説明

異物選別装置

【課題】
石抜装置の機能と藁屑等の長尺物を選別する機能を一つの装置にしてコンパクトな構成にすることを課題とする。
【解決手段】
横方向軸心の駆動軸(3)で回転する円筒(B)の内面に、多数の凹部(r)を設けて該凹部(r)で穀粒に混じる石を持ち上げ分離する石選別部(C)と、該石選別部(C)の後工程にあって多数の貫通穴(p)を形成する長尺物分離筒(13)を設けて穀粒が貫通穴(p)を通過することで穀粒と藁屑等の長尺物(h)とを分離する長尺物選別部(D)とを備えたことを特徴とする異物選別装置とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は籾や玄米等の穀粒と石や藁屑等の長尺物を分離選別する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
穀粒から石を選別する装置と藁屑等の長尺物を選別する装置は別々のものであり、例えば特許文献1には、石を選別する石抜装置と藁屑等を選別する装置(異物除去装置)が別々に備えていることが開示されている。
【特許文献1】特開2000−167424号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
穀粒中の石や藁屑等の長尺物を分離選別する装置は利用者が持ち込む玄米や籾を利用料金を投入して精白処理する建屋式の精米施設において広く用いられているが、限られた建屋内のスペースの中で各種部材を配置しているためできるだけコンパクトに構成するのが望ましい。
【0004】
本発明は石抜装置の機能と藁屑等の長尺物を選別する機能を一つの装置にしてコンパクトな構成にすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために以下のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の発明は、横方向軸心の駆動軸(3)で回転する円筒(B)の内面に、多数の凹部(r)を設けて該凹部(r)で穀粒に混じる石を持ち上げ分離する石選別部(C)と、該石選別部(C)の後工程にあって多数の貫通穴(p)を形成する長尺物分離筒(13)を設けて穀粒が貫通穴(p)を通過することで穀粒と藁屑等の長尺物(h)とを分離する長尺物選別部(D)とを備えたことを特徴とする異物選別装置とする。
【0006】
回転する円筒(B)内に穀粒を投入するとまず、石選別部(C)供給され凹部(r)で穀粒に混じる石を持ち上げ穀粒から分離選別する。そして、穀粒は後工程の長尺物選別部(D)の長尺物分離筒(13)に移送される。そして、そこで穀物は長尺物分離筒(13)の貫通穴(p)を通過し、長尺物(h)は貫通穴(p)を通過しないで円筒(13)内部に残留することで穀物と長尺物(h)とを分離選別する。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明によると、同一の駆動軸で回転する円筒内部に石を分離選別する石選別部(C)と、長尺物選別部(D)を設けることで、装置全体をコンパクトにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
発明を実施するための最良の形態として実施した場合について説明する。
図1は本発明の異物選別装置を側面から見た装置内部を説明した図である。
Aは異物選別装置のケースでその下部には異物選別装置を支持する支持脚tを設け、その内部には横方向に長く形成し内部を空間部とした円筒Bを設けている。
【0009】
ケースAに隣接して穀粒を投入する投入ホッパ1を設け、投入ホッパ1の下端部には穀粒を円筒B内に移送する移送ラセン2を設けている。3は円筒Bを回転させる駆動軸で穀粒投入側の端部を連結部材4を介して移送ラセン軸2aと同一軸心上に連結する構成とし、穀粒排出側の端部をケースA側に取り付けている軸受部5で支持する構成としている。
【0010】
移送ラセン軸2aの終端部には穀粒を円筒B内に掻き出す掻き出し羽根2bを設けており、掻き出し羽根2bの周囲を筒体6で覆っている。筒体6は側面の一部に切欠部(図示せず)を設けると共に、一端を連結部材4に他端を軸受け部6aを介して円筒Bにそれぞれ取り付け、駆動軸3の回転駆動が筒体6に伝動することで円筒Bが回転する構成とし、円筒Bの穀粒排出側の外周下部をケースA側に固定する車輪8に載置し回転を支持する構成としている。なお、駆動軸3はモータ7により回転駆動する移送ラセン2から連結部材4を介して回転駆動する。
【0011】
円筒Bの内部は穀粒投入側に穀粒に混じる小石yを分離選別する石選別部Cを設け穀粒排出側に穀粒に混じる藁等の長尺物hを分離選別する長尺物選別部Dとを備えている。
石選別部Cの円筒内周面には穀粒に混じる小石yを持ち上げるための多数の凹部rを形成している。凹部rは円筒内側に穀粒が挿入せずに小石yが挿入する程度(直径3ミリ程度)のパンチングメタル10で円筒内側を形成し、その外側を目張り材11で覆うことで形成している。そして、12は凹部で持ち上げた小石yを受ける石受け部12でその底面を穀粒排出側に向かって小石yが流下する傾斜部12aを形成している。17は石選別部Cを通過する穀粒に混じる釘等の金属類(図示せず)を吸着する磁石で、石受け部12の下方のスペースに駆動軸3に遊転した状態で吊り下げられている。
【0012】
穀粒排出側の円筒(B)内部には穀粒と藁屑等の長尺物hとを分離するための多数の貫通穴pを形成する長尺物分離筒13を備えている。長尺物分離筒13は石選別部C内周面と略同じ面位置に設けており、長尺物分離筒13と長尺物選別部Dの円筒内周部との間に空間部を形成し、貫通穴pを通過した穀粒を移送する穀粒移送通路14としている。また、長尺物分離筒13の穀粒排出側は流下通路14よりも穀粒排出側に延設している。そして、長尺物分離筒13の排出口13aの近傍には傾斜部12aの排出口12bが設けられており石受け部12から傾斜部12aを流下した小石yと長尺物分離筒13で分離され長尺物分離筒13の内周面を移送された藁屑等の長尺物hがそれぞれ異物排出通路15に流入して異物貯留箱(図示せず)で貯留される構成である。なお、穀粒移送通路14の穀粒排出側は開口部を形成し穀粒排出口14aとしている。
【0013】
次に本実施の形態の異物選別装置の作用について説明する。
投入ホッパ1に穀粒を投入しモータ7を駆動させると穀粒は移送ラセン2で搬送され、回転する筒体6の切欠き部(図示せず)が下方を向く毎に穀粒が掻き出し羽根2bの作用で円筒B内部の石選別部C内に供給される。石選別部Cでは小石yが凹部rに挿入して持ち上げられ石受け部12に落下投入される。そして、穀粒は途中で磁石17の近傍を通過するときに混じっている釘等の異物金属を吸着除去されながら穀粒排出側に向かって移送される。石選別部Cを通過した穀粒は長尺物選別部Dの長尺物分離筒13に供給され、穀粒は貫通穴pを通過して穀粒移送通路14に落下供給され穀粒排出側に向かって順次移送され穀粒排出口14aより次の穀物処理工程の装置に搬送するための昇降機18に供給される。貫通穴pを通過しない藁屑等の長尺物hは長尺物分離筒13の内周面を伝って異物排出通路15に排出される。また、石選別部Cで分離選別されて石受け部12に投入された石が傾斜部12aを流下し、異物排出通路15に排出される。そして、異物排出通路15内の長尺物hや石yは異物貯留箱(図示せず)に貯留される。
【0014】
本実施の形態においては以下の効果を奏する。
一つの駆動軸3で回転する円筒B内に石選別部Cと長尺物選別部Dとを隣接して並列に設けることで異物選別装置全体をコンパクトにすることができる。また、穀粒投入位置と穀粒排出口位置を低くすることができるため、メンテナンス性が向上する。また、モータ7が一つで済むため安価なものにできる。また、石選別部Cを前工程にして長尺物選別部Dを後工程にすることで長尺物hを移送する距離を短くすることができ長尺物分離筒13を短くすることができ、分離した長尺物hを円滑に排出することができる。また、石受け部12の下方のスペースに磁石を取り付けることで石選別部Cの円筒内のスペースを有効に使用することができる。また、分離選別した石yと長尺物hを異物として共通の異物排出通路15で排出して共通の異物貯留箱に貯留することができるため構成を簡単なものにしながら、異物の廃棄をし易くすることができる。また、石選別部Cの選別面(凹部rの形成面)と長尺物分離筒13の内周面を略同じかあるいは石選別部Cの選別面の位置を若干高い位置に設けることで石選別部Cから長尺物選別部Dへの穀粒の移送を円滑にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】側面から見た異物選別装置の内部を説明する図。
【図2】側面から見た円筒内部を説明する図。
【図3】S−Sから見た円筒内部を説明する図
【図4】石選別部の円筒の構造を説明する図
【図5】長尺物分離筒の一部を示す図
【符号の説明】
【0016】
3 駆動軸
13 長尺物分離筒
B 円筒
C 石選別部
D 長尺物選別部
r 凹部
p 貫通穴
h 藁屑等の長尺物
y 小石


【特許請求の範囲】
【請求項1】
横方向軸心の駆動軸(3)で回転する円筒(B)の内面に、多数の凹部(r)を設けて該凹部(r)で穀粒に混じる石を持ち上げ分離する石選別部(C)と、該石選別部(C)の後工程にあって多数の貫通穴(p)を形成する長尺物分離筒(13)を設けて穀粒が貫通穴(p)を通過することで穀粒と藁屑等の長尺物(h)とを分離する長尺物選別部(D)とを備えたことを特徴とする異物選別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−175590(P2007−175590A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−375581(P2005−375581)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】