説明

画像読取装置

【課題】製造コストを低減することができる画像読取装置を提供する。
【解決手段】取付部材40に、スペーサ部43及び被ガイド部44を同一の材料で一体的に形成する。第1読取処理時には、スペーサ部43が第1透明板の裏面に接触することにより当該第1透明板と画像読取部3との距離を一定に保つ。第2読取処理時には、スペーサ部43が第2透明板の裏面に接触することにより当該第2透明板と画像読取部3との距離を一定に保つ。第1透明板側と第2透明板側との間を画像読取部3がスライドする際には、第1透明板及び第2透明板が取り付けられたカバー部材の裏面に形成されたガイド部に沿って、被ガイド部44がガイドされ、スペーサ部43とカバー部材の裏面との間に空間が形成される。スペーサ部43及び被ガイド部44を取付部材40に同一の材料で一体的に形成することにより、部品点数を少なくして、製造コストを低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光部から原稿に向かって光を照射し、前記原稿からの反射光を受光部で受光することにより、前記原稿の画像を読み取るための画像読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えばCIS(Contact Image Sensor)と呼ばれる密着型イメージセンサを画像読取部として備えた画像読取装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。CISには、発光部と受光部とが備えられており、当該CISを保持する保持部材が原稿に対して平行にスライドされることにより走査が行われる。
【0003】
この種の画像読取装置の中には、第1ガラス板及び第2ガラス板を備え、第1ガラス板の表面上の原稿を読み取る第1読取処理と、第2ガラス板の表面上の原稿を読み取る第2読取処理とを実行可能なものがある。より具体的には、第1読取処理では、第1ガラス板の表面上に原稿を置いた状態で、CISをスライドさせて当該原稿の画像を読み取る。一方、第2読取処理では、CISを静止させた状態で、原稿搬送装置(ADF)を用いて第2ガラス板の表面上に原稿を搬送することにより、当該第2ガラス板の表面上を搬送される原稿の画像を読み取る。
【0004】
CISは、焦点深度が浅いため、原稿との距離の精度が高くなければ焦点のずれが生じやすいという特性を有している。そのため、CISには、通常、第1読取処理時に第1ガラス板の裏面に接触し、第2読取処理時に第2ガラス板の裏面に接触するスペーサが取り付けられている(例えば、特許文献2及び3参照)。このスペーサにより、第1読取処理時には第1ガラス板とCISとの距離を一定に保ち、第2読取処理時には第2ガラス板とCISとの距離を一定に保つことができるので、焦点のずれを抑制することができる。
【0005】
しかしながら、上記のようなスペーサを設けた場合には、第1ガラス板側と第2ガラス板側との間をCISがスライドする際に、第1ガラス板及び第2ガラス板を保持するカバー部材の裏面でスペーサが擦れないようにする必要がある。そこで、特許文献2及び3に開示された構成では、CISに取り付けられた被ガイド部材(軸部材又はコロなど)が、カバー部材の裏面に形成されたガイド部に沿ってガイドされることにより、スペーサとカバー部材の裏面との間に空間が形成されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−211353号公報
【特許文献2】特開2002−218176号公報
【特許文献3】特開2005−184720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献2及び3に開示されているような構成では、スペーサと被ガイド部材とが、それぞれ別部材としてCISに取り付けられるため、部品点数の増加により製造コストが高くなるという問題があった。
【0008】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、製造コストを低減することができる画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る画像読取装置は、発光部及び受光部を有する画像読取部を備え、第1透明板の表面上に原稿を置いた状態で、前記画像読取部をスライドさせて当該原稿の画像を読み取る第1読取処理、及び、前記画像読取部を静止させた状態で、前記第2透明板の表面上を搬送される原稿の画像を読み取る第2読取処理を実行可能な画像読取装置であって、前記画像読取部を保持する保持部材と、前記保持部材をスライド可能な状態で収容する筺体と、前記第1透明板及び前記第2透明板が前記保持部材のスライド方向に並べて取り付けられ、前記筺体を覆うためのカバー部材と、前記画像読取部に取り付けられた取付部材とを備え、前記取付部材には、前記第1読取処理時には、前記第1透明板の裏面に接触することにより当該第1透明板と前記画像読取部との距離を一定に保ち、前記第2読取処理時には、前記第2透明板の裏面に接触することにより当該第2透明板と前記画像読取部との距離を一定に保つためのスペーサ部と、前記第1透明板側と前記第2透明板側との間を前記画像読取部がスライドする際に、前記カバー部材の裏面に形成されたガイド部に沿ってガイドされることにより、前記スペーサ部と前記カバー部材の裏面との間に空間を形成するための被ガイド部とが、同一の材料で一体的に形成されていることを特徴とする。
【0010】
このような構成によれば、第1透明板及び第2透明板の裏面に接触するスペーサ部と、カバー部材の裏面に形成されたガイド部に沿ってガイドされる被ガイド部とが、取付部材に一体的に形成されるため、部品点数を少なくして、製造コストを低減することができる。スペーサ部及び被ガイド部は、滑りを良くする観点から、いずれも動摩擦係数が比較的小さい材料で形成されることが好ましいため、当該スペーサ部及び被ガイド部を一体的に形成することにより、効率よく製造コストを低減することができる。
【0011】
前記取付部材が、前記画像読取部に対して着脱可能であってもよい。
【0012】
このような構成によれば、必要に応じて取付部材を画像読取部から取り外すことができる。例えば、取付部材が摩耗した場合などには、取付部材を画像読取部から取り外して、新しい取付部材に交換することが可能である。また、画像読取部を交換する場合などには、取付部材を画像読取部から取り外して、新しい画像読取部に取り付けることも可能である。
【0013】
前記画像読取部は、前記保持部材のスライド方向に対して直交方向に延びる長尺形状を有しており、前記取付部材が、前記画像読取部の長手方向の両端部に取り付けられていてもよい。
【0014】
このような構成によれば、画像読取部の長手方向の両端部に取り付けられた取付部材の各スペーサ部により、第1透明板と画像読取部との距離、及び、第2透明板と画像読取部との距離を安定して一定に保つことができる。また、画像読取部の長手方向の両端部に取り付けられた取付部材の各被ガイド部により、画像読取部をガイド部に沿って安定してガイドすることができる。
【0015】
前記被ガイド部が、前記取付部材における前記スライド方向の中央部に形成されており、前記画像読取部の長手方向の両端部に同一の前記取付部材が取り付けられることにより、各取付部材の前記被ガイド部が、前記直交方向に沿って同軸上に位置していてもよい。
【0016】
このような構成によれば、画像読取部の長手方向の両端部に同一の取付部材が取り付けられることにより、各取付部材の被ガイド部が、スライド方向に対する直交方向に沿って同軸上に位置するため、画像読取部をガイド部に沿って安定してガイドすることができる。また、同一の取付部材を用いることにより、部品点数を少なくして、製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像読取装置を備えた画像形成装置の内部構成を示す概略断面図である。
【図2】上筺体の内部構成の一例を示した斜視図であり、上面板を取り外した状態を示している。
【図3】画像読取部の端部の構成を示す斜視図である。
【図4】上面板を裏面側から見た斜視図である。
【図5】図4の要部を拡大した斜視図である。
【図6】上筺体の内部構成の一例を示した部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像読取装置を備えた画像形成装置1の内部構成を示す概略断面図である。本実施形態では、画像読取装置の一例として、当該画像読取装置が画像形成装置1に備えられた構成について説明するが、例えばスキャナ装置又はファクシミリ装置などの他の装置により画像読取装置が構成されていてもよい。また、以下に説明する画像形成装置1の具体的構成についても、その構成に限定されるものではない。
【0019】
本実施形態における画像形成装置1は、例えば、原稿搬送装置(ADF)2により自動的に供給される原稿の画像を画像読取部3で1枚ずつ読み取り、その原稿の画像データに基づいて記録紙Pに画像を形成する複写機である。当該画像形成装置1には、筺体1a内に、上記画像読取部3の他、画像形成部4及び給紙部5などが備えられており、当該筺体1aの上面に原稿搬送装置2が設けられている。
【0020】
原稿搬送装置2は、原稿トレイ2aを備えており、当該原稿トレイ2a上に原稿をセットすることができるようになっている。原稿搬送装置2は、ピックアップローラ2b及び用紙分離装置2cにより、原稿トレイ2a上にセットされた原稿を1枚ずつ送り出す。用紙分離装置2cは、例えば分離ローラ20及び分離パッド21を備えている。送り出された原稿は、複数の原稿搬送ローラ2d、2e、2fにより原稿搬送路2gを搬送され、当該原稿搬送路2gの途中で第2ガラス板3c上を通過する際に、画像読取部3により画像が読み取られる。画像が読み取られた後の原稿は、排出ローラ2hにより原稿排出トレイ2i上に順次排出される。
【0021】
画像読取部3は、筺体1aの一部を構成する上筺体31内に収容されている。画像読取部3は、例えばCIS(密着型イメージセンサ)により構成され、発光部33と、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサなどの受光部34とが設けられている。
【0022】
画像読取部3は、主走査方向に直交する水平方向(副走査方向)に発光部33を移動させながら第1ガラス板3d上に置かれた原稿に光を照射し、原稿からの反射光を受光部34で受光することによって、原稿の画像を読み取ることができる。また、画像読取部3は、静止した状態で第2ガラス板3cに向かって発光部33から光を照射し、原稿搬送装置2により第2ガラス板3c上を搬送される原稿からの反射光を受光部34で受光することによって、原稿の画像を読み取ることもできる。
【0023】
第1ガラス板3dに置かれた原稿を読み取る場合には、受光部34で原稿からの反射光を受光することにより主走査が行われるとともに、発光部33が副走査方向に移動することにより副走査が行われる。一方、原稿搬送装置2により1枚ずつ第2ガラス板3c上に搬送される原稿を読み取る場合には、受光部34で原稿からの反射光を受光することにより主走査が行われるとともに、第2ガラス板3c上を原稿が搬送されることにより副走査が行われる。
【0024】
第1ガラス板3d及び第2ガラス板3cは、上筺体31の上面を構成する上面板32に形成されており、原稿搬送装置2は、上面板32に対して上下に開閉可能に取り付けられている。したがって、第1ガラス板3d上に置かれた原稿を画像読取部3で読み取る場合には、原稿搬送装置2を閉じることにより、当該原稿搬送装置2と第1ガラス板3dとの間に原稿を挟むことができるようになっている。すなわち、原稿搬送装置2は、第1ガラス板3d上のセット位置に置かれている原稿を押さえるために開閉される開閉カバー10を構成している。ただし、開閉カバー10は、原稿搬送装置2により構成されるものに限らず、開閉可能な他のあらゆるカバーを採用することができる。
【0025】
画像形成部4は、感光体ドラム4a、帯電器4b、光書込みユニット4c、現像器4d、転写器4e及び定着器4fを備え、電子写真方式により記録紙Pに画像を形成する。感光体ドラム4aの表面には感光体が形成されており、画像形成時には、回転駆動される感光体ドラム4aの表面が帯電器4bにより一様に帯電される。光書込みユニット4cは、画像読取部3で読み取った原稿の画像データなどに基づいて、LED(Light-Emitting Diode)又はレーザ光源から光を出力する。帯電器4bにより一様に帯電された感光体ドラム4aの表面には、光書込みユニット4cから出力される光で露光されることにより、静電潜像が形成される。
【0026】
静電潜像が形成された感光体ドラム4aの表面には、現像器4dから供給されるトナーが付着することによりトナー像が形成され、このトナー像が転写器4eを用いて記録紙Pに転写される。トナー像が転写された記録紙Pは、定着器4fにより加熱処理及び加圧処理が施された後、排出ローラ4gから排出トレイ4h上に排出される。
【0027】
給紙部5は、記録紙Pを収容するための給紙カセット6を備えており、この給紙カセット6内に設けられた支持板9上に、記録紙Pを積層した状態で収容することができるようになっている。支持板9は、その第1端部における軸線9aを中心に回転可能となっており、第1端部とは反対側の第2端部が圧縮ばね9bによって上方へ付勢されることにより、最上部の記録紙Pが給紙ローラ7に対して押圧される。給紙ローラ7に対向する位置には、例えば分離パッド(図示せず)が配置されており、給紙ローラ7が回転駆動されることにより給紙カセット6内から送り出される記録紙Pは、上記分離パッドの作用により、記録紙搬送路12に1枚ずつ送り出される。
【0028】
記録紙搬送路12には、1つ又は複数の記録紙搬送ローラ13が設けられている。給紙カセット6から1枚ずつ送り出される記録紙Pは、記録紙搬送ローラ13により記録紙搬送路12内を搬送され、画像形成部4へと送られる。そしてレジストローラ14により、記録紙Pは感光体ドラム4aの直前で一旦停止され、感光体ドラム4aに形成されるトナー像を転写させるタイミングに合わせて送り出される。
【0029】
図2は、上筺体31の内部構成の一例を示した斜視図であり、上面板32を取り外した状態を示している。上筺体31内に収容された画像読取部3は、保持部材35により保持されている。上筺体31の底面には、保持部材35をスライド可能な状態で上方に支持するための支持レール311が、当該底面と一体的に形成されている。ただし、支持レール311は、上筺体31の底面と一体的に形成された構成に限られない。
【0030】
支持レール311は、例えば画像読取部3の主走査方向D1に直交する副走査方向D2に沿って、一直線状に延びている。この支持レール311上に保持部材35が支持されることにより、当該保持部材35は副走査方向D2に沿ってスライド可能となっている。上筺体31内には、保持部材35をスライドさせるために駆動される駆動ベルト36が設けられている。
【0031】
保持部材35は、スライド方向に対して直交方向(主走査方向D1)に延びる長尺形状を有している。保持部材35は、長手方向の中央部が支持レール311により支持されるとともに、長手方向の一端部がスライド方向(副走査方向D2)に沿ってガイドされるようになっている。上記中央部とは、保持部材35の長手方向の中心に限らず、当該中心からある程度ずれた範囲まで含む概念である。
【0032】
この例では、保持部材35の後方側の端部351が、上筺体31の底面に形成されたガイド面312に面接触してガイドされるようになっている。そのため、画像読取部3は、その重心が支持レール311よりも端部351側に位置するように構成され、これにより、端部351が常にガイド面312に当接するようになっている。ただし、上記のような構成に限らず、保持部材35の前方側の端部352がガイドされるような構成など、他の各種構成を採用することができる。
【0033】
本実施形態では、画像読取部3をスライドさせて原稿の画像を読み取る第1読取処理、及び、画像読取部3を静止させた状態で原稿の画像を読み取る第2読取処理を実行可能である。第1読取処理では、第1透明板(第1ガラス板3d)の表面上に原稿をおいた状態で、画像読取部3をスライドさせて当該原稿の画像を読み取る。一方、第2読取処理では、画像読取部3を静止させた状態で、第2透明板(第2ガラス板3c)の表面上を搬送される原稿の画像を読み取る。
【0034】
第1ガラス板3d及び第2ガラス板3cは、上筺体31を覆うためのカバー部材を構成する上面板32に対して、保持部材35のスライド方向(副走査方向D2)に並べて取り付けられている。ただし、第1透明板及び第2透明板は、ガラス板以外の材料により構成することも可能である。
【0035】
図3は、画像読取部3の端部の構成を示す斜視図である。画像読取部3は、保持部材35のスライド方向に対して直交方向(主走査方向D1)に延びる長尺形状を有しており、画像読取部3の端部には、取付部材40が着脱可能に取り付けられている。この例では、画像読取部3の長手方向の両端部に取付部材40が取り付けられているが、各取付部材40は同一の構成及び取付態様であるため、画像読取部3の一方の端部の構成についてのみ説明する。
【0036】
取付部材40は、画像読取部3の端面に対向する第1板部41と、当該第1板部41における上下方向の両端辺からそれぞれ同方向に突出する第2板部42とが一体的に形成されることにより、U字状に構成されている。取付部材40の第2板部42における画像読取部3に対向する面には、例えば凸部又は凹部からなる固定部(図示せず)が形成されており、当該固定部が画像読取部3に形成された対応する凹部又は凸部と嵌り合うことにより、取付部材40が画像読取部3に取り付けられる。
【0037】
取付部材40の上側の第2板部42は、第1読取処理及び第2読取処理の際にガラス板3c,3dの裏面(下面)に対向する。当該第2板部42の上面は、例えば画像読取部3の上面よりも高い位置に設定されている。このような構成により、取付部材40における上側の第2板部42の上面には、ガラス板3c,3dに接触するスペーサ部43が形成されている。
【0038】
第1読取処理時には、スペーサ部43が第1ガラス板3dの裏面に接触することにより、第1ガラス板3dと画像読取部3との距離が一定に保たれる。一方、第2読取処理時には、スペーサ部43が第2ガラス板3cの裏面に接触することにより、第2ガラス板3cと画像読取部3との距離が一定に保たれる。画像読取部3を構成しているCISは、焦点深度が浅く、原稿との距離の精度が高くなければ焦点のずれが生じやすいという特性を有しているため、スペーサ部43でガラス板3c,3dと画像読取部3との距離を一定に保つことにより、焦点のずれを抑制することができる。
【0039】
取付部材40の第1板部41には、第2板部42が突出する方向とは反対方向に突出する被ガイド部44が形成されている。被ガイド部44は、例えば円筒状の軸形状を有している。ただし、被ガイド部44は、円筒状のものに限らず、他の各種形状で形成することができる。
【0040】
図4は、上面板32を裏面側から見た斜視図である。図5は、図4の要部を拡大した斜視図である。図6は、上筺体31の内部構成の一例を示した部分断面図である。図4〜図6に示すように、上面板32の裏面(下面)には、取付部材40の被ガイド部44に接触可能なガイド部321が形成されている。
【0041】
ガイド部321は、例えば第1ガラス板3dと第2ガラス板3cとの間において上面板32の裏面から突出するように形成されたリブにより構成されている。図4に示すように、ガイド部321は、第1ガラス板3d及び第2ガラス板3cの主走査方向D1の両端部近傍に形成されていることが好ましい。また、図5に示すように、ガイド部321には、第1ガラス板3d側及び第2ガラス板3c側に向かってそれぞれ高さが徐々に低くなるようなテーパ面322が形成されていることが好ましい。
【0042】
図6に示すように、第1ガラス板3d側と第2ガラス板3c側との間を画像読取部3がスライドする際には、画像読取部3の両端部に取り付けられた取付部材40の被ガイド部44が、上面板32のガイド部321に接触する。ガイド部321の最下面323は、被ガイド部44の上部の位置よりも低い位置に設定されており、被ガイド部44の上部が、ガイド部321のテーパ面322を介して最下面323により押し下げられるようになっている。
【0043】
画像読取部3は、押圧部材の一例である圧縮ばね354を介して、保持部材35により保持されている。これにより、画像読取部3は、第1読取処理時には第1ガラス板3d側に押圧され、第2読取処理時には第2ガラス板3c側に押圧されるようになっている。第1ガラス板3d側と第2ガラス板3c側との間を画像読取部3がスライドする際には、圧縮ばね354の押圧力に抗して、被ガイド部44の上部がガイド部321の最下面323により押し下げられる。ただし、上記押圧部材としては、圧縮ばね354に限らず、ゴムなどの他の各種部材を採用することができる。
【0044】
図6に示すように、第1ガラス板3d側と第2ガラス板3c側との間を画像読取部3がスライドする際には、上面板32の裏面に形成されたガイド部321に沿って被ガイド部44がガイドされることにより、スペーサ部43と上面板32の裏面との間に空間60が形成される。保持部材35の側面には、ガイド部321に沿ってガイドされる被ガイド部44が当該側面に接触するのを防止するために、被ガイド部44の下方に切欠き355が形成されている。
【0045】
本実施形態では、第1ガラス板3d及び第2ガラス板3cの裏面に接触するスペーサ部43と、上面板32の裏面に形成されたガイド部321に沿ってガイドされる被ガイド部44とが、取付部材40に同一の材料で一体的に形成されている。そのため、部品点数を少なくして、製造コストを低減することができる。
【0046】
スペーサ部43及び被ガイド部44は、滑りを良くする観点から、いずれも動摩擦係数が比較的小さい材料で形成されることが好ましい。スペーサ部43及び被ガイド部44の動摩擦係数は、0.15以下であることが好ましく、0.1以下であればより好ましい。例えば、取付部材40全体が、PA(ポリアミド)、PET(ポリエチレンテレフタレート)又はPOM(ポリアセタール)などの樹脂により形成されていてもよい。このように、いずれも動摩擦係数が比較的小さい材料で形成されることが好ましいスペーサ部43及び被ガイド部44を一体的に形成することにより、効率よく製造コストを低減することができる。
【0047】
また、本実施形態では、取付部材40が画像読取部3に対して着脱可能であるため、必要に応じて取付部材40を画像読取部3から取り外すことができる。例えば、取付部材40が摩耗した場合などには、取付部材40を画像読取部3から取り外して、新しい取付部材40に交換することが可能である。また、画像読取部3を交換する場合などには、取付部材40を画像読取部3から取り外して、新しい画像読取部3に取り付けることも可能である。
【0048】
さらに、取付部材40が画像読取部3の長手方向の両端部に取り付けられているため、これらの取付部材40の各スペーサ部43により、第1ガラス板3dと画像読取部3との距離、及び、第2ガラス板3cと画像読取部3との距離を安定して一定に保つことができる。また、画像読取部3の長手方向の両端部に取り付けられた取付部材40の各被ガイド部44により、画像読取部3をガイド部321に沿って安定してガイドすることができる。
【0049】
本実施形態では、図3及び図6に示すように、被ガイド部44が、取付部材40におけるスライド方向(副走査方向D2)の中央部に形成されている。そのため、画像読取部3の長手方向の両端部に同一の取付部材40が取り付けられることにより、各取付部材40の被ガイド部44が、スライド方向に対して直交方向(主走査方向D1)に沿って同軸上に位置している。これにより、画像読取部3をガイド部321に沿って安定してガイドすることができるとともに、同一の取付部材40を用いることにより、部品点数を少なくして、製造コストを低減することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 画像形成装置
1a 筺体
2 原稿搬送装置
3 画像読取部
3d 第1ガラス板(第1透明板)
3c 第2ガラス板(第2透明板)
31 上筺体
32 上面板
33 発光部
34 受光部
35 保持部材
40 取付部材
43 スペーサ部
44 被ガイド部
321 ガイド部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光部及び受光部を有する画像読取部を備え、第1透明板の表面上に原稿を置いた状態で、前記画像読取部をスライドさせて当該原稿の画像を読み取る第1読取処理、及び、前記画像読取部を静止させた状態で、前記第2透明板の表面上を搬送される原稿の画像を読み取る第2読取処理を実行可能な画像読取装置であって、
前記画像読取部を保持する保持部材と、
前記保持部材をスライド可能な状態で収容する筺体と、
前記第1透明板及び前記第2透明板が前記保持部材のスライド方向に並べて取り付けられ、前記筺体を覆うためのカバー部材と、
前記画像読取部に取り付けられた取付部材とを備え、
前記取付部材には、
前記第1読取処理時には、前記第1透明板の裏面に接触することにより当該第1透明板と前記画像読取部との距離を一定に保ち、前記第2読取処理時には、前記第2透明板の裏面に接触することにより当該第2透明板と前記画像読取部との距離を一定に保つためのスペーサ部と、
前記第1透明板側と前記第2透明板側との間を前記画像読取部がスライドする際に、前記カバー部材の裏面に形成されたガイド部に沿ってガイドされることにより、前記スペーサ部と前記カバー部材の裏面との間に空間を形成するための被ガイド部とが、同一の材料で一体的に形成されていることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記取付部材が、前記画像読取部に対して着脱可能であることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記画像読取部は、前記保持部材のスライド方向に対して直交方向に延びる長尺形状を有しており、
前記取付部材が、前記画像読取部の長手方向の両端部に取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記被ガイド部が、前記取付部材における前記スライド方向の中央部に形成されており、
前記画像読取部の長手方向の両端部に同一の前記取付部材が取り付けられることにより、各取付部材の前記被ガイド部が、前記直交方向に沿って同軸上に位置していることを特徴とする請求項3に記載の画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−244486(P2012−244486A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113833(P2011−113833)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】