説明

画像除去方法及び画像除去装置

【課題】 本発明は、ごく微量の剥離液で、かつ非加熱という低エネルギーの方法で被記録材を再生できる画像除去方法及び画像除去装置を提供する。
【解決手段】 本発明の画像除去方法によれば、基体上の画像形成物質を軟化させる軟化剤である剥離液を塗布する。そして、粘着性を持つ剥離部材を有する剥離手段と基体を重ね合わせた状態で加圧し、基体上の画像形成物質を剥離手段へ転移させて、画像形成物質で画像が形成された基体上から画像形成物質を除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像除去方法及び画像除去装置に関し、詳細には複写機、プリンタ、ファクシミリなどの画像形成装置で画像が形成された被記録材から熱可塑性画像形成物を除去する画像除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近のOA化により、プリンタ用紙や複写用紙が大量に使用されるようになってきた。それに伴い、オフィスからは大量の廃棄用紙が生ずるようになり、この多くが無駄に捨てられているのが現状である。この廃棄用紙の処分に多大の費用がかかると同時に、これら用紙の廃棄処理は、地域環境の悪化、ひいては紙を生産するための森林伐採による地球規模での環境の悪化を招く恐れがあり、最近では大きな問題として取り上げられている。
【0003】
従来、この問題を解消して紙のリサイクルを図るために、一度使用した用紙に対して、用紙上のインキを取り除き、再び抄いて再生古紙として利用する処置を施していた。この処置には大規模な古紙再生施設が必要となる上、再生紙を得るまでに、使用済みの古紙に対して分別,回収,輸送などのいくつもの工程を踏まざるを得なかった。
【0004】
近年、1度使用した用紙上の文字画像をクリーニングによって取り去り、複写あるいはプリンティングに再利用することができる紙が開発されている。その一例としての特許文献1には、シート状支持体の表面に離型処理を施し、使用するものが示されている。また、装置としては、特許文献2のようなものが開発されている。更に、特許文献3には、画像形成支持体上の画像形成物質(トナー)を、これを溶解する有機溶媒中で超音波処理することにより、画像を除去する方法が提案されている。
【0005】
ところで、プリンタ、ファクシミリ及び複写装置のような画像形成装置は、紙、布、及びOHP用シートのような記録媒体に、画像情報に基づいて文字や記号を含む画像を形成する装置である。特に、電子写真方式の画像形成装置は、普通紙に高精細な画像を高速で形成することができるため、広くオフィスで使用されている。このような電子写真方式の画像形成装置においては、記録媒体上のトナーを加熱して溶融させ、溶融したトナーを加圧することによって、トナーを記録媒体上に定着させる熱定着方式が広く用いられている。この熱定着方式は、高い定着速度及び高い定着画像品質等を提供することができるため、好適に用いられている。
【0006】
しかし、このような電子写真方式の画像形成装置における消費電力の約半分以上は、熱定着方式においてトナーを加熱することに消費されている。一方、近年における環境問題対策の観点からは、低消費電力(省エネルギー)の定着装置が望まれている。即ち、トナーを定着するためにトナーを加熱する温度を今までよりも極端に低下させること、又はトナーを加熱することを必要としない定着方法が望まれている。特に、トナーを全く加熱することなくトナーを記録媒体に定着させる非加熱定着方法が低消費電力の点で理想的である。このような定着法については、特許文献4のような非加熱のものが開発されてきており、低消費電力の複写機が開発されてきている。
【特許文献1】特許第3,690,063号公報
【特許文献2】特開2007−279619号公報
【特許文献3】特開平01−101576号公報
【特許文献4】特開2007−219105号公報
【特許文献5】特許3,444,210号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1、2では、基本的に定着時と同様に熱を必要とし、エネルギー消費節減という点で問題であった。また、上記特許文献3によれば、有機溶剤による公害や引火及び毒性に問題があり、この方法を一般のオフィスや家庭で使用するにはやはり問題があった。また、非常に多くの溶媒が必要となる。
【0008】
更に、上記特許文献4で用いられている水系溶媒をごく微量、用いることにより、再生可能であることがわかった。課題として、多くの溶媒を用いることにより、トナーの凝集力が落ちて剥離性能が悪くなることがわかり、以下に少ない溶媒で剥離できるかが課題であることがわかった。また、特に、再生のための表面処理をしていない基体に対しては、トナーと基体の接着部分に溶媒を以下に効率よく注入することが課題であることがわかった。次の課題として、剥離部材に付いたトナーの処理がある。トナー自体は、処理後もタック性と十分な凝集力(処理紙に付かない程度)があれば表面性としては、問題ない。しかし、凹凸が発生するために平坦化が必要である。そして、平坦化のために余分なトナーを剥離部材から除去することが必要となる。
【0009】
また、特許文献5では、機械的に幅と高さを規定している。上記特許文献2では、速度差を設けたクリーニング部材で、剥離部材をクリーニングしている。よって、熱を用いないシステムを構築するためには、これらとは異なったクリーニング機構を持つことが課題となる。
【0010】
本発明はこれらの問題点を解決するためのものであり、ごく微量の剥離液で、かつ非加熱という低エネルギーの方法で被記録材を再生できる画像除去方法及び画像除去装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記問題点を解決するために、画像形成物質で画像が形成された基体上から画像形成物質を除去する本発明の画像除去方法によれば、基体上の画像形成物質を軟化させる軟化剤である剥離液を塗布する。そして、粘着性を持つ剥離部材を有する剥離手段と基体を重ね合わせた状態で加圧し、基体上の画像形成物質を剥離手段へ転移させて、基体上から画像形成物質を除去する。よって、常温で画像剥離が可能となり、ごく微量の剥離液で、かつ非加熱という低エネルギーの方法で被記録材を再生できる
【0012】
また、剥離液はフォーム状をなすことにより、かさ密度を低くでき、より少ない剥離液で剥離が可能となる。なお、かさ密度は通例粉体等に用いるが、ここでは液体の真密度と区別するためにこの表現を用いる。
【0013】
更に、剥離部材は無機粉体を含有することにより、耐久性のある剥離部材とすることができる。
【0014】
また、剥離手段と、フォーム状の剥離液を基体上の画像形成物質に塗布した基体とを重ね合わせることにより、普通紙のように剥離しにくい紙でも剥離できる。
【0015】
更に、フォーム状の剥離液を塗布した剥離手段と、基体とを重ね合わせることにより、普通紙のように剥離しにくい紙でも剥離できる。
【0016】
また、圧接部材を剥離手段の剥離部材に圧接して剥離部材の表面を平滑化することにより、圧力のむらによる剥離むらがなくなる。
【0017】
更に、別の発明としての画像除去装置は、基体上の画像形成物質を軟化させる軟化剤である剥離液を塗布する剥離液塗布手段と、粘着性を持つ剥離部材を有する剥離手段と、該剥離手段と基体を重ね合わせた状態で加圧し、基体上の画像形成物質を剥離手段へ転移させて、基体上から画像形成物質を除去する画像転移手段とを具備することに特徴がある。よって、常温で画像剥離が可能となり、ごく微量の剥離液で、かつ非加熱という低エネルギーの方法で被記録材を再生できる。
【0018】
また、剥離液をフォーム状に生成するフォーム状剥離液生成手段を有することにより、かさ密度を低くでき、より少ない剥離液で剥離が可能となる。
【0019】
更に、剥離部材は無機粉体を含有することにより、剥離部材の耐久性を向上することができる。
【0020】
また、剥離液塗布手段によってフォーム状の剥離液を基体上の画像形成物質に塗布した基体と、剥離手段とを重ね合わせることにより、普通紙のように剥離しにくい紙でも剥離できる。
【0021】
更に、剥離液塗布手段によってフォーム状の剥離液を剥離手段の剥離部材に塗布した剥離手段と、基体とを重ね合わせることにより、普通紙のように剥離しにくい紙でも剥離できる。
【0022】
また、剥離手段の剥離部材に圧接して剥離部材の表面を平滑化する圧接手段を有することにより、圧力のむらによる剥離むらがなくなる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の画像除去方法によれば、基体上の画像形成物質を軟化させる軟化剤である剥離液を塗布する。粘着性を持つ剥離部材を有する剥離手段と基体を重ね合わせた状態で加圧し、基体上の画像形成物質を剥離手段へ転移させて、基体上から画像形成物質を除去する。よって、常温で画像剥離が可能となり、ごく微量の剥離液で、かつ非加熱という低エネルギーの方法で被記録材を再生できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1は本発明の一実施の形態に係る画像除去装置における剥離液塗布手段の概略構成を示す断面図である。また、図2は図1の破線部分の構成を示す断面図である。両図に示す本実施の形態の画像除去装置における剥離液塗布手段10は、後述するフォーム状剥離液生成手段によって生成され、かさ密度が非常に低いフォーム状剥離液11を用いることで塗布ローラ12上の剥離液層を厚くすることができる。また、フォーム状剥離液11は、画像形成物質を軟化させる軟化剤であって、比較的固体の特性に近く全体の液量が少なくとも均一塗布が可能である。また、図2に示すように、フォーム状剥離液11は、塗布ローラ12の圧力により、定着トナー13の隙間から効率よく入り込むことがわかる。特に、ハーフトーンなどのトナー凝集力では取りきれない部分で有利である。
【0025】
ここで、フォーム状剥離液が定着トナーに入り込む様子を示す図3からわかるように、フォーム状剥離液11は、圧力がかかると泡の膜が定着トナー13に接触し、定着トナー13を覆う形で膜となる。その膜は、その後ろの泡の気体に押され、膜の状態で奥に入っていく。これは通常の液体のぬれ性で、浸透するのとは全く別のメカニズムである。泡は、数十μmの大きさであり、ごく小さい隙間でも加圧力がかかる状態で入っていく。その結果、ハーフトーンなどのトナー凝集力の期待できないものもトナーを濡らすことができる。
【0026】
図4は本実施の形態の画像除去装置におけるフォーム状剥離液生成手段の構成を示す概略図である。同図に示すフォーム状剥離液生成手段20によれば、剥離液容器21内の液状の剥離液22を搬送ポンプ23や搬送チューブ24等の液輸送手段を用いて気体・液体混合部25へ供給する。気体・液体混合部25には、空気口26が設けられ、液の流れとともに、空気口26に負圧が発生し、空気口26から気体が気体・液体混合部25に導入され、液状の剥離液22と気体が混合し、更に微細孔シート27を通過することで、泡径のそろった大きな泡のフォーム状剥離液を生成させることができる。別の大きな泡の生成方法としては、上記の搬送ポンプより供給された液状の剥離液と空気口からの空気を羽根状攪拌子で攪拌しながら、液に気泡を巻き込みながら大きな泡を生成させる構成や、上記の搬送ポンプより供給された液状の剥離液に空気供給ポンプ等でバブリングを行い大きな泡を生成する構成も望ましい。そして、大きな泡を回転円筒28内に入れて大きな泡のフォーム状剥離液にせん断力を加えて、分泡して細かな泡とすることで非常にかさ密度の低いフォーム状剥離液を作ることができる。
【0027】
次に、本発明の画像除去装置の構成について概説する。
図5は本発明の一実施の形態に係る画像除去装置の構成を示す概略断面図である。同図において、図1〜図3と同じ参照符号は同じ構成要素を示す。同図に示す本実施の形態の画像除去装置1は、主に、剥離液塗布手段10、フォーム状剥離液生成手段20及び画像剥離手段30を含んで構成されている。上述したフォーム状剥離液生成手段20によって生成されたフォーム状剥離液は、図6に示すように、液供給口29から、塗布ローラ12と膜厚制御ブレード14のニップ部に供給され、塗布ローラ12の表面には均一な膜厚のフォーム状剥離液が形成される。そして、このフォーム状剥離液は、塗布ローラ12の圧力により被記録材上の定着トナー13の隙間へ入り込む。その後、フォーム状剥離液によって軟化した定着トナーが剥離ローラ31の表面に転移することで、被記録材から定着トナーの画像が除去されることになる。そして、剥離ローラ31上の熱可塑性画像形成物は、クリーニングローラ32によって剥離ローラ31の軸方向と平行の長手方向に移動されながら剥離面以外である一端部又は両端部に移動する。最後に、剥離ローラ31の一端部又は両端部に移動した熱可塑性画像形成物は、図7に示すように、剥離ローラ31の一端部又は両端部に当接されるトナー剥離部材35によって掻き出されて図示していない回収容器に収容される。ここで、クリーニングローラ32は、剥離ローラ31上の熱可塑性画像形成物である剥離部材を除去してしまうと剥離性が落ちてしまう。そこで、剥離ローラ31の表面における熱可塑性画像形成部の厚みは、膜厚制御ブレード33によって剥離効率の良い所定の厚みに制御される。また、剥離した定着トナーと元々の剥離部材の流動性を変えるため、元々の剥離部材に、無機粉体を含有させ、剥離液による剥離部材の軟化による流動性を抑えることができる。
【0028】
また、再生可能な画像記録用紙から一旦画像として形成した画像形成材料を除去する本発明の画像除去方法は、画像形成材料が画像記録体上に形成された方法と同様であることが装置的にも好ましい。画像形成装置内の定着装置を剥離装置としても兼用し、一度定着させた画像を再度剥離することで、画像記録基体を再生することができる。このように定着装置を剥離装置としても兼用することができることにより、特殊な装置を別途用意する必要も無く従来の画像形成装置そのものが画像除去装置にもなる利点がある。
【0029】
更に、本発明では、定着トナーと共に剥離部材も軟化粘着性を同じ軟化剤で持つことが重要である。なぜなら、剥離剤のごく表面に軟化粘着性を持たせ、相手側の基体上の画像形成物質も、剥離剤により粘着性が出て、非常に接着しやすくなる。基体上の紙の部分は、粘着性がないため、効率よく画像形成物質除去が可能となる。また、画像形成物質も剥離部材として働くため、毎回厳密なクリーニングは必要なくなる。更に、剥離部材は軟化しているため、加圧により紙間に入り込み、小さい分離したトナーも除去できる。
【0030】
また、有機溶媒液を用いた非加熱画像除去法に比べ、ごく少量の剥離液で、オフィス内で基体が再生可能となる。更に、熱を使用した従来の画像除去方法と比較した場合は、圧倒的にエネルギー消費が減る。
【0031】
次に、本発明における剥離液塗布装置及び剥離液の具体例について説明する。
<剥離液塗布装置>
◇大きな泡生成手段
図4を基に作製した。
上記の液状剥離液保存容器:PET樹脂からなるボトル
液搬送ポンプ:チューブポンプ(チューブ内径2mm、チューブ材質:シリコーンゴム)
搬送流路:内径2mmのシリコーンゴムチューブ
大きな泡を作るための微細孔シート:#400のステンレス製メッシュシート(開口部約40μm)
【0032】
◇大きな泡から微細な泡を生成する手段
図4を基に作製した。2重円筒の内側円筒は、回転軸に固定され、図示していない回転駆動モータにより回転する。2重円筒の材質は、PET樹脂とした。外側円筒内径:10mm・長さ120mm、内側円筒外形:8mm・長さ100mmとした。回転数は、1000rpmから2000rpmの範囲で可変とした。
【0033】
◇剥離液付与手段
図4を基に作製した。上記の微細な泡を生成する手段を用い、フォーム状の剥離液を作成しブレードに供給する構成とした。ブレードと塗布ローラとのギャップは40μmとした。
加圧ローラ:アルミ合金製ローラ(φ10mm)を芯金とし、外径Φ50mmのポリウレタン泡材(イノアック社 商品名「カラー泡EMO」)を形成したスポンジローラ
塗布ローラ:PFA樹脂を焼付け塗装したSUS製ローラ(φ30mm)
膜厚制御ブレード:アルミ合金製支持板に厚み1mmの並板ガラスを接着。ガラス面を塗布ローラ側に向け、10μmから100μmの範囲で塗布ローラとガラス面の隙間を制御できるようにした。
【0034】
◇剥離液付与後の剥離手段
図4の加圧ローラによる剥離液付与後の剥離手段について説明する。こちらも初期的に微量の剥離液を供給する。
(各ローラについて)
加圧ローラ:長さ210mm・Φ30mmアルミ合金を芯金とし、その表面にゴム硬度30度のNBRゴムを厚み10mm形成し、さらにその表面に表面粗さRz5μm以下のシームレスPFAフィルム(厚み50μm)をかぶせた。
剥離ローラ:長さ210mm・Φ30mmのアルミ合金とした。炭酸プロピレンとリコー製MF4570用モノクロトナー、日本グラファイトファイバーXN−100−05M(50μm)を5:10:1で混合し、ローラ表面に塗布し、100℃で熱処理したものを用いた。厚さは、約200μmである。加圧ローラと紙搬送ローラとの加圧力は、軸間の片側加重10kgfとした。
クリーニングローラ:長さ210mm・Φ30mmのアルミ合金とした。表面には、剥離ローラとクリーニングローラとの加圧力は、軸間の片側加重5kgfとした。
【0035】
タック性の評価。剥離後の基体と新品の基体を重ね、200枚のグロス紙の重さを1時間かけて張り付くかどうかを判断した。少しでも張り付いて紙にダメージが合った場合不可とした。
【0036】
[実施例1]
<剥離液の処方>
◇軟化剤を含有する液体
希釈溶媒:イオン交換水 53wt%
軟化剤:コハク酸ジエトキシエチル(クローダ社 クローダDES)
10wt%
炭酸プロピレン 20wt%
増粘剤:プロピレングリコール 10wt%
増泡剤:ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:1)型(松本油脂 マーポンMM) 0.5wt%
起泡剤:パルミチン酸アミン 2.5wt%
ミリスチン酸アミン 1.5wt%
ステアリン酸アミン 0.5wt%
分散剤:POE(20)ラウリルソルビタン(花王 レオドールTW−S120V) 1wt%
ポリエチレングリコールモノステアレート(花王 エマノーン3199) 1wt%
【0037】
なお、分散剤は、軟化剤の希釈溶媒への溶解性を助長するために用いた。脂肪酸アミンは、脂肪酸とトリエタノールアミンにより脂肪酸アミンを合成した。
【0038】
上記成分比にて、先ずは、液温120℃にて軟化剤を除いて混合攪拌し溶液を作製した。次に、軟化剤を混合し、超音波ホモジナイザーを用いて軟化剤が溶解した剥離液(泡化する前の原液)を作製した。
記録媒体:上質紙(リコーPPC用紙T−6200)、グロス紙(王子製紙PODグロスコート100)、PETフィルイム(東レ ルミラー)を用い、リコーMPC2500にてそれぞれ作製した、マゼンタのベタカラー画像(トナー付着量約0.5g/A4)を形成した。
剥離条件:紙搬送速度:100mm/s
【0039】
<実施結果>
泡膜制御ブレードと塗布ローラとの間隔を変えて、塗布量をパラメータとしたときの画像残りを評価した結果を、以下の表1に示す。
紙搬送速度:100mm/s
【0040】
【表1】

【0041】
通紙は10000枚まで行ったが、問題はなかった。タック性の評価。剥離後の基体と新品の基体を重ね、200枚のグロス紙の重さを1時間かけて張り付くかどうかを判断した。張り付くことはなかった。
【0042】
[実施例2]
<剥離液の処方>
◇軟化剤を含有する液体
希釈溶媒:イオン交換水 45wt%
軟化剤:炭酸プロピレン 40wt%
増粘剤:プロピレングリコール 10wt%
増泡剤:ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド(1:1)型(松本油脂 マーポンMM) 0.5wt%
起泡剤:パルミチン酸アミン 2.5wt%
ミリスチン酸アミン 1.5wt%
ステアリン酸アミン 0.5wt%
脂肪酸アミンは、脂肪酸とトリエタノールアミンにより脂肪酸アミンを合成した。
【0043】
上記成分比にて、先ずは、液温120℃にて軟化剤を除いて混合攪拌し溶液を作製した。次に、軟化剤を混合し、超音波ホモジナイザーを用いて軟化剤が溶解した剥離液液(泡化する前の原液)を作製した。
記録媒体:上質紙(リコーPPC用紙T−6200)、グロス紙(王子製紙PODグロスコート100)、PETフィルイム(東レ ルミラー)を用い、リコーMPC2500にてそれぞれ作製した、マゼンタのベタカラー画像(トナー付着量約0.5g/A4)を形成した。
剥離条件 :紙搬送速度:100mm/s
【0044】
<実施結果>
泡膜制御ブレードと塗布ローラとの間隔を変えて、塗布量をパラメータとしたときの画像残りを評価した結果を、以下の表2に示す。画像残り判定は、目視で行い、少しでのトナーの痕跡のあるものを×とした。
【0045】
【表2】

【0046】
通紙は10000枚まで行ったが、問題はなかった。タック性の評価。剥離後の基体と新品の基体を重ね、200枚のグロス紙の重さを1時間かけて張り付くかどうかを判断した。張り付くことはなかった。
【0047】
[比較例1]
塗布部を用いず、剥離ローラに800Wのヒータを入れて同様の実験を行った。
【0048】
(条件1)
剥離条件:紙搬送速度:100mm/s
【0049】
<実施結果>
泡膜制御ブレードと塗布ローラとの間隔を変えて、塗布量をパラメータとしたときの画像残りを評価した結果を、以下の表3に示す。画像残り判定は、目視で行い、少しでのトナーの痕跡のあるものを×とした。
【0050】
【表3】

【0051】
タック性の評価。剥離後の基体と新品の基体を重ね、200枚のグロス紙の重さを1時間かけて張り付くかどうかを判断した。張り付くことはなかった。定着する熱量が少ないと考えられるため線速を遅くした実験を行った。
【0052】
(条件2)
剥離条件:紙搬送速度:50mm/s
【0053】
<実施結果>
泡膜制御ブレードと塗布ローラとの間隔を変えて、塗布量をパラメータとしたときの画像残りを評価した結果を、以下の表4に示す。画像残り判定は、目視で行い、少しでのトナーの痕跡のあるものを×とした。PETフィルムでは、トナーが残り、かつフィルム自体が熱で変形した。
【0054】
【表4】

【0055】
タック性の評価。剥離後の基体と新品の基体を重ね、200枚のグロス紙の重さを1時間かけて張り付くかどうかを判断した。張り付くことはなかった。
【0056】
[比較例2]
実施例2でクリーニングローラを外した場合。
100枚程度で、剥離むらが生じた。剥離部材にトナーの凸部分ができており、これによる圧力むらが原因と考えられる。
【0057】
[比較例3]
実施例2でローラを日本グラファイトファイバーXN−100−05M(50μm)を添加しない表面で覆ったものを用いた。グロス紙50枚通紙で、剥離ローラのアルミ地肌が見え、剥離むらが生じた。タック性の評価。剥離後の基体と新品の基体を重ね、200枚のグロス紙の重さを1時間かけて張り付くかどうかを判断した。張り付くことはなかった。
【0058】
[比較例4]
同じ剥離液をグロス紙にスプレー塗布した。これは、200mg/A4以下にはできず。剥離後紙にトナーが残り、200枚の紙を乗せて、白紙のグロス紙とのタック性は問題なかった。
【0059】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内の記載であれば多種の変形や置換可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の一実施の形態に係る画像除去装置における剥離液塗布手段の概略構成を示す断面図である。
【図2】図1の破線部分の構成を示す断面図である。
【図3】フォーム状剥離液が定着トナーに入り込む様子を示す概略断面図である。
【図4】本実施の形態の画像除去装置におけるフォーム状剥離液生成手段の構成を示す概略図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係る画像除去装置の構成を示す概略断面図である。
【図6】フォーム状剥離液生成手段の塗布ローラと膜厚制御ブレードの構成を示す斜視図である。
【図7】画像剥離手段の剥離ローラ及び膜厚制御ブレード並びにトナー剥離部材の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0061】
1;画像除去装置、10;剥離液塗布手段、11;フォーム状剥離液、
12;塗布ローラ、13;定着トナー、
14,33;膜厚制御ブレード、20;フォーム状剥離液生成手段、
30;画像剥離手段、31;剥離ローラ、32;クリーニングローラ、
35;トナー剥離部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成物質で画像が形成された基体上から画像形成物質を除去する画像除去方法において、
前記基体上の前記画像形成物質を軟化させる軟化剤である剥離液を塗布し、粘着性を持つ剥離部材を有する剥離手段と前記基体を重ね合わせた状態で加圧し、前記基体上の前記画像形成物質を前記剥離手段へ転移させて、前記基体上から画像形成物質を除去することを特徴とする画像除去方法。
【請求項2】
前記剥離液はフォーム状をなすことを特徴とする請求項1記載の画像除去方法。
【請求項3】
前記剥離部材は無機粉体を含有することを特徴とする請求項1記載の画像除去方法。
【請求項4】
前記剥離手段と、フォーム状の前記剥離液を前記基体上の画像形成物質に塗布した前記基体とを重ね合わせることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像除去方法。
【請求項5】
フォーム状の前記剥離液を塗布した前記剥離手段と、前記基体とを重ね合わせることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像除去方法。
【請求項6】
圧接部材を前記剥離手段の前記剥離部材に圧接して前記剥離部材の表面を平滑化することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像除去方法。
【請求項7】
画像形成物質で画像が形成された基体上から画像形成物質を除去する画像除去装置において、
前記基体上の前記画像形成物質を軟化させる軟化剤である剥離液を塗布する剥離液塗布手段と、
粘着性を持つ剥離部材を有する剥離手段と、
該剥離手段と前記基体を重ね合わせた状態で加圧し、前記基体上の前記画像形成物質を前記剥離手段へ転移させて、前記基体上から画像形成物質を除去する画像転移手段と
を具備することを特徴とする画像除去装置。
【請求項8】
前記剥離液をフォーム状に生成するフォーム状剥離液生成手段を有することを特徴とする請求項7記載の画像除去装置。
【請求項9】
前記剥離部材は無機粉体を含有することを特徴とする請求項7記載の画像除去装置。
【請求項10】
前記剥離液塗布手段によってフォーム状の前記剥離液を前記基体上の画像形成物質に塗布した前記基体と、前記剥離手段とを重ね合わせることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の画像除去装置。
【請求項11】
前記剥離液塗布手段によってフォーム状の前記剥離液を前記剥離手段の前記剥離部材に塗布した前記剥離手段と、前記基体とを重ね合わせることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の画像除去装置。
【請求項12】
前記剥離手段の前記剥離部材に圧接して前記剥離部材の表面を平滑化する圧接手段を有することを特徴とする請求項7〜11のいずれか1項に記載の画像除去装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−14829(P2010−14829A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−172867(P2008−172867)
【出願日】平成20年7月2日(2008.7.2)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】