説明

画像読取装置および画像形成装置

【課題】媒体を汚すことなく読取済みであることを特定する画像を媒体に付与すること。
【解決手段】表面に読取対象の画像が記録された媒体(Gi)が搬送される搬送路(SH0)と、前記搬送路(SH0)に予め設定された読取位置(PG1)において媒体(Gi)の画像を読み取る読取部材(CCD)と、読取位置(PG1)よりも媒体(Gi)の搬送方向の下流側に配置され、前記読取部材(CCD)で画像が読み取られた媒体(Gi)に対して、読取が終了したことを特定する特定画像(11)であって、不可視の前記特定画像(11)を記録する記録部材(6)と、を備えた画像読取装置(U1)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スキャナーのような画像読取装置またはFAX、複写機等の画像読取装置を備えた画像形成装置において、画像が読み取られた媒体に対して、読み取られたことを特定するための技術に関し、以下の特許文献1に記載の技術が従来公知である。
特許文献1としての特開2009−225375号公報には、複合装置(1)のFAXにおいて、スキャナ部(4)で読み取られた原稿に対して、済みスタンプ部(50)の済みスタンプ記録部(61)により、所定の済みスタンプ、例えば、丸内に「済」の字からなる済みスタンプを原稿に記録する技術が記載されている。また、特許文献1には、済みスタンプ記録部(61)が、移動ベルト(65)で主走査方向に移動可能に構成されており、読取回数等に応じて、異なる位置に済みスタンプを記録する構成も記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−225375号公報(「0034」〜「0040」、図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、媒体を汚すことなく読取済みであることを特定する画像を媒体に付与することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記技術的課題を解決するために、請求項1に記載の発明の画像読取装置は、
表面に読取対象の画像が記録された媒体が搬送される搬送路と、
前記搬送路に予め設定された読取位置において、媒体の画像を読み取る読取部材と、
読取位置よりも媒体の搬送方向の下流側に配置され、前記読取部材で画像が読み取られた媒体に対して、読取が終了したことを特定する特定画像であって、不可視の前記特定画像を記録する記録部材と、
を備えたことを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像読取装置において、
前記読取対象の画像の内部に前記特定画像を記録する前記記録部材
を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の画像読取装置において、
赤外線を吸収する材料を含む透明な現像剤を使用して、前記特定画像を記録する前記記録部材、
を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の画像読取装置において、
赤外線を前記媒体に対して照射する光源部と、前記媒体からの反射光を受光する受光部と、を有し、前記特定画像を読み取る第2の読取部材、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の画像読取装置において、
前記記録部材よりも媒体の搬送方向の上流側に配置され、読取対象の画像が記録された媒体に記録された前記特定画像を読み取る前記第2の読取部材と、
前記第2の読取部材の読取結果に基づいて、前記媒体に対する前記特定画像の位置を検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段で検出された前記特定画像の位置に基づいて、前記特定画像の位置に対してずれた位置に、特定画像を記録する前記記録部材と、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
前記技術的課題を解決するために、請求項6に記載の発明の画像形成装置は、
表面に画像が記録された媒体の画像を読み取る請求項1ないし5のいずれかに記載の画像読取装置と、
前記画像読取装置で読み取られた画像を媒体に記録する画像記録装置と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1、6に記載の発明によれば、可視の特定画像を使用する場合に比べて、媒体を汚すことなく読取済みであることを特定する画像を媒体に付与することができる。
請求項2に記載の発明によれば、読取対象の画像を汚すことなく特定画像を付すことができる。
請求項3に記載の発明によれば、透明な現像剤を使用して不可視の特定画像を記録することができる。
【0012】
請求項4に記載の発明によれば、赤外線を照射して不可視の特定画像を読み取ることができる。
請求項5に記載の発明によれば、特定画像が重なること無く付与することができ、複数の特定画像を読み取ることで履歴を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は本発明の実施例1の画像形成装置の斜視図である。
【図2】図2は実施例1の画像形成装置の縦断面図である。
【図3】図3は実施例1の画像読取装置の要部説明図である。
【図4】図4は実施例1の第2の読取部材の要部説明図である。
【図5】図5は実施例1の制御部の要部説明図である。
【図6】図6は実施例1のマークの位置の説明図であり、図6Aはマークの位置を検出する場合の説明図、図6Bは図6Aに示す状態の原稿に対して新たなマークが記録された場合の説明図である。
【図7】図7は実施例1の特定画像の読取・記録処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例である実施例を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,−X,Y,−Y,Z,−Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【実施例1】
【0015】
図1は本発明の実施例1の画像形成装置の斜視図である。
図2は実施例1の画像形成装置の縦断面図である。
図1において、本発明の実施例1の画像形成装置の一例としてのデジタル式の複写機Uは、画像記録装置の一例として、下部に配置されたプリンタ部U1と、画像読取装置の一例として、プリンタ部U1の上部に配置されたスキャナ部U2と、を有する。
図1、図2において、前記スキャナ部U2は、読取装置本体の一例として、上面に透明な原稿台の一例としてのプラテンガラスPGを有するスキャナ本体U2aと、スキャナ本体U2aの上面に支持された原稿搬送装置U2bとを有する。前記スキャナ本体U2aの前端部には、操作部の一例としてのユーザインタフェースUIが支持されている。なお、前記原稿搬送装置U2bは、プラテンガラスPG上面に着脱可能且つ図示しない回転軸を中心として上方に回転可能、すなわち、プラテンガラスPGとの間の空間を開閉可能に装着されている。
【0016】
図2において、前記原稿搬送装置U2bは、読取対象の画像が表面に記録された媒体の一例としての複写しようとする原稿Giが収容される原稿供給部の一例としての原稿給紙トレイTG1を有する。
前記原稿給紙トレイTG1に収容された複数の各原稿Giは、原稿送出部材の一例としての原稿ピックアップロールRg1により取り出され、原稿分離部材の一例としての原稿捌きロールRg2に搬送される。原稿捌きロールRg2は、複数枚の原稿が搬送されてきた場合には1枚づつ分離して、搬送路の一例としての原稿搬送路SH0を搬送されて、原稿捌きロールRg2の下流側に配置された原稿搬送部材の一例としての原稿搬送ロールRg3に搬送される。
【0017】
原稿搬送ロールRg3により下流側に搬送された原稿Giは、時期調整部材の一例としての原稿レジロールRg4により一旦停止してから、予め設定された時期に前記プラテンガラスPG上に設定された読取位置の一例としての原稿読込位置PG1に搬送される。
前記原稿読込位置PG1を通過した原稿Giは、原稿搬送部材の一例としての原稿搬送ローラRg5により、原稿排出部材の一例としての原稿排出ローラRg6に搬送される。原稿Giの片面のみが読み取られる場合や両面読取の設定で両面の読取が終了した場合には、原稿Giは、原稿排出ローラRg6により、原稿排出部の一例としての原稿排紙トレイTG2に排出される。両面読取の設定で一面目の読取が終了した原稿Giは、原稿搬送ローラRg5と原稿排出ローラRg6との間から分岐された原稿反転路GHに搬送される。
【0018】
原稿反転路GHは、原稿搬送ロールRg3の上流側で原稿搬送路SH0と合流するように配置されており、分岐部には、切替部材の一例としてのゲートGH1が配置されている。前記ゲートGH1は、弾性変形可能な薄膜状のフィルムにより構成されており、原稿排出ローラRg6側からの原稿Giを原稿反転路GH側に案内すると共に、原稿搬送ローラRg5から原稿排出ローラRg6に搬送される原稿Giは、ゲートGH1を弾性変形させながら通過するように構成されている。
したがって、一面目の画像読取が終了した原稿Giが、原稿搬送ローラRg5および原稿排出ローラRg6で搬送されて搬送方向後端がゲートGH1を通過すると、原稿排出ローラRg6が逆回転して、原稿Giの搬送方向が逆転して搬送、いわゆるスイッチバックされて、原稿反転路GHに搬送される。原稿反転路GHを搬送された原稿Giは、原稿レジロールRg4に再送され、原稿読取位置PG1に再送される。
【0019】
前記スキャナ部U2aの内部には、露光系基準位置の一例としてのプラテンレジ位置に配置された検出部材の一例としての露光系レジセンサSpと、露光光学系Aとが配置されている。
前記露光光学系Aは、左右方向に移動可能に支持されており、その移動および停止が露光系レジセンサSpの検出信号により制御され、常時は前記露光系レジセンサによって検出される初期位置の一例としてのホーム位置に停止している。
実施例1の自動原稿搬送装置U2bを使用して複写を行う自動複写動作の場合は、露光光学系Aはホーム位置に停止した状態で、プラテンガラスPG上に設定された原稿読込位置PG1を順次通過する各原稿Giを露光する。
【0020】
原稿Giを作業者が手でプラテンガラスPG上に置いて複写を行う手動複写動作の場合、露光光学系Aは右方に移動、すなわち、スキャンしながらプラテンガラスPG上の原稿を露光走査する。
露光された前記原稿Giからの反射光は、前記露光光学系Aを介して撮像素子の一例としての受像部CCD上に収束される。前記受像部CCDは、その撮像面上に収束された原稿からの反射光を電気信号に変換する。
【0021】
受像部CCDからの信号は、画像処理部GSに入力され、画像処理部GSは、受像部CCDから入力された読込画像信号を読込画像情報の一例としてのデジタル画像データに変換して読込画像を作成、一時記憶し、デジタル画像データをプリンタ部U2bの書込駆動回路の一例としてのレーザ駆動回路DLに出力する。
前記レーザ駆動回路DLは、入力されたデジタル画像データに応じたレーザ駆動信号を潜像書込装置ROSに出力する。前記画像処理部GS、前記レーザ駆動回路DL、電源回路E等は、制御部の一例としてのコントローラCにより作動を制御される。
【0022】
前記潜像書込装置ROSの下方には、像保持体の一例として、矢印Yp方向に回転する感光体ドラムPRが配置されている。前記感光体ドラムPR表面は、帯電領域Q0において帯電部材の一例としての帯電ロールCRにより帯電された後、潜像書込位置Q1において潜像書込装置ROSの潜像書込み光の一例としてのレーザビームLにより露光走査されて静電潜像が形成される。
前記静電潜像が形成された感光体ドラムPR表面は回転移動して現像領域Q2、画像記録位置の一例としての転写領域Q4を順次通過する。
【0023】
前記現像領域Q2において、静電潜像を可視像に現像する現像器Dは、現像部材の一例としての現像ロールR0を有し、現像剤を現像ロールR0により現像領域Q2に搬送し、前記現像領域Q2を通過する感光体ドラムPR表面の静電潜像を可視像の一例としてのトナー像Tnに現像する。
前記転写領域Q4において、感光体ドラムPRに対向する転写部材の一例としての転写ロールTRは、感光体ドラムPR表面のトナー像Tnを媒体の一例としてのシートSに転写する転写電圧が電源回路Eから供給される。前記帯電ロールCRに印加する帯電電圧や、現像ロールR0に印加する現像電圧、転写ロールTRに印加する転写電圧、後述の定着装置Fの加熱ロールのヒータを加熱する電力を供給する電源回路Eは前記コントローラCにより制御される。
【0024】
複写機本体U1の下部には、媒体供給部の一例としての第1の給紙トレイTR1および第2の給紙トレイTR2が上下に並んで配置されている。
前記各給紙トレイTR1,TR2の左上端部には、取り出し部材の一例としてのピックアップロールRpが配置されており、ピックアップロールRpにより取り出されたシートSは、給紙トレイTR1,TR2の左側部分では上下に延び、給紙トレイTR1の上側部分では水平に延びる媒体の搬送路の一例としての給紙路SH1に搬送される。
【0025】
給紙路SH1の上下に延びる部分である給紙トレイTR1,TR2の左側部分には、捌き部材の一例としての捌きロールRsが配置されている。捌きロールRsは、シートSを搬送する搬送部材の一例としてのフィードロールRs1と、シートSを停止させて分離する分離部材の一例としてのリタードロールRs2とを有する。ピックアップロールRpにより捌きロールRsにシートSが複数枚重なって搬送された場合、フィードロールRs1が接触するシートSを下流側に送ると共に、リタードロールRs2が重なったシートSを停止させることで1枚づつ分離されて、給紙路SH1に搬送される。給紙路SH1の上下に延びる部分の上端部には、正逆回転可能な搬送部材の一例としての搬送ロールRbが配置されている。給紙路SH1に搬送された前記シートSは正逆転回転可能な搬送ロールRbの正回転により上方に搬送され、後述する反転接続路SH5との分岐路に配置された切替部材の一例としての第1のゲートGT1により、給紙路SH1の水平に延びる部分である第1の給紙トレイTR1の上側部分を通って、媒体の搬送路の一例としての上流側の搬送路SH2に搬送される。
【0026】
上流側の搬送路SH2に搬送されたシートSは、媒体の搬送部材の一例としての搬送ロールRaにより、時期調整部材の一例としてのレジロールRrに搬送される。前記レジロールRrに搬送されたシートSは、感光体ドラムPR表面のトナー像Tnが転写領域Q4に移動する時期に合わせて、案内部材の一例としての転写前のシートガイドSG1から転写領域Q4に搬送される。
前記感光体ドラムPR表面のトナー像Tnは、前記転写領域Q4において、転写ロールTRによりシートSに転写される。転写された後の感光体ドラムPR表面は、清掃器の一例としての感光体クリーナCL1によりクリーニングされて残留トナーが除去され、除電部材の一例としての感光体除電器JLにより除電されてから、前記帯電ロールCRにより再帯電される。
前記感光体ドラムPR、帯電ロールCR、潜像書込装置ROS、現像装置D、転写ロールTR、感光体クリーナCL1、感光体除電器JL等により画像記録部材PR+CR+ROS+D+TR+CL1+JLが構成されている。
【0027】
前記転写領域Q4に対してシートSの搬送方向の下流側には、転写領域Q4でトナー像が転写されたシートSが搬送される搬送路の一例としての下流側の搬送路SH3が設けられている。前記下流側の搬送路SH3には、案内部材の一例としてのシートガイドSG2や、媒体の搬送部材の一例としての搬送ベルトBH、定着装置Fが配置されている。
前記転写領域Q4において転写ロールTRによりトナー像が転写された前記シートSは、感光体ドラムPRの表面から剥離され、下流側の搬送路SH3のシートガイドSG2や搬送ベルトBHにより定着装置Fに搬送される。
【0028】
前記定着装置Fは、互いに接触して回転する加熱定着部材の一例としての加熱ロールFhおよび加圧定着部材の一例としての加圧ロールFpとを有しており、それらの接触領域により定着領域Q5が形成されている。前記定着装置Fの加熱ロールFh内部には、図示しない発熱体の一例としてのヒータが内蔵されており、定着装置Fは定着領域Q5を通過するシートS上の未定着トナー像を加熱定着する。
トナー像が加熱定着されたシートSは、媒体の搬送路の一例としての排出路SH4を通って、媒体排出部の一例としての排紙トレイTRhに搬送される。
【0029】
前記排出路SH4には、定着装置Fの下流側に搬送路の切替部材の一例としての第2のゲートGT2が配置されている。第2のゲートGT2は、前記定着装置Fを通過したシートSの搬送方向を排紙トレイTRh側または反転接続路SH5のいずれかの方向に切り替える。反転接続路SH5は、排出路SH4の定着装置Fの下流側部分と前記給紙路SH1とを接続する。定着装置Fを通過して1面目のトナー像が定着されたシートSは、反転接続路SH5に搬送された場合、反転接続路SH5と給紙路SH1との接続部に配置された第1のゲートGT1を下方に通過して搬送ロールRbの逆回転により前記給紙路SH1を下方に搬送される。前記シートSの後端が第1のゲートGT1を通過すると、搬送ロールRbが正回転することにより、搬送方向が逆転し、いわゆるスイッチバックされて上方にシートSが搬送される。前記スイッチバックして上方に搬送されたシートSは、第1のゲートGT1により、給紙路SH1および上流側の搬送路SH2を順次搬送されて前記レジロールRrに再送され、前記転写領域Q4を通過する際に2面目に画像が転写される。
【0030】
(画像読取装置の説明)
図3は実施例1の画像読取装置の要部説明図である。
図4は実施例1の第2の読取部材の要部説明図である。
図2、図3において、実施例1のスキャナU1では、原稿搬送路SH0の原稿読込位置PG1の下流側には、第2の読取部材の一例として、赤外線スキャナ1が配置されている。
図4において、実施例1の赤外線スキャナ1は、原稿搬送路SH0を搬送される原稿Giに対して赤外線を照射する光源部の一例としての複数の赤外光源2と、原稿Giから反射した赤外光を受光する受光部3とを有する。実施例1の赤外光源2は、赤外光を照射可能な従来公知の光源を採用可能であり、例えば、IR−LED:InfraRed Light Emission Diodeを使用することが可能である。
【0031】
また、実施例1の受光部3は、反射光に含まれる赤外領域の予め設定された波長領域を透過させる波長選択部材の一例としての赤外フィルタ3aと、赤外フィルタ3aを透過した赤外光を集光する集光部材の一例としてのレンズ3bと、レンズ3bで集光された赤外光を受光する受光部本体の一例としてセンサ3cとを有する。なお、前記センサ3cとしては、赤外光を受光して識別可能な従来公知の任意の受光素子を採用可能であり、例えば、赤外光に感度を持つC−MOSセンサを使用可能である。
したがって、原稿搬送路SH0を搬送される原稿Giが、赤外線スキャナ1の位置を通過する際に、原稿Gi表面に赤外線を吸収または反射する材料が存在すれば、赤外線を吸収または反射する材料が存在しない部分に比べて、暗いまたは明るい画像となって受光部3で撮像される。なお、実施例1では、赤外線スキャナ1は、搬送される原稿Giの幅方向の中央部に配置されている。
【0032】
図3において、赤外線スキャナ1よりも下流側であって、原稿反転路GHとの分岐部の下流側且つ原稿排出ロールRg6の上流側には、記録部材の一例としてのスタンパー6が配置されている。実施例1のスタンパー6は、例えば、従来公知のインクジェット記録ヘッドを採用可能であり、任意の構成を採用可能であるため、詳細な説明は省略する。なお、実施例1では、スタンパー6は、低費用化および構成の簡素化のために、原稿Giの幅方向、いわゆる主走査方向に移動不能な構成となっており、赤外線スキャナ1に対応して、幅方向の中央部に配置されている。
また、実施例1のスタンパー6では、インクジェット記録ヘッドから吐出されて人間の目では識別が困難な不可視の特定画像の一例としてのマークが記録される。実施例1の不可視のマークは、不可視のインクを使用して印刷されており、不可視のインクの一例として赤外線を吸収する材料を含む現像剤の一例としての無色透明のインクを使用している。
【0033】
なお、このような赤外線を吸収する無色透明のインクとして、例えば、ステルスインク等のインクを採用可能であり、従来公知であるため、詳細な説明は省略する。また、不可視のインクとしては、無色透明であることが望ましいが、蛍光イエロー等、人間の目では識別が困難な従来公知の不可視のインクを使用することが可能である。
また、実施例1では、赤外線を吸収する材料を使用したが、これに限定されず、赤外線を反射する材料、例えば、カーボンブラックを含むインクを使用し、人間の目では識別困難であり且つスキャナで読取可能な程度の極小の点、例えば0.05mm程度のドットにより構成されて、ドットどうしの間隔を十分にあけて人間の目では識別不能な模様により構成されたマークを特定画像として採用することも可能である。このようなマークは、いわゆる「見えないバーコード」や「ステルスドット」として、従来公知であるため、説明の簡単のため、詳細な説明は省略する。
すなわち、本願明細書および特許請求の範囲において、「不可視」とは、人間の目では識別不可能または識別困難であって、赤外線スキャナ1等の読取部材では読取、識別が可能な状態を指すものとする。
【0034】
(制御部Cの説明)
図5は実施例1の制御部の要部説明図である。
図5において、前記制御部Cは、外部との信号の入出力および入出力信号レベルの調節等を行う入出力インターフェース:I/O、必要な処理を行うためのプログラムおよび情報等が記憶されたリードオンリーメモリ:ROM、必要なデータを一時的に記憶するためのランダムアクセスメモリ:RAM、前記ROMに記憶されたプログラムに応じた処理を行う中央演算処理装置:CPU、ならびに発振器等を有する小型情報処理装置、いわゆるマイクロコンピュータにより構成されており、前記ROMに記憶されたプログラムを実行することにより種々の機能を実現することができる。
【0035】
(制御部Cに接続された信号入力要素)
制御部Cには、次の信号出力要素UI、赤外線スキャナ1等の出力信号が入力されている。
UI:操作部
操作部UIは、表示部UI1、複写開始入力部の一例としてのコピースタートキーUI2、読取設定の入力部の一例としての読取設定キーUI3、読取情報の表示用の入力部の一例としてのマーク表示キーUI4等を備えている。
1:赤外線スキャナ
赤外線スキャナ1は、原稿搬送路SH0を搬送される原稿Giに付されたマークを読み取る。
【0036】
(制御部Cに接続された被制御要素)
制御部Cは、次の被制御要素の制御信号を出力している。
DL:レーザ駆動回路
レーザ駆動回路DLは、潜像形成装置ROSを駆動して感光体PR表面に静電潜像を形成する。
D0:メインモータの駆動回路
主駆動源の駆動回路の一例としてのメインモータの駆動回路D0は、メインモータM0を駆動することにより図示しないギヤを介して感光体PRおよび現像器Dの現像ローラR0、加熱ローラFh、搬送ローラRa、レジロールRr等を回転駆動する。
【0037】
E:電源回路
電源回路Eは次の電源回路を有している。
E1:現像電源回路
現像電源回路E1は、現像器Dの現像ローラR0に現像電圧を印加する。
E2:帯電電源回路
帯電電源回路E2は、帯電器CRに帯電電圧を印加する。
E3:転写電源回路
転写電源回路E3は、転写ローラTRに転写電圧を印加する。
E4:定着電源回路
定着電源回路E4は、加熱ローラFhのヒータに定着用の電力を供給する。
【0038】
D1:スキャナの駆動回路
画像読取装置の駆動回路の一例としてのスキャナの駆動回路D1は、スキャナU1の自動原稿搬送装置U2bや露光光学系A、受像部CCD等を駆動させる。
D2:マーク記録の駆動回路
特定画像の記録用の駆動回路の一例としてのマーク記録の駆動回路D2は、スタンパー6を駆動して、原稿Giにマークを記録する。
【0039】
(前記コントローラCの機能)
前記コントローラCは、前記各信号出力要素からの出力信号に応じた処理を実行して、前記各制御要素に制御信号を出力する機能を実現するプログラムである機能実現手段を有している。前記コントローラCの各種機能を実現する機能実現手段を次に説明する。
C1:メインモータの回転制御手段
主駆動源の制御手段の一例としてのメインモータの回転制御手段C1は、前記メインモータの駆動回路D0を制御して、感光体PR、現像器Dの現像ローラR0、定着装置F等の回転を制御する。
【0040】
C2:電源回路制御手段
電源回路制御手段C2は、次の手段C2a〜C2dを有しており、前記電源回路Eを制御して、前記現像電圧、帯電電圧、転写電圧、加熱ローラFhのヒータのオン・オフ等を制御する。
C2a:現像電圧制御手段
現像電圧制御手段C2aは、前記現像電源回路E1の動作を制御して現像器Dの現像ローラR0に印加する現像電圧を制御する。
C2b:帯電電圧制御手段
帯電電圧制御手段C2bは、前記帯電電源回路E2の動作を制御して各帯電器CRに印加する帯電電圧を制御する。
【0041】
C2c:転写電圧制御手段
転写電圧制御手段C2cは、転写電源回路E3の動作を制御して転写ローラTRに印加する転写電圧を制御する。
C2d:定着電源制御手段
定着電源制御手段C2dは定着電源回路E4の動作を制御して、前記加熱ローラFhのヒータをオン・オフ制御して、定着温度を制御する。
C3:ジョブ制御手段
画像形成動作の制御手段の一例としてのジョブ制御手段C3は、コピースタートキーUI2や端末PCからの入力に応じて、潜像形成装置ROS、感光体PRy〜PRk、転写ローラT1y〜T1k,T2、定着装置F等の動作を制御して、画像形成動作であるジョブを実行する。
【0042】
C4:スキャナ制御手段
読取装置の制御手段の一例としてのスキャナ制御手段C4は、読取設定の記憶手段C4Aと、搬送制御手段C4Bと、画像読取手段C4Cとを有し、スキャナU2の動作を制御して、原稿Giの画像を読み取る。
C4A:読取設定の記憶手段
読取設定の記憶手段C4Aは、操作部UIの読取設定キーUI3からの入力に基づいて、原稿Giを読み取る際の読取設定、すなわち、片面のみの読取か両面の読取かの設定を記憶する。なお、実施例1の読取設定の記憶手段C4Aでは、読取設定の初期値として片面読取を記憶している。
【0043】
C4B:搬送制御手段
搬送制御手段C4Bは、スキャナU2の各ローラRg1〜Rg6の回転を制御して、原稿Giの搬送を制御する。実施例1の搬送制御手段C4Bは、コピースタートキーUI2の入力に基づいて、各ローラRg1〜Rg6の駆動を制御する。
C4C:画像読取手段
画像読取手段C4Cは、露光光学系Aや受像部CCDを制御して、原稿Giの画像を読み取る。すなわち、プラテンガラスPG上に原稿Giが置かれている場合には、露光光学系Aをスキャンして原稿Giの画像を読み取り、原稿給紙トレイTG1に原稿Giが積載されている場合には、画像読込位置PG1を通過する原稿Giの画像を読み取る。
【0044】
C5:マーク読取の制御手段
読取制御手段の一例としてのマーク読取の制御手段C5は、読取位置の通過判別手段C5Aと、後端通過の判別時間の記憶手段C5Bと、後端通過の判別時間の計時手段C5Cと、マーク位置の判別時間の計時手段C5Dと、マーク位置の判別手段C5Eと、マークの識別手段C5Fと、を有し、赤外線スキャナ1を制御して、マークの読み取りを行う。
C5A:読取位置の通過判別手段
読取位置の通過判別手段C5Aは、原稿Giの搬送方向前端および後端が、原稿読込位置PG1を通過したか否かを判別する。実施例1の読取位置の通過判別手段C5Aは、原稿搬送装置U2bで搬送される原稿Giを受像部CCDで読み取る場合に、画像読取手段C4Cが原稿Giの搬送方向の前端または後端を読み取った場合に、原稿読込位置PG1を前端または後端が通過したものと判別する。
【0045】
C5B:後端通過の判別時間の記憶手段
後端通過の判別時間の記憶手段C5Bは、原稿Giの搬送方向の一端である後端が、赤外線スキャナ1が配置されたマーク読取位置を通過したか否かを判別するための後端通過の判別時間t2を記憶する。実施例1の後端通過の判別時間t1は、原稿読込位置PG1からマーク読取位置までの距離と、予め設定された原稿搬送速度とに基づいて、実験等により予め設定されている。
C5C:後端通過の判別時間の計時手段
第1の計時手段の一例としての後端通過の判別時間の計時手段C5Cは、後端通過の判別時間t2の計時を行う。実施例1の後端通過の判別時間の計時手段C5Cは、原稿Giの後端が原稿読込位置PG1を通過すると、後端通過の判別時間t2の計時が開始される。
【0046】
C5D:マーク位置の判別時間の計時手段
第2の計時手段の一例としてのマーク位置の判別時間の計時手段C5Dは、原稿Giに対するマークの位置を判別するための時間であるマーク位置の判別時間t1を計時する。実施例1のマーク位置の判別時間の計時手段C5Dは、原稿Giの前端が原稿読込位置PG1を通過すると計時を開始する。
C5E:マーク位置の判別手段
位置検出手段の一例としてのマーク位置の判別手段C5Eは、赤外線スキャナ1がマークを読み取った場合に、マーク位置の判別時間の計時手段C5Dが計測したマーク位置の判別時間t1に基づいて、原稿Giに対するマークの位置を判別する。実施例1のマーク位置の判別手段C5Eは、マーク位置の判別時間t1と、原稿読込位置PG1からマーク読取位置までの距離と、予め設定された原稿搬送速度と、に基づいて、マークの位置を判別する。
【0047】
図6は実施例1のマークの位置の説明図であり、図6Aはマークの位置を検出する場合の説明図、図6Bは図6Aに示す状態の原稿に対して新たなマークが記録された場合の説明図である。
図6Aにおいて、実施例1のマーク位置の判別手段C5Eは、図3に示すように原稿読込位置PG1からマーク読取位置までの距離をL1とし、原稿搬送速度をV1とした場合、マーク11の位置の一例として、原稿Giの前端からの距離La=(t1−L1/V1)×V1=t1×V1−L1を演算することで、マーク11の位置を判別する。
なお、図6Aに示すように、実施例1では、マーク11は、原稿Giの搬送方向の後端側から付され、前端側ほど時系列的には新しいマーク11が付されるようになっており、複数のマーク11a〜11cが付されている場合には、前端に最も近いマーク11cの位置をマーク11の位置として演算する。よって、図6Aにおいて、実施例1では、最新のマーク11cまでの距離Laを、マーク11の位置として判別する。
【0048】
C5F:マークの識別手段
特定画像の識別手段の一例としてのマークの識別手段C5Fは、赤外線スキャナ1が読み取ったマーク11を識別する。実施例1のマークの識別手段C5Fは、読み取ったマーク11の内容を識別する。なお、実施例1では、マーク11は、読取情報の一例として、読取が行われた日時と、読み取られた回数と、両面読取の場合は「表」または「裏」の文字と、を含む読取が終了したことを特定する読取情報により構成されている。したがって、実施例1のマークの識別手段C5Fは、読み取ったマーク11に含まれる読取情報の識別、すなわち、日時や回数、表裏の情報を取得する。なお、読み取ったマーク11の情報の識別は、従来公知の画像解析技術を採用可能であるため、詳細な説明は省略する。
【0049】
C6:マーク記録の制御手段
特定画像の記録制御手段の一例としてのマーク記録の制御手段C6は、マークの作成手段C6Aと、マーク位置の設定手段C6Bとを有し、マーク記録の駆動回路D2を介してスタンパー6を制御して、読取がされた原稿Giへマーク11を記録する。
C6A:マークの作成手段
特定画像の作成手段の一例としてのマークの作成手段C6Aは、読取終わった原稿Giへ記録されるマーク11を作成する。実施例1のマークの作成手段C6Aは、読取がされた日時の情報と、マークの識別手段C5Fで識別された回数に1加算した回数の情報と、両面読取の場合には一面目である場合には「表」二面目である場合には「裏」の情報と、を含む読取情報により構成されたマーク11を作成する。なお、実施例1のマークの作成手段C6Aは、情報を暗号化せず、赤外線スキャナ1で読み取った画像を画像解析可能な状態のマーク11を作成する。
【0050】
C6B:マーク位置の設定手段
特定画像の位置設定手段の一例としてのマーク位置の設定手段C6Bは、読取終わった原稿Giに記録されるマーク11の記録位置を設定する。実施例1のマーク位置の設定手段C6Bは、図6Bに示すように、マーク位置の判別手段C5Eにより既に記録されているマーク11a〜11cが存在する場合には、マーク11a〜11cと重複しないように搬送方向にずれた位置を、新たなマーク11dを記録する位置として設定する。具体的には、マーク11の搬送方向の間隔をLbとした場合、マーク11を付す位置を、La−Lbの位置を搬送方向の前端の基準として設定する。なお、実施例1では、不可視のマーク11を使用しており、原稿画像13に影響を与えないため、原稿画像13の内部の重複する位置に、マーク11dを記録する位置を設定可能になっている。さらに、実施例1のマーク位置の設定手段C6Bは、読み取られた原稿Giにマーク11が存在しない場合には、原稿Giの搬送方向に対して後端の位置を、新たなマーク11を記録する位置として設定する。
【0051】
C7:マークの表示手段
読取情報の表示手段の一例としてのマークの表示手段C7は、読取情報の記憶手段の一例としてのマークの記憶手段C7Aを有し、読取情報を表示部UI1に表示する。実施例1のマーク表示手段C7は、マーク表示キーUI4の入力がされた場合に、マークの記憶手段C7Aに記憶されたマーク11の情報を表示部UI1に表示する。実施例1のマークの記憶手段C7Aは、マークの識別手段C5Fで識別されたマーク11の読取情報、すなわち、マーク11の履歴の情報と、マーク記録の制御手段C6で記録されたマーク11、すなわち、今回記録された最新のマーク11の情報と、を含む読取情報を原稿Gi毎に記憶している。
【0052】
(実施例1の流れ図の説明)
次に、本発明の実施例1の画像形成装置Uの処理の流れを流れ図、いわゆる、フローチャートを使用して説明する。なお、マーク表示キーUI4の入力に応じてマークの記憶手段C7Aに記憶された読取情報を表示部UI1に表示する処理については、説明の簡単化のため、図示および詳細な説明を省略する。
【0053】
(特定画像の読取・記録処理の説明)
図7は実施例1の特定画像の読取・記録処理のフローチャートである。
図7のフローチャートの各ST:ステップの処理は、前記制御部CのROMに記憶されたプログラムに従って行われる。また、この処理は複写機Uの他の各種処理と並行してマルチタスクで実行される。
図7に示すフローチャートは電源オンにより開始される。
【0054】
図7のST1において、原稿Giの読取の開始の入力がされたか否か、すなわち、コピースタートキーUI2の入力がされたか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST2に進み、ノー(N)の場合はST1を繰り返す。
ST2において、原稿Giの前端が原稿読込位置PG1を通過したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST3に進み、ノー(N)の場合はST2を繰り返す。
ST3において、次の処理(1)、(2)を実行し、ST4に進む。
(1)赤外線スキャナ1を作動させて、マーク11の読取を開始する。
(2)マーク位置の判別時間t1の計時を開始する。
【0055】
ST4において、マーク11を読み取ったか否かを判別する。ノー(N)の場合はST5に進み、イエス(Y)の場合はST10に進む。
ST5において、原稿Giの後端が原稿読込位置PG1を通過したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST6に進み、ノー(N)の場合はST4に戻る。
ST6において、後端通過の判別時間t2の計時を開始する。そして、ST7に進む。
ST7において、マーク11を読み取ったか否かを判別する。ノー(N)の場合はST8に進み、イエス(Y)の場合はST10に進む。
ST8において、後端通過の判別時間t2が経過したか否かを判別する。イエス(Y)の場合はST9に進み、ノー(N)の場合はST7に戻る。
【0056】
ST9において、スタンパー6により、原稿Giに対して1回目のマーク印刷位置に読取情報のマーク11を印刷する。すなわち、原稿Giの後端に設定される1回目のマーク印刷位置がスタンパー6の位置を通過する際に、スタンパー6により1回目のマーク11を記録する。そして、ST13に進む。
ST10において、次の処理(1)、(2)を実行して、ST11に進む。
(1)計時されたマーク位置の判別時間t1に基づいて、原稿Giにおけるマーク11の位置を検出する。
(2)検出されたマーク11を識別して、マーク11の読取情報を取得する。
【0057】
ST11において、取得した読取情報とマーク11の位置から、今回のマーク印刷位置を設定する。すなわち、読み取った最新のマーク11に対して搬送方向にずれた位置をマーク印刷位置に設定する。そして、ST12に進む。
ST12において、設定されたマーク印刷位置に、マーク11を印刷する。すなわち、搬送されている原稿Giのマーク印刷位置がスタンパー6の位置を通過する際に、スタンパー6により今回のマーク11を記録する。そして、ST13に進む。
ST13において、読取が終了したか否か、すなわち、次に読み取る原稿Giが無くなったか否かを判別する。ノー(N)の場合はST2に戻り、イエス(Y)の場合はST1に戻る。
【0058】
(実施例1の作用)
前記構成を備えた実施例1の複写機Uでは、コピースタートキーUI2の入力がされて原稿Giの読み取りが開始されると、原稿Giが原稿読込位置PG1に搬送され、スキャナU1の受像部CCD等で原稿Giの原稿画像13が読み取られる。そして、スタンパー6を通過する際に、原稿画像13が読み取られた原稿Giに対して、不可視のマーク11が記録される。すなわち、原稿Giが読み取られた日時や回数等を識別する読取情報が原稿Giに、不可視のマーク11として付される。したがって、従来技術のように「済」のスタンプが押されて原稿Giが汚れる構成に比べて、実施例1では、原稿Gi自体が、人間の目から見て汚れることなく、読取回数等の情報が原稿Giに付される。
【0059】
また、実施例1では、スタンパー6の上流側且つ原稿読込位置PGの下流側において、原稿画像13が読み取られた原稿Giにおいて、マーク11が存在する場合には、赤外線スキャナ1でマーク11が読み取られる。したがって、原稿Giの過去の読取の履歴が、今回の読取の情報と合わせて取得可能になっている。
そして、実施例1では、今回の読取情報のマーク11が、既に付されているマーク11に対して、原稿Giの搬送方向にずれた位置に付されており、マーク11が重なる場合に比べて、マーク11が重なって読取が困難になることが低減されている。
【0060】
ここで、従来の技術のように可視のスタンプを押す技術では、スタンプが複数回押される場合には、同じ場所にスタンプを押すと今回のスタンプなのか過去のスタンプかが識別不能になる。よって、従来の技術では、複数回スタンプを押す場合には、スタンプを押す位置を異なる位置にする必要があるが、原稿画像13を汚さないようにするためには、原稿画像13の内部に付さず、余白部分に付す必要がある。したがって、原稿Giの搬送方向に交差する幅方向にスタンパーを移動させたり、スタンパーを幅方向に沿って複数個配置する等の必要があり、スタンパーの構成が複雑化したり、部品点数が増加する等して、費用が上昇する問題がある。これに対して、実施例1の構成では、不可視のマーク11が使用されており、原稿画像13の内部に重ねて付されても原稿画像13は人間の目から見て汚れない。よって、従来の構成に比べて、複数のマーク11を付すことが可能になりつつ、スタンパー6の構成が簡素化等され、費用の上昇が低減されている。
【0061】
また、実施例1では、マーク11の読取が赤外線スキャナ1で自動で行われて識別されており、マーク11が付された回数が自動的に識別される。従来の可視のスタンプを付す構成では、読取前に、作業者が「済」のスタンプがいくつ付されているのか事前に確認しておく必要があったが、実施例1では、スタンプを事前に確認しておかなくても、自動的に回数が識別されると共に、表示部UI1に表示して確認することが可能になっている。
【0062】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)〜(H09)を下記に例示する。
(H01)前記実施例において、画像形成装置の一例として複写機Uを例示したが、これに限定されず、例えば、FAX、あるいは、これら複数の機能を備えた複合機とすることも可能である。また、カラーの画像形成装置に限定されず、モノクロの画像形成装置にも適用可能である。
さらに、画像形成装置に限定されず、画像読取装置、いわゆる単体のスキャナにも適用可能である。
【0063】
(H02)前記実施例において、スタンパー6として、インクジェット方式の記録部材を例示したが、これに限定されず、不可視の特定画像を記録可能な任意の構成を採用可能であり、例えば、透明インクを採用した印鑑状のスタンプや、インクジェット以外の方式の記録部材を使用することも可能である。
(H03)前記実施例において、スタンパー6の位置を原稿排出ロールRg6の上流側に配置したが、原稿読込位置PG1の下流側であれば任意の位置に配置可能であり、原稿排出ロールRg6の下流側に配置することも可能である。同様に、赤外線スキャナ1もスタンパー6よりも上流側の任意の位置に配置可能であり、原稿読込位置PG1よりも上流側に配置することも可能である。なお、赤外線スキャナ1を受像部CCDの近傍に配置して、原稿読込位置PG1でマーク11を読み取るように構成することも可能である。
【0064】
(H04)前記実施例において、マーク11として記録される読取情報としては、実施例に例示した日時や回数等の情報に限定されず、設計や仕様等に応じて、任意に情報を増減することが可能である。
(H05)前記実施例において、特定画像の一例としてのマーク11として、画像解析で読込可能な形式としたが、これに限定されず、例えば、バーコードや2次元コード等の予め設定された方式で暗号化、コード化した特定画像を採用し、原稿Giに付すことも可能である。特に、透明の現像剤ではなくステルスドットを採用する場合には、ステルスドットとなるように暗号化された特定画像を採用する必要がある。
【0065】
(H06)前記実施例において、スタンパー6は原稿Giの幅方向に移動不能な構成とすることが、費用の抑制の観点から好ましいが、移動可能として、原稿の搬送方向および幅方向の任意の位置にマーク11を付すことを可能とする構成とすることも可能である。
(H07)前記実施例において、赤外線を吸収する材料を含む現像剤を例示したが、これに限定されず、例えば、紫外線を反射する材料を含む現像剤を使用し、紫外光、いわゆるブラックライトを照射して特定画像を読み取る構成とすることも可能である。
(H08)前記実施例において、原稿Giの位置の検出は、原稿読込位置PG1での検出に基づいて行ったが、これに限定されず、原稿Giの位置を検出するためのセンサを別個に設けることも可能である。このとき、両面読取が可能なスキャナU2の場合では、ゲートGH1に対応して配置すると、スタンパー6間での距離が近く、マーク11のスタンプ位置の精度がより高くなると共に、スイッチバックを行う時期の検出の精度も向上する。
【0066】
(H09)前記実施例において、原稿Giの両面読取を実行する場合に、片面読取完了毎にマーク11を記録する構成を例示したが、この構成に限定されず、例えば、スキャナの搬送路において、原稿Giの一面側と他面側にそれぞれ画像を読み取る読取部材を配置して、スイッチバックさせずに原稿Giの両面を読み取るスキャナに適用する場合には、スタンパー6を一面側と他面側の両方に配置することも可能である。なお、これに対応して、赤外線スキャナ1も両面に配置することが可能である。
他にも、一面目の読取完了時にはマーク11の記録を行わず、2面目の読取が完了した場合にマーク11の記録を行う構成とすることも可能である。この場合、両面を読み取ったことを特定する情報を1つのマーク11として記録することも可能であり、一面目および二面目のそれぞれの情報に関して、2つのマーク11をずらして連続して記録する構成とすることも可能である。
【符号の説明】
【0067】
1…第2の読取部材、
2…光源部、
3…受光部、
6…記録部材、
11…特定画像、
13…読取対象の画像、
C5E…位置検出手段、
CCD…読取部材、
Gi…媒体、
PG1…読取位置、
SH0…搬送路、
U…画像形成装置、
U1…画像読取装置、
U2…画像記録装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に読取対象の画像が記録された媒体が搬送される搬送路と、
前記搬送路に予め設定された読取位置において、媒体の画像を読み取る読取部材と、
読取位置よりも媒体の搬送方向の下流側に配置され、前記読取部材で画像が読み取られた媒体に対して、読取が終了したことを特定する特定画像であって、不可視の前記特定画像を記録する記録部材と、
を備えたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記読取対象の画像の内部に前記特定画像を記録する前記記録部材、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
赤外線を吸収する材料を含む透明な現像剤を使用して、前記特定画像を記録する前記記録部材、
を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
赤外線を前記媒体に対して照射する光源部と、前記媒体からの反射光を受光する受光部と、を有し、前記特定画像を読み取る第2の読取部材、
を備えたことを特徴とする請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記記録部材よりも媒体の搬送方向の上流側に配置され、読取対象の画像が記録された媒体に記録された前記特定画像を読み取る前記第2の読取部材と、
前記第2の読取部材の読取結果に基づいて、前記媒体に対する前記特定画像の位置を検出する位置検出手段と、
前記位置検出手段で検出された前記特定画像の位置に基づいて、前記特定画像の位置に対してずれた位置に、特定画像を記録する前記記録部材と、
を備えたことを特徴とする請求項4に記載の画像読取装置。
【請求項6】
表面に画像が記録された媒体の画像を読み取る請求項1ないし5のいずれかに記載の画像読取装置と、
前記画像読取装置で読み取られた画像を媒体に記録する画像記録装置と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−65033(P2012−65033A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−205788(P2010−205788)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】