説明

画像読取装置

【課題】ケーブルからの放射ノイズを抑制しつつ、ケーブルの引き回しを容易にする。
【解決手段】画像読取装置は、読取ユニット、受信ユニット、ケーブル、筐体を備える。読取ユニットは、イメージセンサユニットを備え、副走査方向に移動する。イメージセンサユニットは、原稿の画像を画像信号に変換する光電変換手段と、光電変換手段により作成された画像信号を送信する送信手段とを備える。受信ユニットは、読取ユニットから送信された画像信号を受信する。ケーブルは、イメージセンサユニットの送信手段から受信ユニットへ画像信号を伝送する。ケーブルは、読取ユニットの移動方向に延在し、読取ユニットの移動に応じて可動する可動部分と、読取ユニットの移動方向とは別の方向に延在する非可動部分とを備え、可動部分と非可動部分との接合部においてケーブルの延在する方向が転換される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に画像読取装置に係り、とりわけ放射ノイズを抑制するための構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、イメージセンサを支持するキャリッジ部材からなる読取ユニットを移動走査することでブック原稿を読み取る画像読取装置が提案されている(特許文献1)。このイメージセンサは、主走査方向に線状に照明する光源手段と、光源手段により照らされた原稿の反射光を結像する結像手段と、結像手段により結像された反射光を入射させて原稿の画像情報を読取画像信号に変換する光電変換手段と、光電変換により作成された画像信号を送信する画像信号送信手段とを備えている。とりわけ、画像信号送信手段は、屈曲性を有するフレキシブルケーブルを介して、画像信号受信ユニットに接続されている。このような構造の画像読取装置は、装置の厚さを抑えられる利点がある。
【0003】
フレキシブルケーブルとしては、複数のケーブル導体と各ケーブル導体を被覆する被覆部材とを有する帯状の多極ケーブルである、フラットフレキシブルケーブル(FFC)が流通している。FFCは、占有スペースが小さいといった利点がある。
【0004】
しかし、FFCは、信号の伝送によって電磁波を放出する発生させることがある。そのため、FFCは、EMI(ElectroMagnetic Interference)などのノイズの発生源となることがある。
【0005】
そこで、粘着部材によりFFCを装置内に敷設することで、ノイズの発生を低減させる構造が提案されている(特許文献2)。
【特許文献1】特開平8−195860号公報
【特許文献2】特開2003−100156号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、読取ユニットの走査・移動範囲の外側に読取ユニットを制御するための制御基板を配置する構成が考えられる。
【0007】
図11Aは、関連技術における画像読取装置の上視図である。図11Bは、関連技術における画像読取装置の副走査方向の断面図である。画像読取装置の筐体は、上枠701と下枠709で構成されている。筐体の内部には、原稿台ガラス710上に置かれた原稿の画像を読み取るための読取ユニット702が収納されている。読取ユニット702は、原稿を読み取る際に、駆動軸704及びガイドレール705に沿って、左側から右側に向かって移動する。駆動軸704、ガイドレール705及び制御基板711は、下枠709に固定されている。
【0008】
読取ユニット702で読み込まれた画像データはケーブル703を介して制御基板711へ伝送される。ケーブル703としてFFCを用いることで、読取ユニット702は筐体内部を自由に移動できる。FFCは薄くかつ柔軟性を備えているからである。
【0009】
ケーブル703のうち可動しない部分を、読取ユニット702の移動方向に対し直角に折り曲げることにより、一本のケーブルで読取ユニット702と制御基板711とを接することができる。
【0010】
しかし、近年、画像読取装置を高速化することで、ケーブル703を伝送される画像データの速度も上がっている。これは、ケーブル703が放射ノイズ源になりやすくなってきていることを意味する。
【0011】
FFCから放出されるノイズを削減するには、たとえば、ケーブルをシールドしたり、特性インピーダンスを整合させたり、複数の細線同軸ケーブルをフラットケーブル状にアセンブリした同軸フラットケーブルを採用したりする方法が考えられる。
【0012】
しかし、シールドを施したFFCや同軸フラットケーブルは、一般的なFFCに比べて厚い。そのため、折り曲げることが困難となる。また、無理に折り曲げれば、ケーブル自体が傷んでしまい、伝送特性が劣化してしまう。また、折り曲げ部分の厚みが増すため、画像読取動作中に読取ユニットが接触してしまい、動作不良や、異常画像が発生する可能性がある。また、この手法ではケーブルのコストも上昇しやすい。さらに、近年では、制御基板711が読取ユニット702から離れた位置に配置されているため、ケーブル長が長くなくなる傾向にある。よって、2重の原因でコストアップを招くことになる。ちなみに、ケーブル長が長くなると、ケーブル自体の電磁的共振周波数が低周波よりにシフトするため、いわゆるEMI規格を満足できなくなるおそれもある。
【0013】
そこで、本発明は、このような課題および他の課題のうち、少なくとも1つを解決することを目的とする。たとえば、本発明は、ケーブルからの放射ノイズを抑制しつつ、ケーブルの引き回しを容易にすることを目的とする。なお、他の課題については明細書の全体を通して理解できよう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
画像読取装置は、読取ユニットと、受信ユニットと、ケーブルと、筐体とを備えている。読取ユニットは、イメージセンサユニットと、このイメージセンサユニットを保持するキャリッジ部材とを備え、副走査方向に移動する。イメージセンサユニットは、原稿の画像を画像信号に変換する光電変換手段と、光電変換手段により作成された画像信号を送信する送信手段とを備える。受信ユニットは、読取ユニットから送信された画像信号を受信する。ケーブルは、イメージセンサユニットの送信手段から受信ユニットへ画像信号を伝送する。筐体は、読取ユニットと、受信ユニットと、ケーブルとを収納又は保持する。
【0015】
とりわけ、ケーブルは、読取ユニットの移動方向に延在し、読取ユニットの移動に応じて可動する可動部分と、読取ユニットの移動方向とは別の方向に延在する非可動部分とを備え、可動部分と非可動部分との接合部においてケーブルの延在する方向が転換される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ケーブルを可動部分と非可動部分とに分離し、これらの接合部においてケーブルの延在する方向を転換するようにしたことで、ケーブルからの放射ノイズを抑制しつつ、ケーブルの引き回しを容易にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に本発明の一実施形態を示す。以下で説明される個別の実施形態は、本発明の上位概念、中位概念および下位概念など種々の概念を理解するために役立つであろう。また、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって確定されるのであって、以下の個別の実施形態によって限定されるわけではない。
【0018】
[第1の実施形態]
図1は、実施形態における画像読取装置の平面図である。画像読取装置1は、導電性部材である筐体上枠101と筐体下枠109とにより外形が形成されている。すなわち、画像読取装置の筐体は、導電性部材の上枠と下枠とを主要な構成部材としている。なお、画像読取装置1は、イメージリーダやイメージスキャナーと呼ばれることもある。
【0019】
筐体上枠101に設けられた開口部100には、原稿を置載するための原稿台ガラス110が設けられている。筐体内に設けられた読取ユニット102は、図1の左側から右側へ向かって(すなわち副走査方向に)、移動しながら、原稿の画像を読み取る。なお、読取ユニット102は、後述する駆動モーター202(図3)によって駆動される。読取ユニット102の姿勢は、駆動軸104とガイドレール105によって水平に維持される。
【0020】
読取ユニット102は、筐体の内部を移動可能に配置され、原稿台に載置された原稿を読み取る読取ユニットの一例である。読取ユニット102は、イメージセンサ基板106、原稿照明107a、107b、反射板108a、108b、および光学部品で構成されている。画像読取動作の際、原稿照明107a、107bが原稿台ガラス110上に載置された原稿を照明する。原稿台ガラス110は、筐体の上枠に設けられた透光性を有する原稿台の一例である。原稿台ガラス110は、必ずしもガラスを素材としている必要はない。
【0021】
原稿からの反射光は、光学部品を介して、イメージセンサ基板106に実装されたイメージセンサ上に結像する。イメージセンサ基板106は、第1ケーブル103を介して制御基板201と接続される。
【0022】
原稿照明107a、107bは、冷陰極管のような管状光源でも、LEDのような点光源を線状に集合させたものでもよい。原稿照明107a、107bは、画像読取領域の主走査方向の長さとほぼ等しい長さを有する。反射板108a、108bは、金属板もしくは基材上に金属を蒸着させたもので、原稿照明107a、107bと同等以上の長さを有する。
【0023】
制御基板201は、筐体下枠109にネジ200で固定されているとともに制御基板201のグランドもネジ200を介して筐体下枠109に接続されている。
【0024】
とりわけ、図1では、放射ノイズを抑制するために、第1ケーブル103と、中継基板120と、第2ケーブル121とにより、読取ユニット102と制御基板201とを接続するための伝送ケーブルが構成されている。第1ケーブル103は、読取ユニット102の移動方向(図中の主走査方向)に延在し、読取ユニット102の移動に応じて可動する可動部分の一例である。また、第1ケーブル103をシールドケーブルとすることで、第1ケーブル103から放出されるノイズを抑圧することができる。第2ケーブル121は、読取ユニット102の移動方向とは別の方向に延在する非可動部分の一例である。中継基板120は、可動部分と非可動部分との接合部の一例である。同様に、中継基板120は、可動部分と非可動部分とを中継するための中継器の一例である。また、中継基板120においてケーブルの延在する方向が転換されている。
【0025】
図2は、画像読取装置の機能を示すブロック図である。イメージセンサ基板106に実装されるイメージセンサ111は、原稿からの反射光を、光学部品を介して受光し、画像データ115(電気信号)に変換して出力する。イメージセンサ基板106は、読取ユニット102のキャリッジ部材によって保持されたイメージセンサユニットの一例である。イメージセンサ111は、原稿の画像を画像信号に変換する光電変換手段の一例である。画像データ115は増幅器112により増幅され、増幅された画像データ116となる。増幅された画像データ116は、AD変換器113でデジタル信号209に変換される。AD変換器113は、光電変換手段により作成された画像信号を送信する送信手段の一例である。
【0026】
デジタル信号209は、第1ケーブル103と、中継基板120と、第2ケーブル121とを介して制御基板201上の画像処理回路204へ伝送される。第1ケーブル103と、中継基板120と、第2ケーブル121とは、イメージセンサユニットの送信手段から受信ユニットへ画像信号を伝送するケーブルの一例である。画像処理回路204は、読取ユニット102から送信された画像信号を受信する受信ユニットとして機能している。画像処理回路204は、入力されたデジタル信号209に対してγ補正などの画像処理を施し、画像処理されたデジタル信号215を生成する。デジタル信号215は、インターフェース回路213を介して図示しない画像形成装置へ伝送される。
【0027】
制御基板201上の制御回路205は、イメージセンサ111を駆動する基準信号207を生成する。基準信号207は、第1ケーブル103を介してイメージセンサ基板106上のイメージセンサ駆動回路114へ伝送される。イメージセンサ駆動回路114は、基準信号207からイメージセンサ駆動用信号117を生成し、イメージセンサ駆動用信号117によってイメージセンサ111を駆動する。
【0028】
制御回路205は、イメージセンサ基板106上のAD変換器113の基準クロック信号208と、原稿照明107の制御信号211とをそれぞれ生成する。基準クロック信号208も第1ケーブル103を介してAD変換器113に入力される。なお、放射ノイズは、読取ユニットに使用されている基準クロック信号208の高調波であり、放射ノイズの周波数は30MHz以上の周波数である。
【0029】
制御信号211も第1ケーブル103と、中継基板120と、第2ケーブル121とを介して原稿照明駆動回路118へ入力される。原稿照明駆動回路118は、制御信号211にしたがって原稿照明107a、107bを駆動するための信号119を生成し、原稿照明107a、107bに供給する。
【0030】
さらに、制御回路205は、駆動モーター202を制御するための基準信号214を生成する。モーター駆動回路212は、基準信号214をモーター駆動信号203に変換し、駆動モーター202を制御する。
【0031】
このように、読取ユニット102と制御基板201とを結合する第1ケーブル103と、中継基板120と、第2ケーブル121とを介して基準クロックや、デジタルの画像データ等が送受信される。ただし、読取ユニット102は、構造上、画像読取装置のグランドとの高周波的な接続が弱い。そのため、読取ユニット102自身やケーブルから放射ノイズを発生しやすい。それゆえ、本発明が提案する放射ノイズの抑制手法が活きてくる。
【0032】
図3Aは、中継基板120の平面図である。中継基板120は、第1ケーブル103を接続するための第1コネクタ301と、第2ケーブル121を接続するための第2コネクタ302と、パターン群304と、第1グランドパターン303とを備えている。パターン群304は、第1コネクタ301と第2コネクタ302間との間に設けられた配線パターンである。第1ケーブル103と第2ケーブル121との各信号線がこのパターン群304により1対1で接続されている。
【0033】
なお、パターン群304は、第1コネクタ301と第2コネクタ302とが実装されている面とは別の面に形成されている。パターン群304を形成する配線パターンは、それぞれ第1ケーブル103と第2ケーブル121との特性インピーダンスと等しくなるように構成されている。このように、パターン群304は、可動部分と非可動部分との特性インピーダンスを整合する作用も有していてもよい。パターン群304の周囲には第1グランドパターン303が設けられている。第1コネクタ301と第2コネクタ302の近傍には導電性のネジ305〜308を通すための穴が設けられている。このように、パターン群304は、可動部分と非可動部分とを接続する接続パターンの一例である。
【0034】
図3Bは、画像読取装置の筐体下枠109に実装された中継基板120の側面図である。第1コネクタ301と第2コネクタ302との実装面には、第2グランドパターン309が形成されている。第2グランドパターン309は、第1グランドパターン303に対して複数の箇所でビアにより接続されている。第1ケーブル103のシールドは、第1コネクタ301のシールドまたは導電性部材を介して第2グランドパターン309に接続される。
【0035】
筐体下枠109には、ネジ305〜308を固定するための、所定の高さを有した台が設けられている。この台に開けられた穴(孔)がナットとして機能する。このように、筐体下枠109と第2グランドパターン309とが機械的かつ電気的に接続される。筐体下枠109のうち、第2グランドパターン309と対向する領域は、導電性部材で構成されている。このように、可動部分のシールドとグランドパターンとが接続されているとともに、グランドパターンが筐体に対して導電性を有する固定部材で固定されている。
【0036】
中継基板120の上面と下面とのうち、第1コネクタ301及び第2コネクタ302を筐体下枠109と面する下面に実装している。これは、中継基板120の厚さを抑えるためである。
【0037】
図4は、画像読取装置の筐体下枠109に実装された中継基板120の側面図である。画像読取装置の底部には、複数の脚401が設けられている。筐体下枠109のうち、中継基板120の実装領域402は、その周囲の領域よりも低くなっている。すなわち、実装領域402は、窪みとなっている。この窪み内に中継基板120を収納することで、中継基板120の頂部と読取ユニット102の底部とが干渉することを防いでいる。
【0038】
図5A、図5Bは、読み取り動作中における読取ユニット102の移動範囲と、読取ユニット102、第1ケーブル103及び中継基板120の位置関係とを示した図である。図5Aによれば、読取ユニット102は、移動範囲のうち最右端に位置している。また、図5Bによれば、読取ユニット102は、移動範囲のうち最左端に位置している。
【0039】
図5Aに示された状態によれば、第1ケーブル103のほとんどの部分は、筐体下枠109に対して離間している。一方で、図5Aに示された状態によれば、第1ケーブル103のほとんどの部分は、筐体下枠109に接触ないし近接している状態にある。
【0040】
読み取り動作中、第1ケーブル103は、図5Aに示された状態から図5Bに示された状態を繰り返す。一般的なケーブルは、変形すると、特性インピーダンスが一定にならなくなるため、放射ノイズを発生しやすくなる。よって、第1ケーブル103は、シールドケーブルや細線同軸ケーブルで構成することが望ましい。
【0041】
図6は、中継基板120と制御基板201とを接続する第2ケーブル121の実装状態を説明するための断面図である。第2ケーブル121は、読取ユニット102の動作に依存して移動することはない。よって、第2ケーブル121は、筐体下枠109に対して固定できる。
【0042】
第2ケーブル121は、複数の抑え部材502によって、筐体下枠109に対して固定されている。なお、第2ケーブル121は、筐体下枠109の一部に設けられた開口部501を通過し、制御基板201へ接続される。
【0043】
このように、第2ケーブル121は筐体下枠109に対して接触ないしは密接して固定されるため、特性インピーダンスが安定する。さらに、筐体下枠109を導電性部材で構成することによりシールド効果が得られる。よって、第2ケーブル121を、高価なシールドケーブルとせずに、安価なFFCとしてもよい。第2ケーブル121を第1ケーブル103と同様にシールドケーブルとしてもよい。このように本実施形態によれば、可動部分である第1ケーブル103と非可動部分である第2ケーブル121とがそれぞれ異なる構造のケーブルで構成されている。
【0044】
以上、本実施形態よれば、ケーブルを可動部分と非可動部分とに分離し、これらの接合部においてケーブルの延在する方向を転換するようにしたことで、ケーブルからの放射ノイズを抑制しつつ、ケーブルの引き回しを容易にできる。すなわち、放射ノイズを抑制しつつ、ケーブルの折り曲げによる破損や、読み取り動作時の読み取りユニットとケーブルとの干渉による不具合を防ぐことができる。また、ケーブルを折り曲げることができるので、画像読取装置の薄型化も可能となる。
【0045】
ケーブルを可動部分と非可動部分とに分割しているため、ケーブルの電磁的共振が発生する単位長が短くなる。よって、共振周波数を放射ノイズ規制領域の高周波よりも外側へ移行させやすくなる。すなわち、放射ノイズ対策も容易となろう。
【0046】
可動部分と非可動部分とがそれぞれ異なる構造のケーブルで構成することできるため、たとえば、シールド構造を有するケーブルを可動部分にのみ適用し、非可動部分にはより簡便なケーブルを採用することも可能となる。そのため、低コストで画像読取装置の高速化も可能となろう。
【0047】
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、読取ユニット102と制御基板201間とを、第1ケーブル103、中継基板120及び第2ケーブル121により接続した。すなわち、分離された2つのケーブルを中継基板120によって接合するとともに、延在する方向(進行方向)を接合部において転換するものであった。そこで、第2の実施形態では、中継基板を用いずに接合を実現した、一体の簡便なケーブルを提案する。
【0048】
図7は、実施形態における可動部分と非可動部分で構造の異なるケーブルの一例を示した図である。ケーブル801は、第1ケーブル103に相当する可動部分802と、第2ケーブル121に相当する非可動部分803とを有する。可動部分802と非可動部分803との各信号線やグランドパターンは、接合部808において電気的に接続されている。
【0049】
可動部分802はシールド処理を施されている。非可動部分803もシールド処理を施されていてもよいが、ここでは、シールド処理が施されていないものとする。可動部分802のうち、非可動部分803との境界近傍には、接地領域807が設けられている。接地領域807は、可動部分802のシールド部分が外部(筐体下枠109など)と接触できるように形成されている。
【0050】
ケーブル801の片方の端部には、読取ユニット102と接続するための第1コネクタ804が取り付けられている。一方、ケーブル801の他端には、制御基板201と接続するための第2コネクタ805が取り付けられている。なお、破線806は、非可動部分803を折り曲げる位置を示している。この位置で非可動部分803を折り曲げることで、ケーブル801の延在方向を転換できるようになっている。ケーブル801のうち非可動部分803は、FFCやフレキシブルプリント配線板(FPC)で容易に製造可能である。
【0051】
図8は、図7に示したA−A´の部分の拡大図である。可動部分802は、シールド層601を有している。シールド層601には、複数のビアホール602が所定の間隔ごとに設けられている。ビアホール602は、ケーブル801の内層に設けられたグランドパターンとシールド層601とを電気的に接続している。
【0052】
図9は、図7で示した可動部部分のA−A´における断面と非可動部分のB−B´における断面との比較図である。
【0053】
ケーブル801の内部には、複数の信号線1105と、複数のグランドパターン1106とが存在する。複数の信号線1105の周囲には、絶縁体1102が配置されている。グランドパターン1106は、可動部分802において、ビアホール602を通じて上側のシールド層601と下側のシールド層1101とに接続されている。シールド層601は、絶縁体1103により覆われている。同様にシールド層1101の外側も絶縁体1104により覆われている。
【0054】
図10Aは、画像読取装置に実装されたケーブル801を示す図である。図10Bは、画像読取装置に実装されたケーブル801の拡大図である。これらの図によれば、ケーブル801は、折り曲げ位置において折り曲げられていることがわかる。可動部分802は、シールドケーブルであるため、折り曲げが困難であり、無理に折り曲げると断線などが生じうる。一方で、非可動部分803は、可動部分802と比較して折り曲げが容易な構造である。それゆえ、非可動部分803においてケーブル801が折り曲げられている。このように、非可動部分803の端部は、接合部808の付近で折り曲げられている。
【0055】
図10A、図10Bによれば、ケーブル801の可動部分802の端部は、抑え部材901によって筐体下枠109に対して固定されている。なお、抑え部材901は、導電性を有しており、ケーブル801の接地領域807に対応して設けられている。よって、可動部分802に設けられた接地領域807は、筐体下枠109に対して導通状態が維持されるように、抑え部材901によって固定される。このように、可動部分のシールドは、接合部808の近辺において筐体に対して接地されている。
【0056】
非可動部分803は、抑え部材901は、によって筐体下枠109に対して固定されている。このように、抑え部材901及び抑え部材901を採用することで、ケーブル801の折り曲げ部分が筐体下枠109からの浮き上がりが抑制される。また、非可動部分803は、筐体下枠109の底面に近接して固定されているため、実質的にシールドされている。
【0057】
本実施形態よれば、ケーブルを可動部分と非可動部分とに分離し、これらの接合部においてケーブルの延在する方向を転換するようにしたことで、ケーブルからの放射ノイズを抑制しつつ、ケーブルの引き回しを容易にできる。また、実施形態2では、実施形態1で説明した中継基板を省略できるため、さらなるコストの低減効果もあろう。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】実施形態における画像読取装置の平面図である。
【図2】画像読取装置の機能を示すブロック図である。
【図3A】中継基板120の平面図である。
【図3B】画像読取装置の筐体下枠109に実装された中継基板120の側面図である。
【図4】画像読取装置の筐体下枠109に実装された中継基板120の側面図である。
【図5A】読み取り動作中における読取ユニット102の移動範囲と、読取ユニット102、第1ケーブル103及び中継基板120の位置関係とを示した図である。
【図5B】読み取り動作中における読取ユニット102の移動範囲と、読取ユニット102、第1ケーブル103及び中継基板120の位置関係とを示した図である。
【図6】中継基板120と制御基板201とを接続するケーブル121の実装状態を説明するための断面図である。
【図7】実施形態における可動部分と非可動部分で構造の異なるケーブルの一例を示した図である。
【図8】図7に示したA−A´の部分の拡大図である。
【図9】図7で示した可動部部分のA−A´における断面と非可動部分のB−B´における断面との比較図である。
【図10A】画像読取装置に実装されたケーブル801を示す図である。
【図10B】画像読取装置に実装されたケーブル801の拡大図である。
【図11A】関連技術における画像読取装置の上視図である。
【図11B】関連技術における画像読取装置の副走査方向の断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像読取装置であって、
原稿の画像を読み取って画像信号を出力し、副走査方向に移動する読取ユニットと、
前記読取ユニットから出力された前記画像信号を受信する受信ユニットと、
前記読取ユニットから前記受信ユニットへ前記画像信号を伝送するケーブルと、
前記読取ユニットと、前記受信ユニットと、前記ケーブルとを収納又は保持する筐体と
を備え、
前記ケーブルは、
前記読取ユニットの移動方向に延在し、前記読取ユニットの移動に応じて可動する可動部分と、
前記読取ユニットの移動方向とは別の方向に延在する非可動部分と
を備え、
前記可動部分と前記非可動部分との接合部において前記ケーブルの延在する方向が転換されていることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記可動部分と前記非可動部分とがそれぞれ異なる構造のケーブルで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記可動部分はシールドケーブルであることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記可動部分と、前記非可動部分との特性インピーダンスが整合されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記接合部は、
前記可動部分と、前記非可動部分とを中継するための中継器を備え、
前記中継器は、前記可動部分と、前記非可動部分との特性インピーダンスと整合されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記中継器は、
前記可動部分と前記非可動部分とを接続する接続パターンと、
グランドパターンと
を備え、
前記可動部分のシールドと、前記グランドパターンとが接続されており、かつ、前記グランドパターンは前記筐体に対して導電性を有する固定部材で固定されている
ことを特徴とする請求項5に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記筐体のうち、前記グランドパターンと対向する領域は、導電性部材で構成されていることを特徴とする請求項6に記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記非可動部分の端部は、前記接合部の付近で折り曲げられていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項9】
前記可動部分のシールドは、前記接合部において前記筐体に対して接地されていることを特徴とする請求項8に記載の画像読取装置。
【請求項10】
前記非可動部分は、前記筐体の底面に近接して固定されていることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【公開番号】特開2010−93645(P2010−93645A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−263058(P2008−263058)
【出願日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】