説明

画像読取装置、配信システム、情報処理方法、及びプログラム

【課題】過去に配信の対象とされた原稿の配信処理を効率化することのできる画像読取装置、配信システム、情報処理方法、及びプログラムの提供を目的とする。
【解決手段】画像読取装置であって、当該画像読取装置によって読み取られた画像データを配信し、配信対象とされた画像データを保存する配信装置とネットワークを介して接続され、前記配信装置に保存されている画像データの一覧情報を前記配信装置より取得し、当該画像読取装置が備える表示手段に表示させる画像一覧取得手段と、前記表示手段に表示された前記一覧情報の中から配信対象とする画像データを選択させる配信画像選択手段と、配信対象とされる画像データの配信先を指定させる配信先指定手段と、前記配信先を指定して、選択された画像データの配信要求を前記配信装置へ送信する配信要求手段とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置、配信システム、情報処理方法、及びプログラムに関し、特に配信対象とする画像データをスキャンする画像読取装置、配信システム、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スキャナを有する画像形成装置においてスキャンされた画像データを配信サーバに転送し、設定された配信先への画像データの配信を当該配信サーバに実行させる配信システムが存在する。
【0003】
配信サーバによって配信処理の制御が行われることにより、ハードウェアリソースの乏しい画像形成装置の負荷を軽減することができる。その結果、画像形成装置のハードウェアリソースを本来の機能(印刷、スキャン、コピー等)に振り向けることができる。
【0004】
ところで、過去に配信した原稿と同じ原稿を再度配信したい場合がある。この場合、画像形成装置に蓄積されている画像データを使用して配信指示が行われていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、配信を配信サーバに実行させる場合は、ハードウェアリソースの乏しい画像形成装置内に画像データを蓄積することができない可能性がある。また、配信先ごとに最適なスキャン条件や配信方法をまとめて記憶した配信設定データを利用する場合が多い。配信設定データを利用する場合、配信先が決まれば自動的に読み取り条件も決まる為、蓄積されている画像データを使用して配信しようとしても、読み取り条件が一致しない場合がある。また、改めてスキャンを実行しなければならないのはユーザにとって非常に煩雑又は冗長に感じられるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、過去に配信の対象とされた原稿の配信処理を効率化することのできる画像読取装置、配信システム、情報処理方法、及びプログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで上記課題を解決するため、本発明は、画像読取装置であって、当該画像読取装置によって読み取られた画像データを配信し、配信対象とされた画像データを保存する配信装置とネットワークを介して接続され、前記配信装置に保存されている画像データの一覧情報を前記配信装置より取得し、当該画像読取装置が備える表示手段に表示させる画像一覧取得手段と、前記表示手段に表示された前記一覧情報の中から配信対象とする画像データを選択させる配信画像選択手段と、配信対象とされる画像データの配信先を指定させる配信先指定手段と、前記配信先を指定して、選択された画像データの配信要求を前記配信装置へ送信する配信要求手段とを有する。
【0008】
このような画像読取装置では、過去に配信の対象とされた原稿の配信処理を効率化することができる。
【発明の効果】
【0009】
過去に配信の対象とされた原稿の配信処理を効率化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第一の実施の形態における配信システムの構成例を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態における画像形成装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態における配信サーバのハードウェア構成例を示す図である。
【図4】第一の実施の形態における配信システムの機能構成例を示す図である。
【図5】初期設定処理の処理手順を説明するためのシーケンス図である。
【図6】ユーザDBに登録された配信設定データの構成例を示す図である。
【図7】スキャンチケットの構成例を示す図である。
【図8】新たにスキャンされた画像データを配信対象とする配信ジョブの処理手順を説明するためのシーケンス図である。
【図9】スキャンアプリが表示させる画面の遷移例を示す図である。
【図10】蓄積確認画面の表示例を示す図である。
【図11】スキャンされた画像データに関する配信ジョブの実行要求に含まれるデータ例を示す図である。
【図12】画像履歴DBにおける画像データの保存形態の例を示す図である。
【図13】蓄積画像データを配信対象とする配信ジョブの処理手順を説明するためのシーケンス図である。
【図14】蓄積画像データに関する配信ジョブの実行要求に含まれるデータ例を示す図である。
【図15】画像履歴DBに蓄積されている画像データの削除処理の処理手順を説明するためのシーケンス図である。
【図16】第二の実施の形態における配信システムの構成例を示す図である。
【図17】配信アプリ起動時の処理手順を説明するためのシーケンス図である。
【図18】アプリ情報の構成例を示す図である。
【図19】第二の実施の形態における配信ジョブの処理手順を説明するためのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は、第一の実施の形態における配信システムの構成例を示す図である。同図において、配信システム1は、画像形成装置10、配信サーバ20、管理端末30、ディレクトリサーバ40、及び配信先装置50等を含む。各装置は、LAN(Local Area Network)又はインターネット等のネットワーク(有線又は無線の別は問わない。)によって通信可能に接続されている。
【0012】
画像形成装置10は、画像読取装置の一例であり、配信ジョブの実行指示の入力を受け付ける。本実施の形態において、配信ジョブとは、画像形成装置10においてスキャンされた画像データを配信サーバ20が配信するまでの一連の処理をいう。配信サーバ20は、画像形成装置10によって読み取られた画像データの配信処理を実行するコンピュータである。同図では、配信ジョブにおける画像データの配信先として、配信先装置50が例示されている。
【0013】
管理端末30は、配信システム1の管理者が利用するPC(Personal Computer)等のコンピュータである。管理者は、管理端末30を介して、スキャン及び配信に関する設定情報(以下、「配信設定データ」という。)をユーザ又はグループごとに設定する。すなわち、配信ジョブに対する設定情報は、ジョブの実行時に各ユーザによって設定されるのではなく、予め管理者によって設定される。
【0014】
ディレクトリサーバ40は、配信システム1を利用するユーザの認証機能や、配信設定データの管理機能等を有するコンピュータである。ディレクトリサーバ40は、例えば、Windows(登録商標)のアクティブディレクトリ(Active Directory)によって構成してもよい。
【0015】
図2は、本発明の実施の形態における画像形成装置のハードウェア構成例を示す図である。図2において、画像形成装置10は、コントローラ11、スキャナ12、プリンタ13、モデム14、操作パネル15、ネットワークインタフェース16、及びSDカードスロット17等のハードウェアを有する。
【0016】
コントローラ11は、CPU111、RAM112、ROM113、及びHDD114等を有する。ROM113には、各種のプログラムやプログラムによって利用されるデータ等が記録されている。RAM112は、プログラムをロードするための記憶領域や、ロードされたプログラムのワーク領域等として用いられる。CPU111は、RAM112にロードされたプログラムを処理することにより、各種の機能を実現する。HDD114には、プログラムやプログラムが利用する各種のデータ等が記録される。
【0017】
スキャナ12は、原稿より画像データを読み取るためのハードウェアである。プリンタは13、画像データを印刷用紙に印刷するためのハードウェアである。モデム14は、電話回線に接続するためのハードウェアであり、FAX通信による画像データの送受信を実行するために用いられる。操作パネル15は、ユーザからの入力の受け付けを行うめのボタン等の入力手段や、液晶パネル等の表示手段を備えたハードウェアである。ネットワークインタフェース16は、LAN等のネットワーク(有線又は無線の別は問わない。)に接続するためのハードウェアである。SDカードスロット17は、SDカード80に記録されたプログラムを読み取るために利用される。すなわち、画像形成装置10では、ROM113に記録されたプログラムだけでなく、SDカード80に記録されたプログラムもRAM112にロードされ、実行されうる。
【0018】
なお、本実施の形態の実施にあたり、画像形成装置10は、プリンタ13及びモデム14を備えていなくてもよい。
【0019】
図3は、本発明の実施の形態における配信サーバのハードウェア構成例を示す図である。図3の配信サーバ20は、それぞれバスBで相互に接続されているドライブ装置200と、補助記憶装置202と、メモリ装置203と、CPU204と、インタフェース装置205とを有する。
【0020】
配信サーバ20での処理を実現するプログラムは、CD−ROM等の記録媒体201によって提供される。プログラムを記録した記録媒体201がドライブ装置200にセットされると、プログラムが記録媒体201からドライブ装置200を介して補助記憶装置202にインストールされる。但し、プログラムのインストールは必ずしも記録媒体201より行う必要はなく、ネットワークを介して他のコンピュータよりダウンロードするようにしてもよい。補助記憶装置202は、インストールされたプログラムを格納すると共に、必要なファイルやデータ等を格納する。
【0021】
メモリ装置203は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置202からプログラムを読み出して格納する。CPU204は、メモリ装置203に格納されたプログラムに従って配信サーバ20に係る機能を実行する。インタフェース装置205は、ネットワークに接続するためのインタフェースとして用いられる。
【0022】
図4は、第一の実施の形態における配信システムの機能構成例を示す図である。同図における各部は、各装置にインストールされたプログラムが各装置のCPUに実行させる処理によって実現される。
【0023】
管理端末30は、情報設定部31を有する、情報設定部31は、配信システム1を稼動させるための初期設定に関する設定情報の入力を受け付ける。当該設定情報には、ユーザ又はグループごとに設定される配信設定データや、配信サーバ20のアドレス情報(IPアドレス等、ネットワーク通信において配信サーバ20を識別するための情報)等が含まれる。情報設定部31は、入力された配信設定データ及び配信サーバ20のアドレス情報をディレクトリサーバ40に送信する。なお、配信設定データには、配信対象とする画像データのスキャンに関する設定情報(スキャン条件)、及び配信に関する設定情報(配信方法及び配信先)等が含まれる。
【0024】
ディレクトリサーバ40は、認証処理部41、配信設定管理部42、配信サーバ情報管理部43、ユーザDB44、及び配信サーバ情報45等を有する。認証処理部41は、画像形成装置10からの要求に応じ、ユーザDB44に登録されている認証情報(例えば、ユーザ名及びパスワード)を用いて画像形成装置10のユーザを認証する。ユーザDB44は、ユーザ又はグループごとに配信設定データを記憶すると共に、ユーザごとに認証情報を記憶したデータベースであり、ディレクトリサーバ40の記憶装置に記録されている。配信設定管理部42は、管理端末30の情報設定部31より転送される配信設定データをユーザDB44に登録する。配信設定管理部42は、また、画像形成装置10の配信設定取得部131からの要求に応じ、ユーザDB44に登録されている配信設定データ配信設定取得部131に送信する。配信サーバ情報管理部43は、管理端末30の情報設定部31より転送される配信サーバ20のアドレス情報を配信サーバ情報45としてディレクトリサーバ40の記憶装置に保存する。配信サーバ情報管理部43は、また、画像形成装置10からの要求に応じ、配信サーバ情報45を画像形成装置10に提供する。
【0025】
配信サーバ20は、配信実行部21、画像保存部22、画像管理部23、及び画像履歴DB24等を有する。配信実行部21は、画像形成装置10より配信ジョブの実行要求を受信し、画像データの配信を実行する。画像保存部22は、配信ジョブにおいて配信対象とされた画像データを画像履歴DB24に登録(保存)する。画像履歴DB24は、配信ジョブにおいて配信対象とされた画像データ及びその書誌情報を管理するデータベースであり、配信サーバ20の補助記憶装置202に記録されている。画像管理部23は、画像形成装置10からの要求に応じ、画像履歴DB24に保存されている画像データの操作(削除等)を行う。
【0026】
画像形成装置10は、認証制御部121及びスキャン配信アプリ130等を有する。認証制御部121は、画像形成装置10のユーザの認証処理を制御する。実際の認証処理はディレクトリサーバ40に委譲される。認証されたユーザのみが、スキャン配信アプリ130を利用することができる。スキャン配信アプリ130は、配信ジョブの前段処理(配信対象とする画像データを配信設定データに従ってスキャンし、スキャンされた画像データの配信要求を配信サーバ20へ送信する処理)の実行を制御する。
【0027】
より詳しくは、スキャン配信アプリ130は、配信設定取得部131、配信設定選択部132、スキャン制御部133、画像履歴取得部134、配信画像選択部135、配信要求部136、及び蓄積画像操作部137等を有する。配信設定取得部131は、ディレクトリサーバ40の配信設定管理部42を介して、ユーザDB44に登録されている配信設定データの一覧を取得する。配信設定選択部132は、配信設定取得部131によって取得された配信設定データの一覧(配信先等の候補の一覧)の中から、配信ジョブに利用する配信設定データをユーザに選択させる。スキャン制御部133は、選択された配信設定データに含まれているスキャン条件にしたがって、原稿の読み取り(スキャン)をスキャナ12に実行させる。画像履歴取得部134は、配信サーバ20の画像履歴DB24に管理されている画像データの一覧情報を画像管理部23を介して取得する。配信画像選択部135は、画像履歴取得部134によって取得された一覧情報の中から配信対象とする画像データをユーザに選択させる。すなわち、本実施の形態では、過去に配信された画像データを改めて配信対象とすることができる。配信要求部136は、スキャン制御部133によってスキャンされた画像データ又は配信画像選択部135が選択させた画像データに関する配信ジョブの実行を配信サーバ20の配信実行部21に要求する。蓄積画像操作部137は、画像履歴DB24に管理されている画像データの操作(削除等)を行う。
【0028】
以下、配信システム1の処理手順について説明する。図5は、初期設定処理の処理手順を説明するためのシーケンス図である。
【0029】
ステップS101において、管理端末30の情報設定部31は、管理者より配信サーバ20のアドレス情報の入力を受け付ける。続いて、情報設定部31は、入力されたアドレス情報をディレクトリサーバ40の配信サーバ情報管理部43に送信する(S102)。配信サーバ情報管理部43は、受信されたアドレス情報を配信サーバ情報45としてディレクトリサーバ40の記憶装置に保存する(S103)。
【0030】
続いて、管理端末30の情報設定部31は、管理者より配信設定データの入力を受け付ける(S111)。配信設定データは、例えば、情報設定部31が管理端末30の表示装置に表示させる配信設定画面を介して入力される。配信設定画面では、ユーザ又はグループごとに配信設定データ(配信に関する設定情報(配信方法や配信先等を示す情報)及びスキャンに関する設定情報(スキャン条件))の入力が可能とされている。したがって、管理者は、ユーザ又はグループごとに、当該ユーザ又はグループに許可可能なスキャン条件や配信方法及び配信先等を考慮して、配信設定データを入力する。なお、一度の入力作業において、複数のユーザ又はグループに対して配信設定データが入力されてもよい。また、一人のユーザ又は一つのグループに対して複数の配信設定データが入力されてもよい。
【0031】
続いて、情報設定部31は、入力された配信設定データをディレクトリサーバ40の配信設定管理部42に送信し、当該配信設定データの登録を要求する(S112)。配信設定管理部42は、受信された配信設定データを設定対象のユーザ又はグループ(ユーザ名又はグループ名)関連付けて、ユーザDB44に登録する(S113)。
【0032】
図6は、ユーザDBに登録された配信設定データの構成例を示す図である。同図では3つの配信設定データが例示されている。各配信設定データは、配信方法、配信先、及びスキャンチケット等のデータ項目を有する。配信方法は、配信に利用する通信プロトコルや概念的な配信先等を示す情報である。例えば、同図において、配信方法1は、電子メールによって送信することを示す。また、配信方法2は、ファイル共有サーバに保存することを示す。また、配信方法3は、所定のサーバ(XXXサーバ)に保存することを示す。
【0033】
配信先は、配信方法に応じた形式で配信先を具体的に示す情報であり、例えば、メールアドレス、IPアドレス等が記録されている。
【0034】
スキャンチケットは、スキャン条件(読取条件)を含む情報である。図7は、スキャンチケットの構成例を示す図である。同図では、スキャン条件として、色(カラーモード)、解像度、用紙の方向が例示されている。画像形成装置10に設定可能なスキャン条件に応じて、他のパラメータがスキャン条件として含まれてもよい。このように、本実施の形態では、配信先等の候補は予め設定され、ディレクトリサーバ40において管理(記憶)される。
【0035】
初期設定処理が完了すると、配信システム1の利用が可能となる。続いて、配信ジョブの実行時の処理について説明する。
【0036】
図8は、新たにスキャンされた画像データを配信対象とする配信ジョブの処理手順を説明するためのシーケンス図である。図8では、或るユーザ(管理者以外の一般ユーザも含む)によって画像形成装置10において操作が行われる。
【0037】
画像形成装置10の操作パネル15を介して、ユーザによって配信ジョブの開始指示が入力されると、認証制御部121は、ログイン画面を操作パネル15に表示させる。ユーザは、ログイン画面を介して自らの認証情報(例えば、ユーザ名及びパスワード)を入力する(S151)。認証制御部121は、入力された認証情報をディレクトリサーバ40の認証処理部41に転送し、認証処理の実行を要求する(S152)。認証処理部41は、当該認証情報をユーザDB44に登録されている認証情報と照合し、ユーザの認証を行い、認証結果を認証制御部121に返信する(S153)。
【0038】
認証に成功した場合、認証制御部121は、スキャン配信アプリ130の利用制限を解除する。利用制限の解除に応じ、スキャン配信アプリ130は、メイン画面を操作パネル15に表示させる(S154)。
【0039】
図9は、スキャンアプリが表示させる画面の遷移例を示す図である。同図において、メイン画面310は、配信先指定ボタン311、画面転送ボタン312、及び蓄積画像削除ボタン313等を有する。
【0040】
メイン画面310において配信先指定ボタン311がユーザによって選択されると(S155)、スキャン配信アプリ130の配信設定取得部131は、認証されたユーザ(以下、「ログインユーザ」という。)のユーザ名を指定して配信設定データの取得要求をディレクトリサーバ40の配信設定管理部42に送信する(S156)。配信設定管理部42は、指定されたユーザ名に対して登録されている配信設定データをユーザDB44より取得する。ここでは、複数の配信設定データが取得されうる。配信設定管理部42は、取得された配信設定データの一覧を配信設定取得部131に返信する(S157)。配信設定取得部131は、受信された配信設定データの一覧をRAM112に記録する。
【0041】
続いて、配信設定選択部132は、RAM112に記録されている配信設定データの一覧を含む配信設定選択画面320を操作パネル15に表示させる(S158)。図9に示されるように、配信設定選択画面320には、各配信設定データに含まれている配信方法及び配信先がラベルとして表示されたボタン321〜323が配置されている。
【0042】
配信設定選択画面320において、ユーザによって所望のボタン(配信設定データ)が選択され、操作パネル15におけるスタートキー(実行ボタン)が押下されると(S159)、スキャン制御部133は、選択されたボタンに対応する配信設定データ(以下、「カレント配信設定データ」という。)に含まれているスキャンチケットが示すスキャン条件に従った原稿の読み取り(スキャン)をスキャナ12に実行させる(S160)。原稿よりスキャンされた画像データは、配信対象の画像データとしてRAM112に記録される。
【0043】
原稿の読み取りが完了すると、配信要求部136は、配信サーバ20のアドレス情報の取要求得をディレクトリサーバ40の配信サーバ情報管理部43に送信する(S161)。配信サーバ情報管理部43は、配信サーバ情報45として管理されている配信サーバ20のアドレス情報をディレクトリサーバ40の記憶装置より取得し、当該アドレス情報を配信要求部136に返信する(S162)。配信要求部136は、受信されたアドレス情報をRAM112に記録しておく。なお、配信サーバ20のアドレス情報は、画像形成装置10のHDD114に記憶されていてもよい。但し、画像形成装置10が複数台存在する環境においては、ディレクトリサーバ40において一元的に管理されていることにより、ネットワーク構成の変更等に応じて配信サーバ20のアドレス情報が変化した場合の対応が容易であるというメリットがある。
【0044】
続いて、配信要求部136は、蓄積確認画面を操作パネル15に表示させる(S163)。
【0045】
図10は、蓄積確認画面の表示例を示す図である。同図に示されるように、蓄積確認画面350は、配信対象の画像データを、その後の再利用等を考慮して配信サーバ20に保存(蓄積)しておくか否かをユーザに問い合わせる画面である。
【0046】
蓄積確認画面350において「はい」ボタン351が選択されると(すなわち、画像データの保存が指示されると)(S164)、配信要求部136は、RAM112に記録されているカレント配信設定データの配信先に配信サーバのアドレス情報を追加する(S165)。したがって、カレント配信設定データにおける配信先は、本来の配信先のアドレス情報に加え配信サーバ20のアドレス情報が含まれた状態となる。なお、蓄積確認画面350において「いいえ」ボタン352が選択された場合は、カレント配信設定データの配信先に対するアドレス情報の追加は行われない。
【0047】
続いて、配信要求部136は、RAM112に記録されている配信サーバ20のアドレス情報に基づいて、スキャンされた画像データに関する配信ジョブの実行要求を配信サーバ20の配信実行部21に送信する(S166)。当該配信ジョブの実行要求には、図11に示されるようなデータが含まれる。
【0048】
図11は、スキャンされた画像データに関する配信ジョブの実行要求に含まれるデータ例を示す図である。同図に示されるように、当該配信ジョブの実行要求には、ジョブID、ジョブ名、画像データ(スキャンされた画像データ)、及び配信設定データ(カレント配信設定データ)等が含まれている。ジョブIDは、配信ジョブに対する識別子であり、スキャン配信アプリ130が自動的に生成する。また、ジョブ名は、当該配信ジョブに対する名称である。ジョブ名は、スキャン配信アプリ130によって自動的に生成されてもよいし、ユーザによって入力されてもよい。ユーザによって入力される場合、例えば、スタートキーが押下された際、又は蓄積確認画面350において「はい」ボタン351が選択された際等に配信要求部136がジョブ名を入力させるための画面を操作パネル15に表示させるようにしてもよい。
【0049】
配信ジョブの実行要求の受信に応じ、配信サーバ20の配信実行部21は、受信された配信設定データの配信方法及び配信先に従って、受信された画像データの配信処理を実行する(S167)。
【0050】
続いて、受信された配信設定データ内に配信サーバ20のアドレス情報が含まれている場合、画像保存部22は、受信された画像データ(すなわち、配信対象とされた画像データ)を画像履歴DB24に保存する(S168)。
【0051】
図12は、画像履歴DBにおける画像データの保存形態の例を示す図である。同図に示されるように、画像データは、当該画像データの配信ジョブに関するジョブID、ジョブ名、スキャンチケット、及び保存日時と関連付けられて保存される。スキャンチケットは、配信設定データより抽出されたものである。また、保存日時については、画像履歴DB24に登録された日時が画像保存部22によって記録される。
【0052】
なお、図5の処理が繰り返され、画像の蓄積がユーザによって指示されることにより、画像履歴DB24には図12の形態で各配信ジョブにおいて配信対象とされた画像データが蓄積される。
【0053】
続いて、画像履歴DB24に保存された画像データ(以下、「蓄積画像データ」という。)を利用して配信ジョブが実行される例について説明する。
【0054】
図13は、蓄積画像データを配信対象とする配信ジョブの処理手順を説明するためのシーケンス図である。
【0055】
ステップS201〜S204まで(すなわち、メイン画面310が操作パネル15に表示されるまで)は、図8のステップS151〜S154までと同じである。
【0056】
蓄積画像データが配信対象とされる場合、メイン画面310の画像転送ボタン312がユーザによって選択される(S205)。画像転送ボタン312の選択に応じ、スキャン配信アプリ130は、画像転送設定画面330を操作パネル15に表示させる(S206)。
【0057】
図9に示されるように、画像転送設定画面330は、配信先指定ボタン331及び画像指定ボタン332等を有する。ユーザによって配信先指定ボタン331が選択されると(S207)、スキャン配信アプリ130の配信設定取得部131は、ログインユーザのユーザ名を指定して配信設定データの取得要求をディレクトリサーバ40の配信設定管理部42に送信する(S208)。配信設定管理部42は、指定されたユーザ名に対して登録されている配信設定データをユーザDB44より取得する。配信設定管理部42は、取得された配信設定データの一覧を配信設定取得部131に返信する(S209)。配信設定取得部131は、受信された配信設定データの一覧をRAM112に記録する。
【0058】
続いて、配信設定選択部132は、RAM112に記録されている配信設定データの一覧を含む配信設定選択画面320(図9参照)を操作パネル15に表示させる(S210)。配信設定選択画面320において、ユーザによって所望のボタンが選択されと(S211)、スキャン配信アプリ130は、選択されたボタンに対応する配信設定データを処理対象(カレント配信設定データ)として認識する。続いて、スキャン配信アプリ130は、再び画像転送設定画面330を操作パネル15に表示させる(S212)。
【0059】
画像転送設定画面330においてユーザによって画像指定ボタン332が選択されると(S213)、画像履歴取得部134は、配信サーバ20のアドレス情報の取要求得をディレクトリサーバ40の配信サーバ情報管理部43に送信する(S214)。配信サーバ情報管理部43は、配信サーバ情報45として管理されている配信サーバ20のアドレス情報をディレクトリサーバ40の記憶装置より取得し、当該アドレス情報を画像履歴取得部134に返信する(S215)。画像履歴取得部134は、受信されたアドレス情報をRAM112に記録しておく。
【0060】
続いて、画像履歴取得部134は、受信されたアドレス情報に基づいて、蓄積画像データの一覧情報の取得要求を配信サーバ20の画像管理部23に送信する(S216)。画像管理部23は、画像履歴DB24に保存されている各画像データの書誌情報(ジョブID、ジョブ名、スキャンチケット、及び保存日時)を取得し、取得された書誌情報の一覧を蓄積画像データの一覧情報として画像履歴取得部134に返信する(S217)。画像履歴取得部134は、受信された蓄積画像データの一覧情報をRAM112に記録する。
【0061】
なお、画像管理部23によって取得される書誌情報は、セキュリティ上の観点等より画像形成装置10のログインユーザの配信ジョブによって保存された画像データに係るものに限定してもよい。この場合、図8のステップS166において、配信要求部136は、ログインユーザのユーザ名をも配信実行部21に送信し、画像保存部22は、当該ユーザ名をも画像データの書誌情報として画像履歴DB24に保存する。その上で、画像履歴取得部134は、蓄積画像データの一覧情報の取得要求にログインユーザのユーザ名を含めるようにすればよい。
【0062】
続いて、配信画像選択部135は、RAM112に記録されている蓄積画像データの一覧情報を含む画像選択画面340(図9参照)を操作パネル15に表示させる(S218)。
【0063】
図9に示されるように、画像選択画面340には、画像データごとに、ジョブ名、保存日時、及びスキャン条件がラベルとして表示されたボタン341〜343が配置されている。なお、スキャン条件は、スキャンチケットより抽出される。
配信画像選択部135は、カレント配信設定データに含まれるスキャン条件(スキャンチケット)と一致するスキャン条件(スキャンチケット)に関連付けられている画像データのみを画像選択画面340に表示させる。カレント配信設定データに含まれるスキャン条件(スキャンチケット)に係る画像データを配信されたユーザが作成することのできる(作成する権限のある)スキャン条件(スキャンチケット)に関連付けられている画像データを画像選択画面340に表示させてもよい(例えばカラー画像データからモノクロ画像データを作成するなど)。
【0064】
画像選択画面340において、ユーザによって所望のボタン(画像データ)が選択され、操作パネル15におけるスタートキー(実行ボタン)が押下されると(S219)、配信要求部136は、カレント配信設定データに含まれているスキャンチケットを、選択された画像データ(以下、「配信対象画像データ」という。)の書誌情報に含まれているスキャンチケットによって置換(上書き)する(S220)。すなわち、カレント配信設定データに含まれているスキャン条件を、配信対象画像データがスキャンされた際のスキャン条件によって更新する。これにより、カレント配信設定データ内のスキャン条件と配信対象画像データのスキャン条件との間に不整合がある場合であっても、当該不整合が解消される。したがって、例えば、配信設定データに基づいて配信ジョブのログ情報を記録する場合に、実際に配信された画像データと異なるスキャン条件がログ情報として記録されてしまうのを回避することができる。ただし、カレント配信設定データと配信対象画像データとの間にスキャン条件が一致する場合は、ステップS220は実行されなくてもよい。
【0065】
続いて、配信要求部136は、RAM112に記録されている配信サーバ20のアドレス情報に基づいて、選択された画像データの配信ジョブの実行要求を配信サーバ20の配信実行部21に送信する(S221)。当該配信ジョブの実行要求には、図14に示されるようなデータが含まれる。
【0066】
図14は、蓄積画像データに関する配信ジョブの実行要求に含まれるデータ例を示す図である。同図に示されるように、蓄積画像データに関する配信ジョブの実行要求には、ジョブID、ジョブ名、蓄積画像識別子、及び配信設定データ(カレント配信設定データ)等が含まれている。ジョブID及びジョブ名は、当該配信ジョブ(今回の配信ジョブ)に対して新たに付与されたジョブID又はジョブ名である。蓄積画像識別子は、配信対象とする画像データを画像履歴DB24内で特定するための識別子である。本実施の形態では蓄積画像データの書誌情報の一つであるジョブID(すなわち、当該画像データが保存された際の配信ジョブのジョブID)を蓄積画像識別子として用いている。
【0067】
配信ジョブの実行要求の受信に応じ、配信サーバ20の配信実行部21は、画像管理部23を介して、蓄積画像識別子に係る画像データを画像履歴DB24より取得する(S222)。続いて、配信実行部21は、受信された配信設定データの配信方法及び配信先に従って、取得された画像データの配信処理を実行する(S223)。
【0068】
ところで、ステップS218において、配信画像選択部135は、カレント配信設定データに含まれるスキャン条件(スキャンチケット)と一致せず、作成することも出来ないスキャン条件(スキャンチケット)に関連付けられている画像データを画像選択画面340に表示させるようにしてもよい。この場合、蓄積画像データの流用性を向上させることができる。カレント配信設定データに含まれるスキャン条件(スキャンチケット)の画像データを配信サーバ20が作成できる場合は、ステップS222において配信サーバ20が画像データの変換を実行しても良い。
【0069】
また、本実施の形態では、配信設定データの選択と画像データの選択との間に順序的な制限はない。具体的には、配信設定データの選択に関する処理(S207〜S211)の前に画像データの選択に関する処理(S213〜S219)が実行されてもよい。この場合、配信設定選択部132は、配信対象の画像データのスキャン条件と一致するスキャン条件を含む配信設定データのみを配信設定選択画面320に表示させるようにしてもよい。この場合も、カレント配信設定データと配信対象画像データとの間にスキャン条件の不整合が発生することはないため、ステップS220は実行されなくてもよい。
【0070】
画像選択画面340又は配信設定選択画面320の表示対象を上記のように限定することにより、例えば、配信先に応じて配信可能な画像データの属性(解像度やカラーモード等、スキャン条件に依存する属性)が制限されている場合に、ユーザに意識させることなく当該制限に従った配信を実行することができる。
【0071】
続いて、配信サーバ20の画像履歴DB24に蓄積された画像データを画像形成装置10より削除するための処理について説明する。図15は、画像履歴DBに蓄積されている画像データの削除処理の処理手順を説明するためのシーケンス図である。
【0072】
ステップS251〜S254まで(すなわち、メイン画面310が操作パネル15に表示されるまで)は、図8のステップS151〜S154までと同じである。
【0073】
蓄積画像データの削除が行われる場合、メイン画面310の蓄積画像削除ボタン313がユーザによって選択される(S255)。
【0074】
蓄積画像削除ボタン313の選択に応じ、画像履歴取得部134は、配信サーバ20のアドレス情報の取要求得をディレクトリサーバ40の配信サーバ情報管理部43に送信する(S256)。配信サーバ情報管理部43は、配信サーバ情報45として管理されている配信サーバ20のアドレス情報をディレクトリサーバ40の記憶装置より取得し、当該アドレス情報を画像履歴取得部134に返信する(S257)。画像履歴取得部134は、受信されたアドレス情報をRAM112に記録しておく。
【0075】
続いて、画像履歴取得部134は、受信されたアドレス情報に基づいて、蓄積画像データの一覧情報の取得要求を配信サーバ20の画像管理部23に送信する(S258)。画像管理部23は、画像履歴DB24に保存されている各画像データの書誌情報(ジョブID、ジョブ名、スキャンチケット、及び保存日時)を取得し、取得された書誌情報の一覧を蓄積画像データの一覧情報として画像履歴取得部134に返信する(S259)。画像履歴取得部134は、受信された蓄積画像データの一覧情報をRAM112に記録する。なお、ここで画像管理部23によって取得される書誌情報についても、セキュリティ上の観点等より画像形成装置10のログインユーザの配信ジョブによって保存された画像データに係るものに限定してもよい。
【0076】
続いて、蓄積画像操作部137は、RAM112に記録されている蓄積画像データの一覧情報を含む画像選択画面340(図9参照)を操作パネル15に表示させる(S260)。画像選択画面340において、ユーザによって所望のボタン(画像データ)が選択され、操作パネル15におけるスタートキー(実行ボタン)が押下されると(S261)、蓄積画像操作部137は、選択された画像データに対応するジョブIDを指定して、蓄積画像データの削除要求を配信サーバ20の画像管理部23に送信する(S262)。
【0077】
画像管理部23は、当該削除要求に応じ、指定されたジョブIDに対応する画像データ及びその書誌情報を画像履歴DB24より削除する(S263)。
【0078】
不要となった画像データが画像履歴DB24から削除されることにより、不要な画像データによって配信サーバ20における補助記憶装置202の記憶容量が圧迫されるのを回避することができる。
【0079】
上述したように、第一の実施の形態の配信システム1によれば、配信サーバ20は、スキャンされ、配信対象とされた画像データを保存しておくことができる。また、画像形成装置10は、配信サーバ20に保存されている蓄積画像データを配信対象としてユーザに選択させることができる。したがって、過去に配信対象とされた原稿に関する配信ジョブについて処理内容を効率化することができる。また、蓄積画像データを配信対象とすることにより、原稿に対するスキャン条件は必然的に過去の配信時と同じものとなる。
【0080】
なお、配信システム1には、画像形成装置10が複数台含まれていてもよい。この場合、配信サーバ20の画像履歴DB24には、複数の画像形成装置10より配信が要求された画像データが一元的に蓄積される。したがって、或る画像形成装置Aにおいてスキャンされ、配信サーバ20に保存されている画像データに対する配信指示を、他の画像形成装置Bより行うことが可能となる。
【0081】
ところで、第一の実施の形態では、配信ジョブの後段処理(配信処理)は、予め定められた配信サーバ20によって行われていたが、各ユーザが利用しているPC(Personal Computer)(以下、「ユーザPC」という。)に配信処理を実行させてもよい。そこで、ユーザPCに配信処理を実行させる例として第二の実施の形態を示す。
【0082】
図16は、第二の実施の形態における配信システムの構成例を示す図である。同図の配信システム2において、画像形成装置510、ユーザPC520、及びネットアプリ管理サーバ530は、LAN(Local Area Network)等のネットワーク(有線又は無線の別は問わない。)によって接続されている。
【0083】
ユーザPC520は、画像形成装置510よりネットワークを介して利用可能なアプリケーション(以下、「ネットアプリ」という。)を有する。ネットアプリは、ネットワーク上の任意のコンピュータに配置することが可能である。したがって、図示されていない他のユーザPCにおいてもネットアプリは配置されうる。
【0084】
図16において、ユーザPC520には配信アプリ521が配置されている。配信アプリ521は、画像形成装置510においてスキャンされた画像データの配信処理を実行するネットアプリである。配信アプリ521は、予めユーザPC上で設定したスキャン条件、配信方法、配信先に基づいて処理を行うだけでなく、特定の画像処理機能をもたせることも可能である。配信アプリ521は、起動通知部5211、連携部5212、アプリ情報管理ファイル5213、及び配信部5214等を有する。
【0085】
起動通知部5211は、配信アプリ521が起動されたことをネットアプリ管理サーバ530に通知する。連携部5212は、画像形成装置510とのコミュニケーション(情報のやりとり等)を制御する。アプリ情報管理ファイル5213は、配信アプリ521に対する設定情報を格納するファイルである。配信部5214は、配信アプリ521のロジック部(配信アプリ521に固有の部分)であり、画像データの配信処理を実行する。すなわち、配信部5214以外の部分は、他の機能のネットアプリも同様に有する。他の機能のネットアプリは、配信部5214の代わりに当該他の機能を実現するためのロジックを有する。
【0086】
なお、図16では、ユーザPC520にネットアプリは一つしか配置されていないが、一つのユーザPC520に複数のネットアプリが配置されていてもよい。配信アプリ521も、設定情報のスキャン条件、配信方法、配信先や画像処理機能によって複数の配信アプリが配置されても良い。
【0087】
ネットアプリ管理サーバ530は、広告部531、仲介部532、及び画像履歴DB533等を有するコンピュータである。広告部531は、ネットアプリからの起動の通知(起動通知)に応じ、当該ネットアプリが起動されたことを示す広告をネットワーク上に発行(ブロードキャスト又はマルチキャスト等)する。仲介部532は、ネットアプリと画像形成装置510とのコミュニケーションを仲介する。
【0088】
画像履歴DB533は、配信対象とされた画像データを保存しておくためのデータベースである。なお、ネットアプリ管理サーバ530とユーザPC520を1つのPCで実現しても良い
画像形成装置510は、ハードウェア的には第一の実施の形態と同様でよい(図2参照)。第二の実施の形態の画像形成装置510は、ソフトウェアとしてネットアプリ検知部511、UI制御部512、ネットアプリ連携部513、機能制御部514、及びネットアプリ管理テーブル515等を有する。
【0089】
ネットアプリ検知部511は、ネットアプリ管理サーバ530より発行される広告に基づいて、ネットアプリの存在を検知し、広告に含まれているアプリ情報をネットアプリ管理テーブル515に登録する。ネットアプリ管理テーブル515は、アプリ情報を管理するためのテーブルである。UI制御部512は、ユーザよりネットアプリの起動指示等の入力を受け付ける。ネットアプリ連携部513は、ネットアプリとのコミュニケーションを制御する。機能制御部514は、ネットアプリからの要求に応じ画像形成装置510のハードウェアを制御する。例えば、機能制御部514の制御により、スキャン又は印刷等が実行される。
【0090】
以下、配信システム2の処理手順について説明する。図17は、配信アプリ起動時の処理手順を説明するためのシーケンス図である。
【0091】
ユーザPC520において配信アプリ521が起動されると、配信アプリ521の起動通知部5211は、アプリ情報管理ファイル5213に格納されているアプリ情報をネットアプリ管理サーバ530の広告部531に送信することにより、配信アプリ521の起動を通知する(S301)。
【0092】
図18は、アプリ情報の構成例を示す図である。同図に示されるように、アプリ情報は、アプリID、連携機能識別子、ネットアプリアドレス、表示名、アイコンデータ、及び設定情報等を含む。
【0093】
アプリIDは、各ネットアプリに一意に割り当てられた識別情報である。連携機能識別子は、ネットアプリと連携する画像形成装置510が有している必要のある機能(換言すれば、ネットアプリが利用する機能)を識別するための情報である。連携機能識別子の一例として「print」、「scan」等が挙げられる。「print」は、印刷機能を示す。「scan」は、スキャン機能を示す。配信アプリ521は、画像形成装置510のスキャン機能を利用する。したがって、図18の例では、「scan」が連携機能識別子とされている。
【0094】
ネットアプリアドレスは、ネットワーク通信において各ネットアプリを一意に識別するための識別情報(例えば、URL等)である。表示名は、ネットアプリの名前の表示用の文字列である。アイコンデータは、ネットアプリの表示用のアイコンデータである。設定情報は、ネットアプリの実行条件に対する設定値を含む情報である。すなわち、設定情報を変更することにより、ネットアプリの振る舞いを変更することができる。配信アプリ521については、スキャンに関する設定情報(スキャン条件)や配信に関する設定情報等がアプリ情報の設定情報に含まれている。
【0095】
続いて、アプリ情報の受信に応じ、ネットアプリ管理サーバ530の広告部531は、アプリ情報をネットワーク上に広告(ブロードキャスト又はマルチキャスト等)する。広告されたアプリ情報は、画像形成装置510のネットアプリ検知部511によって受信される(S302)。なお、画像形成装置510が複数存在する場合、それぞれの画像形成装置510のネットアプリ検知部511によって同じ広告が受信される。
【0096】
ネットアプリ検知部511は、アプリ情報に含まれている連携機能識別子(scan)に基づいて、当該ネットアプリ検知部511が属する装置(画像形成装置510)がアプリ情報に係るネットアプリ(配信アプリ521)と連携可能であるか否かを判定する。画像形成装置510はスキャン機能を有する。したがって、画像形成装置510のネットアプリ検知部511は、当該ネットアプリとは連携可能であると判定し、受信されたアプリ情報をネットアプリ管理テーブル515に登録する。
【0097】
以上によって、配信アプリ521は、画像形成装置510に登録されたことになる。すなわち、配信アプリ521の存在が画像形成装置510に認識されたことになる。これによって、画像形成装置510より配信アプリ521の利用(すなわち、配信ジョブの実行)が可能となる。
【0098】
図19は、第二の実施の形態における配信ジョブの処理手順を説明するためのシーケンス図である。
【0099】
画像形成装置510のユーザによりネットアプリの利用指示が画像形成装置510に対して入力されると、UI制御部512は、ネットアプリ管理テーブル515に登録されているアプリ情報に含まれているアイコンデータに基づいて、ネットアプリ一覧画面を操作パネル15に表示させる(S401)。当該ネットアプリ一覧画面には、ネットアプリ管理テーブル515に登録されているネットアプリのアイコンの一覧が表示される。なお、本実施の形態において、ネットアプリ管理テーブル515に登録されているアプリ情報は、配信アプリ521に係るものだけである。したがって、本実施の形態におけるネットアプリ一覧画面には、配信アプリ521に対応するアイコンが表示される。
【0100】
ネットアプリ一覧画面において配信アプリ521に対応するアイコンがユーザによって選択され、操作パネル15上のスタートキーが押下されると、ネットアプリ連携部513は、配信アプリ521の利用要求をネットアプリ管理サーバ530の仲介部532に送信する(S402)。当該利用要求には、配信アプリ521のアプリ情報に含まれているネットアプリアドレスが指定される。
【0101】
ネットアプリの利用要求に応じ、仲介部532は、指定されたネットアプリアドレスに係る配信アプリ521に対して利用要求を通知する(S403)。配信アプリ521の連携部5212は、当該利用要求を受信すると、必要な初期処理を配信部5214に実行させる。初期処理が完了すると、連携部5212は、配信アプリ521の利用準備の完了通知をネットアプリ管理サーバ530の仲介部532に送信する(S404)。仲介部532は、当該利用準備の完了通知を画像形成装置510のネットアプリ連携部513に転送する(S405)。
【0102】
利用準備の完了通知に応じ、ネットアプリ連携部513は、画像データ(蓄積画像データ)の一覧情報の送信要求をネットアプリ管理サーバ530に送信する(S406)。ネットアプリ管理サーバ530の仲介部532は画像データ(蓄積画像データ)の一覧情報の送信要求受信すると、画像履歴DB533に蓄積されている画像データ(蓄積画像データ)の一覧情報を取得する。当該一覧情報には、少なくとも各画像データの識別子及びスキャン条件が含まれている。但し、画像履歴DB533に蓄積されている画像データが無い場合、当該一覧情報の中身は空である。仲介部532は、取得された設定情報に画像データの一覧情報をマージした情報を配信アプリ521の設定情報としてネットアプリ連携部513に返信する(S407)。
【0103】
画像形成装置510のネットアプリ連携部513は、画像データ(蓄積画像データ)の一覧情報を受信すると、配信アプリ521の連携機能識別子(scan)と当該設定情報を指定して機能制御部514を呼び出す。呼び出された機能制御部514は、連携機能識別子によって識別されるスキャン機能を当該設定情報に含まれているスキャン条件にしたがって実行する(S408)。すなわち、機能制御部514は、ユーザによって画像形成装置510にセットされた原稿に対するスキャンをスキャナ12に実行させ、その結果得られる画像データを機能の実行結果としてネットアプリ連携部513に出力する。
【0104】
但し、受信された蓄積画像データの一覧情報が空でない場合、ネットアプリ連携部513より呼び出された機能制御部514は、UI制御部512を介して当該一覧情報から設定情報に含まれているスキャン条件に一致するスキャン条件に係る画像データの一覧情報と、配信対象の画像データをスキャンする否かを選択するかを指定(選択)させるボタンとを含む設定画面を操作パネル15に表示させる。画像データの一覧情報の中から画像データが選択された場合、機能制御部514は、スキャンを実行することなく、選択された画像データの識別子をネットアプリ連携部513に出力する。一方、スキャンすることが選択された場合、機能制御部514は、上述したようにスキャナ12にスキャンを実行させる。
【0105】
ネットアプリ連携部513は、スキャンされた画像データ及び当該画像データのスキャン条件、又は蓄積画像データの識別子を機能の実行結果としてネットアプリ管理サーバ530の仲介部532に送信する(S409)。仲介部532は、当該実行結果を受信すると、当該実行結果に応じてスキャンされた画像データ又は蓄積画像データを配信アプリ521の連携部5212に送信する(S410)すなわち、当該実行結果にスキャンされた画像データが含まれている場合、仲介部532は、当該画像データを連携部5212に送信する。この際、仲介部532は、当該画像データを識別子及びスキャン条件と関連付けて画像履歴DB533に保存する。一方、当該実行結果に画像データではなく蓄積画像データの識別子が含まれている場合、仲介部532は当該識別子に対応する画像データを画像履歴DB533より取得して連携部5212に送信する。連携部5212が画像データを受信すると、配信部5214は、アプリ情報管理ファイル5213に設定されている配信先及び配信方法にしたがって当該画像データの配信処理を実行する(S411)。
【0106】
配信部5214による処理が完了すると、連携部5212は、配信アプリ521の処理の終了通知を画像形成装置510のネットアプリ連携部513に送信する(S412)。ネットアプリ連携部513によって当該終了通知が受信されると、UI制御部512は、配信アプリ521による処理の終了通知を操作パネル15に表示させる(S413)。
【0107】
上述したように、第二の実施の形態における配信システム2においても、過去に配信対象とされた原稿に関する配信ジョブについて処理内容を効率化することができる。このほ、配信アプリ5212は、第一の実施の形態における配信設定と同様の処理を行うことができる。
【0108】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0109】
1、2 配信システム
10 画像形成装置
11 コントローラ
12 スキャナ
13 プリンタ
14 モデム
15 操作パネル
16 ネットワークインタフェース
17 SDカードスロット
20 配信サーバ
21 配信実行部
22 画像保存部
23 画像管理部
24 画像履歴DB
30 管理端末
31 情報設定部
40 ディレクトリサーバ
41 認証処理部
42 配信設定管理部
43 配信サーバ情報管理部
44 ユーザDB
45 配信サーバ情報
80 SDカード
111 CPU
112 RAM
113 ROM
114 HDD
121 認証制御部
130 スキャン配信アプリ
131 配信設定取得部
132 配信設定選択部
133 スキャン制御部
134 画像履歴取得部
135 配信画像選択部
136 配信要求部
137 蓄積画像操作部
200 ドライブ装置
201 記録媒体
202 補助記憶装置
203 メモリ装置
204 CPU
205 インタフェース装置
510 画像形成装置
511 ネットアプリ検知部
512 UI制御部
513 ネットアプリ連携部
514 機能制御部
515 ネットアプリ管理テーブル
520 ユーザPC
521 配信アプリ
530 ネットアプリ管理サーバ
531 広告部
532 仲介部
533 画像履歴DB
5211 起動通知部
5212 連携部
5213 アプリ情報管理ファイル
5214 配信部
B バス
【先行技術文献】
【特許文献】
【0110】
【特許文献1】特開2008−97586号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像読取装置であって、
当該画像読取装置によって読み取られた画像データを配信し、配信対象とされた画像データを保存する配信装置とネットワークを介して接続され、
前記配信装置に保存されている画像データの一覧情報を前記配信装置より取得し、当該画像読取装置が備える表示手段に表示させる画像一覧取得手段と、
前記表示手段に表示された前記一覧情報の中から配信対象とする画像データを選択させる配信画像選択手段と、
配信対象とされる画像データの配信先を指定させる配信先指定手段と、
前記配信先を指定して、選択された画像データの配信要求を前記配信装置へ送信する配信要求手段とを有する画像読取装置。
【請求項2】
配信対象とする画像データの読取条件を配信先の候補に応じて記憶する情報管理装置とネットワークを介して接続され、
前記画像一覧取得手段によって取得された前記一覧情報は、画像データごとに当該画像データが読み取られたときの読取条件を識別可能な情報を含み、
前記配信画像選択手段は、前記配信装置に保存されている画像データの中で、前記配信先指定手段が指定させた配信先に対して前記情報管理装置が記憶する読取条件と一致する読取条件に係る画像データの一覧情報を表示させる請求項1記載の画像読取装置。
【請求項3】
配信対象とする画像データの読取条件を配信先の候補に応じて記憶する情報管理装置とネットワークを介して接続され、
前記画像一覧取得手段によって取得された前記一覧情報は、画像データごとに当該画像データが読み取られたときの読取条件を識別可能な情報を含み、
前記配信先指定手段は、前記情報管理装置において記憶されている配信先の候補の中で、対応する読取条件が前記配信画像選択手段が選択させた画像データの読取条件と一致する配信先の候補を前記表示手段に表示させ、表示された候補の中から配信先を選択させる請求項1記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記表示手段に表示された前記一覧情報の中で選択された画像データの削除要求を前記配信装置に送信する削除要求手段を有する請求項1乃至3いずれか一項記載の画像読取装置。
【請求項5】
画像データを読み取る画像読取装置と、該画像読取装置によって読み取られた画像データを配信する配信装置とを有する配信システムであって、
前記配信装置は、
配信対象とされた画像データを記憶手段に保存する画像データ保存手段と、
前記記憶手段に保存されている画像データの中で、前記画像読取装置より配信が要求された画像データを、該画像読取装置において指定された配信先へ配信する配信手段とを有し、
前記画像読取装置は、
前記記憶手段に保存されている画像データの一覧情報を前記配信装置より取得し、当該画像読取装置が備える表示手段に表示させる画像一覧取得手段と、
前記表示手段に表示された前記一覧情報の中から配信対象とする画像データを選択させる配信画像選択手段と、
配信対象とされる画像データの配信先を指定させる配信先指定手段と、
前記配信先を指定して、選択された画像データの配信要求を前記配信装置へ送信する配信要求手段とを有する配信システム。
【請求項6】
画像読取装置が実行する情報処理方法であって、
当該画像読取装置によって読み取られた画像データを配信し、配信対象とされた画像データを保存する配信装置に保存されている画像データの一覧情報をネットワークを介して前記配信装置より取得し、当該画像読取装置が備える表示手段に表示させる画像一覧取得手順と、
前記表示手段に表示された前記一覧情報の中から配信対象とする画像データを選択させる配信画像選択手順と、
配信対象とされる画像データの配信先を指定させる配信先指定手順と、
前記配信先を指定して、選択された画像データの配信要求を前記配信装置へ送信する配信要求手順とを有する情報処理方法。
【請求項7】
前記画像読取装置は、配信対象とする画像データの読取条件を配信先の候補に応じて記憶する情報管理装置とネットワークを介して接続され、
前記画像一覧取得手順によって取得された前記一覧情報は、画像データごとに当該画像データが読み取られたときの読取条件を識別可能な情報を含み、
前記配信画像選択手順は、前記配信装置に保存されている画像データの中で、前記配信先指定手順が指定させた配信先に対して前記情報管理装置が記憶する読取条件と一致する読取条件に係る画像データの一覧情報を表示させる請求項6記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記画像読取装置は、配信対象とする画像データの読取条件を配信先の候補に応じて記憶する情報管理装置とネットワークを介して接続され、
前記画像一覧取得手順によって取得された前記一覧情報は、画像データごとに当該画像データが読み取られたときの読取条件を識別可能な情報を含み、
前記配信先指定手順は、前記情報管理装置において記憶されている配信先の候補の中で、対応する読取条件が前記配信画像選択手順が選択させた画像データの読取条件と一致する配信先の候補を前記表示手順に表示させ、表示された候補の中から配信先を選択させる請求項6記載の情報処理方法。
【請求項9】
前記表示手順に表示された前記一覧情報の中で選択された画像データの削除要求を前記配信装置に送信する削除要求手順を有する請求項6乃至8いずれか一項記載の情報処理方法。
【請求項10】
画像読取装置に、
当該画像読取装置によって読み取られた画像データを配信し、配信対象とされた画像データを保存する配信装置に保存されている画像データの一覧情報をネットワークを介して前記配信装置より取得し、当該画像読取装置が備える表示手段に表示させる画像一覧取得手順と、
前記表示手段に表示された前記一覧情報の中から配信対象とする画像データを選択させる配信画像選択手順と、
配信対象とされる画像データの配信先を指定させる配信先指定手順と、
前記配信先を指定して、選択された画像データの配信要求を前記配信装置へ送信する配信要求手順とを実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−219700(P2010−219700A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−62058(P2009−62058)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】