説明

界面活性剤およびコサーファクタントを含有する混合物

本発明は、界面活性剤およびコサーファクタントを含有し、その際、コサーファクタントは1もしくは複数の疎水性サブユニット(A)および1もしくは複数の親水性サブユニット(B)を有する両親媒性ポリマーである混合物において、1もしくは複数の疎水性サブユニット(A)はポリイソブテンブロックから形成されており、そのポリイソブテン高分子は少なくとも50モル%までが末端の二重結合を有することを特徴とする、界面活性剤およびコサーファクタントを含有する混合物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、界面活性剤およびコサーファクタントを含有する混合物、界面活性剤およびコサーファクタントを含有するマイクロエマルション、該混合物または該マイクロエマルションの使用ならびに洗剤、洗浄剤、湿潤剤、被覆材料、接着剤、皮革の脱脂剤、保湿剤またはテキスタイル処理剤、または医薬品、農薬もしくは化粧品、特に日焼け止め剤、皮膚の手入れ剤もしくはヘアスタイリング剤、シャワージェル、シャンプー、入浴剤または香油に関する。
【0002】
界面活性剤は、相互に混和することができない液相、つまり極性相、しばしば水、と、無極性の有機相との間の界面張力を低下させ、ひいてはこれらの相互の溶解度を高める物質である。界面活性剤は特徴的な構造を有しており、かつ少なくとも1の親水性構造単位および1の疎水性構造単位を有する。この構造は両親媒性ともよばれる。
【0003】
界面活性剤は生態学的に特に関わりのある物質であり、その環境との相容性は保証されなくてはならない。従って廃水中での界面活性剤残留物の良好な分解性と並んで、使用される界面活性剤の効果を損なうことなく、その量をできる限り低減すること、つまり界面活性剤の効率を向上することは特に重要である。この場合、界面活性剤の効率とは通常、一定の効果を達成するため、たとえば極性相中の無極性相の割合もしくは無極性相中の極性相の割合を可溶化するか、またはできる限り低い濃度で界面張力をできる限り低減するために必要とされる界面活性剤の量を表す。
【0004】
通常の慣用のエマルションは極めて異なった体積割合で油相および水相を含有しうる。これらは連続相または分散相を有しており、これらは連続相中に極めて小さい、界面活性剤により覆われることによって安定化された小球として存在している。連続相の性質に応じて、水中油型エマルションまたは油中水型エマルションとよばれる。これらのエマルションは、理想的な場合には動力学的に安定している、つまり無制限にではないが、比較的長期間にわたり維持される。特に温度の変動がある場合、これらは沈殿、分離、増粘または凝集により相分離の傾向につながりうる。
【0005】
いわゆるマイクロエマルションは2種類の非混和性の液体、例えば油と水とが熱力学的に安定した、光学的に清澄な液状の調製物である。マイクロエマルションは、界面活性剤、またはしばしば界面活性剤とコサーファクタントからなる混合物が油/水の界面張力を極めて低い、しばしば−10-3〜10-9、有利には10-4〜10-6N/mの範囲の極めて低い値に低下させる場合に生じるので、熱による移動により両方の不溶性の相は単独で均一に分散したままである。マイクロエマルションはしばしば平衡範囲で100〜1000オングストロームのオーダーの同相(bicontinuous)構造、いわゆるサブフェーズを有する(Advanced Materials、2000、12、第23号、第1751頁以降を参照のこと)。
【0006】
同相マイクロエマルションは2つの相、つまり水相と油相とを、拡張され相互に境界を接して存在し、かつ相互に入り組んだドメインの形で有しており、これらの界面において安定化する界面活性剤は単分子相中で富化されている。同相マイクロエマルションは、個々の成分、水、油および適切な界面活性系を混合すると、通常は極めて低い界面張力により自発的に極めて容易に形成される。ドメインは少なくとも1つの次元でナノメートルオーダーのごくわずかな拡張を有するにすぎないため、マイクロエマルションは視覚的に透明に見え、かつ使用される界面活性剤系に応じて一定の温度範囲で熱力学的に、つまり時間に制限なく安定している。
【0007】
同相マイクロエマルションはたとえばH.F.Eickeによる論文"Mikroemulsionen−eine wissenschaftliche und anwendungstechnische Fundgrube?"、SOEFW−Journal 118(1992)、第311〜314頁に記載されている。
【0008】
相の境界において必要とされる低い界面張力に達するために、マイクロエマルションは特殊な両親媒性物質、つまり界面活性剤を含有しており、かつその水相中にしばしば溶解している電解質および場合により別の助剤を含有している。電解質は特に、両親媒性物質が部分的に、またはもっぱらイオン性界面活性剤である場合に添加される。
【0009】
DE−A19839054から、界面活性剤の効率を添加剤の添加により向上することが公知であり、その際、添加剤として水溶性ブロックAと、水不溶性ブロックBとを有するAB型ブロックコポリマーが使用される。その際、ブロックAおよびBは500〜60000g/モルの分子量を有していてよい。ブロックAとして有利にはポリエチレンオキシドブロックを使用するが、しかし一般に、ブロックBと結合して両親媒性物質を形成する全ての水溶性ブロックが使用される。ブロックBに関してポリマーは単独のモノマーまたはモノマー混合物のポリマーが記載される。
【0010】
しかし記載のブロックコポリマーは特に、実験室規模にとっては適切であるが、しかし大工業的な使用にとっては不適切な製造法により得られるという欠点を有する。前記の刊行物は製造方法のためにDE−A19634477を指摘しており、ここにはアルカリ金属オルガニルの使用下での重合が、つまり大工業的な使用にとって不適切な製造法が記載される。
【0011】
これに対して本発明の課題は、エマルション中、特にマイクロエマルション中で界面活性剤の効率を向上するためにコサーファクタントとして使用することができ、かつ経済的に有利な方法で、大工業的な出発物質に基づいて、ならびに大工業的に実現可能な反応経路で得ることができる物質を提供することであった。特に同相マイクロエマルション中の界面活性剤の効率の向上が達成されるべきである。
【0012】
その解決方法は界面活性剤およびコサーファクタントを含有する混合物であり、その際、コサーファクタントが1もしくは複数の疎水性サブユニット(A)および1もしくは複数の親水性サブユニット(B)を有する両親媒性ポリマーであり、これは1もしくは複数の疎水性サブユニット(A)が、ポリイソブテンブロックから形成されており、そのポリイソブテン高分子は少なくとも50モル%までが末端の二重結合を有することを特徴とする。
【0013】
意外にも、上記で定義した構造を有する両親媒性ポリマーは、界面活性剤の効率を向上し、かつその際、大工業的に、ひいては安価に入手することができる物質から大工業的な反応経路で得られることによって、コサーファクタントとして特に好適であることが判明した。本発明による両親媒性ポリマーは通常、程度の差はあるものの、幅広い分子量分布を有する物質からなる工業的な混合物である。
【0014】
「界面活性剤」もしくは「コサーファクタント」の概念は、本発明の範囲では、界面活性剤もしくはコサーファクタントのそのつどの混合物にも該当する。
【0015】
有利にはそれぞれの疎水性サブユニットは1のポリイソブテンブロックから形成されている。
【0016】
前記の定義に相応するポリイソブテン、つまり少なくとも50モル%までが末端の二重結合を有する高分子から形成されているポリイソブテンは、いわゆる反応性ポリイソブテンとよばれる。その際、末端の二重結合という概念は、β−オレフィン性(ビニル−)二重結合−[−CH=C(CH32]ならびにα−オレフィン性(ビニリデン−)二重結合−[−C(CH3)=CH2]であると理解される。有利な反応性ポリイソブテンは、ポリイソブテン高分子の総数に対して、ポリイソブテン高分子の少なくとも60モル%、有利には少なくとも80モル%が末端の二重結合を有するポリイソブテンである。
【0017】
適切な反応性ポリイソブテンはたとえばイソブテンのカチオン重合により得ることができる。
【0018】
適切なポリイソブテンを合成するために、有利には純粋なイソブテンを使用する。しかし付加的にカチオン重合可能なコモノマーを使用することもできる。しかしコモノマーの量は通常、20質量%より少なく、有利には10質量%より少なく、かつ特に5質量%より少なくあるべきである。
【0019】
カチオン重合可能なコモノマーとして特にビニル芳香族化合物、たとえばスチレンおよびα−メチルスチレン、C1〜C4−アルキルスチレン、ならびに2−、3−および4−メチルスチレンならびに4−t−ブチルスチレン、C3〜C6−アルケン、たとえばn−ブテン、5〜10の炭素原子を有するイソオレフィン、たとえば2−メチルブテン−1、2−メチルペンテン−1、2−メチルヘキセン−1、2−エチルペンテン−1、2−エチルヘキセン−1および2−プロピルヘプテン−1が考えられる。
【0020】
本発明による方法のためのイソブテンを含有する使用物質としてイソブテン自体も、イソブテンを含有するC4−炭化水素流、たとえばC4−ラフィネート、イソブタンの脱水素からのC4−留分、蒸気分解装置またはいわゆるFCC分解装置(FCC:Fluid Catalysed Cracking)からのC4−留分も、これらがその中に含有されている1,3−ブタジエンをほぼ除去されている限りは適切である。一般にC4−炭化水素流中のイソブテンの濃度は40〜60質量%の範囲である。
【0021】
適切なC4−炭化水素流は通常、500ppmより少ない、有利には200ppmより少ない1,3−ブタジエンを含有しているべきである。ブテン−1、シス−およびトランス−ブテン−2の存在は重合にとってほぼ重要ではなく、かつ選択率の損失にはつながらない。
【0022】
4−炭化水素流を使用材料として使用する場合、イソブテンとは異なる炭化水素が不活性溶剤の役割を果たすか、またはコモノマーとして共重合される。
【0023】
溶剤として、ポリイソブテンを製造する選択された温度範囲で液状であり、かつプロトンを分離せず、遊離の電子対を有していない全ての有機化合物が考えられる。
【0024】
特に環式もしくは非環式のアルカン、たとえばエタン、イソ−プロパンおよびn−プロパン、n−ブタンおよびその異性体、シクロペンタンならびにn−ペンタンおよびその異性体、シクロヘキサン、ならびにn−ヘキサンおよびその異性体、n−ヘプタンおよびその異性体ならびにより高級の同族体、環式および非環式のアルケン、たとえばエテン、イソ−プロペンおよびn−プロペン、n−ブテン、シクロペンテンならびにn−ペンテン、シクロヘキセンならびにn−ヘキセン、n−ヘプテン、芳香族炭化水素、たとえばベンゼン、トルエンまたは異性体のキシレンが挙げられる。炭化水素はハロゲン化されていてもよい。ハロゲン化された炭化水素の例は塩化メチル、臭化メチル、塩化メチレン、臭化メチレン、塩化エチル、臭化エチル、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、クロロホルムまたはクロロベンゼンを含む。溶剤の混合物もまた、不所望の特性を有していないのであれば使用することができる。
【0025】
方法技術的に特に、所望の温度範囲で沸騰する溶剤を使用することが推奨される。重合は通常、−80℃〜0℃、有利には−50℃〜−5℃および特に有利には−30℃〜−15℃で行う。
【0026】
触媒として純粋なBF3、BF3と電子供与体との錯体またはこれらの混合物を使用することができる。電子供与体(ルイス塩基)は、遊離の電子対を、たとえばO原子、N原子、P原子またはS原子に有し、かつルイス酸と錯体を形成することができる化合物である。この錯化は多くの場合所望される。というのも、これによりルイス酸の活性が低下し、かつ副反応が抑制されるからである。適切な電子供与体のための例は、エーテル、たとえばジイソプロピルエーテルまたはテトラヒドロフラン、アミン、たとえばトリエチルアミン、アミド、たとえばジメチルアセトアミド、アルコール、たとえばメタノール、エタノール、i−プロパノールまたはt−ブタノールである。アルコールはさらにプロトン源として作用し、かつこうして重合が開始される。普遍的な水の痕跡からのプロトンによってもカチオン重合メカニズムは活性になりうる。
【0027】
BF3触媒作用下でのカチオン重合の場合、ほぼ線状のポリイソブテンが得られ、これは鎖の末端に特に高いα−オレフィン含有率を有する。適切な反応実施の場合にはα−オレフィン含有率は80%を下回ることはない。
【0028】
鎖の両端に反応性α−オレフィン基を有するか、または分枝鎖状である反応性ポリイソブテンはリビングカチオン重合により特に良好に得ることができる。しかし当然のことながら、鎖の一方の末端にのみα−オレフィン基を有する線状のポリイソブテンもまたこの方法で合成することができる。
【0029】
リビングカチオン重合の場合、開始剤分子iXnとルイス酸Sとの適切な組み合わせでイソブテンを重合する。重合のためのこの方法の詳細はたとえばKennedyおよびIvan、"Carbocationic Macromolecular Engineering"、Hanser Publishers、1992年に開示されている。
【0030】
適切な開始剤分子IXnは1もしくは複数の脱離基Xを有する。脱離基Xはルイス塩基であり、これはさらに置換されていてもよい。適切な脱離基のための例は、ハロゲンのフッ素、塩素、臭素およびヨウ素、直鎖状および分枝鎖状のアルコキシ基、たとえばC25O−、n−C37O−、i−C37O−、n−C49O−、i−C49O−、s−C49O−またはt−C49O−ならびに直鎖状および分枝鎖状のカルボキシ基、たとえばCH3CO−O−、C55CO−O−、n−C37CO−O−、i−C37CO−O−、n−C49CO−O−、i−C49CO−O−、s−C49CO−O−、t−C49CO−O−を含む。1もしくは複数の脱離基と結合しているのは分子部分Iであり、これは反応条件下で十分に安定したカルボカチオンI+を形成することができる。重合を開始するために脱離基を適切なルイス酸Sで抽出する:I−X+S→I++XS-(ここに示されているのはn=1の場合のみである)。生じるカルボカチオンI+はカチオン重合を開始し、かつ生じるポリマー中に組み込まれる。適切なルイス酸SはたとえばAIY3、TiY4、BY3、SnY4、ZnY2であり、その際、Yはフッ素、塩素、臭素またはヨウ素を表す。重合反応はルイス酸をたとえばアルコールと反応させることにより壊すことによって中断することができる。その際に末端の−C(CH32−Z基を有するポリイソブテンが形成され、これを引き続きα−およびβ−オレフィン末端基へと変換することができる。
【0031】
開始剤分子として有利であるのは、第三級カルボカチオンを形成することができる構造である。特に有利であるのは、イソブテンの低級オリゴマーH−[CH2−C(CH32n−Xから誘導される基であり、その際、nは有利には2〜5を表す。このような開始剤分子により形成された線状の反応性ポリイソブテンは1方の末端にのみ反応性の基を有する。
【0032】
両方の末端に反応性の基を有する線状ポリイソブテンは、2つの脱離基XもしくはQを有する開始剤分子IXOを使用することにより得られ、この場合、XおよびQは同一であるか、または異なっていてもよい。技術において−C(CH32−X基を含む化合物が有利であることが実証されている。その例は直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキレン基Cn2n(その際、nは有利には4〜30の値であってよい)を含み、該基は二重結合または芳香族により中断されていてもよく、たとえば次のものである:
X−(CH32C−CH2−C(CH32−Q、X−(CH32C−CH2−C(CH32CH2−C(CH32−Q、X−(CH32C−CH2−C(CH32CH2−C(CH32CH2−C(CH32−QまたはX−(CH32C−CH2−C(CH32CH2−C(CH32CH2−C(CH32−CH2−C(CH32−Q、X−(CH32C−CH=CH−C(CH32−Qまたはパラおよび/またはメタX−(CH32C−C64−C(CH32−Q。
【0033】
有利なポリイソブテンは、3以上の脱離基を有する開始剤分子IXnを使用することにより得られ、この場合、脱離基は同一であるか、または異なっていてもよい。適切な開始剤分子の例は、X−(CH32C−C63−[C(CH32−Q]−C(CH32−Pを1,2,4−および/または1,3,5−異性体として含み、その際、脱離基は有利には同一であるが、しかしまた異なっていてもよい。一、二、三もしくは多官能価の開始剤分子のための別の例は冒頭で引用したKennedyおよびIvanによる文献および該文献中で引用されている文献に記載されている。
【0034】
適切なポリイソブテンはたとえばBASF AG社の商標Glissopal(R)、たとえばGlissopal 550、1000、1300または2300、ならびにBASF AG社の商標Oppanol(R)、たとえばOppanol B10またはB12である。
【0035】
本発明による混合物にとって、200〜20000ダルトンの範囲、有利には200〜5000ダルトンの範囲の数平均分子量Mnを有するポリイソブテンブロックを有するコサーファクタントが特に適切である。
【0036】
重合法に応じて、有利に使用することができるポリイソブテンの多分散性指数(PDI)、つまり質量平均分子量と数平均分子量との比率は、1.05〜10の範囲、有利には1.05〜5の範囲、特に有利には1.05〜2.0の範囲である。
【0037】
多分散性指数(PDI)を測定するため、ならびに数平均および質量平均分子量を測定するための方法はAnalytiker−Taschenbuch、第4巻、第433〜442頁、Berlin、1984年に記載されている。
【0038】
本発明は基本的にコサーファクタントの形成のために使用することができる1もしくは複数の親水性サブユニットに関して限定されていない。
【0039】
特に有利であるのは、水中で特に良好に溶解し、かつ油中で特に溶解度が劣るサブユニットである。
【0040】
特にエチレンオキシドまたはエチレンオキシド/プロピレンオキシドの繰り返し単位から形成され、有利にはプロピレンオキシド単位0〜50%の割合を有する、特に有利にはプロピレンオキシド単位5〜20%の割合を有する1もしくは複数の親水性サブユニット(B)が有利である。これはエチレンオキシドとプロピレンオキシドとからなるランダムコポリマー、勾配コポリマー、交互のコポリマー、もしくはブロックコポリマーであってよい。
【0041】
さらに、以下の基:(メタ)アクリル酸(部分的に、または完全中和されていてよい)、(メタ)アクリレート、ビニルアセテート、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、ポリアリルアルコールから選択されるモノマー単位、ならびに前記のモノマー単位の親水性誘導体またはこれらの混合物から形成される1もしくは複数の親水性サブユニット(B)が有利である。
【0042】
両親媒性ポリマーを形成する疎水性および親水性のサブユニットは有利には、疎水性サブユニットをベースに形成されるポリイソブテンブロックを、極性基を導入して官能化し、かつ官能化されたポリイソブテンブロックを引き続き場合によりさらに変性することによって結合する。
【0043】
末端の極性基を有する変性されたポリイソブテン誘導体の官能化度は少なくとも65%であり、有利には少なくとも75%、および特に有利には少なくとも85%である。鎖の一方の末端にのみ極性基を有するポリマーの場合、この記載はこの一方の鎖の末端に関する。鎖の両端に極性基を有するポリマーならびに分枝鎖状の生成物の場合、この記載は全ての鎖の末端の総数に対する。官能化されていない鎖末端は、反応性の基を全く有していないか、または反応性の基を有してはいるものの、これらの基は官能化反応の過程で反応しなかったものである。
【0044】
「極性基」の概念は当業者に公知である。極性基とはプロトン性の基であっても、非プロトン性の極性基であってもよい。従って変性されたポリイソブテンはポリイソブテン基からなる疎水性の分子部分、ならびに末端の極性基からなる、少なくとも一定の親水性特性を有する分子部分を有する。強親水性基が有利である。「親水性」および「疎水性」の概念は当業者に公知である。
【0045】
極性基はたとえばスルホン酸基、無水カルボン酸、カルボキシル基、カルボン酸アミド、カルボン酸エステル、リン酸基、ホスホンエステルおよびホスホンアミド、ヒドロキシル基、アリールヒドロキシル基、アリールリン酸エステル、アリール硫酸エステル、ポリオキシアルキレン基、前記の酸基のポリオキシアルキレンエステル、アミノ基、ポリエチレンイミノ基、前記の酸のポリエチレンイミンのアミドまたはエポキシドであり、これらはさらになお適切に置換されていてもよい。
【0046】
極性基を導入するために適切な反応(官能化)は当業者に基本的に公知である。
【0047】
基本的に本発明により使用されるポリイソブテンの官能化は1工程もしくは複数工程で実施することができる。
【0048】
有利な実施態様では、本発明により使用されるポリイソブテンの官能化は1工程もしくは複数工程で行い、かつこれは次のものから選択されている:
i)ポリイソブテンによりアルキル化された芳香族ヒドロキシル化合物を得る、アルキル化触媒の存在下での芳香族ヒドロキシル化合物の反応、
ii)エポキシ化されたポリイソブテンを得る、ポリイソブテンブロックとペルオキシ化合物との反応、
iii)エン反応で、電子吸引基により置換された二重結合を有するアルケン(Enophil)とポリイソブテンブロックとの反応、
iv)ヒドロホルミル化されたポリイソブテンを得る、ヒドロホルミル化触媒の存在下でのポリイソブテンブロックと、一酸化炭素および水素との反応、
v)ホスホン基により官能化されたポリイソブテンを得る、ポリイソブテンブロックと、リンハロゲン化物またはオキシ塩化リンとの反応、
vi)ヒドロキシル化されたポリイソブテンを得る、ポリイソブテンブロックとボランとの反応および引き続き酸化分解、
vii)末端のスルホン酸基を有するポリイソブテンを得る、ポリイソブテンブロックとSO3源、有利には硫酸アセチルまたはオレウムとの反応、
viii)末端のアミノ基を有するポリイソブテンを得る、ポリイソブテンブロックと、酸化窒素との反応および引き続き水素化。
【0049】
i)について:芳香族ヒドロキシル化合物のアルキル化。
【0050】
誘導体にするために、反応性ポリイソブテンをアルキル化触媒の存在下に芳香族ヒドロキシル化合物と反応させることができる。この、いわゆるフリーデル・クラフツのアルキル化の適切な触媒および反応条件はたとえばJ.March、Advanced Organic Chemistry、第4版、Verlag John、Wiley&Sons、第534〜539頁に記載されており、これをここで引用する。
【0051】
アルキル化のために使用される芳香族ヒドロキシル化合物は有利には1、2または3のOH基を有するフェノール性化合物から選択され、該化合物は場合により少なくとも1の別の置換基を有していてもよい。有利な別の置換基はC1〜C8−アルキル基であり、かつ特にメチルおよびエチルである。有利であるのは特に一般式
【化1】

[式中、R1およびR2は相互に無関係に水素、OHまたはCH3を表す]の化合物である。特に有利であるのは、フェノール、クレゾール異性体、カテコール、レゾルシノール、ピロガロール、フルオログルシノールおよびキシレノール異性体である。特にフェノール、o−クレゾールおよびp−クレゾールを使用する。所望の場合には前記化合物の混合物もまたアルキル化のために使用することができる。
【0052】
触媒は有利にはルイス酸のアルキル化触媒から選択されており、この中には本出願の範囲では、単独の受容体原子も受容体リガンド錯体、分子等も、これらが総体的に(外側への)ルイス酸の(電子受容体)特性を有している限り含まれる。これにはたとえばAlCl3、AlBr3、BF3、BF32C65OH、BF3[O(C2522、TiCl4、SnCl4、AlC25Cl2、FeCl3、SbCl5およびSbF5が挙げられる。これらのアルキル化触媒は助触媒、たとえばエーテルと一緒に使用することができる。適切なエーテルはジ−(C1〜C8−)アルキルエーテル、たとえばジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジ−n−プロピルエーテル、ならびにテトラヒドロフラン、ジ−(C5〜C8−)シクロアルキルエーテル、たとえばジシクロヘキシルエーテルおよび少なくとも1の芳香族炭化水素基を有するエーテル、たとえばアニソールである。フリーデル・クラフツのアルキル化のために触媒と助触媒との錯体を使用する場合、触媒対助触媒のモル量の比率は有利には1:10〜10:1の範囲である。反応はプロトン酸、たとえば硫酸、リン酸、トリフルオロメタンスルホン酸により触媒することもできる。有機プロトン酸はポリマーに結合した形で、たとえばイオン交換樹脂として存在していてもよい。
【0053】
アルキル化は溶剤不含であるか、または溶剤中で実施することができる。適切な溶剤はたとえばn−アルカンおよびこれらの混合物およびアルキル芳香族化合物、たとえばトルエン、エチルベンゼンおよびキシレンならびにこれらのハロゲン化誘導体である。
【0054】
アルキル化は有利には−10℃〜+100℃の温度で実施する。反応は通常、大気圧で実施するが、しかし高圧下または減圧下で実施することもできる。
【0055】
芳香族ヒドロキシル化合物対ポリイソブテンおよび触媒のモル量の比率を適切に選択することによりアルキル化生成物の達成される割合およびそのアルキル化度を調整することができる。従ってたとえばほぼモノアルキル化されたポリイソブテニルフェノールは一般にフェノールの過剰で、またはルイス酸のアルキル化触媒の存在下で、さらに付加的にエーテルを助触媒として使用する場合に得られる。
【0056】
適切なアルキル化触媒の存在下でのポリイソブテンとフェノールとの反応はたとえばUS5,300,701およびWO02/26840に開示されている。
【0057】
さらなる官能化のために、工程i)で得られたポリイソブテニルフェノールをマンニッヒ反応の意味で少なくとも1のアルデヒド、たとえばホルムアルデヒド、および少なくとも1の第一級もしくは第二級アミン官能基を有する少なくとも1のアミンとの反応に供することができ、その際、ポリイソブテンによりアルキル化され、かつ付加的に少なくとも部分的にアミノアルキル化された化合物が得られる。アルデヒドおよび/またはアミンの反応生成物および/または縮合生成物を使用することもできる。このような化合物の製造はWO01/25293およびWO01/25294に記載されており、これをここで全ての範囲で取り入れる。
【0058】
さらに工程i)で得られたポリイソブテニルフェノールをアルキレンオキシド、有利にはエチレンオキシドによりアルコキシル化することができる。エチレンオキシド以外に、以下の純粋なアルキレンオキシドまたは混合物も使用することができる:プロペンオキシド、1−ブテンオキシド、2,3−ブテンオキシド、2−メチル−1,2−プロペンオキシド(イソブテンオキシド)、1−ペンテンオキシド、2,3−ペンテンオキシド、2−メチル−1,2−ブテンオキシド、3−メチル−1,2−ブテンオキシド、2,3−ヘキセンオキシド、3,4−ヘキセンオキシド、2−メチル−1,2−ペンテンオキシド、2−エチル−1,2−ブテンオキシド、3−メチル−1,2−ペンテンオキシド、デセンオキシド、4−メチル−1,2−ペンテンオキシド、スチレンオキシドまたは工業的に入手可能なラフィネート流の酸化物からなる混合物から形成されていてもよい。
【0059】
もう1つの実施態様では、得られたポリイソブテニルフェノールをオキシ塩化リンと反応させて芳香族のリン半エステルとする。該エステルはその後の工程でポリエチレンイミン、アルキレンオキシドまたはポリアルキレンオキシドと反応させる。
【0060】
ii)エポキシ化
官能化のために反応性ポリイソブテンを少なくとも1のペルオキシ化合物と反応させてエポキシ化されたポリイソブテンが得られる。エポキシ化のために適切な方法はJ.March、Advanced Organic Chemistry、第4版、Verlag John Wiley&Sons、第826〜829頁に記載されており、これをここで引用する。有利にはペルオキシ化合物として少なくとも1の過酸、たとえばm−クロロ過安息香酸、過ギ酸、過酢酸、トリフルオロ過酢酸、過安息香酸および3,5−ジニトロ過安息香酸を使用する。過酸の製造は現場で相応する酸およびH22から場合により鉱酸の存在下で行うことができる。その他の適切なエポキシ化反応試薬はたとえばアルカリ性の過酸化水素、分子酸素およびアルキルペルオキシド、たとえばt−ブチルヒドロペルオキシドである。エポキシ化のために適切な溶剤はたとえば通例の無極性溶剤である。特に好適な溶剤は、炭化水素、たとえばトルエン、キシレン、ヘキサンまたはヘプタンである。
【0061】
さらなる官能化のために、工程ii)で得られるエポキシ化ポリイソブテンをアンモニアと反応させ、その際、ポリイソブテンアミノアルコールが得られる(EP−A0476785)。
【0062】
別の工程で得られたエポキシ化ポリイソブテンを前記のアルキレンオキシドと反応させる。この場合、エチレンオキシドが有利である。
【0063】
iii)エン反応
官能化のために、反応性ポリイソブテンをさらに、電子の少ない二重結合を有する少なくとも1のアルケンとエン反応で反応させることができる(たとえばDE−A4319672またはH.MarchおよびP.Rath、"Lubrication Science II(1999)"、第175〜185頁を参照のこと。これらの内容を全て取り入れる)。エン反応ではエンとよばれるアリル位の水素原子を有するアルケンを、いわゆるエノフィルである電子の少ないアルケンと、炭素−炭素−結合の結合、二重結合のシフトおよび水素の移動を含むペリサイクリック反応で反応させる。主として反応性ポリイソブテンはエンとして反応する。適切なエノフィルは、ディールス・アルダー反応におけるジエノフィルとしても使用される化合物である。エノフィルとして二塩化フマル酸、フマル酸、二塩化マレイン酸、無水マレイン酸およびマレイン酸、有利には無水マレイン酸および鉱酸が適切である。とりわけ有利にはエノフィルとして無水マレイン酸を使用する。この場合、無水コハク酸基により官能化されたポリイソブテン(ポリイソブテニル無水コハク酸、PIBSA)が得られ、これはたとえばEP−A−0156310に開示されている。
【0064】
エン反応は場合により触媒としてのルイス酸の存在下で実施することができる。たとえば塩化アルミニウムおよび塩化エチルアルミニウムが適切である。
【0065】
反応の際に新たなα−オレフィン基が鎖末端に生じる。さらなる官能化のためにたとえば無水コハク酸基により誘導されたポリイソブテンを以下から選択されているその後の反応に供することができる:
a)少なくとも部分的にスクシンイミド基および/またはスクシンアミド基により官能化されたポリイソブテンを得る、少なくとも1のアミンとの反応、
b)スクシンエステル基により官能化されたポリイソブテンを得る、少なくとも1のアルコールとの反応、
c)2のスクシンエステル基(無水コハク酸基あたり)により官能化されたポリイソブテンを得る、少なくとも1のアルキレンオキシドとの反応、
d)2の無水コハク酸基を鎖末端に有する生成物(いわゆるPIBBSA)への無水マレイン酸との反応、
e)コハク酸基により官能化されたポリイソブテンを得る加水分解、その際、コハク酸基をc)と同様にアルキレンオキシドと反応させる、
f)無水コハク酸の反応後になお遊離カルボキシル基が存在している場合には、該基を塩に変換することもできる。塩のカチオンとして特にアルカリ金属カチオン、アンモニウムイオンならびにアルキルアンモニウムイオンが考えられる。
【0066】
a)およびb)について
無水コハク酸基をさらに誘導体にするために、たとえば極性の反応相手、たとえばアルコールまたはアミンと反応させることができる。適切な極性の反応相手は有利には第一級アルコールROHまたは第一級アミンRNH2もしくは第二級アミンRR′NHであり、その際、Rは線状もしくは分枝鎖状の飽和炭化水素基を表し、該基はOH、NH2もしくはNH3+の群から選択される少なくとも1の置換基および場合により1もしくは複数のCH(O)基を有し、かつ場合により隣接していない−O−および/または−NH−および/または第三級−N−基を有し、かつR′はRとは無関係に同じ意味を有する。この場合、無水コハク酸の両方のカルボン酸基を反応させるか、または一方のみを反応させ、他方でもう1つのカルボン酸基は遊離酸基として、または塩として存在していてもよい。上記の置換基はさらになおたとえばアルコキシル化により変性することもできる。
【0067】
無水コハク酸基を誘導体にするための別の合成変法は、出願番号DE10125158.0およびDE10147650.7を有する出願に挙げられている。
【0068】
当業者には、無水コハク酸基を適切な条件下でコハク酸イミド基へと変換することも公知である。
【0069】
もう1つの実施態様では、反応性ポリイソブテンを無水マレイン酸とラジカル共重合することができる(WO95/07944、WO01/55059、WO90/03359を参照のこと)。こうして得られた著しく変化するコポリマーは上記のとおり、さらに反応させることができる。有利であるのはアルキレンオキシド、ポリアルキレンオキシドまたはポリエチレンイミンとの反応である。
【0070】
iv)ヒドロホルミル化
官能化のために反応性ポリイソブテンをヒドロホルミル化触媒の存在下に一酸化炭素および水素との反応に供することができ、その際、ヒドロホルミル化されたポリイソブテンが得られる。
【0071】
ヒドロホルミル化のために適切な触媒は公知であり、かつ有利には元素の周期律表の第VIII副族の元素、たとえばCo、Rh、Ir、Ru、PdまたはPtの化合物または錯体を含む。活性および/または選択性の影響に関して、有利にはN−もしくはP−含有リガンドにより変性されたヒドロホルミル化触媒を使用する。これらの金属の適切な塩はたとえば水素化物、ハロゲン化物、硝酸塩、硫酸塩、酸化物、硫化物あるいはアルキルカルボン酸もしくはアリールカルボン酸またはアルキルスルホン酸もしくはアリールスルホン酸との塩である。適切な錯化合物は、たとえばハロゲン化物、アミン、カルボキシレート、アセチルアセトネート、アリールスルホネートもしくはアルキルスルホネート、水素化物、CO、オレフィン、ジエン、シクロオレフィン、ニトリル、N−含有複素環式化合物、芳香族化合物およびヘテロ芳香族化合物、エーテル、PF3、ホスホール、ホスファベンゼンならびに単座、二座および多座のホスフィン、ホスフィニット、ホスホニット、リンアミダイトおよびホスフィットのリガンドである。
【0072】
一般にヒドロホルミル化条件下でそのつど使用される触媒または触媒前駆物質から、一般式Hxy(CO)zq(式中、Mは第VIII副族の金属を表し、Lはリガンドを表し、かつq、x、y、zは金属の価数および種類ならびにリガンドLの配位数に依存する整数を表す)の触媒活性種が形成される。
【0073】
有利な1実施態様によれば、ヒドロホルミル化触媒は現場でヒドロホルミル化反応のために使用される反応器中で製造される。
【0074】
もう1つの有利な態様は、カルボニル発生物質の使用であり、この場合、あらかじめ完成したカルボニルを、たとえば活性炭に吸着させ、かつ脱着したカルボニルのみがヒドロホルミル化に供給されるが、しかしカルボニルを生じる塩溶液は供給されない。
【0075】
触媒として適切なロジウム化合物またはロジウム錯体としてたとえばロジウム(II)塩およびロジウム(III)塩、たとえば塩化ロジウム(III)、硝酸ロジウム(III)、硫酸ロジウム(III)、カリウム−硫酸ロジウム、カルボン酸ロジウム(II)もしくはロジウム(III)、酢酸ロジウム(II)もしくはロジウム(III)、ロジウム(III)酸化物、ロジウム(III)酸の塩、トリスアンモニウムヘキサクロロロデート(III)等である。さらにロジウム錯体、たとえばビスカルボニルアセチルアセトナトロジウム、アセチルアセトナトビスエチレンロジウム(I)等が適切である。
【0076】
同様に、ルテニウム塩またはルテニウム化合物が適切である。適切なルテニウム塩はたとえば塩化ルテニウム(III)、ルテニウム(IV)、ルテニウム(VI)またはルテニウム(VIII)の酸化物、ルテニウム酸素酸のアルカリ塩、たとえばK2RuO4もしくはKRuO4または錯化合物、たとえばRuHCl(CO)(PPh33である。ルテニウムの金属カルボニル、たとえばトリスルテニウムドデカカルボニルまたはヘキサルテニウムオクタデカカルボニル、あるいはその中でCOが部分的に式PR3のリガンドにより置換されている混合形、たとえばRu(CO)3(PPh32もまた使用することができる。
【0077】
適切なコバルト化合物はたとえば塩化コバルト(II)、硫酸コバルト(II)、炭酸コバルト(II)、硝酸コバルト(II)、これらのアミン錯体または水和物錯体、コバルトのカルボン酸塩、たとえばギ酸コバルト、酢酸コバルト、エチルヘキサン酸コバルト、ナフトエ酸コバルト、ならびにコバルト−カプロラクタメート−錯体である。ここでもまたコバルトのカルボニル錯体、たとえばジコバルトオクタカルボニル、テトラコバルトドデカカルボニルおよびヘキサコバルトヘキサデカカルボニルを使用することができる。
【0078】
前記の、およびその他の適切な化合物は原則として公知であり、かつ文献に十分に記載されている。
【0079】
ヒドロホルミル化のために使用することができる適切な活性剤はたとえばブレンステッド酸、ルイス酸、たとえばBF3、AlCl3、ZnCl2およびルイス塩基である。
【0080】
一酸化炭素および水素からなる、使用される合成ガスの組成は広い範囲で変化することができる。一酸化炭素と水素とのモル比は通常、約5:95〜95:5、有利には約40:60〜60:40である。ヒドロホルミル化の際の温度は一般に約20〜200℃、有利には約50〜190℃の範囲である。反応は通常、選択された反応温度での反応ガスの分圧で実施される。一般に圧力は約1〜700バール、有利には1〜300バールの範囲である。
【0081】
得られるヒドロホルミル化ポリイソブテンのカルボニル数は数平均分子量Mnに依存する。有利に10000ダルトンの数平均分子量Mnを有する生成物は、2〜5.6mgKOH/g、特に3.6〜5.6mgKOH/gのカルボニル価を有する。40000ダルトンの数平均分子量Mnを有する生成物は、0.5〜1.4mgKOH/g、特に0.9〜1.4mgKOH/gのカルボニル価を有する。その他の分子量を有する生成物に関するカルボニル価は内挿法または外挿法により測定することができる。
【0082】
有利には使用される中程度の分子量の反応性ポリイソブテン中に含有されている二重結合の主要部をヒドロホルミル化によりアルデヒドへと変換する。適切なヒドロホルミル化触媒および/または使用される合成ガス中での過剰の水素の使用により原料中に含有されているエチレン性不飽和二重結合の主要部を直接アルコールへ変換することもできる(たとえばDE−A10003105を参照のこと)。これは以下に記載する反応工程B)による二工程の官能化において行うことができる。
【0083】
ヒドロホルミル化により得られる官能化されたポリイソブテンは有利に官能化により少なくともその一部に含有されているアルデヒド官能基のその後の処理のための中間生成物として適切である。
【0084】
A)オキソカルボン酸
さらなる官能化のために、工程iv)で得られたヒドロホルミル化ポリイソブテンを酸化剤と反応させて少なくとも部分的にカルボキシ基により官能化されたポリイソブテンを得ることができる。
【0085】
アルデヒドからカルボン酸への酸化のために一般に多数の異なった酸化剤および酸化法を使用することができ、これらはたとえばJ.March、Advanced Organic Chemistry、Verlag John Wiley&Sons、第4版、第701頁以降(1992年)に記載されている。これにはたとえば過マンガン酸塩、クロム酸塩、空気酸素等による酸化が挙げられる。空気/酸素による酸化は金属塩の存在下に触媒反応によっても、触媒の不存在下でも行うことができる。金属として有利には、価数の変化が可能な金属、たとえばCu、Fe、Co、Mn等を使用する。反応は通常、触媒の不存在下で実施する。空気酸化の場合、反応は反応時間によって容易に制御することができる。
【0086】
もう1つの実施態様によれば、酸化剤として水性の過酸化水素溶液をカルボン酸、たとえば酢酸と組み合わせて使用する。カルボキシ官能基を有する得られるポリイソブテンの酸価は数平均分子量Mnに依存する。有利に10000ダルトンの数平均分子量Mnを有する生成物は2〜5.6mgKOH/g、特に3.6〜5.6mgKOH/gの酸価を有する。40000ダルトンの数平均分子量Mnを有する生成物は0.5〜1.4mgKOH/g、特0.9〜1.4mgKOH/gの酸価を有する。その他の分子量を有する生成物に関する酸価は内挿法または外挿法により測定することができる。
【0087】
カルボキシ官能基を有する得られるポリイソブテンをその後の反応工程で反応させることができる。反応はアルキレンオキシドとの反応、ポリアルキレンオキシドによるエステル化またはポリエチレンイミンによるアミド形成であってよい。
【0088】
B)オキソアルコール
別の適切な実施態様によれば、工程iv)で得られたヒドロホルミル化されたポリイソブテンを水素化触媒の存在下で水素と反応させて、少なくとも部分的にアルコール基により官能化されたポリイソブテンを得ることができる。
【0089】
適切な水素化触媒は一般に遷移金属、たとえばCr、Mo、W、Fe、Rh、Co、Ni、Pd、Pt、Ru等であるか、またはこれらの混合物であり、これらは担体、たとえば活性炭、酸化アルミニウム、シリカゲル等上に活性および安定性を向上するために施与することができる。触媒活性を向上するために、Fe、Co、および有利にはNiもまたラネー触媒の形で極めて広い表面積を有する金属多孔体として使用することができる。
【0090】
工程iv)からのオキソアルデヒドの水素化は触媒の活性に依存して高温および高圧下で実施する。有利には反応温度は約80〜150℃であり、かつ圧力は約50〜350バールである。
【0091】
ヒドロキシル基を有する得られるポリイソブテンのアルコール価は数平均分子量Mnに依存する。有利に10000ダルトンの数平均分子量Mnを有する生成物は2〜5.6mgKOH/g、特に3.6〜5.6mgKOH/gのアルコール価を有する。40000ダルトンの数平均分子量Mnを有する生成物は0.5〜1.4mgKOH/g、特0.9〜1.4mgKOH/gのアルコール価を有する。その他の分子量を有する生成物に関するアルコール価は内挿法または外挿法により測定することができる
アルコール基により官能化されたポリイソブテンはさらにアルキレンオキシド、有利にはエチレンオキシドによりアルコキシル化することができる。
【0092】
C)アミン合成
もう1つの有利な実施態様によれば、工程iv)で得られたヒドロホルミル化ポリイソブテンをさらに官能化するために、アミノ化触媒の存在下に水素およびアンモニアまたは第一アミンもしくは第二アミンを反応させ、少なくとも部分的にアミノ基により官能化されたポリイソブテンを得ることができる。
【0093】
適切なアミノ化触媒は前記の工程B)に記載した水素化触媒、有利には銅、コバルトまたはニッケルであり、これはラネー金属の形で、または担体上での形で使用することができる。さらに白金触媒もまた適切である。
【0094】
アンモニアを用いたアミノ化の場合、第一アミノ官能基を有するアミノ化されたポリイソブテンが得られる。アミノ化のために適切な第一および第二アミンは一般式R−NH2およびRR′NH(式中、RおよびR′は相互に無関係にたとえばC1〜C10−アルキル、C6〜C20−アリール、C7〜C20−アリールアルキル、C7〜C20−アルキルアリールまたはシクロアルキルを表す)の化合物である。
【0095】
アミノ官能基を有する得られたポリイソブテンのアミン価は数平均分子量Mnに依存する。有利に10000ダルトンの数平均分子量Mnを有する生成物は2〜5.6mgKOH/g、特に3.6〜5.6mgKOH/gのアミン価を有する。40000ダルトンの数平均分子量Mnを有する生成物は0.5〜1.4mgKOH/g、特0.9〜1.4mgKOH/gのアミン価を有する。その他の分子量を有する生成物に関するアミン価は内挿法または外挿法により測定することができる。
【0096】
アミノ基により官能化されたポリイソブテンはさらにアルキレンオキシド、有利にはエチレンオキシドによりアルコキシル化することができる。
【0097】
v)ホスホン酸誘導体の製造
官能化のために、反応性ポリイソブテンをPX5(X=Cl、Br、I)と反応させてホスホン酸ハロゲン化物基により官能化されたポリイソブテンを得ることができる。さらなる官能化ひいてはグラフトを可能にすることができるために、誘導されたポリイソブテンを以下のものから選択されているその後の反応に供する。
【0098】
a)少なくとも部分的にホスホンアミドアミド基により官能化されたポリイソブテンを得る、少なくとも1のアミンまたはポリエチレンイミンとの反応、
b)ホスホンエステル基により官能化されたポリイソブテンを得る、少なくとも1のアルコールもしくはポリアルキレンオキシドとの反応、
c)ホスホンエステル基により官能化されたポリイソブテンを得る、少なくとも1のアルキレンオキシドとの反応、
d)ホスホン酸基により官能化されたポリイソブテンを得る加水分解、その際、ホスホン酸基はc)に記載されているようにアルキレンオキシドと反応する、
f)ホスホン酸ハロゲン化物基の反応後になお遊離酸基が存在している場合、該基を塩へと変換することもできる。塩のカチオンとして特にアルカリ金属カチオン、アンモニウムイオンならびにアルキルアンモニウムイオンが考えられる。
【0099】
vi)疎水化
官能化のために反応性ポリイソブテンを(場合により現場で生じる)ボランと反応させることができ、その際、ヒドロキシル化されたポリイソブテンが得られる。
【0100】
疎水化のための適切な方法はJ.March、Advanced Organic Chemistry、第4版、Verlag John Wiley&Sons、第783〜789頁に記載されており、これをここで引用する。適切な疎水化反応試薬はたとえば通常、水素化ホウ素ナトリウムとBF3−エーテラートとの反応により現場で生じるジボラン、ジイソアミルボラン(ビス−[3−メチルブト−2−イル]ボラン)、1,1,2−トリメチルプロピルボラン、9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン、相応するアルケンとジボランとの疎水化により得られるジイソカンフェイルボラン、クロロボラン−ジメチルスルフィド、アルキルジクロロボランまたはH3B−N(C252である。
【0101】
通常、疎水化は溶剤中で実施する。疎水化のために適切な溶剤はたとえば非環式エーテル、たとえばジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、環式エーテル、たとえばテトラヒドロフランまたはジオキサンならびに炭化水素、たとえばヘキサンまたはトルエンまたはこれらの混合物である。反応温度は通常、疎水化剤の反応性により決定され、かつ通常は反応混合物の融点および沸点の間、有利には0℃〜60℃の範囲である。
【0102】
通常、疎水化剤をアルケンに対して過剰で使用する。ホウ素原子は有利には置換度の低い、ひいては立体的にそれほど障害されていない炭素原子に付加する。
【0103】
通常、形成されたアルキルボランを単離せず、その後の反応で直接有価生成物へと変換する。アルキルボランの極めて重要な反応は、アルコールを得る、アルカリ性過酸化水素との反応であり、これは有利に形式的にアルケンのアンチ−マルコブニコフのヒドロキシル化に相応する。
【0104】
アルコール基により官能化されたポリイソブテンはさらにアルキレンオキシド、有利にはエチレンオキシドによりアルコキシル化することができる。
【0105】
vii)SO3源との反応
官能化のために、反応性ポリイソブテンをさらにSO3源と反応させることができ、この場合、末端のスルホン酸基を有するポリイソブテンが形成される。
【0106】
スルホン酸基により官能化されたポリイソブテンは反応性ポリイソブテンとSO3源との反応により製造することができる。適切なSO3源は三酸化硫黄と空気とからなる混合物、三酸化硫黄水和物、三酸化硫黄アミン錯体、三酸化硫黄エーテル錯体、三酸化硫黄ホスフェート錯体、オレウム、アセチルスルフェート、三酸化硫黄と無水酢酸との混合物、スルファミン酸、アルキルスルフェートまたはクロロスルホン酸である。反応は塊状で、または任意の不活性無水溶剤中で行うことができる。適切な反応温度は−30℃〜+200℃の範囲であり、かつ使用されるスルホン化試薬に依存する。たとえばアセチルスルフェートを用いたスルホン化は低い温度で行われ、かつ高い温度は回避すべきである。というのも、さもないと生成物の分解が開始されうるからである。スルホン化試薬は一般にポリイソブテンに対して1:1〜2:1のモル比で使用する。有利にはアセチルスルフェートまたは硫酸と無水酢酸との混合物が使用され、その際、アセチルスルフェートは現場で形成され、その際、スルホン酸基により官能化されたポリイソブテンが形成される。前記のスルホン化試薬のその他のもの、たとえば三酸化硫黄と酸素とからなる混合物はまず中間的なスルトンを形成してもよく、これを所望のスルホン酸へと加水分解しなくてはならない。スルホン酸基により官能化されたポリイソブテンを製造するための方法はたとえばWO01/70830に開示されている。
【0107】
スルホン酸基により官能化されたポリイソブテンはアルキレンオキシド、ポリアルキレンオキシドまたはポリエチレンイミンと反応させる。
【0108】
官能化の後になお遊離酸基が存在している場合、これをさらに塩の形に変換することができる。塩のカチオンとして特にアルカリ金属カチオン、アンモニウムイオンならびにアルキルアンモニウムイオンが考えられる。
【0109】
viii)アミノ基による官能化
官能化のために反応性ポリイソブテンを酸化窒素と反応させることができ、この場合、引き続き水素化した後に末端のアミノ基を有するポリイソブテンが得られる。
【0110】
適切な酸化窒素はたとえばNO、NO2、N23、N24、これらの酸化窒素の混合物およびこれらの酸化窒素と酸素との混合物である。特に有利であるのはNOまたはNO2と酸素との混合物である。さらに酸化窒素は付加的に不活性ガス、たとえば窒素を含有していてもよい。ポリイソブテンと酸化窒素との反応は一般に−30℃〜+150℃の温度で、不活性有機溶剤中で行う。得られる生成物を引き続き、有利には水素化触媒の存在下に水素で接触水素化することにより水素化する。水素化は一般に、使用される還元系に依存して20〜250℃の温度範囲で実施する。接触水素化における水素化圧力は一般に1バール〜300バールである。アミノ基を末端に有するポリマーを製造する方法はたとえばWO97/03946に開示されている。
【0111】
アミノ基により官能化されたポリイソブテンはさらにアルキレンオキシド、有利にはエチレンオキシドによりアルコキシル化することができる。
【0112】
酸基(カルボン酸基、ホスホン酸基、リン酸基、硫酸基)をポリアルキレンオキシドと反応させる場合、たとえばポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、EOおよびPOからなる混合されたコポリマー、モノアルキルポリエチレンオキシド(アルキル=メチル、エチル、C12−、C18−等)、モノアミノエチレンオキシド等のようなポリアルキレンオキシドを使用することができる。酸基とこれらのアルキレンオキシドとの反応は、いわゆるポリマー類似の反応(エステル化)である。アルキレンオキシド鎖の長さは3〜400単位であってよい。
【0113】
本発明による混合物中で使用されるコサーファクタントは有利にはAB構造を有する。
【0114】
コサーファクタントの別の有利な構造はApqであり、その際、pおよびqは相互に無関係に1〜8であり、またはAおよびBからなるクシ形構造である。
【0115】
本発明による混合物は前記のコサーファクタント以外に、界面活性剤を含む。これは界面活性剤の混合物であってもよい。基本的に、公知の界面活性剤の群のそれぞれからの任意の界面活性剤ならびに界面活性剤の任意の混合物を使用することができる。
【0116】
コサーファクタントの割合は界面活性剤に対して有利には0.01〜99.99%、特に1〜50%、特に有利には5〜25%の範囲である。
【0117】
適切であるのは、本発明による混合物の使用分野に応じてたとえば全ての古典的な洗浄剤の界面活性剤、または食料品に認可された界面活性剤、たとえばTweens(R)またはSpans(R)である。界面活性剤の群から非イオン、アニオン、カチオン、両性の界面活性剤が適切である。特にポリマー界面活性剤、ペプチド界面活性剤、シリコーン界面活性剤、アミノ酸ベースの界面活性剤、糖界面活性剤、脂肪ベースの界面活性剤、ジェミニ界面活性剤、アミンオキシド、アミドアミンオキシド、アルキルベタイン、エーテルカルボキシレート、両性アセテート、アルキルスルフェートまたはスルホスクシネートである。
【0118】
適切なアニオン界面活性剤はたとえば8〜22、有利には10〜18の炭素原子を有する脂肪アルコールの脂肪アルコールスルフェート、たとえばC9〜C11−アルコールスルフェート、C12〜C13−アルコールスルフェート、セチルスルフェート、ミリスチルスルフェート、パルミチルスルフェート、ステアリルスルフェートおよび獣脂アルコールスルフェートである。
【0119】
別の適切なアニオン界面活性剤は硫酸化されたエトキシル化C8〜C22−アルコール(アルキルエーテルスルフェート)もしくはその可溶性の塩である。この種の化合物はたとえばまずC8〜C22−、有利にはC10〜C18−アルコール、たとえば脂肪アルコールをアルコキシル化し、かつアルコキシル化生成物を引き続き硫酸化することにより製造される。アルコキシル化のために有利にはエチレンオキシドを使用し、その際、脂肪アルコール1モルあたり、2〜50、有利には3〜20モルのエチレンオキシドを使用する。しかしアルコールのアルコキシル化はプロピレンオキシド単独で、および場合によりブチレンオキシドを用いて実施することもできる。適切であるのはさらに、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドまたはエチレンオキシドおよびブチレンオキシドを含有するアルコキシル化C8〜C22−アルコールである。アルコキシル化C8〜C22−アルコールはエチレンオキシド、プロピレンオキシドおよびブチレンオキシド単位をブロックの形で、またはランダムに分布した形で含有していてよい。
【0120】
適切であるのはまた、アルカンスルホネート、たとえばC8〜C24−、有利にはC10−〜C18−アルカンスルホネート、ならびにセッケン、たとえばC8〜C24−カルボン酸のNa塩もしくはK塩である。
【0121】
別の適切なアニオン界面活性剤は、脂肪族の飽和もしくは不飽和C8〜C25−アシル基、有利にはC10〜C20−アシル基を有するN−アシルサルコシネート、たとえばN−オレオイルサルコシネートである。
【0122】
さらに本発明による混合物はC10〜C13−線状および/またはわずかに分岐したアルキルベンゼンスルホネート(LAS)を含有していてよい。
【0123】
アニオン界面活性剤を有利には塩の形で混合物に添加する。これらの塩の中で適切なカチオンはアルカリ金属塩、たとえばナトリウム、カリウムおよびリチウムおよびアンモニウム塩、たとえばヒドロキシエチルアンモニウム塩、ジ(ヒドロキシエチル)アンモニウム塩およびトリ(ヒドロキシエチル)アンモニウム塩である。
【0124】
適切な非イオン界面活性剤は特に以下のものである:
− アルコキシル化C8〜C22−アルコール、たとえば脂肪アルコールアルコキシレートまたはオキソアルコールアルコキシレート。これらはエチレンオキシド、プロピレンオキシドおよび/またはブチレンオキシドによりアルコキシル化されていてもよい。この場合、界面活性剤として、前記のアルキレンオキシドの1種の少なくとも2つの分子が付加されて含有されているすべてのアルコキシル化アルコールである。この場合、エチレンオキシド、プロピレンオキシドおよび/またはブチレンオキシドのブロックポリマーあるいは前記のアルキレンオキシドがランダムに分布して含有されている付加生成物が考えられる。非イオン性界面活性剤はアルコール1モルあたり、一般に2〜50、有利には3〜20モルの少なくとも1のアルキレンオキシドを含有する。有利にはこれらはアルキレンオキシドとしてエチレンオキシドを含有する。アルコールは有利には10〜18の炭素原子を有する。製造の際に使用されるアルコキシル化触媒の種類に応じてアルコキシレートは広い、もしくは狭いアルキレンオキシド同族体分布を有する;
− アルキルフェノールアルコキシレート、たとえばC6〜C14−アルキル鎖および5〜30のアルキレンオキシド単位を有するアルキルフェノールエトキシレート;
− 8〜22、有利には10〜18の炭素原子をアルキル鎖中に有し、かつ一般に1〜20、有利には1.1〜5のグルコシド単位を有するアルキルポリグルコシド、ソルビタンアルカノエート、これらはアルコキシル化されていてもよい;
− N−アルキルグルカミド、脂肪酸アルコキシレート、脂肪酸アミンアルコキシレート、脂肪酸アミドアルコキシレート、脂肪酸アルカノールアミドアルコキシレート、アルコキシル化された、エチレンオキシド、プロピレンオキシドおよび/またはブチレンオキシドからなるブロックコポリマー、ポリイソブテンエトキシレート、ポリイソブテン無水マレイン酸誘導体、モノグリセリド、これらはアルコキシル化されていてもよい、ならびにビスグリセリド。
【0125】
特に適切な非イオン界面活性剤はアルキルアルコキシレートまたはアルキルアルコキシレートの混合物であり、これらはたとえばDE−A10243363、DE−A10243361、DE−A10243360、DE−A10243365、DE−A10243366、DE−A10243362またはDE−A4325237に記載されている。これは、アルカノールとアルキレンオキシドとをアルコキシル化触媒の存在下に反応させることにより得られるアルコキシル化生成物であるか、またはアルコキシル化生成物の混合物である。特に適切な開始剤アルコールはいわゆるゲルベのアルコール、特にエチルヘキサノール、プロピルヘキサノールおよびブチルオクタノールである。特に有利であるのはプロピルヘプタノールである。有利なアルキレンオキシドはプロピレンオキシドおよびエチレンオキシドであり、その際、たとえばDE−A10243365に記載されているような、出発アルコールに有利には短いポリプロピレンオキシドブロックが直接結合したアルキルアルコキシレートは、その残留アルコール含分が低いこと、およびその良好な生分解性に基づいて有利である。
【0126】
アルコキシル化触媒として塩基、たとえばアルカリ金属水酸化物またはアルカリ金属アルコラートを使用することができるが、しかしルイス酸、たとえばBF3、SbCl5、SnCl4×2H2O、BF3×H3BO4、またはBF3−ジエーテラートも使用することができる。特に適切なアルコキシル化触媒は複水酸化物の粘土、たとえばハイドロタルサイトであり、これはたとえばDE−A4325237に記載されているように、特に添加剤によって変性されていてもよい。
【0127】
アルコキシル化触媒の選択に応じてそのつどアルコキシレートの特殊な特性が、特にアルコキシル化度の分布に関して生じる。たとえば最後にあげた複水酸化物粘土を使用する場合、狭い分子量分布もしくは同族体分布を有するアルコキシル化生成物が得られ、これらは本発明によるコサーファクタントとの混合物中で使用するために特に適切である。
【0128】
前記の有利な特性、特にアルコキシル化度に関する特性は、複金属シアン化物(DMC)化合物の使用によっても達成され、これらはたとえばDE−A10243361にアルコキシル化触媒として記載されている。
【0129】
本発明の対象はまた、界面活性剤および前記のコサーファクタントをエマルション、特にマイクロエマルションの安定化のために含有している混合物の使用でもある。安定化とはこの関連で、コサーファクタントの添加により界面活性剤の効率が上昇すること、つまり定義された条件下での定義された油/水型混合物の可溶化が少量の界面活性剤で可能になることを意味する。
【0130】
特に有利には前記のコサーファクタントがマイクロエマルションの安定化のために、つまり与えられた温度で、マイクロエマルションの熱力学的な状態、つまり肉眼による観察において単相の状態となる、最も低い界面活性剤濃度である、いわゆるX点のシフトのために適切である。
【0131】
本発明による混合物は基本的に、エマルションが一定の役割を果たすすべての分野で、たとえば界面活性剤およびAB型のブロックコポリマーを添加剤(コサーファクタント)として含有し、さらにその効率を界面活性剤/添加剤系により向上することができる添加剤を含有している混合物のためのDE−A10118480に記載されている適用分野で使用することができる。たとえば植物回復剤、成長剤または植物保護剤として、殺微生物作用を有する生成物として、肯定的または否定的に作用する微生物を含有する、特に酵素を含有する生成物として、家庭用および工業用の洗浄剤および/または手入れ剤として、消毒剤として、毛髪、身体の手入れ剤または洗浄剤として、車両の洗浄剤、手入れ剤および/または保存剤として、テキスタイル処理剤として、皮革および/または毛皮の手入れ剤として、インク、塗料、医薬品、建築助剤、歯磨き用ペーストまたは口中洗浄剤としてである。
【0132】
界面活性剤/AB型ブロックコポリマーと、付加的な殺生物剤、微生物および/または任意のその他の作用物質とを結びつけた系に関してDE−A10118480に記載されているような相乗効果は相応して界面活性剤およびコサーファクタントならびに相応する添加剤、特に殺生物剤、微生物および/または任意のその他の作用物質を含有する本発明による混合物を含有する系に関しても達成される。
【0133】
本発明の対象は前記で定義した界面活性剤およびコサーファクタントを含有するマイクロエマルションでもある。
【0134】
本発明による混合物またはマイクロエマルションは疎水性物質の吸収および放出のために、特に硬質の表面のための洗剤、乳化剤、制泡剤、湿潤剤として、または有機、無機、生物有機もしくは光化学反応のための反応媒体としての使用のために好適である。
【0135】
有利であるのは洗剤、界面活性剤組成物、硬質表面の洗浄のため、保湿剤、化粧品、医薬品および農薬、塗料、被覆剤、接着剤、皮革脱脂剤、テキスタイル工業のための組成物、繊維加工、金属加工、食品産業、水処理、製紙産業、発酵、鉱物加工、防火または乳化重合における使用である。
【0136】
本発明の対象は、通常の含有物質とならんで、界面活性剤と前記のコサーファクタントとを含有する混合物または界面活性剤とコサーファクタントとを含有するマイクロエマルションを含有する洗剤、洗浄剤、湿潤剤、被覆剤、接着剤、皮革脱脂剤、保湿剤またはテキスタイル処理剤または医薬品、農薬または化粧品、特に日焼け止め用の皮膚手入れ剤またはヘアスタイリング剤、シャワージェル、シャンプー、浴用添加剤または香油でもある。
【0137】
本発明を以下で図面ならびに実施例に基づいて詳細に説明する。
【0138】
図面においてそれぞれは以下のものを示す:
図1は、X点のシフトに対する界面活性剤(DMC触媒反応により製造されたもの、または製造されなかったもの)の影響および
図2は、同一のマイクロエマルションのX点のシフトに対する官能化されていないポリイソブテンの影響を示す。
【0139】
この場合、X点は公知のように与えられた温度で、与えられた参照系(主として水/n−デカン)および与えられた界面活性剤(主としてBASF AG社のLutensol(R)ON50)に関して、水およびn−デカン相が完全に混和可能であり、かつ熱力学的に安定したマイクロエマルションが過剰の水相または油相を生じることなく形成される、界面活性剤の最低濃度を示す。
【0140】
適用例1:
X点に対する界面活性剤の影響
添付の図面では横座標に界面活性剤(BASF AG社のLutensol(R)ON50)の濃度が質量%で記載されており、かつ縦座標に温度が℃で記載されている。そのつどの相図("フィッシュの相図")からのセクションは前記の参照系水/n−デカン1:1に関してIおよびIIIに比較のために、つまりコサーファクタントを添加しないで、およびIIおよびIVに本発明による適用例としてそのつど、82のエチレンオキシド単位でエトキシル化されたPIB−OH1000を10質量%添加して製造した。グラフIは界面活性剤BASF AG社のLutensol(R)ON50を用いて得られたものであり、グラフIIIはDMC触媒反応で得られたLutensol(R)ON50を用いて得られたものである。図面は、DMC触媒反応により製造されなかった界面活性剤に関するX点のシフト(IからIIへのシフト)は、同じ量のコサーファクタントの添加の際にわずか5%であったが、これに対してDMC触媒反応により得られた狭い同族体分布を有する界面活性剤を使用する場合には7.5%のシフト(IIIからIVへ)であることを示している。
【0141】
適用例2(比較):
官能化されていないポリイソブテンのX点に対する影響
"フィッシュの相図III"は前記の適用例Iに記載した、BASF AG社のLutensol(R)ON50に関する相図に相応する。
【0142】
比較のために、官能化されていないポリイソブテン、つまり未反応の二重結合を有するポリイソブテンを添加した。得られた相図Vは、このことによりX点がより高い界面活性剤濃度へシフトした、つまり界面活性剤の効率が悪化したことを示している。従ってこの適用例は本特許出願の対象に相応しないポリイソブテンの使用は、界面活性剤の効率の低下につながることを示している。これに対して本発明によれば、少なくとも50モル%の末端に存在する二重結合を有するポリイソブテンブロックから、つまりいわゆる反応性ポリイソブテンから出発している。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】X点のシフトに対する界面活性剤の影響を示すグラフの図
【図2】同一のマイクロエマルションのX点のシフトに対する官能化されていないポリイソブテンの影響を示すグラフの図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
界面活性剤およびコサーファクタントを含有し、その際、コサーファクタントは1もしくは複数の疎水性サブユニット(A)および1もしくは複数の親水性サブユニット(B)を有する両親媒性ポリマーである混合物において、1もしくは複数の疎水性サブユニット(A)はポリイソブテンブロックをベースとして形成されており、そのポリイソブテン高分子は少なくとも50モル%までが末端の二重結合を有することを特徴とする、界面活性剤およびコサーファクタントを含有する混合物。
【請求項2】
それぞれの疎水性サブユニット(A)はポリイソブテン−ブロックをベースとして形成されており、そのポリイソブテン高分子は少なくとも50モル%までが末端の二重結合を有することを特徴とする、請求項1記載の混合物。
【請求項3】
ポリイソブテンブロックがポリイソブテン高分子から形成されており、そのうち、ポリイソブテン高分子の総数に対して、少なくとも60モル%、有利には少なくとも80モル%は末端の二重結合を有することを特徴とする、請求項1または2記載の混合物。
【請求項4】
ポリイソブテンブロックが200〜20000ダルトンの範囲、有利には200〜5000ダルトンの範囲の数平均分子量Mnを有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の混合物。
【請求項5】
ポリイソブテンブロックが1.05〜10の範囲、有利には1.05〜5の範囲、特に有利には1.05〜2の範囲の多分散性指数(PDI)を有することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の混合物。
【請求項6】
1もしくは複数の親水性サブユニット(B)がエチレンオキシドの繰返単位もしくはエチレンオキシド/プロピレンオキシドの繰返単位から形成されており、有利に0〜50%のプロピレンオキシドの割合、さらに有利には5〜20%のプロピレンオキシド単位の割合を有することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の混合物。
【請求項7】
1もしくは複数の親水性サブユニット(B)が、以下の群:部分的に、もしくは完全に中和されていてもよい(メタ)アクリル酸を含む(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリレート、ビニルアセテート、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、アリルアルコール、スチレンならびに前記のモノマー単位の親水性誘導体から選択されるモノマー単位から形成されているか、またはこれらの混合物から形成されていることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の混合物。
【請求項8】
ポリイソブテンブロックを極性基を導入して官能化し、かつ官能化されたポリイソブテンブロックを引き続き場合によりさらに変性することを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の混合物。
【請求項9】
ポリイソブテンブロックの官能化を、以下に記載する反応:
i)芳香族ヒドロキシル化合物をアルキル化触媒の存在下に反応させてポリイソブテンによりアルキル化された芳香族ヒドロキシル化合物が得られる反応、
ii)ポリイソブテンブロックをペルオキシ化合物と反応させてエポキシ化されたポリイソブテンが得られる反応、
iii)ポリイソブテンブロックと、電子の少ない二重結合を有する(エノフィル)アルケンとのエン反応における反応、
iv)ポリイソブテンブロックをヒドロホルミル化触媒の存在下に一酸化炭素および水素と反応させてヒドロホルミル化されたポリイソブテンが得られる反応、
v)ポリイソブテンブロックをリンハロゲン化物またはオキシ塩化リンと反応させてホスホン基により官能化されたポリイソブテンが得られる反応、
vi)ポリイソブテンブロックとボランとを反応させ、かつ引き続き酸化分解してヒドロキシル化されたポリイソブテンが得られる反応、
vii)ポリイソブテンブロックとSO3源、有利にはアセチルスルフェートとを反応させて末端にスルホン酸基を有するポリイソブテンが得られる反応、
viii)ポリイソブテンブロックと、酸化窒素とを反応させ、かつ引き続き水素化して末端にアミノ基を有するポリイソブテンが得られる反応
から選択される反応により実施することを特徴とする、請求項8記載の混合物。
【請求項10】
コサーファクタントがApq構造を有し、その際、pおよびqは相互に無関係にそのつど1〜8の整数であるか、またはAおよびBからなる櫛形構造を有することを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の混合物。
【請求項11】
界面活性剤として狭い同族体分布を有する界面活性剤、特にDMC触媒反応下に得られる界面活性剤を使用することを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の混合物。
【請求項12】
エマルション、特にマイクロエマルションを安定化するための請求項1から11までのいずれか1項記載の混合物の使用。
【請求項13】
界面活性剤およびコサーファクタントを含有するマイクロエマルションにおいて、請求項1から10までのいずれか1項記載の定義に相応するコサーファクタントおよび/または狭い同族体分布を有する界面活性剤、特にDMC触媒反応下で得られる界面活性剤を使用することを特徴とする、界面活性剤およびコサーファクタントを含有するマイクロエマルション。
【請求項14】
洗剤、乳化剤、起泡調整剤、硬質表面のための湿潤剤として、または有機、無機、微生物もしくは光化学の反応のための反応媒体としての請求項1から11までのいずれか1項記載の混合物または請求項13記載のマイクロエマルションの使用。
【請求項15】
洗剤、硬質表面を洗浄するための界面活性剤組成物、保湿剤、化粧品、医薬品および農薬、塗料、被覆材料、接着剤、皮革の脱脂剤、テキスタイル工業、繊維加工、金属加工、食料品産業、水処理、製紙工業、発酵、鉱物加工、防火のための組成物または乳化重合における請求項14記載の使用。
【請求項16】
通常の成分とならんで請求項1から11までのいずれか1項記載の混合物または請求項13記載のマイクロエマルションを含有する洗剤、洗浄剤、湿潤剤、被覆材料、接着剤、皮革の脱脂剤、保湿剤またはテキスタイル処理剤、または医薬品、農薬もしくは化粧品、特に日焼け止め剤、皮膚の手入れ剤もしくはヘアスタイリング剤、シャワージェル、シャンプー、入浴剤または香油。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−528431(P2007−528431A)
【公表日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−552552(P2006−552552)
【出願日】平成17年2月11日(2005.2.11)
【国際出願番号】PCT/EP2005/001370
【国際公開番号】WO2005/077513
【国際公開日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】