説明

異種、異径円管接続用排水ます

【課題】1つの排水ますで異種、異径円管を接続可能な排水ますを提供する。
【解決手段】上向きに点検筒接続部と、上流側および下流側にソケットを接続するためのソケット受口を設けた排水ます本体と、一端に前記ソケット受口と嵌合し排水ます本体と接続するための排水ます本体差口と、他端に円管とゴム輪接合するための円管受口を有する上流側ソケットと、そして、一端に前記ソケット受口と嵌合し排水ます本体と接続するための排水ます本体差口と、他端に円管とゴム輪接合するための円管差口を有する下流側ソケットとを含む排水ますであって、前記排水ます本体は、前記接続される各種円管の内の最大の公称直径によって決定され、かつ、前記上流側ソケットおよび下流側ソケットは、前記排水ます本体と円管の種類および公称直径の組合せによって決定される、異種、異径円管接続用排水ますを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異種、異径円管接続用排水ますに関し、特に、排水ますの上流側に接続される円管と下流側に接続される円管の種類および/または口径が異なる場合であっても、特別な管継手を必要とすることなく、前記接続される各種円管の内の最大の公称直径によって決定される1つの排水ますで対応可能な異種、異径円管接続用排水ますに関する。
【背景技術】
【0002】
排水配管を施工する場合、埋設された配管内の点検や他の排水配管を合流させるために、その経路の途中に排水ますが設けられることがある。このとき、施工される排水ますの多くは、既設の配管に新しい配管などを接続するために使用される場合が多く、埋設されている既設配管の口径やプレーン管またはリブ付管、コルゲート管などといった配管の種類は、埋設されている配管を掘り起こしてみなければ正確に把握できない場合がある。また、同じ種類の同じ公称直径の配管であっても、配管製造メーカーの製造基準の違いなどにより、実際の配管の口径には各製造メーカー毎にバラツキがある。
【0003】
このため、実際の施工現場においては、いかなる種類や口径の配管との接続にも対応できるように、特開平9−100987号公報や特開2002−39486号公報に記載されているような特殊な配管との接続に適合した排水ますや、大小様々な口径の受口を有する排水ますを予め複数個準備しておく必要があった。
【0004】
また、排水ますの上流側および下流側に接続される配管の口径が異なる場合は、例えば、取り敢えず口径の最も大きな配管に適合した受口を有する排水ますを選定しておき、他方の配管は、その途中に実公昭63−42233号公報や実開平1−116294号公報に記載されているような入口と出口で口径が異なる異径配管接続アダプターを装着して、排水ますの受口と適合する口径に予め調整しておくことにより配管を接続する必要があった。
【0005】
さらに、排水ますの上流側および下流側に接続される配管の種類が異なる場合は、いずれか一方の配管の途中に実公平7−52464号公報に記載されているような異種配管接続アダプターをさらに装着し、他方の配管と同種類の配管としておく必要があった。特に、プレーン管またはリブ付管、コルゲート管などの場合は、通常、配管の公称直径が同じであっても実際の配管の内径や外径は異なるため、これらの異種配管同士を接続する場合は、上述された異径配管接続アダプターおよび異種配管接続アダプターを併用することが必要であり、リブ付管のように規格化されていない配管を直接に排水ますに接続する場合には、特開平9−100987号公報および特開2002−39486号公報に記載されているような特殊な排水ますを使用しなければならなかった。なお、以下ここで単に「口径」と呼ぶ場合は、内径および外径を含む口の直径を意味するものとする。以下、同じ。
【特許文献1】特開平9−100987号公報
【特許文献2】特開2002−39486号公報
【特許文献3】実公昭63−42233号公報
【特許文献4】実開平1−116294号公報
【特許文献5】実公平7−52464号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、排水ますを設置する際、前後の排水配管が異種、異径円管である場合は、異種配管接続アダプターや異径配管接続アダプターといった特殊な部品を複数個用意しておく必要があり、また、これらの部品を円管に取り付けて配管の種類や口径を調整するためには手間が掛かった。さらに、リブ付管のような規格化されていない配管を接続するための特殊な排水ますは高価であるといった問題点があった。
【0007】
そこで本発明は、上記の課題、特に、排水ますを設置する際に前後の排水配管が異種、異径円管であっても、異種配管接続アダプターや異径配管接続アダプターを使用することなく、1つの排水ますで異種、異径円管を接続可能な排水ますを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、上向きに点検筒接続部と、上流側および下流側にソケットを接続するためのソケット受口を設けた排水ます本体と、一端に前記ソケット受口と嵌合し排水ます本体と接続するための排水ます本体差口と、他端に円管とゴム輪接合するための円管受口を有する上流側ソケットと、そして、一端に前記ソケット受口と嵌合し排水ます本体と接続するための排水ます本体差口と、他端に円管とゴム輪接合するための円管差口を有する下流側ソケットとを含む排水ますであって、前記排水ます本体は、前記接続される各種円管の内の最大の公称直径によって決定され、かつ、前記上流側ソケットおよび下流側ソケットは、前記排水ます本体と円管の種類および公称直径の組合せによって決定できるようにした。
【0009】
この結果、請求項1に記載の発明によれば、排水ます本体上に設けられたソケット受口は、所定の個数に統合された一定の形状を有する受口に標準化されているため、かかる受口と接続される円管とを結ぶ上流側ソケットおよび下流側ソケットを円管の種類および口径に応じて選択するだけで異種、異径円管の接続が可能となり、配管の施工が極めて容易となる。また、本発明では、排水ますと円管との接続にゴム輪接合方式を採用しているため、施工が容易で円管接続角度に多少の振れが生じても、これを吸収することができる。
【0010】
さらに、本発明によれば、施工される排水ますの選定は接続される各種円管の内の最大の公称直径によって決定されるため、異種、異径円管が接続される場合であっても1つの排水ますで対応することが可能であり、低コストでの配管施工ができるようになる。
【0011】
また、本発明によれば、排水ます本体の基本的な構造は一般の樹脂製排水ますの構造と同じであるため、従来の射出成形機を使用した排水ますの製作が可能であり、さらに、原則として新たな金型の製作なども不要であることから、低コストで本発明による排水ますを製作することができる。
【0012】
また、請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明のソケット受口の形状をリブ付管の公称直径を基準にしてグループ化した。
【0013】
この結果、請求項2に記載の発明によれば、排水ます本体上に設けられるソケット受口の形状はリブ付管の公称直径を基準にグループ化し統合されているので、排水ますの製造コストが大幅に削減され、また円管の種類や公称直径の数によらず、工事に際して準備すべき排水ます本体の数も大幅に減らすことが可能となる。
【0014】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の発明のソケット受口の流路径を前記グループ内でリブ付管の内径と等しくなるように決定した。
【0015】
この結果、請求項3に記載の発明によれば、排水ます本体を接続される各種円管の内の最大の公称直径によって選定した場合であっても、円菅およびソケット、排水ます本体とで形成される流路内の流水を阻害しないような滑らかな形状とすることが可能となる。
【0016】
請求項4に記載の発明では、請求項2に記載の発明のソケット受口の内径を前記グループ内でリブ付管の外径にソケットの肉厚を2倍にして加えた値と等しくなるように決定した。
【0017】
この結果、請求項4に記載の発明によれば、排水ます本体上に設けられたソケット受口の形状は、接続される円管の種類および口径によらず所定の個数の一定の形状に標準化することが可能となる。また、ソケット受口には、十分な厚みを有するソケットを取り付けることができる内径が確保されているため、各円管との接続を確実に行うことができ、さらに、ソケットに接続された円管が外部応力などによる破壊から保護される。
【0018】
請求項5に記載の発明では、請求項2に記載の発明のソケット受口は、その内部に前記グループ内でリブ付管の内外径差を2で除した値に前記ソケットの肉厚を加えた値と等しくなるように決定された段差を周方向に設けた。
【0019】
この結果、請求項5に記載の発明によれば、ソケット受口内部に設けられた段差がソケット装着時のストッパーとして機能すると共に、ソケット受口の流路径とソケットを介して接続される円管の内径とが略同じである場合は、かかる段差の存在により、両者の間で実質的に内周面に段差を生じさせることがなく、かつ、ソケットの形状を単純な短管に近い形状に簡素化することが可能となる。
【0020】
請求項6に記載の発明では、請求項1に記載の発明のソケットをその形状毎に色分けした。
【0021】
この結果、請求項6に記載の発明によれば、ソケットの種類は、接続される各種円管の内の最大の公称直径によって決定された排水ます本体と円管の種類および口径の組合せによって決定され、しかも、排水ます本体上のソケット受口と嵌合するソケットの排水ます本体差口も標準化された形状に統合されているため、施工に際して実際に準備すべきソケットの種類を少なくすることができる。したがって、ある程度種類の限られたソケットを種類別に色分けしておけば、施工後においても排水ますの内部から該ソケットの色を確認することで、これに接続される円管の種類や口径を容易に把握することができるようになる。
【0022】
請求項7に記載の発明では、請求項1に記載のソケットは、該ソケットの円管受口または円管差口が該ソケットの排水ます本体差口より縮径されているソケットを含むものを準備した。
【0023】
この結果、請求項7に記載の発明によれば、ソケットの本体差口が拡径され円管受口が縮径された短管からなる上流側ソケットや、本体差口が拡径され円管差口が縮径された短管からなる下流側ソケットを使用することにより、排水ます前後に接続される円管が異なる口径を有する円管であっても、かかる各種円管の内の最大の公称直径に合わせて選択された1つの排水ますで異径、異種円管を接続することが可能となる。
【0024】
請求項8に記載の発明では、請求項7に記載の発明のソケットの円管受口または円管差口の中心軸と、該ソケットの排水ます本体差口の中心軸は、該ソケットの管底において内周面が実質的に一致するように互いに偏芯させた。
【0025】
この結果、請求項8に記載の発明によれば、ソケットの円管受口または円管差口が該ソケットの排水ます本体差口より縮径されているソケットを用いて異径円管を排水ますに接続する場合であっても、ソケットの円管受口または円管差口の中心軸と該ソケットの排水ます本体差口の中心軸とを互いに偏芯させているため、ソケットの管底において内周面が実質的に一致し、ソケット内部に汚水溜まりが生じることがない。
【0026】
また、請求項9に記載の発明よれば、請求項1に記載の発明の排水ますに接続される円管が特にプレーン管またはリブ付管、コルゲート管、またはこれらの組み合わせである場合は、上記の利益を最大限に享受することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、排水ますに接続される円管が異なる種類および/または異なる口径を有する円管であっても、その中の最大の公称直径に合わせた1つの排水ますを選定することにより、異種、異径円管を接続することができる。また、本発明よれば、排水ますと円管との接続にゴム輪接合方式を採用しているため、施工が容易で円管接続角度に多少の振れが生じても、これを吸収することができる。
【0028】
この結果、排水ますを設置する箇所の既設配管の種類や口径が不明であったり、実際の配管の口径が各製造メーカー毎にバラツキがあっても、予め準備すべき排水ますの個数を大幅に削減することが可能となり、この結果、排水ます設置工事の施工費を大幅に低減することができる。
【0029】
本発明によれば、排水ます本体の基本的な構造は一般の樹脂製排水ますの構造と略同じであるため、従来の射出成形機を使用した排水ますの製作が可能であり、さらに、原則として新たな金型の製作なども不要であることから、低コストで本発明による排水ますを製作することができる。
【0030】
また、本発明によれば、排水ますに装着されるソケットをその種類に応じて色分けすることが可能となり、この結果、施工後においても排水ますの内部から前記ソケットの色を確認することで、これに接続されている円管の種類や口径を容易に把握することができる。
【0031】
また、本発明によれば、ソケットの円管受口または円管差口が該ソケットの本体差口より縮径されているソケットを用いて異径円管を排水ますに接続する場合であっても、ソケットの管底において内周面が実質的に一致するように、ソケットの円管受口または円管差口の中心軸と該ソケットの排水ます本体差口の中心軸とを互いに偏芯させているため、ソケットの内部に汚水溜まりが生じることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の一実施形態に係る異種、異径円管接続用排水ますについて、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示される実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で各種の変更が可能である。
【0033】
図1は、本発明による異種、異径円管接続用排水ますの本体2を示す側面図である。本発明による排水ますは、一般的には塩化ビニール、ポリプロピレンおよびポリエチレンなどの樹脂から作られ、本体およびソケットから構成される。さらに、本体2には、上向きに設けられた点検筒接続部20と上流側に設けられたソケット受口21aおよび下流側に設けられたソケット受口21bが含まれる。
【0034】
なお、図1に示される点検筒接続部20の中には、ゴム輪接合するための溝部24およびリップル25が設けられているが、点検筒接続部の接続方式はこのような方式に限定されものではなく、したがって、点検筒接続部20の形状は、図示しないが溝部およびリップルが設けられていない、接着剤や溶接による一般的な接続方式に対応した形状であってもよい。
【0035】
図1に示されるとおり、本体2の構造は、ソケット受口21a、21bの軸方向への長さが通常の円管受口および差口より短かく所定の形状をしていること以外、通常の排水ますが有している基本的な構造と略同じ構造を有している。このため、本発明による排水ます本体2は、従来の射出成形機を使用した製作が可能であり、さらに、原則として新たな金型の製作なども不要であることから、低コストで本発明による排水ますを製作することができる。
【0036】
排水ます本体の上流側および下流側には、ソケット受口21a、21bが設けられている。このソケット受口21a、21bの形状は、リブ付管の公称直径を基準にしてグループ化される。
【0037】
表1に示されるのは中国上海市における排水配管の場合であって、各公称直径(DN)における各円管別の内径および外径をコルゲート管、リブ付管、プレーン管毎に表示したものが示されている。表1からは、例えば、公称直径:DN400の場合、その公称直径が同じであっても、コルゲート管、リブ付管、プレーン管それぞれの内径および外径が異なる円管が存在することが理解される。
【0038】
【表1】

【0039】
表1に示された各公称直径における各円管の内径および外径毎に対応したソケット受口を有する排水ますを用意していたのでは、多数の異なる排水ます製造して準備しなければならず不経済である。そこで、本発明では、表1に示された各公称直径における各円管の内径および外径が各公称直径において最大の内径:diおよび外径:doを有するリブ付管となるように、換言すればリブ付管の公称直径を基準にしてグループ化した。その結果を表2に示す。
【0040】
【表2】

【0041】
次に、排水ます本体2上に設けられるソケット受口21a、21bの形状寸法を決定する際に影響を及ぼす、後述されるソケットの肉厚:tの決定方法について説明する。
【0042】
表3には、表2より求めた各円管の内外径差(do−di)を2で除した値、すなわち、リブ付管の公称直径を基準にしてグループ化された各円管の見掛け厚みと本発明で使用されるソケットの肉厚:tが示されている。ソケットは基本的に円管と同じような構造からなる円筒形状であるため、ソケットの肉厚:tは各公称直径における円管の見掛け厚みを参考にして決定される。ただし、コルゲート管およびリブ付管の場合はリブなどの補強部材が設けられた場合の見掛け厚みであるため、このような補強部材を有さないソケットの肉厚:tは、同様に補強部材を有さないプレーン管の見掛け厚みを基準にして決定される。
【0043】
【表3】

【0044】
次に、本発明による排水ます本体2上に設けられるソケット受口21a、21bの主な形状寸法の決定方法について説明する。
【0045】
表4には、表2の中に示されるリブ付管の公称直径を基準にしてグループ化された各円管の内径:diおよび外径:doの中から、最大となる内径:dおよび外径:dの値を求めたものが示されている。表1から表2へのグループ化は、各公称直径における最大の内径および外径がリブ付管の値となるようにまとめられているので、各公称直径において最大となる内径:dおよび外径:dの値も、いずれもリブ付管の値となる。
【0046】
【表4】

【0047】
上流側および下流側のソケット受口21a、21bの奥に位置する流路径:da、db(図1参照)は、リブ付管の公称直径を基準にしてグループ化されたグループ内の全ての円管との間でスムーズな流水を達成するように接続されなければならないため、そのグループ内の円管の中で最も大きな値である内径:dと等しくなるように決定される。したがって、本発明の場合、グループ化は各公称直径における最大の内径がリブ付管の値となるようにまとめられているので、ソケット受口21a、21bの流路径:da、db(図1参照)は、その公称直径におけるリブ付管の内径と等しくなる。
【0048】
一方、排水ます本体2上に設けられた上流側および下流側のソケット受口21a、21bの内径:da、db(図1参照)は、リブ付管の公称直径を基準にしてグループ化されたグループ内の全ての円管との間でソケットを介して接続することができなければならないため、そのグループ内の円管の中で最も大きな値である外径:dに、表3に示されるソケットの肉厚:tを2倍にして加えた値と等しくなるように決定される。したがって、本発明の場合、グループ化は各公称直径における最大の外径がリブ付管の値となるようにまとめられているので、ソケット受口21a、21bの内径:da、dbは、その公称直径におけるリブ付管の外径にソケットの肉厚を2倍にして加えた値と等しくなる。
【0049】
また、上流側および下流側のソケット受口21a、21bの内部には、排水ます本体2の流路22と、ソケットの排水ます本体差口またはソケットを介して接続される円管との間で内周面に生じる段差を実質的に解消するための段差23a、23bが設けられる。
【0050】
この段差23a、23bの高さ:ha,hbは、リブ付管の公称直径を基準にグループ化されたソケットの肉厚とソケットを介して接続されるグループ内の円管の内外径差(do−di)を2で除した値、すなわち、見掛け厚み(いずれも表3参照)を考慮して段差を吸収することができなければならないため、そのグループ内において円管の見掛け厚みとソケットの肉厚:tとの和が最も大きくなる値と等しくなるように決定される。したがって、本発明の場合、グループ化された各公称直径における最大の内外径差はリブ付管の値となるので、段差23a、23bの高さ:ha,hbは、リブ付管の内外径差を2で除した値にソケットの肉厚:tを加えた値、または、その結果に対応して決定されたソケット受口21a、21bの内径から流路径を減じた値(da−da)、(db−db)を2で除した値と等しくなる。
【0051】
このようにリブ付管の公称直径を基準にして決定された、本発明による排水ます本体2上に設けられるソケット受口21a、21bの主な形状寸法(排水ます本体の流路径:da、db、ソケット受口の内径:da、db、ソケット受口内部の段差高さ:ha,hb)をまとめると,以下に示される表5のようになる。
【0052】
【表5】

【0053】
上流側および下流側ソケット受口21a、21bは、共に同じ大きさの流路径:da、dbを有する形状のものであってもよく、または、互いに異なる流路径を有する形状のものであってもよい。後者の場合は、一般的には上流側ソケット受口21aの流路径:daに対して下流側ソケット受口21bの流路径:dbが拡径されたものが使用される。また、ソケット受口21a、21bの内部には、流路22を外部から内部に向かって垂直に狭めるように段差23a、23bが全周にわたり設けられており、段差23a、23bの高さ:ha,hbは、上述されたとおりリブ付管の内外径差を2で除した値にソケットの肉厚:tを加えた値に設定されている。
【0054】
このため、段差23a、23bは、ソケット装着時のストッパーとして機能すると共に、上流側のソケット受口21a、21bの流路径:da、dbと該ソケットを介して接続される円管との内径とが略同じである場合、かかる段差23a、23bの存在により、両者の間で実質的に内周面に段差を生じさせることがなく、この結果、ソケットの形状を図2b、3bに示すような単純な短管に近い形状に簡素化することが可能となる。
【0055】
図2は、本発明による排水ますの上流側に接続される円管と、排水ます本体と円管の種類および公称直径の組合せによって決定され、かつ、排水ます本体2に装着されるソケットとの組合せ例を示す。
【0056】
図2aに示されるのは、コルゲート管3とこれに対応する上流側ソケット6との組合せ、図2bに示されるのは、リブ付管4とこれに対応する上流側ソケット7との組合せ、図2cに示されるのは、プレーン管5とこれに対応する上流側ソケット8との組合せである。また、図2a、2cには、円管の内径が排水ます本体2のソケット受口21aの流路径:daより小さい場合の組合せが示され、図2bには、円管の内径が排水ます本体2のソケット受口21aの流路径:dbと略同じである場合の組合せが示されている。なお、図2a〜2cに示される各円管は、後述される図3a〜3cに示される下流側に接続される各円管と同じ構造を有する。
【0057】
円管3、4、5は略一様な口径を有する直管部30、40、50からなり、直管部にはゴム輪接合方式に対応して直管部30、40、50より拡径された受口31、41、51と、同じくゴム輪接合方式に対応した直管部30、40、50と略同じ口径を有する差口32、42、52が含まれる。また、コルゲート管3およびリブ付管4の場合は、円管の破壊強度を高めるために、リング状に形成された山部33、43が外周面全域にわたって一定のピッチをもって長手方向に配置される。
【0058】
円管3、4、5の受口31、41、51内部には、円管の見掛け厚みに対応した段差34、44、54が全周にわたり設けられており、この段差34、44、54は、後述される下流側ソケットおよび他の円管と接続する際のストッパーとして機能して接続作業を容易にすると共に、円管に接続されたソケットおよび他の円管との間で内周面に生じる段差を実質的に解消するように機能する。また、プレーン管5の場合は、受口51内部に溝部56が全周にわたり設けられており、この中に接合部をシールするためのゴム輪55が固定される(図2c参照)。
【0059】
コルゲート管3およびリブ付管4の差口32、42外周部には、山部33、43の間隙を利用して接合部をシールするためのゴム輪35、45が固定される(図2a、2b参照)。なお、ゴム輪35、45は、図2cに示されるプレーン管5の受口51と同様に、コルゲート管3およびリブ付管4の受口31、41内部に溝部などを設けて固定することも可能であるが、図示されるような固定方法によれば、山部33、43を有効活用することより特別な固定手段を講ずることなく容易にゴム輪35、45を嵌着できる。
【0060】
また、プレーン管5の場合は、差口52の外周部に1対のカラーを外嵌し(図示せず)、その間に接合部をシールするためのゴム輪を固定することも可能であるが、この場合は、プレーン管5の受口51内部にゴム輪を固定するための溝部56を設ける必要はなくなり、図2aおよび図2bに示されるコルゲート管3、リブ付管4の受口31、41と同様の構造を用いることができる。
【0061】
次に、本発明による排水ますに円管3、4、5を接続するために使用される、上流側ソケット6、7、8について詳細に説明する。
【0062】
図2aおよび図2cに示される上流側ソケット6、8は、排水ます本体2のソケット受口21aの流路径:daより小さな内径を有する円管3、5を排水ますに接続するために使用される縮径型の上流側ソケット6、8であって、主に縮径部61、81と直管部62、82とから構成される。
【0063】
縮径部61、81は、排水ます本体2のソケット受口21aの内周面に内嵌するリング部66、86とソケット受口21a内部の段差23aと対向して接する略同じ高さを有する壁部67、87、およびソケット内周面を一部において連続的に変形させながらラッパ状に形成される偏芯リング部68、88とからなり、排水ます本体2のソケット受口21aに内接して接合される本体差口63、83を含む。
【0064】
また、本体差口63、83の中心軸は、ソケットの管底において内周面が実質的に一致するように、後述される直管部62、82の円管受口64、84の中心軸に対して上方へ偏芯させられているため、ソケット内部に汚水溜まりが生じることがない。
【0065】
直管部62、82は、円管3、5の差口32、52に外接してゴム輪接合される円管受口64、84を含む略一様な口径を有する短管から構成されており、上述された縮径部61、81との境界部に位置する内周面上には、円管3、5の見掛け厚みと略等しい高さを有する段差69、89が全周にわたり形成されるようにして縮径部61、81と一体的に成形される。
【0066】
段差69、89は、円管3、5の差口32、52を排水ますの円管受口64、84に差し込んでゴム輪接合する際のストッパーとして機能して接続作業を容易にすると共に、接続後の円管3、5とソケット6、8との間で内周面に生じる段差を実質的に解消する働きをする(図5参照)。
【0067】
なお、プレーン管5に対応するソケットの場合は、受口84内部に溝部56’が全周にわたり設けられており、この中に接合部をシールするためのゴム輪55’が固定される(図2c参照)。ただし、上述されたようにプレーン管5の差口52の外周部にゴム輪を固定した接続方式を採用する場合は、ソケット受口84内部にこのような溝部56’およびゴム輪55’を設ける必要はなくなり、他のソケット受口と同様の構造とすることが可能となる。
【0068】
また、本発明において直管部62、82は、縮径するためのソケット6、8において必ずしも必要な部位ではなく、ソケットの管底において内周面が実質的に一致するように円管受口64、84の中心軸と本体差口63、83の中心軸とを互いに偏芯させていれば、本体差口63、83から円管受口64、84に向けてソケット全体が連続的に縮径されているような形状(図示せず)であってもよい。
【0069】
以上の結果、本発明による排水ますは、排水ますの受口21aの流路径:daに対して内径が小さなコルゲート管3やプレーン管5などの様々な円管にも対応することができ、また、このような内径の変化に対しても汚水溜まりを生じることなくスムーズな流水を保証する。なお、本実施例では、リブ付管7に対応する縮径型の上流側ソケットについての説明を省略したが、その基本的な考え方はコルゲート管3に対応する縮径型の上流ソケット6と概略同じである(図2a参照)。
【0070】
図2bに示される上流側ソケット7は、排水ます本体2のソケット受口21aの流路径:daと略同じ内径を有する円管4を排水ますに接続するために使用される短管型ソケットである。本実施例では、リブ付管4の公称直径が基準となるため、リブ付管4の接続に短管型ソケットを用いているが、コルゲート管3またはプレーン管5の公称直径が基準となる場合には、コルゲート管3またはプレーン管5の接続に短管型ソケットが用いられることになる。
【0071】
上流側ソケット7は、排水ます本体2のソケット受口21aに内接して接合される本体差口73と、リブ付管4の差口42に外接してゴム輪接合される円管受口74を含む略一様な口径を有する短管72から構成されるが、例えば、プレーン管5の公称直径が基準となり、上流側ソケット7に接続される円管が図2cに示されるようなプレーン管5になる場合は、円管受口74内部に溝部が全周にわたり設けられ、この中に接合部をシールするためのゴム輪が固定されることになる(図2c参照)。
【0072】
排水ます本体2のソケット受口21a内部には段差23aが全周にわたり設けられており、段差23aの高さ:haは、ソケット7の肉厚とこれに接続される円管の見掛け厚み:h(図2b参照)を加えた値と略同じ高さに設定されている。
【0073】
このため、段差23aは、ソケット7およびリブ付管4を装着する際のストッパーとして機能すると共に、かかる段差23aの存在により、ソケット受口21aとリブ付管4との間で内周面に生じる段差を実質的に解消するように機能する。
【0074】
換言すれば、ソケット7の本体差口72の先端部とリブ付管4の差口42の先端部は、排水ます本体2のソケット受口21a内部に設けられた段差23aに当接することにより、それぞれの先端部が揃うように、かつ、ソケット受口21aとリブ付管4との間で生じる段差を実質的に解消するように位置決めすることが可能となる。このため、直管型のソケット7の場合においては、縮径型のソケット6、7のように接続される円管3、4、5との間で内周面に生じる段差を解消するための段差69、89を別個に設ける必要はなくなり、図2bに示されるように単純な短管に近い形状に簡素化することが可能となる。
【0075】
また、直管型のソケット7の場合においても、縮径型のソケット6、8のように接続される円管4との間で内周面に生じる段差を解消するための段差を設けてもよいが、この場合は、円管の差口の先端部が排水ます本体2のソケット受口21a内部に設けられる段差23aに当接することはないので、段差23aの高さ:haは装着されるソケットの肉厚以上あれば足りる。
【0076】
図3は、本発明による排水ますの下流側に接続される円管と、排水ます本体と円管の種類および公称直径の組合せによって決定され、かつ、排水ます本体2に装着されるソケットとの組合せ例を示す。
【0077】
図3aに示されるのは、コルゲート管3とこれに対応する下流側ソケット9との組合せ、図3bに示されるのは、リブ付管4とこれに対応する下流側ソケット10との組合せ、図3cに示されるのは、プレーン管5とこれに対応する下流側ソケット11との組合せである。また、図3a、3cには、円管の内径が排水ます本体2のソケット受口21aの流路径:dbより小さい場合の組合せが示され、図3bには、円管の内径が排水ます本体2のソケット受口21aの流路径:dbと略同じである場合の組合せが示されている。なお、図3a〜3cに示される各円管は、先述された図2a〜2cに示される上流側に接続される各円管と同じ構造を有し、使用に際し、本発明による排水ますに接続される側の口が差口32、42、52から受口31、41、42へと変更される点のみが、上流側に接続される円管とは異なる。
【0078】
次に、本発明による排水ますに円管3、4、5を接続するために使用される、下流側ソケット9、10、11について詳細に説明する。
【0079】
図3aおよび図3cに示される下流側ソケット9、11は、排水ます本体2のソケット受口21bの流路径:dbより小さな内径を有する円管3、5を排水ますに接続するために使用される縮径型の下流側ソケット9、11であって、主に縮径部91、111と直管部92、112とから構成されるなど、図2aおよび図2cに示される縮径型の上流側ソケット6、8と略同じ構造を有する。
【0080】
縮径部91、111は、排水ます本体2のソケット受口21bの内周面に内嵌するリング部96、116とソケット受口21b内部の段差23bと対向して接する略同じ高さを有する壁部97、117、およびソケット内周面を一部において連続的に変形させながらラッパ状に形成される偏芯リング部98、118とからなり、排水ます本体2のソケット受口21bに内接して接合される本体差口93、113を含む。
【0081】
また、本体差口93、113の中心軸は、ソケットの管底において内周面が実質的に一致するように、直管部92、112の円管差口94、114の中心軸に対して上方へ偏芯させられているため、ソケット内部に汚水溜まりが生じることがない。
【0082】
直管部92、112は、円管3、5の受口31、51に内接してゴム輪接合される円管差口94、114を含む略一様な口径を有する短管から構成されており、縮径部91、111と共に一体的に成形される。ただし、下流側ソケットにおいては、接続される円管との間で内周面に生じる段差は、円管3、5の受口31、51内部に設けられた段差34、54によって解消することができるため、先述された上流側ソケット6、8のような段差69、89を内部に設ける必要はない。
【0083】
また、コルゲート管3およびリブ付管4に対応する下流側ソケットの場合、縮径型ソケット9の場合であっても後述される短管型ソケット10の場合であっても、直管部92または短管102の外周部には、山部33’、43’の間隙を利用して接合部をシールするためのゴム輪35’、45’が固定される(図3a、3b参照)。このように、コルゲート管3およびリブ付管4に対応する下流側ソケット9、10の場合は、外部に設けられた山部33’ 、43’を有効活用することより特別な固定手段を講ずることなく容易にゴム輪35’ 、45’を嵌着することができる。
【0084】
なお、後述されるプレーン管5に対応する下流側ソケット11の場合は、これに接続されるプレーン管5の受口51内部にゴム輪55が固定されているため、直管部112の外周部にゴム輪を固定する必要はない(図3c参照)。
【0085】
また、本発明において直管部92、112は、縮径するためのソケット9、11において必ずしも必要な部位ではなく、ソケットの管底において内周面が実質的に一致するように円管差口94、114の中心軸と本体差口93、113の中心軸とが互いに偏芯させられていれば、本体差口93、113から円管差口94、114に向けてソケット全体が連続的に縮径されているような形状(図示せず)であってもよい。
【0086】
以上の結果、本発明による排水ますは、排水ますの受口21bの流路径:dbに対して内径が小さなコルゲート管3やプレーン管5などの様々な円管にも対応することができ、また、このような内径の変化に対しても汚水溜まりを生じることなくスムーズな流水を保証する。なお、本実施例では、リブ付管7に対応する縮径型の下流側ソケットについての説明を省略したが、その基本的な考え方はコルゲート管3に対応する縮径型の下流ソケット9と概略同じである(図3a参照)。
【0087】
図3bに示される下流側ソケット10は、排水ます本体2のソケット受口21bと略同じ口径を有する円管4を排水ますに接続するために使用される短管型の下流側ソケット10である。本実施例では、リブ付管4の公称直径が基準となるため、リブ付管4の接続に短管型ソケットを用いているが、コルゲート管3またはプレーン管5の公称直径が基準となる場合には、コルゲート管3またはプレーン管5の接続に短管型ソケットが用いられることになる。
【0088】
下流側ソケット10は、排水ます本体2のソケット受口21bに内接して接着接合される本体差口103と、リブ付管4の受口41に内接してゴム輪接合される円管差口104を含む略一様な口径を有する短管102から構成され、本体差口103の外周部には排水ます本体2のソケット受口21b内部に設けられた段差23bとの段差を解消するためのリング部106が含まれる。
【0089】
排水ます本体2のソケット受口21bの内部には段差23bが全周にわたり設けられており、段差23bの高さ:hbは、ソケット10の肉厚とこれに接続される円管の見掛け厚み肉厚:h(図2b参照)を加えた値、すなわち、リング部106の肉厚と略同じ高さに設定されている。
【0090】
このため、段差23bは、ソケット10を装着する際のストッパーとして機能すると共に、かかる段差23bの存在により、ソケット受口21bとソケット10との間で実質的に内周面に段差を生じさせないように機能する。しかしながら、段差23bは、接続されるリブ付管4を装着する際のストッパーおよび段差解消手段として機能することはなく、リブ付管4の受口41の先端は、ソケット10上のリング部106に当接した位置に留まる(図6、7参照)。
【0091】
この結果、排水ます本体2のソケット受口21b流路径:dbと略同じ内径を有する円管3、4、5を排水ますに接続するための下流側ソケット10の場合であっても、上流側ソケット7と同様に単純な短管に近い形状に簡素化することが可能となる(図3b参照)。
【0092】
また、上述された縮径型の上流側および下流側ソケット6、8、9、11および短管型の上流側および下流側ソケット7、10は、その形状毎に色分けすることが可能であり、施工後においても排水ますの内部から該ソケットの色を確認することで、これに接続されている円管の種類や口径を容易に把握することができるようになる。
【実施例1】
【0093】
実施例1は、本発明による排水ます1の上流側および下流側に、排水ます1のソケット受口21a、21bの流路径:da、dbより小さな内径を有するコルゲート管3’およびプレーン管5’が接続される場合の実施例である。図4には実施例1の側面図が示されており、図5には図4に示される本発明による排水ます1および円管3’、5’をその中心軸を含む平面で切り取った状態の断面図が示されている。
【0094】
本発明による排水ます1は、図5に示されるような形状寸法を有するソケット受口21a、21bを備えた排水ます本体2および該ソケット受口と嵌合する上流側および下流側ソケットとからなり、排水ます本体2は接続される各種円管の内の最大の公称直径によって決定され、そして上流側ソケットおよび下流側ソケットは、排水ます本体2と円管の種類および公称直径の組合せによって決定される。
【0095】
表1によれば、公称直径:DN110〜500の範囲にある各円管の数は全部で20種類にも及び、この結果、これに対応する排水ますとしては、少なくとも20種類以上の排水ますを準備しなければならないことが理解される。
【0096】
しかしながら、本発明によれば、排水ます本体2および該本体2上に設けられるソケット受口21a、21bなどを含む排水ます1は、表5に示されるように5つの公称直径を基準にしてグループ化されており、さらに、ソケット受口21a、21bの形状は、それぞれのグループ内に存在する円管うち最も大きな内径および外径を有する円管に合わせて設計・製作されているので、準備すべき排水ますの本体2は、接続される円管の公称直径を手掛かりに、その中で公称直径が最大となるものが含まれるグループの排水ます1を一つだけ選択すればよい。
【0097】
図4および図5に示される実施例1の場合、上流側に接続されるコルゲート管3’および下流側に接続されるプレーン管5’の公称直径はいずれもDN200であり、実際の円管の外径はいずれも200mmである。したがって、これらの円管3’、5’に対して準備される排水ます1は、前記公称直径を基準にソケット受口21a、21bの内径がソケット肉厚:tを含めて262mmに設定されている呼び径:DN225の排水ます1が選択される(表1、5参照)。
【0098】
また、公称直径:DN225の排水ます1のソケット受口21a、21bの内径:da、dbは、公称直径:DN225以下の円管のうち最も大きな外径:doを有する公称直径:DN225のリブ付管4’に合わせて設計・製作されている。したがって、公称直径がDN225よりも小さなコルゲート管3’およびプレーン管5’を排水ます本体2に接続するためには、図4および図5に示されるように公称直径:DN225の排水ます本体2と公称直径:DN200のコルゲート管3’およびプレーン管5’に対応した縮径型の上流側ソケット6’および下流側ソケット11’が選択される。
【0099】
上流側ソケット6’および下流側ソケット11’は、排水ます本体2とソケット6’、11’との管底が実質的に一致するように配置して、ソケット受口21a、21bに接着または溶接などの接合方法により固定される。なお、縮径型の上流側および下流側ソケット6’、11’は、その頂部および底部方向の位置決めを容易にし、間違わないようにするために、本体差口63’、113’の外周面上およびソケット受口21a、21bの内周面上のいずれか一方には凸部を設け、他方に前記凸部に適合する凹部または溝部(図示せず)を設けて対処してもよい。
【0100】
上流側のコルゲート管3’の差口32’は、排水ます1に装着された上流側ソケット6’の円管受口64’に内接するように差し込まれ、下流側のプレーン管5’の受口51’は下流側ソケット11’の円管差口114’に外接するように差し込まれて、それぞれにゴム輪接合される。また、本発明による排水ます1においては、排水ます1と円管3’、5’との接続にゴム輪接合方式を採用しているため、施工が容易で円管接続角度に多少の振れが生じても接続することが可能である。
【0101】
また、上述された縮径型の上流側ソケット6’と下流側ソケット11’を異なる色で色分けすることにより、施工後においても排水ますの内部から前記ソケットの色を確認することで、これに接続されている円管の種類や口径を容易に把握することができるようになる。
【実施例2】
【0102】
実施例2は、本発明による排水ます1の上流側に排水ます1のソケット受口21aの流路径:daより小さな内径を有するコルゲート管3’が接続されており、下流側にはソケット受口21bの内径:dbと略同じ大きさの内径を有するリブ付管4’が接続される場合の実施例である。図6には実施例2の側面図が示されており、図7には図6に示される本発明による排水ます1および円管3’、4’をその中心軸を含む平面で切り取った状態の断面図が示されている。
【0103】
本発明による排水ます1は、表5に示されるような形状寸法を有するソケット受口21a、21bを備えた排水ます本体2および該ソケット受口と嵌合する上流側および下流側ソケットとからなり、排水ます本体2は接続される各種円管の内の最大の公称直径によって決定され、そして上流側ソケットおよび下流側ソケットは、排水ます本体2と円管の種類および公称直径の組合せによって決定される。
【0104】
図6および図7に示される実施例2の場合、上流側に接続されるコルゲート管3’の公称直径はDN200(実際の外径は183mm)であり、一方、これに対して下流側に接続されるリブ付管4’の公称直径はDN225(実際の外径は225mm)である。したがって、これらの円管3’、4’に対して準備される排水ます1は、前記公称直径を基準にソケット受口21a、21bの内径:da、dbがソケット肉厚:tを含めて262mmに設定されている呼び径:DN225の排水ます1が選択される(表1、5参照)。
【0105】
また、公称直径:DN225の排水ます1のソケット受口21a、21bの内径:da、dbは、公称直径:DN225以下の円管のうち最も大きな外径:doを有する公称直径:DN225のリブ付管4’に合わせて設計・製作されている。したがって、公称直径がDN225よりも小さなコルゲート管3’を排水ます本体2に接続するためには、図6および図7に示されるように公称直径:DN225の排水ます本体2と公称直径:DN200のコルゲート管3’に対応した縮径型の上流側ソケット6’が選択される。一方、これに対して公称外径がソケット受口21bの内径と略同じ大きさのリブ付管4’を接続するためには、図6および図7に示されるように公称直径:DN225の排水ます本体2と公称直径:DN225のリブ付管4’に対応した短管型の下流側ソケット10’が選択される。
【0106】
上流側ソケット6’および下流側ソケット10’は、排水ます本体2とソケット6’、10’との管底が実質的に一致するように配置して、ソケット受口21a、21bに接着または溶接などの接合方法により固定される。なお、縮径型の上流側ソケット6’は、その頂部および底部方向の位置決めを容易にし、間違わないようにするために、本体差口63’の外周面上およびソケット受口21a、21bの内周面上のいずれか一方には凸部を設け、他方に前記凸部に適合する凹部または溝部(図示せず)を設けて対処してもよい。
【0107】
上流側のコルゲート管3’の差口32’は、排水ます1に装着された上流側ソケット6’の円管受口64’に内接するように差し込まれ、下流側のリブ付管4’の受口41’は下流側ソケット10’の円管差口104’に外接するように差し込まれて、それぞれにゴム輪接合される。また、本発明による排水ます1においては、排水ます1と円管3’、4’との接続にゴム輪接合方式を採用しているため、施工が容易で円管接続角度に多少の振れが生じても接続することが可能である。
【0108】
また、上述された縮径型の上流側ソケット6’と下流側ソケット10’を異なる色で色分けすることにより、施工後においても排水ますの内部から前記ソケットの色を確認することで、これに接続されている円管の種類や口径を容易に把握することができるようになる。
【実施例3】
【0109】
実施例3は、本発明による技術的思想を応用した4本合流のタイプの異種、異径円管接続用排水ます1’であって、上向きに点検筒接続部220と、上流側に複数のソケット受口210a〜214aと下流側に1つのソケット受口210bを設けた排水ます本体200と、一端に前記ソケット受口210a〜214aと嵌合する排水ます本体差口と、他端に円管とゴム輪接合するための円管受口を有する上流側ソケットと、そして、一端に前記ソケット受口210bと嵌合する排水ます本体差口と、他端に円管とゴム輪接合するための円管差口を有する下流側ソケットとを含む排水ます1’であって、前記排水ます本体は、前記接続される各種円管の内の最大の公称直径によって決定され、かつ、前記上流側ソケットおよび下流側ソケットは、前記排水ます本体と円管の種類および公称直径の組合せによって決定される、4本合流のタイプの異種、異径円管接続用排水ます1’である。
【0110】
図8には実施例3の平面図が示されており、図9には図8に示される本発明による排水ます1’をA−A断面で切り取った状態の端面図が示されている。
【0111】
本発明による排水ます1’は、一般的には塩化ビニールまたはポリプロピレンなどの樹脂から作られ、本体200およびソケットから構成される。また、上流側に設けられたソケット受口210a〜214aおよび下流側に設けられたソケット受口210bの形状は、上述された実施例1、2のようにリブ付管の公称直径を基準にしてグループ化されており、ソケット受口21a、21bと略同じ形状を有する(表1、5参照)。
【0112】
したがって、本体200の構造は、ソケット受口210a〜214a、210bの軸方向への長さが通常の円管受口および差口より短かく所定の形状をしていること以外、通常の4本合流のタイプの排水ますが有している基本的な構造と略同じ構造を有している。このため、本発明による排水ます本体200は、従来の射出成形機を使用した製作が可能であり、さらに、原則として新たな金型の製作なども不要であることから、低コストで本発明による排水ますを製作することができる。
【0113】
また、上流側および下流側のソケット受口210a〜214a、210bは、それぞれが同じ大きさの流路を有する形状のものであってもよく、または、それぞれに異なる流路径を有する形状のものであってもよい。後者の場合は、一般的には上流側ソケット受口210a〜214aの流路径に対して下流側ソケット受口210bの流路径が拡径されたものが使用される。また、リブ付管の公称直径を基準にしてグループ化されたソケット受口の設置箇所は特に限定されるものではなく、例えば、排水ます本管の上流側および下流側にのみソケット受口210a、210bを配置し、他の流入口には円管と直接接続される通常の円管受口を配置した4本合流のタイプの排水ますなどであってもよい。
【0114】
実施例3の4本合流のタイプの排水ます1’の場合は、上流側ソケット受口210aおよび下流側ソケット受口210bが接続される円管の中で最も大きな口径を有する本管との接続に使用され、他の4つの上流側ソケット受口211a〜214aが本管より小さな口径を有する枝管との接続に使用されるタイプの4本合流のタイプの排水ます1’が示されている(図8、9参照)。
【0115】
さらに、実施例3の4本合流のタイプの排水ます1’において使用される上流側および下流側の縮径型、短管型ソケットは、すべてグループ化された上記のソケット受口に対応して作られており、上述された実施例1、2の縮径型の上流側および下流側ソケット6、8、9、11、および短管型の上流側および下流側ソケット7、10と略同じ形状を有する(図2、3および表3参照)。
【0116】
このため、実施例3の4本合流のタイプの排水ます1’によれば、本体200上に設けられたソケット受口210a〜214a、210bは、所定の個数に統合された一定の形状を有する受口に標準化されているため、かかる受口210a〜214a、210bと接続される円管3〜5とを結ぶ上流側ソケットおよび下流側ソケットは、円管の種類および口径に応じて選択するだけで異種、異径円管の接続が可能となり、配管の施工が極めて容易となる。また、本発明では、排水ますと円管との接続にゴム輪接合方式を採用しているため、施工が容易で円管接続角度に多少の振れが生じても、これを吸収することができる。
【0117】
なお、リブ付管の公称直径を基準にしてグループ化された排水ますに設けられるソケット受口は、設計条件に物理的な制約がない限り、その受口の公称直径、数、配置およびこれらの組合せは自由に設計することができ、特に制限されることはない。
【0118】
以上の結果、本発明によれば、排水ますに接続される円管が異なる種類および/または異なる口径を有する円管であっても、その中の最大公称直径に合わせた1つの排水ますを選定することにより、異種、異径円管を接続することができる。また、本発明よれば、排水ますと円管との接続にゴム輪接合方式を採用しているため、施工が容易で円管接続角度に多少の振れが生じても、これを吸収することができる。
【0119】
また、排水ますを設置する箇所の既設配管の種類や口径が不明であったり、実際の配管の口径が各製造メーカー毎にバラツキがあっても、予め準備すべき排水ますの個数が大幅を削減することが可能となり、この結果、排水ます設置工事の施工費を大幅に低減することができる。
【0120】
さらに、本発明によれば、排水ます本体の基本的な構造は一般の樹脂製排水ますの構造と同じであるため、従来の射出成形機を使用した排水ますの製作が可能であり、さらに、原則として新たな金型の製作なども不要であることから、低コストで本発明による排水ますを製作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】本発明による異種、異径円管接続用排水ますの本体を示す側面図である。
【図2】図2は、本発明による排水ますの上流側に接続される円管と、排水ます本体および円管の種類および/または口径に応じて選択されるソケットとの組合せ例を示す。
【図3】図3は、本発明による排水ますの下流側に接続される円管と、排水ます本体および円管の種類および/または口径に応じて選択されるソケットとの組合せ例を示す。
【図4】図4は、本発明による排水ますの上流側および下流側に、排水ますのソケット受口の流路径より小さな内径を有するコルゲート管およびプレーン管が接続される場合の側面図である。
【図5】図5は、図4に示される本発明による排水ますおよび接続される円管をその中心軸を含む平面で切り取った状態の断面図である。
【図6】図6は、本発明による排水ますの上流側に排水ますのソケット受口の流路径より小さな内径を有するコルゲート管が接続されており、下流側にはソケット受口の流路径と略同じ大きさの内径を有するリブ付管が接続される場合の側面図である。
【図7】図7は、図6に示される本発明による排水ますおよび接続される円管をその中心軸を含む平面で切り取った状態の断面図である。
【図8】図8は、本発明による4本合流タイプの異種、異径円管接続用排水ますの本体を示す側面図である。
【図9】図9は、図8に示される本発明による排水ますをA−A断面で切り取った状態の端面図である。
【符号の説明】
【0122】
1、1’ 異種、異径円管接続用排水ます
2、200 排水ます本体
3、3’ コルゲート管
4、4’ リブ付管
5、5’ プレーン管
6、6’ 縮径型の上流側ソケット(コルゲート管接続用)
7、7’ 短管型の上流側ソケット(リブ付管接続用)
8、8’ 縮径型の上流側ソケット(プレーン管接続用)
9、9’ 縮径型の下流側ソケット(コルゲート管接続用)
10、10’ 短管型の下流側ソケット(リブ付管接続用)
11、11’ 縮径型の下流側ソケット(プレーン管接続用)












【特許請求の範囲】
【請求項1】
上向きに点検筒接続部と、上流側および下流側にソケットを接続するためのソケット受口を設けた排水ます本体と、
一端に前記ソケット受口と嵌合し排水ます本体と接続するための排水ます本体差口と、他端に円管とゴム輪接合するための円管受口を有する上流側ソケットと、そして、
一端に前記ソケット受口と嵌合し排水ます本体と接続するための排水ます本体差口と、他端に円管とゴム輪接合するための円管差口を有する下流側ソケットとを含む排水ますであって、
前記排水ます本体は、前記接続される各種円管の内の最大の公称直径によって決定され、かつ、前記上流側ソケットおよび下流側ソケットは、前記排水ます本体と円管の種類および公称直径の組合せによって決定される、異種、異径円管接続用排水ます。
【請求項2】
前記ソケット受口の形状は、リブ付管の公称直径を基準にしてグループ化されている、請求項1に記載の異種、異径円管接続用排水ます。
【請求項3】
前記ソケット受口の流路径は、前記グループ内でリブ付管の内径と等しくなるように決定される、請求項2に記載の異種、異径円管接続用排水ます。
【請求項4】
前記ソケット受口の内径は、前記グループ内でリブ付管の外径に前記ソケットの肉厚を2倍にして加えた値と等しくなるように決定される、請求項2に記載の異種、異径円管接続用排水ます。
【請求項5】
前記ソケット受口は、その内部に前記グループ内でリブ付管の内外径差を2で除した値に前記ソケットの肉厚を加えた値と等しくなるように決定された段差が周方向に設けられている、請求項2に記載の異種、異径円管接続用排水ます。
【請求項6】
前記ソケットは、その形状毎に色分けされている、請求項1に記載の異種、異径円管接続用排水ます。
【請求項7】
前記ソケットは、該ソケットの円管受口または円管差口が該ソケットの排水ます本体差口より縮径されているものを含む、請求項1に記載の異種、異径円管接続用排水ます。
【請求項8】
前記ソケットの円管受口または円管差口の中心軸と該ソケットの排水ます本体差口の中心軸は、該ソケットの管底において内周面が実質的に一致するように互いに偏芯させられている、請求項7に記載の異種、異径円管接続用排水ます。
【請求項9】
前記接続される円管は、プレーン管、リブ付管またはコルゲート管である、請求項1に記載の異種、異径円管接続用排水ます。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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