説明

異物検査装置

【課題】容器の外側表面に付着した異物と、容器に封入された固形物の商品に混入した異物と、を好適に識別できる異物検査装置を提供することを課題とする。
【解決手段】容器2を載置するとともに水平面内で回転自在に設けられる台座3aと、台座3aに載置された容器2を外側から周囲に沿って一周に亘って撮像した画像データを取得する撮像装置52と、台座3aに載置されて台座3aとともに回転する容器2の外側表面をクリーニングする回転ブラシ54と、画像データに基づいて作成する検査画像データから輝度が周囲と異なる特異部を抽出する制御装置53と、を備える異物検査装置とする。そして、制御装置53は、台座3aを2回転以上させて回転回数と等しい数の1回転ごとの検査画像データを作成し、少なくとも2つの検査画像データで位置が同じ特異部を抽出したときに、容器2に異物が混入したと判定することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に封入された、凍結乾燥剤などの固形物に混入した異物の有無を検査する異物検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
薬剤等の製品形態として、容器等に入れられた溶液中の薬剤成分を凍結乾燥法等で乾燥抽出した凍結乾燥剤(凍乾剤)がある。
このような凍乾剤には製造過程で異物が混入する場合があるため、製品として出荷する前に容器に封入された状態で異物の有無を検査する異物検査が必要となる。
例えば、凍乾剤が封入された容器の外側から検査画像を撮像し、検査画像において周囲の領域と輝度が異なる点が集合した特異部(例えば、凍乾剤が高輝度(白色)の点が集合した領域として示される場合に、低輝度(黒色)の点が集合した部分)を異物と判定する異物検査の方法がある。
【0003】
しかしながら、容器を外側から撮像した検査画像を使用する異物検査では、容器の外側表面に付着した埃などの異物が、凍乾剤に混入している異物と判定される場合があるため、容器の外側表面に付着した異物と、凍乾剤に混入している異物と、を識別する技術が要求される。
【0004】
容器に液体が充填される製品の場合には、例えば、特許文献1に開示されるように、容器が静止して容器に充填された液体のみが容器内で慣性で回転している状態を作り出し、容器の外から複数の検査画像を撮像することによって、液体の回転によって移動する異物を抽出できる。容器に付着している異物は容器とともに静止しているため、液体に混入して液体の回転によって移動する異物を、容器の外側表面に付着している異物と識別することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−070013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、凍乾剤は固形物であり、容器が静止して凍乾剤のみ慣性で回転している状態を作り出すことができないため、特許文献1に開示される技術を適用できない。
そこで本発明は、容器の外側表面に付着した異物と、容器に封入された固形物の商品に混入した異物と、を好適に識別できる異物検査装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、容器を載置するとともに水平面内で回転自在に設けられる台座と、前記台座に載置された前記容器を外側から周囲に沿って一周に亘って撮像した画像データを取得する撮像装置と、前記台座に載置されて当該台座とともに回転する前記容器の外側表面をクリーニングするクリーニング装置と、前記画像データに基づいて作成する検査画像データから輝度が周囲と異なる特異部を抽出する制御装置と、を備える異物検査装置とする。そして、前記制御装置は、前記台座を2回転以上させて回転回数と等しい数の1回転ごとの前記検査画像データを作成し、少なくとも2つの前記検査画像データで位置が同じ前記特異部を抽出したときに、前記容器に異物が混入したと判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、容器の外側表面に付着した異物と、容器に封入された固形物の商品に混入した異物と、を好適に識別できる異物検査装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(a)は異物検査装置の構成を示す平面図、(b)は(a)のX1−X1断面図である。
【図2】(a)は回転ブラシが備わった状態を示す正面図、(b)は台座と回転ブラシの回転方向を示す平面図である。
【図3】ライン画像データを配列して作成された検査画像データを模式的に示す図である。
【図4】(a)はクリーニング装置としての固定ブラシを示す図、(b)はクリーニング装置としてのファン装置を示す図、(c)はクリーニング装置としてのエアブロー装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、適宜図を参照して詳細に説明する。
図1の(a)、(b)に示すように、本実施形態に係る異物検査装置1は、凍結乾燥剤(以下、凍乾剤と称する)20などの固形物からなる商品を透明または半透明の容器2に封入して製品化する生産ライン(図示せず)に組み込まれている。
凍乾剤20は、溶液に溶け込んだ薬剤などの成分を凍結乾燥法等で乾燥抽出して固形物としたものであり、キャップで密封された容器2に封入された状態で製品化される。なお、容器2はガラスやアクリル、PET(ポリエチレンテレフタレート)等を素材とする透明または半透明な容器であることが好ましい。
【0011】
図示しない生産装置で凍乾剤20が封入された容器2には異物が混入している場合があるため、異物の混入の有無を検査する異物検査が必要になる。したがって、凍乾剤20が封入された容器2は搬送ライン10によって異物検査装置1まで搬送されて異物検査される。容器2は、異物検査装置1内では正立した状態で搬送装置3によって移動する。
【0012】
搬送装置3は、容器2が正立した状態で載置される台座3aが、環状に回転駆動(公転)する検査ロータ3bに固定されてなる。検査ロータ3bには周方向に複数の台座3aが等間隔に備わり、これらの台座3aは検査ロータ3bの一定速度での回転駆動(例えば、反時計方向への回転駆動)とともに移動するように構成される。
また台座3aは、後記するように水平面内で中心軸周りに回転(自転)可能に構成されている。
なお、本実施形態においては、容器2の底部が台座3aに面するように載置されて起立した状態を容器2が正立した状態とする。そして、上下方向は、正立した容器2の底部の側を下方とする。
【0013】
異物検査装置1の入口部1aには、生産ラインで凍乾剤20が封入された容器2を搬送する搬送ライン10に接続されて、容器2を異物検査装置1に搬入する小径の搬入ロータ1cが備わっている。容器2は搬送ライン10によって異物検査装置1の入口部1aまで搬送されると、回転駆動する搬入ロータ1cによって連続的に検査ロータ3bの台座3aに載置されるように構成される。
【0014】
さらに異物検査装置1の出口部1bには、搬送ライン10に接続されて異物検査が終了した容器2を異物検査装置1から搬出する小径の搬出ロータ1dが備わっている。そして、入口部1aから異物検査装置1に搬入された容器2は、検査ロータ3bの回転にともなって移動する間に異物検査され、回転駆動する搬出ロータ1dによって異物検査装置1から搬出されて搬送ライン10によって次の生産工程まで搬送される。
そして、異物検査装置1の入口部1aから出口部1bまでの間には、照明装置51と撮像装置52と制御装置53を含んで構成される検査部50が備わっている。また、符号54は後記する回転ブラシである。
【0015】
台座3aは略円盤形を呈して中心軸の軸線を上下方向として配設され、図1の(b)に示すように、検査ロータ3bに固定されて台座3aの下方に配置されるモータ3cなどの回転駆動手段によって、水平面内で中心軸周りに回転(自転)可能に構成される。
なお、モータ3cへの電源は、例えば図示しないスリップリングを介して、異物検査装置1に備わる電源装置(図示せず)から供給される構成とすればよい。
【0016】
また、検査ロータ3bには台座3aの上方に延出するようにアーム部3dが形成され、アーム部3dには、台座3aに載置された容器2を当該台座3aに押さえつけて容器2をホールド(保持)する容器保持装置4が備わっている。容器保持装置4は、台座3aの上方で上下動自在にアーム部3dに支持される保持杆4aの下方(台座3aの側)に、容器2を押さえつけるための保持キャップ4bが保持部として取り付けられて形成される。
また、保持杆4aは軸線を中心として回転自在にアーム部3dに支持されることが好ましい。この構成によると、台座3aに載置された容器2が台座3aの自転とともに自転するときに、容器2を押さえつけている容器保持装置4も回転し、台座3aおよび容器2の自転が妨げられない。また、容器保持装置4によって、台座3aの自転による容器2の転倒が防止される。
保持キャップ4bは、例えば、下方が水平方向に広がる平板状に形成され、保持杆4aが下方に移動したときに容器2を台座3aとの間に挟み込んで容器2を押さえつけるように構成される。
【0017】
例えば、搬入ロータ1cによって容器2が台座3aに載置されたときに容器保持装置4が容器2に向かって下方に移動する構成とすれば、凍乾剤20が封入された容器2を容器保持装置4の保持キャップ4bでホールドすることができる。また、容器保持装置4が適切な重量を有する場合、容器保持装置4は自重で容器2を台座3aに押さえつけることができる。
または、容器保持装置4を下方に付勢する付勢手段(図示せず)が備わる構成であってもよい。この構成の場合、付勢手段が発生する付勢力によって容器保持装置4が容器2を台座3aに押さえつける。
【0018】
本実施形態に係る異物検査装置1は、凍乾剤20が封入された容器2の内部に混入して、凍乾剤20と容器2の内側表面の間に存在している異物の有無を検査する検査装置であり、図1の(a)に示すように、容器2を外側から周囲に沿って撮像する撮像装置52と、容器2を外側から照明する照明装置51と、制御装置53と、を含んで構成される検査部50を有する。
【0019】
撮像装置52は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)を受光素子として備え、容器2を上下方向にスキャンしてライン状に撮像可能なラインセンサであればよい。
ラインセンサからなる撮像装置52は、台座3aの回転(自転)にともなって1回転する容器2を所定の時間間隔(例えば、100μsec)で撮像し、容器2の1回転について複数のライン状の画像データ(ライン画像データ)を取得できる。
【0020】
さらに、撮像装置52が取得した複数のライン画像データが制御装置53に入力される構成とすれば、制御装置53は、入力された複数のライン画像データを時系列に沿って配列することによって、容器2を周囲に沿って一周に亘って撮像した検査画像データ(二次元画像データ)を作成できる。そして制御装置53は、作成した検査画像データを利用して異物の有無を判定するように構成される。
【0021】
例えば、凍乾剤20が白色の場合には照明装置51で白色光を容器2に照射すると凍乾剤20によって白色光が反射される。したがって、撮像装置52は凍乾剤20からの反射光を撮像することになり、撮像装置52が取得するライン画像データは白色の画像データ(高輝度の画像データ)となる。
このとき、凍乾剤20に混入した異物が容器2の内側表面に面して表面の近傍に存在していると、凍乾剤20からの白色(高輝度)の反射光が異物によって遮断され、撮像装置52が容器2を撮像して取得されるライン画像データに低輝度の部分が生じる。
【0022】
このようなライン画像データが時系列に沿って配列されて作成される検査画像データには、凍乾剤20を示す白色(高輝度)の領域の中に、低輝度の部分が集合した黒色部が特異部として存在することになる。つまり、検査画像データにおいて、輝度が周囲と異なる特異部が存在する。
そして、制御装置53は、撮像装置52から入力されるライン画像データに基づいて作成する検査画像データから、凍乾剤20による反射光が異物で遮断されることによって輝度が周囲より低く形成される黒色部を特異部として抽出したときに、容器2に異物が混入していると判定するように構成される。
【0023】
さらに、本実施形態に係る異物検査装置1の検査部50には、回転している容器2の外側表面をクリーニングするクリーニング装置として回転ブラシ54が備わっている。
図2の(a)、(b)に示すように、回転ブラシ54は、台座3aの回転軸と略平行な軸線を中心軸とする円柱形の軸部に、径方向に広がるように刷毛が植設されて形成される。
回転ブラシ54の軸部は、台座3aの回転軸と略平行な中心線を中心に、モータ54a等の回転駆動装置によって回転(自転)するように構成され、検査部50(図1の(a)参照)に搬送された容器2の外側表面に刷毛が接するように配置される。また、回転ブラシ54の軸部は容器2の高さとほぼ等しい長さ(上下方向)であることが好ましく、この構成によって、回転ブラシ54および容器2が回転したときに回転ブラシ54の刷毛が容器2の外側表面に摺接して容器2の外側に付着する異物を払いのける。なお、図2の(b)では容器保持装置4を省略している。
【0024】
回転ブラシ54の回転方向は限定するものではないが、図2の(b)に示すように、台座3aの回転方向と同じ回転方向とすれば、容器2と回転ブラシ54の摺接部において、容器2から見た回転ブラシ54の相対速度を高めることができ、回転ブラシ54によるクリーニング効果を高めることができる。
なお、回転ブラシ54は容器2の外側表面に付着する異物を除去する機能を有していてもよいが、異物が付着する位置を移動させる程度の機能を有するものであってもよい。
また回転ブラシ54は、刷毛の替わりに例えばゴムやスポンジからなるブレードが取り付けられている構成であってもよい。
【0025】
また、撮像装置52は回転ブラシ54の影響を受けずに容器2を撮像可能な位置に配置され、照明装置51は回転ブラシ54による陰影が生じないように容器2に光を照射可能に配置される。
【0026】
このように、本実施形態に係る異物検査装置1には、容器2の外側表面をクリーニングするクリーニング装置(回転ブラシ54)と、照明装置51、撮像装置52、制御装置53を含んで構成される検査部50が備わっている。
そして、制御装置53は、検査部50で容器2の異物検査をする場合、容器2を2回転(自転)させて1回転ごとに1つの検査画像データを作成し、合計で2つの(2周分の)検査画像データを作成する。
【0027】
さらに制御装置53は作成した2つの検査画像データで同じ位置に存在する黒色部(特異部)のみを凍乾剤20(図1の(b)参照)に混入した異物と判定する。つまり、本実施形態に係る制御装置53は、作成した2つの検査画像データで同じ位置に黒色部(特異部)を抽出した場合に、当該検査データの被写体となった容器2(図1の(a)参照)に異物が混入していると判定する。
そして制御装置53は、2つの検査画像データで異なる位置に存在する黒色部は、容器2が自転する間に回転ブラシ54によって位置が移動させられたものとし、容器2の外側表面に付着した異物と判定する。そして、このような異物は凍乾剤20に混入した異物と判定しない。
また、制御装置53は、2つの検査画像データのうちの1方にのみ存在する黒色部は、容器2の外側表面に付着した異物と判定する。
つまり、1回転目の検査画像データのみに存在する黒色部は、容器2が回転する間に回転ブラシ54によって除去された異物とし、2回転目の検査画像データのみに存在する黒色部は、容器2が回転する間に外側表面に付着した異物とする。
このような構成によって、制御装置53は、凍乾剤20に混入した異物と、容器2の表面に付着した異物と、を好適に識別できる。
【0028】
なお、制御装置53が検査部50で容器2を回転させる回転回数は2回転に限定されるものではなく3回転以上であってもよい。この場合、制御装置53は容器2の回転回数と等しい数の1回転ごとの検査画像データを作成し、全ての検査画像データで同じ位置に存在する黒色部(特異部)を凍乾剤20に混入した異物と判定する構成とすればよい。または、1回転目で得られた検査画像データと、最後の回転で得られた検査画像データと、で同じ位置に存在する黒色部を凍乾剤20に混入した異物と判定する構成としてもよい。つまり、少なくとも2つの検査画像データで同じ位置に存在する黒色部を凍乾剤20に混入した異物と判定する構成とすればよい。
【0029】
以上のように構成される異物検査装置1(図1の(a)参照)は、例えば、台座3a(図1の(a)参照)に載置された容器2(図1の(a)参照)を、検査部50(図1の(a)参照)に備わる図示しない容器検知センサが検出したとき、制御装置53(図1の(a)参照)は検査ロータ3b(図1の(a)参照)を停止する。そして、照明装置51(図1の(a)参照)に制御信号を送信して発光させるとともに台座3aを回転(自転)させる。また、モータ54a(図2の(a)参照)に制御信号を送信して回転ブラシ54(図2の(a)参照)を回転させる。制御装置53は、同時に撮像装置52(図1の(a)参照)に制御信号を送信して、所定の間隔で容器2を上下方向にスキャンしたライン画像データを取得させるとともに取得したライン画像データを制御装置53に送信させる。例えば、撮像装置52が100μsecの間隔で撮像する場合、台座3aの回転速度が60rpmであれば、容器2が1回転する時間(1秒間)に、制御装置53には10000個のライン画像データが送信される。
【0030】
この場合、制御装置53(図1の(a)参照)は、10000個のライン画像データが撮像装置52(図1の(a)参照)から送信された時点で容器2が1回転したと判定する。そして、制御装置53は、容器2(図1の(a)参照)が2回転したとき、台座3a(図1の(a)参照)の回転と撮像装置52での撮像を停止する。また、照明装置51(図1の(a)参照)の発光を停止する。
なお、撮像装置52が容器2を撮像(スキャン)する時間間隔の値(100μsec)、および台座3aの回転速度の値(60rpm)は一例に過ぎずこれらの値に限定するものではない。
【0031】
制御装置53(図1の(a)参照)は、台座3a(図1の(a)参照)が2回転した後、1回転目と2回転目で撮像装置52(図1の(a)参照)から送信された、それぞれ複数(例えば、10000個)のライン画像データを1回転ごとに時系列に沿って配列し、1回転目の検査画像データと2回転目の検査画像データを作成する。
さらに、制御装置53は作成した2つの検査画像データから、予め設定される基準値より低い輝度の点が集合した部分(黒色部)を特異部として抽出する。
【0032】
例えば、図3に示すように、容器2の1回転目で取得されたライン画像データから二次元画像データである検査画像データPic1が作成され、2回転目で取得されたライン画像データから二次元画像データである検査画像データPic2が作成された場合、制御装置53(図1の(a)参照)は、予め設定される基準値より低い輝度の点が集合した部分(黒色部Blk1、Blk2)を特異部として抽出する。
さらに、制御装置53は、2つの検査画像データPic1、Pic2における黒色部Blk1、Blk2の位置を比較する。
なお、図3に示す検査画像データPic1、Pic2では、1つの縦ラインが、上下方向にスキャンされた1つのライン画像データを模式的に示している。また、ライン画像データが配列される方向(図の左右方向)は容器2(図1の(a)参照)の周方向を示す。
また、淡色の部分が凍乾剤20を模式的に示し、濃色の部分が凍乾剤20の存在しない容器2を模式的に示している。
【0033】
例えば、制御装置53(図1の(a)参照)は、2つの検査画像データPic1、Pic2を比較し、検査画像データPic1に対して検査画像データPic2で位置ずれしている黒色部Blk2は容器2(図1の(a)参照)の外側表面に付着した異物とする。一方、制御装置53は、検査画像データPic1に対して検査画像データPic2で位置ずれしていない黒色部Blk1を凍乾剤20(図1の(b)参照)に混入した異物と判定する。そして、検査画像データPic1、Pic2の被写体となった容器2に封入される凍乾剤20に異物が混入していると判定する。
【0034】
制御装置53(図1の(a)参照)は、2つの検査画像データPic1、Pic2から黒色部を抽出しない場合、および、検査画像データPic1に対して検査画像データPic2で位置ずれしている黒色部Blk2だけを抽出した場合、凍乾剤20(図1の(b)参照)に異物が混入していないと判定する。
【0035】
なお、制御装置53(図1の(a)参照)は、2つの検査画像データPic1、Pic2で上下方向の位置が等しい黒色部(例えば、黒色部Blk1)を、周方向の位置の違いを判定することなく、凍乾剤20(図1の(b)参照)に混入した異物と判定し、上下方向の位置が異なる黒色部(例えば、黒色部Blk2)を、周方向の位置の違いを判定することなく、容器2(図1の(a)参照)の外側表面に付着した異物と判定する構成であってもよい。
例えば、1回転目の検査画像データPic1における最初(1ライン目)のライン画像データに対する容器2の位置と、2回転目の検査画像データPic2における最初(1ライン目)のライン画像データに対する容器2の位置と、にズレが生じると、2つの検査画像データPic1、Pic2の撮像位置には、容器2の周方向にズレが生じることになる。
【0036】
2つの検査画像データPic1、Pic2の撮像位置に周方向のズレが生じると、検査画像データPic1、Pic2における黒色部の位置には撮像位置のズレによるズレが生じるため、制御装置53(図1の(a)参照)は、検査画像データPic1、Pic2における黒色部の位置の違いを正確に判定できなくなる。
容器2(図1の(a)参照)は上下方向に静止した状態であり、撮像装置52が取得するライン画像データに、1回転目と2回転目とで上下方向の位置ズレは発生しない。したがって、制御装置53(図1の(a)参照)が、検査画像データPic1、Pic2における上下方向の違いのみを黒色部の位置の違いと判定することによって、撮像位置のズレによる黒色部の位置ズレの影響を排して黒色部の位置の違いを判定することができ、制御装置53による判定精度を向上できる。
【0037】
制御装置53が、異物が混入していると判定した凍乾剤20が封入される容器2は、異物検査装置1に備わる図示しない排斥ラインから排斥される構成が好ましい。そして、異物が混入していないと判定された凍乾剤20を封入した容器2のみが、その後の生産工程を経て製品として出荷される構成が好適である。
【0038】
このように、本実施形態に係る異物検査装置1(図1の(a)参照)は、容器2(図1の(a)参照)の外側表面をクリーニングするための回転ブラシ54(図2の(a)参照)を含む検査部50(図1の(a)参照)を備える構成とした。
さらに、検査部50における容器2の異物検査において、制御装置53(図1の(a)参照)は凍乾剤20(図1の(b)参照)が封入された容器2を2回転させて2つの検査画像データ(二次元画像データ)を取得して、2つの検査画像データから抽出される黒色部の位置を比較し、1回転目の検査画像データPic1(図3参照)に対して2回転目の検査画像データPic2(図3参照)で位置ずれしていない黒色部Blk1(図3参照)のみを凍乾剤20に混入した異物と判定する構成とした。
【0039】
この構成によって、制御装置53(図1の(a)参照)は、容器2(図1の(a)参照)の外側表面に付着した異物と、容器2に封入された凍乾剤20(図1の(b)参照)に混入した異物と、を好適に識別することができる。したがって、外側表面のみに異物が付着した容器2が不良品と判定されることが抑制され、容器2に凍乾剤20を封入した製品の生産歩留まりの低下が抑制される。
【0040】
なお、本実施形態においては、容器2(図2の(a)参照)の外側表面をクリーニングするクリーニング装置として、検査部50(図1の(a)参照)に、図2の(a)に示す回転ブラシ54を備える構成としたが、この構成に限定されるものではない。
例えば、容器2の外側表面において刷毛が上方向や下方向に摺動するように回転する回転ブラシ(図示せず)であってもよい。
【0041】
また、検査部50(図1の(a)参照)ではラインセンサからなる撮像装置51(図1の(a)参照)で容器2を撮像するために、制御装置53(図1の(a)参照)は容器2を回転(自転)させる。したがって、モータ54a(図2の(a)参照)で回転する回転ブラシ54に替えて、図4の(a)に示すような固定ブラシ55がクリーニング装置として備わる検査部50であってもよい。
図4の(a)に示すように、固定ブラシ55は、容器2の上下方向に延びる基部に、容器2に向かうように延びる刷毛が植設される構成であることが好ましく、検査部50に搬送された容器2の外側表面に刷毛が接するように配設されることが好ましい。この構成によると、容器2が回転(自転)するときに固定ブラシ55の刷毛が容器2の外側表面に摺接して容器2の外側表面をクリーニングできる。
または、刷毛の替わりに、例えばゴムやスポンジからなるブレードが取り付けられる構成であってもよい。
【0042】
また、図4の(b)に示すように、モータ等で駆動するファンが備わるファン装置56が容器2の外側表面に空気を吹きつけるように構成されるクリーニング装置が備わる検査部50(図1の(a)参照)であってもよい。
この構成によると、容器2の外側表面に付着した異物は、ファン装置56によって吹き付けられる空気で除去または移動させられる。
また、図4の(c)に示すように、コンプレッサ57a等で圧縮された圧縮空気をノズル57bから容器2の外側表面に吹きつけるエアブロー装置57をクリーニング装置として備える検査部50であってもよい。
この構成によると、容器2の外側表面に付着した異物は、エアブロー装置57によって吹き付けられる圧縮空気で除去または移動させられる。
その他、容器2の外側表面に付着する異物を除去または移動できる構成のクリーニング装置であれば、その形態は限定されない。
【0043】
また、本実施形態においては、ラインセンサからなる撮像装置52(図1の(a)参照)が取得したライン画像データの数によって、制御装置53(図1の(a)参照)が台座3a(図1の(a)参照)の1回転を判定する構成とした。しかしながら、この構成に限定されるものではない。
例えば、ロータリエンコーダなどのセンサを使用して台座3aの1回転を判定する構成としてもよい。または、台座3aを回転駆動するモータ3c(図1の(b)参照)をステッピングモータとし、モータ3cに送信するパルスの数によって台座3aの1回転を判定する構成としてもよい。
この他、台座3aの1回転を判定する方法は限定されるものではない。
【0044】
また、撮像装置52(図1の(a)参照)は、ライン画像データを取得するラインセンサに限定されず、受光素子としてCCDを利用したエリアセンサを備えて二次元画像データを取得可能な構成であってもよい。
この場合、制御装置53(図1の(a)参照)は、容器2(図1の(a)参照)が1回転する間に複数枚の二次元画像データを取得するように撮像装置52に制御信号を送信する。
制御装置53は、撮像装置52が取得した二次元画像データを検査画像データとし、容器2が2回転するときに、1回転ごとに取得される複数の検査画像データにおける黒色部の位置を比較して、凍乾剤20(図1の(b)参照)に混入した異物を判定する構成とすれば、撮像装置52がラインセンサの場合と同様の効果を得ることができる。
【0045】
また、撮像装置52(図1の(a)参照)および照明装置51(図1の(a)参照)が検査ロータ3b(図1の(a)参照)の回転駆動(公転)に沿って移動可能に構成され、検査ロータ3bとともに移動する容器2(図1の(a)参照)に位置を同期して撮像装置52が追従可能な構成としてもよい。
さらに、検査ロータ3bの回転駆動とともに台座3a(図1の(a)参照)が回転(自転)する構成とすれば、撮像装置52は容器2を同期追従しながらライン画像データを取得できる。したがって、検査ロータ3bの回転駆動(公転)を停止することなく撮像装置52によって容器2のライン画像データを取得できる。
さらに、撮像装置52が所定数のライン画像データを取得した後、所定の位置まで戻って次の容器2を追従しながらライン画像データを取得する構成とすれば、複数の容器2のライン画像データを連続して取得できる。このように、撮像装置52が検査ロータ3bの回転駆動に沿って移動し、同期追従と戻りを繰り返す動作を可能な構成としてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 異物検査装置
2 容器
3 搬送装置
3a 台座
3b 検査ロータ
20 凍乾剤
50 検査部
51 照明装置
52 撮像装置
53 制御装置
54 回転ブラシ(クリーニング装置)
Blk1、Blk2 黒色部(特異部)
Pic1、Pic2 検査画像データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器を載置するとともに水平面内で回転自在に設けられる台座と、
前記台座に載置された前記容器を外側から周囲に沿って一周に亘って撮像した画像データを取得する撮像装置と、
前記台座に載置されて当該台座とともに回転する前記容器の外側表面をクリーニングするクリーニング装置と、
前記画像データに基づいて作成する検査画像データから輝度が周囲と異なる特異部を抽出する制御装置と、を備える異物検査装置であって、
前記制御装置は、前記台座を2回転以上させて回転回数と等しい数の1回転ごとの前記検査画像データを作成し、少なくとも2つの前記検査画像データで位置が同じ前記特異部を抽出したときに、前記容器に異物が混入したと判定することを特徴とする異物検査装置。
【請求項2】
容器を載置するとともに水平面内で回転自在に設けられる台座と、
前記台座に載置された前記容器を外側から周囲に沿って一周に亘って撮像した画像データを取得する撮像装置と、
前記台座に載置されて当該台座とともに回転する前記容器の外側表面をクリーニングするクリーニング装置と、
前記画像データに基づいて作成する検査画像データから輝度が周囲と異なる特異部を抽出する制御装置と、を備える異物検査装置であって、
前記制御装置は、前記台座を2回転以上させて回転回数と等しい数の1回転ごとの前記検査画像データを作成し、少なくとも2つの前記検査画像データで上下方向の位置が同じ前記特異部を抽出したときに、前記容器に異物が混入したと判定することを特徴とする異物検査装置。
【請求項3】
前記クリーニング装置は、前記台座の回転軸と略平行な中心軸を中心として自転する軸部に刷毛が植設された回転ブラシであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の異物検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−44566(P2013−44566A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180765(P2011−180765)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(000153443)株式会社日立情報制御ソリューションズ (359)
【Fターム(参考)】