説明

異物捕捉機構及び異物捕捉方法

【課題】簡単な構成で、大気中の塵埃などの異物をサブタンク内に侵入させることなく、その上、装置の故障や運搬によってサブタンク内のインクが流出して装置内部を汚染しないこと。
【解決手段】サブタンク6や吸引ノズル22、インクトレイ28の下方に異物捕捉部32を設けると共に、サブタンク6と異物捕捉部32とを大気連通チューブ19を通して大気連通する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばインクジェット方式の画像形成装置に設けられ、インクヘッドやサブタンクなどから排出されたインク内に侵入した塵埃等の異物を補足する異物捕捉機構及び異物捕捉方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット方式の画像形成装置は、インクタンクに収容されているインクをサブタンクを介してインクヘッドに供給し、このインクヘッドからインクを記録用紙等の画像形成媒体に向けて噴射することにより画像を画像形成媒体上に形成する。このような画像形成装置においてインクタンクからサブタンクへのインクの供給は、例えばポンプ等の駆動機構を使用して行うか、又はインクタンクとサブタンクとの間の高低差を利用したインクの自重による自然落下によって行う。
【0003】
インクの供給方法に関する技術は、例えば特許文献1に記載されている。この特許文献1には、一端をサブタンクの上面から同サブタンク内部に配管し、他端を廃液チューブ及び廃液タンクからなる廃液経路に接続したポンプチューブを有し、サブタンクに設けられた大気連結口を閉鎖すると共にサブタンクから記録ヘッドへのインク液供給通路を閉鎖し、ポンプチューブの駆動によりサブタンク内部を吸引し、同サブタンク内部を負圧にすることによってメインタンクからサブタンクにインクを供給することが開示されている。
【0004】
又、特許文献1には、ポンプチューブには、一方向弁が設けられ、廃液経路からサブタンクへのインクの逆流を防止することが開示され、さらにサブタンクに設けられた大気連結口については、大気連結口を閉じるということが開示されている。
【0005】
一方、上記画像形成装置では、インクヘッドの吐出不良を回復するためのインクヘッドに対するメンテナンスを行い、かつこのメンテナンス時に、インクヘッドから排出されたインクを廃液として回収する必要がある。このような廃液の排出方法も上記特許文献1に開示されている。すなわち、特許文献1には、記録ヘッドの目詰まりを解消するために記録ヘッドから予備吐出されたインクを廃液チューブなどを通して構造部材内に自然落下させ、又記録ヘッドの吐出口面をワイパーブレードによってクリーニングしたときにワイパーブレードに付着したインクをワイパートレイに落下させ、このワイパートレイに落下したインクを廃液経路へと自然落下させ、さらに記録ヘッドの吐出口面をキャッピングするキャップからの廃液を吸引ポンプの駆動により廃液経路に排出させることが開示されている。
【0006】
なお、記録ヘッドの吐出不良の原因となる大気中の塵等の異物をサブタンク内部に侵入させない方法としては、一般的に、サブタンクの大気連結口にフィルタ等を設け、このフィルタ等によって大気中の塵等の異物のサブタンク内部への侵入を防ぐ方法を採用することが想定される。
【0007】
又、特許文献1では、メインタンクがサブタンクよりも下方に設けられているため、メインタンクの内圧が加圧状態になるか、若しくはサブタンクの内圧が負圧にならない限り、メインタンクからサブタンクに向かってインクが供給されることはない。ポンプチューブが駆動し続けた場合、メインタンクから供給されたインクは、サブタンクの上面からポンプチューブを通して廃液経路へと流れるようになっている。
【特許文献1】特開2000−289232号公報(図面図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1では、記録ヘッドの吐出不良を回復するための記録ヘッドに対するメンテナンス時に、記録ヘッドから排出されたインクを廃液として廃液タンクに回収しているが、記録ヘッドの吐出不良の原因となる大気中の塵等の異物のサブタンク内部への侵入自体を防ぐ方法については開示されていない。
【0009】
又、特許文献1では、装置の構成上、メインタンクを設ける位置をサブタンクよりも上方にする必要が生じた場合、装置に誤動作等が発生したときにメインタンク内に収容されているインクが自重によりサブタンクに向かって流れ出すことが想定される。このような場合、メインタンクからサブタンクに流れ出るインクの速度がサブタンクから廃液経路に流れるインクの速度よりも速い場合、サブタンクの大気連結口からインクが流出し、装置内部を汚してしまう可能性がある。しかも、サブタンクと廃液経路との間に一方向弁が設けているので、サブタンクから廃液経路に流れるインクの流速は遅くなり、サブタンクの大気連結口からインクが流出する可能性は高くなる。
【0010】
又、装置の運搬や輸送時などにサブタンク内の液面が揺れることによって、大気連通口からインクが溢れる可能性もある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、インクを収容するインクタンクと、インクタンクからインクの供給を受けるサブタンクと、サブタンクからのインクの供給によりインクを噴射するインクヘッドと、インクヘッドのノズル面を吸引する回収部及びインクヘッドから排出されたインクを受ける受け部を有する吸引機構と、吸引機構からのインクを収納する廃液タンクとを有する画像形成装置に設けられ、インク内に侵入した異物を補足する異物捕捉機構において、サブタンクに接続された少なくとも1つの第1の配管と、吸引機構の回収部に接続された少なくとも1つの第2の配管と、吸引機構の受け部に接続された少なくとも1つの第3の配管と、第1の配管、第2の配管及び第3の配管からのインクを廃液タンクに送ると共に、少なくとも第1の配管、第2の配管又は第3の配管からのインク内に侵入した異物を捕捉する異物捕捉部とを具備した異物捕捉機構である。
【0012】
本発明は、インクタンクに収容されているインクをサブタンクを介してインクヘッドに供給することによりインクヘッドからインクを噴射し、かつインクヘッドのノズル面に残留するインクを吸引機構の回収部により吸引して回収し、インクヘッドから排出されたインクを吸引機構の受け部で受けるに当たり、サブタンクからのインクを第1の配管を通して廃液タンクに送り、かつ吸引機構の回収部により吸引して回収されたインクを第2の配管を通して廃液タンクに送ると共に、吸引機構の受け部で受けたインクを第3の配管を通して廃液タンクに送る際に、少なくとも第1の配管、第2の配管又は第3の配管からのインク内に侵入した異物を捕捉する異物捕捉方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、簡単な構成で、大気中の塵埃などの異物をサブタンク内に侵入させることなく、その上、装置の故障や運搬によってサブタンク内のインクが流出して装置内部を汚染することもない異物捕捉機構及び異物捕捉方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
先ず、本発明の概略について図面を参照して説明する。図1は異物捕捉機構を備えた画像形成装置の概略構成図を示す。
インクタンク1内には、インク2が収容されている。このインクタンク1の上部には、大気開放弁3が設けられ、かつ下部には供給チューブ4の一端が設けられている。この供給チューブ4は、インクタンク1の下方に向かって配管され、その中間位置に供給開閉弁5が設けられている。
【0015】
このインクタンク1の下方には、サブタンク6が設けられている。このサブタンク6内には、インクタンク1から供給されるインク2が収容されている。このサブタンク6の上面には、供給ポート7、加圧ポート8、吸込みポート9及び大気連通口10が設けられている。このうち供給ポート7と吸込みポート9とは、サブタンク6内に収容されているインク2内に浸されている。
供給ポート7には、供給チューブ4の他端が接続されている。加圧ポート8には、加圧チューブ11の一端が接続され、この加圧チューブ11の他端側に加圧チャンバ12、加圧フィルタ13を介して加圧ポンプ14が接続されている。加圧フィルタ13は、加圧ポンプ14から送られてくる大気中の塵などの異物をサブタンク6内に侵入させないために設けられている。又、加圧チューブ11の中間位置には、加圧開閉弁15が設けられている。
吸込みポート9には、ヘッド供給チューブ16の一端が接続され、このヘッド供給チューブ16の他端側には、封止弁17を介してインクヘッド18が接続されている。このインクヘッド18は、インクタンク1とサブタンク6との間の高さ位置に設けられている。このインクヘッド18は、下面のノズル面18aに複数の吐出ノズルが設けられ、これら吐出ノズルからそれぞれインク2を噴射する。これにより、当該インクヘッド18の下方に搬送される記録用紙等の画像形成媒体Aに対してインク2が着弾し、画像形成媒体A上に画像が形成される。なお、封止弁17は、インクヘッド18の着脱の際にヘッド供給チューブ16を閉じ、インクヘッド18が装着されている際は開放する。
大気連通口10には、第1の配管としての大気連通チューブ19の一端が接続されている。この大気連通チューブ19は、サブタンク6の上面から下方に向けて折り曲げられて配管され、その中間位置に大気開放弁20が設けられている。
サブタンク6の側面には、液面センサ21が設けられている。この液面センサ21は、例えばサブタンク6内のインク2の液面が所定の水位に到達してことを検知すると、オン信号を出力し、インク2の液面が所定の水位よりも下降するとオフ信号を出力する。この液面センサ21から出力されるオン信号、オフ信号に基づいてサブタンク6内のインク2の液面が常に一定になるように制御される。
【0016】
インクヘッド18の下方には、吸引機構の回収部としての吸引ノズル22が設けられている。この吸引ノズル22は、インクヘッド18のメンテナンス時に、インクヘッド18のノズル面18aに接触し、この状態で吸引を行いながらインクヘッド18のノズル面18aに対して走査し、インクヘッド18のノズル面18aに残留するインク2を吸引する。この吸引ノズル22には、第2の配管としてのノズル廃液チューブ23の一端が接続されている。このノズル廃液チューブ23は、吸引ノズル22から下方に向けて折り曲げられて配管され、下方位置にある他端に分離チャンバ24が接続されている。この分離チャンバ24には、吸引ポンプ25が接続されている。この分離チャンバ24は、吸引ノズル22により吸引されたインク2と大気とを分離する。この分離チャンバ24の下部には、チャンバチューブ26が接続されている。このチャンバチューブ26は、分離チャンバ24の下部から下方に向かって配管されている。このチャンバチューブ26には、吸引開閉弁27が設けられている。
【0017】
又、インクヘッド18の下方には、吸引機構の受け部としてのインクトレイ28が設けられている。このインクトレイ28は、インクヘッド18から排出されたインク2を受けるもので、底面29が傾斜して設けられている。このインクトレイ28の底面29における最底部には、排出ポート30が設けられ、この排出ポート30に第3の配管としてのトレイ廃液チューブ31の一端が接続されている。このトレイ廃液チューブ31は、インクトレイ28から下方に向けて配管されている。
【0018】
大気連通チューブ19の下方に配管された他端、ノズル廃液チューブ23の下方に配管された他端及びトレイ廃液チューブ30の下方に配管された他端には、異物捕捉部32が接続されている。この異物捕捉部32の下部には、集合チューブ33を介して廃液タンク34が接続されている。
【0019】
異物捕捉部32は、大気連通チューブ19、ノズル廃液チューブ23及びトレイ廃液チューブ30からのインク2を廃液タンク34に送ると共に、大気連通チューブ19、ノズル廃液チューブ23及びトレイ廃液チューブ30からのインク2内に侵入した例えば大気中の塵埃などの異物を捕捉し、この異物がサブタンク6への侵入するのを防止する。この異物捕捉部32は、インク2が付着した状態で異物を捕捉するフィルタ35を有する。このフィルタ35は、インクヘッド18の内部に設けられたフィルタよりも粗い目、例えば50ミクロン以上とする。
【0020】
廃液タンク34の上面には、大気開放口36が設けられている。これにより、この大気開放口36から廃液タンク34、集合チューブ33、異物捕捉部32、大気連通チューブ19を通してサブタンク6内が大気開放される。
なお、異物捕捉部32は、サブタンク6、分離チャンバ24及びインクトレイ28よりも下方に設けられ、かつ廃液タンク34は、異物捕捉部32よりも下方に設けられている。
【0021】
次に、上記の如く構成された装置の動作について説明する。
【0022】
サブタンク6に接続された大気連通チューブ19の大気開閉弁20を開放状態にすると共に、加圧チューブ11の加圧開閉弁15を閉じた状態にする。この状態で、インクタンク1に接続された供給チューブ4の供給開閉弁5を開放状態にすると、インクタンク1に充填されたインク2は、インクタンク1とサブタンク6との高低差によって供給チューブ4を通ってサブタンク6へと供給される。これにより、サブタンク6内のインク2の液面が上昇する。
【0023】
サブタンク6内のインク2の液面が所定の水位に到達すると、液面センサ21は、当該サブタンク6内のインク2の液面が所定の水位に到達したことを検知する。このようにサブタンク6内のインク2の液面が所定の水位に到達すると、大気開閉弁20が閉じられる。これにより、サブタンク6内は気密になるので、サブタンク6内のインク2は、インクタンク1からのインク2の供給と共に、ヘッド供給チューブ16を通ってインクヘッド18に供給される。この後、インクヘッド18にインク2が充填されるように予め設定された時間が経過すると、供給開閉弁5が閉じられる。これにより、インクタンク1からサブタンク6へのインク2の供給が停止する。
【0024】
次に、インクヘッド18の各吐出ノズルに形成される各メニスカスを正常にするためにメンテナンス動作が行われる。すなわち、大気開閉弁20と加圧開閉弁15と供給開閉弁5は、それぞれ閉じた状態を継続し、この状態で加圧ポンプ14を駆動する。このとき加圧開閉弁15は閉じた状態なので、加圧ポンプ14から送られる空気は、加圧チャンバ12に圧縮空気として蓄積される。この加圧チャンバ12内の圧力が規定値に達すると、加圧開閉弁15が開放される。これにより、加圧チャンバ12内の圧縮空気がサブタンク6内に送りこまれる。なお、加圧チャンバ12内の圧力が規定値に達したことを検知するのは、加圧チャンバ12に圧力計を設けて計測したり、加圧ポンプ14の駆動時間を設定することにより行ってもよい。
【0025】
圧縮空気がサブタンク6内に送りこまれたとき、大気開閉弁20及び供給開閉弁5は閉じた状態なので、サブタンク6内のインク2は、サブタンク6内に一気に送り込まれた圧縮空気によって唯一の出口となるヘッド供給チューブ16に押し出される。このヘッド供給チューブ16に押し出されたインク2は、当該ヘッド供給チューブ16を通ってインクヘッド18に送られ、このインクヘッド18の各吐出ノズルからそれぞれ押し出される。この後、大気開閉弁20が開放される。
【0026】
インクヘッド18から押し出されたインク2は、インクヘッド18の下方に滴下し、インクトレイ28で受滴され、収集される。このインクトレイ28は、その底面29を傾斜してあるので、インクトレイ28内に受滴されたインク2は、インクトレイ28の底面29の最底部に向かって流れ、トレイ廃液チューブ31内に流入し、このトレイ廃液チューブ31内を通って異物捕捉部32に流入し、この異物捕捉部32を通って廃液タンク34に送られる。このとき、異物捕捉部32内のフィルタ35は、トレイ廃液チューブ31から流入するインク2が付着した状態となる。
【0027】
一方、インクヘッド18のメンテナンス時、インクヘッド18のノズル面18aに対して吸引ノズル22が走査される。これと共に、吸引開閉弁27が閉じられた状態で、吸引ポンプ25が吸引動作を行う。この吸引ポンプ25による吸引力は、ノズル廃液チューブ23を通して吸引ノズル22のみに加わる。これにより、吸引ノズル22は、インクヘッド18のノズル面18aからインク2を吸引する。吸引されたインク液2は、ノズル廃液チューブ23を通って分離チャンバ24へ送られる。この分離チャンバ24は、吸引ノズル22により吸引されたインク2と大気とを分離する。そして、吸引開閉弁27が開放されると、分離チャンバ24によって分離されたインク2は、チャンバチューブ26を通って異物捕捉部32に流入し、この異物捕捉部32を通って廃液タンク34に送られる。このようなメンテナンス動作の結果、インクヘッド18の各吐出ノズルには、正常なメニスカスが形成される。なお、異物捕捉部32内のフィルタ35は、チャンバチューブ26から流入するインク2が付着した状態となる。
【0028】
又、メンテナンス動作によってサブタンク6内のインク2の液面が所定の水位よりも低下すると、このサブタンク6に設けられた液面センサ21は、オフ信号を出力する。これにより、供給開閉弁5が開放し、インクタンク1からサブタンク6にインク2が供給されてサブタンク6内のインク2の液面が所定の水位よりも高くなると、再び液面センサ21は、オン信号を出力する。再び、供給開閉弁5が閉じられ、サブタンク6へのインク2の供給が停止する。
【0029】
ところが、例えば、異常発生等の何らかの原因によって供給開閉弁5が閉じられなかった場合、インクタンク1からサブタンク6へのインク2の供給量が増大すると、サブタンク6内にインク2が大量に供給され、サブタンク6内がインク2により満杯になる。そして、サブタンク6から溢れたインク2は、自重によって大気連通口10に接続された大気連通チューブ19を通して異物捕捉部32に流入し、この異物捕捉部32を通って廃液タンク34に送られる。
【0030】
一方、サブタンク6内に大気中の塵埃等の異物が侵入すると、この異物がインク2に混ざってインクヘッド18に供給されてしまう。このため、インクヘッド18の各吐出ノズル内に異物が入り、各吐出ノズルからの各インク2の吐出が不良となる。各吐出ノズルからの各インク2の吐出が不良になると、これら吐き出されたインク2が着弾することにより形成される画像形成媒体上の画像の画質に悪影響を及ぼす。
【0031】
しかるに、本発明の構成によれば、異物捕捉部32内のフィルタ35は、常にインク排出チューブ23とトレイ廃液チューブ31とからそれぞれ流入するインク2が付着した状態になっている。これにより、インク2内に混在する異物は、フィルタ35に付着したインク2に接触することにより同インク2の粘着力によって吸着され、この結果、フィルタ35に捕捉される。
【0032】
又、サブタンク6は、大気連通チューブ19から異物捕捉部32内のフィルタ35、インク排出チューブ23、吸引ノズル22の開口部や大気連通チューブ19から異物捕捉部32内のフィルタ35、インクトレイ28の開口部を通してそれぞれ大気連通し、さらに大気連通チューブ19から異物捕捉部32内のフィルタ35、廃液タンク34の大気開放口36を通して大気開放されるので、フィルタ35を通った大気のみと安定した大気連通を行うことができる。
【0033】
従って、吸引ノズル22の開口部から送り込まれる大気中に混入した塵埃等の異物、インクトレイ28の開口部から送り込まれる大気中に混入した塵埃等の異物は、全てフィルタ35に付着したインク2によって捕捉され、これら異物が例えば大気連通チューブ19を辿ってサブタンク6侵入することを防止している。
【0034】
又、サブタンク6から溢れたインク2は、大気連通チューブ19を通って廃液タンク34に送られるので、装置の誤作動があっても、又輸送時に装置を傾けたりしても、サブタンク6から溢れたインク2によって装置内部が汚染されることを完全に防止できる。
【0035】
次に、本発明の異物捕捉機構を備えた画像形成装置の具体的な第1の実施の形態について説明する。図2は異物捕捉機構を備えた画像形成装置の具体的な構成図を示す。
4つのインクタンク1k、1c、1m、1yは、互いに同一高さ位置に設けられている。これらインクタンク1k、1c、1m、1y内には、それぞれブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)の各インク2k、2c、2m、2yが収容されている。これらインクタンク1k、1c、1m、1yの各上部には、それぞれ大気開放弁3k、3c、3m、3yが設けられ、かつ各下部には各供給チューブ4k、4c、4m、4yの一端が設けられている。これら供給チューブ4k、4c、4m、4yは、それぞれ各インクタンク1k、1c、1m、1yの下方に向かって配管され、その各中間位置に各供給開閉弁5k、5c、5m、5yが設けられている。
【0036】
各インクタンク1k、1c、1m、1yの各下方には、それぞれ各サブタンク6k、6c、6m、6yが設けられている。これらサブタンク6k、6c、6m、6yは、互いに同一高さ位置に設けられている。これらサブタンク6k、6c、6m、6y内には、それぞれ各インクタンク1k、1c、1m、1yから供給されるKCMYの各インク2k、2c、2m、2yが収容されている。
【0037】
ここで、各サブタンク6k、6c、6m、6yの周辺構成をKCMYの各インク経路別に説明する。Kのインク経路において、K色のインク2kを収容するサブタンク6kの上面には、供給ポート7k、加圧ポート8k、吸込みポート9k及び大気連通口10kが設けられている。このうち供給ポート7kと吸込みポート9kとは、サブタンク6k内に収容されているインク2k内に浸されている。
【0038】
供給ポート7kには、供給チューブ4kの他端が接続されている。加圧ポート8kには、加圧チューブ11kの一端が接続され、この加圧チューブ11kの他端側に加圧チャンバ12、加圧フィルタ13を介して加圧ポンプ14が接続されている。又、加圧チューブ11kの中間位置には、加圧開閉弁15kが設けられている。
吸込みポート9kには、ヘッド供給チューブ16kの一端が接続され、このヘッド供給チューブ16kの他端側には、封止弁17kを介してインクヘッド18kが接続されている。このインクヘッド18kは、インクタンク1kとサブタンク6kとの間の高さ位置に設けられている。このインクヘッド18kは、下面のノズル面18kaに複数の吐出ノズルが設けられ、これら吐出ノズルからそれぞれインク2kを噴射する。なお、封止弁17kは、インクヘッド18kの着脱の際にヘッド供給チューブ16kを閉じ、インクヘッド18kが装着されている際は開放する。
大気連通口10kには、第1の配管としての大気連通チューブ19kの一端が接続されている。この大気連通チューブ19kは、サブタンク6kの上面から下方に向けて折り曲げられて配管され、その中間位置に大気開放弁20kが設けられている。
サブタンク6kの側面には、液面センサ21kが設けられている。この液面センサ21kは、例えばサブタンク6k内のインク2kの液面が所定の水位に到達してことを検知すると、オン信号を出力し、インク2kの液面が所定の水位よりも下降するとオフ信号を出力する。この液面センサ21kから出力されるオン信号、オフ信号に基づいてサブタンク6k内のインク2kの液面が常に一定になるように制御される。
【0039】
CMYの各インク経路もKのインク経路と同様に、CMY色の各インク2c、2m、2yをそれぞれ収容する各サブタンク6c、6m、6yの各上面には、それぞれ供給ポート7c、7m、7y、各加圧ポート8c、8m、8y、各吸込みポート9c、9m、9y及び各大気連通口10c、10m、10yが設けられ、このうち各供給ポート7c、7m、7yと各吸込みポート9c、9m、9yとは、各サブタンク6c、6m、6y内にそれぞれ収容されている各インク2c、2m、2y内に浸されている。
【0040】
各供給ポート7c、7m、7yには、各供給チューブ4c、4m、4yの各他端が接続されている。各加圧ポート8c、8m、8yには、各加圧チューブ11c、11m、11yの一端が接続され、これら加圧チューブ11c、11m、11yの各他端側に加圧チャンバ12、加圧フィルタ13を介して加圧ポンプ14が接続されている。又、各加圧チューブ11c、11m、11yの中間位置には、各加圧開閉弁15c、15m、15yが設けられている。
各吸込みポート9c、9m、9yには、各ヘッド供給チューブ16c、16m、16yの一端が接続され、これらヘッド供給チューブ16c、16m、16yの他端側には、各封止弁17c、17m、17yを介して各インクヘッド18c、18m、18yが接続されている。これらインクヘッド18c、18m、18yは、互いに同一高さ位置に設けられている。これらインクヘッド18c、18m、18yは、各下面の各ノズル面18ca、18ma、18yaにそれぞれ複数の吐出ノズルが設けられ、これら吐出ノズルからそれぞれ各インク2c、2m、2yを噴射する。なお、各封止弁17c、17m、17yは、それぞれ各インクヘッド18c、18m、18yの着脱の際に各ヘッド供給チューブ16c、16m、16yを閉じ、各インクヘッド18c、18m、18yが装着されている際は開放する。
各大気連通口10c、10m、10yには、それぞれ第1の配管としての各大気連通チューブ19c、19m、19yの一端が接続されている。これら大気連通チューブ19c、19m、19yは、各サブタンク6c、6m、6yの上面から下方に向けて折り曲げられて配管され、その中間位置に各大気開放弁20c、20m、20yが設けられている。
各サブタンク6c、6m、6yの各側面には、各液面センサ21c、21m、21yが設けられている。これら液面センサ21c、21m、21yは、例えば各サブタンク6c、6m、6y内の各インク2c、2m、2yの液面が所定の水位に到達してことを検知すると、オン信号を出力し、各インク2c、2m、2yの液面が所定の水位よりも下降するとオフ信号を出力する。これら液面センサ21c、21m、21yから出力されるオン信号、オフ信号に基づいて各サブタンク6c、6m、6y内の各インク2c、2m、2yの液面が常に一定になるように制御される。
【0041】
各インクヘッド18k、18c、18m、18yの各下方には、それぞれ吸引機構の回収部としての各吸引ノズル22k、22c、22m、22yが設けられている。これら吸引ノズル22k、22c、22m、22yは、各インクヘッド18k、18c、18m、18yのメンテナンス時に、各インクヘッド18k、18c、18m、18yの各ノズル面18ka、18ca、18ma、18yaに接触し、この状態で吸引を行いながら各インクヘッド18k、18c、18m、18yの各ノズル面18ka、18ca、18ma、18yaに対して走査し、各インクヘッド18k、18c、18m、18yの各ノズル面18ka、18ca、18ma、18yaに残留する各インク2k、2c、2m、2yをそれぞれ吸引する。
【0042】
これら吸引ノズル22k、22c、22m、22yには、それぞれ第2の配管としての各ノズル廃液チューブ23k、23c、23m、23yの各一端が接続されている。これらノズル廃液チューブ23k、23c、23m、23yは、各吸引ノズル22k、22c、22m、22yから下方に向けて折り曲げられて配管され、下方位置にある他端に分離チャンバ24が接続されている。
【0043】
この分離チャンバ24には、吸引ポンプ25が接続されている。この分離チャンバ24は、各吸引ノズル22k、22c、22m、22yによりそれぞれ吸引された各インク2k、2c、2m、2yと大気とを分離する。この分離チャンバ24の下部には、チャンバチューブ26が接続されている。このチャンバチューブ26は、分離チャンバ24の下部から下方に向かって配管されている。このチャンバチューブ26には、吸引開閉弁27が設けられている。
【0044】
又、各インクヘッド18k、18c、18m、18yの下方には、吸引機構の受け部としてのインクトレイ28が設けられている。このインクトレイ28は、各インクヘッド18k、18c、18m、18yからそれぞれ排出された各インク2k、2c、2m、2yを受けるもので、底面29が傾斜して設けられている。このインクトレイ28の底面29における最底部には、排出ポート30が設けられ、この排出ポート30に第3の配管としてのトレイ廃液チューブ31の一端が接続されている。このトレイ廃液チューブ31は、インクトレイ28から下方に向けて配管されている。
【0045】
各大気連通チューブ19k、19c、19m、19yの下方に配管された各他端、各ノズル廃液チューブ23k、23c、23m、23yの下方に配管された各他端及びトレイ廃液チューブ30の下方に配管された他端には、異物捕捉部32が接続されている。この異物捕捉部32の下部には、集合チューブ33を介して廃液タンク34が接続されている。
【0046】
異物捕捉部32は、各大気連通チューブ19k、19c、19m、19yの下方に配管された各他端、各ノズル廃液チューブ23k、23c、23m、23y及びトレイ廃液チューブ30からの各インク2k、2c、2m、2yを廃液タンク34に送ると共に、各大気連通チューブ19k、19c、19m、19yの下方に配管された各他端、各ノズル廃液チューブ23k、23c、23m、23y及びトレイ廃液チューブ30からの各インク2k、2c、2m、2y内に侵入した例えば大気中の塵埃などの異物を捕捉し、この異物が各サブタンク6k、6c、6m、6yへの侵入するのを防止する。
【0047】
廃液タンク34の上面には、大気開放口36が設けられている。この場合、廃液タンク34の上面には、上方に向いた凸状空間部34aが設けられ、この凸状空間部34aの状面に大気開放口36が設けられている。これにより、大気開放口36から廃液タンク34、集合チューブ33、異物捕捉部32、各大気連通チューブ19k、19c、19m、19yを通して各サブタンク6k、6c、6m、6y内が大気開放される。
【0048】
図3は異物捕捉部32の構成図を示す。この異物捕捉部32は、密閉構造の捕捉容器40を有する。この捕捉容器40の上部には、ノズル廃液用ポート41及びトレイ廃液用ポート42が設けられると共に、下部には廃液タンク用ポート43が設けられている。ノズル廃液用ポート41にはチャンバチューブ26が接続され、トレイ廃液用ポート42にはトレイ廃液チューブ31が接続され、廃液タンク用ポート43には集合チューブ33が接続されている。
又、捕捉容器40の側面には、4つのサブタンク連通用ポート44k、44c、44m、44yが設けられている。サブタンク連通用ポート44kにはサブタンク6kと連通する大気連通チューブ19kが接続され、サブタンク連通用ポート44cにはサブタンク6cと連通する大気連通チューブ19cが接続され、サブタンク連通用ポート44mにはサブタンク6mと連通する大気連通チューブ19mが接続され、サブタンク連通用ポート44yにはサブタンク6yと連通する大気連通チューブ19yが接続されている。
【0049】
捕捉容器40の内部には、2つのフィルタ45、46が設けられている。このうちフィルタ45は、ノズル廃液用ポート41及びトレイ廃液用ポート42の下方でかつサブタンク連通用ポート44k、44c、44m、44yの上方に設けられている。具体的にフィルタ45は、ノズル廃液用ポート41とトレイ廃液用ポート42とからそれぞれ下方に向かって流出する各インク2k、2c、2m、2yの流れ方向と交わる方向で、かつその外周縁を捕捉容器40の内壁40aに係止して設けられている。
【0050】
フィルタ46は、各サブタンク連通用ポート44k、44c、44m、44yの下方でかつ廃液タンク用ポート43の上方に設けられている。具体的にフィルタ46は、特に各サブタンク連通用ポート44k、44c、44m、44yからそれぞれ下方に向かって流出する各インク2k、2c、2m、2yの流れ方向と交わる方向で、かつその外周縁を捕捉容器40の内壁40aに係止して設けられている。
【0051】
各フィルタ45、46は、それぞれ例えば図4(a)に示すようなメッシュ状に形成されている。これらフィルタ45、46は、常に、インク排出チューブ31と、各ノズル廃液チューブ23k,23c,23m,23yから分離チャンバ24、チャンバチューブ26とから送られてくる各インク2k、2c、2m、2yが付着した状態となっている。図4(b)は、各フィルタ45、46に各インク2k、2c、2m、2yが付着した状態を示す。
これらフィルタ45、46は、図5(a)に示すように各インク2k、2c、2m、2yの付着がなければ、メッシュの各間に塵埃等の異物fが通過可能となるが、同図(b)に示すように各インク2k、2c、2m、2yが付着していれば、メッシュの各間に各インク2k、2c、2m、2yが表面張力によって付着し、メッシュの各間の隙間を狭くする。これにより、異物fは、メッシュに付着した各インク2k、2c、2m、2yに接触すると、これらインク2k、2c、2m、2yの粘着力によって吸着され、この結果、フィルタ45、46に捕捉される。
【0052】
次に、上記の如く構成された装置の動作について説明する。
【0053】
各サブタンク6k、6c、6m、6yに接続された各大気連通チューブ19k、19c、19m、19yの各大気開閉弁20k、20c、20m、20yをそれぞれ開放状態にすると共に、各加圧チューブ11k、11c、11m、1yの各加圧開閉弁15k、15c、15m、15yをそれぞれ閉じた状態にする。この状態で、各インクタンク1k、1c、1m、1yに接続された各供給チューブ4k、4c、4m、4yの各供給開閉弁5k、5c、5m、5yを開放状態にすると、各インクタンク1k、1c、1m、1yに充填された各インク2k、2c、2m、2yは、それぞれ各供給チューブ4k、4c、4m、4yを通って各サブタンク6k、6c、6m、6yへと供給される。これにより、各サブタンク6k、6c、6m、6y内の各インク2k、2c、2m、2yの液面がそれぞれ上昇する。
【0054】
各サブタンク6k、6c、6m、6y内の各インク2k、2c、2m、2yの各液面がそれぞれ所定の水位に到達すると、各液面センサ21k、21c、21m、21yは、各サブタンク6k、6c、6m、6y内の各インク2k、2c、2m、2yの各液面が所定の水位に到達したことを検知する。これら検知により各大気開閉弁20k、20c、20m、20yが閉じられる。これにより、各サブタンク6k、6c、6m、6y内はそれぞれ気密になるので、各サブタンク6k、6c、6m、6y内の各インク2k、2c、2m、2yは、それぞれ各インクタンク1k、1c、1m、1yからの各インク2k、2c、2m、2yの供給と共に、各ヘッド供給チューブ16k、16c、16m、16yを通って各インクヘッド18k、18c、18m、18yに供給される。この後、各インクヘッド18k、18c、18m、18yに各インク2k、2c、2m、2yが充填されるように予め設定された時間が経過すると、各供給開閉弁5k、5c、5m、5yが閉じられる。これにより、各インクタンク1k、1c、1m、1yから各サブタンク6k、6c、6m、6yへの各インク2k、2c、2m、2yの供給が停止する。
【0055】
次に、各インクヘッド18k、18c、18m、18yの各吐出ノズルに形成される各メニスカスを正常にするためにメンテナンス動作が行われる。すなわち、各大気開閉弁20k、20c、20m、20yと各加圧開閉弁15k、15c、15m、15yと各供給開閉弁5k、5c、5m、5yは、それぞれ閉じた状態を継続し、この状態で加圧ポンプ14を駆動する。このとき各加圧開閉弁15k、15c、15m、15yは閉じた状態なので、加圧ポンプ14から送られる空気は、加圧チャンバ12に圧縮空気として蓄積される。この加圧チャンバ12内の圧力が規定値に達すると、各加圧開閉弁15k、15c、15m、15yが開放される。これにより、加圧チャンバ12内の圧縮空気が各サブタンク6k、6c、6m、6y内に送りこまれる。なお、加圧チャンバ12内の圧力が規定値に達したことを検知するのは、加圧チャンバ12に圧力計を設けて計測したり、加圧ポンプ14の駆動時間を設定することにより行ってもよい。
【0056】
圧縮空気が各サブタンク6k、6c、6m、6y内に送りこまれたとき、各大気開閉弁20k、20c、20m、20y及び各供給開閉弁5k、5c、5m、5yは閉じた状態なので、各サブタンク6k、6c、6m、6y内の各インク2k、2c、2m、2yは、各サブタンク6k、6c、6m、6y内に一気に送り込まれた圧縮空気によって唯一の出口となる各ヘッド供給チューブ16k、16c、16m、16yに押し出される。これらヘッド供給チューブ16k、16c、16m、16yに押し出された各インク2k、2c、2m、2yは、当該各ヘッド供給チューブ16k、16c、16m、16yを通って各インクヘッド18k、18c、18m、18yに送られ、これらインクヘッド18k、18c、18m、18yの各吐出ノズルからそれぞれ押し出される。この後、各大気開閉弁20k、20c、20m、20yが開放される。
【0057】
各インクヘッド18k、18c、18m、18yから押し出された各インク2k、2c、2m、2yは、各インクヘッド18k、18c、18m、18yの下方に滴下し、インクトレイ28で受滴され、収集される。このインクトレイ28内に受滴された各インク2k、2c、2m、2yは、インクトレイ28の底面29の最底部に向かって流れ、トレイ廃液チューブ31内に流入し、このトレイ廃液チューブ31内を通って異物捕捉部32に流入し、この異物捕捉部32内の各フィルタ45、46を通って廃液タンク34に送られる。
【0058】
一方、各インクヘッド18k、18c、18m、18yのメンテナンス時、各インクヘッド18k、18c、18m、18yの各ノズル面18ka、18ca、18ma、18yaに対して各吸引ノズル22k、22c、22m、22yが走査される。これと共に、吸引開閉弁27が閉じられた状態で、吸引ポンプ25が吸引動作を行う。この吸引ポンプ25による吸引力は、各ノズル廃液チューブ23k、23c、23m、23yを通して各吸引ノズル22k、22c、22m、22yにそれぞれ加わる。これにより、各吸引ノズル22k、22c、22m、22yは、それぞれ各インクヘッド18k、18c、18m、18yの各ノズル面18ka、18ca、18ma、18yaからそれぞれ各インク2k、2c、2m、2yを吸引する。これら吸引された各インク液2k、2c、2m、2yは、それぞれ各ノズル廃液チューブ23k、23c、23m、23yを通って分離チャンバ24へ送られる。この分離チャンバ24は、各吸引ノズル22k、22c、22m、22yにより吸引された各インク2k、2c、2m、2yと大気とを分離する。そして、吸引開閉弁27が開放されると、分離チャンバ24によって分離されたインク2k、2c、2m、2yは、チャンバチューブ26を通って異物捕捉部32に流入し、この異物捕捉部32内の各フィルタ45、46を通って廃液タンク34に送られる。このようなメンテナンス動作の結果、各インクヘッド18k、18c、18m、18yの各吐出ノズルには、正常なメニスカスが形成される。
【0059】
又、メンテナンス動作によって各サブタンク6k、6c、6m、6y内の各インク2k、2c、2m、2yの液面が所定の水位よりも低下すると、これらサブタンク6k、6c、6m、6yに設けられた各液面センサ21k、21c、21m、21yは、それぞれオフ信号を出力する。これにより、各供給開閉弁5k、5c、5m、5yが開放し、各インクタンク1k、1c、1m、1yから各サブタンク6k、6c、6m、6yに各インク2k、2c、2m、2yが供給されて各サブタンク6k、6c、6m、6y内の各インク2k、2c、2m、2yの液面が所定の水位よりも高くなると、再び各液面センサ21k、21c、21m、21yは、それぞれオン信号を出力する。再び、各供給開閉弁5k、5c、5m、5yが閉じられ、各サブタンク6k、6c、6m、6yへの各インク2k、2c、2m、2yの供給が停止する。
【0060】
ところが、例えば、異常発生等の何らかの原因によって各供給開閉弁5k、5c、5m、5yのうち少なくとも1つの供給開閉弁5k、5c、5m、5yが閉じられなかった場合、当該閉じられなかった少なくとも1つの供給開閉弁5k、5c、5m、5yに対応するインク経路における各インクタンク1k、1c、1m、1yから各サブタンク6k、6c、6m、6yへの各インク2k、2c、2m、2yの供給量が増大すると、当該少なくとも1つの各サブタンク6k、6c、6m、6y内に各インク2k、2c、2m、2yが大量に供給され、各サブタンク6k、6c、6m、6y内が各インク2k、2c、2m、2yにより満杯になる。そして、各サブタンク6k、6c、6m、6yから溢れた各インク2k、2c、2m、2yは、自重によって各大気連通口10k、10c、10m、10yに接続された各大気連通チューブ19k、19c、19m、19yを通して異物捕捉部32に流入し、この異物捕捉部32内のフィルタ46を通って廃液タンク34に送られる。
【0061】
一方、少なくとも1つのサブタンク6k、6c、6m、6y内に大気中の塵埃等の異物fが侵入すると、この異物fが各インク2k、2c、2m、2yに混ざって少なくとも1つのインクヘッド18k、18c、18m、18yに供給されてしまう。このため、少なくとも1つのインクヘッド18k、18c、18m、18yの各吐出ノズル内に異物が入り、これら吐出ノズルからの各インク2k、2c、2m、2yの吐出が不良となる。各吐出ノズルからの各インク2k、2c、2m、2yの吐出が不良になると、これら吐き出された各インク2k、2c、2m、2yが着弾することにより形成される画像形成媒体上の画像の画質に悪影響を及ぼす。
【0062】
しかるに、本発明の構成によれば、異物捕捉部32内の各フィルタ45、46は、常に少なくとも1つのインク排出チューブ23k、23c、23m、23yとトレイ廃液チューブ31とからそれぞれ流入する各インク2k、2c、2m、2yが付着した状態になっている。これにより、各インク2k、2c、2m、2y内に混在する異物fは、各フィルタ45、46に付着した各インク2k、2c、2m、2yに接触することにより同各インク2k、2c、2m、2yの粘着力によって吸着され、この結果、各フィルタ45、46に捕捉される。
【0063】
又、各サブタンク6k、6c、6m、6yは、それぞれ各大気連通チューブ19k、19c、19m、19yから異物捕捉部32内のフィルタ46、各インク排出チューブ23k、23c、23m、23y、各吸引ノズル22k、22c、22m、22yの開口部を通して大気連通すると共に、各大気連通チューブ19k、19c、19m、19yから異物捕捉部32内のフィルタ45、インクトレイ28の開口部を通してそれぞれ大気連通し、さらに各大気連通チューブ19k、19c、19m、19yから異物捕捉部32内のフィルタ46、廃液タンク34の大気開放口36を通して大気開放される。
【0064】
従って、例えば少なくとも1つの吸引ノズル22k、22c、22m、22yの各開口部から送り込まれる大気中に混入した塵埃等の異物fやインクトレイ28の開口部から送り込まれる大気中に混入した塵埃等の異物fは、フィルタ45に付着した各インク2k、2c、2m、2yによって捕捉され、又廃液タンク34の大気中に混入した塵埃等の異物fは、フィルタ46に付着した各インク2k、2c、2m、2yによって捕捉される。
【0065】
このように上記第1の実施の形態によれば、各サブタンク6k、6c、6m、6yや吸引ノズル22k、22c、22m、22y、インクトレイ28の下方に異物捕捉部32を設けると共に、各サブタンク6k、6c、6m、6yと異物捕捉部32とを各大気連通チューブ19k、19c、19m、19yを通して連通するようにしたので、各インク2k、2c、2m、2y内に混入した塵埃等の異物fを異物捕捉部32内の各フィルタ45、46により捕捉できると共に、少なくとも1つのサブタンク6k、6c、6m、6yから溢れた各インク2k、2c、2m、2yは、各大気連通チューブ19k、19c、19m、19yから異物捕捉部32を通って廃液タンク34に送られるので、各サブタンク6k、6c、6m、6yから溢れた各インク2k、2c、2m、2yによって装置内部を汚染することを完全に防止できる。従って、簡単な構成で、装置内部の汚れとインク経路への異物fの混入を同時に防止できる。
【0066】
各サブタンク6k、6c、6m、6yは、それぞれ各大気連通チューブ19k、19c、19m、19yから異物捕捉部32内のフィルタ46、各インク排出チューブ23k、23c、23m、23y、各吸引ノズル22k、22c、22m、22yの開口部を通して大気連通すると共に、各大気連通チューブ19k、19c、19m、19yから異物捕捉部32内のフィルタ45、インクトレイ28の開口部を通してそれぞれ大気連通し、さらに各大気連通チューブ19k、19c、19m、19yから異物捕捉部32内のフィルタ46、廃液タンク34の大気開放口36を通して大気開放されるので、安定した大気連通を行うことができる。
【0067】
従って、各サブタンク6k、6c、6m、6yの各大気連通口10k、10c、10m、10yから溢れた各インク2k、2c、2m、2yは、廃液経路としての各大気連通チューブ19k、19c、19m、19yを通って最終的に廃液として必ず廃液タンク34に送られるので、装置の誤作動があっても、又輸送時に装置を傾けたりしても、各サブタンク6k、6c、6m、6yの各大気連通口10k、10c、10m、10yから溢れた各インク2k、2c、2m、2yによって装置内部を汚染することを完全に防止することができる。
【0068】
又、各サブタンク6k、6c、6m、6yの各大気連通口10k、10c、10m、10yを装置内の高い位置に配置し、かつ各大気連通口10k、10c、10m、10yからの各インク2k、2c、2m、2yの流出を防止する機構等を特に設けなくても、装置の構成上必ず必要な各サブタンク6k、6c、6m、6yの廃液系を利用して異物fを捕捉するので、簡単な構成で、各サブタンク6k、6c、6m、6yの大気連通と、各サブタンク6k、6c、6m、6y内への異物fの混入防止を実現できる。
【0069】
なお、上記第1の実施の形態は、次のように変形してもよい。
各インクヘッド18k、18c、18m、18yのメンテナンス時、加圧チャンバ12に圧縮空気を溜めて各加圧開閉弁15k、15c、15m、15yを開き、各サブタンク6k、6c、6m、6yへ一気に圧縮空気を送る際に、各大気開閉弁20k、20c、20m、20yを一度開閉させてもよい。これにより、各サブタンク6k、6c、6m、6yに送られた圧縮空気が異物捕捉部32に送ることもでき、この異物捕捉部32に送られた圧縮空気によって異物捕捉部32に設けられた各フィルタ45、46に付着した各インク2k、2c、2m、2yを吹き飛ばし、これらフィルター45、46の目詰まりを取る制御を行ってもよい。
【0070】
各インクヘッド18k、18c、18m、18yのメンテナンスは、各吸引ノズル22k、22c、22m、22yを走査する方式を採っているが、吸引キャップと各インクヘッド18k、18c、18m、18yとを密閉し、各インクヘッド18k、18c、18m、18y内の各インク2k、2c、2m、2yを吸引する方式を採ってもよい。
【0071】
本装置におけるインク供給系は、各インクタンク1k、1c、1m、1yの下方に各サブタンク6k、6c、6m、6yを配置し、さらに下方に異物捕捉部32、廃液タンク34などを配置し、これらインクタンク1k、1c、1m、1yと各サブタンク6k、6c、6m、6yとなどの高低差によって生じる各インク2k、2c、2m、2yの自重による補給方式を採っているが、各インクタンク1k、1c、1m、1yを各サブタンク6k、6c、6m、6y等の下方に配置し、各インクタンク1k、1c、1m、1yから各サブタンク6k、6c、6m、6y等への各インク2k、2c、2m、2yの供給をポンプを使って行うようにしてもよい。
【0072】
次に、本発明の異物捕捉機構を備えた画像形成装置の具体的な第2の実施の形態について説明する。なお、図2と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
図6は異物捕捉機構を備えた画像形成装置の具体的な構成図を示す。各サブタンク6k、6c、6m、6yの下方には、集合タンク50が設けられている。この集合タンク50は、密閉構造を有し、その上面に各大気連通用ポート51k、51c、51m、51yが設けられている。このうち大気連通用ポート51kには大気連通チューブ19kが接続され、大気連通用ポート51cには大気連通チューブ19cが接続され、大気連通用ポート51mには大気連通チューブ19mが接続され、大気連通用ポート51yには大気連通チューブ19yが接続されている。この集合タンク50は、少なくとも1つの各サブタンク6k、6c、6m、6yから溢れた少なくとも1つのインク2k、2c、2m、2yを集める。
【0073】
この集合タンク50の底面52は、傾斜して設けられ、その最底部にインク溜り部53が設けられ、このインク溜り部53の側面に異常検知センサ54が設けられている。この異常検知センサ54は、インク溜り部53内へのインク2k、2c、2m、2yの流入の有無を検知するもので、インク溜り部53内に流入する少なくとも1つのインク2k、2c、2m、2yの量が所定量に達すると、オンの異常検知信号を出力する。
又、集合タンク50の側面には、オーバフローポート55が設けられている。このオーバフローポート55は、インク溜り部53及び異常検知センサ54よりも上方に設けられている。このオーバフローポート55には、オーバフローチューブ56の一端が設けられ、かつこのオーバフローチューブ56に大気開放弁57が設けられている。
【0074】
廃液タンク34は、集合タンク50よりも下方に設けられている。この廃液タンク34の上面には、異物捕捉部32が設けられている。図7は廃液タンク34及び異物捕捉部32の構成図を示す。廃液タンク34の上面には、凸状部からなる開口部60が設けられ、この開口部60に蓋部61が被覆されている。この蓋部61が開口部60に被覆されると、廃液タンク34は密閉状態になる。
【0075】
蓋部61の上面には、ノズル廃液用ポート62、トレイ廃液用ポート63及びオーバフロー用ポート64が設けられている。このうちノズル廃液用ポート62にはチャンバチューブ26が接続され、トレイ廃液用ポート63にはトレイ廃液チューブ31が接続され、オーバフロー用ポート64にはオーバフローチューブ56が接続されている。
蓋部61の内面には、捕捉支持筒65が設けられている。この捕捉支持筒65は、ノズル廃液用ポート62及びトレイ廃液用ポート63を内径側に設けるだけの径を有する。この捕捉支持筒65の下端口は、傾斜して形成されている。この捕捉支持筒65の下端口には、フィルタ66が設けられている。従って、このフィルタ66は、ノズル廃液用ポート62とトレイ廃液用ポート63とからそれぞれ自重により廃液タンク34内に流入する各インク2k、2c、2m、2yの各流入方向、すなわち重力の方向に対して傾斜して設けられている。
【0076】
このフィルタ66は、上記第1の実施の形態で説明した各フィルタ45、46と同様に、例えば図4(a)に示すようなメッシュ状に形成されている。このフィルタ66は、図4(b)に示すように常に、インク排出チューブ31と、各ノズル廃液チューブ23k,23c,23m,23yから分離チャンバ24、チャンバチューブ26とから送られてくる各インク2k、2c、2m、2yが付着した状態となっている。
このフィルタ66は、図5(a)に示すように各インク2k、2c、2m、2yの付着がなければ、メッシュの各間に塵埃等の異物fが通過可能となるが、同図(b)に示すように各インク2k、2c、2m、2yが付着していれば、メッシュの各間に各インク2k、2c、2m、2yが表面張力によって付着し、メッシュの各間の隙間を狭くする。これにより、異物fは、メッシュに付着した各インク2k、2c、2m、2yに接触すると、これらインク2k、2c、2m、2yの粘着力によって吸着され、この結果、フィルタ66に捕捉される。
このフィルタ66は、重力に対して斜めに設けられているので、図7に示すようにチャンバチューブ26から流出する各インク2k、2c、2m、2yは、フィルタ66のメッシュを張った方向に沿った矢印B方向に流れ、フィルタ66の全面に行き渡り、確実にフィルタ66の全面が各インク2k、2c、2m、2yにより覆われる。従って、フィルタ66は、メッシュの全面に付着した各インク2k、2c、2m、2yの粘着力によって異物fを確実に捕捉する。
【0077】
廃液タンク34の上面には、大気開放口67が設けられ、この大気開放口67を通して廃液タンク34は大気開放している。この大気開放口67には、大気開放フィルタ68が設けられ、この大気開放フィルタ68によって廃液タンク34外の大気に含まれた塵埃等の異物fが廃液タンク34内に侵入するのを防止している。この大気開放フィルタ68は、フィルタ66より細かい目のものを使用し、例えば濾紙を使用する。これら大気開放口67及び大気開放フィルタ68は、異物捕捉部32と離れたところで、かつ廃液タンク34の上面から上方に延出して設けられている。これにより、大気開放口67及び大気開放フィルタ68は、異物捕捉部32から排出される各インク2k、2c、2m、2yが付着することなく、安定した大気開放を実現する。
【0078】
次に、上記の如く構成された装置の動作について説明する。
【0079】
上記第1の実施の形態と同様に、各インクヘッド18k、18c、18m、18yの各吐出ノズルに形成される各メニスカスを正常にするためにメンテナンス動作が行われる。このメンテナンス時、各インクヘッド18k、18c、18m、18yから押し出された各インク2k、2c、2m、2yは、各インクヘッド18k、18c、18m、18yの下方に滴下し、インクトレイ28で受滴され、収集される。このインクトレイ28内に受滴された各インク2k、2c、2m、2yは、インクトレイ28の底面29の最底部に向かって流れ、トレイ廃液チューブ31内に流入し、このトレイ廃液チューブ31内を通って異物捕捉部32に流入し、この異物捕捉部32内のフィルタ66を通って廃液タンク34に送られる。
【0080】
一方、各インクヘッド18k、18c、18m、18yのメンテナンス時、各インクヘッド18k、18c、18m、18yの各ノズル面18ka、18ca、18ma、18yaに対して各吸引ノズル22k、22c、22m、22yが吸引しながら走査される。これら吸引ノズル22k、22c、22m、22yにより吸引された各インク液2k、2c、2m、2yは、それぞれ各ノズル廃液チューブ23k、23c、23m、23yを通って分離チャンバ24へ送られ、この分離チャンバ24において各インク2k、2c、2m、2yと大気とに分離される。この分離チャンバ24によって分離されたインク2k、2c、2m、2yは、チャンバチューブ26を通って異物捕捉部32に流入し、この異物捕捉部32内のフィルタ66を通って廃液タンク34に送られる。これにより、各インクヘッド18k、18c、18m、18yの各吐出ノズルには、正常なメニスカスが形成される。
【0081】
このようなメンテナンス動作時に、各供給開閉弁5k、5c、5m、5yの開閉制御によって各インクタンク1k、1c、1m、1yから各サブタンク6k、6c、6m、6yへの各インク2k、2c、2m、2yの供給制御を行う場合、例えば、異常発生等の何らかの原因によって各供給開閉弁5k、5c、5m、5yのうち少なくとも1つの供給開閉弁5k、5c、5m、5yが閉じられなかった場合、当該閉じられなかった少なくとも1つの供給開閉弁5k、5c、5m、5yに対応するインク経路における各インクタンク1k、1c、1m、1yから各サブタンク6k、6c、6m、6yへの各インク2k、2c、2m、2yの供給量が増大する。
【0082】
これにより、当該少なくとも1つの各サブタンク6k、6c、6m、6y内に各インク2k、2c、2m、2yが大量に供給され、各サブタンク6k、6c、6m、6y内が各インク2k、2c、2m、2yにより満杯になり、各サブタンク6k、6c、6m、6yから溢れた各インク2k、2c、2m、2yは、自重によって各大気連通口10k、10c、10m、10yに接続された各大気連通チューブ19k、19c、19m、19yを通して集合タンク50内に流入する。
【0083】
この集合タンク50内に流入した各インク2k、2c、2m、2yは、集合タンク50の傾斜した底面52により最低部に向かって流れてインク溜り部53に溜まる。このインク溜り部53に各インク2k、2c、2m、2yが所定量だけ溜まると、異常検知センサ54は、オンの異常検知信号を出力する。これにより、エラーの情報が外部に発信され、装置の稼働が停止する。尚、エラー後も各インク2k、2c、2m、2yが流れ続けた場合、集合タンク50内に溜まっている各インク2k、2c、2m、2yは、インク溜り部53の側面に接続されたオーバフローチューブ56を通って廃液タンク34に廃棄される。
【0084】
一方、少なくとも1つのサブタンク6k、6c、6m、6y内に大気中の塵埃等の異物fが侵入すると、この異物fが各インク2k、2c、2m、2yに混ざって少なくとも1つのインクヘッド18k、18c、18m、18yに供給されてしまう。このため、少なくとも1つのインクヘッド18k、18c、18m、18yの各吐出ノズル内に異物が入り、これら吐出ノズルからの各インク2k、2c、2m、2yの吐出が不良となる。各吐出ノズルからの各インク2k、2c、2m、2yの吐出が不良になると、これら吐き出された各インク2k、2c、2m、2yが着弾することにより形成される画像形成媒体上の画像の画質に悪影響を及ぼす。
【0085】
しかるに、本発明の構成によれば、異物捕捉部32内のフィルタ66は、常に少なくとも1つのインク排出チューブ23k、23c、23m、23yとトレイ廃液チューブ31とからそれぞれ流入する各インク2k、2c、2m、2yが付着した状態になっている。特に、フィルタ66は、重力に対して斜めに設けられているので、図7に示すようにチャンバチューブ26から流出する各インク2k、2c、2m、2yは、フィルタ66のメッシュを張った方向に沿った矢印B方向に流れ、フィルタ66の全面に行き渡り、確実にフィルタ66の全面が各インク2k、2c、2m、2yにより覆われる。これにより、各インク2k、2c、2m、2y内に混在する異物fは、フィルタ66に付着した各インク2k、2c、2m、2yに接触することにより同各インク2k、2c、2m、2yの粘着力によって吸着され、この結果、フィルタ66に捕捉される。
【0086】
又、各サブタンク6k、6c、6m、6yは、それぞれ各大気連通チューブ19k、19c、19m、19yから集合タンク50、廃液タンク34の大気開放口67、大気開放フィルタ68を通して大気開放される。従って、例えば少なくとも1つの吸引ノズル22k、22c、22m、22yの各開口部から送り込まれる大気中に混入した塵埃等の異物fやインクトレイ28の開口部から送り込まれる大気中に混入した塵埃等の異物fは、フィルタ45に付着した各インク2k、2c、2m、2yによって捕捉される。
【0087】
このように上記第2の実施の形態によれば、各サブタンク6k、6c、6m、6yや吸引ノズル22k、22c、22m、22y、インクトレイ28の下方に異物捕捉部32を設けると共に、各サブタンク6k、6c、6m、6yと異物捕捉部32とを各大気連通チューブ19k、19c、19m、19yから集合タンク50を通して連通するようにしたので、各インク2k、2c、2m、2y内に混入した塵埃等の異物fを異物捕捉部32内のフィルタ66により捕捉できると共に、少なくとも1つのサブタンク6k、6c、6m、6yから溢れた各インク2k、2c、2m、2yは、各大気連通チューブ19k、19c、19m、19yから集合タンク50を通って廃液タンク34に送られるので、各サブタンク6k、6c、6m、6yから溢れた各インク2k、2c、2m、2yによって装置内部を汚染することを完全に防止できる。従って、簡単な構成で、装置内部の汚れとインク経路への異物fの混入を同時に防止できる。
【0088】
又、廃液タンク34の上面の大気開放口67に大気開放フィルタ68を設けることにより廃液タンク34外の大気に含まれた塵埃等の異物fが廃液タンク34内に侵入するのを防止でき、かつこれら大気開放口67及び大気開放フィルタ68を異物捕捉部32と離れたところで、かつ廃液タンク34の上面から上方に延出して設けることにより、これら大気開放口67及び大気開放フィルタ68に異物捕捉部32から排出される各インク2k、2c、2m、2yが付着することなく、安定した大気開放を実現する。
【0089】
又、集合タンク50を設け、この集合タンク50のインク溜り部53に異常検知センサ54を設けて各サブタンク6k、6c、6m、6yからの各インク2k、2c、2m、2yの溢れを検知できる。さらに、集合タンク50を設けることにより、大気開閉弁57を各色KCMY系統毎に設けずに一本化することが可能となるので、構成が簡単となり、コストも削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明に係る異物捕捉機構を備えた画像形成装置を示す概略構成図。
【図2】本発明に係る異物捕捉機構を備えた画像形成装置の第1の実施の形態を示す具体的な構成図。
【図3】同異物捕捉機構における異物捕捉部の構成図。
【図4】同異物捕捉機構におけるフィルタの構成図。
【図5】同異物捕捉機構におけるフィルタによる異物の捕捉作用を示す図。
【図6】本発明に係る異物捕捉機構を備えた画像形成装置の第2の実施の形態を示す具体的な構成図。
【図7】同異物捕捉機構における廃液タンク及び異物捕捉部の構成図。
【符号の説明】
【0091】
1:インクタンク、2:インク、3:大気開放弁、4:供給チューブ、5:供給開閉弁、6:サブタンク、7:供給ポート、8:加圧ポート、9:吸込みポート、10:大気連通口、11:加圧チューブ、12:加圧チャンバ、13:加圧フィルタ、14:加圧ポンプ、15:加圧開閉弁、16:ヘッド供給チューブ、17:封止弁、18:インクヘッド、18a:ノズル面、19:大気連通チューブ、20:大気開放弁、21:液面センサ、22:吸引ノズル、23:ノズル廃液チューブ、24:分離チャンバ、25:吸引ポンプ、26:チャンバチューブ、27:吸引開閉弁、28:インクトレイ、29:底面、30:排出ポート、31:トレイ廃液チューブ、32:異物捕捉部、33:集合チューブ、34:廃液タンク、34a:凸状空間部、35:フィルタ、36:大気開放口、1k,1c,1m,1y:インクタンク、2k,2c,2m,2y:インク、3k,3c,3m,3y:大気開放弁、4k,4c,4m,4y:供給チューブ、5k,5c,5m,5y:供給開閉弁、6k,6c,6m,6y:サブタンク、7k,7c,7m,7y:供給ポート、8k,8c,8m,8y:加圧ポート、9k,9c,9m,9y:吸込みポート、10k,10c,10m,10y:大気連通口、11k,11c,11m,11y:加圧チューブ、15k,15c,15m,15y:加圧開閉弁、16k,16c,16m,16y:ヘッド供給チューブ、17k,17c,17m,17y:封止弁、18k,18c,18m,18y:インクヘッド、18ka,18ca,18ma,18ya:ノズル面、19k,19c,19m,19y:大気連通チューブ、20k,20c,20m,20y:大気開放弁、21k,21c,21m,21y:液面センサ、22k,22c,22m,22y:吸引ノズル、23k,23c,23m,23y:ノズル廃液チューブ、40:捕捉容器、41:ノズル廃液用ポート、42:トレイ廃液用ポート、43:廃液タンク用ポート、44k,44c,44m,44y:サブタンク連通用ポート、45,46:フィルタ、40a:捕捉容器の内壁、f:異物、50:集合タンク、51k,51c,51m,51y:大気連通用ポート、52:集合タンクの底面、53:インク溜り部、54:異常検知センサ、55:オーバフローポート、56:オーバフローチューブ、57:大気開放弁、60:開口部、61:蓋部、62:ノズル廃液用ポート、63:トレイ廃液用ポート、64:オーバフロー用ポート、65:捕捉支持筒、66:フィルタ、67:大気開放口、68:大気開放フィルタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを収容するインクタンクと、前記インクタンクから前記インクの供給を受けるサブタンクと、前記サブタンクからの前記インクの供給により前記インクを噴射するインクヘッドと、前記インクヘッドのノズル面を吸引する回収部及び前記インクヘッドから排出された前記インクを受ける受け部を有する吸引機構と、前記吸引機構からの前記インクを収納する廃液タンクとを有する画像形成装置に設けられ、前記インク内に侵入した異物を補足する異物捕捉機構において、
前記サブタンクに接続された少なくとも1つの第1の配管と、
前記吸引機構の前記回収部に接続された少なくとも1つの第2の配管と、
前記吸引機構の前記受け部に接続された少なくとも1つの第3の配管と、
前記第1の配管、前記第2の配管及び前記第3の配管からの前記インクを前記廃液タンクに送ると共に、少なくとも前記第1の配管、前記第2の配管又は前記第3の配管からの前記インク内に侵入した前記異物を捕捉する異物捕捉部と、
を具備したことを特徴とする異物捕捉機構。
【請求項2】
前記サブタンクと前記異物捕捉部との間は、前記サブタンクから流出した前記インクを一時的に回収する集合タンクを介して連通していることを特徴とする請求項1記載の異物捕捉機構。
【請求項3】
前記異物捕捉部は、前記サブタンク及び前記吸引機構の配置位置よりも下方の位置で、かつ前記廃液タンクの配置位置よりも上方の位置に設けられ、
前記サブタンクと前記吸引機構とからの前記インクは、前記サブタンク及び前記吸引機構と前記廃液タンクとの各間の高低差により前記サブタンク及び前記吸引機構からそれぞれ前記異物捕捉部を介して前記廃液タンクに流入することを特徴とする請求項1記載の異物捕捉機構。
【請求項4】
前記異物捕捉部は、前記廃液タンクの上面に設けられたことを特徴とする請求項1記載の異物捕捉機構。
【請求項5】
前記異物捕捉部は、大気開放口を有し、前記第1の配管を通して前記サブタンクを大気開放することを特徴とする請求項1記載の異物捕捉機構。
【請求項6】
前記廃液タンクは、大気開放口を有し、前記異物捕捉部から前記第1の配管を通して前記サブタンクを大気開放することを特徴とする請求項1記載の異物捕捉機構。
【請求項7】
前記大気開放口には、大気開放フィルタが設けられたことを特徴とする請求項6記載の異物捕捉機構。
【請求項8】
前記異物捕捉部は、前記インクが付着した状態で前記異物を捕捉する少なくとも1つのフィルタを有することを特徴とする請求項1記載の異物捕捉機構。
【請求項9】
前記フィルタは、メッシュ状に形成されていることを特徴とする請求項8記載の異物捕捉機構。
【請求項10】
前記フィルタは、前記異物捕捉部内における前記インクの流れる方向に対して傾斜して設けられたことを特徴とする請求項7記載の異物捕捉機構。
【請求項11】
前記サブタンクから前記廃液タンクを通して前記前記異物捕捉部の前記フィルタに圧縮空気を加えるフィルタメンテナンス部を有することを特徴とする請求項8記載の異物捕捉機構。
【請求項12】
インクタンクに収容されているインクをサブタンクを介してインクヘッドに供給することにより前記インクヘッドから前記インクを噴射し、かつ前記インクヘッドのノズル面に残留する前記インクを吸引機構の回収部により吸引して回収し、前記インクヘッドから排出された前記インクを前記吸引機構の受け部で受けるに当たり、
前記サブタンクからの前記インクを第1の配管を通して前記廃液タンクに送り、かつ前記吸引機構の回収部により吸引して回収された前記インクを第2の配管を通して前記廃液タンクに送ると共に、前記吸引機構の前記受け部で受けた前記インクを第3の配管を通して前記廃液タンクに送る際に、少なくとも前記第1の配管、前記第2の配管又は前記第3の配管からの前記インク内に侵入した前記異物を捕捉する
ことを特徴とする異物捕捉方法。
【請求項13】
少なくとも前記第1の配管及び前記廃液タンクを通して前記サブタンクを大気開放することを特徴とする請求項12記載の異物捕捉方法。
【請求項14】
前記異物の捕捉は、前記インクが付着した状態の少なくとも1つのフィルタにより行うことを特徴とする請求項12記載の異物捕捉方法。
【請求項15】
前記サブタンクから溢れた前記インクは、前記第1の配管を通して前記廃液タンクに送られることを特徴とする請求項12記載の異物捕捉方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−327030(P2006−327030A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−153895(P2005−153895)
【出願日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】