説明

画像読取装置

【課題】本発明は、原稿台に形成された挿入穴の設定(設計)を変更することなく、異なる大きさのカバー部材のヒンジ部材(の取付部)を同一の挿入穴で支持することができる画像読取装置を提供する。
【解決手段】カバー部材32は、所定の寸法のヒンジ部材34Aを有する第1カバー部材32Aと、第1カバー部材32Aのヒンジ部材34Aの寸法よりも小さな寸法のヒンジ部材34Bを有する第2カバー部材32Bと、があり、第1カバー部材32Aのヒンジ部材34Aは、キャップ部材54、56を介さず挿入穴48、50に挿入され、第2カバー部材32Bのヒンジ部材34Bは、キャップ部材54、56を介して挿入穴48、50に挿入されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体と、筐体に設けられ原稿が置かれる原稿台と、筐体に対して回動可能に設けられ原稿台の上面を開放又は閉塞するカバー部材と、を備えた画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置の中には、筐体側に取り付けられた原稿台の上側に、ADF装置(Auto Document Feeder:原稿自動送り装置)を搭載したカバー部材を備えたものがある。ADF装置には、原稿を載せるための原稿トレイが組み付けられている。
【0003】
また、カバー部材は、原稿台を開放又は閉塞することができるように、原稿台に対して開閉自在に設けられている。具体的には、カバー部材には、2種類のものが設けられている。すなわち、大型のADF装置を搭載する大型のカバー部材と、小型のADF装置を搭載する小型のカバー部材と、がある。そして、大型のADF装置を搭載する大型のカバー部材には、大きな寸法のヒンジ部材が設けられ、小型のADF装置を搭載する小型のカバー部材には、小さな寸法のヒンジ部材が設けられている。それぞれのカバー部材は、各ヒンジ部材の取付部が原稿台側に形成された各挿入穴に挿入されることにより、原稿台側に着脱自在に設けられている。さらに、カバー部材は、ヒンジ部材の作用により原稿台を開放又は閉塞する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−69891号公報
【特許文献2】特開平6−75309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来技術によれば、大型のADF装置を搭載する大型のカバー部材に設けられたヒンジ部材の寸法と(大きさ)、小型のADF装置を搭載する小型のカバー部材に設けられたヒンジ部材の寸法(大きさ)と、が異なっている。このため、大型のカバー部材に設けられたヒンジ部材の取付部の寸法(大きさ)は大きくなり、かつ、小型のカバー部材に設けられたヒンジ部材の取付部の寸法(大きさ)は小さくなる。
【0006】
ここで、原稿台側に形成された各挿入穴の寸法を大型のカバー部材に設けられたヒンジ部材の取付部の寸法に合わせると、小型のカバー部材に設けられたヒンジ部材の取付部を原稿台側に形成された各挿入穴に挿入したときに、小型のカバー部材に設けられたヒンジ部材の取付部と原稿台側に形成された各挿入穴の内壁面との間に隙間が生じる。この結果、小型のカバー部材ががたつく問題が生じる。なお、原稿台側に形成された各挿入穴の寸法を小型のカバー部材に設けられたヒンジ部材の取付部の寸法に合わせると、大型のカバー部材に設けられたヒンジ部材の取付部が挿入穴に挿入できず、不都合になる。
【0007】
一方、2種類のカバー部材に設けられたヒンジ部材の取付部の寸法に対応させて原稿台側の挿入穴の寸法及び位置を適宜調整することは技術的に困難である。また、2種類のカバー部材の一方を他方に交換する場合には、原稿台側の挿入穴の寸法を、交換するカバー部材に設けられたヒンジ部材の取付部の寸法に合わせるために、原稿台側を交換しなければならず、作業が複雑になる。
【0008】
そこで、本発明は、原稿台側に形成された挿入穴の設定(設計)を変更することなく、異なる大きさのカバー部材の異なる大きさ(寸法)のヒンジ部材(の取付部)を同一の挿入穴で支持することができる画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、筐体と、前記筐体に設けられ、挿入穴が形成された原稿台と、前記原稿台を開放又は閉塞するカバー部材と、前記カバー部材に設けられ、前記カバー部材を前記原稿台に対して回動可能にするとともに、前記挿入穴に挿入されて前記カバー部材を前記原稿台に組み付けるためのヒンジ部材と、を有し、前記カバー部材は、所定の寸法の前記ヒンジ部材を有する第1カバー部材と、前記第1カバー部材の前記ヒンジ部材の寸法よりも小さな寸法のヒンジ部材を有する第2カバー部材と、を備え、前記第1カバー部材の前記ヒンジ部材は、キャップ部材を介さず前記挿入穴に挿入され、前記第2カバー部材の前記ヒンジ部材は、キャップ部材を介して前記挿入穴に挿入されている画像読取装置である。
【0010】
本発明によれば、第1カバー部材のヒンジ部材は、キャップ部材を介さず原稿台の挿入穴に挿入され、第2カバー部材のヒンジ部材は、キャップ部材を介して原稿台の挿入穴に挿入されている。これにより、異なる大きさのカバー部材の異なる大きさ(寸法)のヒンジ部材(の取付部)を同一の挿入穴で支持することができる。
【0011】
この場合、前記キャップ部材は、前記挿入穴と前記第2カバー部材の前記ヒンジ部材との寸法差を吸収して前記第2カバー部材の前記ヒンジ部材を前記挿入穴に対して位置決めする位置決め部材であることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、キャップ部材は、挿入穴と第2カバー部材のヒンジ部材との寸法の差を吸収して第2カバー部材のヒンジ部材を挿入穴に対して位置決めする位置決め部材である。このため、第2カバー部材のヒンジ部材を原稿台の挿入穴に挿入したときに、第2カバー部材のがたつきを防止することができる。
【0013】
この場合、前記挿入穴、前記第2カバー部材の前記ヒンジ部材及び前記キャップ部材は複数であり、前記キャップ部材は、前記挿入穴の内部で移動して前記第2カバー部材の前記ヒンジ部材間の公差を吸収することが好ましい。
【0014】
この構成によれば、キャップ部材は、挿入穴の内部で移動して第2カバー部材のヒンジ部材間の公差を吸収する。これにより、キャップ部材を挿入穴の内部で移動させるだけで、第2カバー部材のヒンジ部材間の公差を容易に吸収させることができる。この結果、第2カバー部材の原稿台に対する組み付けが容易になり、作業性を向上できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、原稿台に形成された挿入穴の設定(設計)を変更することなく、異なる大きさのカバー部材のヒンジ部材(の取付部)を同一の挿入穴で支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係る画像読取装置を備えた画像形成装置の斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る画像読取装置を構成する小型のカバー部材のヒンジ部材にキャップ部材を装着して、小型のカバー部材を原稿台に組み付ける状態を示した分解図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る画像読取装置を構成する大型のカバー部材のヒンジ部材にキャップ部材を装着せず、大型のカバー部材を原稿台に組み付ける状態を示した分解図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る画像読取装置を構成する原稿台の平面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る画像読取装置を構成する原稿台の第2挿入穴に挿入されたキャップ部材を示した拡大平面図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る画像読取装置を構成する原稿台の第2挿入穴にヒンジ部がキャップ部材を介して挿入された状態の断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る画像読取装置を構成する原稿台の第2挿入穴にヒンジ部がキャップ部材を介して挿入された状態の断面図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る画像読取装置を構成するコントローラと各スイッチ端子との電気的構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の第4実施形態に係る画像読取装置を構成する原稿台の第1挿入穴に挿入されるキャップ部材の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の第1実施形態に係る画像読取装置について、図面を参照して説明する。なお、以下では、本発明の画像読取装置を備えた画像形成装置について説明する。
【0018】
図1に示すように、画像形成装置10は、筐体12を備えている。この筐体12の内部には、用紙に所定の画像を形成するための画像形成部14が配置されている。筐体12の上部には、原稿台16が設けられている。原稿台16の内部には、ガラス面30上にセットした原稿の画像を読み取る画像読取部18が設けられている。原稿台16には、画像形成に関する動作を入力するための操作部20が設けられている。また、原稿台16には、原稿台16のガラス面30を開放又は閉塞する原稿押さえカバー(カバー部材)32が取り付けられている。
【0019】
原稿押さえカバー32は、所定軸の軸回りに回動可能となるように原稿台16側に設けられている。原稿押さえカバー32は、筐体上部16に対してスプリングを組み込んだヒンジ部材34を介して取り付けられている。このため、原稿押さえカバー32を開ける場合(原稿台30の上面を開放する場合)には、スプリングの弾性力が原稿押さえカバー32に作用する重力に逆らって原稿押さえカバー32を押し上げるように作用するため、小さな力で原稿押さえカバー32を開けることができる。一方、開けた状態の原稿押さえカバー32を閉める場合(原稿台30の上面を閉塞する場合)には、スプリングの弾性力が原稿押さえカバー32に作用する重力に逆らって原稿押さえカバー32を押し上げるように作用するため、原稿押さえカバー32が勢い良く閉まってしまうことがない。
【0020】
ここで、原稿押さえカバー32には、2種類の大きさ(寸法)のものが使用される。具体的には、大型のADF装置(Auto Document Feeder:原稿自動送り装置)22を搭載する大型の第1原稿押さえカバー32A(第1カバー部材)と、小型のADF装置(Auto Document Feeder:原稿自動送り装置)22を搭載する小型の第2原稿押さえカバー32B(第2カバー部材)と、が用意される。これにより、寸法の大きなADF装置22を搭載する寸法の大きな第1原稿押さえカバー32Aの大きさ(寸法)は、寸法の小さなADF装置22を搭載する寸法の小さな第2原稿押さえカバー32Bの大きさ(寸法)よりも大きくなるように設定されている。換言すると、寸法の小さなADF装置22を搭載する寸法の小さな第2原稿押さえカバー32Bの大きさ(寸法)は、寸法の大きなADF装置22を搭載する寸法の大きな第1原稿押さえカバー32Aの大きさ(寸法)よりも小さくなる。なお、第2原稿押さえカバー32Bは、小型のADF装置22を搭載している構成に限られず、ADF装置を搭載しない単なる原稿押さえカバーとして構成されていてもよい。
【0021】
図1乃至図4に示すように、各原稿押さえカバー32A、32Bの一辺には、ヒンジ部材34A、34Bが設けられている。すなわち、大型の第1原稿押さえカバー32Aに設けられたヒンジ部材34Aは、相互に間隔をあけて設けられた第1ヒンジ部36Aと、第2ヒンジ部38Aと、で構成されている。第1ヒンジ部36A及び第2ヒンジ部38Aは、上述したとおり、第1原稿押さえカバー32Aを原稿台16に対して回動させるためのヒンジ部本体40A、44Aと、原稿台16に形成された挿入穴48、50に挿入して第1原稿押さえカバー32Aを原稿台16に取り付けるための直方体状の取付部42A、46Aと、で構成されている。ここで、第1原稿押さえカバー32Aの第1ヒンジ部36A及び第2ヒンジ部38A(特に、取付部42A、46A)の寸法は、加工精度に伴う僅かなズレを除いて同一である。また、大型の第1原稿押さえカバー32Aに設けられた第1ヒンジ部36Aの取付部42Aと第2ヒンジ部38Aの取付部46Aとは、加工精度に伴う僅かなズレを除いて同一である。
【0022】
また、小型の第2原稿押さえカバー32Bに設けられたヒンジ部材34Bは、相互に間隔をあけて設けられた第1ヒンジ部36Bと、第2ヒンジ部38Bと、で構成されている。第1ヒンジ部36B及び第2ヒンジ部38Bは、上述したとおり、第2原稿押さえカバー32Bを原稿台16に対して回動させるためのヒンジ部本体40B、44Bと、原稿台16に形成された挿入穴48、50に挿入して第2原稿押さえカバー32Bを原稿台16に取り付けるための直方体状の取付部42B、46Bと、で構成されている。ここで、第2原稿押さえカバー32Bの第1ヒンジ部36B及び第2ヒンジ部38B(特に、取付部42B、46B)の寸法は、加工精度に伴う僅かなズレを除いて同一である。また、小型の第2原稿押さえカバー32Bに設けられた第1ヒンジ部36Bの取付部42Bと第2ヒンジ部38Bの取付部46Bとは、加工精度に伴う僅かなズレを除いて同一である。
【0023】
ここで、大型の第1原稿押さえカバー32Aに設けられた第1ヒンジ部36A及び第2ヒンジ部38Aは、小型の第2原稿押さえカバー32Bに設けられた第1ヒンジ部36B及び第2ヒンジ部38Bの寸法よりも大きくなるように設定されている。換言すると、小型の第2原稿押さえカバー32Bに設けられた第1ヒンジ部36B及び第2ヒンジ部38Bは、大型の第1原稿押さえカバー32Aに設けられた第1ヒンジ部36A及び第2ヒンジ部38Aの寸法よりも小さくなる。また、大型の第1原稿押さえカバー32Aに設けられた第1ヒンジ部36Aの取付部42A及び第2ヒンジ部38Aの取付部46Aは、小型の第2原稿押さえカバー32Bに設けられた第1ヒンジ部36Bの取付部42B及び第2ヒンジ部38Bの取付部46Bの寸法よりも大きくなるように設定されている。換言すると、小型の第2原稿押さえカバー32Bに設けられた第1ヒンジ部36Bの取付部42B及び第2ヒンジ部38Bの取付部46Bは、大型の第1原稿押さえカバー32Aに設けられた第1ヒンジ部36Aの取付部42A及び第2ヒンジ部38Aの取付部46Aの寸法よりも小さくなる。
【0024】
第1原稿押さえカバー32Aのヒンジ部材34Aが、第2原稿押さえカバー32Bのヒンジ部材34Bよりも寸法が大きくなるのは、搭載するADF装置等による第1原稿押さえカバー32Aと第2原稿押さえカバー32Bとの重量の差によるからである。
【0025】
このため、小型の第2原稿押さえカバー32Bに設けられた第1ヒンジ部36Bの取付部42Bを第1挿入穴48に挿入し、第2ヒンジ部38Bの取付部46Bを第2挿入穴50に挿入したときに、小型の第2原稿押さえカバー32Bに設けられた第1ヒンジ部36Bの取付部42Bの外壁面と第1挿入穴48の内壁面との間に大きな隙間が発生し、また、第2ヒンジ部38Bの取付部46Bの外壁面と第2挿入穴50の内壁面との間に大きな隙間が発生する。
【0026】
図4に示すように、原稿台16には、第1原稿押さえカバー32Aの第1ヒンジ部36Aの取付部42A(第2原稿押さえカバー32Bの第1ヒンジ部36Bの取付部42B)が挿入される第1挿入穴48と、第1原稿押さえカバー32Aの第2ヒンジ部38の取付部46A(第2原稿押さえカバー32Bの第2ヒンジ部38Bの取付部46B)が挿入される第2挿入穴50と、が形成されている。ここで、本実施形態では、第1挿入穴48の開口の寸法(開口面積)と、第2挿入穴50の開口の寸法(開口面積)と、が異なるように設定されており、具体的には、第2挿入穴50の開口の寸法(開口面積)が第1挿入穴48の開口の寸法(開口面積)よりも大きくなるように設定されている。
【0027】
ここで、図5に示すように、第2挿入口50の内部には、後述の第2キャップ部材56の水平方向(図4中矢印X方向)の移動を許容し、水平方向に対して直交する鉛直方向の移動を規制するための固定部材52が形成されている。これにより、第2キャップ部材56の水平方向の移動が許容されると同時に、水平方向に対して直交する鉛直方向の移動が規制される。
【0028】
なお、第2挿入穴50の開口面積を第1挿入穴48の開口面積よりも大きくすることにより、第1原稿押さえカバー32Aに設けられた第1ヒンジ部36A及び第2ヒンジ部38Aの組付の誤差、あるいは寸法の誤差が生じても、これらの誤差を吸収するようにして、各ヒンジ部36A、38Aの各取付部42A、46Aを挿入穴48、50に挿入することができるため、第1原稿押さえカバー32Aを原稿台16に組み付けるときの作業が容易かつ円滑になる。なお、同様の効果は、第2原稿押さえカバー32Bに設けられた第1ヒンジ部36B及び第2ヒンジ部38Bの組付の誤差、あるいは寸法の誤差が生じた場合でも成立する。
【0029】
図2乃至図5に示すように、小型である第2原稿押さえカバー32Bの第1ヒンジ部36Bの取付部42Bには、第1キャップ部材54が装着される。また、第2原稿押さえカバー32Bの第2ヒンジ部38Bの取付部46Bには、第2キャップ部材56が装着される。第1キャップ部材54及び第2キャップ部材56は、樹脂(例えば、プラスチック樹脂など)で構成されており、全体として筒状となるように形成されている。第1キャップ部材54及び第2キャップ部材56は、略同一の寸法となるように設定されている。第1キャップ部材54及び第2キャップ部材56の底面には、固定部材52が挿通するための楕円状の長孔58(第2キャップ部材56の長孔58のみ図示)が形成されている。なお、第2キャップ部材56に長孔58が形成されていることは必要であるが、第1キャップ部材54に長孔58が形成されている必要はない。ただし、第1キャップ部材54にも長孔58が形成されている構成とすることにより、第1キャップ部材54と第2キャップ部材56との間で部品の互換性をもたせることができる。
【0030】
第1キャップ部材54は、第1挿入穴48に挿入されたときに第1挿入穴48の壁面と僅かな隙間を介して配置される。第2キャップ部材56は、第2挿入穴50に挿入されたときに第1挿入穴48の壁面と大きな隙間60を介して配置される。そして、第2挿入穴50に挿入された第2キャップ部材56の長孔58には、固定部材52が挿通される。このように、第1キャップ部材54と第2キャップ部材56の寸法及び形状をそれぞれ同一することにより、第1キャップ部材54又は第2キャップ部材56をどちらのヒンジ部36B、38Bの取付部42B、46Bであっても装着することができるため、第1キャップ部材54と第2キャップ部材56との間で互換性を持たせることができる。
【0031】
第2挿入穴50に挿入された第2キャップ部材56は、第2挿入穴50の長辺方向(上記水平方向)(図5中矢印X方向)に沿って移動可能になる。このとき、固定部材52は、長孔58の内部を相対移動する。これにより、第2挿入穴50に挿入された第2キャップ部材56は、固定部材52に案内されるようになるため、第2キャップ部材56の水平移動が円滑かつ正確になる。
【0032】
第2原稿押さえカバー32Bの第1ヒンジ部36Bの取付部42Bには第1キャップ部材54が装着され、第2ヒンジ部38Bの取付部46Bには第2キャップ部材56が装着された状態で、第1ヒンジ部36Bの取付部42Bが第1挿入穴48に挿入され、第2ヒンジ部38Bの取付部46Bが第2挿入穴50に挿入される。このように、第1ヒンジ部36Bの取付部42B及び第2ヒンジ部38Bの取付部46Bは、それぞれ第1キャップ部材54及び第2キャップ部材56を装着して、第1挿入穴48及び第2挿入穴50に組み付けられた状態になっている。
【0033】
一方、第1原稿押さえカバー32Aの第1ヒンジ部36Aの取付部42Aには第1キャップ部材54が装着されず、第2ヒンジ部38Aの取付部46Aには第2キャップ部材56が装着されない状態で、第1ヒンジ部36Aの取付部42Aが第1挿入穴48に挿入され、第2ヒンジ部38Aの取付部46が第2挿入穴50Aに挿入される。このように、第1ヒンジ部36Aの取付部42A及び第2ヒンジ部38Aの取付部46Aは、それぞれ第1キャップ部材54及び第2キャップ部材56が装着されない状態で、第1挿入穴48及び第2挿入穴50に組み付けられている。
【0034】
また、第1原稿押さえカバー32A及び第2原稿押さえカバー32Bの上面には、原稿を所定の読取部位に送るためのADF装置22が設けられている。具体的には、第1原稿押さえカバー32Aの上面には大型の(寸法の大きい)ADF装置22が設けられており、第2原稿押さえカバー32Bの上面には小型の(寸法の小さい)ADF装置22が設けられている。また、ADF装置22には、ADF装置22に供給する原稿を載せるための原稿トレイが接続されている。この原稿トレイは、所定軸の軸回りに回動可能に構成されている。
【0035】
筐体12の底部には、複数の用紙収容カセット26、28が引き出し可能に設けられている。具体的には、重力作用方向の上側には、第1用紙収容カセット26が設けられており、第1用紙収容カセット26の重力作用方向の下側には、第2用紙収容カセット28が設けられている。
【0036】
なお、図1に示すように、本実施形態の画像読取装置11は、例えば、画像形成装置10に設けられているスキャナ装置であり、原稿台16と、画像読取部18と、操作部20と、第1原稿押さえカバー32A(あるいは第2原稿押さえカバー32B)と、ADF装置22と、で構成されている。
【0037】
次に、本実施形態の画像読取装置を備えた画像形成装置の作用及び効果について説明する。
【0038】
(小型の第2原稿押さえカバー32Bを原稿台16に組み付ける場合)
図2及び図6に示すように、小型の第2原稿押さえカバー32Bの第1ヒンジ部36Bの取付部42Bには第1キャップ部材54が装着され、第2ヒンジ部38Bの取付部46Bには第2キャップ部材56が装着された状態で、第1ヒンジ部36Bの取付部42Bが第1挿入穴48に挿入され、第2ヒンジ部38Bの取付部46Bが第2挿入穴50に挿入される。これにより、第1ヒンジ部36Bの取付部42Bと第1挿入穴48の内壁面との間に隙間が生じ、また第2ヒンジ部38Bの取付部46Bと第2挿入穴50の内壁面との間に隙間が生じた場合でも、第1キャップ部材54及び第2キャップ部材56を装着することで、各取付部42B、46Bを各挿入穴48、50に挿入して位置決めすることができる。これにより、小型の第2原稿押さえカバー32Bを原稿台16に強固に組み付けることができる。このように、第1キャップ部材54及び第2キャップ部材56は、それぞれの取付部42B、46Bの位置決め部材として機能している。この状態では、各ヒンジ部36B、38Bの各取付部42B、46Bが各キャップ部材54、56に収容された状態で、各挿入穴48、50に挿入されている。このように、各ヒンジ部36B、38Bの各取付部42B、46Bに各キャップ部材54、56を装着することにより、各ヒンジ部36B、38Bの各取付部42B、46Bと各挿入穴48、50との間に寸法の隙間が生じた場合でも、各キャップ部材54、56でその隙間を埋めることができる。これにより、各挿入穴48、50の形状及び寸法などの設計変更をすることなく、第2原稿押さえカバー32Bを原稿台16に強固に組み付けることができる。この結果、原稿台16に組み付けられた第2原稿押さえカバー32Bのがたつきを防止できる。
【0039】
そして、各取付部42B、46Bが各キャップ部材54、56に収容された状態で各挿入穴48、50に挿入されるため、既存の各挿入穴48、50の寸法を各キャップ部材54、56の外形に合わせておくことで、既存の各挿入穴48、50の寸法を変えることなく、そのまま利用することができる。
【0040】
また、図5に示すように、第2挿入穴50に挿入された第2キャップ部材56は、第2挿入穴50の内部を水平移動が可能になる。このため、第1挿入穴48に挿入された第1キャップ部材54と第2挿入穴50に挿入された第2キャップ部材56との離間距離を短くすることができ、あるいは長くすることができる。このため、第2原稿押さえカバー32Bの第1ヒンジ部36Bの取付部42Bと第2ヒンジ部38Bの取付部46B間の寸法誤差(公差)が生じた場合でも、第2挿入穴50に挿入された第2キャップ部材56に第2挿入穴50の内部を水平移動させることにより対応することができる。この結果、第2原稿押さえカバー32Bの第1ヒンジ部36Bの取付部42Bと第2ヒンジ部38Bの取付部46B間の寸法誤差(公差)が生じた場合でも、第2原稿押さえカバー32Bの原稿台16に対する組み付けが容易になり、作業性を向上できる。
【0041】
なお、第2挿入穴50にのみ固定部材52が形成された構成に限られるものではなく、第1挿入孔48の開口面積を第1キャップ部材が移動できる程度に大きくして内部に固定部材を形成してもよい。
【0042】
(大型の第1原稿押さえカバー32Aを原稿台16に組み付ける場合)
図3に示すように、大型の第1原稿押さえカバー32Aの第1ヒンジ部36Aの取付部42Aには第1キャップ部材54が装着されず、第2ヒンジ部38Aの取付部46Aには第2キャップ部材56が装着されない状態で、第1ヒンジ部36Aの取付部42Aが第1挿入穴48に挿入され、第2ヒンジ部38Aの取付部46Aが第2挿入穴50に挿入される。これにより、第1ヒンジ部36Aの取付部42Aと第1挿入穴48の内壁面との間に隙間がほとんどなく、また、第2ヒンジ部38Aの取付部46Aと第2挿入穴50の内壁面との間には、位置決め用の隙間が生じている。これにより、大型の第1原稿押さえカバー32Aを原稿台16に組み付ける場合でも、第2ヒンジ部38Aの取付部46Aと第2挿入穴50の内壁面との間に形成された隙間の分だけ、第1原稿押さえカバー32Aを原稿台16に対して移動させることができる。この結果、第1原稿押さえカバー32Aを原稿台16に対して容易に組み付けることができる。なお、大型の第1原稿押さえカバー32Aを原稿台16に組み付ける場合には、固定部材52が第2挿入穴50の内部から除去されていることが好ましい。これにより、各挿入穴48、50の形状及び寸法などの設計変更をすることなく、第1原稿押さえカバー32Aを原稿台16に強固に組み付けることができる。
【0043】
以上のように、本実施形態によれば、キャップ部材54、56の装着の有無で第1原稿押さえカバー32A及び第2原稿押さえカバー32Bの各取付部42A、42Bの寸法の相違を吸収することができる。これにより、原稿台16に形成された各挿入穴48、50の設定(設計)を変更することなく、異なる大きさの第1原稿押さえカバー32A及び第2原稿押さえカバー32Bの各ヒンジ部36A、36B(ヒンジ部38A、38B)の各取付部42A、42B(取付部46A、46B)を同一の原稿台16に形成された挿入穴48、50で支持することができる。
【0044】
次に、本発明の第2実施形態に係る画像読取装置について、図面を参照して説明する。第1実施形態の画像読取装置の構成と重複する構成には、同符号を付し、その説明を省略する。
【0045】
図7に示すように、各キャップ部材54、56の内壁面には、複数のリブ62が形成されている。このため、小型の第2原稿押さえカバー32Bの第1ヒンジ部36Bの取付部42B及び第2ヒンジ部38Bの取付部46Bを各キャップ部材54、56に装着したときに、各取付部42B、46Bの外側面が各キャップ部材54、56のリブ62の先端部に接触する。このため、各取付部42B、46Bと各キャップ部材54、56との接触面積が小さくなる。これにより、各取付部42B、46Bを各キャップ部材54、56に収容するとき、あるいは各取付部42B、46Bを各キャップ部材54、56から引き出すときに、各取付部42B、46Bと各キャップ部材54、56との接触面で発生する摩擦力が小さくなるため、各取付部42B、46Bを各キャップ部材54、56に収容する動作、及び各取付部42B、46Bを各キャップ部材54、56から引き出す動作を円滑に行うことができる。
【0046】
次に、本発明の第3実施形態に係る画像読取装置について、図面を参照して説明する。第1実施形態の画像読取装置の構成と重複する構成には、同符号を付し、その説明を省略する。
【0047】
図8に示すように、各挿入穴48、50に第1スイッチ端子64、第2スイッチ端子66をそれぞれ設け、第2原稿押さえカバー32Bに装着する各キャップ部材54、56を金属で構成し、各キャップ部材54、56が各挿入穴48、50に適正に挿入されたときに各挿入穴48、50に第1スイッチ端子64、第2スイッチ端子66と各キャップ部材54、56の外側面とが接触して導通状態となり、スイッチが作動するようにしてもよい。これにより、各キャップ部材54、56が各挿入穴48、50に対して適正に挿入されているか否かを判定することができ、ひいては第2原稿押さえカバー32Bの原稿台16に対する組付不良を早期に発見することができる。
【0048】
なお、各スイッチ端子64、66は、コントローラ68に接続されおり、スイッチ端子64、66と各キャップ部材54、56の外側面とが接触したときには、正常信号が各スイッチ端子64、66に付設するセンサ70、72からコントローラ68に対して出力される。そして、コントローラ68は、正常信号を受信したときに、画像読取装置10の作動を許容する。なお、コントローラ68は、正常信号を受信しない限り、画像読取装置10を作動させない。これにより、第2原稿押さえカバー32Bの原稿台16に対する組付不良が発生した場合には、画像読取装置10を使用することができなくなり、ユーザは、第2原稿押さえカバー32Bの原稿台16に対する組付不良を認識することができる。このように、いわゆる差し込み式の第2原稿押さえカバー32Bを有する画像読取装置10では、第2原稿押さえカバー32Bの差し込み不良の問題が生じるが、第2原稿押さえカバー32Bが完全に差し込んだときにのみ、画像読取装置10を使用することができるようにすることで、第2原稿押さえカバー32Bの差し込み不良を知らせることができる。なお、第2原稿押さえカバー32Bの差し込み不良の場合には、画像読取装置10から警告音を出力するようにしてもよい。
【0049】
次に、本発明の第4実施形態に係る画像読取装置について、図面を参照して説明する。第1実施形態の画像読取装置の構成と重複する構成には、同符号を付し、その説明を省略する。なお、以下の説明では、第1キャップ部材54及び第2キャップ部材56のうち、第1キャップ部材54を図示して説明する。
【0050】
図9に示すように、第1キャップ部材54は、その一側面が除去されて開口部74が形成されている。これにより、この開口部74から第2原稿押さえカバー32Bの第1ヒンジ部36Bの取付部42Bを挿入することができるため、第1キャップ部材54を装着させる作業が円滑かつ容易になる。また、第1ヒンジ部36Bの取付部42Bに装着された第1キャップ部材54を取り外す場合には、第1ヒンジ部36Bの取付部42Bが開口部74を通るようにすることにより第1キャップ部材54を容易に取り外すことができる。このように、第1キャップ部材54の一側面に開口部74を形成することにより、第1ヒンジ部36Bの取付部42Bに対する第1キャップ部材54の装着及び取り外しが容易になる。なお、同様にして、第2キャップ部材56についても、第1キャップ部材54の開口部74と同様の開口部を形成することにより、第2原稿押さえカバー32Bの第2ヒンジ部38Bの取付部46Bに対する第2キャップ部材56の装着及び取り外しが容易になる。
【符号の説明】
【0051】
10 画像形成装置
11 画像読取装置
12 筐体
16 原稿台
32 原稿押さえカバー(カバー部材)
32A 第1原稿押さえカバー(カバー部材)
32B 第2原稿押さえカバー(カバー部材)
34A ヒンジ部材
34B ヒンジ部材
36A 第1ヒンジ部(ヒンジ部材)
36B 第1ヒンジ部(ヒンジ部材)
38A 第2ヒンジ部(ヒンジ部材)
38B 第2ヒンジ部(ヒンジ部材)
48 第1挿入穴(挿入穴)
50 第2挿入穴(挿入穴)
54 第1キャップ部材(位置決め部材)
56 第2キャップ部材(位置決め部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体に設けられ、挿入穴が形成された原稿台と、
前記原稿台を開放又は閉塞するカバー部材と、
前記カバー部材に設けられ、前記カバー部材を前記原稿台に対して回動可能にするとともに、前記挿入穴に挿入されて前記カバー部材を前記原稿台に組み付けるためのヒンジ部材と、
を有し、
前記カバー部材は、所定の寸法の前記ヒンジ部材を有する第1カバー部材と、前記第1カバー部材の前記ヒンジ部材の寸法よりも小さな寸法のヒンジ部材を有する第2カバー部材と、があり、
前記第1カバー部材の前記ヒンジ部材は、キャップ部材を介さず前記挿入穴に挿入され、前記第2カバー部材の前記ヒンジ部材は、前記キャップ部材を介して前記挿入穴に挿入されている画像読取装置。
【請求項2】
前記キャップ部材は、前記挿入穴と前記第2カバー部材の前記ヒンジ部材との寸法差を吸収して前記第2カバー部材の前記ヒンジ部材を前記挿入穴に対して位置決めする位置決め部材である請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記挿入穴、前記第2カバー部材の前記ヒンジ部材及び前記キャップ部材は複数であり、前記キャップ部材は、前記挿入穴の内部で移動して前記第2カバー部材の前記ヒンジ部材間の公差を吸収する請求項2に記載の画像読取装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−41027(P2011−41027A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−186905(P2009−186905)
【出願日】平成21年8月11日(2009.8.11)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】