説明

異型コルゲートチューブ製造装置、異型コルゲートチューブ製造方法及び異型コルゲートチューブ

【課題】長短比が大きい扁平な異型コルゲートチューブを製造すること。
【解決手段】溶融した樹脂材料8をシート状に押出して供給する供給部30と、異型コルゲートチューブ10の断面視長手方向に沿った一側部に対応する部分を有する金型面をそれぞれ有する異型コルゲートチューブ成形用の対の金型40と、対の金型40を、金型面同士が開いて供給部30から供給されるシート状の成形体を受取可能な受取姿勢と、金型面同士が閉じた成形姿勢とで姿勢変更可能で、供給部30から供給されるシート状の成形体が受取姿勢で受け取られてから、対の金型40を成形姿勢に姿勢変更させる駆動機構部50と、供給部30から供給されるシート状の成形体を、受取姿勢の対の金型40の金型面に対して密着させる密着成形部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、異型コルゲートチューブを製造する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
コルゲートチューブを製造する装置が、特許文献1に開示されている。特許文献1の管体の製造装置は、閉じ合わせることにより管体を製造するための略円筒状の成形空間を形成する一対の成形用ブロックを複数対有し、複数対の成形用ブロックを型閉じまたは型開き可能に無端軌道上を移動させるように構成されている。より具体的には、成形用ブロックの壁面は、管体の径方向外側に凹む拡径部と径方向内側に窄まる縮径部とが軸方向に交互に繰り返す蛇腹状とされている。また、一対の成形用ブロックは、ストローク範囲で閉じ合わされた型閉じ状態とされ、その他の位置では互いに離間した型開き状態となる。そして、押出し機により、ストローク範囲の入口側から一対の成形用ブロックの形成空間内に筒状の溶融樹脂が供給されると共に、その内部に圧縮空気が供給されて溶融樹脂が成形用ブロックの壁面に付着するように拡開される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−343592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようにして製造されるコルゲートチューブは、自動車に配設されるワイヤーハーネスを保護する外装材として用いられることがある。保護対象となるワイヤーハーネスの形状、配策箇所のスペースによっては、扁平な異型コルゲートチューブも用いられることがある。そして、異型コルゲートチューブとして、断面における長手寸法と短手寸法との比(以下長短比)が大きい形状のものが要求される場合も想定される。
【0005】
しかしながら、上記コルゲートチューブ製造装置では、長短比が大きい異型コルゲートチューブを製造することは困難である。すなわち、金型(成形用ブロック)間に供給された直後の樹脂材料は、溶融状態から温度低下して間もない軟化状態で供給されるため変形しやすい。さらに、この樹脂材料は、断面視長手方向に沿った部分同士が狭い間隔で存在するため重力の影響によってくっつき、金型面に密着しない恐れがあった。
【0006】
そこで、本発明は、長短比が大きい扁平な異型コルゲートチューブを製造することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様に係る異型コルゲートチューブ製造装置は、扁平な異型コルゲートチューブを製造する異型コルゲートチューブ製造装置であって、溶融樹脂をシート状に押出して供給する供給部と、前記異型コルゲートチューブの断面視長手方向に沿った一側部に対応する部分を有する金型面をそれぞれ有する異型コルゲートチューブ成形用の対の金型と、前記対の金型を、前記金型面同士が開いて前記供給部から供給されるシート状の成形体を受取可能な受取姿勢と、前記金型面同士が閉じた成形姿勢とで姿勢変更可能で、前記供給部から供給される前記シート状の成形体が前記受取姿勢の前記対の金型で受け取られてから、前記対の金型を前記成形姿勢に姿勢変更させる駆動機構部と、前記供給部から供給される前記シート状の成形体を、前記受取姿勢の前記対の金型の前記金型面に対して密着させる密着成形部とを備える。
【0008】
第2の態様に係る異型コルゲートチューブ製造装置は、第1の態様に係る異型コルゲートチューブ製造装置であって、前記対の金型の成形姿勢は、それぞれの前記金型面が一方の端縁部で所定の間隔をあけると共に他方の端縁部で隣接する姿勢である。
【0009】
第3の態様に係る異型コルゲートチューブ製造装置は、第1又は2の態様に係る異型コルゲートチューブ製造装置であって、前記対の金型の受取姿勢は、それぞれの前記金型面が上方に臨むと共に他方の端縁部で隣接する姿勢である。
【0010】
第4の態様に係る異型コルゲートチューブ製造装置は、第1〜3の態様のいずれか一態様に係る異型コルゲートチューブ製造装置であって、前記供給部は、前記シート状の成形体を連続的に供給可能で、前記駆動機構部は、複数の前記対の金型を、それぞれ一対の無端環状の移動軌道上で直列に移動させ、前記移動軌道中の所定のチューブ成形路において、前記供給部から前記シート状の成形体が供給される前記チューブ成形路の上流位置で前記対の金型を受取姿勢にすると共に前記チューブ成形路の下流位置で前記対の金型を成形姿勢にするように、上流から下流に向けて前記対の金型を徐々に姿勢変更させる。
【0011】
第5の態様に係る異型コルゲートチューブ製造装置は、第1〜4の態様のいずれか一態様に係る異型コルゲートチューブ製造装置であって、前記駆動機構部は、複数の前記対の金型それぞれに取り付けられている被案内部と、前記移動軌道に沿って配設され、前記対の金型を前記チューブ成形路上で受取姿勢から成形姿勢に姿勢変更させるように前記被案内部を案内可能な形状に形成されている一対の案内レールと、複数の前記対の金型を、それぞれ、前記チューブ成形路の上流から下流に向けて移動するように送る送り部と、を有している。
【0012】
第6の態様に係る異型コルゲートチューブ製造方法は、扁平な異型コルゲートチューブを製造する異型コルゲートチューブ製造方法であって、(a)溶融樹脂をシート状に押出して供給する工程と、(b)前記工程(a)で供給されたシート状の成形体を、前記異型コルゲートチューブを断面視長手方向の一端部で割り開いた形状に成形する工程と、(c)前記工程(b)で成形された前記異型コルゲートチューブを割り開いた形状の成形体を閉じる工程とを備える。
【0013】
第7の態様に係る異型コルゲートチューブは、扁平な異型コルゲートチューブであって、断面視長手方向の寸法が短手方向の寸法に対して3倍以上の寸法に設定されている。
【発明の効果】
【0014】
第1の態様に係る異型コルゲートチューブ製造装置によると、供給部により溶融樹脂をシート状に押出して供給し、供給部から供給されるシート状の成形体が受取姿勢で受け取られてから、対の金型が成形姿勢に姿勢変更されるように構成されている。このため、供給直後の変形しやすいシート状の成形体が変形してくっつくことを防止できる。これにより、長短比が大きい扁平な異型コルゲートチューブを製造することができる。
【0015】
第2の態様に係る異型コルゲートチューブ製造装置によると、対の金型の成形姿勢が、それぞれの金型面が一方の端縁部で所定の間隔をあけた姿勢となっている。これにより、スリット形成工程を別途設けることなく、ワイヤーハーネス収容用のスリットを有する扁平な異型コルゲートチューブを製造することができる。
【0016】
第3の態様に係る異型コルゲートチューブ製造方法によると、対の金型の受取姿勢が、それぞれの金型面が上方に臨む姿勢とされている。このため、供給部から受取姿勢の対の金型上に供給されるシート状の成形体が、金型面から離れてしまうことを防止できる。これにより、より確実に長短比が大きい扁平な異型コルゲートチューブを製造することができる。
【0017】
第4の態様に係る異型コルゲートチューブ製造装置によると、供給部によりシート状の成形体が連続的に供給され、対の金型が、移動軌道上で複数移動されてチューブ成形路の上流位置で受取姿勢とされると共に下流位置で成形姿勢とされる。このため、供給部から供給されるシート状の成形体を複数の対の金型で連続して受け取って、各対の金型を順次成形姿勢に姿勢変更させて扁平な異型コルゲートチューブを製造することができる。すなわち、長短比が大きい扁平な異型コルゲートチューブを、連続して製造することができる。
【0018】
第5の態様に係る異型コルゲートチューブ製造装置によると、被案内部が案内レールに案内されることにより、対の金型を受取姿勢と成形姿勢とで姿勢変更させながら移動させることができる。このように、簡易な構成で対の金型を姿勢変更させつつ移動させることができる。
【0019】
第6の態様に係る異型コルゲートチューブ製造方法によると、溶融樹脂をシート状に押出して供給して、供給されたシート状の成形体を異型コルゲートチューブを割り開いた形状に成形した後に、コルゲートチューブを割り開いた形状の成形体を閉じることにより、異型コルゲートチューブを製造している。このため、供給直後の変形しやすいシート状の成形体が変形してくっつくことを防止できる。これにより、長短比が大きい扁平な異型コルゲートチューブを製造することができる。
【0020】
第7の態様に係る異型コルゲートチューブによると、断面視長手方向の寸法が短手方向の寸法に対して3倍以上の寸法に設定されているため、幅寸法に対して厚さ寸法がより小さいフラット形状のワイヤーハーネスの保護部材として適しており、よりコンパクトな形態で幅狭なスペースにも配設することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施形態に係る異型コルゲートチューブの斜視図である。
【図2】実施形態に係る異型コルゲートチューブ製造装置の概略平面図である。
【図3】受取姿勢の対の金型を示す平面図である。
【図4】図2の位置Aにおける対の金型を示す正面図である。
【図5】図2の位置Bにおける対の金型を示す正面図である。
【図6】図2の位置Cにおける対の金型を示す正面図である。
【図7】他の成形姿勢を示す正面図である。
【図8】密着成形部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
実施形態に係る異型コルゲートチューブ、異型コルゲートチューブ製造装置、異型コルゲートチューブ製造方法について説明する。
【0023】
<異型コルゲートチューブ>
まず、異型コルゲートチューブ10について説明する(図1参照)。この異型コルゲートチューブ10は、自動車等に設けられるワイヤーハーネス(WH)を保護する外装材等として用いられる筒状部材である。以下、異型コルゲートチューブ10が、ワイヤーハーネス(WH)を保護する外装材である例で説明する。
【0024】
本実施形態に係る異型コルゲートチューブ10は、断面視円形の異型コルゲートチューブを押し潰したような扁平な異型コルゲートチューブである。この扁平な異型コルゲートチューブ10としては、断面形状が長円形状、長方形の角を丸めた形状、長方形の短辺を外側に凸となる曲線とした形状等のものが挙げられる。すなわち、異型コルゲートチューブ10は、断面視において、一方向に長く、その直交方向に短い形状である。ここで、異型コルゲートチューブ10のうち、断面視において、寸法が大きい方向を長手方向といい、寸法が小さい方向を長手方向に対して短手方向という。また、内周部(後述する谷部14の内周部)における短手方向の寸法に対する長手方向の寸法の寸法比率を長短比という。
【0025】
このような異型コルゲートチューブ10は、フラット形状のワイヤーハーネスWHを保護するのに適している。すなわち、ワイヤーハーネスWHには、複数の電線が並列状に束ねられたフラット形状の部分もある。例えば、ハイブリッド車、電気自動車等のモータとバッテリーとの間等、配策スペースが狭い箇所に、フラット形状のワイヤーハーネスWHが用いられることがある。
【0026】
より具体的には、異型コルゲートチューブ10は、周方向に沿って形成された山部12と谷部14とが延在方向に交互に連続して設けられた扁平筒状に形成されている。そして、この異型コルゲートチューブ10は、長短比が3倍以上に設定されている異型コルゲートチューブである。図1では、長短比が約8倍に設定された異型コルゲートチューブ10を示している。このような扁平な形状により、異型コルゲートチューブ10は、長手方向に変形しにくく、短手方向に変形しやすくなっている。
【0027】
ここでは、異型コルゲートチューブ10は、長手方向両端部において、山部12と谷部14とが面一となった(異型コルゲートチューブ10の延在方向に沿った一直線上に位置する)形状である(図1、図6、図7参照)。より具体的には、山部12と谷部14とは、長手方向端部側の部分において、コルゲートチューブ10の中心軸に対する距離の差(山部12と谷部14との高低差)が、端部に向けて徐々に小さくなるように形成されている。また、ここでは、異型コルゲートチューブ10は、断面形状が長方形の短辺が外側に凸となる曲線とされた形状、すなわち、短手方向両端部に長手方向に略沿った略直線状の部分を有する形状である。
【0028】
また、異型コルゲートチューブ10は、長手方向一端部に、異型コルゲートチューブ10の延在方向に沿って形成されたスリット16を有している。このスリット16は、異型コルゲートチューブ10の内部にワイヤーハーネスWHを配設するためのものである。そして、このスリット16を通じて異型コルゲートチューブ10内にワイヤーハーネスWHを配設し、スリット16を閉じるようにテープ巻き等して、ワイヤーハーネスWHを保護する外装材として用いるとよい。なお、異型コルゲートチューブ10は、スリット16を有するものでなくともよい(図7参照)。すなわち、断面視無端環状であってよい。
【0029】
この異型コルゲートチューブ10は、ナイロン(登録商標)、オレフィン樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)等の樹脂材料8を金型成形することにより形成されている。
【0030】
上記異型コルゲートチューブ10によると、短手寸法が長手寸法に対してより小さく設定されている。このため、ワイヤーハーネスWHの形状の観点から言うと、幅寸法に対してより厚さ寸法が小さいフラット形状のワイヤーハーネスWHが保護対象である場合でも、その形状により適した長短比の大きい形状である異型コルゲートチューブ10は、その内周部とワイヤーハーネスWHの外周部との隙間を小さくしてガタツキを抑制することができる。また、配策スペースの観点からいうと、異型コルゲートチューブ10は、幅寸法が大きいワイヤーハーネスWHを保護する場合にも短手寸法を小さくすることができ、より幅狭なスペースにも配設可能である。
【0031】
<異型コルゲートチューブ製造装置>
次に、上述した扁平な異型コルゲートチューブ10を製造するための異型コルゲートチューブ製造装置20について説明する。異型コルゲートチューブ製造装置20は、供給部30と、複数の対の金型40と、駆動機構部50と、密着成形部70とを備えている(図2、密着成形部70については図8参照)。
【0032】
供給部30は、溶融した樹脂材料8をシート状に押出して供給するように構成されている(図2、図3参照)。この供給部30は、押出機であり、溶融させた樹脂材料8を、先端のTダイ32(フラットダイ)を通過させて押し出し、シート状に成形するものである。ここで、供給部30は、シート状の成形体(樹脂材料8)を軟化状態で供給するようになっている。この軟化状態とは、溶融状態より硬く(流動し難く)、凝固前の成形可能な程度に軟らかい状態であるものとする。供給部30から供給された直後のシート状の樹脂材料8は、軟化状態の中でも、溶融状態から温度低下し始めて間もない軟らかい状態できわめて変形しやすい。なお、図4では、対の金型40の上方に、シート状に供給された樹脂材料8を、二点鎖線で示している。
【0033】
この供給部30では、樹脂材料8を水平面に対して略平行なシート状に押し出すような姿勢でTダイ32が設けられている。以下説明において、Tダイ32の先端部の位置を、供給部30の供給位置ということがある。
【0034】
ここでは、供給部30が供給するシート状の成形体(樹脂材料8)は、後述する受取姿勢の対の金型40の金型面42の一方(外側)の端縁部同士の間隔より大きい幅寸法に設定されている(図3、図4参照)。すなわち、シート状の成形体が、対の金型40の金型面42に対して重力により近接変形する際及び密着成形部70により密着される際に、外側で(一方の端縁部で)不足するのを防止することを考慮した寸法設定である。これにより、図3の右側及び図4に示すように、樹脂材料8が金型面42に密着される際に、金型面42の一方の端縁部に対しても、すなわち、金型面42全体に対して樹脂材料8が密着した状態を得られる。
【0035】
また、上記供給部30は、シート状の成形体(樹脂材料8)を連続的に供給可能に構成されている。すなわち、供給部30は、溶融した樹脂材料8を連続してシート状に押出して供給する。
【0036】
対の金型40は、異型コルゲートチューブ10の断面視長手方向に沿った一側部に対応する部分を有する金型面をそれぞれ有する異型コルゲートチューブ10成型用の金型である。以下、対の金型40について、異型コルゲートチューブ10の形状に対応した方向として長手方向、短手方向を使うことがある。
【0037】
金型面42は、異型コルゲートチューブ10を断面視長手方向両端部で2分割した形状に対応した面である。ここでは、金型面42は、異型コルゲートチューブ10の断面視長手方向に沿った一側部に対応する部分として、短手方向端部において、長手方向に沿った断面視略直線状の部分を有している(図4参照)。また、金型面42は、前記断面視略直線部分の両側方に連続して、異型コルゲートチューブ10の断面視長手方向両端側の曲線部分に対応する断面視曲線状の部分を有している。そして、対の金型40を各金型面42を対向させる姿勢で突き合わせると、各金型面42は異型コルゲートチューブ10の形状に対応した面を成す。
【0038】
上記金型面42は、一方向に交互に連続して設けられた山部形成面42aと谷部形成面42bとを有する凹状面である(図3、図4、図8参照)。山部形成面42aは外周側に凹む凹条面であり、谷部形成面42bは内周側に凸となる凸条面である。山部形成面42aと谷部形成面42bとは、異型コルゲートチューブ10の断面視長手方向両端部に対応する部分において、略面一となる(山部形成面42aと谷部形成面42bとが連続する方向に沿った一直線上に位置する)ように形成されている。すなわち、上記部分では、山部形成面42aと谷部形成面42bとの高低差がない(内外方向の距離がほぼ零の)形状である。より具体的には、山部形成面42aと谷部形成面42bとの高低差(内外方向の距離)は、長手方向の両端側部分で端部に近づくにつれて徐々に小さくなっている。
【0039】
金型面42の他方の端縁部は、長手方向において、対の金型40の各他端部に位置する(図3、図4参照)。すなわち、対の金型40を、他端部を突き合わせる姿勢で隣接させると、各金型面42の他方の端縁部が隣接するようになっている。
【0040】
ここでは、上記対の金型40が複数用意され、その形状は同様に構成されている。そして、この対の金型40は、山部形成面42aと谷部形成面42bとが並ぶ一方向において、一端部に山部形成面42aが設けられ、他端部に谷部形成面42bが設けられている。すなわち、当該一方向に対の金型40を複数並べると、複数の対の金型40間においても山部形成面42aと谷部形成面42bとが交互に並ぶようになっている。
【0041】
駆動機構部50は、対の金型40を、金型面42同士が開いて(ここでは上向きに開いて)供給部30から供給されるシート状の成形体(樹脂材料8)を受取可能な受取姿勢と、金型面42同士が閉じた成形姿勢とで姿勢変更可能に構成されている(図2、図4〜図7参照)。また、この駆動機構部50は、供給部30から供給されるシート状の成形体が受取姿勢の対の金型40で受け取られてから、当該対の金型40を成形姿勢に姿勢変更させるようになっている。
【0042】
より具体的には、駆動機構部50は、複数の対の金型40を、それぞれ一対の無端環状の移動軌道上で直列に移動させる。そして、移動軌道中の所定のチューブ成形路Rにおいて、供給部30からシート状の成形体が供給されるチューブ成形路Rの上流位置で対の金型40を受取姿勢にすると共に、チューブ成形路Rの下流位置で対の金型40を成形姿勢にするように、チューブ成形路Rの上流から下流に向けて対の金型40を徐々に姿勢変更させる(図2参照)。上記チューブ成形路Rは、供給部30の下方の位置で供給方向に沿って延び、その上流位置が平面視において供給部30の供給位置に位置している(図3参照)。
【0043】
ここでは、対の金型40の受取姿勢は、それぞれの金型面42が上方に臨むと共にそれぞれの金型面42が他方の端縁部で隣接(接触していてもよい)する姿勢である。このため、受取姿勢の対の金型40の各金型面42上にシート状の成形体(樹脂材料8)が供給されると、当該シート状の成形体は、自重によって金型面42に対して近接変形する。好ましくは、受取姿勢は、それぞれの金型面42のうち、断面視略直線部分が略水平面上に位置する姿勢に設定されている(図4参照)。この受取姿勢によると、各金型面42の断面視略直線状部分が水平面に対して略平行であり、重力の方向と異型コルゲートチューブ10の短手方向に対応する方向とが略一致するため、樹脂材料8がより小さい変形量で金型面42に対して接触することができる(図4参照)。
【0044】
また、対の金型40の成形姿勢とは、金型面42上に供給された樹脂材料8を、製品としての異型コルゲートチューブ10の形状に成形する姿勢である。ここでは、成形姿勢は、対の金型40のそれぞれの金型面42が互いに一方の端縁部で所定の間隔をあけると共に他方の端縁部で突き合わされて隣接(好ましくは接触)する姿勢である(図6参照)。すなわち、対の金型40が上記成形姿勢とされる場合、断面視長手方向の一端部で開口するスリット16が形成された異型コルゲートチューブ10を得ることができる。このように得られる異型コルゲートチューブ10には、切断によりスリットを形成する場合のような切断痕がない。もっとも、対の金型40の成形姿勢は、これに限られるものではなく、スリット16を有しない異型コルゲートチューブを製造する場合には、各金型面42の両端縁部同士を隣接させた姿勢とされてもよい(図7参照)。
【0045】
ここで、上記駆動機構部50の具体的な構成について説明する。駆動機構部50は、被案内部52と、一対の案内レール56と、送り部62とを有している(図2、図4〜図7参照)。
【0046】
被案内部52は、金型40を案内レール56に沿って移動させるための部材で、複数の対の金型40それぞれに取り付けられている。より具体的には、被案内部52は、案内レール56に嵌合される嵌合部53と金型40を支持する支持部54とを有している(図4〜図7参照)。支持部54は、その基端部で、金型40に対して金型面42とは反対側の部分(ここでは略中央)に固定されている。また、嵌合部53は、支持部54の先端部側に連続して、支持部54より大きい断面積に形成されている。すなわち、被案内部52は、全体として略T字型に形成されている。
【0047】
一対の案内レール56は、複数の対の金型40を、それぞれ、上記被案内部52が嵌合された状態で移動軌道に沿って案内する部材である。案内レール56は、一方で開口し、開口部57の奥側に開口部57より幅広な内部空間を有する断面視略C字形状に形成されている。
【0048】
一対の案内レール56には、対の金型40が片方ずつ支持されるように、それぞれの金型40に取り付けられている被案内部52が嵌合されている。そして、各案内レール56に対して、複数の金型40が隣接して無端環状に並ぶように設けられている。ここで、被案内部52は、案内レール56に対して、金型40の山部形成面42aと谷部形成面42bとが連続する一方向が案内レール56の延在方向と略同方向となる姿勢で嵌合されている。なお、複数の金型40は、互いに前後で当接することにより全体として移動されてもよいし、金型40同士或いは被案内部52同士が図示省略の連結部材によって連結された状態で移動されてもよい。
【0049】
この一対の案内レール56は、移動軌道に沿って配設され、対の金型40をチューブ成形路R上で受取姿勢から成形姿勢に姿勢変更させるように被案内部52を案内可能なねじれた形状に形成されている。より具体的には、対の金型40を、チューブ成形路Rの上流位置(供給部30の供給位置)で受取姿勢(図4参照)にすると共に、徐々に金型面42の他方の端縁部を隣接させたまま一方の端縁部を近接させていき、チューブ成形路Rの下流位置で成形姿勢(図6参照)にする。また、一対の案内レール56は、チューブ成形路R以外の移動軌道では、対の金型40を互いに離間させ、チューブ成形路Rの上流位置で受取姿勢となるように各金型40を姿勢変更させるように形成されている。なお、図4〜図6では、それぞれ、図2における位置A〜位置Cにおける対の金型40の姿勢を示している。
【0050】
すなわち、一対の案内レール56は、開口部57が、チューブ成形路Rの上流位置で上方を向き、徐々に傾いてチューブ成形路Rの下流位置で互いに向かい合い(ここでは若干上側に傾いている)、再びチューブ成形路Rの上流位置に近づくにつれて徐々に上方を向くような形状になっている。
【0051】
送り部62は、複数の金型40を、移動軌道において、供給部30の供給方向、すなわち、チューブ成形路Rの上流から下流に向かう方向に移動させるように送る機構である。例えば、送り部62としては、モータ63により同期して回転駆動される対の歯車64を各移動軌道上の所定の位置に設けると共に、当該各歯車64に噛合可能な図示省略の突起部を各金型40に設け、回転駆動される各歯車64が各金型40の突起部に噛み合うことにより、複数の金型40を送る構成を採用することができる(図2参照)。なお、図2では、対の歯車64を同期させるタイミングベルトを、破線で示している。また、上記歯車に代えて送りローラーを採用し、金型40に対して接触するように設けられていてもよい。もっとも、送り部62は、上記構成に限られず、複数の対の金型40をそれぞれ移動軌道の所定の向きに送ることが可能であればよく、その他種々の構成を採用することができる。
【0052】
上記駆動機構部50により移動される複数の対の金型40は、それぞれ、チューブ成形路Rにおいて樹脂材料8を金型面42上或いは間に有した状態で徐々に姿勢変更されていく。このように、チューブ成形路Rにおいて、並んだ複数の対の金型40は前後で異なる姿勢になり得るため、姿勢の差による前後の対の金型40の金型面42のズレを小さくすることが好ましい。このため、駆動機構部50は、より緩やかに対の金型40を姿勢変更させるように、一対の案内レール56(開口部57)のねじれをより緩やかに設定すると良い。
【0053】
また、ここでは、駆動機構部50は、チューブ成形路Rの上流位置を含む所定距離間に、対の金型40を受取姿勢のまま移動させるように構成されている(図2、図3参照)。すなわち、当該上流位置を含む所定距離間において、一対の案内レール56を、略直線(ねじれのない)形状としている。これは、供給直後のより変形しやすい樹脂材料8を、くっつきなく維持して、より確実に金型面42に対して密着させるための構成である。
【0054】
また、駆動機構部50は、チューブ成形路Rの下流位置を含む所定距離間に、対の金型40を成形姿勢のまま移動させるように構成されている(図2参照)。すなわち、当該下流位置を含む所定距離間において、一対の案内レール56を、略直線(ねじれのない)形状としている。これは、軟化状態で成形される樹脂材料8を、自立して形状を保てる程度に硬くなった凝固状態にするための構成である。
【0055】
密着成形部70は、受取姿勢の対の金型40の各金型面42に対して、供給部30からシート状に供給される樹脂材料8を密着させるように構成されている(図8参照)。
【0056】
ここでは、密着成形部70は、バキューム成形法を用いた構成を採用している。バキューム成形法とは、対の金型40の金型面42上に供給される樹脂材料8を、金型面42側から吸引することにより金型面42に密着させて、金型面42の形状に成形する方法である。この密着成形部70は、対の金型40に、金型面42の内側と金型40の外側とで貫通する吸引孔72を複数形成し、吸引装置74により吸引孔72を通じて金型面42の内側の空気を吸引するように構成されている。吸引孔72は、山部形成面42a及び谷部形成面42bでそれぞれ開口するように複数形成されている。そして、受取姿勢の対の金型40にシート状の樹脂材料8が供給された状態で各吸引孔72を通じて空気が吸引されると、シート状の樹脂材料8と金型面42との間の空気が吸引されて樹脂材料8が金型面42に対して密着される。ここでは、チューブ成形路Rを移動している期間に、対の金型40において吸引が行われるように設定されている。なお、この吸引期間は、少なくとも、金型面42上(或いは金型面42間)の樹脂材料8が全体的に金型面42に密着し、吸引されない状態でも金型面42に密着した形状が維持される程度に温度低下して硬くなる期間である。
【0057】
また、密着成形部70により吸引が行われる際に対の金型40(金型面42の他方の端縁部同士)の間から空気が漏れることを抑制するため、気密部材48が設けられている(図4〜図7参照)。より具体的には、気密部材48は、ゴム、弾性変形可能な樹脂材料で形成されている。そして、気密部材48は、対の金型40の各他端面から突起(ここでは僅かに突起)するように設けられ、対の金型40の受取姿勢で当接して弾性変形した状態となる。これにより、対の金型40の金型面42側とその反対側とで、金型40間からの空気漏れを抑制することができる。
【0058】
もっとも、密着成形部70は、上記バキューム成形法を用いた構成に限定されるものではない。例えば、受取姿勢の対の金型40の金型面42に向けて、その上方から圧縮空気を噴出させる構成を採用することができる。すなわち、受取姿勢の対の金型40上に供給されるシート状の樹脂材料8に対して圧縮空気を噴出させ、樹脂材料8を金型面42に押し付けるように変形させることにより、樹脂材料8を金型面42に密着させる構成である。他にも、対の金型40それぞれに対応するメス金型のメス金型面を、受取姿勢の対の金型40に対して近接させることにより樹脂材料8を金型面42に密着させる構成を採用することができる。例えば、軸周りにメス金型面が形成されたメス金型を軸周りに回転させる、或いは、メス金型を昇降移動させる構成により、順次樹脂材料8を金型面42に密着させればよい。
【0059】
また、上記異型コルゲートチューブ製造装置20は、対の金型40を移動させながら姿勢変更させる構成に限られるものではない。すなわち、受取姿勢の所定長さの対の金型40上に、供給部30によりシート状の成形体(樹脂材料8)を供給した後、対の金型を移動させずに成形姿勢に姿勢変更させる構成であってもよい。
【0060】
<異型コルゲートチューブ製造方法>
次に、異型コルゲートチューブ10の製造方法について、上記異型コルゲートチューブ製造装置20を用いた例で説明する。なお、複数の対の金型40は駆動機構部50により移動軌道に沿って移動されているものとする。
【0061】
まず、溶融した樹脂材料8をシート状に押出して供給する(工程(a)、図4の上側の二点鎖線で示す樹脂材料8参照)。より具体的には、供給部30により、溶融した樹脂材料8をTダイ32を通じてシート状に押し出して、溶融状態より温度が下がった軟化状態で供給する。供給されたシート状の成形体(樹脂材料8)は、チューブ成形路Rの上流位置に位置する受取姿勢の対の金型40に対して、重力の影響により金型面42上に垂れ下がり、部分的に金型面42に接触する状態で載置されていく。そして、チューブ成形路Rの上流から下流に向けて移動される複数の対の金型40に対して、供給部30からシート状の成形体が連続的に供給されて載置されていく。
【0062】
次に、工程(a)で供給されたシート状の成形体を、異型コルゲートチューブ10を断面視長手方向の一端部で割り開いた形状に成形する(工程(b))。より具体的には、バキューム成形法を用いた密着成形部70により各吸引孔72を通じて樹脂材料8と金型面42との間の空気を吸引することにより、樹脂材料8を金型面42に密着させる(図4、図8参照)。なお、シート状の樹脂材料8は、重力の影響によっても金型面42に対して近接するように変形される。
【0063】
そして、工程(b)で成形された異型コルゲートチューブ10を割り開いた形状の成形体を閉じる(工程(c))。すなわち、対の金型40がチューブ成形路Rの上流から下流に移動されるにつれて徐々に成形姿勢に姿勢変更されていくと、樹脂材料8は、異型コルゲートチューブ10の断面視長手方向一端部に対応する部分同士が徐々に近接するように変形されていく(図5参照)。この状態でも、樹脂材料8は、徐々に温度低下しつつ軟化状態に保たれている。ここでは、樹脂材料8は、金型40、空気に触れることにより温度低下している。
【0064】
さらに対の金型40が姿勢変更されて成形姿勢になると、樹脂材料8は、製品としての異型コルゲートチューブ10の形状となる(図6参照)。対の金型40がチューブ成形路Rの下流位置まで移動された状態で、樹脂材料8は、自立して形状を保つことができる程度に硬くなった凝固状態となっている。
【0065】
対の金型40がチューブ成形路Rの下流位置からさらに移動されると、異型コルゲートチューブ10の外周部に対して対の金型40の金型面42が離間する(図2参照)。そして、完成した異型コルゲートチューブ10は、チューブ成形路Rより下流側に送り出されていく。
【0066】
以上のようにして、異型コルゲートチューブ10が製造される。
【0067】
なお、スリット16を有しない異型コルゲートチューブを製造する場合には、樹脂材料8同士がくっつく程度に温度が高い軟化状態に維持されたまま、対の金型40が金型面42の一方の端縁部が隣接される成形姿勢に姿勢変更されるように構成されているとよい(図7参照)。すなわち、金型40を加熱する機構を設けた構成を採用することができる。
【0068】
上記異型コルゲートチューブ製造装置20及び異型コルゲートチューブ製造方法によると、供給部30により溶融した樹脂材料8をシート状に押出して供給し、この供給部30から供給されるシート状の成形体(樹脂材料8)が受取姿勢で受け取られてから、対の金型40が成形姿勢に姿勢変更されるように構成されている。すなわち、供給直後で溶融状態から温度低下し始めて間もない変形しやすい樹脂材料8を、樹脂材料8同士がくっつきにくいシート状の形状で供給している。さらに、供給されるシート状の成形体を、樹脂材料8同士がくっつきにくい受取姿勢の対の金型40により受け取っている。そして、受取姿勢で受け取って供給直後より温度低下した後に、対の金型40を成形姿勢に姿勢変更させて異型コルゲートチューブの形状に成形している。このため、供給直後の樹脂材料8が重力の影響で折れ曲がって潰れたり、樹脂材料8同士がくっついてしまうことを防いで、長短比が大きい扁平なの異型コルゲートチューブ10を製造することができる。
【0069】
また、対の金型40の成形姿勢が、それぞれの金型面42が一方の端縁部で所定の間隔をあけた姿勢となっている。これにより、スリット形成工程を別途設けることなく、ワイヤーハーネスWH収容用のスリット16を有する扁平な異型コルゲートチューブ10を製造することができる。
【0070】
また、対の金型40の受取姿勢が、それぞれの金型面42が上方に臨む姿勢とされている。このため、供給部30から受取姿勢の対の金型40上に供給されるシート状の成形体(樹脂材料8)が、重力の影響により金型面42に近接するように変形され、金型面42から離れて折れ曲がって潰れたり、互いにくっついてしまうことを防止できる。これにより、より確実に長短比が大きい扁平な異型コルゲートチューブ10を製造することができる。
【0071】
また、供給部30によりシート状の成形体が連続的に供給され、対の金型40が、それぞれ一対の移動軌道上で複数移動されてチューブ成形路Rの上流位置で受取姿勢とされると共に下流位置で成形姿勢とされる。このため、供給部30から供給されるシート状の樹脂材料8を複数の対の金型40で連続して受け取って、各対の金型40を順次成形姿勢に姿勢変更させて異型コルゲートチューブ10を製造することができる。すなわち、長短比が高い異型コルゲートチューブ10を、連続的に製造することができる。
【0072】
また、被案内部52がねじれた形態の案内レール56に案内されることにより、対の金型40を受取姿勢と成形姿勢とで姿勢変更させながら移動させることができる。このように、簡易な構成で対の金型40を姿勢変更させつつ移動させることができる。
【0073】
<長短比の高い異型コルゲートチューブの製造について>
以下、既存のコルゲートチューブ製造装置及び本発明に係る異型コルゲートチューブ製造装置20による、長短比の異なる扁平な異型コルゲートチューブ10の製造可否について説明する。
【0074】
ここで、既存のコルゲートチューブ製造装置とは、特許文献1に開示のコルゲートチューブ製造装置において、ブロー成形法の代わりに上記密着成形部70のようなバキューム成形法を用いた構成を採用した装置である。すなわち、筒状の成形空間を形成する閉じ合わせた一対の金型内に、溶融した樹脂材料を押出機により筒状に押し出して供給し、金型面側から空気を吸引して筒状の成形体を金型面に密着させる構成である。
【0075】
ここでは、樹脂材料としてナイロン(登録商標)を使用して、スリットが形成されていないコルゲートチューブを製造する場合について説明する。
【0076】
既存のコルゲートチューブ製造装置で製造した場合には、長短比が2.5倍までの異型のコルゲートチューブは円筒形状(長短比が1倍)のコルゲートチューブと同様に成形できたが、長短比が3以上の異型コルゲートチューブ10を製造することは不可能であった。これは、押出機から供給される成形体が、溶融状態から温度低下し始めて間もない軟らかい状態で極めて変形しやすいうえに、断面視長手方向に沿った部分が短手方向において狭い間隔で位置するため、供給直後の成形体の当該長手方向に沿った部分同士がくっついてしまうことが原因であると考えられる。すなわち、このような場合には、樹脂材料が金型面に対して密着されずに、コルゲートチューブの形状に成形することができない。
【0077】
これに対して、異型コルゲートチューブ製造装置20では、供給部30から供給される成形体(樹脂材料8)は、溶融状態から温度低下し始めて間もない軟らかい状態であるが、シート状に供給されて、受取姿勢の対の金型40で受け取られた後に、対の金型40が成形姿勢に姿勢変更されることにより成形される。すなわち、供給直後の軟らかい状態では、樹脂材料8は、狭い間隔で対向する部分がない状態であり、その後、さらに温度低下して供給直後より硬くなった状態(成形可能な程度の軟らかさを有する状態)で、異型コルゲートチューブ10の形状に成形される。また、対の金型40の受取姿勢も、供給されるシート状の成形体が重力の影響により金型面42に近接するように変形するような姿勢である。このため、樹脂材料8が、供給直後のより軟らかい状態で変形してくっついてしまうことを防止できる。これにより、樹脂材料8を、密着成形部70によって確実に金型面42に密着させることができ、異型コルゲートチューブ10の形状に成形することができる。
【0078】
以上のように、本異型コルゲートチューブ製造装置20によれば、既存のコルゲートチューブ製造装置の問題点を解消することができ、既存のコルゲートチューブ製造装置で製造困難な長短比が3以上の扁平な異型コルゲートチューブ10でも製造可能と考えられる。
【符号の説明】
【0079】
10 異型コルゲートチューブ
12 山部
14 谷部
16 スリット
20 異型コルゲートチューブ製造装置
30 供給部
40 金型
42 金型面
50 駆動機構部
70 密着成形部
WH ワイヤーハーネス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扁平な異型コルゲートチューブを製造する異型コルゲートチューブ製造装置であって、
溶融樹脂をシート状に押出して供給する供給部と、
前記異型コルゲートチューブの断面視長手方向に沿った一側部に対応する部分を有する金型面をそれぞれ有する異型コルゲートチューブ成形用の対の金型と、
前記対の金型を、前記金型面同士が開いて前記供給部から供給されるシート状の成形体を受取可能な受取姿勢と、前記金型面同士が閉じた成形姿勢とで姿勢変更可能で、前記供給部から供給される前記シート状の成形体が前記受取姿勢の前記対の金型で受け取られてから、前記対の金型を前記成形姿勢に姿勢変更させる駆動機構部と、
前記供給部から供給される前記シート状の成形体を、前記受取姿勢の前記対の金型の前記金型面に対して密着させる密着成形部と、
を備える異型コルゲートチューブ製造装置。
【請求項2】
請求項1に記載の異型コルゲートチューブ製造装置であって、
前記対の金型の成形姿勢は、それぞれの前記金型面が一方の端縁部で所定の間隔をあけると共に他方の端縁部で隣接する姿勢である、異型コルゲートチューブ製造装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の異型コルゲートチューブ製造装置であって、
前記対の金型の受取姿勢は、それぞれの前記金型面が上方に臨むと共に他方の端縁部で隣接する姿勢である、異型コルゲートチューブの製造装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の異型コルゲートチューブ製造装置であって、
前記供給部は、前記シート状の成形体を連続的に供給可能で、
前記駆動機構部は、複数の前記対の金型を、それぞれ一対の無端環状の移動軌道上で直列に移動させ、前記移動軌道中の所定のチューブ成形路において、前記供給部から前記シート状の成形体が供給される前記チューブ成形路の上流位置で前記対の金型を受取姿勢にすると共に前記チューブ成形路の下流位置で前記対の金型を成形姿勢にするように、上流から下流に向けて前記対の金型を徐々に姿勢変更させる、異型コルゲートチューブ製造装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の異型コルゲートチューブ製造装置であって、
前記駆動機構部は、
複数の前記対の金型それぞれに取り付けられている被案内部と、
前記移動軌道に沿って配設され、前記対の金型を前記チューブ成形路上で受取姿勢から成形姿勢に姿勢変更させるように前記被案内部を案内可能な形状に形成されている一対の案内レールと、
複数の前記対の金型を、それぞれ、前記チューブ成形路の上流から下流に向けて移動するように送る送り部と、
を有している異型コルゲートチューブ製造装置。
【請求項6】
扁平な異型コルゲートチューブを製造する異型コルゲートチューブ製造方法であって、
(a)溶融樹脂をシート状に押出して供給する工程と、
(b)前記工程(a)で供給されたシート状の成形体を、前記異型コルゲートチューブを断面視長手方向の一端部で割り開いた形状に成形する工程と、
(c)前記工程(b)で成形された前記異型コルゲートチューブを割り開いた形状の成形体を閉じる工程と、
を備える異型コルゲートチューブ製造方法。
【請求項7】
扁平な異型コルゲートチューブであって、
断面視長手方向の寸法が短手方向の寸法に対して3倍以上の寸法に設定されている異型コルゲートチューブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−25073(P2012−25073A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−167007(P2010−167007)
【出願日】平成22年7月26日(2010.7.26)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】