説明

画面変化検査装置、画面変化検査方法及びプログラム

【課題】 正解画像を用意することなく、フォーカス移動による画面の変化についての検査をすることができる画面変化検査装置、画面変化検査方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】 本発明における画面変化検査装置は、入力操作前の画面表示内容と、入力操作があったときの、所定時間後の画面表示内容を検査対象画像として格納する画像格納手段と、色の変化量が一定以上であるドット(色変化ドット)の数量が、一定数以上であるか否かを判定する判定ルールを格納する判定ルール格納手段と、前記画像格納手段が格納する検査対象画像に対して、前記判定ルール格納手段が格納する判定ルールに従い、色変化ドットの数量が一定数以上であるか否かの判定処理を実行する判定手段と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画面の変化を検査する画面変化検査装置、画面変化検査方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
障害者や高齢者に配慮したWebコンテンツを作成するための、W3C(World Wide Web Consortium)の勧告するWCAG(Web Contents Accessibility Guideline)2.0版(非特許文献1及び2)には、利用者の入力操作に対する画面出力に関し、「達成基準2.4.7視覚的に認識可能なフォーカス」と「達成基準3.2.1オンフォーカス」とが記載されている。
【0003】
「達成基準2.4.7視覚的に認識可能なフォーカス」には、「キーボード操作が可能なユーザインタフェースには、キーボード・フォーカスの状態が視覚的に認識できる操作モードがある。」と記載されている。この意図は「キーボード・フォーカスの表示が視覚的に確認できる操作モードが少なくとも一つあるようにする」ことである。
【0004】
図5は、達成基準2.4.7の記載を説明するための図である。図5(a)に示すように、達成基準2.4.7の記載は、ボタン、リンク、セレクトボックス、テキスト入力エリアといった利用者が入力操作を行う部位1にフォーカスを移動した場合、例えば図5(b)のようにフォーカスが当たっている事を視覚的に認識できるような表現2によって表示することを規定している。
【0005】
もう一方の「達成基準3.2.1オンフォーカス」には、「いずれのコンポーネントも、フォーカスを受け取ったときに状況の変化を引き起こさない。」と記載されている。詳しく説明すると、この達成基準3.2.1は、マウス操作が上手く行えない利用者や苦手な利用者に配慮し、全ての操作をキーボードで行えるようにするという「達成基準2.1.1キーボード操作」に関係する。
【0006】
図6は、達成基準3.2.1の記載を説明するための図である。例えば図6(a)に示すような、利用者が入力操作を行うメニュー3があるとする。利用者は、図6(a)のメニュー3に入力操作を行い、図6(b)に示すようにプルダウンメニュー4を開く。このとき、図6(c)に示すように、利用者がプルダウンメニュー4の項目を選択すると右の都道府県名が切り替わるような、項目を選択すると同時に処理を即実行する機能があるとする。この場合、利用者は、マウスを使えば、図6(d)に示すように項目の並び順に関係なく任意の項目、例えば北海道・東北から九州・沖縄をすばやく選択できる。
【0007】
しかし、利用者がキーボードを使った場合、項目の並び順に従いフォーカスを移動しなければならず、しかもフォーカスが移動する度に処理を実行してしまう。そのため、フォーカスが北海道・東北から九州・沖縄へ到達する前に関東、北陸、中部と項目の表示が次々と切り替わってしまい、利用者が求める項目に辿り着く前に意図しない処理が実行されてしまう。
【0008】
このように、フォーカスが移動する度に処理を実行する機能がある場合でも、利用者はマウスを使えば問題なく操作できるが、キーボードを使った場合、操作性が著しく低下する。そのため、達成基準3.2.1には、障害者や高齢者へ配慮し、「いずれのコンポーネントも、フォーカスを受け取ったときに状況の変化を引き起こさない。」と記載されている。
【0009】
こうした利用者の入力操作に対して「フォーカスが当たっている事が視認可能かどうか」という事や、「フォーカス移動しただけで処理を実行してしまわないかどうか」、という事について、低コストで検査する技術は、現在のところ存在しない。
【0010】
関連する技術として特許文献1は、入力操作に対し意図した画面出力を行うかどうか検査する技術を開示する。特許文献1は、特定の操作手順と、その手順を実行した時の意図した画面出力の状態を表す正解画像を用意し、特定の操作を実行させた画面出力の状態を表す画像と正解画像とを比較する技術を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2007―325056号公報
【特許文献2】特開2004―207950号公報
【特許文献3】特開2010―045728号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】W3C(World Wide Web Consortium)WCAG(Web Contents Accessibility Guideline) http://www.w3.org/TR/WCAG20/, Latest version 11 December 2008.
【非特許文献2】WCAG 2.0解説書http://www.ciaj.or.jp/access/web/docs/UNDERSTANDING-WCAG20/Overview.html#contents, January-March 2010.
【非特許文献3】Digital Video Colourmaps for Checking the Legibility of Displays by Dichromats. John D.Mollon. COLOR research and application, Vol.24, No.4, August 1999.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、特許文献1に記載の技術のように、特定の入力操作を行った場合の正解画像を予め用意する方法では、利用者は、一連の操作を行う事によって至る画面出力の状態を表す画像が正解画像と一致するかどうかしか検査できない。そのため、特許文献1に記載の技術の提供者は、一連の操作を構成する個々の操作に対する画面出力の状態を表す画像の確認を行う場合、個々の操作に対する正解画像を用意しなければならない。つまり、提供者は、ボタン、リンク、セレクトボックス、又はテキスト入力エリアといった利用者が入力操作を行う部位の数量だけ正解画像を用意しなければならない。これら入力操作部位が1画面あたり100個ある場合、提供者は正解画像を100枚用意しなければならず、非常に煩雑である。
【0014】
以上より、本発明の目的は、一連の操作手順とその手順を実行した時の意図した画面出力の状態を表す正解画像を用意することなく、例えば「フォーカスが当たった状態の視認性」及び「フォーカスが移動しただけでの処理の実行の有無」等を確認するために、フォーカス移動による画面の変化についての検査をすることができる画面変化検査装置、画面変化検査方法及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、本発明における画面変化検査装置は、入力操作前の画面表示内容と、入力操作があったときの、所定時間後の画面表示内容を検査対象画像として格納する画像格納手段と、色の変化量が一定以上であるドット(色変化ドット)の数量が、一定数以上であるか否かを判定する判定ルールを格納する判定ルール格納手段と、画像格納手段が格納する検査対象画像に対して、判定ルール格納手段が格納する判定ルールに従い、色変化ドットの数量が一定数以上であるか否かの判定処理を実行する判定手段と、を含む。
【0016】
上記目的を達成するため、本発明における画面変化検査方法は、入力操作前の画面表示内容と、入力操作があったときの、所定時間後の画面表示内容を検査対象画像として格納し、色の変化量が一定以上であるドット(色変化ドット)の数量が、一定数以上であるか否かを判定する判定ルールを格納し、前記格納する検査対象画像に対して、前記格納する判定ルールに従い、色変化ドットの数量が一定数以上であるか否かの判定処理を実行する。
【0017】
上記目的を達成するため、本発明におけるプログラムは、コンピュータに、入力操作前の画面表示内容と、入力操作があったときの、所定時間後の画面表示内容を検査対象画像として格納し、色の変化量が一定以上であるドット(色変化ドット)の数量が、一定数以上であるか否かを判定する判定ルールを格納し、前記格納する検査対象画像に対して、前記格納する判定ルールに従い、色変化ドットの数量が一定数以上であるか否かを判定する、処理を実行させる。
【発明の効果】
【0018】
本発明における画面変化検査装置、画面変化検査方法及びプログラムによれば、一連の操作手順とその手順を実行した時の意図した出力画面の状態を表す正解画像を用意することなく、例えば「フォーカスが当たった状態の視認性」及び「フォーカスが移動しただけでの処理の実行」等の、フォーカス移動による画面の変化について検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】第1実施形態に係る画面変化検査装置の機能構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態に係る画面変化検査装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】第2実施形態に係る画面変化検査装置の効果を説明するために操作前と操作後の検査対象画像の例を示した図である。
【図4】本発明の第5実施形態に係る画面変化検査装置の機能構成を示すブロック図である。
【図5】達成基準2.4.7の記載を説明するための図である。
【図6】達成基準3.2.1の記載を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
まず、本発明の理解を容易にするために、本発明の背景と概要を説明する。
【0021】
背景技術で説明したように、「フォーカスが当たっている事が視認可能かどうか」という事や、「フォーカス移動しただけで処理を実行してしまわないかどうか」、という事について、コストをかけずに検査する技術は、現在のところ存在しない。特許文献1に記載の技術によれば、必要十分な正解画像を用意することができれば、上記の検査は可能である。しかし、必要十分な正解画像を用意することは、非常に煩雑でありコストがかかる。
【0022】
そこで、画面の状態を表す画像ごとに正解画像を用意する方法ではなく、どのような状態の画像に対しても、画面の変化の有無を判定できるルールを用いる方法があれば簡便である。ルールを用いる方法は、背景技術で述べた「フォーカスが当たっている事が視認可能かどうか」という事や「フォーカス移動しただけで処理を実行してしまわないかどうか」という事を検査する場合のみならず、個々の操作に伴う画面の検査全般に効果的である。
【0023】
本発明は、画面の変化の有無を判定できるルールとして、個々の操作を行う前の出力画面の状態を表す画像に属するドットと、操作を行った後の出力画面の状態を表す画像に属するドットとの、色の変化量及び変化したドットの数量について規定した判定ルールを用いる。本発明は、色の変化量及び変化したドットの数量について規定した判定ルールに基づいて画面の変化を判定することで、上記目的を達成する。
【0024】
なお、本発明に関連する技術が、特許文献2及び特許文献3に開示されている。特許文献2には、良好な再現性で画像を縮小するために、間引く処理を特定するための比較判定ルールを用いた画像縮小装置が開示されている。
【0025】
特許文献3には、スクランブル操作による画像劣化についての評価誤差の問題を、操作前の画像要素と操作後の画像要素との所定の差分を補正することで解決する画像スクランブル装置が開示されている。
【0026】
本発明の実施形態に係る画面変化検査装置を構成する各部は、制御部、メモリ、メモリにロードされたプログラム、プログラムを格納するハードディスク等の記憶ユニット、ネットワーク接続用インターフェースなどからなる、ハードウェアとソフトウェアの任意の組合せによって実現される。そして特に断りのない限り、その実現方法、装置は限定されない。
【0027】
制御部は、CPU(Central Processing Unit。以下同様。)などからなり、オペレーティングシステムを動作させて画面変化検査装置の全体を制御する。また、制御部は、例えばドライブ装置などに装着された記録媒体からメモリにプログラムやデータを読み出し、これにしたがって各種の処理を実行する。
【0028】
記録媒体は、例えば光ディスク、フレキシブルディスク、磁気光ディスク、外付けハードディスク、半導体メモリ等であって、コンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能に記録する。また、コンピュータプログラムは、通信網に接続されている図示しない外部コンピュータからダウンロードされても良い。
【0029】
なお、実施形態の説明において利用するブロック図は、ハードウェア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの任意の組み合わせによって実現される。また、画面変化検査装置の構成部の実現手段は特に限定されない。すなわち、画面変化検査装置は、物理的に結合した一つの装置により実現されても良いし、物理的に分離した二つ以上の装置を有線又は無線で接続し、これら複数の装置により実現されても良い。
【0030】
<第1実施形態>
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0031】
なお、本発明の実施形態に係る画面変化検査装置の検査対象は、Webコンテンツだけに限られない。本発明の実施形態に係る画面変化検査装置の検査対象は、マウス、キーボード、若しくはタッチパネルといった利用者の入力操作を受け付ける機能を有し、ディスプレイ等の判定結果出力部104にGUI画面を出力するアプリケーションプログラムであっても良い。または、本発明の実施形態に係る画面変化検査装置の検査対象は、ボタン、レバー、若しくはスイッチ等を含み、GUI画面を判定結果出力部104に出力するハードウェア装置であっても良い。
【0032】
また、Webコンテンツは、HTMLのみで記述したものに限られない。Webコンテンツは、例えば、XML、DHTM、若しくはXHTMLといったマークアップ言語で記述されたものであれば、特に限定されない。さらに、Webコンテンツは、マークアップ言語で記述されたものに限られず、Flash(登録商標)、JavaScript(登録商標)、Flex(登録商標)、又はSilverlight(登録商標)等で作成されたものであっても良い。
【0033】
背景技術においては、障害者や高齢者に配慮したWebコンテンツ作成規定として、W3CのWCAGを例示した。しかし、本発明に係る画面変化検査装置は、Webコンテンツに限らず、アプリケーションプログラムが判定結果出力部104に出力した画面についての障害者や高齢者、又は一般利用者にとっての視認性の検査に用いても良い。
【0034】
また、本発明の実施形態において「色の変化量」とは、RGB、XYZ、Yxy、L*u*v*、L*a*b*、マンセル、オストワルト、NCS、DIN、sRGB、RGBA、CMY、CMYK、HSV、HLS、YIQ、YCbCr、YPbPr、YUV、又は色の周波数表記といった一般的な表色系で示す値の変化量の事を指す。
【0035】
図1は、第1実施形態に係る画面変化検査装置の機能構成を示すブロック図である。図1に示すように、第1実施形態に係る画面変化検査装置は、検査対象出力部100、画像格納部101、判定部102、判定ルール格納部103、及び判定結果出力部104を含む。また、本発明の実施形態に係る画面変化検査装置は、検査対象105と接続されている。これらの各構成部は、以下のような処理を行う。
【0036】
検査対象出力部100は、検査する対象(以降、「検査対象」と呼ぶ。)の画面出力の内容を画像格納部101に出力する。
【0037】
検査対象がWebコンテンツの場合、検査対象を有する装置の表示部(図示しない)は、そのWebコンテンツの内容をレンダリングし、画面出力を行う。その際、検査対象出力部100は、マウスやキーボード等を用いたユーザからの入力操作に基づく入力操作指示を受けると、画面出力の内容(すなわち、レンダリングされたWebコンテンツの内容)を画面表示内容(「画面出力の状態を表す画像」とも呼ぶ。)として画像格納部101に出力する。なお、検査対象を有する装置は、本発明の実施形態に係る画面変化検査装置と物理的に同一の装置であっても良いし、物理的に分離した異なる装置であっても良い。
【0038】
別の例として、検査対象がアプリケーションプログラムの場合も同様に、検査対象を有する装置の表示部は、GUI画面の出力を行う。検査対象出力部100は、ユーザからの入力操作に基づく入力操作指示に応じて、表示部が出力したGUI画面を画面表示内容として画像格納部101に出力する。
【0039】
画面表示内容として出力する映像信号は、アナログ信号であっても良いし、デジタル信号であっても良い。また、検査対象出力部100は、画面表示内容を画像ファイルとして出力しても良い。さらに、検査対象出力部100は、画面表示内容をVRAMに展開し、画像格納部101がその展開内容を取得する構成でも良い。
【0040】
画像格納部101は、検査対象出力部100の出力内容を逐次監視し、画面表示内容を検査対象画像として内部に格納する。
【0041】
ここで、第1実施形態に係る画像変化検査装置は、利用者から所定の入力操作があった際の画面の変化を検査する装置である。そのため、画像格納部101は、利用者の入力操作があった時刻を基準に、前後に所定の時間間隔を有する任意の数の時刻における画面表示内容を検査対象画像として格納する。例えば、画像格納部101は、入力操作のあった時刻の画像と、入力操作のあった時刻を基準に5秒間隔で、前の2枚の画像(すなわち、入力操作のあった時刻の5秒前の画像と、10秒前の画像)、及び、後の2枚の画像と、を格納しても良い。
【0042】
画像格納部101は、予め入力操作前の画面内容を格納しており、利用者の入力操作があったときに、所定時間後の画面表示内容を検査対象画像として格納しても良い。
【0043】
判定ルール格納部103は、色の変化量が一定以上であるドット(以下、「色変化ドット」とも呼ぶ。)の数が、一定数以上であるか否かを判定するための判定ルールを格納する。判定ルール格納部103が格納する判定ルールは、色変化ドットの数が、検査対象画像の一定割合の面積に対応するドットの数以上であるときに、一定数以上であると判定するルールであっても良い。
【0044】
判定ルールは、例えば、二つの検査対象画像のRGB値の変化量が一定以上のドットの数が、一定数以上あるかどうかを判定するルールである。判定ルールは、例えばフォーカスが視認可能かどうかの検査の開始指示を、検査対象100に対する入力操作としてTabキー又はTabキーと矢印キーを組み合わせた操作であるとするルールを含んでいても良い。なお、判定ルールは、CPUによって実行されるプログラムであっても良い。
【0045】
以下、説明の便宜のため、色の変化量を具体的にRGB値の変化量として説明する。また、RGB値の一定以上の変化量についての詳しい説明は後述する。
【0046】
判定部102は、判定ルール格納部103が格納するルールに従い、利用者の入力操作を受けて検査対象出力部100に対し入力操作指示を行う。判定部102が検査対象出力部100に入力操作指示を行うと、検査対象出力部100は、画面表示内容を画像格納部101に出力しても良い。画像格納部101は、出力された画面表示内容を検査対象画像として内部に格納しても良い。
【0047】
判定部102は、判定ルール格納部103が格納するルールに従い、入力操作指示を行う前の検査対象画像と入力操作指示を行った後の検査対象画像とを比較する。判定部102は、両画像を比較した結果、RGB値の変化量が一定以上のドット(色変化ドット)が有った場合は、色変化ドットの数を計数し、色変化ドットの数が一定数以上であるか否かを判定する判定処理を行う。
【0048】
判定部102は、色変化ドットの数が一定数以上であると判定すると、その判定結果を判定結果出力部104に出力する。判定結果出力部104は、画面変化があった旨等を表示する。具体的には、判定結果出力部104は、例えば「フォーカスの移動によって画面変化があった」旨を表示しても良い。判定部102は、色変化ドットの数が一定数以上ないと判定した場合も、その判定結果を判定結果出力部104に出力する。判定結果出力部104は、画面変化がない旨、若しくは画面変化が少ない旨などを表示する。
【0049】
また、判定部102は、色変化ドットの、画面のXY座標上の位置を判定しても良い。その場合、判定部102は、XY座標上の位置の判定結果も判定結果出力部104に出力しても良い。判定結果出力部104は、その判定結果も合わせて表示しても良い。また、判定結果出力部104は、判定結果と同時に検査対象画像を表示しても良い。
【0050】
第1実施形態に係る画面変化検査装置は、これまでに説明した入力操作指示、画面表示内容の出力、検査対象画像の格納、RGB値の変化量の判定、及び判定結果の出力という一連の動作を検査対象の全てのボタンやリンクといった入力操作部分に対して行う。
【0051】
図2は、第1実施形態に係る画面変化検査装置の動作を示すフローチャートである。図2に示すように、まず、判定部102は、判定ルール格納部103が格納するルールに従い、利用者の入力操作を受けて検査対象出力部100に対し入力操作指示を行う(ステップS1)。
【0052】
次に、検査対象出力部100は、判定部102からの入力操作指示を受けて、画面表示内容を画像格納部101に出力する(ステップS2)。なお、検査対象出力部100は、入力操作指示を受ける前の画面表示内容を予め画像格納部101に出力しておいても良い。
【0053】
次に、画像格納部101は、検査対象出力部100から出力された画面表示内容を検査対象画像として格納する(ステップS3)。
【0054】
次に、判定部102は、判定ルール格納部103が格納するルールに従い、入力操作指示を行う前の検査対象画像と入力操作指示を行った後の検査対象画像とを比較する。なお、ここでは、例として判定部102は、RGB値の変化量を比較判定の対象とする。判定部102は、両画像を比較した結果、RGB値の変化量が一定以上のドット(色変化ドット)が有った場合は、色変化ドットの数を計数し、色変化ドットの数が一定数以上であるか否かを判定する判定処理を行う(ステップS4)。
【0055】
次に、判定結果出力部104は、判定部102の判定結果を出力する(ステップS5)。
【0056】
なお、これまでの説明におけるRGB値の一定以上の変化量とは、例えば、R、G、若しくはBのいずれかの値の100以上の差でも良い。又はRGB値の一定以上の変化量とは、R、G、若しくはBの値を合計した値の100以上の差でも良い。又は、RGB値が一定以上変化したとする基準は、文字と背景の読みやすいコントラストなどを規定したISO−9241−3やJIS−Z8513の算出数式と閾値を参考にして定められても良い。さらには、RGB値が一定以上変化したとする基準は、色覚特性を持つ人に配慮し、色覚特性を持つ人の色の見え方を算出する数式(非特許文献3)を用いた上で定められても良い。
【0057】
以上説明したように、第1実施形態に係る画面変化検査装置によれば、一連の操作手順とその手順を実行した時の意図した出力画面の状態を表す正解画像を用意することなく、例えば「フォーカスが当たった状態の視認性」及び「フォーカスが移動しただけでの処理の実行」等の、フォーカス移動による画面の変化について検査することができる。
【0058】
つまり、第1実施形態に係る画面変化検査装置によれば、例えば二つの検査対象画像のRGB値の変化量が一定以上のドットが、視認できるのに十分な数、つまり十分な面積を持っているかどうかということを判定ルールに基づいて検査することができる。
【0059】
また、第1実施形態に係る画面変化検査装置によれば、逆に余りにも大きすぎる面積で変化が起こった場合、フォーカスが移動しただけで利用者が意図しない何らかの処理が行われた事を判定する事が可能である。
【0060】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る画面変化検査装置について説明する。
【0061】
第2実施形態に係る画面変化検査装置は、第1実施形態に係る画面変化検査装置と比較して、判定ルール格納部103が格納するルールが異なる。第2の実施形態に係る判定ルール格納部103は、第1実施形態における判定ルールに加えて、操作後の検査対象画像において、操作前の検査対象画像と比較して一定以上の色の変化量のあったドットと、そのドットに隣接するドットを比較し、両者の色の値(例えばRGB値)の差が一定以上かどうかを判定する、第2の判定ルールを格納する。
【0062】
つまり、第2実施形態に係る判定ルール格納部103は、色変化ドットの色の値と、色変化ドットに隣接する位置にあるドットの色の値との差が一定以上であるか否か、を判定する第2の判定ルールをさらに格納する。
【0063】
また、第2実施形態に係る判定部102は、第2の判定ルールに従い、色変化ドットの色の値と、該色変化ドットに隣接する位置にあるドットの色の値との差が一定以上であるか否かの判定処理を行う。
【0064】
また、第2実施形態に係る判定結果出力部104は、判定部102が第2の判定ルールに基づいて行った判定結果を出力しても良い。
【0065】
第2実施形態に係る画面変化検査装置によれば、例えば図3に例示するような、変化に気づきにくい変化があったことを判定することができる。図3は、第2実施形態に係る画面変化検査装置の効果を説明するために操作前と操作後の検査対象画像の例を示した図である。
【0066】
図3は、操作前の画像20と操作後の画像30を比較してRGB値の変化量が一定以上である黒枠状の変化が見られるドットが、操作後の変化が見られるドットと隣接するドットである中央の濃いグレー部分20Aとの差が一定以上ではない例を示している。図3は、色変化ドットと隣接ドットとの色の差が一定以上ではないために、中央の濃いグレー部分20Aの周囲が1ドット分大きくなったようにしか見えず、変化した事に気付きにくい状態を示している。
【0067】
以上説明したように、第2実施形態に係る画面変化検査装置によれば、RGB値等の色の値の変化量が一定以上であるにも関わらず、周囲の配色によって目立たなくなってしまうような変化であるかどうかを判定することができる。
【0068】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係る画面変化検査装置について説明する。
【0069】
第3実施形態に係る画面変化検査装置は、第1実施形態に係る画面変化検査装置と比較して、判定ルール格納部103が格納するルールが異なる。第3実施形態に係る判定ルール格納部103は、第1実施形態における判定ルールに加えて、複数の静止画又は動画に属する色変化ドットついての色の変化に関する判定を行う第3の判定ルールを格納する。
【0070】
より詳しくは、第3実施形態に係る判定ルール格納部103は、操作前の画像と操作後の複数の静止画又は動画の色の変化量、例えばRGB値の変化量が一定以上のドットの色の変化時間が一定以上であるかどうかを判定する、第3の判定ルールを格納する。
【0071】
第3実施形態に係る画像格納部101は、判定部102が検査対象画像に対して判定処理を開始した後、一定時間の画面表示内容を複数の静止画又は動画で格納する。
【0072】
また、第3実施形態に係る判定ルール格納部103は、画像格納部101が格納する複数の静止画又は動画に属する色変化ドットの色の変化時間が一定以上であるか否か、を判定する第3の判定ルールをさらに格納する。
【0073】
また、第3実施形態に係る判定部102は、さらに、第3の判定ルールに従い色の変化と時間に関する判定を行う。
【0074】
また、第3実施形態に係る判定結果出力部104は、判定部102が第3の判定ルールに基づいて行った判定結果を出力しても良い。
【0075】
以上説明したように、第3実施形態に係る画面変化検査装置によれば、色的には変化が見られたものの、その表示時間があまりにも短く、変化した事が気付きにくいという状況を判定することができる。
【0076】
具体的には、第3実施形態に係る画面変化検査装置によれば、操作前の検査対象画像と操作後の検査対象画像を比較し、明らかにRGB値の変化量が一定以上であったが、操作後の時間経過で見ると、変化があったのは0.2秒間だけであり、その後は操作前と同じRGB値に戻ってしまうことで変化に気付きにくいという状況を判定することができる。
【0077】
また第3実施形態に係る画面変化検査装置は、時間経過による色の値(例えばRGB値等)の変化量を判定するという観点から、第1実施形態に係る判定ルールと組合せることで、光過敏性てんかんを誘発するような大きい面積での激しい点滅を繰り返すかどうかの判定も可能である。
【0078】
このことは背景技術で述べたW3CのWCAG2.0において「達成基準2.3.1 3回の閃光又は閾値以下」「達成基準2.3.2 3回以上の閃光」にて規定されており、本発明によりこの項目についても検査可能となる。
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態に係る画面変化検査装置について説明する。
【0079】
第4実施形態に係る画面変化検査装置は、第3実施形態に係る画面変化検査装置と比較して、判定ルール格納部103が格納する第3の判定ルールが異なる。第4実施形態に係る第3の判定ルールは、操作前の画像と操作後の複数の静止画又は動画の時間あたりの色の変化量、例えばRGB値の変化量が一定以上かどうかを判定するルールである。
【0080】
つまり、第4実施形態に係る判定ルール格納部103は、画像格納部101が格納する複数の静止画又は動画に属する色変化ドットの時間あたりの色の変化量が一定以上であるか否か、を判定する第3の判定ルールをさらに格納する。
【0081】
以上説明したように、第4実施形態に係る画面変化検査装置によれば、色的には変化が見られたものの、緩やかに変化しているため、変化した事が気付きにくいという状況を判定することができる。
【0082】
具体的には、第4実施形態に係る画面変化検査装置によれば、操作前の検査対象画像と操作後10秒経過した状態の検査対象画像を比較し、明らかにRGB値の変化量が一定以上であったが、10秒の間のRGB値の変化量が緩やかであったため、変化したことに気付きにくいという状況を判定することができる。
【0083】
<第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態に係る画面変化検査装置の機能構成について説明する。
【0084】
図4は、本発明の第5実施形態に係る画面変化検査装置の機能構成を示すブロック図である。図4に示すように、第5実施形態に係る画面変化検査装置は、画像格納部101、判定ルール格納部103、及び判定部102を含む。
【0085】
画像格納部101は、入力操作前の画面表示内容と、入力操作があったときの、所定時間後の画面表示内容を検査対象画像として格納する。画像格納部101は、入力操作があったときには、所定の時間間隔を有する任意の数の複数の時刻における画面表示内容を格納しても良い。
【0086】
判定ルール格納部103は、色の変化量が一定以上であるドット(色変化ドット)の数量が、一定数以上であるか否かを判定する判定ルールを格納する。
【0087】
判定部102は、画像格納部101が格納する検査対象画像に対して、判定ルール格納部103が格納する判定ルールに従い、色変化ドットの数量が一定数以上であるか否かの判定処理を行う。
【0088】
第5実施形態に係る画面変化検査装置によれば、一連の操作手順とその手順を実行した時の意図した出力画面の状態を表す正解画像を用意することなく、例えば「フォーカスが当たった状態の視認性」及び「フォーカスが移動しただけでの処理の実行」等の、フォーカス移動による画面の変化について検査することができる。
【0089】
以上、これまでに説明した各実施形態は、本発明の技術的範囲を限定するものではない。また、各実施形態に記載の判定ルールは、本発明の技術的思想の範囲内で互いに組み合わせることが可能であり、本発明のスコープ内で同業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0090】
また、本発明は、コンピュータシステム上で動作するコマンド形式、スクリプト形式、又はプログラム形式などで記述し、一連の手順を自動的に処理することで実現されても良い。本発明のプログラムは、上記の各実施形態で説明した各動作を、コンピュータに実行させるプログラムであれば良い。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、入力操作を行った際の画面変化を検査する方法及び装置に関し、フォーカスが当たった状態の視認性及びフォーカスが当たった状態での大きな画面変化をもたらす処理の有無を検査判定する用途に適用できる。
【符号の説明】
【0092】
1 利用者が入力操作を行う部位
2 フォーカスが当たっている事を視覚的に認識できるような表現
3 メニュー
4 プルダウンメニュー
20 操作前の画像
20A 中央の濃いグレー部分
30 操作後の画像
100 検査対象出力部
101 画像格納部
102 判定部
103 判定ルール格納部
104 判定結果出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力操作前の画面表示内容と、入力操作があったときの、所定時間後の画面表示内容を検査対象画像として格納する画像格納手段と、
色の変化量が一定以上であるドット(色変化ドット)の数量が、一定数以上であるか否かを判定する判定ルールを格納する判定ルール格納手段と、
前記画像格納手段が格納する検査対象画像に対して、前記判定ルール格納手段が格納する判定ルールに従い、色変化ドットの数量が一定数以上であるか否かの判定処理を実行する判定手段と、
を含む画面変化検査装置。
【請求項2】
前記判定ルール格納手段が格納する判定ルールは、前記色変化ドットの数量が、前記検査対象画像の一定割合の面積に対応するドットの数以上であるときに、一定数以上であると判定する判定ルールである、
請求項1に記載の画面変化検査装置。
【請求項3】
前記判定手段が、色変化ドットの数が前記一定数以上であると判定した場合に、フォーカスの移動によって画面変化があった旨を表示する判定結果出力手段と、
をさらに含む請求項1又は2に記載の画面変化検査装置。
【請求項4】
前記判定ルール格納手段は、前記色変化ドットの色の値と、該色変化ドットに隣接する位置にあるドットの色の値との差が一定以上であるか否か、を判定する第2の判定ルールをさらに格納し、
前記判定手段は、さらに、前記第2の判定ルールに従い前記差が一定以上であるか否かの判定処理を行う、
請求項1〜3に記載の画面変化検査装置。
【請求項5】
前記出力内容格納手段は、前記判定手段が前記検査対象画像に対して判定処理を開始した後、一定時間の画面表示内容を複数の静止画又は動画で格納し、
前記判定ルール格納手段は、前記出力内容格納手段が格納する複数の静止画又は動画に属する色変化ドットついての色の変化に関する判定を行う第3の判定ルールをさらに格納し、
前記判定手段は、さらに、前記第3の判定ルールに従い色の変化と時間に関する判定を行う、
請求項1〜4に記載の画面変化検査装置。
【請求項6】
前記判定ルール格納手段がさらに格納する第3の判定ルールは、前記複数の静止画又は動画に属する色変化ドットの色の変化時間が一定以上であるか否か、を判定する判定ルールである、
請求項5に記載の画面変化検査装置。
【請求項7】
前記判定ルール格納手段がさらに格納する第3の判定ルールは、前記複数の静止画又は動画に属する色変化ドットの時間あたりの色の変化量が一定以上であるか否か、を判定する判定ルールである、
請求項5に記載の画面変化検査装置。
【請求項8】
入力操作前の画面表示内容と、入力操作があったときの、所定時間後の画面表示内容を検査対象画像として格納し、
色の変化量が一定以上であるドット(色変化ドット)の数量が、一定数以上であるか否かを判定する判定ルールを格納し、
前記格納する検査対象画像に対して、前記格納する判定ルールに従い、色変化ドットの数量が一定数以上であるか否かの判定処理を実行する、
画面変化検査方法。
【請求項9】
コンピュータに、
入力操作前の画面表示内容と、入力操作があったときの、所定時間後の画面表示内容を検査対象画像として格納し、
色の変化量が一定以上であるドット(色変化ドット)の数量が、一定数以上であるか否かを判定する判定ルールを格納し、
前記格納する検査対象画像に対して、前記格納する判定ルールに従い、色変化ドットの数量が一定数以上であるか否かの判定を行う、
処理を実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−108601(P2012−108601A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−254970(P2010−254970)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】