説明

【課題】模様を変更することが容易な装飾性を有する畳を提供する。
【解決手段】畳表面に部分的に凹部1aを形成し、この凹部1aに表面に模様が形成された畳部分2を着脱自在に構成し、この畳部分2を装着した状態で畳部分の表面2aの高さが他の部分の表面1d,1eの高さと同一もしくはほぼ同一となるように構成された畳。好ましくは、凹部1aは直線状であり、少なくともその一端部が畳縁にまで到達している。好ましくは、凹部1aは直線状であり、その両端部は、長辺側1bの畳端部と、短辺側1cの畳端部に位置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装飾性を有する畳に関するものである。
【背景技術】
【0002】
畳表に印刷を施すことで付加価値を与えるという試みがなされており、例えば、下記特許文献1,2などが知られている。特許文献1は、畳表に下地インキを使って印刷し、下地処理を行い、仕上げインキを使って印刷を行い、絵柄図柄を連続して繊細に仕上げる技術が開示されている。特許文献2は、畳表に施す印刷の表面に、UVインキをシルクスクリーン板を用いて膜状に塗布し、さらに紫外線を照射することで印刷を強固に保護するという技術が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2003−327877号公報
【特許文献2】特開平7−217164号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
印刷により絵柄図柄などの模様を形成する場合、一度形成した模様を変更しようとする場合は、畳全体を交換しなければならず面倒である。また、印刷を保護するためには、特許文献2のようにコーティングをしなければならずコスト高となる。
【0005】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その課題は、模様を変更することが容易な装飾性を有する畳を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため本発明に係る畳は、
畳表面に部分的に凹部を形成し、この凹部に表面に模様が形成された畳部分を着脱自在に構成し、この畳部分を装着した状態で畳部分の表面高さが他の部分の表面高さと同一もしくはほぼ同一となるように構成されたことを特徴とするものである。
【0007】
この畳によると、表面に部分的に凹部が形成されており、畳部分が凹部に対して着脱自在に構成されている。畳部分を装着した状態では、全体の表面高さが同一もしくはほぼ同一となるので、全体的な一体感を損なわずにすむ。また、畳部分を着脱自在に構成しているので、模様を変更したい場合は、違う模様が形成された別の畳部分を装着させればよい。あるいは、リバーシブルの畳部分であれば、同じ畳部分をひっくり返して装着してもよい。従って、畳部分を複数揃える等しておけば、自由に模様の変更ができる。その結果、模様を変更することが容易な装飾性を有する畳を提供することができる。
【0008】
なお、本発明において、凹部とは、畳単体に形成されるものだけではなく、実際に畳を室内に敷き詰めた状態で畳部分を取り外したときに形成される凹部をも含むものである。従って、図3に示すように畳単体で見た場合に形成される凹部のみならず、図9に示すように、畳単体では一体化されておらず、畳単体では凹部が形成されていない場合であっても、上記のごとく、畳部分を取り除いたときに凹部が現れるのであれば、かかる凹部も本発明で言う凹部に含まれるものである。
【0009】
本発明において、前記凹部は直線状もしくは曲線状であり、少なくともその一端部が畳端部にまで到達していることが好ましい。
【0010】
凹部が畳端部まで到達していることで、畳部分の取り外し操作が行ないやすくなる。
【0011】
本発明において、前記凹部は直線状もしくは曲線状であり、その両端部は、一辺の畳端部と、他辺の畳端部に位置していることが好ましい。
【0012】
かかる凹部により、畳の角の近傍に斜め方向に模様が形成される。なお、一辺と他辺という表現は、4つの辺のうちの任意の辺を2つ選択できるという意味である。従って、部屋の角に合わせてかかる模様を配置することで、部屋の雰囲気に対して自然な感じで装飾性を上げることができる。
【0013】
本発明において、前記凹部は、中央部分をくり抜く形態で形成されることが好ましい。
【0014】
これにより、中央部分に種々の模様を形成させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明に係る畳の好適な実施形態を図面を用いて説明する。図1は、本発明に係る畳の外観図である。図2は、本発明に係る畳から畳部分2を取り外した状態を示す図である。
【0016】
畳1には、その表面に部分的に凹部1aが形成されている。凹部1aは直線状であり、その両端部は、畳1の長辺側1bの畳端部と、短辺側1cの畳端部に位置している。畳部分2は、ちょうど凹部1aに嵌まり込むような形状を有しており、畳部分2を装着した状態で、畳部分2の表面2aの高さと畳本体の表面1d,1eの高さは、同一もしくはほぼ同一となる。従って、全体として一体感があると同時に、凹凸がないので畳1の上を歩いたり座ったりするときも違和感がない。両端が畳端部に位置しているので畳部分2の着脱が容易になると共に、製造も容易になる。
【0017】
畳部分2の表面には、図柄、絵柄などの模様が形成されるが、本発明としては特定の模様に限定されるものではない。表面模様は、模様が形成された織物(西陣織など)を巻くことで形成してもよいし、印刷を行なってもよい。畳部分2は、表面模様の異なるものを複数用意しておけば、季節の変わり目や気分により模様を変えたいときに、簡単に取り替えることができる。
【0018】
図3は、畳1の断面構造を示す図である。畳1の畳芯1fは、木質インシュレーションボード10,11により構成されており、凹部1aを形成するため、上側の木質インシュレーションボード10が部分的に取り除かれている。本体部1fを包囲するように畳表12が巻きつけられている。なお、下側の木質インシュレーションボード11を断熱材(例えば、発泡プラスチック保温材など)で構成してもよい。この点は、他の実施形態についても同様である。
【0019】
畳部分2は、同じく木質インシュレーションボード20と、これを包囲するように織物21が巻かれている。織物21については、畳表12と同じ材質(い草表)のものを使用してもよい。なお、畳芯1fについては、全体を稲わらにより形成してもよい。畳部分2についても同様である。
【0020】
図4は、実際の室内における配置例を示す図である。畳部分2が部屋のちょうど角にくるように畳1を配置した例である。
【0021】
図5は、別の配置例を示すとともに、畳部分2の別実施形態を示す図である。図5において、畳部分2は長辺に平行であり、その両端部は、ちょうど向かい合う一対の短辺の縁部に位置している。
【0022】
図6は、さらに別実施形態を示す図である。(a)は、畳部分2の長手方向の一端部が縁部にまで到達していない構成例である。(b)は、畳1全体の形状とほぼ対称的な形状を有する畳部分2を示す図である。(c)は、畳1の角部に三角形の畳部分2を配置した例である。(d)は、図1と同様であるが、角度を変えた例である。以上のように、畳部分2の形状や配置については、種々の変形例が可能である。
【0023】
図7は、さらに別実施形態を示す図である。図6は、直線状に凹部を形成する例を説明したが、図7に示すように曲線状に凹部を形成してもよい。また、畳部分2の形状は直線と曲線の組み合わせにより外形を構成してもよい。さらに、図7(c)(d)に示すように、中央部分をくり抜くように凹部を形成してもよい。この場合も、凹部の外形は直線・曲線・直線と曲線の組み合わせにより構成することができる。中央部分における畳部分2の大きさ・位置は任意に設定することができる。
【0024】
図7(e)は、畳1の右側部分が畳部分2として構成される。かかる畳部分2は、上側部分や下側部分に形成することもできる。また、畳部分2は図示のような矩形に限定されるものではなく、種々の形状(台形、三角形など)を採用することができる。
【0025】
図8は、さらに別実施形態を示す図であり、畳1枚だけでなく、複数枚の畳を利用して1つの模様を形成してもよい。図8の例では、6畳の室内において、2枚あるいは3枚の畳1にまたがって1つの模様・形状が構成される。もちろん、6枚の畳の全てを利用して1つの模様を形成するようにしてもよい。この場合も畳部分2の形状については、任意に設定することができる。
【0026】
また、畳1に形成される凹部は1つだけでなく、複数の凹部が形成されていてもよい。これにより、より多様性のある模様を形成することができる。
【0027】
図9は、畳の断面構造(部分的に形成される凹部)の別実施形態を示す図である。図8の構成例は、畳1を完全に3つの部分に分離することができる。図9(a)は、畳芯2bが木質インシュレーションボード20,22により構成されており、これを包囲するように織物21が巻かれている。織物12,21は、全周にわたって巻かれている。
【0028】
図9(b)は、同様に3つの部分に分かれているが、下側の木質インシュレーションボード22と上側の木質インシュレーションボード20とが別々に分かれているので、畳部分2を取り替えるときは図3と同様に上の部分だけを取り替えればよい。
【0029】
本発明は、畳縁の有無にかかわらず適用できるものである。また、本発明は、新畳だけでなく、既存の畳に対しても容易に施工することができ、適用可能である。
【0030】
本発明に係る畳は、長方形だけでなく、正方形の場合にも適用できるものである。畳部分の表裏に異なる模様を形成すれば、ひっくり返して装着することで、模様の変更を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る畳の外観図
【図2】本発明に係る畳から畳部分を取り外した状態を示す図
【図3】畳の断面構造を示す図
【図4】室内における配置例を示す図
【図5】室内における配置例を示す図
【図6】畳の別実施形態を示す図
【図7】畳の別実施形態を示す図
【図8】畳の別実施形態を示す図
【図9】畳の断面構造の別実施形態を示す図
【符号の説明】
【0032】
1 畳
1a 凹部
1b 長辺側
1c 短辺側
1d 表面
1e 表面
2 畳部分
2a 表面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
畳表面に部分的に凹部を形成し、この凹部に表面に模様が形成された畳部分を着脱自在に構成し、この畳部分を装着した状態で畳部分の表面高さが他の部分の表面高さと同一もしくはほぼ同一となるように構成されたことを特徴とする畳。
【請求項2】
前記凹部は直線状もしくは曲線状であり、少なくともその一端部が畳端部にまで到達していることを特徴とする請求項1に記載の畳。
【請求項3】
前記凹部は直線状もしくは曲線状であり、その両端部は、一辺の畳端部と、他辺の畳端部に位置していることを特徴とする請求項1に記載の畳。
【請求項4】
前記凹部は、中央部分をくり抜く形態で形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の畳。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−202229(P2008−202229A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−36393(P2007−36393)
【出願日】平成19年2月16日(2007.2.16)
【出願人】(307005036)タバタ株式会社 (1)
【Fターム(参考)】