説明

異音判定装置

【課題】 製品の製造時に発せられる製造設備等の駆動音、製品加工音、もしくは製品や部品の品質を検査するために製品を打撃、湾曲した際に発せられる音などから、正常時音か異常時音かを判定する異音判定装置を提供する。
【解決手段】 製品または製品を製造するための部品から発せられる音響信号を集音する音響センサと、前記音響信号を分析する音響信号分析部と、前記音響信号分析部の分析結果に基づいて前記音響信号が正常時音響信号か異常時音響信号かを判定する音響信号判定部から成る異音判定装置であって、前記音響信号分析部は健聴者の聴覚フィルタ形状から聴神経興奮パターンを算出する機能を有し、前記音響信号判定部は前記聴神経興奮パターンに基づいて前記音響信号が正常時音響信号か異常時音響信号かを判定する機能を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品の製造時に発せられる工作機械等の製造設備の駆動音、製品加工音、もしくは製品や部品の品質を検査するために該製品や部品を打撃、湾曲した際に発せられる音などから、正常時音か異常時音かを判定し、工作機械等の製造設備の異常、不良品選別等を行う異音判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プレス機械、切削機械などの製造設備で製品を製造する際には、製造設備の駆動音、部品や製品の加工音など、様々な音響信号が発せられる。これらの音響信号の特性から、機械の異常、切削刃物などの消耗部品の摩耗、不良品の発生などを判定する行為は、各種製造現場で一般的に行われてきている。
【0003】
製品を製造するための部品や出来上がった製品を打撃、もしくは湾曲させて、そこから発せられる音から良品、不良品の判別を行う品質検査もまた、各種製造現場で一般的に行われてきている。
【0004】
これまで、これら音響信号による判定、判別は、工員の長年の経験による勘や感覚に頼っている場合がほとんどであった。しかし、2007年問題をはじめとする工員の高齢化によって、ベテラン工員が次々と製造現場から離職してしまい、不良品の判定や判別に支障をきたす製造現場が多くなってきている。
【0005】
特許文献1には、製品の駆動音を収音する駆動音収音器により収音された前記駆動音の音データについて、周波数帯域の音圧レベルを演算する周波数分析手段と、異音判定の対象とする複数の周波数帯域と、各々の前記周波数帯域に対応する判定パラメータと、を検査者が設定する設定手段と、前記音圧レベルと、前記判定パラメータと、を前記複数の周波数帯域単位で比較する比較手段と、前記比較手段の比較結果に基づいて異音の有無を判定する判定手段と、を備えたことを特徴とする異音判定装置が開示されている。
【0006】
特許文献2には、音響センサにより検知された音響信号を受け、この音響信号を一定時間長の時系列データとしてディジタル化して所定個数をサンプリングするサンプリング部と、ディジタル化してサンプリングされた音響データを、時間領域と周波数領域との双方を有する音響データにウェーブレット変換するウェーブレット変換部と、ウェーブレット変換された音響データのレベルをしきい値と比較して、前記機器設備の異常の有無を判定する判定部と、この判定結果を異常検知装置の通報装置に出力する出力部と、を備えていることを特徴とするガスタービンの異常検知装置が開示されている。
【0007】
特許文献3には、所定個数の良品回転機械の運転音を良品サンプルデータとして検出し、該各良品サンプルデータに対して周波数分析を施してパワースペクトルとして表現し、オクターブバンドスペクトルをそれぞれ求めた後、これらを平均した平均スペクトルを求め、かくして得られた平均スペクトルと各良品サンプルデータに基づく良品スペクトル距離の平均値を求めておき、検査対象回転機械の運転音を検査対象サンプルとして上記と同様な処理により得られた検査対象スペクトル距離と前記良品スペクトル距離の平均値との差により良否判定を行うことを特徴とする回転機械の異音検査方法および装置が開示されている。
【0008】
特許文献4には、製品から発生する音を回転機構、マイクロホン、回転制御機構などの計測手段で計測したデータに基づき、製品の異音の良否を判定する異音検査を、測定データから人が正常音と判断した製品の音データを基準値として保存する基準音データ格納部の記憶手段と、記憶手段により保存されている正常音の音データと計測手段で測定された製品の音の測定データとの一致度を算出する一致度算出処理部の処理手段と、処理手段により算出された結果を用いて製品の
異音の良否を判定する判定部の判定手段にて行うことを特徴とする異音検査方法およびその装置が開示されている。
【0009】
特許文献5には、太陽電池セルを強制的に湾曲させる装置にかけて湾曲させ、そのときに該太陽電池セル自体から発する振動波(振動音)をAEセンサによって検知および分析し、軋み音が生じているものを内部割れ(マイクロクラック)がある不良品の太陽電池セルであるとして太陽電池セルを破壊することなく選別することができることを特徴とする太陽電池の内部割れ検査方法およびその検査装置が開示されている。
【特許文献1】特開2006-126140号公報
【特許文献2】特開平08-177530号公報
【特許文献3】特開平10-002789号公報
【特許文献4】特開2005-283227号公報
【特許文献5】特開2002-343992号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
解決しようとする問題点は、ベテラン工員が聴覚を用いて長年の経験と勘から判別していた異音を検出できる装置を提供することである。
【0011】
特許文献1においては、製品から発せられる音響信号を周波数分析し、その周波数特性音圧レベルの実効値、ピーク値などから異音か否かを判別しているが、このような従来型の物理的音響分析手法は、人間の聴覚が音を認識する機構とは根本的に異なるため、ベテラン工員の聴覚による判別ほどの精度が得られず誤判定をしてしまったり、また特定の製造現場に特化した詳細なチューニングが必要で汎用性が無いなどの問題点があった。
【0012】
特許文献2においては、前記周波数分析手法としてウェーブレット変換を用いて、音響信号分析における周波数分解能、時間分解能を向上させている。さらに、自己相関係数などを算出して音響信号の周期性を求めて判定精度を向上させているが、特許文献1と同様に、人間の聴覚が音を認識する機構とは根本的に異なるため、ベテラン工員の聴覚による判別ほどの精度が得られず誤判定をしてしまったり、また特定の製造現場に特化した詳細なチューニングが必要で汎用性が無いなどの問題点があった。
【0013】
特許文献3では、異音判定に音響信号のオクターブバンドスペクトルと、あらかじめ記録した良品の音響信号のオクターブバンドスペクトルのスペクトル距離を用いており、さらに人間の聴覚に近づけるために、算出されたスペクトルに聴感補正処理を施している。しかし、一般に知られる聴感補正処理は、周波数特性に対してA特性と呼ばれる周波数特性をかけあわせるだけの処理であって、実行的には特許文献1および2と同様の効果しか得られないのはあきらかであって、特許文献3には、さらなる効果を得るための聴感補正処理に関する具体的な記述はない。
【0014】
特許文献4では、人間の聴覚によって行ってきた官能検査結果と物理的な音響分析による検査結果の相違に着目し、事前に人間が「正常」と判断した音響データと、製品から発せられた音響信号との一致度を求めて異音の良否を判定している。しかし、一致度を算出するためのパラメータは、周波数分析やヒストグラム等の従来型の物理的音響分析手法であるので、特許文献1と同様に、人間の聴覚が音を認識する機構とは根本的に異なり、ベテラン工員の聴覚による判別ほどの精度が得られず誤判定をしてしまったり、また特定の製造現場に特化した詳細なチューニングが必要で汎用性が無いなどの問題点があった。
【0015】
特許文献5では、製品(太陽電池セル)をあえて湾曲させ、その際に発生する音響信号を分析してセルの内部割れを判別している。そのための音響分析手法は従来型の物理的音響分析手法と超音波領域の成分を組み合わせているが、特許文献1と同様に、人間の聴覚が音を認識する機構とは根本的に異なり、ベテラン工員の聴覚による判別ほどの精度が得られず誤判定をしてしまったり、また太陽電池セル以外の製品の判定はできないなどの問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、ベテラン工員がその聴覚によって判別していた異音を装置によって検出するために、人間の聴覚機構に最も近い音響分析手法を用いて音響信号を分析し、その結果をもって異音判定を行う。
【0017】
具体的には、製品または製品を製造するための部品から発せられる音響信号を集音する音響センサと、前記音響信号を分析する音響信号分析部と、前記音響信号分析部の分析結果に基づいて前記音響信号が正常時音響信号か異常時音響信号かを判定する音響信号判定部から成る異音判定装置において、前記音響信号分析部は健聴者の聴覚フィルタ形状から聴神経興奮パターンを算出する機能を有し、前記音響信号判定部は前記聴神経興奮パターンに基づいて前記音響信号が正常時音響信号か異常時音響信号かを判定する機能を有する構成とした。これにより、従来、人間の聴覚とは関係のない物理的指標を利用していた異音判定が、より人間の聴感覚による判定に近づき、ベテラン工員には判定できるのに、従来式の異音判定装置では判定できなかった様々な異音が判定できるようになる。
【0018】
この場合の音響信号は、これまでベテラン工員が聴覚によって判定していた音響信号であれば、その種類を問わず、製品を製造するための加工音、製品または製品を製造するための部品を検査するために前記製品を湾曲または打撃した際に発せられる音響信号、もしくは製品を製造するための製造設備等の製造設備の駆動音であっても、その効果に何らの変化はなく、汎用性の高い異音判定装置を構成することが可能である。
【0019】
また、本発明の異音判定装置では、前記音響センサ、前記音響信号分析部、前記音響信号判定部のいずれかが、防水構造になっていることを特徴としている。これによって、切削工具などでの発熱を防ぐための潤滑油が、部品もしくは製品を加工する現場の周辺に飛散するような場合でも、前記音響信号を良好に集音することが可能である。
【0020】
また、本発明の異音判定装置では、前記音響信号分析部、前記音響信号判定部のいずれかが、製品を加工するための金型に埋め込まれている構成としている。これにより、金型を用いた成型品などの製造現場において、前記音響センサを設置する場所が無いなどの問題や、周囲の製造設備の駆動音で当該音響信号がマスクされてしまうなどの問題も解決され、常に良好な音響信号を集音することが可能となる。
【0021】
さらに、本発明の異音判定装置では、前記音響センサで集音した音響信号を無線によって送信するための音響信号送信部と、前記音響信号送信部の出力信号を受信し、前記音響信号分析部に送る機能を有する音響信号受信部を有する構成とした。これによって、音響センサ等の本発明構成部分を製造設備等の奥深くや、金型の内部に設置しても配線が邪魔することなく、常に最適な部位に設置し、良好な音響信号を集音することが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の異音判定装置は、従来の物理的な音響分析手法では誤判定してしまうような微妙な異音を、人間の聴覚機構に最も近い分析手法である聴神経興奮パターンを用いて分析することにより、ベテラン工員の聴覚による判定と同等の精度で判定することができる。
【0023】
これにより、2007年問題等によってベテラン工員の不足が問題視されている現代日本の各種製造現場において、ベテラン工員の聴覚に最も近い異音判定装置を提供することが可能となり、製品の製造時に発せられる工作機械等の製造設備の駆動音、製品加工音、もしくは製品を検査するために製品を打撃、湾曲した際に発せられる音などから、正常時音か異常時音かを判定することができるようになるので、製造現場における不良品の発生を最小限に止め、また製造設備の故障などを早い段階で検知することが可能となる。
【0024】
さらに、本発明によれば、潤滑油が飛び散る製造設備の近傍に音響センサを設置することができる。また、金型内部などに音響センサをはじめとする各構成要素を設置することも可能である上に、配線を必要としないので、現場を選ばず、極めて汎用性の高い異音判定装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一機能を有するものは同一の符号とし、その繰り返しの説明は省略する。
【0026】
図1は、本発明の実施形態におけるシステムのブロック図であり、音響センサ1、聴覚フィルタバンク4と聴神経興奮パターン算出部5から成る音響信号分析部2、音響信号判定部3から成る。
【0027】
音響センサ1はマイクロフォンなどで構成される。製造設備の部品加工部近傍に設置され、製品の製造時に発せられる製造設備の駆動音、製品加工音、もしくは製品や部品の品質を検査するために該製品や部品を打撃、湾曲した際に発せられる音を集音する。
【0028】
音響信号分析部2は、音響センサ1で集音された音響信号を健聴者の聴覚フィルタバンク4に通した後、前記音響信号の聴神経興奮パターン(エキサイテーションパターン)を聴神経興奮パターン算出部5によって算出する。
【0029】
ここで、聴覚フィルタとは、人間の聴覚末梢器官で最も重要な役割を担うと考えられている内耳の中の“蝸牛”の機能を電気的なフィルタでモデル化する手法である。
【0030】
人間の蝸牛は、耳に入って来た音響信号に含まれる周波数成分を分析、抽出して聴神経に伝える機能を有する。この機能を、複数の帯域フィルタで構成された聴覚フィルタバンクで模擬することによって、人間の聴覚末梢器官と同等の周波数分析機能を実現できることが知られている。
【0031】
図2は、聴覚フィルタバンク4の模式図であり、横軸が周波数、縦軸が音の強さである。ここでは、一例としてある特定の周波数の純音が入力された場合を図示している。
【0032】
この聴覚フィルタバンク4を構成する一つ一つの聴覚フィルタの形状(周波数特性)は人間の蝸牛に固有のものである。人間の蝸牛の周波数分析機能を模擬するために最も適したフィルタモデル関数としては、roexフィルタ、ガンマトーンフィルタ、ガンマチャープフィルタなどが知られている。
【0033】
さらに、聴覚フィルタのバンド幅は入力音の周波数毎に変化することが知られており、健聴者であれば式(1)に示す周波数の関数によって近似できることが非特許文献1によって明らかにされている。
【0034】
ERB(f)=24.673(4.368f/ 1000+1) ・・・(1)
【0035】
式(1)において、fc は聴覚フィルタの中心周波数であり、ERBはそのバンド幅(Equivalent Rectangular Bandwidth)である。
【非特許文献1】B. R. Glasberg, B. C. J. Moore, “Derivation of auditory filter shapes from notched-noise data,” Hear. Res. 47, 103-138(1990)
【0036】
聴神経興奮パターン(エキサイテーションパターン)は、入力音が蝸牛で周波数分析された後に、その結果として聴神経に出力される神経興奮量の周波数分布であり、これは聴覚フィルタバンク4を用いて、周波数の関数として近似的に算出できる。
【0037】
図3に、聴覚フィルタバンク4に、ある特定の周波数の純音が入力された場合の聴神経興奮パターン算出の模式図を示す。入力された純音に対して、聴覚フィルタA の通過量はa であるため、出力値a が得られる。同様に聴覚フィルタB、C、D,E 及びF からは出力値b, c , d, e 及びf がそれぞれ得られるので、これらの出力値をプロットすれば聴神経興奮パターンとなる。過去の研究報告で、この聴神経興奮パターンが人間の蝸牛及び聴神経の生理学データと一致することが確認されている。
【0038】
図4には、実際に回転式の切削機械で金属部品を加工した際の分析結果を示す。左側が従来型の物理的音響分析手法であるFFT分析によるサウンドスペクトログラムで、右側が聴神経興奮パターン(エキサイテーションパターン)である。両図とも、横軸は時間、縦軸は周波数で、色の濃淡が強度を表している。
【0039】
なお、ここでは聴覚フィルタのモデル関数にroex(p,r)フィルタを用いている。roex(p, r)関数は、fCを聴覚フィルタの中心周波数、Δfを中心周波数からの差分、pをフィルタのバンド幅、rをフィルタのダイナミックレンジとすると、式(2)で表わされる関数であり、聴覚フィルタの代表的なモデル関数の一つである。
【0040】
W(Δf / fC) = (1−r)(1+pΔf / fC)epΔf / fC+r・・・(2)
【0041】
図4では、同一の音響信号を分析したにも関わらず、FFT分析によるサウンドスペクトログラムと聴神経興奮パターン(エキサイテーションパターン)で全く異なるパターンが現れているが、前述したように聴神経興奮パターンの方が、ベテラン工員の聴感覚に近いことは間違いない。
【0042】
実際の運用においては、正常時の音響信号を収録した上で、そのエキサイテーションパターンを記録し、集音された音響信号との差分もしくはユークリッド距離等を求めて正常音、異常音の判定をするか、もしくはパターンマッチングなどの手法を用いて正常時との差異を判定する。
【0043】
前記音響信号が製造設備の駆動音であれば、正常時との差異から機械の故障を判定できる。部品や製品の加工音であれば、加工作業の良否が判定できるので、異音と判定されれば、その部品もしくは製品を製造ラインから外すことができるので、不良部品による無駄な後工程を省略することが可能となる。さらに切削刃物などの消耗部品の摩耗などを事前に検知し、不良品を発生させてしまう前に消耗部品の交換時期を報知するシステムを構成することも可能である。
【0044】
また、切削工具などの多くでは、部品の発熱を防ぐために加工対象部位に潤滑油を流している場合がある。この場合は、音響センサ1に潤滑油が飛び散り、正確な集音が出来ないばかりか、音響センサ1の故障を引き起こす可能性もある。
【0045】
本発明では、このような場合も運用が可能なように、音響センサ1、音響信号分析部2、音響信号判定部3を防水構造にすることを可能としている。具体的には、例えば図5に示すような構造が考えられる。
【0046】
図5では、音響センサ1に防水タイプのマイクロホンを使用しており、半円筒状の反射板8に固定されている。マイクロホンの音口は反射板8の側に向いているので音口に潤滑油が直接当たることはなく、潤滑油の衝突音で加工音が検出できなくなったり、音口が潤滑油で詰まってしまうことはない。
【0047】
このような構造にすることによって、図中の点線で示される製造設備の加工部からの音響信号は、反射板8で反射してマイク音口に効率良く到達する上に、潤滑油は防水タイプのマイクの背側(音口の反対側)に飛散するので、音口に直接当たることはなく、潤滑油が大量に飛散する加工現場においても効率良く集音することが可能となる。
【0048】
なお、音響信号分析部2、音響信号判定部3はCPUなどで構成して、製造設備の外側、つまり潤滑油が飛散しない場所に設置してケーブルで接続しても良いし、防水型のケースに収納するなどの方策を講じても良い。
【0049】
さらに、製造設備の形状や動作および工場のレイアウトなどによっては、音響センサ1と、CPUなどで構成された音響信号分析部2、音響信号判定部3との配線が邪魔になって、本発明によるシステムの設置が困難な場合も少なくない。
【0050】
このような場合には、図6に示すように音響センサ1で集音した音響信号を音響信号送信部6で送信し、音響信号受信部7で受信して音響信号分析部2に渡せばよい。音響センサ1と音響信号送信部6だけであれば極めて小型に構成することが可能であるので、CPUなどのシステムが必要となる音響信号分析部2と音響信号判定部3を製造設備から離れた適当な場所に設置することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】システムのブロック図
【図2】聴覚フィルタバンクの模式図
【図3】聴神経興奮パターン(エキサイテーションパターン)算出の模式 図
【図4】実測定データの一例
【図5】防水構造の一例
【図6】無線を用いた場合のシステムのブロック図
【符号の説明】
【0052】
1…音響センサ、2…音響信号分析部、 3…音響信号判定部、4…聴覚フィルタバンク、5…聴神経興奮パターン算出部、6…音響信号送信部、 7…音響信号受信部、8…反射板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品または製品を製造するための部品から発せられる音響信号を集音する音響センサと、前記音響信号を分析する音響信号分析部と、前記音響信号分析部の分析結果に基づいて前記音響信号が正常時音響信号か異常時音響信号かを判定する音響信号判定部から成る異音判定装置であって、前記音響信号分析部は健聴者の聴覚フィルタ形状から聴神経興奮パターンを算出する機能を有し、前記音響信号判定部は前記聴神経興奮パターンに基づいて前記音響信号が正常時音響信号か異常時音響信号かを判定する機能を有する異音判定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の異音判定装置において、前記音響信号が製品を製造するための加工音であることを特徴とする異音判定装置。
【請求項3】
請求項1に記載の異音判定装置において、前記音響信号が製品または製品を製造するための部品を検査するために前記製品または前記製品を製造するための部品を湾曲または打撃した際に発せられる音響信号であることを特徴とする異音判定装置。
【請求項4】
請求項1に記載の異音判定装置において、前記音響信号が製品を製造するための製造設備の駆動音であることを特徴とする異音判定装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の異音判定装置において、前記音響センサ、前記音響信号分析部、前記音響信号判定部のいずれかが、防水構造になっていることを特徴とする異音判定装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の異音判定装置において、前記音響信号分析部、前記音響信号判定部のいずれかが、製品を加工するための金型に埋め込まれていることを特徴とする異音判定装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の異音判定装置において、前記音響センサで集音した音響信号を無線によって送信するための音響信号送信部と、前記音響信号送信部の出力信号を受信し、前記音響信号分析部に送る機能を有する音響信号受信部を有することを特徴とする異音判定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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