説明

画像読取装置及び画像読取システム

【課題】短時間で使用者の意図する画像データを入手し、且つ、画像入力装置−端末間を往復するような使用者の負荷を少なくすることを低コストで実現する画像読取システムを提供する。
【解決手段】画像読取装置2のROM22に保存された複数の読取条件220から複数の読取条件を選択し、スキャナ部26によって単一の原稿から複数の画像データを取得する。取得した画像データはメモリ23や、端末装置3のメモリ35や、記憶装置5、6、あるいはメモリカード280に保存する。保存が完了すると記憶処理完了情報222を端末装置3に送信する。端末装置3側では、記憶処理完了情報222に含まれるプログラム222bを実行することによって、画像データの内容を表示部34やプリンタ37で確認して、個々の画像データを削除するか否かを決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置及び画像読取システムに関する。
【背景技術】
【0002】
イメージスキャナに代表される画像入力装置において、特にLANに代表されるネットワークインターフェースを具備している画像入力装置(画像読取装置)は、読取を実施し取得した画像をファイルサーバーや使用者のPC(パーソナルコンピュータ)等の端末に送る機能を有しており、PCとの接続は必要とせず単体で動作できるため、複数人で共用して使用することが可能である。
【0003】
ただ、前記のような利点がある一方で、複数人が共用するという特徴から必ずしも使用者の近くに設置されることにはならず使用者から離れた場所に設置される場合もある。そのような場合、使用者は原稿を所持して画像入力装置まで行き、原稿を読み取った後、使用者のPC等の端末で、読み取った画像データを確認する。
【0004】
読み取った画像データが使用者の意図に合わない場合、再度画像入力装置に行き、読取条件設定を変更して原稿を読み取る。これを使用者の意図に合うまで繰り返す、もしくは、読取条件設定を切替えて複数回読取り、使用者の意図に合う画像データを選択する必要がある。
【0005】
この作業を軽減すべく、様々な技術が発明されている。例えば下記特許文献1では、読取条件を変える再設定の際に先回と同じ読取条件設定とならないように先回と同じ読取条件を呼び出すことができる。また特許文献2では、操作パネルのディスプレイに読取画像を縮小表示させ、使用者がその場で確認できることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−156180号公報
【特許文献2】特開2007−288454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1では、再読取の際の読取条件設定のための労力を減少させることはできるが、使用者の意図しなかった画像の場合は、画像入力装置まで移動を繰り返す必要がある。また特許文献2では、ある程度以上の画像を確認するためには、表示部が大きく、解像度の高いディスプレイを用意しなければならず、低コストを意識した製品に利用することは困難である。
【0008】
そこで本発明が解決しようとする課題は、上記問題点に鑑み、短時間で使用者の意図する画像データを入手し、且つ、画像入力装置−端末間を往復するような使用者の負荷を少なくすることを低コストで実現する画像読取装置及び画像読取システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0009】
上記課題を達成するために、本発明に係る画像読取装置は、端末装置等の他の電子機器と通信ネットワークを介して通信するためのネットワークインターフェースと、画像を読み取る読取部と、複数の画像読取条件を画像読取項目ごとに記憶する条件記憶部と、その条件記憶部に画像読取項目ごとに記憶された複数の画像読取条件のなかから所望の画像読取条件を選択する入力を受け付ける条件入力手段と、その条件入力手段が受け付けた各画像読取項目ごとの画像読取条件を組み合わせ順次切り替えて、前記読取部により単一の読取対象を繰り返し読み取って複数の画像データを取得するように制御する読取制御手段と、その複数の画像データを前記ネットワークインターフェースを介して他の電子機器へ出力する出力手段又は前記複数の画像データを記憶する画像記憶部と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
これにより本発明の画像読取装置では、1回の読取にて、装置内に記憶された読取条件のうちから使用者が望むだけの読取条件全てで読取りを実施することが可能となる。したがって、何度も画像読取装置とPC等の端末と往復することや、読取条件を変えるために何度も読取条件を設定し直して読み取ることが無くなり、1回の読取りで完了できるので、使用者の負荷が少なくなる。また、画像読取装置を動作させる時間が短くなることから、消費電力の低減につながる。
【0011】
また前記条件入力手段は、前記条件記憶部に記憶された各画像読取項目ごとの全ての画像読取条件を選択する入力を受け付ける全条件選択手段を備えたとしてもよい。
【0012】
これにより装置内に記憶された全ての読取条件を選択する全条件選択手段を備えるので、装置内に記憶された全ての読取条件を少ない操作で設定できることになり、操作性が向上し、使用者の操作時間を短縮することができる。
【0013】
また前記条件入力手段が受け付けた複数の画像読取条件を各画像読取項目ごとに組み合わせたもとで必要となる画像読取の総回数を算出する第1算出手段と、その第1算出手段で算出された前記総回数を報知する第1報知手段と、を備えたとしてもよい。
【0014】
これにより読取実施の総回数を使用者が知ることができるので、使用者の想定以上の読取回数の場合は総読取回数を減らす読取条件の再考を促すことができる。このため、使用者の想定以上の画像入力装置に対する拘束時間を少なくすることや、不必要な読取動作を防ぐことが可能となり、操作性が向上する。
【0015】
また前記条件入力手段が受け付けた複数の画像読取条件を各画像読取項目ごとに組み合わせたもとでの読み取られた画像を記憶する場合に必要な総記憶容量を算出する第2算出手段と、その第2算出手段で算出された前記総記憶容量を報知する第2報知手段と、を備えたとしてもよい。
【0016】
これにより読取実施により発生する画像データの総データ量を使用者が知ることにより、使用者の想定以上のデータ量の場合はデータ量を減らすための読取条件の再考を促すことができる。このため、画像入力装置への保存やネットワークに送信するデータ量を削減することができる。
【0017】
また個々の前記画像データに、その画像データを読み取った際の読取条件が含まれた名称を生成して付与する名称付与手段を備えたとしてもよい。
【0018】
これにより読取条件の設定を画像データを開くことなく確認できるため、使用者の操作性が向上する。
【0019】
また前記画像読取条件を分類し、分類された個々の前記画像読取条件に対応する複数のフォルダを作成し、複数の前記画像データを、その画像データを読み取った際の画像読取条件に対応する前記フォルダ内に格納する格納手段を備えたとしてもよい。
【0020】
これにより読取条件毎に分類して保存することにより、目的とするファイルを見つけ出すことや、読取条件の違いによる画像の比較を容易に行なうことができるため、使用者の操作性が向上する。
【0021】
また本発明の画像読取システムは、上記いずれかの画像読取装置と端末装置と画像記憶部とが通信可能に接続された画像読取システムであって、前記画像読取装置は、前記読取制御手段の制御によって読み取られた複数の画像データを前記画像記憶部に記憶させる記憶制御手段と、その記憶制御手段による記憶処理が完了したら処理プログラムを前記端末装置へ送信する送信手段と、を備え、前記処理プログラムは、前記端末装置を、前記画像記憶部に記憶された前記複数の画像データを画像内容が視認可能なように出力する出力手段と、前記画像記憶部に記憶された前記複数の画像データのそれぞれを削除するか否かを指令する入力を受け付ける指令入力手段と、して機能させることを特徴とする。
【0022】
これにより本発明の画像読取システムでは、読取を実施して画像記憶部に画像を記憶した後に、端末装置へ向けて不要な画像データファイルの削除を促すので、画像データファイルの蓄積によるデータ保存領域不足となる可能性を少なくでき、画像読取装置のメンテナンス性を向上させることができる。さらに画像記憶部に作成した画像データを保存あるいは一時保存しておくことが可能になるため、ネットワーク上や端末上にデータを流す量を抑えることができ、データ増加によるネットワークや端末の異常を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態における画像読取システムの構成図。
【図2】画像の読取りの処理手順を示すフローチャート。
【図3】画像読取条件の表示例を示す図。
【図4】読取りの総回数の表示例を示す図。
【図5】必要記憶容量の表示例を示す図。
【図6】フォルダの構造の例を示す図。
【図7】フォルダの構造の別の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。まず図1は、本発明の一実施形態における画像読取システム1の構成図である。
【0025】
図1の構成例では、画像読取システム1は画像読取装置2(画像入力装置)、端末装置3、記憶装置6を備え、これらがLAN等の通信網4を通して接続されている。
【0026】
画像読取装置1はCPU20、RAM21、ROM22、メモリ23、操作入力部24、表示部25、スキャナ部26、インターフェイス(I/F)部27、メモリカードインターフェイス28(メモリカードI/F)を備え、それらがバスで接続されて情報の受け渡しが可能とされている。CPU20は各種情報処理を実行し、RAM21はその作業領域としての記憶部を構成する。ROM22は各種情報を記憶し、特に後述する読取条件220、プログラム221、完了情報222を記憶する。
【0027】
メモリ23は不揮発性の記憶部とし、例えばハードディスクドライブやフラッシュメモリとすればよい。後述するように、本実施形態ではメモリ23には画像データを記憶する。操作入力部24は使用者からの各種操作入力を受け付ける。表示部25は例えば液晶ディスプレイ(LCD)で構成されて各種情報を表示する。スキャナ部26は光源、レンズ、ミラー、イメージセンサで構成されて、原稿やシートから画像を読み取って色情報を電気信号に変換して画像データを生成する。スキャナ部26はフラットベッド方式であっても、シートスルー方式であってもよい。
【0028】
I/F部27は画像読取装置2と通信網4との接続のために用いられる。またI/F部27には記憶装置5(外部記憶装置)を接続することができる。記憶装置5との接続は、例えばUSB接続やシリアル接続でよい。記憶装置5は例えば外付けハードディスクやUSBメモリなどでもよい。また画像読取装置2はメモリカードI/F28を介してメモリカード280を装着して、各種情報をメモリカード280に記憶することができる。
【0029】
次に、端末装置3は例えばPCとすればよく、CPU30、RAM31、ROM32、操作入力部33、表示部34、メモリ35、インターフェイス(I/F)部36を備え、それらがバスで接続されて情報の受け渡しが可能とされている。CPU30は各種情報処理を実行し、RAM31はその作業領域としての記憶部を構成する。ROM32は各種情報を記憶する。
【0030】
操作入力部33は使用者からの各種操作入力を受け付ける。表示部34は例えばLCDとして各種情報を表示する。メモリ35は不揮発性の記憶部とし、例えばハードディスクドライブやフラッシュメモリとすればよい。I/F部36は端末装置3と通信網4との接続のために用いられる。またI/F部36にはプリンタ37を接続することができる。
【0031】
なお図1の構成では、メモリ23、メモリ35、記憶装置5、記憶装置6、メモリカード280の全てが装備されていなくてもよく、これらのうちの少なくとも1つが装備されているとすればよい。メモリ23、メモリ35、記憶装置5、記憶装置6、メモリカード280は本実施形態で読み取られる複数の画像データを格納することができる記憶容量を備えるとする。メモリ23、メモリ35、記憶装置5、記憶装置6、メモリカード280を画像記憶部と称する。
【0032】
こうした構成を用いて本実施形態では、複数の読取条件のもとで単一の原稿から複数の画像データを読み取ることで、適切な読取条件の設定の煩雑さを回避する。その処理手順が図2に示されている。図2における画像読取装置2側の処理手順はプログラム化されてプログラム221としてROM22に記憶されており、これを実行することによって(使用者によって操作する部分を除いて)CPU20によって順次自動的に処理されるとすればよい。
【0033】
図2の処理ではまず手順S10で使用者が画像読取条件を入力する。この手順では、表示部25に画像読取条件(読取条件)が表示されて、使用者がそれを見て操作入力部24を用いて読取条件を選択すればよい。この手順での表示部25における読取条件の表示例が図3に示されている。図3の例では表示部25はタッチパネルであり操作入力部24を兼ねるとする。
【0034】
図3の例では、まず最初の画面では、領域250に「解像度」、「原稿サイズ」、「原稿種類」、「原稿方向」、「濃度」、「画像処理」の読取条件の全読取項目が表示されている。
【0035】
そのうちで例えば「解像度」を選択すると、次の画面で領域251に「100dpi」、「200dpi」、「300dpi」、「400dpi」、「500dpi」、「600dpi」との解像度の全選択肢が表示される。使用者はこのうちから所望の解像度を1つ、あるいは複数選択する。また領域251には「全解像度」ボタン252も表示されており、これを選択すると上記全ての解像度が1つの操作(ワンクリック)で選択できる。
【0036】
また上記読取項目のうちで「原稿方向」を選択すると、次の画面で領域253に「縦」、「横」の原稿方向の全選択肢が表示される。使用者はこのうちから所望の原稿方向を1つ、あるいは2つ選択する。また領域253には「全方向」ボタン254も表示されており、これを選択すると上記全ての原稿方向が1つの操作(ワンクリック)で選択できる。
【0037】
また上記読取項目のうちで「原稿種類」を選択すると、次の画面で領域255に「白黒」、「グレースケール」、「フルカラー」の原稿種類の全選択肢が表示される。使用者はこのうちから所望の原稿種類を1つ、あるいは複数選択する。また領域255には「全種類」ボタン256も表示されており、これを選択すると上記全ての原稿種類が1つの操作(ワンクリック)で選択できる。
【0038】
さらに使用者が上記読取項目のうちで「原稿サイズ」、「濃度」、「画像処理」を選択した場合にも、次の画面で各々の項目での全読取条件が表示されて、使用者はそのなかから1つ、あるいは複数選択できる。以上のとおり、本システムでは、予め全読取条件が保存されており、使用者に対して全ての読取条件を読取項目ごとに表示(報知)して、そのなかから使用者が1つ、あるいは複数の読取条件を(あるいはワンクリックで全読取条件を)選択できるように構成されている。
【0039】
次にS20で総読取回数を表示する。具体的には、上述のS10で使用者により設定された読取条件で画像の読取りを実行すれば読取の総回数はいくつになるかをCPU20が算出して表示部25に表示する。読取の総回数は、全ての画像読取項目における選択された画像読取条件の数の積となる。S20における表示例が図4に示されている。この表示例では領域257に読取の総回数を表示している。
【0040】
次にS30で読み取られた全ての画像の記憶のために必要となる総記憶容量を表示する。具体的には、上述のS10で使用者により設定された読取条件で画像の読取りを実行すれば必要となる記憶容量はどれだけになるかをCPU20が算出して表示部25に表示する。その表示例が図5に示されている。この表示例では領域258に必要となる総記憶容量を表示している。
【0041】
次にS35で読取りを開始するかを使用者に質問する表示を行い、使用者からの回答を求める。使用者からの回答が読取りの開始の指示ならば(S35:YES)S40へ進み、読取りの開始の指示でないならば(S35:NO)再びS10へ戻り、読取条件の設定をやり直す。
【0042】
このようにS20、S30で読取りの総回数や必要な記憶容量をユーザに知らせた上で使用者に読取りを開始してよいか確認するので、使用者が読取りの総回数や必要な記憶容量の値が大きすぎる、あるいは小さいのでまだ余裕があると判断した場合には読取条件を設定し直せる。
【0043】
次にS40ではスキャナ部26で原稿の読取りを実行する。スキャナ部26がフラットベッド方式であれば原稿台260(図1参照)に読取対象(例えば原稿)を載置する。そして、単一の原稿から、S10で設定した読取条件をCPU20が順次切り替えて読取りを繰り返すことによって複数の画像データを取得する。
【0044】
スキャナ部26がシートスルー方式であれば読取対象(例えば原稿やシート)を例えば自動給紙装置261(ADF:Automatic Document Feeder)に設置してまず最初の読取条件に従って読取りを実行し、次に使用者に原稿の再設置を求める報知を例えば表示部25に行い、同じ原稿が再設置されたら、(例えば使用者による読取り指令後に)次の読取条件に従って読取りを実行する。以下同様の手順を繰り返すことによって単一の原稿から複数の画像データを取得する。
【0045】
こうして単一の原稿から複数の画像データが取得されたら、次にS50でフォルダを作成して、フォルダ名を自動的に生成して付与する。さらにS60で各画像データにデータ名を自動的に生成して付与し、S70で画像データをフォルダ内に格納する。S50からS70で作成、生成されたフォルダや画像データの名前や格納の例が図6、あるいは図7に示されている。
【0046】
図6あるいは図7の例では、CPU20がフォルダ7を生成し、さらにその下部に複数のサブフォルダ70を生成している。図7の例ではさらに個々のサブフォルダ70の下位の階層に複数のサブフォルダ71を生成している。
【0047】
図6、7ではCPU20は自動的にフォルダ7に「スキャン1」との名称を付与し、サブフォルダ70のそれぞれに「100dpi」、「200dpi」、「300dpi」、「400dpi」、「500dpi」、「600dpi」との名称を付与し、サブフォルダ71のそれぞれに「フルカラー」、「白黒」、「グレースケール」との名称を付与している。フォルダ7の名称の付け方は、予め候補を例えばROM22に順番付きで記憶しておき、そのなかからCPU20が順番に選択すればよい。
【0048】
次にサブフォルダ70、71の作成方法と名称のつけ方の例を説明する。まず、S10において画像読取条件が設定された画像読取項目のうちで複数の選択肢が選択された画像読取項目を複数選択項目とする。サブフォルダ70、71は複数選択項目における選択された読取条件を名称として生成する。複数選択項目が複数の場合に、どの画像読取項目でサブフォルダ70、71を生成するか、どの画像読取項目をより上位の階層のサブフォルダとするかは、あらかじめルーチンを定めておき、それに従ってCPU20が生成してもよい。
【0049】
そのルーチンとしては例えば、読取項目に優先順位を定めておき、複数選択項目のうちで優先順位が上位の所定個の読取項目に関してサブフォルダを生成する。その際、優先順位が上位の読取項目をより上位の階層のサブフォルダとするとしてもよい。あるいは使用者が優先順位を操作入力部24を用いて入力できるようにしてもよい。この場合、柔軟に使用者の要望に沿ったフォルダ構造を作成できる利点がある。
【0050】
次にCPU20は各サブフォルダ70あるいは71内に画像データ8を格納する。画像データ8の格納方法としては、サブフォルダ70あるいは71の名称とされた読取条件に従って読み取られた画像データ8を、そのサブフォルダ70あるいは71内に格納すればよい。
【0051】
各画像データ8への名称の付け方としては、例えば各画像データ8における複数選択項目における当該画像データ8の読取条件を併置したものを各画像データ8の名称とすればよい。図6、7の例では、「解像度」、「原稿種類」、「原稿方向」が複数選択項目である。そこで図6、7では上記ルーチンに従って画像データ8に、「100dpiフルカラー縦」、「100dpi白黒縦」等と名称を付与している。
【0052】
次にS80で、S50、S60で生成されてS70で画像データ8が格納されたフォルダ7を、画像記憶部、つまりメモリ23、メモリ35、記憶装置5、記憶装置6、メモリカード280のうちの少なくとも1つ(装備されているもの)に送信して記憶する。送信の方法としては、最初の画像読取の前に空のフォルダ7、サブフォルダ70、71を送信して画像記憶部に記憶させておき、その後画像を読み取るごとに1つずつ画像データ8を送信してフォルダ7、サブフォルダ70、71内の所望の場所に格納し、最終的に図6、7のように記憶させるとしてもよい。
【0053】
S90では記憶処理完了情報222(完了情報)を端末装置3に送信する。記憶処理完了情報222は、S80でのフォルダ7の記憶処理が完了したことを報知する情報222aと、処理プログラム222b(プログラム)とを含んで構成されており、図1のとおりROM22に記憶されている。完了情報222は例えば電子メール形式の情報として端末装置3に送信してもよい。
【0054】
次に端末装置3側の処理手順を説明する。まず、端末装置3では、S90で送信された完了情報222を受信して、S100で、記憶処理が完了したとの情報222aを表示部34に表示する。その際に完了情報222には画像データ8の記憶場所(つまりフォルダ7の記憶場所)の情報が含まれており、S100ではその情報を表示してもよい。
【0055】
次に、例えば使用者が操作入力部33を用いて、受信した完了情報222の中に含まれる(あるいは電子メール形式の場合は添付された)プログラム222bを起動することにより(あるいはプログラム222bが自動的に起動することにより)、以下のS110、S120がCPU30によって、使用者による操作以外は自動的に順次実行される。以下でこれを説明する。
【0056】
S110では個々の画像データ8を出力する。ここでの出力とは、具体的には表示部34への表示、あるいはプリンタ37での印刷を指すとする。使用者は操作入力部33を用いることで記憶部に記憶された個々の画像データ8を順に表示あるいは印刷する。
【0057】
次にS120では個々の画像データ8を保存するか削除するかを選択して実行する処理を行う。具体的には、S110で個々の画像を見た使用者が操作入力部33を用いて、その画像を保存するか(保存したままにするか)削除するかを選択する。以上が図2の処理である。
【0058】
以上の処理の結果、記憶部には使用者が個々の画像データ8を出力(表示あるいは印刷)した上で確認して保存しておいた方がいいと判断した画像データ8のみが保存されることとなる。その後、保存された画像データ8のうちからさらに望ましい画像を、同じ使用者あるいは別の使用者が各種作業で利用すればよい。メモリカード280に保存されている場合にはメモリカード280を抜き取って他の場所に持ち運んで利用すればよい。
【0059】
上記実施形態において、メモリ23、メモリ35、記憶装置5、記憶装置6、メモリカード280(の少なくとも1つ)が画像記憶部を構成する。スキャナ部26が読取部を構成する。ROM22が条件記憶部を構成する。S10の手順が条件入力手段を構成する。S40の手順が読取制御手段を構成する。S80の手順が記憶制御手段を構成する。
【0060】
S90の手順が送信手段を構成する。S110の手順が出力手段を構成する。S120の手順が指令入力手段を構成する。ボタン(ソフトボタン)252、254、256が全条件選択手段を構成する。S20の手順が第1報知手段を構成する。S30の手順が第2報知手段を構成する。S60の手順が名称付与手段を構成する。S70の手順が格納手段を構成する。
【符号の説明】
【0061】
1 画像読取システム
2 画像読取装置
3 端末装置
4 通信網
5 記憶装置(画像記憶部)
6 記憶装置(画像記憶部)
23 メモリ(画像記憶部)
35 メモリ(画像記憶部)
222b 処理プログラム
280 メモリカード(画像記憶部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置等の他の電子機器と通信ネットワークを介して通信するためのネットワークインターフェースと、
画像を読み取る読取部と、
複数の画像読取条件を画像読取項目ごとに記憶する条件記憶部と、
その条件記憶部に画像読取項目ごとに記憶された複数の画像読取条件のなかから所望の画像読取条件を選択する入力を受け付ける条件入力手段と、
その条件入力手段が受け付けた各画像読取項目ごとの画像読取条件を組み合わせ順次切り替えて、前記読取部により単一の読取対象を繰り返し読み取って複数の画像データを取得するように制御する読取制御手段と、
その複数の画像データを前記ネットワークインターフェースを介して他の電子機器へ出力する出力手段又は前記複数の画像データを記憶する画像記憶部と、
を備えたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記条件入力手段は、前記条件記憶部に記憶された各画像読取項目ごとの全ての画像読取条件を一括して選択する入力を受け付ける全条件選択手段を備えた請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記条件入力手段が受け付けた複数の画像読取条件を各画像読取項目ごとに組み合わせたもとで必要となる画像読取の総回数を算出する第1算出手段と、
その第1算出手段で算出された前記総回数を報知する第1報知手段と、
を備えた請求項1又は2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記条件入力手段が受け付けた複数の画像読取条件を各画像読取項目ごとに組み合わせたもとでの読み取られた画像を記憶する場合に必要な総記憶容量を算出する第2算出手段と、
その第2算出手段で算出された前記総記憶容量を報知する第2報知手段と、
を備えた請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項5】
個々の前記画像データに、その画像データを読み取った際の読取条件が含まれた名称を生成して付与する名称付与手段を備えた請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記画像読取条件を分類し、分類された個々の前記画像読取条件に対応する複数のフォルダを作成し、複数の前記画像データを、その画像データを読み取った際の画像読取条件に対応する前記フォルダ内に格納する格納手段を備えた請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像読取装置と端末装置と画像記憶部とが通信可能に接続された画像読取システムであって、
前記画像読取装置は、
前記読取制御手段の制御によって読み取られた複数の画像データを前記画像記憶部に記憶させる記憶制御手段と、
その記憶制御手段による記憶処理が完了したら処理プログラムを前記端末装置へ送信する送信手段と、
を備え、
前記処理プログラムは、前記端末装置を、
前記画像記憶部に記憶された前記複数の画像データを画像内容が視認可能なように出力する出力手段と、
前記画像記憶部に記憶された前記複数の画像データのそれぞれを削除するか否かを指令する入力を受け付ける指令入力手段と、
して機能させることを特徴とする画像読取システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−177785(P2010−177785A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−15627(P2009−15627)
【出願日】平成21年1月27日(2009.1.27)
【出願人】(000006932)リコーエレメックス株式会社 (708)
【Fターム(参考)】