理にて読み取るブックスキャンモード(見開原稿モード)が選択されている場合、利用者からの入力指示に基づき、原稿台に載置されている書面が縦書書面および横書書面のいずれであるかを判定する判定部として機能するようになっている。また、制御部9は、前記の判定の結果に基づいて、1回のスキャン処理にて読み取られる2つのページの順番の先後を決定するようになっている。
【0108】
そして、制御部9は、分割モード(分割ファイルモード)が選択され、且つ、ブックスキャンモードが選択されている場合、第1スキャン処理の実行後且つ第2スキャン処理(第1スキャン処理の次のスキャン処理)の実行指示が入力される前に、図17に示されるダイアログを表示部7aに表示させる。図17に示すダイアログは、第1分割ボタンDによる第1分割指示の入力、または、第2分割ボタンCによる第2分割指示の入力を利用者に促すためのものである。
【0109】
そして、制御部9は、前記第1分割指示が入力されてから前記第2スキャン処理の実行指示が入力された場合、第2スキャン処理にて得られる全ての画像データ(2ページ分のデータ)と第1スキャン処理にて得られる全ての画像データ(2ページ分のデータ)とが異なるファイルに含まれるようにファイル作成を行う。これに対し、制御部9は、前記第2分割指示が入力されてから前記第2スキャン処理の実行指示が入力された場合、第2スキャン処理にて得られる画像データのうちのページの順番が先のページの画像データと第1スキャン処理にて得られる全ての画像データとが同じファイルに含まれ、第2スキャン処理にて得られる全ての画像データのうちのページの順番が後のページの画像データと第1スキャン処理にて得られる画像データとが互いに異なるファイルに含まれるようにファイル作成処理を行うようになっている。
【0110】
このような構成によれば、見開原稿から読み取って得られるデータについても1ページ毎に分割できるため、見開原稿についても無駄なく適切に複数のファイルに分割できるという効果を奏する。
【0111】
(変形例4)
また、実施の形態2では、右綴じ(縦書き)および左綴じ(横書き)のいずれであるかを利用者に指定させるようになっていたが、右綴じおよび左綴じのいずれであるかを判定する判定処理を画像処理装置(判定部)4に行わせ、制御部9は当該判定結果に基づいて右綴じまたは左綴じを認識するようになっていてもよい。以下ではこの点について説明する。
【0112】
本変形例の画像処理装置4は、入力画像データに基づいて、当該入力画像データに示される原稿の書面が右綴じまたは左綴じのいずれであるかを判定する原稿検知部(不図示)を備える。この原稿検出部は、信号変換部、2値化処理部、解像度変換部、レイアウト解析部より構成される。
【0113】
信号変換部は、入力画像データを受け取ると、下記の式aを用いて、R(赤),G(緑),B(青)の入力画像データを輝度信号に変換するものである。この輝度信号は2値化処理部に送られる。
Yi=0.30Ri+0.59Gi+0.11Bi 式a
Y:各画素の輝度信号(輝度値)
R,G,B:各画素の各色成分の値
i:画素毎に付与される値(iは1以上の整数)
2値化処理部は、信号変換部から送られてきた輝度信号に対して2値化処理を行って2値化データを作成する。2値化処理に用いられる閾値は、例えば、画像データが8ビットの場合は128に設定される。また、画像データにおいて複数の画素からなるブロック(例えば5×5画素)を設定し、このブロックにおける輝度値の平均値を求め、求めた平均値を当該ブロック内の画素についての閾値としてもよい。
【0114】
なお、輝度信号を2値化するのではなく、RGBの画像データからL値を求め、L値を2値化することによって2値化データを生成してもよい。L値は、CIE1976L表色系(CIE:Commission Internationale de l'Eclairage)における明度を示す値であり、a値およびb値は前記L表色系における色度を示す値である。また、G信号の値を2値化して2値化データを生成してもよい。
【0115】
解像度変換部は、2値化処理部にて生成された2値化データを低解像度化する。具体的に、解像度変換部は、1200dpiないし600dpiで読み取られ且つ信号変換部および2値化処理部にて処理された2値化データから、75dpiの2値化データを生成する。そして、解像度変換部は、75dpiの2値化データをレイアウト解析部に入力する。なお、解像度変換は、公知のニアレストネイバー法、バイリニア法、バイキュービック法等を用いて行われる。
【0116】
レイアウト解析部は、入力画像データの画像に示される文字の外接矩形を求め、外接矩形間の距離により、右綴じ(縦書き)および左綴じ(横書き)のいずれであるかを判定するブロックである(図18を参照)。以下ではレイアウト解析部を説明する。
【0117】
レイアウト解析部は、2値化データにおける副走査方向に延伸する最初のラインに含まれる各画素が黒画素であるか否かを画素毎に判断し、黒画素であると判断した画素に所定のラベルを割り付ける。その後、レイアウト解析部は、上記の最初のラインに対して主走査方向に隣接する第2のラインに含まれる各画素が黒画素であるか否かを画素毎に判断し、黒画素であると判断した画素に対し、上記の最初のラインで用いたラベルとは異なるラベルを割り付ける。
【0118】
レイアウト解析部は、第2のラインの黒画素のうち、最初のラインの黒画素と連結している画素を検出し、検出した画素のラベルを最初のラインにて用いたラベルと同じラベルに変更する。その後、レイアウト解析部は、上記の処理を主走査方向に並ぶ各ラインについて繰り返し、最初のラインで用いたラベルと同じラベルが付された画素を抽出することにより、文字の抽出を行う。
【0119】
そして、レイアウト解析部は、図18に示すように、抽出した各文字の外接矩形を検出する。なお、各文字および各外接矩形の座標値は、例えば画像データに示される画像の上端かつ左端の位置を原点として算出する。さらに、レイアウト解析部は、隣接する外接矩形間の距離を算出し、得られた外接矩形間の距離に基づいて画像データに示される画像が右綴じ(縦書き)であるか左綴じ(横書き)であるかを判定する。例えば、レイアウト解析部は、画像データに示される画像の縦方向の外接矩形間の距離の平均値が横方向の外接矩形間の距離の平均値よりも大きく、両平均値の差の絶対値が所定値以上の場合、左綴じ(横書き)であると判定する。また、レイアウト解析部は、画像データに示される画像の縦方向の外接矩形間の距離の平均値が横方向の外接矩形間の距離の平均値よりも小さく、両平均値の差の絶対値が所定値以上の場合、右綴じ(縦書き)であると判定する。
【0120】
本変形例においては、以上のようにして、入力画像データに基づいて、当該入力画像データに示される原稿が右綴じまたは左綴じのいずれであるかを判定できるのである。
【0121】
そして、本変形例では、利用者が操作部7を操作してブックスキャンモードを選択すると、制御部9は図8の処理を開始するようになっている。そして、制御部9は、S11にてYESの後、S12にて1枚目の書面を読み取って画像データを生成すると、当該画像データを画像処理装置4に入力し、右綴じまたは左綴じのいずれであるかの判定処理を画像処理装置4に実行させる。
【0122】
そして、制御部9は、画像処理装置4に左綴じであると判定された場合、同時に読み取られた2つのページのうち、右側のページのページ番号よりも左側のページのページ番号を小さく認識する。これに対し、制御部9は、画像処理装置4に右綴じであると判定された場合、同時に読み取られた2つのページのうち、左側のページのページ番号よりも右側のページのページ番号を小さく認識する。
【0123】
なお、最初のスキャンで読み取られた画像データに基づいて左綴じか右綴じかの判定処理が行われた後、この判定処理の結果は以降にて読み取られる画像データについても援用される。つまり、最初のスキャンの後に前記判定処理が行われ、2回目以降のスキャンの後には、前記判定処理は行われず、最初のスキャンの後に行われた判定結果が援用されるのである。
【0124】
また、前記の判定処理が行われると、制御部9は、右綴じか左綴じかを示す判定結果を表示部7aに表示し、利用者に判定結果の正否の確認を促すようになっていてもよい。判定結果が正しい場合、利用者はOKボタンを押すようになっており、OKボタンが押されると、制御部9は判定結果をそのまま援用するようになっている。これに対し、判定結果が正しくない場合、利用者は右綴じまたは左綴じを示す情報を操作部7から入力し、制御部9は利用者から入力された情報に基づいて左綴じか右綴じかを認識するようになっている。
【0125】
尚、本実施形態の処理は、1回のスキャン処理で2頁が同時に読み取られるような見開原稿に適用できるものである。このような見開原稿の例としては、以上にて述べた冊子原稿の他、1書面に2頁が示されている割付原稿(2in1原稿,2up原稿)が挙げられる。
【0126】
[実施の形態3]
(実施の形態3の概要)
実施の形態3は、図19に示すように、原稿台に載置される書面の向きの変化を検出し、書面の向き(縦向き、横向き)が変化した箇所を分割位置として認識する形態である。なお、縦向きとは、書面の天地方向が縦方向と一致している状態を意味し、横向きとは、書面の天地方向が横方向と一致している状態を意味する。
【0127】
例えば、原稿の長辺方向が天地方向である縦長原稿の場合、図20の符号100に示すように長辺方向(天地方向)と縦方向(基準方向)とが一致している場合が縦向きであり、同図の符号101に示すように長辺方向(天地方向)と横方向とが一致している場合が横向きである。これに対し、原稿の短辺方向が天地方向である横長原稿の場合、図20の符号103に示すように短辺方向(天地方向)と縦方向とが一致している場合が縦向きであり、同図の符号102に示すように短辺方向(天地方向)と横方向とが一致している場合が横向きである。なお、本実施形態において、縦方向とは、原稿台の手前から奥へ向かう方向(主走査方向)と平行な方向を意味し、横方向とは、前記の縦方向に直交する方向を意味する。
【0128】
(実施の形態3の詳細説明)
本実施形態では、図3に示す画像入力装置3に、原稿台に載置された原稿の書面の主走査方向および副走査方向のサイズ(長さ)を示す信号を出力する光学センサ(不図示)が設置されている。この光学センサは、フォトトランジスタ等の光電変換素子である。光学センサから出力される信号は、書面の主走査方向および副走査方向のサイズ(長さ)を示すものであるが、これらサイズがわかれば縦向きと横向きとの識別が可能になる。それゆえ、光学センサから出力される信号は、原稿台に載置されている書面の方向を示す信号であるといえる。
【0129】
制御部9は、原稿センサから出力される信号に基づき、原稿台に載置されている書面の方向を検出する。そして、制御部9は、原稿台に載置されている書面の方向が直前に行われたスキャン時に原稿台に載置されていた書面の方向と異なる場合、原稿の方向が変化したものとして判定し、原稿台に載置されている書面の方向が直前に行われたスキャン時に原稿台に載置されていた書面の方向と同じである場合、原稿の方向が変化していないと判定する。
【0130】
さらに、本実施形態では、制御部9は、図20に示すように、天地方向を設定するための画面を表示部7aに表示し、利用者に天地方向を選択させるようになっている。制御部9は、利用者に選択された天地方向を、原稿の書面の天地方向として設定(解釈)する。図20に示す例では、縦長原稿ボタンおよび横長原稿ボタンが示されている。ここで、縦長原稿ボタンが利用者に選択されると、原稿の書面の長辺方向が天地方向として選択されることになり、制御部9は、原稿の書面の長辺方向を天地方向として解釈するようになっている。これに対し、横長原稿ボタンが利用者に選択されると、原稿の書面の短辺方向が天地方向として選択されることになり、制御部9は、原稿の書面の短辺方向を天地方向として解釈するようになっている。
【0131】
また、本実施形態の画像処理装置4には、画像データを回転させる回転処理部が備えられている。ここで、制御部9は、縦向きの状態で原稿台に載置された書面から読み取られた画像については回転処理を行わないが、横向きの状態で原稿台に載置された書面から読み取られた画像については、縦向きの状態になるように、画像処理装置4に回転処理を行わせるようになっている。
【0132】
具体的に説明すると、図20に示す縦長原稿ボタンが利用者に選択されている場合、制御部9は、原稿の書面の長辺方向を天地方向と解釈している。この場合、制御部9は、読取ジョブにて読み取られる画像データのうち、天地方向(長辺方向)と縦方向とが一致している画像データについては回転させず、天地方向(長辺方向)と横方向とが一致している画像データについては、天地方向(長辺方向)と縦方向とが一致するように回転処理を行わせるようになっている。
【0133】
また、図20に示す横長原稿ボタンが利用者に選択されている場合、制御部9は、原稿の書面の短辺方向を天地方向と解釈している。この場合、制御部9は、読取ジョブにて読み取られる画像データのうち、天地方向(短辺方向)と縦方向とが一致している画像データについては回転させず、天地方向(短辺方向)と横方向とが一致している画像データについては、天地方向(短辺方向)と縦方向とが一致するように回転処理を行わせるようになっている。
【0134】
つぎに、本実施形態の処理の流れを説明する。本実施形態についても図8のフローチャートを用いて説明可能であるため、以下では図8を参照して説明する。
【0135】
利用者が、操作部7を操作することにより、分割モードへの移行指示を入力すると、図8の処理が開始されるようになっている。
【0136】
図8に示すS1およびS2については、実施の形態1と同じであるため、その説明を省略する。
【0137】
S2の後、制御部9は天地方向の設定処理を行う(S3)。具体的に、制御部9は、図20に示す設定画面を表示し、図20の縦長原稿ボタンが利用者に選択されると、原稿の書面の長辺方向を天地方向として設定(解釈)し、図20に示す横長原稿ボタンが利用者に選択されると、制御部9は、原稿の書面の短辺方向を天地方向として設定(解釈)するようになっている。
【0138】
図8に示すS4,S5,S11については、実施の形態1と同じであるため、その説明を省略する。
【0139】
S11において読み取り対象の書面が1ページ目を含むと判定された場合(S11にてYES)、制御部9は、画像入力装置3に読み取り処理(スキャン動作)を行わせる(S12)。
【0140】
S12の後、制御部9は、原稿の次の書面を原稿台にセットする事とスタートボタンを押す事(読込み指示を入力する事)とを促すメッセージが示されたダイアログを表示部7aに表示する(S13)。本実施形態のS13においては図7に示すダイアログが表示されることになる。
【0141】
そして、図7のダイアログが表示されている時に、利用者が、読込終了ボタンを選択せずに(S14にてNO)、次に読み取らせる必要のある書面を原稿台にセットして(S4)、スタートボタンを押すと(S5)、S11の処理が再度行われる。
【0142】
ここでは、分割モードへの移行後のスタートボタンが押された回数が2回であるため、制御部9は、S11において読み取り対象の書面が1ページ目を含まないと判定し、処理をS15に移行させる。
【0143】
そして、S15において、制御部9は、分割指示の有無を判定するようになっている。具体的に、制御部9は、原稿センサから出力される信号に基づき、原稿の方向の変化の有無を判定し、原稿の方向が変化していると判定した場合は分割指示有と判定し、原稿の方向が変化していないと判定した場合は分割指示無と判定する。
【0144】
より具体的に説明すると、制御部9は、原稿センサから出力される信号に基づき、現時点にて原稿台に載置されている書面の方向と直前のS12の処理時に原稿台に載置されていた書面の方向とが同一か否かを判断する。
【0145】
そして、制御部9は、現時点にて原稿台に載置されている書面の方向と直前のS12の処理時に原稿台に載置されていた書面の方向とが同じである場合、原稿の方向が変化していないと判定し、分割指示無と判定する。この場合、制御部9は、処理をS12に移行させる。
【0146】
これに対し、制御部9は、現時点にて原稿台に載置されている書面の方向と直前のS12の処理時に原稿台に載置されていた書面の方向とが異なる場合、原稿の方向が変化したと判定し、分割指示有と判定する。そして、分割指示有と判定した場合、制御部9は、この判定の直前のS12のスキャン動作にてスキャンされた書面と、この判定の直後のS12のスキャン動作にてスキャンされる書面との間を分割位置として認定し、この分割位置を記憶部8に記憶させ(S16)、処理をS12に移行させる。つまり、本実施形態では、図19に示すように、前回にスキャンされた書面の方向と今回スキャンされる書面の方向とが異なる場合、前回にスキャンされた書面の画像と今回スキャンされた書面の画像との間を分割位置としているのである。
【0147】
その後、S12が再度行われる。なお、本実施形態において、制御部9は、縦向きの状態で原稿台に載置された書面から読み取られた画像の画像データについては回転処理を行わずに記憶部8に記憶させるが、横向きの状態で原稿台に載置された書面から読み取られた画像の画像データについては、縦向きの状態の画像になるように画像データに回転処理を行う。なお、図19に示す例では、3ページの画像データに対して回転処理が施されている。
【0148】
その後、S13において利用者が図7に示す読込終了ボタンを押すと、制御部9は読取ジョブを終了する。
【0149】
以上示したように、本実施形態の複合機1は、原稿台に載置されている書面を読み取るスキャン処理を行うことによって当該書面の画像を示す画像データを生成する原稿載置方式の画像入力装置3を備え、且つ、前記原稿台に載置されている書面の方向を示す信号を出力する光学センサを備える。そして、制御部9は、分割モード(分割ファイルモード)が選択されている場合、前記光学センサの出力に基づいて、第1スキャン処理の対象となる書面の方向と第1スキャン処理の次に行われる第2スキャン処理の対象となる書面の方向とが一致しているか否かを判定する方向判定部として機能する。さらに、制御部9は、第1スキャン処理の対象となる書面の方向と第2スキャン処理の対象となる書面の方向とが一致していると判定した場合、第1スキャン処理にて得られる画像データと第2スキャン処理にて得られる画像データとが同じファイルに含まれ、第1スキャン処理の対象となる書面の方向と第2スキャン処理の対象となる書面の方向とが一致していないと判定した場合、第2スキャン処理にて得られる画像データが第1スキャン処理にて得られる画像データとは異なるファイルに含まれるようにファイル作成処理を行うファイル作成部として機能する。また、制御部9は、図20に示されるダイアログによる利用者の入力指示に応じて、原稿台の書面の画像の天地方向を設定(解釈)する天地方向設定部としても機能する。そして、制御部9は、設定した天地方向を参照して、天地方向と基準方向(縦方向)とが一致していない画像データに回転処理を施して当該画像データの天地方向を基準方向(縦方向)に一致させている。
【0150】
このような構成によれば、原稿台に載置される書面の方向(縦向き、横向き)を変化させることによって分割指示を行えることになる(図19を参照)。例えば、1ページから2ページまでを縦向きで載置し続け、3ページから6ページを横向きで載置した場合、2ページと3ページとの間で分割して、1ページから2ページまでの画像データと3ページから6ページまでの画像データとを互いに別のファイルに纏めることになる。このような構成によれば、利用者は、書面の向きを変えるという作業だけで分割指示を行えるため、操作パネルやタッチパネルを用いた分割指示の入力が不要であり、利用者にとって利便性が高いというメリットがある。
【0151】
また、以上にて示した構成によれば、読み取られた画像データについて、天地方向と基準方向(縦方向)とが一致するように回転処理を施すようになっているため、原稿台に載置される書面の方向を変化させてもデータ化される画像の天地方向については揃えることができる。
【0152】
なお、本実施形態の処理は、原稿を1ページづつ読み取らせる読取ジョブに適用できるが、見開原稿を読み取らせるブックスキャンモードには適用できない。
【0153】
[実施の形態4]
以下では、図3に示す画像処理装置4の詳細な具体例を説明する。図21は、図3に示す画像処理装置4の具体例を示すブロック図である。
【0154】
図21に示すように、画像処理装置4は、A/D(アナログ/デジタル)変換部40と、シェーディング補正部41と、入力処理部42と、領域分離処理部48と、色補正部44と、黒生成/下色除去部45と、空間フィルタ部46と、中間調生成部47とを備えている。
【0155】
例えば、画像入力装置3にて読み取られた画像の画像データは、画像処理装置4内を、A/D変換部40、シェーディング補正部41、入力処理部42、色補正部44、黒生成/下色除去部45、空間フィルタ部46、及び中間調生成部47の順(矢印方法)で送られ、CMYKのデジタルカラーデータとして、画像出力装置5へ出力される。なお、入力処理部42が出力する画像データは、色補正部44のみならず、領域分離処理部48にも送られる。
【0156】
A/D変換部40は、画像入力装置3からのRGBのアナログデータをデジタルデータに変換するものであり、シェーディング補正部41は、A/D変換部40より送られてきたデジタルのRGBデータに対して、画像入力装置3の照明系、結像系、撮像系で生じる各種の歪みを取り除く処理を施す。
【0157】
入力処理部42は、シェーディング補正部41にて各種の歪みが取り除かれたRGBデータ(RGBの反射率データ)夫々に対してγ補正を行い、カラーバランスを整えると同時に、濃度データに変換する処理を施す。
【0158】
そして、入力処理部42から出力される画像データは一旦記憶部8に記憶される。その後、印刷モードにおいては、記憶部8の画像データは色補正部44および領域分離処理部48に供給され、画像送信処理モードにおいては、記憶部8の画像データは通信部6を介して外部に送信される。
【0159】
領域分離処理部48は、入力処理部42からのRGBデータより、入力画像データの各画素が文字領域、網点領域、印刷紙写真領域(連続階調領域)等の何れかに属するかを判定する処理を行う。領域分離処理部48は、判定処理結果に基づき、画素がどの領域に属しているかを示す領域識別データを、黒生成/下色除去部45、空間フィルタ部46、及び中間調生成部47へと出力する。
【0160】
色補正部44は、RGBの画像データを、RGBの補色であるCMY(C:シアン・M:マゼンタ・Y:イエロー)の画像データに変換し、色再現性を高めるために、不要吸収成分を含むCMY色材の分光特性に基づいた色濁りを取り除く処理を行う。
【0161】
黒生成/下色除去部45は、色補正後のCMYの3色データから黒(K)データを生成する黒生成、元のCMYデータから黒生成で得たKデータを差し引いて新たなCMYデータを生成する処理を行うことで、CMYの3色データを、CMYKの4色データに変換する。
【0162】
空間フィルタ部46は、黒生成/下色除去部45より入力されるCMYKデータの画像データに対して、領域識別データを基にデジタルフィルタによる空間フィルタ処理を行い、空間周波数特性を補正することによって出力画像のぼやけ及び粒状性劣化を防ぐ。
【0163】
また、中間調生成部47は、CMYKデータの画像データに対して、領域識別データを基に例えば階調再現処理を施す。該階調再現処理が施されたCMYKの画像データは画像出力装置5に出力される。
【0164】
なお、変形例4に図21の画像処理装置4を適用する場合、原稿の書面が右綴じまたは左綴じのいずれであるかの判定を行う原稿検知部は、入力処理部42の後段に備えられ、入力処理部42から出力される画像データを入力するようになっている。また、実施の形態3に図21の画像処理装置4を適用する場合、回転処理部は入力処理部42の後段に備えられるようになっている。
【0165】
なお、以上にて述べた各実施形態の制御部9に実行させるためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録してもよい。この結果、上記処理を行うプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)を記録した記録媒体を持ち運び自在に提供することができる。また、以上の各実施の形態では、この記録媒体として、マイクロコンピュータで処理が行われるために図示していないメモリ、例えばROMのようなものそのものがプログラムメディアであっても良いし、また、図示していないが外部記憶装置としてプログラム読み取り装置が設けられ、そこに記録媒体を挿入することで読み取り可能なプログラムメディアであっても良い。
【0166】
いずれの場合においても、格納されているプログラムはマイクロプロセッサがアクセスして実行させる構成であっても良いし、あるいは、いずれの場合もプログラムコードを読み出し、読み出されたプログラムコードは、マイクロコンピュータの図示されていないプログラム記憶エリアにダウンロードされて、そのプログラムが実行される方式であってもよい。このダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納されているものとする。
【0167】
ここで、上記プログラムメディアは、本体と分離可能に構成される記録媒体であり、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD等の光ディスクのディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、マスクROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュROM等による半導体メモリを含めた固定的にプログラムコードを担持する媒体であっても良い。
【0168】
また、本実施の形態においては、インターネットを含む通信ネットワークを接続可能なシステム構成であることから、通信ネットワークからプログラムコードをダウンロードするように流動的にプログラムコードを担持する媒体であっても良い。なお、このように通信ネットワークからプログラムをダウンロードする場合には、そのダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納しておくか、あるいは別な記録媒体からインストールされるものであっても良い。
【0169】
[参考例]
以下では、本発明の実施形態に関連する実施例である参考例を詳細に説明する。
【0170】
(参考例1)
参考例1は、スキャン処理を指示するためのスタートボタンが所定時間(例えば3秒)以上押された場合、制御部9は分割指示有と判断する形態である。以下、参考例1を図22に基づいて説明する。
【0171】
利用者が、操作部7を操作することにより、分割モードへの移行指示を入力すると、図22の処理が開始されるようになっている。
【0172】
図22に示すS1〜S12,S14,S16については、各々、実施の形態1のS1〜S12,S14,S16と同じであるため、その説明を極力省略する。
【0173】
S11において読み取り対象の書面が1ページ目を含むと判定された場合(S11にてYES)、制御部9は、画像入力装置3に読み取り処理(スキャン動作)を行わせ(S12)、原稿の次の書面を原稿台にセットする事とスタートボタンを押す事(読込み指示を入力する事)とを促すメッセージが示されたダイアログを表示部7aに表示する(S33)。本実施形態のS33においては図7に示すダイアログが表示されることになる。
【0174】
これに対し、S11において読み取り対象の書面が1ページ目を含まないと判定された場合(S11にてNO)、制御部9はS5の押下時間が3秒未満であったか否かを判定する(S35)。
【0175】
S5の押下時間が3秒未満であると判定した場合(S35にてYES)、制御部9は、分割指示無と判断し、処理をS12へ移行させる。
【0176】
これに対し、S5の押下時間が3秒未満でないと判定した場合(S35にてNO)、制御部9は分割指示と判断する。そして、この場合、制御部9は、分割指示有と判断した直前のS12にて読み取られた画像と、分割指示有と判断した直後のS12にて読み取られる画像との間を分割位置として認識し、この分割位置を記憶部8に記憶させ(S16)、処理をS12へ移行させる。
【0177】
S12にてスキャン動作が行われた後、図7のダイアログが表示部7aに表示される(S33)。ここで、利用者が、次の書面をセットした上でスタートボタンを押すと(S14にてNO,S4,S5)、S5以降の処理が繰り返される。これに対し、S13において利用者が図7に示す読込終了ボタンを押すと、制御部9は読取ジョブを終了する。
【0178】
なお、参考例1の処理は、1回のスキャンにて1ページのみが読み取られる通常の原稿に適用できるが、1回のスキャンにて2ページが読み取られる見開原稿には適用できない。
【0179】
(参考例2)
参考例2は、図4に示す処理の流れによって読取ジョブを行った後(S8にてYESの後)、読取ジョブにて読み取られた原稿データのプレビューを表示部7aに表示させ(図26参照)、利用者のタッチ動作によってプレビュー上に分割位置を指定するようになっている形態である。
【0180】
参考例2では、図4に示す処理手順によって読取ジョブが行われることにより、分割されていない原稿データが読み取られる。この読取ジョブが行われると、図26に示されるように、前記原稿データに含まれる各頁の画像が頁番号の順に並んでプレビュー表示される。そして、図26に示すように、分割を所望する位置(ページとページとの間)に利用者がタッチすると、制御部9は当該位置を分割位置として認識する。そして、制御部9は、分割位置を境として、原稿データを複数の分割原稿データに分割する。
【0181】
なお、参考例2では、利用者による分割モードへの移行指示のタイミングは、読取ジョブの実行前であってもよいし、読取ジョブの実行後であってもよい。読取ジョブの実行前または読取ジョブの実行後に分割モードへの移行指示が利用者によって入力された場合、読取ジョブ後において図26に示される画面が表示されるようになっている。
【0182】
また、参考例2の処理は、1回のスキャンにて1ページのみが読み取られる通常の原稿のみならず、1回のスキャンにて2ページが読み取られる見開原稿にも適用可能である。
【0183】
(参考例3)
参考例3は、セパレータシートを用いて分割位置を指定する形態である。参考例3において、利用者は、ページaと次のページbとの間を分割位置として指定する場合、ページaをスキャンさせた後、図23に示されるセパレータシートをスキャンし、その後にページbを読み取らせる。制御部9は、ページaとセパレータシートとページbとが順に読み取られたことを検出すると、ページaとページbとの間を分割位置として認識(解釈)し、この分割位置を記憶部8に記憶させるのである。
【0184】
なお、参考例3の処理は、1回のスキャンにて1ページのみが読み取られる通常の原稿に適用できるが、1回のスキャンにて2ページが読み取られる見開原稿には適用できない。
【0185】
(参考例4)
参考例4は参考例3の変形例である。参考例4は、セパレータシートを用いて原稿データを複数の分割原稿データに分割する場合に、各分割原稿データの送信先アドレスをセパレータシートに明示する形態である。
【0186】
図24は、本参考例のセパレータシートの全体図である。なお、図24では省略されているが、セパレータシートの中央に送信先指定を行うための情報が示されており、その内容の例を示したのが図25(a)である。
【0187】
本参考例において、利用者は、事前に、分割原稿データ毎に、宛先の指定されたセパレータシートを印刷する必要がある。また、セパレータシートを印刷する際、アドレスが列挙されたアドレス帳を指定し、送信先にチェックを入れる作業を行う必要がある。送信先指定を行うためのセパレータシートを印刷するには、例えば、操作パネルより「セパレータシート印刷」モードに入り、アドレス帳を選択し、指定すべき送信先にチェックを入れた上で印刷指示を行う。例えば、図5に示す画面において、送信先として指定する宛先のチェックマークをONにして印刷することにより、図25(a)の内容の示されたセパレータシートを印刷することができる。
【0188】
そして、本参考例では、原稿データを複数の分割原稿データに分割する場合、下記の第1パターン〜第3パターンのいずれかの処理によって分割および宛先指定を行うことが可能である。
【0189】
第1パターン
まず、宛先が示されたセパレータシートを分割原稿データ毎に印刷しておく。そして、各分割原稿データの最初のページをスキャンする直前に各分割原稿データの宛先が示されたセパレータシートをスキャンする。例えば、原稿データを第1分割原稿データおよび第2分割原稿データに分割する場合、まず、第1分割原稿データの宛先の示された第1セパレータシートと、第2分割原稿データの宛先の示された第2セパレータシートとを印刷しておく。そして、第1セパレータシートをスキャンした上で第1分割原稿データに対応する各ページをスキャンし、その後、第2セパレータシートをスキャンした上で第2分割原稿データに対応する各ページをスキャンする。
【0190】
第2パターン
まず、宛先が示されたセパレータシートを分割原稿データ毎に印刷しておく。そして、各分割原稿データの最後のページをスキャンした直後に各分割原稿データの宛先が示されたセパレータシートをスキャンする。例えば、原稿データを第1分割原稿データおよび第2分割原稿データに分割する場合、まず、第1分割原稿データの宛先の示された第1セパレータシートと、第2分割原稿データの宛先の示された第2セパレータシートとを印刷しておく。そして、第1分割原稿データに対応する各ページをスキャンした上で第1セパレータシートをスキャンし、その後、第2分割原稿データに対応する各ページをスキャンした上で第2セパレータシートをスキャンする。
【0191】
第3パターン
分割される各原稿データのうち、最初のページを含む分割原稿データ以外の各原稿データに対するセパレータシートを印刷しておく。そして、最初のページを含む分割原稿データに対する宛先を操作パネルで指定した上で、当該分割原稿データに対応する各ページのスキャンを行う。その後、残りの分割原稿データについてパターン1と同じ処理を行う。例えば、原稿データを第1分割原稿データ、第2分割原稿データ、第3分割原稿データに分割する場合、まず、第2分割原稿データの宛先の示されたセパレータシートbと、第3分割原稿データの宛先の示されたセパレータシートcとを印刷しておく。そして、利用者は操作部7を介して第1分割原稿データに対する宛先を入力した上で第1分割原稿データに対応する各ページをスキャンする。その後、セパレータシートbをスキャンした上で第2分割原稿データに対応する各ページをスキャンし、さらにその後、セパレータシートcをスキャンした上で第3分割原稿データに対応する各ページをスキャンする。
【0192】
また、分割原稿データ毎に宛先指定のチェックボックスを明示するセパレータシートが用いられてもよい。例えば、原稿データを分割原稿データαおよび分割原稿データβの2つに分割する場合、図25(b)に示すように、分割原稿データαの宛先をチェックするための左側チェック欄290と、分割原稿データβの宛先をチェックするための右側チェック欄291とが示されたセパレータシートを印刷する。そして、各分割原稿データの最初のページをスキャンする直前にセパレータシートをスキャンする。但し、この場合、送信前にプレビューで画像データと宛先との関係を利用者に提示し、誤りが無いことを確認した上で送信するようになっていることが好ましい。
【0193】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0194】
本発明は、原稿載置方式の画像読取装置、および、当該画像読取装置を備える画像形成装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0195】
1 複合機(画像読取装置、画像形成装置)
3 画像入力装置
4 画像処理装置(判定部)
6 通信部
7 操作部
7a 表示部
8 記憶部
9 制御部(分割準備部、ファイル作成部、判定部、方向判定部、天地方向設定部、表示制御部)
90 個別指示ボタン
95 共通指示ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿台に載置されている書面を読み取るスキャン処理を行うことによって当該書面の画像を示す画像データを生成する原稿載置方式の画像読取装置において、
前記スキャン処理を複数回行って生成される全ての画像データから少なくとも1以上のファイルを作成するファイル作成処理を行う分割ファイルモードが選択されている場合、第1スキャン処理の実行後であって、第1スキャン処理の次に行われる第2スキャン処理の実行指示が入力される前に、分割指示の入力を利用者に促す分割準備部と、
前記分割指示が入力されずに前記第2スキャン処理の実行指示が入力された場合、第2スキャン処理にて得られる画像データと第1スキャン処理にて得られる画像データとが同じファイルに含まれ、前記分割指示が入力されてから前記第2スキャン処理の実行指示が入力された場合、第2スキャン処理にて得られる画像データが第1スキャン処理にて得られる画像データとは異なるファイルに含まれるように、前記ファイル作成処理を行うファイル作成部とを備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記分割準備部は、前記分割指示の入力を行うためのダイアログを表示部に表示させることによって前記分割指示の入力を利用者に促すようになっていることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記分割準備部は、
前記分割ファイルモードが選択され、且つ、2ページ分の画像を1回のスキャン処理にて読み取る見開原稿モードが選択されている場合、第1分割指示および第2分割指示の入力を利用者に促すようになっており、
前記ファイル作成部は、
(a)前記第1分割指示が入力されてから前記第2スキャン処理の実行指示が入力された場合、第2スキャン処理にて得られる全ての画像データと第1スキャン処理にて得られる画像データとが異なるファイルに含まれ、(b)前記第2分割指示が入力されてから前記第2スキャン処理の実行指示が入力された場合、第2スキャン処理にて得られる画像データのうちのページの順番が先のページの画像データと第1スキャン処理にて得られる画像データとが同じファイルに含まれ、第2スキャン処理にて得られる全ての画像データのうちのページの順番が後のページの画像データと第1スキャン処理にて得られる画像データとが互いに異なるファイルに含まれるように、前記ファイル作成処理を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記見開原稿モードが選択されている場合、利用者からの入力指示または前記スキャン処理にて生成される画像データに基づき、原稿台に載置されている書面が縦書書面および横書書面のいずれであるかを判定する判定部を備え、
前記ファイル作成部は、前記判定部の判定結果に基づいて、1回のスキャン処理にて読み取られる2つのページの順番の先後を決定することを特徴とする請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
原稿台に載置されている書面を読み取るスキャン処理を行うことによって当該書面の画像を示す画像データを生成する原稿載置方式の画像読取装置において、
前記原稿台に載置されている書面の方向を示す信号を出力する光学センサと、
前記スキャン処理を複数回行って生成される全ての画像データから少なくとも1以上のファイルを作成するファイル作成処理を行う分割ファイルモードが選択されている場合、前記光学センサの出力に基づいて、第1スキャン処理の対象となる書面の方向と第1スキャン処理の次に行われる第2スキャン処理の対象となる書面の方向とが一致しているか否かを判定する方向判定部と、
第1スキャン処理の対象となる書面の方向と第2スキャン処理の対象となる書面の方向とが一致していると判定される場合、第1スキャン処理にて得られる画像データと第2スキャン処理にて得られる画像データとが同じファイルに含まれ、第1スキャン処理の対象となる書面の方向と第2スキャン処理の対象となる書面の方向とが一致していないと判定される場合、第2スキャン処理にて得られる画像データが第1スキャン処理にて得られる画像データとは異なるファイルに含まれるように、前記ファイル作成処理を行うファイル作成部と、
利用者からの入力指示に応じて前記書面の画像の天地方向を設定する天地方向設定部とを備えており、
前記ファイル作成部は、前記天地方向設定部にて設定された天地方向を参照して、天地方向と基準方向とが一致していない画像データに回転処理を施して当該画像データの天地方向を基準方向に一致させた上で前記ファイル作成処理を行うことを特徴とする画像読取装置。
【請求項6】
前記ファイル作成処理によって複数のファイルが作成されると、ファイル毎に示されるボタンであり各ファイルの送信先を利用者に設定させるための第1ボタンと、前記複数のファイルの全てに共通の送信先を利用者に設定させるための第2ボタンとが示されている設定画面を表示部に表示させる表示制御部を備え、
前記表示制御部は、第1ボタンが選択された場合、選択された第1ボタンに対応するファイルのみの送信先を指定するための送信先指定画面を表示し、第2ボタンが選択された場合、前記複数のファイルの全てに共通の送信先を指定するための送信先指定画面を表示するようになっていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の画像読取装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
コンピュータを、請求項1から6のいずれか1項に記載の画像読取装置の各部として機能させるプログラム。
【請求項9】
請求項8に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。






【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2013−110602(P2013−110602A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254407(P2011−254407)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】