留め具
【課題】従来の留め具は、段ボール箱あるいは段ボール板に留め付けた後、何かが触れたり、揺さ振られたりすると、ピン(紙孔)が緩んでしまい、留め具自体が、留め押える機能を失ってしまうものであった。端的に云うならば、留め付けた状態が安定するための手立てをもつものでなかった。
【解決手段】留め付けたままの状態で安定するための機能として、ピン側の後端に、ピンの裏側面よりも裏方に出っ張る部分をもつものにした。これにより、留め具は留め付けたままの状態で安定し、同時に紙片もしっかり留め押えできるものになった。
【解決手段】留め付けたままの状態で安定するための機能として、ピン側の後端に、ピンの裏側面よりも裏方に出っ張る部分をもつものにした。これにより、留め具は留め付けたままの状態で安定し、同時に紙片もしっかり留め押えできるものになった。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
スーパー、八百屋、ドラッグストアなどでは、段ボール箱の上半部をカットして、商品が入ったままの状態で、箱ごと陳列している現状がある。本発明は、段ボール箱の外側面(板面)に、チラシ、値札などの広告紙片を掲示するための留め具で、二手に折れて挟み合う形態の留め具についてである。
【背景技術】
【0002】
従来の留め具(例えば、特許文献1のもの)は、段ボール箱に留め付けた後、何かが触れたり、揺さ振られたりすると、ピン(紙孔)が緩んでしまい、留め具自体が安定した状態に取り付いていることができず、その結果、紙片を留め押える機能を失ってしまうものであった。
端的に云うならば、留め付けた状態が安定するための手立てをもつものでなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願2003−202691号公報
【特許文献2】特願2003−300580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、留め具を留め付けた後、軽く触れた程度、あるいは段ボール箱を揺すった程度では、留め付けた状態がぐらつくようなことのない、安定した状態を保持できる留め具を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、ピン側の後端あるいは後端寄り(以下、総称して後端と云う)に、ピンの裏側面よりも裏方に出っ張る部分を設けた。
本発明は、二手に折り曲がって挟み合うピン側と押え側(押えとも云う)を有してなる留め具に於いて、留め具を、留め付けた時点の状態のままに安定させるための機能として、ピン側の後端に、ピンの裏側面よりも裏方に出っ張る部分(P2)をもったことを特徴とする留め具である。
因みに、ピン側と押え側の区分(境界)は、ピンの延長線上(図2で示したmの位置)であるとする。
【0006】
ピンの裏側面よりも裏方に出っ張る部分(以下、後押えとも云う)は、留め具を留め付けるときに働く機能と、留め具を留め付けた状態に於いて働く機能をもつものである。
【0007】
留め具を留め付けるときに働く機能とは、突き込むピンの傾きを一定にする機能、及び、ピンを突き込むにつれて、突き込みに掛かる抵抗が強くなる手応えを感じさせ、所定の長さ以上に突き入ることを制止するブレーキとして働く機能である。
【0008】
本発明の留め具は、留め付けるとき、図6に示すように、段ボールの板面に突き立ててから、図7に示すように、ピンの裏側面を段ボールの板面に押し当てるように倒した上で突き込む使い方をするものである。
このとき、ピンの裏側面よりも裏方に出っ張った部分は、突き込むピンの傾きを一定にする機能をもつ。ピンを突き込んでいく過程では、前押えに働く挟み押えるバネの反動を受け、ピンを突き込んでいくにつれて、突き込みにかかる抵抗が徐々に強くなり、突き込むことを中止させるブレーキ機能として働く。
【0009】
斯様にして、留め付けた状態に於いては、留め具は図8に示すように、a、b、cの3点を以って安定した状態に留め付くものとなる。その結果、掲示紙片をしっかり留め押えできるものとなる。
【0010】
ピンの裏側面よりも、裏方に出っ張る部分を成す手段としては、図9に示すように、別部材を組み付けて成す方法などもあり、手段、方法を限定する必要はないことから、手段、方法を限定しない範囲のものを請求項1として請求するものとした。
尚、ピンの裏側面よりも裏方に出っ張る部分を、図1〜5、10に示すように、ピンの延長を「折り曲げて成す形態」は、前記した基本的な機能に加えて、シンプルである、機能的である、安価でつくれるなどの副次効果をもたらすことから、これを請求項2として請求するものとした。
【0011】
留め具を、段ボール箱の板厚の内に突き込むとき、つまみもつ指が突き込む方向に滑らないように、手前方向あるいは手前側に張り出したかたちの「つまみ代(しろ)」、あるいは、正面脇側方向あるいは正面横方に出っ張るかたちの「おさえ代(しろ)」をもつことに依って、一層使い易いものになる。
図2、9、10に示したものは、敢えて、格別の「つまみ代」あるいは「おさえ代」をもたない形のもの、即ち、本発明の基本のかたちを示したものである。
勿論のこと、図2、9、10のものも、つまみ代またはおさえ代を設ければ、更に使い易いものになる。
【0012】
つまみ代は、必要により選択する事項であるが、図1に示すつまみ代(P3)は、つまみもつ上で、あるいは付け外し操作をする上で格別の効果をもつものであることから、この形態を伴うものについて、請求項3として請求するものとした。
【0013】
図1に示すつまみ代(P3)は、押え側でなく、ピン側に有したことに格別の意味と効果があるものである。図1に示すようにピンの後端から内側に曲り込んで、曲げ返すかたちの折り曲りでなるもので、ピンを付け外しする力が、ピンに直に伝わる位置にあり、ピンを付け外しする方向に作用させ易い状態にある。しかも、ピンの部分と、ピンの裏側面よりも裏方に出っ張る部分の間にあって、該裏方に出っ張る部分とワンセット(一続き)の折り曲りで成すことができる。
尚、別部材を付け合せて成す場合、あるいはプラスチック素材を成形して成す場合などは、上記つまみ代は折り曲りに依らないかたちで設けても良い。即ち、つまみもち易い形で正面内側に出っ張る部分を成せば良い。
因みに、裏方に出っ張る部分(後押え)と、正面内側に出っ張る部分(つまみ代)をワンセットで、折り曲りに依らないかたちで設けるのも一案である。
【0014】
「おさえ代」は、図4(3)、5(3)に示すように正面から縦に見た状態に於いて、押え側の中ほどの位置に有する正面脇方に出っ張った部分(Q4)である。おさえ代は必要により選択する事項である。「おさえ代」は、押え側をつまみもってピンを突き込むとき、指が滑るのを止め、同時に、つまみもった指の脇腹で突き押すことができるものにした部分である。この部分は、ピンの正面内側面に間隔をあけて、手前側に浮いた状態にあることが大切である。さもないと、押え側をつまみもった指の脇腹で突き押すことができるものにならない。
【0015】
押え側に有する図3の如きの「つまみ代」、及び、図4、5に示す如きの「おさえ代」は、留め具を留め付ける上で格別の効果をもつものであるから、これらの形態を伴うものについて請求項4として請求するものとした。
尚、本発明で云う「つまみ代」とは、指の腹に当る程度の幅あるいは面を成すかたちに折り曲った複線部分を成し、その複線部分を正面手前方向に張り出すかたちで設けるものである。
プラスチック素材を成形して成す場合などは、折り曲りに依らない(で上記の幅あるいは面を成す)ものであっても良い。
【発明の効果】
【0016】
発明の効果は顕著であり、使い勝手も良い。
留め付けるときに於ける、突き込むピンの傾きを一定にする機能、及びブレーキ機能は、留め付けた状態に於いては、図8に示すように、3点で留め付くあるいは留め押える機能として働き、発明の課題を完全に解決するものになった。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態を示す斜視図(1)と側面図(2)と正面図(3)である。
【図2】本発明の実施形態を示す斜視図(1)と側面図(2)と正面図(3)である。
【図3】本発明の実施形態を示す斜視図(1)と側面図(2)と正面図(3)である。
【図4】本発明の実施形態を示す斜視図(1)と側面図(2)と正面図(3)である。
【図5】本発明の実施形態を示す斜視図(1)と側面図(2)と正面図(3)である。
【図6】本発明の留め具について、留め付け方を説明する図である。
【図7】本発明の留め具について、留め付け方を説明する図である。
【図8】本発明の留め具について、留め付いた状態を説明する図である。
【図9】本発明の実施形態を示す斜視図(1)と側面図(2)と正面図(3)である。
【図10】本発明の実施形態を示す斜視図(1)と側面図(2)と正面図(3)である。
【図11】本発明の留め具で、段ボール箱に紙片を留め付けた状態の図である。
【図12】(1)に示すものは特許文献1のもの、 (2)に示すものは特許文献2のものである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の説明をする上で、使用している文言の説明をする。
ピンと押えとが挟み合うとき、挟み合う部分が互いに向い合う面あるいは向い合う方向を正面あるいは正面方向と云う。云い換えるなら、ピンと押えとが、挟み合う力の作用が反発し合う方向が正面あるいは正面方向である。
ピンと押えとが互いに向い合う側を、内側または正面内側と云う。ピン側について云うとき、正面内側の反対側を裏側と云う。裏側の外を裏方と云う。押え側について云うとき、正面内側の反対側を正面外側またはおもて側または手前側と云う。依って、図4、5に示すおさえ代(P4)は、正面脇方または正面横方に出っ張る部分として表現する。
【0019】
本発明の留め具は、段ボール箱の外側面(板面)から段ボールの板厚の内部にピンの部分を刺し込んで取り付くことを主題としているものであるが、箱の形をとっていない単なる段ボール板に留め付ける使い方もできるものである。板厚内部が変形の穴目をもつものにも対応できる。薄手の板紙に留め付ける場合にも利用できる。
本発明の説明では、刺し込むとする意味合いも含んで、差し込む、差し入るなどの表現を使用する。
【0020】
本発明を説明する上で、図を見たままの状態で、上、下、左、右、縦、横の意味を使い分ける。また、ピン先の向く方向を先方と云う。対極方向を後方と云う。
【0021】
後押え(P2)について説明する。
後押えは、図1〜5、9、10に示すように、ピンの裏側面の延長線上(m)よりも裏方に出っ張りを成す部分である。
後押えは、ピンを突き込んでいくときに、段ボール箱の板面を擦って進む部分なので、図に示すように角(かど)張らないようになっているのが良い。
後押えの出っ張りの程度によって、突き込むピンの角度が左右されることになる。
出っ張りが過少であると、突き込み時のブレーキ機能が働かないものになる。また、後押えとして、ピン孔位置から離れた(逸れたあるいは外れた)位置で紙片を留め押える機能も働かないものになる。
出っ張りが過大であると、突き込むピンの角度が大きすぎて、ピンが安定した状態に据え付く所定の長さを突き込むことができないまま、途中で突っ掛って(突き止って)しまうものになる。
【0022】
後押えのブレーキ機能は、ピンが所定の長さ以上に突き入らないためのストッパーとして働く機能ではない。依って、ブレーキが掛かっている状態のまま限界を超えてまで突き込めば、ピン孔を裂き破いてしまうことになる。尚、ブレーキとしてではなく、ストッパーとして働くものにする場合は、上記裂き破いてしまう刃に相当する部分(ピンの正面内側に向いて流線形に折り返す部分)を、湾曲して(流線形に)折り返るものとせず、ピン孔部分に滑らずに突っ掛るかたちにすれば良い。ピンの内側面に横筋をつけるだけでもストッパーになる。ピンの正面脇側に出っ張るかたちもストッパーとして働くものになる。
但し、本発明では、ストッパーとなるようなかたちは、ブレーキ機能が優先あるいは主導するかたちの中で容認されるものである。
【0023】
因みに、図1に示すかたちは、ピンの後端がピンの正面内側に向いて折り曲るかたち、即ち、上記したように、湾曲した(流線形の)折り曲りでピン孔を裂き破いてしまうかたちではあるが、ピンは、後端まで突き込まれる前に後押えの機能が働いて、突き込みが制止されるので支障はない。云い換えるなら、支障がないように、バネの強度並びに後押えの出っ張りの程度が配慮されている必要がある。
【0024】
留め具は、基本的な形態として、留め付けたとき、ピンの後端の僅かな部分が突き込まれない状態で残っている程度に、後押えの出っ張りが調整されているものが良い。
【0025】
図9に示す後押えは、別部材を組み付けて成したものであるが、部材が硬質のものであれば、ピンを滑らかに突き込むために、ピン先に向かう側は、角張らないものにしておくことが大切である。部材が柔らか過ぎれば、後押えとしての役に立たないが、やや軟質のものであっても良い。組み付ける部材が、小さすぎると段ボール板に減り込んでしまうので、適切な大きさ、あるいは減り込まないかたちにすることが大切である。
【0026】
実施例では、主として1.5ミリ径の丸線を使用した。ピン側の全長40〜55ミリ、ピン部分の長さ30〜35ミリ、ピンの外側面(の延長線上)から最も張り出た後押えの出っ張りは2〜3ミリ、前押えの突端(先端)から突き出るピン先部分の長さ3〜4ミリ程のものにして、多くの実験をし、良好な結果を得た。
【0027】
上記は、おおよその形体を感覚として理解していただくために示した参考の数字である。基本的には大小さまざまな形体のものであって良い。使用する部材も、細いもの、太いもの、更には、ピンの部分を含めて、丸線に限らず平線を用いても良い。
ピンは、先端が段ボールのおもて紙に突き刺さる程度に尖っているものであれば良い。
【0028】
因みに、図10に平線を用いたものを示した。平線を用いた場合は細いながらも板幅(横幅)があるので、丸線を用いた場合よりも安定して留め付く状態が得られる。格別のつまみ代を設けなくても比較的つまみもち易い。前押えの部分を図1、5に示すもののように特別に折り曲げなくても、図1、5のものと同等の機能が得られる。
平線で成したものは、それ自体の形状から、平たく、段ボールの穴目にマッチしてスムーズに突き込むことができるとともに安定した状態に留め付くことができる。穴目に沿わないかたちで突き込む場合であっても、ピン先で裂き切って突き進むので、本発明の用途に適うものである。尚、ピン先の尖りは図10(3)で示すように、諸刃の切っ先にしておくことが大切である。丸線にするか、平線にするかは製作コストとの見合いである。
【0029】
前押えに関して説明する。
前押えは、押え側の先端部分で、ピンと挟み合う部分である。前押えは3つの役割りがある。
役割りの1は、前押えの突端(先端)は、図6に示すように、ピン先を段ボール箱に向けて突き立てたとき、突き出ている所定のピン先部分だけが、突き刺さった段階で突き止まる機能、あるいは突き止める機能(即ち、突き止まるに足る形状のヘッドあるいはフェースとなる形状)をもつことである。
【0030】
役割りの2は、ピン先を段ボール箱に向けて突き刺すとき、ピン先の傾け具合によって、突き刺さるピン先部分の長さに違いが生じないようにすることである。挟み入れ口は、普通に使われる紙が1枚差し込める(あるいは差し挟める)程度に開いていれば充分であることから、挟み入れ口は、閉じ加減であること、そして奥行きはできるだけ浅いことが求められる。即ち、挟み入れ口が開いた状態で奥行きがあるものであると、ピン先の傾け具合で、突き刺さるピン先部分の長さに違いが生じて、ピン先部分が段ボール箱の内側に突き出てしまったり、ピン先が段ボール箱の板厚の内面に突っ掛ってしまったりするようなことになる。
【0031】
図1に示す形態の前押えは、図1(3)で解るように、ピンの正面にクロスするかたちに折り曲ってなるものであり、前押えの突端がピンに当接して、挟み入れ口は閉じていると云っても良いほどのものである。図1のもののように、丸線を折り曲げてなしたものの場合、丸線そのものの外径がアールをもっているので僅かな形ではあるが、そのアールが挟み入れ口をなしており、紙片1枚を差し挟むには、それでも間に合うかたちになる。
【0032】
因みに、前押え(Q2)は、図1、4、5の側面図(3)に示すように、ピンにクロスするかたちに折り曲るもの、図2(2)に示すように、外側に折り返るかたちで成すもの、図3(2)に示すように、ピン側との間に曲り込む形で成すものなどがあるが、いずれのものにしても良い。
尚、図1、5に示すものは、側面図(2)で示すように、ピンに押え付く部分を、ピンに対して平たくクロスするかたちを説明している。また、図1、2、3、5、9、10のものは、側面図(2)で示すように、ピンの正面内側に突合するかたちを説明しているが、これらのかたちに限らず、図4(2)に示すように、ピンを僅かに跨ぐかたち、即ち、ピンの両脇に僅かに行き違うかたちにすれば、更に効果的に挟み押えるものになる。
平線を用いて成す留め具の場合であれば、切断面自体が横幅をもっており、切断面の角(かど)がとれていれば、前項で説明した図1のものの場合と同様の挟み入れ口を成すものになる。また、前押えの部分は、敢えて図1、5のように折り曲げなくても、図1、5のものと同様に、ピンを縦に見る状態でピンに横幅をもって当接する形態のものになる。
【0033】
役割りの3は、既に上記したように、ピンと挟み合う部分である。
ここで説明しておきたいことは、本発明の留め具は、挟み留め具として、ピン側(のピン)と押え側(の前押えの部分)とが挟み合うものとしている。従って、構成を説明するとき「押え側(の前押え)はピンと挟み合う」と説明しているが、図8に示すように留め付けた状態に於いては、前押えは段ボール板の表紙(おもて紙)に阻まれていて、ピンと直接に挟み合ってはいない。また、ピンはピン孔に突っ掛っていて、前押えと離れる方向に向いている。即ち、使用していない状態に於いて、挟み合っている部分は、留め付けた状態に於いて、挟み合っていない。
【0034】
上記したように、使用していない状態に於いて、挟み合っている部分が、留め付けた状態に於いて挟み合っていない形態こそが、本発明が求めた形態である。
即ち、本発明は、ピンがピン孔に突っ掛った状態に留め付く作用に働く形態、並びに押え側(の前押え)に働く挟み押えるバネの反動を効率よく受ける形態、並びにピンがピン孔に突っ掛った状態を維持するに足る形態の「後押え」をもったことである。そして、その形態が留め具自体を安定した状態に留め付け、結果として、紙片をしっかり留め押える働きをなすものにしたことである。
【0035】
上記の形態によって、図8で示すように、突き込まれたピンのピン孔寄りの部分(a)が支点になり、前押え(b)に働いた挟み押えるバネの反動が、後押え(c)に作用する、即ち、突き込まれたピン孔寄りの部分が支点になって、前押えとともに後押えが留め付け面に押え付く働きをする。
【0036】
因みに、図6、7、8に示した説明図は、図1〜5及び図9、10に示すものについて、図2に示すものを代表図にして説明したものである。
【0037】
図8で示すように、支点となるaの位置(突き込まれたピンのピン孔寄りの位置)と、押え側に働く挟み押えるバネの反動を受けるcの位置の間の部分は、段ボール箱の板面に接しない、あるいは板面に密着しないようにしておくなど、前記押え側に働くバネの反動が、後押えの最も裏方に出っ張った部分に集中して働く形態にしておくことが重要である。即ち、押え側の挟み押えるバネの反動を、ピン孔あるいはピン孔の輪郭位置から逸れた位置、あるいは外れた位置で受けるかたちである。因みに、このかたちは、ピン孔を破れ難いものとする配慮でもある。
【0038】
前押えについて、説明を補足する。
前押えに付いて、3つの役割りをもつものとして一括りにしているが、厳密に云うならば、役割りの1と、役割りの3とは直接の係りをもつものではない。図1、2、3、4、5、9、10で示すかたちからすれば、押え側のピン先寄りの先端部分が、ピンに押え付いている或いは挟み合っているように示しているが、これらは、ノーマルな形を以って説明しているものであって、例えば、図3のもので説明するならば、押え側のピン先寄りの先端部分から内に曲り込み、やや内に入った位置、即ち、先端ではなく先端からやや内に入った位置で、ピンに押え付くあるいはピンと挟み合うものであっても良い。
【0039】
押え側主体部(Q1)について説明する。
押え側主体部(Q1)は、ピン側の後端につながり、ピン側に間隔をあけ前押えの部分まで延びる部分であって、次の役割りをもつ。
役割りの1、ピン側と挟み合うためのバネをなす部分である。
役割りの2、ピン先寄りの位置に前押えを構成するために、ピン先の位置まで張り渡す部分である。
役割りの3、付け外しの操作のためにつまみもつ基本的な部位である。
役割りの4、前押えに働く挟み押えるバネの反動を後押えに伝える部位である。
【0040】
「つまみ代」を設ける場合についての説明を補足する。
図1は、つまみ代を、ピン側(のピンと後押えの間)に設けた例である。図3は、押え側に設けた例である。
押え側に設ける場合、図3の例では、ピンの正面に沿って折り曲るものとしているが、内側(ピンとの間)に曲り込んで設けても、外側(ピン側と対向する側の反対側)に折り返して設けても良い。
尚、ピン側の正面に沿って延びるかたちに折り曲る分には、適宜の折り曲りのものとして良い。
【0041】
おさえ代は、留め具を留め付けるとき、あるいは留め付けた状態に於いて、留め付け面から浮き立つ、あるいは起き立つ部分に設けるものである。つまり、留め具(の押え側)のつまみもつ指先は留め付け面に接触し、つまみもつ指の腹はやや浮き立った位置、あるいは起き立った位置に当接する。その当接する指腹の脇部(脇腹)が当る位置に設けることが大切である。
【0042】
おさえ代は、つまみ代と違ってつまみもつ部分ではないが、つまみもつ指を安定させる機能があり、結果としてつまみ代に代わるものであると云うこともできる。
【0043】
小さめのもの、あるいは狭い部分をつまみもつとき、3本指でつまみもつことが多い。例えば、右手の3本指でつまみもち左方向に突き込もうとするとき、左方向に最も出っ張る指(の脇腹)は、大方の場合、人差し指(第2指)である。従って、先ず、つまみもつものの左上方になる部分に、人差し指が当る。依って、おさえ代は、人差し指が当る左上方になる側だけに設ければ足りるものである。即ち、図4に示す如きものである。勿論のこと、見栄えやバランスも大切であるから、図5に示す如きに左方上下(両脇)に当るかたちの出っ張りにするのも良い。
【0044】
尚、おさえ代は、図4及び図5に示すデザイン(形状)に限らず、機能を損なうものでなければ形状は任意である。例えば図5の場合、変形の円であるが、円形でも三角形でも良い。尚、図4の場合は、おさえ代と前押えは、別々に形を成しているが、図5の場合は、おさえ代と前押えを1つのまとまった形で成している。然様に、どのような形態をとるのも自由である。更には、折り曲りで成すかたちに限らず、図9の受け側に示す後押えのように、押え側に別部材を付け合せるなどの方法、あるいは一体成形でなす方法などもあるが、その方法手段を限定するものではない。
尚、おさえ代は、本留め具を格別に使い易いものとする効果的な手段である。
【0045】
尚、図9、10は、図2と同様に、つまみ代もおさえ代も有しない本発明の基本のかたちを説明したものである。図9は、後押えを、別部材を付け合せて成したかたちを説明した図である。図10は、平線で成した留め具を説明した図であり、図10(3)は、押え側を向こうに、ピン側を手前にして見た図である。
【0046】
図11に示す図では、段ボールの板厚を成す縦の穴目を横切るかたちにピンを突き込んで留め付けているが、穴目に沿って縦に突き込んでも良い。
【0047】
本発明は、全体の図(図1〜11)を通して説明しているものであって、図1〜5、9、10で説明する個々の図は、それぞれが1つの実施例であり、個々の図で説明する具体的な技術内容によって、それぞれの請求項に記載する発明の技術内容が限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0048】
ドラッグストアやスーパーに行って見ると、糊を用いて貼り付けたり、セロハンテープで貼り付けたり、面倒な作業をしている状況であり、適切な掲示手段に困窮している現実を目にする。
本発明は、その困窮から開放するものであり、画期的な貢献ができるものである。
配送時の整理伝票の仮留めなどにも利用できるものである。貼り付け、張り替えが適宜に行える。
掲示板として段ボール板を使用し、そこに掲示紙片を留め付ける用途にも使用できる。
【符号の説明】
【0049】
P ピン側(P1、P2、P3 を含む部分)
P1 ピン
P2 後押え(但し、ピン側の後端に設けたもの)
P3 つまみ代(但し、ピン側に設けたもの)
Q 押え側(Q1、Q2、Q3、Q4 を含む部分)
Q1 押え側主体部
Q2 前押え
Q3 つまみ代(但し、押え側に設けたもの)
Q4 おさえ代
a 前押えと後押えの支点となる位置
(突き入ったピンのピン孔寄りの位置)
b 押え側の挟み押えるバネの作用が働く位置(前押えの部分)
c 押え側の挟み押えるバネの反動を受けて押え付く位置(後押えの部分)
【技術分野】
【0001】
スーパー、八百屋、ドラッグストアなどでは、段ボール箱の上半部をカットして、商品が入ったままの状態で、箱ごと陳列している現状がある。本発明は、段ボール箱の外側面(板面)に、チラシ、値札などの広告紙片を掲示するための留め具で、二手に折れて挟み合う形態の留め具についてである。
【背景技術】
【0002】
従来の留め具(例えば、特許文献1のもの)は、段ボール箱に留め付けた後、何かが触れたり、揺さ振られたりすると、ピン(紙孔)が緩んでしまい、留め具自体が安定した状態に取り付いていることができず、その結果、紙片を留め押える機能を失ってしまうものであった。
端的に云うならば、留め付けた状態が安定するための手立てをもつものでなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願2003−202691号公報
【特許文献2】特願2003−300580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、留め具を留め付けた後、軽く触れた程度、あるいは段ボール箱を揺すった程度では、留め付けた状態がぐらつくようなことのない、安定した状態を保持できる留め具を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、ピン側の後端あるいは後端寄り(以下、総称して後端と云う)に、ピンの裏側面よりも裏方に出っ張る部分を設けた。
本発明は、二手に折り曲がって挟み合うピン側と押え側(押えとも云う)を有してなる留め具に於いて、留め具を、留め付けた時点の状態のままに安定させるための機能として、ピン側の後端に、ピンの裏側面よりも裏方に出っ張る部分(P2)をもったことを特徴とする留め具である。
因みに、ピン側と押え側の区分(境界)は、ピンの延長線上(図2で示したmの位置)であるとする。
【0006】
ピンの裏側面よりも裏方に出っ張る部分(以下、後押えとも云う)は、留め具を留め付けるときに働く機能と、留め具を留め付けた状態に於いて働く機能をもつものである。
【0007】
留め具を留め付けるときに働く機能とは、突き込むピンの傾きを一定にする機能、及び、ピンを突き込むにつれて、突き込みに掛かる抵抗が強くなる手応えを感じさせ、所定の長さ以上に突き入ることを制止するブレーキとして働く機能である。
【0008】
本発明の留め具は、留め付けるとき、図6に示すように、段ボールの板面に突き立ててから、図7に示すように、ピンの裏側面を段ボールの板面に押し当てるように倒した上で突き込む使い方をするものである。
このとき、ピンの裏側面よりも裏方に出っ張った部分は、突き込むピンの傾きを一定にする機能をもつ。ピンを突き込んでいく過程では、前押えに働く挟み押えるバネの反動を受け、ピンを突き込んでいくにつれて、突き込みにかかる抵抗が徐々に強くなり、突き込むことを中止させるブレーキ機能として働く。
【0009】
斯様にして、留め付けた状態に於いては、留め具は図8に示すように、a、b、cの3点を以って安定した状態に留め付くものとなる。その結果、掲示紙片をしっかり留め押えできるものとなる。
【0010】
ピンの裏側面よりも、裏方に出っ張る部分を成す手段としては、図9に示すように、別部材を組み付けて成す方法などもあり、手段、方法を限定する必要はないことから、手段、方法を限定しない範囲のものを請求項1として請求するものとした。
尚、ピンの裏側面よりも裏方に出っ張る部分を、図1〜5、10に示すように、ピンの延長を「折り曲げて成す形態」は、前記した基本的な機能に加えて、シンプルである、機能的である、安価でつくれるなどの副次効果をもたらすことから、これを請求項2として請求するものとした。
【0011】
留め具を、段ボール箱の板厚の内に突き込むとき、つまみもつ指が突き込む方向に滑らないように、手前方向あるいは手前側に張り出したかたちの「つまみ代(しろ)」、あるいは、正面脇側方向あるいは正面横方に出っ張るかたちの「おさえ代(しろ)」をもつことに依って、一層使い易いものになる。
図2、9、10に示したものは、敢えて、格別の「つまみ代」あるいは「おさえ代」をもたない形のもの、即ち、本発明の基本のかたちを示したものである。
勿論のこと、図2、9、10のものも、つまみ代またはおさえ代を設ければ、更に使い易いものになる。
【0012】
つまみ代は、必要により選択する事項であるが、図1に示すつまみ代(P3)は、つまみもつ上で、あるいは付け外し操作をする上で格別の効果をもつものであることから、この形態を伴うものについて、請求項3として請求するものとした。
【0013】
図1に示すつまみ代(P3)は、押え側でなく、ピン側に有したことに格別の意味と効果があるものである。図1に示すようにピンの後端から内側に曲り込んで、曲げ返すかたちの折り曲りでなるもので、ピンを付け外しする力が、ピンに直に伝わる位置にあり、ピンを付け外しする方向に作用させ易い状態にある。しかも、ピンの部分と、ピンの裏側面よりも裏方に出っ張る部分の間にあって、該裏方に出っ張る部分とワンセット(一続き)の折り曲りで成すことができる。
尚、別部材を付け合せて成す場合、あるいはプラスチック素材を成形して成す場合などは、上記つまみ代は折り曲りに依らないかたちで設けても良い。即ち、つまみもち易い形で正面内側に出っ張る部分を成せば良い。
因みに、裏方に出っ張る部分(後押え)と、正面内側に出っ張る部分(つまみ代)をワンセットで、折り曲りに依らないかたちで設けるのも一案である。
【0014】
「おさえ代」は、図4(3)、5(3)に示すように正面から縦に見た状態に於いて、押え側の中ほどの位置に有する正面脇方に出っ張った部分(Q4)である。おさえ代は必要により選択する事項である。「おさえ代」は、押え側をつまみもってピンを突き込むとき、指が滑るのを止め、同時に、つまみもった指の脇腹で突き押すことができるものにした部分である。この部分は、ピンの正面内側面に間隔をあけて、手前側に浮いた状態にあることが大切である。さもないと、押え側をつまみもった指の脇腹で突き押すことができるものにならない。
【0015】
押え側に有する図3の如きの「つまみ代」、及び、図4、5に示す如きの「おさえ代」は、留め具を留め付ける上で格別の効果をもつものであるから、これらの形態を伴うものについて請求項4として請求するものとした。
尚、本発明で云う「つまみ代」とは、指の腹に当る程度の幅あるいは面を成すかたちに折り曲った複線部分を成し、その複線部分を正面手前方向に張り出すかたちで設けるものである。
プラスチック素材を成形して成す場合などは、折り曲りに依らない(で上記の幅あるいは面を成す)ものであっても良い。
【発明の効果】
【0016】
発明の効果は顕著であり、使い勝手も良い。
留め付けるときに於ける、突き込むピンの傾きを一定にする機能、及びブレーキ機能は、留め付けた状態に於いては、図8に示すように、3点で留め付くあるいは留め押える機能として働き、発明の課題を完全に解決するものになった。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態を示す斜視図(1)と側面図(2)と正面図(3)である。
【図2】本発明の実施形態を示す斜視図(1)と側面図(2)と正面図(3)である。
【図3】本発明の実施形態を示す斜視図(1)と側面図(2)と正面図(3)である。
【図4】本発明の実施形態を示す斜視図(1)と側面図(2)と正面図(3)である。
【図5】本発明の実施形態を示す斜視図(1)と側面図(2)と正面図(3)である。
【図6】本発明の留め具について、留め付け方を説明する図である。
【図7】本発明の留め具について、留め付け方を説明する図である。
【図8】本発明の留め具について、留め付いた状態を説明する図である。
【図9】本発明の実施形態を示す斜視図(1)と側面図(2)と正面図(3)である。
【図10】本発明の実施形態を示す斜視図(1)と側面図(2)と正面図(3)である。
【図11】本発明の留め具で、段ボール箱に紙片を留め付けた状態の図である。
【図12】(1)に示すものは特許文献1のもの、 (2)に示すものは特許文献2のものである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の説明をする上で、使用している文言の説明をする。
ピンと押えとが挟み合うとき、挟み合う部分が互いに向い合う面あるいは向い合う方向を正面あるいは正面方向と云う。云い換えるなら、ピンと押えとが、挟み合う力の作用が反発し合う方向が正面あるいは正面方向である。
ピンと押えとが互いに向い合う側を、内側または正面内側と云う。ピン側について云うとき、正面内側の反対側を裏側と云う。裏側の外を裏方と云う。押え側について云うとき、正面内側の反対側を正面外側またはおもて側または手前側と云う。依って、図4、5に示すおさえ代(P4)は、正面脇方または正面横方に出っ張る部分として表現する。
【0019】
本発明の留め具は、段ボール箱の外側面(板面)から段ボールの板厚の内部にピンの部分を刺し込んで取り付くことを主題としているものであるが、箱の形をとっていない単なる段ボール板に留め付ける使い方もできるものである。板厚内部が変形の穴目をもつものにも対応できる。薄手の板紙に留め付ける場合にも利用できる。
本発明の説明では、刺し込むとする意味合いも含んで、差し込む、差し入るなどの表現を使用する。
【0020】
本発明を説明する上で、図を見たままの状態で、上、下、左、右、縦、横の意味を使い分ける。また、ピン先の向く方向を先方と云う。対極方向を後方と云う。
【0021】
後押え(P2)について説明する。
後押えは、図1〜5、9、10に示すように、ピンの裏側面の延長線上(m)よりも裏方に出っ張りを成す部分である。
後押えは、ピンを突き込んでいくときに、段ボール箱の板面を擦って進む部分なので、図に示すように角(かど)張らないようになっているのが良い。
後押えの出っ張りの程度によって、突き込むピンの角度が左右されることになる。
出っ張りが過少であると、突き込み時のブレーキ機能が働かないものになる。また、後押えとして、ピン孔位置から離れた(逸れたあるいは外れた)位置で紙片を留め押える機能も働かないものになる。
出っ張りが過大であると、突き込むピンの角度が大きすぎて、ピンが安定した状態に据え付く所定の長さを突き込むことができないまま、途中で突っ掛って(突き止って)しまうものになる。
【0022】
後押えのブレーキ機能は、ピンが所定の長さ以上に突き入らないためのストッパーとして働く機能ではない。依って、ブレーキが掛かっている状態のまま限界を超えてまで突き込めば、ピン孔を裂き破いてしまうことになる。尚、ブレーキとしてではなく、ストッパーとして働くものにする場合は、上記裂き破いてしまう刃に相当する部分(ピンの正面内側に向いて流線形に折り返す部分)を、湾曲して(流線形に)折り返るものとせず、ピン孔部分に滑らずに突っ掛るかたちにすれば良い。ピンの内側面に横筋をつけるだけでもストッパーになる。ピンの正面脇側に出っ張るかたちもストッパーとして働くものになる。
但し、本発明では、ストッパーとなるようなかたちは、ブレーキ機能が優先あるいは主導するかたちの中で容認されるものである。
【0023】
因みに、図1に示すかたちは、ピンの後端がピンの正面内側に向いて折り曲るかたち、即ち、上記したように、湾曲した(流線形の)折り曲りでピン孔を裂き破いてしまうかたちではあるが、ピンは、後端まで突き込まれる前に後押えの機能が働いて、突き込みが制止されるので支障はない。云い換えるなら、支障がないように、バネの強度並びに後押えの出っ張りの程度が配慮されている必要がある。
【0024】
留め具は、基本的な形態として、留め付けたとき、ピンの後端の僅かな部分が突き込まれない状態で残っている程度に、後押えの出っ張りが調整されているものが良い。
【0025】
図9に示す後押えは、別部材を組み付けて成したものであるが、部材が硬質のものであれば、ピンを滑らかに突き込むために、ピン先に向かう側は、角張らないものにしておくことが大切である。部材が柔らか過ぎれば、後押えとしての役に立たないが、やや軟質のものであっても良い。組み付ける部材が、小さすぎると段ボール板に減り込んでしまうので、適切な大きさ、あるいは減り込まないかたちにすることが大切である。
【0026】
実施例では、主として1.5ミリ径の丸線を使用した。ピン側の全長40〜55ミリ、ピン部分の長さ30〜35ミリ、ピンの外側面(の延長線上)から最も張り出た後押えの出っ張りは2〜3ミリ、前押えの突端(先端)から突き出るピン先部分の長さ3〜4ミリ程のものにして、多くの実験をし、良好な結果を得た。
【0027】
上記は、おおよその形体を感覚として理解していただくために示した参考の数字である。基本的には大小さまざまな形体のものであって良い。使用する部材も、細いもの、太いもの、更には、ピンの部分を含めて、丸線に限らず平線を用いても良い。
ピンは、先端が段ボールのおもて紙に突き刺さる程度に尖っているものであれば良い。
【0028】
因みに、図10に平線を用いたものを示した。平線を用いた場合は細いながらも板幅(横幅)があるので、丸線を用いた場合よりも安定して留め付く状態が得られる。格別のつまみ代を設けなくても比較的つまみもち易い。前押えの部分を図1、5に示すもののように特別に折り曲げなくても、図1、5のものと同等の機能が得られる。
平線で成したものは、それ自体の形状から、平たく、段ボールの穴目にマッチしてスムーズに突き込むことができるとともに安定した状態に留め付くことができる。穴目に沿わないかたちで突き込む場合であっても、ピン先で裂き切って突き進むので、本発明の用途に適うものである。尚、ピン先の尖りは図10(3)で示すように、諸刃の切っ先にしておくことが大切である。丸線にするか、平線にするかは製作コストとの見合いである。
【0029】
前押えに関して説明する。
前押えは、押え側の先端部分で、ピンと挟み合う部分である。前押えは3つの役割りがある。
役割りの1は、前押えの突端(先端)は、図6に示すように、ピン先を段ボール箱に向けて突き立てたとき、突き出ている所定のピン先部分だけが、突き刺さった段階で突き止まる機能、あるいは突き止める機能(即ち、突き止まるに足る形状のヘッドあるいはフェースとなる形状)をもつことである。
【0030】
役割りの2は、ピン先を段ボール箱に向けて突き刺すとき、ピン先の傾け具合によって、突き刺さるピン先部分の長さに違いが生じないようにすることである。挟み入れ口は、普通に使われる紙が1枚差し込める(あるいは差し挟める)程度に開いていれば充分であることから、挟み入れ口は、閉じ加減であること、そして奥行きはできるだけ浅いことが求められる。即ち、挟み入れ口が開いた状態で奥行きがあるものであると、ピン先の傾け具合で、突き刺さるピン先部分の長さに違いが生じて、ピン先部分が段ボール箱の内側に突き出てしまったり、ピン先が段ボール箱の板厚の内面に突っ掛ってしまったりするようなことになる。
【0031】
図1に示す形態の前押えは、図1(3)で解るように、ピンの正面にクロスするかたちに折り曲ってなるものであり、前押えの突端がピンに当接して、挟み入れ口は閉じていると云っても良いほどのものである。図1のもののように、丸線を折り曲げてなしたものの場合、丸線そのものの外径がアールをもっているので僅かな形ではあるが、そのアールが挟み入れ口をなしており、紙片1枚を差し挟むには、それでも間に合うかたちになる。
【0032】
因みに、前押え(Q2)は、図1、4、5の側面図(3)に示すように、ピンにクロスするかたちに折り曲るもの、図2(2)に示すように、外側に折り返るかたちで成すもの、図3(2)に示すように、ピン側との間に曲り込む形で成すものなどがあるが、いずれのものにしても良い。
尚、図1、5に示すものは、側面図(2)で示すように、ピンに押え付く部分を、ピンに対して平たくクロスするかたちを説明している。また、図1、2、3、5、9、10のものは、側面図(2)で示すように、ピンの正面内側に突合するかたちを説明しているが、これらのかたちに限らず、図4(2)に示すように、ピンを僅かに跨ぐかたち、即ち、ピンの両脇に僅かに行き違うかたちにすれば、更に効果的に挟み押えるものになる。
平線を用いて成す留め具の場合であれば、切断面自体が横幅をもっており、切断面の角(かど)がとれていれば、前項で説明した図1のものの場合と同様の挟み入れ口を成すものになる。また、前押えの部分は、敢えて図1、5のように折り曲げなくても、図1、5のものと同様に、ピンを縦に見る状態でピンに横幅をもって当接する形態のものになる。
【0033】
役割りの3は、既に上記したように、ピンと挟み合う部分である。
ここで説明しておきたいことは、本発明の留め具は、挟み留め具として、ピン側(のピン)と押え側(の前押えの部分)とが挟み合うものとしている。従って、構成を説明するとき「押え側(の前押え)はピンと挟み合う」と説明しているが、図8に示すように留め付けた状態に於いては、前押えは段ボール板の表紙(おもて紙)に阻まれていて、ピンと直接に挟み合ってはいない。また、ピンはピン孔に突っ掛っていて、前押えと離れる方向に向いている。即ち、使用していない状態に於いて、挟み合っている部分は、留め付けた状態に於いて、挟み合っていない。
【0034】
上記したように、使用していない状態に於いて、挟み合っている部分が、留め付けた状態に於いて挟み合っていない形態こそが、本発明が求めた形態である。
即ち、本発明は、ピンがピン孔に突っ掛った状態に留め付く作用に働く形態、並びに押え側(の前押え)に働く挟み押えるバネの反動を効率よく受ける形態、並びにピンがピン孔に突っ掛った状態を維持するに足る形態の「後押え」をもったことである。そして、その形態が留め具自体を安定した状態に留め付け、結果として、紙片をしっかり留め押える働きをなすものにしたことである。
【0035】
上記の形態によって、図8で示すように、突き込まれたピンのピン孔寄りの部分(a)が支点になり、前押え(b)に働いた挟み押えるバネの反動が、後押え(c)に作用する、即ち、突き込まれたピン孔寄りの部分が支点になって、前押えとともに後押えが留め付け面に押え付く働きをする。
【0036】
因みに、図6、7、8に示した説明図は、図1〜5及び図9、10に示すものについて、図2に示すものを代表図にして説明したものである。
【0037】
図8で示すように、支点となるaの位置(突き込まれたピンのピン孔寄りの位置)と、押え側に働く挟み押えるバネの反動を受けるcの位置の間の部分は、段ボール箱の板面に接しない、あるいは板面に密着しないようにしておくなど、前記押え側に働くバネの反動が、後押えの最も裏方に出っ張った部分に集中して働く形態にしておくことが重要である。即ち、押え側の挟み押えるバネの反動を、ピン孔あるいはピン孔の輪郭位置から逸れた位置、あるいは外れた位置で受けるかたちである。因みに、このかたちは、ピン孔を破れ難いものとする配慮でもある。
【0038】
前押えについて、説明を補足する。
前押えに付いて、3つの役割りをもつものとして一括りにしているが、厳密に云うならば、役割りの1と、役割りの3とは直接の係りをもつものではない。図1、2、3、4、5、9、10で示すかたちからすれば、押え側のピン先寄りの先端部分が、ピンに押え付いている或いは挟み合っているように示しているが、これらは、ノーマルな形を以って説明しているものであって、例えば、図3のもので説明するならば、押え側のピン先寄りの先端部分から内に曲り込み、やや内に入った位置、即ち、先端ではなく先端からやや内に入った位置で、ピンに押え付くあるいはピンと挟み合うものであっても良い。
【0039】
押え側主体部(Q1)について説明する。
押え側主体部(Q1)は、ピン側の後端につながり、ピン側に間隔をあけ前押えの部分まで延びる部分であって、次の役割りをもつ。
役割りの1、ピン側と挟み合うためのバネをなす部分である。
役割りの2、ピン先寄りの位置に前押えを構成するために、ピン先の位置まで張り渡す部分である。
役割りの3、付け外しの操作のためにつまみもつ基本的な部位である。
役割りの4、前押えに働く挟み押えるバネの反動を後押えに伝える部位である。
【0040】
「つまみ代」を設ける場合についての説明を補足する。
図1は、つまみ代を、ピン側(のピンと後押えの間)に設けた例である。図3は、押え側に設けた例である。
押え側に設ける場合、図3の例では、ピンの正面に沿って折り曲るものとしているが、内側(ピンとの間)に曲り込んで設けても、外側(ピン側と対向する側の反対側)に折り返して設けても良い。
尚、ピン側の正面に沿って延びるかたちに折り曲る分には、適宜の折り曲りのものとして良い。
【0041】
おさえ代は、留め具を留め付けるとき、あるいは留め付けた状態に於いて、留め付け面から浮き立つ、あるいは起き立つ部分に設けるものである。つまり、留め具(の押え側)のつまみもつ指先は留め付け面に接触し、つまみもつ指の腹はやや浮き立った位置、あるいは起き立った位置に当接する。その当接する指腹の脇部(脇腹)が当る位置に設けることが大切である。
【0042】
おさえ代は、つまみ代と違ってつまみもつ部分ではないが、つまみもつ指を安定させる機能があり、結果としてつまみ代に代わるものであると云うこともできる。
【0043】
小さめのもの、あるいは狭い部分をつまみもつとき、3本指でつまみもつことが多い。例えば、右手の3本指でつまみもち左方向に突き込もうとするとき、左方向に最も出っ張る指(の脇腹)は、大方の場合、人差し指(第2指)である。従って、先ず、つまみもつものの左上方になる部分に、人差し指が当る。依って、おさえ代は、人差し指が当る左上方になる側だけに設ければ足りるものである。即ち、図4に示す如きものである。勿論のこと、見栄えやバランスも大切であるから、図5に示す如きに左方上下(両脇)に当るかたちの出っ張りにするのも良い。
【0044】
尚、おさえ代は、図4及び図5に示すデザイン(形状)に限らず、機能を損なうものでなければ形状は任意である。例えば図5の場合、変形の円であるが、円形でも三角形でも良い。尚、図4の場合は、おさえ代と前押えは、別々に形を成しているが、図5の場合は、おさえ代と前押えを1つのまとまった形で成している。然様に、どのような形態をとるのも自由である。更には、折り曲りで成すかたちに限らず、図9の受け側に示す後押えのように、押え側に別部材を付け合せるなどの方法、あるいは一体成形でなす方法などもあるが、その方法手段を限定するものではない。
尚、おさえ代は、本留め具を格別に使い易いものとする効果的な手段である。
【0045】
尚、図9、10は、図2と同様に、つまみ代もおさえ代も有しない本発明の基本のかたちを説明したものである。図9は、後押えを、別部材を付け合せて成したかたちを説明した図である。図10は、平線で成した留め具を説明した図であり、図10(3)は、押え側を向こうに、ピン側を手前にして見た図である。
【0046】
図11に示す図では、段ボールの板厚を成す縦の穴目を横切るかたちにピンを突き込んで留め付けているが、穴目に沿って縦に突き込んでも良い。
【0047】
本発明は、全体の図(図1〜11)を通して説明しているものであって、図1〜5、9、10で説明する個々の図は、それぞれが1つの実施例であり、個々の図で説明する具体的な技術内容によって、それぞれの請求項に記載する発明の技術内容が限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0048】
ドラッグストアやスーパーに行って見ると、糊を用いて貼り付けたり、セロハンテープで貼り付けたり、面倒な作業をしている状況であり、適切な掲示手段に困窮している現実を目にする。
本発明は、その困窮から開放するものであり、画期的な貢献ができるものである。
配送時の整理伝票の仮留めなどにも利用できるものである。貼り付け、張り替えが適宜に行える。
掲示板として段ボール板を使用し、そこに掲示紙片を留め付ける用途にも使用できる。
【符号の説明】
【0049】
P ピン側(P1、P2、P3 を含む部分)
P1 ピン
P2 後押え(但し、ピン側の後端に設けたもの)
P3 つまみ代(但し、ピン側に設けたもの)
Q 押え側(Q1、Q2、Q3、Q4 を含む部分)
Q1 押え側主体部
Q2 前押え
Q3 つまみ代(但し、押え側に設けたもの)
Q4 おさえ代
a 前押えと後押えの支点となる位置
(突き入ったピンのピン孔寄りの位置)
b 押え側の挟み押えるバネの作用が働く位置(前押えの部分)
c 押え側の挟み押えるバネの反動を受けて押え付く位置(後押えの部分)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(イ) 二手に折り曲って挟み合うピン側と押え側を有してなる留め具に於いて、
(ロ) ピン先部分は、ピン先方向に向く押え側の先端部分よりも突き出てなる、
(ハ) ピン先方向に向く押え側の先端部分は、ピンを突き立てたとき、ピン先部分が所定以上に突き入らないようにするための、突き止まる機能、あるいは突き止める機能をもつ、
(ニ) 留め具を留め付けた状態のままに安定させるための機能として、ピン側の後端に、ピンの裏側面よりも裏方に出っ張る部分をもつ、
(ホ) 以上の構成をもち、ピン側の後端に、ピンの裏側面よりも裏方に出っ張る部分をもったことを特徴とする留め具。
【請求項2】
ピンの裏側面よりも裏方に出っ張る部分が、ピンの延長の折り曲りでなる請求項1記載の留め具。
【請求項3】
ピンと、ピンの裏方に出っ張る部分との間に、正面内側に出っ張る部分をもつ請求項1、2記載の留め具。
【請求項4】
押え側に、つまみもつための幅あるいは面を成す部分、あるいは、ピンを突き込むときに、指が滑らないための滑り止めとなる機能をもつ請求項1、2記載の留め具。
【請求項1】
(イ) 二手に折り曲って挟み合うピン側と押え側を有してなる留め具に於いて、
(ロ) ピン先部分は、ピン先方向に向く押え側の先端部分よりも突き出てなる、
(ハ) ピン先方向に向く押え側の先端部分は、ピンを突き立てたとき、ピン先部分が所定以上に突き入らないようにするための、突き止まる機能、あるいは突き止める機能をもつ、
(ニ) 留め具を留め付けた状態のままに安定させるための機能として、ピン側の後端に、ピンの裏側面よりも裏方に出っ張る部分をもつ、
(ホ) 以上の構成をもち、ピン側の後端に、ピンの裏側面よりも裏方に出っ張る部分をもったことを特徴とする留め具。
【請求項2】
ピンの裏側面よりも裏方に出っ張る部分が、ピンの延長の折り曲りでなる請求項1記載の留め具。
【請求項3】
ピンと、ピンの裏方に出っ張る部分との間に、正面内側に出っ張る部分をもつ請求項1、2記載の留め具。
【請求項4】
押え側に、つまみもつための幅あるいは面を成す部分、あるいは、ピンを突き込むときに、指が滑らないための滑り止めとなる機能をもつ請求項1、2記載の留め具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−59181(P2011−59181A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−205928(P2009−205928)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【特許番号】特許第4507022号(P4507022)
【特許公報発行日】平成22年7月21日(2010.7.21)
【出願人】(500497803)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【特許番号】特許第4507022号(P4507022)
【特許公報発行日】平成22年7月21日(2010.7.21)
【出願人】(500497803)
【Fターム(参考)】
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