説明

異形押出成形用樹脂組成物および樹脂製サッシ

【課題】異形押出成形用の樹脂組成物および、該樹脂組成物を成形して得られる、サッシ開閉時の負荷が小さく、サッシの開閉操作に対する耐久性に優れる樹脂製サッシおよび樹脂製サッシ部品を提供することである。
【解決手段】
特定の極限粘度を有する超高分子量ポリオレフィンと、特定の極限粘度を有するポリオレフィンとを含んでなる、軽量で摩擦係数が低く、かつ耐摩耗性および耐衝撃性に優れる異形押出成形用樹脂組成物を使用して、樹脂製サッシおよび樹脂製サッシ部品を成形する。
なし

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軽量で剛性、衝撃強度に優れ、摩擦係数が低く、耐摩耗性に優れる異形押出成形用樹脂組成物、並びに該樹脂組成物を成形してなる異形押出成形体、樹脂製サッシ、および樹脂製サッシ用部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化防止のために各種の省エネルギー化検討がなされており、その一環として、住宅の省エネルギー化が促進されている。例えば、現行のアルミサッシでは熱伝導率が高く断熱性能に劣るため、アルミニウムより熱伝導率の低いプラスチック樹脂をサッシの一部もしくはサッシ全体に使用した窓枠(以下、樹脂製サッシと記す)の普及が進んでいる。プラスチックはアルミニウムより熱伝導率が低いことにより、住居内を冷暖房にて室温調整する場合に、熱の移動、損失が少ないため効率的に室温調整を行うことができる。
【0003】
一般にサッシに求められる成形材料の特性としては、サッシ開閉時の負荷低減のため、軽量な材料を使用するほうが好ましく、プラスチック樹脂はアルミニウムより密度が低いものが多く存在し、その中でも、より低密度のプラスチック樹脂が好ましいと考えられる。また、サッシ開閉時の負荷低減のためには成形材料の軽量化のほかに、サッシ開閉時の摺動摩擦負荷が小さい、すなわち摩擦係数が低い材料が好ましい。また、耐久性向上のためには、サッシの開閉の際に生じる摺動摩擦負荷による摩耗が少ない耐摩耗性に優れる材料が求められ、さらにサッシを閉じる際には衝撃が加わるため、耐衝撃性を有する材料が求められている。
【0004】
樹脂製サッシに関しては、これまで種々の提案がなされている。
特許文献1には、FRPを使用したサッシが提案されている。FRPはアルミニウムに対して高断熱特性を有するが、ガラス繊維などの強化材を含むため、強化材を含まないプラスチックと比較して重量が増加する問題がある。
また特許文献2には、硬質塩化ビニル樹脂などの合成樹脂を素材とした、押出成形等により製造された窓枠が例示されている。硬質塩化ビニル樹脂は強度、剛性に優れ、強化材を特に必要としないが、密度がプラスチック類の中では比較的高く、軽量化が十分でない。さらに塩化ビニル樹脂は摩擦係数が高く、耐摩耗性および耐衝撃性が未だ不十分である。
【0005】
低密度なプラスチック樹脂としては、ポリオレフィン、特にポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等が挙げられ、中でも高密度ポリエチレンは強度や剛性に優れるとともに、摩擦係数が低く、優れた耐衝撃性を有する。しかしながら、高密度ポリエチレンであっても耐摩耗性は未だに充分ではなく、低密度で、剛性および衝撃強度に優れ、摩擦係数が低く、耐摩耗性に優れる、樹脂製サッシの製造に好適に使用できる異形押出成形用樹脂組成物が求められている。
【特許文献1】実開平7−38555号公報
【特許文献2】実開平5−32678号公報
【特許文献3】特開2004−332485号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記課題を解決するものであり、軽量で摩擦係数が低いことからサッシ開閉時の負荷が小さく、また耐衝撃性および耐摩耗性に優れることからサッシの開閉操作に対する耐久性に優れる、異形押出成形用樹脂組成物、該樹脂組成物を成形して得られる、異形押出成形体、樹脂製サッシおよび樹脂製サッシ部品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記問題を解決するべく鋭意研究した結果、特定の極限粘度を有する超高分子量ポリオレフィンおよび、特定の極限粘度を有するポリオレフィンからなる樹脂組成物が、異形押出成形用途に好適に使用でき、軽量で摩擦係数が低く、かつ耐衝撃性および耐摩耗性に優れることから、サッシ開閉時の負荷が小さく、サッシの開閉操作に対する耐久性に優れる樹脂製サッシおよび樹脂製サッシ部品が得られることを見出し、本願発明に至った。すなわち本発明は、
(1)極限粘度[η]が5〜40dl/gである超高分子量ポリオレフィン(a)5〜70質量%および、極限粘度[η]が0.1〜4dl/gであるポリオレフィン(b)30〜95質量%を含んでなる、極限粘度[η]が1〜15dl/gおよび密度が930〜980kg/cmである、異形押出成形用樹脂組成物の提供。
(2)前記(1)に記載の異形押出成形用樹脂組成物を成形してなる異形押出成形体の提供。
(3)前記(1)に記載の異形押出成形用樹脂組成物を成形してなる樹脂製サッシの提供。
(4)前記(1)に記載の異形押出成形用樹脂組成物を成形してなる樹脂製サッシ用部品を提供することである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の特定の異形押出成形用樹脂組成物を用いた樹脂製サッシおよび樹脂製サッシ部品は、軽量であるとともに摩擦係数が低いことからサッシ開閉時の負荷が小さく、かつ耐衝撃性および耐摩耗性に優れることから、サッシの開閉操作に対する耐久性に優れるという優れた効果を有し、工業的に極めて価値がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明に係る異形押出成形用樹脂組成物、樹脂製サッシおよび、樹脂製サッシ部品について具体的に説明する。本発明に係る樹脂製サッシまたは樹脂製サッシ部品は、本発明の異形押出成形用樹脂組成物から成形され、該異形押出成形用樹脂組成物は、超高分子量ポリオレフィン(a)とポリオレフィン(b)から構成される。
【0010】
[超高分子量ポリオレフィン(a)]
本発明で用いられる超高分子量ポリオレフィン(a)は、エチレンの単独重合体、またはエチレンと炭素原子数3〜12、好ましくは炭素原子数3〜6のα−オレフィンとの共重合体であり、炭素原子数3〜12のα−オレフィンとして具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテンもしくは3−メチル−1−ペンテンなど挙げることができる。
これらのうち、エチレンの単独重合体、またはエチレンと上記のα−オレフィン、特にプロピレン、1−ブテン、1−ペンテンとの共重合体であって、エチレンが50質量%以上、好ましくは70〜100質量%、さらに90〜100質量%であるエチレンを主成分とする重合体であると、成形体に高結晶性を付与することができ、強度特性、摩耗特性に優れる点で好ましい。
超高分子量ポリオレフィン(a)は、ASTM D1505に準拠して測定される密度が、910〜960kg/m、好ましくは920〜955kg/m、135℃のデカリン溶媒中で測定した極限粘度[η]が、5〜40dl/g、好ましくは7〜35dl/g、特に10〜35dl/gの範囲内にあることが好ましく、この範囲内である場合、本発明の異形押出成形用樹脂組成物を成形して得られる、異形押出成形体、樹脂製サッシおよび樹脂製サッシ部品は、軽量であり、且つ耐薬品性、剛性、耐衝撃性および耐摩耗性に優れることから好ましい。
【0011】
本発明において使用する超高分子量ポリエチレン(a)は従来公知の方法で得ることができ、例えば特許第2659375号公報に記載されているように、触媒の存在下にエチレン単独または、エチレンと上記のα−オレフィンとを共重合させることにより製造することができる。
【0012】
[ポリオレフィン(b)]
本発明で用いられるポリオレフィン(b)は、エチレンの単独重合体、またはエチレンと炭素原子数3〜12、好ましくは炭素原子数3〜6のα−オレフィンとの共重合体であり、炭素原子数3〜12のα−オレフィンとして具体的には、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテンもしくは3−メチル−1−ペンテンなどのα−オレフィンなどを挙げることができる。
これらのうち、エチレンの単独重合体、またはエチレンと上記のα−オレフィン、特にプロピレン、1−ブテン、1−ペンテンとの共重合体であって、エチレンが50質量%以上、好ましくは70〜100質量%、さらに90〜100質量%であるエチレンを主成分とする重合体であると、異形押出成形用樹脂組成物を構成した際に、該樹脂組成物中に超高分子量ポリエチレン(a)を良好に分散させることができ好ましい。
【0013】
ポリオレフィン(b)は、ASTM D1505に準拠して測定される密度が、960〜980kg/m、好ましくは965〜980kg/m、135℃のデカリン溶媒中で測定した極限粘度[η]が、0.1〜4dl/g、好ましくは0.3〜3dl/g、特に0.5〜2dl/gの範囲内にあることが好ましく、この範囲内である場合、異形押出成形用樹脂組成物を構成した際に、成形時の高流動性、良好な成形性が得られるとともに、外観が良好な成形体が得られることから好ましい。
またポリオレフィン(b)は、従来公知の方法で得ることができ、例えば特許第2659375号公報に記載されているように、触媒の存在下に、エチレン単独または、エチレンと上記α−オレフィンとを共重合させることにより製造することができる。
【0014】
[本発明の異形押出成形用樹脂組成物]
本発明において、異形押出成形用樹脂組成物を構成する、超高分子量ポリオレフィン(a)とポリオレフィン(b)の割合は、超高分子量ポリオレフィン(a)とポリオレフィン(b)との総質量に対し、超高分子量ポリオレフィン(a)を5〜70質量%、好ましくは7〜60質量%、さらに好ましくは10〜50質量%であり、このような範囲である場合、優れた耐摩耗性、耐衝撃性が得られるとともに、成形時の高流動性、良好な成形性を得ることができる。
【0015】
本発明の異形押出成形用樹脂組成物は、ASTM D1505に準拠して測定される密度が、930〜980kg/m、好ましくは940〜975kg/m、極限粘度[η]が1〜15dl/g、好ましくは2〜10dl/gの範囲である。この範囲内では成形体の軽量化が可能であり、また摩擦係数が小さくなり、自己潤滑性に優れる成形体が得られる。また、異形押出成形用樹脂組成物中のエチレンが50質量%以上、好ましくは70〜100質量%、さらに90〜100質量%であると、強度特性、摩耗特性に優れる点で好ましい。
【0016】
また、本発明の異形押出成形用樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲内であれば、超高分子量ポリオレフィン(a)およびポリオレフィン(b)以外の他の樹脂を含んでもよく、他の樹脂としては、エチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・α−オレフィン・ジエン(トリエン、ポリエン)三元共重合体などが挙げられる。ここでα−オレフィンとしては、炭素原子数3〜12のプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテンおよび3−メチル−1−ペンテンなどが例示でき、またジエン(トリエン、ポリエン)としては、共役もしくは非共役ジエン、トリエン、ポリエンを含む、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ビニルノルボルネンなどを例示できる。
【0017】
また、本発明の異形押出成形用樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲であれば、通常のポリオレフィンに添加される添加剤、例えば耐熱安定剤、耐候安定剤などの安定剤、難燃剤、架橋剤、架橋助剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、染料、顔料、フィラー、鉱物油系軟化剤、石油樹脂、ワックス等を含有していても良い。これらの添加剤は1種類、または2種類以上組み合わせて用いることができる。
【0018】
また、本発明の異形押出成形用樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲内であれば、必要に応じて有機充填材、例えばカーボンファイバー、カーボンブラック、カーボンナノチューブなど)、および/または無機充填材(例えばシリカ、ケイ藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、軽石粉、軽石バルーン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ドロマイト、硫酸カルシウム、チタン酸カリウム、硫酸バリウム、タルク、クレー、マイカ、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ガラス繊維、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト、硫化モリブデン、グラファイト等を含有していても良い。
【0019】
本発明の異形押出成形用樹脂組成物の製造方法としては、公知の方法が適用でき、例えば特許第2659375号公報に記載されているように、触媒の存在下に極限粘度をかえて、超高分子量ポリオレフィン(a)とポリオレフィン(b)を多段階で重合させることにより製造することができ、必要に応じて超高分子量ポリオレフィン(a)およびポリオレフィン(b)以外の樹脂、安定剤および充填剤等の添加剤を加えてヘンシェルミキサー、タンブラーブレンダー等を用いて混合したした後、押出機を用いて溶融混練して得ることができる。
【0020】
また、個別に重合して得られた、超高分子量ポリエチレン(a)およびポリオレフィン(b)をメルトブレンドしても良い。
使用する押出機は、通常のポリオレフィン樹脂に使用されているものを用いることができるが、混練効果の点で二軸押出機またはタンデム式の押出機の使用が好ましい。また、通常180〜300℃、好ましくは200〜280℃の範囲で溶融混練することが好ましい。
【0021】
本発明の異形押出成形用樹脂組成物のJIS K7218に準拠して測定した摩擦係数は、0.1〜0.5、好ましくは0.1〜0.3、比摩耗量は0〜0.5mm/kg・km、さらに0〜0.3mm/kg・kmであることが好ましい。また、ASTM D256に準じ、試験片成形後に試験片中央部両側にV型ノッチを入れ、温度23℃で測定したアイゾット衝撃強度は、5〜30kJ/m、さらに10〜30kJ/mであることが好ましい。
【0022】
[異形押出成形体]
本発明において、異形押出成形体の断面形状に関して特に制限はないが、その形状には四角形、楕円形、半円形、L字型、T字型、U字型等があり、プロファイルパイプ、中空プロファイル、チェンバープロファイル、開放プロファイル、複合プロファイル、ソリッドプロファイルなどが挙げられる。これらの成形体は、通常押出成形により得ることができ、異形品の押出成形は、ダイから押し出された樹脂を、さらにフォーミングダイを通して寸法や形状を規制しながら引き取ることで成形体を得ることができる。
異形押出成形体としては、窓枠、敷居、鴨居、無目、縦枠、横枠、框、板部材保持材、およびレールなどを例示することができる。
【0023】
[樹脂製サッシ]
樹脂製サッシとは、フレーム(枠)が樹脂製のサッシのことであり、従来のアルミニウム等の金属からなるサッシに比べて、軽量で熱伝導率が低く断熱性が高い。また、水密、気密性にも優れている。
本発明の特定の異形押出成形用樹脂組成物を成形して得られる樹脂製サッシは、軽量かつ摩擦係数が低く、サッシ開閉時の負荷が小さい。また、耐摩耗性に優れ、かつ耐衝撃性に優れることから、サッシ開閉時の耐久性に優れる極めて優れた特徴を有している。
【0024】
[樹脂製サッシ部品]
樹脂製サッシ部品とは、窓枠に付随して使用される部品であり、従来のアルミニウム等の金属からなるサッシ、もしくは樹脂製サッシの任意の部位に使用され、例えば、戸車、衝撃緩衝部品、消音部品などが挙げられる。これらは通常の押出成形により得ることができるが、必要に応じて射出成形などの成形法を用いても良い。本発明の特定の異形押出成形用樹脂組成物は、軽量かつ低摩擦係数であり、また耐衝撃性および耐摩耗性に優れることから、これらの用途に好適に使用することができる。
【実施例】
【0025】
以下、本発明について実施例に基づいて、さらに具体的に説明する。
なお実施例は、本願発明の理解を支援するためにあり、本願発明を限定解釈する根拠となるものではない。
なお実施例および比較例に記載した分析および測定は以下の方法に従って行った。
【0026】
[極限粘度[η]]
ASTM D4020に準じて、135℃のデカリン中で測定した極限粘度を[η]とした。
【0027】
[密度]
ASTM D1505に準じて密度勾配管法にて測定した。
【0028】
[摩擦係数および比摩耗量]
JIS K 7218「プラスチックの滑り摩耗試験A法」に準拠し、松原式摩擦摩耗試験機を使用して測定した。試験条件は、相手材:S45C、速度:50cm/秒、距離:3km、荷重:15kg、測定環境温度:23℃とした。
【0029】
[アイゾット衝撃強度]
ASTM D256に準拠して、V型ノッチは切削加工にて作成して、温度23℃で測定した。ただし、片側ノッチでは完全破壊しないため、試験片中央部両側にV型ノッチを入れた。
【0030】
[実施例1]
密度929kg/m、極限粘度[η]が30dl/gの超高分子量ポリエチレンからなる超高分子量ポリオレフィン(a)と、密度977kg/m、極限粘度[η]が0.7dl/gのポリエチレンからなるポリオレフィン(b)を2段重合することにより、超高分子量ポリオレフィン(a)とポリオレフィン(b)との質量比が15/75の異形押出成形用樹脂組成物を得た。各物性値を評価した結果を表1に示す。
【0031】
実施例1で表わされる本発明の異形押出成形用樹脂組成物は、密度970kg/mであり低密度を保持しているのに対し、通常、FRPは1500kg/mおよび硬質塩化ビニル樹脂は1400kg/mであり密度が高い。また、実施例1は超高分子量ポリオレフィン(a)およびポリオレフィン(b)を適切な配合比にて含むことから低摩擦係数で、かつ比摩耗量が少なく耐摩耗性に優れるとともに、耐衝撃性に優れているため、樹脂サッシ部品として好適である。
【0032】
[実施例2、3、および4]
超高分子量ポリオレフィン(a)とポリオレフィン(b)との質量比を表1に記載の割合にした以外は実施例1と同様に行ない異形押出成形用樹脂組成物を得た。各物性値を評価した結果を表1に示す。
【0033】
[比較例1]
超高分子量ポリオレフィン(a)として、超高分子量ポリエチレン(商品名:ハイゼックスミリオン340M、三井化学株式会社製)のみを使用し、220℃、保持圧力10MPa、保持時間20分にて、厚さ3mmの試験片を得た。各物性値を評価した結果を表1に示す。
超高分子量ポリエチレン特有の優れた耐衝撃性を有するが、分子量が高いために溶融時の流動性が劣るために異形押出成形時の成形性に劣る。
【0034】
[比較例2]
超高分子量ポリオレフィン(a)を使用することなく、ポリオレフィン(b)として高密度ポリエチレン(商品名:ハイゼックス2200J、三井化学株式会社製)のみを使用した以外は実施例1と同様に行ない異形押出成形用樹脂組成物を得た。各物性値を評価した結果を表1に示す。
ポリオレフィン類の特性である低密度を有し、かつ高密度ポリエチレンの特性である低摩擦係数を有するが、比摩耗量が多く耐摩耗性に劣ると共に、衝撃強度も実施例1より劣っていた。
【0035】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の特定の異形押出成形用樹脂組成物は異形押出成形体の製造に好適に使用することができ、特に該樹脂組成物を使用した樹脂製サッシおよび樹脂製サッシ部品は、軽量で摩擦係数が低く、また耐摩耗性および耐衝撃性に優れるため、サッシの開閉時の負荷が小さく、開閉操作に対する耐久性に優れるという優れた効果を有する。従ってアルミサッシおよび既存の塩化ビニル樹脂やFRP製の樹脂製サッシおよび樹脂製サッシ用部品の代替として好適に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
極限粘度[η]が5〜40dl/gである超高分子量ポリオレフィン(a)5〜70質量%および、極限粘度[η]が0.1〜4dl/gであるポリオレフィン(b)30〜95質量%を含んでなる、極限粘度[η]が1〜15dl/gおよび密度が930〜980kg/cmである異形押出成形用樹脂組成物。
【請求項2】
超高分子量ポリオレフィン(a)が、エチレンの単独重合体、またはエチレンと炭素原子数3〜12のα−オレフィンとの共重合体である、請求項1に記載の異形押出成形用樹脂組成物。
【請求項3】
ポリオレフィン(b)が、エチレンの単独重合体、またはエチレンと炭素原子数3〜12のα−オレフィンとの共重合体である、請求項1または2に記載の異形押出成形用樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1〜3に記載の異形押出成形用樹脂組成物を成形してなる異形押出成形体。
【請求項5】
請求項1〜3に記載の異形押出成形用樹脂組成物を成形してなる樹脂製サッシ。
【請求項6】
請求項1〜3に記載の異形押出成形用樹脂組成物を成形してなる樹脂製サッシ用部品。


【公開番号】特開2006−233045(P2006−233045A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−50373(P2005−50373)
【出願日】平成17年2月25日(2005.2.25)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】