説明

異物検知センサの固定構造及び異物検知装置

【課題】異物検知センサを樹脂製のブラケットに安定して固定することができる異物検知センサの固定構造を提供する。
【解決手段】異物から外力を受けて弾性変形されることにより当該異物を検知する異物検知センサ31の外周面から、支持部41が突出している。樹脂製のブラケット12には、支持部41が貫通する貫通孔26が設けられている。異物検知センサ31と、貫通孔26を貫通した支持部41とが、ブラケット12を貫通孔26の貫通方向の両側から挟持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異物検知センサをブラケットに固定する異物検知センサの固定構造、該固定構造を備えた異物検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、モータ等の駆動力により電動でドアパネルを移動させて車体に形成された開口部(乗降口、後部開口部等)を開閉する電動ドア開閉装置には、開口部の周縁部とドアパネルとの間への異物の挟み込みを防止するために、開口部の周縁部とドアパネルとの間に存在する異物を検知する異物検知装置を備えたものがある。例えば、特許文献1に記載された異物検知装置では、異物から加えられる外力によって弾性変形されることで当該異物を検知する異物検知センサを、ドアパネルの周縁部に固定された金属製のブラケットに固定している。
【0003】
ところで、異物検知装置が搭載される車両の軽量化を図るためには、金属製のブラケットに代えて、樹脂製のブラケットを使用することが望ましい。従来、樹脂製のブラケットに異物検知センサを固定する固定構造としては、例えば、樹脂製のブラケットに異物検知センサを両面テープで貼着して固定するものがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−242535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、樹脂製のブラケットに異物検知センサを両面テープで貼着して固定する異物検知センサの固定構造では、樹脂製のブラケットに対して異物検知センサが安定して固定された状態に維持することが困難であった。
【0006】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、異物検知センサを樹脂製のブラケットに安定して固定することができる異物検知センサの固定構造及び異物検知装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、異物から外力を受けて弾性変形されることにより前記異物を検知する異物検知センサを樹脂製のブラケットに固定する異物検知センサの固定構造であって、前記異物検知センサの外周面から突出する支持部を備え、前記ブラケットには、前記支持部が貫通する貫通部が設けられ、前記異物検知センサと、前記貫通部を貫通した前記支持部とが、前記ブラケットを前記貫通部の貫通方向の両側から挟持することを特徴とすることをその要旨としている。
【0008】
同構成によれば、異物検知センサと貫通部を貫通した支持部とによって、貫通部の貫通方向の両側からブラケットを挟持するため、樹脂から形成されることにより軽量化されたブラケットに対して異物検知センサを安定して固定することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の異物検知センサの固定構造において、
前記ブラケットは、前記異物検知センサの外周面に当接し前記異物検知センサを介して前記外力を受ける受け面を有することをその要旨としている。
【0010】
同構成によれば、受け面によって異物検知センサの姿勢が安定しやすくなるため、樹脂製のブラケットに対して異物検知センサをより安定して固定することができる。また、異物検知センサに異物から外力が加えられた場合、異物検知センサを介して受け面でもその外力を受けることができる。そして、異物から加えられた外力を受け面でも受けた場合には、異物検知センサは、受け面に支持されることにより、ブラケットに対して位置ずれすることが抑制され、ブラケットに固定された位置で安定して弾性変形できる。更に、異物検知センサは、異物と受け面とに挟まれることで、異物からの外力によって弾性変形しやすくなるため、異物検知センサによる異物の検知感度を向上させることができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の異物検知センサの固定構造において、前記異物検知センサは、円筒状の外周面を有し、前記受け面は、前記異物検知センサの外周面と等しい曲率の円弧状をなすことをその要旨としている。
【0012】
同構成によれば、異物検知センサの円筒状の外周面と曲率の等しい円弧状をなす受け面が異物検知センサの外周面に当接することにより、異物検知センサは、更に安定してブラケットに対して固定される。また、異物から加えられる外力によって異物検知センサがブラケットに対して位置ずれすることがより抑制される。更に、ブラケットにおける貫通部付近の強度を、ブラケットの厚さが厚くなることを抑制しつつ確保することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の異物検知センサの固定構造において、前記異物検知センサは、弾性変形可能な長尺状の中空絶縁体と、前記中空絶縁体の内部で互いに離間して対向配置されるとともに前記中空絶縁体の弾性変形に伴って撓曲することで互いに接触可能な複数の電極線とを有し、前記支持部は、前記中空絶縁体と同じ材料で前記中空絶縁体と一体に形成されていることをその要旨としている。
【0014】
同構成によれば、部品点数が減少されるため、製造コストが低減されるとともに、部品管理が容易となる。また、中空絶縁体の形成時に同時に支持部を形成することが可能であり、中空絶縁体と支持部とを同時に形成することにより生産性を向上できる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の異物検知センサの固定構造において、前記異物検知センサは、弾性変形可能な長尺状の中空絶縁体と、前記中空絶縁体の内部で互いに離間して対向配置されるとともに前記中空絶縁体の弾性変形に伴って撓曲することで互いに接触可能な複数の電極線とを有し、前記支持部は、前記中空絶縁体よりも硬質な材料で形成され、前記中空絶縁体に固定されていることをその要旨としている。
【0016】
同構成によれば、支持部は、異物検知センサを構成する中空絶縁体よりも硬質の材料で形成されているため、ブラケットに対する異物検知センサのぐらつきを抑制することができる。尚、本発明においては、「中空絶縁体に固定されている」とは、支持部と中空絶縁体とが一体成形により形成されたものも含む。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の異物検知センサの固定構造において、前記支持部の先端部には、前記貫通部の幅よりも細い導入部が形成されていることをその要旨としている。
【0018】
同構成によれば、支持部を、導入部から貫通部に挿入することにより、容易に貫通部内に入れることができる。従って、異物検知センサをブラケットに対して容易に固定することができる。
【0019】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の異物検知センサの固定構造において、前記支持部は、前記異物検知センサの外周面から突出し第1挿通部と前記第1挿通部よりも前記支持部の先端側に前記第1挿通部と隣接して設けられた第2挿通部とを有する挿通部と、前記第1挿通部と前記第2挿通部との境界部分若しくは前記第1挿通部の側面から前記異物検知センサに向かって延びる規制部とを備え、前記第1挿通部と前記規制部とは同時に前記貫通部を貫通可能である一方、前記第2挿通部と前記規制部とは前記貫通部を同時に貫通不能であることをその要旨としている。
【0020】
同構成によれば、異物検知センサをブラケットに固定する際には、第1挿通部と規制部とを共に貫通部内に挿入することで、支持部に貫通部を貫通させることができる。その一方、ブラケットに固定された異物検知センサに対してブラケットから外れる方向の外力が加わった場合には、第2挿通部と規制部との作用により、支持部が貫通部から抜けることが抑制される。
【0021】
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の異物検知センサの固定構造において、前記支持部の内部には、前記支持部を中空状にする中空部が形成されていることをその要旨としている。
【0022】
同構成によれば、支持部は、変形しやすくなるため、貫通部を貫通しやすくなる。従って、異物検知センサをブラケットに対してより容易に固定することができる。また、支持部の軽量化を図ることができる。
【0023】
請求項9に記載の発明は、外力を受けて弾性変形される異物検知センサと、前記支持部により前記異物検知センサが固定されるブラケットと、請求項1乃至請求項8の何れか1項に記載の異物検知センサの固定構造とを有し、前記異物検知センサの弾性変形により前記異物検知センサに接触した異物を検知する異物検知装置としたことをその要旨としている。
【0024】
同構成によれば、樹脂から形成されることにより軽量化されたブラケットに対して異物検知センサが安定して固定されているため、異物から外力を受けた異物検知センサが弾性変形しやすい。従って、異物の検知感度の低下を抑制することができる。
【0025】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の異物検知装置において、前記ブラケットは、車両に設けられた開口部の周縁部、若しくは前記開口部を開閉する開閉体における前記開口部の周縁部と対向する周縁部に固定されたことをその要旨としている。
【0026】
同構成によれば、車両の軽量化を図りつつ、車両に設けられた開口部の周縁部、若しくは開閉体における開口部の周縁部と対向する周縁部に、異物検知センサが安定して固定される。
【0027】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の異物検知装置において、前記開閉体は、前記車両の後部に設けられた前記開口部を開閉するバックドアであることをその要旨としている。
【0028】
同構成によれば、車両の後部に設けられた開口部の周縁部、若しくはバックドアにおける開口部の周縁部と対向する周縁部に、異物検知センサが安定して固定される。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、異物検知センサを樹脂製のブラケットに安定して固定することができる異物検知センサの固定構造及び異物検知装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】電動バックドア装置を搭載した車両の概略図。
【図2】電動バックドア装置の電気的構成を示すブロック図。
【図3】ブラケット及び該ブラケットに固定されたセンサ線の斜視図。
【図4】ブラケットの斜視図。
【図5】(a)はブラケット及びセンサ線の断面図(図3におけるα−α断面図)、(b)はブラケット及びセンサ線の断面図(図3におけるβ−β断面図)。
【図6】(a)〜(c)はセンサ線の断面図。
【図7】センサ線の斜視図。
【図8】異物検知センサに異物が接触した時のブラケット及びセンサ線の断面図。
【図9】(a)は異物検知センサ及び別の形態の支持部の断面図、(b)は異物検知センサ、別の形態の支持部及びブラケットの断面図。
【図10】異物検知センサ、別の形態の支持部及びブラケットの断面図。
【図11】異物検知センサ、別の形態の支持部及びブラケットの断面図。
【図12】(a)及び(b)は異物検知センサ、別の形態の支持部及びブラケットの断面図。
【図13】異物検知センサ、別の形態の支持部及びブラケットの断面図。
【図14】異物検知センサ、別の形態の支持部及びブラケットの断面図。
【図15】異物検知センサ、別の形態の支持部及びブラケットの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、車両1は電動バックドア装置2を搭載している。車両1は、導電性金属材料よりなる車体3を備えるとともに、該車体3の後部には、後部開口部4が形成されている。後部開口部4における上下方向の略中央部よりも下方の部位は、後部開口部4における上下方向の略中央部よりも上方の部位よりも左右方向の幅が狭く形成されている。そして、この後部開口部4は、導電性金属材料よりなり該後部開口部4に対応した形状をなすドアパネル5によって開閉される。
【0032】
ドアパネル5における上下方向の略中央部よりも下端側の部位(図1においては上側の約半分の部位)は、ドアパネル5における上下方向の略中央部よりも上端側の部位(図1においては下側の約半分の部位)よりも左右方向の幅が狭く形成されている。そのため、ドアパネル5の左右方向の両端は非直線状をなしている。このドアパネル5の上端部は、車体3の後部側面の上端部に回動可能に連結されている。そして、ドアパネル5は、車体3との連結部分を回動中心として、該ドアパネル5の下端部が上下方向に移動するように回動可能である。尚、ドアパネル5は、全閉位置と全開位置との間で移動される。全閉位置は、ドアパネル5が後部開口部4を完全に閉鎖する位置であり、全開位置は、ドアパネル5が後部開口部4を完全に開放する位置である。
【0033】
また、ドアパネル5には、アクチュエータ6(図2参照)を備え車体3側に配置された駆動機構(図示略)が接続されている。電動バックドア装置2では、このアクチュエータ6が駆動されると、ドアパネル5が上下方向に回動されて後部開口部4を開閉するようになっている。
【0034】
図2に示すように、前記アクチュエータ6は、モータ7と、該モータ7の回転を減速して出力する減速機構(図示略)とを備えている。また、アクチュエータ6内には、モータ7の回転を検出する位置検出装置8が配置されている。位置検出装置8は、例えば、モータ7の回転軸(図示略)若しくは前記減速機構を構成する減速ギヤ(図示略)と一体回転するように設けられた永久磁石と、該永久磁石に対向配置されたホールIC(図示略)とから構成されている。そして、ホールICは、位置検出信号として、永久磁石の回転による該永久磁石の磁界の変化に応じたパルス信号を出力する。
【0035】
また、電動バックドア装置2は、ドアパネル5の開閉を指示するための操作スイッチ9を備えている。図1及び図2に示すように、この操作スイッチ9は、車両1の搭乗者等によって後部開口部4を開放するように操作されると、後部開口部4を開放するようにドアパネル5を回動させる旨の開信号を出力する。一方、操作スイッチ9は、搭乗者等によって後部開口部4を閉鎖するように操作されると、後部開口部4を閉鎖するようにドアパネル5を回動させる旨の閉信号を出力する。この操作スイッチ9は、車室内の所定箇所(ダッシュボード等)、ドアパネル5のドアレバー(図示略)、イグニッションキーと共に携行される携行品(図示略)等に設けられている。
【0036】
また、電動バックドア装置2は、ドアパネル5の周縁部と、後部開口部4におけるドアパネル5の周縁部と対向する周縁部との間に存在する異物X(図8参照)を検知するための異物検知装置11を備えている。図1乃至図3に示すように、異物検知装置11は、ドアパネル5の周縁部に固定されたブラケット12と、該ブラケット12に固定されたセンサ線13と、該センサ線13に電気的に接続された通電検知部14とを備えている。
【0037】
図1に示すように、ブラケット12は、ドアパネル5における後部開口部4の周縁部と対向する周縁部に固定されており、詳しくは、ドアパネル5の内側面(即ちドアパネル5の車室側の側面)における左右方向の両端部にそれぞれ固定されている。各ブラケット12は、ドアパネル5の左右方向の両端部に沿って同ドアパネル5の上端部から下端部まで延びる略帯状をなしている。そして、ブラケット12は、非直線状をなすドアパネル5の左右方向の両端部の形状に応じて、その長手方向(ドアパネル5の上下方向)の中央部が湾曲している。
【0038】
図4に示すように、各ブラケット12は、該ブラケット12の長手方向に延びる固定部21と、固定部21の幅方向の一端部に該固定部21と一体に形成された保持部22とを備えている。
【0039】
固定部21は、ドアパネル5におけるブラケット12が固定される部位の表面形状に対応した形状をなしており、本実施形態では、固定部21は、その長手方向と直交する断面の形状が略L字状をなす板状をなしている。尚、各ブラケット12において、厚さ方向(長手方向及び幅方向と直交する方向)の一方の側面は、ドアパネル5に固定されたときにドアパネル5側の固定面5a(図1参照)に当接する当接面12aとなっている。本実施形態では、当接面12aは、断面L字状のブラケット12においてL字の外側となる側面である。また、図1に示すように、固定面5aは、ドアパネル5の内側面(即ちドアパネル5の車室側の側面)の左右方向の両端部である。
【0040】
図1及び図4に示すように、前記保持部22は、固定部21の幅方向の両端部のうち、ブラケット12がドアパネル5に固定されたときにドアパネル5の外側となる側の端部に沿って設けられている。また、保持部22は、固定部21の長手方向の一端から他端まで連続的に形成されている。更に、保持部22は、固定部21の長手方向に沿って延びるかまぼこ形状をなしており、固定部21よりも厚く形成されて前記当接面12aと反対側に突出している。
【0041】
図5(a)に示すように、保持部22には、当接面12a側から凹設され当接面12aに開口部を有する保持凹部23が形成されている。保持凹部23の開口部は、当接面12aにおいて保持部22に該当する部分である保持側当接面12bに形成されている。そして、保持凹部23は、ブラケット12の長手方向に沿って連続的に形成されている。また、図4及び図5(b)に示すように、保持凹部23の開口部には、ブラケット12の長手方向の複数箇所に、保持凹部23の開口部23aをブラケット12の幅方向に横切る橋絡部24が形成されている。各橋絡部24は、ブラケット12の幅方向に対向する保持凹部23の2つの内側面を連結している。
【0042】
また、図5(a)に示すように、保持凹部23の底面には、保持側当接面12bに対して傾斜した平面状をなす押圧面25が形成されている。押圧面25は、ブラケット12の長手方向の一端部から他端部に亘って形成されている。この押圧面25は、ブラケット12の幅方向に沿って固定部21から遠ざかるに連れて保持側当接面12bとの間の距離が短くなるように同保持側当接面12bに対して傾斜している。
【0043】
また、保持部22には、保持凹部23の底部を貫通した貫通部としての貫通孔26が形成されている。貫通孔26は、前記押圧面25と直交するように保持部22における保持凹部23の底部となる部位を貫通している。従って、貫通孔26は、ブラケット12の幅方向に沿って固定部21から遠ざかるに連れて保持側当接面12bとの間の距離が長くなるように保持側当接面12bに対して傾斜している。また、貫通孔26の内側開口部26aは、前記押圧面25におけるブラケット12の幅方向の中央部に形成されている。そして、この貫通孔26は、図4に示すように、ブラケット12の長手方向の一端部から他端部まで同ブラケット12の長手方向に沿って延びており、スリット状をなしている。
【0044】
また、保持部22には、貫通孔26の外側開口部26bの幅方向の両側に、一対の受け面27a,27bが形成されている。図5(a)に示すように、一対の受け面27a,27bは、ブラケット12の長手方向と直交する断面において保持側当接面12b側に凹む円弧状をなす曲面である。一対の受け面27a,27bは、貫通孔26の外側開口部26bの幅方向の両側で、それぞれ貫通孔26に沿ってブラケット12の長手方向に延びている。そして、一対の受け面27a,27bは、ブラケット12の長手方向の一端部から他端部に亘って形成されている。また、一対の受け面27a,27bは、その曲率が互いに等しく形成されるとともに、互いの曲率中心Oが一致している。更に、一対の受け面27a,27bの曲率中心Oは、ブラケット12の長手方向と直交する断面において、貫通孔26の幅方向の中央を通り貫通孔26の貫通方向に延びる貫通孔26の中心線L上に位置している。
【0045】
図1及び図4に示すように、上記のような各ブラケット12は、ドアパネル5の内側面における左右方向の両端部に、当接面12aが固定面5aに当接するとともに、保持部22がドアパネル5の外周側に位置し且つ固定部21がドアパネル5の左右方向の中央側に位置するようにドアパネル5に対して配置されている。尚、保持側当接面12bは、固定面5aにおける、ドアパネル5の閉作動時の移動方向と略直交する部位に当接する。そして、各ブラケット12は、固定部21の複数箇所を貫通するピン(図示略)によってドアパネル5に固定されている。
【0046】
図3に示すように、前記センサ線13は、長尺な紐状をなしている。センサ線13は、異物検知センサ31と、該異物検知センサ31をブラケット12に固定するための支持部41とを備えている。
【0047】
異物検知センサ31を構成する長尺状の中空絶縁体32は、絶縁性及び復元性を有する弾性変形可能な絶縁体(軟質の樹脂材料やゴム(エラストマを含む)等)により形成されている。そして、中空絶縁体32は、略円筒状をなすことにより中空状をなしている。また、中空絶縁体32の外周面32a(即ち異物検知センサ31の外周面)は円筒状をなしている。尚、図5(a)に示すように、前記受け面27a,27bの曲率は、この中空絶縁体32の外周面32aの曲率と等しく形成されている。
【0048】
図6(a)及び図7に示すように、中空絶縁体32の内側には、該中空絶縁体32にて保持される4本の電極線33〜36が配置されている。各電極線33〜36は、導電性細線を撚り合わせて形成され可撓性を有する中心電極37と、導電性及び弾性を有し中心電極37の外周を被覆する円筒状の導電被覆層38とから構成されている。そして、各電極線33〜36は、中空絶縁体32の内側に、周方向に等角度間隔(本実施形態では90°間隔)に配置されるとともに、周方向に隣り合う電極線33〜36間の間隔を一定に維持したまま、中空絶縁体32の長手方向に螺旋状に延びている。更に、各電極線33〜36は、その一部が中空絶縁体32の内側で同中空絶縁体32に僅かに埋設されることにより、中空絶縁体32によって保持されている。
【0049】
図2に示すように、電極線33及び電極線35は、長手方向の一端(図2において左側の端)が互いに接続されて導通するとともに、電極線34及び電極線36も、長手方向の一端(図2において左側の端)が互いに接続されて導通している。また、電極線35及び電極線36の長手方向の他端は、抵抗39を介して電気的に接続されている。更に、電極線33の長手方向の他端は、通電検知部14に電気的に接続されるとともに、電極線34の他端は、グランドGNDに接続(即ち車体3に接地)されている。
【0050】
図6(a)及び図7に示すように、前記支持部41は、異物検知センサ31の中空絶縁体32に一体に形成されるとともに、中空絶縁体32と同じ材料、即ち絶縁性及び復元性を有する弾性変形可能な絶縁体(軟質の樹脂材料やゴム(エラストマを含む)等)により形成されている。支持部41は、異物検知センサ31の中空絶縁体32の外周面32aから中空絶縁体32の径方向外側に突出している。そして、支持部41は、中空絶縁体32の長手方向の一端から他端に亘って連続的に形成されるとともに、その断面形状が中空絶縁体32の長手方向に一定に形成されている。この支持部41は、挿通部42と、該挿通部42と一体に形成された一対の押圧部43とから構成されている。
【0051】
挿通部42は、中空絶縁体32の外周面32aから同中空絶縁体32の径方向外側に突出した嵌合部42aと、該嵌合部42aの先端部から中空絶縁体32の径方向外側に延びる第1挿通部42bと、該第1挿通部42bの先端から中空絶縁体32の径方向外側に延びる第2挿通部42cとから構成されている。
【0052】
嵌合部42aは、中空絶縁体32の長手方向(軸方向)に沿って同中空絶縁体32の一端から他端に亘って連続的に形成されている。図5(a)に示すように、嵌合部42aの高さ(嵌合部42aにおける中空絶縁体32の径方向に沿った方向の長さ)は、貫通孔26の貫通方向の長さよりも低く形成されている。また、嵌合部42aの幅(嵌合部42aにおける中空絶縁体32の周方向に沿った方向の長さ)は、貫通孔26の幅と等しく形成されている。
【0053】
前記第1挿通部42bは、嵌合部42aの長手方向(即ち中空絶縁体32の長手方向)の一端から他端まで嵌合部42aの先端部に連続的に形成されている。そして、第1挿通部42bの幅(第1挿通部42bにおける中空絶縁体32の周方向に沿った方向の長さ)は、貫通孔26の幅よりも狭く形成されている。
【0054】
前記第2挿通部42cは、第1挿通部42bの長手方向(即ち中空絶縁体32の長手方向)の一端から他端まで第1挿通部42bの先端部に連続的に形成されている。即ち、第2挿通部42cは、支持部41の先端部に設けられ、挿通部42の突出方向に第1挿通部42bと隣接している。そして、第2挿通部42cの幅(第2挿通部42cにおける中空絶縁体32の周方向に沿った方向の長さ)は、貫通孔26の幅よりも狭く(細く)、且つ第1挿通部42bの幅よりも広く形成されている。
【0055】
図6(a)に示すように、前記一対の押圧部43は、挿通部42の幅方向の両側に形成されている。一対の押圧部43は、挿通部42の幅方向の両側面における第1挿通部42bと第2挿通部42cとの境界部分からそれぞれ異物検知センサ31に向かって延設されている。各押圧部43は、挿通部42の長手方向(即ち中空絶縁体32の長手方向)の一端から他端まで連続的に形成されている。各押圧部43は、その基端から先端に向かうに連れて第2挿通部42cの先端面から遠ざかるように延びており、各押圧部43の先端は挿通部42の基端側を向いている。更に、各押圧部43は、その基端から先端に向かうに連れて、挿通部42の幅方向の中央部から離間するように形成されている。また、各押圧部43は、その先端部に、挿通部42の長手方向に沿って延びる円柱状の接触部43aを有する。接触部43aの直径は、押圧部43における接触部43aよりも基端側の部位の幅よりも若干大きく形成されている。
【0056】
また、図6(b)に示すように、第1挿通部42bの幅及び押圧部43の幅は、先端が異物検知センサ31側を向き第1挿通部42bに押し付けられるように折り畳まれた一対の押圧部43と、第1挿通部42bとが同時に貫通孔26を通過できる(貫通可能な)値に設定されている。更に、図6(c)に示すように、第2挿通部42cの幅及び押圧部43の幅は、先端が挿通部42の先端側を向き且つ第2挿通部42cに押し付けられるように折り畳まれた一対の押圧部43と、第2挿通部42cとが同時に貫通孔26を通過できない(貫通不能な)値に設定されている。
【0057】
ここで、異物検知センサ31のブラケット12への固定手順と合わせて、本実施形態の異物検知センサ31の固定構造の作用を説明する。
図6(b)に示すように、異物検知センサ31を支持部41によってブラケット12に固定するためには、支持部41の第2挿通部42cを、貫通孔26の外側開口部26bから貫通孔26の内部に挿入する。そして、支持部41が貫通孔26を貫通するまで、支持部41を貫通孔26内に挿入していく。このとき、挿通部42が貫通孔26内に挿入されるに連れて、一対の押圧部43は、貫通孔26の内周面に押圧されて、先端が異物検知センサ31側を向き第1挿通部42bに押し付けられるように折り畳まれる。そして、このように折り畳まれた一対の押圧部43と第1挿通部42bとは、若干弾性変形しながら、貫通孔26を通り抜ける(貫通する)。すると、図5(a)に示すように、一対の押圧部43は、保持凹部23内で復元して第1挿通部42bから離間するとともに、一対の押圧部43の先端部の接触部43aが、貫通孔26の幅方向の両側の押圧面25にそれぞれ押圧接触する。更に、一対の押圧部43が貫通孔26を通り抜けると、嵌合部42aが貫通孔26に嵌合されるとともに、嵌合部42aの幅方向の両側で中空絶縁体32の外周面32aが受け面27a,27bに当接する。その結果、押圧面25を押圧する一対の押圧部43と、異物検知センサ31の中空絶縁体32とによって、保持部22における受け面27a,27bと押圧面25との間の部位が、貫通孔26の貫通方向の両側から挟持される。これにより、異物検知センサ31は、支持部41によってブラケット12に対して固定される。即ち、センサ線13がブラケット12に固定される。このように、押圧面25を押圧する一対の押圧部43と、異物検知センサ31の中空絶縁体32とによって、ブラケット12を貫通孔26の貫通方向の両側から挟持することで、異物検知センサ31は、ブラケット12に対して安定して固定される。
【0058】
また、ブラケット12に固定された異物検知センサ31は、保持部22(受け面27a,27b)と反対側の約270°の範囲が外部に露出しており、この露出した範囲が、異物検知センサ31に接触した異物X(図8参照)の検知を可能な検知範囲となっている。そして、この検知範囲のうち、異物検知センサ31に加えられた外力が異物検知センサ31の径方向の中央を通って受け面27a若しくは受け面27bに向かう範囲では、当該外力を、異物検知センサ31を介して受け面27a若しくは受け面27bで受けることができる。そのため、異物検知センサ31は、異物Xと受け面27a若しくは受け面27bとに挟まれて変形し易い。
【0059】
図2に示すように、前記通電検知部14は、異物検知センサ31の長手方向の他端部(図2において右側の端部であって抵抗39が設けられた側の端部)に設けられるとともに、前記電極線33に電流を供給している。そして、図2及び図5(a)に示すように、異物検知センサ31に押圧力等の外力が加えられていない通常の状態では、通電検知部14から電極線33に供給される電流は、電極線35を通り、抵抗39を介して電極線34,36に流れる。一方、図2及び図8に示すように、異物検知センサ31を直径方向に潰すような外力が加えられると、外力が加えられた部位の中空絶縁体32が弾性変形するとともに該中空絶縁体32の弾性変形に伴って電極線33〜36が湾曲し、電極線33,35の少なくとも一方の電極線と、電極線34,36の少なくとも一方の電極線とが接触して短絡される。すると、通電検知部14から電極線33に供給される電流は、抵抗39を介さずに電極線34,36に流れることになる。従って、例えば、一定の電圧で電極線33に電流を供給している場合には、電流値が変化するため、通電検知部14は、この時の電流値の変化を検知することにより、異物検知センサ31に接触した異物Xを検知する。そして、通電検知部14は、この電流値の変化を検知すると、即ち異物検知センサ31に接触した異物Xを検知すると、後述のドアECU51に異物検知信号を出力する。尚、異物検知センサ31に対する外力が取り除かれると、中空絶縁体32が復元し、電極線33〜36も復元して非導通状態となる。
【0060】
図1及び図2に示すように、電動バックドア装置2は、ドアパネル5の内部に、前記アクチュエータ6によるドアパネル5の開閉作動を制御するドアECU51を備えている。ドアECU51は、ROM(Read only Memory)、RAM(Random access Memory)等を備えマイクロコンピュータとしての機能を有するとともに、車両1のバッテリ(図示略)から電源の供給を受けている。また、ドアECU51は、該ドアECU51に電気的に接続された通電検知部14に電流を供給している。そして、ドアECU51は、操作スイッチ9、位置検出装置8及び通電検知部14等から入力される各種信号に基づいてアクチュエータ6を制御する。
【0061】
次に、上記のように構成された電動バックドア装置2の動作を、図1及び図2を参照して統括的に説明する。
ドアECU51は、操作スイッチ9から開信号が入力されると、ドアパネル5を開作動させるべくアクチュエータ6を駆動する。尚、ドアECU51は、位置検出装置8から入力される位置検出信号に基づいてドアパネル5の回動位置を認識している。本実施形態では、ドアECU51は、位置検出信号のパルス数をカウントし、そのカウント値に基づいてドアパネル5の回動位置を認識している。そして、ドアパネル5が後部開口部4を完全に開放する全開位置に配置されると、ドアECU51はアクチュエータ6を停止する。
【0062】
一方、操作スイッチ9から閉信号が入力されると、ドアECU51は、ドアパネル5を閉作動させるべくアクチュエータ6を駆動する。そして、ドアパネル5が後部開口部4を完全に閉鎖する全閉位置に配置されると、ドアECU51はアクチュエータ6を停止する。尚、ドアパネル5の閉作動中に、異物検知センサ31に異物Xが接触して同異物検知センサ31に外力が加えられると、異物検知センサ31において中空絶縁体32が弾性変形されることにより電極線33,35の少なくとも一方の電極線と電極線34,36の少なくとも一方の電極線とが接触して短絡される。その結果、電極線33に供給する電流の電流値が変化されるため、通電検知部14がドアECU51に異物検知信号を出力する。ドアECU51は、異物検知信号が入力されると、アクチュエータ6を反転させてドアパネル5を所定量だけ開作動させた後に同アクチュエータ6を停止させる。
【0063】
上記したように、本実施形態によれば、以下の効果を有する。
(1)異物検知センサ31と貫通孔26を貫通した支持部41の押圧部43とによって、貫通孔26の貫通方向の両側からブラケット12を挟持するため、樹脂から形成されることにより軽量化されたブラケット12に対して異物検知センサ31を安定して固定することができる。従って、異物Xから加えられる外力による異物検知センサ31の弾性変形の応答性を良好にすることができる。
【0064】
(2)ブラケット12は、異物検知センサ31の外周面(即ち中空絶縁体32の外周面32a)に当接し異物検知センサ31を介して外力を受ける受け面27a,27bを有する。この受け面27a,27bによって異物検知センサ31の姿勢が安定しやすくなるため、樹脂製のブラケット12に対して異物検知センサ31をより安定して固定することができる。また、異物検知センサ31に異物Xから外力が加えられた場合、異物検知センサ31を介して受け面27a,27bでもその外力を受けることができる。そして、異物Xから加えられた外力を受け面27a,27bでも受けた場合には、異物検知センサ31は、受け面27a,27bに支持されることにより、ブラケット12に対して位置ずれすることが抑制され、ブラケット12に固定された位置で安定して弾性変形できる。更に、異物検知センサ31は、異物Xと受け面27a,27bとに挟まれることで、異物Xからの外力によって弾性変形しやすくなるため、異物検知センサ31による異物Xの検知感度を向上させることができる。
【0065】
(3)異物検知センサ31の円筒状の外周面(即ち中空絶縁体32の外周面32a)と曲率の等しい円弧状をなす受け面27a,27bが異物検知センサ31の外周面に当接することにより、異物検知センサ31は、更に安定してブラケット12に対して固定される。また、異物Xから加えられる外力によって異物検知センサ31がブラケット12に対して位置ずれすることがより抑制される。更に、ブラケット12における貫通孔26付近の強度を、ブラケット12の厚さが厚くなることを抑制しつつ確保することができる。
【0066】
(4)支持部41は、中空絶縁体32と同じ材料で同中空絶縁体32と一体に形成されている。従って、部品点数が減少されるため、製造コストが低減されるとともに、部品管理が容易となる。また、中空絶縁体32の形成時に同時に支持部を形成することが可能であり、中空絶縁体32と支持部41とを同時に形成することにより生産性を向上できる。
【0067】
(5)支持部41の先端部には、貫通孔26の幅よりも狭い(細い)第2挿通部42cが形成されている。異物検知センサ31をブラケット12に固定する際には、支持部41を、第2挿通部42cから貫通孔26に挿入することにより、容易に貫通孔26内に入れることができる。従って、異物検知センサ31をブラケット12に対して容易に固定することができる。また、本実施形態においては、異物検知センサ31をブラケット12に固定する際、貫通孔26内に第2挿通部42cを挿入した後に、保持凹部23の開口部23aから第2挿通部42cを引っ張ることにより、支持部41に貫通孔26を貫通させることができる。このようにすると、異物検知センサ31に大きな押圧力を加えることなく該異物検知センサ31をブラケット12に固定することができる。
【0068】
(6)第1挿通部42bと押圧部43とは同時に貫通孔26を貫通可能である一方、第2挿通部42cと押圧部43とは貫通孔26を同時に貫通不能である。従って、異物検知センサ31をブラケット12に固定する際には、第1挿通部42bと押圧部43とを共に貫通孔26内に挿入することで、支持部41に貫通孔26を貫通させることができる。その一方、ブラケット12に固定された異物検知センサ31に対してブラケット12から外れる方向の外力が加わった場合には、押圧部43が第2挿通部42c側に折り畳まれて第2挿通部42cと押圧部43との作用により、支持部41が貫通孔26から抜けることが抑制され、異物検知センサ31のブラケット12からの脱落が抑制される。
【0069】
(7)樹脂から形成されることにより軽量化されたブラケット12に対して異物検知センサ31が安定して固定されているため、異物Xから外力を受けた異物検知センサ31が弾性変形しやすい。従って、異物Xの検知感度の低下を抑制することができる。
【0070】
(8)車両1の後部に設けられた後部開口部4を開閉するドアパネル5における、後部開口部4の周縁部と対向する周縁部に、異物検知センサ31が安定して固定される。
(9)支持部41は、異物検知センサ31の長手方向(中空絶縁体32の長手方向)の一端部から他端部まで異物検知センサ31の長手方向に沿って連続的に形成されている。従って、長尺状の異物検知センサ31の長手方向の何れの部位においても、支持部41と異物検知センサ31とによって貫通孔26の貫通方向の両側からブラケット12を挟持できるため、異物検知センサ31をブラケット12に対して一層安定して固定することができる。また、押出成形により容易に支持部41を形成することが可能となる。
【0071】
(11)貫通孔26を貫通した支持部41においては、嵌合部42aが貫通孔26に嵌合するため、異物検知センサ31のがたつきが抑制される。
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
【0072】
・上記実施形態では、車両1の後部に設けられた後部開口部4を開閉するドアパネル5を電動で開閉作動させる電動バックドア装置2に、異物検知装置11を備えた。しかしながら、異物検知装置11は、電動バックドア装置2以外に、車両1に設けられた開口部を開閉する開閉体を電動で開閉作動させる電動ドア開閉装置に備えられてもよい。例えば、異物検知装置11は、車両1の側方に設けられた開口部(乗降口)を開閉するドアパネル(開閉体)を電動でスライド移動させる電動スライドドア装置に備えられてもよい。また、異物検知装置11は、車両1の上面に設けられた開口部を開閉するルーフパネル(開閉体)を電動で開閉作動させるサンルーフ装置に備えられてもよい。そして、何れの場合においても、樹脂製のブラケット12は、車両1に設けられた開口部の周縁部、若しくは前記開口部を開閉する開閉体における前記開口部の周縁部と対向する周縁部に固定される。このようにしても、車両1の軽量化を図りつつ、車両1に設けられた開口部の周縁部、若しくは開閉体における開口部の周縁部と対向する周縁部に、異物検知センサ31が安定して固定される。
【0073】
・上記実施形態では、ブラケット12は、ドアパネル5における後部開口部4の周縁部と対向する周縁部に固定されている。しかしながら、ブラケット12は、後部開口部4の周縁部におけるドアパネル5の周縁部と対向する部分に固定されてもよい。
【0074】
・上記実施形態では、通電検知部14は、電極線33に一定の電圧で電流を供給し、電極線33〜36同士の接触に起因する電流値の変化を検知すると異物検知信号を出力する。しかしながら、通電検知部14は、電極線33〜36同士の接触に起因する電圧値の変化を検知すると異物検知信号を出力するように構成されてもよい。
【0075】
・上記実施形態の支持部41に代えて、図9(a)に示す支持部61を異物検知センサ31の外周面に設けてもよい。支持部61は、中空絶縁体32と一体に形成され、異物検知センサ31の長手方向に沿って連続的に形成されるとともに、長手方向と直交する断面の形状が一定となっている。そして、この支持部61の内部には、該支持部61を中空状にする中空部62が形成されている。中空部62は、支持部61の基端の手前から同支持部61の先端の手前まで、支持部61の突出方向のほぼ全域に亘って形成されている。また、支持部61は、幅方向の両側に突出した一対の押圧部63を備えている。この押圧部63は、図10に示すように、支持部61が貫通孔26を貫通したときに押圧面25に当接して、異物検知センサ31と共に貫通孔26の貫通方向の両側からブラケット12を挟持する。このようにすると、図9(b)に示すように、支持部61は、貫通孔26を貫通するときに、中空部62の幅を狭めるように容易に弾性変形することができる。即ち、支持部61の内部に中空部62が形成されたことにより、支持部61は、変形しやすくなるため、貫通孔26を貫通しやすくなる。従って、異物検知センサ31をブラケット12に対してより容易に固定することができる。また、支持部61の軽量化を図ることができる。更に、中空部62が形成された支持部61は、長手方向に容易に湾曲される。従って、ドアパネル5の周縁部の形状が非直線形状であっても、ドアパネル5の周縁部に沿って容易に異物検知センサ31を固定することができる。
【0076】
また、図11に示すように、上記実施形態の支持部41の挿通部42の内部に、該挿通部42を中空状にする中空部71を形成してもよい。このようにしても図9(a)に示す例と同様の効果を得ることができる。
【0077】
また、図12(a)に示す支持部81のように、幅方向の両側に突出した押圧部82の内部にまで広がる中空部83を備えた構成であってもよい。このようにしても図9(a)に示す例と同様の効果を得ることができる。尚、図12(b)に示すように、支持部81の先端部に、貫通孔26の幅よりも細い導入部84を形成してもよい。このようにすると、上記実施形態の(5)と同様の効果を得ることができる。
【0078】
また、図13に示す支持部91のように、支持部91の基端側の部位のみに中空部92を形成してもよい。支持部91は、該支持部91の幅方向の両側に突出し押圧面25を押圧する一対の押圧部93を備えている。そして、中空部92は、支持部91において、押圧部93の先端部(押圧面25に接触する部分)の近傍から、支持部91の基端部付近に亘って形成されている。このようにしても図9(a)に示す例と同様の効果を得ることができる。
【0079】
また、図14に示す支持部101のように、支持部101の先端側に開口した中空部102を備えた構成であってもよい。このようにしても図9(a)に示す例と同様の効果を得ることができる。
【0080】
尚、上記した中空部62,71,83,92,102は、異物検知センサ31の長手方向に沿って連続的に形成されるものに限らず、支持部61,41,81,91,101に部分的に設けられるものであってもよい。
【0081】
・上記実施形態では、一対の押圧部43は、挿通部42の幅方向の両側面における第1挿通部42bと第2挿通部42cとの境界部分からそれぞれ異物検知センサ31に向かって延びている。しかしながら、一対の押圧部43は、第1挿通部42bの幅方向の両側面からそれぞれ異物検知センサ31に向かって延びるように形成されてもよい。また、支持部41は、押圧部43を必ずしも2つ備えなくてもよい。また、上記実施形態では、第2挿通部42cと押圧部43とは貫通孔26を同時に貫通不能であるが、第2挿通部42cは、押圧部43と同時に貫通孔26を貫通可能に形成されてもよい。
【0082】
・上記実施形態の支持部41は、必ずしも第2挿通部42c(導入部)を備えなくてもよい。
・上記実施形態では、支持部41は、中空絶縁体32と同じ材料から形成されている。しかしながら、図15に示すように、中空絶縁体32よりも硬質な材料(例えば、中空絶縁体32よりも硬質な樹脂材料、弾性変形可能な金属材料等)で形成される支持部111を、中空絶縁体32に固定してもよい。このようにすると、ブラケット12に対する異物検知センサ31のぐらつきを抑制することができる。尚、「中空絶縁体32に固定する」とは、支持部111と中空絶縁体32とが一体成形により形成されたものも含む。
【0083】
・上記実施形態では、異物検知センサ31は、4本の電極線33〜36を備えている。しかしながら、電極線は、異物検知センサ31に少なくとも2本備えられればよく、例えば、6本備えられてもよい。
【0084】
・電極線33〜36は、軟銅よりなる単線であってもよい。
・上記実施形態では、異物検知センサ31は、円筒状の中空絶縁体32を備えることにより、円筒状の外周面を備えている。しかしながら、異物検知センサの外周面の形状は、円筒状に限らず、多角形状や楕円筒状等であってもよい。この場合、異物検知センサ31の外周面に当接する受け面27a,27bの形状は、異物検知センサ31の外周面に対応した形状であることが望ましい。
【0085】
・異物検知センサ31と貫通孔26を貫通した支持部41とによって、貫通孔26の貫通方向の両側からブラケット12を挟持可能であれば、異物検知センサ31、支持部41及びブラケット12の形状は、上記実施形態の形状に限らない。例えば、ブラケット12は、受け面27a,27bを備えない構成であってもよい。
【0086】
・上記実施形態では、支持部41は、異物検知センサ31の長手方向に沿って連続的に形成されているが、異物検知センサ31の長手方向の複数箇所に形成されてもよい。この場合、貫通孔26は、上記実施形態のようなスリット状に限らず、ブラケット12の長手方向の複数箇所に形成されてもよい。
【0087】
・異物検知センサ31は、中空絶縁体32の外周を被覆する弾性変形可能な筒状の保護部材を備えた構成であってもよい。この場合、支持部41は、保護部材の外周面から突出するように形成される。
【0088】
・異物検知センサ31は、弾性変形することで異物検知センサ31に接触した異物Xを検知するだけでなく、近接する異物Xとの間の静電容量を検出できるように構成されてもよい。この場合、異物検知装置11では、異物検知センサ31を用いて検出された静電容量に基づいて、異物検知センサ31に近接する異物Xを検知する。
【0089】
上記実施形態及び上記各変更例から把握できる技術的思想を以下に記載する。
(イ)請求項1乃至請求項8の何れか1項に記載の異物検知センサの固定構造において、前記異物検知センサは長尺状をなし、前記支持部は、前記異物検知センサの長手方向の一端部から他端部まで前記異物検知センサの長手方向に沿って連続的に形成されていることを特徴とする異物検知センサの固定構造。同構成によれば、長尺状の異物検知センサの長手方向の何れの部位においても、支持部と異物検知センサとによって貫通部の貫通方向の両側からブラケットを挟持できるため、異物検知センサをブラケットに対して一層安定して固定することができる。
【符号の説明】
【0090】
1…車両、4…開口部としての後部開口部、5…開閉体及びバックドアとしてのドアパネル、11…異物検知装置、12…ブラケット、26…貫通部としての貫通孔、27a,27b…受け面、31…異物検知センサ、32…中空絶縁体、32a…異物検知センサの外周面としての中空絶縁体の外周面、33〜36…電極線、41,61,81,91,101,111…支持部、42…挿通部、42b…第1挿通部、42c…導入部としての第2挿通部、43…規制部としての押圧部、62,71,83,92,102…中空部、84…導入部、X…異物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異物から外力を受けて弾性変形されることにより前記異物を検知する異物検知センサを樹脂製のブラケットに固定する異物検知センサの固定構造であって、
前記異物検知センサの外周面から突出する支持部を備え、
前記ブラケットには、前記支持部が貫通する貫通部が設けられ、
前記異物検知センサと、前記貫通部を貫通した前記支持部とが、前記ブラケットを前記貫通部の貫通方向の両側から挟持することを特徴とする異物検知センサの固定構造。
【請求項2】
請求項1に記載の異物検知センサの固定構造において、
前記ブラケットは、前記異物検知センサの外周面に当接し前記異物検知センサを介して前記外力を受ける受け面を有することを特徴とする異物検知センサの固定構造。
【請求項3】
請求項2に記載の異物検知センサの固定構造において、
前記異物検知センサは、円筒状の外周面を有し、
前記受け面は、前記異物検知センサの外周面と等しい曲率の円弧状をなすことを特徴とする異物検知センサの固定構造。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の異物検知センサの固定構造において、
前記異物検知センサは、弾性変形可能な長尺状の中空絶縁体と、前記中空絶縁体の内部で互いに離間して対向配置されるとともに前記中空絶縁体の弾性変形に伴って撓曲することで互いに接触可能な複数の電極線とを有し、
前記支持部は、前記中空絶縁体と同じ材料で前記中空絶縁体と一体に形成されていることを特徴とする異物検知センサの固定構造。
【請求項5】
請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の異物検知センサの固定構造において、
前記異物検知センサは、弾性変形可能な長尺状の中空絶縁体と、前記中空絶縁体の内部で互いに離間して対向配置されるとともに前記中空絶縁体の弾性変形に伴って撓曲することで互いに接触可能な複数の電極線とを有し、
前記支持部は、前記中空絶縁体よりも硬質な材料で形成され、前記中空絶縁体に固定されていることを特徴とする異物検知センサの固定構造。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の異物検知センサの固定構造において、
前記支持部の先端部には、前記貫通部の幅よりも細い導入部が形成されていることを特徴とする異物検知センサの固定構造。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の異物検知センサの固定構造において、
前記支持部は、前記異物検知センサの外周面から突出し第1挿通部と前記第1挿通部よりも前記支持部の先端側に前記第1挿通部と隣接して設けられた第2挿通部とを有する挿通部と、前記第1挿通部と前記第2挿通部との境界部分若しくは前記第1挿通部の側面から前記異物検知センサに向かって延びる規制部とを備え、
前記第1挿通部と前記規制部とは同時に前記貫通部を貫通可能である一方、前記第2挿通部と前記規制部とは前記貫通部を同時に貫通不能であることを特徴とする異物検知センサの固定構造。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の異物検知センサの固定構造において、
前記支持部の内部には、前記支持部を中空状にする中空部が形成されていることを特徴とする異物検知センサの固定構造。
【請求項9】
外力を受けて弾性変形される異物検知センサと、
前記支持部により前記異物検知センサが固定されるブラケットと、
請求項1乃至請求項8の何れか1項に記載の異物検知センサの固定構造と
を有し、前記異物検知センサの弾性変形により前記異物検知センサに接触した異物を検知することを特徴とする異物検知装置。
【請求項10】
請求項9に記載の異物検知装置において、
前記ブラケットは、車両に設けられた開口部の周縁部、若しくは前記開口部を開閉する開閉体における前記開口部の周縁部と対向する周縁部に固定されたことを特徴とする異物検知装置。
【請求項11】
請求項10に記載の異物検知装置において、
前記開閉体は、前記車両の後部に設けられた前記開口部を開閉するバックドアであることを特徴とする異物検知装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2013−14164(P2013−14164A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146462(P2011−146462)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)
【Fターム(参考)】