説明

疎水性染料、特定の無機アルカリ剤及び/又は有機アルカリ剤、特定の化合物(I)及び特定の有機化合物(II)を含む組成物、並びに染色におけるその使用

本発明は、2以上のlogPを有する1つ以上の疎水性直接染料と、炭酸塩、炭酸水素塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及びそれらの混合物から選択される1つ以上の有機アルカリ剤及び/又は1つ以上の無機アルカリ剤と、式(A)
【化1】


の鎖を含む構造を有する1つ以上の化合物(I)と;16MPa1/2以下のハンセン溶解度パラメータ値δH及び250g/モル未満の分子量を有する1つ以上の有機化合物(II)とを含む染料組成物に関する。本発明は、このような組成物をケラチン繊維に塗布することにある染色方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの疎水性染料、少なくとも1つの有機アルカリ剤及び/又は少なくとも1つの特定の無機塩基、少なくとも1つの特定の化合物(I)及び少なくとも1つの特定の有機化合物(II)を含む、ヒトのケラチン繊維を染色するための組成物、及び染色方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトのケラチン繊維、特に毛髪を染色するための2つの主な方法が知られている。
【0003】
酸化染色又は永久染色として知られている第1の方法は、1つ以上の酸化染料前駆体、より特定的には、1つ以上のカップラーと任意に組み合わされた1つ以上の酸化塩基を使用することからなる。
【0004】
酸化塩基は、通常、オルト−又はパラ−フェニレンジアミン、オルト−又はパラ−アミノフェノール、及び複素環化合物から選択される。これらの酸化塩基は、無色又はわずかに着色された化合物であり、酸化生成物と組み合わされると、酸化縮合のプロセスを介して、着色された化学種を生成することが可能であり、これらの着色された化学種は繊維内に補足されたままになる。
【0005】
これらの酸化塩基によって得られる色合いは、多くの場合、酸化塩基を1つ以上のカップラーと組み合わせることによって変化させられ、これらのカップラーは、特に、芳香族のメタ−ジアミン、メタ−アミノフェノール、メタ−ジフェノール及びある種の複素環化合物、例えばインドール化合物から選択される。
【0006】
酸化塩基及びカップラーとして使用される分子が様々であることにより、幅広い色を得ることができる。
【0007】
酸化染色プロセスは、一般に、使用の直前に染料組成物と混合される酸化剤、特に例えば過酸化水素(又は水性過酸化水素溶液)の存在下で、酸化染料前駆体(1つ以上のカップラーと任意に組み合わされる1つ以上の酸化塩基)をケラチン繊維に塗布することによって行われる。
【0008】
得られる着色は、一般に強力であり、特にシャンプーに対して優れた堅牢度を示す。
【0009】
しかしながら、使用の条件が、ケラチン繊維の劣化を招く傾向がある。長期的に見ると、これらの繊維は、程度の差はあるが劣化し、特に、染色を繰り返した場合、ざらざらになり、くすみ、脆くなり、スタイリングしにくくなる傾向がある。
【0010】
直接染色又は半永久染色として知られている第2の染色方法は、直接染料の塗布を含み、直接染料は、繊維と親和性のある分子であり、それを含有する組成物に酸化剤を加えなくても発色する。使用される分子の性質を考えると、直接染料は、どちらかと言えば繊維の表面に留まる傾向があり、酸化染料前駆体の小分子と比較して、繊維への浸透が比較的少ない。
【0011】
一般に使用される直接染料は、ニトロベンゼン、アントラキノン、ニトロピリジン、アゾ、メチン、アゾメチン、キサンテン、アクリジン、アジン及びトリアリールメタン直接染料から選択される。使用される化学種は、ノニオン性、アニオン性(酸性染料)又はカチオン性(塩基性染料)であり得る。直接染料はまた、天然染料であってもよい。
【0012】
使用される直接染料の大部分は、水性媒体に十分な溶解性を有し、それらを使用するのに適した多くの染料担体が現在存在している。
【0013】
1つ以上の直接染料を含有するこれらの組成物は、所望の着色を得るのに必要な時間にわたってケラチン繊維に塗布されてから、すすぎ流される。
【0014】
しかしながら、直接染料から得られる着色は、特に有色の着色であるが、一時的又は半永久的なものに過ぎない。なぜなら、直接染料をケラチン繊維に結合する相互作用の性質並びに繊維の表面及び/又は芯からの直接染料の脱離が、その弱い染色力及び洗浄又は光に対するその低い堅牢度の原因となっているためである。
【0015】
したがって、毛髪を染色するための公知の方法は、直接染色の分野であれ、酸化染色の分野であれ、改良の余地がある。
【0016】
特に、ヒトのケラチン繊維の性質を配慮し、特にその劣化を防ぐことができると同時に、強力な染色結果を与え、外部因子、特に洗浄、汗、光、紫外線照射、悪天候、摩擦及び化学的処理、例えばパーマネントウェーブ処理に耐性がある、ヒトのケラチン繊維を染色するための方法を提供する必要性がある。
【0017】
この必要性は、光及び紫外線照射に対する堅牢度が一般に不十分な青色染料の場合に特に実感されている。
【0018】
ケラチン繊維を効率的に着色するために、疎水性直接染料の大部分は、それらを繊維に搬送する役割を果たす特定の溶媒の存在下で使用されなければならない。この目的のために知られている化粧用溶媒の中でも、芳香族溶媒が使用されることが多い。より特定的に、ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール又はフェノキシエタノールが挙げられる。
【0019】
しかしながら、水性媒体に溶解しにくい芳香族溶媒の存在により、芳香族溶媒を標準的な染料配合物と相溶性にするために、大量の共溶媒、通常はエタノールを使用することが必要になる。
【0020】
さらに、これらの条件下でさえ、得られる着色の強度は不十分なままであり、又は選択性が過度に高いままである。
【0021】
さらに、還元性疎水性染料を還元するために、繊維の分野では還元剤、例えばハイドロサルファイトが使用されることもある。しかしながら、これらの化合物は環境に有害であり、特に排水を広範囲に汚染する。さらに、それらは、非常に不快な臭いを発するため、化粧分野に使用するのには適さない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
したがって、より効率的であると同時に、疎水性染料と相溶性であり、かつ環境及び毛髪の性質の両方を配慮した、ヒトの毛髪を染色するための疎水性染料をベースとする新規な組成物を提供する必要性がある。これらの組成物はまた、強力で、非選択性でかつ耐性のある染色結果を得ることを可能にするものでなければならない。
【0023】
本出願人の名義の特許出願の仏国特許第2 771 286号明細書には、一般に、化粧用組成物、より特定的にはメーキャップ組成物、例えば口紅、ファンデーション、フェースパウダー、アイシャドウ、ルースパウダー又はコンパクトパウダー、アイライナー、マスカラ及びマニキュア液におけるインジゴイド型の化合物の使用が記載されている。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本出願人は、意外にも、2以上のlogPを有する1つ以上の疎水性直接染料、1つ以上の有機アルカリ剤及び/又は1つ以上の特定の無機塩基、1つ以上の特定の化合物(I)及び1つ以上の特定の有機化合物(II)を含む染料組成物によって、上述した問題を解決することができることを発見した。
【発明を実施するための形態】
【0025】
したがって、本発明の1つの主題は:
−2以上のlogPを有する1つ以上の疎水性直接染料、
−1つ以上の有機アルカリ剤、及び/又は炭酸塩、炭酸水素塩、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム、並びにそれらの混合物から選択される1つ以上の無機塩基、
−構造中に以下の配列を含む1つ以上の化合物(I)であって:
【化1】

式中、nが、0〜4の範囲の整数を表し、
【化2】

が以下の基:
【化3】

を表す化合物(I)と、
−16MPa1/2以下のハンセン溶解度パラメータδH及び250g/モル未満の分子量を有する1つ以上の有機化合物(II)と
を含む染料組成物である。
【0026】
logP値は、従来から、オクタノールと水との間の染料の分配係数を表す。logPは、Meylan及びHowardによる論文、「Atom/fragment contribution method for estimating octanol−water partition coefficient」、J.Pharm.Sci.84、83〜92(1995)に記載される方法にしたがって計算することができる。また、この値は、分子の構造に応じてlogPを求める、市場に出ている多くのソフトウェアパッケージによって計算することもできる。挙げられる一例は、米国環境庁(United States Environmental Agency)からのEpiwinソフトウェアである。
【0027】
logP値は、通常、25℃の温度及び大気圧(760mmHg、すなわち1.013×105Pa)で与えられることに留意されたい。
【0028】
特に、本発明に係る組成物中に存在する疎水性直接染料は、単独で又は混合物として、以下の化合物から特に選択され得る:
【0029】
【表1】

【0030】
【表2】

【0031】
本発明に係る組成物中に存在する疎水性直接染料はまた、インジゴイド染料から選択され得る。
【0032】
本発明に係る組成物に使用され得るインジゴイド染料は、以下のものから選択され得る:
【0033】
【表3】

【0034】
【表4】

【0035】
【表5】

【0036】
【表6】

【0037】
2以上のlogPを有する疎水性直接染料として、以下のインジゴイド直接染料:ロイコインジゴ、ロイコイソインジゴ、ロイコインジルビン、ロイコイソインジルビンを使用することもできる。
【0038】
本発明に係る組成物中に存在する疎水性直接染料はまた、下式(III)及び(IV)の化合物から選択され得る:
【化4】

式中:
1、R’1、R2、R’2、R3、R’3、R4、R’4、R5及びR’5が、同じであっても又は異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、C1〜C30アルキル、C1〜C30アルキルオキシ、C1〜C30アシル又はC1〜C30アシルオキシ基を表し、アルキル及びアルキルオキシ基が、1つ以上のハロゲン原子及び/又は1つ以上のヒドロキシル基で場合により置換される。
【0039】
好ましくは、2以上のlogPを有する直接染料は、インジゴイド染料及び式(III)及び(IV)の化合物から選択される。
【0040】
上式(III)及び(IV)中、用語「ハロゲン原子」は、特に、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子及びフッ素原子を表す。
【0041】
好ましくは、基R1及びR’1が、同じであっても又は異なっていてもよく、水素原子、C1〜C10アルキル基又はC1〜C10アルキルオキシ基を表し、これらの基が、1つ以上のハロゲン原子及び/又は1つ以上のヒドロキシル基で場合により置換される。
【0042】
特に好ましくは、基R1及びR’1が、同じであっても又は異なっていてもよく、水素原子又はC1〜C8アルキルオキシ基を表す。
【0043】
好ましくは、基R2、R’2、R3、R’3、R4、R’4、R5及びR’5が、同じであっても又は異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基又はC1〜C10アルキル若しくはアルキルオキシ基を表し、これらの基が、1つ以上のハロゲン原子及び/又は1つ以上のヒドロキシル基で場合により置換される。
【0044】
特に好ましくは、基R2、R’2、R3、R’3、R4、R’4、R5及びR’5が、同じであっても又は異なっていてもよく、水素原子、ヒドロキシル基、C1〜C8アルキル基又はC1〜C8アルキルオキシ基を表す。
【0045】
本発明に係る組成物に使用され得る式(III)の化合物の中でも、以下の化合物がより特に好ましい:
【0046】
【表7】

【0047】
本発明に係る組成物において使用され得る式(II)の化合物の中でも、以下の化合物がより特に好ましい:
【0048】
【表8】

【0049】
2以上のlogPを有する疎水性直接染料は、一般に、化粧用組成物の総質量に対して、0.001質量%〜20質量%、好ましくは0.01質量%〜20質量%、優先的には0.01質量%〜10質量%、さらにより優先的には0.05質量%〜10質量%、さらにより好ましくは0.1質量%〜5質量%を占める。
【0050】
前述したように、本発明に係る組成物は、1つ以上の特定の化合物(I)も含む。
【0051】
好ましくは、整数nは、0、1又は2を表す。
【0052】
好ましくは、化合物(I)は、その構造中に以下の配列を有する:
【化5】

(B)は(A)の互変異性型である。
【0053】
化合物(I)は、より優先的に下式(C)に相当し:
【化6】

式中:
nが、0〜4の整数、好ましくは0〜2の整数を表し、
【化7】

が、以下の基:
【化8】

を表し、
1及びR2が、互いに独立して、水素原子;置換又は非置換のフェニル基;ヒドロキシル基;C1〜C4アルコキシ基;直鎖状又は分枝状C1〜C4アルキル基を表し、これは、非置換であるかあるいは基−OR’、−C(O)R”及びCOOR”’から選択される1つ又は2つの基で置換されていてもよく、R’、R”及びR”’が、互いに独立して、水素原子又は直鎖状若しくは分枝状C1〜C4アルキル基を表し、あるいは
1及びR2が、それらが結合される炭素主鎖とともに、非置換の5員又は6員の非芳香族炭素環を形成する。
【0054】
特定の化合物(I)は、好ましくは以下の化合物から選択される:
【0055】
【表9】

【0056】
【表10】

【0057】
【表11】

【0058】
好ましい化合物(I)は、α−ヒドロキシアセトン化合物、例えばヒドロキシアセトン、アセトイン、グルタロイン、アジポイン、ベンゾイン、ジヒドロキシアセトン、グリコールアルデヒド及び2,3−ジヒドロキシアクリルアルデヒドである。
【0059】
化合物(I)は、一般に、化粧用組成物の総質量に対して、0.01質量%〜20質量%、好ましくは0.05質量%〜10質量%、さらに好ましくは0.1質量%〜5質量%を占める。
【0060】
本発明に係る組成物はまた、1つ以上の有機アルカリ剤、及び/又は炭酸塩、炭酸水素塩、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム、並びにそれらの混合物から選択される1つ以上の無機塩基、好ましくは有機アルカリ剤、及び/又は炭酸塩及び炭酸水素塩、及びそれらの混合物から選択される1つ以上の無機塩基も含む。
【0061】
本発明の趣旨では、用語「有機アルカリ剤」は、組成物中に存在することで、組成物のpHを、少なくとも0.05pH単位だけ、好ましくは少なくとも0.1pH単位だけ上げる任意の有機化合物を意味する。
【0062】
好ましくは、本発明の有機アルカリ剤は、25℃で1〜12の範囲のpKbを有する。
【0063】
それ自体が知られているように、アルカリ剤についての、用語「pKb」は、−log(Kb)に相当する値を表し、Kbは、このアルカリ剤の水中の解離定数を表す。有機アルカリ剤が2つ以上の塩基性官能基を含む場合、本発明に係るpKbは、最も高い塩基性の官能基に相当することに留意されたい。
【0064】
好ましくは、本発明に係る有機アルカリ剤は、25℃で1〜10、より優先的には2〜6の範囲のpKbを有する。
【0065】
より好ましくは、本発明に係る有機アルカリ剤は、上記のように25℃で所定のpKbを有する有機アミンから選択される。
【0066】
したがって、第1の変形例によれば、本発明に係る有機アルカリ剤は、第1級、第2級又は第3級アミン官能基並びに1つ以上のヒドロキシル基を有する1つ以上の直鎖状又は分枝状C1〜C8アルキル基を含むアミンから選択される。
【0067】
アルカノールアミン、例えば1〜3つの同じか又は異なるC1〜C4ヒドロキシアルキル基を含むモノアルカノールアミン、ジアルカノールアミン又はトリアルカノールアミンから選択される有機アミンが、使用するのに特に適している。
【0068】
この型の化合物の中でも、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、N−ジメチルアミノエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、トリイソプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、3−ジメチルアミノ−1,2−プロパンジオール及びトリス(ヒドロキシメチルアミノ)メタンが挙げられる。
【0069】
第2の変形例によれば、本発明に係る有機アルカリ剤は、下式で表される有機アミンから選択され:
【化9】

式中、Wが、ヒドロキシル基又はC1〜C6アルキル基で任意に置換されたC1〜C6アルキレン残基であり;Rx、Ry、Rz及びRtが、同じであっても又は異なっていてもよく、水素原子又はC1〜C6アルキル、C1〜C6ヒドロキシアルキル又はC1〜C6アミノアルキル基を表す。
【0070】
挙げられるこのようなアミンの例には、1,3−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノ−2−プロパノール、スペルミン及びスペルミジンが含まれる。
【0071】
第3の変形例によれば、本発明に係る有機アルカリ剤は、アミノ酸から選択される。
【0072】
より特定的に、使用され得るアミノ酸は、L、D又はラセミ体での、天然又は合成起源のものであり、より特定的に、カルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸又はリン酸官能基から選択される少なくとも1つの酸官能基を含む。アミノ酸は、中性型又はイオン型であってもよい。
【0073】
本発明に使用され得るアミノ酸としては、特に、アスパラギン酸、グルタミン酸、アラニン、アルギニン、オルニチン、シトルリン、アスパラギン、カルニチン、システイン、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、リジン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、N−フェニルアラニン、プロリン、セリン、タウリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン及びバリンが挙げられる。
【0074】
好ましいアミノ酸は、環又はウレイド官能基に任意に含まれるさらなるアミン官能基を含む塩基性アミノ酸である。
【0075】
このような塩基性アミノ酸は、好ましくは、下式(V):

【化10】

に相当するものから選択され、式中、Rが、以下のもの:
【化11】

から選択される基を表す。
【0076】
式(V)に相当する化合物は、ヒスチジン、リジン、アルギニン、オルニチン及びシトルリンである。
【0077】
第4の変形例によれば、本発明に係る有機アルカリ剤は、複素環式の有機アミンから選択される。アミノ酸の中で既に挙げたヒスチジンの他に、特に、ピリジン、ピペリジン、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール及びベンズイミダゾールが挙げられる。
【0078】
第5の変形例によれば、本発明に係る有機アルカリ剤は、アミノ酸ジペプチドから選択される。本発明に使用され得るアミノ酸ジペプチドとしては、特に、カルノシン、アンセリン及びバレイン(baleine)が挙げられる。
【0079】
第6の変形例によれば、本発明に係る有機アルカリ剤は、グアニジン官能基を含む化合物から選択される。したがって、有機アルカリ剤は、アミノ酸として既に挙げたグアニジン、アルギニン、クレアチン、クレアチニン、1,1−ジメチルグアニジン、1,1−ジエチルグアニジン、グリコシアミン、メトホルミン、アグマチン、N−アミジノアラニン、3−グアニジノプロピオン酸、4−グアニジノ酪酸及び2−([アミノ(イミノ)メチル]アミノ)エタン−1−スルホン酸から選択され得る。
【0080】
好ましくは、有機アルカリ剤は、アルカノールアミン、塩基性アミノ酸及びグアニジン官能基を含む化合物、並びにそれらの混合物から選択される。
【0081】
さらにより好ましくは、有機アルカリ剤は、アルカノールアミン、特にモノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミンから選択される。
【0082】
それ自体が知られているように、用語「炭酸塩」は、アニオンCO32-を含有する塩を表す。
【0083】
それ自体が知られているように、用語「炭酸水素塩」は、重炭酸塩としても知られており、アニオンHCO3-を含有する塩を表す。
【0084】
好ましくは、無機塩基は、アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ金属炭酸水素塩、並びにそれらの混合物から選択される。
【0085】
好ましいアルカリ金属は、リチウム、ナトリウム及びカリウムである。
【0086】
特に好ましい一実施形態によれば、無機塩基は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム及び炭酸水素カリウム、並びにそれらの混合物から選択される。
【0087】
有機アルカリ剤及び/又は無機塩基は、組成物の総質量に対して、0.1質量%〜20質量%、好ましくは0.5質量%〜10質量%、より優先的には1質量%〜5質量%を占める。
【0088】
本発明に係る組成物はまた、16未満、より優先的には5〜15.8MPa1/2、さらにより優先的には8〜15.8MPa1/2、さらにいっそう好ましくは8〜15MPa1/2のハンセン溶解度パラメータ値δHを有する1つ以上の有機化合物(II)も含む。
【0089】
好ましくは、これらの化合物は、25℃の温度及び大気圧(760mmHg;すなわち1.013×105Pa)で液体である。
【0090】
上に規定したようなハンセン溶解度パラメータ値δHを有する有機化合物は、例えば、Charles M.Hansenによる参考刊行物「Hansen solubility parameters:A User’s Handbook」、CRC Press、2000、167〜185ページ、又は刊行物「Handbook of Solubility Parameters and Other Cohesion Parameters」、CRC Press、95〜121ページ及び177〜185ページに記載されている。
【0091】
この溶解度パラメータ値δHは、水素結合の形成と関連がある。
【0092】
特に、刊行物「Handbook of Solubility Parameters and Other Cohesion Parameters」、CRC Press、95〜121ページ及び177〜185ページには、式δH=(Σ−zh/V)1/2が示されており、
式中、
zh(J.モル-1)が、水素結合に関連する溶解度パラメータ(表14、183ページの値)において考えられる官能基の寄与を表し;このパラメータzhは、刊行物「The relation between surface tension and solubility parameter in liquids」、Bagda,E、Farbe Lack、84、212、1978にも記載されており;
Vが、分子の体積である。
【0093】
溶解度パラメータ値δHが、通常、25℃の温度及び大気圧(760mmHg、すなわち1.013×105Pa)で与えられることに留意されたい。
【0094】
前記有機化合物(II)は、アルカノール、脂肪族エステル、エーテル、芳香族アルコール、アルキルアリールアルコール、芳香族酸、脂肪族酸、炭酸アルキレン、例えば炭酸プロピレン、及びラクトン、例えばγ−ブチロラクトン、並びにそれらの混合物から選択され得る。
【0095】
好ましくは、前記有機化合物(II)は、アルカノール、脂肪族エステル、エーテル、芳香族アルコール、アルキルアリールアルコール、芳香族酸及び脂肪族酸、並びにそれらの混合物から選択される。
【0096】
さらにより優先的には、前記有機化合物(II)は、1−オクタノール、1−デカノール、トリデシルアルコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル及びモノエチルエーテル、3−フェニル−1−プロパノール、2−フェニル−1−プロパノール、ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール及びフェノキシエタノール、並びにこれらの化合物の混合物から選択される。
【0097】
有機化合物(II)は、好ましくは、芳香族アルコール及びアルキルアリールアルコール、さらにより優先的にはベンジルアルコールから選択される。
【0098】
有機化合物(II)は、存在する場合、一般に、組成物の総質量に対して、0.1〜20質量%、好ましくは1質量%〜5質量%を占める。
【0099】
本発明に係る組成物はまた、1つ以上のさらなる染料も含み得る。特に、本発明に係る組成物はまた、天然染料及び非天然直接染料から選択される、2以上のlogPを有する疎水性の染料以外の少なくとも1つのさらなる染料、酸化染料前駆体、及びそれらの組合せも含み得る。
【0100】
用語「天然染料」は、天然に産し、植物マトリックスからの抽出及び場合による精製、又は化学合成のいずれかによって生成される任意の染料又は染料前駆体を意味する。
【0101】
本発明に使用するのに特に適したさらなる天然染料は、例えば、カルミン酸、ケルメス酸、イサチン、クロロフィリン、ヘマチン、ヘマトキシリン、ブラジリン、ブラジレイン、ベタニン、フラボノイド及びアントシアンから選択され得る。
【0102】
これらの天然染料を含有する抽出物又は煎出液、特にヘンナをベースとする抽出物も用いられ得る。
【0103】
組成物はまた、イオン性又は非イオン性化学種、好ましくはカチオン性又はノニオン性化学種から選択される、上記の疎水性の染料以外の1つ以上のさらなる非天然直接染料も含み得る。
【0104】
挙げられる好適なさらなる直接染料の例には、以下の直接染料:アゾ染料;メチン染料;カルボニル染料;アジン染料;ニトロ(ヘテロ)アリール染料;トリ(ヘテロ)アリールメタン染料;ポルフィリン染料及びフタロシアニン染料が、単独で又は混合物として含まれる。
【0105】
より特定的に、アゾ染料は、2つの窒素原子が環に同時には組み込まれない−N=N−官能基を含む。しかしながら、配列−N=N−の2つの窒素原子のうちの1つが環状に組み込まれることは除外されない。
【0106】
メチン系の染料は、より特定的には、>C=C<及びN=C<から選択される少なくとも1つの配列を含み、これらの2つの原子が環に同時には組み込まれない、化合物である。しかしながら、配列の窒素又は炭素原子のうちの1つは環に組み込まれてもよいことが指摘される。より特定的には、この群の染料は、1つ以上の上記の配列−C=C−を含む純粋なメチン型の化合物、少なくとも1つ以上の配列−C=N−を含むアゾメチン型の化合物、例えば、アザカルボシアニン及びその異性体、ジアザカルボシアニン及びその異性体、及びテトラアザカルボシアニン;モノ−及びジアリールメタン型の化合物;インドアミン(indoamine)又はジフェニルアミン型の化合物;インドフェノール型の化合物;又はインドアニリン型の化合物に由来する。
【0107】
カルボニル系の染料に関して、挙げられる例には、アクリドン、ベンゾキノン、アントラキノン、ナフトキノン、ベンズアントロン、アントアントロン、ピラントロン、ピラゾールアントロン、ピリミジノアントロン、フラバントロン、インダントロン、フラボン、(イソ)ビオラントロン、イソインドリノン、ベンズイミダゾロン、イソキノリノン、アントラピリドン、ピラゾロキナゾロン、ペリノン、キナクリドン、キノフタロン、ナフタルイミド、アントラピリミジン、ジケトピロロピロール及びクマリンから選択される非天然染料が含まれる。
【0108】
環式アジン系の染料に関して、特に、アジン、キサンテン、チオキサンテン、フルオリンジン、アクリジン、(ジ)オキサジン、(ジ)チアジン及びピロニンが挙げられる。
【0109】
ニトロ(ヘテロ)芳香族染料は、より特定的にはニトロベンゼン又はニトロピリジン直接染料である。
【0110】
ポルフィリン又はフタロシアニン型の染料に関して、1つ以上の金属又は金属イオン、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属、亜鉛及びケイ素を任意に含む、カチオン性又は非カチオン性化合物を使用することができる。
【0111】
挙げられる特に好適なさらなる合成直接染料の例には、ニトロベンゼン染料;アゾ、アゾメチン、メチン、アザカルボシアニン、例えばテトラアザカルボシアニン及びテトラアザペンタメチン直接染料、キノン直接染料、特にアントラキノン、ナフトキノン又はベンゾキノン染料、アジン、キサンテン、トリアリールメタン及びインドアミン直接染料、フタロシアニン及びポルフィリンが、単独で又は混合物として含まれる。さらにより好ましくは、これらのさらなる直接染料は、単独で又は混合物として、ニトロベンゼン染料;アゾ、アゾメチン及びメチン直接染料、テトラアザカルボシアニン及びテトラアザペンタメチンから選択される。
【0112】
これらの染料は、単一発色団染料、すなわち単一の染料を含む染料、又は多発色団染料、好ましくは二色又は三色発色団染料であってもよく、発色団は、場合により同じか又は異なっており、同じ化学族又は他の化学族に由来する。多発色団染料が、400〜800nmの可視領域で吸収する分子にそれぞれ由来するいくつかの基を含むことに留意されたい。さらに、染料のこの吸収により、その前酸化又は任意の他の化学種との併用が不要になる。
【0113】
多発色団染料の場合、発色団は、カチオン性又は非カチオン性であってもよい少なくとも1つのリンカーによって結合される。
【0114】
多発色団染料の中でも、より特定的には、対称性又は非対称性のアゾ及び/又はアゾメチン(ヒドラゾン)二発色団又は三発色団染料が挙げられ、これらの染料は、一方で、少なくとも1つの任意に縮合された5員又は6員の芳香族複素環(前記複素環は、該環に組み込まれた少なくとも1つの第4級化窒素原子及び任意に少なくとも1つの他のヘテロ原子、例えば窒素、硫黄又は酸素を含む)を含み、他方で、少なくとも1つの任意に置換されたフェニル又はナフチル基を含み、このフェニル又はナフチル基は、少なくとも1つの基OR(Rは水素原子、任意に置換されたC1〜C6アルキル基、任意に置換されたフェニル核を表す)、又は少なくとも1つの基N(R’)2(R’は、同じであっても又は異なっていてもよく、水素原子、任意に置換されたC1〜C6アルキル基又は任意に置換されたフェニル核を表す)を任意に有し;基R’は、それらが結合される窒素原子とともに、5員又は6員の飽和複素環を場合により形成し、あるいは一方及び/又は両方の基R’はそれぞれ、窒素原子に対してオルト位にある芳香環の炭素原子とともに、5員又は6員の飽和複素環を形成してもよい。
【0115】
挙げられるのが好ましい芳香族カチオン性複素環には、1〜3つの窒素原子、好ましくは1つ又は2つの窒素原子(1つは第4級化される)を含有する5員又は6員環が含まれ;前記複素環はさらに、ベンゼン核に任意選択的に縮合される。複素環が、窒素以外の別のヘテロ原子、例えば、硫黄又は酸素を任意選択的に含み得ることに同様に留意されたい。
【0116】
複素環又はフェニル若しくはナフチル基が置換される場合、それらは、例えば、1つ以上のC1〜C8アルキル基(ヒドロキシル、C1〜C2アルコキシ、C2〜C4ヒドロキシアルコキシ、アセチルアミノ又はアミノ基(ヒドロキシル基を任意に有する1つ又は2つのC1〜C4アルキル基で置換される)で任意に置換されるか、あるいは該2つの基が、それらが結合される窒素原子とともに、窒素と同じか又は異なる別のヘテロ原子を任意選択的に含む5員又は6員複素環を場合により形成する);ハロゲン原子;ヒドロキシル基;C1〜C2アルコキシ基;C2〜C4ヒドロキシアルコキシ基;アミノ基;ヒドロキシル基を任意に有する1つ又は2つの同じか又は異なるC1〜C4アルキル基で置換されたアミノ基で置換される。
【0117】
好ましくは、リンカーは、直鎖状、分枝状又は環状C1〜C20アルキル鎖であり、このアルキル鎖には、少なくとも1つのヘテロ原子、例えば窒素又は酸素及び/又はCO又はSO2を含む少なくとも1つの基が任意に介在し、少なくとも1つの置換又は非置換のフェニル又はナフチル基が任意に介在し、フェニル核に縮合されていても又は縮合されていなくてもよい少なくとも1つの飽和、不飽和又は芳香族複素環(前記環に組み込まれた少なくとも1つの第4級化窒素原子及び任意に少なくとも1つの他のヘテロ原子、例えば酸素、窒素又は硫黄を含む)が任意に介在し、2つのC1〜C15アルキル基で置換された少なくとも1つの第4級アンモニウム基が任意に介在し;リンカーは、ニトロ、ニトロソ又はペルオキシ基を全く含まない。
【0118】
複素環又は芳香族核が置換される場合、それらは、例えば、1つ以上のC1〜C8アルキル基(ヒドロキシル、C1〜C2アルコキシ、C2〜C4ヒドロキシアルコキシ、アセチルアミノ又はアミノ基(ヒドロキシル基を任意に有する1つ又は2つの同じか又は異なるC1〜C4アルキル基で置換される)で任意に置換されるか、あるいは該2つの基が、それらが結合される窒素原子とともに、窒素と同じか又は異なる別のヘテロ原子を任意に含む5員又は6員複素環を場合により形成する);ハロゲン原子;ヒドロキシル基、C1〜C2アルコキシ基;C2〜C4ヒドロキシアルコキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基を任意に有する1つ又は2つの同じか又は異なるC1〜C4アルキル基で置換されたアミノ基で置換される。
【0119】
リンカーと各発色団との間の結合は、一般に、フェニル又はナフチル核上のヘテロ原子置換基を介して又はカチオン性複素環の第4級化窒素原子を介して起こる。
【0120】
本発明にしたがって使用され得るアゾ、アゾメチン、メチン及びテトラアザペンタメチン単一発色団直接染料の中でも、特許出願の国際公開第95/15144号パンフレット、国際公開第95/01772号パンフレット及び欧州特許第714 954号明細書;仏国特許第2 189 006号明細書、仏国特許第2 285 851号明細書、仏国特許第2 140 205号明細書、欧州特許第1 378 544号明細書及び欧州特許第1 674 073号明細書に記載されるカチオン性染料が挙げられる。
【0121】
したがって、特に、下式に相当するカチオン性直接染料が挙げられ:
【化12】

式中:
Dが、窒素原子又はCH基を表し、
1及びR2が、同じであっても異なっていてもよく、水素原子、C1〜C4アルキル基(−CN、−OH又はNH2基で置換されてもよく、又はベンゼン環の炭素原子とともに、任意に1つ以上のC1〜C4アルキル基で置換されてもよい含酸素又は含窒素複素環を形成してもよい);4’−アミノフェニル基を表し、
3及びR’3が、同じであっても異なっていてもよく、水素原子又は塩素、臭素、ヨウ素及びフッ素から選択されるハロゲン原子、又はシアノ、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ若しくはアセチルオキシ基を表し、
-が、クロリド、メチルスルフェート及びアセテートから好ましくは選択されるアニオンを表し、
Aが、以下の構造から選択される基を表し:
【化13】

式中、R4が、ヒドロキシル基で置換されてもよいC1〜C4アルキル基を表し;
【化14】

式中:
5が、水素原子、C1〜C4アルコキシ基又はハロゲン原子、例えば臭素、塩素、ヨウ素若しくはフッ素を表し、
6が、水素原子又はC1〜C4アルキル基を表し、又はベンゼン環の炭素原子とともに、酸素を任意に含有し、及び/又は1つ以上のC1〜C4アルキル基で任意に置換された複素環を形成し、
7は、水素又はハロゲン原子、例えば臭素、塩素、ヨウ素若しくはフッ素を表し;
1及びD2、同じであっても異なっていてもよく、窒素原子又はCH基を表し、
m=0又は1であり、
-が、クロリド、メチルスルフェート及びアセテートから好ましくは選択される化粧品として許容可能なアニオンを表し、
Eが、以下の構造から選択される基を表し:
【化15】

式中、R’が、C1〜C4アルキル基を表す。
【0122】
m=0であり、D1が窒素原子を表す場合、Eは、以下の構造の基も表し得:
【化16】

式中、R’が、C1〜C4アルキル基を表す。
【0123】
上記の化合物の中でも、以下の化合物が最も特に使用される:
【化17】

【0124】
本発明にしたがって使用することができるテトラアザペンタメチン染料には、以下の表に示される以下の化合物が含まれる:
【0125】
【表12】

【0126】
-が、好ましくは、クロリド、ヨージド、メチルスルフェート、エチルスルフェート及びアセテートから選択されるアニオンを表す。
【0127】
染料組成物はまた、1つ以上の酸化染料前駆体、より特定的には、1つ以上のカップラーと任意選択的に組み合わされた1つ以上の酸化塩基も含み得る。
【0128】
例として、酸化塩基は、パラ−フェニレンジアミン、ビス(フェニル)アルキレンジアミン、パラ−アミノフェノール、オルト−アミノフェノール及び複素環塩基、並びにそれらの付加塩から選択される。
【0129】
パラ−フェニレンジアミンの中でも、挙げられる例には、パラ−フェニレンジアミン、パラ−トリレンジアミン、2−クロロ−パラ−フェニレンジアミン、2,3−ジメチル−パラ−フェニレンジアミン、2,6−ジメチル−パラ−フェニレンジアミン、2,6−ジエチル−パラ−フェニレンジアミン、2,5−ジメチル−パラ−フェニレンジアミン、N,N−ジメチル−パラ−フェニレンジアミン、N,N−ジエチル−パラ−フェニレンジアミン、N,N−ジプロピル−パラ−フェニレンジアミン、4−アミノN,N−ジエチル−3−メチルアニリン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−パラ−フェニレンジアミン、4−N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)アミノ−2−メチルアニリン、4−N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)アミノ−2−クロロアニリン、2−β−ヒドロキシエチル−パラ−フェニレンジアミン、2−フルオロ−パラ−フェニレンジアミン、2−イソプロピル−パラ−フェニレンジアミン、N−(β−ヒドロキシプロピル)−パラ−フェニレンジアミン、2−ヒドロキシメチル−パラ−フェニレンジアミン、N,N−ジメチル−3−メチル−パラ−フェニレンジアミン、N−エチル−N−(β−ヒドロキシエチル)−パラ−フェニレンジアミン、N−(β,γ−ジヒドロキシプロピル)−パラ−フェニレンジアミン、N−(4’−アミノフェニル)−パラ−フェニレンジアミン、N−フェニル−パラ−フェニレンジアミン、2−β−ヒドロキシエチルオキシ−パラ−フェニレンジアミン、2−β−アセチルアミノエチルオキシ−パラ−フェニレンジアミン、N−(β−メトキシエチル)−パラ−フェニレン−ジアミン、4−アミノフェニルピロリジン、2−チエニル−パラ−フェニレンジアミン、2−β−ヒドロキシエチルアミノ−5−アミノトルエン及び3−ヒドロキシ−1−(4’−アミノフェニル)ピロリジン、並びにそれらと酸との付加塩が含まれる。
【0130】
上記のパラ−フェニレンジアミンの中でも、パラ−フェニレンジアミン、パラ−トリレンジアミン、2−イソプロピル−パラ−フェニレンジアミン、2−β−ヒドロキシエチル−パラ−フェニレンジアミン、2−β−ヒドロキシエチルオキシ−パラ−フェニレンジアミン、2,6−ジメチル−パラ−フェニレンジアミン、2,6−ジエチル−パラ−フェニレンジアミン、2,3−ジメチル−パラ−フェニレンジアミン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−パラ−フェニレンジアミン、2−クロロ−パラ−フェニレンジアミン及び2−β−アセチルアミノエチルオキシ−パラ−フェニレンジアミン、並びにそれらと酸との付加塩が特に好ましい。
【0131】
ビス(フェニル)アルキレンジアミンの中でも、例えば、N,N’−ビス(β−ヒドロキシエチル)−N,N’−ビス(4’−アミノフェニル)−1,3−ジアミノプロパノール、N,N’−ビス(β−ヒドロキシエチル)−N,N’−ビス(4’−アミノフェニル)エチレンジアミン、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N’−ビス(β−ヒドロキシエチル)−N,N’−ビス(4−アミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N’−ビス(4−メチルアミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N’−ビス(エチル)−N,N’−ビス(4’−アミノ−3’−メチルフェニル)エチレンジアミン及び1,8−ビス(2,5−ジアミノフェノキシ)−3,6−ジオキサオクタン、並びにそれらの付加塩が挙げられる。
【0132】
パラ−アミノフェノールの中でも、パラ−アミノフェノール、4−アミノ−3−メチルフェノール、4−アミノ−3−フルオロフェノール、4−アミノ−3−クロロフェノール、4−アミノ−3−ヒドロキシメチルフェノール、4−アミノ−2−メチルフェノール、4−アミノ−2−ヒドロキシメチルフェノール、4−アミノ−2−メトキシメチルフェノール、4−アミノ−2−アミノメチルフェノール、4−アミノ−2−(β−ヒドロキシエチル−アミノメチル)フェノール及び4−アミノ−2−フルオロフェノール、並びにそれらと酸との付加塩が挙げられる。
【0133】
オルト−アミノフェノールの中でも、例えば、2−アミノフェノール、2−アミノ−5−メチルフェノール、2−アミノ−6−メチルフェノール及び5−アセトアミド−2−アミノフェノール、並びにそれらの付加塩が挙げられる。
【0134】
複素環塩基の中でも、例えば、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体及びピラゾール誘導体が挙げられる。
【0135】
ピリジン誘導体の中でも、例えば、英国特許第1 026 978号明細書及び英国特許第1 153 196号明細書に記載される化合物、例えば、2,5−ジアミノピリジン、2−(4−メトキシフェニル)アミノ−3−アミノピリジン及び3,4−ジアミノピリジン、並びにそれらの付加塩が挙げられる。
【0136】
本発明に有用な他のピリジン酸化塩基は、例えば、特許出願の仏国特許第2 801 308号明細書に記載される3−アミノピラゾロ[1,5−a]ピリジン酸化塩基又はそれらの付加塩である。挙げられる例には、ピラゾロ[1,5−a]ピリド−3−イルアミン、2−アセチルアミノピラゾロ[1,5−a]ピリド−3−イルアミン、2−モルホリン−4−イルピラゾロ[1,5−a]ピリド−3−イルアミン、3−アミノピラゾロ[1,5−a]ピリジン−2−カルボン酸、2−メトキシピラゾロ[1,5−a]ピリド−3−イルアミン、(3−アミノピラゾロ[1,5−a]ピリド−7−イル)メタノール、2−(3−アミノピラゾロ[1,5−a]ピリド−5−イル)エタノール、2−(3−アミノピラゾロ[1,5−a]ピリド−7−イル)エタノール、(3−アミノピラゾロ[1,5−a]ピリド−2−イル)メタノール、3,6−ジアミノピラゾロ[1,5−a]ピリジン、3,4−ジアミノピラゾロ[1,5−a]ピリジン、ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3,7−ジアミン、7−モルホリン−4−イルピラゾロ[1,5−a]ピリド−3−イルアミン、ピラゾロ[1,5−a]ピリジン−3,5−ジアミン、5−モルホリン−4−イルピラゾロ[1,5−a]ピリド−3−イルアミン、2−[(3−アミノピラゾロ[1,5−a]ピリド−5−イル)(2−ヒドロキシエチル)アミノ]エタノール、2−[(3−アミノピラゾロ[1,5−a]ピリド−7−イル)(2−ヒドロキシエチル)アミノ]エタノール、3−アミノピラゾロ[1,5−a]ピリジン−5−オール、3−アミノピラゾロ[1,5−a]ピリジン−4−オール、3−アミノピラゾロ[1,5−a]ピリジン−6−オール及び3−アミノピラゾロ[1,5−a]ピリジン−7−オール、並びにそれらの付加塩が含まれる。
【0137】
ピリミジン誘導体の中でも、例えば、2,4,5,6−テトラアミノピリミジン、4−ヒドロキシ−2,5,6−トリアミノピリミジン、2−ヒドロキシ−4,5,6−トリアミノピリミジン、2,4−ジヒドロキシ−5,6−ジアミノピリミジン、2,5,6−トリアミノピリミジン並びにそれらの付加塩及び互変異性平衡が存在する場合にはそれらの互変異性型などの、独国特許発明第2359399号明細書;特願昭63−169571号公報;JP 05−63124号公報;欧州特許第0770375号明細書又は特許出願の国際公開第96/15765号パンフレットに記載される化合物が挙げられる。
【0138】
ピラゾール誘導体の中でも、独国特許発明第3843892号明細書及び独国特許発明第4133957号明細書及び特許出願の国際公開第94/08969号パンフレット、国際公開第94/08970号パンフレット、仏国特許出願公開第2 733 749号明細書及び独国特許発明第195 43 988号明細書に記載される化合物、例えば、4,5−ジアミノ−1−メチルピラゾール、4,5−ジアミノ−1−(β−ヒドロキシエチル)ピラゾール、3,4−ジアミノピラゾール、4,5−ジアミノ1−(4’−クロロベンジル)ピラゾール、4,5−ジアミノ−1,3−ジメチルピラゾール、4,5−ジアミノ−3−メチル−1−フェニルピラゾール、4,5−ジアミノ−1−メチル−3−フェニルピラゾール、4−アミノ−1,3−ジメチル−5−ヒドラジノピラゾール、1−ベンジル−4,5−ジアミノ−3−メチルピラゾール、4,5−ジアミノ−3−tert−ブチル−1−メチルピラゾール、4,5−ジアミノ−1−tert−ブチル−3−メチルピラゾール、4,5−ジアミノ−1−(β−ヒドロキシエチル)−3−メチルピラゾール、4,5−ジアミノ−1−エチル3−メチルピラゾール、4,5−ジアミノ−1−エチル−3−(4’−メトキシフェニル)ピラゾール、4,5−ジアミノ−1−エチル−3−ヒドロキシメチルピラゾール、4,5−ジアミノ−3−ヒドロキシメチル−1−メチルピラゾール、4,5−ジアミノ−3−ヒドロキシメチル−1−イソプロピルピラゾール、4,5−ジアミノ−3−メチル−1−イソプロピルピラゾール、4−アミノ−5−(2’−アミノエチル)アミノ−1,3−ジメチルピラゾール、3,4,5−トリアミノピラゾール、1−メチル−3,4,5−トリアミノピラゾール、3,5−ジアミノ−1−メチル−4−メチルアミノピラゾール及び3,5−ジアミノ−4−(β−ヒドロキシエチル)アミノ−1−メチルピラゾール、並びにそれらの付加塩が挙げられる。4,5−ジアミノ−1−(β−メトキシエチル)ピラゾールも使用されてもよい。
【0139】
挙げられるピラゾール誘導体には、ジアミノ−N,N−ジヒドロピラゾロピラゾロン、特に、以下の化合物及びそれらの付加塩などの特許出願の仏国特許第2 886 136号明細書に記載されるもの:2,3−ジアミノ−6,7−ジヒドロ−1H,5H−ピラゾロ[1,2−a]ピラゾール−1−オン、2−アミノ−3−エチルアミノ−6,7−ジヒドロ−1H,5H−ピラゾロ[1,2−a]ピラゾール−1−オン、2−アミノ−3−イソプロピルアミノ−6,7−ジヒドロ−1H,5H−ピラゾロ[1,2−a]ピラゾール−1−オン、2−アミノ−3−(ピロリジン−1−イル)−6,7−ジヒドロ−1H,5H−ピラゾロ[1,2−a]ピラゾール−1−オン、4,5−ジアミノ−1,2−ジメチル−1,2−ジヒドロピラゾール−3−オン、4,5−ジアミノ−1,2−ジエチル−1,2−ジヒドロピラゾール−3−オン、4,5−ジアミノ−1,2−ビス(2−ヒドロキシエチル)−1,2−ジヒドロピラゾール−3−オン、2−アミノ−3−(2−ヒドロキシエチル)アミノ−6,7−ジヒドロ−1H,5H−ピラゾロ[1,2−a]ピラゾール−1−オン、2−アミノ−3−ジメチルアミノ−6,7−ジヒドロ−1H,5H−ピラゾロ[1,2−a]ピラゾール−1−オン、2,3−ジアミノ−5,6,7,8−テトラヒドロ−1H,6H−ピリダジノ[1,2−a]ピラゾール−1−オン、4−アミノ−1,2−ジエチル−5−(ピロリジン−1−イル)−1,2−ジヒドロピラゾール−3−オン、4−アミノ−5−(3−ジメチルアミノピロリジン−1−イル)−1,2−ジエチル−1,2−ジヒドロピラゾール−3−オン、2,3−ジアミノ−6−ヒドロキシ−6,7−ジヒドロ−1H,5H−ピラゾロ[1,2−a]ピラゾール−1−オンも含まれる。
【0140】
優先的に使用される複素環塩基には、4,5−ジアミノ−1−(β−ヒドロキシエチル)ピラゾール及び/又は2,3−ジアミノ−6,7−ジヒドロ−1H,5H−ピラゾロ[1,2−a]−ピラゾール−1−オン並びにそれらの付加塩が含まれる。
【0141】
本発明に係る組成物は、ケラチン繊維を染色するのに通常使用されるものから有利に選択される1つ以上のカップラーを任意に含み得る。
【0142】
これらのカップラーの中でも、特に、メタ−フェニレンジアミン、メタ−アミノフェノール、メタ−ジフェノール、ナフタレン系カップラー及び複素環式カップラー、またそれらの付加塩が挙げられる。
【0143】
例えば、1,3−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシ−2−メチルベンゼン、4−クロロ−1,3−ジヒドロキシベンゼン、2,4−ジアミノ−1−(β−ヒドロキシエチルオキシ)ベンゼン、2−アミノ−4−(β−ヒドロキシエチルアミノ)−1−メトキシベンゼン、1,3−ジアミノベンゼン、1,3−ビス(2,4−ジアミノフェノキシ)プロパン、3−ウレイドアニリン、3−ウレイド−1−ジメチルアミノベンゼン、セサモール、1−β−ヒドロキシエチルアミノ−3,4−メチレンジオキシベンゼン、α−ナフトール、2−メチル−1−ナフトール、6−ヒドロキシインドール、4−ヒドロキシインドール、4−ヒドロキシ−N−メチルインドール、2−アミノ−3−ヒドロキシピリジン、6−ヒドロキシベンゾモルホリン、3,5−ジアミノ−2,6−ジメトキシピリジン、1−N−(β−ヒドロキシエチル)アミノ−3,4−メチレンジオキシベンゼン、2,6−ビス(β−ヒドロキシエチルアミノ)トルエン、6−ヒドロキシインドリン、2,6−ジヒドロキシ−4−メチルピリジン、1−H−3−メチルピラゾール−5−オン、1−フェニル−3−メチルピラゾール−5−オン、2,6−ジメチルピラゾロ[1,5−b]−1,2,4−トリアゾール、2,6−ジメチル[3,2−c]−1,2,4−トリアゾール及び6−メチルピラゾロ[1,5−a]ベンズイミダゾール、それらの付加塩、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0144】
一般に、本発明の趣旨に添って使用され得る酸化塩基及びカップラーの付加塩は、特に、酸との付加塩、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、トシル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、リン酸塩及び酢酸塩から選択される。
【0145】
酸化塩基は、組成物中に存在する場合、組成物の質量に対して0.0001質量%〜10質量%、好ましくは組成物の質量に対して0.005質量%〜5質量%を占めるのが有利である。
【0146】
カップラーは、存在する場合、組成物の質量に対して0.0001質量%〜10質量%、好ましくは組成物の質量に対して0.005質量%〜5質量%を占めるのが有利である。
【0147】
存在する場合、さらなる染料は、0.01質量%〜10質量%、好ましくは組成物の質量に対して0.5質量%〜5質量%を占める。
【0148】
本発明に係る染料組成物は、1つ以上のコンディショニング剤も含み得る。
【0149】
挙げられる例には、揮発性又は不揮発性、直鎖状、環状、分枝状又は非分枝状シリコーンが含まれる。シリコーンは、油、樹脂又はガムの形態であってもよい、化粧品として許容可能な媒体に不溶性のポリオルガノシロキサンであり得る。
【0150】
オルガノポリシロキサンは、Walter NollのChemistry and Technology of Silicones(1968)Academic Pressにより詳細に定義されている。オルガノポリシロキサンは、揮発性又は不揮発性であり得る。
【0151】
オルガノポリシロキサンが揮発性である場合、シリコーンは、より特定的には、60℃〜260℃の沸点を有するものから選択される。
【0152】
また、使用され得るコンディショニング剤には、カチオン性ポリマー、例えばポリクオタニウム22、6、10、11、35及び37、並びに塩化ヘキサジメトリンが含まれる。
【0153】
本発明に有用である組成物中のコンディショニング剤の濃度は、組成物の総質量に対して0.01質量%〜10質量%、好ましくは0.05質量%〜5質量%、より優先的には0.1質量%〜3質量%の範囲であり得る。
【0154】
本発明に係る組成物は、1つ以上の有機増粘剤も含み得る。
【0155】
有機増粘剤は、脂肪酸アミド、例えばヤシ油モノエタノールアミド又はジエタノールアミド及びオキシエチル化カルボン酸モノエタノールアミドアルキルエーテル、ポリマー増粘剤、例えばセルロース系増粘剤、特にヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース又はカルボキシメチルセルロース、グアーガム及びその誘導体、例えばヒドロキシプロピルグアー、微生物起源のガム、例えばキサンタンガム、スクレログルカンガム、アクリル酸又はアクリルアミドプロパンスルホン酸架橋ホモポリマー及び会合性ポリマー、すなわち、親水性領域及び脂肪鎖疎水性領域を含み、水性媒体中で、互いに又は他の分子と可逆的に組み合わせることが可能なポリマーから選択され得る。
【0156】
特定の一実施形態によれば、増粘剤はポリマーであり、セルロース系増粘剤、例えばヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース又はカルボキシメチルセルロース、グアーガム及びその誘導体、例えばヒドロキシプロピルグアー、微生物起源のガム、例えばキサンタンガム、スクレログルカンガム、及びアクリル酸又はアクリルアミドプロパンスルホン酸架橋ホモポリマーから選択される。
【0157】
会合性増粘剤に関して、非イオン性又はイオン性、好ましくはアニオン性又はカチオン性の1つ以上のポリマーが使用され得る。
【0158】
それらの化学構造は、より特定的には、少なくとも1つの親水性領域及び少なくとも1つの疎水性領域を含む。用語「疎水性基」は、少なくとも8個の炭素原子、好ましくは10〜30個の炭素原子、特に12〜30個の炭素原子、より優先的には18〜30個の炭素原子を含む飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状の炭化水素系鎖を有する基又はポリマーを意味する。
【0159】
優先的には、炭化水素系基は、単官能性の化合物から誘導される。例として、疎水性基は、脂肪アルコール、例えばステアリルアルコール、ドデシルアルコール又はデシルアルコールから誘導され得る。疎水性基は、炭化水素系ポリマー、例えば、ポリブタジエンを表すこともある。
【0160】
少なくとも1つの疎水性又は脂肪鎖を含むアニオン性両親媒性ポリマーの中でも:
−(I)少なくとも1つの親水性単位、及び少なくとも1つの脂肪鎖アリルエーテル単位を含むポリマー、より特定的には、親水性単位が、不飽和エチレン性アニオン性モノマー、有利にはビニルカルボン酸、最も特定的にはアクリル酸又はメタクリル酸あるいはそれらの混合物によって形成され、脂肪鎖アリルエーテル単位が、下式(A)のモノマーに相当するものが挙げられ:
CH2=CR’CH2OBnR (A)
式中、R’が、H又はCH3を表し、Bが、エチレンオキシ基を表し、nが0であるか又は1〜100の範囲の整数を表し、Rが、8〜30個の炭素原子、好ましくは10〜24個、さらにより特定的には12〜18個の炭素原子を含む、アルキル、アリールアルキル、アリール、アルキルアリール及びシクロアルキル基から選択される炭化水素系基を表す。より特には好ましい式(A)の単位は、R’がHを表し、nが10に等しく、RがC18ステアリル基を表す単位である。
【0161】
これらの脂肪鎖アニオン性ポリマーの中でも、好ましいものは、20質量%〜60質量%のアクリル酸及び/又はメタクリル酸、5質量%〜60質量%の低級アルキル(メタ)アクリレート、2質量%〜50質量%の式(A)の脂肪鎖アリルエーテル、及び0〜1質量%の架橋剤、すなわち、周知の共重合性ポリエチレン性不飽和モノマー、例えばフタル酸ジアリル、アリル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、(ポリ)エチレングリコールジメタクリレート又はメチレンビスアクリルアミドから形成されるポリマーである。
【0162】
後者のポリマーの中でも、最も特に好ましいものは、メタクリル酸と、エチルアクリレートと、ポリエチレングリコール(10EO)ステアリルエーテル、例えばSteareth 10との架橋ターポリマー、特にSalcare SC 80及びSalcare SC 90の名称でAllied Colloids社によって販売されているものであり、これらは、メタクリル酸と、エチルアクリレートと、steareth−10アリルエーテル(40/50/10)の架橋ターポリマーを30%含有する水性エマルジョンである。
【0163】
−(II)不飽和オレフィン性カルボン酸型の少なくとも1つの親水性単位、及び少なくとも1つの疎水性単位の型、例えば不飽和カルボン酸のC10〜C30アルキルエステルを含むポリマー。
【0164】
これらのポリマーは、好ましくは、不飽和オレフィン性カルボン酸型の親水性単位が下式(B):
【化18】

(式中、R1が、H又はCH3又はC25、すなわちアクリル酸、メタクリル酸又はエタクリル酸単位を表す)
のモノマーに相当し、疎水性単位の型、例えば不飽和カルボン酸のC10〜C30アルキルエステルが下式(C):
【化19】

(式中、R2が、H又はCH3又はC25、すなわちアクリレート、メタクリレート又はエタクリレート単位、好ましくはH、すなわちアクリレート単位、又はCH3、すなわちメタクリレート単位を表し、R3が、C10〜C30、好ましくはC12〜C22アルキル基を表す)
のモノマーに相当するものから選択される。
【0165】
不飽和カルボン酸のC10〜C30アルキルエステルは、例えば、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、デシルアクリレート、イソデシルアクリレート及びドデシルアクリレート、並びに対応するメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、デシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート及びドデシルメタクリレートである。
【0166】
この型の脂肪鎖アニオン性ポリマーの中でも、より特定的に使用されるものは:
(i)本質的にアクリル酸、
(ii)上記の式(C)(式中、R2が、H又はCH3を表し、R3が、12〜22個の炭素原子を含有するアルキル基を表す)のエステル、
(iii)及び周知の共重合性ポリエチレン性不飽和モノマーである架橋剤、例えば、フタル酸ジアリル、アリル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、(ポリ)エチレングリコールジメタクリレート又はメチレンビスアクリルアミド
を含むモノマーの混合物から形成されるポリマーである。
【0167】
この型の脂肪鎖アニオン性ポリマーの中でも、より特定的に、95質量%〜60質量%のアクリル酸(親水性単位に相当する)、4質量%〜40質量%のC10〜C30アルキルアクリレート(疎水性単位に相当する)、及び0〜6質量%の架橋重合性モノマーから形成されるもの、あるいは98質量%〜96質量%のアクリル酸(親水性単位に相当する)、1質量%〜4質量%のC10〜C30アルキルアクリレート(疎水性単位に相当する)、及び0.1〜0.6質量%の架橋重合性モノマー、例えば前述したもから形成されるものが使用される。
【0168】
上記の前記ポリマーの中でも、本発明にしたがって最も特に好ましいものは、Pemulen TR1、Pemulen TR2、Carbopol 1382、さらにより優先的にはPemulen TR1の商品名でGoodrich社によって販売されている製品、並びにCoatex SXの名称でSEPPIC社から販売されている製品である。
【0169】
−(III)無水マレイン酸/C30〜C38α−オレフィン/マレイン酸アルキルターポリマー、例えばNewphase Technologies社によってPerforma V 1608の名称で販売されている製品(無水マレイン酸/C30〜C38α−オレフィン/マレイン酸イソプロピル)。
【0170】
−(IV)以下のものを含むアクリルターポリマー:
(a)20質量%〜70質量%のα,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸、
(b)20質量%〜80質量%の、(a)以外の非界面活性剤α,β−モノエチレン性不飽和モノマー、
(c)0.5質量%〜60質量%のノニオン性モノウレタン(モノエチレン性不飽和モノイソシアネートと一価の界面活性剤との反応の生成物、例えば特許出願の欧州特許出願公開第0 173 109号明細書に記載されるもの、より特定的には、25%の水性分散液としてのエトキシ化ベヘニルアルコール(40 OE)を有するメタクリル酸/メチルアクリレート/ジメチルメタ−イソプロペニルベンジルイソシアネートターポリマー)。
【0171】
−(V)モノマーとして、α,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸及びα,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸とオキシアルキレン化(C8〜C30)脂肪アルコールとのエステルを含むコポリマー。
【0172】
優先的には、これらの化合物は、モノマーとしてα,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸とC1〜C4アルコールとのエステルも含む。
【0173】
挙げられるこの型の化合物の一例は、Roehm & Haas社によって販売されているAculyn 22であり、これは、メタクリル酸/エチルアクリレート/オキシアルキレン化ステアリルメタクリレートターポリマーである。
【0174】
疎水性又は脂肪鎖ノニオン性両親媒性ポリマーは、好ましくは、以下のものから選択される:
−(1)少なくとも1つの脂肪鎖を含む基で変性されたセルロース、例えば:
−少なくとも1つの脂肪鎖を含む基、例えばアルキル、アリールアルキル又はアルキルアリール基又はそれらの混合物(ここで、アルキル基は、好ましくはC8〜C22)で変性されたヒドロキシエチルセルロース、例えば、Aqualon社によって販売されている製品のNatrosol Plus Grade 330 CS(C16アルキル)、又はBerol Nobel社によって販売されている製品のBermocoll EHM 100、
−アルキルフェニルポリアルキレングリコールエーテル基で変性されたセルロース、例えばAmerchol社によって販売されている製品のAmercell Polymer HM1500(ノニルフェニルポリエチレングリコール(15)エーテル)、
−(2)少なくとも1つの脂肪鎖を含む基で変性されたヒドロキシプロピルグアー、例えばLamberti社によって販売されている製品のEsaflor HM 22(C22アルキル鎖)、並びにRhone−Poulenc社によって販売されている製品のRE210−18(C14アルキル鎖)及びRE205−1(C20アルキル鎖)、
−(3)ビニルピロリドンと脂肪鎖疎水性モノマーとのコポリマー、例えば:
−ISP社によって販売されている製品のAntaron V216又はGanex V216、これらは、ビニルピロリドン/ヘキサデセンコポリマーである、
−ISP社によって販売されている製品のAntaron V220又はGanex V220、これらは、ビニルピロリドン/ヘキサデセンコポリマーである、
−(4)少なくとも1つの脂肪鎖を含む両親媒性モノマーと、C1〜C6アルキルメタクリレート若しくはアクリレートとのコポリマー、例えば、Goldschmidt社によってAntil 208の名称で販売されているオキシエチル化メチルアクリレート/ステアリルアクリレートコポリマー、
−(5)少なくとも1つの脂肪鎖を含む疎水性モノマーと、親水性メタクリレート若しくはアクリレートとのコポリマー、例えば、ポリエチレングリコールメタクリレート/ラウリルメタクリレートコポリマー、
−(6)少なくとも1つの脂肪鎖を有するアミノプラストエーテル主鎖を有するポリマー、例えばSud−Chemie社によって販売されているPure Thix化合物、
−(7)通常、ポリオキシエチレン化の性質を有する親水性ブロック、並びに脂肪族配列単独及び/又は脂環式及び/又は芳香族配列であり得る疎水性ブロックの両方を鎖中に含むポリウレタンポリエーテル。
【0175】
好ましくは、ポリウレタンポリエーテルは、親水性ブロックによって隔てられた、8〜30個の炭素原子を含有する少なくとも2つの炭化水素系脂肪鎖を含み、該炭化水素系鎖は、場合により、ペンダント鎖又は親水性ブロックの末端の鎖である。
【0176】
本発明に使用され得る脂肪鎖ノニオン性ポリウレタンポリエーテルの例として、Rheox社によって販売されている、尿素官能基を含有するRheolate 205、又はRheolate 208、204又は212、また、Roehm & Haas社製のAcrysol RM 184、Aculyn又はAcrysol 44及びAculyn又はAcrysol 46が使用されてもよく、Aculyn 46は、マルトデキストリン(4%)及び水(81%)のマトリックス中15質量%で、150又は180モルのエチレンオキシドを含有するポリエチレングリコールと、ステアリルアルコールと、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)(SMDI)との重縮合物であり、Aculyn 44は、プロピレングリコール(39%)と水(26%)との混合物中35質量%で、150又は180モルのエチレンオキシドを含有するポリエチレングリコールと、デシルアルコールと、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)(SMDI)との重縮合物である。
【0177】
Akzo社製のC12〜C14アルキル鎖を含有する製品のElfacos T210及びC18アルキル鎖を含有する製品のElfacos T212、また、C20アルキル鎖及びウレタン結合を含有し、水中で20%の固形分で販売されている、Roehm & Haas社製の製品のDW 1206Bも挙げられる。
【0178】
これらのポリマーを、特に水又は水性アルコール媒体に溶解させた溶液又は分散体を使用することもできる。挙げられるこのようなポリマーの例は、Rheox社によって販売されているRheolate 255、Rheolate 278及びRheolate 244である。Roehm & Haasによって販売されている製品のDW 1206F及びDW 1206Jも使用され得る。
【0179】
本発明にしたがって使用され得るポリウレタンポリエーテルは、特に、G.Fonnum、J.Bakke及びFk.Hansenによる論文−Colloid Polym.Sci 271、380.389(1993)に記載されるものである。
【0180】
少なくとも1つの疎水性又は脂肪鎖を含む、使用されるカチオン性両親媒性ポリマーは、特に、第4級化セルロース誘導体、カチオン性ポリウレタン及びカチオン性ポリビニルラクタム、好ましくは第4級化セルロース誘導体から選択され得る。
【0181】
この型のポリマーの例としては、特に以下のものが挙げられる:
−少なくとも1つの脂肪鎖を含む基、例えば少なくとも8個の炭素原子を含む、アルキル、アリールアルキル又はアルキルアリール基で変性された第4級化セルロース、及びそれらの混合物、
−少なくとも1つの脂肪鎖を含む基、例えば少なくとも8個の炭素原子を含む、アルキル、アリールアルキル又はアルキルアリール基で変性された第4級化ヒドロキシエチルセルロース、及びそれらの混合物。
【0182】
上記の第4級化セルロース又はヒドロキシエチルセルロースによって担持されたアルキル基は、好ましくは8〜30個の炭素原子を含む。アリール基は、好ましくはフェニル、ベンジル、ナフチル又はアントリル基を表す。
【0183】
示され得るC8〜C30脂肪鎖を含有する第4級化アルキルヒドロキシエチルセルロースの例には、Amerchol社によって販売されている製品のQuatrisoft LM 200、Quatrisoft LM−X529−18−A、Quatrisoft LM−X529−18B(C12アルキル)及びQuatrisoft LM−X529−8(C18アルキル)並びにCroda社によって販売されている製品のCrodacel QM、Crodacel QL(C12アルキル)及びCrodacel QS(C18アルキル)が含まれる。
【0184】
増粘ポリマーの含量は、それらが存在する場合、通常、染料組成物の質量に対して0.05質量%〜5質量%の範囲である。
【0185】
特に有利な一実施形態によれば、本発明に係る染料組成物は、1つ以上の界面活性剤を含む。これらの界面活性剤は、無差別に、単独で又は混合物として、アニオン性、両性、ノニオン性、双性イオン性及びカチオン性界面活性剤から選択され得る。
【0186】
アニオン性界面活性剤に関して、通常、塩、特に、アルカリ金属塩、例えばナトリウム塩、アンモニウム塩、アミン塩、アミノアルコール塩又はアルカリ土類金属塩、例えばマグネシウム塩、及び以下の化合物の塩:
−硫酸アルキル、硫酸アルキルエーテル、硫酸アルキルアミドエーテル、硫酸アルキルアリールポリエーテル、
−スルホン酸アルキル、スルホン酸アルキルアミド、スルホン酸アルキルアリール、
−スルホコハク酸アルキル、スルホコハク酸アルキルエーテル、スルホコハク酸アルキルアミド、
−スルホ酢酸アルキル、
−サルコシン酸アシル、
−グルタミン酸アシル、
−ポリグリコシドカルボン酸のアルキルエステル、例えばクエン酸アルキルグルコシド、酒石酸アルキルポリグリコシド及びスルホコハク酸アルキルポリグリコシド、
−スルホスクシンアミド酸アルキル、
−イセチオン酸アシル、N−アシルタウレート、アシルラクチレート(acyllactylate)、
−アルキル−D−ガラクトシドウロン酸、
−ポリオキシアルキレン化アルキルエーテルカルボン酸、ポリオキシアルキレン化アルキルアリールエーテルカルボン酸、ポリオキシアルキレン化アルキルアミドエーテルカルボン酸
が、単独で又は混合物として使用され、
これらの化合物のアルキル又はアシル(RCO−)基は、10〜24個の炭素原子を含み、アリール基は、好ましくはフェニル又はベンジル基を表し、オキシアルキレン、好ましくはオキシエチレン基の数は2〜50である。
【0187】
ノニオン性界面活性剤に関して、それらは、有利に、以下の化合物:
−ポリエトキシ化、ポリプロポキシ化又はポリグリセロール化脂肪アルコール、
−ポリエトキシ化、ポリプロポキシ化又はポリグリセロール化α−ジオール(エチレンオキシド又はプロピレンオキシド基の数は、2〜50の範囲であり、グリセロール基の数は、2〜30の範囲である)
−エチレンオキシド及びプロピレンオキシドと、脂肪アルコールとの縮合物、
−2〜30モルのエチレンオキシドを含有するポリエトキシ化脂肪アミド、
−1〜5つのグリセロール基を含むポリグリセロール化脂肪アミド、
−2〜30モルのエチレンオキシドを含有するポリエトキシ化脂肪アミド、
−2〜30モルのエチレンオキシドを含有するソルビタンのエトキシ化脂肪酸エステル、スクロースの脂肪酸エステル、
−アルキルポリグルコシド、N−アルキルグルカミン誘導体(これらの化合物は、10〜24個の炭素原子を含む少なくとも1つのアルキル又はアルケニル鎖を含む)、
−エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのコポリマー
から単独で又は混合物として有利に選択され得る。
【0188】
本発明に係る組成物に含まれるカチオン性界面活性剤は、特に、以下の化合物:
−任意選択的にポリエトキシ化(2〜30モルのエチレンオキシド)第1級、第2級又は第3級脂肪族アミン、及びそれらの塩、
−テトラアルキルアンモニウム、アルキルアミドアルキルトリアルキルアンモニウム、トリアルキルベンジルアンモニウム、トリアルキルヒドロキシアルキルアンモニウム並びに塩化及び臭化アルキルピリジニウムなどの第4級アンモニウム塩、
−アルキルイミダゾリン誘導体(これらの化合物は、10〜24個の炭素原子を含む少なくとも1つのアルキル鎖を含む)
から単独で又は混合物として選択され得る。
【0189】
最後に、両性界面活性剤は、以下の化合物:
−脂肪族基が、10〜24個の炭素原子を含有し、少なくとも1つの水を溶解する陰イオン性基、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、硫酸基、リン酸基又はホスホン酸基を含む直鎖又は分枝鎖である第2級又は第3級脂肪族アミン誘導体、
−アルキルベタイン、スルホベタイン、アルキルアミド(C6〜C8)アルキルベタイン、アルキルアミド(C6〜C8)アルキルスルホベタイン(これらの化合物は、10〜24個の炭素原子を含む少なくとも1つのアルキル鎖を含む)
から単独で又は混合物として選択され得る。
【0190】
好ましくは、界面活性剤は、ノニオン性、アニオン性又は両性、さらにより好ましくはノニオン性である。
【0191】
通常、界面活性剤は、組成物の質量に対して0.01質量%〜50質量%、好ましくは0.1質量%〜25質量%の量を占める。
【0192】
本発明に係る染料組成物は、毛髪染料組成物に通常使用される様々な補助剤、例えば、前述した増粘剤以外のカチオン性、アニオン性、ノニオン性、両性又は双性イオン性ポリマー、及びそれらの混合物;無機増粘剤、例えば特に粘土;酸化防止剤、例えば、アスコルビン酸又はエリソルビン酸;前述した化合物(I)以外の還元剤、例えば特に、エリソルビン酸、還元糖、浸透剤、金属イオン封鎖剤、例えば、エチレンジアミン四酢酸又はその塩、香料、例えば、酸化チタンを含む艶消し剤、緩衝剤、分散剤、塗膜形成剤、セラミド及び保存剤も含み得る。
【0193】
上記の補助剤は、一般に、それらの各々について、組成物の質量に対して0.01質量%〜20質量%の量で存在する。
【0194】
本発明に係る組成物は、化粧品として許容可能な媒体を含む。
【0195】
ヒトのケラチン繊維を染色するのに適した媒体である、組成物の化粧品として許容可能な媒体は、好ましくは、水及び任意に有機化合物(II)以外及び前述した化合物(I)以外の1つ以上の有機溶媒を含む。
【0196】
挙げられるこのような有機溶媒の例には、直鎖状又は分枝状C2〜C4アルカノール、例えばエタノール及びイソプロパノール、ポリオール及びポリオールエーテル、例えば、2−ブトキシエタノール、ヘキシレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール及びグリセロール、並びにそれらの混合物が含まれる。
【0197】
これらの有機溶媒は、好ましくは、染料組成物の総質量に対して1質量%〜40質量%、さらにより優先的には5質量%〜30質量%の範囲の割合で存在し得る。
【0198】
本発明に係る組成物中の水の量は、好ましくは10質量%超、さらにより有利に25質量%以上である。好ましくは、水含量は、組成物の質量に対して25質量%〜98質量%である。
【0199】
本発明に係る組成物のpHは、2〜12(端点を含む)であり得る。本発明に係る組成物のpHは、好ましくは8〜12(端点を含む)である。
【0200】
本発明に係る組成物のpHは、1つ以上の酸性化剤によって所望の値に調整され得る。
【0201】
酸性化剤の中でも、挙げられる例には、鉱酸又は有機酸、例えば、塩酸、オルトリン酸、硫酸、カルボン酸、例えば、酢酸、酒石酸、クエン酸又は乳酸、及びスルホン酸が含まれる。
【0202】
本発明に係る組成物は、1つ以上の酸化剤も含み得る。
【0203】
特に、酸化剤を含む組成物は、前述した組成物を塗布する前に、1つ以上の酸化剤を含む少なくとも1つの組成物と用時に混合することによって得られる。
【0204】
酸化剤は、好ましくは、過酸化水素、過酸化尿素、アルカリ金属臭素酸塩又はフェリシアン化物、過酸素化塩、例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属、例えばナトリウム、カリウム及びマグネシウムの過硫酸塩、過ホウ酸塩及び過炭酸塩から選択される。
【0205】
過酸化水素の使用が特に好ましい。
【0206】
この酸化剤は、水性溶液に溶解させた過酸化水素(過酸化水素水性溶液)によって有利に形成され、その力価(titer)は、より特定的に1〜40体積、さらにより優先的に5〜40体積の範囲であり得る。
【0207】
本発明に係る組成物は、いくつかの組成物を用時に混合することから得ることができる。
【0208】
したがって、本発明の別の主題は、ケラチン繊維、特にヒトのケラチン繊維、例えば毛髪を染色するための方法からなり、該方法は前述した本発明に係る組成物を塗布することにある。
【0209】
第1の実施形態によれば、塗布される組成物は酸化剤を全く含まない。この実施形態は、組成物が酸化染料前駆体(塩基又はカップラー)を含まない場合に特に適している。
【0210】
第2の実施形態によれば、組成物は、少なくとも1つの酸化剤の存在下で塗布される。
【0211】
組成物が、染料として、直接染料又は疎水性の染料のみ、及び任意に1つ以上のさらなる直接染料を含む場合、あるいは組成物が、1つ以上の疎水性の染料、任意に、1つ以上の酸化染料前駆体(塩基及びカップラー)と組み合わされる1つ以上のさらなる合成及び/又は天然直接染料を含む場合、この実施形態が使用され得る。
【0212】
この第2の実施形態の第1の変形例によれば、酸化剤を含まない本発明に係る組成物を酸化組成物と塗布する前に用時に混合することによって得られる詳述した組成物は、繊維に塗布される。
【0213】
この第2の実施形態の第2の変形例によれば、酸化剤を含まない本発明に係る組成物、及び酸化組成物は、連続して、中間のすすぎなしで塗布される。
【0214】
使用される酸化組成物は、上記で規定した1つ以上の酸化剤を含む。
【0215】
酸化組成物中に存在し得る有機溶媒に関して、本発明に係る組成物の説明の文脈において上記で示されたリストが参照され得る。これらの有機溶媒はまた、16MPa1/2以下のハンセン溶解度パラメータδH及び250g/モル未満の分子量を有し、前述した化合物(I)以外の、本発明に係る組成物中に存在する有機化合物(II)から選択され得る。
【0216】
酸化組成物は、溶液、エマルジョン又はゲルの形態をとってもよい。
【0217】
酸化組成物は、所望の製剤形態に応じて、ヒトのケラチン繊維の染色分野で通常使用される1つ以上の添加剤を任意に含み得る。また同様に、上記で示される添加剤のリストが参照され得る。
【0218】
選択された実施形態(酸化剤を含むか又は含まない)にかかわらず、ケラチン繊維に塗布される混合物は、一般に、約1分間〜1時間、好ましくは10分間〜30分間の時間にわたってそのままにされる。
【0219】
プロセス中の温度は、通常、10〜200℃、より特定的に室温(15〜25℃)〜80℃、好ましくは室温〜60℃である。
【0220】
処理の最後に、ヒトのケラチン繊維を、任意に水ですすぎ、シャンプーで洗浄し、再度水ですすいでから、乾燥するか又は自然に乾燥させる。
【0221】
本発明の主題は、多区画染色装置又は「キット」でもあり、第1の区画が、酸化剤を除いて上述したような本発明に係る染料組成物を含有し、第2の区画が、上述したような1つ以上の酸化剤を含む組成物を含有する。
【0222】
以下の実施例は、本発明を例示することを意図しているが、本発明の範囲を限定するものではない。
【0223】
これらの実施例において、特に示されない限り、全ての量は、組成物の総質量に対する活性材料の質量パーセントとして示される。
【0224】
実施例1
配合が以下の表1に示される本発明に係る染料組成物を調製する。
【0225】
【表13】

【0226】
これらの組成物を、40℃で2時間にわたってアルゴン下で攪拌させる。
【0227】
次に、4gの25%のアンモニア水性溶液及び4gの90%の乳酸水溶液を用いて、pHを9.6に調整する。
【0228】
90%の白髪を含む天然毛髪及びパーマをかけた毛髪の房の対を、染料組成物1〜5のそれぞれを用いて、室温で30分間染色し、次に房を脱水し、すすぎ、シャンプーし、乾燥させる。
【0229】
強力で堅牢な着色が得られる。
【0230】
実施例2
配合が以下の表2に示される本発明に係る染料組成物を調製する。
【0231】
【表14】

【0232】
これらの組成物を、40℃で2時間にわたってアルゴン下で攪拌させる。
【0233】
次に、4gの25%のアンモニア水性溶液及び4gの90%の乳酸水溶液を用いて、pHを9.6に調整する。
【0234】
90%の白髪を含む天然毛髪及びパーマをかけた毛髪の房の対を、これらの染料組成物6〜10のそれぞれを用いて、室温で30分間染色し、次に房を脱水し、すすぎ、シャンプーし、乾燥させる。
【0235】
強力で堅牢な着色が得られる。
【0236】
実施例3
配合が以下の表3に示される本発明に係る染料組成物を調製する。
【0237】
【表15】

【0238】
実施例2と同じ条件下で、組成物を調製し、90%の白髪を含む天然毛髪及びパーマをかけた毛髪の房の対に塗布する。
【0239】
強力で堅牢な青色の着色が得られる。
【0240】
実施例4
配合が以下の表4に示される本発明に係る染料組成物を調製する。
【0241】
【表16】

【0242】
実施例2と同じ条件下で、組成物を調製し、90%の白髪を含む天然毛髪及びパーマをかけた毛髪の房の対に塗布する。
【0243】
強力で堅牢な褐色の着色が得られる。
【0244】
実施例5
配合が以下の表5に示される本発明に係る染料組成物を調製する。成分の量は、組成物の総質量に対する質量パーセントとして表される。
【0245】
【表17】

【0246】
これらの組成物を、40℃で2時間にわたってアルゴン下で攪拌させる。
【0247】
次に、4gの25%のアンモニア水溶液及び4gの90%の乳酸水性溶液を用いて、pHを9.6に調整する。
【0248】
90%の白髪を含む天然毛髪及びパーマをかけた毛髪の房の対を、これらの染料組成物17〜21のそれぞれを用いて、室温で30分間染色し、次に房を脱水し、すすぎ、シャンプーし、乾燥させる。
【0249】
強力で堅牢な着色が得られる。
【0250】
実施例6
配合が以下の表6に示される本発明に係る染料組成物を調製する。量は、組成物の総質量の100gに対するグラムで表される。
【0251】
【表18】

【0252】
これらの組成物を、40℃で2時間にわたってアルゴン下で攪拌させる。
【0253】
次に、4gの25%のアンモニア水溶液及び4gの90%の乳酸水性溶液を用いて、pHを9.6に調整する。
【0254】
90%の白髪を含む天然毛髪及びパーマをかけた毛髪の房の対を、これらの染料組成物22〜26のそれぞれを用いて、室温で30分間染色し、次に房を脱水し、すすぎ、シャンプーし、乾燥させる。
【0255】
強力で堅牢な着色が得られる。
【0256】
実施例7
配合が以下の表7に示される本発明に係る染料組成物を調製する。成分の量は、組成物の総質量に対する質量パーセントとして表される。
【0257】
【表19】

【0258】
実施例6と同じ条件下で、組成物を調製し、90%の白髪を含む天然毛髪及びパーマをかけた毛髪の房の対に塗布する。
【0259】
強力で堅牢な青色の着色が得られる。
【0260】
実施例8
配合が以下の表8に示される本発明に係る染料組成物を調製する。成分の量は、組成物の総質量に対する質量パーセントとして表される。
【0261】
【表20】

【0262】
実施例6と同じ条件下で、組成物を調製し、90%の白髪を含む天然毛髪及びパーマをかけた毛髪の房の対に塗布する。
【0263】
強力で堅牢な褐色の着色が得られる。
【0264】
実施例9
配合が以下の表9に示される本発明に係る染料組成物を調製する。組成物33が比較例の組成物である。組成物34が本発明に係る組成物である。
【0265】
【表21】

【0266】
組成物を、以下の時間にわたって、アルゴン下で攪拌させる:
−溶液33については40℃で4時間
−溶液34については40℃で2時間。
【0267】
組成物33が部分的にのみ溶解されるのに対し、組成物34が完全に溶解されることが示される。
【0268】
次に、4gの25%のアンモニア水性溶液及び4gの90%の乳酸水性溶液を用いて、pHを9.6に調整する。
【0269】
溶解は、組成物33の場合より組成物34の場合に顕著に良好である。
【0270】
実施例10
配合が以下の表10に示される本発明に係る染料組成物を調製する。
【0271】
【表22】

【0272】
これらの組成物を、40℃で2時間にわたってアルゴン下で攪拌させる。
【0273】
次に、4gの25%のアンモニア水性溶液及び4gの90%の乳酸水性溶液を用いて、pHを9.6に調整する。
【0274】
90%の白髪を含む天然毛髪及びパーマをかけた毛髪の房の対を、これらの染料組成物35〜38のそれぞれを用いて40℃で20分間染色し、次に房を脱水し、すすぎ、シャンプーし、乾燥させる。
【0275】
強力で堅牢な着色が得られる。
【0276】
房に対する染色結果を視覚的に観察するとともに、染色していない毛髪に対するΔEとして表される測色測定を行う。
【0277】
測色測定は、CIE L***系でKonica−Minolta CM−2600d分光測色計を用いて行うことができる。この系では、L*が、得られる着色の明度を表し;L*の値が低くなるほど、より明度の高い着色が得られる。色度は、値a*及びb*によって測定され、a*が、緑色/赤色軸における値を示し、b*が、青色/黄色軸における値を示す。
【0278】
吸収(uptake)は、下式を用いてΔEによって測定する:
【数1】

式中:
−L*、a*及びb*が、染色した毛髪のパラメータを表し、
−L0*、a0*及びb0*が、染色していない毛髪のパラメータを表す。
【0279】
これらの測色測定を表11に示す。
【0280】
【表23】

【0281】
実施例11
配合が以下の表12に示される本発明に係る染料組成物を調製する。
【0282】
【表24】

【0283】
実施例10と同じ条件下で、組成物を調製し、90%の白髪を含む天然毛髪及びパーマをかけた毛髪の房の対に塗布する。
【0284】
強力で堅牢な青色の着色が得られる。
【0285】
実施例12
配合が以下の表13に示される本発明に係る染料組成物を調製する。組成物42が比較例の組成物である。組成物43が本発明に係る組成物である。
【0286】
【表25】

【0287】
組成物を、室温で30分間、アルゴン下で攪拌させる。
【0288】
次に、4gの20%のアンモニア水性溶液及び4gの90%の乳酸水性溶液を用いて、各組成物のpHを9.6に調整する。
【0289】
次に、90%の白髪を含む天然毛髪及びパーマをかけた毛髪の房の対を、組成物42及び43のそれぞれを用いて染色する。組成物を房に塗布し、室温で30分間の放置時間の後、房をすすぎ、シャンプーし、乾燥させる。
【0290】
その際、組成物42を用いて染色した毛髪(天然毛髪及びパーマをかけた毛髪)の房では着色がほとんど見られないのに対し、組成物43を用いて染色した毛髪(天然毛髪及びパーマをかけた毛髪)の房では強力な青色の着色が見られることが分かる。
【0291】
測色測定は、CIE L***系でKonica−Minolta CM−2600d分光測色計を用いて行った。
【0292】
この系によれば、L*が着色の明度を表す。色座標は、パラメータa*及びb*によって表され、a*が、赤色/緑色の色軸に相当し、b*が、黄色/青色の色軸に相当する。
【0293】
色の吸収ΔEは、染色していない房と染色した房との差であり、下式にしたがって求められる:
【数2】

【0294】
この式中、L*、a*及びb*が、染色した毛髪の房について測定された値を表し、L0*、a0*及びb0*が、染色していない毛髪の房について測定された値を表す。
【0295】
ΔEの値が大きいほど、染色した房と染色していない房との色の差が大きくなり、毛髪の房への色のより良好な吸収を表す。
【0296】
得られる結果は以下のとおりである:
【0297】
【表26】

【0298】
これらの結果は、本発明に係る組成物43を用いると、比較例の組成物42より顕著に優れた、毛髪(天然毛髪及びパーマをかけた毛髪の両方)への色の吸収が得られることを裏付けるものである。
【0299】
パラメータL*のより低い値(これは、より良好な着色の明度を反映する)も、本発明に係る組成物Bで得られる。
【0300】
実施例13
配合が以下の表14に示される本発明に係る染料組成物を調製する。
【0301】
【表27】

【0302】
組成物を、以下の時間にわたって、室温でアルゴン下で攪拌させる:
−組成物44について3時間30分
−組成物45について1時間30分。
【0303】
次に、4gの20%のアンモニア水性溶液及び4gの90%の乳酸水性溶液を用いて、2つの組成物のそれぞれのpHを9.6に調整する。
【0304】
次に、90%の白髪を含む天然毛髪及びパーマをかけた毛髪の房の対を、組成物44及び45のそれぞれを用いて染色する。組成物を房に塗布し、室温で30分間の放置時間の後、房をすすぎ、シャンプーし、乾燥させる。
【0305】
その際、これらの2つの組成物のそれぞれで、強力で堅牢な青色の着色が得られることが分かる。
【0306】
実施例14
配合が以下の表15に示される本発明に係る染料組成物を調製する。
【0307】
【表28】

【0308】
成分が完全に溶解されるまで、組成物を室温でアルゴン下で攪拌させる。
【0309】
次に、4gの20%のアンモニア水性溶液及び4gの90%の乳酸水性溶液を用いて、3つの組成物のそれぞれのpHを9.6に調整する。
【0310】
次に、90%の白髪を含む天然毛髪及びパーマをかけた毛髪の房の対を、組成物46、47及び48のそれぞれを用いて染色する。組成物を房に塗布し、室温で30分間の放置時間の後、房をすすぎ、シャンプーし、乾燥させる。
【0311】
その際、これらの3つの組成物のそれぞれで、強力で堅牢な褐色の着色が得られることが分かる。
【0312】
実施例15
配合が以下の表16に示される本発明に係る染料組成物を調製する。
【0313】
【表29】

【0314】
成分が完全に溶解されるまで、組成物を室温でアルゴン下で攪拌させる。
【0315】
次に、4gの20%のアンモニア水性溶液及び4gの90%の乳酸水性溶液を用いて、3つの組成物のそれぞれのpHを9.6に調整する。
【0316】
次に、90%の白髪を含む天然毛髪及びパーマをかけた毛髪の房の対を、組成物49、50及び51のそれぞれを用いて染色する。組成物を房に塗布し、室温で30分間の放置時間の後、房をすすぎ、シャンプーし、乾燥させる。
【0317】
その際、これらの3つの組成物のそれぞれで、強力で堅牢な自然な着色が得られることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
−2以上のlogPを有する1つ以上の疎水性直接染料、
−1つ以上の有機アルカリ剤、及び/又は炭酸塩、炭酸水素塩、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム並びにそれらの混合物から選択される1つ以上の無機塩基、
−構造中に以下の配列を含む1つ以上の化合物(I)であって:
【化1】

式中、nが、0〜4の範囲の整数を表し、
【化2】

が、以下の基:
【化3】

を表す化合物(I)、及び
−16MPa1/2以下のハンセン溶解度パラメータδH及び250g/モル未満の分子量を有する1つ以上の有機化合物(II)
を含む染料組成物。
【請求項2】
前記疎水性直接染料が、以下の化合物:ディスパースレッド17、ディスパースバイオレット1、HCイエロー7、ディスパースブルー377、ディスパースレッド13、ディスパースグリーン9、ソルベントブラック3、ディスパースブルー148、ディスパースバイオレット63、ディスパースブルー60、ディスパースブルー14、ソルベントオレンジ15、ソルベントオレンジ7、ソルベントブルー14、ディスパースイエロー82、インジゴイド染料並びに下式(III)及び(IV):
【化4】

(式中:
1、R’1、R2、R’2、R3、R’3、R4、R’4、R5及びR’5が、同じであっても又は異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、C1〜C30アルキル、C1〜C30アルキルオキシ、C1〜C30アシル又はC1〜C30アシルオキシ基を表し、前記アルキル及びアルキルオキシ基が、1つ以上のハロゲン原子及び/又は1つ以上のヒドロキシル基で場合により置換される)
のものから選択される化合物、並びにそれらの混合物から選択され、
好ましくはインジゴイド染料並びに式(III)及び(IV)の化合物から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
式(III)及び(IV)中:
−前記基R1及びR’1が、同じであっても又は異なっていてもよく、水素原子、C1〜C10アルキル基又はC1〜C10アルキルオキシ基を表し、これらの基が、1つ以上のハロゲン原子及び/又は1つ以上のヒドロキシル基で場合により置換され、及び/又は
−前記基R2、R’2、R3、R’3、R4、R’4、R5及びR’5が、同じであっても又は異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシル基又はC1〜C10アルキル若しくはアルキルオキシ基を表し、これらの基が、1つ以上のハロゲン原子及び/又は1つ以上のヒドロキシル基で場合により置換されることを特徴とする、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
−前記インジゴイド染料が、インジゴ、イソインジゴ、インジルビン、イソインジルビン、4,4’−ジブロモインジゴ、6,6’−ジブロモインジゴ、5,5’−ジブロモインジゴ、シス−6,6’−ジブロモインジゴ、5,5’,7,7’−テトラブロモインジゴ、4,4’,7,7’−テトラクロロインジゴ、3H−インドール−3−オン、1,2−ジヒドロ−2−(3−オキソベンゾ[b]チエン−2−(3H)−イリデン)、チオインジゴ、バットレッド1、シス−チオインジゴ、6,6’−ジクロロ−4,4’−ジメチルインジゴ、5,5’−ジクロロ−7,7’−ジメチルインジゴ、4,4’−7,7’−テトラメチルインジゴ、チオインジゴスカーレットR、2H−インドール−2−オン、1,3−ジヒドロ−3−(3−オキソベンゾ[b]チエン−2(3H)−イリデン)−、(3E)−、チオインジルビン、2H−インドール−2−オン、1,3−ジヒドロ−3−(2−オキソベンゾ[b]チオフェン−3(2H)−イリデン)、ベンゾ[b]チオフェン−2(3H)−オン及び3−(2−オキソベンゾ[b]チオフェン−3(2H)−イリデンから選択され、
−式(III)及び(IV)の前記化合物が、インジゴRussigのブルー、ジオスインジゴA、ジオスインジゴB、4,4’−ジエトキシ−2,2’−ビナフチリデン−1,1’−ジオン、4,4’−ビス(ヘキシルオキシ)−1H,14H−2,2’−ビナフタレン−1,1’−ジオン、マメガキノン及びビラメンタセオンから選択されることを特徴とする、請求項2又は3に記載の組成物。
【請求項5】
前記疎水性直接染料が、化粧用組成物の総質量に対して、0.001質量%〜20質量%、好ましくは0.01質量%〜20質量%、優先的には0.01質量%〜10質量%、さらにより優先的には0.05質量%〜10質量%、さらにより好ましくは0.1質量%〜5質量%を占めることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記化合物(I)が、その構造中に以下の配列:
【化5】

を有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記化合物(I)が、下式(C)に相当し:
【化6】

式中:
nが、0〜4の整数、好ましくは0〜2の整数を表し、
【化7】

が、以下の基:
【化8】

を表し、
1及びR2が、互いに独立して、水素原子;置換又は非置換のフェニル基;ヒドロキシル基;C1〜C4アルコキシ基;直鎖状又は分枝状C1〜C4アルキル基を表し、これは、非置換であるかあるいは基−OR’、−C(O)R”及びCOOR”’から選択される1つ又は2つの基で置換されていてもよく、R’、R”及びR”’が、互いに独立して、水素原子又は直鎖状若しくは分枝状C1〜C4アルキル基を表し、あるいは
1及びR2が、それらが結合される炭素主鎖とともに、非置換の5員又は6員の非芳香族炭素環を形成し、
これらの化合物(I)が、好ましくは、ヒドロキシアセトン、アセトイン、グルタロイン、アジポイン、ジヒドロキシアセトン、グリコールアルデヒド、ベンゾイン、2,3−ジヒドロキシアクリルアルデヒド、シクロペンタンジオン、アセトニルアセトン、アセチルアセトン、ジアセチル、ジプロピオニル、2−ケトグルタル酸、3−ケトグルタル酸、ピルビン酸、レブリン酸、アセト酢酸、プロピオニル酢酸、アセトニルマロン酸、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセトピルビン酸及びシクロヘキサンジオンから選択されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記化合物(I)が、化粧用組成物の総質量に対して、0.01質量%〜20質量%、好ましくは0.05質量%〜10質量%、さらに好ましくは0.1質量%〜5質量%を占めることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
−前記有機アルカリ剤が、25℃で1〜12、好ましくは1〜10、より優先的には2〜6の範囲のpKbを有し
−前記無機塩基が、アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ金属炭酸水素塩並びにそれらの混合物、好ましくは、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム及び炭酸水素カリウム、及びそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記有機アルカリ剤が、有機アミンから選択され、好ましくは:
(1)第1級、第2級又は第3級アミン官能基、並びに1つ以上のヒドロキシル基を有する1つ以上の直鎖状又は分枝状C1〜C8アルキル基を含むアミン、
(2)下式:
【化9】

(式中、Wが、ヒドロキシル基又はC1〜C6アルキル基で任意に置換されたC1〜C6アルキレン残基であり;Rx、Ry、Rz及びRtが、同じであっても又は異なっていてもよく、水素原子又はC1〜C6アルキル、C1〜C6ヒドロキシアルキル又はC1〜C6アミノアルキル基を表す)
の有機アミン、
(3)アミノ酸、
(4)複素環式の有機アミン、
(5)アミノ酸ジペプチド、
(6)グアニジン官能基を含む化合物
から選択され、さらにより優先的にはアルカノールアミン、塩基性アミノ酸、グアニジン官能基を含む化合物、及びそれらの混合物、さらに好ましくはアルカノールアミン、特にモノエタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミンから選択されることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記有機アルカリ剤及び/又は前記無機塩基が、組成物の総質量に対して、0.1質量%〜20質量%、好ましくは0.5質量%〜10質量%、より優先的には1質量%〜5質量%を占めることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記有機化合物(II)が、16未満、より優先的には5〜15.8MPa1/2、さらにより優先的には8〜15.8MPa1/2、さらに好ましくは8〜15MPa1/2のハンセン溶解度パラメータδHを有し、これらの化合物が、組成物の総質量に対して、0.1質量%〜20質量%、好ましくは1質量%〜5質量%の範囲の含量で存在することを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記有機化合物(II)が、アルカノール、脂肪族エステル、エーテル、芳香族アルコール、アルキルアリールアルコール、芳香族酸、脂肪族酸、炭酸アルキレン、及びラクトン、並びにそれらの混合物、好ましくは、1−オクタノール、1−デカノール、トリデシルアルコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル及びモノエチルエーテル、エチレングリコール2−エチルヘキシルエーテル、3−フェニル−1−プロパノール、2−フェニル−1−プロパノール、ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール及びフェノキシエタノール、並びにそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
−天然染料及び非天然直接染料、酸化染料前駆体、並びにそれらの組合せから選択される、2以上のlogPを有する疎水性の染料以外の1つ以上のさらなる染料、及び/又は
−1つ以上の酸化剤、好ましくは過酸化水素
を含むことを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
ケラチン繊維、特にヒトのケラチン繊維、例えば毛髪に、請求項1〜14のいずれか一項に記載の組成物を塗布するこからなる染色方法。

【公表番号】特表2013−503928(P2013−503928A)
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−527370(P2012−527370)
【出願日】平成22年9月1日(2010.9.1)
【国際出願番号】PCT/FR2010/051821
【国際公開番号】WO2011/027077
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】