説明

画像読取装置および画像形成装置

【課題】小型で画像の読取速度が速い画像読取装置、および、そのような画像読取装置を備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像読取装置が、原稿搬送機構によって取り込まれて搬送されている途中の原稿上の画像を幅方向に繰り返し読み取る画像読取センサに、今回取り込まれた原稿上の読取対象領域からはみ出した領域についての読取動作を許容することにより読取対象領域内に読取りの欠落部分を生じさせない読取領域にわたって読取動作を実行させて、読取領域内の画像を表す画像データを生成する画像データ生成部と、その画像データを記憶する第1の画像格納メモリと、画像データ生成部で生成された画像データから、上記読取対象領域内の画像を表わす画像データを抽出する画像抽出部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿の画像を読み取る画像読取装置、および、そのような画像読取装置を搭載した画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の原稿を取り込んで各原稿の画像を読み取る画像読取装置の中には、互いに異なるサイズの原稿が混在した複数の原稿それぞれの画像を読み取ることができる構成のものがある。このような画像読取装置は、取り込んだ原稿の幅と長さとからなるサイズを判定する機能を有している。
【0003】
例えば、原稿取込み時に原稿の幅を検出して、その検出結果から推定した原稿の長さの半分まで取り込んだ時点で、未取込み部分が有るか否かを判定することで原稿のサイズを判定する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−136030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、小型で画像の読取速度が速い画像読取装置、および、そのような画像読取装置を備えた画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の画像読取装置は、
画像が記録された原稿が、異なるサイズの原稿の混在を許して積層された状態に載置される原稿載置台と、
上記原稿載置台に載置された原稿を1枚ずつ順次に取り込んで搬送する原稿搬送機構と、
上記原稿搬送機構により搬送される原稿の移動方向に交わる幅方向に延び、上記原稿載置台から取り込まれて搬送されている途中の原稿上の画像を幅方向に繰り返し読み取る画像読取センサを有し、その画像読取センサに、原稿搬送機構により今回取り込まれた原稿上の読取対象領域からはみ出した領域についての読取動作を許容することにより読取対象領域内に読取りの欠落部分を生じさせない読取領域にわたって読取動作を実行させて、読取領域内の画像を表す画像データを生成する画像データ生成部と、
上記画像データ生成部で生成された上記読取領域内の画像を表す画像データを記憶する画像記憶部と、
上記画像記憶部に記憶された画像データから、上記読取対象領域内の画像を表わす画像データを抽出する画像抽出部とを有することを特徴とする。
【0007】
請求項2の画像読取装置は、請求項1の画像読取装置において、
上記画像データ生成部が、この画像読取装置で読取り可能な最大読取幅もしくは最大読取長さを有する読取領域にわたって読取動作を実行させて、その読取領域内の画像を表す画像データを生成するものであることを特徴とする。
【0008】
請求項3の画像読取装置は、請求項1の画像読取装置において、
上記画像搬送機構により取り込まれた原稿の移動経路上の、上記画像読取センサよりも上流側に配置された、原稿が上記幅方向のサイズに応じて分類される複数のグループのうちの今回取り込まれた原稿が属するグループを識別する原稿幅識別センサを備え、
上記画像データ生成部は、上記原稿幅識別センサによる識別を受けて、上記幅方向について原稿が属するグループに応じた読取領域内の画像を読み取らせるものであることを特徴とする。
【0009】
請求項4の画像読取装置は、請求項1の画像読取装置において、
上記画像搬送機構により取り込まれた原稿の移動経路上の、上記画像読取センサよりも上流側に配置された、原稿の後端の通過を検出する原稿通過検出センサを備え、
上記画像データ生成部は、上記原稿通過検出センサによる今回取り込まれた原稿の後端の通過の検出を受けて、上記画像読取センサに、原稿上の上記読取対象領域の上記移動方向後端まで読み取らせるものであることを特徴とする。
【0010】
請求項5の画像形成装置は、
画像が記録された原稿上の画像を読み取って原稿上の画像読取領域内の画像データを生成する画像読取部と、
上記画像読取部で生成された画像データに基づいて記録媒体上に画像を形成する画像形成部を備え、
上記画像読取部が、
画像が記録された原稿が、異なるサイズの原稿の混在を許して積層された状態に載置される原稿載置台と、
上記原稿載置台に載置された原稿を1枚ずつ順次に取り込んで搬送する原稿搬送機構と、
上記原稿搬送機構により搬送される原稿の移動方向に交わる幅方向に延び、上記原稿載置台から取り込まれて搬送されている途中の原稿上の画像を幅方向に繰り返し読み取る画像読取センサを有し、画像読取センサに、原稿搬送機構により今回取り込まれた原稿上の読取対象領域からはみ出した領域についての読取動作を許容することにより読取対象領域内に読取りの欠落部分を生じさせない読取領域にわたって読取動作を実行させて、読取領域内の画像を表す画像データを生成する画像データ生成部と、
上記画像データ生成部で生成された上記読取領域内の画像を表す画像データを記憶する画像記憶部と、
上記画像記憶部に記憶された画像データから、上記読取対象領域内の画像を表わす画像データを抽出する画像抽出部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の画像読取装置および請求項5の画像形成装置は、小型で画像の読取速度が速い。
【0012】
請求項2の画像読取装置によれば、読取領域のサイズが、画像読取装置で読取り可能な最大読取幅もしくは最大読取長さのサイズに固定されていない場合と比べて、画像抽出の制御が簡単なものとなる。
【0013】
請求項3の画像読取装置によれば、画像読取センサに常に全幅について読み取らせる場合に比べて、上記画像記憶部に複数枚分の画像データを記憶する際により多くの枚数の画像データが記憶される。
【0014】
請求項4の画像読取装置によれば、原稿上の読取対象領域の上記移動方向後端からはみ出した領域についても画像読取センサに読み取らせる場合に比べて画像の読取速度が速い。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】画像形成装置の一例としての複写機の外観斜視図である。
【図2】図1に外観を示す複写機の内部構成図である。
【図3】読取幅決定用センサと読取タイミング決定用センサの、移動経路と交わる方向の位置を示す模式図である。
【図4】図2に示す読取制御部の詳細を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の画像読取装置および画像形成装置の具体的な実施形態について、図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、画像形成装置の一例としての複写機の外観斜視図である。
【0018】
この複写機1は、画像読取部1Aと画像形成部1Bとを有する。
【0019】
画像読取部1Aが、本発明にいう画像読取装置の一例に相当するとともに、本発明の画像形成装置における画像読取部の一例にも相当する。また、画像形成部1Bが、本発明にいう画像形成部の一例に相当する。
【0020】
画像読取部1Aには、画像が記録された原稿が重ねられた状態に置かれる原稿載置台11が備えられている。ここで、本実施形態では、例えばA4サイズの原稿とA3サイズの原稿等といった異なるサイズの原稿が混在して積層された原稿群(ミックスサイズ原稿)の、この原稿載置台11への載置が許されている。この原稿載置台11が、本発明にいう原稿載置台の一例に相当する。
【0021】
この原稿載置台11上に置かれた原稿は1枚ずつ順次に取り込まれて搬送され、その原稿に記録されている画像が読み取られて原稿排紙台12上に排出される。尚、ここでは、原稿上の文字や図や写真等を総称して画像と称する。
【0022】
また、この画像読取部1Aは、奥側を左右に延びるヒンジを有し、そのヒンジを回転中心として、原稿載置台11および原稿排紙台12を一体的に持ち上げることができ、その下には、透明ガラス製の原稿読取板13(図2参照)が広がっている。この画像読取部1Aでは、原稿載置台11に原稿を置くことに代えて原稿読取板13上に原稿を1枚だけ下向きに置き、その原稿読取板13上の原稿から文字や画像を読み取ることもできる。
【0023】
この原稿読取板13の前側には、ユーザに向けて様々なメッセージを表示し、また、様々な操作ボタンを表示して、ユーザからの、原稿読取りや画像形成の指示等の操作を受ける表示操作部14が備えられている。
【0024】
この画像読取部1Aは、その全体が支持フレーム15により支持されている。
【0025】
また、画像形成部1Bには、その上面に、画像が形成された用紙が排出される排紙台21が設けられている。また、この画像形成部1Bの前面には、内部の、トナー容器等の部品の交換や搬送中に詰まった用紙の除去のために開けられる前カバー22を備えている。また、その下には、画像形成前の用紙が積み重ねられた状態に収容される引き出し型の3台の給紙台23_1,23_2,23_3が収容されている。
【0026】
また、この画像形成部1Bの左側面には、搬送中に詰まった用紙を取り除くときに開かれる横カバー24が設けられている。
【0027】
さらに、この画像形成部1Bの底面には、この画像形成部1Bを移動可能とする車輪251が取り付けられている。
【0028】
図2は、図1に外観を示す複写機の内部構成図である。
【0029】
透明ガラス製の原稿読取板13の下には、原稿読取光学系30が配備されている。この原稿読取光学系30は、第1ブロック31と、第2ブロック32と、CCD(Charge Coupled Device)33とを有する。第1ブロック31は、LED(Light Emitting Diode)311とミラー312とを有する。第1ブロック31は、2枚のミラー321,322を有する。CCD33は、後述するように搬送される原稿Sの移動方向に交わる幅方向に延び、その搬送途中の原稿S上の画像をその幅方向に繰り返し読み取って画像信号を生成する。本実施形態では、CCD33が、本発明にいう画像読取センサの一例に相当する。
【0030】
第1ブロック31と第2ブロック32は、原稿読取板13に沿って矢印A−A’方向に移動可能であり、初期状態では、図2に示す左寄りの位置にある。
【0031】
原稿載置台11上に置かれた原稿Sは、原稿読取板13に接する移動経路17上に複数配列された搬送ローラ16によって1枚ずつ取り込まれる。そして、原稿Sは、搬送ローラ16により移動経路17上を搬送される。原稿Sは、原稿読取板13に接して搬送される際にLED311により照射され、原稿Sからの反射光がミラー312,321,322で反射されてCCD33で幅方向に読み取られる。このCCD33によって、その原稿Sに記録されていた画像を表わすアナログの画像信号が生成される。LED311による照射を受けた原稿Sはさらに搬送されて原稿排紙台12上に送り出される。
【0032】
原稿が原稿読取板13上に置かれたときは、第1ブロック31および第2ブロック32が、原稿読取板13上の原稿の読取位置とCCD33との間の光学的な距離を常に同一に保つように矢印A方向に移動する。そして、その間、LED311が原稿を照射し、CCD33でその原稿上の画像が読み取られてアナログの画像信号が生成される。
【0033】
CCD33で得られたアナログの画像信号は読取制御部100に入力される。CCD33で得られた画像信号はR(レッド)、G(グリーン)、およびB(ブルー)の各色を表わす画像信号である。読取制御部100は、このRGBの画像信号をY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、およびK(黒)の4色分からなるディジタルの画像データに変換して一時的に記憶する。そして、そのディジタルの画像データが、後述する潜像形成のための露光の時期に合わせて露光制御部41に送信される。
【0034】
ここで、画像読取部1Aには、原稿読取光学系30が画像の読取動作を行う領域(読取領域)の、原稿Sの移動方向に交わる幅(読取幅)を読取制御部100で決定するために、その原稿Sの通過を検出する読取幅決定用センサ18が備えられている。本実施形態では、読取領域は、原稿S上の読み取られるべき領域である読取対象領域内に読取りの欠落部分を生じさせないように決定される。本実施形態では、この読取対象領域として、原稿Sの4辺それぞれから2mm内側の4辺で囲まれた四角形領域が採用されている。
【0035】
尚、この読取対象領域は、このような四角形領域に限るものではなく、例えば原稿S上の全領域であっても良い。
【0036】
読取幅決定用センサ18は、移動経路17上の、原稿Sの取込み口1A_1の内側近傍に、移動経路17と交わる方向に3個配列されている。
【0037】
また、画像読取部1Aには、原稿読取光学系30による読取りの開始タイミングおよび終了タイミングを決定するための読取タイミング決定用センサ19が備えられている。
【0038】
読取タイミング決定用センサ19は、移動経路17上の、読取幅決定用センサ18よりも下流側で、原稿読取光学系30における第1ブロック31よりも上流側に1個配置されている。
【0039】
本実施形態では、読取幅決定用センサ18は、原稿Sが取り込まれた直後の検出のために原稿Sの取込み口1A_1の内側近傍に配置されていることが望ましい。しかしながら、この読取幅決定用センサ18の配置位置は、原稿読取光学系30における第1ブロック31よりも上流側であればどの位置であっても良い。また、読取タイミング決定用センサ19は、読取タイミングを正確に検出するために第1ブロック31の近傍に配置されることが望ましい。しかしながら、この読取タイミング決定用センサ19の配置位置も、第1ブロック31の上流側であればどの位置であっても良い。
【0040】
図3は、読取幅決定用センサと読取タイミング決定用センサの、移動経路と交わる方向の位置を示す模式図である。
【0041】
図3には、画像読取部1Aの上面図が、画像読取部1Aの内部に配置されている読取幅決定用センサ18および読取タイミング決定用センサ19とともに示されている。
【0042】
また、この図3には、原稿載置台11上に載置可能な原稿のサイズと、各原稿が原稿載置台11上でとり得る姿勢が示されている。
【0043】
本実施形態では、原稿載置台11上には、A3サイズ、B4サイズ、A4サイズ、B5サイズ、およびA5サイズの原稿が載置可能である。また、A3サイズおよびB4サイズの原稿については、図中の横方向が原稿の長手方向となる横姿勢のみとり得る。一方、A4サイズ、B5サイズ、およびA5サイズの原稿については、上記の横姿勢と、図中の縦方向が原稿の長手方向となる縦姿勢とのいずれの姿勢もとり得る。
【0044】
本実施形態の原稿載置台11では、この原稿載置台11の図中の左上隅に原稿Sの左上の角が沿うように原稿Sが載置される。そして、原稿載置台11には、原稿載置台11の右上隅に固定された側壁11aと、移動経路17に交わる方向にユーザによってスライド移動されるタンパ11bとを備えている。タンパ11bは、ユーザによって、ミックスサイズ原稿のうち縦方向の幅が最大の原稿Sの図中下側の一辺に沿う位置にスライド移動される。ミックスサイズ原稿のうち他の原稿Sは、原稿載置台11の図中左上隅に原稿Sの左上の角が沿うようにユーザによって揃えられる。
【0045】
尚、本実施形態では、本発明にいう原稿載置台の一例として、原稿Sの図中下側に沿う1つのタンパ11bを備えた原稿載置台11を例示している。しかしながら、本発明にいう原稿載置台はこれに限るものではない。本発明にいう原稿載置台は、例えば、原稿を、図中の上下方向に挟む2つのタンパを備えた原稿載置台であっても良い。また、本発明にいう原稿載置台は、例えば、このようなタンパを備えず、原稿の載置位置が、ユーザの置き方に任せられる台であっても良い。
【0046】
本実施形態では、読取幅決定用センサ18は、移動経路17と交わる方向に配列された第1センサ18_1、第2センサ18_2、および第3センサ18_3を有している。
【0047】
第1センサ18_1は、原稿載置台11上に載置可能ないずれのサイズの原稿が横姿勢および縦姿勢のどの姿勢で取り込まれても、その原稿が通過する位置に配置されている。
【0048】
第2センサ18_2は、画像読取部1Aに取り込まれた横姿勢のA4サイズ、横姿勢のB4サイズ、横姿勢のA3サイズ、縦姿勢のA5サイズ、縦姿勢のB5サイズ、および縦姿勢のA4サイズの原稿が通過する位置に配置されている。
【0049】
第3センサ18_3は、画像読取部1Aに取り込まれた横姿勢のA3サイズおよび縦姿勢のA4サイズの原稿が通過する位置に配置されている。
【0050】
各センサは、今回取り込まれた原稿Sが、そのセンサの位置を通過している間中、原稿通過中を示す信号を出力する。各センサの出力信号は、図2に示す読取制御部100に入力される。
【0051】
本実施形態では、横姿勢のA5サイズおよび横姿勢のB5サイズの原稿が取り込まれると、第1センサ18_1のみが原稿通過中を示す信号を出力する。このように、読取幅決定用センサ18のうちの第1センサ18_1のみが原稿通過中を示す信号を出力するグループの原稿を第1グループの原稿と呼ぶ。即ち、ここでは、横姿勢のA5サイズおよび横姿勢のB5サイズの原稿を第1グループの原稿と呼ぶ。
【0052】
また、この第1センサ18_1は、原稿載置台11から原稿が取り込まれたことを認識するセンサとしても機能する。即ち、新たな原稿の取込み動作を開始した後一定時間経過しても第1センサ18_1から原稿通過中を示す信号の出力がないときは、原稿載置台11上に新たな原稿は存在しないものと判定され原稿取込み動作を終了する。
【0053】
横姿勢のA4サイズ、横姿勢のB4サイズ、縦姿勢のA5サイズ、および縦姿勢のB5サイズの原稿が取り込まれると、第1センサ18_1および第センサ18_2の双方が原稿通過中を示す信号を出力する。このように、読取幅決定用センサ18のうちの第1センサ18_1および第センサ18_2の双方が原稿通過中を示す信号を出力するグループの原稿を第1グループの原稿と呼ぶ。即ち、ここでは、横姿勢のA4サイズ、横姿勢のB4サイズ、縦姿勢のA5サイズ、および縦姿勢のB5サイズの原稿を第2グループの原稿と呼ぶ。
【0054】
また、横姿勢のA3サイズおよび縦姿勢のA4サイズの原稿が取り込まれると、第1センサ18_1、第2センサ18_2、および第3センサ18_3の全てが原稿通過中を示す信号を出力する。このように、読取幅決定用センサ18のうちの第1センサ18_1、第2センサ18_2、および第3センサ18_3の全てが原稿通過中を示す信号を出力するグループの原稿を第1グループの原稿と呼ぶ。即ち、ここでは、横姿勢のA3サイズおよび縦姿勢のA4サイズの原稿を第3グループの原稿と呼ぶ。
【0055】
このように、第1センサ18_1、第2センサ18_2、および第3センサ18_3を有する読取幅決定用センサ18によって、上記の第1グループ、第2グループ、および第3グループのうち、今回取り込まれた原稿の属するグループが識別される。この読取幅決定用センサ18が、本発明にいう画像幅識別センサの一例に相当する。
【0056】
そして、読取制御部100では、読取幅決定用センサ18による識別を受けて、今回取り込まれた原稿についての読取幅が次のように決定される。
【0057】
まず、今回取り込まれた原稿の属するグループが第1グループであった場合、第1グループに属する原稿のうち幅方向の寸法が最大となる横姿勢のB5サイズの原稿の読取対象領域の幅方向の寸法が読取幅に決定される。
【0058】
また、今回取り込まれた原稿の属するグループが第2グループであった場合、第2グループに属する原稿のうち幅方向の寸法が最大となる横姿勢のB4サイズあるいは縦姿勢のB5サイズの原稿の読取対象領域の幅方向の寸法が読取幅に決定される。
【0059】
ここで、第3グループに属する横姿勢のA3サイズの原稿と縦姿勢のA4サイズの原稿は、幅方向の寸法が互いに同じである。今回取り込まれた原稿の属するグループが第3グループであった場合には、横姿勢のA3サイズの原稿の読取対象領域の幅方向の寸法が読取幅に決定される。
【0060】
次に、読取タイミング決定用センサ19について説明する。
【0061】
読取タイミング決定用センサ19は、上述したように移動経路17に交わる方向について、原稿載置台11上に載置可能ないずれのサイズの原稿が横姿勢および縦姿勢のいずれの姿勢で取り込まれても、その原稿が通過する位置に配置されている。読取タイミング決定用センサ19も、今回取り込まれた原稿が、読取タイミング決定用センサ19の位置を通過している間中、原稿通過中を示す信号を出力する。読取タイミング決定用センサ19の出力信号は、図2に示す読取制御部100に入力される。
【0062】
読取制御部100は、この読取タイミング決定用センサ19の出力信号が入力された後、予め決められた第1の時間間隔が経過した時点を、原稿読取光学系30による読取りの開始タイミングに決定する。
【0063】
本実施形態では、第1の時間間隔として、読取タイミング決定用センサ19の位置を原稿の移動方向前端が通過してから、その原稿の前端から2mm内側が原稿読取光学系30による読取り位置に達するまでの時間間隔が採用されている。これにより、読取制御部100は、搬送されてきた原稿の読取対象領域の前端が、第1ブロック31の位置に達した時点に、原稿読取光学系30に読取りを開始させることとなる。
【0064】
そして、読取制御部100は、原稿読取光学系30に、上記のように決定した読取幅内の読取りを繰り返させる。
【0065】
さらに、読取制御部100は、この読取タイミング決定用センサ19の出力信号の入力が途絶えた後、予め決められた第2の時間間隔が経過した時点を、原稿読取光学系30による読取りの終了タイミングに決定する。
【0066】
本実施形態では、第2の時間間隔として、読取タイミング決定用センサ19の位置を原稿の移動方向後端が通過してから、その原稿の後端から2mm内側が原稿読取光学系30による読取り位置に達するまでの時間間隔が採用されている。これにより、読取制御部100は、搬送されてきた原稿の読取対象領域の後端が、第1ブロック31の位置に達した時点に、原稿読取光学系30に読取りを終了させることとなる。
【0067】
このように、本実施形態では、原稿の読取対象領域の後端が、原稿読取光学系30による読取位置に達すると読取りが終了する。本実施形態の画像読取部1Aは、読取対象領域の後端からはみ出した領域についても原稿読取光学系30に読取りを続行させる画像読取部に比べて画像の読取速度が速い。
【0068】
尚、本実施形態では、今回取り込まれた原稿の読取対象領域の後端までで読取りが終了する。しかしながら、本発明ではこれに限るものではない。読取速度が多少遅くても良い場合には、今回取り込まれた原稿について識別されたグループ内の原稿のうち幅方向の寸法が最大となる原稿の読取対象領域の後端まで読取を行っても良い。
【0069】
本実施形態では、読取制御部100で決定された読取幅は、今回取り込まれた原稿について識別されたグループ内の原稿のうち幅方向の寸法が最大となる原稿の読取対象領域の幅方向の寸法となっている。
【0070】
このため、今回取り込まれた原稿の幅方向の寸法が、その原稿について識別されたグループ内の原稿のうち幅方向の寸法が最大となる原稿の幅方向の寸法と同じ場合、その原稿の読取対象領域と、実際に読み取られた読取領域が一致する。
【0071】
具体的には、今回取り込まれた原稿が、横姿勢のB5サイズ、横姿勢のB4サイズ、横姿勢のA3サイズ、縦姿勢のB5サイズ、および縦姿勢のA4サイズの原稿の場合、その原稿の読取対象領域と、実際に読み取られた読取領域が一致する。
【0072】
一方、今回取り込まれた原稿の幅方向の寸法が、その原稿について識別されたグループ内の原稿のうち幅方向の寸法が最大となる原稿の幅方向の寸法と異なる場合、その原稿の読取対象領域と、実際に読み取られた読取領域は不一致となる。
【0073】
具体的には、今回取り込まれた原稿が、横姿勢のA5サイズ、横姿勢のA4サイズ、縦姿勢のA5サイズの原稿の場合、その原稿の読取対象領域と、実際に読み取られた読取領域は、長さ方向については一致するが幅方向については不一致となる。これらの場合、幅方向については、原稿の読取対象領域からはみ出した領域についても読取りが行われる。
【0074】
今回取り込まれた原稿が横姿勢のA5サイズの原稿である場合の読取幅は、横姿勢のB5サイズの原稿の読取対象領域の幅方向の寸法となる。また、今回取り込まれた原稿が横姿勢のA4サイズあるいは縦姿勢のA5サイズの原稿である場合の読取幅は、横姿勢のB4サイズの原稿の読取対象領域の幅方向の寸法となる。
【0075】
このように、本実施形態では、読取対象領域から幅方向にはみ出した領域についての読取動作が許容されている。これにより、どのような姿勢とサイズの原稿が取り込まれても、その原稿上の読取対象領域内に読取りの欠落部分が生じないこととなる。
【0076】
ここで、この複写機1の画像形成部1Bでの画像形成に必要な画像データは、あくまでも原稿上の読取対象領域内の画像を表す画像データである。
【0077】
このため、原稿読取光学系30によって読み取られた読取領域が、読取対象領域から幅方向にはみ出した領域を含んでいる場合には、その読取りで得られた画像信号が変換された画像データから読取対象領域内の画像を表す画像データを抽出する必要がある。そのためには、読取制御部100は、今回取り込まれた原稿の姿勢とサイズを把握する必要がある。本実施形態では、読取制御部100は、この原稿の姿勢とサイズを、読取タイミング決定用センサ19からの信号の出力期間に基づいて決定する。
【0078】
上述したように読取タイミング決定用センサ19は、その読取タイミング決定用センサ19の位置を原稿が通過している間中、原稿通過中を示す信号を出力し続ける。ここで、図3に示されているように、原稿の、移動方向の寸法は、その原稿の姿勢とサイズ(A4、B5等)によって異なっている。つまり、読取タイミング決定用センサ19からの信号の出力期間は、原稿の姿勢とサイズに応じた固有の値となる。
【0079】
本実施形態では、不図示のメモリ内に、例えば横姿勢のA5サイズ等といった姿勢とサイズに、その姿勢とサイズの原稿が取り込まれたときの読取タイミング決定用センサ19からの信号の出力期間が対応付けられた対応表が記憶されている。読取制御部100は、この対応表を参照することで、今回取り込まれた原稿の姿勢とサイズを把握する。
【0080】
そして、読取制御部100は、原稿読取光学系30の読取りで得られた画像信号が変換された画像データから、上記のように把握した姿勢とサイズの原稿の読取対象領域内の画像を表す画像データを抽出する。
【0081】
以上で、読取幅決定用センサ18と読取タイミング決定用センサ19とについての説明を終了し、図2に戻って画像形成部1Bについて説明する。尚、画像読取部1Aを構成する読取制御部100については、後で別図を参照して詳細に説明する。
【0082】
この画像形成部1Bには露光器42が備えられており、潜像形式にあたっては、露光制御部41から露光器42にYMCK各色の画像データが送り込まれる。そして、露光器42から、YMCKの各画像データにより変調された各露光光421Y,421M,421C,421Kが発せられる。
【0083】
また、この図2には、露光制御部41に隣接した位置に主制御部40が示されている。この主制御部40は、マイクロコンピュータと、そのマイクロコンピュータで実行されるプログラムとで構成されている。主制御部40は、露光制御部41、表示操作部14(図1参照)、読取制御部100、その他図示しない各種電源回路や駆動回路等に接続され、この複写機1の全体の制御を担っている。
【0084】
画像形成部1Bの下部には、前述した3台の給紙台23_1,23_2,23_3が左右の案内レール24_1,24_2,24_3に支持されて収容されている。各給紙台23_1,23_2,23_3には、用紙Pが積み重なった状態に収容されている。各給紙台23_1,23_2,23_3は、用紙Pの補給のために、案内レール24_1,24_2,24_3に案内されて引出し自在に構成されている。
【0085】
それら3台の給紙台23_1,23_2,23_3のうちの、表示操作部14(図1参照)の操作等により指定された給紙台(ここでは一例として給紙台23_1とする)からは、用紙Pがピックアップロール25により送り出される。送り出された用紙Pは、さばきロール26により1枚ずつに分離される。分離された1枚の用紙Pは、搬送ロール27により上方に搬送される。そして、待機ロール28によりそれ以降の搬送のタイミングが調整されて、さらに上方に搬送される。この待機ロール28以降の用紙の搬送については後述する。
【0086】
この画像形成部1Bの中央部分には、YMCKの各色のトナーによるトナー像を形成する4つの像形成ユニット50Y,50M,50C,50Kが配置されている。これら4つの像形成ユニット50Y,50M,50C,50Kは、使用するトナーの色が異なることを除き、互いに同一の構成を有するため、ここでは像形成ユニット50Yを取り挙げてその構成を説明する。
【0087】
この像形成ユニット50Yは、図2に矢印Bで示す向きに回転する感光体51を有し、その感光体51の周囲に、帯電器52、現像器53、およびクリーナ55が配置されている。また、後述する中間転写ベルト61を感光体51との間に挟んだ位置には、転写器54が置かれている。
【0088】
感光体51はロール形状を有し、帯電により電荷を保持し露光によりその電荷を放出してその表面に静電潜像を保持する。
【0089】
帯電器52は、感光体51の表面をある帯電電位に帯電する。
【0090】
また、この画像形成部1Bは、前述した露光器42を有する。この露光器42には、露光制御部41から画像データが入力され、その入力された画像データに応じて変調された露光光421Y,421M,421C,421Kを出力する。感光体51は、帯電器52による帯電を受けた後、露光器42からの露光光421Yの照射を受け、感光体51の表面に静電潜像が形成される。
【0091】
感光体51は、露光光421Yの照射を受けて表面に静電潜像が形成された後、現像器53により現像され、その感光体51の表面にトナー像(この像形成ユニット50Yではイエロー(Y)のトナーによるトナー像)が形成される。
【0092】
現像器53は、内部にトナーとキャリアとからなる現像剤を収容したケース531内に、現像剤を攪拌する2本のオーガ532_1,532_2と、現像剤を感光体51に対向した位置に運ぶ現像ロール533とを有する。感光体51上に形成された静電潜像の現像にあたっては、現像ロール533にバイアス電圧が印加される。そして、そのバイアス電圧の作用により、現像剤中のトナーが、感光体51上に形成された静電潜像に従って感光体51上に付着し、トナー像が形成される。
【0093】
現像器53による現像により感光体51上に形成されたトナー像は、転写器54の作用により中間転写ベルト61上に転写される。
【0094】
この転写後に感光体51上に残存するトナーは、クリーナ55によって感光体51上から取り除かれる。
【0095】
中間転写ベルト61は、複数のロール62に架け回された、無端の、矢印C方向に循環移動するベルトである。
【0096】
像形成ユニット50Y,50M,50C,50Kのそれぞれで形成された各色トナーによるトナー像は、順次重なるように中間転写ベルト61上に転写され、転写器63が配置された二次転写位置に搬送される。これと同期して、待機ロール28にまで搬送されてきていた用紙が二次転写位置に搬送され、転写器63の作用により、中間転写ベルト61上のトナー像が、搬送されてきた用紙上に転写される。このトナー像の転写を受けた用紙は、さらに搬送され、定着器64による加圧および加熱により用紙上のトナー像がその用紙上に定着され、定着されたトナー像からなる画像が用紙上に形成される。画像が形成された用紙はさらに搬送され、排出ローラ65により、排紙台21上に排出される。
【0097】
転写器63によりトナー像を用紙上に転写した後の中間転写ベルト61はさらに循環移動し、その表面に残存するトナーがクリーナ66によって中間転写ベルト61上から取り除かれる。
【0098】
また、画像形成部1Bの、中間転写ベルト61よりも上方には容器装着部29Y,29M,29C,29Kが設けられている。これらの容器装着部29Y,29M,29C,29Kには、イエロー(Y)、マゼンタ(M),シアン(C)、および黒(K)の各色トナーを収容するトナー容器67Y,67M,67C,67Kが装着されている。これらのトナー容器67Y,67M,67C,67Kに収容されている各色トナーは、対応する各現像器53におけるトナーの消費量に応じて各現像器53に補給される。
【0099】
複写機1は、概略、以上に説明した構成を有している。
【0100】
次に、画像読取部1Aが備える読取制御部100について詳細に説明する。
【0101】
図4は、図2に示す読取制御部の詳細を示すブロック図である。
【0102】
読取制御部100は、CPU101を備えている。このCPU101は、この複写機1の全体の制御を担う主制御部40(図2参照)と通信を行いながら、画像読取部1Aの全体の制御を担っている。上述した読取幅決定用センサ18および読取タイミング決定用センサ19はCPU101に接続され、読取幅決定用センサ18の出力信号および読取タイミング決定用センサ19の出力信号は、このCPU101に入力される。
【0103】
そして、今回取り込まれた原稿についての読取幅の上述した決定処理が、読取幅決定用センサ18の出力信号に基づいてCPU101で実行される。
【0104】
また、今回取り込まれた原稿についての上述した読取開始タイミングと読取終了タイミングの決定処理が、読取タイミング決定用センサ19の出力信号に基づいてCPU101で実行される。
【0105】
さらに、今回取り込まれた原稿の姿勢とサイズが、読取タイミング決定用センサ19の出力信号に基づいて上述したようにCPU101で把握される。
【0106】
このCPU101は、以下に説明する読取制御部100の各構成要素にバス112を介して接続されている。
【0107】
読取制御部100は、LED駆動回路102およびCCD駆動回路103を備えている。
【0108】
LED駆動回路102は、CPU101の制御下で、上記の読取開始タイミングから読取終了タイミングまでの間LED311を点灯する。CCD駆動回路103は、CPU101の制御下で、その期間中CCD33による読取りを実行させる。
【0109】
また、読取制御部100は、アナログ処理回路104、AD変換回路105、シェーディング補正回路106、および出力遅延回路107を備えている。
【0110】
アナログ処理回路104には、CCD33で得られたRGB各色を表わす画像信号が入力される。アナログ処理回路104は、CPU101の制御下で、これらの画像信号に対し増幅処理等のアナログ処理を実行する。AD変換回路105は、アナログ処理回路104によってアナログ処理が施された画像信号に対してAD変換を施し、RGB各色を表わすデジタルの画像データを生成する。シェーディング補正回路106は、RGB各色の画像データが表す画像に対して、明るさのムラを補正するいわゆるシェーディング補正を施す。また、出力遅延回路107は、1つの画素についてのRGB各色の画像データが、その1つの画素の画像データとして認識されるように、GB各色の画像データの出力タイミングを遅らせてRの画像データの出力タイミングに合わせる遅延処理を実行する。
【0111】
CPU101、LED駆動回路102、CCD駆動回路103、アナログ処理回路104、AD変換回路105、シェーディング補正回路106、および出力遅延回路107を合わせたものが、本発明にいう画像データ生成部の一例に相当する。
【0112】
読取制御部100は、第1の画像格納メモリ108を備えており、出力遅延回路107による遅延処理を経た、読取領域内の画像を表すRGB各色の画像データが、この第1の画像格納メモリ108に記憶される。この第1の画像格納メモリ108には、今回の読取りで得られたRGB各色の画像データが、その画像データから後述するように変換されたYMCK各色の画像データが画像形成部1Bに送られるまで保管される。第1の画像格納メモリ108にRGB各色の画像データが保管中に、次の読取りによって新たな画像データが生成されると、その画像データが追加保管される。第1の画像格納メモリ108が、本発明にいう画像記憶部の一例に相当する。
【0113】
ここで、本実施形態では、上述したように、今回取り込まれた原稿についての読取幅がCPU101で決定され、読取りは、その決定された読取幅内で実行される。
【0114】
この読取りで得られる画像信号から変換された画像データのデータ量は、例えば、その読取幅をはみ出した領域についてまで読取が行われる場合に得られる画像データのデータ量に比べて少ない。その結果、第1の画像格納メモリ108における、一枚分の読取りの際に占有される領域が抑えられる。このため、本実施形態では、読取幅をはみ出した領域についてまで読取が行われる場合に比べて、第1の画像格納メモリ108により多くの枚数の画像データが保管可能となっている。
【0115】
CPU101は、第1の画像格納メモリ108に記憶されたRGB各色の画像データから、上記のように把握された姿勢とサイズの原稿の読取対象領域内の画像を表すRGB各色の画像データを抽出する。
【0116】
上記のように、今回取り込まれた原稿が、横姿勢のB5サイズ、横姿勢のB4サイズ、横姿勢のA3サイズ、縦姿勢のB5サイズ、および縦姿勢のA4サイズの原稿の場合、その原稿の読取対象領域と、実際に読み取られた読取領域とが一致する。このため、CPU101は、これらの場合の原稿については、第1の画像格納メモリ108に記憶されたRGB各色の画像データをそのまま読み出す。
【0117】
一方、今回取り込まれた原稿が、横姿勢のA5サイズ、横姿勢のA4サイズ、縦姿勢のA5サイズの原稿の場合、その原稿の読取対象領域と、実際に読み取られた読取領域とは、長さ方向については一致するが、幅方向については不一致となる。このため、CPU101は、この場合の原稿については、第1の画像格納メモリ108に記憶されたRGB各色の画像データから読取対象領域内の画像を表すRGB各色の画像データを抽出する。
【0118】
ここで、本実施形態では、横姿勢のA5サイズ、横姿勢のA4サイズ、縦姿勢のA5サイズそれぞれの原稿について、読取対象領域に相当する画素範囲が、不図示のメモリに記憶されている。CPU101は、上記のように把握した姿勢とサイズの原稿の読取対象領域に相当する画素範囲を、この不図示のメモリの記憶内容を参照することで把握する。そして、CPU101は、第1の画像格納メモリ108に記憶されたRGB各色の画像データから、その把握した画素範囲内の画像データを抽出する。
【0119】
CPU101が、本発明にいう画像抽出部の一例に相当する。
【0120】
この画像データの抽出により、原稿載置台11に載置可能な如何なる原稿が取り込まれても、その原稿から読み取るべき読取対象領域内の画像を表す画像データが得られる。
【0121】
ここで、本実施形態と対比される比較例について説明する。
【0122】
取り込まれた原稿について読取対象領域内の画像を表す画像データを得る方法として、本実施形態のような画像データの抽出の他に、比較例として次のような2つの方法が考えられる。
【0123】
第1の方法は、今回取り込まれた原稿の姿勢とサイズ、ひいてはその原稿の読取対象領域を、原稿読取光学系30が読取りを開始する前に確定しておき、その読取対象領域を読取領域として原稿読取光学系30に画像を読み取らせるという方法である。この第1の方法では、本実施形態における読取幅決定用センサ18および読取タイミング決定用センサ19と同等なセンサの検出結果に基づいて原稿の読取対象領域が確定される。
【0124】
ただし、第1の方法では、読取対象領域を原稿読取光学系30が読取りを開始する前に確定するために、読取対象領域の確定までは原稿の先端が読取り位置に達しない、十分な長さの長さの移動経路がセンサと読取位置との間に必要となる。
【0125】
本実施形態では、読取対象領域からはみ出した領域を含む広い読取領域についての読取動作が許容されており、読取対象領域内の画像を表す画像データの取得は、読取りで得られた画像データからの抽出によって行われる。このため、本実施形態では、読取対象領域の確定前に、原稿の先端が読取り位置に到達するようになっている。本実施形態の画像読取部1Aは、原稿読取光学系30が読取りを開始する前に読取対象領域を確定する第1の方法が採用された画像読取部に比べて移動経路が短くて済み小型である。
【0126】
比較例としての第2の方法は、読取対象領域の確定前に原稿の読取りが開始されるが、その読取開始後に確定された読取対象領域が読取時の読取領域と不一致のときには、原稿の読取りをやり直すという方法である。この第2の方法では、原稿の読取りが2回以上繰り返される場合がある。
【0127】
本実施形態では、読取対象領域からはみ出した領域を含む広い読取領域についての読取動作が許容されており、原稿の読取りが1回で済む。本実施形態の画像読取部1Aは、読取対象領域が読取領域と不一致のときに原稿の読取りをやり直す第1の方法が採用された画像読取部に比べて読取速度が速い。
【0128】
読取制御部100は、さらに、画像検知回路109、画像処理回路110、および第2の画像格納メモリ111を備えている。
【0129】
CPU101によって上記のように抽出された、読取対象領域内の画像を表すRGB各色の画像データは、画像検知回路109および画像処理回路110のそれぞれに送られる。画像検知回路109は、送られてきた画像データに基づいて、その画像データが表す画像について、原稿の用紙それ自体の色である地色を検知する地色検知処理を実行する。また、画像検知回路109は、送られてきた画像データに基づいて、その画像データが表す画像がカラー画像であるか白黒画像であるかを判定するカラー/白黒判定処理も行う。地色検知処理の検知結果およびカラー/白黒判定処理の判定結果は、画像処理回路110に送られる。
【0130】
画像処理回路110は、送られてきたRGB各色の画像データを、YMCK各色の画像データに変換する色変換処理が行われる。この色変換処理には、画像検知回路109から送られてきた地色検知処理の検知結果およびカラー/白黒判定処理の判定結果が使われる。
【0131】
ここで、本実施形態では、画像形成部1Bでは、ミックスサイズ原稿をなす、サイズが互いに異なる複数の原稿それぞれについての読取りで得られた画像データが表す画像を、ユーザ指示があった場合には、横姿勢のA4サイズの用紙上に形成する。
【0132】
このため、画像処理回路110は、ユーザ指示があって、且つ、画像データが、縦姿勢の原稿の読取対象領域内の画像を表している場合には、その画像データを、その画像データが表す画像を90°回転した画像を表す画像データに変換する回転処理を行う。
【0133】
また、画像処理回路110は、画像データが、A4サイズよりも大サイズの原稿の読取対象領域内の画像を表している場合には、その画像データを、その画像データが表す画像をA4サイズに縮小した画像を表す画像データに変換する縮小処理を行う。また、この縮小処理では、送られてきた画像データから、縮小比率に応じたデータ量の画像データを間引く間引き処理も行われる。
【0134】
また、画像処理回路110は、画像データが、A4サイズよりも小サイズの原稿の読取対象領域内の画像を表している場合には、その画像データを、その画像データが表す画像をA4サイズに拡大した画像を表す画像データに変換する拡大処理を行う。
【0135】
画像処理回路110での各種処理を経たYMCK各色の画像データは、第2の画像格納メモリ111に格納される。
【0136】
尚、本実施形態では、抽出前のRGB各色の画像データが格納される第1の画像格納メモリ108と、抽出後のYMCK各色の画像データが格納される第2の画像格納メモリ111とを個別に設けた形態を例示している。しかしながら、抽出前のRGB各色の画像データの格納先と抽出後のYMCK各色の画像データの格納先は、1つのメモリ上の互いに異なる2つの格納領域であっても良い。
【0137】
また、本実施形態では、抽出後のYMCK各色の画像データが格納される第2の画像格納メモリ111が、画像読取部1A側に設けられている形態を例示している。しかしながら、抽出後のYMCK各色の画像データが格納される第2の画像格納メモリ111は、画像形成部1B側に設けても良い。
【0138】
CPU101は、この第2の画像格納メモリ111からYMCK各色の画像データが読み出し、図2に示す画像形成部1Bにおける、上述した潜像形成のための露光の時期に合わせて露光制御部41に送信する。そして、画像形成部1Bにおいて、その送信されてきたYMCK各色の画像データに基づいて用紙P上に画像が形成される。
【0139】
また、本実施形態では、本発明の画像読取装置の一実施形態として、複写機に備えられている画像読取部1Aを例示しているが、本発明の画像読取装置は複写機に備えられている画像読取部に限るものではない。本発明の画像読取装置は、例えば画像読取用のスキャナや、ファクシミリに備えられている画像読取部等であっても良い。
【0140】
また、本実施形態では、本発明の画像形成装置の一実施形態として、複写機を例示しているが、本発明の画像形成装置は複写機に限るものではない。本発明の画像形成装置は、例えばファクシミリ等であっても良い。
【0141】
また、本実施形態では、画像の読取りを指示するにあたり読取幅を求める。しかしながら、本発明ではこれに限るものではない。本発明にいう画像データ生成部は、例えば、画像読取装置で読取り可能な最大読取幅にわたる読取りを無条件に指示するものであっても良い。
【0142】
また、本実施形態では、今回取り込まれた原稿について読取幅を決定するにあたり、原稿の通過を検出するセンサでの検出結果を用いている。しかしながら、本発明ではこれに限るものではない。本発明にいう画像データ生成部は、例えば、タンパ11b(図3参照)の位置を検出するセンサを備えてその検出結果に基づいて読取幅を決定するものであっても良い。
【0143】
また、本実施形態では、今回取り込まれた原稿について読取幅を決定して読取りを行い、さらに、原稿の姿勢とサイズを把握して、その姿勢とサイズに対応した読取対象領域内の画像を表す画像データを抽出する形態を例示している。しかしながら、本発明の画像読取装置は、この形態に限るものではない。本発明の画像読取装置は、読取幅については画像形成装置で読取り可能な最大読取幅で読取りを行い、画像読取センサを用い、原稿と背景との濃度差から原稿の幅もしくは長さを決定し、画像抽出を行うものであっても良い。
【0144】
また、本実施形態では、読取対象領域内の画像を表す画像データを抽出するにあたり、原稿の通過を検出するセンサの検出結果を用いている。しかしながら、本発明ではこれに限るものではない。本発明にいう画像抽出部は、例えば画像解析によって画像データを抽出するものであっても良い。
【符号の説明】
【0145】
1 複写機
1A 画像読取部
1A_1 取込み口
1B 画像形成部
11 原稿載置台
11a 側壁
11b タンパ
12 原稿排紙台
13 原稿読取板
14 表示操作部
15 支持フレーム
16 搬送ローラ
17 移動経路
18 読取幅決定用センサ
18_1 第1センサ
18_2 第2センサ
18_3 第3センサ
19 読取タイミング決定用センサ
100 読取制御部
101 CPU
102 LED駆動回路
103 CCD駆動回路
104 アナログ処理回路
105 AD変換回路
106 シェーディング補正回路
107 出力遅延回路
108 第1の画像格納メモリ
109 画像検知回路
110 画像処理回路
111 第2の画像格納メモリ
112 バス
21 排紙台
22 前カバー
23_1,23_2,23_3 給紙台
24 横カバー
24_1,24_2,24_3 案内レール
25 ピックアップロール
26 さばきロール
27 搬送ロール
28 待機ロール
29Y,29M,29C,29K 容器装着部
251 車輪
30 原稿読取光学系
31 第1ブロック
311 LED
312 ミラー
32 第2ブロック
33 CCD
40 主制御部
41 露光制御部
42 露光器
421Y,421M,421C,421K 露光光
50Y,50M,50C,50K 像形成ユニット
51 感光体
52 帯電器
53 現像器
531 ケース
532_1,532_2 オーガ
533 現像ロール
54,63 転写器
55,66 クリーナ
61 中間転写ベルト
62 複数のロール
64 定着器
65 排出ローラ
67Y,67M,67C,67K トナー容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像が記録された原稿が、異なるサイズの原稿の混在を許して積層された状態に載置される原稿載置台と、
前記原稿載置台に載置された原稿を1枚ずつ順次に取り込んで搬送する原稿搬送機構と、
前記原稿搬送機構により搬送される原稿の移動方向に交わる幅方向に延び、前記原稿載置台から取り込まれて搬送されている途中の原稿上の画像を該幅方向に繰り返し読み取る画像読取センサを有し、該画像読取センサに、該原稿搬送機構により今回取り込まれた原稿上の読取対象領域からはみ出した領域についての読取動作を許容することにより該読取対象領域内に読取りの欠落部分を生じさせない読取領域にわたって読取動作を実行させて、該読取領域内の画像を表す画像データを生成する画像データ生成部と、
前記画像データ生成部で生成された前記読取領域内の画像を表す画像データを記憶する画像記憶部と、
前記画像記憶部に記憶された画像データから、前記読取対象領域内の画像を表わす画像データを抽出する画像抽出部とを有することを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記画像データ生成部が、当該画像読取装置で読取り可能な最大読取幅もしくは最大読取長さを有する読取領域にわたって読取動作を実行させて、該読取領域内の画像を表す画像データを生成するものであることを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記画像搬送機構により取り込まれた原稿の移動経路上の、前記画像読取センサよりも上流側に配置された、原稿が前記幅方向のサイズに応じて分類される複数のグループのうちの今回取り込まれた原稿が属するグループを識別する原稿幅識別センサを備え、
前記画像データ生成部は、前記原稿幅識別センサによる識別を受けて、前記幅方向について該原稿が属するグループに応じた読取領域内の画像を読み取らせるものであることを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記画像搬送機構により取り込まれた原稿の移動経路上の、前記画像読取センサよりも上流側に配置された、該原稿の後端の通過を検出する原稿通過検出センサを備え、
前記画像データ生成部は、前記原稿通過検出センサによる今回取り込まれた原稿の後端の通過の検出を受けて、前記画像読取センサに、該原稿上の前記読取対象領域の前記移動方向後端まで読み取らせるものであることを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項5】
画像が記録された原稿上の画像を読み取って該原稿上の画像読取領域内の画像データを生成する画像読取部と、
前記画像読取部で生成された画像データに基づいて記録媒体上に画像を形成する画像形成部を備え、
前記画像読取部が、
画像が記録された原稿が、異なるサイズの原稿の混在を許して積層された状態に載置される原稿載置台と、
前記原稿載置台に載置された原稿を1枚ずつ順次に取り込んで搬送する原稿搬送機構と、
前記原稿搬送機構により搬送される原稿の移動方向に交わる幅方向に延び、前記原稿載置台から取り込まれて搬送されている途中の原稿上の画像を該幅方向に繰り返し読み取る画像読取センサを有し、該画像読取センサに、該原稿搬送機構により今回取り込まれた原稿上の読取対象領域からはみ出した領域についての読取動作を許容することにより該読取対象領域内に読取りの欠落部分を生じさせない読取領域にわたって読取動作を実行させて、該読取領域内の画像を表す画像データを生成する画像データ生成部と、
前記画像データ生成部で生成された前記読取領域内の画像を表す画像データを記憶する画像記憶部と、
前記画像記憶部に記憶された画像データから、前記読取対象領域内の画像を表わす画像データを抽出する画像抽出部とを有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−51567(P2013−51567A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−188821(P2011−188821)
【出願日】平成23年8月31日(2011.8.31)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】