説明

画像読取装置と画像形成装置

【課題】読取ピッチむらが発生するのを防止して原稿を読み取るようにする。
【解決手段】画像読取装置は、原稿を流し読みガラス上の読み取り位置Bを通過させて原稿の画像を読み取るようになっており、読み取り位置Bより原稿搬送方向の上流の流し読みガラス上に原稿を案内するスジ対策シート18を備えている。スジ対策シートの下流端部18aは、原稿搬送方向に対して直交する幅方向の中央部と端部の位置が原稿搬送方向に対して異なる位置に形成され、下流端部を通過する原稿の後端が時間差をもって流し読みガラスに接触するようになっている。これによって、原稿の後端が幅方向全域で同時に強く流し読みガラスに当接するのを抑えて、読取ピッチむらの発生を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿を読み取る画像読取装置と、この画像読取装置を備えた画像形成装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シートに画像を形成する複写機、プリンタ等の画像形成装置は、画像読取装置で読み取った原稿の画像を複写するようになっている。図8に示すように、従来の画像読取装置902は、自動原稿搬送部によって読取部の透明部材としての流し読みガラス904の上に自動的に送り込まれてくる原稿を読取部で読み取って、画像情報を画像形成装置の装置本体に送るようになっている。この読み取り方を流し読みと言う。
【0003】
ところが、原稿には塵埃が付着していることがある。塵埃は、原稿が流し読みガラスを通過するとき流し読みガラスに付着して、読取部に読み取られることがある。読み取られた塵埃は、画像形成装置の装置本体でシートに原稿を複写するとき、複写画像にスジとなって複写されることになり、複写画像の画質の低下原因になる。
【0004】
そこで、従来の画像読取装置は、流し読みガラスの画像読取位置Bより距離X3だけ上流に帯状のシート部材918を原稿搬送方向に対して直交する向きに貼り付けられて、流し読みガラスの表面に段部が形成されていた(特許文献1)。帯状のシート部材918は、シート部材上を通過する原稿の下面に下流端部の角で接触して、原稿に付着した塵埃を除去するようになっている。この場合、シート部材は、厚みが厚く読みガラスに対して段差が高くなる程、下流端部の角の高さが高くなり、シート部材の塵埃を除去する確率が高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−314753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、原稿の後端は、シート部材の下流端部の角を通過して流し読みガラスに当接したときの衝撃によって上下に振動することがある。このため、従来の画像読取装置は、原稿の読取ピッチにむらが生じていた。
【0007】
しかも、シート部材918の下流端部918aは、原稿搬送方向に対して直角にかつ直線状に形成されている。このため、原稿の後端は、シート部材918の下流端部918aを通過したとき、原稿の後端全体が一度に流し読みガラス904に当接して、激しく上下に振動することがあった。特に、厚みが厚く剛性の高い原稿は、シート部材を通過したとき、流し読みガラスに強く当接して大きく振動することがあった。このため、従来の画像読取装置は、厚みの厚い原稿を読み取るとき読取ピッチにむらが生じていた。
【0008】
そこで、シート部材の厚みを薄くして段差を低くすれば原稿の振動を少なくして、読取ピッチのむらを少なくすることができる。しかし、このような画像読取装置は、シート部材の下流端部の角で塵埃を除去する確率が低くなり、複写画像にスジが付いて、複写画像の画質を低下させるおそれがある。
【0009】
したがって、従来の画像読取装置は、原稿の塵埃を除去する確率を高くすることと、読取ピッチのむらを少なくすることの両立が困難であった。
【0010】
本発明は、原稿の塵埃を除去する確率を高くすることと、読取ピッチのむらを少なくすることとを両立できる画像読取装置と、この画像読取装置を備えた画像形成装置とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の画像読取装置は、原稿を透明部材の読み取り位置を通過させて原稿の画像を読み取る画像読取装置において、前記読み取り位置より原稿搬送方向の上流の前記透明部材に原稿を案内するガイドを備え、前記ガイドの原稿搬送方向の下流端部は、前記原稿搬送方向に対して直交する幅方向の中央部と端部の位置が前記原稿搬送方向に対して異なる位置に形成されて、前記下流端部を通過する原稿の後端が時間差をもって透明部材に接触するようにした、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の画像読取装置におけるガイドは、ガイドの上を通過する原稿に付着した塵埃を下流端部で除去する。この場合、ガイドの下流端部が原稿搬送方向に対して直交する幅方向の中央部と端部の位置が前記原稿搬送方向に対して異なる位置に形成されている。このため、ガイドの下流端部を通過する原稿の後端は、透明部材に一度に当接しないで、時間差をもって透明部材に接触することになり、従来よりも振動が少なくなる。
【0013】
この結果、本発明の画像読取装置は、読取ピッチのむらが少なくない状態で、原稿を読み取ることができる。また、本発明の画像読取装置は、原稿の後端の振動を少なくすることができることによって、ガイドの厚みを従来よりも多少高くすることができて、その分、塵埃を除去する確率を高くすることができる。
【0014】
本発明の画像形成装置は、原稿に付着した塵埃を効率良く除去し、かつ原稿の後端の振動を少なくして原稿の画像を読み取る画像読取装置によって読み取られた画像情報に基づいてシートに画像を複写するため、複写画像の画質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態の画像読取装置のシート搬送方向に沿った断面図である。
【図2】本発明の実施形態の画像読取装置の原稿搬送方向に沿った断面図である。
【図3】画像読取装置の部分拡大図である。
【図4】原稿自動搬送装置を取り除いた画像読取装置の平面図であり、流し読みガラスとスジ対策シートの位置関係を示した図である。
【図5】本発明の実施形態における各種のスジ対策シートの平面図である。
【図6】本発明の実施形態のスジ対策シートによって塵埃を外側に排出することができることの説明用の図である。
【図7】本発明の実施形態の画像読取装置において、全長を短くすることのできる説明用の図である。
【図8】従来の画像読取装置の流し読みガラスとシート部材との部分を示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態の画像読取装置と、この画像読取装置を備えた画像形成装置とを図に基づいて説明する。なお、本実施形態において示す数値は参考数値であって、本発明を限定する数値ではない。
【0017】
図1は、本発明の実施形態の画像読取装置のシート搬送方向に沿った断面図である。
【0018】
画像形成装置101は、例えば複写機であり、装置本体101Aと、装置本体の上部に備えられた画像読取装置102とで構成されている。
【0019】
画像読取装置102は、原稿の画像を光学的に読み取って電気信号に変換し、電気信号に基づいて画像データを作成するようになっている。画像形成装置の装置本体101Aは、画像データに基づいてシートに複写画像を形成するようになっている。
【0020】
(画像形成装置の装置本体)
画像形成装置101の装置本体101Aは、原稿の画像の電気信号や画像データに基づいて露光部23を作動させて、回転する感光体ドラム21の表面に静電潜像を形成する。静電潜像は、現像器24で現像(トナーを供給)されてトナー画像となる。
【0021】
一方、画像形成装置の装置本体101Aの下部には、各種サイズのシートPを装填したシート収容部19a,19b,19c,19dが配置される。シート収容部19a,19b,19c,19dのシートPは、それぞれ給送ローラ20a,20b,20c,20dによって1枚ずつ取り出され、搬送ローラ31へ受け渡される。シートは、トレイ19eからも搬送ローラ31へ受け渡されるようになっている。
【0022】
その後、シートPは、レジストローラ対36によって斜行を真っ直ぐに矯正されて、かつ感光体ドラム21上のトナー画像と位置を合わされて、感光体ドラム21と転写帯電器25との間に供給される。シートPは、転写帯電器25によって感光体ドラム上のトナー画像を転写され、分離帯電器26によって感光体ドラム21から分離される。
【0023】
クリーナ27は、トナー画像を転写した感光体ドラム21の表面をクリーニングする。そして、帯電器22は、次の露光に備えて感光体ドラム21の表面を帯電する。
【0024】
一方、トナー画像を転写されたシートPは、搬送部28によって定着器29へ搬送され、定着器29で加熱と加圧を受けて表面にトナー画像を定着される。そして、トナー画像が定着されたシートPは、排出トレイ30に排出される。
【0025】
以上の構成において、感光体ドラム21、帯電器22、現像器24等は、画像形成部33を形成している。
【0026】
(画像読取装置)
図2は、本発明の実施形態の画像読取装置の原稿搬送方向に沿った断面図である。図3は、画像読取装置の部分拡大図である。
【0027】
画像読取装置102(図1)は、画像形成装置の装置本体101Aの上部に設けられた画像読取部1と、画像読取部1の上に設けられた原稿自動搬送装置(以下、ADFと言う)2とで構成されている。画像読取装置102は、画像形成装置の装置本体101A内に設けられた制御部32の制御によって作動するようになっている。
【0028】
画像読取部1(図2)は、原稿を固定読み方式で読み取る第1原稿読取部R1と、原稿を流し読み方式で読み取る第2原稿読取部R2とを有している。固定読み方式は、原稿の形態の自由度が高い書籍や雑誌等の本の他に、立体物も読み取ることができるようになっている。これに対して、流し読み方式は、大量のシート状の原稿を短時間で自動的に読み取ることができるようになっている。
【0029】
なお、固定読みとは、原稿台ガラス3に本や立体物を載置して白色圧板14で覆い固定した状態で、原稿台ガラス3の下を、画像読取センサ5を図2において左から右に移動させて本や立体物を読み取ることを言う。また、流し読みとは、原稿を流し読みガラス4の上面を通過させながら、流し読みガラス4の下に停止させてある画像読取センサ5で読み取ることを言う。
【0030】
画像読取部1の上部には、原稿や本或いは立体物を載置できる固定読み用の透明な原稿台ガラス3が設けられ、原稿台ガラス3に隣接して流し読み用の原稿の原稿面を案内する透明な流し読みガラス4が設けられている。
【0031】
流し読みガラス4には、奥行き方向の幅(原稿搬送方向に対して直交する方向の長さ)が原稿台ガラス3の幅と略等しい細長いガラス板が使用されている。流し読みガラス4の下方には、流し読みガラス4の奥行き方向の幅と略同じ長さの棒状の画像読取センサ5が配置されている。
【0032】
画像読取センサ5は、原稿の原稿面の画像を読み取るセンサであり、原稿台ガラス3の下を図2において左右方向に移動して、原稿台ガラス3に載置された原稿を走査してライン読みするようになっている。また、画像読取センサ5は、流し読みガラス4の画像読取位置Bの真下に停止して、流し読みガラス4の上面を通過する原稿をライン読みするようになっている。
【0033】
画像読取センサ5(図3)は、流し読みガラス4の下から流し読みガラス越しに原稿を照射する照明素子6、照明素子による原稿の反射光を集光する光学レンズ7、光学レンズの結像位置に配置されたイメージセンサ8等がケーシング9に納められて形成されている。ケーシング9は、摺動性の高い不図示のスペーサを介して流し読みガラス4に突き当てられている。
【0034】
画像読取センサ5は、原稿面から所定の距離をおいて配置されている。照明素子6には、細い線状のキセノン管や、発光源であるLED及び導光体が使用されている。また、画像読取センサ5は、照明素子6が原稿を照射した反射光をセルフォックレンズ等の光学系を介して、原稿を光学的に読み取るようになっている。
【0035】
図2において、ADF2は、画像読取部1の上部に蝶番によって画像読取部1に対して上下方向に回転するように取り付けられている。このため、ADF2は、原稿台ガラス3と流し読みガラス4との上面を開閉できるようになっている。ADF2は、原稿載置部10に載置された原稿Dを、搬送ローラ11aで1枚ずつ取り込み、搬送ローラ11b,11c,11d,11eで搬送して、流し読みガラス4の上を通過させて、搬送ローラ11fから原稿排出部13へ排出するようになっている。原稿は、流し読みガラス4の上を通過しているとき、流し読みガラス4の下方に停止している画像読取センサ5によって画像を読み取られる。
【0036】
図3において、ADF2の流し読みガラス4の上方には、流し読み時に流し読みガラス4から原稿が浮き上がるのを防止するプラテンローラ12が設けられている。プラテンローラ12は、流し読みガラス4の上面から所定の間隔(約0.2mm)を隔てて原稿の裏面を受け止め、定速回転して原稿を案内するようになっている。プラテンローラ12は、流し読みガラス4からの原稿面の浮き量を制限して、原稿の画像面を光学レンズ7の焦点高さに位置決めし、ボケやブレの無い高品位な画像読み取りができるようにしている。
【0037】
プラテンローラ12(図3)に隣接する上流には、原稿搬送方向と直交する帯状の白色シート部材16が配置されている。白色シート部材16は、プラテンローラ12の外周の一部分を覆って画像読取範囲を平坦にしている。プラテンローラ12と白色シート部材16は、表面の色が反射率約100%の白色であり、原稿の透明度が異なっても画像面の明るさをほぼ一定に確保している。
【0038】
図3に示すように、流し読みの場合、画像読取センサ5は、流し読みガラス4の下側で、光学レンズ7がプラテンローラ12の中心Aから距離X2だけ上流の画像読取位置Bに停止するようになっている。この画像読取位置Bは、プラテンローラ12の直下から下流のゴミを避けて、プラテンローラ12が原稿に張力を与えて原稿の振動が比較的少ない位置である。
【0039】
固定読みの場合、原稿台ガラス3に置かれた原稿は、ADF2(図2)に取り付けられた白色圧板14により原稿台ガラス3に押し付けられて、画像読取センサ5が所定の速度で副走査方向(図2の左右方向)に移動することによって画像を読み取られる。固定読みの場合、ADF2の全体が原稿を原稿台ガラス3上に押し付ける圧板として機能し、画像読取センサ5の原稿読取精度を高めるようになっている。
【0040】
これに対し、流し読みの場合の原稿Dは、図2のADF2の原稿載置部10に積載されて、搬送ローラ11a,11b,11c,11dにより順送りされ、所定の速度でプラテンローラ12の下へ送り込まれる。そして、原稿Dは、図3に示すように、所定の回転数で回転するプラテンローラ12によって流し読みガラス4の上面からの浮き上がり量を規制された状態で、画像読取位置Bに停止している画像読取センサ5によって画像を読み取られる。すなわち、原稿は、プラテンローラ12と流し読みガラス4との隙間を搬送されながら、画像読取センサ5によって読み取られる。このとき、原稿は、照明素子6によって画像読取範囲を照明されて、反射光が光学レンズ7によってイメージセンサ8へ投影され、イメージセンサ8に直線状に配置された受光素子によって線画像として読み取られる。
【0041】
プラテンローラ12を通過した原稿は、ジャンプ台15によって図2の搬送ローラ11eへ案内され、搬送ローラ11fから原稿排出部13へ排出される。
【0042】
ところで、プラテンローラ12(図3)の中心Aの直下は、プラテンローラ12と流し読みガラス4との間隔に規制されて画像読取位置Bよりも原稿高さを精密に設定できる。しかし、プラテンローラ12の中心Aの直下や搬送方向下流の流し読みガラス4の上面には、塵埃が付着しやすい。付着した塵埃は、読み取られて、複写画像にスジとなって形成される。
【0043】
そこで、本実施形態の画像読取装置102は、複写画像にスジが付かないようにするため、画像読取位置Bの僅か上流の流し読みガラス4上に厚さ約0.4mmのスジ対策シート18を備えている。このスジ対策シート18は、スジ対策シート18を擦るようにして通過する原稿に付着している塵埃を下流端部18aの角18b(図3(B))で掻き取るようになっている。
【0044】
なお、図3(A)に示したスジ対策シート18は、画像読取装置の構成を明瞭にするため、流し読みガラス4から浮かして記載してあるが、流し読みガラス4に貼り付けられているものとする。また、スジ対策シート18の下流端部18aは、画像読取位置Bから大分離れているが、図4の平面図に示すように画像読取位置Bに近いものとする。
【0045】
図4は、ADF2を取り除いた画像読取装置102の平面図であり、流し読みガラス4とスジ対策シート18の位置関係を示した図である。
【0046】
スジ対策シート18の原稿搬送方向の下流端部(図4では右端)18aは、幅方向の両端部18aa,18abが中間部としての中央部18acより原稿搬送方向の下流に位置して上流にへこんだ円弧形状に形成されている。なお、両端部18aa,18abの一方の端部18aaを奥部、他方の端部18abを手前部とも言う。画像読取位置Bの読取ラインRLからスジ対策シートの下流端部の奥部18aa及び手前部18abまでの距離をX4とし、読取ラインRLから下流端部18aの中央部18acまでの距離をX5とすると、X4<X5に設定されている。因みに、X5−X4=約3mmである。
【0047】
スジ対策シート18の下流端部18aの円弧状と、対策シート18の厚みによって生じる流し読みガラス4に対する段差とによって、原稿の後端は次のようにして流し読みガラス4に接触する。
【0048】
すなわち、最初に、原稿の後端部の幅方向(原稿搬送方向に対して直交する方向)の中央部がスジ対策シート19の中央部18acを通過して、流し読みガラス4に接触する。このとき、原稿の下流端部の幅方向の両端部は、まだ、スジ対策シート18の奥部18aaと手前部18abに載っており、流し読みガラス4に接触していない。そして、原稿の後端部は、原稿が搬送されるにしたがって、中央部から両端部にかけて、順次、流し読みガラス4に接触する。最後、原稿の後端部の両端部が、スジ対策シート18の奥部18aa及び手前部18abを通過して、流し読みガラス4に接触する。
【0049】
このように、原稿の後端部は、スジ対策シート18を通過するとき時間差をおいて流し読みガラス4に接触することになる。
【0050】
なお、スジ対策シートは、原稿の後端部が時間差をおいて流し読みガラス4に接触するようになっていればよいので、次のような形状のものもある。
【0051】
図5(A)に示すスジ対策シート18は、以上説明したものである。
【0052】
図5(B)に示すスジ対策シート118の原稿搬送方向の下流端部(図5では右端)118aは、V次状に上流にへこんだ形状に形成されている。
【0053】
図5(C)に示すスジ対策シート218の下流端部218aは、矩形状に上流にへこんだ形状に形成されている。
【0054】
スジ対策シート118,218は、読取ラインRLからスジ対策シートの奥部118aa,218aa及び手前部118ab,218abまでの距離X4と、読取ラインRLから中央部118ac,218acまでの距離X5とがX4<X5に設定されている。
【0055】
また、図5(D)に示すスジ対策シート318の下流端部318aは、下流に円弧状に突出している。このスジ対策シート318は、読取ラインRLからスジ対策シートの奥部318aa及び手前部318abまでの距離X4と、読取ラインRLから中央部318acまでの距離X5とがX4>X5に設定されている。
【0056】
さらに、図5(E)に示すスジ対策シート418は、幅方向の中間部に対して一方の端部が上流に位置し他方の端部が原稿搬送方向の下流に位置して原稿搬送方向に対して斜めに形成されている。すなわち、スジ対策シート418の下流端部418aは、斜面になっており、読取ラインRLからスジ対策シートの奥部418aaまでの距離X4と、手前部418abまでの距離X6とがX4<X6に設定されている。そして、読取ラインRLから中央部418acまでの距離X5は、((X4+X6)/2)に設定されている。
【0057】
以上のガイドとしてのスジ対策シートの下流端部18a,118a,218a,318a,418aは、原稿搬送方向の位置が搬送方向に対して直交する幅方向にて異なる非直交形状に形成されている。すなわち、スジ対策シートの下流端部は、原稿搬送方向に対して直交する幅方向の中央部と端部の位置が原稿搬送方向に対して異なる位置に形成されている。このため、スジ対策シートの下流端部18a,118a,218a,318a,418aは、下流端部を通過する原稿の後端が流し読みガラス4に一度に当接しないで、時間差をもって当接するようにしている。
【0058】
よって、画像読取装置は、いずれかのスジ対策シート18,118,218,318,418を備えることによって、シートの後端の振動を少なくして読取ピッチのむらが少ない、原稿読み取り行える。また、画像読取装置は、原稿の後端の振動を少なくすることができることによって、スジ対策シートの厚みを従来よりも多少厚くして下流端部の角の高さを高くすることができ、その高くした分だけ、塵埃を除去する確率を高くすることができる。
【0059】
また、このような画像読取装置102を備えた画像形成装置101は、ひずみが少なく、かつ塵埃によるスジの少ない高品質の複写画像をシートに形成することができる。
【0060】
なお、図5(A)、(B)に示すスジ対策シート18,118は、原稿の後端と協働して、図6(A)、(B)に示すように塵埃を流し読みガラスから流し読みガラスの幅方向に排出する塵埃排出機能を備えている。
【0061】
すなわち、原稿Gの後端Geは、スジ対策シートの中央部18ac,118acを通過するとき、中央部Gaから幅方向の両端部Gcに順次流し読みガラスに接触しながら、流し読みガラス上の塵埃Eを矢印方向に押し出すようにして外側に排出する。
【0062】
また、図5(E)に示すスジ対策シート418も同様な塵埃排出機能を備えている。ただし、図5(E)に示すスジ対策シート418の場合は、塵埃を手前部418abから奥部418aaに送るようになっている。
【0063】
このため、図5(A)、(B)、(E)に示すスジ対策シート18,118,418のいずれかを備えた画像読取装置は、塵埃を読み取ることが少なくなる。
【0064】
スジ対策シート18,118,218,318,418は、原稿搬送方向に対して直交する方向の長さが約30cmであり、流し読みガラス4に接着剤で取り付けられているか、或いは流し読みガラス4と一体に形成されている。ただし、接着剤で取り付けた方が、スジ対策シートを正確な形状に形成にすることができ、かつ距離X4,X5を正確にして流し読みガラスに取り付けることができる。
【0065】
また、透明部材として流し読みガラスを取り上げたが、流し読みガラスは、アクリル樹脂製であってもよい。アクリル樹脂製にすると、スジ対策シートを一体に成型することができて、部品点数を少なくすることができる。
【0066】
以上、説明した画像読取装置102は、プラテンローラ12の径を小さくして周辺のシート搬送路35(図7)の曲率半径を小さくすることができる。すなわち、シート搬送路35の曲率半径を小さくすると、原稿もシート搬送路35にしたがって曲率半径が小さくなり、原稿の後端がスジ対策シートに対する角度(図3(B)のγ)が大きくなり、流し読みガラス4に当接する勢いが強くなる。しかし、画像読取装置は、スジ対策シートがシートの後端の振動を少なくするようになっているので、シート搬送路35の曲率半径を小さくても、原稿の後端が流し読みガラス4に当接する勢いを弱くして、読取ピッチのむらの少ない読み取りを行うことができる。
【0067】
このように、画像読取装置102は、プラテンローラ12の径を小さくして周辺のシート搬送路35の曲率半径を小さくすることができるので、図7(A)、(B)に示すように、プラテンローラ12を通過した原稿の傾斜角度をβからαに大きくすることができる。この結果、画像読取位置Bから原稿排出部13までの距離をXbからXaに短くすることができ、全体として、画像読取装置の全長をXc(=Xb−Xa)だけ短くして、画像読取装置を小型にすることができる。
【符号の説明】
【0068】
D:原稿、E:塵埃、4:流し読みガラス(透明部材)、18,118,218,318,418:スジ対策シート(ガイド)、18a,118a,218a,318a,418a:スジ対策シート(ガイド)の下流端部、18aa,118aa,218aa,318aa,418aa:スジ対策シートの奥部、18ab,118ab,218ab,318ab,418ab:スジ対策シートの手前部、18ac,118ac,218ac,318ac,418ac:スジ対策シートの中央部(中間部)、18b:スジ対策シートの角、33:画像形成部、418a:下流端部(斜面)、101:画像形成装置、101A:複写機の装置本体、102:画像読取装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を透明部材の読み取り位置を通過させて原稿の画像を読み取る画像読取装置において、
前記読み取り位置より原稿搬送方向の上流の前記透明部材に原稿を案内するガイドを備え、
前記ガイドの原稿搬送方向の下流端部は、前記原稿搬送方向に対して直交する幅方向の中央部と端部の位置が前記原稿搬送方向に対して異なる位置に形成されて、前記下流端部を通過する原稿の後端が時間差をもって透明部材に接触するようにした、
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記ガイドの下流端部は、前記幅方向の両端部が中間部より前記原稿搬送方向の下流に位置して形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記ガイドの下流端部は、前記幅方向の両端部が中間部より前記原稿搬送方向の上流に位置して形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記ガイドの下流端部は、前記幅方向の中間部に対して一方の端部が前記上流に位置し他方の端部が前記原稿搬送方向の下流に位置して前記原稿搬送方向に対して斜めに形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記ガイドの下流端部は、円弧状に形成されている、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記ガイドは、前記透明部材と一体に形成されている、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像読取装置と、
前記画像読取装置に読み取られた原稿の画像をシートに形成する画像形成部と、を備えた、
ことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−134704(P2012−134704A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−284200(P2010−284200)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.セルフォック
【出願人】(000208743)キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Fターム(参考)】