説明

画像読取装置及び画像形成装置

【課題】光源が経年劣化した場合であっても速やかに且つ的確に結露の発生を判定する。
【解決手段】画像読取装置に、透明部材と光源と原稿の画像を複数の画素として読み取る画像読取部と主走査又は副走査方向の何れか一方向に互いに隣接して透明部材の一部に配設され反射率の異なる第一及び第二結露判断部材とを備え、第一・第二結露判断部材の境界線の近傍で第一・第二結露判断部材を読み取らせた第一・第二隣接画素の画素値を第一・第二隣接画素値とし、境界線から第一・第二隣接画素より離れた位置で読み取らせた第一・第二離間画素の画素値を第一・第二離間画素値とし、第一・第二隣接画素値間の差(隣接画素差分値)と第一・第二離間画素値間の差(離間画素差分値)の間の差異の大きさが予め定められた差異の大きさよりも大きいことを示すとき透明部材における境界線に結露が発生していると判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置及び当該画像読取装置を備えた画像形成装置に関し、特に、原稿が載置される透明部材に結露が発生したことを検知する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、画像読取装置では、板状の透明部材に載置された原稿に、蛍光灯やLED等の光源によって当該透明部材を介して光を照射し、当該原稿からの反射光を光電変換素子で光電変換して出力させることによって、当該原稿の画像を読み取った原稿の画像データを生成するように構成されている。
【0003】
また、例えば、下記特許文献1には、経時的に前後の第1、第2のシェーディング補正用のシェーディングデータを取得して、当該取得した2つのシェーディングデータの差が所定値以上である場合に、結露が発生していると判断する技術が記載されている。また、下記特許文献2には、結露なしの状態における標準白板からの反射光量を基準光量値として、当該基準光量値と実際に標準白板からの実反射光量とを比較して結露しているか否かを判定する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−127304号公報
【特許文献2】実開平1−149162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、経時的に前の第1のシェーディングデータを取得する場合における結露状態が不明であるために、誤って結露の発生を判断する虞があり、更に、結露の発生を判断するために、第1のシェーディングデータを取得してから第2のシェーディングデータを取得するまでの間、待ち時間が発生するという問題があった。
【0006】
一方、上記特許文献2に記載の技術では、結露なしの状態における標準白板からの反射光量を基準光量値として記憶しておくため、結露の判定に待ち時間を必要としないが、光源が経年劣化して光量が低減し、標準白板からの反射光量が低減することによって、結露していることを誤って判定する虞があった。
【0007】
そこで、本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、光源が経年劣化した場合であっても、速やかに且つ的確に結露の発生を判定することができる画像読取装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る画像読取装置は、原稿が載置される板状の透明部材と、前記透明部材を介して原稿に光を照射する光源と、前記光源により照射された原稿の画像を画素値によって明るさが表された複数の画素として読み取る複数の画素検出部を備えた画像読取部と、主走査方向又は副走査方向のうちの何れか一方向である第一方向に互いに隣接して前記透明部材の一部に配設され、光の反射率が互いに異なる第一結露判断部材及び第二結露判断部材と、前記第一結露判断部材と前記第二結露判断部材との境界線の近傍位置において前記第一結露判断部材を前記画像読取部によって読み取らせた第一隣接画素の画素値を第一隣接画素値とし、前記境界線から前記第一隣接画素より離れた位置において前記第一結露判断部材を前記画像読取部によって読み取らせた第一離間画素の画素値を第一離間画素値とし、前記第一隣接画素値及び前記第一離間画素値を取得する第一結露判定データ取得処理を実行する第一結露判定データ取得部と、前記境界線の近傍位置において前記第二結露判断部材を前記画像読取部によって読み取らせた第二隣接画素の画素値を第二隣接画素値とし、前記境界線から前記第二隣接画素より離れた位置において前記第二結露判断部材を前記画像読取部によって読み取らせた第二離間画素の画素値を第二離間画素値とし、前記第二隣接画素値及び前記第二離間画素値を取得する第二結露判定データ取得処理を実行する第二結露判定データ取得部と、前記第一隣接画素値と前記第二隣接画素値との差を隣接画素差分値として算出する隣接画素差分値算出部と、前記第一離間画素値と前記第二離間画素値との差を離間画素差分値として算出する離間画素差分値算出部と、前記隣接画素差分値と前記離間画素差分値との間の差異の大きさを表す評価情報が、予め定められた差異の大きさよりも前記隣接画素差分値と前記離間画素差分値との間の差異が大きいことを示すとき、前記透明部材における前記境界線に結露が発生していると判定する結露判定部と、を備える。
【0009】
この構成によれば、第一隣接画素値と第二隣接画素値との差である隣接画素差分値と、第一離間画素値と第二離間画素値との差である離間画素差分値が算出される。そして、当該算出された隣接画素差分値と離間画素差分値との間の差異の大きさを表す評価情報が、予め定められた差異の大きさよりも、隣接画素差分値と離間画素差分値との間の差異が大きいことを示すとき、透明部材における第一結露判断部材と第二結露判断部材との境界線に結露が発生していると判定される。
【0010】
ここで評価情報は、第一結露判断部材と第二結露判断部材の境界線付近の明るさの差と境界線から離れた位置における明るさの差との間の差異を表すものである。したがって、評価情報が大きい場合は、当該境界線付近とその周辺とでコントラストが大きく異なっていることとなり、第一結露判断部材及び第二結露判断部材を読み取った画像において、当該境界線付近はぼけた感じの画像となる。つまり、評価情報は、境界線付近のぼけ度合いを表すものと考えられる。
【0011】
つまり、この構成によれば、光源の経年劣化等によって、原稿からの反射光の光量が低減した場合であっても、原稿からの反射光の光量が低減していない場合と同様に、特に待ち時間を発生させることなく速やかに、隣接画素差分値と離間画素差分値との間の差異の大きさを表す評価情報を的確に算出することができる。そして、当該評価情報が示す第一結露判断部材と第二結露判断部材の境界線付近のぼけ度合いが、予め定められた差異の大きさによって表されるぼけ度合いよりも大きいことによって、境界線付近がぼけた感じであることを的確に判定することができる。
【0012】
このため、境界線に結露が発生している場合に、光の乱反射に起因して境界線付近がぼやけた感じになっていることを速やかに且つ的確に判定することができ、これによって、境界線に結露が発生していることを速やかに且つ的確に判定することができる。
【0013】
また、前記評価情報は、前記離間画素差分値を前記隣接画素差分値で除算した結果の比率で表されることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、光源の経年劣化等によって、原稿からの反射光の光量が低減した場合であっても、離間画素差分値及び隣接画素差分値はともに同程度に小さくなると考えられるため、原稿からの反射光の光量が低減していない場合と同様に、隣接画素差分値と離間画素差分値との比率を的確に算出することができる。そして、当該的確に算出された比率によって表される評価情報、つまり、第一結露判断部材と第二結露判断部材の境界線付近のぼけ度合いを用いて、透明部材における境界線付近で結露が発生しているか否かを的確に判定することができる。
【0015】
また、前記第一結露判定データ取得部は、前記第一結露判定データ取得処理において、前記第一結露判断部材と前記第二結露判断部材との境界線の近傍位置において前記第一結露判断部材を前記画像読取部によって読み取らせた複数の画素値の平均値を新たな第一隣接画素値として算出し、前記境界線から前記境界線の近傍位置より離れた位置において前記第一結露判断部材を前記画像読取部によって読み取らせた複数の画素値の平均値を新たな第一離間画素値として算出し、前記第二結露判定データ取得部は、前記第二結露判定データ取得処理において、前記第一結露判断部材と前記第二結露判断部材との境界線の近傍位置において前記第二結露判断部材を前記画像読取部によって読み取らせた複数の画素値の平均値を新たな第二隣接画素値として算出し、前記境界線から前記境界線の近傍位置より離れた位置において前記第二結露判断部材を前記画像読取部によって読み取らせた複数の画素値の平均値を新たな第二離間画素値として算出し、前記隣接画素差分値算出部は、前記新たな第一隣接画素値を前記第一隣接画素値として用い、前記新たな第二隣接画素値を前記第二隣接画素値として用いることによって、前記隣接画素差分値を算出し、前記離間画素差分値算出部は、前記新たな第一離間画素値を前記第一離間画素値として用い、前記新たな第二離間画素値を前記第二離間画素値として用いることによって、前記離間画素差分値を算出することが好ましい。
【0016】
この構成によれば、新たな第一隣接画素値が、第一結露判断部材と第二結露判断部材との境界線の近傍位置において第一結露判断部材を画像読取部によって読み取らせた複数の画素値の平均値として算出される。このため、画像読取部の読み取り誤差が低減された、精度の良い第一隣接画素値を生成することができる。これと同様にして、画像読取部の読み取り誤差が低減された、精度の良い第二隣接画素値、第一離間画素値、及び第二離間画素値を生成することができる。
【0017】
そして、当該精度の良い第一隣接画素値、第二隣接画素値、第一離間画素値、及び第二離間画素値を用いて、隣接画素差分値及び離間画素差分値をそれぞれ精度良く算出することができる。これによって、当該精度良く算出された隣接画素差分値及び離間画素差分値を用いて、結露の発生有無を精度良く判定することができる。
【0018】
また、前記第一離間画素及び前記第二離間画素は、前記第一結露判断部材及び前記第二結露判断部材の画像のそれぞれにおける第一方向の中央画素であることが好ましい。
【0019】
第一結露判断部材及び第二結露判断部材の画像のそれぞれにおける主走査方向又は副走査方向の中央画素は、第一結露判断部材と第二結露判断部材とが配置される領域と透明部材との境界線、及び、第一結露判断部材と第二結露判断部材との境界線の何れからも離れた位置の画素であると考えられる。
【0020】
つまり、この構成によれば、第一隣接画素及び第二隣接画素のそれぞれから離れていると考えられる画素の画素値を用いて、離間画素差分値を的確に算出することができる。これによって、当該的確に算出された離間画素差分値を用いて、結露の発生有無を的確に判定することができる。
【0021】
また、前記画像読取部を原稿に対して相対的に副走査方向に移動させながら、当該原稿の画像を主走査方向1ライン分ずつ読み取らせる読取制御部を更に備え、前記第一結露判断部材及び前記第二結露判定部材は、前記透明部材において原稿の画像の読み取りが開始される位置よりも、前記読取制御部によって前記画像読取部が移動させられる方向とは逆の方向に配置され、前記読取制御部は、原稿の画像を前記画像読取部に読み取らせる前に、前記結露判定部に前記判定を行わせることが好ましい。
【0022】
この構成によれば、画像読取部によって原稿の画像が読み取られる前に結露の判定が行われる。このため、透明部材に結露が発生している状態で、不必要に画像読取部によって原稿の画像を読み取らせることを回避することができる。
【0023】
また、前記第一結露判定部材は、黒色又は白色であり、前記第二結露判定部材は、黒色又は白色のうち、前記第一結露判定部材とは異なる色であることが好ましい。
【0024】
この構成によれば、第一結露判定部材及び第二結露判定部材がともに黒色及び白色とは異なる色である場合に比して、隣接画素差分値及び離間画素差分値の値が大きくなるため、隣接画素差分値と離間画素差分値との間の差異を精度良く算出することができ、これによって、結露の発生有無を精度良く判定することができる。
【0025】
また、本発明に係る画像読取装置は、前記画像読取装置と、前記画像読取部によって読み取られたデータを用いて画像形成を行う画像形成部と、を備える。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、光源が経年劣化した場合であっても、速やかに且つ的確に結露の発生を判定することができる画像読取装置及び画像形成装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一例としての複合機の構成の一例を示す縦断面図である。
【図2】複合機の画像読取装置の構成の一例を示す概略側面図である。
【図3】第一結露判断部材及び第二結露判断部材の配置の一例を示す平面図である。
【図4】第一結露判断部材及び第二結露判断部材を読み取る受光素子と画素と画素値の関係の一例を示す説明図である。
【図5】複合機の電気的な構成を示すブロック図である。
【図6】読取制御部による原稿の読み取り制御の一例を示すフローチャートである。
【図7】第一結露判断部材及び第二結露判断部材の配置の図3とは別の一例を示す平面図である。
【図8】第一結露判断部材及び第二結露判断部材を読み取る受光素子と画素と画素値の関係の図4とは別の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[第一実施形態]
以下、本発明に係る画像読取装置及び画像形成装置の実施形態について図面を参照して説明する。尚、以下の実施形態では、本発明に係る画像形成装置の一実施形態として、コピー、スキャナ、ファクシミリ、プリンタ等の機能を備えた複合機に集約した形態を例に説明する。
【0029】
図1は、本実施形態に係る複合機1の内部構成を模式的に示した縦断面図である。図1に示す複合機1は、画像読取装置2と装置本体3とを備えている。
【0030】
画像読取装置2は、原稿給紙部21とスキャナ部22とを備えている。
【0031】
原稿給紙部21は、ADFを実現するものであり、原稿トレイ231、給紙ローラ232、搬送ドラム233、排紙ローラ対234及び排紙トレイ235を備えている。
【0032】
原稿トレイ231は、原稿が載置される場所であり、原稿トレイ231に載置された原稿は1枚ずつ給紙ローラ232によって取り込まれて搬送ドラム233へ搬送される。搬送ドラム233を経由した原稿は排紙ローラ234によって排紙トレイ235へ排出される。
【0033】
スキャナ部22は、原稿の画像を光学的に読み取って画像データを生成するものである。スキャナ部22は、コンタクトガラス221、光源222、第1ミラー223、第2ミラー224、第3ミラー225、第1キャリッジ226、第2キャリッジ227、結像レンズ228、及びラインセンサであるCCD(Charge Coupled Device)229を備えている。
【0034】
コンタクトガラス221は、本発明に係る透明部材の一例を構成するものであり、原稿を載置する面を構成する。光源222及び第1ミラー223は、第1キャリッジ226によって支持されており、第2ミラー224及び第3ミラー225は、第2キャリッジ227によって支持されている。光源222には、例えば白色LED等の白色蛍光ランプが用いられ、光源222からコンタクトガラス221を介して原稿に向けて光が照射されると、第1ミラー223、第2ミラー224、第3ミラー225、第1キャリッジ226、第2キャリッジ227及び結像レンズ228により、原稿から反射された反射光がCCD229に導かれる。
【0035】
CCD229は、本発明に係る画像読取部の一例を構成するものであり、所謂一次元のイメージセンサである。CCD229は、主走査方向のライン状に配列された複数の受光素子(本発明に係る画素検出部の一例)からなる受光面を有し、当該受光面に集光された原稿の主走査方向1ライン分の反射光を当該複数の受光素子で光電変換することにより、主走査方向1ライン分の画像データを出力する。つまり、主走査方向1ライン分の画像データは、当該複数の受光素子(画素検出部)のそれぞれに対応する反射光の明るさを示す値(画素値)によって構成されている。
【0036】
画像読取装置2における原稿読取方法としては、コンタクトガラス221上に載置された原稿を読み取るフラットベッド読取モードと、原稿をADFによって取り込み、その搬送途中で原稿を読み取るADF読取モードがある。
【0037】
フラットベッド読取モードでは、光源222がコンタクトガラス221を介して原稿を照射し、一次元のイメージセンサであるCCD229の各画素が並ぶ主走査方向1ライン分の反射光が、第1ミラー223、第2ミラー224、第3ミラー225の順に反射して、結像レンズ228に入射する。結像レンズ228に入射した光はCCD229の受光面で結像される。
【0038】
このような動作が、主走査方向と直交する方向(副走査方向、矢印Y方向)への第1キャリッジ226及び第2キャリッジ227の移動と並行して1ラインずつ実施される。CCD229は、主走査方向1ライン分の原稿の画像データを同時に処理し、画像データを1ライン単位で後述のA/D変換部216(図4参照)に出力する。
【0039】
ADF読取モードでは、原稿トレイ231に載置された原稿が給紙ローラ232によって原稿搬送経路に1枚ずつ取り込まれ、搬送ドラム233から排紙トレイ235への搬送経路に設けられた画像読取位置PS上を原稿が通過するとき、光源222が原稿を照射し、主走査1ライン分の反射光が第1ミラー223、第2ミラー224、第3ミラー225の順に反射して、結像レンズ228に入射する。結像レンズ228に入射した光はCCD229の受光面で結像される。
【0040】
このような動作が、搬送ドラム233による原稿の搬送と並行して1ラインずつ実施される。CCD229は、主走査方向1ライン分の原稿の画像データを同時に処理し、画像データを1ライン単位で後述のA/D変換部216(図4参照)に出力する。
【0041】
更に、原稿給紙部21は、切換ガイド236、反転ローラ237及び反転搬送路238からなる原稿反転機構を備えている。
【0042】
切換ガイド236は、片面読み取り時及び両面読み取り時において裏面の読み取り後、上側に切り替えられ、搬送ドラム233を経た原稿は排紙ローラ234によって排紙トレイ235に排紙される。切換ガイド236は、両面読み取り時における表面読み取り後、下側に切り替えられ、搬送ドラム233を経た原稿は反転ローラ237のニップ部へ搬送される。その後、切換ガイド236は上側へ切り替えられ、反転ローラ237が逆回転することにより、原稿は、反転搬送路238を介して搬送ドラム233へ再搬送される。
【0043】
つまり、1回目の読み取りによって表面が読み取られた原稿を、切換ガイド236、反転ローラ237及び反転搬送路238からなる原稿反転機構を用いて反転させて再搬送することによって、再度CCD229によって裏面の読み取りを行わせることができる。
【0044】
装置本体3は、用紙(記録媒体)を収容する複数の給紙カセット461と、給紙カセット461から搬送されてきた用紙に画像を形成する記録部40と、給紙カセット461から用紙を1枚ずつ繰り出して記録部40へ搬送する給紙ローラ462と、左方に配設されたスタックトレイ6と、記録部40を通過した用紙をスタックトレイ6又は排出トレイ48まで搬送する搬送ローラ463及び464と、を備えている。
【0045】
装置本体3は、更に、手差しトレイ471を備え、この手差しトレイ471からは何れの給紙カセットにも収納されていないサイズの用紙や、既に一方の面に画像形成がなされている用紙(裏紙)、OHPシートのような任意の記録媒体が載置可能であり、給紙ローラ472によって1枚ずつ装置本体3内に給紙される。
【0046】
記録部40は、本発明に係る画像形成部の一例を構成するものであり、スキャナ部22で生成された画像データに基づいてレーザ光を出力して感光体ドラム43を露光し、感光体ドラム43の表面に静電潜像を形成する露光装置42と、上記静電潜像に基づいて感光体ドラム43上にトナー像を形成する現像装置44と、感光体ドラム43に形成されたトナー像を用紙に転写させる転写装置41と、トナー像が転写された用紙を加熱してトナー像を用紙に定着させる定着装置45とを備えている。
【0047】
また、装置本体3の前方には、操作部5が備えられている。操作部5は、タッチパネル51、テンキー53、及びスタートキー55等を備えている。タッチパネル51は、種々の操作画面を表示するとともに、ユーザが種々の操作指令を入力するための種々の操作ボタン等を表示する。テンキー53は、画像形成する記録紙の枚数(印刷部数)等の実行条件を入力するために用いられ、スタートキー55は、記録部40による画像形成処理の実行開始指示等を入力するために用いられる。
【0048】
図2及び図3に示すように、コンタクトガラス221には、図3の破線矩形領域が示す、読み取り対象の原稿が載置される領域(原稿読取領域)外であって、スキャナ部22による原稿の読取開始位置である画像読取位置PSよりも、原稿の読み取りが進められる方向、つまり、第1キャリッジ226及び第2キャリッジ227の移動方向(図中の+Y方向)とは逆方向(図中の−Y方向)に、白色基準板10と、本発明に係る第一結露判定部材の一例としての白色判定板11と、本発明に係る第二結露判定部材の一例としての黒色判定板12とが取り付けられている。
【0049】
白色基準板10は、主走査方向(図2において紙面に直交する方向、図3においてX方向)に延びるように、コンタクトガラス221に取り付けられた白色の帯板状部材である。
【0050】
白色判定板11は、白色の帯板状部材であり、黒色判定板12は、黒色の帯板状部材である。白色判定板11と黒色判定板12は、白色基準板10に副走査方向(図中のY方向)に隣接する領域ARに、主走査方向(図中のX方向)に交互に隣接するようにして、コンタクトガラス221に取り付けられている。
【0051】
尚、以下では、白色判定板11と黒色判定板12は、1枚当りの主走査方向の長さが同一に構成され、それぞれ1枚当たり、CCD229に設けられた複数の受光素子のうちの同一数の受光素子によって読み取り可能に構成されているものとする。
【0052】
例えば、図4に示すように、白色判定板11と黒色判定板12は、それぞれ1枚当たり、q個の受光素子によって読み取られる。具体的には、1番目の白色判定板11は、q個の受光素子R[1]〜R[q]によって読み取られ、当該q個の受光素子R[1]〜R[q]に対応する画素1〜qの画素値C[1]〜C[q]が生成される。
【0053】
一方、1番目の黒色判定板12は、q個の受光素子R[(q+1)]〜R[(2*q)]によって読み取られ、当該q個の受光素子R[(q+1)]〜R[(2*q)]に対応する画素(q+1)〜(2*q)の画素値C[(q+1)]〜C[(2*q)]が生成される。尚、ここで「*」は、掛け算を表すものとする。
【0054】
尚、画素値は、画素の明るさをそれぞれ8ビット(0〜255)の256段階で表し、例えば、0で最も暗く、255で最も明るいことを示している。また、以下では、大括弧内の数式で表される番号は、CCD29が備える受光素子の番号(受光素子に対応する画素の番号)を示すものとする。
【0055】
また、白色判定板11と黒色判定板12の1枚当たりの主走査方向の長さをこれに限定する趣旨ではない。また、ここにいう黒色とは、光の反射率が30%以下の色を示すものとする。
【0056】
次に、複合機1の電気的な構成を説明する。図5は、複合機1の電気的な構成を示すブロック図である。図5に示すように、複合機1は、CPU211と、RAM212と、ROM213と、読取制御部214と、A/D変換部216と、シェーディング補正部217と、画像処理部218と、を備え、これらの各部と上記のスキャナ部22と操作部5とが、互いに通信可能なようにデータバスBUSによって接続されている。
【0057】
CPU211は、複合機1の全体的な動作制御を司るものであり、ROM213や図略のHDDに記憶されているプログラムに従って複合機1における各部の動作を制御する。
【0058】
本実施形態では、CPU211は、特に、第一結露判定データ取得部13と、第二結露判定データ取得部14と、隣接画素差分値算出部15と、離間画素差分値算出部16と、結露判定部17として機能する。
【0059】
第一結露判定データ取得部13は、図4に示すように、白色判定板11と黒色判定板12との境界線BLを介して隙間Gを設けて隣接する受光素子(例えば、図中の網掛部の受光素子R[q])によって、白色判定板11を読み取らせた画素(例えば、図中の画素q)である第一隣接画素fnの画素値(例えば、図中の画素値C[q])を、第一隣接画素値Vfnとして取得する。
【0060】
また、第一結露判定データ取得部13は、図4に示すように、白色判定板11と黒色判定板12との境界線BLを介して隙間Gを設けて隣接する受光素子(例えば、図中の網掛部の受光素子R[q])から、境界線BLとは反対側の主走査方向(図中X方向)に距離G1だけ離間した受光素子(例えば、図中の斜線部の受光素子R[j])によって、白色判定板11を読み取らせた画素(例えば、図中の画素j)である第一離間画素ffの画素値(例えば、図中の画素値C[j])を、第一離間画素値Vffとして取得する。
【0061】
尚、以下では、第一結露判定データ取得部13によって、第一隣接画素値Vfn及び第一離間画素値Vffを取得する処理を第一結露判定データ取得処理と示す。
【0062】
第二結露判定データ取得部14は、図4に示すように、白色判定板11と黒色判定板12との境界線BLを介して隙間Gを設けて隣接する受光素子(例えば、図中の網掛部の受光素子R[(q+1)])によって、黒色判定板12を読み取らせた画素(例えば、図中の画素(q+1))である第二隣接画素snの画素値(例えば、図中の画素値C[(q+1)])を、第二隣接画素値Vsnとして取得する。
【0063】
また、第二結露判定データ取得部14は、図4に示すように、白色判定板11と黒色判定板12との境界線BLを介して隙間Gを設けて隣接する受光素子(例えば、図中の網掛部の受光素子R[(q+1)])から、境界線BLとは反対側の主走査方向(図中X方向)に距離G2だけ離間した受光素子(例えば、図中の斜線部の受光素子R[(q+j)])によって、白色判定板11を読み取らせた画素(例えば、図中の画素(q+j))である第二離間画素sfの画素値(例えば、図中の画素値C[(q+j)])を、第二離間画素値Vsfとして取得する。
【0064】
尚、以下では、第二結露判定データ取得部14によって、第二隣接画素値Vsn及び第二離間画素値Vsfを取得する処理を第二結露判定データ取得処理と示す。
【0065】
隣接画素差分値算出部15は、第一結露判定データ取得部13による第一結露判定データ取得処理で取得された第一隣接画素値Vfnと、第二結露判定データ取得部14による第二結露判定データ取得処理で取得された第二隣接画素値Vsnと、の差を隣接画素差分値Dnとして算出する。
【0066】
離間画素差分値算出部16は、第一結露判定データ取得部13による第一結露判定データ取得処理で取得された第一離間画素値Vffと、第二結露判定データ取得部14による第二結露判定データ取得処理で取得された第二離間画素値Vsfと、の差を離間画素差分値Dfとして算出する。
【0067】
結露判定部17は、離間画素差分値Dfと隣接画素差分値Dnとの間の差異の大きさを表す評価情報と予め定められた結露判定閾値(予め定められた差異の大きさ)との比較結果に基づいて、コンタクトガラス221における境界線BLに結露が発生しているか否かを判定する。
【0068】
尚、第一結露判定データ取得部13と、第二結露判定データ取得部14と、隣接画素差分値算出部15と、離間画素差分値算出部16と、結露判定部17における各種処理の詳細については後述する。
【0069】
RAM212は、CPU211による上記プログラムに従った複合機1及び画像読取装置2の動作制御時の作業領域として用いられるメモリである。ROM213は、上記プログラムや各種設定値等を記憶するメモリである。
【0070】
読取制御部214は、CCD229を原稿に対して相対的に副走査方向に移動させながら、当該原稿の画像を主走査方向1ライン分ずつ読み取らせる制御を行う。具体的には、読取制御部214は、光源222による照明動作、第1キャリッジ226及び第2キャリッジ227の副走査方向の移動動作、原稿給紙部21による原稿の副走査方向の搬送動作、及びCCD229の受光動作を制御して、スキャナ部22に原稿の画像を読み取らせる。
【0071】
A/D変換部216は、スキャナ部22から出力されるアナログの電気信号からなる主走査方向1ライン分の原稿の画像データを、所定ビット数からなるデジタルの画像データに変換するA/D変換処理を行う。A/D変換部216は、A/D変換処理後の画像データをシェーディング補正部217、第一結露判定データ取得部13及び第二結露判定データ取得部14等に出力する。
【0072】
シェーディング補正部217は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)等の専用ハードウェアで高速処理可能に構成され、スキャナ部22及びA/D変換部216を介して出力された画像データに対してシェーディング補正を行う。
【0073】
例えば、シェーディング補正部217は、白色基準板10の主走査方向1ライン分の画像を複数の画素としてCCD229に読み取らせた白色基準データと、光源222による光の照射を行わずにCCD229から出力させたアナログの電気信号をA/D変換部216によってA/D変換処理させることによって、光源222による光の照射を行わずに主走査方向1ライン分の画像を複数の画素として読み取らせた黒色基準データとの間で、対応し合う画素同士の画素値の差分を算出する。そして、当該算出した差分によって、原稿の主走査方向1ライン分の画像を読み取った原稿画像データと黒色基準データとの間で対応し合う画素同士の画素値の差分を除算した結果に対して、画素値の最大値を乗算することによって、シェーディング補正を行う。
【0074】
これによって、画像形成しようとしている原稿の画像データにシェーディング補正が施され、光源222による照明の配光ムラやCCD229の各画素間の感度差が補正される。尚、シェーディング補正部217は、これに限らず、その他の方法でシェーディング補正を行うように構成されていてもよい。また、シェーディング補正部217で行われるシェーディング補正の処理は、CPU211によって実行されるプログラムとして実装されていてもよい。
【0075】
画像処理部218は、例えば、ASIC等の専用ハードウェアで高速処理可能に構成され、A/D変換部216から出力された画像データ又はシェーディング補正部217から出力されたシェーディング補正処理後の画像データに対して、各種画像処理を行うものである。
【0076】
例えば、画像処理部218は、当該画像データに対して、レベル補正、ガンマ補正等の補正処理、画像データの圧縮又は伸長処理、拡大又は縮小処理などの画像加工処理を行う。尚、画像処理部218で行われる各種画像処理は、CPU211によって実行されるプログラムとして実装されていてもよい。
【0077】
以下では、読取制御部214による原稿の読み取り制御について詳述するとともに、第一結露判定データ取得部13、第二結露判定データ取得部14、隣接画素差分値算出部15、離間画素差分値算出部16、及び結露判定部17で行われる各種処理についても詳述する。
【0078】
図6に示すように、ユーザによる操作部5の操作等によって、読取制御部214に対する原稿の読み取り指示が入力され、CPU211によって当該指示が受け付けられると(S1)、読取制御部214は、白色判定板11と黒色判定板12の全ての境界線BLに対して、後述する結露の判定処理を行っていない場合は(S2;NO)、判定を行っていない境界線BLに対して、結露の判定処理を開始する(S3)。
【0079】
読取制御部214は、判定を行っていない境界線BLに対する結露の判定処理を開始すると、第一結露判定データ取得部13に第一結露判定データ取得処理を実行させ(S4)、第二結露判定データ取得部14に第二結露判定データ取得処理を実行させる(S5)。
【0080】
第一結露判定データ取得部13は、ステップS4において、第一結露判定データ取得処理の実行を開始すると、当該判定対象の境界線を介して隙間を設けて隣接する受光素子によって、白色判定板11を読み取らせた画素を第一隣接画素fnとして、当該画素の画素値を第一隣接画素値Vfnとして取得する。
【0081】
また、第一結露判定データ取得部13は、当該判定対象の境界線BLを介して隙間を設けて隣接する受光素子から、当該判定対象の境界線とは反対側の主走査方向に離間した受光素子によって、白色判定板11を読み取らせた画素を第一離間画素ffとして、当該画素の画素値を第一離間画素値Vffとして取得する。
【0082】
具体的には、第一結露判定データ取得部13は、図4に示すように、1番目の白色判定板11と1番目の黒色判定板12との境界線BLに対する結露の判定処理を行う場合には、当該判定対象の境界線BLを介して隙間Gを設けて隣接する受光素子R[q]によって、白色判定板11を読み取らせた画素qを第一隣接画素fnとして、当該画素qの画素値C[q]を第一隣接画素値Vfnとして取得する。
【0083】
また、第一結露判定データ取得部13は、当該判定対象の境界線BLを介して隙間Gを設けて隣接する受光素子R[q]から、当該判定対象の境界線BLとは反対側の主走査方向(図中X方向)に距離G1だけ離間した受光素子R[j]によって、白色判定板11を読み取らせた画素jを第一離間画素ffとして、当該画素jの画素値C[j]を第一離間画素値Vffとして取得する。
【0084】
また、1番目の黒色判定板12と2番目の白色判定板11との境界線BLに対する結露の判定処理を行う場合には、第一結露判定データ取得部13は、受光素子R[(2*q+1)]によって、白色判定板11を読み取らせた画素(2*q+1)を第一隣接画素fnとして、当該画素の画素値C[(2*q+1)]を第一隣接画素値Vfnとして取得する。また、受光素子R[(2*q+j)]によって、白色判定板11を読み取らせた画素(2*q+j)を第一離間画素ffとして、当該画素の画素値C[(2*q+j)]を第一離間画素値Vffとして取得する。
【0085】
第二結露判定データ取得部14は、ステップS5において、第二結露判定データ取得処理の実行を開始すると、当該判定対象の境界線を介して隙間を設けて隣接する受光素子によって、黒色判定板12を読み取らせた画素を第二隣接画素snとして、当該画素の画素値を第二隣接画素値Vsnとして取得する。
【0086】
また、第二結露判定データ取得部14は、当該判定対象の境界線BLを介して隙間を設けて隣接する受光素子から、当該判定対象の境界線とは反対側の主走査方向に離間した受光素子によって、黒色判定板12を読み取らせた画素を第二離間画素sfとして、当該画素の画素値を第二離間画素値Vsfとして取得する。
【0087】
具体的には、第二結露判定データ取得部14は、図4に示すように、1番目の白色判定板11と1番目の黒色判定板12との境界線BLに対する結露の判定処理を行う場合には、当該判定対象の境界線BLを介して隙間Gを設けて隣接する受光素子R[(q+1)]によって、黒色判定板12を読み取らせた画素(q+1)を第二隣接画素snとして、当該画素(q+1)の画素値C[(q+1)]を、第二隣接画素値Vsnとして取得する。
【0088】
また、第二結露判定データ取得部14は、当該判定対象の境界線BLを介して隙間Gを設けて隣接する受光素子R[(q+1)]から、当該判定対象の境界線BLとは反対側の主走査方向(図中X方向)に距離G2だけ離間した受光素子R[(q+j)]によって、白色判定板11を読み取らせた画素(q+j)を第二離間画素sfとして、当該画素(q+j)の画素値C[(q+j)]を、第二離間画素値Vsfとして取得する。
【0089】
また、1番目の黒色判定板12と2番目の白色判定板11との境界線BLに対する結露の判定処理を行う場合には、第二結露判定データ取得部14は、受光素子R[(2*q)]によって、黒色判定板12を読み取らせた画素(2*q)を第二隣接画素snとして、当該画素(2*q)の画素値C[(2*q)]を第二隣接画素値Vsnとして取得する。また、受光素子R[(q+j)]によって、黒色判定板12を読み取らせた画素(q+j)を第二離間画素sfとして、当該画素(q+j)の画素値C[(q+j)]を第二離間画素値Vsfとして取得する。
【0090】
図6に戻り、読取制御部214は、ステップS4で取得させた第一隣接画素値Vfnと、ステップS5で取得させた第二隣接画素値Vsnとを用いて、隣接画素差分値算出部15に隣接画素差分値Dnを算出させる(S6)。
【0091】
具体的には、隣接画素差分値算出部15は、ステップS6において、ステップS4で取得された第一隣接画素値VfnからステップS5で取得された第二隣接画素値Vsnを減算し、当該減算結果の絶対値を隣接画素差分値Dn(Dn=|Vfn−Vsn|)とする。
【0092】
続いて、読取制御部214は、ステップS4で取得させた第一離間画素値Vffと、ステップS5で取得させた第二離間画素値Vsfとを用いて、離間画素差分値算出部16に離間画素差分値Dfを算出させる(S7)。
【0093】
具体的には、離間画素差分値算出部16は、ステップS7において、ステップS4で取得された第一離間画素値VffからステップS5で取得された第二離間画素値Vsfを減算し、当該減算結果の絶対値を離間画素差分値Df(Df=|Vff−Vsf|)とする。
【0094】
そして、読取制御部214は、結露判定部17に、ステップS6で算出させた隣接画素差分値DnとステップS7で算出させた離間画素差分値Dfとの間の差異の大きさを表す評価情報と、予め定められた結露判定閾値との比較結果に基づいて、ステップS5から開始された結露の判定処理の対象となる境界線BL付近で結露が発生しているか否かの判定を行わせる(S8)。
【0095】
具体的には、結露判定部17は、ステップS8において、ステップS7で算出された離間画素差分値DfをステップS6で算出された隣接画素差分値Dnで除算することによって、当該除算結果である比率Df/Dnを隣接画素差分値Dnと離間画素差分値Dfとの間の差異の大きさを表す評価情報とする。そして、当該評価情報が、予め定められた結露判定閾値よりも大きい場合に、当該判定対象の境界線BL付近で結露が発生しているものと判定する。尚、予め定められた結露判定閾値は、コンタクトガラス221に結露を生じさせて試験運転を行う等の実験値に基づいて予め定められ、ROM213に記憶されている。
【0096】
尚、評価情報は、離間画素差分値Dfを隣接画素差分値Dnで除算した結果に限定する趣旨ではなく、例えば、離間画素差分値Dfから隣接画素差分値Dnを減算することによって差分値Df−Dnを算出し、当該差分値Df−Dnを評価情報としてもよい。また、隣接画素差分値Dnを離間画素差分値Dfで除算した結果を評価情報Dn/Dfとして、これに合わせて、当該評価情報Dn/Dfが予め定められた結露判定閾値よりも小さい場合に、境界線BL付近に結露が発生しているものと判定するように構成してもよい。
【0097】
図6に戻り、結露判定部17によって、ステップS5から開始された結露の判定処理の対象となる境界線BL付近で結露が発生していると判定された場合は(S8;YES)、読取制御部214は、スキャナ部22によって原稿を読み取らせることなく、例えば、コンタクトガラス221における当該境界線BL付近で結露が発生している旨の警告メッセージを操作部5のタッチパネル51に表示して(S9)、原稿の読み取り制御を終了する。
【0098】
一方、結露判定部17によって、ステップS5から開始された結露の判定処理の対象となる境界線BL付近で結露が発生していないものと判定された場合は(S8;NO)、読取制御部214は、再びステップS2の判定処理を実行する。
【0099】
そして、白色判定板11と黒色判定板12の全ての境界線BLに対して、コンタクトガラス221における各境界線BL付近で結露が発生しているか否かの判定が終了すると(S2;YES)、つまり、何れの境界線BL付近においても結露が発生していなかった場合は、読取制御部214は、第1キャリッジ226及び第2キャリッジ227を白色基準板10まで移動させた後、CCD229によって白色基準板10の画像を主走査方向1ライン分読み取らせ、当該読み取らせた白色基準データをRAM212に記憶する(S10)。
【0100】
そして、読取制御部214は、スキャナ部22の第1キャリッジ226及び第2キャリッジ227を原稿の読み取り開始位置PSまで移動させた後、原稿の主走査方向全ライン分の読み取りが完了するまでの間(S13;NO)、スキャナ部22によって原稿の画像を主走査方向1ライン分ずつ読み取らせ(S11)、当該読み取らせた主走査方向1ライン分の原稿の画像データをシェーディング補正部217にシェーディング補正させる(S12)。このようにして、ステップS10〜S13によってシェーディング補正が施された主走査方向全ライン分の原稿の画像データが画像形成に用いられる。
【0101】
このように、CCD229によって原稿の画像が読み取られる前に結露の判定が行われるため、コンタクトガラス221に結露が発生している状態で、不必要にCCD229によって原稿の画像を読み取らせることを回避することができる。
【0102】
つまり、本発明に係る画像読取装置の一例が、上記の画像読取装置2と、第一結露判定データ取得部13と、第二結露判定データ取得部14と、隣接画素差分値算出部15と、離間画素差分値算出部16と、結露判定部17と、を備えて構成されている。
【0103】
ステップS8で算出された隣接画素差分値Dnと離間画素差分値Dfとの比率で表される評価情報によって、白色判定板11と黒色判定板12の境界線付近の明るさの差と、境界線から離れた位置における明るさの差との間の差異を表すことができる。当該評価情報が大きい場合には、当該境界線付近とその周辺とでコントラストが大きく異なっており、白色判定板11及び黒色判定板12を読み取った画像において、境界線付近はぼやけた感じの画像となる。したがって、当該ステップS8で算出された評価情報は、白色判定板11と黒色判定板12の境界線付近のぼけ度合いを表すものと考えられる。
【0104】
つまり、第一実施形態の構成によれば、光源222の経年劣化等によって、原稿からの反射光の光量が低減した場合であっても、原稿からの反射光の光量が低減していない場合と同様に、特に待ち時間を発生させることなく速やかに、隣接画素差分値Dnと離間画素差分値Dfとの比率等によって、白色判定板11と黒色判定板12の境界線付近の明るさの差と、境界線から離れた位置における明るさの差との間の差異を表す評価情報を的確に算出することができる。そして、当該評価情報が示す白色判定板11と黒色判定板12の境界線付近のぼけ度合いが、結露判定閾値によって表されるぼけ度合いよりも大きいことによって、境界線付近がぼけた感じであることを的確に判定することができる。
【0105】
このため、境界線に結露が発生している場合に、光の乱反射に起因して境界線付近がぼやけた感じになっていることを速やかに且つ的確に判定することができ、これによって、境界線に結露が発生していることを速やかに且つ的確に判定することができる。
【0106】
[第二実施形態]
以下の第二実施形態の説明では、第一実施形態とは異なる部分についてのみ詳述し、第一実施形態と同じ部分については説明を省略する。
【0107】
第二実施形態の構成では、図7に示すように、コンタクトガラス221には、破線矩形領域が示す、読み取り対象の原稿が載置される領域(原稿読取領域)外であって、スキャナ部22による原稿の読取開始位置である画像読取位置PSよりも、原稿の読み取りが進められる方向、つまり、第1キャリッジ226及び第2キャリッジ227の移動方向(図中の+Y方向)とは逆方向(図中の−Y方向)に、白色基準板10と兼用される白色判定板11が取り付けられ、黒色判定板12が白色判定板11に対して副走査方向に隣接して、コンタクトガラス221に取り付けられている。
【0108】
第二実施形態の構成では、第一結露判定データ取得部13は、ステップS4(図6)において、例えば、図8に示すように、ある特定の受光素子(例えば、受光素子R[1])によって、白色判定板11を主走査方向(図中X方向)複数ライン(mライン)分読み取らせた画素のうち、白色判定板11と黒色判定板12との境界線BLを介して隙間Gを設けて隣接する位置を読み取った画素(例えば、受光素子R[1]によって網掛け部(mライン目)が読み取られた画素)を第一隣接画素fnとして、当該第一隣接画素fnの画素値を、第一隣接画素値Vfnとして取得する。
【0109】
また、第一結露判定データ取得部13は、ある特定の受光素子(例えば、受光素子R[1])によって、白色判定板11を複数ライン(mライン)分読み取らせた画素のうち、境界線BLを介して隙間Gを設けて隣接する位置(例えば、mライン目)から、境界線BLとは反対側の副走査方向に離間した位置を読み取った画素(例えば、受光素子R[1]によって斜線部(jライン目)が読み取られた画素)を第一離間画素ffとして、当該第一離間画素ffの画素値を、第一離間画素値Vffとして取得する。
【0110】
同様にして、第二結露判定データ取得部14は、ステップS5(図6)において、例えば、図8に示すように、ある特定の受光素子(例えば、受光素子R[1])によって、黒色判定板12を主走査方向(図中X方向)複数ライン((m+1)ライン目から(2*m)ライン目までのmライン)分読み取らせた画素のうち、境界線BLを介して隙間Gを設けて隣接する位置を読み取った画素(例えば、受光素子R[1]によって網掛け部((m+1)ライン目)が読み取られた画素)を第二隣接画素snとして、当該第二隣接画素snの画素値を、第二隣接画素値Vsnとして取得する。
【0111】
また、第二結露判定データ取得部14は、図8に示すように、受光素子(例えば、受光素子R[1])によって、黒色判定板12を複数ライン(mライン)分読み取らせた画素のうち、境界線BLを介して隙間Gを設けて隣接する位置(例えば、(m+1)ライン目)から、境界線BLとは反対側の副走査方向に離間した位置を読み取った画素(例えば、受光素子R[1]によって斜線部((m+j)ライン目)が読み取られた画素)を第二離間画素sfとして、当該第二離間画素sfの画素値を、第二離間画素値Vsfとして取得する。
【0112】
そして、隣接画素差分値算出部15は、ステップS6(図6)において、ステップS4及びステップS5で取得された第一隣接画素値Vfn及び第二隣接画素値Vsnを用いて、隣接画素差分値Dnを算出し、離間画素差分値算出部16は、ステップS7(図6)において、ステップS4及びステップS5で取得された第一離間画素値Vff及び第二離間画素値Vsfを用いて、離間画素差分値Dfを算出する。
【0113】
これによって、結露判定部17は、ステップS8(図6)において、当該算出された隣接画素差分値Dnと離間画素差分値Dfを用いて、主走査方向に延びる境界線BLにおける、ある特定の受光素子(上記具体例では、受光素子R[1])の主走査方向の位置に、結露が発生しているか否かを判定することができる。
【0114】
[第三実施形態]
以下の第三実施形態の説明では、第一実施形態又は第二実施形態とは異なる部分についてのみ詳述し、第一実施形態又は第二実施形態と同じ部分については説明を省略する。
【0115】
第三実施形態の構成では、例えば、図3及び図4に示すように、白色判定板11と黒色判定板12とが交互に隣接して領域ARに取り付けられている場合には、第一結露判定データ取得部13は、ステップS4において(図6)、判定対象の境界線BLを介して隙間を設けて隣接する受光素子(例えば、受光素子R[q])によって、白色判定板11を主走査方向に複数ライン分読み取らせる、又は、同一の主走査方向1ライン分を複数回繰り返して読み取らせる等して、当該受光素子に対応する画素(例えば、画素q)の画素値(例えば、C[q])を複数個取得し、当該取得した複数個の画素値の平均値を新たな第一隣接画素値NVfnとして取得する。
【0116】
また、第一結露判定データ取得部13は、当該判定対象の境界線BLを介して隙間を設けて隣接する受光素子(例えば、受光素子R[q])から、当該判定対象の境界線BLとは反対側の主走査方向(図中X方向)に離間した受光素子(例えば、受光素子R[j])によって、白色判定板11を主走査方向に複数ライン分読み取らせる、又は、同一の主走査方向1ライン分を複数回繰り返して読み取らせる等して、当該受光素子に対応する画素(例えば、画素j)の画素値(例えば、C[j])を複数個取得し、当該取得した複数個の画素値(例えば、C[j])の平均値を新たな第一離間画素値NVffとして取得する。
【0117】
これと同様にして、第二結露判定データ取得部14は、ステップS5において(図6)、判定対象の境界線BLを介して隙間を設けて隣接する受光素子(例えば、受光素子R[(q+1)])によって、黒色判定板12を主走査方向に複数ライン分読み取らせる、又は、同一の主走査方向1ライン分を複数回繰り返して読み取らせる等して、当該受光素子に対応する画素(例えば、画素(q+1))の画素値(例えば、C[(q+1)])を複数個取得し、当該取得した複数個の画素値(例えば、C[(q+1)])の平均値を新たな第二隣接画素値NVsnとして取得する。
【0118】
また、第二結露判定データ取得部14は、当該判定対象の境界線BLを介して隙間を設けて隣接する受光素子(例えば、受光素子R[(q+1)])から、当該判定対象の境界線BLとは反対側の主走査方向(図中X方向)に離間した受光素子(例えば、受光素子R[(q+j)])によって、黒色判定板12を主走査方向に複数ライン分読み取らせる、又は、同一の主走査方向1ライン分を複数回繰り返して読み取らせる等して、当該受光素子に対応する画素(例えば、画素(q+j))の画素値(例えば、C[(q+j)])を複数個取得し、当該取得した複数個の画素値(例えば、C[(q+j)])の平均値を新たな第二離間画素値NVsfとして取得する。
【0119】
一方、図7及び図8に示すように、白色判定板11と黒色判定板12とが副走査方向に隣接して取り付けられている場合には、第一結露判定データ取得部13は、ステップS4において(図6)、複数個の受光素子(例えば、受光素子R[1]〜R[h]のh個の受光素子)によって、白色判定板11を主走査方向(図中X方向)複数ライン(mライン)分読み取らせた画素値のうち、境界線BLを介して隙間Gを設けて隣接するラインを読み取った当該複数個の画素値(例えば、受光素子R[1]〜R[h]によって、mライン目を読み取ったh個分の画素値C[1]〜C[h])の平均値(例えば、(C[1]+・・・+C[h]/h))を、新たな第一隣接画素値NVfnとして取得する。
【0120】
また、第一結露判定データ取得部13は、複数個の受光素子(例えば、受光素子R[1]〜R[h]のh個の受光素子)によって、白色判定板11を主走査方向(図中X方向)複数ライン(mライン)分読み取らせた画素値のうち、境界線BLを介して隙間Gを設けて隣接するライン(例えば、mライン目)から、境界線BLとは反対側の副走査方向に離間したラインを読み取った当該複数個の画素値(例えば、受光素子R[1]〜R[h]によって、jライン目を読み取ったh個分の画素値C[1]〜C[h])の平均値(例えば、(C[1]+・・・+C[h]/h))を、新たな第一離間画素値NVffとして取得する。
【0121】
これと同様にして、第二結露判定データ取得部14は、ステップS5において(図6)、複数個の受光素子(例えば、受光素子R[1]〜R[h]のh個の受光素子)によって、黒色判定板12を主走査方向(図中X方向)複数ライン((m+1)ライン目から(2*m)ライン目までのmライン)分読み取らせた画素値のうち、境界線BLを介して隙間Gを設けて隣接するラインを読み取った当該複数個の画素値(例えば、受光素子R[1]〜R[h]によって、(m+1)ライン目を読み取ったh個分の画素値C[1]〜C[h])の平均値(例えば、(C[1]+・・・+C[h]/h))を、新たな第二隣接画素値NVsnとして取得する。
【0122】
また、第二結露判定データ取得部14は、複数個の受光素子(例えば、受光素子R[1]〜R[h]のh個の受光素子)によって、黒色判定板12を主走査方向(図中X方向)複数ライン(mライン)分読み取らせた画素値のうち、境界線BLを介して隙間Gを設けて隣接する位置(例えば、(m+1)ライン目)から、境界線BLとは反対側の副走査方向に離間したラインを読み取った当該複数個の画素値(例えば、受光素子R[1]〜R[h]によって、(m+j)ライン目を読み取ったh個分の画素値C[1]〜C[h])の平均値(例えば、(C[1]+・・・+C[h]/h))を、新たな第二離間画素NVsfとして取得する。
【0123】
尚、第一結露判定データ取得部13は、ある特定の受光素子(例えば、受光素子R[1])によって、複数回、境界線BLを介して隙間Gを設けて隣接するラインを読み取らせた画素値(例えば、受光素子R[1]によって、mライン目をh回読み取らせたh個分の画素値C[1])の平均値を新たな第一隣接画素値NVfnとして取得するように構成してもよい。
【0124】
これに合わせて、第一結露判定データ取得部13は、ある特定の受光素子(例えば、受光素子R[1])によって、境界線BLを介して隙間Gを設けて隣接するライン(例えば、mライン目)から境界線BLとは反対側の副走査方向に離間したライン(例えば、jライン目)を、複数回読み取らせた画素値(例えば、受光素子R[1]によって、jライン目をh回読み取らせたh個分の画素値C[1])の平均値を新たな第一隣接画素値NVfnとして取得するように構成してもよい。
【0125】
同様にして、第二結露判定データ取得部14は、ある特定の受光素子(例えば、受光素子R[1])によって、複数回、境界線BLを介して隙間Gを設けて隣接するラインを読み取らせた画素値(例えば、受光素子R[1]によって、(m+1)ライン目をh回読み取らせたh個分の画素値C[1])の平均値を新たな第二隣接画素値NVsnとして取得するように構成してもよい。
【0126】
これに合わせて、第二結露判定データ取得部14は、ある特定の受光素子(例えば、受光素子R[1])によって、境界線BLを介して隙間Gを設けて隣接するライン(例えば、(m+1)ライン目)から境界線BLとは反対側の副走査方向に離間したライン(例えば、(m+j)ライン目)を、複数回読み取らせた画素値(例えば、受光素子R[1]によって、(m+j)ライン目をh回読み取らせたh個分の画素値C[1])の平均値を新たな第二隣接画素値NVsnとして取得するように構成してもよい。
【0127】
これに合わせて、第三実施形態の構成では、隣接画素差分値算出部15は、ステップS6において(図6)、ステップS4及びステップS5で取得された新たな第一隣接画素値NVfn及び新たな第二隣接画素値NVsnを、それぞれ、第一隣接画素値Vfn及び第二隣接画素値Vsnとして用いることによって、隣接画素差分値Dnを算出する。
【0128】
また、離間画素差分値算出部16は、ステップS7において(図6)、ステップS4及びステップS5で取得された新たな第一離間画素値NVff及び新たな第二離間画素値NVsfを、それぞれ、第一離間画素値Vff及び第二離間画素値Vsfとして用いることによって、離間画素差分値Dfを算出する。
【0129】
第三実施形態の構成によれば、新たな第一隣接画素値NVfnが、白色判定板11と黒色判定板12との境界線BLの近傍位置において、白色判定板11をCCD229によって読み取らせた複数の画素値の平均値として算出される。このため、CCD229の読み取り誤差が低減され、精度の良い第一隣接画素値Vfnを生成することができる。これと同様にして、CCD229の読み取り誤差が低減された、精度の良い第二隣接画素値Vsn、第一離間画素値Vff、及び第二離間画素値Vsfを生成することができる。
【0130】
そして、当該精度の良い第一隣接画素値Vfn、第二隣接画素値Vsn、第一離間画素値Vff、及び第二離間画素値Vsfを用いて、隣接画素差分値Dn及び離間画素差分値Dfをそれぞれ精度良く算出することができる。これによって、当該精度良く算出された隣接画素差分値Dn及び離間画素差分値Dfを用いて、結露の発生有無を精度良く判定することができる。
【0131】
尚、上記実施形態において、本発明に係る画像形成装置の一例として、モノクロの複合機を例に説明したが、これに限定する趣旨ではなく、本発明に係る画像形成装置は、カラー複合機、本発明に係る画像読取装置を備えたプリンタ、コピー機、スキャナ、又はFAX(それぞれ、モノクロ及びカラーの何れでもよい)等の画像形成装置であってもよい。
【0132】
例えば、第一実施形態から第三実施形態の構成において、複合機1は、シェーディング補正部217を備えないように簡素化して、これに合わせて、図6におけるステップS10及びステップS12の処理を行わないように簡素化して構成してもよい。
【0133】
また、第一離間画素ff及び第二離間画素sfは、図3に示すように白色判定板11及び黒色判定板12が配置されている場合には、それぞれ白色判定板11及び黒色判定板12の画像のそれぞれにおける主走査方向の中央画素であることが好ましく、図7に示すように白色判定板11及び黒色判定板12が配置されている場合には、それぞれ白色判定板11及び黒色判定板12の画像のそれぞれにおける副走査方向の中央位置に相当するラインを読み取った画素(副走査方向の中央画素)であることが好ましい。ただし、これに限定する趣旨ではない。
【0134】
白色判定板11及び黒色判定板12の画像のそれぞれにおける主走査方向又は副走査方向の中央画素は、白色判定板11と黒色判定板12とが配置される領域とコンタクトガラス221との境界線、及び、白色判定板11と黒色判定板12との境界線BLの何れからも離れた位置の画素であると考えられる。
【0135】
このため、第一離間画素ff及び第二離間画素sfが、白色判定板11及び黒色判定板12の画像のそれぞれにおける主走査方向又は副走査方向の中央画素である場合には、第一隣接画素fn及び第二隣接画素snのそれぞれから離れていると考えられる画素の画素値を用いて、離間画素差分値Dfを的確に算出することができる。これによって、当該的確に算出された離間画素差分値Dfを用いて、結露の発生有無を的確に判定することができる。
【0136】
また、白色判定板11と黒色判定板12に代えて、白色又は黒色とは異なる色の、互いに反射率の異なる結露判定用の判定板を、コンタクトガラス221に取り付けてもよい。ただし、白色判定板11と黒色判定板12とを用いた場合には、結露判定用の判定板がともに白色及び黒色とは異なる色である場合に比して、隣接画素差分値Dn及び離間画素差分値Dfの値が大きくなる。このため、隣接画素差分値Dnと離間画素差分値Dfとの間の差異を精度良く算出することができ、これによって、結露の発生有無を精度良く判定することができる。
【0137】
また、本発明は、上記実施形態の構成に限られず種々の変形が可能である。図1乃至図8に示した構成及び処理は、本発明に係る実施形態の例示に過ぎず、本発明を上記実施形態に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0138】
1 複合機(画像形成装置)
11 白色判定板(第一結露判断部材)
12 黒色判定板(第二結露判断部材)
13 第一結露判定データ取得部
14 第二結露判定データ取得部
15 隣接画素差分値算出部
16 離間画素差分値算出部
17 結露判定部
2 画像読取装置
214 読取制御部
22 スキャナ部
221 コンタクトガラス(透明部材)
222 光源
229 CCD(画像読取部)
40 記録部(画像形成部)
C[1]〜C[h] 画素値
R[1]〜R[h」 受光素子(画素検出部)
Dn 隣接画素差分値
Df 離間画素差分値
ff 第一離間画素
sf 第二離間画素
fn 第一隣接画素
sn 第二隣接画素
Vff 第一離間画素
Vsf 第二離間画素
Vfn 第一隣接画素値
Vsn 第二隣接画素値
PS 画像読取位置(原稿の画像の読み取りが開始される位置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿が載置される板状の透明部材と、
前記透明部材を介して原稿に光を照射する光源と、
前記光源により照射された原稿の画像を画素値によって明るさが表された複数の画素として読み取る複数の画素検出部を備えた画像読取部と、
主走査方向又は副走査方向のうちの何れか一方向である第一方向に互いに隣接して前記透明部材の一部に配設され、光の反射率が互いに異なる第一結露判断部材及び第二結露判断部材と、
前記第一結露判断部材と前記第二結露判断部材との境界線の近傍位置において前記第一結露判断部材を前記画像読取部によって読み取らせた第一隣接画素の画素値を第一隣接画素値とし、前記境界線から前記第一隣接画素より離れた位置において前記第一結露判断部材を前記画像読取部によって読み取らせた第一離間画素の画素値を第一離間画素値とし、前記第一隣接画素値及び前記第一離間画素値を取得する第一結露判定データ取得処理を実行する第一結露判定データ取得部と、
前記境界線の近傍位置において前記第二結露判断部材を前記画像読取部によって読み取らせた第二隣接画素の画素値を第二隣接画素値とし、前記境界線から前記第二隣接画素より離れた位置において前記第二結露判断部材を前記画像読取部によって読み取らせた第二離間画素の画素値を第二離間画素値とし、前記第二隣接画素値及び前記第二離間画素値を取得する第二結露判定データ取得処理を実行する第二結露判定データ取得部と、
前記第一隣接画素値と前記第二隣接画素値との差を隣接画素差分値として算出する隣接画素差分値算出部と、
前記第一離間画素値と前記第二離間画素値との差を離間画素差分値として算出する離間画素差分値算出部と、
前記隣接画素差分値と前記離間画素差分値との間の差異の大きさを表す評価情報が、予め定められた差異の大きさよりも前記隣接画素差分値と前記離間画素差分値との間の差異が大きいことを示すとき、前記透明部材における前記境界線に結露が発生していると判定する結露判定部と、
を備える画像読取装置。
【請求項2】
前記評価情報は、前記離間画素差分値を前記隣接画素差分値で除算した結果の比率で表される請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記第一結露判定データ取得部は、
前記第一結露判定データ取得処理において、前記第一結露判断部材と前記第二結露判断部材との境界線の近傍位置において前記第一結露判断部材を前記画像読取部によって読み取らせた複数の画素値の平均値を新たな第一隣接画素値として算出し、前記境界線から前記境界線の近傍位置より離れた位置において前記第一結露判断部材を前記画像読取部によって読み取らせた複数の画素値の平均値を新たな第一離間画素値として算出し、
前記第二結露判定データ取得部は、
前記第二結露判定データ取得処理において、前記第一結露判断部材と前記第二結露判断部材との境界線の近傍位置において前記第二結露判断部材を前記画像読取部によって読み取らせた複数の画素値の平均値を新たな第二隣接画素値として算出し、前記境界線から前記境界線の近傍位置より離れた位置において前記第二結露判断部材を前記画像読取部によって読み取らせた複数の画素値の平均値を新たな第二離間画素値として算出し、
前記隣接画素差分値算出部は、
前記新たな第一隣接画素値を前記第一隣接画素値として用い、前記新たな第二隣接画素値を前記第二隣接画素値として用いることによって、前記隣接画素差分値を算出し、
前記離間画素差分値算出部は、
前記新たな第一離間画素値を前記第一離間画素値として用い、前記新たな第二離間画素値を前記第二離間画素値として用いることによって、前記離間画素差分値を算出する請求項1又は2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記第一離間画素及び前記第二離間画素は、前記第一結露判断部材及び前記第二結露判断部材の画像のそれぞれにおける第一方向の中央画素である請求項1から3の何れか一項に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記画像読取部を原稿に対して相対的に副走査方向に移動させながら、当該原稿の画像を主走査方向1ライン分ずつ読み取らせる読取制御部を更に備え、
前記第一結露判断部材及び前記第二結露判定部材は、前記透明部材において原稿の画像の読み取りが開始される位置よりも、前記読取制御部によって前記画像読取部が移動させられる方向とは逆の方向に配置され、
前記読取制御部は、原稿の画像を前記画像読取部に読み取らせる前に、前記結露判定部に前記判定を行わせる請求項1から4の何れか一項に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記第一結露判定部材は、黒色又は白色であり、前記第二結露判定部材は、黒色又は白色のうち、前記第一結露判定部材とは異なる色である請求項1から5の何れか一項に記載の画像読取装置。
【請求項7】
請求項1から6の何れか一項に記載の画像読取装置と、
前記画像読取部によって読み取られたデータを用いて画像形成を行う画像形成部と、
を備える画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−13005(P2013−13005A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145703(P2011−145703)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】