説明

異状判定装置及び異状判定方法

【課題】容器内に充填された検査対象物の異状をより高い精度で検出することを可能とする。
【解決手段】異状判定装置100では、まず対象物撮像画素を抽出した後に、この対象物撮像画素における各波長に対するスペクトル強度の平均を求め、平均反射スペクトルを算出し、これを用いて異状の有無を判定する。このように、平均反射スペクトルを算出して利用することで、各画素に含まれるノイズ等に由来する誤判定を減らすことができ、容器内に充填された検査対象物の異状をより高い精度で検出することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異状判定装置及び異状判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、容器内に充填された液体等の内容物の異状の検出を目的として、容器の外側から容器に対して測定光を照射し、反射スペクトルや吸収スペクトルを測定する方法が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第308743号公報
【特許文献2】特開2010−197157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1,2に記載の方法によれば、容器による測定光の吸収・反射が内容物による測定光の吸収・反射よりも非常に大きいため、得られる反射スペクトルや吸収スペクトルは容器の影響が非常に大きくなる。したがって、内容物の反射スペクトルや吸収スペクトルに係る微小な変化を検出することが困難となり、内容物の微小な変化を検知することが困難となる。
【0005】
本発明は上記を鑑みてなされたものであり、容器内に充填された検査対象物の異状をより高い精度で検出することが可能な異状判定装置及びこの異状判定装置による異状判定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る異状判定装置は、検査対象物が収容された容器を撮像して得られたスペクトル画像に基づいて、該検査対象物の異状の有無を判定する異状判定装置であって、前記容器に対して複数波長の光を照射する照射手段と、前記照射手段より照射された光による前記容器からの反射光を受光することで、容器を撮像してスペクトル画像を得る撮像手段と、前記撮像手段による撮像によって得られた前記スペクトル画像に含まれる全画素から前記検査対象物に係る情報が含まれる対象物撮像画素を抽出する抽出手段と、前記抽出手段により抽出された全ての前記対象物撮像画素における各波長に対するスペクトル強度の平均を求め、平均反射スペクトルを算出する平均化手段と、前記平均化手段により算出された前記平均反射スペクトルに基づいて、前記検査対象物の異状の有無を判定する判定手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る異状判定方法は、検査対象物が収容された容器を撮像して得られたスペクトル画像に基づいて、該検査対象物の異状の有無を判定する異状判定方法であって、前記容器に対して複数波長の光を照射する照射ステップと、前記照射ステップにおいて照射された光による前記容器からの反射光を受光することで、容器を撮像してスペクトル画像を得る撮像ステップと、前記撮像ステップにおいて撮像によって得られた前記スペクトル画像に含まれる全画素から前記検査対象物に係る情報が含まれる対象物撮像画素を抽出する抽出ステップと、前記抽出ステップにおいて抽出された全ての前記対象物撮像画素における各波長に対するスペクトル強度の平均を求め、平均反射スペクトルを算出する平均化ステップと、前記平均化ステップにより算出された前記平均反射スペクトルに基づいて、前記検査対象物の異状の有無を判定する判定ステップと、を有することを特徴とする。
【0008】
上記の異状判定装置及び異状判定方法によれば、まず撮像によって得られたスペクトル画像に含まれる全画素から検査対象物に係る情報が含まれる対象物撮像画素を抽出する。このように、判定に利用する画素を限定することで、容器に起因するノイズに由来する誤判定を減らすことが可能になる。加えて、この対象物撮像画素における各波長に対するスペクトル強度の平均を求め、平均反射スペクトルを算出し、これを用いて異状の有無を判定する。このように、平均反射スペクトルを算出して利用することで、各画素に含まれるノイズ等に由来する誤判定を減らすことができ、容器内に充填された検査対象物の異状をより高い精度で検出することが可能となる。
【0009】
ここで、前記照射手段は、波長1200〜2400nmの範囲に含まれる複数の波長の光を照射する態様とすることができる。この波長範囲の光を照射する態様とすることで、検査対象物が水分を含む場合には、より高い精度で異状判定を行うことが可能となる。
【0010】
また、抽出手段は、前記スペクトル画像に含まれる各画素において、波長1200〜2400nmの範囲に含まれる第1の波長での反射率と、波長1200〜2400nmの範囲に含まれて前記第1の波長とは異なる第2の波長での反射率と、の比を算出し、この結果に基づいて当該画素が前記対象物撮像画素であるかを判断する態様とすることができる。
【0011】
また、抽出手段は、前記スペクトル画像に含まれる各画素において、波長1200〜2400nmの範囲に含まれる第3の波長での反射率が所定の範囲にあるか否かに基づいて当該画素が前記対象物撮像画素であるかを判断する態様とすることができる。
【0012】
また、抽出手段は、前記スペクトル画像に含まれる各画素において、波長1200〜2400nmの範囲に含まれる第4の波長での反射率が1以上である場合には当該画素を前記対象物撮像画素から排除する態様とすることができる。この態様を有することにより、正反射が起きている画素を異状判定に用いる画素から排除することができ、より高い精度での異状判定を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、容器内に充填された検査対象物の異状をより高い精度で検出することが可能な異状判定装置及びこの異状判定装置による異状判定方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態に係る異状判定装置の構成を示す図である。
【図2】ハイパースペクトル画像について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0016】
本実施形態に係る異状判定装置100について図1を用いて説明する。本実施形態に係る異状判定装置100は、搬送手段(図示せず)によって矢印Aで示す方向に移動する容器1の内部の検査対象物の変質等の異状の有無を検査する装置である。本実施形態に係る異状判定装置100の検査対象物としては、容器1に充填された食品や医薬品等が挙げられる。そしてこれらの検査対象物の異状としては、検査対象物の腐敗等の変質や、細菌の混入等が挙げられる。異状判定装置100は、検査対象物が充填された容器1の外側から、容器1に対して測定光を照射することにより得られる拡散反射光のスペクトルを測定し、そのスペクトルに基づいて検査対象物の異状を検出する。異状判定装置100は、光源10、ミラー15、カメラ20(撮像部)、及び制御部30を備える。
【0017】
光源10は、複数波長の光が含まれる測定光を、所定の照射領域へ向けて照射する。この照射領域とは、搬送手段により移動する容器1が通過する位置であり、容器1の移動方向Aに対して垂直な方向に延びるライン状の領域である。光源10が照射する測定光の波長範囲は、容器1内の検査対象物や、検出対象である検査対象物の異状等に応じて適宜選択される。測定光として近赤外光を用いる場合、具体的には、1200nm〜2400nmの範囲の波長の成分が複数含まれる光が好適に用いられるが、近赤外光に代えて可視光を測定光として用いることも可能である。このような光を出射する光源10として、例えばハロゲンランプが好適に用いられる。なお、本実施形態では、同一の照射領域を照射する2つの光源10が、照射領域に対して互いに異なる角度となるように設けられている。なお、光源10には、ライン状の照射領域に出射するための手段として、シリンドリカルレンズが設けられていてもよい。
【0018】
光源10から出力された近赤外光L1は、照射領域に位置する容器1により拡散反射される。そして、その一部が、拡散反射光L2として、ミラー15を経て、カメラ20に入射する。
【0019】
カメラ20は、ハイパースペクトル画像を取得するハイパースペクトルセンサとしての機能を有する。ここで、本実施形態におけるハイパースペクトル画像について図2を用いて説明する。図2は、ハイパースペクトル画像についてその概略を説明する図である。図2に示すように、ハイパースペクトル画像Hとは、N個の画素P〜Pにより構成されている画像である。図2ではそのうちの一例として2個の画素P及びPについて具体的に示している。画素P及びPには、それぞれ複数の強度データからなるスペクトル情報S及びSが含まれている。この強度データとは、特定の波長(又は波長帯域)におけるスペクトル強度を示すデータであり、図2では、15個の強度データがスペクトル情報S及びSとして保持されていて、これらを重ね合わせた状態で示している。このように、ハイパースペクトル画像Hは、画像を構成する画素毎に、それぞれ複数の強度データを持つという特徴から、画像としての二次元的要素と、スペクトルデータとしての要素をあわせ持った三次元的構成のデータである。なお、本実施形態では、ハイパースペクトル画像Hとは、1画素あたり少なくとも3つの波長帯域における強度データを保有している画素によって構成された画像のことをいう。なお、図2では検査対象物3をあわせて示している。すなわち、図2においてPは検査対象物3を撮像した画素であり、Pは背景(例えば、搬送手段)を撮像した画素である。
【0020】
図1に戻り、本実施形態に係るカメラ20には図示しないスリット及び分光器が設けられていて、容器1の進行方向に対して垂直な方向(y軸方向)に伸びるライン状の領域を受光領域として、この受光領域からの光をミラー15を介して入射させる。そして、カメラ20の内部には、複数の受光素子が2次元に配列された受光面を備え、各受光素子が光を受光する受光部を備える。これにより、受光部が容器1の進行方向に対して垂直な方向(y軸方向)に沿った各位置で反射した拡散反射光L2の各波長の光をそれぞれ受光することとなる。各受光素子は、受光した光の強度に応じた信号を位置と波長とからなる二次元平面状の一点に関する情報として出力する。このカメラ20内部の受光部の受光素子から出力される信号が、ハイパースペクトル画像に係る画像データとして、カメラ20から制御部30へ送られる。
【0021】
制御部30は、入力された信号により拡散反射光L2のスペクトルを得て、この得られたスペクトルに基づいて異状の有無を判断する。容器1内の検査対象物の異状を検出する場合は、次のような原理で検査を行う。
【0022】
検査対象物となる内容物に異状がある場合、光源10から出力される測定光(本実施形態では近赤外光)の波長範囲において特定の吸収帯域においてスペクトル強度の変化が発生する。そこで、容器1により拡散反射した拡散反射光L2によるハイパースペクトル画像Hにおいて画素毎に含まれて複数の強度データにより構成されるスペクトル情報を参照し、異状に由来する特定の反射光のピーク強度の変化を検出することにより、異状の有無を判断するそして、この制御部30による判定の結果は、例えば制御部30に接続されるモニタや、プリンタ等に出力することによって、この異状判定装置100のオペレータに通知される。
【0023】
この制御部30は、CPU(Central Processing Unit)、主記憶装置であるRAM(RandomAccess Memory)及びROM(Read Only Memory)、検出ユニット等の他の機器との間の通信を行う通信モジュール、並びにハードディスク等の補助記憶装置等のハードウェアを備えるコンピュータとして構成される。そして、これらの構成要素が動作することにより、制御部30としての機能が発揮される。
【0024】
制御部30は、抽出部31、平均化部32、判定部33を含んで構成される。カメラ20から送られる画像データは、まず抽出部31へ送られる。
【0025】
抽出部31は、画像データに含まれる全画素から検査対象物に係る情報が含まれる対象物撮像画素を抽出する機能を有する。図2に示すように、画像データには、撮像されたものに検査対象物が含まれる画素と、検査対象物が含まれない画素とが含まれる。したがって、この抽出部31により、容器による測定光の吸収・反射の影響が比較的少なくかつ検査対象物に係る情報が得られる画素である対象物撮像画素を抽出する。この具体的な方法としては、例えば、第1の波長での反射率と、第1の波長とは異なる第2の波長での反射率との比が所定の範囲に有る場合、その画素が容器による測定光の吸収・反射の影響が比較的少なくかつ検査対象物にかかる情報が得られる画素、すなわち、容器1内の内容物を撮像した画素であると判断する方法がある。具体的には、例えば、内容物が水分を含む物質である場合、水由来の吸収ピークが出現する波長1384nmにおける反射率と、水由来の吸収ピークの影響が小さくなる波長1300nmにおける反射率との比率が、所定の範囲にある場合に、当該画素が水分を含む内容物を撮像した画素であると判断する方法である。
【0026】
なお、本実施形態でいう反射率とは、標準拡散板を用いて反射光を測定した場合の反射光強度を1とした場合の反射光の強度の比率を指し、仮に標準拡散板による反射光よりもその反射光の強度が強い場合には、反射率が1を超過するものである。ただし、このように反射率が1を超過する場合には、検査対象物において正反射が起こっていると判定し、対象物撮像画素から除外することが好ましい。正反射が起こっている場合には、この反射光の強度データが検査対象物の情報を含んでいない可能性が高いからである。
【0027】
また、他の手法として、特定の波長での反射率が所定の範囲内に有る場合に、その画素が容器による測定光の吸収・反射の影響が比較的少なくかつ検査対象物にかかる情報が得られる画素、すなわち、容器1内の内容物を撮像した画素であると判断する方法がある。この方法は、具体的には、例えば、内容物が水分を含む物質である場合、水由来の吸収ピークが出現する波長1384nmにおける反射率が所定の値よりも小さい場合に、当該画素が水分を含む内容物を撮像した画素であると判断する方法である。
【0028】
さらに、他の手法として、特定の第1の波長での反射率と、第1の波長とは異なる第2の波長での反射率との差が所定の範囲に有る場合、その画素が容器による測定光の吸収・反射の影響が比較的少なくかつ検査対象物にかかる情報が得られる画素、すなわち、容器1内の内容物を撮像した画素であると判断する方法がある。上記の手法を組み合わせて、画素が検査対象物を撮像した画素であるか否かを判断してもよい。この抽出部31において対象物撮像画素であると判断された画素の反射率情報は、各々平均化部32へ送られる。
【0029】
平均化部32は、抽出部31において、検査対象物に係る情報が含まれる画素であるとして抽出された複数の対象物撮像画素に含まれる反射率から各波長に対するスペクトル強度の平均を求め、平均反射スペクトルを算出する機能を有する。この平均反射スペクトルの算出が行われることで、1つの画像データから1つの平均反射スペクトルが作成される。この結果が判定部33に送られる。
【0030】
判定部33は、平均化部32において算出された平均反射スペクトルに基づいて、検査対象物の異状の有無を判定する機能を有する。この異状の有無の判定については、種々の方法を用いることができるが、例えば、第1の波長における反射率と第2の波長における反射率との比が所定の範囲に有る場合に異状があると判断する方法、主成分分析(PCA)、サポートベクターマシン(SVM)等が挙げられる。
【0031】
そして判定部33によって1つの画像データに対応して、当該画像データで撮像した検査対象物の異状の有無が判定され、その結果が出力される。以上により、異状判定が行われる。
【0032】
上記の異状判定装置及びこの異状判定装置100を用いた異状判定方法によれば、まず撮像によって得られたスペクトル画像に含まれる全画素から検査対象物に係る情報が含まれる対象物撮像画素を抽出する。このように、判定に利用する画素を限定することで、容器に起因するノイズに由来する誤判定を減らすことが可能になる。加えて、この対象物撮像画素における各波長に対するスペクトル強度の平均を求め、平均反射スペクトルを算出し、これを用いて異状の有無を判定する。このように、平均反射スペクトルを算出して利用することで、各画素に含まれるノイズ等に由来する誤判定を減らすことができ、容器内に充填された検査対象物の異状をより高い精度で検出することが可能となる。
【0033】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されず、種々の変更を行うことができる。
【0034】
例えば、上記実施形態では、異状判定装置100に制御部30が組み込まれた構成について説明したが、本発明に係る異状判定装置は、例えば、他の工業製品の異状分析等を行うシステムに組み込んで利用することもできる。また、制御部30は、上記実施形態のように画像データの撮像を行うカメラ20と接続されている必要はなく、単体で使用することができる。
【実施例】
【0035】
以下、実施例及び比較例に基づき本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0036】
図1に示す異状判定装置1を用いて、画像データの撮像を行った。具体的には、容器1として容器袋を用意し、その中に検査対象物として栄養食品が充填された基準サンプルと、栄養食品内部に細菌を混入させて充填させた比較サンプルとを準備した。光源10としては、白色光源を用いて、容器進行方向A(x方向)に対して下方45±5°となる方向から、X方向に対して直交する方向(y方向)のライン状の照射領域を形成するように、2箇所から照射を行い、容器1からの反射光をカメラ20にて撮像した。容器1を移動させながら撮像を繰り返すことで、容器1の撮像を行った。
【0037】
このデータを制御部30にて分析を行った。まず、抽出部31において、検査対象物を撮像した対象物撮像画素を抽出した。この抽出方法として、3つの方法を採用した。
(1)波長1384nmにおける反射率が0.35以下であり、波長1500nmにおける反射率が1以上の条件を満たす画素を、対象物撮像画素と判断した。
(2)波長1384nmにおける反射率に対する波長1300nmにおける反射率の比が1.2未満であり、且つ、波長1500nmにおける反射率が1以上の条件を満たす画素を対象物撮像画素と判断した。
(3)全ての画素を対象物撮像画素として使用した。
【0038】
上記(1)(2)の判断方法により抽出された対象物撮像画素については、平均化部32で平均化処理を行って得られた平均反射スペクトル(1画像データに対して1データ:実施例に相当する)と、平均化しなかった場合(対象物撮像画素それぞれの反射スペクトルを使用する:比較例に相当する)と、について、判定部33において、
(A)波長1450nmにおける反射率と波長1270nmにおける反射率との比が所定の範囲に有る場合に、異状があると判断する方法
(B)主成分分析(PCA)
の2つの方法により、判定を行った。また(3)については、平均化処理を行った平均反射スペクトルについて、(A)(B)の2つの方法で判断を行った。それぞれの検出率(比較サンプルをただしく異状有りと判定した割合)と、誤検出率(基準サンプルを異状有りと判定した割合)とを表1に示す。
【0039】
【表1】



【0040】
表1の結果から、(1)(2)のいずれの場合でも、平均反射スペクトルを用いて異状判定を行った場合のほうが、画素毎の反射スペクトルを用いて異状判定を行った場合と比較して、検出率が向上すると共に、誤検出率が低下した。
【符号の説明】
【0041】
100…異状判定装置、1…容器、10…光源、15…ミラー、20…カメラ、30…制御部、31…抽出部、32…平均化部、33…判定部。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物が収容された容器を撮像して得られたスペクトル画像に基づいて、該検査対象物の異状の有無を判定する異状判定装置であって、
前記容器に対して複数波長の光を照射する照射手段と、
前記照射手段より照射された光による前記容器からの反射光を受光することで、容器を撮像してスペクトル画像を得る撮像手段と、
前記撮像手段による撮像によって得られた前記スペクトル画像に含まれる全画素から前記検査対象物に係る情報が含まれる対象物撮像画素を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された全ての前記対象物撮像画素における各波長に対するスペクトル強度の平均を求め、平均反射スペクトルを算出する平均化手段と、
前記平均化手段により算出された前記平均反射スペクトルに基づいて、前記検査対象物の異状の有無を判定する判定手段と、
を備えることを特徴とする異状判定装置。
【請求項2】
前記照射手段は、波長1200〜2400nmの範囲に含まれる複数の波長の光を照射することを特徴とする請求項1記載の異状判定装置。
【請求項3】
前記抽出手段は、前記スペクトル画像に含まれる各画素において、波長1200〜2400nmの範囲に含まれる第1の波長での反射率と、波長1200〜2400nmの範囲に含まれて前記第1の波長とは異なる第2の波長での反射率と、の比を算出し、この結果に基づいて当該画素が前記対象物撮像画素であるかを判断する
ことを特徴とする請求項2記載の異状判定装置。
【請求項4】
前記抽出手段は、前記スペクトル画像に含まれる各画素において、波長1200〜2400nmの範囲に含まれる第3の波長での反射率が所定の範囲にあるか否かに基づいて当該画素が前記対象物撮像画素であるかを判断する
ことを特徴とする請求項2又は3記載の異状判定装置。
【請求項5】
前記抽出手段は、前記スペクトル画像に含まれる各画素において、波長1200〜2400nmの範囲に含まれる第4の波長での反射率が1以上である場合には当該画素を前記対象物撮像画素から排除する
ことを特徴とする請求項3又は4記載の異状判定装置。
【請求項6】
検査対象物が収容された容器を撮像して得られたスペクトル画像に基づいて、該検査対象物の異状の有無を判定する異状判定方法であって、
前記容器に対して複数波長の光を照射する照射ステップと、
前記照射ステップにおいて照射された光による前記容器からの反射光を受光することで、容器を撮像してスペクトル画像を得る撮像ステップと、
前記撮像ステップにおいて撮像によって得られた前記スペクトル画像に含まれる全画素から前記検査対象物に係る情報が含まれる対象物撮像画素を抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップにおいて抽出された全ての前記対象物撮像画素における各波長に対するスペクトル強度の平均を求め、平均反射スペクトルを算出する平均化ステップと、
前記平均化ステップにより算出された前記平均反射スペクトルに基づいて、前記検査対象物の異状の有無を判定する判定ステップと、
を有することを特徴とする異状判定方法。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−173174(P2012−173174A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36310(P2011−36310)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】