説明

画像読取装置

【課題】複数の原稿を区別して一度に読み取る画像読取装置を提供すること。
【解決手段】原稿用紙を自動送りするための自動原稿搬送部4と、自動原稿搬送部4によって送られた原稿用紙の画像を読み取る画像読取手段15とを備えるものであって、重ねた複数の原稿を自動原稿搬送部4から連続して送り出し、画像読取手段15によって読み取った画像データについて、原稿同士を区別する一の条件を確認する毎にジョブを終了し、原稿毎に画像データを別ファイルにして保存するようにした画像データ作成手段16を備える画像読取装置1

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動原稿搬送部から送られる原稿用紙の画像を読み取る画像読取装置に関し、特に複数の原稿を区別して一度に読み取ることを可能にした画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スキャナやスキャナ機能を備えた複合機などの画像読取装置はオフィスなどに置かれ、複数の人によって使用されるため、1台の画像読取装置に使用者が集中することもある。下記特許文献1では、例えば原稿読み取り中に画像形成や画像通信ができるように、画像読取手段、データ通信手段、ファクシミリ手段及び画像記憶手段の組み合わせによって具現化される諸機能に対して、予め定められた優先順位に基づいてその画像形成手段を使用させるように構成されている。例えば、複写機能とプリンタ機能とが競合したときは、画像形成手段を優先的に複写機能に使用させ、データ通信手段による画像データは画像メモリに一時記憶される。
【特許文献1】特開2000−134391号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の画像読取装置では、複数人が同時に原稿をスキャンしてファイルを作成したいような場合には、原稿の読み取り作業を別々にして順番に行わなければならなかった。従って、後の人は先に読み取りを行う人の終了を待たなければならない煩わしさがあった。特に、読み取り枚数の多い場合には、それだけ待ち時間が長くなってしまい無駄な時間となってしまう。一方で、読み取りが終了したころを見計らって行くようにしても、タイミングが悪ければ先を越されて再度待つことになってしまうこともある。従って、原稿の読み取り作業を行いたい場合に、先の人の作業を待つことなく行えるようにすることが望まれる。
【0004】
そこで、本発明は、かかる課題を解決すべく、複数の原稿を区別して一度に読み取る画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の画像読取装置は、原稿用紙を自動送りするための自動原稿搬送部と、前記自動原稿搬送部によって送られた原稿用紙の画像を読み取る画像読取手段と、を備えるものであって、一又は二以上の原稿用紙からなる原稿を前記自動原稿搬送部に複数セットし、連続して送り出された原稿用紙から前記画像読取手段によって画像が読み取られる場合に、前記原稿同士を区別する一の条件を確認する毎にジョブを終了し、前記原稿毎に画像データを別ファイルにして保存するようにした画像データ作成手段を備えることを特徴とする。
また、請求項2の画像読取装置は、請求項1に記載するものであって、前記画像データ作成手段は、前記画像読取手段によって原稿同士の間に挟み込まれたセパレート用紙を読み取る毎にジョブを終了し、それまでに読み取った原稿用紙の画像データを一のファイルにして保存するようにしたものであることを特徴とする。
【0006】
また、請求項3の画像読取装置は、請求項1に記載するものであって、原稿を構成する原稿用紙の枚数を一のジョブあたりの指定枚数として入力するための操作部を更に備え、前記画像データ作成手段は、前記画像読取手段によって原稿用紙を読み取りながら枚数をカウントし、その読み取り枚数が、前記操作部によって入力された指定枚数に達する毎にジョブを終了し、読み取った原稿用紙の画像データを一のファイルにして保存するようにしたものであることを特徴とする。
また、請求項4の画像読取装置は、請求項3に記載するものであって、 前記操作部は、前記原稿の数を入力可能であるとともに、前記指定枚数は、入力された数の原稿各々に対応づけられ、前記画像データ作成手段は、前記画像読取手段によって原稿用紙を読み取りながら枚数をカウントし、その読み取り枚数が、前記操作部によって入力された指定枚数に達する毎にジョブを終了し、読み取った原稿用紙の画像データを一のファイルにして保存する動作を、前記原稿の数だけ繰り返すようにしたものであることを特徴とする。
また、請求項5の画像読取装置は、請求項1に記載するものであって、前記自動原稿搬送部は、複数のトレイから順に原稿用紙を自動送りするものであり、前記画像データ作成手段は、前記各トレイから全ての原稿用紙が送られる毎にジョブを終了し、読み取った原稿用紙の画像データを一のファイルにして保存するようにしたものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
よって、本発明によれば、複数の原稿を重ねて自動原稿搬送部から自動送りしても、画像データ作成手段が、セパレート用紙や操作部から入力された指定枚数、或いはトレイごとの用紙の有無など、一の条件を確認する毎にジョブを終了し、原稿毎に画像データを別ファイルにして保存するようにしたので、複数の原稿を区別して一度に読み取ることができるようになる。そのため、従来のように他の人が行う原稿の読み取りを待つ必要などがなくなり、非常に効率良く画像の読み取り作業が行えるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に、本発明に係る画像読取装置の実施形態について図面を参照しながら以下に説明する。図1は、画像読取装置の一実施形態について外観を示す斜視図であり、本体カバーを閉じた状態を示している。
画像読取装置1は、いわゆるフラットベッド型のスキャナ装置として構成されたものであり、下側の装置本体2に対し、上に重ねられた本体カバー3が開閉可能に軸着されている。装置本体2の上面には、原稿用紙からそこに記載(図示)された画像を読み取るための原稿設置読取面が形成されている。なお、原稿設置読取面への原稿用紙のセットは、利用者が本体カバー3を開けて行われる場合と、次に記載の自動原稿搬送部4を介して自動で行われる場合があり、いずれの場合においても、原稿用紙の読取面(読み取られる画像が記載されている面)が、原稿設置読取面に対して適切な状態でなされる。ここで、自動原稿搬送部4を利用する場合、原稿は、例えば、図4の態様でセットされるとともに、原稿53の下側にある原稿用紙50から順に自動搬送される。そして、原稿用紙50は、読取後、自動で排出される。
【0009】
本体カバー3には、ローラなどによって原稿用紙を自動送りするための自動原稿搬送部4が構成されている。また、画像読取装置1は、ユーザと向かい合った手前側に装置本体2が突き出した形状をしており、そこに各種操作や各種設定を行うための各種スイッチや、画像読取装置の各種情報を表示する液晶表示を備えた操作表示部5が構成されている。
【0010】
次に、図2は、画像読取装置1を構成する制御系のブロック図である。画像読取装置1は、各部を統括制御するCPU11や、そのCPU11が実行すべき各種処理のプログラムなどを記憶するROM12、そしてCPU11が各種処理を実行する際に記憶領域として用いるRAM13が備えられている。そして、この制御系には入力部として操作表示部5が接続されている。また、この画像読取装置1には、パーソナルコンピュータなどの外部装置と接続するためのインターフェイス(I/F)14が備えられている。このI/F14には、外部記憶装置としてパーソナルコンピュータ(PC)20が接続されている。なお、画像読取装置1において、読み取った画像データは、図2のRAM13又は図2には図示されていない記憶部に保存されるようにしても良いが、以下の説明では、PC20のハードディスク(HD)に読み取った画像データが保存されることとする。
【0011】
また、画像読取装置1には、装置本体内にあって原稿設置読取面に沿って移動し、或いは自動送り読取面の位置に合わせて停止し、原稿用紙に光を当てて反射光を読み取るイメージセンサ15が設けられている。そして、このイメージセンサ15や本体カバー3の自動原稿搬送部4などの駆動を制御し、イメージセンサ15から受信した画像信号に基づく画像データ補正を行う読取制御部16が設けられている。
なお、イメージセンサ15によって得られ画像信号は、読取制御部16においてディジタル信号からなる画像データに変換され、その画像データに対してはシェーディング補正等がなされる。また、その画像データは、一旦RAM13に格納され、CPU11の動作によってI/F14を介して、接続された外部のPC20に転送して保存される。
【0012】
こうした画像読取装置1による原稿の読み取りは、本体カバー3を開閉して1枚ずつ原稿用紙を挟み込んで行う他、自動原稿搬送部4に複数枚の原稿用紙をセットして一気に読み取る方法が行われる。そして、本実施形態では、特に自動原稿搬送部4を利用した場合において、複数の原稿を一度に区別して読み取ることができるようにしたものであり、そのための同時読取プログラムを備えている。図3は、そうした同時読取プログラムによる画像読み取り動作の第1実施形態を示したフロー図である。
【0013】
複数の原稿を一度に区別して読み取る場合としては、例えば図4に示すように、一又は二以上の原稿用紙50からなる原稿51〜53を同時に読み取ろうとする場合である。従来の画像読取装置であれば、原稿51の自動読み取りを終了した後に、自動原稿搬送部4に次の原稿52を載せ、スタートボタンを押して新たな読み取り動作を行わせていた。しかし、本実施形態では、原稿53が自動原稿搬送部4にセットされ、原稿用紙50が自動読み取りされている状態において(この場合、上記のとおり原稿53は、下側(図4参照)の原稿用紙50から順に自動搬送される。)、例えば、原稿53のスキャンを指示した利用者とは異なる利用者が、原稿53の上に重ねてセパレート用紙62及び原稿52を、さらに、他の利用者が、原稿52の上に重ねてセパレート用紙61及び原稿51をセットし、自動読み取りを行う。セパレート用紙61,62は、例えば図示するような全面にドットが付されたものであったり、或いは全黒や全白といった読み取り対象となる原稿用紙と区別できるようなものであればよい。
【0014】
そこで、セパレート用紙61,62を挟み込んだ原稿51〜53が自動原稿搬送部4にセットされ、スタートボタンが押されると、先ずジョブが残っているか否かの確認が行われる(S101)。ここでは、原稿51〜53が自動原稿搬送部4に載せられていることの確認によってジョブの存在がしていると判断し(S101:YES)、続けてジョブ毎の初期化処理が行われる(S102)。なお、S102の処理については、後述する。
【0015】
次に、自動原稿搬送部4に原稿用紙が残っているか否かの確認が行われる(S103)。原稿用紙の有無は、自動原稿搬送部4に設けられたセンサによって確認される。そして、原稿用紙が存在すれば(S103:Yes)、自動原稿搬送部4から原稿用紙が1枚ずつ送り出され、画像の読み取りが行われる(S104)。例えば、この場合、図4に示す原稿51〜53のうち、原稿53から順に1枚ずつ原稿用紙50が送り出され、画像の読み取りが行われる。そしてこのとき、読み取った用紙がセパレート用紙62であるか、すなわち、一の原稿53について全ての原稿用紙50が読み取られたか否かの確認が行われる(S105)。
【0016】
読み取りを行った用紙がセパレート用紙61でない場合には(S105:No)、その読み取った画像データを原稿53用の画像データファイルに追加し(S106)、更に残りの原稿用紙50について画像の読み取りが行われる。そのため、再びステップS103に戻り、自動原稿搬送部4上の原稿用紙50の確認(S103)、画像の読み取り(S104)、用紙がセパレート用紙62の確認(S105)、そして画像データファイルへの画像データの追加(S106)が繰り返される。
【0017】
そこで、読み取りを行った用紙がセパレート用紙62であることが確認された場合には(S105:Yes)、ジョブの終了処理が行われる(S107)。すなわち、読み取った画像データにより原稿53の画像データファイルが作成され、それが接続したPC20の所定フォルダに送られて保存される。こうして原稿53の画像データの作成及び保存が行われると、再びステップS101に戻り、ジョブが残っているか否かの確認が行われる(S101)。ここでは、原稿用紙が残っていれば(S101:Yes)、ジョブ毎の初期化処理が行われる(S102)。すなわち、次の原稿52について画像データファイル作成の用意が行われる。
【0018】
原稿52についても、原稿53と同様に、自動原稿搬送部4から原稿用紙50が1枚ずつ送り出されて読み取りが行われ、読み取った画像データが原稿52用の画像データファイルに追加されていく。そして、セパレート用紙61が確認されたところで画像データファイルが接続したPC20の所定フォルダに送られて保存される。
更に、原稿51についても同様に画像データファイルが作成され、接続したPC20の所定フォルダに送られて保存される。
【0019】
ただし、原稿51の場合には、最後の原稿用紙について読み取られた画像データが原稿51用の画像データファイルへ追加されると(S106)、自動原稿搬送部4には原稿用紙がなくなる(S103:No)。そのため、ステップS108に移ってジョブの終了処理が行われる。一方、原稿53の最後にセパレート用紙が重ねられていたような場合には、原稿用紙が残っていると判断され(S103:Yes)、読み取りが行われるが(S104)、セパレート用紙であるため(S105:Yes)、ステップS108に移ってジョブの終了処理が行われる。そして、自動原稿搬送部4に原稿用紙が存在しないため、残りのジョブがないと判断して(S101:No)読み込み作業が終了する。
【0020】
よって、本実施形態の画像読取装置1によれば、図4に示す原稿51〜53のように、複数の原稿について画像の読み取りを一度に行い、別々のファイルに区別して保存することができるようになった。そのため、従来のように、他の人が行う原稿の読み取りを待つ必要がなく、非常に効率良く画像の読み取りが行えるようになった。
なお、上記説明では、原稿53が自動読み取りなされている状態において、セパレート用紙62及び原稿52等が、順次重ねて追加されていく場合について説明した。しかし、本実施形態によれば、セパレート用紙61,62が挟み込まれ状態の原稿51〜53をまとめて自動原稿搬送部4にセットし、スタートボタンを押して自動読み取りを行うような場合においても、原稿51,52および53を異なる画像データファイルとして個々に保存することもできる。すなわち、一人で何種類もの原稿を読み取る場合にでも原稿一つずつを読み取り処理を行う必要がなく、非常に効率良く画像の読み取りが行えるようになる。この場合、上記説明とは異なり、原稿51の上側(図4参照)から自動読み取りする構成とすることもできる。
【0021】
次に、図5は、同時読取プログラムによる画像読み取り動作の第2実施形態を示したフロー図である。この同時読取プログラムを格納した画像読取装置は、図1に示すものと同様のものであって、特にタッチパネル機能を有する操作表示部5では、原稿数の指定と、指定された数の原稿のそれぞれについて原稿用紙の枚数が指定できるようになっている。従って、自動原稿搬送部4に複数の原稿をセットして一気に読み取る場合に、その送り出し順に各原稿の原稿枚数を指定する。
【0022】
図4に示す原稿51〜53の場合には、セパレート用紙61,62を挟まずに重ねて自動原稿搬送部4にセットし、それぞれ原稿用紙50の枚数を入力する。例えば、操作表示部5に原稿51〜53に対応して原稿数「3」を入力すると、画面が切り替わって第1原稿、第2原稿、第3原稿に対する枚数要求が行われ、そこに指定枚数「8」「7」「6」を入力する。そして、スタートボタンが押され、自動搬送による画像の読み取りが実行される。本実施形態では、原稿51の上側(図4参照)の原稿用紙50から順に自動読み取りが行われることとする。
【0023】
そこで先ず、スタートボタンが押されると、ジョブが残っているか否かの確認が行われる(S201)。本実施形態では、原稿51〜53に対応して入力された第1原稿、第2原稿、第3原稿の指定枚数「8」「7」「6」についてカウントが行われ、第1〜第3原稿の各々についてジョブが終了したかが確認される。よって、一つでもジョブが残っていれば(S201:YES)、続いてジョブ毎の初期化処理が行われ(S202)、未処理のジョブに対応する画像データの作成が開始される。
【0024】
次に、自動原稿搬送部4に原稿用紙50が残っているか否かの確認が行われ(S203)、原稿用紙が存在すれば(S203:Yes)、原稿用紙50が1枚ずつ送り出されて画像の読み取りが行われる(S204)。この場合、原稿51に対応する第1原稿について原稿用紙50の読み取り枚数が「1」プラスされ、その値が指定枚数の「8」に達したかが確認される(S205)。
【0025】
読み取り枚数が指定枚数に達していない場合には(S205:No)、その読み取った画像データを原稿51用の画像データファイルに追加し(S206)、更に残りの原稿用紙50について画像の読み取りが行われる。そのため、再びステップS203に戻り、自動原稿搬送部4上の原稿用紙50の確認(S203)、画像の読み取り(S204)、読み取り枚数が指定枚数に達したか否かの確認(S205)、そして画像データファイルへの画像データの追加(S206)が繰り返される。
【0026】
そこで、読み取り枚数が指定枚数に達した場合には(S205:Yes)、ジョブの終了処理が行われる(S207)。すなわち、読み取った画像データにより原稿51の画像データファイルが作成され、それが接続したPC20の所定フォルダに送られて保存される。
【0027】
原稿51の画像データの作成及び保存が行われると、再びステップS201に戻り、ジョブが残っているか否かの確認が行われる(S201)。ここでは、原稿52に対応する第2原稿について入力が残っているため(S201:Yes)、次の原稿52について画像データファイル作成の用意(ジョブの初期化)が行われる(S202)。原稿52についても、原稿51と同様に、自動原稿搬送部4から原稿用紙50が1枚ずつ送り出されて読み取りが行われ、読み取った画像データが原稿52用の画像データファイルに追加されていく。そして、読み取り枚数が指定枚数の「7」に達したところで、画像データファイルが接続したPC20の所定フォルダに送られて保存される。
【0028】
更に、原稿53についても同様に画像データファイルが作成され、接続したPC20の所定フォルダに送られて保存される。ただし、この原稿53の場合には、最後の原稿用紙50について読み取られた画像データが原稿53用の画像データファイルへ追加されると(S206)、自動原稿搬送部4には原稿用紙50がなくなる(S203:No)。そのため、ステップS208に移ってジョブの終了処理が行われる。
【0029】
ところで、例えば、原稿53に対応する指定枚数を入力することなく誤ってスタートボタンを押してしまうような場合が考えられる。この場合には、原稿52の読み取り処理において、読み取り枚数が第2原稿の指定枚数に既に達しているため(S205:Yes)、その原稿53の画像データは原稿52の画像データファイルに含められることなくジョブの終了処理が行われる(S207)。そして、ステップS201に戻っても、残りのジョブがないと判断され(S201:No)、原稿53を残して読み込み作業が終了する。また、操作表示部5に入力された原稿数及びこれら原稿に対応する指定枚数以外の原稿が自動原稿搬送部4にセットされている場合も、同様である。
【0030】
よって、こうした本実施形態の画像読取装置でも、図4に示す原稿51〜53のような複数の原稿について、画像の読み取りを一度に行い、別々のファイルに区別して保存することができるようになる。そのため、何種類もの原稿を読み取る場合にでも原稿一つずつを読み取り処理を行う必要がなくなって、非常に効率良く画像の読み取りが行えるようになった。
【0031】
上記説明では、原稿数を、操作表示部5を介して入力する構成としたが、このような構成を採用しない構成とすることもできる。具体的には、操作表示部5を介して、原稿の指定枚数の入力及び入力された指定枚数の確定操作を行うことで、原稿数を自動で判断する構成としても良い。かかる場合、スタートボタンが押され、読み取りの動作が開始された場合であっても、指定枚数の入力を受け付ける構成とすれば、動作中であっても、原稿を自動原稿搬送部4に追加することができる。
【0032】
このような構成を図4に則し説明すれば、原稿53についての指定枚数「6」をテンキー等によって入力した後、この入力された指定枚数「6」を確定するためのキーを入力すると、再度、指定枚数の入力待ち状態に移行し、続けて、原稿52についての指定枚数「7」の入力が可能となる。そして、指定枚数「7」が確定された後、スタートボタンを押し、原稿の自動読み取りを開始する。なお、上記説明との関係で云うと、この状態は原稿数が「2」であるに等しい。
【0033】
その後、原稿53,52をセットした利用者とは異なる利用者が、原稿53についてスキャンするために画像読取装置1のところに来た場合、入力待ち状態にある画像読取装置1に対して、原稿51についての指定枚数を、操作表示部5を介して入力、すなわち、「8」を入力するとともに、自動原稿搬送部4に原稿51をセットすれば、原稿53,52の読み取りに続けて原稿51の読み取りを継続することができる。なお、原稿51の指定枚数が確定した段階は、上記説明との関係で云うと、原稿数が「3」であるに等しい。
【0034】
ここで、原稿を追加的に自動原稿搬送部4にセットできるようにするためには、自動原稿搬送部4にセットされた原稿用紙50を、下側から自動読み取りを行う、より具体的には、原稿53を構成する下側に図示された原稿用紙50から順に読み取りが開始され、原稿53の読み取り終了後、続けて、原稿52,51の読み取りが行われる構成となる(したがって、上記説明では、原稿53の自動読み取りが、原稿52より先に行われる。)。
そして、このような構成を採用すれば、従来のように、他の人が行う原稿の読み取りを待つことなく、原稿毎の画像データを作成することができる。
【0035】
次に、図6は、同時読取プログラムによる画像読み取り動作の第3実施形態を示したフロー図である。この同時読取プログラムを格納した画像読取装置は、詳しく図示しないが、図1に示すものとは異なり、自動原稿搬送部に複数のトレイが設けられたものを対象としている。従って、例えば図4に示す原稿51〜53について読み取り作業を行う場合には、それぞれの原稿が第1乃至第3の別々のトレイに分けてセットされる。
【0036】
そうしてスタートボタンが押されると、先ずトレイに原稿用紙50が載っていることによってジョブの確認が行われる(S301)。原稿が各トレイに存在すれば(S301:YES)、続いてジョブ毎の初期化処理が行われ(S302)、未処理のジョブに対応する画像データの作成が開始される。
【0037】
次に、第1トレイに原稿用紙50が残っているか否かの確認が行われ(S303)、原稿用紙50が存在すれば(S303:Yes)、その第1トレイから原稿51の原稿用紙50が1枚ずつ送り出され、画像の読み取りが行われる(S304)。読み取った画像データは、原稿51用の画像データファイルに追加され(S305)、更に残りの原稿用紙50について画像の読み取りが行われる。そのため、再びステップS303に戻り、第1トレイ上の原稿用紙の確認(S303)、画像の読み取り(S304)、そして画像データファイルへの画像データの追加(S305)が繰り返される。
【0038】
そこで、第1トレイの原稿用紙50が無くなったことが確認されると(S303:No)、ジョブの終了処理が行われ、読み取った画像データにより原稿51の画像データファイルが作成され、それが接続したPC20の所定フォルダに送られて保存される(S306)。こうして原稿51の画像データの作成及び保存が行われると、再びステップS301に戻り、ジョブが残っているか否かの確認が行われる(S301)。ここでは、他のトレイに原稿用紙が残っていれば(S301:Yes)、ジョブ毎の初期化処理が行われる(S302)。すなわち、本実施形態の場合であれば、次の原稿52について画像データファイル作成の用意が行われる。
【0039】
原稿52についても、第2トレイから原稿用紙50が1枚ずつ送り出されて読み取りが行われ、読み取った画像データが原稿52用の画像データファイルに追加されていく。そして、第2トレイの原稿用紙50が無くなったことが確認されたところで画像データファイルが接続したPC20の所定フォルダに送られて保存される。更に、原稿53についても同様に画像データファイルが作成され、接続したPC20の所定フォルダに送られて保存される。そして、全てのトレイにも原稿用紙50が無くなったことが確認されると、残りのジョブがないと判断され(S301:No)、読み取り作業が終了する。
【0040】
よって、本実施形態の画像読取装置でも、図4に示す原稿51〜53のような複数の原稿について、画像の読み取りを一度に行い、別々のファイルに区別して保存することができるようになる。そのため、従来のように、他の人が行う原稿の読み取りを待つ必要がなく、また一人で何種類もの原稿を読み取る場合にでも原稿一つずつを読み取り処理を行う必要がなくなって、非常に効率良く画像の読み取りが行えるようになる。
【0041】
以上、本発明に係る画像読取装置の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、前記実施形態では、図1に示すスキャナ装置を例に挙げて本発明の画像読取装置を説明したが、自動原稿搬送部を有するものであれば、画像読み取り機能以外の機能を備える複合機などであってもよい。
また、原稿同士を区別する条件としては前記実施形態に示すセパレート用紙や指定枚数などに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】実施形態の画像読取装置について外観を示す斜視図である。
【図2】実施形態の画像読取装置を構成する制御系のブロック図である。
【図3】同時読取プログラムによる画像読み取り動作の第1実施形態を示したフロー図である。
【図4】セパレート用紙によって原稿同士を区別する状況を示した図である。
【図5】同時読取プログラムによる画像読み取り動作の第2実施形態を示したフロー図である。
【図6】同時読取プログラムによる画像読み取り動作の第3実施形態を示したフロー図である。
【符号の説明】
【0043】
1 画像読取装置
2 装置本体
3 本体カバー
4 自動原稿搬送部
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 インターフェイス(I/F)
15 イメージセンサ
16 読取制御部
20 パーソナルコンピュータ(PC)
50 原稿用紙
51〜53 原稿
61,62 セパレート用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿用紙を自動送りするための自動原稿搬送部と、前記自動原稿搬送部によって送られた原稿用紙の画像を読み取る画像読取手段と、を備える画像読取装置であって、
一又は二以上の原稿用紙からなる原稿を前記自動原稿搬送部に複数セットし、連続して送り出された原稿用紙から前記画像読取手段によって画像が読み取られる場合に、
前記原稿同士を区別する一の条件を確認する毎にジョブを終了し、前記原稿毎に画像データを別ファイルにして保存するようにした画像データ作成手段を備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記画像データ作成手段は、前記画像読取手段によって原稿同士の間に挟み込まれたセパレート用紙を読み取る毎にジョブを終了し、それまでに読み取った原稿用紙の画像データを一のファイルにして保存するようにしたものであることを特徴とする請求項1の画像読取装置。
【請求項3】
原稿を構成する原稿用紙の枚数を一のジョブあたりの指定枚数として入力するための操作部と、を備え
前記画像データ作成手段は、前記画像読取手段によって原稿用紙を読み取りながら枚数をカウントし、その読み取り枚数が、前記操作部によって入力された指定枚数に達する毎にジョブを終了し、読み取った原稿用紙の画像データを一のファイルにして保存するようにしたものであることを特徴とする請求項1の画像読取装置。
【請求項4】
前記操作部は、前記原稿の数を入力可能であるとともに、前記指定枚数は、入力された数の原稿各々に対応づけられ、
前記画像データ作成手段は、前記画像読取手段によって原稿用紙を読み取りながら枚数をカウントし、その読み取り枚数が、前記操作部によって入力された指定枚数に達する毎にジョブを終了し、読み取った原稿用紙の画像データを一のファイルにして保存する動作を、前記原稿の数だけ繰り返すようにしたものであることを特徴とする請求項3の画像読取装置。
【請求項5】
前記自動原稿搬送部は、複数のトレイから順に原稿用紙を自動送りするものであり、
前記画像データ作成手段は、前記各トレイから全ての原稿用紙が送られる毎にジョブを終了し、読み取った原稿用紙の画像データを一のファイルにして保存するようにしたものであることを特徴とする請求項1の画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−89254(P2009−89254A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−258897(P2007−258897)
【出願日】平成19年10月2日(2007.10.2)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】