説明

画像読取装置

【課題】コストを抑制しつつ、ADF新設時もしくは交換時における、ADFを適正に制御するための制御パラメータの設定作業に係る作業負荷を軽減した画像読取装置を提供すること。
【解決手段】ADFの設置面において、スキャナユニット11により読取り可能な範囲内であり、且つ、原稿搬送領域外に、ADFの制御情報を担持した情報ラベル412を形成し、所定のタイミングで当該情報ラベル412をスキャナユニット11で読取り、得られた制御情報に基づいてADFの制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置、特に自動原稿搬送装置が交換可能な構成となっている画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像読取装置として、自動原稿搬送装置(ADF:Auto Document Feeder)を備え、これにより原稿を読取り位置に搬送しながら、CCD(Charge Coupled Device)ラインセンサで読取って画像データを取得する、いわゆるシートスルー方式の画像読取装置が普及している。
上記ADFは、画像読取装置本体に脱着可能なオプション装置として提供されている場合が多く、また、ADFが故障した場合に交換可能な構成となっている。このような場合、ADF側には制御部を搭載せずに、画像読取装置本体側に搭載し、新しいADFを装着する際にサービスマンなどが、当該ADFの制御パラメータを含む制御情報を当該本体側の制御部に設定する必要があり、装着・交換作業に大変煩雑であり手間を要していた。
【0003】
そこで、たとえば、特許文献1では、ADF内にメモリを設け、このメモリ内に製造時などにおいて制御情報を記憶させておき、ADFの画像読取装置への装着後に、前記制御部が当該メモリ内の情報を読み出して、これによりADFの制御情報を自動的に取得できるように構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−174596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の構成を採ったとしても、制御情報を記憶するためROM(Read Only Memory)等の不揮発性のメモリをADF内に設ける必要があり、コスト面で不利となる。そこで、より安価な方法でADFの制御情報を画像読取装置本体で自動的に取得できるようにする構成が求められている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、コストを抑えつつ、かつ、ADFの装着時における制御情報の煩雑な設定作業が不要な、画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明に係る画像読取装置は、原稿画像を読み取って画像データを生成する画像読取ユニットと、前記画像読取ユニットにおける原稿画像の読取り位置へ原稿を搬送する原稿搬送ユニットとからなる画像読取装置であって、前記原稿搬送ユニットは、前記画像読取ユニットに対して着脱可能に構成されると共に、原稿搬送ユニットの前記画像読取ユニットによる読取り可能な位置に、当該原稿搬送ユニットの動作を制御するための制御情報を担持する情報担持パターンが形成されており、前記画像読取ユニットは、前記情報担持パターンを所定のタイミングで読み取って、前記制御情報を取得する制御情報取得手段と、前記取得された制御情報を記憶する制御情報記憶手段と、前記記憶された制御情報に基づいて前記原稿搬送ユニットの動作を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
ここで、「情報担持パターン」とは、バーコード等の画像パターンのみならず、文字や記号、数字なども含む。
【発明の効果】
【0008】
上記構成により、原稿搬送ユニットに制御情報を記憶したメモリなどを搭載する必要がなく、当該原稿搬送ユニットに形成された情報担持パターンを画像読取ユニットで読み取るだけで、その制御情報を取得して制御できるので、コストを抑えつつ、原稿搬送ユニットの装着・交換作業時の負荷を軽減することできる。
ここで、前記所定のタイミングは、装置に電源が投入されたときであることを特徴とするとしてもよい。
【0009】
これにより、電源が投入される度に原稿搬送ユニットの制御情報を取得するので、電源のOFF時に原稿搬送ユニットが交換されたとしても、必ず、その制御情報を取得して的確に制御することが出来る。
また、前記原稿搬送ユニットが交換もしくは新たに設置された旨の情報を取得する交換情報取得手段を備え、前記所定のタイミングは、前記交換情報取得手段により原稿搬送ユニットが交換もしくは新たに設置された旨の情報が取得されたときであることを特徴とするとしてもよい。
【0010】
これにより、原稿搬送ユニットが交換もしくは新たに設置された時に、当該原稿搬送ユニットの制御情報を確実に取得することが出来る。
さらに、前記制御情報記憶手段は、前記取得された制御情報が、前回取得されて記憶されている制御情報と異なる場合に更新して記憶することを特徴とするとしてもよい。
また、ここで、前記制御情報は、前記原稿搬送ユニットの動作を制御するための制御パラメータであることを特徴とするとしてもよい。
【0011】
ここでさらに、前記制御情報は、前記原稿搬送ユニットの型式情報であり、前記制御手段は、原稿搬送ユニットの型式毎に対応する制御パラメータを記憶するパラメータ記憶手段を備え、取得した型式情報に対応する制御パラメータを前記パラメータ記憶手段から読み出して、当該読み出された制御パラメータに基づいて前記原稿搬送ユニットの動作を制御することを特徴とするとしてもよい。
【0012】
また、さらに、前記情報担持パターンは、バーコードであることを特徴とするとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像読取装置を備えた複写機の全体構成を示す概略図である。
【図2】複写機の制御部の概略構成を表すブロック図である。
【図3】ADF制御情報を保持する情報画像がプリントされた情報ラベルの貼付位置および当該情報ラベルの態様を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態1における、ADF制御情報更新処理の内容を示すフローチャートである。
【図5】ADF原稿読取ジョブ実行処理の内容を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態2における、ADF制御情報更新処理の内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る画像読取装置の実施の形態を、デジタル式カラー複写機(以下、単に「複写機」と言う。)のイメージリーダ部に適用した場合を例にして説明する。
<実施の形態1>
【0015】
(1.複写機の全体構成)
図1は、当該複写機1の概略構成を示す断面図である。
同図に示すように複写機1は、大きく分けて、原稿画像を読み取るイメージリーダ(IR:Image Reader)部10と、読み取った画像を記録シート上にプリントして再現するプリンタ部20を備え、その下部には当該プリンタ部20に記録シートを供給する給紙部30が、IR部10の上部には、当該IR部10に原稿を自動的に搬送するADF40が設置された構成となっている。
【0016】
IR部10は、固定光学系の一つであるシートスルー方式と移動光学系の一つであるスキャナ移動方式の両方で原稿画像の読取が可能なように構成されている。ここで、シートスルー方式は、原稿を照射するランプ111と原稿面からの反射光をCCDラインセンサ(固体撮像素子)17に導くミラー112とが一体となったスキャナユニット11を、シートスルー用プラテンガラス12下方の破線で示すシートスルー読取り位置18に静止(固定)させた状態で、原稿を移動させて読み取る方式である。スキャナ移動方式は、原稿は静止させた状態で、スキャナユニット11を原稿に対して移動させ、原稿読取り位置からCCDラインセンサまでの光路長を常に一定に維持した状態で読取る方式である。
【0017】
ADF40は、シートスルー方式を実現するために、IR部10上部に設置されている。
ADF40は、原稿給紙トレイ401にセットされた原稿束から原稿を1枚ずつ分離してシートスルー用プラテンガラス12の上面を通過させた後、原稿排紙トレイ402に排出するものである。
【0018】
原稿給紙トレイ401には、例えば反射式の光電センサ等から成る原稿センサ408が設置されており、当該原稿センサ408が原稿給紙トレイ401上に原稿が載置されているかどうかを検出する。
原稿給紙トレイ401にセットされた原稿束における最上位の原稿は、ピックアップローラ403と捌きローラ404とによって原稿束から分離され、レジストローラ405まで搬送される。捌きローラ404とレジストローラ405との間には用紙後端検出センサ409が設置されており、原稿が当該設置箇所を搬送され通過する際に、原稿の後端が通過したことが当該用紙後端検出センサ409により検出される。また、レジストローラ405のすぐ下流側には用紙先端検出センサ410が設置されており、原稿が当該設置箇所を搬送され通過する際に、原稿の先端が通過したことが当該用紙先端検出センサ410により検出される。
【0019】
レジストローラ405まで搬送された原稿は、ここで傾き(スキュー)が補正された後、当該レジストローラ405によってシートスルー用プラテンガラス12へと搬送される。ADF40のシートスルー用プラテンガラス12と相対する箇所には原稿押さえ部材411が配設されており、通過する原稿の裏面に当接して、原稿読取位置における原稿面とシートスルー用プラテンガラス12との距離を一定に保ち、原稿の読取りが適切に行われるようにしている。
【0020】
シートスルー用プラテンガラス12を通過した原稿は、さらに、読取後ローラ406によって排出ローラ407へと搬送され、当該排出ローラ407によって、原稿排紙トレイ402へと排出される。
複数枚の原稿を連続して読取る場合には、搬送されながら読み取られている原稿の後端の通過が用紙後端検出センサ409により検出されると、ピックアップローラ403および捌きローラ404によって次の原稿が原稿束から分離され搬送が開始される。この時、複数枚の原稿を連続して読取るかどうかの判断は、原稿読取り時に原稿センサ408が原稿給紙トレイ401上に載置されている原稿を検出したかどうかにより行われる。即ち、原稿読取り時に原稿給紙トレイ401上に原稿が載置されている場合には、読取る原稿が複数枚存在すると判断され、原稿給紙トレイ401上に載置されている原稿が検出されなくなるまで連続して原稿の読み取りを行う。
【0021】
なお、上記した各ローラは、原稿搬送モータM1を動力源とし、歯車ギヤやベルトなどの動力伝達機構(図示せず)を介して回転駆動され、当該回転駆動の各ローラへの伝達と遮断は、電磁クラッチ(図示せず)をON/OFFすることにより実行される。
この原稿搬送モータM1の種類は特に限定されないが、本実施例では、高精度の回転速度制御が可能なステッピングモータを使用している。
【0022】
シートスルー方式で原稿を読み取る場合には、スキャナユニット11はシートスルー読取り位置18に移動される。シートスルー用プラテンガラス12上面を通過する原稿は、当該シートスルー読取り位置18で静止しているスキャナユニット11のランプ111によって照射され、原稿面からの反射光は、ミラー112、14、および15により光路変更され、結像レンズ16によってCCDラインセンサ17の受光面で結像される。
【0023】
一方、原稿を手置き用プラテンガラス13に載置して読み取る場合には、ADF40を上方に開放して、原稿を手置き用プラテンガラス13上にセットする。この場合には、スキャナユニット11は、図1の矢印Aの方向に移動される。この際、ミラー14および15が対となって上記スキャナユニット11と同方向に、その移動速度の半分の速度で移動するようになっており、これにより原稿面から結像レンズ16までの距離(光路長)が常に一定に保たれて、原稿の反射光は、CCDラインセンサ17の受光面で結像される。なお、上記スキャナユニット11およびミラー14、15は、スキャンモータM2を動力源とし、ベルトやワイヤ等から成る図示しない動力伝達機構を介して走行駆動される。
【0024】
また、IR部10には、基準白出力を得るための基準白板(シェーディング板)19がシートスルー用プラテンガラス12と手置き用プラテンガラス13との間に配置されている。原稿の読取りに際しては、スキャナユニット11を基準白板19が配置されている位置に移動させて当該基準白板19の画像データを読み取り、CCDラインセンサ17の撮像素子間の感度のばらつきや、ランプ111の照射光量のばらつきを補正する処理を行う。
【0025】
制御部5は、上記IR部10およびADF40の動作を制御すると共に、CCDラインセンサ17で読み取った画像データに所定のデータ処理を施して、画像メモリ53(図2参照)に格納し、さらに当該格納されたR,G,Bの画像データに基づいてプリンタ部20において記録シート上に画像を形成させる。
プリンタ部20は、上記原稿を読み取って得られた画像データにより変調駆動されたレーザダイオード(不図示)により感光体ドラムを露光走査して静電潜像を形成し、この静電潜像をトナーで現像した後、当該トナー像を用紙上に転写して画像を形成する公知の電子写真式のプリンタであり、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)のトナー像を転写紙上に多重転写することによりフルカラー画像を形成する。
【0026】
なお、プリンタ部20は、上記のような電子写真方式に限定されず、他の方式、たとえばインクジェット方式のカラープリンタなどであっても構わない。
複写機1は、その上面の操作しやすい位置に操作パネル6(図2参照)を備えている。操作パネル6には、コピー枚数を設定するためのテンキー、コピーを開始させるためのスタートキーなどのキー群の他、原稿の読取モード、読取倍率(拡大縮小率)などの入力を受付けるための設定画面やボタン、および、用紙切れや紙詰まりなどのメッセージを表示させるための液晶表示部が配されている。
【0027】
図2は、複写機1の制御部5の構成を示すブロック図である。
同図に示すように、制御部5は、主な構成要素としてCPU(Central Processing Unit)51、画像処理部52、画像メモリ53、LD駆動部54、これらの各部の制御に必要なプログラムなどが格納されたROM(Read Only Memory)55、プログラム実行時のワークエリアとなるRAM(Random Access Memory)56、ADF制御情報記憶部57、通信インターフェース(I/F)部58などを有する。
【0028】
画像処理部52は、CCDラインセンサ17からの読取データを所定のタイミングでサンプリングして、適正レベルに増幅した後、R,G,Bのデジタルデータに変換し、各CCDラインセンサの感度ばらつきや光学系の特性による光量ばらつき等を補正するシェーディング補正処理を施す。このシェーディング補正されたR,G,Bのデジタルデータは、それぞれ1ライン(主走査ライン)単位で、同一画素のR,G,Bの画像データが対応して出力されるように原稿の搬送速度に応じた所定時間だけ遅延して出力される。
【0029】
その後、上記R,G,Bの画像データに対して、公知の黒生成(BP)、下色除去(UCR)等の色補正処理を施し、シアン,マゼンタ,イエロー,ブラックの各再現色の濃度データを生成し、画像メモリ53に出力する。
画像メモリ53は、再現色ごとに用意されたフレームメモリに上記各色の濃度データを格納し、CPU51からアドレスを指示されて読出し要求を受けると、当該アドレスに格納されている各再現色のデータをLD駆動部54に送り、LD駆動部54は、このデータに基づきプリンタ部20におけるレーザダイオード(不図示)を変調駆動させ、感光体ドラム上への露光走査が実行される。
【0030】
CPU51は、ROM55の制御プログラムに基づいて、IR部10、プリンタ部20などの各部の動作を制御し、円滑なコピー動作を実現する。また、CPU51は、操作パネル6を介して操作者によるキー入力等を受付けると共に、必要なメッセージ等を操作パネル6の液晶表示部に表示させる。
ADF制御情報記憶部57は、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory )等の不揮発性メモリから成り、ADF40を円滑に作動させるための制御パラメータを記憶する。
【0031】
通信I/F部58は、LANカード、LANボードといったLAN(Local Area Network)に接続するためのインターフェースであり、外部からのプリントジョブのデータを受信する。
なお、スキャンモータM2の種類は特に限定されないが、本実施の形態では、高精度の回転速度の制御が可能なステッピングモータを使用している。
(2.ADF制御情報更新処理)
図3は、情報ラベル412の貼付位置および当該情報ラベル412の態様を示す図である。図3(a)は、ADF40の断面図であり、同図(b)はADF40の底面(ADF40のIR部10への設置面)である。
【0032】
同図において、Aで示される領域は、シートスルー方式による画像読取可能領域(シートスルー用プラテンガラス12に相対する領域)であり、Bで示される領域は、基準白板19に相対する領域であり、Cで示される領域は、スキャナ移動方式による画像読取可能領域(手置き用プラテンガラス13に相対する領域)であり、Dで示される領域は、原稿搬送領域である。
【0033】
情報ラベル412は、紙やプラスティック、金属等からなるシート部材の表面(スキャナユニット11により読取り可能な面)に、ADF制御情報を担持するバーコードがプリントされてなり、同図に示されるように、ADF40の設置面において、シートスルー方式によりIR部10のスキャナユニット11が読取り可能な範囲内であって、且つ、原稿搬送領域外に貼付されている。
【0034】
同図における円内に、情報ラベル412の拡大図を示す。本実施の形態では、情報ラベル412にプリントされているバーコードは主走査方向(Y方向)に読取られるように形成しているが、これを90度傾けて、光学走査装置11を副走査方向(X方向)に移動させながら読取るようにしても構わない。
スキャナユニット11により読取られた情報ラベル412の画像データをADF制御情報に変換するプログラムは、ROM55に予め記憶されており、必要に応じて当該ROM55より読出され、CPU51により実行される。なお、前記情報ラベル412の態様としては、同図に示すようなバーコードの他に、2次元バーコードを用いてもよく、また、文字や記号、数字を認識してADFの制御情報を取得するようにしてもよい。文字や記号の場合には、読み取った画像データに対し、文字認識処理を行って制御情報を取得することができる。
【0035】
また、情報ラベル412の貼付位置は、スキャナユニット11により読取り可能な範囲内であって、且つ、円滑な原稿搬送および良好なスキャニングの妨げとならない位置であれば、上記の貼付位置に限られない。例えば、原稿搬送領域外の原稿押さえ部材411上でもよく、スキャナ移動方式による読取り可能な範囲内で、且つ、原稿搬送領域外の位置でもよい。
【0036】
図4は、ADF制御情報更新処理の内容を示すフローチャートである。
複写機1の電源がONになると、スキャナユニット11により情報ラベル412が読取られ、その画像データをADF制御情報に変換する(ステップS1:YES、ステップS2、ステップS3)。変換して得られた制御情報と、ADF制御情報記憶部57に記憶されている制御情報とを比較して、双方が同じであれば(ステップS4:YES)、新たなADFが設置されてはいないと判断されるので、当該更新処理を終了する。双方が同じではない場合、新たなADFが設置されたと判断されるので、ADF制御情報記憶部57に記憶されている制御情報を、情報ラベル412を読取って得られた制御情報で更新して記憶し(ステップS4:NO、ステップS5)、更新処理を終了する。
【0037】
本実施の形態では、情報ラベル412から取得する制御情報として、原稿の読取開始と読取終了を判断するための時間t1、t2が設定されている。詳しくは後述する。
なお、ADFが設置されていないIR部10に、新たにADFが設置された場合は、ADF制御情報記憶部57に記憶されている制御情報は無いが、この場合もステップS4において、情報ラベル412を読取って得られた制御情報は、ADF制御情報記憶部57に記憶されている制御情報とは同じではないとして、読取って得られた制御情報を記憶する(ステップS4:NO、ステップS5)。
【0038】
図5は、ADF40の原稿自動搬送機能を使用して原稿を読取るジョブの実行(ADF原稿読取ジョブ実行処理)の内容を示すフローチャートである。なお、複写機1全体を制御する不図示のメインルーチンが別途有り、当該メインルーチンにおいて当該ADF原稿読取ジョブ実行処理のサブルーチンがコールされる毎に実行される。
先ず、ユーザーからの原稿読取開始指示を受け付けたかどうかを判定する(ステップS11)。なお、当該原稿読取開始指示の有無は、たとえば、操作パネル6から、原稿を複写するコピーモードもしくは原稿の画像データを取得して指定された端末に送信するスキャンモードなどが設定されているときに、ユーザーが当該操作パネル6のスタートボタンが押下されたか否かで判断することができる。
【0039】
原稿読取指示を受け付けたときは(ステップS11:YES)、次に、原稿給紙トレイ401上に原稿が載置されているかどうかを判定する(ステップS12)。この判定は、原稿センサ408が原稿給紙トレイ401上の原稿を検出しているか否かにより判定できる。原稿給紙トレイ401上に原稿が載置されていない場合は(ステップS12:NO)、そのままメインルーチンにリターンするが、原稿給紙トレイ401上に原稿が載置されている場合には(ステップS12:YES)、その一番上の原稿を繰り出して原稿搬送を開始する(ステップS13)。
【0040】
そして、用紙先端検出センサ410が原稿の先端を検出してから時間t1を経過したかどうかを判定する。ここで時間t1は、図4のADF制御情報更新処理において更新されてADF制御情報記憶部57に記憶された制御情報であって、用紙先端検出センサ410が原稿の先端を検出してから、当該原稿がシートスルー方式による原稿読取位置に到達するまでの時間である。
【0041】
用紙先端検出センサ410が原稿の先端を検出してから時間t1経過すると、当該原稿はシートスルー方式による原稿読取位置に到達しているので、CCDラインセンサ17により読取を開始する(ステップS14:YES、ステップS15)。
そして、当該原稿の後端が用紙後端検出センサ409により検出された後、時間t2が経過すれば、原稿の後端が原稿読取位置を通過したとみなして、CCDラインセンサ17による1頁分の読取りを終了する(ステップS16:YES、ステップS17)。
【0042】
そして、ステップS12に戻り、原稿給紙トレイ401上に次の原稿が有るかどうかを判断し、原稿給紙トレイ401上に次の原稿があると判断されれば(ステップS12:YES)、上記ステップS13〜S17までの動作を繰り返して次頁以降の原稿読取処理を実行し、原稿給紙トレイ401上に次の原稿がなくなったときに、原稿読取ジョブが終了したと判断して(ステップS12:NO、ステップS18)、メインルーチンにリターンする。
【0043】
なお、上記フローチャートは、原稿読取ジョブの実行時のADF40の制御の一例であって、これに限られないのは言うまでもない。たとえば、上記フローチャートでは、先の原稿読取が終了してから、次の原稿の搬送を開始させるようにしたが、先の原稿の読取り中であっても、その後端が用紙後端検出センサ409で検出されたらすぐに次の原稿の有無を判断して、搬送を開始するようにしてもかまわない。
<実施の形態2>
上記実施の形態1においては、ADFが新たに設置されかどうか、あるいは交換されたかどうかを、複写機1の電源が投入された時に、情報ラベル412をスキャナユニット11により読取って判定していた。しかし、近年、USB等のホットプラグに対応した仕様のADFが広く用いられるようになってきており、システムの電源をONにしたままで、ADFの設置や交換が行えるようになってきている。このような場合、ADFが新たに設置もしくは交換されても電源がOFFからONに切り替わらないため、実施の形態1の構成では情報ラベル412の読み取りが行われず、次に電源がOFFからONに切り替わるまでは、ADF制御情報が更新されないままとなってしまう。
【0044】
そこで、実施の形態2では、複写機1にリセットボタンが設けられており、ADFを新たに設置、もしくは交換した際に、ユーザーもしくはサービスマンがリセットボタンを押すことにより、新たにADFが設置されたこと、もしくは、ADFが交換されたことを検知する構成を例に説明を行う。なお、説明の重複を避けるため、実施の形態1と同じ内容のものについてはその説明を省略し、同じ構成要素については、同符号を付すものとする。
【0045】
図6は、本実施の形態2における、ADF制御情報更新処理の内容を示すフローチャートである。ここでは、オフィス等において、複数のユーザーが1台の複写機を共有して使用する状況において、複写機の電源をONにしたままADFを交換、もしくは新たに設置した場合を想定して説明する。このフローチャートは、複写機1全体を制御するメインルーチンにおいて当該ADF制御情報更新処理のサブルーチンがコールされる毎に実行される。
【0046】
先ず、リセットボタンがONになっている(リセットボタンが押された)かどうかの判定が行われ、リセットボタンがONになっていない場合は(ステップS21:NO)、そのままメインルーチンにリターンする。リセットボタンがONになっている場合、次に、他のジョブ(ADFを使用しないジョブ。たとえばプリントジョブ)が実行中であるかどうかの判定が行われる(ステップS21:YES、ステップS22)。実行中でない場合、スキャナユニット11により情報ラベル412を読取る(ステップS22:NO、ステップS26)。他のジョブが実行中である場合は、続いてジョブが終了したかどうかの判定が行われる(ステップS22:YES、ステップS23)。ジョブが終了していない場合は、引き続きジョブが終了したかどうかの判定を繰り返す(ステップS23:NO、ステップS23)。ジョブが終了している場合は、次に待機中のジョブがあるかどうかの判定が行われる(ステップS23:YES、ステップS24)。待機中のジョブがある場合は、当該待機中ジョブの実行を一時停止し、スキャナユニット11により情報ラベル412を読取る(ステップS24:YES、ステップS25、ステップS26)。待機中のジョブが無い場合は、続いてスキャナユニット11により情報ラベル412を読取る(ステップS24:NO、ステップS26)。
【0047】
次に、情報ラベル412を読取って得られた制御情報と、ADF制御情報記憶部57に記憶されている制御情報とを比較し、双方が同じであれば(ステップS27:YES)、メインルーチンにリターンする。双方が同じではない場合、ADF制御情報記憶部57に記憶されている制御情報を、情報ラベル412を読取って得られた制御情報に更新して記憶する(ステップS27:NO、ステップS28)。
【0048】
そして、リセットボタンを解除し、次に、待機中のジョブがあるかどうかの判定を行う(ステップS29、ステップS30)。待機中のジョブがある場合は、ステップS25において一時停止になっているので、一時停止を解除してジョブを実行させ、メインルーチンにリターンする(ステップS30:YES、ステップS31)。待機中のジョブが無い場合は(ステップS30:NO)、そのままメインルーチンにリターンする。
【0049】
複写機が1のユーザによってのみ使用されていて、ADFの新設および交換時にジョブが実行中であったり、新たなジョブが発行されることがない場合には、ステップS21でリセットボタンがONになっている場合には、次にステップS26の情報ラベル読取りステップに移行し、その間のステップS22からステップS25までを省略することが出来、さらに、ステップS28において制御情報を更新して、ステップS29においてリセットボタンを解除した後は、すぐにメインルーチンにリターンし、ステップS30およびステップS31を省略することが出来る。
【0050】
なお、新たなADF40の設置、および、ADF40の交換を検知する手段としては、上述のリセットボタンに限られず、以下のような構成としてもよい。
即ち、IR部10上面において、ADF40の取付け部(ヒンジ部)付近に、IR部10上面からバネ等により上方に突出する方向に付勢されたレバーを有するスイッチを設けておき、原稿押さえ板やADF40が取り外されて、レバーが突出してスイッチがOFFになった後、新しいADFが設置されて再びレバーが押し戻されてスイッチがONになったときに、新しいADFが設置されたと判断するようにしてもよい。
【0051】
あるいは、ADFのホットプラグの接続状況を認識する認識手段を設け、当該認識手段がホットプラグ接続がOFFの状態からONの状態に変化したことを認識した場合に、新しいADFが設置されたことを検知するようにしてもよい。
また、上記フローチャートにおいて、プリントジョブなどの他のジョブが実行中でも画像の読取が並行して可能な装置にあっては、情報ラベル412の読取を行うことが出来るため、上記ステップS22〜S25はなくてもかまわない。
<変形例>
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明が上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例を実施することが出来る。
(1)上記各実施の形態において、情報ラベル412は、紙やプラスティック、金属等からなるシート部材の表面に、制御情報を担持する情報担持パターンがプリントされたものをADF40の底面の所定位置に貼付するようにしたが、ADF40の底面に、前記情報担持パターンを直接プリントあるいは刻印する構成としてもかまわないし、当該パターンが形成された他の部材をADF40の底面に埋め込むような構成でもよい。
(2)上記各実施の形態においては、情報ラベル412が担持する制御情報の例として、時間t1、t2を示した。これらの制御パラメータは、個々の製品のバラツキや電磁クラッチの応答遅れの部品誤差などを考慮して組立時などにおいて微調整した値を設定することが可能であり、より精度の高いADF制御が可能である。
【0052】
しかし、それほど詳細な調整を必要としない場合には、個々のADFに固有の制御パラメータについては誤差の範囲として、同一の型式のADFには共通の制御パラメータを適用するとして、情報ラベルには型式情報のみを担持させるようにし、制御部5内の、例えばROM55等の記憶部に、複数の型式の情報とこれに対応付けた制御情報を予め記憶しておき、情報ラベル412に担持されている型式情報をスキャナユニット11により読取り、当該読取った型式に対応する制御情報を前記記憶部より読み出して、制御情報の更新を行うとしてもよい。
【0053】
このような構成を採ることにより、情報ラベル412に担持させる情報量を減らして、情報ラベルのサイズの小型化を図ることができる。
さらには、制御情報のうち、電磁クラッチの応答遅れ等の個々のADFに固有の調整値については、情報ラベル412に担持させて、上記各実施の形態と同様に更新処理を行い、搬送路の寸法情報等の同一の型式のADFに共通している調整値については、上記のように型式情報で対応し、スキャナユニット11により読取られた型式情報に対応する制御情報を前記ROM55等の記憶部より読み出して、制御情報の更新を行うとしてもよい。この場合においても、情報ラベルの小型化はある程度図ることはできると考えられる。
【0054】
ところが、型式によって制御情報の更新を行う場合、既存の型式の制御情報については、予め記憶部に記憶しておくことが出来るが、新製品については予め記憶させておくことは難しい。従って、新製品の場合は、情報ラベルより読取った型式情報に対応する制御情報がROM55等の記憶部に記憶されていないと判定すると、通信I/F部58を介してLANやインターネット等のネットワークに接続されたサーバーより該当する型式の制御情報をダウンロードするとしてもよい。
(3)上記実施の形態1において、情報ラベル412を読取って得た制御情報と、ADF制御情報記憶部57に記憶されている制御情報とを比較し、双方が同じでない場合には、記憶されている制御情報を情報ラベル412より得られた制御情報に更新するとしたが、これに限られず、電源がONになると毎回情報ラベル412をスキャナユニット11により読取り、得られた調整値をRAM56等に記憶させる構成としてもよい。この場合、ADF制御情報記憶部57を省略することが可能である。
【0055】
また、上記実施の形態および上記変形例の内容を夫々組み合わせるとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の画像読取装置は、ADFを新たに設置した場合や交換した場合の調整値の更新における、ユーザーやサービスマンの作業負荷の軽減とコストダウンとを実現する技術として有用である。
【符号の説明】
【0057】
1 複写機
10 IR部
11 スキャナユニット
111 ランプ
112、14、15 ミラー
12 シートスルー用プラテンガラス
13 手置き用プラテンガラス
16 結像レンズ
17 CCDラインセンサ
18 シートスルー読取り位置
19 基準白板
20 プリンタ部
30 給紙部
40 ADF
401 原稿給紙トレイ
402 原稿排紙トレイ
403 ピックアップローラ
404 捌きローラ
405 レジストローラ
406 読取後ローラ
407 排出ローラ
408 原稿センサ
409 用紙後端検出センサ
410 用紙先端検出センサ
411 原稿押さえ部材
412 情報ラベル
5 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿画像を読み取って画像データを生成する画像読取ユニットと、前記画像読取ユニットにおける原稿画像の読取り位置へ原稿を搬送する原稿搬送ユニットとからなる画像読取装置であって、
前記原稿搬送ユニットは、前記画像読取ユニットに対して着脱可能に構成されると共に、原稿搬送ユニットの前記画像読取ユニットによる読取り可能な位置に、当該原稿搬送ユニットの動作を制御するための制御情報を担持する情報担持パターンが形成されており、
前記画像読取ユニットは、
前記情報担持パターンを所定のタイミングで読み取って、前記制御情報を取得する制御情報取得手段と、
前記取得された制御情報を記憶する制御情報記憶手段と、
前記記憶された制御情報に基づいて前記原稿搬送ユニットの動作を制御する制御手段と
を備えたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記所定のタイミングは、装置に電源が投入されたときであることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記原稿搬送ユニットが交換もしくは新たに設置された旨の情報を取得する交換情報取得手段を備え、
前記所定のタイミングは、前記交換情報取得手段により原稿搬送ユニットが交換もしくは新たに設置された旨の情報が取得されたときであることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記制御情報記憶手段は、前記取得された制御情報が、前回取得されて記憶されている制御情報と異なる場合に更新して記憶する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記制御情報は、前記原稿搬送ユニットの動作を制御するための制御パラメータであることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記制御情報は、前記原稿搬送ユニットの型式情報であり、
前記制御手段は、
原稿搬送ユニットの型式毎に対応する制御パラメータを記憶するパラメータ記憶手段を備え、
取得した型式情報に対応する制御パラメータを前記パラメータ記憶手段から読み出して、当該読み出された制御パラメータに基づいて前記原稿搬送ユニットの動作を制御することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記情報担持パターンは、バーコードであることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−193171(P2010−193171A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−35473(P2009−35473)
【出願日】平成21年2月18日(2009.2.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.EEPROM
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】