説明

画像読取装置

【課題】本発明の目的は、プラテンガラス上に滞留する浮遊ゴミやプラテンガラスに付着する付着ゴミに起因するスジ画像の発生を防止することである。
【解決手段】原稿Pの画像情報を読み取る読取位置160に設けられたプラテンガラス161と、前記プラテンガラス161と所定の隙間をもって対向するプラテンローラ24と、を有し、前記読取位置160上を搬送される原稿Pの画像を読み取ることが可能な画像読取装置150であって、エアーを供給するファン165と、前記ファン165から供給されたエアーを噴射するフラットエアーノズル166と、を有し、前記フラットエアーノズル166を、前記読取位置160よりも原稿搬送方向上流側に、原稿搬送方向と交差する幅方向全域にわたって設け、前記プラテンガラス161と原稿Pとの間にエアーを噴射するように設けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿の画像を読み取る画像読取装置に関し、例えば、スキャナ等の画像読取装置或いは複写機やファクシミリ装置等に設けられた画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機やファクシミリ装置等に設けられた画像読取装置には、読取対象物であるシート状の原稿を画像読取装置に自動給送するため、原稿自動搬送装置の一例である原稿処理装置(ADF:AutoDocumentFeeder)を開閉自在に備えたものがある。
【0003】
この原稿処理装置を備えた画像読取装置の読取方法の1つに、特開2002−354193号公報(以下、特許文献1という)に開示されている、所謂流し読みという画像読取方法がある。この流し読み方法は、まず原稿処理装置の下方に設けられた読取装置をモータにより設定位置(読取位置)に移動して停止させる。その後、前記読取位置上を所定速度で搬送される原稿に対してランプユニットから光を出射して走査を行い、その反射光を読取装置により検出することで画像を読み取る方法(以下、流し読みという)である。
【0004】
この流し読みを用いた原稿処理装置の読取位置近傍の構成を図9に示す。図9(a)に示す構成では、読取位置αの上流側と下流側に搬送ローラ対402,403を配し、読取位置α略上方にプラテンガラス404と所定の隙間を形成するガイド部材405を設けている。そして、読取装置401を読取位置αに移動して、原稿Pを前記隙間で規制しながら読取位置上401を一定の速度で搬送することで、原稿搬送時の速度変動を抑えて画像の読み取りを行っている。このとき、図9に示すように、読取位置αは原稿Pとプラテンガラス404とが接触する位置よりも上流に設けられ、この読取位置αにおいて原稿Pはプラテンガラス404から少し浮いた状態で画像を読み取られる。
【0005】
また、図9(a)に示すガイド部材405の代わりに、図9(b)に示すように駆動手段により回転可能なプラテンローラ406を設け、図9(a)に示すガイド部材405より微小な隙間で原稿Pをプラテンガラス404側に押し付けて搬送を行う構成もある。このプラテンローラ406は、コンタクトイメージセンサ(CIS)などの読取深度が浅い読取装置401に対し、原稿Pの浮きを防止する構成として用いられる。このときの読取位置βは、プラテンローラ406近傍の原稿Pとプラテンガラス404が接触している位置に設けられている。
【0006】
【特許文献1】特開2002−354193号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前述した従来の流し読み可能な画像読取装置には、以下のような問題があった。
【0008】
図9(a)に示す構成では、原稿Pの画像読み取りは、原稿Pがプラテンガラス404に接触していない位置(原稿とプラテンガラスとの接触位置よりも搬送方向上流側の読取位置α)で行われている。このため、原稿搬送で発生したトナー粉、紙粉、ゴムカス(ローラーゴム等)等の浮遊ゴミが飛散してプラテンガラス404上の読取位置αに滞留してしまう可能性がある。この読取位置αに前記浮遊ゴミが滞留してしまうと、前記浮遊ゴミがスジ画像として読み取られてしまうおそれがある。
【0009】
一方、図9(b)に示す構成では、原稿Pがプラテンガラス404に接触している位置を読取位置βに設定している。しかしながら、読取位置βにおいて原稿Pがプラテンガラス404と摺擦するため、原稿P上に付着しているインクや修正液、糊等のゴミ(付着ゴミ)がプラテンガラス404上に付着し易くなる。このため、プラテンガラス404上の読取位置βに前記付着ゴミが付着した場合にスジ画像として読み取られてしまうおそれがある。
【0010】
このように、従来の流し読み構成では、前述したような浮遊ゴミや付着ゴミに起因するスジ画像の発生を防止することが困難であった。
【0011】
そこで、本発明の目的は、プラテンガラス上に滞留する浮遊ゴミやプラテンガラスに付着する付着ゴミに起因するスジ画像の発生を防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するための本発明の代表的な構成は、原稿の画像情報を読み取る読取位置に設けられたプラテンガラスと、前記プラテンガラスと所定の隙間をもって対向する対向部材と、を有し、前記読取位置上を搬送される原稿の画像を読み取ることが可能な画像読取装置であって、空気を供給する空気供給手段と、前記空気供給手段から供給された空気を噴射する空気噴射部と、を有し、前記空気噴射部を、前記読取位置よりも原稿搬送方向上流側に、原稿搬送方向と交差する幅方向全域にわたって設け、前記プラテンガラスと原稿との間に空気を噴射するように設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、空気噴射部から噴射された空気によりプラテンガラス上に空気層をつくることで、原稿をプラテンガラスに接触させずに安定した搬送を行うことができる。更に前記噴射された空気により、浮遊ゴミがプラテンガラス上に滞留することや、プラテンガラス上にゴミが付着することを防止することができ、前記浮遊ゴミや前記付着ゴミに起因するスジ画像の発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。なお、ここでは、本発明の実施形態に係る画像読取装置を備えた画像形成装置としての複写機を例示して説明する。
【0015】
〔画像形成装置の説明〕
図1及び図2において、画像形成装置1は、装置上部に原稿などの読取対象物の画像読み取りを行う画像読取装置としてのリーダ部150、装置下部に記録シートなどの記録対象物に画像記録を行う画像記録装置としてのプリンタ部300を有している。更に前記リーダ部150は、その上部に原稿の自動給送を行う原稿自動搬送装置の一例である原稿処理装置(ADF:AutoDocumentFeeder)2を有している。
【0016】
〔リーダ部の説明〕
リーダ部150は、原稿Pの画像面に対して光を照射するランプ152や、ランプ152にて照射された光に対応する原稿Pからの反射光を、レンズ157およびCCD158に導くミラー153,155,156などを有しており、これらによって原稿の画像を読み取る読取手段を構成している。ランプ152とミラー153は第1光学台159に取り付けられ、ミラー155,156は第2光学台151に取り付けられている。
【0017】
また、光学台159,151は、ワイヤによってモータ314(図5参照)と結合され、モータ314の回転駆動により原稿台ガラス3と平行に移動制御される。
【0018】
ポジションセンサ315(図3参照)は、第1光学台159のホームポジション位置を検知するためのセンサである。ポジションセンサ315の位置を基準にしてモータ314を正転又は逆転することにより光学台159,151を移動し、原稿台ガラス3上の原稿を光学的に走査する。
【0019】
また、モータ314(図5参照)は、ステッピングモータにより構成されている。このモータ314には、エンコーダ302(図3参照)が接続されており、このエンコーダ302の出力により光学台159,151が何パルス分移動したかを認識できるようになっている。すなわち、ポジションセンサ315とエンコーダ302からのエンコーダーパルスにより、光学台159,151の位置を把握することが可能である。
【0020】
原稿からの反射光は、ミラー153,155,156を介してレンズ157に導かれ、レンズ157によってCCD158上に集光される。CCD158は、原稿情報を反映した上記反射光を光電変換し、電子的な画像信号として出力する。
【0021】
このような構成下で、流し読みモード又は静止読みモードのいずれかのモードで原稿の画像情報を読み取ることができる。流し読みモードは、第1光学台159を原稿読取位置160に停止させた状態で、原稿処理装置2により原稿を搬送させながら原稿情報を読み取るモードである。一方、静止読みモードは、原稿を原稿台ガラス3上に固定的に載置して、光学台159,151を副走査方向に移動させながら原稿情報を読み取るモードである。
【0022】
図3はリーダ部の制御系の概略構成を示すブロック図である。図3において、152は原稿の画像面に光を照射するランプ、314は光学台159,151を副走査方向に移動し原稿を走査するモータ、302はモータ314に接続されたエンコーダ、158は原稿の画像面からの反射光を光電変換するCCD、301はCCD158の出力信号をA/D変換するA/D変換回路、315は光学台159をホームポジションに位置決めするためのポジションセンサ、303はADF原稿読取モード(流し読みモード)における正規の原稿読取位置を設定するためのバックアップRAM、304は制御手段としてのスキャナコントローラである。165はエアー(空気)を供給するエアー供給手段としてのファンである。
【0023】
〔プリンタ部の説明〕
プリンタ部300は周知の静電潜像画像形成を用いた画像記録装置である。図2を用いて画像出力部であるプリンタ部300の説明をする。
【0024】
図2において、100は上段カセットで、カセット内の記録シートは分離爪と給送ローラ101の作用によって1枚ずつ分離給送されてレジストローラ106に導かれる。102は下段カセットで、カセット内の記録シートは分離爪と給送ローラ103の作用によって1枚ずつ分離給送されてレジストローラ106に導かれる。104は手差しガイドで、1枚ずつ記録シートがローラ105を介してレジストローラ106に導かれる。108はシート積載装置(デッキタイプ)で、モータ等により昇降する中板108aを備え、中板108a上の記録シートは、給送ローラ109と分離爪の作用により1枚ずつ分離給送されて搬送ローラ110に導かれる。
【0025】
112は感光体ドラム、114は現像器、115は転写帯電器、116は分離帯電器であり、画像形成部を構成する。
【0026】
117は画像形成された記録シートを搬送する搬送ベルト、118は定着装置、119は搬送ローラ、120はダイバータである。画像形成された記録シートはダイバータ120によって排出ローラ121に導かれ、シート処理装置としてのソータ122内に搬送される。ソータ122は、ノンソートトレイ122a、ソートビントレイ122b、ノンソートトレイ排出ローラ122c、ソートビントレイ排出ローラ122dを有し、ノンソートトレイとソートビントレイが昇降して記録シートを一段ずつ区分けする。尚、ソータに代わって、排出トレイを装着する場合もある。
【0027】
両面複写、多重複写の場合には、一方の面に画像が定着された記録シートは、定着後、ダイバータ120により分岐されて搬送ローラ201により搬送される。両面複写の場合には、記録シートはベルト202,204、パス206、排出ローラ205を経て中間トレイ200に排出される。多重複写の場合には、記録シートはダイバータ203により中間トレイ200に排出される。209,210は中間トレイ200上の記録シートを給送する半月ローラ、211は記録シートを一枚ずつ分離給送する分離ローラ対、213,214,215は記録シートをレジストローラ106へ搬送する搬送ローラである。
【0028】
〔原稿処理装置の説明〕
原稿処理装置2は、リーダ部150の上方にヒンジ機構95,96(図2参照)を介してプラテンガラス161、原稿台ガラス3に対して開閉可能に設けられている。以下、原稿処理装置2の詳細を図1に基づいて説明する。
【0029】
〔原稿トレイ部の説明〕
図1において、原稿トレイ4は、読取対象物としてのシート状の原稿Pを積載するためのものである。原稿トレイ4には一対の幅方向規制板49が原稿の幅方向にスライド自在に配置されている。幅方向規制板49によって原稿トレイ4に積載される原稿Pの幅方向を規制することで給送時の搬送安定性を確保できる。
【0030】
〔分離部の説明〕
原稿トレイ4の上方には、給送ローラ5が設けられている。給送ローラ5は分離搬送ローラ8の回転駆動に連れて回転し、シート原稿を給送する。
【0031】
給送ローラ5は通常、ホームポジションである上方(図中点線位置)に待避している位置をとり、原稿セット作業を阻害しないようにしている。給送動作が開始されると図中実線位置に下降して原稿Pの上面に当接する。給送ローラ5は揺動可能なアームに軸支されるので、該アームを揺動して給送ローラ5を上下に動かせる。
【0032】
分離パッド6は分離搬送ローラ8の対向側に配置され、分離搬送ローラ8側に圧を加えている。分離パッド6は分離搬送ローラ8より摩擦が若干小さいゴム材料などで形成され、給送ローラ5にて給送される原稿Pを一枚毎にさばき、分離搬送ローラ8で給送する。
【0033】
〔搬送部の説明〕
レジストローラ12、レジスト従動ローラ11は分離部6,8にて給送された原稿の先端をそろえるレジスト手段であり、静止したレジストローラ対11、12のニップ部に向けて分離した原稿先端を突き当て、原稿にループを生じさせて先端をそろえている。
【0034】
次に原稿はリードローラ22、リード従動ローラ14によりプラテンガラス161に向けて搬送される。プラテンガラス161は原稿の画像情報を読み取る読取位置160に設けられている。プラテンガラス161の対向位置には所定の隙間をもって対向部材ととしてのプラテンローラ24が設けられている。プラテンガラス161に搬送された原稿は、読取位置160にて画像情報が読み取られる。読取位置160を通過した原稿は、ガイド部材としてのジャンプ台162によりすくい上げられ、リード排出ローラ23、リード排出従動ローラ16により搬送される。
【0035】
画像読み取りが終了すると、原稿は排出ローラ18により排出トレイ10に排出される。原稿の表裏面の画像を読み取る両面モード時には、原稿を排出ローラ18にて排出せずスイッチバックして、上方の紙パスに案内してレジストローラ11,12に向けて搬送する。原稿がレジストローラ11,12に到達すると、上記原稿の表面の読み取りと同様に原稿の裏面の読み取りが行われる。
【0036】
〔駆動系の説明〕
図5を用いて上記原稿処理装置2の各ローラなどを駆動するための駆動系の説明をする。
【0037】
分離モータ50はステッピングモータであり、正逆転により原稿の分離・搬送を行う。分離モータ50が給送方向に回転したときには、給送ローラ5がホームポジションである上方(図中点線位置)から降下し、原稿トレイ4上の最上位のシート原稿に圧接させると共に、給送ローラ5と分離ローラ8を駆動する。
【0038】
分離モータ50が給送方向とは逆方向に回転したときには、給送ローラ5をホームポジション位置である上方(図中点線位置)に持上げ保持すると共に、レジストローラ12を駆動する。
【0039】
リードモータ51はリードローラ22、プラテンローラ24、リード排出ローラ23、排出ローラ18を駆動するステッピングモータである。搬送される原稿の画像を読み取る速度で各ローラを駆動する。
【0040】
離間ソレノイド57は両面原稿スイッチバック時に、排出ローラ18の従動コロを圧着・離間させる。
【0041】
〔センサの説明〕
更に図5を用いて上記原稿処理装置2の各センサの説明をする。
【0042】
原稿トレイ4にはシート原稿Pがセットされたことを検出する透過型の光センサである原稿セット検知センサ40が設けられている。
【0043】
また、幅方向規制板49の位置を検出する事により原稿トレイ4上にセットされた原稿束Pの幅方向の長さを検知する原稿幅検知センサ44が原稿トレイ4の下部に設けられている。
【0044】
分離ローラ8とレジストローラ12の間には原稿を検知する透過型の光センサであるレジストセンサ7が設けられ、分離給送された原稿の先端を検知し、レジストローラ12への突き当て量(ループ量)を制御するタイミングなどを検知している。
【0045】
リードローラ22の直後に原稿を検知する反射型光センサであるリードセンサ13が設けられ、流し読みモード時の原稿読取位置160での画像読み取り開始タイミングの基準信号としている。
【0046】
排出ローラ18の直前には原稿を検知する透過型光センサである排出センサ17が設けられ、原稿の排出タイミングなどを検知している。
【0047】
〔給送動作の説明〕
原稿セット検知センサ40によって原稿トレイ4上にある原稿Pが検知されると、給送ローラ5が降下して原稿束上に当接する。
【0048】
複写機の操作部で複写条件が入力されスタートキーが押されると、原稿トレイ4上の原稿幅検知センサ44によって原稿サイズの検出が行われる。さらに、分離ソレノイド57の保持が解除され原稿は給送ローラ5の給送力を受けて下流部へ進出する。
【0049】
次に原稿トレイ4から進出してきた原稿Pを分離部6,8により一枚毎に分離して下流部に搬送する。
【0050】
分離部6,8を通過した原稿Pはレジストローラ12で先端を揃えてレジストローラ12にて搬送する。
【0051】
原稿は、先端がリードローラ22に到達してプラテンガラス161に向けて搬送される。そして、原稿は、プラテンローラ24及びリード排出ローラ23にて搬送されながら、原稿読取位置160にて画像の読み取りが行われる。画像読み取りが終了すると、排出ローラ18で排出トレイ10に積載される。
【0052】
両面モード時には、原稿を排出ローラ18にて排出せずスイッチバックして、上方の紙パスに案内してレジストローラ11,12に向けて搬送する。原稿がレジストローラ11,12に到達すると、上記原稿の表面の読み取りと同様に原稿の裏面の読み取りが行われる。
【0053】
〔制御回路のブロック説明〕
図4は、本実施形態に係る原稿処理装置2の制御装置の回路構成を示すブロック図であり、制御回路はマイクロプロセッサ(CPU)54を中心に構成されており、CPU54の入出力ポートには、各種負荷のドライブ回路およびセンサ信号が接続される。
【0054】
また、制御回路はバッテリによりバックアップされるRAMと、制御シーケンスソフトの格納されたROMを備えている。また、55は通信用ICであり、画像形成装置本体(プリンタ部300)とのデータ通信を制御するためのものである。
【0055】
分離モータ50とリードモータ51は各ステッピングモータドライバによって駆動される。各ドライバには、CPU54から相励磁信号とモータ電流制御信号が入力されている。離間ソレノイド57はドライバによって駆動され、CPU54の入出力ポートに接続された信号によって、その動作を制御されるものである。
【0056】
レジストセンサ7、原稿セット検知センサ40、リードセンサ13、排出センサ17、原稿幅検知センサ44等の各種センサは、CPU54の入力ポートに接続されて、装置内における、原稿の挙動をおよび、可動負荷の挙動をモニターするために用いられる。
【0057】
〔画像読取部の説明〕
図6〜図8を用いて原稿の画像を読み取る画像読取部の説明をする。
【0058】
図6〜図8において、161はプラテンガラスであり、原稿の画像を読み取る読取位置160に設けられ、ガラス表面にはECコート(透明導電コート)が施されている。
【0059】
24は対向部材としての白色プラテンローラであり、前記プラテンガラス161と対向する位置に所定の間隔をもって設けられ、リードモータ51の駆動により搬送方向に回転する。またプラテンローラ24は、プラテンガラス161とのギャップがガラス突き当て手段により所定の間隔(ここでは0.5mm)に保証されている。25は従動回転体としてのシート押さえコロであり、読取位置160よりも原稿搬送方向上流側においてプラテンガラス161とのギャップは所定の間隔(ここでは0.8mm)に保証されている。
【0060】
28は白色のポリエステルフィルムであり、プラテンローラ24とシート押さえコロ25を抱え、リードローラ22を支点に揺動自在に設けられた揺動部材29に取り付けられ、プラテンローラ24近傍の白色度を安定させる。
【0061】
空気噴射部としてのフラットエアーノズル166は、空気供給手段としてのファン165から供給されたエアーを噴射するものである。このフラットエアーノズル166は、読取位置160よりも原稿搬送方向上流側に設けられている。またフラットエアーノズル166は、図7に示すように、原稿搬送方向と交差する幅方向全域にわたって設けられている。このフラットエアーノズル166は、プラテンガラス161と原稿との間にエアーを噴射するように設けられている。このフラットエアーノズル166の開口面積は1×300mmである。フラットエアーノズル166から噴射するエアーは前記空気供給手段としてのファン165から供給される。
【0062】
図7に示すように、シート状部材としてのシート材167は、原稿の幅方向全域にわたってフラットエアーノズル166の上部に貼られている。このシート材167は、プラテンガラス161とフラットエアーノズル166とともにエアー供給路を形成し、フラットエアーノズル166から噴射されたエアーのダクトとしての役割をもつ。またシート材167は弾性体であり、その上面は原稿Pを読取位置160に案内する役割を持つ。原稿Pはガイド部169に沿って右斜め下方向に搬送されてくるが、シート材167にガイドされることにより略水平に向きをかえる。
【0063】
また図7に示すように、前記ガイド部材としてのジャンプ台162は、読取位置160よりも原稿搬送方向下流側に設けられ、前記読取位置160を通過した原稿Pを案内する。このジャンプ台162にはリブ162aが設けられていて、原稿Pを上方にガイドすると共に、リブ162a間の空間が前記フラットエアーノズル166から噴射されたエアーの抜ける空気抜け部として機能する。このようにジャンプ台162のリブ162a間でエアーが抜けるようにしたことで、図8に示すエアーの流れ168が形成される。
【0064】
図8に示すように、エアーの流れ168は、前記フラットエアーノズル166とプラテンガラス161とシート材167だけでなく、更にフラットエアーノズル166に設けられた側壁166a(図7参照)と原稿Pとジャンプ台162とにより形成されたダクトにより形成される。
【0065】
また原稿Pは、プラテンガラス161上において、フラットエアーノズル166から噴射されたエアーにより上方に持ち上げられるが、シート押さえコロ25やプラテンローラ24に規制されているため、高さ方向のばたつきがなく、位置は安定する。
【0066】
空気供給手段としてのファン165は制御手段としてのスキャナコントローラ304により動作が制御されている(図3参照)。このファン165は、スキャナコントローラ304により、原稿が読取位置160にあるときのみエアーの供給を行うよう制御されている。具体的には、原稿先端が読取位置160に達したときにファン165を駆動してエアーの供給を行い、原稿後端が読取位置160を通過した後にファン165の駆動を停止してエアーの供給を停止する。このように、原稿が読取位置160に存在するときのみファン165を駆動することで省エネルギー化を図っている。
【0067】
またユーザー入力などによる原稿の厚さ情報に応じて、読取位置160上の原稿Pがプラテンガラス161と非接触状態を保つように、前記ファン165によるエアーの供給量の強弱を制御するようにしても良い。具体的には、厚さ(剛性)が異なる2種の原稿の場合、厚手(剛性が高い)の原稿の場合は、薄手(剛性の低い)の原稿に比べて、前記ファン165によるエアーの供給量を多くする。これにより、原稿の厚さ(剛性)にかかわらず、図8に示す如く原稿Pがプラテンガラス161と非接触状態を保つことができる。
【0068】
また前記ファン165は、読取位置160上を搬送される原稿Pの画像を読み取る読取手段を構成する光学台159の冷却機能を兼ねている。具体的には、図6に示すように、フラットエアーノズル166における光学台159近傍の壁に開口部170を設け、光学台159にエアーを吹き付けることにより該光学台159を冷却している。特に流し読みを連続して行う場合、光学台159のランプが同じ位置(読取位置160)で点灯するため、該読取位置160の温度上昇を抑制することができる。
【0069】
なお、前述した実施形態では、画像読取装置を設けた画像形成装置として複写機を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばスキャナ等の画像読取装置単体であっても良いし、或いはファクシミリ装置等のその他の画像形成装置に設けた画像読取装置であっても良く、流し読みが可能な画像読取装置に本発明を適用することにより同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】原稿処理装置を有する画像読取装置の概略構成を示す模式断面図
【図2】前記画像読取装置を設けた画像形成装置の概略構成を示す模式断面図
【図3】前記画像読取装置の制御系を示すブロック図
【図4】前記原稿処理装置の制御系を示すブロック図
【図5】原稿処理装置を有する画像読取装置の駆動系を説明する構成図
【図6】前記画像読取装置における読取位置周辺の構成を示す要部拡大断面図
【図7】前記画像読取装置におけるフラットエアーノズルまわりの上視図
【図8】前記画像読取装置における読取位置周辺のエアーの流れを示す要部拡大断面図
【図9】従来の読取位置周辺の構成を示す説明図
【符号の説明】
【0071】
1 …画像形成装置
2 …原稿処理装置
3 …原稿台ガラス
22 …リードローラ(搬送部)
23 …リード排出ローラ(搬送部)
24 …プラテンローラ(対向部材)
150 …リーダ部(画像読取装置)
159 …光学台
160 …読取位置
161 …プラテンガラス
162 …ジャンプ台(ガイド部材)
165 …ファン(空気供給手段)
166 …フラットエアーノズル(空気噴射部)
167 …シート材(シート状部材)
168 …エアーの流れ
300 …プリンタ部(画像記録装置)
304 …スキャナコントローラ(制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿の画像情報を読み取る読取位置に設けられたプラテンガラスと、前記プラテンガラスと所定の隙間をもって対向する対向部材と、を有し、前記読取位置上を搬送される原稿の画像を読み取ることが可能な画像読取装置であって、
空気を供給する空気供給手段と、前記空気供給手段から供給された空気を噴射する空気噴射部と、を有し、
前記空気噴射部を、前記読取位置よりも原稿搬送方向上流側に、原稿搬送方向と交差する幅方向全域にわたって設け、前記プラテンガラスと原稿との間に空気を噴射するように設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記読取位置よりも原稿搬送方向下流側に設けられ、前記読取位置を通過した原稿を案内するガイド部材を有し、前記ガイド部材には前記空気噴射部から噴射された空気の抜ける空気抜け部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記空気供給手段の動作を制御する制御手段を有し、原稿が読取位置にあるときのみ前記空気供給手段を動作させて空気の噴射を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
原稿先端が読取位置に到達したときに前記空気供給手段を動作させて空気の噴射を行い、原稿後端が読取位置を通過した後に前記空気供給手段の動作を停止し空気の噴射を停止することを特徴とする請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記空気供給手段の動作を制御する制御手段を有し、原稿の厚さ情報に応じて前記読取位置上の原稿が前記プラテンガラスと非接触状態を保つように前記空気供給手段による空気の供給量を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記空気供給手段は前記読取位置上を搬送される原稿の画像を読み取る読取手段の冷却機能を兼ねていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記プラテンガラスと前記空気噴射部とともに空気供給路を形成するシート状部材を有し、前記シート状部材は原稿を読取位置に案内する機能を兼ねていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記シート状部材は弾性体であることを特徴とする請求項7に記載の画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−276131(P2006−276131A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−90881(P2005−90881)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】